説明

後写鏡

【課題】組立て作業性の向上を図るようにした後写鏡を提供する。
【解決手段】後写鏡は、このミラーユニットMを組立てる際、ミラーホルダ3に設けられた開口部4内に、ミラーホルダ3の内面3a側からランプユニットUを、側方車両検知シンボルSを上に向けた状態で落とし込み、その後、反射ミラー1の周縁をミラーホルダ3の凹状の嵌合部3c内に嵌め込むだけで、ランプユニット受け部(爪部)5と反射ミラー1とで、ランプユニットUは挟み込んで固定される。従って、ミラーユニットMにランプユニットUを組み込む際、接着剤を利用することがないので、作業性が極めて良好である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、反射ミラーに警告等を表示させるようにした後写鏡に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、このような分野の技術として、米国特許第6264353号公報がある。この公報に記載された後写鏡は、反射ミラー自体に方向指示を表示させるためのモジュール(ランプユニット)を備えている。このモジュール内には、V字状に配列されたLEDが収容され、モジュールに形成されたタブは、反射ミラーを保持するためのミラーホルダのスナップリテーナに爪係合によって引っ掛けられている。これによって、モジュールは、ミラーホルダにしっかり固定され、モジュールに設けられたレンズを反射ミラーから離間させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第6264353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ランプユニットは、タブとスナップリテーナとの協働によってミラーホルダに固定させる必要があるので、ミラーホルダに対してランプユニットを位置決めしながら嵌め込む作業が必要になり、作業性が悪いといった問題点がある。
【0005】
本発明は、組立て作業性の向上を図るようにした後写鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、反射ミラーと、反射ミラーの裏面を内面側で覆うように反射ミラーに取り付けられるミラーホルダと、を有するミラーユニットと、
ハウジング内に発光部を有するランプユニットと、を備えた後写鏡において、
ミラーホルダには、ランプユニットのハウジングをミラーホルダの内面側から落とし込むための開口部と、開口部の近傍に配置されたランプユニット受け部と、が設けられ、
ランプユニット受け部と反射ミラーとでランプユニットは挟み込んで固定され、
ランプユニットの光出射側には、ミラーホルダによって反射ミラーの裏面に表面が押し当てられるクッション部が設けられ、クッション部の表面は、粘着剤を有していないことを特徴とする。
【0007】
この後写鏡において、ミラーホルダには、ランプユニットのハウジングをミラーホルダの内面側から落とし込むための開口部と、開口部の近傍に配置されたランプユニット受け部と、が設けられ、ランプユニット受け部と反射ミラーとで、ランプユニットは挟み込んで固定されるので、組立て作業の際、ミラーホルダに設けられた開口部内に、ミラーホルダの内面側からランプユニットを落とし込む作業だけで良く、作業性が極めて良好である。そして、クッション部の表面に粘着剤を有していないので、粘着剤の剥離紙を剥がしたり、粘着剤によってランプユニットが手に貼り付いたりするような事態が起こらず、組立て作業性が更に向上することになる。さらには、反射ミラーにランプユニットが貼り付かないので、検品後に、ミラーユニットに対するランプユニットの再度の組み付け作業が容易になる。
【0008】
また、反射ミラーには、ランプユニットからの光が透過するハーフミラー部が形成され、ランプユニットには、光が透過する表示部が設けられ、表示部を囲むようにしてクッション部が設けられ、クッション部は、反射ミラーのハーフミラー部の裏面に押し当てられていると好適である。
クッション部の表面に粘着剤が設けられている場合、粘着剤がハーフミラー部に貼り付くことになる。そして、粘着剤とハーフミラー部とは屈折率が異なっているので、光の干渉作用により、ハーフミラー部に粘着剤が写り込んで、ハーフミラー部を通して外から粘着剤が見えてしまう。従って、これにより、表面に粘着剤を設けないクッション部の適用は、前述した事態が起こらず、ハーフミラー部にクッション部を押し当てる場合に最適である。しかも、クッション部は、光が透過する表示部を囲んでいるので、遮光を確実にし、さらには、表示部に水が入らないような止水効果をもたせることができる。また、反射ミラーが曲面を有している場合には、クッション部はその曲面に追従させ易い。
【0009】
また、ランプユニットに形成されたフランジ部が当接するランプユニット受け部は、開口部の縁部であると好適である。
