情報処理システム、情報処理装置及びプログラム
【課題】1人のユーザが複数の情報処理端末に対して行うユーザ認証の手続きを従来よりも簡単にする。
【解決手段】各ユーザは、自らに割り当てられた識別情報であるユーザIDと、自らのみが知りえるパスワードとを、表示装置10a〜10fのいずれかの表示装置に入力してログインすることで、その表示装置を利用可能となる。さらに、上記のユーザID及びパスワードが入力された表示装置が、他の表示装置に対してログインを要求することで、ユーザは、そのユーザについて利用の登録が予めなされている表示装置も利用可能となる。このように、ユーザは1回のユーザ認証で複数の表示装置を利用し得るので、複数の表示装置のそれぞれに対してユーザ認証の作業を行う場合と比較すると、そのユーザ認証のための作業量は少なくなる。
【解決手段】各ユーザは、自らに割り当てられた識別情報であるユーザIDと、自らのみが知りえるパスワードとを、表示装置10a〜10fのいずれかの表示装置に入力してログインすることで、その表示装置を利用可能となる。さらに、上記のユーザID及びパスワードが入力された表示装置が、他の表示装置に対してログインを要求することで、ユーザは、そのユーザについて利用の登録が予めなされている表示装置も利用可能となる。このように、ユーザは1回のユーザ認証で複数の表示装置を利用し得るので、複数の表示装置のそれぞれに対してユーザ認証の作業を行う場合と比較すると、そのユーザ認証のための作業量は少なくなる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の情報処理装置を備えた情報処理システムにおいてユーザを認証する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが情報処理装置を利用する場合には、そのユーザの正当性を確認するべく、一般にユーザ認証と呼ばれる手続がなされる。例えば、ユーザは自らに割り当てられた識別子(例えばユーザID)と、そのユーザだけが知り得る情報(例えばパスワード)を情報処理装置に入力する。情報処理装置は、入力された内容を予め登録されているものと照合することによって、そのユーザの正当性を確認する。このようなユーザ認証に関する技術として、特許文献1には、サーバ装置にて複数のユーザの認証情報を集中管理し、このサーバ装置によるユーザ認証を経ることで、複数のユーザが1台の携帯端末を使用するための仕組みが提案されている。また、特許文献2には、携帯端末においてユーザの顔画像に基づくユーザ認証を行う仕組みが開示されている。
【特許文献1】特開2006−004007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、1人のユーザが複数の情報処理端末を同時に使用する場合には、各情報処理端末に対してそれぞれ個別のユーザ認証を経ないと、それらの端末を使用することができない。しかし、このようなユーザ認証の手続きを全ての情報処理端末に対していちいち行うのは非常に面倒である。
【0004】
そこで、本発明は、1人のユーザが複数の情報処理端末に対して行うユーザ認証の手続きを従来よりも簡単にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、互いに通信を行う複数の情報処理装置を備えた情報処理システムであって、各々の前記情報処理装置は、自装置及び自装置以外の情報処理装置である他装置にそれぞれ割り当てられた装置識別情報と、各々のユーザを特定するユーザ特定情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、ユーザが前記ユーザ特定情報を入力する入力手段と、前記記憶手段により自装置の装置識別情報に対応付けて記憶されているユーザ特定情報と、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報とが合致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によってユーザ特定情報が合致すると判定された場合、自装置の利用を許可する第1の利用許可手段と、前記判定手段によって合致すると判定されたユーザ特定情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する利用要求手段と、自装置以外の情報処理装置である他装置から、自装置の利用を許可するように要求された場合には、自装置の利用を許可する第2の利用許可手段とを備え、前記複数の情報処理装置に含まれる第1の情報処理装置が備える前記利用要求手段が、前記複数の情報処理装置に含まれる第2の情報処理装置に対して、当該第2の情報処理装置の利用を許可するよう要求すると、前記第2の情報処理装置が備える第2の利用許可手段は、前記第1の情報処理装置からの前記要求に応じて、当該第2の情報処理装置の利用を許可することを特徴とする情報処理システムを提供する。
本発明によれば、自装置の利用が許可されたユーザのユーザ特定情報に対応付けて記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求し、この要求に応じて、当該他装置は自身の利用を許可するので、1人のユーザが複数の情報処理端末に対して行うユーザ認証の手続きを従来よりも簡単にすることができる。
【0006】
また、本発明は、自装置及び自装置以外の情報処理装置である他装置にそれぞれ割り当てられた装置識別情報と、各々のユーザを特定するユーザ特定情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、ユーザが前記ユーザ特定情報を入力する入力手段と、前記記憶手段により自装置の装置識別情報に対応付けて記憶されているユーザ特定情報と、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報とが合致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によってユーザ特定情報が合致すると判定された場合、自装置の利用を許可する第1の利用許可手段と、前記判定手段によって合致すると判定されたユーザ特定情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する利用要求手段と、自装置以外の情報処理装置である他装置から、自装置の利用を許可するように要求された場合には、自装置の利用を許可する第2の利用許可手段とを備えることを特徴とする情報処理装置を提供する。
本発明によれば、自装置の利用が許可されたユーザのユーザ特定情報に対応付けて記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する一方で、他装置からの上記要求に応じて、自身の利用を許可する。よって、1人のユーザが複数の情報処理端末に対して行うユーザ認証の手続きを従来よりも簡単にすることができる。
【0007】
この情報処理装置において、自装置と通信可能な前記他装置から、当該他装置の装置識別情報と、前記ユーザ特定情報と、当該他装置がユーザによって既に利用されているか否かを表す利用有無情報とを取得する取得手段を備え、前記取得手段が取得した前記利用有無情報に基づいて当該他装置がユーザにより利用されていないと判断される場合には、前記記憶手段が、前記取得手段が取得した前記前記他装置の装置識別情報と前記ユーザ特定情報とを対応付けて記憶するようにしてもよい。
このようにすれば、記憶手段には、ユーザにより利用されていない他装置に関する装置識別情報及びユーザ特定情報を記憶することができるので、ユーザにより既に利用されている他装置に関する装置識別情報及びユーザ特定情報をも記憶する場合と比較して、記憶手段に記憶させるデータの量を少なくすることができる。
【0008】
また、この情報処理装置において、前記利用要求手段は、前記他装置の利用を許可するよう要求するか否かをユーザに問い合わせ、当該問い合わせに応じてユーザが当該要求を行うよう指示した場合には、前記他装置に対して当該他装置の利用を許可するよう要求するようにしてもよい。
これにより、ユーザが他装置の利用を望むときに、その利用を図ることができる。
【0009】
また、この情報処理装置において、前記利用要求手段は、特定した前記装置識別情報を表示し、表示した装置識別情報のうち、ユーザによって選択された装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求するようにしてもよい。
これにより、ユーザが望む他装置の利用を図ることができる。
【0010】
また、この情報処理装置において、前記第2の利用許可手段は、第1の前記他装置から自装置の利用を許可するよう要求されてから、自装置が利用されないまま所定期間が経過し、その経過後に、第2の前記他装置から自装置の利用を許可するよう要求された場合には、前記第1の他装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用の許可を取り止めて、前記第2の他装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用を許可するようにしてもよい。
このように、第1の他装置からの要求に応じて、その第1の他装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用をいったん許可したとしても、自装置においてユーザによって利用されない期間が所定期間を超えれば、第2の他装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用を許可するようにしている。よって、利用の機会がないような情報処理装置を有効に活用することができる。
【0011】
また、この情報処理装置において、前記ユーザ特定情報に対応付けて、当該ユーザ特定情報によって特定されるユーザが自装置を利用し得る範囲を記憶する利用範囲記憶手段を備え、前記利用要求手段は、特定した前記装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対し、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報を指定して、当該他装置の利用を許可するよう要求し、前記第2の利用許可手段は、前記他装置からユーザ特定情報を指定して自装置の利用を許可するよう要求された場合には、前記利用範囲記憶手段によって当該ユーザ特定情報に対応付けて記憶されている範囲内で自装置の利用を許可するようにしてもよい。
これにより、各ユーザの利用し得る範囲内で、情報処理装置の利用を許可することができる。
【0012】
この場合、前記利用範囲記憶手段は、自装置のオーナーユーザのユーザ特定情報と、当該オーナーユーザが自装置を利用し得る範囲とを対応付けて記憶するとともに、自装置の一時的な利用者であるゲストユーザのユーザ特定情報と、当該ゲストユーザが自装置を利用し得る範囲とを対応付けて記憶しており、前記オーナーユーザが利用し得る範囲は、前記ゲストユーザが利用し得る範囲よりも広く、前記オーナーユーザが利用し得る範囲には、少なくとも、他装置の前記記憶手段に記憶されている前記装置識別情報及び前記ユーザ特定情報を自装置の前記記憶手段に記憶させることが含まれていることが望ましい。
これにより、オーナーユーザとゲストユーザのそれぞれの利用し得る範囲内で、情報処理装置の利用を許可することができる。
【0013】
また、本発明は、コンピュータを、自装置及び自装置以外の情報処理装置である他装置にそれぞれ割り当てられた装置識別情報と、各々のユーザを特定するユーザ特定情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、ユーザが前記ユーザ特定情報を入力する入力手段と、前記記憶手段により自装置の装置識別情報に対応付けて記憶されているユーザ特定情報と、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報とが合致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によってユーザ特定情報が合致すると判定された場合、自装置の利用を許可する第1の利用許可手段と、前記判定手段によって合致すると判定されたユーザ特定情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する利用要求手段と、自装置以外の情報処理装置である他装置から、自装置の利用を許可するように要求された場合には、自装置の利用を許可する第2の利用許可手段として機能させるプログラムを提供する。
これにより、1人のユーザが複数の情報処理端末に対して行うユーザ認証の手続きを従来よりも簡単にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム100の全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理システム100は、ユーザによって利用される複数の表示装置10a〜10f及び複数のパーソナルコンピュータ(以下、パソコン)20a〜20cと、これらパソコン20a〜20cが接続されたネットワーク30とを備えている。ネットワーク30は、どのような通信ネットワークであってもよいが、例えば有線又は無線によって構成されたLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などである。図1において、実線の矢印は、有線による通信路を意味しており、点線の矢印は、無線による通信路を意味している。
