説明

情報処理システム、プログラム及び情報記憶媒体

【課題】ユーザの日常度を利用した情報処理や情報提示を可能にする情報処理システム等の提供。
【解決手段】情報処理システムは、ユーザの行動を計測する行動センサ、ユーザの状態を計測する状態センサ及びユーザの環境を計測する環境センサの少なくとも1つのセンサからのセンサ情報を含む情報に基づいて、ユーザの状況を推定する状況推定部と、ユーザの状況履歴情報を記憶する履歴情報記憶部と、ユーザの日常度を評価する処理を行う日常度評価部と、日常度評価部の評価処理により得られたユーザの日常度を、ユーザの状況履歴情報の各ユーザ状況に関連づけて履歴情報記憶部に書き込む書き込み部を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、プログラム及び情報記憶媒体等に関する。
【背景技術】
【0002】
いわゆるユビキタスサービスにおいて、現在目指している1つの方向として、何時でもどこでも必要な情報をユーザに提供するという利便性提供型のサービスが提案されている。これは、外部からユーザに対して一方的に情報を提供するサービスである。
【0003】
しかしながら、人が生き生きと充実した生活を送るためには、このように外部からユーザに一方的に情報を提供する利便性提供型サービスだけでは不十分であり、ユーザの内面に働きかけることによりユーザに気づきを与え(インスパイア)、その結果、自己の成長を促すインスパイア型ユビキタスサービスが望まれる。
【0004】
ところが、これまでの情報処理システムでは、ユーザが必要とする情報をユーザが意図的な取得行為を行わなくても提供するという、いわゆるプッシュ情報としての情報提示を実現できないという課題があった。
【0005】
このような課題を解決するものとして、特許文献1に開示される情報処理システムが知られている。このシステムでは、ウェアラブルセンサによりユーザの行動を推定し、行動に応じた情報表示を行うことで、プッシュ情報としての情報提示を可能にしている。
【0006】
しかしながら、特許文献1では、必要性が顕在化している情報を操作レスでプッシュ情報としてユーザに提示することはできるものの、潜在的に必要としている情報については提示できない。そして、必要性が顕在化している情報だけを提示し続けても、便利ではあるが、日常の生活パターンの延長を支援するだけであり、このパターン化された生活・行動だけからは、新たな気づきは生まれにくく、充実した生活には結びつかない。一方、非日常の新しい体験の中には、煩雑さや不安もつきまとう。
【0007】
そこで、日常の生活パターンに変化を与えるきっかけを提供すると共に、非日常体験のハードルを下げて、日々の生活の中で日常と非日常を適度にバランスさせることができる情報処理システムの実現が望まれる。
【0008】
なお特許文献2には、独居老人の異常行動を監視するシステムが開示されているが、このシステムは、独居老人が異常を来して行動不能に陥った場合に、それを自動的に検知して通報することを目的としており、ユーザに気づきを与えて自己の成長を促すインスパイア型ユビキタスサービスを目指したものではない。
【0009】
【特許文献1】特開2006−293535号公報
【特許文献2】特開2000−99858号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の幾つかの態様によれば、ユーザの日常度を利用した情報処理や情報提示を可能にする情報処理システム、プログラム及び情報記憶媒体を提供できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ユーザの行動を計測する行動センサ、ユーザの状態を計測する状態センサ及びユーザの環境を計測する環境センサの少なくとも1つのセンサからのセンサ情報を含む情報に基づいて、ユーザの状況を推定する状況推定部と、ユーザの状況履歴情報を記憶する履歴情報記憶部と、ユーザの日常度を評価する処理を行う日常度評価部と、前記日常度評価部の評価処理により得られたユーザの日常度を、ユーザの状況履歴情報の各ユーザ状況に関連づけて前記履歴情報記憶部に書き込む書き込み部とを含む情報処理システムに関係する。また本発明は、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラム、又は該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に関係する。
【0012】
本発明によれば、行動センサ、状態センサ、環境センサの少なくとも1つのセンサからのセンサ情報が取得され、取得されたセンサ情報を含む情報に基づいて、ユーザの状況が推定される。また履歴情報記憶部にはユーザの状況履歴情報が記憶され。そしてユーザの日常度が評価され、得られたユーザの日常度が、ユーザの状況履歴情報の各ユーザ状況に関連づけられて、履歴情報記憶部に書き込まれる。このようにすれば、状況履歴情報の各ユーザ状況に関連づけられた日常度を履歴情報記憶部から読み出すだけで、ユーザの日常度を利用した各種の情報処理や情報提示が可能になる。
【0013】
また本発明では、コンテンツを記憶するコンテンツ情報記憶部と、ユーザの状況履歴情報の各ユーザ状況に関連づけられたユーザの日常度に基づいて、前記コンテンツ情報記憶部に記憶されたコンテンツの中から、ユーザに対して提示するコンテンツを選択する処理を行うコンテンツ選択部を含んでもよい。
【0014】
このようにすれば、ユーザの状況履歴情報の各ユーザ状況に関連づけられたユーザの日常度を用いて、ユーザに提示するコンテンツを選択して提示することが可能になる。
【0015】
また本発明では、前記コンテンツ選択部は、前記履歴情報記憶部に記憶された状況履歴情報の中から、低い日常度が関連づけられたユーザ状況を優先して抽出し、抽出されたユーザ状況に対応するコンテンツを選択する処理を行ってもよい。
【0016】
このようにすれば、日常度が低い非日常体験の状況下での出来事を優先して抽出し、それに対応するコンテンツをユーザに提示することが可能になる。
【0017】
また本発明では、前記コンテンツ選択部は、前記履歴情報記憶部に記憶された状況履歴情報の中から、高い日常度が関連づけられたユーザ状況を優先して抽出し、抽出されたユーザ状況に対応するコンテンツを選択する処理を行ってもよい。
【0018】
このようにすれば、日常度が高いパターン化された行動等に気付かせ、行動等に変化を与えるようなコンテンツをユーザに提示することが可能になる。
【0019】
また本発明は、ユーザの行動を計測する行動センサ、ユーザの状態を計測する状態センサ及びユーザの環境を計測する環境センサの少なくとも1つのセンサからのセンサ情報を含む情報に基づいて、ユーザの状況を推定する状況推定部と、ユーザの日常度を評価する処理を行う日常度評価部と、コンテンツを記憶するコンテンツ情報記憶部と、ユーザの状況とユーザの日常度とに基づいて、前記コンテンツ情報記憶部に記憶されたコンテンツの中から、ユーザに対して提示するコンテンツを選択する処理を行うコンテンツ選択部とを含む情報処理システムに関係する。また本発明は、上記各部としてコンピュータを機能させるプログラム、又は該プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体に関係する。
【0020】
本発明によれば、行動センサ、状態センサ、環境センサの少なくとも1つのセンサからのセンサ情報が取得され、取得されたセンサ情報を含む情報に基づいてユーザの状況が推定される。またユーザの日常度も評価される。そして、得られたユーザの状況とユーザの日常度に基づいて、コンテンツが選択される。このようにすれば、ユーザの状況とユーザの日常度に応じた最適なコンテンツを選択してユーザに提示できるようになり、ユーザの日常度を利用した情報提示が可能になる。
【0021】
また本発明では、前記状況推定部は、ユーザの予定情報に基づいて、ユーザの未来の状況を予測し、前記日常度評価部は、予測されたユーザの未来の状況についての日常度を評価し、前記コンテンツ選択部は、ユーザの未来の状況についての日常度に基づいて、ユーザに対して提示するコンテンツの選択処理を行ってもよい。
【0022】
このようにすれば、ユーザの未来の状況の日常度に応じた最適なコンテンツを選択してユーザに提示できるようになる。
【0023】
また本発明では、前記コンテンツ選択部により選択されたコンテンツをユーザに対してロボットに提示させるための制御を行ってもよい。
【0024】
このようにすれば、ユーザの日常度に応じて選択されたコンテンツを、ロボットを利用してユーザに提示できるようになる。
【0025】
また本発明では、前記コンテンツ情報記憶部は、ユーザに提示するコンテンツとして、複数の会話フレーズにより構成されるシナリオデータを記憶し、前記提示制御部は、コンテンツとして選択されたシナリオデータの会話フレーズを、ロボットに発話させるための制御を行ってもよい。
【0026】
このようにすれば、ユーザの日常度等に応じたロボットの発話を、シナリオデータを利用して簡素な制御処理で実現できる。
【0027】
また本発明では、前記コンテンツ選択部により選択されたコンテンツをユーザに対してデジタルフォトフレームにより提示するための制御を行う提示制御部を含んでもよい。
【0028】
このようにすれば、ユーザの日常度を利用して選択したコンテンツを、デジタルフォトフレームを用いてユーザに提示できるようになる。
【0029】
また本発明では、前記コンテンツ選択部により選択されたコンテンツをユーザに対してウァアラブルディスプレイにより提示するための制御を行う提示制御部を含んでもよい。
【0030】
このようにすれば、ユーザの日常度を利用して選択したコンテンツを、モバイル環境におけるウェアラブルディスプレイを用いてユーザに提示できるようになる。
【0031】
また本発明では、前記日常度評価部は、第1の評価対象項目により評価される日常度である第1のサブ日常度の評価処理と、前記第1の評価対象項目とは異なる第2の評価対象項目により評価される日常度である第2のサブ日常度の評価処理を行い、前記コンテンツ選択部は、前記第1のサブ日常度に基づきコンテンツを選択する場合には、前記第1の評価対象項目に対応するコンテンツを選択し、前記第2のサブ日常度に基づきコンテンツを選択する場合には、前記第2の評価対象項目に対応するコンテンツを選択してもよい。
【0032】
このようにすれば、コンテンツを選択する際に、使用するサブ日常度を適切に選ぶことで、ユーザの状況や日常度に応じた適切なコンテンツの選択が可能になる。
【0033】
また本発明では、前記第1、第2の評価対象項目は、時間情報、ユーザの場所情報、ユーザの行動情報、ユーザの状態情報、及びユーザの予定情報のうちの少なくとも1つであってもよい。
【0034】
このようにすれば、時間、場所、行動、状態、予定の情報のうちの少なくとも1つであって、互いに異なる第1の評価対象項目と第2の評価対象項目を用いて、第1の日常度と第2の日常度の評価処理を行って、コンテンツを選択できるようになる。
【0035】
また本発明では、前記状況推定部は、ユーザの滞在場所を特定し、前記日常度評価部は、ユーザの滞在場所に対するユーザの日常度の評価処理を行い、前記コンテンツ選択部は、ユーザの滞在場所に対するユーザの日常度に基づいて、コンテンツを選択してもよい。
【0036】
このようにすれば、ユーザの滞在場所に応じて日常度を評価し、得られた日常度に基づいてコンテンツを選択できるようになり、ユーザの滞在場所に応じた適切なコンテンツの提示が可能になる。
【0037】
また本発明では、前記状況推定部は、ユーザがエリアに滞在しているのか、エリアよりも狭いスポットに滞在しているのかを判断し、前記日常度評価部は、ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度を評価し、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度を評価し、前記コンテンツ選択部は、ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度に基づいてコンテンツを選択し、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度に基づいてコンテンツを選択してもよい。
【0038】
このようにすれば、ユーザにとって意味の異なる領域を、例えばエリアよりも狭いスポットとして抽出し、コンテンツを選択してユーザに提示したり、エリアとして抽出し、コンテンツを選択してユーザに提示することが可能になる。従って、ユーザにとって意味のある場所に対応する適切なコンテンツの提示が可能になる。
【0039】
また本発明では、前記コンテンツ選択部は、ユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度を優先してコンテンツを選択し、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度に基づいてコンテンツを選択してもよい。
【0040】
このようにすれば、スポットが特定された場合には、スポットの日常度により選択されたコンテンツを優先的に提示し、スポットが特定されなかった場合には、エリアの日常度により選択されたコンテンツを提示するという制御が可能になる。
【0041】
また本発明では、前記状況推定部は、所定時間内でのユーザの位置の標準偏差に基づいて、ユーザがエリアに滞在しているのか、スポットに滞在しているのかを判断してもよい。
【0042】
このようにすれば、所定期間内でのユーザの位置の標準偏差を求めるという統計処理により、ユーザが滞在している場所を、エリア又はスポットという意味のある領域として特定できるようになる。
【0043】
また本発明では、前記状況推定部は、所定期間内でのユーザの位置の標準偏差が、所定の第1のしきい値以下であるか否かに基づいて、ユーザがエリアに滞在しているか否かを判断し、所定期間内でのユーザの位置の標準偏差が、前記第1のしきい値よりも小さい所定の第2のしきい値以下であるか否かに基づいて、ユーザがスポットに滞在しているか否かを判断してもよい。
