説明

復号装置および方法、並びにプログラム

【課題】暗号化されているベースバンドの映像信号を部分的に復号することができるようにする。
【解決手段】復号部151は、所定の方式にしたがって暗号化されている暗号化映像信号を復号し、ディレイ調整部152は、復号によって元の状態に戻された映像信号と同期するように暗号化映像信号を遅延させ、判定部154は、あらかじめ定められた復号パターンにしたがって、暗号化映像信号における画像を構成する画素を復号するかを判定する。そして、選択部153は、判定の結果にしたがって、暗号化映像信号の画素か、映像信号における画像を構成する画素のいずれか一方を選択することで、暗号化映像信号を部分的に復号することができるようになる。本発明は、復号装置に適用できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、復号装置および方法、並びにプログラムに関し、特に、暗号化されているベースバンドの映像信号を部分的に復号することができるようにした復号装置および方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のコンテンツ編集システム1の構成を示すブロック図である。
【0003】
コンテンツ編集システム1は、映像信号の暗号化によるコンテンツ保護(Link Encryption)を行うためのシステムであって、2006年5月時点で規格化中のSMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers) 427M 「Link Encryption for 1.5Gb/s1 Serial Digital Interface」に準拠したシステムである。コンテンツ編集システム1においては、コンテンツ再生装置11は、コンテンツを再生して、そのコンテンツをコンテンツ記録再生装置12に送信し、コンテンツ記録再生装置12は、コンテンツ再生装置11からのコンテンツを受信し、そのコンテンツを記録するか、または再生する。
【0004】
なお、コンテンツは、一般的に、映像信号の他に、その他音声信号などからも構成されるが、ここでは、説明を簡易にするために、映像信号についてだけ説明する。したがって、以下、単に映像信号と記述した場合、その映像信号は、コンテンツの一構成要素としての映像信号を意味する。また、コンテンツは、SMPTE 292Mで規定されているHD-SDI(it-Serial Digital Interface for High-Definition Television Systems)のデータであって、1以上のフレームから構成されるベースバンドの映像信号である。
【0005】
また、図1では、各ブロック間の矢印は、映像信号の流れを示しているが、そのうちの実線は暗号化されていない映像信号を示し、点線は暗号化された映像信号(以下、暗号化映像信号と称する)を示している。またこのような実線と点線の使い分けは後述する他の図でも同様とされる。
【0006】
コンテンツ再生装置11では、コンテンツ再生部21は、例えばユーザによる所定の操作に基づいて、コンテンツを再生し、そのコンテンツの一構成要素である映像信号を暗号化部22に供給する。そして、暗号化部22は、コンテンツ再生部21からの映像信号を、共通鍵暗号化方式の1つであるAES(Advanced Encryption Standard)暗号を利用して暗号化し、その暗号化された暗号化映像信号が供給される送信部23は、その暗号化映像信号をコンテンツ記録再生装置12に送信するか、図示せぬモニタなどの他の機器へ送信する。
【0007】
コンテンツ記録再生装置12では、受信部31は、コンテンツ再生装置11からの暗号化映像信号を受信し、その暗号化映像信号が供給される復号部32は、暗号化映像信号を復号して元の状態に戻し、その元の状態に戻された映像信号をコンテンツ記録再生部33または暗号化部34に供給する。そして、コンテンツ記録再生部33は、復号部32から供給される元の状態に戻された映像信号を記録する。
【0008】
その後、例えばユーザによる所定の操作によって、コンテンツの再生が指示された場合、コンテンツ記録再生部33は、自分が記録している映像信号を暗号化部34に供給し、暗号化部34は、AES暗号を利用して、その映像信号を暗号化する。そして、その暗号化された暗号化映像信号が供給された送信部35は、その暗号化映像信号をモニタなどの他の機器へ送信する。
【0009】
以上のようにして、従来のコンテンツ編集システム1においては、コンテンツ再生装置11やコンテンツ記録再生装置12などの機器は、自分以外の他の機器に映像信号を送信する際、映像信号を暗号化することによって、コンテンツの機密性を保護している。
【0010】
また、図1のコンテンツ再生装置11やコンテンツ記録再生装置12から送信される暗号化映像信号は、図2に示すように、モニタ41またモニタ42に受信され、表示される。
【0011】
ここで、図2では、図1と対応する部分については、同一の符号が付してあり、処理が同じ部分に関しては、その説明は繰り返しになるので省略する。すなわち、図2のコンテンツ編集システム1は、図1と比べて、コンテンツ再生装置11にはモニタ41が接続され、コンテンツ記録再生装置12にはモニタ42が接続されている点が異なっている。
【0012】
モニタ41では、受信部51は、コンテンツ再生装置11からの暗号化映像信号を受信し、復号部52は、その受信した暗号化映像信号を復号する。そして、ディスプレイ53は、復号部52から供給される復号されて元の状態に戻された映像信号に対応する画像を画面に表示させる。
【0013】
また、モニタ42では、モニタ41と同様に、受信部56は、コンテンツ記録再生装置12からの暗号化映像信号を受信し、復号部57は、その受信した暗号化映像信号を復号し、ディスプレイ58は、その復号されて元の状態に戻された映像信号に対応する画像を画面に表示する。
【0014】
これにより、ユーザは、復号の機能を有している、モニタ41のディスプレイ53や、モニタ42のディスプレイ58に表示された、完全に元の状態に戻された映像信号を一構成要素とするコンテンツの画像を見て、その画像の内容を確認することになる。
【0015】
また、コンテンツの内容を確認する方法は、図2で説明したモニタを用いる方法の他に、オリジナルのコンテンツよりもある程度画質を落としたコンテンツ(以下、プロキシコンテンツと称する)を利用して、コンテンツの内容を確認する方法もある。
【0016】
このプロキシコンテンツを利用した方法では、コンテンツ編集システム1は、図3に示すように、プロキシ再生装置61、プロキシ記録再生装置62、パーソナルコンピュータ63、およびパーソナルコンピュータ64から構成される。
【0017】
プロキシ再生装置61では、コンテンツ再生装置11と同様に、コンテンツ再生部71、暗号化部72、および送信部73は、再生したコンテンツの一構成要素である映像信号を、AES暗号を利用して暗号化し、その暗号化映像信号をプロキシ記録再生装置62に送信する。
【0018】
また、プロキシ再生装置61は、コンテンツ再生部71、暗号化部72、および送信部73の他に、プロキシ再生部74を備えている。そのプロキシ再生部74は、あらかじめ記録されているプロキシコンテンツを再生し、そのプロキシコンテンツをパーソナルコンピュータ63に出力する。パーソナルコンピュータ63では、編集ソフトウェア91は、いわゆるプロキシ編集によって、プロキシ再生装置61からのプロキシコンテンツを元にコンテンツを編集し、ディスプレイ92は、その編集されたコンテンツの画像を画面に表示させる。
【0019】
プロキシ記録再生装置62では、コンテンツ記録再生装置12と同様に、受信部81、復号部82、およびコンテンツ記録再生部83は、受信した暗号化映像信号を復号し、その復号して元の状態に戻された映像信号を記録する。
【0020】
また、プロキシ記録再生装置62は、受信部81、復号部82、およびコンテンツ記録再生部83の他に、プロキシ記録再生部84を備えている。プロキシ記録再生部84は、復号部82から供給されるコンテンツに対応するプロキシコンテンツを記録する。その後、例えばユーザによる所定の操作によって、プロキシコンテンツの再生が指示された場合、プロキシ記録再生部84は、記録しているプロキシコンテンツをパーソナルコンピュータ64に出力する。パーソナルコンピュータ64では、パーソナルコンピュータ63と同様に、編集ソフトウェア96は、プロキシ記録再生装置62からのプロキシコンテンツをプロキシ編集し、ディスプレイ97は、その編集されたコンテンツの画像を画面に表示させる。
【0021】
これにより、ユーザは、パーソナルコンピュータ63のディスプレイ92や、パーソナルコンピュータ64のディスプレイ97に表示されるコンテンツを見て、その映像の内容を確認することになる。
【0022】
以上のようにして、従来のコンテンツ編集システム1では、ユーザは、それらのディスプレイに表示されるコンテンツの画像を見て、その画像の内容の確認を行っていた。
【0023】
