説明

微粒子を修飾する方法および微粒子を修飾するための装置

本発明は、水性ゲルおよびゼラチン状媒質中の微粒子およびナノ粒子の高分子電解質での段階的コーティング法(LBL technology(登録商標))に関し、それによって、コーティングすべき粒子の間での衝突頻度が高い結果として(ブラウン運動および/または流体力学的衝突)、およびコーティング材料でのヘテロ凝集の結果として生じる、一様に起こるフロキュレーションおよび凝集の問題を防ぐことができる。コーティング組成物は、拡散によって、または電気的、磁気的、誘電泳動的および流体力学的な種類の外力によって、コーティングされるべき粒子に運ばれる。本発明に従って、多層シェルの完全性を維持しながら、コーティング後に、被覆コアを崩壊または分散することができる。ゲルを分解すると、コーティング用生成物および/または空のコーティング用シェルを得ることができ、さらに処理することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆微粒子、特に中空粒子の製造分野にあり、微粒子を修飾する方法、微粒子を修飾する装置、担体材料およびカラムに関する。
【0002】
中空粒子は、鋳型粒子をコーティングすることによって製造することができ、その鋳型粒子は微粒子として提供され、その後にその微粒子は溶解される。この種の方法は、例えばWO99/47252に記載されている。
【0003】
しかしながら、このように水性媒質中で微粒子のコーティングおよび修飾を行うことによって、しばしば、多少の不可逆凝集の現象が生じ、その結果、分散微粒子の収量が減少する。これらの問題は特に、数十ナノメートルから数マイクロメートルまでの微粒子サイズ窓において特に厄介である。
【0004】
概して、弱いブラウン運動しか示さず、濾過、遠心分離等の通常のプロセスモジュールを用いて工業的に処理することが通常容易であることから、大きな微粒子ほど、容易に処理することができる。ブラウン運動が低いと、微粒子間の衝突頻度が比較的少なく、それは、比較的長時間後に凝集または凝集体の形成が認められることを意味する。凝集する、または凝集体を形成する傾向は、十分に迅速なコーティングによって安定な分散系が形成されるように、適切なコーティング成分でコーティングすることによってさらに低減することができる。一方、微粒子が比較的大きい場合には、形成する可能性のある可逆凝集体は、系にエネルギーを供給することによって分解することもできる。
【0005】
激しい熱運動を受ける微粒子の場合には、状況が異なる。この現象は、微粒子のサイズおよび相対密度が減少するに従って、増大する。したがって、特にいくつかの層をコーティングしなければならない場合には、損失なく、またはほとんど損失なく、つまり不可逆凝集体の形成なく、またはわずかな不可逆凝集体の形成のみで、直径1μm未満の微粒子をコーティングすることは難しい。
【0006】
上記に記載のすべての工業的アプローチでは、その系において微粒子が担体液体中に分散され(WO02/09864 A1)、かつその系において、濾過(WO99/47252)、遠心分離(Sukhoroukov, G.B. ら, Polym. Adv. Technol. 1998, 9, 759; Sukhoroukov, G.B. ら, Colloids Surfaces A 1998 137, 253-266)またはカラム法(WO01/64330)を用いてプロセスを実施することによって、その収量を最適化することができる、それらの起点系(starting point system)として解釈する。
【0007】
しかしながら、厄介な凝集または凝集体形成の問題は、これらの技術を用いて回避することはできず、上述の手法でプロセスを実施することによって悪化することさえあり得る。
【0008】
したがって、本発明の目的は、従来技術の問題を大いに回避または改善し、特に微粒子の凝集およびこれらの微粒子の凝集体の形成を大いに抑える方法を特定することである。
【0009】
この目的は、
その中に微粒子が埋め込まれるゼラチン状担体媒質を提供する段階;
誘導、方向性輸送(induced, directional transport)によって、少なくとも1種類の成分をゼラチン状担体媒質中に導入し、少なくとも1種類の成分を微粒子と接触させ、その少なくとも1種類の成分が、微粒子の移動度よりも高い、ゼラチン状担体媒質における移動度を示す段階;
微粒子を少なくとも1種類の成分で修飾する段階;
その修飾された微粒子をゼラチン状担体媒質から取り出す段階;
を含む、微粒子を修飾する方法によって達成される。
【0010】
修飾されるべき微粒子をゼラチン状担体媒質に埋め込む意図は、微粒子の移動度を実質的に制限することである。これによって、比較的小さな微粒子でさえ互いに衝突する確率が低減し、それは、凝集または凝集体形成が低減される、または抑えられさえすることを意味する。微粒子の所定のサイズと関連して移動度が制限される程度は、例えば、ゼラチン状担体媒質の粘度に大きく依存する。担体媒質の粘度が高くなると、微粒子が固定化される程度が高くなり、それらの移動度は低くなる。これは、例えば、一般に非常に高い粘度を示す固体ゲルの場合と同様に、大部分完全な固定化である物までに及び得る。
【0011】
微粒子の移動度における制限は、拡散係数の低減によっても明確にすることができる。遊離微粒子、つまり低粘度媒質中に、例えば水性系に懸濁された微粒子の拡散係数をD0と仮定すると、ゼラチン状担体媒質中の微粒子の拡散係数、つまりDケ゛ルは実質的に低くなる。顕微鏡的には、これは、微粒子が実質的に制限されたブラウン運動を示すことを意味する。
【0012】
ゼラチン状担体媒質に微粒子を埋め込む目的は、微粒子の凝集、またはこれらの微粒子による凝集体の形成が、修飾に必要な時間の間、大部分防止されるような程度まで、微粒子の移動度を低減することである。したがって、原則的に、ゼラチン状担体媒質は固体ゲルである必要はなく;その代わりに、適切に高い粘度のゼラチン状担体媒質も十分である場合が多い。固体ゲルを使用した場合、その粘度は特に高く、それは、修飾中に微粒子の運動がほとんど認められないことを意味する。修飾に必要な時間は、修飾の種類に大きく依存する。したがって、微粒子をコーティングする場合には、例えば、コーティング成分を供給する時間、必要な相互作用の継続時間、しかるべき場合には、過剰なコーティング成分を除去するのに必要な時間で構成される合計時間を考慮に入れなければならない。微粒子が異なる成分で構成されるいくつかの層で被覆されるべき場合には、コーティングにかかる合計時間がその分だけ増加する。埋め込みによって、非常に均一な手法でプロセスを行うことが可能となる。
