説明

情報再生装置および情報再生方法

【課題】特定コンテンツに対する特殊再生を容易に実行し且つ特殊再生手順を複数の装置で共有する。
【解決手段】サーバ100に複数の情報再生装置が接続されているとき、ダウンロード制御部201はリストサーバ110とコンテンツサーバ111から再生手順リストとコンテンツのデータをインターネットに接続してダウンロードする。AV再生部210はダウンロードした再生手順リストに基づいて対応するコンテンツを再生または特殊再生して、さらに操作部31やリモコンRCによる操作入力によって異なる手順の特殊再生をすると、その特殊再生の履歴が再生手順リストとして生成される。さらに生成されたリストはアップロード制御部202によってサーバ100にアップロードされて、そしてアップロードされた手順リストが他の情報再生装置にダウンロードされて、そのリストに基づき対応するコンテンツの特殊再生を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生手順が記述されたリストに基づいて当該リストに対応するコンテンツのデータを再生する情報再生装置および情報再生方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、取得したコンテンツのデータを記録媒体に保存し、保存したそれぞれのコンテンツのデータを複数の領域に区分けして、さらには、それらコンテンツやチャプターの再生順序が示されたプレイリストを生成し、そのプレイリストに基づいてコンテンツやチャプターを再生する情報再生装置が普及している。さらには、そのようなプレイリストをネットワークに接続したサーバに送信して、受信したサーバが、そのプレイリストを様々な用途に利用するシステムが多数普及している。
【0003】
例えば引用文献1には、再生した時間やスキップ再生、早送りなどの特殊再生の操作履歴などのイベントログや、それらのイベントログの分析により特定された再生頻度が高いコンテンツを含んだプレイリストを、ネットワークを介してサーバにアップロードして、それらの情報を基にサーバが新たなプレイリストを生成してダウンロード可能に提示するシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−041722号公報 (図1 段落0112)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが従来は、プレイリストはあくまでもコンテンツまたはチャプター単位の再生順序を示すものであったので、特定コンテンツまたはチャプターに対するスキップ再生や倍速再生などの特殊再生の再生手順が示されたプレイリストを生成し且つそのプレイリストを複数の装置で共有することはできなかった。
【0006】
そこで、本発明は上述した課題を解決するために、特定コンテンツに対する特殊再生を容易に実行し且つ特殊再生手順を複数の装置で共有することができる情報再生装置および情報再生方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上述した課題を解決するため、コンテンツのデータを取得するデータ取得手段と、前記コンテンツのデータの再生手順が記述される再生手順リストを取得するリスト取得手段と、前記リスト取得手段で取得した再生手順リストに記述された再生手順に基づいて、前記データ取得手段で取得したコンテンツのデータを再生する再生手段と、前記再生手段で再生しているときに前記再生手順と異なる手順の特殊再生を行った場合に、前記異なる手順の特殊再生による再生手順が記述された再生手順リストを生成するリスト生成手段と、前記リスト生成手段で生成された再生手順リストをネットワークを介して送信する送信手段と、を具備することを特徴とするものである。
【0008】
また本発明は上述した課題を解決するため、コンテンツのデータを取得するデータ取得手段と、前記コンテンツのデータの再生手順が記述される再生手順リストを取得するリスト取得手段と、前記リスト取得手段で取得した再生手順リストに記述された再生手順に基づいて、前記データ取得手段で取得したコンテンツのデータを再生する再生手段と、を具備し、前記再生手段は、前記再生手順リストに記述された特殊再生による再生手順に基づいて特殊再生を行うことを特徴とするものである。
【0009】