また、本出願人は、暗号化データの中から所望の部分を復号する画像提供装置を先に提案している(例えば、特許文献1参照)。
【0024】
【特許文献1】特開2005−341316号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0025】
しかしながら、SMPTE 292Mで規定されているHD-SDIによるコンテンツの伝送においては、SMPTE 427M 「Link Encryption for 1.5Gb/s1 Serial Digital Interface」などの技術を採用してコンテンツの保護を行った場合、一般的なモニタでは暗号化されたコンテンツをそのまま表示するので、ユーザは、そのコンテンツの内容を確認することができないという問題があった。
【0026】
例えば、図1のコンテンツ編集システム1では、コンテンツ記録再生装置12から出力されるモニタ出力(暗号化映像信号)を、一般的なモニタに表示させた場合、そのモニタは、暗号化映像信号に対応する画像、すなわち、ユーザにとって識別不可能な画像を画面に表示させることになる。したがって、ユーザは、例えば、編集ポイントの設定、プリロールによる編集ポイントの確認、または編集後の結果確認など、コンテンツの内容を確認することができなかった。
【0027】
また、例えば、図2のコンテンツ編集システム1では、モニタ41とモニタ42は、それぞれ、復号の機能を有しているので、それらのモニタには、映像信号に対応する画像、すなわち、ユーザにとって識別可能な画像を画面に表示させている。したがって、ユーザは、コンテンツの内容を確認することはできるが、一般的なモニタとは言えない復号の機能を搭載したモニタを導入する必要があり、また、暗号化映像信号を全て復号してしまうことで、機密性を保護するための暗号によってコンテンツが保護されているかを確認することができないという問題もでてくる。
【0028】
さらにまた、例えば、図3のコンテンツ編集システム1では、プロキシを利用することで、パーソナルコンピュータ63とパーソナルコンピュータ64は、それぞれ、ユーザにとって識別可能な画像を画面に表示させている。したがって、ユーザは、コンテンツの内容を確認することはできるが、プロキシを用いたモニタリングや編集を行うといったワークフローを新たに導入しなければならず、既存のワークフローと共存させることが困難であった。また、その新しいワークフローを導入するとしても、新しい機材を購入する必要があった。
【0029】
また、例えば、特開2005−341316号公報に開示されている提案は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)2000などの圧縮画像データを対象とした技術であり、ベースバンドの映像信号に適用することができなかった。
【0030】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、暗号化されているベースバンドの映像信号を部分的に復号することができるようにするものである。
【課題を解決するための手段】
【0031】
本発明の一側面の復号装置は、所定の方式にしたがって暗号化されているベースバンドの映像信号である第1の映像信号を復号する復号手段と、復号により得られた前記第2の映像信号と同期するように、前記第1の映像信号を遅延させる遅延手段と、あらかじめ定められた復号パターンにしたがって、前記第1の映像信号における画像を構成する第1の画素を復号するか否かを判定する判定手段と、前記第1の画素を復号すると判定された場合、前記第1の映像信号の第1の画素を復号して得られた前記第2の映像信号における画像を構成する第2の画素を選択し、前記第1の画素を復号しないと判定された場合、遅延された前記第1の映像信号の前記第1の画素を選択する選択手段とを備え、前記選択手段は、選択された前記第1の画素または前記第2の画素を出力する。
【0032】
前記復号パターンには、復号しない画素からなる第1のブロックと、復号する画素と復号しない画素が混在してなる第2のブロックとが水平方向に所定の間隔で繰り返し並んでいるパターンとさせることができる。
【0033】
前記第2のブロックには、垂直方向においては、復号しない画素からなる第1のラインと、復号する画素と復号しない画素とが水平方向に所定の間隔で繰り返し並んでいる第2のラインとさせることができる。
【0034】
前記所定の方式は、AES暗号とさせることができる。
【0035】
前記第1の映像信号は、SMPTE 427M「Link Encryption for 1.5Gb/s1 Serial Digital Interface」にしたがって暗号化されており、前記復号手段は、前記SMPTE 427Mにしたがってその処理を実行させることができる。
【0036】
本発明の一側面の復号方法は、所定の方式にしたがって暗号化されているベースバンドの映像信号である第1の映像信号を復号し、復号により得られた前記第2の映像信号と同期するように、前記第1の映像信号を遅延させ、あらかじめ定められた復号パターンにしたがって、前記第1の映像信号における画像を構成する第1の画素を復号するか否かを判定し、前記第1の画素を復号すると判定された場合、前記第1の映像信号の第1の画素を復号して得られた前記第2の映像信号における画像を構成する第2の画素を選択し、前記第1の画素を復号しないと判定された場合、遅延された前記第1の映像信号の前記第1の画素を選択し、選択された前記第1の画素または前記第2の画素を出力するステップを含む。
【0037】
本発明の一側面のプログラムは、所定の方式にしたがって暗号化されているベースバンドの映像信号である第1の映像信号を復号し、復号により得られた前記第2の映像信号と同期するように、前記第1の映像信号を遅延させ、あらかじめ定められた復号パターンにしたがって、前記第1の映像信号における画像を構成する第1の画素を復号するか否かを判定し、前記第1の画素を復号すると判定された場合、前記第1の映像信号の第1の画素を復号して得られた前記第2の映像信号における画像を構成する第2の画素を選択し、前記第1の画素を復号しないと判定された場合、遅延された前記第1の映像信号の前記第1の画素を選択し、選択された前記第1の画素または前記第2の画素を出力するステップを含む。
【0038】
本発明の一側面においては、所定の方式にしたがって暗号化されているベースバンドの映像信号である第1の映像信号が復号され、復号により得られた前記第2の映像信号と同期するように、前記第1の映像信号が遅延され、あらかじめ定められた復号パターンにしたがって、前記第1の映像信号における画像を構成する第1の画素を復号するか否かが判定され、前記第1の画素を復号すると判定された場合、前記第1の映像信号の第1の画素を復号して得られた前記第2の映像信号における画像を構成する第2の画素が選択され、前記第1の画素を復号しないと判定された場合、遅延された前記第1の映像信号の前記第1の画素が選択され、選択された前記第1の画素または前記第2の画素が出力される。
【発明の効果】
【0039】
以上のように、本発明の一側面によれば、暗号化されているベースバンドの映像信号を部分的に復号することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0040】
以下に本発明の実施の形態を説明するが、本発明の構成要件と、明細書または図面に記載の実施の形態との対応関係を例示すると、次のようになる。この記載は、本発明をサポートする実施の形態が、明細書または図面に記載されていることを確認するためのものである。従って、明細書または図面中には記載されているが、本発明の構成要件に対応する実施の形態として、ここには記載されていない実施の形態があったとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件に対応するものではないことを意味するものではない。逆に、実施の形態が構成要件に対応するものとしてここに記載されていたとしても、そのことは、その実施の形態が、その構成要件以外の構成要件には対応しないものであることを意味するものでもない。
【0041】
本発明の一側面の復号装置は、所定の方式(例えば、AES暗号)にしたがって暗号化されているベースバンドの映像信号である第1の映像信号を復号する復号手段(例えば、図6の復号部151)と、復号により得られた前記第2の映像信号と同期するように、前記第1の映像信号を遅延させる遅延手段(例えば、図6のディレイ調整部152)と、あらかじめ定められた復号パターン(例えば、図9乃至図12の復号パターン)にしたがって、前記第1の映像信号における画像を構成する第1の画素を復号するか否かを判定する判定手段(例えば、図6の判定部154)と、前記第1の画素を復号すると判定された場合、前記第1の映像信号の第1の画素を復号して得られた前記第2の映像信号における画像を構成する第2の画素を選択し、前記第1の画素を復号しないと判定された場合、遅延された前記第1の映像信号の前記第1の画素を選択する選択手段(例えば、図6の選択部153)とを備え、前記選択手段は、選択された前記第1の画素または前記第2の画素を出力する(例えば、図6の選択部153による、図8のステップS36の処理)。
