説明

情報共有装置、情報共有方法及びプログラム

【課題】書き込み者が書き込みを始めるタイミングを遠隔地において知ることができ、コミュニケーション上の違和感を低減できる情報共有装置、その情報共有方法及びプログラムを提供することにある。
【解決手段】自端末側のホワイトボード1Aから供給される描画データを受信して、この描画データに基づく描画情報を表示する遠隔端末側のホワイトボード1Bは、画面上に描画情報を表示する描画出力部と、自端末側のホワイトボード1Aから供給される描画データを受信する描画データ受信部と、受信した描画データに基づく描画情報を描画出力部に表示する場合、描画情報と共に、自端末側のホワイトボード1Aにおいて描画中であることを示す示唆図形102を描画出力部に表示させる描画処理部を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遠隔会議システムに係わる情報共有装置、情報共有方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の地点に配置された情報共有装置を使用する遠隔会議システムがある。その遠隔会議システムでは、対地側から一方向に送られて来る情報と、互いに多方向の通信を行って多地点で共有する情報の2つを扱う。例えば、対地側から一方向に送られて来る情報は、遠隔会議に参加する人物の音声や映像などの情報である。また、多地点で共有する情報は、ホワイトボードなどに書き込まれる図形や文字によって示される情報である。また、遠隔会議システムでは、共有する情報を多地点で同時にびょうが描画表示できる情報共有装置(電子ホワイトボード)を備え構成される技術が開示されている(特許文献1及び特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−188655号公報
【特許文献2】特開2001−228843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、書き込まれる電子ホワイトボードを直視可能な位置で会議に参加する参加者は、書き込み者の動作から書き込みを始めるタイミングを知ることができる。
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術では、共有される情報は、電子ホワイトボードに書き込まれた情報にすぎない。それゆえ、共有できる情報は書き込まれたものだけであり、書き込みがされるまで、情報を共有しようとしていることを知る術はない。つまり、対地側にいる書き込み者が電子ホワイトボードに書き込みを始めるタイミングを、書き込み者とは異なる多地点において会議に参加する参加者が知ることは困難である。そのため、多地点と会議を行う電子ホワイトボードにおいては、対地側にいる相手が書き込みを行った場合、突如電子ホワイトボード上の描画内容が更新される。
【0005】
例えば、図7は、従来の電子ホワイトボードにおける描画表示を示す例である。左側の電子ホワイトボードを自端末側のホワイトボードとし、右側の電子ホワイトボードを遠隔地にある遠隔端末側のホワイトボードとし、この2つの電子ホワイトボードは、ネットワークによって通信可能な状態にある。自端末側のホワイトボードにおいて、書き込み者がペンで点Aから点Dまでの線を描くと、ネットワークを通じて遠隔端末側のホワイトボードに点A1から点D1までの線としてそれぞれ表示される。ネットワークによる伝送遅延及び電子ホワイトボードのシステムによる処理遅延を含めた遅延時間をΔtとすると、時刻t1に描画した点Aは時刻(t1+Δt)に点A1として表示される。点Bから点Dも同様に、それぞれ遅延時間Δt後に点B1から点D1として表示される。このとき、遠隔端末側のホワイトボード上に表示される範囲は、時刻(t2+Δt)であれば単に曲線点A1から点B1までの範囲であり、時刻(t3+Δt)であれば単に曲線点A1から点C1までの範囲である。
【0006】
このように描画内容が突如表示される情報共有装置を用いた場合、書き込み者とは異なる地点において、書き込み者が書き込みを始めるタイミングを知ることができないという問題がある。このため、書き込み者とは異なる地点にいる会議の会議参加者に、コミュニケーション上の違和感を与えることがある。
【0007】
本発明は、上記問題を解決すべくなされたもので、その目的は、書き込み者が書き込みを始めるタイミングを書き込み者とは異なる地点において知ることができる情報共有装置、情報共有方法及びプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記問題を解決するために、本発明は、外部装置から供給される第1の描画データを受信して、該第1の描画データに基づいた第1の描画情報を表示する描画出力部と、前記第1の描画データを受信する描画データ受信部と、前記第1の描画情報を前記描画出力部に表示する場合、前記第1の描画情報と共に、前記外部装置において描画中であることを示す示唆図形を前記描画出力部に表示させる描画処理部とを備えたことを特徴とする情報共有装置である。
【0009】
また、本発明は上記発明において、第1の描画データが描画画面上の描画位置情報を含み、前記描画処理部は、前記第1の描画情報を前記描画出力部に表示させる場合、前記描画位置情報に基づく前記描画出力部の画面上の位置に前記示唆図形を表示した後に、前記第1の描画情報を表示させることを特徴とする。
【0010】
また、本発明は上記発明において、前記描画処理部は、前記示唆図形を表示させる画面上の位置と前記示唆図形の形状を、新たに受信した前記第1の描画データに応じて変更することを特徴とする。
【0011】
また、本発明は上記発明において、前記外部装置から第1の描画データの供給が中断された場合、予め定められた期間継続して前記示唆図形を前記描画出力部に表示させた後、前記示唆図形を非表示にさせることを特徴とする。
【0012】
