説明

後方視認支援システム

【課題】右左折時などに運転者が後方視認を容易にでき、接近車両の有無を運転者に警告可能な支援装置を提供する。
【解決手段】フェンダ部71に撮像方向を変更可能なカメラ2を固定する。カメラ2は後方を撮像し、撮像方向をモータ22の回動によって変更可能に設ける。蛇角センサ3が蛇角データを検出し、検出した蛇角に見合った分だけモータ22を回動させ、カメラ2による撮像方向を、直進時の後方側へと移動させる。一方、蛇角データが所定値以上の場合には、比較判断手段43が、カメラ2の撮像した現在画像データと直前画像データとを入力して、現在画像データに直前画像データよりも大きく撮像された接近部分があるか否かを判断する。比較判断手段43が、接近部分が有り、且つ、所定値以上の蛇角操作があった場合には、警告信号を出力し、スピーカ6等によって運転者に警告を促す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、運転者の右左折時の後方視界を確保し、自動車に於ける右左折時の安全性能を向上させる後方視認支援システムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車運転時には、運転者の認識している視野以外の死角が存在し、この死角に例えば他車両が存在した場合などに接触事故等を起こしてしまう。特に、自動車の右左折時、特に左折時には、車両左側後方から近付いてくるオートバイなどの巻き込み事故が多く発生する。
【0003】
このように、運転者の視界を良くするためにモニターカメラを用いた技術は、従来から多数有る。
【0004】
例えば、特許文献1がある。特許文献1は、「車載運転支援カメラ装置」であり、車載運転支援カメラ装置110の構成を示すブロック図である図7に示されるように、車両の前方左右にカメラユニット1Lと1Rとが取り付けられている。このカメラユニット1Lと1Rとは、カメラ制御部102によって制御され、前方または前方左右方向の画像信号を出力可能である。
【0005】
そして、カメラユニット1Lとカメラユニット1Rとは、各々カメラ制御部102によりカメラ動作と撮影方向が制御される。カメラ制御部102は、マイクロコンピュータ103に接続されており、マイクロコンピュータ103から送出される制御信号に基づいてカメラユニット1L、1Rを駆動制御する。カメラユニット1L、1Rで撮影された画像信号は、画像処理ユニット104の左右画像合成部106と障害物認識部105に送出される。そして、画像処理ユニット104によって画像処理された画像を表示装置120に表示させる。
【0006】
カメラユニット1Lおよび1Rは、図8に示すように、カメラ101aを備え、カメラ101aを回動駆動可能とする駆動軸101cによってカメラ101aの撮像方向を変更可能に回動させるモータ101bと接続されている。101dはカメラ取り付け台であり、カメラ101aを駆動軸101cに固定するための台である。カメラ101aを回動させるモータ101bは、ステッピングモータやエンコーダを備えたDCモータなど、回転角度を制御可能なモータによって構成されている。
【0007】
このカメラユニット1Lと1Rとは、ステアリング蛇角センサ122から送られる蛇角情報に基づいて行われるカメラ制御部102の制御によって、カメラユニット1L、1Rの撮影方向を指示され、該指示によりカメラユニット1L、1Rの撮影方向を変えることが可能である。
【0008】
従って、特許文献1では、前方を撮像しているカメラユニット1Lと1Rとを、カメラ制御部102がモータ101bを所望角度回転するように制御することで、カメラユニット1Lや1Rが撮像する方向を制御可能に構成されている。そして、撮像する方向は、ステアリング蛇角センサ122から送信される蛇角情報に基づいて制御可能となっている。
【0009】
このように、引用文献1では、前方を撮像しているカメラユニット1Lやカメラユニット1Rの撮像方向をハンドル操作した操舵角に合わせて変更可能であり、進入しようとしているコーナー、例えば左曲がりのコーナーであれば、運転者の視点より、より前方に位置している左右のカメラユニット1Lと1Rとによって進入するコーナーを撮像し、画像処理ユニット104による画像処理を経由して表示装置120に表示させる。運転者は表示装置120に表示された映像を視認することで、いち早くコーナー先の情報を取得可能にしている。
【0010】
尚、特許文献1では、マイクロコンピュータ103は、車速センサ121やカーナビゲーション装置123からもそれぞれ情報を取得してカメラユニット1L、1Rの撮像画像の取得の仕方を変更させて、それら撮像情報を表示装置120へ表示させて運転者へ伝達している。また、カメラユニット1L、1Rも、車両前方の左右両側だけでなく、車両後方の左右両側へ取り付け車両後方を撮像可能とし、車両を後退させる際の後方視認を容易にさせている。
【0011】
そして、図9に示すように、車両130の後部左右に、それぞれ後方に向けて取り付けられたカメラユニット2L、2Rは、各々車両130の左右端に取り付けられているため、その撮影画像は、その取付け位置の差の分だけ位置がずれた画像を撮影する。そこで、取付け位置の差により視差の生じた画像を比較解析して、後方の車両等の距離を算出することができる。これによって、ドライバーが車線変更する際などに、車両後方から接近してくる他の車両を認識して、車両が危険状態の場合は、警告などの注意喚起を行う等して事故回避させることが可能となっている。
【0012】
一方、車両周辺監視装置として特許文献2があった。
【0013】
特許文献2は、後方をカメラにより撮影し、カメラの撮影した画像に基づいて、車両周辺監視装置を搭載した車両の側方における他の車両の存在を推測することができるものである。
【0014】