復号装置。
【0042】
前記復号パターンは、復号しない画素からなる第1のブロックと、復号する画素と復号しない画素が混在してなる第2のブロックとが水平方向に所定の間隔で繰り返し並んでいるパターンであるようにすることができる。
【0043】
前記第2のブロックは、垂直方向においては、復号しない画素からなる第1のラインと、復号する画素と復号しない画素とが水平方向に所定の間隔で繰り返し並んでいる第2のラインとからなるようにすることができる。
【0044】
前記所定の方式は、AES暗号であるようにすることができる。
【0045】
前記第1の映像信号は、SMPTE 427M「Link Encryption for 1.5Gb/s1 Serial Digital Interface」にしたがって暗号化されており、前記復号手段は、前記SMPTE 427Mにしたがってその処理を実行することができる。
【0046】
本発明の一側面の復号方法またはプログラムは、所定の方式にしたがって暗号化されているベースバンドの映像信号である第1の映像信号を復号し(例えば、図8のステップS31の処理)、復号により得られた前記第2の映像信号と同期するように、前記第1の映像信号を遅延させ(例えば、図8のステップS32の処理)、あらかじめ定められた復号パターンにしたがって、前記第1の映像信号における画像を構成する第1の画素を復号するか否かを判定し(例えば、図8のステップS33の処理)、前記第1の画素を復号すると判定された場合、前記第1の映像信号の第1の画素を復号して得られた前記第2の映像信号における画像を構成する第2の画素を選択し(例えば、図8のステップS35の処理)、前記第1の画素を復号しないと判定された場合、遅延された前記第1の映像信号の前記第1の画素を選択し、選択された前記第1の画素または前記第2の画素を出力する(例えば、図8のステップS36の処理)ステップを含む。
【0047】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0048】
図4は、本発明を適用したコンテンツ編集システム101の一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【0049】
コンテンツ編集システム101は、映像信号の暗号化によるコンテンツ保護(Link Encryption)を行うためのシステムであって、SMPTE 427M 「Link Encryption for 1.5Gb/s1 Serial Digital Interface」に準拠したシステムである。このコンテンツ編集システム101においては、コンテンツ再生装置111は、コンテンツ記録再生装置112とモニタ113と接続され、コンテンツ記録再生装置112は、コンテンツ再生装置111とモニタ114と接続されるようにして構成される。
【0050】
コンテンツ再生装置111とコンテンツ記録再生装置112との間のインターフェースは、本実施の形態では、例えば、SMPTE 292Mで規定されているHD-SDIが採用されているとする。すなわち、本実施の形態では、コンテンツの一構成要素である映像信号は、いわゆるHD-SDI信号としてコンテンツ再生装置111からコンテンツ記録再生装置112に伝送される。また、同様に、コンテンツ再生装置111とモニタ113、およびコンテンツ記録再生装置112とモニタ114は、例えば、SMPTE 292Mで規定されているHD-SDIが採用されているとする。
【0051】
ここに、コンテンツの一構成要素と記述したのは、上述したように、コンテンツは、一般的に、映像信号のみではなく、その他音声信号などからも構成されるからである。また、コンテンツは、本実施の形態では、例えば、SMPTE 292Mで規定されているHD-SDIのデータであって、1以上のフレームから構成されるベースバンドの映像信号である。
【0052】
なお、図4の例では、各ブロック間の矢印は、映像信号の流れを示しているが、そのうちの実線は、上述した場合と同様に暗号化されていない映像信号を示している。また、2種類ある点線のうちの短い線の方の点線は、上述した場合と同様に暗号化映像信号を示し、長い線の方の点線は部分的に復号された映像信号(以下、部分復号映像信号と称する)を示している。またこのような実線と点線の使い分けは後述する他の図でも同様とされる。
【0053】
コンテンツ再生装置111は、例えば、ビデオデッキなどのコンテンツを再生するための装置である。コンテンツ再生装置111は、コンテンツ再生部121、暗号化部122、送信部123、部分復号部124、および送信部125を含むようにして構成される。
【0054】
コンテンツ再生部121は、例えばユーザによる所定の操作に基づいて、コンテンツを再生し、そのコンテンツの一構成要素である映像信号を暗号化部122に供給する。
【0055】
暗号化部122は、コンテンツ再生部121から供給される映像信号を、例えば共通鍵暗号化方式の1つであるAES暗号などを利用して暗号化する。暗号化部122は、暗号化された暗号化映像信号を送信部123または部分復号部124に供給する。
【0056】
送信部123は、暗号化部122から供給される暗号化映像信号をHD-SDI信号の形態でコンテンツ記録再生装置112に送信する。すなわち、送信部123は、暗号化映像信号の形態をHD-SDI信号の形態に変換する処理、例えば、暗号化映像信号の入力形態がパラレル信号である場合にはパラレル−シリアル変換処理などを実行する。
【0057】
これにより、コンテンツ再生装置111からHD-SDI信号の形態で送信された暗号化映像信号は、コンテンツ記録再生装置112に送信される。
【0058】
部分復号部124は、暗号化部122から供給される暗号化映像信号を、例えばAES復号などを利用して部分的に復号する。部分復号部124は、部分的に復号された部分復号映像信号を送信部125に供給する。ここで、詳細は後述するが、部分復号部124は、暗号化映像信号に対応する画像の領域のうち、あらかじめ定められた所定の領域(所定の画素)だけを復号することで、暗号化映像信号から部分復号映像信号を生成する。
【0059】
送信部125は、部分復号部124から供給される部分復号映像信号をHD-SDI信号の形態でモニタ113に送信する。すなわち、送信部125は、送信部123と同様に、例えば、部分復号映像信号の入力形態がパラレル信号である場合にはパラレル−シリアル変換処理などの部分復号映像信号をHD-SDI信号の形態に変換する処理を実行する。
【0060】
これにより、コンテンツ再生装置111からHD-SDI信号の形態で送信された部分復号映像信号(図4ではモニタ出力とも表現している)は、モニタ113に送信される。
【0061】
モニタ113は、入力される映像信号に対応する画像を画面に表示させる。モニタ113は、受信部141およびディスプレイ142を含むようにして構成される。
【0062】
受信部141は、HD-SDI信号の形態でコンテンツ再生装置111から送信される部分復号映像信号を受信して、ディスプレイ142に供給する。このとき、受信部141は、必要に応じて部分復号映像信号の形態を変換する処理、例えば、シリアル−パラレル変換処理などを適宜実行する。
【0063】
ディスプレイ142は、受信部141から供給される部分復号映像信号に対応する画像(以下、部分復号画像と称する)を画面に表示する。すなわち、ディスプレイ142の画面に表示されている部分復号画像は、部分復号映像信号に対応する画像であって、部分的に復号されている画像であるので、暗号化されている画像と、復号されている画像とが混在する画像となる。
【0064】
コンテンツ記録再生装置112は、例えば、カムコーダやコンテンツ編集装置などのコンテンツの記録や再生をするための装置である。コンテンツ記録再生装置112は、受信部131、復号部132、コンテンツ記録再生部133、暗号化部134、送信部135、部分復号部136、および送信部137を含むようにして構成される。
【0065】
受信部131は、HD-SDI信号の形態でコンテンツ再生装置111から送信される暗号化映像信号を受信して、復号部132に供給する。このとき、受信部131は、必要に応じて暗号化映像信号の形態を変換する処理、例えば、シリアル−パラレル変換処理などを適宜実行する。
【0066】
復号部132は、受信部131から供給される暗号化映像信号を、例えばAES復号などを利用して復号する。復号部132は、復号されて元の状態に戻った映像信号をコンテンツ記録再生部133または暗号化部134に供給する。
【0067】
コンテンツ記録再生部133は、復号部132から供給される映像信号一構成要素として構成されるコンテンツを、記録する。また、コンテンツ記録再生部133は、例えばユーザによる所定の操作に基づいて、自分が記録しているコンテンツを再生し、そのコンテンツの一構成要素である映像信号を暗号化部134に供給する。
【0068】
