説明

徐放型穿孔錠剤

本発明は、薬剤学的活性成分の制御放出のための錠剤30、40、50、60、70、80に関する。本発明の錠剤は、即時放出または遅延放出するために、ドーナツ型錠剤(Donut−shaped tablet、DST)30、50、70、80および多層ドーナツ型錠剤(Multi−layer donut−sahped table、MLDST)40、60で被覆した形態である。また、徐放型ドーナツ型錠剤および多層ドーナツ型錠剤は、錠剤剤形に含まれた賦形剤および薬剤学的活性成分の種類に応じて0次または1次延長放出力学を提供することができる。
遅延被覆31、49、57、68、76、83を高分子量水溶性高分子で製造することで、ドーナツ型錠剤(DST)および多層ドーナツ型錠剤(MLDST)の水化表面が剥げたとしても、一度に投薬されることを最小化させることができる。分散している薬剤学的活性成分を有する低分子量水溶性高分子の第2被覆58、92、84を拍動性放出用として提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤学的剤形、特に薬剤学的活性成分の徐放型被覆穿孔またはドーナツ型錠剤に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤学的活性成分を経口投与するための徐放型錠剤の剤形を創造するために、多様な試みが行われてきた。ここでは、「薬」および「薬剤学的活性成分」用語を混用する。いくつかの剤形は、患者の必要に特に関係のない速度で薬を放出する傾向がある。例えば、特殊な剤形は、一定した速度での放出が要求される箇所において摂取時に迅速に消化し、多量の薬を放出することができる。他の状況では、多様な放出速度が要求される。経口投与された剤形で薬の放出速度を制御する技術に関する他の背景技術は、米国特許番号5,945,125および6,110,500、および米国公開特許出願番号US2005/0025829で開示されている。剤形は一般的に薬、すなわち溶解速度が知られた高分子を含む多様な賦形剤に分散された薬剤学的活性成分を含む。錠剤が溶解するときに、薬は予想していた速度で放出される。多様な溶解速度を有する被覆賦形剤は、薬の遅延放出のために用いられてきた。
【0003】
一般的な経口徐放型剤形(extended release dosage form)または拍動性放出剤形(pulsatile release dosage form)は、小さい球形ペレットを含む錠剤、カプレット、およびカプセルを含む。ある剤形は、一般的にスラブ(slab)とシリンダとが組み合った外形を有し、多様な放出速度を出す傾向がある。シリンダ型錠剤は、その形状によって0次放出力学に応じない。錠剤が溶解するときに溶解媒体に露出される表面積が変化し、これは溶解速度を変化させ、結局、薬の放出速度は薬の放出時間が経過するほど減少するようになる。
【0004】
徐放型錠剤の中央に穿孔または穴を生成したドーナツ型錠剤(Donut−shaped tablet、DST)は、時間が経っても一定した薬放出速度を示すが、これは一定した表面積が放射状に維持されるためである。多層ドーナツ型錠剤(Multi−Layer Donut−shaped tablet、MLDST)も、米国公開特許出願番号US2005/0025829に記載されたように製造することができる。
【0005】
所定の状況で一定した薬物の放出速度が要求されるとき、一般的には薬物放出力学を適応型に変えられることが好ましい。例えば、速い初期放出(破裂、burst)後に一定した速度の放出期間が後続することが好ましい。さらに他の例では、所定の時間内に薬の放出を遅延させたり、遅延期間後または一定速度の放出期間後に薬のパルス(pulse of the drug)を放出することが好ましい。
【0006】
親水性高分子は、徐放型製剤に一般的に用いられる。ドーナツ型錠剤(DST)または多層ドーナツ型錠剤(MLDST)において、親水性高分子系薬剤学的組成物に対する問題点は、これらの錠剤が一度に投薬(dost dump)され得るということである。すなわち、十分に水化されていない親水性高分子が過度に粘りつき、固体および体内表面に付着するようになるのである。その後に錠剤の表面が剥げ、薬が患者に一度に投与されるようになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、被覆されたドーナツ型錠剤(DST)および多層ドーナツ型錠剤(MLDST)を用いて即時放出または遅延放出を達成することができる。また、徐放型ドーナツ型錠剤および多層ドーナツ型錠剤の剤形に含まれた賦形剤および薬剤学的活性成分の種類に応じて0次または1次延長放出力学(zero order or first order extended release kinetics)を提供することができる。放出時間遅延のための被覆層は高分子量水溶性高分子で製造され、たとえドーナツ型錠剤(DST)および多層ドーナツ型錠剤(MLDST)の水化表面が剥げたとしても、一度に投薬(dose dump)されることを最小化させることができる。低分子量水溶性高分子の被覆は、その内部に薬を拍動放出させることに適用され得る薬が分散している。