【0044】
このようにすれば、第1のしきい値や第2のしきい値の設定により、エリア又はスポットというユーザにとって意味のある領域を抽出できるようになる。
【0045】
また本発明では、前記日常度評価部は、前記ユーザ状況推定部により推定されたユーザの状況に基づいて、ユーザの日常度を評価する処理を行ってもよい。
【0046】
このようにすれば、センサ情報を含む情報に基づき推定されたユーザの状況に応じて、ユーザの日常度を評価できるようになる。
【0047】
また本発明では、前記状況推定部は、状況同定部と状況予測部を含み、前記日常度評価部は、前記状況予測部により予測されたユーザの状況と、前記状況同定部により同定されたユーザの実際の状況との比較処理を行うことで、ユーザの日常度を評価してもよい。
【0048】
このようにすれば、予測されるユーザの状況と実際のユーザの状況との相違を検出して日常度を評価できるため、より適切な日常度の評価処理を実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0050】
1.センサ情報の取得
ユーザにとって適切なコンテンツを提供し、インスパイア型ユビキタスサービス等を実現するためには、ユーザの状況を特定する必要がある。このためには、例えば、ユーザの行動、状態、環境を計測する行動センサ(行動計測部)、状態センサ(状態計測部)、環境センサ(環境計測部)からのセンサ情報を取得し、取得されたセンサ情報等を用いて、ユーザの状況を特定することが望ましい。そこで、まずこのセンサ情報の取得手法について説明する。
【0051】
図1においてユーザ(使用者)は、携帯型電子機器100(モバイルゲートウェイ)を所持している。またモバイル制御対象機器としてウェアラブルディスプレイ140(モバイルディスプレイ)を頭部の一方の眼の近傍に装着している。更にウェアラブルセンサ(モバイルセンサ)として種々のセンサを身体に身につけている。具体的には、屋内外センサ510、周囲温度センサ511、周辺湿度センサ512、周辺光度センサ513、腕装着型の運動計測センサ520、脈拍(心拍数)センサ521、体温センサ522、抹消皮膚温度センサ523、発汗センサ524、足圧力センサ530、発話・咀嚼センサ540、携帯型電子機器100に設けられるGPS(Global Position System)センサ550、ウェアラブルディスプレイ140に設けられる顔色センサ560や瞳孔の大きさセンサ561などを装着している。これらの携帯型電子機器100や、ウェアラブルディスプレイ140などのモバイル制御対象機器や、ウェアラブルセンサなどによりモバイルサブシステムが構成される。
【0052】
携帯型電子機器100(モバイルコンピュータ)は、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型PCなどの携帯情報端末であり、例えばプロセッサ(CPU)、メモリ、操作パネル、通信装置、或いはディスプレイ(サブディスプレイ)などを備える。この携帯型電子機器100は、例えばセンサからのセンサ情報を収集する機能、収集したセンサ情報に基づいて演算処理を行う機能、演算結果に基づいて制御対象機器(ウェアラブルディスプレイ等)の制御(表示制御等)を行ったり外部のデータベースから情報を取り込む機能、外部と通信を行う機能などを有することができる。なお携帯型電子機器100は、携帯電話、腕時計、或いはポータブルオーディオなどとして兼用される機器であってもよい。
【0053】
ウェアラブルディスプレイ140(広義には情報提示部)は、ユーザの一方の眼の近傍に装着されると共にディスプレイ部の大きさが瞳孔の大きさよりも小さくなるように設定され、いわゆるシースルービューアの情報表示部として機能する。なおユーザへの情報提示は、ヘッドフォン、バイブレータなどを用いて行ってもよい。またモバイル制御対象機器(情報提示部)としては、ウェアラブルディスプレイ140以外にも、例えば腕時計、携帯電話、或いはポータブルオーディオなどの種々の機器を想定できる。
【0054】
屋内外センサ510は、ユーザが屋内にいるのか屋外にいるのかを検知するセンサであり、例えば超音波を照射し、天井等により超音波が反射して戻ってくるまでの時間を計測する。但し屋内外センサ510は、超音波方式に限らず、アクティブ光方式、パッシブ紫外線方式、パッシブ赤外線方式、パッシブ騒音方式のセンサであってもよい。
【0055】
周囲温度センサ511は、例えばサーミスタ、放射温度計、熱電対などを用いて外界温度を計測する。周辺湿度センサ512は、例えば湿度によって電気抵抗が変化することを利用して周囲の湿度を計測する。周辺光度センサ513は、例えば光電素子を用いて周囲の光度を計測する。
【0056】
腕装着型の運動計測センサ520は、加速度センサや角加速度センサでユーザの腕の動きを計測する。この運動計測センサ520と足圧力センサ530を用いることでユーザの日常動作、歩行状態を更に正確に計測できる。脈拍(心拍数)センサ521は、手首又は指又は耳に装着し、例えば拍動に伴う血流の変化を赤外光の透過率や反射率の変化で計測する。体温センサ522、抹消皮膚温度センサ523は、サーミスタ、放射温度計、熱電対などを用いてユーザの体温、抹消皮膚温度を計測する。発汗センサ524は、例えば皮膚の表面抵抗の変化により皮膚の発汗を計測する。足圧力センサ530は、靴にかかる足裏の圧力分布を検出して、ユーザの立ち状態、座り状態、歩行状態などを計測、判定する。
【0057】
発話・咀嚼センサ540は、ユーザが発話中(会話中)であるか、咀嚼中(食事中)であるかの可能性を計測するためのイヤホン型のセンサであり、その筺体内に骨伝導マイク、外界音マイクが内蔵されている。骨伝導マイクは、発話・咀嚼時に体内から生じ、体内を伝搬する振動である体内音を検出する。外界音マイクは、発話に応じて体外に伝導する振動である音声や、環境の雑音を含む外界音を検出する。そして骨伝導マイク、外界音マイクにより捕らえられた音の単位時間におけるパワーの比較処理等を行うことで、発話可能性や咀嚼可能性を計測する。
【0058】
GPSセンサ550はユーザの位置(場所)を検知するセンサである。なおGPSセンサ550の代わりに携帯電話の位置情報サービスや周辺にある無線LANの位置情報を利用してもよい。顔色センサ560は、例えば顔面近くに光センサを配置し、複数の光学的バンドパスフィルタを通過した後の光度を比較して顔色を計測する。瞳孔の大きさセンサ561は、例えば瞳孔の近くにカメラを配置し、カメラの信号を解析して瞳孔の大きさを計測する。
【0059】
なお図1では、ユーザに対して情報を提示する情報提示部としてロボット1が用意されている。このロボット1は犬を模したペット型のロボットになっており、胴体モジュール600、頭部モジュール610、脚部モジュール620、622、624、626、尻尾モジュール630などの複数のパーツモジュール(ロボット動作機構)により構成される。
【0060】
頭部モジュール610には、ユーザの撫でる動作や叩く動作を検知するための接触センサや、ユーザの発話を検知するための発話センサ(マイクロホン)や、画像認識のための撮像センサ(カメラ)や、音声や鳴き声を発声するための音出力部(スピーカ)が設けられる。
【0061】
胴体モジュール600と頭部モジュール610との間や、胴体モジュール600と尻尾モジュール630との間や、脚部モジュール620の関節部分等には、関節機構が設けられている。そしてこれらの関節機構は、モータ等のアクチュエータを有しており、これによりロボット1の関節運動や自立走行が実現される。
【0062】
またロボット1の例えば胴体モジュール600には1又は複数の回路基板が設けられている。そしてこの回路基板には、各種処理を行うCPU(プロセッサ)や、各種データ、プログラムを記憶するROM、RAMなどのメモリや、ロボット制御のための制御ICや、音声信号を生成する音声生成モジュールや、外部との無線通信のための無線モジュールなどが実装される。ロボットに搭載される各種センサからの信号は、この回路基板に集約され、CPU等により処理される。また音声生成モジュールにより生成された音声信号は、この回路基板から音出力部(スピーカ)に対して出力される。また回路基板の制御ICからの制御信号は、関節機構に設けられたモータ等のアクチュエータに出力され、これによりロボット1の関節運動や自立走行が制御される。
【0063】
2.構成例
図2に本実施形態の情報処理システム(情報提示システム)のシステム構成例を示す。図2の情報処理システムは、例えば携帯型電子機器100、ウェアラブルディスプレイ140、後述するサーバ、ロボット、或いはデジタルフォトフレーム等により実現できる。
【0064】
処理部102は、図示しない操作部からの操作情報や、ウェアラブルセンサ150から取得されたセンサ情報などに基づいて、種々の処理を行う。例えばセンサ情報の取得処理や、各種の演算処理、評価処理や、ディスプレイ等の情報提示部142による情報提示の制御処理を行う。この処理部102の機能は、各種プロセッサ(CPU等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、情報記憶媒体130(光ディスク、ICカード、HDD等)に記憶されたプログラムなどにより実現できる。
【0065】
記憶部120は、処理部102、通信部138などのワーク領域となるもので、その機能はRAMなどのメモリやHDD(ハードディスクドライブ)などにより実現できる。この記憶部120は、コンテンツ情報記憶部122、履歴情報記憶部123(日常度情報記憶部)、予定情報記憶部126を含む。
【0066】
コンテンツ情報記憶部122(コンテンツデータベース)は、例えば画像、映像、音楽、音声、テキスト(文字、文章)、或いは各種データ等であるコンテンツの情報を記憶する。このコンテンツは、リアルタイムに生成してもよいし、例えば通信部138を介して外部からダウンロードしてもよい。またコンテンツ情報記憶部122は、コンテンツに関連づけられたメタ情報(付加情報)を記憶することができる。
【0067】
履歴情報記憶部123はユーザの状況履歴情報を記憶する。ここでユーザの状況履歴情報は、例えばユーザの行動、状態及び環境の少なくとも1つであるユーザ状況についての履歴情報である。そして履歴情報記憶部123は、例えばユーザの日常度を、ユーザの状況履歴情報の各ユーザ状況に関連づけて記憶する。なお履歴情報記憶部123とは別に日常度情報記憶部を設け、この日常度情報記憶部がユーザの日常度情報を記憶するようにしてもよい。例えばユーザの滞在場所に関連づけて日常度を記憶したり、ユーザの滞在場所及び滞在時間帯に関連づけて日常度を記憶する。なお予定情報記憶部126は、ユーザの予定情報(予定表データ、スケジュール情報)を記憶する。
【0068】
情報記憶媒体130(コンピュータにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(CD、DVD)などにより実現できる。処理部102は、情報記憶媒体130に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち情報記憶媒体130には、本実施形態の各部としてコンピュータ(操作部、処理部、記憶部、出力部を備える装置)を機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピュータに実行させるためのプログラム)が記憶される。
【0069】
処理部102は、センサ情報取得部104、状況推定部106、日常度評価部110、書き込み部111、コンテンツ選択部112、提示制御部(表示制御部)118を含む。なおこれらの構成要素の一部(例えばコンテンツ選択部、提示制御部)を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
【0070】
センサ情報取得部104は、ウェアラブルセンサ150(広義にはセンサ)からのセンサ情報を取得する。具体的には、ウェアラブルセンサ150は、ユーザの行動(歩行、会話、食事、手足の動き、感情表現又は睡眠等)を計測する行動センサ、ユーザの状態(疲労、緊張、空腹、精神状態、身体状態又はユーザに発生したイベント等)を計測する状態センサ、及びユーザの環境(場所、時間、明るさ、気温又は湿度等)を計測する環境センサの少なくとも1つのセンサを含んでおり、センサ情報取得部104は、これらのセンサからのセンサ情報を取得する。
【0071】
なおセンサは、センサデバイス自体であってもよいし、センサデバイスの他に制御部や通信部等を含むセンサ機器であってもよい。またセンサ情報は、センサから直接得られるセンサ1次情報であってもよいし、センサ1次情報を加工処理(情報処理)することで得られるセンサ2次情報であってもよい。
【0072】
状況推定部106(状況同定部)は、センサ情報取得部104により取得されたセンサ情報等に基づいて、ユーザの状況(ユーザの行動、状態及び環境の少なくとも1つ)を推定(同定)するための処理を行う。具体的には、取得されたセンサ情報の乗算処理や加算処理などを行い、センサ情報のフィルタリング処理(選択処理)や解析処理のための種々の演算処理を実現する。そして、ユーザの現在の状況を推定する処理である状況同定処理を行う。或いは、ユーザの未来の状況を推定する処理である状況予測処理を行う。
【0073】
例えば下式(1)に示すように、複数のセンサからの複数のセンサ情報のデジタル化された計測値Xと、各係数が係数記憶部(図示せず)に記憶され、2次元行列(マトリックス)で表される係数Aijとの積和演算を行う。そうして下式(2)に示すように、積和演算の結果を多次元座標としてn次元のベクトルYとして演算する。なお、iはn次元空間のi座標であり、jは各センサに割り当てられる番号である。
【0074】
【数1】

【0075】
【数2】