また本発明は上述した課題を解決するため、コンテンツのデータを取得し、前記コンテンツのデータの再生手順が記述される再生手順リストを取得し、前記取得した再生手順リストに記述された再生手順に基づいて、前記取得したコンテンツのデータを再生し、さらには、前記再生手順リストに記述された特殊再生による再生手順に基づいて特殊再生を行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、特定コンテンツに対する特殊再生を容易に実行し且つ特殊再生手順を複数の装置で共有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態に係る情報再生装置であるHDDレコーダとサーバとで再生操作リストを送受信するための構成を示すブロック図。
【図2】図1で説明した信号処理制御部21によって実行されるコンテンツデータおよび再生手順リストのアップロード/ダウンロード処理を説明するための機能ブロック図。
【図3】図1で説明した構成の複数の情報再生装置がサーバに接続されたときの、コンテンツデータおよび再生手順リストのアップロード/ダウンロード処理のシーケンス図。
【図4】本実施形態によるコンテンツを再生するための再生手順リストとコンテンツのデータとの対応関係を示す概念図。
【図5】本実施形態の情報再生装置による再生手順リスト生成処理のフローチャート。
【図6】本実施形態の情報再生装置による再生手順リストに基づくコンテンツ再生処理のフローチャート。
【図7】本実施形態の情報再生装置による任意のコンテンツに対応する再生手順リストのダウンロード処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明における実施形態について図面を用いて説明する。
まず図1は、本発明の実施形態に係る情報再生装置であるHDDレコーダとサーバとで再生手順リストを送受信するための構成を示すブロック図である。なお本実施形態では情報再生装置をHDDレコーダに適用した例を示すが、本実施形態と同様の構成を備えたテレビジョン受像機、DVDレコーダ、情報処理端末、携帯移動端末であってもよい。
【0013】
HDDレコーダ10は、放送波処理部20、信号処理制御部21、AV出力部22、受信部30、操作部31、ネットワークIF部40、HDD50、記録媒体IF部51、などで構成されている。
【0014】
そして放送波処理部20は、アンテナATによって受信されたデジタル放送波やアナログ放送波に対して、特定チャンネルの選局や、復調・復号処理を施して、映像や音声の他にデータ放送や電子番組表(EPG)などのためのデータが含まれる信号を、信号処理制御部21に出力する。
【0015】
またネットワークIF部40は、LANなどのネットワークによりインターネットに接続し、接続したインターネットを経由して提供される放送番組などのコンテンツのデータやそのコンテンツの再生手順リストを受信して信号処理制御部22へ出力する。本実施形態では、特定コンテンツに対するスキップ再生や倍速再生などの特殊再生の再生手順リストを提供するサーバにインターネットを経由して接続して、特定コンテンツに対する再生手順リストをアップロードまたはダウンロードする。
【0016】
また信号処理制御部21は、入力された信号に対してMPEG符号化/復号化演算処理や、映像信号と音声信号の分離処理、信号からのデータ抽出処理、または圧縮された信号の解凍処理などを施して、映像音声信号を出力するとともに、CPUを備えていて各ブロックを制御する。本実施形態では、装置外部のサーバへのアップロード/ダウンロード処理やHDD50とのデータ送受信処理、映像音声信号の再生処理、さらには、映像音声信号に対する再生手順リスト生成処理などを制御する。
【0017】
さらにAV出力部22は、信号処理制御部21から入力された映像音声信号に対して、必要な処理を施して装置外部へ出力する。
そして操作部31は、装置を操作する入力操作の情報を受信する。同様に、受信部30は、リモコンRCによる入力操作の情報を受信する。本実施形態では、再生手順リストのアップロード/ダウンロード処理や映像音声信号の再生処理や特殊再生処理などの操作入力の情報を受信する。
【0018】
またHDD50は、装置外部から取得したコンテンツのデータやそのコンテンツの再生手順リストを保存し、保存したコンテンツの再生やコピーのためにコンテンツのデータや再生手順リストを出力する。本実施形態では、ネットワークIF部40を通してダウンロードした再生手順リストを保存し、保存したリストに対応するコンテンツを再生するために再生手順リストを出力する。
【0019】
さらに記録媒体IF部51は、記録媒体RMとのデータのやりとりを行う。すなわち、記録媒体RMが光ディスクであれば光ディスクドライブであり、記録媒体RMがメモリカードであればメモリリーダライタである。
【0020】
次にサーバ100は、データ管理部101、リストサーバ110、コンテンツサーバ111、などで構成されている。