【0015】
表示装置10a〜10fは、文書や表などの各種の情報を表示する情報処理装置であり、ユーザが携帯可能なように小型且つ軽量に構成されている。これら表示装置10a〜10fは、比較的近距離の範囲内にある他の表示装置やパソコン20a〜20cと、有線または無線で通信を行う機能を備えている。各ユーザは、自らに割り当てられた識別情報であるユーザIDと、自らだけが知りえる認証情報であるパスワードを、表示装置10a〜10fのうちのいずれかに入力することで、その表示装置にログインすることが可能である。ここでいうログインとは、ユーザが表示装置の各種リソースを利用することがその表示装置によって許可されることを言う。さらに、このユーザは、上記のユーザID及びパスワードが入力された表示装置以外の表示装置のうち、そのユーザについて予め利用の登録がなされている表示装置についても、同時に利用可能となる。この「利用の登録」とは、各々の表示装置を利用し得るユーザに関する情報をその表示装置に記憶させておくことを言う。また、このように1人のユーザの1回のユーザ認証で複数の表示装置を利用し得るように、これら表示装置が連携して処理を行うことを、「表示装置の連携」という。
【0016】
パソコン20a〜20cは、ネットワーク30を介して他のパソコンと通信を行う第1の通信機能と、表示装置10a〜10fと通信を行う第2の通信機能を備えている。上述したように、表示装置10a〜10fは、比較的近距離の範囲内にある他の表示装置との間で通信を行うことが可能だが、無線信号の到達範囲外とか通信ケーブルが届かないような位置にある、遠く離れた他の表示装置とは直接通信を行うことができない。そこで、表示装置10a〜10fは、遠く離れた他の表示装置との間で通信を行う場合には、パソコン20a〜20cの通信機能を利用する。つまり、パソコン20a〜20cは、自身に接続された表示装置10a〜10fの通信手段として機能することになる。図1の例では、表示装置10a〜10dはパソコン20a〜20cと接続された状態で利用されている。よって、これら表示装置10a〜10dはそれぞれ、パソコン20a〜20cの通信機能を用いることで、他の表示装置と通信を行う。一方、表示装置10e,10fは、パソコン20a〜20cと接続されずに単体で利用されており、パソコン20a〜20cを介することなく、他の表示装置と直接通信を行う。
【0017】
なお、図1において、表示装置10a〜10f及びパソコン20a〜20cはそれぞれ、図示したものよりも多く存在し得る。また、表示装置10a〜10fは、いずれも共通の構成及び動作であるから、これらを特に区別する必要のない場合には、表示装置10と言う。また、パソコン20a〜20cは、いずれも、表示装置10の通信手段としての役割を果たすという点では共通であるから、これらを特に区別する必要のない場合には、パソコン20と言う。
【0018】
次に、図2は、表示装置10の構成を示すブロック図である。
表示装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、VRAM(Video Random Access Memory)14と、記憶性液晶表示体15と、表示制御装置16と、電源17と、電源制御装置18と、コネクタ19と、記憶制御装置20と、I/O21と、キー22と、不揮発性メモリ23と、タイマ25とを備えている。
【0019】
CPU11は、ROM12に記憶されている制御プログラムを読み出してRAM13に展開し、その制御プログラムに記述された手順に従って処理を実行する。RAM13には、後述する管理テーブル231と、認証テーブル232と、連携可能装置リスト233と、連携状態テーブル234とが記憶されるようになっている。不揮発性メモリ23は、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶手段である。この不揮発性メモリ23には、文書等の各種情報を画像として表示するための表示データと、この表示装置10に割り当てられた装置IDと、この表示装置10に対して事前に利用の登録がなされているユーザに割り当てられたユーザ識別情報と、そのユーザのみが知り得るパスワードとが記憶されている。コネクタ19に対しては、所謂リムーバブルメディアのような、可搬性の記憶媒体24が着脱自在である。この記憶媒体24は、例えばSD(Secure Digital)カードのようなフラッシュメモリ内蔵のカード型記憶媒体であってもよいし、例えばフロッピー(登録商標)ディスクなどの磁気媒体を利用したディスク型記憶媒体であってもよい。この記憶媒体24にも、各種情報を画像として表示するための表示データが格納されている。
【0020】
記憶制御装置20が、コネクタ19に装着された記憶媒体24や、不揮発性メモリ23から表示データを読み出してRAM13に展開すると、CPU11がこれをビットマップ形式などの画像データに変換してVRAM14に書き込む。記憶性液晶表示体15は、コレステリック液晶や電気泳動などを利用した表示手段であり、電力供給が停止しても画像を表示し続けることができるという記憶性を有している。VRAM14に書き込まれた画像データは、CPU11の指示のもとで、表示制御装置16に供給される。表示制御装置16は、記憶性液晶表示体15を制御して、上記画像データに基づいた画像を表示させる。キー22は、利用者によって操作される操作手段であり、ユーザがユーザIDやパスワードを入力するためのテンキーを備えている。I/O21は、キー22の操作状態を監視しており、ユーザによってキー22が操作されるとその操作に応じた信号をCPU11に供給する。電源17は、例えば充電可能な電池である。電源制御装置18は、電源17のオンオフ制御や電力の残量監視など各種の電源管理を行う。タイマ25は、時間を計測する計時手段である。
【0021】
次に、RAM13に記憶される各種テーブルやリストの内容について説明する。
まず、図3は、管理テーブル231の内容の一例を示す図である。図3に示すように、管理テーブル231には、表示装置10に割り当てられた識別情報である「装置ID」と、1又は複数の「ユーザID」と、「連携利用有無情報」とが対応付けられて記述されている。「装置ID」は、このテーブル231を記憶している表示装置10(以下、自装置という)の装置IDと、その表示装置10と通信可能な状態にある各表示装置10(以下、他装置という)の装置IDである。自装置の装置IDは、不揮発性メモリ23に記憶されているので、CPU11はそこから読み出して、この管理テーブル231に書き込む。一方、他装置の装置IDについては、CPU11が他装置から取得してこの管理テーブル231に書き込む。「ユーザID」は、自装置及び他装置のそれぞれに対して利用の登録がなされている1又は複数のユーザのユーザIDである。自装置について利用の登録がなされているユーザのユーザIDは、不揮発性メモリ23に記憶されているので、CPU11はそこから読み出して、この管理テーブル231に書き込む。一方、他装置について利用の登録がされているユーザのユーザIDについては、CPU11が他装置から取得してこの管理テーブル231に書き込む。
【0022】
また、「連携利用有無情報」は、他装置が或るユーザによって既に利用されているか否か(つまり、その他装置が別の表示装置10と連携しているか否か)、及び、連携保留中と呼ばれる状態であるか否かを表す情報である。図3では、連携利用有無情報として、別の表示装置と「連携していない」という状態と、別の表示装置と「連携中」であるという状態を例示している。表示装置10は、情報処理システム100に接続されると、まず、自装置が通信可能な範囲にある他装置との間で、所定のハンドシェークシーケンスを行って相手方の存在を認識するようになっている。このとき、双方の表示装置10のCPU11は、各々の不揮発性メモリ23に記憶されている自装置の装置ID、ユーザID及びパスワードをお互いに交換し、相手方から受け取ったこれらの情報を自身の管理テーブル231に書き込む。また、後述するように、各々の表示装置10は、自身の連携状態を意味する連携利用有無情報をお互いに交換し、相手方から受け取った連携利用有無情報を、その相手方の装置IDに対応付けて自身の管理テーブル231に書き込む。
【0023】
図3では、例えば他装置の装置ID「did001」と、ユーザID「uid01」、「uid03」及び「uid04」が対応付けられているが、これは、装置ID「did001」が割り当てられた表示装置10は、ユーザID「uid01」、「uid03」又は「uid04」の3人のユーザに対して利用の登録がなされていることを意味している。また、1人のユーザは複数の表示装置10について利用の登録をすることもできる。例えばユーザID「uid01」は、装置ID「uid01」、「uid03」、「uid04」及び「uid05」に対応付けられているから、このユーザID「uid01」のユーザは、これらの装置IDが割り当てられた最大4つの表示装置10を同時に利用可能ということになる。なお、図1に示した各表示装置10a〜10fと各々の装置IDとの対応関係は、図3に示したとおりである。
【0024】
次に、図4は、認証テーブル232の内容の一例を示す図である。
図4に示すように、認証テーブル232には、自装置において利用の登録がなされたユーザの「ユーザID」及び「パスワード」が対応付けられて記述されている。例えばユーザID「uid01」のユーザのパスワードは「1234」である。これらの「ユーザID」及び「パスワード」は、システム管理者や自装置のオーナーユーザなどのように、認証テーブル232に対する書き込み権限があるユーザにより、表示装置10に入力される。そして、CPU11がその入力された内容を認証テーブル232に書き込むようになっている。
【0025】
次に、図5は、連携可能装置リスト233の内容の一例を示す図である
この連携可能装置リスト233には、自装置と通信可能な他装置のうち、自装置と連携が可能な他装置の装置IDが記述されている。図1の例で説明すると、表示装置10c(装置ID「did003」;図3参照)を自装置とすると、この自装置は、他装置である表示装置10a,10b,10d,10eと、ネットワーク30又は無線通信路経由で通信可能である。これらの表示装置10a,10b,10d,10eの装置IDはそれぞれ、「did001」、「did002」、「did004」、「did005」である(図3参照)。このとき、自装置である表示装置10cにユーザID「uid01」のユーザがログインしていると仮定すると、表示装置10a,10b,10d,10eのうち、上記ユーザID「uid01」のユーザの利用の登録がなされているのは、図3に示すように、表示装置10a,10d,10eである。ただし、図3において、表示装置10eに対応する連携利用有無情報を参照すると、既に「連携中」となっているので、表示装置10cはこの表示装置10eと新たに連携することができない。よって、図3の連携可能装置リスト233には、表示装置10a,10dの装置ID「did001」及び「did004」が記述されている。つまり、この連携可能装置リスト233には、自装置と通信可能で、且つ、自装置にログインしているユーザについて利用の登録がなされている他装置のうち、さらに別の第3の表示装置と既に連携しているもの以外の他装置の装置IDが記述されるということになる。
【0026】
次に、図6は、連携状態テーブル234の内容の一例を示す図である
この連携状態テーブル234には、連携可能装置リスト233に記述された各装置IDの他装置と、自装置との間における連携の状態が記述されている。自装置に対応する連携利用有無情報のフィールドはブランクである。この連携の状態には、「連携中」及び「連携保留」という2種類の状態がある。図6(a)では、装置ID「did001」及び「did001」の表示装置10とは、いずれも連携中の状態であることを表している。また、図6(b)では、装置ID「did004」の表示装置とは連携中であることを表しており、装置ID「did001」の表示装置とは連携保留の状態であることを表している。連携保留とは、連携可能な表示装置10どうしがいったん連携したにも関わらず、一方の表示装置10(他装置)がユーザにより利用されないまま所定期間が経過したときに移行する状態のことである。
【0027】
(動作)
次に、実施形態の動作を説明する。
以下の動作説明においては、各表示装置10の配置状態を図1に示すとおりとする。また、特に表示装置10cの処理に着目して説明するので、表示装置10cを「自装置」とし、それ以外の表示装置10を「他装置」とする。
(管理テーブル231の更新動作)
図7は、表示装置10cのCPU11(以下、CPU11cという)が管理テーブル231の更新時に実行する手順を示すフローチャートである。図7において、CPU11cは、自装置と通信可能な他装置が増えたか否かを常時判断している(ステップS1)。前述したように、表示装置10が情報処理システム100に接続されると、まず、その表示装置10のCPU11が自身の通信可能な範囲にある他の表示装置10との間で、所定のハンドシェークシーケンスを行って、相手方の存在を認識するようになっている。このように、CPU11cが情報処理システム100に新たに接続された他装置の存在を認識すると、ステップS1にて通信可能な他装置が増えたと判断する(ステップS1;YES)。
【0028】