特許文献2では車両周辺監視装置210が開示されており、図10および図11に示すように、車両の前方に、車両前方を撮像する前方カメラ222を備え、車両の後方には後方カメラ223を備える。
【0015】
また、これらカメラ222,223を制御するコントローラとして、カメラコントロール装置221を備える。カメラコントロール装置221は、CPU、MPU等の演算手段や半導体メモリ等を備えるコンピュータ装置であり、前方カメラ222および後方カメラ223の撮像をコントロール可能である。
【0016】
211は、ナビゲーション装置である。ナビゲーション装置211は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ等のコンピュータとしての機能を備えると共に、各種入出力装置を備え、且つ、表示装置217を備え、カメラコントロール装置221と通信可能に接続されている。
【0017】
そして、前方カメラ222および後方カメラ223は、それぞれカメラコントロール装置221によって撮像指示等のコントロールが行われ、前方カメラ222および後方カメラ223によって撮像された画像は、カメラコントロール装置221を経由してナビゲーション装置211に送信され、ナビゲーション装置211によって画像の処理等の種々の作業が行われ、撮像した画像やナビゲーション装置211によって処理された画像が表示装置217に表示される。前方カメラ222および後方カメラ223は、図11に表すように、前方撮影範囲226および後方撮影範囲227を撮像可能である。
【0018】
ナビゲーション装置211には位置検出手段212が接続されている。位置検出手段212は、GPS機能やジャイロセンサ、ビーコンセンサ、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ、ウィンカスイッチの動きを検出するウィンカセンサ等の各種センサによって、車両の現在位置、車速、車両の加速度、車両の向いている方位等を検出する。そして、前記ナビゲーション装置211は、位置検出手段212が検出した車両の現在位置、車速、車両の加速度、車両の向いている方位等に基づいて、ナビゲーション処理を実行可能である。
【0019】
更に、該ナビゲーション装置211にはセンサ信号取得処理装置214が接続されている。該センサ信号取得処理装置214は、CPU等の各手段を備えるコンピュータシステムである。
【0020】
センサ信号取得処理装置214には、自車225の走行速度を検出する車速センサ215、及び、運転者が操作するステアリングの舵角を検出するステアリングセンサ216が接続されている。センサ信号取得処理装置214は、車速センサ215及びステアリングセンサ216から取得した検出信号を処理してナビゲーション装置211に送信する
この車両周辺監視装置210は、機能の観点から、自車225の状況を取得する状況取得装置と、自車225の撮影する前方撮影装置として前方を撮影する前方カメラ222および後方を撮影する後方カメラ223と、自車225の側方についての案内を行う案内装置とを有している。そして、状況取得装置には、ナビゲーション装置211、位置検出手段212、地図情報データベース213、センサ信号取得処理装置214、車速センサ215及びステアリングセンサ216が含まれる。また、案内装置には、表示装置217及びスピーカ218が含まれる。
【0021】
そして、車両周辺監視装置210は、状況取得装置が取得した自車225の現在位置の属性に応じ、前方カメラ222及び後方カメラ223の撮影した画像に基づいて自車225の側方における他の車両232の存在を推測し、表示装置217又はスピーカ218に案内を行わせるようになっている。
【0022】
そして、車両周辺監視装置210では、図11に示すように、前方カメラ222および後方カメラ223がそれぞれ前方撮影範囲226および後方撮影範囲227自車225の側方における右側車線231Rは、前方撮影範囲226にも後方撮影範囲227にも含まれない側方死角範囲228に入ってしまう。
【0023】
そして、例えば自車225の側方を他の車両232が追い越していく場合には、まず後方カメラ223が他車両を撮像し、次いで自車225の側方に存在する死角範囲228を通過する際には後方カメラ223および前方カメラ222には撮像されず、死角範囲228を通り抜けて自車225の前方に出ると前方カメラ222によって再び撮像されることとなる。
【0024】
車両周辺監視装置210は、前記のように、他の車両232が後方から近づき自車225を追い越していく場合を例に取ると、後方カメラ223によって撮影され画像中に含まれる車両の認識を行う。この車両の認識は、ナンバープレートの画像を対象に画像マッチングを行って識別して車両の登録を行う。車両周辺監視装置210は、この車両の登録を後方カメラ223による認識処理を所定時間毎に繰り返して行う。
【0025】
同様に、車両周辺監視装置210は、車両位置の算出を、自車225から識別した他の車両232までの相対距離を、前記画像マッチングの対象としたナンバープレート等が画像中に占めるサイズよって測定する。
【0026】
この後方カメラ223に撮像された車両の登録は繰り返し行われると共に、自車225と登録された他の車両232との相対距離も測定されて記憶されるので、繰り返し行われる登録作業によって、再びこの登録作業を行う際に前回に測定した他の車両232との相対距離を比較することで登録されている他の車両232が自車225に近付いているか否かの判断を行い、自車に近付いているか否かが判断される。そして、繰り返して車両の登録作業が行われる中で、他の車両232が自車225に近付いている状態と判断されてから、同じ他の車両232が登録されなくなると、車両周辺監視装置210は、登録側方車両として登録し記憶する。
【0027】