暗号化部134は、復号部132またはコンテンツ記録再生部133から供給される映像信号を、例えば、AES暗号などを利用して暗号化する。暗号化部134は、暗号化された暗号化映像信号を送信部135または部分復号部136に供給する。
【0069】
送信部135は、暗号化部134から供給される暗号化映像信号をHD-SDIの形態で他の装置(図示せず)に送信する。すなわち、送信部135は、例えば、暗号化映像信号の入力形態がパラレル信号である場合にはパラレル−シリアル変換処理などの暗号化映像信号をHD-SDI信号の形態に変換する処理を実行する。そして、図示せぬ他の装置は、暗号化映像信号を受信し、その暗号化映像信号を画面に表示する。このとき、その他の装置の画面に表示される画像は、部分的に復号されていない完全に暗号化された画像であるので、ユーザには識別不可能な画像となる。
【0070】
部分復号部136は、暗号化部134から供給される暗号化映像信号を、例えばAES復号などを利用して部分的に復号する。部分復号部136は、部分的に復号された部分復号映像信号を送信部137に供給する。ここで、詳細は後述するが、部分復号部136は、部分復号部124と同様に、暗号化映像信号に対応する画像の領域のうち、あらかじめ定められた所定の領域(所定の画素)だけを復号して、暗号化映像信号から部分復号映像信号を生成する。
【0071】
送信部137は、部分復号部136から供給される部分復号映像信号をHD-SDI信号の形態でモニタ114に送信する。すなわち、送信部137は、送信部135と同様に、例えば、部分復号映像信号の入力形態がパラレル信号である場合にはパラレル−シリアル変換処理などの部分復号映像信号をHD-SDI信号の形態に変換する処理を実行する。
【0072】
これにより、コンテンツ記録再生装置112からHD-SDI信号の形態で送信された部分復号映像信号(図4ではモニタ出力とも表現している)は、モニタ114に送信される。
【0073】
モニタ114は、モニタ113と同様に、入力される映像信号に対応する画像を画面に表示させる。モニタ114は、受信部146およびディスプレイ147を含むようにして構成される。
【0074】
受信部146は、HD-SDI信号の形態でコンテンツ記録再生装置112から送信される部分復号映像信号を受信して、ディスプレイ147に供給する。このとき、受信部146は、必要に応じて部分復号映像信号の形態を変換する処理、例えば、シリアル−パラレル変換処理などを適宜実行する。
【0075】
ディスプレイ147は、受信部146から供給される部分復号映像信号に対応する部分復号画像を画面に表示する。すなわち、ディスプレイ147の画面に表示されている部分復号画像は、部分復号映像信号に対応する画像であって、部分的に復号されている画像であるので、暗号化されている画像と、復号されている画像とが混在する画像となる。
【0076】
次に、図5乃至図15を参照して、上述した、ベースバンドの暗号化映像信号を部分的に復号させる機器の詳細な例として、図4のコンテンツ編集システム101を構成する機器の1つである、コンテンツ記録再生装置112について説明する。
【0077】
図5は、コンテンツ記録再生装置112の構成を示すブロック図である。なお、図5のコンテンツ記録再生装置112は、図4のコンテンツ編集システム101を構成するコンテンツ記録再生装置112を抜き出して表現しているので、図4と対応する部分については、同一の符号が付してあり、処理が同じ部分に関しては、その説明は繰り返しになるので省略する。
【0078】
図5の例に示すように、コンテンツ記録再生装置112には、暗号化映像信号(図5では、SMPTE427で暗号化されたHD-SDIストリームと表現している)が入力され、コンテンツ記録再生装置112によって、上述した所定の処理が行われることによって、部分復号映像信号(図5では、部分的に復号されたHD-SDIストリームと表現している)と暗号化映像信号(図5では、SMPTE427で暗号化されたHD-SDIストリームと表現している)が出力される。
【0079】
これにより、コンテンツ記録再生装置112に入力される映像信号、またはコンテンツ記録再生装置112から出力される映像信号は、暗号化が施されている暗号化映像信号または部分復号映像信号となるので、その映像信号を一構成要素とするコンテンツの機密性を守ることができる。さらに、部分復号映像信号は、機密性を守りたい映像信号の画像の一部だけが復号されているので、機密性と開示性とを両立させることができる。
【0080】
具体的には、コンテンツ記録再生装置112は、図5の例では、入力される暗号化映像信号を映像信号に復号して元に戻してから記録し、その記録されている映像信号を出力するとき、再度映像信号を暗号化する。このとき、コンテンツ記録再生装置112においては、部分復号部136は、例えばAES復号などを利用して、その再度暗号化された暗号化映像信号における画像を構成する画素のうちの、あらかじめ定められた画素だけを部分的に復号することにより、部分復号映像信号を出力することになる。
【0081】
ここで、この暗号化映像信号を部分的に復号する処理を行う、部分復号部136のより詳細な構成について説明する。
【0082】
図6は、部分復号部136の詳細な構成を示すブロック図である。
【0083】
部分復号部136は、復号部151、ディレイ調整部152、選択部153、および判定部154を含むようにして構成される。
【0084】
復号部151は、暗号化部134から供給される暗号化映像信号を復号する。復号部151は、復号されて元の状態に戻された映像信号を選択部153に供給する。
【0085】
ディレイ調整部152は、暗号化部134から供給される暗号化映像信号を、所定の時間遅らせることにより、遅延した暗号化映像信号を選択部153に供給する。これにより、部分復号部136では、復号部151により出力される復号されて元の状態に戻された映像信号と、ディレイ調整部152により出力される暗号化映像信号とは、選択部153に同期して入力することになる。
【0086】
選択部153には、復号部151からの復号されて元の状態に戻された映像信号と、ディレイ調整部152からの遅延された暗号化映像信号の他に、判定部154から復号されて元に状態に戻された映像信号を選択させるための信号(以下、その信号を“DECRYPTION_ON”とも称する)が供給される。換言すれば、DECRYPTION_ONは、選択部153に対して、復号部151とディレイ調整部152から供給される2種類の映像信号のうちの、いずれか一方を選択させるための信号である。
【0087】
したがって、選択部153は、判定部154から供給されるDECRYPTION_ONに基づいて、同期して入力される、復号されて元の状態に戻された映像信号と、暗号化映像信号のうちのいずれか一方を選択する。選択部153は、選択した映像信号(すなわち、部分復号映像信号)を送信部137に供給する。
【0088】
判定部154は、あらかじめ定められた部分的に復号を行う領域を関する情報(以下、復号パターンと称する)にしたがって、暗号化部134から供給される暗号化映像信号における画像を構成する画素のうち、復号を行う所定の画素を判定する。判定部154は、その判定の結果に応じて、DECRYPTION_ONを選択部153に供給する。
【0089】
また、判定部154には、例えば、選択部153に入力される2種類の映像信号(復号部151からの復号されて元の状態に戻された映像信号と、ディレイ調整部152からの暗号化映像信号)に対して、垂直方向の同期をとるための垂直同期信号を示すV(以下、垂直同期信号Vと称する)と、水平方向の同期をとるための水平同期信号を示すH(以下、水平同期信号Hと称する)の他に、捜査の順に各ラインに対して付された番号を示すLine Numberなどの、選択部153に入力される2種類の映像信号と同期をとるための情報が入力される。これにより、選択部153に入力される2種類の映像信号と、判定部154から出力されるDECRYPTION_ONは同期することになる。
【0090】
次に、図7のフローチャートを参照して、図5のコンテンツ記録再生装置112による、コンテンツ記録再生の処理について説明する。
【0091】
コンテンツ記録再生装置112は、例えば、コンテンツ再生装置111からのコンテンツを受信したとき、図7のフローチャートの処理を各部に実行させる。
【0092】
ステップS11において、受信部131は、HD-SDI信号の形態でコンテンツ再生装置111からの暗号化映像信号(例えば図5のSMPTE472で暗号化されたHD-SDIストリーム)を受信し、その暗号化映像信号に対して、必要に応じて、例えばシリアル−パラレル変換処理などの暗号化映像信号の形態を変換する処理を施す。受信部131は、その所定の処理を施した暗号化映像信号を復号部132に供給する。
【0093】
ステップS12において、復号部132は、受信部131からの暗号化映像信号を、例えばAES復号などを利用して復号し、その復号されて元の状態に戻された映像信号をコンテンツ記録再生部133に供給する。
【0094】