【0013】
ゼラチン状担体媒質の準備は好ましくは:
低粘度の状態で担体媒質を提供する段階;
担体媒質中に微粒子を導入する段階;
担体媒質中の微粒子の移動度が制限されるように、担体媒質の粘度を高める段階;
を含む。
【0014】
したがって、微粒子を最初に、低粘度の担体媒質中に導入し、できる限り均一に分散させる。次いで、微粒子が適切に固定化されるまで、担体媒質の粘度を高める。担体媒質の粘度は好ましくは、ゼラチン状態または固体ゲルに担体媒質を変換することによって高められる。例えば、担体媒質を可逆ゾル−ゲル転移にかけることによって、担体媒質の粘度を高めることにより行うことができる。このように、微粒子を導入する目的のために加熱することによって液化され、微粒子が導入された後に、凝固のためにもう一度冷却されるゲルを、担体媒質として使用することが可能である。一方、液化を起こすための分散剤を、微粒子を導入する目的のために、ゲル状の担体材料に添加することができ、微粒子が導入された後に、凝固の目的のために、分散剤の少なくとも一部をもう一度除去することができる。他の手段によって、例えば、塩を添加することによって、粘度を制御することも可能である。原則として、担体媒質の粘度は、熱的、化学的、電気的、物理化学的、光学的、力学的および生物学的プロセスおよびパラメーターによって高めることができる。
【0015】
その中で微粒子が固定化されるゼラチン状担体媒質の粘度は、好ましくは水の粘度の少なくとも100倍高い粘度であるべきである。ゲルもまた、それらの弾性に従ってしばしば格付けされる。特に好ましくは、ゼラチン状担体媒質の弾性を特徴付けるブルーム値は、濃度範囲0.01重量%〜20重量%のゲル化剤の凝固溶液の値に相当すべきである。
【0016】
一方、ゼラチン状担体媒質はさらに、固定化された微粒子を修飾する成分の十分な移動度を与えるべきである。例えば、ゼラチン状担体媒質を通る成分の拡散がわずかだけ制限されるならば有利である。したがって、微粒子の移動度を実質的に制限するにもかかわらず、それと同時に、微粒子に伝えられるべき成分に対する十分に優れた溶媒を構成する、これらのゼラチン状支持媒質は、特に興味深い。
【0017】
30μm、好ましくは5μm未満、特に好ましくは1μm未満のサイズ範囲のすべての構造が微粒子であり得る。粒子の相対運動、およびコーティングに用いられる成分の相対運動が十分に大きく、かつコーティングを実施することを可能にするという条件で、微粒子のより小さなサイズは、一般的なナノ粒子のサイズに相当し、結果として一桁のナノメートル範囲にある。記載の種と他の成分、例えば脂質、脂肪酸、ヒストンおよびスペルミンとの複合体と同様に、生体または合成DNAおよびRNA、ならびに生体高分子もまた、特に微粒子として機能することができる。
【0018】
微粒子のより小さなサイズは好ましくは、コーティング成分での、特に高分子電解質でのコーティングを可能にする微粒子によって決定される。これに関して、微粒子は、少なくとも二重層であるシェルを形成するために、少なくとも2種類の異なるコーティング成分、例えば逆に帯電した高分子電解質でのコーティングが可能なように少なくとも十分に大きいことが特に好ましい。例は、30nm以上のサイズを有する微粒子である。これらの微粒子はしばしば、巨視的界面特性を既に示す。微粒子は、好ましくは30nmより大きく、特に好ましくは50nmよりも大きい。微粒子は、固体、液体、液晶または気体粒子ならびにそれらの中間体の形であり得る。これに関して、結晶質または非晶質であり得る。微粒子は、無機もしくは有機コロイドの凝集体、またはそれから得られる混合凝集体からなることができる微粒子が好ましい。これに加えて、崩壊可能または可溶性の粒子も微粒子として使用することができる。微粒子は、同様な、または異なる成分で構成される凝集体であるか、または少なくとも2種類の異なる微粒子で構成される混合物を構成し得る。微粒子は、単分散または不均一分散(heterodisperse)であり得る。同様に、微粒子は、コーティングまたは化学反応の鋳型であることが可能である。
【0019】
微粒子は、活性化合物を含有することもできる。これに関して活性化合物は、触媒、酵素、薬学的に活性な化合物、ナノ粒子、センサー分子、触媒、結晶、ポリマーおよび気体から選択することができる。
【0020】
特に、微粒子は、動物およびヒト細胞、植物細胞、酵母細胞および改変酵母細胞;植物の花粉および改変された植物花粉;プロトプラスト;ゴースト(ghost)エンベロープ;ウイルス、細菌;リポソームおよび小胞;リボゾーム、細胞核、プラスチドおよびミトコンドリアなどの細胞小器官;チャネルタンパク質、輸送タンパク質、電子伝達に関与するタンパク質および受容体タンパク質などの活性タンパク質成分を含有する膜断片;タンパク質、核酸および炭水化物などの生体高分子;および生体分子の沈殿物;などの生物学的または生物化学的起源に由来し得る。特に、微粒子は、積層されたシェルを有する中空粒子であることもできる。これに関して、そのシェルは、異なる電荷を有する高分子電解質の少なくとも2つの層で構成するか、またはそれぞれの場合に互い違いになる電荷を有する高分子電解質の3つ以上の層で構成することができる。シェルの層はさらに、共有結合的に、または架橋結合によって架橋することができる。少なくとも1つの成分が中空粒子中に導入されることがさらに好ましい。
【0021】
その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる、WO99/47252およびWO00/03797に他の適切な微粒子を見出すことができる。
【0022】
微粒子は例えば、中空粒子を製造するための鋳型としての役割を果たすことができる。鋳型は、完全体(whole body)として、または中空体としてさえも存在することができる。それらは、固体、液体または気体であることができる。これに加えて、微粒子は、
既にコーティングされ、かつさらにコーティングにかけられる鋳型、