尚、登録側方車両は、前方カメラ222により撮像された画像から、後方カメラ223の画像と同様に画像処理が行われて撮像している自車225の前方に位置する車両としての登録がなされた登録前方車両に、登録前方車両が存在した場合には、登録側方車両としての登録が解除される。これは、登録側方車両として登録されていた車両は自車225を追い越し前方へ抜けていったことによる。
【0028】
そして、車両周辺監視装置210では、図12に示す、自車225の側方に登録側方車両が存在する状態時に、例えば、右移動用のウィンカーを操作すると、ナビゲーション装置211がウィンカーONの状態となったことを検知して、登録側方車両の有無を判断し、登録側方車両ありの場合にはビープ音を出力して処理を終了する。また、図12とは異なり、登録側方車両が無い場合には、ナビゲーション装置211ではビープ音を出力せず、特に運転者への警告等は行わない。
【0029】
このように、特許文献2では、運転者が容易に認識出来ない車両側方の死角に移動してきた他の車両を検知して、ウィンカー操作の有無により、自車が死角に移動している他車両側へ移動しようとしたときに自動的にビープ音を鳴らす等して運転者に他車両が側方に存在することを知らせることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0030】
【特許文献1】特開2008−001179号公報
【特許文献2】特開2007−042039号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0031】
上記特許文献1では、カメラユニットを所望量回転させることで、コーナー等の情報を運転者の視認よりいち早く撮像して表示し、運転者に知らせることが可能となっている。しかしながら、運転者に対しては、いち早く得た画像を提供するだけであり、運転者が提供される画像を視認することが必須であり、これを行わないかぎり運転者にとっての利便性が無いという問題点を有した。
【0032】
また、車両の後方左右にカメラユニットを設け、両カメラユニットの撮像画像の視差から後方車両等と自車との距離とを算出することで、後方車両等との距離が近接しているときには警告等によって運転者に危険回避を行わせることが可能である。しかしながら、自車が直進から右折あるいは左折する際には、車両の速度は右折あるいは左折に伴い直進時に比べ充分に減速した低速状態であり、後方から近づくオートバイが直進している場合にはこれに対して高速度で移動している。この場合に、車両が直進時に対して大きく角度をもって位置したときに後方を撮像していても、高速で近付くオートバイは後方カメラの撮像範囲から外れてしまい、運転者へオートバイが近付いても巻き込み事故を未然に防止するべく警告等を発生することができないという問題点を有した。
【0033】
また、上記特許文献2は、自車の側方に位置する他車両を、後方を撮像する後方カメラと前方を撮像する前方カメラによって撮像した画像から、後方から前方へ、あるいは、前方から後方へと移動していくか否かを判断し、いずれかの場合であって、一方のカメラに撮像されて後、撮像されなくなってから再び撮像されて自車の前方あるいは後方に表れるまでは、自車の側方に位置すると識別することで、自車の側方となる運転者からの死角に車両が位置するかいなかを判断して運転者に警告を発することが可能である。しかしながら、自車の側方に他車両が存在しているか否かによる警告は可能であるが、右左折時などに後方から自車に近付いてくるオートバイがある場合などには、自車の側方に位置されるまで警報を出さないので、自車が右左折を行った瞬間に自車の側方に該オートバイが存在しない限り巻き込み事故を防止できないという問題点を有した。
【0034】
そこでこの発明は、上記問題点に鑑み、車両の右左折時に、直進時に対して大きく角度をもって進入した状態でも、後方から近付く車両等を識別して警告を発することが可能な後方視認支援システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0035】
この発明の後方視認支援システムは、車両側面前方に基部を固定し、該基部に対して所望量の回動が可能なモータを設け、該モータによって前記基部に対して回動可能であり車両の後方側を撮像する撮像部を設け、該撮像部が撮像した画像を出力可能なカメラと、前記カメラと接続され、前記カメラの前記撮像部に所定間隔毎に撮像させ、前記撮像部が撮像した画像を入力し、入力した画像を時刻に紐付けて画像データとして出力可能なカメラ制御手段と、前記カメラ制御手段と接続され、前記カメラ制御手段から入力した画像データを時刻毎に記憶可能な記憶手段と、車両の操舵装置に取付けられ、該操舵装置の蛇角を検出して蛇角データを出力する蛇角センサと、前記蛇角センサから出力される蛇角データを入力可能に接続され、入力する蛇角データがカメラ取り付け側への蛇角操作であった場合に、蛇角データに比例したモータ回動データを出力可能であり、入力した蛇角データが所定量以上であるか否かを判断し、所定量以上の場合には警告指示信号を出力可能な蛇角検出手段と、前記蛇角検出手段および前記カメラと通信可能に接続され、前記蛇角検出手段から入力した蛇角データに基づき、前記撮像部が撮像する方向を車両側方から離れる側へあるいはその逆側へずらすよう前記カメラのモータを回動させるモータ制御手段と、蛇角検出手段、および、前記記憶手段と接続され、前記記憶手段から少なくとも異なる2つの時刻に撮像した画像データを入力し、前記2つの画像データを比較し、古い時刻の画像データ中に新しい時刻の画像データより大きく表れる画像部分がある場合には接近している画像部分が有るかいなかを判断し、近接している画像部分が有り、蛇角検出手段から警告指示信号によって所定量以上の蛇角があると判断した場合には、警告信号を出力する比較判断手段と、を備える。
【0036】