また、本発明は上記発明において、前記描画出力部の画面上に重ねて配置される描画画面上の描画位置情報を含む描画動作の情報を検出する描画入力部と、前記描画動作の情報に基づく第1と異なる第2の描画データを前記外部装置に送信する描画データ送信部とを備え、前記描画処理部は、前記描画入力部が検出した前記描画動作の情報に基づく第2の描画情報を前記描画出力部に表示させ、前記第2の描画データを前記描画データ送信部に送信させることを特徴とする。
【0013】
また、本発明は上記発明において、前記外部装置は、上記発明の情報共有装置であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明は、外部装置から供給される描画データを受信して、該描画データに基づいた描画情報を描画出力部に表示する情報共有方法であって、前記描画データを受信する過程と、前記描画情報を前記描画出力部に表示する場合、前記描画情報と共に、前記外部装置において描画中であることを示す示唆図形を前記描画出力部に表示させる過程とを含む情報共有方法である。
【0015】
また、本発明は、コンピュータに、外部装置から供給される描画データに基づく描画情報を描画出力部の画面上に表示させるためのプログラムであって、描画データ受信部が外部装置から描画データを受信するステップと、前記描画情報を前記描画出力部に表示する場合、前記描画出力部が、前記外部装置から受信した描画データに基づく描画情報と共に、前記外部装置において描画中であることを示す示唆図形を表示するステップとを前記コンピュータに実行させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0016】
この本発明によれば、情報共有装置は、外部装置から受信した第1の描画データに基づく第1の描画情報を描画出力部に表示する場合に、第1の描画情報と共に、外部装置において描画中であることを示す示唆図形を描画出力部に表示する。これにより、外部装置の書き込み者が書き込みを始めるタイミングを知ることができる。結果として、会議においてコミュニケーション上の違和感を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施形態におけるネットワーク接続を示すブロック図である。
【図2】本実施形態における情報共有装置を示すブロック図である。
【図3】同実施形態における描画処理の動作を示す説明図である。
【図4】同実施形態における描画表示を示す説明図である。
【図5】同実施形態における描画処理を示すフローチャートである。
【図6】第2の実施形態におけるネットワーク接続を示すブロック図である。
【図7】従来の情報共有装置の描画表示を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1の実施形態>
以下、本発明の実施形態による情報共有装置について図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態におけるネットワーク接続を示すブロック図である。
図1に示される情報共有装置(電子ホワイトボード1)は、自端末側のホワイトボードを符号1A、遠隔地にある遠隔端末側のホワイトボードを符号1Bとして示す。なお、自端末側のホワイトボード1Aと遠隔端末側のホワイトボード1Bは同一の構成である。自端末側又は遠隔端末側を指定せず共通に示す場合は、電子ホワイトボード1とする。図において、自端末側のホワイトボード1Aと遠隔端末側のホワイトボード1Bは、ネットワーク2に接続され、互いに通信可能な状態にある。
【0019】
図2は、本実施形態における情報共有装置を示すブロック図である。
電子ホワイトボード1は、描画出力部10、描画生成部11、記憶部20、描画入力部30、描画データ送信部40、描画データ受信部50及び描画処理部60を備える。
描画出力部10は、図示されない表示部を備える。表示部は、書き込みの際に動かないように壁面や机上などに固定され、支持される。描画出力部10は、描画生成部11から供給される画像・映像情報に基づき、図や文字などを示す画像や示唆図形102(図3)を表示部に表示する。
描画生成部11は、描画出力部10と記憶部20と描画処理部60とに接続され、画像・映像情報を生成し、描画出力部10に供給する。描画生成部11は、記憶部20から供給される描画情報及び描画処理部60から供給される示唆図形情報Jに基づき、画像・映像情報を生成する。画像・映像情報は、描画情報と示唆図形情報Jを1つの画面に統合して、描画出力部10の表示画面に表示するための情報である。
また、示唆図形102は、身体動作を模した図形である。示唆図形情報Jは、示唆図形102の画像情報と表示画面上の描画位置(X,Y)の情報を含む。また、表示画面上の描画位置(X,Y)は、例えば、表示画面上の左下を原点とし、水平方向の位置をX、垂直方向の位置をYとする2次元の直交座標により示すものとする。
なお、身体動作を模した図形は、いわゆる身体メタファーである。メタファーとは暗喩のことであり、身体動作を模した図形は、身体動作を示唆できるものあれば良い。例えば、ペンの図形が画面上を動けば、その状況を見た人は書き込み者3(図3)が手で書いていることを想像できる。
記憶部20は、描画処理部60が生成した描画情報を記憶する。記憶部20は、描画処理部60により描画情報を記憶され、描画生成部11と描画処理部60により描画情報を参照される。
【0020】
描画入力部30は、描画出力部10の画面上に重ねて配置されるタッチパネルを備える。描画入力部30は、タッチパネルを用いて描画動作を検出して描画動作の情報Kを生成し、描画処理部60に描画動作の情報Kを供給する。描画動作の情報Kは、タッチパネル上の描画位置(x,y)と当該位置に入力を行っている入力物体(ペン、消しゴム、指など)の情報を含む。入力物体の情報は、例えばペンの種類の情報である。タッチパネル上の描画位置(x,y)の情報は、電子ホワイトボード1の書き込み者3が文字や図形などの描画図形を書き込む際に一定の時間間隔毎にタッチパネルによって取り込まれる。ここで一定の時間間隔とは、描画動作の情報Kに基づき描画出力部10に表示される描画図形と書き込み者3によるタッチパネル上の描画動作とで、違和感のない程度の時間間隔である。また、タッチパネル上の描画位置(x,y)は、例えば、タッチパネルの左下を原点とし、水平方向の位置をx、垂直方向の位置をyとする2次元の直交座標により示すものとする。