上式(1)(2)のような演算処理を行うことで、取得されたセンサ情報の中から不要なセンサ情報を除去するフィルタリング処理や、ユーザの行動、状態、環境(TPO情報)をセンサ情報に基づき推定するための解析処理などを実現できる。例えば脈拍(心拍数)、発汗量、体温の計測値Xに対して乗算される係数Aを、その他のセンサ情報の計測値に対する係数よりも大きな値に設定すれば、上式(1)(2)で演算された数値Yは、ユーザの状態である「興奮度」を表すものになる。また発話量の計測値Xに対して乗算される係数と、足圧力の計測値Xに対して乗算される係数を適当な値に設定することで、ユーザの行動が、着座して会話しているのか、歩きながら会話しているのか、静かに思考しているのか、睡眠状態なのか等を推定できる。
【0076】
このようにしてユーザの状況を推定することで、時間情報(年、月、週、日、時間等)、ユーザの場所情報(位置、所属領域、距離等)及びユーザの状態情報(精神・肉体状態、ユーザに対して発生したイベント等)の少なくとも1つであるTPO(Time Place Occasion)情報を得ることができる。
【0077】
なお状況推定部106が推定するユーザの状況は、例えばユーザの行動、状態、又は環境等である。ユーザの行動の推定は、ユーザが身に着けた行動センサの情報により、ユーザの静止・歩行・走行・座り・寝転がり・階段昇降の状態を判別したり、ユーザの周辺に配置されたセンサ(外部カメラ、ホームセンサ)により、ユーザの行動・姿勢状態を判別したり、位置検知センサにより求められた位置の軌跡により、ユーザの滞留中・移動中の状態を判別することなどにより実現できる。またユーザの状態は、ユーザの精神状態や肉体状態などである。ユーザの状態の推定は、ユーザが身に着けた生体センサの情報により、ストレス・興奮・緊張・健康状態などを判別することなどで実現できる。またユーザの環境は、ユーザの場所情報、時間情報、周囲環境情報などである。ユーザの環境の推定は、位置検知センサにより、ユーザの滞在場所(現在地)を判別したり、時計により年・月・日・曜日・時間を取得したり、周囲環境センサにより気温・気圧・照度・騒音などを取得することなどで実現できる。この場合に、センサ情報によりユーザ状況を完全・正確に特定することは難しいため、状況推定部106による状況推定の確からしさは、ある程度の幅を持つことになる。
【0078】
またユーザ状況の推定に、センサ情報以外の情報を用いてもよい。具体的には、予定情報記憶部126に記憶されたユーザの予定情報(予定表データ、スケジュール情報)や、通信部138等を介して取得された外部情報を用いて、ユーザ状況を推定してもよい。例えば、ユーザが入力したスケジュール表に基づいて、ユーザのこれからの予定を推定したり、入力された予定から付随的な予定を推定する。或いは、ウェブ情報や外部データベースからインターネット等を介して取得した情報(例えば今日の天気・交通情報)や、他のユーザから取得した情報(例えば他のユーザからの連絡情報)などの外部情報に基づいて、ユーザ状況を推定する。
【0079】
このような予定情報や外部情報を利用すれば、センサ情報だけを用いてユーザ状況を推定する場合に比べて、状況推定の確度を高めることができる。例えばセンサ情報と予定情報を組み合わせてユーザの行動を推定することで、より確からしいユーザの行動の推定が可能になる。
【0080】
また状況推定部(場所特定部)106は、ユーザの滞在場所を特定する。例えばユーザの滞在場所として、エリアと、エリアよりも狭いスポットを特定し、ユーザがエリアに滞在しているのか、或いは、例えばエリア内の場所であってエリアよりも狭いスポットに滞在しているのかを判断する。具体的には、所定時間内でのユーザの位置の標準偏差を求める。そしてこの標準偏差に基づいて、ユーザがエリアに滞在しているのか、スポットに滞在しているのかを判断する。更に具体的には、所定期間内でのユーザの位置の標準偏差が、第1のしきい値以下であるか否かに基づいて、ユーザがエリア内に滞在しているか否かを判断する。また、所定期間内でのユーザの位置の標準偏差が、第1のしきい値よりも小さい第2のしきい値以下であるか否かに基づいて、ユーザがスポット内に滞在しているか否かを判断する。なおエリアを求めるための所定期間とスポットを求めるための所定期間は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。またエリアとスポットというような2段階の区画(粒度)ではなく、3段階以上の区画にしてもよい。
【0081】
なお、ユーザの滞在場所(エリア、スポット)については、GPSセンサを利用したり、携帯電話機の位置情報サービスや周辺にある無線LANの位置情報を利用してその位置を特定し、地図情報などを用いてその場所を特定できる。
【0082】
日常度評価部110はユーザの日常度(非日常度)の評価処理を行う。例えば、取得されたセンサ情報等に基づいてユーザの日常度を評価(判断)する。具体的には、GPSからの緯度経度情報に基づいて、単純に当該位置近傍への過去の滞在経験の頻度から日常度を評価する。あるいは、例えば、取得されたセンサ情報等に基づいて状況推定部106がユーザの状況(例えば現在の場所)を推定すると、日常度評価部110は、推定されたユーザの状況に基づいてユーザの日常度を評価してもよい。即ち、ユーザの現在の状況が、日常的な状況なのか、非日常的な状況なのかを判断して、日常度を評価する。
【0083】
例えばユーザの状況履歴(例えばユーザの場所の状況履歴)の情報と、推定されたユーザの現在の状況(例えば現在の場所)の情報との比較処理を行うことで、ユーザの現在の日常度を評価できる。また予測されるユーザの行動と、ユーザの実際の行動との比較処理を行うことで、ユーザの現在の日常度を評価できる。なお日常度は、例えば、ユーザの過去の状況履歴との比較等において、ユーザの現在の状況が、どの程度、日常的なのか(普通、ありふれている、平凡)の度合いを表すパラメータである。またユーザの日常度を評価する処理と非日常度(普段とは違う、異常度)を評価する処理は、等価な処理として扱うことができる。
【0084】
また日常度評価部110は、ユーザがエリアに滞在(位置)していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度を評価してもよい。例えばそのエリアへのユーザの過去の滞在経験の頻度から日常度を評価する。また、ユーザがスポットに滞在(位置)していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度を評価してもよい。例えばそのスポットへのユーザの過去の滞在経験の頻度から日常度を評価する。
【0085】
書き込み部111は、ユーザの状況履歴情報や日常度の書き込み処理を行う。具体的には、日常度評価部110の評価処理により得られたユーザの日常度を、ユーザの状況履歴情報の各ユーザ状況に関連づけて履歴情報記憶部123に書き込む。例えば各時間(時間帯)におけるユーザの行動、状態又は環境等のユーザ状況に関連づけて日常度を書き込む。
【0086】
コンテンツ選択部112はユーザ状況や日常度に基づいてコンテンツの選択処理を行う。例えば、ユーザの状況履歴情報の各ユーザ状況に関連づけられたユーザの日常度に基づいて、コンテンツ情報記憶部122に記憶されたコンテンツの中から、ユーザに対して提示するコンテンツを選択する。具体的には、履歴情報記憶部123に記憶された状況履歴情報の中から、低い日常度が関連づけられたユーザ状況を優先して抽出する。そして抽出されたユーザ状況に対応するコンテンツを選択する処理を行う。具体的には、所定値よりも低い日常度に関連づけられたユーザ状況を抽出してコンテンツを選択する。例えば低い日常度が関連づけられたユーザ状況から順に抽出し、そのユーザ状況に関連するコンテンツを選択する。
【0087】
なお、逆に、高い日常度が関連づけられたユーザ状況を抽出して、コンテンツの選択を行ったり、ランダムに日常度を選択して、それに対応するコンテンツを選択するなどの変形実施も可能である。例えば履歴情報記憶部123に記憶された状況履歴情報の中から、高い日常度が関連づけられたユーザ状況を優先して抽出し、抽出されたユーザ状況に対応するコンテンツを選択する。具体的には、所定値よりも高い日常度に関連づけられたユーザ状況を抽出してコンテンツを選択する。例えば高い日常度が関連づけられたユーザ状況から順に抽出し、そのユーザ状況に関連するコンテンツを選択する。このようにすれば、ユーザの行動等の状況が、日常度が高いワンパターン化された状況になっていることを、ユーザに気付かせることができ、そのような状況に変化を与えるきっかけとなるコンテンツの提示が可能になる。
【0088】
またコンテンツ選択部112は、ユーザの状況とユーザの日常度とに基づいて、コンテンツ情報記憶部122に記憶されたコンテンツの中から、ユーザに対して提示するコンテンツを選択する処理を行ってもよい。例えば状況推定部106が、予定情報記憶部126に記憶されたユーザの予定情報に基づいて、ユーザの未来の状況を予測したとする。この場合には日常度評価部110は、予測されたユーザの未来の状況についての日常度を評価する。即ち、予測されるユーザの未来の状況は日常的か否かを評価する。そしてコンテンツ選択部112は、ユーザの未来の状況についての日常度に基づいて、ユーザに対して提示するコンテンツの選択処理を行う。或いはユーザの過去の状況についての日常度や、現在の状況についての日常度に基づいて、コンテンツの選択処理を行ってもよい。
【0089】
また例えば日常度評価部110が、複数のサブ日常度の評価処理を行ったとする。具体的には、第1のサブ日常度の評価処理と、第1のサブ日常度とは日常度の評価対象項目が異なる第2のサブ日常度の評価処理を行ったとする。ここで例えば第1のサブ日常度は第1の評価対象項目により評価される日常度であり、第2のサブ日常度は第2の評価対象項目により評価される日常度であり、第1の評価対象項目と第2の評価対象項目は少なくとも1つの評価対象項目が異なっている。
【0090】
このとき、コンテンツ選択部112は、第1のサブ日常度に基づきコンテンツを選択する場合には、第1の評価対象項目に対応するコンテンツを選択する。一方、第2のサブ日常度に基づきコンテンツを選択する場合には、第2の評価対象項目に対応するコンテンツを選択する。例えば第1、第2の評価対象項目としては、時間情報、ユーザの場所情報、ユーザの行動情報、ユーザの状態情報、ユーザの予定情報などを想定できる。そして例えば時間、場所、行動、状態、予定の情報に基づき日常度を評価した場合には、各々、時間、場所、行動、状態、予定に関連するコンテンツを選択する。
【0091】
またコンテンツ選択部112は、ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度に基づいてコンテンツを選択する。例えばそのエリアに滞在することがユーザにとって日常的である場合には、ユーザを非日常に導くコンテンツを選択し、そのエリアに滞在することがユーザにとって非日常的である場合には、ユーザを日常に導くコンテンツを選択する。また、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度に基づいてコンテンツを選択する。例えばそのスポットに滞在することがユーザにとって日常的である場合には、ユーザを非日常に導くコンテンツを選択し、そのスポットに滞在することがユーザにとって非日常的である場合には、ユーザを日常に導くコンテンツを選択する。
【0092】
なおユーザを非日常に導くコンテンツは、例えばユーザにとって親密度が低いコンテンツであり、ユーザを日常に導くコンテンツは、例えばユーザにとって親密度が高いコンテンツである。具体的にはコンテンツ情報記憶部122は、各コンテンツに関連づけてそのコンテンツに対するユーザの親密度を記憶する。例えばコンテンツのタグ情報としてユーザの親密度を記憶する。そしてユーザがそのエリア又はスポットに滞在することがユーザにとって日常度が高いと評価される場合には、コンテンツ選択部112は、コンテンツ情報記憶部122のコンテンツの中から、低い親密度が関連づけられたコンテンツを選択する。一方、ユーザがそのエリア又はスポットに滞在することがユーザにとって日常度が低いと評価される場合には、コンテンツ選択部112は、コンテンツ情報記憶部122のコンテンツの中から、高い親密度が関連づけられたコンテンツを選択する。
【0093】
またコンテンツ選択部112は、ユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度を優先してコンテンツを選択する。一方、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度に基づいてコンテンツを選択する。例えばユーザがエリア内のスポットに滞在している場合には、まず、スポットの日常度を用いてコンテンツを選択して提示する。そして、その後にエリアの日常度を用いてコンテンツを選択したり、或いはエリアの日常度を用いたコンテンツ選択は行わないようにする。一方、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在している場合に、エリアの日常度を用いてコンテンツを選択して提示する。
【0094】
提示制御部118は、選択されたコンテンツを、情報提示部142によりユーザに提示するための制御を行う。例えば情報提示部142がウェアラブルディスプレイやデジタルフォトフレームであった場合には、選択されたコンテンツ(コンテンツ画像)を、これらのウェアラブルディスプレイ、デジタルフォトフレームより提示(表示)するための制御を行う。或いは情報提示部142がロボットである場合には、提示制御部118は、選択されたコンテンツをユーザに対してロボットに提示させるための制御を行う。具体的には、コンテンツ情報記憶部122は、ユーザに提示するコンテンツとして、複数の会話フレーズにより構成されるシナリオデータを記憶する。そしてコンテンツ選択部112が、ユーザの日常度等に基づいて、シナリオデータを選択すると、提示制御部118は、選択されたシナリオデータの会話フレーズを、ロボットに発話させるための制御を行う。
【0095】
3.第1の動作例
図3に本実施形態の第1の動作例を説明するためのフローチャートを示す。
【0096】