次に、CPU11は、ステップS1にて増えたと判断された他装置との間で、お互いに情報交換を行う(ステップS2)。ここで交換される情報は、各々の不揮発性メモリ23に記憶されている装置ID、ユーザID及びパスワードのほか、前述した連携利用有無情報である。そして、CPU11cは、ステップS2にて他装置から取得した情報に基づいて、RAM13に記憶している管理テーブル231の内容を更新する(ステップS3)。つまり、CPU11cは、ステップS2にて他装置から取得した装置ID、ユーザID及び連携利用有無情報を互いに対応付けて管理テーブル231の新規レコードに記述する。これにより、管理テーブル231は図3に示すような内容になったとする。この後、CPU11の処理はステップS1に戻る。
【0029】
(ユーザ認証時の動作)
次に、表示装置10cにおいてユーザID「uid01」のユーザがログインしようとしたときに、そのユーザに対してユーザ認証を行う動作について説明する。
図8は、表示装置10cのCPU11cがユーザ認証時に実行する手順を示すフローチャートである。図8において、例えばユーザID「uid01」及びパスワード「1234」がユーザにより入力されたとすると、CPU11cはユーザ認証が要求されたと判断する(ステップS11;YES)。そして、CPU11cは、入力されたユーザID及びパスワードと、認証テーブル232に記憶されているユーザID及びパスワードとを照合してユーザ認証を行う(ステップS12)。図4に示した認証テーブル232にはユーザID「uid01」及びパスワード「1234」が記述されているから、CPU11cは、入力されたユーザID及びパスワードと記憶されている内容とが合致するとして、正当なユーザであると判断する(ステップS3;YES)。
【0030】
この場合、CPU11cは、ユーザID「uid01」のユーザによる利用を許可し、自装置の各種リソースをそのユーザに対して利用可能な状態に移行させる。よって、ユーザはキー22を操作するなどして、例えば不揮発性メモリ23に記憶されている情報を記憶性液晶表示体15に表示させたり、その情報を編集したり、新たな情報を不揮発性メモリ23に記憶させたり、といった具合に、表示装置10cの各種リソースを自由に利用することが可能となる。なお、このユーザ認証に失敗した場合、つまり、入力されたユーザID及びパスワードと記憶されている内容とが合致しなかった場合には(ステップS13;NO)、CPU11cは、ユーザ認証に失敗した旨のメッセージを表示制御装置16により記憶性液晶表示体15に表示させてから(ステップS22)、図8に示す処理を終了する。
【0031】
さて、CPU11cは、ユーザによる自装置の利用を許可すると、その次に、連携可能装置リスト233を生成する(ステップS14)。ここでは、CPU11は、前述の如く、図3に示した管理テーブル231の内容に従って、表示装置10a,10dの装置ID「did001」及び「did004」を列挙した図5の連携可能装置リスト233を生成してRAM13に記憶する。なお、この連携可能装置リスト233を生成することができなかったとき、つまり、自装置と連携可能な他装置が存在しなかった場合には(ステップS15;NO)、CPU11cは図8に示す処理を終了する。一方、この連携可能装置リスト233を生成することができたとき、つまり自装置と連携可能な表示装置が存在する場合には(ステップS15;YES)、CPU11cは、連携する対象となる他装置をユーザに選択させるための連携装置選択画面を表示制御装置16によって記憶性液晶表示体15に表示させる(ステップS16)。
【0032】
図9は、この連携装置選択画面の表示例を示す図である。
この連携装置選択画面には、連携可能装置リスト233に記述された他装置の装置名又は装置IDが列挙されるとともに、各々の他装置を選択するためのチェックボックスが設けられている。また、この連携装置選択画面には、いずれの他装置とも連携しないことを選択するためのチェックボックスも設けられている。ユーザが、例えば表示装置10a及び表示装置10dに対応するチェックボックスを選択して、「OK」というソフトボタンを選択すると、CPU11cは、ユーザによって他装置と連携することが指示されたと判断する(ステップS17;YES)。なお、図9では、分かりやすく説明するために、他装置の識別名称として「表示装置10a」、「表示装置10d」及び「表示装置10e」などといった名称を用いているが、実際には、各装置に割り当てられた呼び名やニックネームなどが表示されることになる。
【0033】
そして、CPU11cは、ユーザによって選択された他装置に対して、連携を要求する(ステップS18)。ここでは、CPU11cは、図5に示した連携可能装置リストに記述された装置ID「did001」及び「did004」の表示装置10に対して連携を要求することになる。この連携の要求は、その要求先の他装置の利用を許可することを要求するものである。この要求を受けた他装置のCPU11は、自身が連携保留中でなければ、自身をユーザに対して利用可能な状態にしてから、表示装置11cに上記要求に応じた旨の応答を返す。ここでいう“自身を利用可能な状態にする”とは、この他装置に対してユーザが正当なユーザID及びパスワードによるユーザ認証を経てログインした場合と全く同様に、この他装置の各種リソースをユーザが自由に利用可能な状態のことである。よって、ユーザはこの他装置のキー22を操作するなどして各種リソースを自由に利用することができる。
【0034】
また、この通知を受けた他装置が連携保留中である場合には、その他装置のCPU11は、その連携保留となっている相手方の表示装置10に対して、連携保留を解除して別の表示装置(つまり表示装置11c)と連携状態に移行する旨を通知する。その後に、自身を利用可能な状態にしてから、表示装置11cに上記要求に応じた旨の応答を返す。
【0035】
CPU11cは、上記応答を他装置から受け取ると(ステップS19;YES)、連携状態テーブル234の内容を更新して(ステップS20)、図8の処理を終了する。ここでは、装置ID「did001」及び「did004」の表示装置10からいずれも上記応答を受け取ったものとすると、CPU11cは、図6(a)に示すような内容の連携状態テーブル234を生成してRAM13に記憶することになる。一方、CPU11cは、上記応答を他装置から受け取ることができなかった場合には(ステップS19;NO)、連携できない旨のメッセージを表示制御装置16によって記憶性液晶表示体15に表示させる(ステップS21)。そして、CPU11cは、図8の処理を終了する。この場合は、ユーザが他装置を利用することができないだけで、この自装置については自由に利用することができる。
【0036】
(連携後の他装置の動作)
次に、上述のようにして連携がなされた後の他装置の動作について説明する。
図10は、他装置(例えば上記表示装置10cと連携した表示装置10a)のCPU11(以下、CPU11aという)が、その連携後に実行する手順を示すフローチャートである。
ユーザは他装置のキー22を操作するなどして、連携の解除を指示することができる。この場合、CPU11aは、連携の解除が指示されたと判断すると(ステップS31;YES)、自身を利用できない状態に戻す(ステップS32)。自身を利用できない状態とは、ユーザ認証を行っていない、いわゆるログオフの状態である。よって、ユーザは連携が解除された他装置のリソースを利用することはできない。また、CPU11aは、連携が開始されたときから、ユーザによって利用されない期間をタイマ25によって計測しており、連携の解除が指示されない場合には(ステップS31;NO)、そのタイマ25の計測時間が所定期間(例えば30分)を超えたか否かを判断する(ステップS33)。
【0037】
所定期間を超えた場合には(ステップS33;YES)、CPU11aは、連携中の状態から連携保留状態に移行する(ステップS34)。この連携保留状態において、ユーザによりキー22が操作されるなどの、何らかの利用が行われると(ステップS35;YES)、CPU11aは、連携保留状態から連携中の状態に移行して(ステップS36)、ステップS31の処理に戻る。また、この連携保留状態において、なんら利用がされないまま(ステップS35;NO)、別の第3の表示装置10から連携を要求された場合には(ステップS37;YES)、CPU11aは、もともとの連携の相手方である表示装置10との連係を解除する。つまり、元々の連携の相手方の利用が許可されているユーザに対する表示装置10aの利用の許可を取り止める。そして、CPU11aは、新たに連携を要求してきた表示装置10との連携を行う(ステップS38)。つまり、CPU11aは、新たに連携を要求してきた第3の表示装置10の利用が許可されているユーザに対する自装置(表示装置10a)の利用を許可するのである。
【0038】
いったん連携した表示装置10aは、上記のように、連携中又は連携保留中のいずれかの状態を取り得る。よって、CPU11aは、他の表示装置から所定のハンドシェークシーケンスを経て情報交換が要求された場合、連携中であれば、既に他の表示装置と連携している旨の連携利用有無情報を生成して送信するし、また、連携保留中であれば、その旨の連携利用有無情報を生成して送信する。また、いずれの表示装置10とも連携もしていないし、連携保留中でもない場合に、他の表示装置から所定のハンドシェークシーケンスを経て情報交換が要求された場合、CPU11aは、連携していない旨の連携利用有無情報を生成して送信する。
【0039】
以上説明した実施形態によれば、各ユーザは、自らのユーザID及びパスワードを、表示装置10a〜10fのうちのいずれかに入力することで、その表示装置10にログインして利用することが可能となる。さらに、このユーザは、上記のログインした表示装置10(自装置)以外の表示装置10(他装置)のうち、自装置と連携可能な他装置に対してもログインして同時に利用可能となる。このように、ユーザは1回のユーザ認証で複数の表示装置10を利用し得るので、複数の表示装置10のそれぞれに対してユーザ認証の作業を行う場合と比較すると、そのユーザ認証のための作業量は少なくなるから便利である。
【0040】
また、上記実施形態によれば、CPU11は、連携可能な表示装置10の装置名などを列挙して表示し、表示した装置名のうち、ユーザによって選択された装置名の表示装置10に対して、当該表示装置の利用を許可するよう要求する。よって、ユーザが望まない表示装置との連携は行わずに、ユーザが望む他装置の利用を図ることができる。
【0041】
また、例えば他装置に対し連携を解除するような指示をユーザが行うまでの間は、連携状態を継続するような設計にしてしまうと、その他装置がユーザによって忘れられて放置されたような場合には、その他装置は利用される可能性が非常に低いのにも関わらず、別の第3の表示装置と新たに連携することができなくなってしまう。そこで、上記実施形態では、自装置と他装置とがいったん連携したとしても、他装置においてユーザによって利用されない期間が或る所定期間を超えると、その他装置を連携保留状態に移行させ、必要に応じて、別の第3の表示装置10と連携し得るようにしている。よって、連携はしてはみたものの、利用される機会がないような表示装置10を、有効に活用することができる。
【0042】
(変形例)
上記実施形態を次のように変形してもよい。また、以下の各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
(変形例1)
実施形態では、情報処理装置の一例として、表示装置10を挙げたが、情報処理装置の種類はこれに限らない。本発明が適用される情報処理装置は、要するに、互いに通信を行うことが可能で、且つ、何らかの情報処理を行ってユーザに利用されるものであればよい。よって、例えば音声再生装置や通信装置などもこの情報処理装置に含まれる。なお、表示装置10がパソコン20を自身の通信手段として利用する場合には、これら表示装置10及びパソコン20が1つの情報処理装置として振る舞うことになる。
【0043】
(変形例2)
認証情報は、パスワードに限らず、例えば指紋や声紋或いはユーザの身体の一部の画像など、人間の生体に固有の生体情報であってもよい。また、表示装置10によって読み取り可能な非接触ICカードに記憶された認証情報であってもよい。特に後者は会社などの組織において、組織構成員にICカードが渡されているような場合には便利である。いずれにしろ、表示装置10に簡易な操作で入力できるような認証情報であることが望ましい。このような生体情報や、カードに記憶された認証情報を用いる場合、これらの情報だけで、ユーザの正当性を確認することができるとともに、ユーザを一意に特定するこができる。よって、実施形態で例示したユーザIDなどのユーザ識別情報は必ずしも必要ではない。つまり、実施形態では、ユーザを特定するユーザ特定情報として、ユーザID又はパスワードの双方(又は、場合によってはユーザIDのみ)を用いていたのに対し、改竄が困難でユーザ間の重複がない生体情報などを用いた場合には、その生体情報そのものがユーザ特定情報となり得る。
【0044】
(変形例3)
実施形態では、各々の表示装置10に対して、それぞれ個別にユーザの利用登録がなされていた。図3の例で説明すると、装置ID「did001」が割り当てられた表示装置10は、ユーザID「uid01」、「uid03」又は「uid04」の3人のユーザに対する利用の登録がなされているし、また、装置ID「did002」が割り当てられた表示装置10は、ユーザID「uid02」及び「uid03」のユーザに対する利用の登録がなされている、といった具合である。ただし、必ずしもこのような利用の登録形態に限らず、全てのユーザが全ての表示装置10に対して利用の登録がされていてもよい。この場合、ユーザがいずれかの表示装置10に最初にログインする際には、どのユーザがログインしたかが特定されることになるが、そのログイン後、自装置は、他装置に対して特にユーザを指定せずに、利用を許可するよう要求すればよい。一方、その要求を受けた他装置も、特にユーザを特定せずに、自身の利用を許可することになる。