なお、入力物体の情報は、書き込み者3が描画入力部30のタッチパネルから予め選択する方法と、IDを持った電子ペンなどにより、図示しないセンサーを通じて、入力物体自体が情報を描画入力部30に供給する方法の2つがあり、いずれの方法でも良い。
【0021】
描画データ送信部40は、ネットワーク2に接続され、描画処理部60から供給される描画データをネットワーク2に送信する。
描画データ受信部50は、ネットワーク2に接続され、ネットワーク2から供給される描画データを受信し、描画処理部60に供給する。
【0022】
描画処理部60は、描画出力部10、描画生成部11、描画入力部30、描画データ送信部40及び描画データ受信部50を制御する。描画処理部60は、描画入力部30から供給される描画動作の情報Kに基づき、描画出力部10に表示させる描画情報を生成する。描画処理部60は、生成した描画情報を記憶部20に書き込み記憶させる。描画情報は、書き込み者3によって描画された図や文字を描画出力部10に表示させる情報である。描画処理部60は、描画動作の情報Kに含まれるタッチパネル上の描画位置(x,y)の情報と入力物体の情報(ペンの種類など)から描画情報を生成する。
また、描画処理部60は、描画動作の情報Kと記憶部20から読み出した描画情報とに基づき描画データを生成し、描画データ送信部40に供給する。描画データは、タッチパネル上の描画位置(x,y)の情報と描画情報を含むデータである。
また、描画処理部60は、描画データ受信部50から供給される描画データに基づき、描画出力部10に表示させる描画情報と示唆図形情報Jを生成する。描画処理部60は、描画データに基づき生成された描画情報を記憶部20に記憶させ、示唆図形情報Jを描画生成部11に供給する。なお、示唆図形102の形状は、入力物体の種類や、書き込み者3(図3)の状態に応じて変更しても良い。
【0023】
また、図1に戻り、自端末側のホワイトボード1Aと遠隔端末側のホワイトボード1Bの接続について説明する。自端末側のホワイトボード1Aの描画データ送信部40が描画データを送信し、遠隔端末側のホワイトボード1Bの描画データ受信部50がこの描画データを受信する。また、遠隔端末側のホワイトボード1Bの描画データ送信部40が描画データを送信し、自端末側のホワイトボード1Aの描画データ受信部50がこの描画データを受信する。
【0024】
次に、本実施形態の動作について説明する。
図3は、本実施形態の動作を示す図である。この図において自端末側のホワイトボード1Aと遠隔端末側のホワイトボード1Bはネットワーク2に接続され、2つの拠点間で通信が行われる。自端末側のホワイトボード1Aにおいて、書き込み者3がペン4を使用して点A−点Dの曲線101を書き込むものとする。
自端末側のホワイトボード1Aにおいて、書き込み者3がペン4を使用して点Aから点D間の曲線101書き込むと、描画入力部30が検出した描画動作の情報Kに基づき点Aから点D間の曲線101の描画データを描画処理部60が生成する。自端末側のホワイトボード1Aは、ネットワーク2を通じてこの描画データを遠隔端末側のホワイトボード1Bに送信する。描画データを受信した遠隔端末側のホワイトボード1Bは、描画出力部10に、身体動作を模した図形である示唆図形102と共に、点A1から点D1間の曲線103を表示する。
【0025】
図4は、同実施形態における描画表示を示す説明図である。この図は、自端末側のホワイトボード1Aにおいて、書き込み者3により点Aから点D間の曲線101が書き込まれた際の遠隔端末側のホワイトボード1Bの描画出力部10の描画表示を示す。
ネットワーク2による伝送遅延及び電子ホワイトボード1のシステムによる処理遅延を含めた遅延時間をΔtとすると、時刻t1に描画した点Aは時刻(t1+Δt)に点A1として描画出力部10に表示される。点A1の描画時に身体動作を模した図形である示唆図形102も点A1の位置に共に表示される。図4の(a)はこの状態を示す。ここで、示唆図形102が表示されるため、遠隔端末側にいる会議の参加者は、自端末側のホワイトボード1Aにおいて書き込み者3が書き込みを始めるタイミングを知ることができる。
書き込み者3により点Bまで書き込まれた時刻をt2とすると、図4(b)に示されるように、時刻(t2+Δt)に点A1から点B1までの曲線1031と共に示唆図形102が点B1の位置に表示される。
同様に点Cまで書き込まれた時刻をt3とすると、図4(c)に示されるように、時刻(t3+Δt)に点B1から点C1までの曲線1032が追加されると共に示唆図形102が点C1の位置に表示される。
同様に点Dまで書き込まれた時刻をt4とすると、図4(d)に示されるように、時刻(t4+Δt)に点C1から点D1までの曲線1033が追加されると共に示唆図形102が点D1の位置に表示される。
【0026】
次に、本実施形態に示す一態様の詳細な動作について説明する。
書き込み者3が自端末側のホワイトボード1Aのタッチパネル上に書き込みを行うと、描画入力部30は、タッチパネル上の描画位置(x,y)の情報を検出し、描画位置(x,y)の情報と入力物体(ペン、消しゴム、指など)の情報を含む描画動作の情報Kを描画処理部60に供給する。前述のように、描画動作はタッチパネルを用いて検出される。描画処理部60は、描画動作の情報Kに基づき描画情報を生成する。描画処理部60は、記憶部20に描画情報を書き込み、記憶させる。描画生成部11は、記憶部20が記憶する描画情報を参照し、描画情報に基づき画像・映像情報を生成する。描画生成部11は、生成した画像・映像情報を描画出力部10に供給する。描画出力部10は、描画生成部11から供給された画像・映像情報に基づき、書き込み者3が書き込んだ文字や図形を画像として表示する。
【0027】