このようなランプユニット受け部は、極めて簡単な構成であるといえる。
【0010】
また、ランプユニットのハウジングの底面を支持するランプユニット受け部は、ミラーホルダの外面側で開口部から覗き出るように突出していると好適である。
このようなランプユニット受け部は、簡単な構成であるといえる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、組立て作業性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る後写鏡に適用されるミラーユニットの一実施形態を示す斜視図である。
【図2】ミラーユニットの要部拡大断面図である。
【図3】ミラーユニットの他の例を示す要部拡大断面図である。
【図4】ミラーユニットの更に他の例を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る後写鏡の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0014】
図1及び図2に示すように、車両用ドアミラーは、後方車両を視認するための反射ミラー1を有し、この反射ミラー1は、カップ状のハウジングの開口を塞ぐように配置され、ハウジング内には、反射ミラー1を可動させるための機構が収容されている。反射ミラー1は、透明なガラス2の裏面に反射膜Rが蒸着されたものである。また、反射ミラー1は、樹脂性のミラーホルダ3によって裏面が覆われると共に、このミラーホルダ3の周縁には、反射ミラー1の周縁を嵌め込むための凹状の嵌合部3cが形成されている。そして、反射ミラー1とミラーホルダ3とでミラーユニットMが構成されている。
【0015】
更に、反射ミラー1の裏面には、リード線(不図示)が設けられたランプユニットUが配置され、このランプユニットU内には、光出射面に形成された側方車両検知シンボルSを照らすための第1のLED41と第2のLED42とが収容されている。各LED41,42は、回路基板50上に固定され、回路基板50は、ハウジング60内で固定されている。
【0016】
ランプユニットUのハウジング60の開口60aを塞ぐように、ハウジング60には光拡散板70が固定され、光拡散板70とハウジング60とで形成される空間内には各LED41,42が収容されている。また、光拡散板70の周縁は、ハウジング60の開口60a側に形成されたフランジ部60bの拡張部60cによって保持されている。光拡散板70の採用により、第1及び第2のLED41,42を、側方車両検知シンボルSに近づけるように配置させることができ、ハウジング60の薄型化を可能にする。
【0017】
更に、光拡散板70の表面には、ISO規格の側方車両検知シンボル(Side Object Detection symbols)Sが形成されたシート80が固着され、側方車両検知シンボルSは、光が透過できるように切り抜かれている。シート状のクッション部90の裏面は、シート80の表面に貼着され、クッション部90には、側方車両検知シンボルSを露出させるための開口90aが形成されている。なお、クッション部90の表面90bには粘着剤が設けられていない。
【0018】
このように、ランプユニットUは、ハウジング60と第1のLED41と第2のLED42と回路基板50と光拡散板70とシート80とクッション部90とにより構成されている。従って、光源をユニット化することで、組立て作業性が良好になる。
【0019】
更に、反射ミラー1の透明なガラス2の裏面には、ランプユニットUからの光を透過させるためのハーフミラー部Hが形成され、残りの領域には、反射膜Rが蒸着されている。そして、このハーフミラー部Hとクッション部90の開口90aとが対向し、クッション部90の表面90bは、反射ミラー1の裏面に押し当てられる。
【0020】
ミラーホルダ3には、ランプユニットUのハウジング60をミラーホルダ3の内面3a側から落とし込むための開口部4と、開口部4の近傍に配置されたランプユニット受け部5と、が設けられている。ランプユニット受け部5は、ミラーホルダ3の外面3b側で開口部4から覗き出るように突出した爪部であり、極めて簡単な構成になっている。そして、対向して配置された一対の爪部5によってランプユニットUのハウジング60の底面60dが支持される。
【0021】
このミラーユニットMを組立てる際、ミラーホルダ3に設けられた開口部4内に、ミラーホルダ3の内面3a側からランプユニットUを、側方車両検知シンボルSを上に向けた状態で落とし込み、その後、反射ミラー1の周縁をミラーホルダ3の凹状の嵌合部3c内に嵌め込むだけで、ランプユニット受け部(爪部)5と反射ミラー1とで、ランプユニットUは挟み込んで固定される。従って、ミラーユニットMにランプユニットUを組み込む際、接着剤を利用することがないので、作業性が極めて良好である。
【0022】