【0045】
(変形例4)
実施形態では、ユーザに対して表示装置10の利用が許可されると、そのユーザは表示装置10の全てのリソースが利用可能であったが、そうではなくて、各ユーザが表示装置10を利用し得る範囲を制限してもよい。この場合、各々の表示装置10の不揮発性メモリ23には、例えばACL(Access Control List)と呼ばれるテーブルのように、各ユーザのユーザ特定情報とそのユーザが表示装置10を利用し得る範囲(例えばアクセスし得る範囲)とが対応付けられて記憶されている。そして、CPU11は、この対応関係に基づき、自装置にログインしたユーザのユーザ特定情報に対応する範囲を特定し、その範囲内での利用を許可する。また、CPU11は、連携可能な他装置に対しては、自装置にログインしたユーザのユーザ特定情報を指定して当該他装置の利用を許可するよう要求する。そして、この要求を受けた他装置は、自身が記憶しているユーザ特定情報及び利用範囲の対応関係に基づき、指定されたユーザ特定情報に対応する範囲を特定し、その範囲内での利用を許可する。
【0046】
例えば、情報処理装置のユーザは、オーナーユーザと、ゲストユーザとに分けられることがある。オーナーユーザとは、その情報処理装置の持ち主となるユーザのことであり、ゲストユーザとはその情報処理装置の一時的なユーザのことである。1つの情報処理装置に対して、大抵の場合、オーナーユーザは1人であるが、ゲストユーザは1人であってもよいし複数であってもよい。また、オーナーユーザの利用範囲は、ゲストユーザの利用範囲よりも広い。このオーナーユーザが利用し得る範囲には、例えば、他装置に記憶されている装置識別情報及びユーザ特定情報を、自装置に記憶させることが少なくとも含まれている。
【0047】
図11は、このオーナーユーザの利用範囲に従って、表示装置10aにゲストユーザとして記憶されているユーザ特定情報を、表示装置10bのゲストユーザのユーザ特定情報として記憶させる様子を説明する図である。同図に示すように、ユーザAは表示装置10a、10bのオーナーユーザであると同時に、表示装置10d、10eのゲストユーザである。表示装置10aを自装置とした場合、連携装置選択画面においては、図12に示すように、オーナーユーザとして表示装置10bと連携するのか、ゲストユーザとして表示装置10d、10eと連携するのか、或いは、連携しないのかを選択し得るようになっている。
【0048】
ここで、例えばオーナーユーザとして表示装置10bと連携することがユーザAにより選択された場合には、所定の操作に応じて、図13に示すような画面が表示される。この画面において、ユーザAが表示装置10aに対して、表示装置10bへのゲストユーザのユーザ登録情報のマージを指示すると、表示装置10aからゲストユーザのユーザB,C,Dのユーザ登録情報が送信される。表示装置10bでは、受信したユーザB,C,Dのユーザ登録情報のうち、自装置に記憶されていないユーザCのユーザ登録情報を記憶する。ここでいう、ユーザ登録情報とは、ユーザIDやパスワードなどのユーザ特定情報のほか、そのユーザの各種属性に関する情報を含んでもよい。これにより、図11に示すように、ゲストユーザのユーザCのユーザ登録情報が、表示装置10aから表示装置10bにコピーされることになる。
【0049】
このときの利用の対象となる情報は、上記のユーザ登録情報に限らず、ユーザ毎にアクセス範囲が決められた文書等の情報であってもよい。例えば、図14に示すような画面において、ユーザAが表示装置10aに対して、表示装置10bへの全ての情報のマージを指示すると、表示装置10aに記憶されている情報のうち、オーナーユーザとしてのユーザAが利用可能な情報が表示装置10bに送信される。表示装置10bでは、受信した情報のうち、自装置に記憶されていない情報を記憶する。
このようにすれば、表示装置10を連携させた上で、一方の表示装置10に記憶されている情報のうち、ログインしているユーザが利用可能な情報を他方の表示装置10に記憶させることが可能となる。
【0050】
(変形例5)
実施形態に係る表示装置10は、或る第1の表示装置10から自装置の利用を許可するよう要求されると連携状態に移行する。そして、その連携状態において自装置が利用されないまま所定期間が経過してから、別の第2の表示装置10から自装置の利用を許可するよう要求された場合には、第1の表示装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用の許可を取り止める。その一方で、第2の表示装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用を許可する。
これに限らず、表示装置10は、他装置から自装置の利用を許可するよう要求されて連携状態に移行し、その連携状態において自装置が利用されないまま所定期間が経過すると、自装置における連携を解除し、利用の許可を取りやめてもよい。この場合、ユーザ認証を行っていない、いわゆるログオフの状態に戻ることになる。
【0051】
(変形例6)
実施形態において、上記実施形態によれば、CPU11は、連携可能な表示装置10の装置名などの装置識別情報を列挙して表示し、表示した装置名のうち、ユーザによって選択された装置名の表示装置10に対して、当該表示装置の利用を許可するよう要求していた。ただし、このようなユーザによる選択は必ずしも必須ではなく、CPU11は、連携可能な全ての表示装置10に対して当該表示装置の利用を許可するよう要求してもよい。また、CPU11は、他装置と連携するかどうかだけを問い合わせるメッセージを記憶性液晶表示体15に表示させ、その問い合わせに応じてユーザが他装置と連携するよう指示した場合には、連携可能な全ての表示装置10に対して当該表示装置の利用を許可するよう要求してもよい。
【0052】
(変形例7)
上述したCPU11が実行するプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、RAMなどの記録媒体に記録した状態で提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同表示装置が記憶している認証テーブルの内容の一例を示す図である。
【図4】同表示装置が記憶している連携可能装置リストの内容の一例を示す図である。
【図5】同表示装置が記憶している連携状態テーブルの内容の一例を示す図である。
【図6】同表示装置の処理を示すフローチャートである。
【図7】同表示装置の処理を示すフローチャートである。
【図8】同表示装置が表示する画面の一例を示す図である。
【図9】変形例に係る表示装置が表示する画面の一例を示す図である。
【図10】同表示装置の処理を示すフローチャートである。
【図11】変形例において、表示装置にゲストユーザとして記憶されているユーザ特定情報を他の表示装置に記憶させる様子を説明する図である。
【図12】変形例に係る表示装置が表示する画面の一例を示す図である。
【図13】変形例に係る表示装置が表示する画面の一例を示す図である。
【図14】変形例に係る表示装置が表示する画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
100…情報処理システム、10…表示装置、20…パソコン、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…VRAM、15…記憶性液晶表示体、16…表示制御装置、17…電源、18…電源制御装置、19…コネクタ、20…記憶制御装置、21…I/O、22…キー、23…不揮発性メモリ、24…記憶媒体、25…タイマ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の情報処理装置を備えた情報処理システムにおいてユーザを認証する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザが情報処理装置を利用する場合には、そのユーザの正当性を確認するべく、一般にユーザ認証と呼ばれる手続がなされる。例えば、ユーザは自らに割り当てられた識別子(例えばユーザID)と、そのユーザだけが知り得る情報(例えばパスワード)を情報処理装置に入力する。情報処理装置は、入力された内容を予め登録されているものと照合することによって、そのユーザの正当性を確認する。このようなユーザ認証に関する技術として、特許文献1には、サーバ装置にて複数のユーザの認証情報を集中管理し、このサーバ装置によるユーザ認証を経ることで、複数のユーザが1台の携帯端末を使用するための仕組みが提案されている。また、特許文献2には、携帯端末においてユーザの顔画像に基づくユーザ認証を行う仕組みが開示されている。
【特許文献1】特開2006−004007号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、1人のユーザが複数の情報処理端末を同時に使用する場合には、各情報処理端末に対してそれぞれ個別のユーザ認証を経ないと、それらの端末を使用することができない。しかし、このようなユーザ認証の手続きを全ての情報処理端末に対していちいち行うのは非常に面倒である。
【0004】
そこで、本発明は、1人のユーザが複数の情報処理端末に対して行うユーザ認証の手続きを従来よりも簡単にすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、本発明は、互いに通信を行う複数の情報処理装置を備えた情報処理システムであって、各々の前記情報処理装置は、自装置及び自装置以外の情報処理装置である他装置にそれぞれ割り当てられた装置識別情報と、各々のユーザを特定するユーザ特定情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、ユーザが前記ユーザ特定情報を入力する入力手段と、前記記憶手段により自装置の装置識別情報に対応付けて記憶されているユーザ特定情報と、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報とが合致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によってユーザ特定情報が合致すると判定された場合、自装置の利用を許可する第1の利用許可手段と、前記判定手段によって合致すると判定されたユーザ特定情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する利用要求手段と、自装置以外の情報処理装置である他装置から、自装置の利用を許可するように要求された場合には、自装置の利用を許可する第2の利用許可手段とを備え、前記複数の情報処理装置に含まれる第1の情報処理装置が備える前記利用要求手段が、前記複数の情報処理装置に含まれる第2の情報処理装置に対して、当該第2の情報処理装置の利用を許可するよう要求すると、前記第2の情報処理装置が備える第2の利用許可手段は、前記第1の情報処理装置からの前記要求に応じて、当該第2の情報処理装置の利用を許可することを特徴とする情報処理システムを提供する。
本発明によれば、自装置の利用が許可されたユーザのユーザ特定情報に対応付けて記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求し、この要求に応じて、当該他装置は自身の利用を許可するので、1人のユーザが複数の情報処理端末に対して行うユーザ認証の手続きを従来よりも簡単にすることができる。
【0006】
また、本発明は、自装置及び自装置以外の情報処理装置である他装置にそれぞれ割り当てられた装置識別情報と、各々のユーザを特定するユーザ特定情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、ユーザが前記ユーザ特定情報を入力する入力手段と、前記記憶手段により自装置の装置識別情報に対応付けて記憶されているユーザ特定情報と、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報とが合致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によってユーザ特定情報が合致すると判定された場合、自装置の利用を許可する第1の利用許可手段と、前記判定手段によって合致すると判定されたユーザ特定情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する利用要求手段と、自装置以外の情報処理装置である他装置から、自装置の利用を許可するように要求された場合には、自装置の利用を許可する第2の利用許可手段とを備えることを特徴とする情報処理装置を提供する。
本発明によれば、自装置の利用が許可されたユーザのユーザ特定情報に対応付けて記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する一方で、他装置からの上記要求に応じて、自身の利用を許可する。よって、1人のユーザが複数の情報処理端末に対して行うユーザ認証の手続きを従来よりも簡単にすることができる。
【0007】
この情報処理装置において、自装置と通信可能な前記他装置から、当該他装置の装置識別情報と、前記ユーザ特定情報と、当該他装置がユーザによって既に利用されているか否かを表す利用有無情報とを取得する取得手段を備え、前記取得手段が取得した前記利用有無情報に基づいて当該他装置がユーザにより利用されていないと判断される場合には、前記記憶手段が、前記取得手段が取得した前記前記他装置の装置識別情報と前記ユーザ特定情報とを対応付けて記憶するようにしてもよい。