また、この発明では、前記カメラは、車両左右それぞれに設置され、蛇角検出手段は、入力する蛇角データの表す回転方向側に設置された前記カメラのモータを制御する後方視認支援システムを提供する。
【0037】
更にまた、前記記憶手段および前記蛇角検出手段と通信可能に接続され、前記記憶手段に記憶された画像を表示させる画像データを出力可能な画像処理手段を備え、前記蛇角検出手段は、前記蛇角センサおよび前記画像処理手段と通信可能に接続され、前記蛇角センサから出力される蛇角データを入力可能であり、入力する蛇角データがカメラ取り付け側への蛇角操作であった場合に、蛇角データに比例したモータ回動データを出力可能であり、且つ、入力する蛇角データが予め定める角度以上の場合には、前記蛇角操作側のカメラの画像を表示するよう指示する表示画像指示信号を画像処理手段へ出力する後方視認支援システムを提供する。
【発明の効果】
【0038】
従って、この発明によれば、蛇角センサによって検出された蛇角データが、カメラを固定した側への蛇角操作であり、且つ、所定以上の蛇角操作となった場合に、カメラ制御手段が、該蛇角に見合った分モータを回転させて撮像部に車両後方側を撮像させ、撮像部は車両側方から離れる側の車両後方を撮像するので、操舵によって車両が向きを変えても、それまでに撮像していた方向を撮像可能となる。そして、このように撮像した画像とそれ以前に撮像した画像とを比較し、車両に近づく画像部分が存在している場合には、警告信号を出力するので、該信号によって、例えばスピーカから警告を発生させることで運転手にハンドル操作した側に近付いてくる物体があることを警告でき、右左折時に発生する巻き込み事故のような衝突事故を防止可能である。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】実施の形態を示すブロック図
【図2】実施の形態を示す平面説明図
【図3】実施の形態の部品を示す説明図
【図4】左折ターン開始時を示す説明図
【図5】通常直進時を示す説明図
【図6】深く左折ターンした状態を示す説明図
【図7】特許文献1を示すブロック図
【図8】特許文献1を示す部品説明図
【図9】特許文献1を示す平面説明図
【図10】特許文献2を示すブロック図
【図11】特許文献2を示す平面説明図
【図12】特許文献2を示す平面説明図
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下に、実施の形態を図面に基づき説明する。
【0041】
1は、この発明にかかる後方視認支援システムである。
【0042】
後方視認支援システム1は、図1に示すように、カメラ2を備え、更に自動車のハンドル切れ角を検出可能な蛇角センサ3を備え、カメラ2および蛇角センサ3に接続してこれらの制御を行う制御装置4を備える。そして、後方視認支援システム1は、制御装置4から出力される画像を表示可能な表示装置5を備え、更に制御装置4から出力される音声情報を出力するスピーカ6を備える。
【0043】
カメラ2は、図2に表すように、自動車7のフロントフェンダ部71に取付けられ、自動車7の後方を撮像可能な向きに設置される。自動車7は乗用自動車であり、カメラ2は、自動車7の運転席横よりも前方に位置されることで、運転者が視認出来る範囲を含めて、自動車7の後方を撮像可能となる。また、カメラ2は、自動車7に備えられているドア部分に取付けられているドアミラー72よりも下側となっているので、ドアミラー72によって、後方を撮像する際に、ドアミラー72が死角とならないように取付けられるのが好ましい。
【0044】
カメラ2は、図3に表すように、自動車7のフロントフェンダ部71に固定する基部21を備える。また、カメラ2は、基部21に固定され、制御されることで所定量の回動が可能なモータ22と、モータ22によって回動される撮像部23を備える。カメラ2は、基部21、モータ22、撮像部23が、風雨に晒されることになるので、これに耐えられるようにカバーによって保護したり塗装が施される等の対策がなされているが、この実施の形態ではこれらの対策を省いた状態で説明する。また、カメラ2は、自動車7の左右両側に備えるが、左折時の巻き込み事故に対応するためにのみ後方視認支援システム1を用いる場合には、左側のフロントフェンダ部71にのみ設けてもよい。
【0045】
基部21は、この実施の形態では、L字状に折曲された形状をなしており、略直角に折曲された一方が取付部21aを形成し、取付部21aと略直角に折曲された他方の載置部21bが略水平な状態となるようにフロントフェンダ部71へ固定される。このように取付けられた基部21は、載置部21bがフロントフェンダ部71から外方へ向けて突出するように固定されている。そして、載置部21bの下部にはモータ22が固定され、載置部21bの上部には撮像部23を設置している。
【0046】
モータ22は、回転軸(図示せず)を指示される所望量回動可能なパルスモータであるが、エンコーダを備えたDCモータやステッピングモータなどでもよく、指示される所定量の回転が可能であれば良い。モータ22の回転軸(図示せず)は載置部21bを貫通して回動自在に上方へ突出されている。この回動軸(図示せず)は、載置部21bの上部に設置された撮像部23に固定され、撮像部23を回動可能に固定されている。
【0047】
撮像部23は、カバー23aによって撮像するためのレンズ部23bその他の機能部分が覆われており、レンズ部23bが撮像する際の光路が確保されるように開口23cを備える。そして、レンズ部23bは自動車7の後方に向けられている。従って、図3は、自動車7の左側のフェンダ部71に取付けられている状態を示している。レンズ部23bは、内部に撮像素子等を備えている。レンズ部23bは、モータ22の回動軸(図示せず)に固定されており、モータの回転に伴って、左右方向へ回動可能である。尚、カメラ2は、制御装置4とケーブル8によって電気的に接続されており、ケーブル8によってカメラ2を動作させるための電源の確保、および、制御信号の通信が可能であり、撮像クロック信号入力することで撮像し画像を出力する。そして、カメラ2が撮像する範囲は、図2に示すように、ドアミラー72の撮像角βと同じような撮像角αの範囲を撮像可能であるが、ドアミラー72よりも車両前方に取付けられているので、後方撮像範囲はドアミラー72よりも広くなる。