そのコア、つまり微粒子が崩壊され、シェルから除去される、シェルを既に供えている鋳型、または
適切な成分がそれに導入される微粒子、
であることができる。
【0023】
したがって、微粒子の修飾は好ましくは、
少なくとも1種類の成分で微粒子をコーティングする段階、および/または
少なくとも1種類の成分を使用して、シェルでコーティングされている微粒子を崩壊させ、その結果、中空構造が形成される段階、および/または
その少なくとも1種類の成分を微粒子(1種または複数種)中に/に導入し、かつ/または濃縮する段階と、
を含む。
【0024】
修飾に使用される成分は、化学物質、例えば分子(有機/無機/生体小分子または高分子)またはナノ粒子、つまり、例えば微粒子中に導入できるように、または微粒子の周りにシェルを構築するのに適しているように、修飾されるべき微粒子よりも実質的に小さな小粒子であることができる。微粒子が崩壊される場合、コーティングは好ましくは、修飾すべきではない、またはわずかだけ修飾すべきである。
【0025】
使用される成分は、誘導、特に方向性輸送によって、微粒子に導入することができる。これに関して、誘導輸送は、ゼラチン状担体媒質を通る成分の流れを意味すると解釈され、その流れは、適切な外部条件の選択によって誘導され、その結果、成分が微粒子に輸送されることが可能となり、しかるべき場合には、微粒子からもう一度輸送除去することが可能となる。誘導または能動輸送は、例えば、
電気的、磁気、誘電泳動的、光学的または力学的な力、および/または
浸透的、熱的、静水学的または流体力学的な力、および/または
蒸発、乾燥、凝固、融解およびゾル−ゲルおよびゲル−ゾル転移などの相転移と関連して生じる力、
によって誘導される輸送を意味すると解釈される。
【0026】
しかしながら、これらの力は、埋め込まれた微粒子にも作用し得る。この理由から、微粒子に作用する力が微粒子のわずかな運動またはごくわずかな運動を引き起こすだけであると同時に、これに対して、その成分が微粒子に十分に迅速に輸送されるように、ゼラチン状担体媒質および成分の方向性輸送に用いられる力は、互いに調和すべきである。このように、微粒子がゼラチン状担体媒質(ゲル/ゼラチン状系)中に固定化または不動化された後に、用いられる成分を十分な量および適切な速度で微粒子に輸送することができ、それらから輸送除去することができ、つまり、とりわけ電気泳動、誘電泳動および拡散などの異なる力およびプロセスによって、その成分は、方向性の方法でゼラチン状媒質を大部分通過するはずである。前記力のうち1つのみ(例えば、電気的な力)、またはこれらの力の任意の組み合わせを、方向性輸送を誘導するのに使用することができる。例えば拡散のみによる受動輸送もまた、代わりとして、またはそれに加えて可能である。誘導輸送の利点は、特に、促進され、かつさらに有効に制御することができ、より高い収量を達成することを可能にするプロセスの実施である。
【0027】
輸送に用いられる力が、成分と微粒子の間の相互作用よりも小さくなるように設定されるならば、さらに有利である。このことによって、微粒子との著しい相互作用なく、ゼラチン状担体媒質を通じて成分が輸送されるのを防ぐことが可能となる。つまり、成分が微粒子と相互作用することができることを確実にすることが可能となる。このようにして、後者は、成分に対するあるタイプのシンク(sink)を形成する。これは特に、微粒子をコーティングするための成分の場合に有利である。
【0028】
適切なゼラチン状支持媒質の例は、ヒドロゲル、つまり、水性ゼラチン状系である。後者は、特に有利な状態で微粒子を固定化することを可能にする。つまり、微粒子は、ほぼ静止状態で固定化される。一方、ヒドロゲルはさらに、例えばポリマーコーティング成分の適切な拡散を可能にする;つまり、ヒドロゲルは、微粒子をコーティングおよび修飾するための多くの成分に対してかなり透過性である。担体媒質は、天然または合成ヒドロゲル形成剤で構成されるか、または無機化合物または無機化合物と有機化合物との混合物で構成することができる。さらに、担体媒質は少なくとも部分的に、共有結合的に架橋することができる。
【0029】
さらに、担体媒質は非連続的な微粒子であることが好ましく、それと関連して、それは、球形、円柱形、楕円形または他の規則的な形で構成される。このコンテクストにおいて、担体媒質は、単一または複合性質の単分散または不均一分散支持粒子上に、外層または内層として形成することができる。微粒子担体媒質は、1センチメートル未満の固有のサイズを有することが好ましい。さらに、微粒子担体媒質はカラムの形で組み込まれることが好ましい。
【0030】
その他の実施形態において、担体媒質は連続的である。これに関して、それは、一次元またな二次元で1センチメートル未満の固有の測定値を有し得る。
【0031】
原則として、連続的および非連続的担体媒質は、カラム、平面層、平行の平面層、ストリップおよび平行な状態もしくは曲がりくねっている状態のストリップの形で配置することができる。連続的および非連続的ゲルマトリックスの配置および形状が、より高い率のコーティング、修飾、または上記の推進力が原因の、ナノ粒子および微粒子のゲルマトリックスからの分離に対して最適化されるならば有利である。これに関して、連続的および非連続的なゲルマトリックスは、コーティング、修飾および分離プロセスに適している推進力を生じさせる装置中に埋め込むことができる。
【0032】
他の実施形態において、担体媒質は担体に適用される。これに関して、担体は、少なくとも1種類の成分に対して透過性であるべきである。
【0033】
その後の、被覆微粒子の化学的または物理化学的修飾、例えば鋳型として用いられた微粒子の崩壊、ゼラチン状担体媒質からの放出成分の除去およびその結果もたらされるカプゼルシェルの製造もまた、凝結または凝集を防ぎながら可能である。
【0034】
ゲル中の微粒子のコーティングは多種多様な方法で行うことができる。その条件下で電気的な力または拡散力が輸送機能を果たす条件が特に有利である。特に、ゲル電気泳動は、単純で、方向性があり、かつ容易に制御可能な手法で微粒子に成分を輸送するのに適している。ゲル電気泳動において、静電電界は通常、ゲルまたはゼラチン状担体媒質上にかけられ、その電場によって、ゲルを通じて荷電成分、例えば高分子電解質の方向性輸送が起こる。これに関して、その成分は、ゼラチン状担体媒質に埋め込まれた微粒子と接触し、例えばそれらの表面に付着することによって、これらの微粒子を修飾する。輸送は、例えば濃度勾配によって誘導される方向性拡散によっても行うことができる。同様に、異なる輸送プロセスを組み合わせることも可能である。これらの誘導輸送プロセスは、コーティングおよび修飾プロセスの効率および速度を著しく高める。
