説明

微粒子の製造方法及び装置

【課題】 均一なサブミクロンサイズの微粒子結晶を、凝集防止剤を使用しても少しの使用で連続的に生成できる製法と装置を提供する。
【解決手段】 有機化合物の微粒子を製造する方法であって、該有機化合物を溶解した良溶媒溶液6と、それと無限希釈可能な貧溶媒7とをマイクロリアクターにより混合して微粒子15を連続的に析出させ、前記マイクロリアクター内で、生成した析出微粒子を含む混合液にパルスレーザーを照射14することにより、有機化合物の結晶を得るものであり、有機化合物は、実質的に水に不溶の薬理活性物質であり、該有機化合物の結晶は、直径10ナノメートルから500ナノメートルであり、前記貧溶媒が、良溶媒と同種であってその水希釈液体であるのがよく、照射するパルスレーザーは波長が赤外領域にあるのがよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液相中で大きさが均一な有機化合物のナノ粒子を生成する方法に関し、特に、水に実質的に不溶性の薬理活性物質を含む有機化合物の安定なサブミクロンサイズの粒子の製造方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高薬理活性薬物は、水に対して溶解度が低いものが多く生体に吸収されにくい。そのため、低い生物利用効率(Bio Availability; BA)を見込んで多量投与するか、又は、多くの場合、生体に有害な溶解補助剤を用いる必要があり、それらに起因する薬の副作用が問題であった。薬物をサブミクロンサイズにすることができれば、薬物の表面積がミクロンサイズのものに対して数十から数百倍に増大し、溶解速度が著しく向上する。また、サブミクロンサイズにすることで、静脈投与を可能とする。この場合、薬物の平均寸法が50ナノメートルから200ナノメートルの範囲であれば、毛細血管を経てがん細胞部位に特異的に取り込まれる、いわゆる標的型DDSとして有効な方法を提供する。
【0003】
有機化合物をサブミクロンサイズにする方法の一つに、機械的粉砕法がある。米国特許第5145684号明細書には、難水溶性薬物結晶を、例えば湿式ボールミルで粉砕する方法が記載されている。この方法によれば、400ナノメートル以下のサブミクロン微粒子が得られるが、一般的には凝集を防止するため、人体に有害な凝集防止剤を20wt%から90wt%(生成微粒子重量比)加える必要があること、微粒子サイズが不ぞろいであることなどから、医薬品の微細化に広く使われるには至っていない。
有機化合物をサブミクロンサイズにする別の方法として、米国特許第6835396号明細書には、高圧乳化法が記載されている。この方法は、水に不溶の有機溶媒に溶解した薬物を、界面活性剤を混入した水中に噴射し、超音波で500ナノメートル以下のサブミクロンサイズ微粒子を得るものであるが、前記の機械的粉砕法と同様に多量の凝集防止剤が必要なため、医薬品の微細化に広く使われるには至っていない。
【0004】
有機化合物をサブミクロンサイズにする別の方法として、W02004/009057号公報に記載する方法がある。この方法は、難水溶性薬物を良溶媒に溶解しておき、界面活性剤を含む水に混和させた後、超音波処理でサブミクロンサイズの結晶を得る方法であり、Kasai et al (Jpn. J. Appl. Phys., 31, L1132 (1992)) に記載された再沈法によるサブミクロン結晶生成法を改良したものである。図7に滴下再沈法による微粒子生成の原理図を示す。しかし、良溶媒溶解薬物を貧溶媒である水に混和すると、薬物濃度が一定せず、結晶が肥大化したり不揃いになりやすいため、医薬品の微細化に広く使われるには至っていない。
【0005】
有機化合物をサブミクロンサイズにする別の方法として、特開2006-263535号公報に記載する方法がある。この方法は、前記の再沈法をマイクロリアクターの瞬間混合性を利用して実現しようとするものである。マイクロリアクターを用いた反応プロセスは、析出物が流路を閉塞しやすいため、安定な生産ができず、これまで実生産への適用が見送られてきた。特に、医薬品のように、結晶形が厳しく規定されるサブミクロン粒子を積極的に生産するために適用する場合は、単純な層流混合法ではその適用範囲が限られる。例えば、再結晶化反応に必要なエネルギーを与えるための方法として、上記文献では、ヒータなどによる通常の加熱手段を示しているが、混合部位での供給エネルギー密度が低く、医薬品に必要な良質な結晶を得ることは困難である。