このようにすれば、記憶手段には、ユーザにより利用されていない他装置に関する装置識別情報及びユーザ特定情報を記憶することができるので、ユーザにより既に利用されている他装置に関する装置識別情報及びユーザ特定情報をも記憶する場合と比較して、記憶手段に記憶させるデータの量を少なくすることができる。
【0008】
また、この情報処理装置において、前記利用要求手段は、前記他装置の利用を許可するよう要求するか否かをユーザに問い合わせ、当該問い合わせに応じてユーザが当該要求を行うよう指示した場合には、前記他装置に対して当該他装置の利用を許可するよう要求するようにしてもよい。
これにより、ユーザが他装置の利用を望むときに、その利用を図ることができる。
【0009】
また、この情報処理装置において、前記利用要求手段は、特定した前記装置識別情報を表示し、表示した装置識別情報のうち、ユーザによって選択された装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求するようにしてもよい。
これにより、ユーザが望む他装置の利用を図ることができる。
【0010】
また、この情報処理装置において、前記第2の利用許可手段は、第1の前記他装置から自装置の利用を許可するよう要求されてから、自装置が利用されないまま所定期間が経過し、その経過後に、第2の前記他装置から自装置の利用を許可するよう要求された場合には、前記第1の他装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用の許可を取り止めて、前記第2の他装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用を許可するようにしてもよい。
このように、第1の他装置からの要求に応じて、その第1の他装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用をいったん許可したとしても、自装置においてユーザによって利用されない期間が所定期間を超えれば、第2の他装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用を許可するようにしている。よって、利用の機会がないような情報処理装置を有効に活用することができる。
【0011】
また、この情報処理装置において、前記ユーザ特定情報に対応付けて、当該ユーザ特定情報によって特定されるユーザが自装置を利用し得る範囲を記憶する利用範囲記憶手段を備え、前記利用要求手段は、特定した前記装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対し、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報を指定して、当該他装置の利用を許可するよう要求し、前記第2の利用許可手段は、前記他装置からユーザ特定情報を指定して自装置の利用を許可するよう要求された場合には、前記利用範囲記憶手段によって当該ユーザ特定情報に対応付けて記憶されている範囲内で自装置の利用を許可するようにしてもよい。
これにより、各ユーザの利用し得る範囲内で、情報処理装置の利用を許可することができる。
【0012】
この場合、前記利用範囲記憶手段は、自装置のオーナーユーザのユーザ特定情報と、当該オーナーユーザが自装置を利用し得る範囲とを対応付けて記憶するとともに、自装置の一時的な利用者であるゲストユーザのユーザ特定情報と、当該ゲストユーザが自装置を利用し得る範囲とを対応付けて記憶しており、前記オーナーユーザが利用し得る範囲は、前記ゲストユーザが利用し得る範囲よりも広く、前記オーナーユーザが利用し得る範囲には、少なくとも、他装置の前記記憶手段に記憶されている前記装置識別情報及び前記ユーザ特定情報を自装置の前記記憶手段に記憶させることが含まれていることが望ましい。
これにより、オーナーユーザとゲストユーザのそれぞれの利用し得る範囲内で、情報処理装置の利用を許可することができる。
【0013】
また、本発明は、コンピュータを、自装置及び自装置以外の情報処理装置である他装置にそれぞれ割り当てられた装置識別情報と、各々のユーザを特定するユーザ特定情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、ユーザが前記ユーザ特定情報を入力する入力手段と、前記記憶手段により自装置の装置識別情報に対応付けて記憶されているユーザ特定情報と、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報とが合致するか否かを判定する判定手段と、前記判定手段によってユーザ特定情報が合致すると判定された場合、自装置の利用を許可する第1の利用許可手段と、前記判定手段によって合致すると判定されたユーザ特定情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する利用要求手段と、自装置以外の情報処理装置である他装置から、自装置の利用を許可するように要求された場合には、自装置の利用を許可する第2の利用許可手段として機能させるプログラムを提供する。
これにより、1人のユーザが複数の情報処理端末に対して行うユーザ認証の手続きを従来よりも簡単にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
(構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理システム100の全体構成を示すブロック図である。図1に示すように、情報処理システム100は、ユーザによって利用される複数の表示装置10a〜10f及び複数のパーソナルコンピュータ(以下、パソコン)20a〜20cと、これらパソコン20a〜20cが接続されたネットワーク30とを備えている。ネットワーク30は、どのような通信ネットワークであってもよいが、例えば有線又は無線によって構成されたLAN(Local Area Network)やWAN(Wide Area Network)などである。図1において、実線の矢印は、有線による通信路を意味しており、点線の矢印は、無線による通信路を意味している。
【0015】
表示装置10a〜10fは、文書や表などの各種の情報を表示する情報処理装置であり、ユーザが携帯可能なように小型且つ軽量に構成されている。これら表示装置10a〜10fは、比較的近距離の範囲内にある他の表示装置やパソコン20a〜20cと、有線または無線で通信を行う機能を備えている。各ユーザは、自らに割り当てられた識別情報であるユーザIDと、自らだけが知りえる認証情報であるパスワードを、表示装置10a〜10fのうちのいずれかに入力することで、その表示装置にログインすることが可能である。ここでいうログインとは、ユーザが表示装置の各種リソースを利用することがその表示装置によって許可されることを言う。さらに、このユーザは、上記のユーザID及びパスワードが入力された表示装置以外の表示装置のうち、そのユーザについて予め利用の登録がなされている表示装置についても、同時に利用可能となる。この「利用の登録」とは、各々の表示装置を利用し得るユーザに関する情報をその表示装置に記憶させておくことを言う。また、このように1人のユーザの1回のユーザ認証で複数の表示装置を利用し得るように、これら表示装置が連携して処理を行うことを、「表示装置の連携」という。
【0016】
パソコン20a〜20cは、ネットワーク30を介して他のパソコンと通信を行う第1の通信機能と、表示装置10a〜10fと通信を行う第2の通信機能を備えている。上述したように、表示装置10a〜10fは、比較的近距離の範囲内にある他の表示装置との間で通信を行うことが可能だが、無線信号の到達範囲外とか通信ケーブルが届かないような位置にある、遠く離れた他の表示装置とは直接通信を行うことができない。そこで、表示装置10a〜10fは、遠く離れた他の表示装置との間で通信を行う場合には、パソコン20a〜20cの通信機能を利用する。つまり、パソコン20a〜20cは、自身に接続された表示装置10a〜10fの通信手段として機能することになる。図1の例では、表示装置10a〜10dはパソコン20a〜20cと接続された状態で利用されている。よって、これら表示装置10a〜10dはそれぞれ、パソコン20a〜20cの通信機能を用いることで、他の表示装置と通信を行う。一方、表示装置10e,10fは、パソコン20a〜20cと接続されずに単体で利用されており、パソコン20a〜20cを介することなく、他の表示装置と直接通信を行う。
【0017】
なお、図1において、表示装置10a〜10f及びパソコン20a〜20cはそれぞれ、図示したものよりも多く存在し得る。また、表示装置10a〜10fは、いずれも共通の構成及び動作であるから、これらを特に区別する必要のない場合には、表示装置10と言う。また、パソコン20a〜20cは、いずれも、表示装置10の通信手段としての役割を果たすという点では共通であるから、これらを特に区別する必要のない場合には、パソコン20と言う。
【0018】
次に、図2は、表示装置10の構成を示すブロック図である。
表示装置10は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memory)13と、VRAM(Video Random Access Memory)14と、記憶性液晶表示体15と、表示制御装置16と、電源17と、電源制御装置18と、コネクタ19と、記憶制御装置20と、I/O21と、キー22と、不揮発性メモリ23と、タイマ25とを備えている。
【0019】
CPU11は、ROM12に記憶されている制御プログラムを読み出してRAM13に展開し、その制御プログラムに記述された手順に従って処理を実行する。RAM13には、後述する管理テーブル231と、認証テーブル232と、連携可能装置リスト233と、連携状態テーブル234とが記憶されるようになっている。不揮発性メモリ23は、例えばEEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶手段である。この不揮発性メモリ23には、文書等の各種情報を画像として表示するための表示データと、この表示装置10に割り当てられた装置IDと、この表示装置10に対して事前に利用の登録がなされているユーザに割り当てられたユーザ識別情報と、そのユーザのみが知り得るパスワードとが記憶されている。コネクタ19に対しては、所謂リムーバブルメディアのような、可搬性の記憶媒体24が着脱自在である。この記憶媒体24は、例えばSD(Secure Digital)カードのようなフラッシュメモリ内蔵のカード型記憶媒体であってもよいし、例えばフロッピー(登録商標)ディスクなどの磁気媒体を利用したディスク型記憶媒体であってもよい。この記憶媒体24にも、各種情報を画像として表示するための表示データが格納されている。
【0020】
記憶制御装置20が、コネクタ19に装着された記憶媒体24や、不揮発性メモリ23から表示データを読み出してRAM13に展開すると、CPU11がこれをビットマップ形式などの画像データに変換してVRAM14に書き込む。記憶性液晶表示体15は、コレステリック液晶や電気泳動などを利用した表示手段であり、電力供給が停止しても画像を表示し続けることができるという記憶性を有している。VRAM14に書き込まれた画像データは、CPU11の指示のもとで、表示制御装置16に供給される。表示制御装置16は、記憶性液晶表示体15を制御して、上記画像データに基づいた画像を表示させる。キー22は、利用者によって操作される操作手段であり、ユーザがユーザIDやパスワードを入力するためのテンキーを備えている。I/O21は、キー22の操作状態を監視しており、ユーザによってキー22が操作されるとその操作に応じた信号をCPU11に供給する。電源17は、例えば充電可能な電池である。電源制御装置18は、電源17のオンオフ制御や電力の残量監視など各種の電源管理を行う。タイマ25は、時間を計測する計時手段である。
【0021】
次に、RAM13に記憶される各種テーブルやリストの内容について説明する。
まず、図3は、管理テーブル231の内容の一例を示す図である。図3に示すように、管理テーブル231には、表示装置10に割り当てられた識別情報である「装置ID」と、1又は複数の「ユーザID」と、「連携利用有無情報」とが対応付けられて記述されている。「装置ID」は、このテーブル231を記憶している表示装置10(以下、自装置という)の装置IDと、その表示装置10と通信可能な状態にある各表示装置10(以下、他装置という)の装置IDである。自装置の装置IDは、不揮発性メモリ23に記憶されているので、CPU11はそこから読み出して、この管理テーブル231に書き込む。一方、他装置の装置IDについては、CPU11が他装置から取得してこの管理テーブル231に書き込む。「ユーザID」は、自装置及び他装置のそれぞれに対して利用の登録がなされている1又は複数のユーザのユーザIDである。自装置について利用の登録がなされているユーザのユーザIDは、不揮発性メモリ23に記憶されているので、CPU11はそこから読み出して、この管理テーブル231に書き込む。一方、他装置について利用の登録がされているユーザのユーザIDについては、CPU11が他装置から取得してこの管理テーブル231に書き込む。
【0022】