【0035】
微粒子のコーティングが特に好ましい。この目的のための、具体的な仕組み、例えばどのコーティング成分が適切であるか、これらがどのように塗布され、コーティングが行われた後に、使用されている鋳型が形成されたシェルからどのように離型されるかについて、例えば、その開示内容全体が参照により本明細書に組み込まれる上記のWO99/47252に記載されている。少なくとも2つ、特に好ましくは少なくとも3つ以上の、異なる電荷の高分子電解質層で構成されるシェルで微粒子がコーティングされることが特に好ましい。これに関して、異なる電荷の高分子電解質は交互に塗布される。このようにして形成されるシェル、シェル構造または中空粒子は、30以上まで、例えば40の高分子電解質層さえも有し得る。コーティングに使用される成分は、高分子電解質または両性高分子電解質、生体高分子、酵素または荷電オリゴマー化合物、およびこれらの化合物の誘導体などの水溶性有機ポリマーであることができる。微粒子のコーティングに使用される成分(1種または複数種)は、(a)製薬用途に対して承認されている化合物の種類からの化合物(1種または複数種)、および/または(a)栄養素または環境に対して承認されている化合物の種類からの化合物(1種または複数種)、および/または(a)栄養補給食品(1種または複数種)であることもできる。
【0036】
特に、微粒子をコーティングするために使用される成分は、無機高分子電解質、例えば水溶液中で安定な無機ナノ粒子;例えば、無機半導体粒子;蛍光性ナノ粒子;CdSeなどの量子ドット粒子;磁鉄鉱および鉱物粒子など、電荷吸着によって安定化されるシリカ粒子および無機ナノ粒子;を含む。
【0037】
微粒子をコーティングするために使用される成分は、低分子量の、少なくとも二重荷電カチオンまたはアニオンも含むことができる。同様に、その成分は、それらの分子構造の結果として、微粒子または他のコーティング成分に対する高い親和性を有する、低分子量の単一荷電(singly charged)カチオンまたはアニオンを含有することができる。原則として、微粒子をコーティングするために使用される成分は、固体、液体、液晶または気体の状態またはそれらの中間体状態のうちの1つの状態で存在する。
【0038】
微粒子を修飾した後に、それらはゼラチン状担体媒質から除去される。これは、例えば、担体媒質の粘度を下げ、続いて修飾された微粒子を、ここではもう低粘度の担体媒質から分離することによって達成することができる。これに関して、担体媒質の粘度は、例えば、担体媒質が加熱された結果、または分散剤を添加した結果として、ゲル−ゾル転移する担体媒質によって下げることが好ましい。一方、例えば、まだゼラチン状の担体媒質を化学的に崩壊し、次いで修飾された微粒子を分離することによって、修飾された微粒子を除去することも可能である。修飾された微粒子をゼラチン状担体媒質から除去または分離するために、以下の手段:
沈降、遠心分離、濾過または振動などの物理的方法;および/または
相分離、相転移、凝集、凝結、逆混合(demixing)または凝固フロントなどの物理化学的方法;および/または
架橋などの化学的方法;
も用いることができる。
【0039】
しかるべき場合には、ゼラチン状担体媒質を最初に、機械的に粉砕し、次いで崩壊するか、またはその粘度を下げることもできる。ゼラチン状担体媒質を崩壊/液化するための熱プロセス、それに続く分離、しかるべき場合には、洗浄、微粒子を分離するプロセスが好ましい。
【0040】
原則としては、微粒子を修飾した後に、熱的、化学的、電気的、物理化学的、光学的、流体力学的および生物学的プロセスおよびパラメーターによって担体媒質の粘度を下げることができる。
【0041】
ゲル内(in-gel)コーティングの配置(ゲル内でのLBL、ゲル内ナノ粒子コーティング)について様々な幾何学的構造を考案することが可能である;これに関して、特にスケールアップの高い可能性が考えられる。原則は、ゼラチン状担体媒質の全表面を最大にすること、および表面に対して垂直である三次元を最適化することである。というのは、この次元は局所的にコーティングおよび修飾の強さ(割合)を決定し、全表面は生成物の量を決定するためである。
【0042】
ゼラチン状担体媒質は、成分が担体媒質によって迅速に吸収され、微粒子に到達することができるように比較的大きな表面を有すると有利である。例えば、ゼラチン状担体媒質は、薄い板として存在することができ、成分は、各場合において2つの大きな側面のうちの少なくとも一方を通って担体媒質に供給される。粒子の状態、例えば球状粒子の状態でゼラチン状担体媒質を使用することがさらに有利であり、その粒子は、微粒子を埋め込むことを可能にする程度まで、微粒子よりも大きい。しかるべき場合には、ゼラチン状担体媒質は、担体、例えばふるい、小さな球等の上に配置することができる。
【0043】
本発明はさらに、第1チャンバおよび第2チャンバを有する、微粒子を修飾するための装置に関し、それに関して、そのチャンバは各場合において1種類の液体で満たされ、その間にゼラチン状担体を配置することによって互いに区切られており、2つのチャンバ間の距離は担体媒質の厚さによって定義され、ゼラチン状担体媒質が各チャンバとの接触領域を形成し、かつ少なくとも一方の接触領域の範囲が、少なくとも1つの方向で、2つのチャンバ間の距離よりも大きい。
【0044】
ゼラチン状担体媒質とチャンバとの間に形成される接触領域は、少なくとも1つの方向で、好ましくは2方向で、チャンバからの成分が比較的迅速に担体媒質に入るように2つのチャンバ間の距離よりも大きい範囲を有するべきである。接触領域の範囲は、ゼラチン状担体媒質の厚さの少なくとも2倍、特に好ましくは少なくとも5倍であるべきであり、その結果、2つのチャンバ間の距離はそれに応じて小さくなるはずである。目標は、ゼラチン状担体媒質とチャンバの間の接触領域と、ゼラチン状担体媒質の容積との絶対比を可能な限り大きくすることである。ゼラチン状担体媒質に埋め込まれる微粒子を修飾するのに必要な接触時間は、それに応じた大きな接触領域/容積比によって減らすことができ、それによって高い処理量が達成される。