まずデータ管理部101は、外部ネットワークによりインターネットに接続して、インターネットに接続されたHDDレコーダ10に対して再生手順リストとコンテンツのデータを関連付けて出力する。また、インターネットに接続されたHDDレコーダ10によりアップロードされた再生手順リストをリストサーバ110に出力し、HDDレコーダ10にダウンロードする再生手順リストをリストサーバ110から読み出して出力する。
【0021】
リストサーバ110は、再生手順リストを蓄積するサーバであり、データ管理部101の制御によって再生手順リストの入出力を行う。またコンテンツサーバ111は、コンテンツのデータを蓄積するサーバであり、データ管理部101の制御によってコンテンツのデータの入出力を行う。
【0022】
次に図1で説明したHDDレコーダ10に備えられた信号処理制御部21によって実行される、コンテンツデータおよび再生手順リストのサーバ100とのアップロード/ダウンロード処理を、図2を用いて説明する。
【0023】
図2は、図1で説明した信号処理制御部21によって実行されるコンテンツデータおよび再生手順リストのアップロード/ダウンロード処理を説明するための機能ブロック図である。
【0024】
信号処理制御部21は、ダウンロード制御部201、アップロード制御部202、AV再生部210、リスト生成部211、などで構成されている。
ダウンロード制御部201は、インターネットに接続されたコンテンツサーバ111からコンテンツデータをダウンロードし、同様にインターネットに接続されたリストサーバ110から再生手順リストをダウンロードする。そしてダウンロードしたデータやリストをHDD50に保存する。
【0025】
またアップロード制御部202は、HDD50に保存された再生手順リストをインターネットに接続されたリストサーバ110へアップロードする。
またAV再生部210は、再生対象コンテンツの再生手順リストをHDD50から読み出し、読み出したリストに記述された再生手順に基づいてHDD50に保存されたコンテンツデータを再生してAV出力部22へ出力する。また操作部31やリモコンRCによりスキップ再生や倍速再生などの特殊再生の操作入力がされたときは、その操作入力に応じた特殊再生処理を行う。
【0026】
さらにリスト生成部211は、AV再生部210によって実行された再生処理や特殊再生処理の手順を記憶して、記憶した手順が記述された再生手順リストを生成してHDD50に保存する。なお、複数のコンテンツまたはチャプターが順次再生された場合には、その再生順序が記述されたプレイリストを生成する。また複数のコンテンツまたはチャプターが順次特殊再生された場合には、その再生順序と特殊再生手順が記述されたリストを生成し、すなわち再生手順リストを含んだプレイリストを生成することになる。
【0027】
次に、図1で説明した構成の複数の情報再生装置がサーバ100に接続されたときの、コンテンツデータおよび再生手順リストのアップロード/ダウンロード処理のシーケンスを、図3を用いて説明する。
【0028】
図3は、図1で説明した構成の複数の情報再生装置がサーバ100に接続されたときの、コンテンツデータおよび再生手順リストのアップロード/ダウンロード処理のシーケンス図である。
【0029】
まず情報再生装置A10aがダウンロード処理を開始すると(S301)ダウンロード実行情報がデータ管理部101に提供されて(S331)、データ管理部101は提供されたダウンロード実行情報に基づき、リストサーバ110およびコンテンツサーバ111に対して該当する再生手順リストおよびコンテンツのデータを要求する。そしてそれぞれのサーバは要求されたリストおよびデータをデータ管理部101に提供して(S341)、データ管理部101は提供されたリストおよびデータを情報再生装置A10aに対してダウンロードする(S332)。
【0030】
また同様に、情報再生装置B10bがダウンロード処理を開始すると(S311)ダウンロード実行情報がデータ管理部101に提供されて(S333)、データ管理部101とリストサーバ110およびコンテンツサーバ111による制御によって(S342)再生手順リストおよびコンテンツのデータを情報再生装置B10bに対してダウンロードする(S334)。
【0031】
なおサーバに接続される情報再生装置は2つに限定されるものではなく、さらに多くの情報再生装置がサーバに接続されて以上説明したダウンロード処理を行う実施形態であってもよい。
【0032】
また情報再生装置A10aは、ダウンロードした再生手順リストに基づいて対応するコンテンツを再生しているときに、当該再生手順リストに記述されている再生手順とは異なる手順で、操作部31やリモコンRCによって当該コンテンツのスキップ再生や倍速再生などの特殊再生を行い(S302)、行われた再生手順が記述された新たな再生手順リストを生成する(S303)。なおダウンロードした再生手順リストにスキップ再生や倍速再生などの特殊再生手順が記述されていて、その手順に基づいてコンテンツを再生した場合には新たな再生手順リストは生成されない。