また、「連携利用有無情報」は、他装置が或るユーザによって既に利用されているか否か(つまり、その他装置が別の表示装置10と連携しているか否か)、及び、連携保留中と呼ばれる状態であるか否かを表す情報である。図3では、連携利用有無情報として、別の表示装置と「連携していない」という状態と、別の表示装置と「連携中」であるという状態を例示している。表示装置10は、情報処理システム100に接続されると、まず、自装置が通信可能な範囲にある他装置との間で、所定のハンドシェークシーケンスを行って相手方の存在を認識するようになっている。このとき、双方の表示装置10のCPU11は、各々の不揮発性メモリ23に記憶されている自装置の装置ID、ユーザID及びパスワードをお互いに交換し、相手方から受け取ったこれらの情報を自身の管理テーブル231に書き込む。また、後述するように、各々の表示装置10は、自身の連携状態を意味する連携利用有無情報をお互いに交換し、相手方から受け取った連携利用有無情報を、その相手方の装置IDに対応付けて自身の管理テーブル231に書き込む。
【0023】
図3では、例えば他装置の装置ID「did001」と、ユーザID「uid01」、「uid03」及び「uid04」が対応付けられているが、これは、装置ID「did001」が割り当てられた表示装置10は、ユーザID「uid01」、「uid03」又は「uid04」の3人のユーザに対して利用の登録がなされていることを意味している。また、1人のユーザは複数の表示装置10について利用の登録をすることもできる。例えばユーザID「uid01」は、装置ID「uid01」、「uid03」、「uid04」及び「uid05」に対応付けられているから、このユーザID「uid01」のユーザは、これらの装置IDが割り当てられた最大4つの表示装置10を同時に利用可能ということになる。なお、図1に示した各表示装置10a〜10fと各々の装置IDとの対応関係は、図3に示したとおりである。
【0024】
次に、図4は、認証テーブル232の内容の一例を示す図である。
図4に示すように、認証テーブル232には、自装置において利用の登録がなされたユーザの「ユーザID」及び「パスワード」が対応付けられて記述されている。例えばユーザID「uid01」のユーザのパスワードは「1234」である。これらの「ユーザID」及び「パスワード」は、システム管理者や自装置のオーナーユーザなどのように、認証テーブル232に対する書き込み権限があるユーザにより、表示装置10に入力される。そして、CPU11がその入力された内容を認証テーブル232に書き込むようになっている。
【0025】
次に、図5は、連携可能装置リスト233の内容の一例を示す図である
この連携可能装置リスト233には、自装置と通信可能な他装置のうち、自装置と連携が可能な他装置の装置IDが記述されている。図1の例で説明すると、表示装置10c(装置ID「did003」;図3参照)を自装置とすると、この自装置は、他装置である表示装置10a,10b,10d,10eと、ネットワーク30又は無線通信路経由で通信可能である。これらの表示装置10a,10b,10d,10eの装置IDはそれぞれ、「did001」、「did002」、「did004」、「did005」である(図3参照)。このとき、自装置である表示装置10cにユーザID「uid01」のユーザがログインしていると仮定すると、表示装置10a,10b,10d,10eのうち、上記ユーザID「uid01」のユーザの利用の登録がなされているのは、図3に示すように、表示装置10a,10d,10eである。ただし、図3において、表示装置10eに対応する連携利用有無情報を参照すると、既に「連携中」となっているので、表示装置10cはこの表示装置10eと新たに連携することができない。よって、図3の連携可能装置リスト233には、表示装置10a,10dの装置ID「did001」及び「did004」が記述されている。つまり、この連携可能装置リスト233には、自装置と通信可能で、且つ、自装置にログインしているユーザについて利用の登録がなされている他装置のうち、さらに別の第3の表示装置と既に連携しているもの以外の他装置の装置IDが記述されるということになる。
【0026】
次に、図6は、連携状態テーブル234の内容の一例を示す図である
この連携状態テーブル234には、連携可能装置リスト233に記述された各装置IDの他装置と、自装置との間における連携の状態が記述されている。自装置に対応する連携利用有無情報のフィールドはブランクである。この連携の状態には、「連携中」及び「連携保留」という2種類の状態がある。図6(a)では、装置ID「did001」及び「did001」の表示装置10とは、いずれも連携中の状態であることを表している。また、図6(b)では、装置ID「did004」の表示装置とは連携中であることを表しており、装置ID「did001」の表示装置とは連携保留の状態であることを表している。連携保留とは、連携可能な表示装置10どうしがいったん連携したにも関わらず、一方の表示装置10(他装置)がユーザにより利用されないまま所定期間が経過したときに移行する状態のことである。
【0027】
(動作)
次に、実施形態の動作を説明する。
以下の動作説明においては、各表示装置10の配置状態を図1に示すとおりとする。また、特に表示装置10cの処理に着目して説明するので、表示装置10cを「自装置」とし、それ以外の表示装置10を「他装置」とする。
(管理テーブル231の更新動作)
図7は、表示装置10cのCPU11(以下、CPU11cという)が管理テーブル231の更新時に実行する手順を示すフローチャートである。図7において、CPU11cは、自装置と通信可能な他装置が増えたか否かを常時判断している(ステップS1)。前述したように、表示装置10が情報処理システム100に接続されると、まず、その表示装置10のCPU11が自身の通信可能な範囲にある他の表示装置10との間で、所定のハンドシェークシーケンスを行って、相手方の存在を認識するようになっている。このように、CPU11cが情報処理システム100に新たに接続された他装置の存在を認識すると、ステップS1にて通信可能な他装置が増えたと判断する(ステップS1;YES)。
【0028】
次に、CPU11は、ステップS1にて増えたと判断された他装置との間で、お互いに情報交換を行う(ステップS2)。ここで交換される情報は、各々の不揮発性メモリ23に記憶されている装置ID、ユーザID及びパスワードのほか、前述した連携利用有無情報である。そして、CPU11cは、ステップS2にて他装置から取得した情報に基づいて、RAM13に記憶している管理テーブル231の内容を更新する(ステップS3)。つまり、CPU11cは、ステップS2にて他装置から取得した装置ID、ユーザID及び連携利用有無情報を互いに対応付けて管理テーブル231の新規レコードに記述する。これにより、管理テーブル231は図3に示すような内容になったとする。この後、CPU11の処理はステップS1に戻る。
【0029】
(ユーザ認証時の動作)
次に、表示装置10cにおいてユーザID「uid01」のユーザがログインしようとしたときに、そのユーザに対してユーザ認証を行う動作について説明する。
図8は、表示装置10cのCPU11cがユーザ認証時に実行する手順を示すフローチャートである。図8において、例えばユーザID「uid01」及びパスワード「1234」がユーザにより入力されたとすると、CPU11cはユーザ認証が要求されたと判断する(ステップS11;YES)。そして、CPU11cは、入力されたユーザID及びパスワードと、認証テーブル232に記憶されているユーザID及びパスワードとを照合してユーザ認証を行う(ステップS12)。図4に示した認証テーブル232にはユーザID「uid01」及びパスワード「1234」が記述されているから、CPU11cは、入力されたユーザID及びパスワードと記憶されている内容とが合致するとして、正当なユーザであると判断する(ステップS3;YES)。
【0030】
この場合、CPU11cは、ユーザID「uid01」のユーザによる利用を許可し、自装置の各種リソースをそのユーザに対して利用可能な状態に移行させる。よって、ユーザはキー22を操作するなどして、例えば不揮発性メモリ23に記憶されている情報を記憶性液晶表示体15に表示させたり、その情報を編集したり、新たな情報を不揮発性メモリ23に記憶させたり、といった具合に、表示装置10cの各種リソースを自由に利用することが可能となる。なお、このユーザ認証に失敗した場合、つまり、入力されたユーザID及びパスワードと記憶されている内容とが合致しなかった場合には(ステップS13;NO)、CPU11cは、ユーザ認証に失敗した旨のメッセージを表示制御装置16により記憶性液晶表示体15に表示させてから(ステップS22)、図8に示す処理を終了する。
【0031】
さて、CPU11cは、ユーザによる自装置の利用を許可すると、その次に、連携可能装置リスト233を生成する(ステップS14)。ここでは、CPU11は、前述の如く、図3に示した管理テーブル231の内容に従って、表示装置10a,10dの装置ID「did001」及び「did004」を列挙した図5の連携可能装置リスト233を生成してRAM13に記憶する。なお、この連携可能装置リスト233を生成することができなかったとき、つまり、自装置と連携可能な他装置が存在しなかった場合には(ステップS15;NO)、CPU11cは図8に示す処理を終了する。一方、この連携可能装置リスト233を生成することができたとき、つまり自装置と連携可能な表示装置が存在する場合には(ステップS15;YES)、CPU11cは、連携する対象となる他装置をユーザに選択させるための連携装置選択画面を表示制御装置16によって記憶性液晶表示体15に表示させる(ステップS16)。
【0032】
図9は、この連携装置選択画面の表示例を示す図である。
この連携装置選択画面には、連携可能装置リスト233に記述された他装置の装置名又は装置IDが列挙されるとともに、各々の他装置を選択するためのチェックボックスが設けられている。また、この連携装置選択画面には、いずれの他装置とも連携しないことを選択するためのチェックボックスも設けられている。ユーザが、例えば表示装置10a及び表示装置10dに対応するチェックボックスを選択して、「OK」というソフトボタンを選択すると、CPU11cは、ユーザによって他装置と連携することが指示されたと判断する(ステップS17;YES)。なお、図9では、分かりやすく説明するために、他装置の識別名称として「表示装置10a」、「表示装置10d」及び「表示装置10e」などといった名称を用いているが、実際には、各装置に割り当てられた呼び名やニックネームなどが表示されることになる。
【0033】
そして、CPU11cは、ユーザによって選択された他装置に対して、連携を要求する(ステップS18)。ここでは、CPU11cは、図5に示した連携可能装置リストに記述された装置ID「did001」及び「did004」の表示装置10に対して連携を要求することになる。この連携の要求は、その要求先の他装置の利用を許可することを要求するものである。この要求を受けた他装置のCPU11は、自身が連携保留中でなければ、自身をユーザに対して利用可能な状態にしてから、表示装置11cに上記要求に応じた旨の応答を返す。ここでいう“自身を利用可能な状態にする”とは、この他装置に対してユーザが正当なユーザID及びパスワードによるユーザ認証を経てログインした場合と全く同様に、この他装置の各種リソースをユーザが自由に利用可能な状態のことである。よって、ユーザはこの他装置のキー22を操作するなどして各種リソースを自由に利用することができる。
【0034】
また、この通知を受けた他装置が連携保留中である場合には、その他装置のCPU11は、その連携保留となっている相手方の表示装置10に対して、連携保留を解除して別の表示装置(つまり表示装置11c)と連携状態に移行する旨を通知する。その後に、自身を利用可能な状態にしてから、表示装置11cに上記要求に応じた旨の応答を返す。
【0035】
CPU11cは、上記応答を他装置から受け取ると(ステップS19;YES)、連携状態テーブル234の内容を更新して(ステップS20)、図8の処理を終了する。ここでは、装置ID「did001」及び「did004」の表示装置10からいずれも上記応答を受け取ったものとすると、CPU11cは、図6(a)に示すような内容の連携状態テーブル234を生成してRAM13に記憶することになる。一方、CPU11cは、上記応答を他装置から受け取ることができなかった場合には(ステップS19;NO)、連携できない旨のメッセージを表示制御装置16によって記憶性液晶表示体15に表示させる(ステップS21)。そして、CPU11cは、図8の処理を終了する。この場合は、ユーザが他装置を利用することができないだけで、この自装置については自由に利用することができる。
【0036】
(連携後の他装置の動作)
次に、上述のようにして連携がなされた後の他装置の動作について説明する。
図10は、他装置(例えば上記表示装置10cと連携した表示装置10a)のCPU11(以下、CPU11aという)が、その連携後に実行する手順を示すフローチャートである。
ユーザは他装置のキー22を操作するなどして、連携の解除を指示することができる。この場合、CPU11aは、連携の解除が指示されたと判断すると(ステップS31;YES)、自身を利用できない状態に戻す(ステップS32)。自身を利用できない状態とは、ユーザ認証を行っていない、いわゆるログオフの状態である。よって、ユーザは連携が解除された他装置のリソースを利用することはできない。また、CPU11aは、連携が開始されたときから、ユーザによって利用されない期間をタイマ25によって計測しており、連携の解除が指示されない場合には(ステップS31;NO)、そのタイマ25の計測時間が所定期間(例えば30分)を超えたか否かを判断する(ステップS33)。