ステップS13において、コンテンツ記録再生部133は、復号部132から供給される映像信号を一構成要素として構成されるコンテンツを記録する。これにより、コンテンツ記録再生装置112は、コンテンツ再生装置111から送信されるコンテンツを受信して記録したことになる。
【0095】
ステップS14において、コンテンツ記録再生部133は、例えばユーザによる所定の操作によって、コンテンツの再生が指示されたか否かを判定する。
【0096】
ステップS14において、コンテンツの再生が指示されていないと判定された場合、ステップS14に戻り、上述した処理が繰り返される。すなわち、ユーザによって、コンテンツ記録再生装置112に記録されているコンテンツを再生するための所定の操作がされ、ステップS14において、コンテンツの再生が指示されたと判定されるまで、ステップS14の処理が繰り返される。
【0097】
その後、ステップS14において、コンテンツの再生が指示されたと判定された場合、ステップS15において、コンテンツ記録再生部133は、自分が記録しているコンテンツを再生し、そのコンテンツの一構成要素である映像信号を暗号化部134に供給する。
【0098】
ステップS16において、暗号化部134は、コンテンツ記録再生部133から供給される映像信号を、例えばAES暗号などを利用して暗号化し、その暗号化された暗号化映像信号を送信部135または部分復号部136に供給する。
【0099】
ステップS17において、送信部135は、暗号化部134からの暗号化映像信号に対して、例えば、暗号化映像信号の入力形態がパラレル信号である場合にはパラレル−シリアル変換処理などの暗号化映像信号をHD-SDI信号の形態に変換する処理を施す。送信部135は、その所定の処理を施したHD-SDIの形態となる暗号化映像信号(例えば図5のSMPTE472で暗号化されたHD-SDIストリーム)を他の装置(図示せず)に送信する。これにより、コンテンツ記録再生装置112は、そのコンテンツの内容を確認することのできない完全に暗号化された暗号化映像信号を図示せぬ他の装置に送信することになる。
【0100】
ステップS18において、部分復号部136は、暗号化部134からの暗号化映像信号を、例えばAES復号などを利用して部分的に復号し、その部分的に復号された部分復号映像信号を送信部137に供給する。
【0101】
ここで、図8のフローチャートを参照して、図7のステップS18の処理に対応する、図6の部分復号部136による部分復号処理の詳細について説明する。
【0102】
ステップS31において、復号部151は、暗号化部134からの暗号化映像信号を、例えばAES復号などを利用して復号し、その復号されて元の状態に戻された映像信号を選択部153に供給する。
【0103】
ステップS32において、ディレイ調整部152は、暗号化部134からの暗号化映像信号を、復号部151から出力される復号されて元に戻された映像信号と同期するように遅延させ、遅延した暗号化映像信号を選択部153に供給する。
【0104】
ステップS33において、判定部154は、あらかじめ定められた復号パターンにしたがって、選択部153に同期して入力された2種類の映像信号における画像を構成する画素が、暗号化部134から供給される暗号化映像信号における画像を構成する画素において、部分復号を行う画素であるかを判定する。
【0105】
ステップS33において、部分復号を行う画素であると判定された場合、ステップS34において、判定部154は、その判定の結果に応じて、DECRYPTION_ONを選択部153に出力する。
【0106】
具体的には、例えば、判定部154は、図9の例に示すように、暗号化部134から供給される暗号化映像信号に対応する画像のうち、正面から見て右側半分の画像が復号された画像(以下、復号画像とも称する)であり、左側半分の画像が復号せずに暗号化されたままの画像(以下、暗号化画像とも称する)である復号パターンにしたがって、選択部153に同期して入力される2種類の映像信号における画像を構成する画素が、図9の復号画像である右側半分の画像の領域内の画素であるかを判定し、右側半分の画像の領域内の画素であると判定された場合、DECRYPTION_ONを選択部153に出力する。
【0107】
また、例えば、判定部154は、図10の例に示すように、暗号化部134から供給される暗号化映像信号に対応する画像のうち、正面から見て下側半分の画像が復号された復号画像であり、上側半分の画像が復号せずに暗号化されたままの暗号化画像である復号パターンにしたがって、選択部153に同期して入力される2種類の映像信号における画像を構成する画素が、図10の復号画像である下側半分の画像の領域内の画素であるかを判定し、下側半分の画像の領域内の画素であると判定された場合、DECRYPTION_ONを選択部153に出力する。
【0108】
さらにまた、例えば、判定部154は、図11の例に示すように、復号画像と暗号化画像とが混在する復号パターンにしたがって、選択部153に同期して入力される2種類の映像信号における画像を構成する画素が、図11の復号画像の領域内の画素であるかを判定し、復号画像の領域内の画素であると判定された場合、DECRYPTION_ONを選択部153に出力する。
【0109】
具体的には、図11で示される例においては、図中左側の画像では、復号されている復号画像と、復号されていない暗号化画像とが混在しており、それらの画像を拡大した画像が図中右側の画像となる。図中右側の拡大された画像は、図中左側の画像における所定の領域である、縦9(ライン)×横9(ピクセル)の領域を拡大した画像であり、その画像は、ハッチングが施されている復号されていない暗号化画像(暗号化されている画素)と、ハッチングが施されていない復号された復号画像(復号された画素)からなる画像である。
【0110】
すなわち、判定部154は、図11の復号パターンにしたがって、選択部153に同期して入力される2種類の映像信号における画像を構成する画素が、図11の復号画像を構成する画素であるかを判定し、復号画像を構成する画素であると判定された場合、その画素に関しては復号された画素を選択させるために、DECRYPTION_ONを選択部153に出力する。
【0111】
なお、図9乃至図11などに示すような復号パターンを判定部154に提供する方法であるが、例えば、判定部154があらかじめ保持しておくようにしてもよいし、その他、例えば、暗号化部134から供給される暗号化映像信号の一部として判定部154に提供したり、外部の機器から判定部154に提供するなど、復号パターンを判定部154に提供できる方法であればよい。
【0112】
図8のフローチャートに戻り、一方、ステップS33において、部分復号を行う画素ではないと判定された場合、判定部154は、DECRYPTION_ONを選択部153に出力せずに、ステップS34の処理をスキップして、ステップS35に進む。
【0113】
ステップS35において、選択部153は、判定部154から出力されるDECRYPTION_ONに基づいて、復号部151からの復号されて元に戻された映像信号、またはディレイ調整部152からの暗号化映像信号のいずれか一方を選択する。具体的には、例えば、選択部153は、映像信号と暗号化映像信号との2種類の映像信号のうち、判定部154からDECRYPTION_ONが入力された場合には復号されて元に戻された映像信号を選択し、そのDECRYPTION_ONが入力されなかった場合には暗号化映像信号を選択する。
【0114】
ステップS36において、選択部153は、2種類の映像信号のうち、選択した映像信号を送信部137に出力して、図6の部分復号部136による部分復号処理は終了する。これにより、選択部153から送信部137に供給される映像信号は、判定部154からDECRYPTION_ONが入力された場合、復号されて元の状態に戻された映像信号となり、DECRYPTION_ONが入力されなかった場合、暗号化されたままの暗号化映像信号となる、すなわち、部分的に復号された部分復号映像信号となる。
【0115】
図7のフローチャートに戻り、ステップS19において、送信部137は、部分復号部136から供給される部分復号映像信号に対して、例えば、部分復号映像信号の入力形態がパラレル信号である場合にはパラレル−シリアル変換処理などの符号化映像信号をHD-SDI信号の形態に変換する処理を施す。送信部137は、その所定の処理を施したHD-SDIの形態となる部分復号映像信号(例えば図5の部分的に復号されたHD-SDIストリーム)をモニタ114に送信する。
【0116】
これにより、例えばモニタ114へ出力される部分復号映像信号に対応する部分復号画像は、部分的な復号によりその一部が開示されている画像であるので、ユーザは、その画像の開示されている部分の画像を見てコンテンツの内容を確認することができる。また、部分復号画像のうちの、部分的な復号が行われていない部分の画像に関しては、暗号化された画像がそのまま表示されるので、ユーザは、その画像が暗号化によって保護されていることも同時に確認することができる。
【0117】