【0033】
さらに情報再生装置A10aが新たに生成した再生手順リストのアップロード処理を開始すると(S304)アップロード実行情報がデータ管理部101に提供されて(S335)、データ管理部101は提供されたアップロード実行情報をリストサーバ110およびコンテンツサーバ111に対して提供する。そしてそれぞれのサーバは提供された情報を基にアップロードされるリストとコンテンツとの関連付け処理などを行い(S343)、情報再生装置A10aは生成した再生手順リストを、データ管理部101を経由してリストサーバ110にアップロードする(S336)。
【0034】
そして情報再生装置B10bが保存したコンテンツに対応する再生手順リストのダウンロード処理を開始すると(S312)ダウンロード実行情報がデータ管理部101に提供されて(S337)、データ管理部101は提供されたダウンロード実行情報に基づき、リストサーバ110に対して該当する再生手順リストを要求する。そしてリストサーバ110は要求されたリストをデータ管理部101に提供して(S344)、データ管理部101は提供された再生手順リストの中から情報再生装置B10bが要求するリストを情報再生装置B10bに対してダウンロードする(S338)。
【0035】
さらに情報再生装置B10bは新たにダウンロードした再生手順リストに基づいて対応するコンテンツを再生する(S313)。例えばダウンロードした再生手順リストが、情報再生装置A10aが行った再生手順が記述されたリストであれば、情報再生装置B10bは情報再生装置A10aが行った再生手順に基づいてコンテンツを再生または特殊再生する。
【0036】
なお情報再生装置B10bによるコンテンツのデータのダウンロードは、情報再生装置A10aによる再生手順リストのアップロード以前に行われる実施形態でなくアップロード以降に行われる実施形態でもよい。
【0037】
すなわち本実施形態の複数の情報再生装置がサーバに接続されたとき、特定の情報再生装置で生成された特定コンテンツの再生手順リストがインターネットに接続されたサーバに対してアップロードされて、アップロードされた再生手順リストは、異なる情報再生装置によってダウンロードが可能となる。
【0038】
また再生手順リストのアップロードまたはダウンロードは特定の情報再生装置に限定されるものではなく、接続された全ての情報再生装置がアップロードおよびダウンロードが可能な実施形態である。
【0039】
また再生手順リストのアップロードまたはダウンロードは一度に複数のリストに対して行われる実施形態であってもよい。
次に、再生手順リストに記述された再生手順に基づいたコンテンツの再生処理の一実施形態を、図4を用いて説明する。
図4は、本実施形態によるコンテンツを再生するための再生手順リストとコンテンツのデータとの対応関係を示す概念図である。なお図4におけるコンテンツのデータはMPEGで符号化された形態である。
【0040】
MEPGで符号化されたコンテンツの映像音声データは階層構造になっていて、シーケンスレイヤと呼ばれる上位階層の下位にGOP(Group Of Picture;グループ・オブ・ピクチャ;以下GOPと称する)レイヤと呼ばれる階層がある。また一つのGOPはMPEGで複合化された画像においては約15フレームに相当する映像音声データを含んでいる。
【0041】
またMPEGで符号化されたデータ構造を持つと共に光ディスクへの映像記録フォーマットであるDVD−VRフォーマットでは、映像音声データファイルとは別に管理情報ファイルが定義されている。管理情報ファイルは、コンテンツの映像音声データを再生するための管理情報が保存されている。なお管理情報とは、コンテンツの再生時間と映像音声データの位置情報との関係が記述された情報であるタイムマップや、1GOP当たりのデータサイズや再生時間など、映像音声データを再生するために必要な情報である。
【0042】
つまり本実施形態における再生手順リストは、タイムマップのリザーブbitを利用することで実現できるが、再生手順リストの記述はタイムマップを利用する形態に限ったものではない。
【0043】