【0037】
所定期間を超えた場合には(ステップS33;YES)、CPU11aは、連携中の状態から連携保留状態に移行する(ステップS34)。この連携保留状態において、ユーザによりキー22が操作されるなどの、何らかの利用が行われると(ステップS35;YES)、CPU11aは、連携保留状態から連携中の状態に移行して(ステップS36)、ステップS31の処理に戻る。また、この連携保留状態において、なんら利用がされないまま(ステップS35;NO)、別の第3の表示装置10から連携を要求された場合には(ステップS37;YES)、CPU11aは、もともとの連携の相手方である表示装置10との連係を解除する。つまり、元々の連携の相手方の利用が許可されているユーザに対する表示装置10aの利用の許可を取り止める。そして、CPU11aは、新たに連携を要求してきた表示装置10との連携を行う(ステップS38)。つまり、CPU11aは、新たに連携を要求してきた第3の表示装置10の利用が許可されているユーザに対する自装置(表示装置10a)の利用を許可するのである。
【0038】
いったん連携した表示装置10aは、上記のように、連携中又は連携保留中のいずれかの状態を取り得る。よって、CPU11aは、他の表示装置から所定のハンドシェークシーケンスを経て情報交換が要求された場合、連携中であれば、既に他の表示装置と連携している旨の連携利用有無情報を生成して送信するし、また、連携保留中であれば、その旨の連携利用有無情報を生成して送信する。また、いずれの表示装置10とも連携もしていないし、連携保留中でもない場合に、他の表示装置から所定のハンドシェークシーケンスを経て情報交換が要求された場合、CPU11aは、連携していない旨の連携利用有無情報を生成して送信する。
【0039】
以上説明した実施形態によれば、各ユーザは、自らのユーザID及びパスワードを、表示装置10a〜10fのうちのいずれかに入力することで、その表示装置10にログインして利用することが可能となる。さらに、このユーザは、上記のログインした表示装置10(自装置)以外の表示装置10(他装置)のうち、自装置と連携可能な他装置に対してもログインして同時に利用可能となる。このように、ユーザは1回のユーザ認証で複数の表示装置10を利用し得るので、複数の表示装置10のそれぞれに対してユーザ認証の作業を行う場合と比較すると、そのユーザ認証のための作業量は少なくなるから便利である。
【0040】
また、上記実施形態によれば、CPU11は、連携可能な表示装置10の装置名などを列挙して表示し、表示した装置名のうち、ユーザによって選択された装置名の表示装置10に対して、当該表示装置の利用を許可するよう要求する。よって、ユーザが望まない表示装置との連携は行わずに、ユーザが望む他装置の利用を図ることができる。
【0041】
また、例えば他装置に対し連携を解除するような指示をユーザが行うまでの間は、連携状態を継続するような設計にしてしまうと、その他装置がユーザによって忘れられて放置されたような場合には、その他装置は利用される可能性が非常に低いのにも関わらず、別の第3の表示装置と新たに連携することができなくなってしまう。そこで、上記実施形態では、自装置と他装置とがいったん連携したとしても、他装置においてユーザによって利用されない期間が或る所定期間を超えると、その他装置を連携保留状態に移行させ、必要に応じて、別の第3の表示装置10と連携し得るようにしている。よって、連携はしてはみたものの、利用される機会がないような表示装置10を、有効に活用することができる。
【0042】
(変形例)
上記実施形態を次のように変形してもよい。また、以下の各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
(変形例1)
実施形態では、情報処理装置の一例として、表示装置10を挙げたが、情報処理装置の種類はこれに限らない。本発明が適用される情報処理装置は、要するに、互いに通信を行うことが可能で、且つ、何らかの情報処理を行ってユーザに利用されるものであればよい。よって、例えば音声再生装置や通信装置などもこの情報処理装置に含まれる。なお、表示装置10がパソコン20を自身の通信手段として利用する場合には、これら表示装置10及びパソコン20が1つの情報処理装置として振る舞うことになる。
【0043】
(変形例2)
認証情報は、パスワードに限らず、例えば指紋や声紋或いはユーザの身体の一部の画像など、人間の生体に固有の生体情報であってもよい。また、表示装置10によって読み取り可能な非接触ICカードに記憶された認証情報であってもよい。特に後者は会社などの組織において、組織構成員にICカードが渡されているような場合には便利である。いずれにしろ、表示装置10に簡易な操作で入力できるような認証情報であることが望ましい。このような生体情報や、カードに記憶された認証情報を用いる場合、これらの情報だけで、ユーザの正当性を確認することができるとともに、ユーザを一意に特定するこができる。よって、実施形態で例示したユーザIDなどのユーザ識別情報は必ずしも必要ではない。つまり、実施形態では、ユーザを特定するユーザ特定情報として、ユーザID又はパスワードの双方(又は、場合によってはユーザIDのみ)を用いていたのに対し、改竄が困難でユーザ間の重複がない生体情報などを用いた場合には、その生体情報そのものがユーザ特定情報となり得る。
【0044】
(変形例3)
実施形態では、各々の表示装置10に対して、それぞれ個別にユーザの利用登録がなされていた。図3の例で説明すると、装置ID「did001」が割り当てられた表示装置10は、ユーザID「uid01」、「uid03」又は「uid04」の3人のユーザに対する利用の登録がなされているし、また、装置ID「did002」が割り当てられた表示装置10は、ユーザID「uid02」及び「uid03」のユーザに対する利用の登録がなされている、といった具合である。ただし、必ずしもこのような利用の登録形態に限らず、全てのユーザが全ての表示装置10に対して利用の登録がされていてもよい。この場合、ユーザがいずれかの表示装置10に最初にログインする際には、どのユーザがログインしたかが特定されることになるが、そのログイン後、自装置は、他装置に対して特にユーザを指定せずに、利用を許可するよう要求すればよい。一方、その要求を受けた他装置も、特にユーザを特定せずに、自身の利用を許可することになる。
【0045】
(変形例4)
実施形態では、ユーザに対して表示装置10の利用が許可されると、そのユーザは表示装置10の全てのリソースが利用可能であったが、そうではなくて、各ユーザが表示装置10を利用し得る範囲を制限してもよい。この場合、各々の表示装置10の不揮発性メモリ23には、例えばACL(Access Control List)と呼ばれるテーブルのように、各ユーザのユーザ特定情報とそのユーザが表示装置10を利用し得る範囲(例えばアクセスし得る範囲)とが対応付けられて記憶されている。そして、CPU11は、この対応関係に基づき、自装置にログインしたユーザのユーザ特定情報に対応する範囲を特定し、その範囲内での利用を許可する。また、CPU11は、連携可能な他装置に対しては、自装置にログインしたユーザのユーザ特定情報を指定して当該他装置の利用を許可するよう要求する。そして、この要求を受けた他装置は、自身が記憶しているユーザ特定情報及び利用範囲の対応関係に基づき、指定されたユーザ特定情報に対応する範囲を特定し、その範囲内での利用を許可する。
【0046】
例えば、情報処理装置のユーザは、オーナーユーザと、ゲストユーザとに分けられることがある。オーナーユーザとは、その情報処理装置の持ち主となるユーザのことであり、ゲストユーザとはその情報処理装置の一時的なユーザのことである。1つの情報処理装置に対して、大抵の場合、オーナーユーザは1人であるが、ゲストユーザは1人であってもよいし複数であってもよい。また、オーナーユーザの利用範囲は、ゲストユーザの利用範囲よりも広い。このオーナーユーザが利用し得る範囲には、例えば、他装置に記憶されている装置識別情報及びユーザ特定情報を、自装置に記憶させることが少なくとも含まれている。
【0047】
図11は、このオーナーユーザの利用範囲に従って、表示装置10aにゲストユーザとして記憶されているユーザ特定情報を、表示装置10bのゲストユーザのユーザ特定情報として記憶させる様子を説明する図である。同図に示すように、ユーザAは表示装置10a、10bのオーナーユーザであると同時に、表示装置10d、10eのゲストユーザである。表示装置10aを自装置とした場合、連携装置選択画面においては、図12に示すように、オーナーユーザとして表示装置10bと連携するのか、ゲストユーザとして表示装置10d、10eと連携するのか、或いは、連携しないのかを選択し得るようになっている。
【0048】
ここで、例えばオーナーユーザとして表示装置10bと連携することがユーザAにより選択された場合には、所定の操作に応じて、図13に示すような画面が表示される。この画面において、ユーザAが表示装置10aに対して、表示装置10bへのゲストユーザのユーザ登録情報のマージを指示すると、表示装置10aからゲストユーザのユーザB,C,Dのユーザ登録情報が送信される。表示装置10bでは、受信したユーザB,C,Dのユーザ登録情報のうち、自装置に記憶されていないユーザCのユーザ登録情報を記憶する。ここでいう、ユーザ登録情報とは、ユーザIDやパスワードなどのユーザ特定情報のほか、そのユーザの各種属性に関する情報を含んでもよい。これにより、図11に示すように、ゲストユーザのユーザCのユーザ登録情報が、表示装置10aから表示装置10bにコピーされることになる。
【0049】
このときの利用の対象となる情報は、上記のユーザ登録情報に限らず、ユーザ毎にアクセス範囲が決められた文書等の情報であってもよい。例えば、図14に示すような画面において、ユーザAが表示装置10aに対して、表示装置10bへの全ての情報のマージを指示すると、表示装置10aに記憶されている情報のうち、オーナーユーザとしてのユーザAが利用可能な情報が表示装置10bに送信される。表示装置10bでは、受信した情報のうち、自装置に記憶されていない情報を記憶する。
このようにすれば、表示装置10を連携させた上で、一方の表示装置10に記憶されている情報のうち、ログインしているユーザが利用可能な情報を他方の表示装置10に記憶させることが可能となる。
【0050】
(変形例5)
実施形態に係る表示装置10は、或る第1の表示装置10から自装置の利用を許可するよう要求されると連携状態に移行する。そして、その連携状態において自装置が利用されないまま所定期間が経過してから、別の第2の表示装置10から自装置の利用を許可するよう要求された場合には、第1の表示装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用の許可を取り止める。その一方で、第2の表示装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用を許可する。
これに限らず、表示装置10は、他装置から自装置の利用を許可するよう要求されて連携状態に移行し、その連携状態において自装置が利用されないまま所定期間が経過すると、自装置における連携を解除し、利用の許可を取りやめてもよい。この場合、ユーザ認証を行っていない、いわゆるログオフの状態に戻ることになる。
【0051】
(変形例6)
実施形態において、上記実施形態によれば、CPU11は、連携可能な表示装置10の装置名などの装置識別情報を列挙して表示し、表示した装置名のうち、ユーザによって選択された装置名の表示装置10に対して、当該表示装置の利用を許可するよう要求していた。ただし、このようなユーザによる選択は必ずしも必須ではなく、CPU11は、連携可能な全ての表示装置10に対して当該表示装置の利用を許可するよう要求してもよい。また、CPU11は、他装置と連携するかどうかだけを問い合わせるメッセージを記憶性液晶表示体15に表示させ、その問い合わせに応じてユーザが他装置と連携するよう指示した場合には、連携可能な全ての表示装置10に対して当該表示装置の利用を許可するよう要求してもよい。
【0052】
(変形例7)
上述したCPU11が実行するプログラムは、磁気テープ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光記録媒体、光磁気記録媒体、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)、RAMなどの記録媒体に記録した状態で提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【図2】同実施形態に係る表示装置の構成を示すブロック図である。
【図3】同表示装置が記憶している認証テーブルの内容の一例を示す図である。
【図4】同表示装置が記憶している連携可能装置リストの内容の一例を示す図である。
【図5】同表示装置が記憶している連携状態テーブルの内容の一例を示す図である。
【図6】同表示装置の処理を示すフローチャートである。
【図7】同表示装置の処理を示すフローチャートである。
【図8】同表示装置が表示する画面の一例を示す図である。
【図9】変形例に係る表示装置が表示する画面の一例を示す図である。
【図10】同表示装置の処理を示すフローチャートである。