【0045】
ゼラチン状担体媒質を通過してのみ成分を輸送することができるように、ゼラチン状担体媒質が2つのチャンバを互いに密封するならば有利である。チャンバは、介在する担体媒質から離れて各場合において対面するそれらの側で、各場合において第1または第2機能性チャンバの反対側にある、各場合において少なくとも1つの膜によって、区切られることがさらに好ましい。これによって、例えば、チャンバ内に適切な成分を選択的に導入することが可能となり、その成分は、機能性チャンバ中に入るのを膜によって阻止される。後者は、例えば輸送液などを供給するためのチャンバとしての役割を果たし、それに応じた大きな領域の膜は例えば、輸送液の供給を確実にするのに有利である。膜は好ましくは、ゼラチン状担体媒質と2つのチャンバとの間の接触領域とほぼ同じ程度である。
【0046】
各場合において、その間に電圧をかけることが可能である、少なくとも1つの電極は、各機能性チャンバ内に有利に配置される。これらの電極は、例えば、電気泳動的に操作されるプロセスによって成分を輸送するために使用される。電極は、板として設計されることが好ましく、それと関連して、挿入されるゼラチン状担体媒質に対して本質的に平行にそれらを配置することができる。
【0047】
この性質の装置によって、比較的効率的であり、かつ容易に制御できる手法で、ゼラチン状担体媒質に埋め込まれた微粒子を高分子電解質でコーティングすることが可能となる。ゼラチン状担体媒質は例えば、適切に凝固されたゲルであることができ、例えば、成分、例えば高分子電解質に透過性であり、かつ非常に機械的に安定である担体上にそれを配置することもできる。
【0048】
本発明はさらに、担体および微粒子が埋め込まれたゼラチン状担体媒質を含む担体材料に関し、担体は、微粒子よりも小さな成分に対して透過性である。ゼラチン状担体媒質はゲルであることが好ましい。
【0049】
本発明はさらに、多くの粒子で少なくとも一部充填された中空体を備えたカラムに関し、中空体を通して、かつ粒子の上に液体を流すことが可能であり、その粒子は、微粒子が埋め込まれたゼラチン状担体媒質を表す。カラムの構造の原理は、クロマトグラフィー分析から分かる。しかしながら、本発明によるカラムにおいて、中空体内に配置された粒子は、微粒子が埋め込まれたゼラチン状担体媒質を表す。ゼラチン状担体媒質はゲルであることが好ましい。
【0050】
粒子は、完全にゼラチン状担体媒質からなるか、またはゼラチン状担体媒質によって囲まれたコアを有することができる
【0051】
以下のとおり、例示的な実施形態を用いて、本発明を説明し、以下の図面に図示する。
【0052】
図1Aは、例えば微粒子をコーティングする装置を示す。その装置は、例えば凝固ゲル状態のゼラチン状担体媒質4によって互いに区切られている、第1チャンバ2と、第2チャンバ2とを備える。2つのチャンバ2および12は担体液で満たされるが、例えば担体液の交換をゼラチン状担体媒質4を通じて行うことが可能である。各場合においてゼラチン状担体媒質4から離れて対面するそれらの側において、チャンバ2および12は、担体液または同じ担体液で同様に満たされた機能性チャンバ7および17から膜6および16によって区切られている。それによって電圧がかけられる電極8および18は、電場が作られるように、各場合においてこれらの機能性チャンバ内に配置される。ゼラチン状担体媒質4の領域において、力線はゼラチン状担体媒質4に対しておよそ垂直に通る。
【0053】
2つのチャンバ2および12の互いの距離20は、ゼラチン状担体媒質の厚さによって決定される。この距離は、ゼラチン状担体媒質4とチャンバ2および12との間に形成される接触領域9および19の範囲よりも小さい。
【0054】
微粒子22は、例えば低融点のアガロースゲルであることができる、ゼラチン状担体媒質4に埋め込まれる。適切な微粒子の例は、RNAまたはDNAまたはシリカ粒子またはサイズ約30nm〜10μmの可溶性メラミンホルムアルデヒド粒子である。他の適切な微粒子は、上記のWO99/47252およびWO00/03797に記載されている。
【0055】
埋め込まれた微粒子22をコーティングするために、2つのチャンバおよび機能性チャンバを適切な媒質で、例えば酢酸緩衝液で満たし、コーティング成分24、例えばポリカチオンをチャンバ2に導入する;次いで、ポリカチオンがゼラチン状担体媒質4の方向に移動し、ゼラチン状担体媒質を通って移行するように、電場の極性および強さを調節する。微粒子22は好ましくは、静電相互作用の結果として、微粒子の表面にポリカチオンがとどまり、表面上の電荷が逆転するまでそこに蓄積するように、負の表面電荷を示す。
【0056】
余分なポリカチオンが第2チャンバ12内に運ばれるが、このチャンバから除去することができる。任意の洗浄段階の後、他のコーティング成分25、例えばポリカチオンが、第2チャンバ12に導入され、第1チャンバ2の方向に電場によって移動され、それと関連して、それらは微粒子の表面をコーティングし、もう一度この表面上の電荷を逆転させる。
【0057】
これらの段階は、必要な回数、繰り返すことができる。コーティング成分を第1チャンバ2に常に導入することも可能であるが、それに応じて、かけられる電場の極性をコーティングの極性に適合させることも可能である。
【0058】
図2Aおよび2Bは、図1Aおよび1Bで示される構造と同じ構造を原則として有する装置を示す;しかしながら、この場合には、活性化合物26が微粒子28中に導入される。活性化合物がイオンとして存在するか、または電荷が供給されるという条件で、輸送は電場によって誘導することができる。代替方法としては、濃度勾配による輸送を考案することも可能である。図2Bは、活性化合物26を添加した微粒子28を示す。
【0059】