まず、行動センサ、状態センサ、環境センサからのセンサ情報や、予定情報、外部情報を取得する(ステップS1)。そして取得された情報に基づいて、ユーザの状況(TPOf)を推定する(ステップS2)。
【0097】
次に、ユーザの状況等に基づいてユーザの日常度を評価する(ステップS3)。そしてユーザの日常度を状況履歴情報の各ユーザ状況に関連(対応)づけて履歴情報記憶部123に書き込む(ステップS4)。そしてユーザ状況に関連づけられたユーザの日常度に基づいて、ユーザに提示するコンテンツを選択し(ステップS5)、選択されたコンテンツを、ロボットやデジタルフォトフレーム等の情報提示部142により提示する(ステップS6)。
【0098】
なお図3では、ステップS2でユーザ状況を推定し、ステップS3でユーザ状況に基づいて日常度を評価しているが、ステップS2を省略して、センサ情報等から直接に日常度を評価してもよい。またステップS4において、必ずしもユーザ状況と日常度を同時に履歴情報記憶部123に書き込む必要はない。例えば、時刻と共に記録された各ユーザ状況に対して、後から日常度を判定して、得られた日常度を関連づけてもよい。
【0099】
図4に履歴情報記憶部123のデータ構造の例を示す。図4では、履歴情報記憶部123は、日時、場所等のユーザ状況に関連づけて日常度が記憶される。
【0100】
例えば日曜日の朝8時頃にユーザは自宅に滞在しており、このようなユーザの状況は日常度が高いと評価されるため、このユーザ状況(時間、場所)には例えば日常度=10が関連づけられる。そしてユーザは、朝9時頃に、日光行きの電車に乗車するために浅草に行っており、このように日曜日の朝に浅草に居るユーザ状況は日常度が低いと評価されるため、例えば日常度=6が関連づけられる。その後、ユーザは、昼の12時頃に日光の東照宮に着いている。そして日光の東照宮は、ユーザが殆ど行かない観光地であるため、この時のユーザの日常度は低いと判断される(非日常であると判断される)。従って、日曜日の昼に日光の東照宮にいるというユーザ状況に対しては、例えば日常度=1が関連づけられる。なお、ここでは日常度が低いほど、日常度の値(パラメータ値)は低い値に設定されている。
【0101】
一方、平日の朝8時頃にユーザは自宅に滞在しており、このようなユーザの状況は普段通りであると評価されるため、このユーザ状況には例えば日常度=10が関連づけられる。そしてユーザは、朝10時頃に新宿の勤務先のビルに着いており、このようなユーザ状況も日常度が高いと評価されるため、日常度=10が割り当てられる。またユーザは、昼の12時頃に昼食のために新宿のレストランに行っており、このようなユーザ状況は日常度が中ぐらいであると評価されるため、例えば日常度=6が関連づけられる。またその日の夜に、ユーザは、勤務先近くのホテルに行っており、このようなユーザ状況は日常度が比較的低いと評価されるため、例えば日常度=3が関連づけられる。
【0102】
このように本実施形態では、状況履歴情報の各ユーザ状況に日常度が関連づけて記憶されるため、この状況履歴情報を読み出すだけで、各ユーザ状況におけるユーザの日常度を簡素な処理で取得できる。そして取得された日常度に基づいて、各種の情報処理や情報提示が可能になり、これまでにない情報処理システムを提供できる。
【0103】
なお、同じ新宿の勤務先のビルであっても、例えば休日の昼間にユーザがそのビルにいると判断された場合には、日常度は低いと判断される。このように日常度を評価する際には、ユーザの滞在場所のみならず、滞在場所と滞在時間帯との組み合わせに対して評価することで、日常度の評価処理を適正なものにすることができる。
【0104】
また、ユーザの勤務先のビルがある新宿では、後述する滞在エリアのように広い区画の領域で日常度を判断すると、ユーザが勤務先のビルにいるのか、勤務先近くのホテルにいるのかを区別することができず、日常度の評価が不正確になる事態が生じる。この点、後述するスポットのように、エリアよりも狭い区画の領域で日常度を判断すれば、このような事態を防止できる。
【0105】
図4に示すようにユーザの状況履歴情報は順次更新される。この更新された状況履歴情報は、例えば携帯型電子機器100の履歴情報記憶部に記憶される。
【0106】
そして図5(A)では、家に帰宅したユーザは、携帯型電子機器100をクレードル101に接続して、充電等を行っている。図5(A)では、このようなクレードル101への携帯型電子機器100の接続により、ロボット1の利用可能イベントが発生したと判定し、ロボット1を起動し、その利用を可能にする。なおクレードル101への接続ではなく、ユーザとロボット1との接近を判定して、ロボット1を起動してもよい。例えば携帯型電子機器100とロボット1の間の情報転送が無線により行われる場合には、その無線強度を検出することでロボット1の利用可能イベントの発生を判定できる。
【0107】
このような利用可能イベントが発生すると、ロボット1が起動し、その利用が可能になる。この場合に、携帯型電子機器100の履歴情報記憶部に記憶されているユーザの状況履歴情報は、例えばロボット1の履歴情報記憶部に転送されて記憶される。これにより状況履歴情報に基づくロボット1の会話等の制御が可能になる。なお状況履歴情報や日常度に基づくコンテンツ選択を、携帯型電子機器100側や後述するサーバ側で行い、選択されたコンテンツのシナリオデータ等に基づいて、ロボット1が会話動作を行うようにしてもよい。
【0108】
図5(A)では、ロボット1がユーザに対して会話を行う際に、図4のユーザの状況履歴情報のうち、例えば低い日常度が関連づけられたユーザ状況が選択される。図4では、日曜日のユーザの状況として、日常度=2が関連づけられた日光の東照宮に行ったというユーザ状況が選択される。そしてロボット1は、このユーザ状況に対応するコンテンツを選択して会話動作を行う。具体的には、選択されたコンテンツのシナリオデータに基づいて、「日曜日の日光の東照宮はどうでしたか?」という会話フレーズを発話する。このようにすることで、ユーザは、過去の非日常体験を思い起こすことが可能になる。
【0109】
即ち、ユーザとしては、普段と変わらない日常的な状況下での出来事よりも、非日常的な体験をしている状況下での出来事の方に、興味や思い入れがある場合が多い。例えば、ロボット1の発話を利用してユーザの過去の出来事を思い起こさせる場合に、ユーザがいつも行っている場所での出来事よりも、普段はほとんど行ったことが無い場所での出来事の方に関心があると考えられる。また、非日常体験により興奮・感動した状況下での出来事に関する会話を、優先してロボット1が発話すれば、いわゆる利便性提供型サービスではなく、ロボット1との会話によりユーザに気付きを与えるというインスパイア型ユビキタスサービスの実現が可能になる。
【0110】
そこで本実施形態では、ユーザの日常度(非日常度)については、センサ情報等に基づいてユーザの状況を推定することで判断できるという点に着目し、このようにして取得されたユーザの日常度を、状況履歴情報の各ユーザ状況に関連づけて記憶する手法を採用している。このようにすれば、日常度が低い非日常体験の状況下での出来事を優先して抽出して、それに対応するコンテンツをユーザに提示したり、逆に、日常度が高い普段通りの状況下での出来事を優先して抽出して、ユーザの行動を変容させるためのコンテンツをユーザに提示することが可能になる。
【0111】
図5(B)では、図5(A)のようなロボット1による非日常体験に関する会話に興味を持ったユーザが、ロボット1を撫でている。そしてロボット1の接触センサ410により、ロボット1の発話に対するユーザの反応である「撫でる動作」が検知される。するとロボット1は、次の会話フレーズとして例えば「家族サービスも大変ですね」と発話する。即ち図5(B)では、ロボット1が発話した会話フレーズ(ロボットによる提示情報の提示)に対するユーザの反応(撫でる動作)に基づいて、次にロボット1に発話させる会話フレーズ(次に提示する提示情報)を決定している。
【0112】
また図5(C)では、ロボット1が今日のユーザの出来事に関して会話を行う際に、図4のユーザの今日の状況履歴情報のうち、例えば低い日常度が関連づけられたユーザ状況が選択される。具体的には、今日のユーザの状況履歴情報の中から、日常度=3が関連づけられた新宿のホテルに行ったというユーザ状況が選択される。そしてロボット1は、このユーザ状況に対応するコンテンツのシナリオデータに基づいて、「ところで今日は、新宿のホテルで何かイベントがあったのですか?」と発話する。このようにすることで、ユーザは、今日の非日常体験を話題とするロボット1との会話を楽しむことが可能になる。この後、例えばユーザがロボット1を「撫でる動作」を再度行うと、ユーザがこの話題に興味があることが認識され、次に発話させる会話フレーズが決定されてロボット1が発話するようになる。
【0113】
4.第2の動作例
図6に本実施形態の第2の動作例を説明するためのフローチャートを示す。
【0114】
まず、行動センサ、状態センサ、環境センサからのセンサ情報や、予定情報、外部情報を取得する(ステップS31)。そして取得された情報に基づいて、ユーザの状況(TPOf)を推定する(ステップS32)。
【0115】
次に、ユーザの状況等に基づいてユーザの日常度を評価する(ステップS33)。そして、ユーザの状況とユーザの日常度に基づいて、ユーザに提示するコンテンツを選択し(ステップS34)、選択されたコンテンツを、ロボットやデジタルフォトフレーム等の情報提示部142により提示する(ステップS35)。
【0116】
図7〜図14に、ユーザの状況と日常度に基づいてコンテンツを選択してユーザに提示する手法の具体例を示す。図7〜図12はロボットとの会話を利用してコンテンツを提示する手法の例であり、図7、図8は現在のユーザの状況に対して日常度を評価してコンテンツを選択する手法の例である。
【0117】
図7では、ユーザAの状況は、日曜日の昼間に自宅でごろごろ寝ており、さしあたっての予定が無い状況であると判断されている。このようなユーザ状況は、センサ情報や予定情報などにより判断できる。
【0118】
そしてユーザAにとっては、その過去の状況履歴から、図7のようなユーザ状況は日常度が高く、日常的な状況であると評価されている。従って、この場合には、例えばユーザAの行動を変容させる情報や新たな体験に関する情報を提供するコンテンツタイプCT1を選択する。そして選択されコンテンツタイプCT1のシナリオデータにしたがって、ロボット1、2が会話を行う。
【0119】
具体的には例えばロボット1が「今日はいつも家で寝てばかりだね〜」と発話し、これに対してロボット2が「あのままじゃもうすぐメタボになっちゃうね」と発話する。そしてロボット1が「そういえば、近くの公園でイベントがあるって」と発話し、これに対してロボット2が「へえ〜、面白そうだね」と発話する。
【0120】
このようにすれば、ともすると何も考えずに何となく行動している自身の姿(日曜日にいつも家で寝ている姿)を、ロボット1、2の対話を通じてユーザに気づかせることが可能になる。そして、このような日常的な状況に変化を与えるきっかけを作り、ユーザがこれを受け入れて、新たな体験(近くの公園のイベントに行く)を行うことで、新たな気づきや発見・感動が生まれることを期待できる。従って、いわゆる利便性提供型サービスではなく、ロボット1、2の会話によりユーザに気付き(インスパイア)を与えるというインスパイア型ユビキタスサービスの実現が可能になる。
【0121】
また、一般的には、ユーザとロボットとの会話(対話)は、1人のユーザと1台のロボットというように、1対1の対峙関係で実現される。
【0122】
これに対して図7では、1人のユーザに対して2台のロボット1、2(広義には複数台のロボット)が用意され、1対2(広義には1対N)の対峙関係で会話が実現される。そしてユーザは、ロボット1、2と直接会話するのではなく、ロボット1、2の間で行われる会話を傍観しならが聞くという形態をとる。
【0123】
この場合に、ロボット1、2の間での会話によりユーザに提供される情報は、ウェアラブルセンサなどが有する行動センサ、状態センサ、環境センサからのセンサ情報により推定されたユーザの状況に基づくものになっている。従って、ユーザは、ロボット1、2の間で行われる会話を通して、ユーザの過去又は現在の行動や、ユーザの過去又は現在の状態や、ユーザを取り巻く過去又は現在の環境について間接的に知ることができる。
【0124】
このようにすれば、外部からユーザに一方的に情報を提供する利便性提供型サービスではなく、ロボット1、2の間で行われる会話を通して、ユーザの内面に働きかけ、ユーザの行動、状態、環境についての気付きをユーザに与えることで、自己の成長を促すというインスパイア型ユビキタスサービスの実現が可能になる。
【0125】
一方、図8では、ユーザBの状況が、日曜日の昼間に自宅でごろごろ寝ており、予定が無い状況であると判断されている。そして、このようなユーザ状況は、図7のようにユーザAにとっては日常度が高いと評価されているが、図8のように活動的なユーザBにとっては日常度が低いと評価されている。従って、この場合には、例えばユーザBの行動を支援する情報を提供するコンテンツタイプCT2を選択する。そして選択されコンテンツタイプCT2のシナリオデータにしたがって、ロボット1、2が会話を行う。
【0126】
具体的には例えばロボット1が「たまには家でのんびりもいいよね〜」と発話し、これに対してロボット2が「ときどき体も休めないとね!」と発話する。そしてロボット1が「そういえば、録画した映画まだ見てないね!」と発話し、これに対してロボット2が「まだ読んでない本もあるよね〜」と発話する。
【0127】
このようにすれば、日曜日でも活動的に動いているユーザBに対して、たまの日曜日にはゆっくり休むことを促して、ユーザの行動を支援することが可能になる。
【0128】
図9、図10はユーザの未来の状況(これからの予定)に対して日常度を評価してコンテンツを選択する手法の例である。
【0129】