【特許文献1】米国特許第5145684号明細書
【特許文献2】米国特許第6835396号明細書
【特許文献3】WO2004/009057号公報
【特許文献4】特開2006−263535号公報
【非特許文献1】Jpn.J.Appl.Phys.,31,L1132(1992)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記背景技術に鑑み、均一なサブミクロンサイズの微粒子結晶を、凝集防止剤を使用しないか、わずかの使用で連続的に生成できる微粒子の製造方法と装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明では、有機化合物の微粒子を製造する方法であって、該有機化合物を溶解した良溶媒溶液と、それと無限希釈可能な貧溶媒とをマイクロリアクターにより混合して微粒子を連続的に析出させ、前記マイクロリアクター内で、生成した析出微粒子を含む混合液にパルスレーザーを照射することにより、有機化合物の結晶を得ることを特徴とする微粒子の製造方法としたものである。
前記微粒子の製造方法において、有機化合物が実質的に水に不溶の薬理活性物質であり、該有機化合物の結晶は、直径10ナノメートルから500ナノメートルであり、前記貧溶媒が、良溶媒と同種であってその水希釈液体であるのがよく、また、前記マイクロリアクターは、良溶媒及び貧溶媒の通る流路の幅、深さが、それぞれ10マイクロメートル以上1000マイクロメートル以下であり、前記マイクロリアクターは、前記混合液にパルスレーザーを照射する照射部が、該照射レーザー光に対して実質的に透明な石英ガラス製であり、前記混合液に照射するパルスレーザーは、照射波長が赤外領域にあるのがよい。
【0008】
前記パルスレーザーは、Nd:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、チタンサファイヤレーザー又は色素レーザーであり、該パルスレーザーは、パルス幅が30ナノ秒以下であり、また、該パルスレーザーの照射は、照射エネルギーを前記有機化合物の結晶前駆体である分子クラスター及び/又はアモルファス性微粒子の再結晶化エネルギー以上に与えるように設定することができる。
また、本発明では、前記微粒子の製造方法において、前記マイクロリアクターの下流に第二のマイクロリアクターを配し、上流のマイクロリアクターからの微粒子懸濁液と凝集防止剤とを該第二マイクロリアクターで混合することを特徴とする微粒子の製造方法としたものである。
前記微粒子の製造方法において、前記凝集防止剤は、アニオン性、カチオン性又はノニオン性の界面活性剤、或いは、アニオン性又はカチオン性の高分子電解質が好ましい。
【0009】
さらに、本発明では、有機化合物の微粒子を製造する装置において、該有機化合物を溶解した良溶媒溶液が通る少なくとも1本以上のマイクロ流路と、前記良溶媒と無限希釈可能な貧溶媒が通る少なくとも1本以上のマイクロ流路と、前記良溶媒溶液が通るマイクロ流路と前記貧溶媒が通るマイクロ流路とが合流して両溶媒が混合する混合造粒部とを備えたマイクロリアクターと、前記マイクロリアクターの混合造粒部にパルスレーザーを照射するパルスレーザー照射装置とを備えたことを特徴とする微粒子の製造装置としたものである。
前記微粒子の製造装置において、マイクロ流路は、流路幅及び流路深さがそれぞれ10マイクロメートル以上1000マイクロメートル以下とすることができ、さらに混合造粒部の流路幅及び流路深さもそれぞれ10マイクロメートル以上1000マイクロメートル以下とすることができる。