まず図4(a)では、コンテンツをスキップ再生や倍速再生などの特殊再生をせずにシーケンシャル再生する場合の再生手順リストとコンテンツのデータとの対応関係を示している。またそれぞれのリストには対応するGOPの位置情報や次にアクセスするリスト番号などが記述されている。そしてリストに記述された位置情報を基に対応するGOPのデータに対してMPEG復号処理などを施し、さらに記述された次にアクセスするリストの記述を読み出す。すなわち以上の処理を継続して行うことは再生手順リストに基づいてコンテンツのデータをシーケンシャル再生することを意味している。
【0044】
つまり具体的には、図4(a)においてはリスト1には対応GOPとしてGOP1が記述され、また同時に次はリスト2へアクセスすることが記述されている。同様にリスト2にはGOP2の処理とリスト3へのアクセスが記述され、リストnにはGOPnの処理とリストn+1へのアクセスが記述されている。従ってそれぞれのリストに記述されている対応GOPを順次再生することでコンテンツを1倍再生すなわちシーケンシャル再生することができる。
【0045】
一方図4(b)では、コンテンツをスキップ再生や倍速再生などの特殊再生をする場合の再生手順リストとコンテンツのデータとの対応関係を示している。再生手順は、まずリスト1によりGOP1の処理がされてリスト2にアクセスして処理し、次にリスト2によりGOP2が処理されてリスト3へアクセスして処理する。このときリスト3には対応GOPがGOPn−2、再生速度が1倍、次のリストがリストn−1と記述されている。従ってGOP4からGOPn−3は処理されずスキップされGOPn−2から1倍再生処理がされて、リストn−1にアクセスする。さらにリストn−1、リストn、リストn+1と順次アクセスして処理するが、リストn+1には対応GOPがGOPn+1、再生速度が2倍、次のリストがリストn+2と記述されている。従ってGOPn+1は2倍速の再生処置がされて次にリストn+2にアクセスする。
【0046】
すなわち図4(a)(b)のように対象となるコンテンツのデータが同じである場合でも、DVD−VRフォーマットにおけるタイムマップなどを利用した再生手順リストに、対応GOP、再生速度、次のリスト番号などを記述し、その記述に基づいて音声映像データを順次処理することで、シーケンシャル再生だけでなくスキップ再生や倍速再生といった特殊再生などの再生を行うことができる。
【0047】
なお再生手順リストによるコンテンツのデータのアクセス単位としてMPEGで符号化された信号におけるGOPを利用した実施形態として説明をしたが、所定間隔で区切られた時間情報や位置情報などを使用する実施形態であってもよい。
【0048】
次に、本実施形態の情報再生装置による特殊再生処理がおこなわれたときの、手順が記述された再生手順リストを生成する処理を、図5を用いて説明する。
図5は、本実施形態の情報再生装置による再生手順リスト生成処理のフローチャートである。
まず情報再生装置がコンテンツの再生処理を開始すると(S501)、例えばスキップ再生や倍速再生などの特殊再生の操作入力を待つ処理(S502)が行われ、その操作入力がなく(S502のN)再生が完了していない(S505のN)場合は、特殊再生の操作入力を待つ処理(S502)に移行する。しかし特殊再生の操作入力があった(S502のY)場合は、操作入力のあった特殊再生処理を行い(S503)、行われた特殊再生処理の内容をコンテンツのデータの位置情報と関連付けながら記憶する(S504)。そして再生が完了してない(S505のN)場合は、さらに特殊再生の操作入力を待つ処理(S502)に移行する。
【0049】
なお特殊再生処理が実行されるたびに記憶される内容は蓄積され、すなわちコンテンツのデータの位置情報と関連付けられた特殊再生処理の内容は時系列に記憶されることになる。
【0050】
そして時系列に記憶された特殊再生の手順が記述された再生手順リストが生成され(S506)て、生成された再生手順リストはHDD50に保存される(S507)。
【0051】
次に、ダウンロードした複数の再生手順リストから選択した任意のリストに基づいてコンテンツを再生する処理を、図6を用いて説明する。
図6は、本実施形態の情報再生装置による再生手順リストに基づくコンテンツ再生処理のフローチャートである。
まず任意のコンテンツが選択されて再生する操作入力がされる(S601)と、ダウンロードした複数の再生手順リストの中から再生対象コンテンツに対応する複数の再生手順リストを提示する(S602)。なお再生手順リストの提示は、再生手順の概要や再生手順による再生時間などが選択可能に提示されるメニュー画面などによって行われる。そして提示されたリストの中から一つのリストが選択され(S603)て、選択されたリストに基づいて対象コンテンツを再生する(S604)。
【0052】
また再生対象コンテンツに対してダウンロードした再生手順リストが一つだけしかない場合には、再生手順リストを選択可能に提示せずにただ一つの再生手順に基づいてコンテンツ再生を開始する実施形態であってもよい。