図9では、ユーザAの現在の状況は月曜日の朝に自宅にいるという状況であるが、これからの予定として大阪への出張が入っている。このような未来の状況は予定情報などに基づき判断できる。そして、頻繁に大阪に出張に行くユーザAにとっては、このようなユーザ状況は日常度が高いと評価されている。従って、この場合には、例えば穴場情報を提供するコンテンツタイプCT3を選択する。そして選択されコンテンツタイプCT3のシナリオデータにしたがって、ロボット1、2が会話を行う。
【0130】
具体的には例えばロボット1が「今日も大阪に出張だね!」と発話し、これに対してロボット2が「大阪といえば、最近新しい雑貨屋ができたよ」と発話する。そしてロボット1が「へえ〜、なんか面白そうだね!」と発話し、これに対してロボット2が「今度行ったときに行ってみたら?」と発話する。
【0131】
このようにすれば、日常的に大阪に出張しているユーザに対して、大阪の穴場情報を提供することで、ユーザの行動に変化を与えて、新たな体験を行うことを促すことが可能になる。
【0132】
一方、図10では、ユーザBの予定として大阪への出張が入っているが、出張には滅多に行かないユーザBにとっては、このようなユーザ状況は日常度が低い評価されている。従って、この場合には、例えば定番情報を提供するコンテンツタイプCT4を選択する。そして選択されコンテンツタイプCT4のシナリオデータにしたがって、ロボット1、2が会話を行う。
【0133】
具体的には例えばロボット1が「今日は珍しく大阪出張だね!」と発話し、これに対してロボット2が「大阪といえば?」と発話する。そしてロボット1が「やっぱり、たこ焼きかな?」と発話し、これに対してロボット2が「たこ焼きならばTA店が人気だね〜」と発話する。
【0134】
このようにすれば、日常的ではなく、よく似たような経験もしていないような未来の予定に対して不安を抱いているユーザに対して、見知らぬ土地での定番情報を提供することで安心感を与えることが可能になる。
【0135】
図11、図12はユーザの過去の状況に対して日常度を評価してコンテンツを選択する手法の例である。
【0136】
図11では、ユーザAは過去の状況(行動)としてTB動物園に行ったことが状況履歴情報から抽出されており、頻繁にTB動物園を訪れるユーザAにとって、このようなユーザ状況は日常度が高いと評価されている。従って、この場合には、ユーザAの行動を変容させる情報や新たな体験に関する情報を提供するコンテンツタイプCT1を選択する。そして選択されコンテンツタイプCT1のシナリオデータにしたがって、ロボット1、2が会話を行う。
【0137】
具体的には例えばロボット1が「今日はTB動物園に行ったんだね!」と発話し、これに対してロボット2が「TC動物園も最近人気だよね!」と発話する。そしてロボット1が「そうそう、パンダのあかちゃんが見れるんだよ」と発話し、これに対してロボット2が「ちょっと遠いけど見てみたいね〜」と発話する。
【0138】
このようにすれば、いつもTB動物園に行っているユーザに対して、あまり行ったことがないTC動物園を訪れることのきっかけを与え、ユーザがこれを受け入れて、新たな体験を行うことで、新たな気づきや発見・感動が生まれることを期待できるようになる。
【0139】
一方、図12では、TB動物園に行ったことがないユーザBについては、日常度が低い評価されている。従って、この場合には、補足情報を提供するコンテンツタイプCT5を選択する。そして選択されコンテンツタイプCT5のシナリオデータにしたがって、ロボット1、2が会話を行う。
【0140】
具体的には例えばロボット1が「今日はTB動物園に行ったんだね!」と発話し、これに対してロボット2が「そこにいる象さんは「花子」っていうんだよ」と発話する。そしてロボット1が「へえ〜、そうなんだ〜」と発話し、これに対してロボット2が「もう80歳近いんだってさ」と発話する。
【0141】
このようにすれば、TB動物園に初めて行ったユーザに対して、不慣れのために十分に動物等を鑑賞できなかったことを考慮して、TB動物園の補足情報を提示することで、ユーザの状況に応じた適切なコンテンツ提示が可能になる。
【0142】
図13、図14は、ユーザがモバイルディスプレイ等を持ち歩くモバイル時において、ユーザの現在の状況に対して日常度を評価してコンテンツを選択する手法の例である。
【0143】
図13では、ユーザAが水曜日の17時30分頃に会社の最寄り駅近くを歩行中であることが同定されており、このように平日の定時に帰社するユーザ状況は、過去のユーザの状況履歴からユーザAにとっては日常度が高いと評価されている。従って、この場合には、ユーザAの行動を変容させる情報や新たな体験に関する情報を提供するコンテンツタイプCT1を選択し、選択されコンテンツタイプCT1のコンテンツ画像をモバイルディスプレイに表示する。具体的には、現在歩行中である場所の近くのおすすめのお店情報を表示する。
【0144】
このようすれば、いつもの帰り道において、今まで行ったことがない店に立ち寄るきっかけをユーザに与え、ユーザがこれを受け入れることで、日常的な生活に変化を与えて、新たな体験等を促すことが可能になる。
【0145】
一方、図14では、ユーザBが水曜日の17時30分頃に会社の最寄り駅近くを歩行中であることが同定されているが、このように平日の定時に帰社するユーザ状況は、ユーザAにとっては日常度が高いが、ユーザBにとっては日常度が低いと評価されている。そこで、この場合には、ユーザBの行動を支援する情報を提供するコンテンツタイプCT2を選択し、選択されコンテンツタイプCT2のコンテンツ画像をモバイルディスプレイに表示する。具体的には、帰宅後にユーザが観ることができるおすすめのTV番組の情報を表示する。
【0146】
このようにすれば、いつも仕事で帰りが遅いユーザBに対して、久々に早く帰った日には、ゆったりとした気分になるように促して、ユーザの行動を支援することが可能になる。
【0147】
以上のように本実施形態では、ユーザの過去、現在、或いは未来の状況と、そのユーザ状況についてのユーザの日常度に基づいて、適切なコンテンツを選択してユーザに提示している。このようにすれば、ユーザの状況に応じたコンテンツ提示が可能になると共に、ユーザの日常の生活パターンに変化や気づきを与えたり、非日常的な体験におけるユーザの煩雑さや不安感を取り除いたりすることが可能になり、これまでにないタイプの情報提示が可能になる。
【0148】
5.デジタルフォトフレーム
以上では、コンテンツを提示する情報提示部がロボットやモバイルディスプレイである場合を主に例にとり説明したが、情報提示部はこれに限定されず、デジタルフォトフレーム等であってもよい。
【0149】
図15(A)にデジタルフォトフレーム300(デジタルフォトプレーヤ、画像再生装置)の例を示す。図15(A)は、いわゆるフォトスタンドタイプのデジタルフォトフレームの例である。このデジタルフォトフレーム300は、家の中などの任意の場所にユーザにより設置される。そして記憶部320のコンテンツ情報記憶部322(図15(B)参照)に記憶されたコンテンツ情報(デジタルの画像データ、音データ)の再生処理(画像再生、音再生)を実行する。デジタルフォトフレーム300は、例えばユーザの明示的な再生指示がなくても、コンテンツ情報記憶部322に記憶されたコンテンツ情報を自動的に再生することができ、例えば写真のスライドショーを自動的に実行したり、映像の自動再生を行う。
【0150】
なお、図15(A)ではフォトスタンドタイプのデジタルフォトフレームの例を示したが、例えば電子ペーパのように壁掛けタイプのものであってもよい。また、デジタルフォトフレーム300に、コンテンツ情報の再生指示ボタンなどを設けたり、リモコンを用いて再生指示ができるようにしてもよい。
【0151】
このデジタルフォトフレーム300は、SDカード等のメモリカードのインターフェースを備えることができる。或いは、無線LAN、Bluetoothなどの無線通信のインターフェースや、USB等の有線の通信インターフェースを備えることができる。例えばユーザが、メモリカードにコンテンツ情報を保存して、デジタルフォトフレーム300のメモリカードインターフェースに装着すると、デジタルフォトフレーム300は、メモリカードに保存されたコンテンツ情報の自動再生(スライドショー等)を実行する。或いは、デジタルフォトフレーム300は、無線通信や有線通信によりに外部からコンテンツ情報を受信すると、このコンテンツ情報の再生処理(自動再生処理)を実行する。例えば、ユーザが所持するデジタルカメラや携帯電話機などの携帯型電子機器100がBluetooth等の無線機能を有する場合には、この無線機能を利用して、携帯型電子機器100のコンテンツ情報記憶部122からデジタルフォトフレーム300のコンテンツ情報記憶部322にコンテンツ情報を転送する。すると、デジタルフォトフレーム300は、転送されたコンテンツ情報の再生処理を実行する。
【0152】
図15(B)にデジタルフォトフレーム300の構成例を示す。このデジタルフォトフレーム300は、各種の処理を行う処理部302と、無線や有線の通信を行うための通信部338と、記憶部320と、ディスプレイ340を備える。
【0153】
処理部302は、CPU等のプロセッサや、表示制御用のASICなどにより実現できる。記憶部320は、例えばRAMやHDD等により実現できる。なお、コンテンツ情報をメモリカードに保存して自動再生する場合には、記憶部320は、メモリカードにより実現できる。ディスプレイ340は、例えば液晶ディスプレイや、有機ELなどの発光素子を用いたディスプレイや、電気泳動型ディスプレイなどにより実現できる。処理部302が含む表示制御部318は、コンテンツ情報である画像データに基づいて、ディスプレイ340に画像を表示する制御を行う。例えば圧縮された画像データをデコードする処理を行ったり、デコードされた画像データを再生する処理などを行う。
【0154】
図15(A)、図15(B)のデジタルフォトフレーム300を用いれば、ユーザ状況やユーザの日常度に基づき選択されたコンテンツの画像を再生することが可能になる。そして、例えば低い日常度が関連づけられたユーザ状況に対応するコンテンツを選択して、その画像を再生することが可能になるため、デジタルフォトフレーム300により自動再生される画像を何気なく見たユーザに対して、日常的な生活パターンに変化を与えるきっかけ等を提供できる。
【0155】
6.サブ日常度
さて、日常度の評価対象項目としては、時間情報やユーザの場所情報(広義にはユーザの環境情報)、ユーザの行動情報、ユーザの状態情報、ユーザの予定情報等の項目を想定できる。図16(A)に示すように、トータル日常度TNについては、例えばこれらの時間・場所・行動・状態・予定情報の全てを評価対象項目として日常度の評価処理を行う。
【0156】
しかしながら、このトータル日常度TNだけでは、個々の評価対象項目についての特徴的な状況が埋もれてしまい、適正な日常度の評価処理を実現できない可能性がある。
【0157】
そこで図16(A)では、トータル日常度TN以外に、複数のサブ日常度SN1〜SN6等を用意し、個別に日常度を評価し、その内容に応じたコンテンツを表示するようにしている。
【0158】
例えばサブ日常度SN1では、ユーザが、その時間にその場所に居る割合等から日常度を評価する。サブ日常度SN2では、ユーザが、その時間にその予定が入っている割合等から日常度を評価する。サブ日常度SN3では、ユーザが、その時間にその行動を行っている割合等から日常度を評価する。サブ日常度SN4では、ユーザが、その場所でその行動を行っている割合等から日常度を評価する。サブ日常度SN5では、ユーザが、その時間にその場所でその行動を行っている割合等から日常度を評価する。サブ日常度SN6では、ユーザが、その時間にその場所でその予定が入っている割合等から日常度を評価する。なお、時間・場所・行動・状態・予定情報以外の情報を評価対象項目とするサブ日常度を用意してもよい。また各サブ日常度の評価対象項目は2個以上であってもよいし、1個のみであってもよい。
【0159】
本実施形態では、使用するサブ日常度に応じて日常度の評価結果は異なり、使用した評価対象項目に応じて、情報提示のコンテンツのタイプを決定され、情報の内容は評価対象項目の内容に対応する。例えばサブ日常度SN1に基づいてコンテンツを提示する場合には、ユーザの滞在場所(現在地)に関連するコンテンツを選択して提示する。一方、サブ日常度SN2に基づいてコンテンツを提示する場合には、ユーザの予定に関連するコンテンツを選択して提示する。
【0160】
具体的には、図16(A)では、各々のサブ日常度はその評価対象項目がお互いに異なっている。例えばサブ日常度SN1(広義には第1のサブ日常度)とサブ日常度SN2(広義には第2のサブ日常度)では、日常度の評価対象項目が異なっている。即ち、サブ日常度SN1の評価対象項目である第1の評価対象項目は、時間情報とユーザの場所情報になっており、サブ日常度SN2の評価対象項目である第2の評価対象項目は、時間情報とユーザの予定情報になっており、これらの第1、第2の評価対象項目は少なくともその一部が異なっている。
【0161】
そしてサブ日常度SN1に基づきコンテンツを選択する場合には、サブ日常度SN1の評価対象項目である第1の評価対象項目に対応するコンテンツを選択し、例えばユーザの場所情報に対応するコンテンツを選択する。
【0162】
例えば、ユーザがその時間にその場所に居ることが日常的であるとサブ日常度SN1に基づき評価された場合には、ユーザを非日常に導くようなコンテンツであって、その場所に関連するコンテンツを選択して提示する。例えば図13で説明したように、ユーザがこれまで行ったことがない店であって、その場所付近にある店を紹介するコンテンツを提示する。
【0163】
一方、ユーザがその時間にその場所に居ることが非日常的であるとサブ日常度SN1に基づき評価された場合には、ユーザを日常に導くようなコンテンツであって、その場所に関連するコンテンツを選択して提示する。例えば、ユーザが海外出張などで、初めて訪れた外国の街に居るような非日常的な状況では、ユーザを安心させるために、日本においてもおなじみのファーストフード店等であって、その外国の街にある店を紹介するコンテンツを提示する。
【0164】