【0048】
蛇角センサ3は、自動車7の向きを変えるハンドル操作による操作角度である蛇角を検出するセンサであり、検出した蛇角は、蛇角データとして制御装置4へ出力される。従って、この実施の形態では、蛇角センサ3はタイロッドに取付けてタイロッドの回転角度を検出することで蛇角を検出するが、蛇角の検出が行えれば、自動車7の室内に備わるハンドルから前輪までの操舵装置のどの部分に取付けて蛇角検出を行っても良い。蛇角センサ3は、所定時間毎に蛇角の検出を行い、その都度該蛇角を蛇角データとして出力する。蛇角センサ3は、従来から使用されているセンサなので、センサ機能の詳説は省略する。
【0049】
制御装置4は、自動車7の室内等の適宜位置に設置され、エンジン回り等から発生する電気ノイズの影響を受けないように電気回路が設けられ、また電気ノイズから遮断するような構造であるのが望ましく、適宜設計される。カメラ2を制御して撮像させ、且つ、蛇角センサ3からの蛇角データに基づいてカメラ2のモータ22を回動させて撮像部23の撮像する方向を設定する等の制御を行うが、後述する制御装置4による制御方法と共に詳細を説明する。
【0050】
表示装置5は、液晶ディスプレイからなり、自動車7のダッシュボード部やインストルメントパネル部など、運転者が視認しやすい適宜位置に設置され、入力する画像を表示可能である。表示装置5は、図1に示すように、制御装置4と電気的に接続されており、制御装置4から送信される画像を表示する。尚、表示装置5は、例えばカーナビゲーションシステムが備える液晶ディスプレイであっても良く、この場合には、制御装置4からの指示によりカーナビゲーションシステムの動作を制御して後方視認支援システム1の画像をディスプレイの一部あるいは全体に表示させるように構成すれば足りる。
【0051】
スピーカ6は、表示装置5と同様に制御装置4と通信可能に接続され、運転者に音による警報等を伝達可能な車内位置に設置される。この実施の形態では、スピーカ6は、表示装置5と一体に設けてある。しかしながら、スピーカ6は、自動車7に標準的に備えられているオーディオ装置(図示せず)に付属するスピーカを用いるように接続されていてもよい。
【0052】
以下に、制御装置4の詳細を説明しながら、後方視認支援システム1の動作を説明する。
【0053】
制御装置4は、図1に表すように、カメラ2に撮像させ、撮像した画像の処理を行うカメラ制御手段41を備え、カメラ制御手段41の出力した画像を記憶可能な記憶手段42を備える。
【0054】
カメラ制御手段41は、予め定められた時間毎に撮像クロック信号をカメラ2へ出力可能であり、カメラ2に該撮像クロック信号を入力させて撮像させる。撮像クロック信号は、例えば約33[msec]毎等の所定間隔で出力され、表示装置5の表示能力や運転者の視認能力などを勘案して決定すればよい。また、カメラ制御手段41は、カメラ2の撮像部23から送信される画像を入力し、撮像時刻と紐付けて出力する。この発明では、カメラ制御手段41は、制御装置4に備えているが、カメラ2に備えていても良い。
【0055】
記憶手段42は、カメラ制御手段41から出力された画像を入力し、撮像時刻と紐付けて記憶可能である。従って、この実施例では、自動車7の左右両フロントフェンダ部71にカメラ2を備えるので、両カメラ2が撮像した画像を記憶する。また、記憶した画像は、指示により出力可能である。記憶手段42は、専用メモリICやこれと同等の機能をもつメモリ・サブシステムなどのフレームメモリを少なくとも2フレーム分備えていれば、何れかのカメラ2で撮像した撮像時刻の異なる2つのフレームデータを記憶可能なので機能するが、この実施の形態では、撮像した画像を表示装置5に常に表示させるので、左右それぞれに少なくとも2フレーム分のメモリを備えている。また、例えば事故後に事故時の状態を検証する場合やドライブ経路を画像記憶しておくためなどに備えて、画像データを記憶する画像記録用のハードディスクを備えてもよい。
【0056】
更に制御装置4は、比較判断手段43を備える。比較判断手段43は、記憶手段42から画像データを入力可能に接続される。
【0057】
比較判断手段43は、左右のカメラ2によって撮像された画像データをそれぞれ少なくとも2フレームデータ分ずつ記憶可能な画像メモリを備え、カメラ制御手段41から最新の撮像データである現在画像データと、現在画像データに最も近い時刻の直前画像データとを記憶手段42から入力する。そして、比較判断手段43は、該メモリに記憶した撮像時刻の異なる2フレームデータの画像を比較する。詳細には、2フレームデータの画像データの画像中に表れる、例えばオートバイの輪郭を画像部分として認識し、認識した輪郭の大きさを比較し、比較対象部分が直前画像データに対して現在画像データの方が大きい場合には接近していると判断し、逆に、直前画像データの比較対象部分の方が大きい場合には遠ざかっていると判断する。そして、別途入力する蛇角データ(詳細は後述する。)によって警告指示の出力が必要であることを指示する警告指示信号を入力して指示され、且つ、比較対象部分が接近していると判断した場合には、警告信号を出力する。
【0058】
比較判断手段43では、警告が必要な場合に備え、上記のような2フレームデータの比較による接近物体の有無の判断を常に行う。
【0059】