また、前記微粒子の製造装置において、前記マイクロリアクターの後段に流路幅及び流路深さがそれぞれ10マイクロメートル以上1000マイクロメートル以下の第2のマイクロリアクターを配備し、該第2のマイクロリアクターが、前段のマイクロリアクターの混合造粒部からの微粒子懸濁液が通るマイクロ流路と、凝集防止剤が通るマイクロ流路と、該両流路が合流して両液を混合する混合部とを備えることを特徴とする微粒子の製造装置としたものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、瞬間混合が可能なマイクロリアクター、瞬間エネルギー投入が可能なパルスレーザーを利用することにより、サイズが均一のサブミクロン薬物微粒子を連続的に生成することができた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の基本原理は、背景技術に記載した再沈法に基づくものであるが、混合過程、外部エネルギーによる結晶化促進過程、凝集防止剤混合過程をすべてマイクロリアクターの極小空間内で短時間で実現することに特徴がある。
粒子が液相中で分子レベルの原料から析出して結晶化するプロセスは、図3に示すように、(1)分子が衝突・集合を繰り返して分子クラスターを生成する、(2)次第に安定な集合状態になる、(3)ある臨界サイズ以上になると離散できず安定な核ができる、あるいはアモルファス性微粒子ができる、(4)結晶が成長する、あるいはアモルファスに外部エネルギーが与えられて結晶化した後、成長する、(5)まわりの有機化合物分子が全て結晶化し、成長がとまる。
上記において、均一なサイズの微粒子結晶が生成されるための条件は、核生成あるいはアモルファス性微粒子生成が、場全体で同時に発生し、同時に終了して成長段階に移行する、成長段階になったら核生成がおきないこと、結晶成長が同時に終了することが必要である。微粒子をサブミクロンサイズとするためには、この均一化混合過程のより厳密な制御が不可欠である。
【0012】
以下に、本発明を図面を用いて具体的に説明する。
図1に、マイクロリアクターの基本構成図を示す。マイクロリアクターには、A液入口1、B液入口2、反応液出口4があり、いずれも幅1mm以下の流路で構成されている。A液、B液は流路合流部3で混合するが、流路幅を小さくすることにより、流れ場全体を層流とすること、A液とB液の界面の速度差を可能な限り少なくし、渦発生を抑えて拡散混合を生じさせることが重要である。混合渦が生じると、A液とB液の混合濃度が場所ごとに変化して、均一な反応が生じなくなる。従って、上述のように、A液とB液の流速は、原則的に同速とし、円形又は矩形管内の流れの層流指標であるレイノルズ数Re=V・de/ν(Vは流路流速、deは流路水力直径でde=2(S x L)/(S+L)、Sは流路幅(m)、Lは流路深さ(m)、νは液体の動粘性係数(m2/s))がおよそ2300以下、好ましくは100以下に選定することが望ましい。本発明においては、A液として薬物を溶解した良溶媒、B液としてそれと無限希釈可能な貧溶媒を用い、合流部で良溶媒濃度が貧溶媒に希釈されることにより、良溶媒に溶解された薬物が、均一なサブミクロン粒子として析出することを期待している。
【0013】
難水溶性医薬品のサブミクロン微粒子を得る場合は、貧溶媒として水を用いるのが後工程での分離生成に便利であるが、良溶媒との界面で著しい溶解度の差が生じ、再結晶性の高い薬物の場合は、一気に結晶が肥大化する場合がある。これを避けるため、貧溶媒として良溶媒の水希釈液を用いるのが良い。希釈率は、有機化合物の溶解度曲線に基づき定めることができる。
図4に、結晶生成条件の溶解度曲線を示す。
図2は、複数の流路より構成される実用的なマイクロリアクターの断面構成図を示す。良溶媒流路9、貧溶媒流路11を、一列置きに複数個配置することで、流路の両側で混合させることができ、より均一な混合場を得ることが可能となる。
【0014】
マイクロリアクターの一つ一つの流路幅Sは、その原理上可能な限り狭いほど良いが、少なくとも1mm以下、望ましくは0.1mm以下、より望ましくは0.05mm以下にする。一方、深さLは、幅Sに対して0.1倍以上、5倍以下として、安定かつ大流量を流せるよう可能な限り大きく設計することが望ましい。深さLがSに対して小さいと、製作誤差でそれぞれの流路面積の差が相対的に大となり、流動速度差に起因する混合渦が発生し、期待する層流拡散混合が実現できなくなる。このような、微小寸法の精密流路は、通常ケミカルエッチング法、X線リソグラフィー法、機械的加工、レーザー加工などで製作するが、マイクロリアクターを多数並列に設置する場合は、上記方法により加工した母型を利用して、転写en boss成形することで寸法のばらつきの少ない部品を多数複製することができる。なお、マイクロリアクターの構造については、既知の技術を応用できる。