また、サブ日常度SN2に基づきコンテンツを選択する場合には、サブ日常度SN2の評価対象項目である第2の評価対象項目に対応するコンテンツを選択し、例えばユーザの予定情報に対応するコンテンツを選択する。
【0165】
例えば、ユーザがその時間にその予定が入っていることが日常的であるとサブ日常度SN2に基づき評価された場合には、ユーザを非日常に導くようなコンテンツであって、その予定に関連するコンテンツを選択して提示する。例えば図9で説明したように、いつもの大阪出張の予定が入っているユーザに対しては、ユーザがこれまで行ったことがない穴場の店であって、大阪出張に関連する大阪の店を紹介するコンテンツを提示する。
【0166】
一方、ユーザがその時間にその予定が入っていることが非日常的であるとサブ日常度SN2に基づき評価された場合には、ユーザを日常に導くようなコンテンツであって、その予定に関連するコンテンツを選択して提示する。例えば図10で説明したように、初めての大阪出張の予定が入っているユーザに対しては、ユーザを安心させるような定番の店であって、大阪出張に関連する大阪の店を紹介するコンテンツを提示する。
【0167】
このように、コンテンツを選択する際に、使用するサブ日常度を適切に選ぶことで、ユーザの状況や日常度に合わせた適切なコンテンツの選択が可能になる。
【0168】
なおサブ日常度に基づきコンテンツを選択する場合には、図16(B)のように各サブ日常度に応じたサブ日常度用のテーブルを用意することが望ましい。例えば図16(B)では、サブ日常度SN1用のテーブルとサブ日常度SN2用のテーブルが示されている。
【0169】
サブ日常度SN1用のテーブルでは、時間及び場所と日常度との各組み合わせに対して各コンテンツが対応づけられている。一方、サブ日常度SN2用のテーブルでは、時間及び予定と日常度との各組み合わせに対して各コンテンツが対応づけられている。
【0170】
図16(B)に示すような各サブ日常度用の各テーブルを設ければ、同定されたユーザの時間、場所、行動等の状況と、その状況の日常度と、各サブ日常度用の各テーブルとに基づいて、簡素なシステム構成で適切なコンテンツを選択してユーザに提示することが可能になる。なお複数のサブ日常度用テーブルのいずれのテーブルを用いるかは、ランダムに決定してもよいし、所定のシーケンス制御で決定してもよい。
【0171】
7.スポットとエリア
さて、ユーザに対して適切でタイムリーなコンテンツを提供するためには、GPSセンサ等を用いてユーザの位置を特定し、特定された位置に基づいてコンテンツを選択して提示することが望ましい。
【0172】
ところが、GPSセンサにより得られる位置データ(緯度・経度)は、それ自体は単なるデータにすぎず、ユーザの滞在場所を直接意味する情報ではない。このため、これらの位置データからユーザにとって意味のある場所を抽出する必要がある。
【0173】
例えばユーザの居場所を滞在時間に基づいてカテゴライズするとユーザにとって意味のある場所を抽出できる。図17では、新宿などの街の駅を降りたユーザが、駅の周辺を歩き、各時間帯においてデパートA、クレープ屋B、映画館C、ファミリーレストランD、雑貨屋E、書店Fに滞在した場合を例にヒートマップを示している。GPSセンサ等を用いれば、これらの各滞在場所でのユーザの位置の分布を知ることができ、この分布の大きさや濃度(密度)は滞在場所に応じて異なる。このヒートマップでは、滞在時間が長い場所は濃くなっており、その場所での移動を伴うところは広い範囲に分布するようになっている。
【0174】
図17から明らかなように、例えば新宿などの街においては、街の中にユーザにとって意味の異なる複数の場所(例えばデパートA、クレープ屋B、映画館C等)が存在する。従って、図17の場合に、ユーザの滞在場所は新宿であると特定し、新宿に関連するコンテンツを選択して提示するだけでは、ユーザにとって本当に意味のあるコンテンツを提示できない。即ちユーザがデパートAに滞在している場合には、デパートAの各階のフロア情報やバーゲン情報などを提示すべきであり、ユーザがクレープ屋Bに滞在している場合には、そのクレープ屋Bのお勧めのクレープ情報を提示すべきである。またユーザが映画館Cに滞在する場合には、映画館の上映時間情報や館内情報などを提示すべきである。ところが、ユーザが新宿にいることしか特定できないと、このようなユーザの滞在場所に応じたタイムリーな情報を提供できない。
【0175】
一方、観光地など、特定の場所に長時間滞在せずに散策することを目的に訪れる場所については、狭い領域では、意味のある場所を抽出できない。例えばユーザが高尾山に訪れた場合は、ユーザは高尾山の色々な場所を散策すると考えられるため、ユーザの移動範囲は図17のような狭い範囲にならず、広範な範囲になる。従って、図17のような狭い範囲に絞ってユーザの滞在範囲を特定しようとすると、ユーザが高尾山を訪れているということを抽出できず、高尾山に関連するコンテンツをユーザに提示することができないという課題がある。
【0176】
そこで図18(A)、図18(B)では、ユーザの滞在場所として、エリアとスポットという概念を導入している。図18(A)に示すように、エリアはスポットよりも広い領域であり、図18(B)に示すように、例えば各エリア内に、エリアよりも狭いスポットが存在する。このようなスポットやエリアは以下に説明する手法により抽出できる。
【0177】
例えば、エリアは、所定期間T1内における位置の標準偏差σが第1のしきい値Sth1(数100m〜1000m)以下となる領域である。一方、スポットは、所定期間T2内における位置の標準偏差σが第2のしきい値Sth2(例えば数10m〜100m)以下となる領域である。本実施形態では、ユーザが身に付けているGPSセンサ等の位置検知センサの情報を統計的に処理することで、エリアとスポットを抽出する。即ち所定時間内でのユーザの位置の標準偏差σに基づいて、ユーザがエリアに滞在しているのか、スポットに滞在しているのかを判断する。
【0178】
具体的には、所定期間T1(例えば4時間)での緯度・経度の平均が(Nμ、Eμ)、標準偏差が(Nσ、Eσ)であったとする。この場合に、(Nσ、Eσ)を距離換算して、南北、東西の距離の標準偏差が、各々、Sth1(例えば1km)以下の領域を抽出することによって、図18(A)に示すようなユーザにとって意味のあるエリアの抽出が可能となる。一方、距離のしきい値をSth=Sth2というように小さくして(例えば数10m)、上記と同様の処理を行うことで、図18(B)に示すようなスポットの抽出が可能となる。
【0179】
このように本実施形態では、所定期間T1内でのユーザの位置の標準偏差σが、第1のしきい値Sth1以下であるか否かに基づいて、ユーザがエリア内に滞在しているか否かを判断する。一方、所定期間T2内でのユーザの位置の標準偏差σが、第1のしきい値Sth1よりも小さい第2のしきい値Sth2以下であるか否かに基づいて、ユーザがスポット内に滞在しているか否かを判断することになる。
【0180】
例えば、時刻tにおいて、時刻(t−T1)から時刻tまでのユーザの位置(緯度・経度)に対して統計処理を行って、位置の標準偏差σを求める。そしてその時の標準偏差σが第1のしきい値sth1以下であった場合には、そのユーザは、(t−T1)〜tの時間帯において、エリアに滞在していたと判断できる。同様に、時刻(t−T2)から時刻tまでのユーザの位置に対して統計処理を行って、位置の標準偏差σを求める。そしてその時の標準偏差σが第2のしきい値sth2以下であった場合には、そのユーザは、(t−T2)〜tの時間帯において、スポットに滞在していたと判断できる。なおT1=T2であってもよい。またエリア、スポットの抽出は、一人のユーザについて、その位置を長期間に亘って観測して統計的に処理することで実現してもよいし、多数のユーザの位置を観測して統計的に処理することで実現してもよい。
【0181】
なお、複数のエリアの各エリアの広さを可変に設定し、複数のスポットの各スポットの広さを可変に設定してもよい。これは、各エリア毎に上述の第1のしきい値Sth1を可変に設定し、各スポット毎に第2のしきい値Sth2を可変に設定することで実現できる。
【0182】
例えば図19に示すように、各スポット、各エリアによって、スポットやエリアの広さである距離範囲や、平均的な滞在時間に特徴がある。従って、距離範囲や滞在時間を適切に設定することで、スポットやエリアの性質もある程度ジャンル分けすることが可能になる。即ち、意味の領域の粒度(区画)は、場所、ジャンルによって異なるので、このようなジャンル分けは、ユーザの滞在場所に基づくコンテンツ選択のためには有効である。例えば図19において、喫茶店は、距離範囲(スポットの広さ)は10m程度で、滞在時間は30分程度になり、映画館は、距離範囲は同じく10m程度であるが、滞在時間は2時間程度となり、喫茶店よりも長くなる。また雑貨屋は、喫茶店よりも距離範囲が長く、100m程度であり、滞在時間は30分程度であるが、ショッピングモールは滞在時間は長くなり、4時間程度になる。またエリアは、スポットに比べて、距離範囲が長くなる(エリアの広さが広くなる)と共に、滞在時間も比較的長くなる。このように距離範囲(スポット、エリアの広さ)や滞在時間を適切に設定することで、位置データだけでは抽出できないその場所が持つ意味についても、抽出できるようになる。
【0183】
例えば図19において、スポットのしきい値であるSth2を数m〜数10m程度に設定すれば、喫茶店、ファミリーレストラン、映画館、オフィス、自宅、コンビニなどのスポットを抽出できる。一方、しきい値Sth2を数10〜100m程度に設定すれば、雑貨屋、デパート、ショッピングモールなどのスポットを抽出でき、しきい値Sth2を更に大きくすれば遊園地等のアミューズメント施設のスポットを抽出できる。
【0184】
また、エリアのしきい値であるSth1を1km〜10km程度に設定すれば、吉祥寺、渋谷などのエリアを抽出でき、しきい値Sth1を更に大きくすれば、高尾山などの更に大きなエリアを抽出できる。
【0185】
このようにしきい値Sth1、Sth2を可変に設定すれば、各エリアや各スポットの広さを可変に設定できる。これにより、ユーザの位置データからユーザにとって意味のある場所を適正に抽出できるようになる。
【0186】
図20にユーザが滞在するスポット、エリアを特定する処理のフローチャートを示す。
【0187】
まず、GPSセンサ等からの情報に基づいてユーザの位置を特定する(ステップS11)。そして所定期間内でのユーザの位置の標準偏差σを求める(ステップS12)。
【0188】
次に、標準偏差σが、スポット用のしきい値Sth2以下か否かを判断する(ステップS13)。そして標準偏差σがSth2以下である場合には、ユーザはスポットに滞在していると判断する(ステップS14)。一方、標準偏差σがSth2よりも大きい場合には、標準偏差σが、エリア用のしきい値Sth1以下か否かを判断する(ステップS15)。そして標準偏差σがSth1以下である場合には、ユーザはエリアに滞在していると判断する(ステップS16)。
【0189】
図21に、ユーザが滞在すスポット又はエリアに基づいて日常度を評価し、日常度の評価結果に基づいてコンテンツを選択する処理のフローチャートを示す。
【0190】
まず、行動センサ等からのセンサ情報を取得して、滞在場所等のユーザの状況を推定する(ステップS21、S22)。そしてユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、そのスポットについてのユーザの日常度を評価する(ステップS23、S24)。即ち過去の滞在履歴等からそのスポットにユーザが滞在することについての日常度を求める。そして、ユーザの状況と、スポットについてのユーザの日常度とに基づいてコンテンツを選択し、選択されたコンテンツを情報提示部142により提示する(ステップS25、S29)。
【0191】
一方、ユーザがスポットに滞在していない場合には、エリアに滞在しているか否かを判断する(ステップS26)。そしてエリアに滞在していると判断された場合には、そのエリアについてのユーザの日常度を評価する(ステップS27)。即ち過去の滞在履歴等からそのエリアにユーザが滞在することについての日常度を求める。そして、ユーザの状況と、エリアについてのユーザの日常度とに基づいてコンテンツを選択し、選択されたコンテンツを情報提示部142により提示する(ステップS28、S29)。
【0192】
例えば、ユーザが滞在しているスポット又はエリアが、ユーザにとって日常度が高い場合には、ユーザを非日常に誘導するために、ユーザにとって親密度が低いコンテンツを選択して提示する。一方、そのスポット又はエリアがユーザにとって日常度が低い場合には、ユーザを安心させたり支援するために、ユーザにとって親密度が高いコンテンツを選択して提示する。
【0193】
例えば、ユーザが平日の昼間に会社のスポットに滞在していることが特定されたとする。このようなスポットに居る状況はいつもの状況であり、ユーザの日常度は高いと評価される。従って、ユーザを非日常に誘導するようなコンテンツを提示する。具体的には、このようなユーザに昼食案内のコンテンツを提示する場合には、普段はあまり行かない店や入ったことがない店の案内情報などを提示する。
【0194】
また例えば、ユーザが休日の昼間に、初めて訪れる外国の観光地のエリアに滞在していることが特定されたとする。このようなエリアに居る状況は普段とは異なる状況であり、ユーザの日常度は低いと評価され、非日常であると評価される。従って、ユーザを安心させたり支援するためのコンテンツを提示する。具体的には、このようなユーザに昼食案内のコンテンツを提示する場合には、日本で普段行っているファーストフード店やチェーン店の案内情報などを提示する。
【0195】