【0008】
本発明のこれらと他の特徴および利点は、以下の説明、添付された請求項、および図面によってさらに理解することができるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】従来技術に公知された中央に穿孔または穴を有するドーナツ型錠剤(DST)の上面斜視図である。
【図2】従来技術に公知された層状穿孔錠剤(MLDST)の上面斜視図である。
【図3】本発明の一実施形態による被覆穿孔錠剤の上面斜視図であり、被覆(coating)は分散する薬を有していない高分子である。被覆の部分断面が示されている。
【図4】本発明の他の実施形態による被覆層状穿孔錠剤の上面斜視図であり、被覆は被覆内分散する薬を有していない高分子量水溶性高分子である。被覆の部分断面が示されている。
【図5】本発明の他の実施形態による被覆穿孔錠剤の上面斜視図であり、内部被覆(inner coating)は分散する薬を有していない高分子量水溶性高分子を含み、外部被覆(outer coating)は分散する薬を有する低分子量水溶性高分子を含む。被覆の部分断面が示されている。
【図6】本発明の他の実施形態による被覆層状穿孔錠剤の上面斜視図であり、内部被覆は分散する薬を有していない高分子量水溶性高分子を含み、外部被覆は分散する薬を有する低分子量水溶性高分子を含む。被覆の部分断面が示されている。
【図7】本発明の他の実施形態による傾いた上部表面および下部表面を有する被覆穿孔錠剤の上面斜視図であり、被覆は分散する薬を有していない高分子量高分子を含む。被覆の部分断面が示されている。
【図8】本発明の他の実施形態による傾いた上部表面および下部表面を有する被覆穿孔錠剤の上面斜視図であり、内部被覆(inner coating)は分散する薬を有していない高分子量水溶性高分子を含み、外部被覆(outer coating)は分散する薬を有する低分子量水溶性高分子を含む被覆の部分断面が示されている。
【図9】メシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)の商業的に利用可能なブランドのCardura(登録商標)XL(米国ニューヨーク、ニューヨーク、ファイザー社)の放出速度の図表に対する図3の錠剤の実施形態からのメシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)の放出速度の図表である(カッコ表示は、pHを意味する)。
【図10】グリピザイド(glipizide)の商業的に利用可能なブランドのGlucotrol XL(登録商標)(米国ニューヨーク、ニューヨーク、ファイザー社)の放出速度の図表に対する図3の錠剤の実施形態からのグリピザイド(glipizide)の放出速度の図表である。
【図11】メシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)の商業的に利用可能なブランドのCardura(登録商標)XL(米国ニューヨーク、ニューヨーク、ファイザー社)の放出速度の図表に対する図4の錠剤の実施形態からのメシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)の放出速度の図表である(カッコ表示は、pHを意味する)。
【図12】メシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)の商業的に利用可能なブランドのCardura(登録商標)XL(米国ニューヨーク、ニューヨーク、ファイザー社)の放出速度の図表に対する図4の錠剤の実施形態からのメシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)の放出速度の図表である(カッコ表示は、pHを意味する)。