【0053】
次に、任意のコンテンツに対応する再生手順リストのダウンロード処理を、図7を用いて説明する。
図7は、本実施形態の情報再生装置による任意のコンテンツに対応する再生手順リストのダウンロード処理のフローチャートである。
まずHDD50に保存されているコンテンツの中から、ダウンロード対象の再生手順リストに対応したコンテンツが選択される(S701)。なおコンテンツの選択は、複数のコンテンツのサムネイルやタイトルなどが選択可能に提示されるメニュー画面などによって行われる。そしてダウンロード制御部201は選択されたコンテンツに関連する情報、例えばコンテンツに対して一意に付されたIDやメタデータなどのコンテンツ関連情報などを含むダウンロード実行情報を、サーバ100に備えられたデータ管理部101に提供する(S702)。さらにデータ管理部101は提供されたコンテンツ関連情報をもとにして対応する複数の再生手順リストをリストサーバ110に要求して、リストサーバ110から提供された複数のリストを提示する(S703)。そして提示された複数のリストの中から対象のリストが選択されて(S704)、情報再生装置によってダウンロードされる(S705)。なお複数のリストの中からの対象リストの選択は、再生手順の概要や再生手順による再生時間などが選択可能に提示されるメニュー画面などによって行われる。
【0054】
また以上説明したダウンロード処理の初めに行われるダウンロード対象の再生手順リストに対応したコンテンツの選択処理は、データ管理部101がコンテンツサーバ111に蓄積されたコンテンツのデータを元に選択可能に複数のコンテンツのサムネイルなどを提示する実施形態でもよい。その場合は、情報再生装置からコンテンツを選択する情報が提供されて、データ管理部101は提供された情報を元にコンテンツを選択する処理を行うのでコンテンツ関連情報は情報再生装置から提供されない。
【0055】
ところで、リストサーバ110には特定コンテンツに対応する複数の再生手順リストが蓄積されるので、再生手順リストのダウンロード処理において、対応する再生手順リストを全て提示してその中からユーザがリストを選択することは非常に困難である。つまりダウンロード候補としての再生手順リストは限定された数量であることが望ましい。
【0056】
例えばデータ管理部101が、再生手順リストによるコンテンツのデータのアクセス単位であるGOPごとに、蓄積された再生手順リストに記述された処理内容の傾向を分析して、傾向的な処理内容が多く含まれる再生手順リストの上位を提示する形態や、分析された処理内容の傾向に基づいて新たな再生手順リストを生成する形態、またさらには再生手順リストに対する評価を複数の情報再生装置から収集して順位が上位の再生手順リストを提示する形態などでもよい。
【0057】
なお本実施形態は、インターネットに接続されたサーバからコンテンツを取得する実施形態として説明を行ったが、変形例として以下の複数の実施形態も可能である。なおいずれの変形例も再生手順リストはインターネットに接続されたサーバにアップロード/ダウンロードされるものである。
【0058】
(変形例1)コンテンツをインターネットからストリーミングにより取得する実施形態。この実施形態ではコンテンツのデータおよび再生手順リストはHDD50には蓄積されずに図示しないメモリに一時的に保存されて順次AV再生部210に提供されて再生される。このときコンテンツのデータと再生手順リストは同時に取得されるが、ダウンロードしてHDD50に保存した再生手順リストに基づいて再生する形態でもよい。
【0059】
(変形例2)コンテンツを外部のアンテナATで受信して放送波処理部20にて処理して取得する実施形態。この実施形態ではコンテンツのデータはHDD50に保存され、コンテンツに一意的に付されたIDや放送波によって得られるメタデータによって関連付けられた再生手順リストに基づいて再生される。
【0060】
(変形例3)コンテンツをDVDやCD、メモリカードなどの記録媒体RMを記録媒体IF部51によって読み出して取得する実施形態。この実施形態ではコンテンツのデータは記録媒体IF部51からAV再生部210に提供されて再生される形態や、図示しないメモリに一時的に保存されて順次AV再生部210に提供されて再生される形態となる。またコンテンツに一意的に付されたIDによって関連付けられた再生手順リストに基づいて再生される。
【0061】