【0015】
マイクロリアクターによる混合で、良溶媒中に溶解した薬物は、混合造粒部13で貧溶媒により希釈され、結晶性微粒子あるいはアモルファス性微粒子となって析出するが、混合場の希釈濃度が瞬間的に一定となるので、生成された微粒子15の寸法のばらつき、肥大化を抑制できる。
薬物の種類により、核生成から一気に結晶が生じる場合、アモルファス状態を経て結晶化する場合、クラスターからゆっくりと結晶に成長する場合がある。いずれの場合も薬物の反応場の均一性が、微粒子のサイズ制御因子となる。
有機化合物の混合造粒部13に、外部からエネルギーを与えることは結晶化促進に有効であり、水銀ランプ加熱(Jpn. Appl. Phys. Vol. 31(1992), ppL1132-1134 part2, No.8A 1 Aug. 1992)、マイクロ波加熱(特開2005-270867号公報)による方法が知られているが、これらの方法では、全微粒子に同時に均一にエネルギーを与えることが難しく、結晶サイズのばらつきやその後の凝集が避けられない。
【0016】
本発明では、極小サイズのマイクロリアクターによる連続生成法を用いるため、水銀ランプやマイクロ波、あるいはペルチエ素子など既知の方法では、混合部に物理的に十分なエネルギーを与えることはできない。そこで、本発明では、エネルギーを瞬間的に混合造粒部13に集中できるパルスレーザー照射法を用いた。レーザーの照射部14は、マイクロリアクターの混合部直後が望ましい。薬物の流量をWkg/秒、薬物の結晶化に要するエネルギーをQ Joule/g、レーザー出力をP w、レーザー波長に対する微結晶前駆体の吸熱係数をξとすると、P・ξ>Q・Wでなければならない。従って、P・ξ>Q・Wとなるだけの照射時間を得るため、図5のマイクロリアクターの構成図に示すように、マイクロリアクター混合部下流のレーザー照射部17に遅延ループ18を設け、微粒子懸濁液が遅延ループを流動する間に、パルスレーザーから必要な結晶化エネルギーを得るようにすることが望ましい。この場合、レーザー照射部は石英ガラスなどレーザー光を吸収しない透明物質を用いることが必要である。なお、レーザー照射に有効な遅延ループの構造については(当出願人の別技術申請特許(特願2007−296016))を適用できる。
【0017】
パルスレーザーとしては、懸濁流動する微粒子前駆体を直接加熱できる赤外線領域の波長を有するものが望ましい。有機化合物の多くは、可視、紫外光領域に強い吸収性を示すものが多く、光反応で化学構造が変化する場合があるが、赤外線領域は熱的作用のみである。具体的には、基本波長1064nmのNd:YAGレーザー、波長1.5〜2μmのNd:YLFレーザー、波長700nm〜970nmのチタンサファイヤレーザーなどのパルスレーザーが適する。レーザー出力と照射時間は、上記に記載したP・ξ>Qとなるよう選定する。
レーザー光として、連続波ではなくパルス波を用いるのは、単位時間あたりの照射エネルギーがより大きく、短時間で微粒子からの結晶遷移プロセスを完了できるからである。典型的なNd:YAGレーザーの場合、パルス幅は概ね5〜30nsecで、毎秒1回ないし50回の照射が可能であるがこれに限るものではない。
【0018】
マイクロリアクターにより生成されたサブミクロン結晶は、サイズが均一であるため短時間では凝集しにくいが、医薬品として利用するためには長時間凝集しないことが必要である。一般的には、界面活性剤などを混合すると凝集を防止できるが、例えば機械的粉砕法の場合は、微粒子重量比で20%から90%を混合する必要があり、医薬品として実用する上で障害になっていた。本発明では、マイクロリアクターで微粒子結晶を生成したのち、その懸濁液を再び第二のマイクロリアクターに導き、必要最小限の凝集防止剤の添加でよく、微粒子重量比で10%以下、多くの場合1%以下で良い。
本発明により、大量のサブミクロン微粒子を生産する場合は、多数のセルを並列に並べて処理すれば良い。タンクを用いるバッチ処理方式の場合は、小規模の試験管スケールでは均一サイズのサブミクロン微粒子が生成できても、トンスケールに拡大すると濃度、温度に不均一が生じ、微粒子が凝集してしまうが、マイクロリアクターの並列処理の場合は、その心配がなく容易にスケールアップ生産が可能である。