【図13】図5の錠剤の実施形態からのメシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)、テオフィリン(theophyline)、およびジルチアゼム(diltiazem)HClの放出速度の図表である。
【図14】図6の錠剤の実施形態からのメシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)の放出速度の図表である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
ここで、発明の好ましい実施形態について、図1〜14を参考しながら説明する。
【0011】
図1は、従来技術に公知された中央穿孔または穴11を有するドーナツ型錠剤10(donut−shaped tablet、DST)の上面斜視図である。穿孔錠剤10は、穴11が貫通しているコア12で構成されている。コア12は、穴11の内周縁表面13、外周縁表面14、内周縁表面13の上端部と外周縁表面14の上端部との間の上部表面15、および内周縁表面13の下端部と外周縁表面14の下端部との間の下部表面16で限定された表面を有している。
【0012】
コア12は、少なくとも1つの賦形剤に分散している少なくとも1つの薬剤学的活性成分を含む。賦形剤を適切に選択することによって、薬剤学的活性成分の放出力学(release kinetics)の制御を可能にすることができる。また、前記穿孔錠剤が実質的に0次放出力学(zero order release kinetics)を有することが公知されている。
【0013】
図2は、従来技術に公知された層状穿孔錠剤20の上面斜視図である。層状穿孔錠剤20(MLDST)は、複数の層を含むことができる。層の特徴および形成は、多様な放出力学のために選択されることができる。例えば、米国公開特許出願番号2005/0025829に説明されて図2に示すように、上層21および下層22は水溶性(water soluble)または不水溶性(water insoluble)高分子で構成されることができ、内部層23は腸溶重合体(enteric polymer)に分散する薬物で構成されることができる。形成された層は、錠剤が水化する時間を与え、薬物が一度に投薬されることを避けられるようにする。
【0014】
図3は、本発明の一実施形態による高分子量高分子の被覆31を有する被覆穿孔錠剤30(coated perforated tablet)の上面斜視図である。被覆穿孔錠剤30は、図1と関連して説明したコア32を貫通する穴33を有するコア32を有する。コア32は、穴33周囲の内周縁表面34、外周縁表面35、外周縁表面35の上端部および内周縁表面34の上端部の間の上部表面36、および外周縁表面35の下端部および内周縁表面34の下端部の間の下部表面37で限定される表面を有する。コア32は少なくとも1つの賦形剤に分散する少なくとも1つの薬剤学的活性成分を含む。被覆31は、外周縁表面35、上部表面36、および下部表面37を十分に覆う高分子量水溶性高分子である。内周縁表面34は覆われない。被覆31は薬剤学的活性成分を含まない。高分子量高分子は、好ましくは少なくとも10,000の数平均分子量(number−average molecular weight)を有する。摂取後に内周縁表面34が多少溶解媒体に露出したとしても、被覆31は外周縁表面35、上部表面36、および下部表面37が溶解媒体に露出する前に時間遅延(time delay)を提供する。時間遅延(time delay)は、特定高分子、特定数平均分子量、および被覆31の厚さを適当に選択することによって調節されるようになる。時間遅延(delay time)は、錠剤が水化するまで時間を与え、一度に投薬されることを防ぐ。また、被覆31は、薬剤学的活性成分を含まず、たとえ被覆31が錠剤から剥がれたとしても、一度に投薬されることはない。
【0015】
図9は、メシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)の商業的に利用可能なブランドのCardura(登録商標)XL(米国ニューヨーク、ニューヨーク、ファイザー社)の放出速度の図表に対する図3の錠剤の実施形態からのメシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)の放出速度の図表である。図10は、グリピザイド(glipizide)の商業的に利用可能なブランドのGlucotrol XL(登録商標)(米国ニューヨーク、ニューヨーク、ファイザー社)の放出速度の図表に対する図3の錠剤の実施形態からのグリピザイド(glipizide)の放出速度の図表である。