図3は、コーティングプロセスの経路の概略を示す。まず最初に、鋳型粒子が段階30において提供され、次いで、液体担体媒質中に導入され、例えば段階32に従って液体担体媒質中に均一に懸濁される。これに続いて、段階34において、担体媒質をゼラチン状態またはゲルに変換し、それによって、微粒子を適切に固定化することが可能となり、それと同時に、その後に添加される(段階36)コーティング成分の適切な移動度が可能となる。例えば、ヒドロゲルはこれらの要求を満たす。次いで、段階38において、例えば電気的な力によってゼラチン状担体媒質を通って移動するコーティング成分で、鋳型粒子をコーティングする。その後、余分なコーティング成分を段階40に従って除去し、しかるべき場合にはすすぎ段階を行う。所望のコーティング厚または所望の数の層が得られるまで、必要な回数、段階36および40が繰り返される。
【0060】
最後に、鋳型が崩壊され、このように形成され、かつ事前に塗布されたコーティングシェルを構成する中空粒子がゼラチン状担体媒質から取り出される。これは例えば、まず最初に、段階42に従って鋳型粒子を崩壊することによって行うことができ、その結果、残りの中空構造が引き続き、ゼラチン状担体媒質に埋め込まれる。これに続いて、段階44においてゲルまたはゼラチン状担体媒質が分解され、段階46において分解されたゲルから中空構造が分離される。代替方法としては、ゲルを最初に分解することができ(段階50)、その後、コーティングされた鋳型粒子を分離し(段階52)、中空構造が残るように鋳型粒子を最後に崩壊することができる(段階54)。上記の変形形態のどちらにおいても、ゲルまたはゼラチン状担体媒質は、化学的に、または例えばゲルを熱で液化することによって分解することができる。
【0061】
図4は、一例として、中空粒子を成分で充填する場合に行われる個々の段階を示す。中空粒子が最初に提供され(段階60)、液体担体媒質中に懸濁される(段階61)。次いで、担体媒質をゼラチン状態またはゲルに変換し(段階62)、成分を供給し(段階63)、その成分は中空粒子へと入り、これらの粒子中で濃縮されるようになる(段階64)。粒子の充填は例えば、孔が中空粒子の壁に開き、次いで、閉じ込められた成分がもはや中空粒子から離れることができないように、粒子が充填された後に孔が閉じられるように制御することができる。高分子電解質からなる中空粒子の場合には、孔径は、例えば、粒子を囲む媒質のイオン強度によって調節することができる。
【0062】
次いで、余分な成分を除去し(段階65)、ゲルを分解し(段階66)、分解されたゲルから、成分で充填された中空粒子を分離する(段階67)。
【0063】
図5Aおよび5Bは、その中に埋め込まれた微粒子74と共にゼラチン状担体媒質72がその上に配置された、支持体70と共に担体材料を示す。支持体70は、指示される、かつ微粒子中へ入るべき成分76に対して透過性である。担体は例えば、ふるいである。ゼラチン状担体媒質72は、両側の担体70によって結合することもできる。担体70は特に、調製されたゼラチン状担体が、それに埋め込まれた微粒子と共に操作することが容易になるように、機械的に安定化するために使用される。担体70は、ゼラチン状担体媒質72にわたることもできる。
【0064】
図6は、球状担体材料82を示し、ゼラチン状担体媒質72は球状担体78を包むか、中空球状担体79の内壁をコーティングする。一方、粒子82、例えば球状粒子、特に球全体の形で、担体なしで、微粒子が埋め込まれたゼラチン状担体媒質/ゲル72が存在することが可能である。
【0065】
図7は、多くの粒子82で充填された中空体80を示すカラムを図示する。これらの粒子は例えば、球状担体材料82、または図6に示される粒子82であり得る。しかしながら、粒子82は、それに微粒子が埋め込まれたゼラチン状担体媒質、特にゲルから完全になることもできる。矢印で示され、埋め込まれた微粒子をコーティングまたは充填する成分が溶解された液体は、カラムを通ることができる。これらのカラムは特に操作が簡単である。
【0066】
ゲルでのコーティングの例:
注意深く精製されたシリカ粒子を70℃にて、1%低融点アガロースゲル(peqGold Low Melt Agarose PEQLAB;0.05M酢酸緩衝液、pH6.5)に懸濁し、その全部を2cm×2cm×1cmのブロックに注ぐ。冷却した後、例えば図1Aおよび1Bに示されるような、特別に製造されたゲル電気泳動セルの反応チャンバに挿入する。陰極チャンバ17と、反応チャンバ(チャンバ2および12ならびにゼラチン状担体媒質4を含む)と、膜6および16により互いに密封された陰極チャンバ2とに、セルをさらに分割する。電極8および18は、Metakem社によって、セルに適切なサイズで供給されている白金コートチタン格子である。膜(Schleicher&Schullから市販のBioTrap BT1 moist)は、小イオンに対して透過性であるが、使用される高分子電解質に対しては不透過性である。次に、ゲルブロック4は、反応チャンバを3つの領域に分割する。陽極側の領域(チャンバ2)は、0.05M酢酸緩衝液中のポリカチオンの2mg/ml溶液で満たされる。次いで、電源ユニット(PEQLAB社からのCONSORT E 831)を使用して、電圧70Vをかける。30分後、高分子電解質の全量が溶液からゲル4に拡散した。スクリーニング実験において、染色標識ポリマーを使用することによって、ゲル中のポリマーの移動をモニターした。さらに60分後、シリカ粒子に吸着されていないポリカチオンの残りが、反応チャンバの陰極側(チャンバ12)でゲルからもう一度拡散した。
【0067】
反応チャンバの両側を新たな酢酸溶液ですすぎ、ゲルからポリカチオンの最後の残りを除去するために、電圧をもう一度、20分間かける。
【0068】
次の段階で、0.05M酢酸緩衝液中の2mg/mlポリアニオンを前者の陽極チャンバに添加し、逆極性で電圧70Vをもう一度かける。ここで、ポリアニオンは、ゲル層を通って、前の段階におけるポリカチオンと同様に拡散し、同様に除去される。このサイクルは、目的の層の数に応じて繰り返される。
【0069】
被覆粒子は、ゲルを70℃で融解し、遠心分離することによって、ゲルから分離することができる。その後、粒子を70℃の水で3回洗浄する。
【0070】
中空構造を形成する目的のための、被覆鋳型粒子を崩壊する例:
ゲルから分離する前に、1M HFを使用して、コア(鋳型粒子)をカプセル(中空構造)から除去することができ、それによって凝集の可能性が低減される。これについて、ゲルはサイズ約1mmの片に粉砕され、これらの片は、攪拌されながら、濾過セルにおいて1M HFで2時間処理される。その後、溶液を濾過し、ゲル片を新たなHF溶液でさらに2時間処理する。次いで、ゲルを融解することによって、粒子と同様に、中空カプセルを分離する。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1A】微粒子をコーティングする装置を表す。