【0019】
本発明を適用する薬物としては、実質的に水に不溶性の物質が望ましい。ここで、水に実質的に不溶とは、25℃にて0.1mg/ml未満の溶解度を意味する。抗がん剤、ステロイド、血圧降下剤、βブロッカー、ACE阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、高脂血症薬、高凝血剤、抗真菌剤、抗ウイルス剤、抗生物質、抗精神薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン剤、ホルモン剤、抗炎症剤、免疫抑制剤などがあるが、これに制限するものではない。
良溶媒としては、水と無限希釈される有機溶媒が適する。メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、エチレングリコール、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、メチルケトン、ジメチルアセトアミドなどがあるが、これに制限するものではない。
【0020】
凝集防止剤としては、一般的なアニオン性、カチオン性、ノニオン性界面活性剤、高分子分散剤、例えばドデシル硫酸ナトリウム、トゥイーン(Atlas Powder CO、商品名Tween)、ポリビニルピロリドン、ポロビニルアルコール、セルロース誘導体、ヒドロキシプロピルメチルセルロースがある。
より好ましい凝集防止剤としては、高分子電解質、例えばプロタミン、ジェラチンA、コラーゲン、アルブミン、キトサンなどのポリカチオン、硫酸コンドロイチン、カルボキシルメチルセルロース、アルギネート、ポロアクリレート、ヒアルロン酸などのポリアニオンがある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】マイクロリアクターの基本構成図。
【図2】本発明で用いるマイクロリアクターの一例を示す断面構成図。
【図3】有機化合物の結晶化プロセスを示す模式図。
【図4】結晶生成条件の溶解度曲線を示すグラフ。
【図5】本発明で用いるマイクロリアクターの他の例を示す断面構成図。
【図6】本発明で用いるマイクロリアクターの凝集防止剤混合一体型を示す断面構成図。
【図7】公知の滴下再沈法による微粒子生成の原理図。
【符号の説明】
【0022】
1:A液入口、2:B液入口、3:合流混合部、4:反応液出口、6:良溶媒導入部、7:貧溶媒導入部、8:流路連結部、9:良溶媒流路、10:連通口、11:貧溶媒流路、12:流路隔壁、13:混合造粒部、14、17:レーザー照射部、15:微粒子、16:ナノ粒子出口部、18:レーザー照射用遅延ループ、19:アモルファス性微粒子、20:結晶性微粒子、21:凝集防止剤混合用マイクロリアクター、22:凝集防止剤入口、23:凝集防止剤流路、24:結晶性微粒子懸濁液流路、25:凝集防止剤混合部、26:凝集防止剤被膜結晶性微粒子、27:微粒子出口部、31:良溶媒滴下容器、32:有機化合物溶解溶液、33:滴下量調整弁、34:混合容器、35:貧溶媒、36:撹拌羽根、37:外部加熱装置、38:貧溶媒高濃度部、39:良溶媒高濃度部、40:有機化合物ナノ粒子、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機化合物の微粒子を製造する方法であって、該有機化合物を溶解した良溶媒溶液と、それと無限希釈可能な貧溶媒とをマイクロリアクターにより混合して微粒子を連続的に析出させ、前記マイクロリアクター内で、生成した析出微粒子を含む混合液にパルスレーザーを照射することにより、有機化合物の結晶を得ることを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記有機化合物が、実質的に水に不溶の薬理活性物質であることを特徴とする請求項1に記載の微粒子の製造方法。
【請求項3】
前記有機化合物の結晶は、直径10ナノメートルから500ナノメートルであることを特徴とする請求項1又は2に記載の微粒子の製造方法。
【請求項4】