【0016】
図4は、本発明の他の実施形態による被覆穿孔錠剤40の上面斜視図であり、被覆49は高分子量水溶性高分子である。図4の実施形態は、図3の実施形態と類似している。図4の被覆層状穿孔錠剤40(the coated layered perforated tablet)は、コア41を貫通する穴42を有するコア41を有する。コア41は、穴42周囲の内周縁表面43、外周縁表面44、外周縁表面44の上端部と内周縁表面43の上端部との間の上部表面45、および外周縁表面44の下端部と内周縁表面43の下端部との間の下部表面46によって限定される表面を有する。コア41は、少なくとも1つの賦形剤に分散する少なくとも1つの薬剤学的活性成分を含む。図3の実施形態に加えて図4の実施形態は、図2と関連して上述したように、上層47および下層48を有する。本発明は、上層および下層を有する錠剤に制限されるものではなく、複数の層を有するいかなる錠剤であり得る。層状コア41は、上層および下層47、48を含む外周縁表面44、上部表面45および下部表面46を十分に覆う高分子量水溶性高分子の被覆49を有する。内周縁表面43は被覆されない。被覆49は薬剤学的活性成分を含まない。高分子量高分子は、好ましくは少なくとも10,000の数平均分子量を有する。被覆49は、上記した時間遅延効果を提供する。
【0017】
図11は、メシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)の商業的に利用可能なブランドのCardura(登録商標)XL(米国ニューヨーク、ニューヨーク、ファイザー社)の放出速度の図表に対する図4の錠剤の実施形態からのメシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)の放出速度の図表である。図12は、メシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)の商業的に利用可能なブランドのCardura XL(登録商標)(米国ニューヨーク、ニューヨーク、ファイザー社)の放出速度の図表に対する図4の錠剤の実施形態からのメシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)の放出速度の図表である。
【0018】
図5は、本発明の他の実施形態による被覆穿孔錠剤50の上面斜視図である。図5の実施形態は、コア51を貫通する穴52を有するコア51を有するという点において、図3の実施形態と類似する。コア51は、穴52周囲の内周縁表面53、外周縁表面54、外周縁表面54の上端部と内周縁表面53の上端部との間の上部表面55、および外周縁表面54の下端部と内周縁表面53の下端部との間の下部表面56によって限定される表面を有する。コア51は、少なくとも1つの賦形剤に分散する少なくとも1つの薬剤学的活性成分を含む。しかしながら、高分子量高分子の単一被覆よりも、図5の実施形態は、高分子量水溶性高分子の内部被覆57および低分子量水溶性高分子の外部被覆58を有する。内部被覆57は分散している薬を含まない。外部被覆58は分散している薬を有する。高分子量高分子は、好ましくは少なくとも10,000の数平均分子量を有し、低分子量高分子は、好ましくは10,000未満の数平均分子量を有する。外部被覆58は、溶解媒体に露出されるときに溶解され始め、薬剤学的活性成分を放出し始める。拍動性放出(pulsatile release)の速度は、特定低分子量高分子、数平均分子量、および外部被覆58の厚さを適当に選択することによって調節されるようになる。内部被覆57は、拍動性放出後の外周縁表面54、上部表面55、および下部表面56が溶解媒体に露出される前に時間遅延を提供する。
【0019】
図13は、図5の錠剤の実施形態からのメシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)、テオフィリン(theophyline)、およびジルチアゼムHCl(diltiazem HCl)の放出速度の図表である。
【0020】