また、描画処理部60は、記憶部20から読み出した描画情報と、描画入力部30から供給される描画動作の情報Kに基づき描画データを生成する。描画処理部60は、描画データを描画データ送信部40に供給し、描画データを描画データ送信部40に送信させる。これにより、描画データ送信部40は、描画データをネットワーク2に送信する。描画データは、ネットワーク2を経由して遠隔端末側のホワイトボード1Bに伝送される。
遠隔端末側のホワイトボード1Bでは、描画データ受信部50が描画データを受信し、描画処理部60に供給する。描画処理部60は、描画データ受信部50から供給された描画データに基づき、描画情報を生成し、記憶部20に描画情報を記憶させる。描画生成部11は、記憶部20が記憶する描画情報を参照し、自端末側のホワイトボード1Aにおいて書き込み者3が書き込んだ文字や図形を再形成した画像・映像情報を生成して、描画出力部10に供給する。また、描画処理部60は、描画データ受信部50から供給された描画データに基づき、示唆図形情報Jを生成し、描画生成部11に供給する。描画生成部11は、示唆図形情報Jに基づき画像・映像情報を生成して、描画出力部10に供給する。これにより、描画出力部10は、自端末側のホワイトボード1Aにおいて書き込み者3が書き込んだ文字や図形と共に、身体動作を模した図である示唆図形102を表示する。ここでは、ペンを持った手の図形102を表示する。
【0028】
次に、本実施形態の動作について、フローチャートを使用して詳細に説明する。
図5は、本実施形態の動作を示すフローチャートである。
図5(a)において、自端末側のホワイトボード1Aの描画データを遠隔端末側のホワイトボード1Bに描画する際の処理を示す。自端末側のホワイトボード1Aの書き込み者3が書き込みを始めると、描画入力部30が描画動作の情報Kを検出し、処理が開始される。ステップS1において、自端末側のホワイトボード1Aは、書き込み者3によりタッチパネル上に書き込まれる描画動作の情報Kを検出し、描画出力部10に表示する処理を行う。ステップS1において、書き込み者3によって書き込まれた文字や図形が自端末側のホワイトボード1Aの描画出力部10にそのまま反映され表示される。描画入力部30が、タッチパネル上の描画位置(x,y)の情報を検出し、描画位置(x,y)の情報を含む描画動作の情報Kを描画処理部60に供給する。描画処理部60は、描画動作の情報Kに基づき、描画情報を生成し、記憶部20と描画生成部11を経由して描画情報を描画出力部10に表示させる。なお、ステップS1における処理を開始するタイミングは、描画入力部30によって書き込み者3の書き込み意思を検出できた時刻とする。例えば、タッチパネルがタッチ動作を検出した時刻とする。
【0029】
ステップS2において、自端末側のホワイトボード1Aは、書き込み者3によって描画されたデータである描画データを遠隔端末側のホワイトボード1Bに送信する処理を行う。描画処理部60は、描画動作の情報Kと記憶部20に記憶された描画情報とに基づき、描画データを生成し、生成した描画データを描画データ送信部40に供給する。描画データ送信部40は、描画データをネットワーク2に送信する。時刻tの時点で送信される描画データは、時刻tにおける描画位置(x,y)の情報と描画情報を含むデータである。
描画情報には、電子ホワイトボードの方式によって異なるが、大別すると2種類の構成方式がある。1つは描画情報がイメージデータとして構成される方式である。この方式では自端末側のホワイトボード1Aの描画情報を画像イメージの情報として構成し、ネットワーク2に送信する。もう1つは描画情報がベクトルデータとして構成される方式である。この方式の描画情報には、描画に用いたペンの種類(太さ、色など)と、図形や文字を構成する座標の情報とが含まれる。どちらも、全てのデータを送信する場合と、前の時刻からの差分を送信する場合を選択できる。本実施形態においては、時刻tの描画位置(x,y)の情報が描画データに含まれていれば、描画情報は任意の構成をとっても良い。また、本実施形態において、自端末側のホワイトボード1Aと遠隔端末側のホワイトボード1Bは、同一の構成を持つ電子ホワイトボード1である。そのため、タッチパネル上の描画位置(x,y)の情報と表示画面上の描画位置(X,Y)の情報は等しいものとする。
【0030】
次にステップS3において、ネットワーク2を通じて遠隔端末側のホワイトボード1Bが描画データ(描画位置と描画情報)を受信する。描画データ受信部50は、ネットワーク2を通じて供給された描画データを受信し、描画処理部60に供給する。
次にステップS4において、遠隔端末側のホワイトボード1Bの描画処理部60は、描画データに基づき、自端末側のホワイトボード1Aにおいて書き込み者3が書き込んだ文字や図形を再形成して表示させる共に、身体動作を模した図である示唆図形102を表示させる。
また、ステップS5において、続いて書き込み者3による自端末側のホワイトボード1Aへの書き込みがあり、描画入力部30が描画動作の情報Kを検出した場合は、ステップS1に戻る。続く描画動作の情報Kが検出されない場合は処理を終了する。
【0031】
図5(b)は、図5(a)に示されたステップS4の具体的な一実施態様を示す。ステップS4では、遠隔端末側のホワイトボード1Bの描画処理が行われる。遠隔端末側のホワイトボード1Bの描画処理部60は、描画データが描画データ受信部50から供給されると、描画データから表示画面上の描画位置(X,Y)の情報と描画情報を取得する(ステップS41)。次に、既に身体動作を模した図形である示唆図形102が表示されているか否かを判定する。示唆図形102が表示されているか否かの判定は、例えば、描画処理部60内の図示しない記憶領域に設けられたフラグに示唆図形102の表示状態を記憶し、このフラグを参照して判定する(ステップS42)。
示唆図形102が既に表示されていると判定された場合は、描画処理部60は、示唆図形102を描画出力部10の新しい描画位置(X,Y)に表示させ、示唆図形102を移動させ、ステップS45に進む(ステップS43)。