更に、クッション部90の表面90bに粘着剤を有していないので、粘着剤の剥離紙を剥がしたり、粘着剤によってランプユニットUが手に貼り付いたりするような事態が起こらず、組立て作業性が更に向上することになる。そして、反射ミラー1にランプユニットUが貼り付かないので、検品後に、ミラーユニットMに対するランプユニットUの再度の組み付け作業が容易になる。
【0023】
クッション部90の表面90bに粘着剤が設けられている場合、粘着剤がハーフミラー部Hに貼り付くことになる。そして、粘着剤とハーフミラー部Hとは屈折率が異なっているので、光の干渉作用により、ハーフミラー部Hに粘着剤が写り込んで、ハーフミラー部Hを通して外から粘着剤が見えてしまうが、表面90bに粘着剤を設けないクッション部90の適用は、図1の二点鎖線で示されるように、クッション部90をハーフミラー部Hの裏面に押しつけた状態でも、クッション部90の写り込みが極めて少ない。
【0024】
特に、クッション部90の材質は、EPDMが好ましく、黒色又はグレー色が写り込み低減効果を発揮する。そして、ハーフミラー部Hの光透過率は、クッション部90が透けないようにするために、3〜30%が好ましい。
【0025】
しかも、クッション部90は、光が透過する側方車両検知シンボルSを囲んでいるので、遮光を確実にし、さらには、側方車両検知シンボルSに水が入らないような止水効果をもたせることができる。また、反射ミラーが曲面を有している場合には、クッション部90はその曲面に追従させ易い。また、クッション部90が曲面に追従するため、曲率が異なる反射ミラーを利用する場合であっても、同一のランプユニットを利用することができる。
【0026】
本発明は、前述した実施形態に限定されないことは言うまでもない。
【0027】
図3に示すように、他のミラーユニットM1において、ランプユニット受け部5Aは、ランプユニットUに形成されたフランジ部60bが当接する開口部4の縁部であってもよい。
【0028】
図4に示すように、他のミラーユニットM2において、側方車両検知シンボルSは、反射膜Rを透明なガラス2からブラスト処理又はレーザエッチング処理によって剥離させることで反射ミラー1の裏面に形成されても良い。
【0029】
本発明に係る後写鏡は、インナーミラーにも適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1…反射ミラー、3…ミラーホルダ、3a…ミラーホルダの内面、4…開口部、5…爪部(ランプユニット受け部)、5A…開口部の周縁(ランプユニット受け部)、60…ハウジング、60b…フランジ、60d…ハウジングの底面、90…クッション部、90b…クッション部の表面、M,M1,M2…ミラーユニット、U…ランプユニット、H…ハーフミラー部、S…側方車両検知シンボル(表示部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射ミラーと、前記反射ミラーの裏面を内面側で覆うように前記反射ミラーに取り付けられるミラーホルダと、を有するミラーユニットと、
ハウジング内に発光部を有するランプユニットと、を備えた後写鏡において、
前記ミラーホルダには、前記ランプユニットの前記ハウジングを前記ミラーホルダの前記内面側から落とし込むための開口部と、前記開口部の近傍に配置されたランプユニット受け部と、が設けられ、
前記ランプユニット受け部と前記反射ミラーとで前記ランプユニットは挟み込んで固定され、
前記ランプユニットの光出射側には、前記ミラーホルダによって前記反射ミラーの裏面に表面が押し当てられるクッション部が設けられ、前記クッション部の前記表面は、粘着剤を有していないことを特徴とする後写鏡。
【請求項2】
前記反射ミラーには、前記ランプユニットからの光が透過するハーフミラー部が形成され、前記ランプユニットには、光が透過する表示部が設けられ、前記表示部を囲むようにして前記クッション部が設けられ、前記クッション部は、前記反射ミラーの前記ハーフミラー部の裏面に押し当てられていることを特徴とする請求項1記載の後写鏡。
【請求項3】
前記ランプユニットに形成されたフランジ部が当接する前記ランプユニット受け部は、前記開口部の縁部であることを特徴とする請求項1又は2記載の後写鏡。
【請求項4】
前記ランプユニットの前記ハウジングの底面を支持する前記ランプユニット受け部は、前記ミラーホルダの外面側で前記開口部から覗き出るように突出していることを特徴とする請求項1又は2記載の後写鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−188038(P2012−188038A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−54240(P2011−54240)
【出願日】平成23年3月11日(2011.3.11)
【出願人】(000148689)株式会社村上開明堂 (185)
【Fターム(参考)】