図6は、本発明の他の実施形態による被覆層状穿孔錠剤60の上面斜視図である。図6の実施形態は、図4と図5の実施形態の組み合わせである。図6の被覆層状穿孔錠剤60は、コア61を貫通する穴62を有するコア61を有する。コア61は、穴62周囲の内周縁表面63、外周縁表面64、外周縁表面64の上端部と内部面63の上端部との間の上部表面65、および外周縁表面64の下端部と内周縁表面63の下端部との間の下部表面66によって限定される表面を有する。コア61は、少なくとも1つの賦形剤に分散する少なくとも1つの薬剤学的活性成分を含む。また、図6の実施形態は、図2と関連して上述した上層67、下層91、および内部層69を有する。本発明は、上層67、下層91、および内部層69を有する錠剤に制限されるものではなく、複数の層を有するいかなる錠剤であり得る。層状コア61は、高分子量水溶性高分子の内部被覆68および低分子量水溶性高分子の外部被覆92を有する。内部被覆68は分散する薬を有さない。外部被覆92は分散する薬を有さない。高分子量高分子は、好ましくは少なくとも10,000の数平均分子量を有し、低分子量高分子は、好ましくは10,000未満の数平均分子量を有する。内部被覆68は、上層および下層67、91を含む外周縁表面64、上部表面65、および下部表面66を十分に覆う。内周縁表面63は被覆されない。外部被覆92は内部被覆68のすべてを十分に覆うが、内周縁表面63は覆わない。
【0021】
図14は、図6の錠剤の実施形態からのメシル酸ドキサゾジン(doxazosin mesylate)の放出速度の図表である。
【0022】
図7は、本発明の他の実施形態による被覆穿孔錠剤70の上面斜視図である。図7の実施形態は、図3の実施形態と類似するが、上部表面71が外周縁表面72から内周縁表面73に内側に傾いており、下部表面74が外周縁表面72から内周縁表面73に内側に傾いているという点において差がある。ある錠剤70では放出力学が変形するが、これは錠剤70の表面積が時間に応じて増加するためである。コア75は、少なくとも1つの賦形剤に分散する少なくとも1つの薬剤学的活性成分を含む。被覆76は、外周縁表面72、上部表面71、および下部表面74を十分に覆う高分子量水溶性高分子である。内周縁表面77は覆われない。被覆76は薬剤学的活性成分を含まない。高分子量高分子は、好ましくは少なくとも10,000の数平均分子量を有する。
【0023】
図8は、図7と関連して上述の傾いた上部表面および下部表面81、82を有する被覆穿孔錠剤80の上面斜視図である。本発明の実施形態は、内部被覆83に分散する薬を有さない高分子量水溶性高分子の内部被覆83、および外部被覆84に分散する薬を有する低分子量水溶性高分子の外部被覆84を有する。
【産業上の利用可能性】
【0024】
本発明は、被覆されたドーナツ型錠剤(donut−shaped tablet、DST)および多層ドーナツ型錠剤(multi−layer donut−shaped tablet、MLDST)を用いて即時放出または時間遅延放出を達成することができる。また、徐放型ドーナツ型錠剤および多層ドーナツ型錠剤は、剤形内部の賦形剤および薬の種類に応じて0次または1次延長放出力学を提供することができる。時間遅延のための被覆層は、高分子量水溶性高分子で生成され、ドーナツ型錠剤および多層ドーナツ型錠剤の水化した表面が剥げたとしても、一度に投薬されることを最小化することができる。分散する薬を有する低分子量水溶性高分子被覆を用いて薬の拍動性放出(pulsatile release)を提供することができる。本発明は、任意の好ましく、かつ代替が可能な実施形態に関して記載したものであり、これらは本発明の添付した請求項の範囲を例示するためのものであるだけで、限定するためのものではない。例えば、必要なある放出力学のために、前記実施形態の多様な組み合わせを用いて剤形を設計することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コアを上下に貫通する穴を有し、前記穴の内周縁表面とコアの外周縁表面、上部表面、下部表面、および少なくとも1つの賦形剤に分散した少なくとも1つの薬剤学的活性成分を含む穿孔コアと、前記外周縁表面と上部表面および下部表面を覆う高分子量水溶性高分子の被覆を含むことを特徴とする薬剤学的活性成分の徐放型穿孔製剤。
【請求項2】
前記高分子量水溶性高分子は、少なくとも10,000の数平均分子量を有することを特徴とする、請求項1に記載の薬剤学的活性成分の徐放型穿孔錠剤。
【請求項3】
前記被覆を覆う低分子量水溶性高分子の第2被覆をさらに含み、前記第2被覆は分散した少なくとも1つの薬剤学的活性成分を有することを特徴とする、請求項1に記載の薬剤学的活性成分の徐放型穿孔錠剤。
【請求項4】
前記低分子量水溶性高分子は、10,000未満の数平均分子量を有することを特徴とする、請求項3に記載の薬剤学的活性成分の徐放型穿孔錠剤。
【請求項5】
前記コアは、複数の層を含むことを特徴とする、請求項1に記載の薬剤学的活性成分の徐放型穿孔錠剤。
【請求項6】