前記貧溶媒が、良溶媒と同種であってその水希釈液体であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の微粒子の製造方法。
【請求項5】
前記マイクロリアクターは、良溶媒及び貧溶媒の通る流路の幅、深さが、それぞれ10マイクロメートル以上1000マイクロメートル以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の微粒子の製造方法。
【請求項6】
前記マイクロリアクターは、前記混合液にパルスレーザーを照射する照射部が、該照射レーザー光に対して実質的に透明な石英ガラス製であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の微粒子の製造方法。
【請求項7】
前記混合液に照射するパルスレーザーは、照射波長が赤外領域にあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の微粒子の製造方法。
【請求項8】
前記パルスレーザーは、Nd:YAGレーザー、Nd:YLFレーザー、チタンサファイヤレーザー又は色素レーザーであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の微粒子の製造方法。
【請求項9】
前記パルスレーザーは、パルス幅が30ナノ秒以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の微粒子の製造方法。
【請求項10】
前記パルスレーザーの照射は、照射エネルギーを前記有機化合物の結晶前駆体である分子クラスター及び/又はアモルファス性微粒子の再結晶化エネルギー以上に与えるように設定することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1項に記載の微粒子の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜10に記載の微粒子の製造方法において、前記マイクロリアクターの下流に第二のマイクロリアクターを配し、上流のマイクロリアクターからの微粒子懸濁液と凝集防止剤とを該第二マイクロリアクターで混合することを特徴とする微粒子の製造方法。
【請求項12】
前記凝集防止剤が、アニオン性、カチオン性又はノニオン性の界面活性剤であることを特徴とする請求項11に記載の微粒子の製造方法。
【請求項13】
前記凝集防止剤が、アニオン性又はカチオン性の高分子電解質であることを特徴とする請求項11に記載の微粒子の製造方法。
【請求項14】
有機化合物の微粒子を製造する装置において、該有機化合物を溶解した良溶媒溶液が通る少なくとも1本以上のマイクロ流路と、前記良溶媒と無限希釈可能な貧溶媒が通る少なくとも1本以上のマイクロ流路と、前記良溶媒溶液が通るマイクロ流路と前記貧溶媒が通るマイクロ流路とが合流して両溶媒が混合する混合造粒部とを備えたマイクロリアクターと、前記マイクロリアクターの混合造粒部にパルスレーザーを照射するパルスレーザー照射装置とを備えたことを特徴とする微粒子の製造装置。
【請求項15】
前記マイクロ流路は、流路幅及び流路深さがそれぞれ10マイクロメートル以上1000マイクロメートル以下であることを特徴とする請求項14に記載の微粒子の製造装置。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の微粒子の製造装置において、前記マイクロリアクターの後段に第2のマイクロリアクターを配備し、該第2のマイクロリアクターが、前段のマイクロリアクターの混合造粒部からの微粒子懸濁液が通るマイクロ流路と、凝集防止剤が通るマイクロ流路と、該両流路が合流して両液を混合する混合部とを備えることを特徴とする微粒子の製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−297668(P2009−297668A)
【公開日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−156204(P2008−156204)
【出願日】平成20年6月16日(2008.6.16)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】