この実施形態では、カメラ2を左右に設けたので、左右のカメラ2によって撮像した画像データから自動車7に近設している物体があるか否かの判断を瞬時に行うので、左右それぞれのカメラ2用にフレームデータを記憶可能なメモリを用意したが、例えば、左折時のみの後方からの近設物体があるか否かを判断する場合には、少なくとも2フレームデータ分のメモリを備えていれば足りる。
【0060】
比較判断手段43による2フレームデータの比較対象部分の抽出は、例えば、予め定める自動車形状や自転車、オートバイの形状データとフレームデータ中の連続する輪郭データとを比較させるなどの手法をとれば良く、これらの手法は、デジタルカメラ技術やデジタルビデオ技術で用いられている人の顔を認識する技術などの輪郭認識の技術を用いるが、他の方法によっても良く、二つのフレームデータ中に存在する物体等の画像から、該物体等の画像が、自動車7に接近しているか否かを判断可能であれば、従来から用いられているどの様な技術を用いてもよい。
【0061】
更に、制御装置4には、蛇角検出手段44を備える。蛇角検出手段44は、蛇角センサ3と接続され、蛇角センサ3から蛇角データを入力し、入力した蛇角データが所定量以上であるか否かを判断し、所定量以上の場合には、警告指示信号を比較判断手段43へ出力可能である。この予め定める警告指示信号の出力判断を行う所定量は、比較判断手段43による警告信号を発信させる基準となるので、交差点に進入する際に深くハンドル操作した時の蛇角より小さい蛇角に設定しておく方が安全ではあるが、例えば、蛇角が1°にも満たないのに比較判断手段43が警報信号を出してスピーカ6から警報音を出すようでは、運転中に隣接車線を走っている車が接近しているだけで警告を促すこととなってしまうので、実験等によって検定される適宜値とすればよい。尚、蛇角検出手段44は、この実施の形態では、制御装置4に備えたが、蛇角センサ3自体に蛇角検出手段44の機能を備えて蛇角センサ3と共にタイロッドに取付けられてもよい。更に、蛇角検出手段44は、所定量以上の蛇角を表す蛇角データを入力した場合に、比較判断手段43へ警告指示信号を出力するが、警告指示信号は、蛇角データそのものを出力するようにしても良い。この場合には、比較判断手段43は、入力される蛇角データが警告指示信号であり、蛇角データによって表される蛇角が予め定める所定値以上であるか否かを判断して警告信号を出力する。
【0062】
また、蛇角検出手段44は、入力された蛇角データに基づいて、蛇角データの表す回転方向と、モータを回転させる回転角度を表す角度データとを表すモータ回動データを出力可能である。なお、モータ回動データは、蛇角検出手段44が入力した蛇角データをそのままモータ回動データとして出力してもよい。
【0063】
更に、蛇角検出手段44は、警告を発動するか否かの判断基準となる蛇角を検出するのとは別に、表示装置5に特定のカメラ2の撮像した画像を表示させるか否かを判断するための表示画像指示信号を出力可能である。この表示画像指示信号は、入力する蛇角データが、予め定める所定量以上の場合に出力可能である。表示画像指示信号を出力する蛇角は、警告信号を発生する時の蛇角よりも小さな蛇角であり、ハンドル操作下側のカメラ2が撮像した画像を表示装置5へ表示させるための指示信号である。この表示画像指示信号には、操舵された側のカメラが撮像した画像を表示可能とさせる指示信号を含んでいる。
【0064】
45は、モータ制御手段である。モータ制御手段45は、カメラ2のモータ22と通信可能に接続されると共に蛇角検出手段44と通信可能に接続される。そして、モータ制御手段45は、モータ22の回動を制御可能であり、蛇角検出手段44から蛇角センサ3が出力した蛇角データに基づき生成されたモータ回動データを入力する。そして、入力したモータ回動データに比例させてモータ22を回動させる。この時の回動は、ハンドル操作された蛇角の回転方向とは異なる方向へモータ22を回動させ、撮像部23に車側から離れる側を撮像させる。
【0065】
モータ制御手段45は、入力する蛇角データの回転方向側のフロントフェンダ部71に備えるカメラ2のモータ22を回転制御可能であり、左にハンドルを回転させた場合には、左側のフロントフェンダ部71に備えるカメラ2のモータ22を回転させ、右にハンドルを切った場合には、右側のフロントフェンダ部71に備えるカメラ2のモータ22を回転させる。
【0066】
即ち、モータ制御手段45は、図4に示すように、車両が左ターンした場合には、左側のフロントフェンダ部71に備えるカメラ2が図示するような車両左後方をより広範囲に撮像するようにモータ22を回転させるのである。
【0067】
また、左に切ったハンドル操作を戻すときには、ハンドル操作が直進状態の中央位置に戻るまで、左側のフロントフェンダ部71に備えるカメラ2を制御する。
【0068】
右側のフロントフェンダ部71に備えたカメラ2のモータ22も、左側のカメラ2と同様に動作される。
【0069】
尚、モータ制御手段45は、自動車7の直進状態から僅かにハンドルを切っただけでカメラ2が撮像する方向を変更させたのでは、路面が斜めになって僅かにハンドル操作した際にも撮像画像が変化してしまうので好ましくなく、入力された蛇角データが初期設定された最小動作角度以上か否かを判断し、初期設定値以上の場合に動作させるのが望ましい。この初期設定値による動作角度の判断機能は、この実施の形態ではモータ制御手段45に備えさせたが、蛇角検出手段44に備えさせ、蛇角検出手段44が初期設定された最小動作角度以上であった場合に、モータ制御手段45へ蛇角データを出力するようにしても良い。
【0070】
また、制御装置4には、画像合成手段46を備える。画像合成手段46は、画像処理手段であり、記憶手段42と通信可能に接続されると共に、表示装置5と通信可能に接続され、左右のカメラ2で撮像した画像データを入力して表示装置5で表示可能な1枚のフレームデータとなるように変換して出力可能であり、カメラ2が撮像した画像を常に表示装置5へ表示させる。