なお、ユーザがエリア内のスポットに滞在している場合には、エリアに対する日常度とスポットに対する日常度の両方を評価し、エリアに対する日常度に基づきコンテンツを選択すると共に、スポットに対する日常度に基づきコンテンツを選択してもよい。一方、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在している場合には、エリアに対するユーザの日常度のみを評価し、エリアに対する日常度に基づきコンテンツを選択してもよい。例えばユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合には、スポットの日常度によりコンテンツを選択し、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在していると判断された場合に、エリアの日常度によりコンテンツを選択する(エリアの日常度を優先してコンテンツを選択する)。即ちユーザが滞在するスポットが特定された場合にはそのスポットの日常度によりコンテンツを選択し、ユーザが滞在するスポットが特定されなかった場合に、初めて、エリアの日常度によりコンテンツを選択する。
【0196】
以上のように、エリアについての日常度の評価とスポットについての日常度の評価を分けて行う手法を採用することで、より適正な日常度の評価処理を実現できる。
【0197】
例えば、ユーザの勤務先のビルがある新宿では、エリアのように広い区画の領域で日常度を判断すると、ユーザが勤務先のビルにいるのか、勤務先近くのホテルにいるのかを区別することができない。即ち、エリアの中に意味の異なる場所が複数混在してしまい、日常度の評価が不正確になるおそれがある。
【0198】
一方、観光地エリアなど、特定の場所に長時間滞在せずに散策することを目的に訪れる場所については、スポットのような狭い領域では、意味のある場所が抽出できず日常度が評価できなくなるおそれがある。
【0199】
この点、図21では、ユーザがエリアに滞在しているのか、エリア内のスポットに滞在しているのかを判断し、エリアに滞在している場合には、エリアについてのユーザの日常度を求め、スポットに滞在している場合には、スポットについての日常度を求めている。従って、ユーザにとって意味の異なる領域をエリアよりも狭いスポットとして切り出し日常度を評価できるため、より正確で適正な日常度の評価処理を実現できる。またスポットのような狭い領域では意味のある場所を抽出できない場合にも、ユーザにとって意味の異なる領域をスポットよりも広いエリアとして切り出し、日常度を評価できるようになる。
【0200】
なお、日常度の評価処理については種々の処理が考えられる。例えばエリアやスポットなどの滞在場所でのユーザの日常度を、その滞在場所におけるユーザの存在確率に基づき評価してもよい。
【0201】
例えば図22において、自宅については、平日の昼でのユーザの存在確率は低いが、平日の朝晩の存在確率は高い。また、休日の昼では、ある程度、存在確率が高くなり、休日の朝晩では更に存在確率が高くなる。
【0202】
一方、勤務先であるオフィスについては、平日の昼は存在確率が高いが、平日の朝晩は存在確率が小さい。また休日のオフィスについては、昼及び朝晩の両方において存在確率が低い。
【0203】
図23(A)に示すように、図22で得られた存在確率は、日常度N(日常度の算出ベースとなる値)に割り当てることができる。このような存在確率に対して、更に状況や感情などを加味して、日常度を算出してもよい。
【0204】
また例えば、各エリア、各スポットにおける滞在時間の割合を、その場所の平均的な滞在時間で正規化して、その場所に対するユーザの日常度を評価することもできる。こうすれば、もともと滞在時間の短いコンビニエンスストアのような場所の日常度が、低く算出されてしまう事態を防止できる。
【0205】
或いは図23(B)に示すように、滞在時間による存在確率ではなく、単に、所定期間中(例えば1〜3ヶ月)に、そのスポット・エリアにユーザが存在した回数(進入回数)に基づいて、存在確率を定義して、日常度Nを算出してもよい。
【0206】
8.日常度の評価処理の他の例
次に、日常度の評価処理の他の例について図24等を用いて説明する。図24において、状況推定部106は、状況同定部107と状況予測部108を含む。
【0207】
状況同定部107は、行動、状態、環境のセンサ情報等に基づいて、ユーザの行動、状態、環境等の状況を同定(推定)する。そして、得られたユーザの状況の履歴情報(ログ情報)が履歴情報記憶部123に蓄積される。そして蓄積された状況履歴情報を解析することで、ユーザ個人の趣味・嗜好や行動の傾向などが個人モデルとして構築されて、個人モデル情報記憶部128(個人モデルデータベース)に記憶される。
【0208】
なお個人モデルとしては確率モデルを用いることができ、このような確率モデルとしては例えば隠れマルコフモデル(Hidden Markov Model)がある。この隠れマルコフモデル(HMM)では、システムが、パラメータが未知のマルコフ過程であると仮定して、観測可能な情報からその未知のパラメータを推定する。即ち、HMMは、あるシステムがマルコフ過程に従って遷移する内部状態を持ち、各状態に応じた記号を確率的に出力すると考えた場合に、記号の出現確率分布からシステム内部の状態遷移を推定する確率モデルである。外部から観測できるのは記号の系列だけであり、内部の状態遷移が直接観測できないところから「隠れ」と呼ばれる
状況予測部108は、この個人モデル情報(状況履歴情報)に基づいて、ユーザの次の行動(広義には状況)を予測する。また状況同定部107により、ユーザの実際の行動が同定される。そして、日常度評価部110は、同定されたユーザの実際の行動が、直前の状況と個人モデルに基づいて予測されるユーザの行動と、どの程度一致するものであったかを判断することにより、日常度を評価する。
【0209】
次に、図24の日常度の評価手法について図25(A)〜図25(D)を用いて具体的に説明する。図25(A)は、ユーザの平日の状況履歴(行動履歴)の例である。ユーザは平日の7時30分に起床し、8時に朝食をとり、8時30分に自宅を出発し、8時45分に自宅近くのA駅で電車に乗車している。状況予測部108は、このようなユーザの状況履歴からユーザの次の行動を予測する。
【0210】
そして例えば図25(A)の状況履歴から、状況予測部108は、図25(B)に示すように次の行動ではユーザが会社に行く確率が一番高いと予測する。そして状況同定部107で同定されたユーザの実際の行動が、会社に行く行動であった場合には、日常度評価部110は、ユーザの日常度は高いと評価する。一方、緊急事態などでユーザが自宅に直ぐに帰ってしまい、同定されたユーザの実際の行動が自宅への帰宅であった場合には、日常度は低く、非日常であると評価する。
【0211】
図25(C)は、ユーザの休日の状況履歴の例である。ユーザは休日の8時30分に起床し、9時に朝食をとり、9時30分に自宅を車で出発している。状況予測部108は、このようなユーザの状況履歴からユーザの次の行動を予測する。
【0212】
そして例えば図25(C)の状況履歴から、状況予測部108は、図25(D)に示すように次の行動ではユーザがテニススクールHに行く確率が一番高いと予測する。そして状況同定部107で同定されたユーザの実際の行動が、テニススクールHに行く行動であった場合には、日常度評価部110は、ユーザの日常度が高いと評価する。一方、都心から離れた観光地Kにドライブに行った場合には、日常度が低く、非日常であると評価する。
【0213】
9.状況履歴情報
次に、ユーザの状況履歴情報の具体例について説明する。
【0214】
図26に状況履歴情報の具体例が模式的に示される。図26の状況履歴情報は、ユーザの行動等の状況履歴が時間帯、時刻等に関連づけられたデータ構造になっている。例えば8時にユーザは自宅を出発し、8時〜8時20分の時間帯では自宅から駅まで歩行し、8時20分に自宅の最寄りのA駅に到着している。そして8時20分〜8時45分の時間帯では電車に乗車し、8時45分に会社の最寄りのB駅で下車し、9時に会社に到着し、業務を開始している。10時〜11時の時間帯では社内のメンバとミーティングを行い、12時〜13時の時間帯では昼食をとっている。
【0215】
このように図26では、センサ情報等により推定されるユーザの行動等の状況履歴を、時間帯や時刻等に関連づけることで、状況履歴情報が構築されている。
【0216】
また図26では、時間帯や時刻に対して、センサ等により計測されるユーザの発話量、食事量、脈拍、発汗量等の計測値も関連づけられている。例えば8時〜8時20分の時間帯では、ユーザは自宅からA駅に歩いているが、この時の歩行量等がセンサにより計測されて、8時〜8時20分の時間帯に関連づけられる。この場合に、例えば歩行速度、発汗量等の歩行量以外のセンサ情報の計測値を更に関連づけてもよい。こうすることで、この時間帯でのユーザの運動量等を把握することが可能になる。
【0217】
10時〜11時の時間帯では、ユーザは同僚とのミーティングを行っているが、この時の発話量等がセンサにより計測されて、10時〜11時の時間帯に関連づけられる。この場合に、例えば音声状態、脈拍等のセンサ情報の計測値を更に関連づけてもよい。こうすることで、この時間帯でのユーザの会話量や緊張度等を把握することが可能になる。
【0218】
20時45分〜21時45分や22時〜23時の時間帯では、ユーザはゲームをプレイしたり、テレビを鑑賞しているが、この時の脈拍、発汗量等がこれらの時間帯に関連づけられる。こうすることで、これらの時間帯でのユーザの興奮度等を把握することが可能になる。
【0219】
23時30分〜の時間帯では、ユーザは睡眠をしているが、この時のユーザの体温の変化がこの時間帯に関連づけられる。こうすることで、睡眠時におけるユーザの健康状態を把握することが可能になる。
【0220】
なお、状況履歴情報は図26のような形態に限定されず、例えばユーザの行動等の状況履歴を日時等に関連づけないで状況履歴情報を構築する変形実施も可能である。
【0221】
10.変形例
図27に本実施形態の変形例の構成を示す。図27のシステムでは、サーバ200(外部サーバ、ホームサーバ等)が設けられている。携帯型電子機器100とサーバ200は、例えばインターネット、無線LAN等で通信接続される。
【0222】
そして図27では、センサ情報の取得処理、ユーザ状況の推定処理、日常度の評価処理、ユーザ状況や日常度の書き込み処理、コンテンツの選択処理は、主に、ユーザが所持する携帯型電子機器100において実行される。またコンテンツをダウンロードしたり転送する処理等は、主に、サーバ200の処理部202の転送部216により実行される。
【0223】
また、コンテンツは、ウェアラブルディスプレイ140や、デジタルフォトフレーム300のディスプレイ340や、ロボット1を用いてユーザに提示される。
【0224】
例えばユーザが携帯型電子機器100を持ち歩いて外出している場合には、携帯型電子機器100の提示制御部118の表示制御により、ウェアラブルディスプレイ140にコンテンツの画像が表示される。
【0225】
一方、ユーザが家に帰って、ウェアラブルディスプレイ140を取り外した場合には、デジタルフォトフレーム300の表示制御部318の表示制御により、ディスプレイ340にコンテンツの画像が表示される。例えば携帯型電子機器100のコンテンツ選択部112により選択されたコンテンツの情報が、例えばホームサーバ等のサーバ200を介してデジタルフォトフレーム300に転送されて、記憶部320のコンテンツ情報記憶部322にダウンロードされる。そして、デジタルフォトフレーム300の表示制御部318は、転送されたコンテンツ情報に基づいて、コンテンツの画像をディスプレイ340に表示する制御を行う。
【0226】
或いは、ユーザが家に帰って、ウェアラブルディスプレイ140を取り外した場合には、ロボット1が、コンテンツのシナリオデータを構成する会話フレーズを発話することで、ユーザに対するコンテンツ提示が行われる。例えば携帯型電子機器100のコンテンツ選択部112により選択されたコンテンツの情報が、サーバ200を介してロボット1に転送されて、記憶部420のコンテンツ情報記憶部422にダウンロードされて記憶される。具体的には、複数の会話フレーズにより構成されるシナリオデータが記憶される。そして、ユーザの日常度に基づき選択されたシナリオデータの会話フレーズを、ロボット1に発話させるための制御が行われる。
【0227】
なお図27において、ロボット1の処理部402は、ロボット搭載センサ410からセンサ情報や、取得されたユーザ情報などに基づいて、ロボット1の動作等に必要な種々の処理を行うものであり、その機能は、各種プロセッサ(CPU等)、ASIC(ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0228】
ロボット制御部430は、制御対象であるロボット動作機構440(アクチュエータ、音出力部、LED等)の制御を行うものであり、その機能は、ロボット制御用のASICや各種プロセッサなどのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
【0229】
具体的にはロボット制御部430は、提示情報をユーザに対してロボット1に提示させるための制御を行う。提示情報がロボット1の会話(シナリオデータ)である場合には、会話フレーズをロボット1に発話させるための制御を行う。例えば会話フレーズを表すデジタルのテキストデータを、公知のTTS(Text-To-Speech)処理によりアナログの音声信号に変換し、ロボット動作機構440の音出力部(スピーカ)を介して出力する。また提示情報が、ロボット1の感情状態を表す情報である場合には、その感情を表すように、ロボット動作機構440の各関節機構のアクチュエータを制御したり、LEDを点灯させるなどの制御を行う。
【0230】
ロボット搭載センサ410は、例えば接触センサ、発話センサ(マイクロホン)、或いは撮像センサ(カメラ)などの各種センサである。ロボット1は、このロボット搭載センサ410からのセンサ情報に基づいて、ユーザに提示した提示情報に対するユーザの反応をモニタできる。
【0231】
なお、センサ情報の取得処理、ユーザ状況の推定処理、日常度の評価処理、コンテンツの選択処理の一部又は全部を、サーバ200において実行したり、これらの処理の一部をデジタルフォトフレーム300やロボット1において実行するようにしてもよい。