【図1B】微粒子をコーティングする装置を表す。
【図2A】微粒子に活性化合物を添加する装置を表す。
【図2B】微粒子に活性化合物を添加する装置を表す。
【図3】微粒子をコーティングする場合の個々の段階を表す。
【図4】中空粒子に活性化合物を添加する場合の個々の段階を表す。
【図5A】平面状の担体材料を表す。
【図5B】平面状の担体材料を表す。
【図6】球状の担体材料を表す。
【図7】担体材料で充填されたカラムを表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
微粒子がその中に埋め込まれる、ゼラチン状担体媒質を提供する段階;
誘導、方向性輸送によって、少なくとも1種類の成分をゼラチン状担体媒質中に導入し、少なくとも1種類の成分を微粒子と接触させ、その少なくとも1種類の成分が、微粒子の移動度よりも高い、ゼラチン状担体媒質における移動度を示す段階;
微粒子を少なくとも1種類の成分で修飾する段階;
その修飾された微粒子をゼラチン状担体媒質から取り出す段階;
を含む、微粒子を修飾する方法。
【請求項2】
前記ゼラチン状担体媒質が、固体ゲルであることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ゼラチン状担体媒質の準備が:
低粘度の状態で担体媒質を提供する段階;
担体媒質中に微粒子を導入する段階;
担体媒質中の微粒子の移動度が制限されるように、担体媒質の粘度を高める段階;
を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記担体媒質の前記粘度が、担体媒質をゼラチン状態または固体ゲルに変換することによって高められることを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記担体媒質の前記粘度が、可逆ゾル−ゲル転移する担体媒質によって高められることを特徴とする、請求項1から4の一項に記載の方法。
【請求項6】
前記担体媒質が、微粒子を導入する目的のために加熱することによって液化され、かつ微粒子が導入された後に、凝固させるためにもう一度冷却されるゲルであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記担体媒質が、微粒子を導入する目的のために分散剤を添加することによって液化され、かつ前記分散剤が、微粒子が導入された後に、凝固させるためにもう一度、少なくとも一部除去されるゲルであることを特徴とする、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記粒子の前記修飾が、
前記の少なくとも1種類の成分で微粒子をコーティングする段階、および/または
前記の少なくとも1種類の成分を使用して、シェルでコーティングされている微粒子を崩壊させ、その結果、中空構造が形成される段階、および/または
前記の少なくとも1種類の成分を微粒子(1種または複数種)中に/において導入し、かつ/または濃縮する段階と、
を含むことを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項9】
ゼラチン状担体媒質からの修飾された微粒子の除去が、担体媒質の粘度を下げ、その担体媒質から修飾された微粒子を分離することによって行われることを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項10】
前記担体媒質の前記粘度が、ゲル−ゾル転移する担体媒質によって下げられることを特徴とする、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記粘度が、担体媒質を加熱することによって下げられることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項12】
前記粘度が、分散剤を添加することによって下げられることを特徴とする、請求項9または10に記載の方法。
【請求項13】
ゼラチン状担体媒質からの修飾された微粒子の除去が、担体媒質を分解し、その分解された担体媒質から修飾された微粒子を分離することによって行われることを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項14】
前記微粒子が、30マイクロメートルより小さく、特に5マイクロメートルより小さく、特に好ましくは1マイクロメートルよりも小さいことを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項15】
前記微粒子が、生物学的または生物工学的起源に由来することを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項16】
前記微粒子が、シリカ粒子または有機ポリマーコロイドなどの、無機または有機コロイド粒子の群に属することを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項17】
前記微粒子が、活性化合物を含有することを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項18】
使用される前記微粒子が、崩壊可能な、または可溶性の粒子であることを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項19】
前記微粒子が、触媒特性を有することを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項20】
前記コーティングに必要な前記成分が、水溶性有機ポリマーを含むことを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項21】
微粒子をコーティングするのに使用される前記成分が、薬学的または美容的(cosmetic)に活性な化合物を含むことを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項22】