【0071】
画像合成手段46は、この実施の形態では、運転者に車両の後方の状態を視認させるので、表示装置5に表示させる画像を作るために必要であるが、右左折時に運転者に後方から近付くオートバイ等が有ることを音のみによって警告する場合には必要なく設けずともよい。また、画像合成手段46は、この実施の形態では、制御装置4に設けたが、表示装置5に内蔵されていても良く、この場合には、制御装置4の記憶手段42から左右両カメラ2によって撮像された画像データを出力する。
【0072】
更に、画像合成手段46は、蛇角検出手段44と通信可能に接続される。そして、画像合成手段46は、蛇角検出手段44が検出した表示画像指示信号を入力する。そして、合成手段46は、表示画像指示信号を入力すると、表示画像指示信号の指示する側のカメラ2が撮像した画像のみを表示手段5へ表示させる画像データを生成し、表示手段5へ出力可能である。
【0073】
以下に、実施の形態の作用を説明する。
【0074】
自動車7の左右に設置されたカメラでは、それぞれが撮像して画像を出力している。この出力制御は、カメラ制御手段41によって所定間隔毎にフレームデータとして出力され、該データは撮像した撮像時刻に紐付けられて画像データとして記憶手段42に記憶される。この時記憶される画像データは、撮像したカメラ2を特定出来るようにも紐付けられている。
【0075】
図5は、通常の直進走行時の状態を示しており、カメラ2は、何れもドアミラー72同様に通常の車両後方を撮像している。
【0076】
図5に示す通常走行時には、記憶手段42に記憶された左右両側のカメラ2によって撮像されたフレームデータが画像合成手段46により読み出され、画像合成手段46が表示画像指示信号によって特定の側のカメラ2が撮像した画像を表示するよう指示されるまで、左右両カメラ2によって撮像されたフレームデータを左右に並べた画像に合成して表示装置5が表示可能な画像データを生成し出力する。表示装置5では、該画像データを入力して表示することとなる。
【0077】
図5は、通常の直進走行時の状態を示しており、カメラ2は、何れもドアミラー72同様に通常の車両後方を撮像している。
【0078】
そして、図5に示す直進走行時から、車両を左折させるためにハンドル操作を始めた段階が図4に示す左折ターン開始時である。図4に示す左折ターン開始時では、ハンドル操作がなされ、これに伴い蛇角センサ3がこの蛇角を検出し、蛇角データとして出力する。この時出力された蛇角データは、左側への蛇角操作であり、この方向と操作角度が蛇角データとして出力される。出力された蛇角データは、蛇角検出手段44へ出力される。
【0079】
蛇角検出手段44では、入力した蛇角データをモータ制御手段45へ出力すると共に、警告指示信号の出力が必要な所定量の蛇角であるか否かを判断し、所定量以上の蛇角であった場合には、比較判断手段43へ、警告指示信号を出力する。
【0080】
更に、蛇角検出手段44は、表示画像指示信号の出力が必要な蛇角であるか否かを入力した蛇角データから判断し、所定量の蛇角以上である場合に、表示画像指示信号を画像合成手段46へ出力する。この表示画像指示信号には、左右何れの側のカメラ2が撮像した画像データを表示させるかを指示するデータであり、画像合成手段46に出力される。
【0081】
蛇角検出手段44から、蛇角データを入力したモータ制御手段45では、蛇角データが最小動作角度以上の場合には、蛇角データの示す操舵方向側のモータ22を、蛇角データの示す角度だけ、蛇角データの示す操舵の方向と異なる方向へ回転するように制御信号を出力する。この制御信号を受領したモータ22では、該指示に従ってモータ軸を回動させることとなる。すると、該モータ22によって撮像部23が回動されることとなる。この回動は、図4に示すように、操舵によりやや斜めとなった自動車7の後方撮像範囲を左側へ移動させて後方の映像を広げる方向へ回動される。撮像部23では、回動された状態で撮像して画像を出力するので、カメラ2が撮像する後方の画像も同様に広範囲となる。
【0082】
蛇角センサ3が検知する蛇角データは、図4に示す状態では、蛇角検出手段44が警告指示信号を出力する蛇角まで達していないので、警告指示信号は出力されない。しかしながら、表示画像指示信号により操舵された側のカメラ2が撮像した画像を画像合成手段46が表示装置5へ表示させるように指示する角度までは達しているので、蛇角検出手段44では、表示画像指示信号を画像合成手段46へ表示画像指示信号を出力する。
【0083】
画像合成手段46では、該表示画像指示信号を入力し、表示画像指示信号に含まれる側のカメラ2によって撮像された画像のフレームデータを記憶手段42から読み出し、該フレームデータが表示装置5へ表示されるように変換し、表示装置5へ出力する。表示装置5では、該変換された画像データを入力し表示する。
【0084】
この時に表示装置5で表示される画像は、図4に示すように、車両の左側を広く撮像した画像を表示することとなり、運転者はドアミラー72によって得る車両後方の情報よりも広い範囲の情報を得ることができより安全に車両の方向を変更出来る。
【0085】
図4に示す状態からハンドル操作を戻し再び図5に示す状態とする時には、蛇角センサ3の検出する蛇角が徐々に浅くなっていくので、蛇角検出手段44が検出する蛇角も浅くなり、やがて、画像合成手段46へ出力していた表示画像指示信号の出力も終了される。これに伴い、画像合成手段46も、左右両カメラ2によって撮像された画像を合成処理して表示手段5へ出力することとなる。
【0086】
一方、図4に示す状態から更に深くハンドル操作して蛇角が大きくなる左折時などには、図6に示すように、直進していたときに比べて自動車7の角度が更に大きくなる。
【0087】
この場合には、蛇角センサ3は更に深く回転された蛇角を検出して出力する。