【0232】
なお、上記のように本実施形態について詳細に説明したが、本発明の新規事項および効果から実体的に逸脱しない多くの変形が可能であることは当業者には容易に理解できるであろう。従って、このような変形例はすべて本発明の範囲に含まれるものとする。例えば、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語(センサ、ディスプレイ等)と共に記載された用語(ウェアラブルセンサ、ウェアラブルディスプレイ等)は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。また情報処理システム(情報提示システム)の構成、動作も本実施形態で説明したものに限定に限定されず、種々の変形実施が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0233】
【図1】センサ情報の取得手法の説明図。
【図2】本実施形態の情報処理システムの構成例。
【図3】本実施形態の第1の動作例を説明するためのフローチャート。
【図4】履歴情報記憶部のデータ構造の例。
【図5】図5(A)〜図5(C)はロボットを用いた情報提示の例。
【図6】本実施形態の第2の動作例を説明するためのフローチャート。
【図7】ユーザの現在の状況と日常度に基づきコンテンツを提示する手法の説明図。
【図8】ユーザの現在の状況と日常度に基づきコンテンツを提示する手法の説明図。
【図9】ユーザの未来の状況と日常度に基づきコンテンツを提示する手法の説明図。
【図10】ユーザの未来の状況と日常度に基づきコンテンツを提示する手法の説明図。
【図11】ユーザの過去の状況と日常度に基づきコンテンツを提示する手法の説明図。
【図12】ユーザの過去の状況と日常度に基づきコンテンツを提示する手法の説明図。
【図13】モバイル時におけるユーザの現在の状況と日常度に基づきコンテンツを提示する手法の説明図。
【図14】モバイル時におけるユーザの現在の状況と日常度に基づきコンテンツを提示する手法の説明図。
【図15】図15(A)、図15(B)はデジタルフォトフレームの説明図。
【図16】図16(A)、図16(B)はサブ日常度の説明図。
【図17】ユーザの滞在場所における位置の分布についての説明図。
【図18】図18(A)、図18(B)はエリア、スポットの説明図。
【図19】各スポット・各エリアについての滞在時間、距離範囲の特徴を示す図。
【図20】ユーザの滞在場所の特定処理を説明するためのフローチャート。
【図21】日常度に基づくコンテンツ選択処理を説明するためのフローチャート。
【図22】滞在場所の存在確率についての説明図。
【図23】図23(A)、図23(B)は存在確率や存在回数に基づく日常度の算出手法の説明図。
【図24】日常度の評価手法の他の例の説明図。
【図25】図25(A)〜図25(D)も日常度の評価手法の他の例の説明図。
【図26】ユーザの状況履歴情報の説明図。
【図27】本実施形態の変形例。
【符号の説明】
【0234】
1 ロボット、100 携帯型電子機器、102 処理部、104 センサ情報取得部、
106 状況推定部、110 日常度評価部、112 コンテンツ選択部、
118 提示制御部、120 記憶部、122 コンテンツ情報記憶部、
124 日常度情報記憶部、126 予定情報記憶部、130 情報記憶媒体、
138 通信部、140 ウェアラブルディスプレイ、142 情報提示部、
150 ウェアラブルセンサ、200 サーバ、202 処理部、216 転送部、
220 記憶部、222 コンテンツ情報記憶部、238 通信部、
300 デジタルフォトフレーム、302 処理部、318 表示制御部、
320 記憶部、322 コンテンツ情報記憶部、340 ディスプレイ、
402 処理部 410 ロボット搭載センサ、420 記憶部、
422 コンテンツ情報記憶部、430 ロボット制御部、438 通信部、
440 ロボット動作機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザの行動を計測する行動センサ、ユーザの状態を計測する状態センサ及びユーザの環境を計測する環境センサの少なくとも1つのセンサからのセンサ情報を含む情報に基づいて、ユーザの状況を推定する状況推定部と、
ユーザの状況履歴情報を記憶する履歴情報記憶部と、
ユーザの日常度を評価する処理を行う日常度評価部と、
前記日常度評価部の評価処理により得られたユーザの日常度を、ユーザの状況履歴情報の各ユーザ状況に関連づけて前記履歴情報記憶部に書き込む書き込み部と、
を含むことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
請求項1において、
コンテンツを記憶するコンテンツ情報記憶部と、
ユーザの状況履歴情報の各ユーザ状況に関連づけられたユーザの日常度に基づいて、前記コンテンツ情報記憶部に記憶されたコンテンツの中から、ユーザに対して提示するコンテンツを選択する処理を行うコンテンツ選択部を含むことを特徴とする情報処理システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記コンテンツ選択部は、
前記履歴情報記憶部に記憶された状況履歴情報の中から、低い日常度が関連づけられたユーザ状況を優先して抽出し、抽出されたユーザ状況に対応するコンテンツを選択する処理を行うことを特徴とする情報処理システム。
【請求項4】
請求項2において、
前記コンテンツ選択部は、
前記履歴情報記憶部に記憶された状況履歴情報の中から、高い日常度が関連づけられたユーザ状況を優先して抽出し、抽出されたユーザ状況に対応するコンテンツを選択する処理を行うことを特徴とする情報処理システム。
【請求項5】
ユーザの行動を計測する行動センサ、ユーザの状態を計測する状態センサ及びユーザの環境を計測する環境センサの少なくとも1つのセンサからのセンサ情報を含む情報に基づいて、ユーザの状況を推定する状況推定部と、
ユーザの日常度を評価する処理を行う日常度評価部と、
コンテンツを記憶するコンテンツ情報記憶部と、
ユーザの状況とユーザの日常度とに基づいて、前記コンテンツ情報記憶部に記憶されたコンテンツの中から、ユーザに対して提示するコンテンツを選択する処理を行うコンテンツ選択部と、
を含むことを特徴とする情報処理システム。
【請求項6】
請求項2乃至5のいずれかにおいて、
前記状況推定部は、
ユーザの予定情報に基づいて、ユーザの未来の状況を予測し、
前記日常度評価部は、
予測されたユーザの未来の状況についての日常度を評価し、
前記コンテンツ選択部は、
ユーザの未来の状況についての日常度に基づいて、ユーザに対して提示するコンテンツの選択処理を行うことを特徴とする情報処理システム。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれかにおいて、
前記コンテンツ選択部により選択されたコンテンツをユーザに対してロボットに提示させるための制御を行う提示制御部を含むことを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
請求項7において、
前記コンテンツ情報記憶部は、
ユーザに提示するコンテンツとして、複数の会話フレーズにより構成されるシナリオデータを記憶し、
前記提示制御部は、
コンテンツとして選択されたシナリオデータの会話フレーズを、ロボットに発話させるための制御を行うことを特徴とする情報処理システム。
【請求項9】
請求項2乃至6のいずれかにおいて、
前記コンテンツ選択部により選択されたコンテンツをユーザに対してデジタルフォトフレームにより提示するための制御を行う提示制御部を含むことを特徴とする情報処理システム。
【請求項10】
請求項2乃至6のいずれかにおいて、
前記コンテンツ選択部により選択されたコンテンツをユーザに対してウァアラブルディスプレイにより提示するための制御を行う提示制御部を含むことを特徴とする情報処理システム。
【請求項11】
請求項2乃至10のいずれかにおいて、
前記日常度評価部は、
第1の評価対象項目により評価される日常度である第1のサブ日常度の評価処理と、前記第1の評価対象項目と異なる第2の評価対象項目により評価される日常度である第2のサブ日常度の評価処理を行い、
前記コンテンツ選択部は、
前記第1のサブ日常度に基づきコンテンツを選択する場合には、前記第1の評価対象項目に対応するコンテンツを選択し、前記第2のサブ日常度に基づきコンテンツを選択する場合には、前記第2の評価対象項目に対応するコンテンツを選択することを特徴とする情報処理システム。
【請求項12】
請求項11において、
前記第1、第2の評価対象項目は、時間情報、ユーザの場所情報、ユーザの行動情報、ユーザの状態情報、及びユーザの予定情報のうちの少なくとも1つであることを特徴とする情報処理システム。
【請求項13】
請求項2乃至12のいずれかにおいて、
前記状況推定部は、ユーザの滞在場所を特定し、
前記日常度評価部は、
ユーザの滞在場所に対するユーザの日常度の評価処理を行い、
前記コンテンツ選択部は、
ユーザの滞在場所に対するユーザの日常度に基づいて、コンテンツを選択することを特徴とする情報処理システム。
【請求項14】
請求項13において、
前記状況推定部は、
ユーザがエリアに滞在しているのか、エリアよりも狭いスポットに滞在しているのかを判断し、
前記日常度評価部は、
ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度を評価し、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度を評価し、
前記コンテンツ選択部は、
ユーザがエリアに滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度に基づいてコンテンツを選択し、ユーザがスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度に基づいてコンテンツを選択することを特徴とする情報処理システム。
【請求項15】
請求項14において、
前記コンテンツ選択部は、
ユーザがエリア内のスポットに滞在していると判断された場合には、スポットに対するユーザの日常度を優先してコンテンツを選択し、ユーザがエリア内のスポット以外の場所に滞在していると判断された場合には、エリアに対するユーザの日常度に基づいてコンテンツを選択することを特徴とする情報処理システム。
【請求項16】
請求項14又は15において、
前記状況推定部は、
所定時間内でのユーザの位置の標準偏差に基づいて、ユーザがエリアに滞在しているのか、スポットに滞在しているのかを判断することを特徴とする情報処理システム。
【請求項17】
請求項16において、
前記状況推定部は、
所定期間内でのユーザの位置の標準偏差が、所定の第1のしきい値以下であるか否かに基づいて、ユーザがエリアに滞在しているか否かを判断し、所定期間内でのユーザの位置の標準偏差が、前記第1のしきい値よりも小さい所定の第2のしきい値以下であるか否かに基づいて、ユーザがスポットに滞在しているか否かを判断することを特徴とする情報処理システム。
【請求項18】
請求項1乃至17のいずれかにおいて、
前記日常度評価部は、
前記ユーザ状況推定部により推定されたユーザの状況に基づいて、ユーザの日常度を評価する処理を行うことを特徴とする情報処理システム。
【請求項19】
請求項1乃至18のいずれかにおいて、
前記状況推定部は、状況同定部と状況予測部を含み、
前記日常度評価部は、
前記状況予測部により予測されたユーザの状況と、前記状況同定部により同定されたユーザの実際の状況との比較処理を行うことで、ユーザの日常度を評価することを特徴とする情報処理システム。
【請求項20】
ユーザの行動を計測する行動センサ、ユーザの状態を計測する状態センサ及びユーザの環境を計測する環境センサの少なくとも1つのセンサからのセンサ情報を含む情報に基づいて、ユーザの状況を推定する状況推定部と、
ユーザの状況履歴情報を記憶する履歴情報記憶部と、
ユーザの日常度を評価する処理を行う日常度評価部と、
前記日常度評価部の評価処理により得られたユーザの日常度を、ユーザの状況履歴情報の各ユーザ状況に関連づけて前記履歴情報記憶部に書き込む書き込み部として、
コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項21】
ユーザの行動を計測する行動センサ、ユーザの状態を計測する状態センサ及びユーザの環境を計測する環境センサの少なくとも1つのセンサからのセンサ情報を含む情報に基づいて、ユーザの状況を推定する状況推定部と、
ユーザの日常度を評価する処理を行う日常度評価部と、
コンテンツを記憶するコンテンツ情報記憶部と、
ユーザの状況とユーザの日常度とに基づいて、前記コンテンツ情報記憶部に記憶されたコンテンツの中から、ユーザに対して提示するコンテンツを選択する処理を行うコンテンツ選択部として、
コンピュータを機能させることを特徴とするプログラム。
【請求項22】
コンピュータ読み取り可能な情報記憶媒体であって、請求項20又は21のいずれかに記載のプログラムを記憶したことを特徴とする情報記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図18】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図17】
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【図19】
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【公開番号】特開2010−72811(P2010−72811A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−237930(P2008−237930)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】