ステップS20において、コンテンツ記録再生部133は、自分の記録しているコンテンツの再生が終了したか否かを
判定する。
【0118】
ステップS20において、コンテンツの再生を終了していないと判定された場合、ステップS15に戻り、上述した、ステップS15乃至ステップS20の処理が実行されることで、部分復号部136では、暗号化部134からの暗号化映像信号は、例えば、図9乃至図11のうちのいずれかの復号パターンにしたがって部分復号される。そして、例えば、ユーザの操作によってコンテンツの再生の停止が指示されたり、再生しているコンテンツ自身が終了するなどして、ステップS20において、コンテンツの再生が終了したと判定されるまで、ステップS20の処理が繰り返される。
【0119】
その後、ステップS20において、コンテンツの再生が終了したと判定された場合、図5のコンテンツ記録再生装置112による、コンテンツ記録再生の処理は終了する。
【0120】
なお、このコンテンツ記録再生装置112から出力される部分復号映像信号を受信したモニタ114は、その部分復号映像信号に対応する部分復号画像をディスプレイ147の画面に表示させる。このとき、ディスプレイ147の画面には、例えば図9乃至図11に示す復号パターンなどのように、所定の領域を部分復号された画像が表示される。
【0121】
また、部分復号画像を表示させる機器は、モニタ114に限らず、例えばコンテンツ記録再生装置112にモニタ機能を設けることで、コンテンツ記録再生装置112自身が部分復号画像を表示させるようにしてもよい。
【0122】
以上のように、コンテンツ記録再生装置112においては、部分復号部136は、暗号化部134からの暗号化映像信号に対応する画像のうちの、所定の領域の画像を部分的に復号することで、部分復号映像信号を出力するので、ユーザは、その部分復号画像を見ることで、コンテンツの内容を確認することができる。
【0123】
ところで、部分復号部136による部分復号処理では、次の3つの条件を満たしていることが望ましい。すなわち、部分復号処理を施された画像は、1つ目として、コンテンツの内容を全画面に渡りおおまかに確認することができる点、2つ目として、暗号化されている画像を確認することができる点、3つ目として、映像信号特有の性質である、水平方向または垂直方向や、時間軸方向の相関を利用しての補正がされにくい点を満たしていることが理想である。
【0124】
そこで、次に、図12乃至図15を参照して、これらの3つの条件を満たしている復号パターンを採用した、部分復号部136による部分復号の処理の例について説明する。まず、図12を参照して、これらの3つの条件を満たしている復号パターンについて説明する。
【0125】
図12に示される例においては、図中左側は、上述した3つの条件を満たしている復号パターンを表現し、図中右側は左側の復号パターンにおける、復号されている復号画像と復号されていない暗号化画像とが混在している画像(以下、混在画像と称する)の一部を拡大したパターン(以下、拡大復号パターンと称する)を表現している。
【0126】
図12の復号パターンにおける水平方向においては、暗号化画像と混在画像とは、例えば120ピクセルなどの所定の間隔で繰り返し並んでいる。また、図中左側の拡大復号パターンに示されるように、混在画像は、垂直方向においては、例えば8ラインごとに、ハッチングが施された復号を行わない暗号化されたままの画素からなるブロックと、ハッチングが施されていない復号を行って元の状態に戻された画素とハッチングが施された暗号化されたままの画素とが水平方向に、例えば2ピクセルなどの所定の間隔で繰り返し並んでいる画素からなるブロックと、が繰り返し並んでいる。
【0127】
これにより、図12の復号パターンでは、全画面の1/8しか復号していないことになるが、ユーザは、コンテンツの内容を全画面に渡りおおまかに確認することができるとともに、暗号化されていることも確認することができる。また、この復号パターンでは、水平方向、垂直方向とも、ある程度大きな単位(例えば、水平方向の120ピクセルや、垂直方向の8ラインなど)で復号されていない部分が存在するので、例えば悪意のある人物が、これを映像信号の性質を利用して補間を行おうとしても歪みが大きくなってしまい、クオリティの低い映像しか再現することができない。したがって、図12の復号パターンは、上述した3つの条件を満たしていることになる。
【0128】
次に、図13のタイミングチャートを参照して、部分復号部136によって、図12復号パターンが採用されたときの判定部154の動作について説明する。
【0129】
HD(一般的には、Hと称されることもあるが、ここではHDと称する)は、水平同期信号であり、上述した、図6の水平同期信号Hに相当する。すなわち、判定部154に入力されるHDのレベルがローレベル(以下、適宜、単に「L」と記述する)となるとき、その期間は、水平ブランキング(H-Blanking)期間を示している。一方、HDのレベルがハイレベル(以下、適宜、単に「H」と記述する)となるとき、その期間は、画面に表示される画像に対応する映像信号が入力されることになる。換言すれば、図12の例では、復号パターンは、横のピクセル数は1920ピクセルであるので、図13では、HDのレベルが「H」となる期間は、復号パターンにおける水平方向の1920ピクセルと一致する。
【0130】
HDのレベルが「H」である期間においては、Pixel Counterは8乃至127の値、すなわち、ピクセルの数を120ピクセル単位でカウントする。図13で示されるPixel Counter値の例のおいて、Pixel Counter値が127となったとき、図12で示される暗号化画像と混在画像とが切り替わるので、Pixel Counter値は、127から8に変化している。
【0131】
Pixel Counter[1]は、「H」と「L」とを2ピクセル単位で繰り返す。すなわち、図13で示されるPixel Counter[1]が「H」となるとき、図12で示される混在画像ではその画素は復号され、図13で示されるPixel Counter[1]が「L」となるとき、図12で示される混在画像ではその画素は復号されずに暗号化されたままの画素となる。
【0132】
なお、Pixel Counter[1]における[]の数字であるが、これは、図12の復号パターンでは、水平方向のピクセル数はトータル1920ピクセルであるので、210 < 1920 < 211 となり、これを数えるためには、11ビットのカウンタが必要になる。このカウンタの値を2進数で表記する場合、Pixel Counter[10:0]のように表記される。したがって、この場合、例えば、Pixel Counter[3]とは、11ビットのカウンタのうちの3ビットを示している。また、Pixel Counterなどの信号名称の後ろに、[]の数字が表記されていない場合、それは、全ビットをまとめた束で扱っていることを示している。またこのような[]の数字の表記は後述する信号名称でも同様とされる。
【0133】
Blk Counterは、120ピクセルを1ブロックとしてカウントする。すなわち、図12の例では、復号パターンは、横のピクセル数は1920ピクセルであるので、Blk Counterは、1920/120=16、すなわち、0乃至15の値となる。
【0134】
Blk Counter[0]は、「H」と「L」とを1ブロック(120ピクセル)単位で繰り返す。すなわち、図13で示されるBlk Counter[0]が「H」となるとき、図12で示される復号パターンでは混在画像となり、図13で示されるBlk Counter[0]が「L」となるとき、図12で示される復号パターンでは暗号化画像となる。
【0135】
PIXEL_SELは、Pixel Counter[1]が「H」、かつ、Blk Counter[0]が「H」となるとき、そのレベルは「H」となり、それ以外のとき、そのレベルは「L」となる。すなわち、図13で示されるPIXEL_SELが「H」となるとき、図12で示される復号パターンではその画素は復号され、図13で示されるPIXEL_SELが「L」となるとき、図12で示される復号パターンではその画素は復号されずに暗号化されたままとなる。
【0136】
より具体的には、図13で示される例において、Pixel Counterを最初に省略するまでの区間である第1の区間において、Pixel Counter値が10の区間と11の区間では、Pixel Counter[1]が「H」となっているが、Blk Counter値が0の区間では、Blk Counter[0]が「L」となっているので、PIXEL_SELは「L」となる。
【0137】
第1の区間から次にPixel Counterを省略するまでの区間である第2の区間において、Pixel Counter値が8の区間と9の区間では、Pixel Counter[1]が「L」となり、Blk Counter値が1の区間では、Blk Counter[0]が「H」となっているので、PIXEL_SELは「L」となる。また、第2の区間において、Pixel Counter値が10の区間と11の区間では、Pixel Counter[1]が「H」となり、Blk Counter値が1の区間では、Blk Counter[0]が「H」となっているので、PIXEL_SELは「H」となる。