【0088】
この時後方視認支援システム1では、蛇角センサ3から出力された蛇角に基づいて、図4に示した場合と同様の動作が行われ、図6に示すように、左側のフロントフェンダ部71に設置されたカメラ2によって撮像される範囲は、図4に示す状態よりも更に広くなり、直進状態時と同じ後方視界を撮像している。また、比較判断手段43では、図4に示した状態時とは異なり、蛇角が警告指示信号の出力を要するまで大きくなったと判断し、警告指示信号を比較判断手段43へ出力する。
【0089】
比較判断手段43では、記憶手段42から直近時刻の2つのフレームデータを入力しており、接近物体の有無の判断を常にしているので、警告指示信号を入力した際に、近接物体有りと判断していれば、警告信号をスピーカ6へ出力する。
【0090】
スピーカ6では、警報信号を入力することで、所定の警報音、例えば、「接近車あり」などの音声による警報を運転者に与える。この音声データは、比較判断手段43が出力しても良く、あるいは、比較判断手段43からは指示信号のみを出力し、スピーカ6と比較判断手段43との間に別途設ける音声案内手段(図示せず)によって増幅してスピーカ6から発生するようにしても良い。音声案内手段(図示せず)は、カーナビゲーションシステムに備えるような従来から行われている手法によれば足りる。
【0091】
なお、この実施の形態では、比較判断手段43から出力する警告信号は、スピーカ6から音声による案内を出力するようにしたが、該警告信号を画像合成手段46へも出力し、画像合成手段46が、警告信号を入力したことで警告を与えるような派手な色などによる表示画像を画像合成手段46に備える記憶領域などに予め用意しておき、音声案内と合わせて表示手段5へ表示させるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0092】
この発明は、車両後方の視認性を向上させると共に左折時などの巻き込み事故を未然に防止できるので、乗用あるいは貨物運搬用の車両に適用することができる。
【符号の説明】
【0093】
1 後方視認支援システム
2 カメラ
21 基部
21a 取付部
21b 載置部
22 モータ
23 撮像部
23a カバー
23b レンズ部
23c 開口
3 蛇角センサ
4 制御装置
41 カメラ制御手段
42 記憶手段
43 比較判断手段
44 蛇角検出手段
45 モータ制御手段
46 画像合成手段
5 表示装置
6 スピーカ
7 自動車
71 フェンダ部
72 ドアミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両側面前方に基部を固定し、該基部に対して所望量の回動が可能なモータを設け、該モータによって前記基部に対して回動可能であり車両の後方側を撮像する撮像部を設け、該撮像部が撮像した画像を出力可能なカメラと、
前記カメラと接続され、前記カメラの前記撮像部に所定間隔毎に撮像させ、前記撮像部が撮像した画像を入力し、入力した画像を時刻に紐付けて画像データとして出力可能なカメラ制御手段と、
前記カメラ制御手段と接続され、前記カメラ制御手段から入力した画像データを時刻毎に記憶可能な記憶手段と、
車両の操舵装置に取付けられ、該操舵装置の蛇角を検出して蛇角データを出力する蛇角センサと、
前記蛇角センサから出力される蛇角データを入力可能に接続され、入力する蛇角データがカメラ取り付け側への蛇角操作であった場合に、蛇角データに比例したモータ回動データを出力可能であり、入力した蛇角データが所定量以上であるか否かを判断し、所定量以上の場合には警告指示信号を出力可能な蛇角検出手段と、
前記蛇角検出手段および前記カメラと通信可能に接続され、前記蛇角検出手段から入力した蛇角データに基づき、前記撮像部が撮像する方向を車両側方から離れる側へあるいはその逆側へずらすよう前記カメラのモータを回動させるモータ制御手段と、
蛇角検出手段、および、前記記憶手段と接続され、前記記憶手段から少なくとも異なる2つの時刻に撮像した画像データを入力し、前記2つの画像データを比較し、古い時刻の画像データ中に新しい時刻の画像データより大きく表れる画像部分がある場合には接近している画像部分が有るかいなかを判断し、近接している画像部分が有り、蛇角検出手段から警告指示信号によって所定量以上の蛇角がると判断した場合には、警告信号を出力する比較判断手段と、
を備える後方視認支援システム。
【請求項2】
前記カメラは、車両左右それぞれに設置され、
蛇角検出手段は、入力する蛇角データの表す回転方向側に設置された前記カメラのモータを制御する請求項1の後方視認支援システム。
【請求項3】
前記後方視認支援システムには、前記記憶手段および前記蛇角検出手段と通信可能に接続され、前記記憶手段に記憶された画像を表示させる画像データを出力可能な画像処理手段を備え、
前記蛇角検出手段は、前記蛇角センサおよび前記画像処理手段と通信可能に接続され、前記蛇角センサから出力される蛇角データを入力可能であり、入力する蛇角データがカメラ取り付け側への蛇角操作であった場合に、蛇角データに比例したモータ回動データを出力可能であり、且つ、入力する蛇角データが予め定める角度以上の場合には、前記蛇角操作側のカメラの画像を表示するよう指示する表示画像指示信号を画像処理手段へ出力する請求項1または請求項2の後方視認支援システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−3117(P2011−3117A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−147314(P2009−147314)
【出願日】平成21年6月22日(2009.6.22)
【出願人】(000108188)セントラル自動車株式会社 (66)
【Fターム(参考)】