微粒子をコーティングするのに使用される前記成分が、少なくとも1種類の無機物質または無機ナノ粒子を含むことを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項23】
微粒子をコーティングするのに使用される前記成分が、無機高分子電解質を含むことを特徴とする、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
微粒子をコーティングするのに使用される前記無機成分およびナノ粒子が、触媒特性を有することを特徴とする、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
微粒子をコーティングするのに使用される前記成分が、ポリマーコロイドもしくは荷電超分子構造、例えばデンドリマーなどの水溶性有機高分子電解質、または高分子電解質と界面活性剤とで構成される複合体、または高分子電解質で互いに構成される複合体を含むことを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項26】
微粒子をコーティングするのに使用される前記成分が、ウイルス、細菌、ラン藻類、単細胞生物、動物細胞、リポソーム、小胞、細胞小器官、膜断片および生体高分子、例えばタンパク質、核酸および炭水化物などの生物学的または生物工学的起源に由来することを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項27】
微粒子をコーティングするのに使用される前記成分が、染料、蛍光染料、磁気または電気的標識、分光法および写真法用の標識および/または生化学的もしくは質量分析法用の標識で標識されることを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項28】
前記微粒子が、少なくとも2つの層を含むシェルを形成する目的のために、少なくとも2種類の成分で連続的にコーティングされることを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項29】
前記微粒子が、少なくとも3つの層を含むシェルを形成する目的のために、少なくとも1種類の更なる成分でコーティングされることを特徴とする、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記微粒子が、層で構成されたシェルを有する中空粒子であることを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項31】
前記の少なくとも1種類の成分が、中空粒子中に導入されることを特徴とする、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記担体媒質が、ゼラチンなどの有機ポリマー;コラーゲン、タンパク質、リポタンパク質または糖タンパク質などの生体高分子;ポリアクリルアミド、荷電炭水化物およびそれらの誘導体、例えばキトサン、ペクチネート(pectinate)、アルジネートまたはアガロース;アラビアゴムなどのゴム;または合成ポリマーヒドロゲル形成剤で構成されることを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項33】
微粒子が修飾された後に、担体媒質が最初に粉砕され、次いで分解され、かつ/またはその粘度が低減されることを特徴とする、前記各請求項の一項に記載の方法。
【請求項34】
各場合において液体で満たすことができる第1および第2チャンバ(2,12)を有する、微粒子を修飾するための装置であって、前記2つのチャンバ(2,12)が、それらの間のゼラチン状担体媒質(4)により互いに区切られており、
前記2つのチャンバ(2,12)の間の距離(20)が、ゼラチン状担体媒質(4)の厚さにより定義され、
ゼラチン状担体媒質(4)が、各チャンバ(2,12)と接触領域(9,19)を形成し、かつ
少なくとも1つの接触領域(9,19)の範囲が、2つのチャンバ間の距離(20)よりも、少なくとも1つの方向で大きい、装置。
【請求項35】
各接触領域(9,19)の範囲が、2つのチャンバ間の距離(20)よりも、すべての方向で大きいことを特徴とする、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
介在するゼラチン状担体媒質(4)から離れて各場合において対面するそれらの側で、各場合においてそれぞれ第1または第2機能性チャンバ(7,17)と向かい合う、少なくとも1つの膜(6,16)によって、2つのチャンバ(2,12)が各場合において区切られることを特徴とする、請求項34または35に記載の装置。
【請求項37】
各膜(6,16)が、ゼラチン状担体材料(4)と前記2つのチャンバ(2,12)との間の接触領域(9,19)とほぼ同じ程度を有することを特徴とする、請求項36に記載の装置。
【請求項38】
各機能性チャンバ(7,17)が液体で満たされ、かつ少なくとも1つの電極(8,18)を含有することを特徴とする、請求項36または37に記載の装置。
【請求項39】
前記電極(8,18)が板として設計され、それと関連して、挿入されるゼラチン状担体媒質(4)に対して本質的に平行にそれらが配置されることを特徴とする、請求項38に記載の装置。

【図1A】
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【図1B】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2006−507114(P2006−507114A)
【公表日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−554383(P2004−554383)
【出願日】平成15年11月18日(2003.11.18)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012904
【国際公開番号】WO2004/047977
【国際公開日】平成16年6月10日(2004.6.10)
【出願人】(505040121)カプサルーション ナノサイエンス アクチェン ゲゼルシャフト (7)
【Fターム(参考)】