以上説明したように本実施形態によれば、サーバに複数の情報再生装置が接続されているときに、その中の任意の情報再生装置でコンテンツを特殊再生したときの再生手順リストがサーバに対してアップロードされて、アップロードされた再生手順リストは任意の情報再生装置によってダウンロードされてそのリストに基づいてコンテンツが特殊再生できるので、特定コンテンツに対する様々な操作履歴を示す再生手順を複数の情報再生装置で共有でき、また更にはそのコンテンツに対して有効な再生手順を煩雑な操作に因らず容易に行うことが可能となる。
【0062】
また本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変えない範囲において、種々の変更、改変等が可能である。
【符号の説明】
【0063】
10…HDDレコーダ、20…放送波処理部、21…信号処理制御部、22…AV出力部、30…受信部、31…操作部、40…ネットワークIF部、50…HDD、51…記録媒体IF部、100…サーバ、101…データ管理部、110…リストサーバ、111…コンテンツサーバ、201…ダウンロード制御部、202…アップロード制御部、210…AV再生部、211…リスト生成部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテンツのデータを取得するデータ取得手段と、
前記コンテンツのデータの再生手順が記述される再生手順リストを取得するリスト取得手段と、
前記リスト取得手段で取得した再生手順リストに記述された再生手順に基づいて、前記データ取得手段で取得したコンテンツのデータを再生する再生手段と、
前記再生手段で再生しているときに前記再生手順と異なる手順の特殊再生を行った場合に、前記異なる手順の特殊再生による再生手順が記述された再生手順リストを生成するリスト生成手段と、
前記リスト生成手段で生成された再生手順リストをネットワークを介して送信する送信手段と、
を具備することを特徴とする情報再生装置。
【請求項2】
コンテンツのデータを取得するデータ取得手段と、
前記コンテンツのデータの再生手順が記述される再生手順リストを取得するリスト取得手段と、
前記リスト取得手段で取得した再生手順リストに記述された再生手順に基づいて、前記データ取得手段で取得したコンテンツのデータを再生する再生手段と、
を具備し、
前記再生手段は、前記再生手順リストに記述された特殊再生による再生手順に基づいて特殊再生を行うことを特徴とする情報再生装置。
【請求項3】
前記再生手段で再生しているときに前記再生手順と異なる手順の特殊再生を行った場合に、前記異なる手順の特殊再生による再生手順が記述された再生手順リストを生成するリスト生成手段と、
前記リスト生成手段で生成された再生手順リストをネットワークを介して送信する送信手段と、
を具備することを特徴とする請求項2記載の情報再生装置。
【請求項4】
前記送信手段は、異なる情報再生装置が具備する送信手段から送信された複数の再生手順リストを蓄積するサーバに送信し、
前記リスト取得手段は、ネットワークを介して前記サーバから任意の再生手順リストを受信することを特徴とする請求項3記載の情報再生装置。
【請求項5】
前記リスト取得手段は、前記サーバが蓄積する複数の再生手順リストを所定条件に基づいて一つに纏めた再生手順リストを受信することを特徴とする請求項4記載の情報再生装置。
【請求項6】
前記リスト取得手段は、前記サーバが蓄積する複数の再生手順リストのうち、所定条件に該当したものであって選択を許可して提示された複数の再生手順リストの中から任意に選択した再生手順リストを受信することを特徴とする請求項4記載の情報再生装置。
【請求項7】
前記データ取得手段は、ネットワークを介してコンテンツのデータを取得することを特徴とする請求項2記載の情報再生装置。
【請求項8】
前記データ取得手段は、放送波によりコンテンツのデータを取得することを特徴とする請求項2記載の情報再生装置。
【請求項9】
前記データ取得手段は、情報記憶媒体からコンテンツのデータを取得することを特徴とする請求項2記載の情報再生装置。
【請求項10】
コンテンツのデータを取得し、
前記コンテンツのデータの再生手順が記述される再生手順リストを取得し、
前記取得した再生手順リストに記述された再生手順に基づいて、前記取得したコンテンツのデータを再生し、
さらには、前記再生手順リストに記述された特殊再生による再生手順に基づいて特殊再生を行うことを特徴とする情報再生方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−170592(P2010−170592A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10039(P2009−10039)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】