また、ステップS42の判定において否と判定された場合は、描画処理部60は、身体動作を模した図形である示唆図形102を描画出力部10の描画位置(X,Y)に表示させ、ステップS45に進む(ステップS44)。
次にステップS45において、描画処理部60は、記憶部20を経由して描画情報を描画生成部11に供給する。描画生成部11は、描画情報に基づき画像・映像情報を生成して、描画出力部10に供給する。その結果、描画出力部10は、身体動作を模した図形である示唆図形102と共に自端末側のホワイトボード1Aで書き込まれた描画である描画情報を表示する。
【0032】
次にステップS46からS48のループ処理に進み、描画処理部60は、予め定められた期間Twの間、次の描画データが受信されるか否かを継続して待ち受ける。予め定められた期間Twの間継続して待ち受けを行うのは、連続して書き込みを行う場合の表示に連続性を持たせるためである。例えば、書き込み者3が常に連続して書き込みを行うとは限らないからである。そのような状況において、継続して待ち受ける処理を行わないと、書き込み者3が文章を書く際に1文字ごとに、示唆図形102の表示が消える場合が生じる。このような表示では、不自然な印象を会議の参加者に与え得る。そのため、予め定められた期間Twの間、待ち受けを行うことにより、この問題を回避する。従って、予め定められた期間Twは、身体動作を模した図形である示唆図形102が消えることにより、会議の参加者が不自然に感じない程度の期間である。また、ステップS46からS48のループ処理は、ステップS46において、描画処理部60がステップS41で描画情報を取得した時刻からの経過時間tnと予め定められた期間Twを比較し、tn<Twである間、繰り返される。ただし、tn≧Twになった場合、ステップS49の処理に進む。また、ステップS47において、描画処理部60は、描画データ受信部50が次の描画データを受信したか否かを検出し、次の描画データを受信した場合、ステップS41の処理に戻る。
【0033】
ステップS49において、描画処理部60は、身体動作を模した図形である示唆図形102の表示を非表示にさせる。図5(a)のステップS4において、遠隔端末側のホワイトボード1Bの描画処理部60が身体動作を模した図形である示唆図形102が表示される期間は、描画データが更新されている間である。
なお、電子ホワイトボードによっては、描画が更新されない間も常に描画データを送受信するものもある。その場合は、描画データに描画位置(x,y)の情報が含まれる場合に、図5(b)のフローチャートに示す処理を行うようにすれば良い。
また、上記説明は、書き込み者3が自端末側のホワイトボード1Aに書き込み、遠隔端末側のホワイトボード1Bに表示して情報共有する場合を説明したが、書き込み者3が遠隔端末側のホワイトボード1Bに書き込み、自端末側のホワイトボード1Aに表示して情報を共有する場合も考えられる。この場合、描画データの送信側と受信側が入れ替わることを除き、同様の動作をする。
【0034】
以上のように、自端末側のホワイトボード1Aにおいて書き込み者3が書き込んだ描画情報を、遠隔端末側のホワイトボード1Bは、自身の描画出力部10に表示する。この場合に、遠隔端末側のホワイトボード1Bは、描画情報と共に、自端末側のホワイトボード1Aにおいて描画中であることを示す示唆図形102を描画出力部10に表示する。これにより、会議の参加者は、書き込み者3が書き込みを始めるタイミングを書き込み者3とは異なる地点に居ながらにして知ることができる。また、遠隔端末側のホワイトボード1Bにおいて書き込み者3が書き込んだ描画情報を、自端末側のホワイトボード1Aが自身の描画出力部10に表示する場合においても同様の効果が得られる。結果として、書き込み者3が書き込みを始めるタイミングを知ることができるため、電子ホワイトボード1は、会議においてコミュニケーション上の違和感を低減することができる。また、書き込み者3が書き込みを始めるタイミングを知ることができるため、一方の地点で書き込みを行っている最中に、他方の地点でも書き込みを行ってしまい、描画領域が重なり合ってしまう問題を防止できる。
【0035】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態による情報共有装置について図面を参照して説明する。
図6は、本実施形態におけるネットワーク接続を示すブロック図である。
図において、図1と同じ構成には同一の符号を付す。
本実施形態においては、自端末側のホワイトボード1Aと遠隔端末側のホワイトボード1Bはネットワーク2を通じて直接的に通信するのではなく、ネットワーク2上のサーバー装置7を経由して通信する。なお、自端末側のホワイトボード1Aとサーバー装置7間、及び遠隔端末側のホワイトボード1Bとサーバー装置7間は、互いに通信可能な状態にある。
サーバー装置7は、描画データ受信部71、描画データ蓄積部72及び描画データ送信部73を備える。サーバー装置7は、自端末側のホワイトボード1A及び遠隔端末側のホワイトボード1Bの描画データ送信部40から送信された描画データをネットワーク2を経由して受信する。また、サーバー装置7は、描画データを自端末側のホワイトボード1A及び遠隔端末側のホワイトボード1Bの描画データ受信部50にネットワーク2を経由して送信する。
【0036】
描画データ受信部71は、ネットワーク2に接続される。描画データ受信部71は、ネットワーク2を経由して供給される描画データを受信し、描画データ蓄積部72に描画データを供給する。
描画データ蓄積部72は、描画データ受信部71から供給される描画データを蓄積し、描画データ送信部73から参照される。
描画データ送信部73は、ネットワーク2に接続され、描画データ蓄積部72を参照し、蓄積される描画データをネットワーク2に送信する。
【0037】
次に、本実施形態の動作について説明する。
本実施形態において、自端末側のホワイトボード1Aと遠隔端末側のホワイトボード1B間の描画データの送受信以外の動作は、第1の実施形態と同じである。