【0138】
第2の区間から次にPixel Counterを省略するまでの区間である第3の区間において、Pixel Counter値が8の区間と9の区間では、Pixel Counter[1]が「L」となり、Blk Counter値が2の区間では、Blk Counter[0]が「L」となっているので、PIXEL_SELは「L」となる。また、第3の区間において、Pixel Counter値が10の区間と11の区間では、Pixel Counter[1]が「H」となり、Blk Counter値が2の区間では、Blk Counter[0]が「L」となっているので、PIXEL_SELは「L」となる。
【0139】
また、第1の区間乃至第3の区間と同様に、第3の区間から次にPixel Counterを省略するまでの区間である第4の区間、第4の区間から次にPixel Counterを省略するまでの区間である第5の区間、第5の区間から次にPixel Counterを省略するまでの区間である第6の区間、第6の区間から次にPixel Counterを省略するまでの区間である第7の区間、第7の区間以降の第8の区間のそれぞれにおいても、PIXEL_SELは、Pixel Counter[1]とBlk Counter[0]のレベルによって、「H」か「L」のいずれかのレベルとなる。
【0140】
このように、判定部154は、Pixel Counter[1]が「H」、かつ、Blk Counter[0]が「H」となるとき、PIXEL_SELのレベルを「H」とすることで、PIXEL_SELのレベルとして、「H」か「L」のいずれかを生成する。これにより、例えば、図12の復号パターンの水平方向においては、暗号化画像と混在画像とが120ピクセルごとに繰り返され、さらに、その混在画像の水平方向においては、暗号化された画素と復号されて元の状態に戻された画素とが2ピクセルごとに繰り返される。
【0141】
また、このPIXEL_SELのレベルに基づいて、判定部154はDECRYTION_ONを選択部153に出力することになるが、次に、図14を参照して、その判定部154の詳細な構成について説明する。
【0142】
判定部154は、論理回路161を含むようにして構成される。判定部154の論理回路161には、PIXEL_SEL,LINE_NO[3],VDが入力される。論理回路161は、入力されるPIXEL_SEL,LINE_NO[3],VDに基づいて、論理演算を行って、その論理演算の結果に応じて、DECRYTION_ONを選択部153に出力する。
【0143】
ここで、論理回路161に入力される信号であるが、PIXEL_SELは、図13のPIXEL_SELに相当し、上述したように、そのレベルは「H」または「L」、すなわち、「1」または「0」となる。したがって、ある画素に対するPIXEL_SELにおいては、「1」となるとき、その画素は復号されることを示し、「0」となるとき、その画素は復号されずに暗号化されたままであることを示す。
【0144】
また、LINE_NO[3]は、水平方向の復号の有無を示しているPIXEL_SELに対する、垂直方向の復号の有無を示し、そのレベルは、「1」または「0」となる。したがって、ある画素に対するLINE_NO[3]においては、「1」となるとき、その画素は復号される画素であることを示し、「0」となるとき、その画素は復号されずに暗号化されたままの画素であることを示す。
【0145】
例えば、図15は、図12の拡大復号パターンの詳細を示しているが、拡大復号パターンの左側に付された、0から40までの数字は、図6のLine Numberに相当する。拡大復号パターンは、図15の例では、8乃至15,24乃至31,・・・の8ラインごとに復号されているので、それに対応してLINE_NO[3]は、8乃至15,24乃至31,・・・となるとき、「1」となる。逆に、拡大復号パターンは、図15の例では、0乃至7,16乃至23,32乃至39,・・・の8ラインごとに復号されずに暗号化されたままとなっているので、それに対応してLINE_NO[3]は、0乃至7,16乃至23,32乃至39,・・・となるとき、「0」となる。
【0146】
VD(一般的には、Vと称されることもあるが、ここではVDと称する)は、フレームの区切りを示す垂直同期信号であり、上述した、図6の垂直同期信号Vに相当する。すなわち、論理回路161に入力されるVDのレベルが「L」、すなわち、「0」となるとき、その期間は、垂直ブランキング(V-Blanking)期間を示している。一方、VDのレベルが「H」、すなわち、「1」となるとき、その期間は、画面に表示される画像に対応する映像信号が入力されることになる。
【0147】
そして、論理回路161は、これらのPIXEL_SEL,LINE_NO[3],VDがそれぞれ、PIXEL_SEL==1、かつ、LINE[3]==1、かつ、VD==0となるとき、DECRYTION_ONを選択部153に出力する。なお、論理回路161への入力のうち、VDの入力だけは「○」で表現されているので、その入力は論理否定演算を示している。
【0148】
すなわち、判定部154においては、論理回路161は、0乃至7の8ラインではDECRYTION_ONを出力せず、8乃至15の8ラインでは2ピクセルおきにDECRYTION_ONを選択部153に出力し、16乃至23の8ラインではDECRYTION_ONを出力せず、24乃至31の8ラインでは2ピクセルおきにDECRYTION_ONを選択部153に出力し、32乃至39の8ラインではDECRYTION_ONを出力しないことになる。
【0149】
そして、選択部153は、判定部154からのDECRYTION_ONに基づいて、DECRYTION_ONが入力されたとき、復号部151からの復号されて元の状態に戻された映像信号における画像を構成する画素を選択し、DECRYTION_ONが入力されなかったとき、ディレイ調整部152からの暗号化映像信号における画像を構成する画素を選択し、それらの選択した部分復号映像信号における画像を構成する画素を送信部137に供給する。送信部137は、選択部153からの部分復号映像信号を、例えば、モニタ114に送信する。
【0150】
これにより、モニタ114は、例えば、コンテンツ記録再生装置112から受信した部分映像信号に対応する部分復号画像をディスプレイ147の画面に表示させる。
【0151】
なお、復号パターンは、上述した、図9乃至図12の復号パターンの他にも、例えば、縦8(ピクセル)×横8(ピクセル)単位で復号するブロックと、復号しないブロックとをフレーム単位でランダムに発生させる復号パターンなど、種々の復号パターンを採用することができる。また、暗号化の方式として、SMPTE 427Mを採用した場合、図9乃至図12の復号パターンのような、水平方向と垂直方向のそれぞれに対して単純な復号パターンとしたほうが比較的小さな回路規模で実現することができる。
【0152】
以上のように、本実施の形態の構成を用いることによって、コンテンツの内容を部分的に確認することが可能となるので、ユーザは、例えば、編集ポイントの設定、プリロールによる編集ポイントの確認、編集後の結果の確認などを行うことができる。
【0153】
また、例えばモニタ114へ出力された部分復号映像信号は、部分的な復号だけしかなされていないので、コンテンツの内容を確認できるレベルの画像でしかなく、その部分復号映像信号をそのままコピーしたとしても、価値のあるコンテンツを得ることはできない。また、暗号化映像信号における画像を構成する画素に対して適当な部分復号処理を施すことで、その部分復号映像信号をフレーム間相関やライン相関などを用いて加工し、そこから価値のあるコンテンツを得ようとしても、価値のあるコンテンツの取得を防止することが可能となる。
【0154】
さらにまた、部分復号映像信号のうち、部分復号の行われていない部分に関しては暗号化された画像がそのまま表示されるので、部分復号画像が暗号化によって保護されていることも同時に確認することができる。
【0155】
すなわち、本実施の形態の構成を用いることで、コンテンツ保護の機能を損なうことなく、暗号化されたコンテンツの内容の確認と、コンテンツが暗号化されていることの確認が可能となり、例えば、モニタリングなどの、従来どおりのワークフローを踏襲することができる。
【0156】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに、プログラム記録媒体からインストールされる。
【0157】
図16は、上述した一連の処理をプログラムにより実行するパーソナルコンピュータの構成の例を示すブロック図である。CPU(Central Processing Unit)211は、ROM(Read Only Memory)212、または記録部218に記録されているプログラムに従って各種の処理を実行する。RAM(Random Access Memory)213には、CPU211が実行するプログラムやデータなどが適宜記憶される。これらのCPU211、ROM212、およびRAM213は、バス214により相互に接続されている。