前記高分子量水溶性高分子は、少なくとも10,000の数平均分子量を有することを特徴とする、請求項5に記載の薬剤学的活性成分の徐放型穿孔錠剤。
【請求項7】
前記被覆を覆う低分子量水溶性高分子の第2被覆をさらに含む錠剤であって、前記第2被覆が少なくとも1つの分散した薬剤学的活性成分を有することを特徴とする、請求項5に記載の薬剤学的活性成分の徐放型穿孔錠剤。
【請求項8】
前記低分子量水溶性高分子は、10,000未満の数平均分子量を有することを特徴とする、請求項7に記載の薬剤学的活性成分の徐放型穿孔錠剤。
【請求項9】
前記上部表面および前記下部表面のうちの少なくとも1つは、前記外周縁表面で前記内周縁表面の内側に傾いたことを特徴とする、請求項1に記載の薬剤学的活性成分の徐放型穿孔錠剤。
【請求項10】
前記高分子量水溶性高分子は、少なくとも10,000の数平均分子量を有することを特徴とする、請求項9に記載の薬剤学的活性成分の徐放型穿孔錠剤。
【請求項11】
前記被覆を覆う低分子量水溶性高分子の第2被覆をさらに含むものであって、前記第2被覆が少なくとも1つの分散した薬剤学的活性成分を有することを特徴とする、請求項9に記載の薬剤学的活性成分の徐放型穿孔錠剤。
【請求項12】
前記低分子量水溶性高分子は、10,000未満の数平均分子量を有することを特徴とする、請求項11に記載の薬剤学的活性成分の徐放型穿孔錠剤。
【請求項13】
コアを上下に貫通する穴を有し、前記穴の内周縁表面とコアの外周縁表面、上部表面、下部表面、および少なくとも1つの賦形剤に分散した少なくとも1つの薬剤学的活性成分を含む穿孔コアと、前記外周縁表面と上部表面および下部表面を覆う少なくとも10,000の数平均分子量を有する高分子量水溶性高分子の被覆を含む薬剤学的活性成分の徐放型穿孔錠剤であって、
低分子量水溶性高分子の第2被覆が前記被覆を覆っており、前記第2被覆が少なくとも1つの分散した薬剤学的活性成分を有し、前記低分子量水溶性高分子が10,000未満の数平均分子量を有することを特徴とする薬剤学的活性成分の徐放型穿孔錠剤。
【請求項14】
コアを上下に貫通する穴を有し、前記穴の内周縁表面とコアの外周縁表面、上部表面、下部表面、および少なくとも1つの賦形剤に分散した少なくとも1つの薬剤学的活性成分を含む穿孔コアを含む薬剤学的活性成分の徐放型穿孔錠剤であって、
前記コアが複数の層を含み、高分子量水溶性高分子の被覆が前記外周縁表面、前記上部表面および前記下部表面を覆っており、前記高分子量水溶性高分子は少なくとも10,000の数平均分子量を有し、低分子量水溶性高分子の第2被覆が前記被覆を覆っており、前記第2被覆が少なくとも1つの分散した薬剤学的活性成分を有し、前記低分子量水溶性高分子が10,000未満の数平均分子量を有することを特徴とする薬剤学的活性成分の徐放型穿孔錠剤。
【請求項15】
コアを上下に貫通する穴を有し、前記穴の内周縁表面とコアの外周縁表面、上部表面、下部表面、および少なくとも1つの賦形剤に分散した少なくとも1つの薬剤学的活性成分を含む穿孔コアを含む薬剤学的活性成分の徐放型穿孔製剤であって、
前記上部表面および前記下部表面の少なくとも1つが前記外周縁表面で前記内周縁表面の内側に傾いており、前記コアが少なくとも1つの賦形剤に分散した少なくとも1つの薬剤学的活性成分を含み、高分子量水溶性高分子の被覆が前記外周縁表面、前記上部表面および前記下部表面を覆っており、前記高分子量水溶性高分子は少なくとも10,000の数平均分子量を有し、低分子量水溶性高分子の第2被覆が前記被覆を覆っており、前記第2被覆が少なくとも1つの分散した薬剤学的活性成分を有し、前記低分子量水溶性高分子が10,000未満の数平均分子量を有することを特徴とする薬剤学的活性成分の徐放型穿孔製剤。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2009−542646(P2009−542646A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518082(P2009−518082)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/026432
【国際公開番号】WO2008/005020
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(508369593)ボード オブ トラステーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ アルカンザス (1)
【Fターム(参考)】