書き込み者3が自端末側のホワイトボード1Aに書き込みを行うと、自端末側のホワイトボード1Aは、ステップS1に示す処理(図5(a))によって、描画データを生成する。自端末側のホワイトボード1Aの描画データ送信部40は、ネットワーク2を経由して、サーバー装置7に描画データを送信する。サーバー装置7は、描画データ受信部71により描画データを受信し、描画データを描画データ蓄積部72に蓄積する。その後、サーバー装置7は、描画データ蓄積部72に蓄積した描画データを描画データ送信部73からネットワーク2を経由して、遠隔端末側のホワイトボード1Bの描画データ受信部50に送信する。
遠隔端末側のホワイトボード1Bは、上記ステップS3及びS4に示す処理(図5(a))を行い、描画処理部60が描画情報と共に、身体動作を模した図形である示唆図形102を描画出力部10に表示する。
また、書き込み者3が遠隔端末側のホワイトボード1Bに書き込みを行い、自端末側のホワイトボード1Aに表示させる場合も同様であり、描画データはサーバー装置7を経由して、自端末側のホワイトボード1Aに送信される。
【0038】
以上のように、本実施形態において、会議の参加者は、第1の実施形態と同様に、書き込み者3が書き込みを始めるタイミングを書き込み者3とは異なる地点に居ながらにして知ることができる。結果として、電子ホワイトボード1は、会議においてコミュニケーション上の違和感を低減させることができる。
また、本実施形態において、自端末側のホワイトボード1A及び遠隔端末側のホワイトボード1Bから送信される描画データは、ネットワーク2を経由して、一旦、サーバー装置7の描画データ蓄積部72に蓄積される。描画データ蓄積部72に蓄積された描画情報は、各拠点の電子ホワイトボード1(1A及び1B)にネットワーク2を経由して送信される。このため、各拠点の電子ホワイトボード1は、サーバー装置7との間で描画データの送受信を行う。このため、各拠点間において描画データの送受信を直接行う必要がなく、複数の拠点間で会議を行う場合に、各拠点の電子ホワイトボード1は、描画データの伝送負荷を軽減できる。
また、会議の参加者は、書き込み者3が書き込みを始めるタイミングを知ることができる。そのため、一方の地点で書き込みを行っている最中に、他方の地点でも書き込みを行ってしまい、描画領域が重なり合ってしまう問題を防止できる。この描画領域が重なり合ってしまう問題は、同時に接続する拠点数が増えれば増えるほど顕著に現れる。伝送負荷を軽減できる本実施形態では、より多くの拠点との接続が可能とするため、この問題を防止できる効果は第1の実施形態よりも大きくなる。
【0039】
なお、本発明の実施形態によれば、自端末側のホワイトボード1Aから供給される描画データを受信して、この描画データに基づく描画情報を表示する遠隔端末側のホワイトボード1Bは、画面上に描画情報を表示する描画出力部10と、自端末側のホワイトボード1Aから供給される描画データを受信する描画データ受信部50と、受信した描画データに基づく描画情報を描画出力部10に表示する場合、描画情報と共に、自端末側のホワイトボード1Aにおいて描画中であることを示す示唆図形102を描画出力部10に表示させる描画処理部60を備える。
これにより、自端末側のホワイトボード1Aに書き込み者3が書き込みを始めるタイミングを、遠隔端末側のホワイトボード1Bを使用する会議の参加者は、書き込み者3とは異なる地点に居ながらにして知ることができる。結果として、遠隔端末側のホワイトボード1Bは、会議においてコミュニケーション上の違和感を低減させることができる。
【0040】
また、自端末側のホワイトボード1Aから供給される描画データは、描画画面上の描画位置の情報を含む。描画処理部60は、描画動作の情報Kに基づく描画情報を描画出力部10に表示させる場合、描画位置(x,y)の情報に基づく描画出力部10の画面上の位置(X,Y)に示唆図形102を表示した後に、描画動作の情報Kに基づく描画情報を表示させる。
これにより、遠隔端末側のホワイトボード1Bを使用する会議の参加者は、書き込み者3の描画位置を描画中常に知ることができる。そのため、書き込み者3が描画中であることをより明確に知ることができる。結果として、遠隔端末側のホワイトボード1Bは、会議においてコミュニケーション上の違和感を低減させることができる。
【0041】
また、描画処理部60は、示唆図形102を表示させる画面上の描画位置(X,Y)と示唆図形102の形状を、新たに受信した自端末側のホワイトボード1Aから供給される描画データに応じて変更する。
これにより、遠隔端末側のホワイトボード1Bを使用する会議の参加者は、書き込み者3の描画位置を描画中常に知ることができる。そのため、書き込み者3が描画中であることをより明確に知ることができる。更に、示唆図形情報Jの形状を変更することにより、会議の参加者は、書き込み者3の状態を知ることができる。結果として、遠隔端末側のホワイトボード1Bは、会議においてコミュニケーション上の違和感を低減させることができる。
【0042】
また、描画処理部60は、自端末側のホワイトボード1Aから供給される描画データの供給が中断された場合、予め定められた期間(Tw)継続して示唆図形102を遠隔端末側のホワイトボード1Bの描画出力部10に表示させた後、示唆図形102を非表示にさせる。
これにより、描画中でない場合は、示唆図形102の表示が消える。このため、遠隔端末側のホワイトボード1Bを使用する会議の参加者は、書き込み者3が描画中であることをより明確に知ることができる。また、予め定められた期間(Tw)は、示唆図形102の表示は維持される。このため、書き込み者3が連続して書き込みを行わずに、間隔を開けて書き込みを行った場合であっても、書き込み者3が文章を書く際に1文字ごとに示唆図形102が消えることがない。このため、書き込み者3が時間間隔を開けて書き込みを行った場合に発生する描画出力部10の画面上の不自然さを低減させることができる。結果として、遠隔端末側のホワイトボード1Bは、会議においてコミュニケーション上の違和感を低減させることができる。