【0158】
CPU211にはまた、バス214を介して入出力インターフェース215が接続されている。入出力インターフェース215には、マイクロホンなどよりなる入力部216、ディスプレイ、スピーカなどよりなる出力部217が接続されている。CPU211は、入力部216から入力される指令に対応して各種の処理を実行する。そして、CPU211は、処理の結果を出力部217に出力する。
【0159】
入出力インターフェース215に接続されている記録部218は、例えばハードディスクからなり、CPU211が実行するプログラムや各種のデータを記録する。通信部219は、インターネットやローカルエリアネットワークなどのネットワークを介して外部の装置と通信する。
【0160】
また、通信部219を介してプログラムを取得し、記録部218に記録してもよい。
【0161】
入出力インターフェース215に接続されているドライブ220は、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリなどのリムーバブルメディア221が装着されたとき、それらを駆動し、そこに記録されているプログラムやデータなどを取得する。取得されたプログラムやデータは、必要に応じて記録部218に転送され、記録される。
【0162】
コンピュータにインストールされ、コンピュータによって実行可能な状態とされるプログラムを格納するプログラム記録媒体は、図16に示すように、磁気ディスク(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク(CD-ROM(Compact Disc-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク、もしくは半導体メモリなどよりなるパッケージメディアであるリムーバブルメディア221、または、プログラムが一時的もしくは永続的に格納されるROM212や、記録部218を構成するハードディスクなどにより構成される。プログラム記録媒体へのプログラムの格納は、必要に応じてルータ、モデムなどのインターフェースである通信部219を介して、ローカルエリアネットワーク、インターネット、デジタル衛星放送といった、有線または無線の通信媒体を利用して行われる。
【0163】
なお、本明細書において、記録媒体に格納されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
【0164】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0165】
さらに、本発明の実施の形態は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0166】
【図1】従来のコンテンツ編集システムの構成を示すブロック図である。
【図2】従来のコンテンツ編集システムの他の構成を示すブロック図である。
【図3】従来のコンテンツ編集システムのさらに他の構成を示すブロック図である。
【図4】本発明を適用したコンテンツ編集システムの一実施の形態の構成を示すブロック図である。
【図5】コンテンツ記録再生装置の構成を示すブロック図である。
【図6】部分復号部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図7】図5のコンテンツ記録再生装置による、コンテンツ記録再生の処理について説明するフローチャートである。
【図8】図6の部分復号部による部分復号処理の詳細について説明するフローチャートである。
【図9】復号パターンの例を示す図である。
【図10】復号パターンの例を示す図である。
【図11】復号パターンの例を示す図である。
【図12】復号パターンの例を示す図である。
【図13】図12の復号パターンを採用したときの、図6の判定部の動作の例を説明するタイミングチャートである。
【図14】図6の判定部の詳細な構成を示すブロック図である。
【図15】図12の拡大復号パターンの例の詳細を説明するブロック図である。
【図16】本発明が適用されるプログラムを実行するパーソナルコンピュータの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0167】
101 コンテンツ編集システム, 111 コンテンツ再生装置, 112 コンテンツ記録再生装置, 113 モニタ, 114 モニタ, 121 コンテンツ再生部, 122 暗号化部, 123 送信部, 124 部分復号部, 125 送信部, 131 受信部, 132 復号部, 133 コンテンツ記録再生部, 134 暗号化部, 135 送信部, 136 部分復号部, 137 受信部, 141 受信部, 142 ディスプレイ, 146 受信部, 147 ディスプレイ, 151 復号部, 152 ディレイ調整部, 153 選択部, 154 判定部, 161 論理回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の方式にしたがって暗号化されているベースバンドの映像信号である第1の映像信号を復号する復号手段と、
復号により得られた前記第2の映像信号と同期するように、前記第1の映像信号を遅延させる遅延手段と、
あらかじめ定められた復号パターンにしたがって、前記第1の映像信号における画像を構成する第1の画素を復号するか否かを判定する判定手段と、
前記第1の画素を復号すると判定された場合、前記第1の映像信号の第1の画素を復号して得られた前記第2の映像信号における画像を構成する第2の画素を選択し、前記第1の画素を復号しないと判定された場合、遅延された前記第1の映像信号の前記第1の画素を選択する選択手段と
を備え、
前記選択手段は、選択された前記第1の画素または前記第2の画素を出力する
復号装置。
【請求項2】
前記復号パターンは、復号しない画素からなる第1のブロックと、復号する画素と復号しない画素が混在してなる第2のブロックとが水平方向に所定の間隔で繰り返し並んでいるパターンである
請求項1に記載の復号装置。
【請求項3】
前記第2のブロックは、垂直方向においては、復号しない画素からなる第1のラインと、復号する画素と復号しない画素とが水平方向に所定の間隔で繰り返し並んでいる第2のラインとからなる
請求項2に記載の復号装置。
【請求項4】
前記所定の方式は、AES(Advanced Encryption Standard)暗号である
請求項1に記載の復号装置。
【請求項5】
前記第1の映像信号は、SMPTE(Society of Motion Picture and Television Engineers)427M「Link Encryption for 1.5Gb/s1 Serial Digital Interface」にしたがって暗号化されており、
前記復号手段は、前記SMPTE 427Mにしたがってその処理を実行する
請求項1に記載の復号装置。
【請求項6】
所定の方式にしたがって暗号化されているベースバンドの映像信号である第1の映像信号を復号し、
復号により得られた前記第2の映像信号と同期するように、前記第1の映像信号を遅延させ、
あらかじめ定められた復号パターンにしたがって、前記第1の映像信号における画像を構成する第1の画素を復号するか否かを判定し、
前記第1の画素を復号すると判定された場合、前記第1の映像信号の第1の画素を復号して得られた前記第2の映像信号における画像を構成する第2の画素を選択し、前記第1の画素を復号しないと判定された場合、遅延された前記第1の映像信号の前記第1の画素を選択し、選択された前記第1の画素または前記第2の画素を出力する
ステップを含む復号方法。
【請求項7】
所定の方式にしたがって暗号化されているベースバンドの映像信号である第1の映像信号を復号し、
復号により得られた前記第2の映像信号と同期するように、前記第1の映像信号を遅延させ、
あらかじめ定められた復号パターンにしたがって、前記第1の映像信号における画像を構成する第1の画素を復号するか否かを判定し、
前記第1の画素を復号すると判定された場合、前記第1の映像信号の第1の画素を復号して得られた前記第2の映像信号における画像を構成する第2の画素を選択し、前記第1の画素を復号しないと判定された場合、遅延された前記第1の映像信号の前記第1の画素を選択し、選択された前記第1の画素または前記第2の画素を出力する
ステップを含む処理をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2007−329835(P2007−329835A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−161086(P2006−161086)
【出願日】平成18年6月9日(2006.6.9)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】