【0043】
また、遠隔端末側のホワイトボード1Bは、描画出力部10の画面上に重ねて配置されるタッチパネル上の描画位置(x,y)情報を含む描画動作の情報Kを検出する描画入力部30と、描画動作の情報Kに基づく描画データを自端末側のホワイトボード1Aに送信する描画データ送信部40とを備える。描画処理部60は、描画動作の情報Kに基づく描画情報を描画出力部10に表示させ、描画動作の情報Kに基づく描画データを描画データ送信部40に送信させる。また、自端末側のホワイトボード1Aは、遠隔端末側のホワイトボード1Bと同じ構成である。
これにより、自端末側のホワイトボード1Aと遠隔端末側のホワイトボード1Bをそれぞれ使用する会議の参加者は、双方において、書き込み者3が書き込みを始めるタイミングを書き込み者3とは異なる地点に居ながらにして知ることができる。結果として、電子ホワイトボード1は、会議においてコミュニケーション上の違和感を低減させることができる。
【0044】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。上記の各実施形態において、自端末側のホワイトボード1Aと遠隔端末側のホワイトボード1Bの2拠点間の構成例を説明したが、これに限定されるものではなく、3拠点以上の構成でも良い。拠点が複数(3拠点以上)ある場合は、最低1つの示唆図形102を描画出力部10に表示させても良い。例えば、拠点1、拠点2及び拠点3が存在し、拠点2の書き込み者3と拠点3の書き込み者3とが同時期に書き込み意思を示したとする。この場合、拠点1には拠点2と拠点3の示唆図形102を別々に表示しても良いし、2つの示唆図形102を統合又は選択により1つだけ表示しても良い。示唆図形102を1つだけ表示した場合は、拠点2又は拠点3のいずれの書き込み者3の書き込み意思が示されたのかを、拠点1の参加者は判別できない。しかし、拠点1において、会議の参加者は、他拠点の書き込み者3が書き込み意思を示していることを判別できる。
また、示唆図形102を、統合又は選択する場合でも、常に1つにするのではなく、示唆図形102の数が増えてきたときに順次減らしても良い。示唆図形102の数を減らす条件としては、最大n個まで表示するという条件や、表示画面のx%以上が示唆図形102で埋められた場合という条件を使えば良い。もちろん、これらの条件を、組み合せても良い。
【0045】
また、示唆図形102の数を減らすのではなく、表示されるサイズを小さくする方法をとっても良い。これらの示唆図形102の調整処理は、示唆図形102の数が増えた際にホワイトボードの視認性を妨げないようにすることが目的である。示唆図形102の調整処理は、電子ホワイトボード1で行っても良いし、サーバー装置7で行っても良い。電子ホワイトボード1で行う場合は、ステップS41(図5(b))において、複数の位置を示す描画位置(X,Y)の情報を複数取得した際に処理する。一方、サーバー装置7で行う場合は、予め描画位置(X,Y)の数を処理してから送信すれば良い。
【0046】
また、描画入力部30は、タッチパネルを備える例を説明したが、描画位置(x,y)の情報を含む描画動作の情報Kが検出できる形態であれば、他の形態でも良い。例えば、タッチパネルは、赤外線方式や超音波方式などの検出方式を有するものがあるが、本発明は検出方式に制限されるものではない。
また、描画動作の情報Kを、入力物体(ペン、消しゴム、指など)の情報であるペンの種類の情報を含むも例を説明したが、描画入力部30とは別の手段により入力物体を検出し、その情報が描画処理部60に供給されるのであれば、他の形態でも良い。
【0047】
また、描画データに時刻tの描画位置(x,y)の情報が含まれる形態を説明したが、描画位置(x,y)を演算処理等によって導くことが可能な情報が含まれる形態でも良い。
また、タッチパネル上の描画位置(x,y)と表示画面上の描画位置(X,Y)は等しくした形態を説明したが、異なることにした形態でも良い。例えば、自端末側のホワイトボード1Aと遠隔端末側のホワイトボード1Bで表示画面のサイズが異なる場合も考えられる。この場合は、描画データに含まれるタッチパネル上の描画位置(x,y)の情報から、表示画面上の描画位置(X,Y)を表示画面のサイズに応じて変換する処理を、描画処理部60が行えば良い。
なお、自端末側のホワイトボード1Aと遠隔端末側のホワイトボード1Bは、必要な構成を備えていれば、それを実現する機器や方式が同一である必要はない。例えば、自端末側のホワイトボード1Aの描画出力部10をプラズマディスプレイによって実現し、遠隔端末側のホワイトボード1Bの描画出力部10をプロジェクターによって実現しても良い。また、自端末側のホワイトボード1Aの描画入力部30を超音波式のタッチパネルにより実現し、遠隔端末側のホワイトボード1Bの描画入力部30を赤外線方式のタッチパネルにより実現しても良い。
【0048】
また、ステップS1(図5(a))の説明において、タッチパネルがタッチ動作を検出した時刻を、ステップS1における処理を開始するタイミングとする形態を説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、ペン4の種類を切り替えて、その種類に応じた線種(太さ、色など)を設定できる電子ホワイトボードであれば、書き込み者3がペン4の切り替えを行ったタイミングとするなどの検出方法でも良い。例えば、タッチパネルの端に、ペンの種類を選択する選択メニューがある場合、その選択メニューをペン4により指し示した時刻をステップS1の処理を開始するタイミングとしても良い。
【0049】
また、書き込み者3が描画入力部30に接近した時刻、書き込み者3が入力物体を把持した時刻、書き込み者3がスイッチなどの押下により明示的に書き込み意思を示した時刻などをステップS1における処理を開始するタイミングとしても良い。書き込み者3の接近を検出する場合は、描画入力部3に書き込み者3の接近を検出するセンサーを追加する。例えば、書き込み者3の接近を検出するセンサーとして、床に設けた接触センサーを設置する方法としても良い。なお、描画入力部30によって書き込み者3の書き込みの意思を検出した時刻において、書き込み者3が書き込みを行っていない検出方法の場合、描画位置(x,y)は、予め定められた固定の値とする。
【0050】
また、示唆図形102の形状は、書き込み者3の状態に応じて変更しても良い。例えば、電子ホワイトボード1が受信した描画データに含まれる描画位置(x,y)の情報が予め定められた固定の値(描画画面外の座標など)である場合を考える。この場合には、書き込み者3が思考中であることを表す示唆画像を表示しても良い。例えば、思考中を表現する示唆画像として、人型の影絵のような図形がある。
また、ステップS46(図5(b))からステップS48(図5(b))のループ処理において、次の描画データの待ち受け状態の場合の示唆図形102を別の形状に変更しても良い。例えば、待ち受け状態の場合、書き込み者3が思考中であることを表す示唆画像を表示しても良い。この場合、TwをTw1とTw2に分け、Tw1までの期間は、示唆図形102を表示し、Tw2になった時点で別の形状に変更しても良い。これにより、書き込み者3とは異なる地点に居ながらにして書き込み者3の状態を知ることができる。結果として、電子ホワイトボード1は、会議においてコミュニケーション上の違和感を更に低減させることができる。
【0051】
上述の電子ホワイトボード1は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した情報共有の処理過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【符号の説明】
【0052】
1 電子ホワイトボード
1A 自端末側のホワイトボード
1B 遠隔端末側のホワイトボード
2 ネットワーク
3 書き込み者
4 ペン
7 サーバー装置
10 描画出力部
11 描画生成部
20 記憶部
30 描画入力部
40 描画データ送信部
50 描画データ受信部
60 描画処理部
71 描画データ受信部
72 描画データ蓄積部
73 描画データ送信部
101、103、1031、1032、1033 曲線
102 示唆図形

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部装置から供給される第1の描画データを受信して、該第1の描画データに基づいた第1の描画情報を表示する情報共有装置であって、
画面上に前記第1の描画情報を表示する描画出力部と、
前記第1の描画データを受信する描画データ受信部と、
前記第1の描画情報を前記描画出力部に表示する場合、前記第1の描画情報と共に、前記外部装置において描画中であることを示す示唆図形を前記描画出力部に表示させる描画処理部と
を備えることを特徴とする情報共有装置。
【請求項2】
前記第1の描画データが描画画面上の描画位置情報を含み、
前記描画処理部は、
前記第1の描画情報を前記描画出力部に表示させる場合、前記描画位置情報に基づく前記描画出力部の画面上の位置に前記示唆図形を表示した後に、前記第1の描画情報を表示させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報共有装置。
【請求項3】
前記描画処理部は、
前記示唆図形を表示させる画面上の位置と前記示唆図形の形状を、新たに受信した前記第1の描画データに応じて変更する
ことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の情報共有装置。
【請求項4】
前記描画処理部は、
前記外部装置から第1の描画データの供給が中断された場合、予め定められた期間継続して前記示唆図形を前記描画出力部に表示させた後、前記示唆図形を非表示にさせる
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の情報共有装置。
【請求項5】
前記描画出力部の画面上に重ねて配置される描画画面上の描画位置情報を含む描画動作の情報を検出する描画入力部と、
前記描画動作の情報に基づく第1と異なる第2の描画データを前記外部装置に送信する描画データ送信部と
を備え、
前記描画処理部は、
前記描画入力部が検出した前記描画動作の情報に基づく第2の描画情報を前記描画出力部に表示させ、
前記第2の描画データを前記描画データ送信部に送信させる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の情報共有装置。
【請求項6】
前記外部装置は、
請求項5に記載の情報共有装置である
ことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の情報共有装置。
【請求項7】
外部装置から供給される描画データを受信して、該描画データに基づいた描画情報を描画出力部に表示する情報共有方法であって、
前記描画データを受信する過程と、
前記描画情報を前記描画出力部に表示する場合、前記描画情報と共に、前記外部装置において描画中であることを示す示唆図形を前記描画出力部に表示させる過程と
を含むことを特徴とする情報共有方法。
【請求項8】
コンピュータに、外部装置から供給される描画データに基づく描画情報を描画出力部の画面上に表示させるためのプログラムであって、
描画データ受信部が外部装置から描画データを受信するステップと、
前記描画情報を前記描画出力部に表示する場合、前記描画出力部が、前記外部装置から受信した描画データに基づく描画情報と共に、前記外部装置において描画中であることを示す示唆図形を表示するステップと
を前記コンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−151613(P2011−151613A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11186(P2010−11186)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】