【図11】変形例において、表示装置にゲストユーザとして記憶されているユーザ特定情報を他の表示装置に記憶させる様子を説明する図である。
【図12】変形例に係る表示装置が表示する画面の一例を示す図である。
【図13】変形例に係る表示装置が表示する画面の一例を示す図である。
【図14】変形例に係る表示装置が表示する画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
100…情報処理システム、10…表示装置、20…パソコン、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…VRAM、15…記憶性液晶表示体、16…表示制御装置、17…電源、18…電源制御装置、19…コネクタ、20…記憶制御装置、21…I/O、22…キー、23…不揮発性メモリ、24…記憶媒体、25…タイマ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに通信を行う複数の情報処理装置を備えた情報処理システムであって、
各々の前記情報処理装置は、
自装置及び自装置以外の情報処理装置である他装置にそれぞれ割り当てられた装置識別情報と、各々のユーザを特定するユーザ特定情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
ユーザが前記ユーザ特定情報を入力する入力手段と、
前記記憶手段により自装置の装置識別情報に対応付けて記憶されているユーザ特定情報と、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報とが合致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によってユーザ特定情報が合致すると判定された場合、自装置の利用を許可する第1の利用許可手段と、
前記判定手段によって合致すると判定されたユーザ特定情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する利用要求手段と、
自装置以外の情報処理装置である他装置から、自装置の利用を許可するように要求された場合には、自装置の利用を許可する第2の利用許可手段と
を備え、
前記複数の情報処理装置に含まれる第1の情報処理装置が備える前記利用要求手段が、前記複数の情報処理装置に含まれる第2の情報処理装置に対して、当該第2の情報処理装置の利用を許可するよう要求すると、
前記第2の情報処理装置が備える第2の利用許可手段は、前記第1の情報処理装置からの前記要求に応じて、当該第2の情報処理装置の利用を許可する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
自装置及び自装置以外の情報処理装置である他装置にそれぞれ割り当てられた装置識別情報と、各々のユーザを特定するユーザ特定情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
ユーザが前記ユーザ特定情報を入力する入力手段と、
前記記憶手段により自装置の装置識別情報に対応付けて記憶されているユーザ特定情報と、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報とが合致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によってユーザ特定情報が合致すると判定された場合、自装置の利用を許可する第1の利用許可手段と、
前記判定手段によって合致すると判定されたユーザ特定情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する利用要求手段と、
自装置以外の情報処理装置である他装置から、自装置の利用を許可するように要求された場合には、自装置の利用を許可する第2の利用許可手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
自装置と通信可能な前記他装置から、当該他装置の装置識別情報と、前記ユーザ特定情報と、当該他装置がユーザによって既に利用されているか否かを表す利用有無情報とを取得する取得手段を備え、
前記取得手段が取得した前記利用有無情報に基づいて当該他装置がユーザにより利用されていないと判断される場合には、前記記憶手段が、前記取得手段が取得した前記前記他装置の装置識別情報と前記ユーザ特定情報とを対応付けて記憶する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記利用要求手段は、前記他装置の利用を許可するよう要求するか否かをユーザに問い合わせ、当該問い合わせに応じてユーザが当該要求を行うよう指示した場合には、前記他装置に対して当該他装置の利用を許可するよう要求する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記利用要求手段は、特定した前記装置識別情報を表示し、表示した装置識別情報のうち、ユーザによって選択された装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2の利用許可手段は、
第1の前記他装置から自装置の利用を許可するよう要求されてから、自装置が利用されないまま所定期間が経過し、その経過後に、第2の前記他装置から自装置の利用を許可するよう要求された場合には、
前記第1の他装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用の許可を取り止めて、前記第2の他装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用を許可する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ユーザ特定情報に対応付けて、当該ユーザ特定情報によって特定されるユーザが自装置を利用し得る範囲を記憶する利用範囲記憶手段を備え、
前記利用要求手段は、特定した前記装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対し、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報を指定して、当該他装置の利用を許可するよう要求し、
前記第2の利用許可手段は、前記他装置からユーザ特定情報を指定して自装置の利用を許可するよう要求された場合には、前記利用範囲記憶手段によって当該ユーザ特定情報に対応付けて記憶されている範囲内で自装置の利用を許可する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記利用範囲記憶手段は、
自装置のオーナーユーザのユーザ特定情報と、当該オーナーユーザが自装置を利用し得る範囲とを対応付けて記憶するとともに、
自装置の一時的な利用者であるゲストユーザのユーザ特定情報と、当該ゲストユーザが自装置を利用し得る範囲とを対応付けて記憶しており、
前記オーナーユーザが利用し得る範囲は、前記ゲストユーザが利用し得る範囲よりも広く、
前記オーナーユーザが利用し得る範囲には、少なくとも、他装置の前記記憶手段に記憶されている前記装置識別情報及び前記ユーザ特定情報を自装置の前記記憶手段に記憶させることが含まれている
ことを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、
自装置及び自装置以外の情報処理装置である他装置にそれぞれ割り当てられた装置識別情報と、各々のユーザを特定するユーザ特定情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
ユーザが前記ユーザ特定情報を入力する入力手段と、
前記記憶手段により自装置の装置識別情報に対応付けて記憶されているユーザ特定情報と、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報とが合致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によってユーザ特定情報が合致すると判定された場合、自装置の利用を許可する第1の利用許可手段と、
前記判定手段によって合致すると判定されたユーザ特定情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する利用要求手段と、
自装置以外の情報処理装置である他装置から、自装置の利用を許可するように要求された場合には、自装置の利用を許可する第2の利用許可手段と
して機能させるプログラム。
【請求項1】
互いに通信を行う複数の情報処理装置を備えた情報処理システムであって、
各々の前記情報処理装置は、
自装置及び自装置以外の情報処理装置である他装置にそれぞれ割り当てられた装置識別情報と、各々のユーザを特定するユーザ特定情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
ユーザが前記ユーザ特定情報を入力する入力手段と、
前記記憶手段により自装置の装置識別情報に対応付けて記憶されているユーザ特定情報と、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報とが合致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によってユーザ特定情報が合致すると判定された場合、自装置の利用を許可する第1の利用許可手段と、
前記判定手段によって合致すると判定されたユーザ特定情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する利用要求手段と、
自装置以外の情報処理装置である他装置から、自装置の利用を許可するように要求された場合には、自装置の利用を許可する第2の利用許可手段と
を備え、
前記複数の情報処理装置に含まれる第1の情報処理装置が備える前記利用要求手段が、前記複数の情報処理装置に含まれる第2の情報処理装置に対して、当該第2の情報処理装置の利用を許可するよう要求すると、
前記第2の情報処理装置が備える第2の利用許可手段は、前記第1の情報処理装置からの前記要求に応じて、当該第2の情報処理装置の利用を許可する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
自装置及び自装置以外の情報処理装置である他装置にそれぞれ割り当てられた装置識別情報と、各々のユーザを特定するユーザ特定情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
ユーザが前記ユーザ特定情報を入力する入力手段と、
前記記憶手段により自装置の装置識別情報に対応付けて記憶されているユーザ特定情報と、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報とが合致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によってユーザ特定情報が合致すると判定された場合、自装置の利用を許可する第1の利用許可手段と、
前記判定手段によって合致すると判定されたユーザ特定情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する利用要求手段と、
自装置以外の情報処理装置である他装置から、自装置の利用を許可するように要求された場合には、自装置の利用を許可する第2の利用許可手段と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
自装置と通信可能な前記他装置から、当該他装置の装置識別情報と、前記ユーザ特定情報と、当該他装置がユーザによって既に利用されているか否かを表す利用有無情報とを取得する取得手段を備え、
前記取得手段が取得した前記利用有無情報に基づいて当該他装置がユーザにより利用されていないと判断される場合には、前記記憶手段が、前記取得手段が取得した前記前記他装置の装置識別情報と前記ユーザ特定情報とを対応付けて記憶する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記利用要求手段は、前記他装置の利用を許可するよう要求するか否かをユーザに問い合わせ、当該問い合わせに応じてユーザが当該要求を行うよう指示した場合には、前記他装置に対して当該他装置の利用を許可するよう要求する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記利用要求手段は、特定した前記装置識別情報を表示し、表示した装置識別情報のうち、ユーザによって選択された装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第2の利用許可手段は、
第1の前記他装置から自装置の利用を許可するよう要求されてから、自装置が利用されないまま所定期間が経過し、その経過後に、第2の前記他装置から自装置の利用を許可するよう要求された場合には、
前記第1の他装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用の許可を取り止めて、前記第2の他装置の利用が許可されているユーザに対する自装置の利用を許可する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記ユーザ特定情報に対応付けて、当該ユーザ特定情報によって特定されるユーザが自装置を利用し得る範囲を記憶する利用範囲記憶手段を備え、
前記利用要求手段は、特定した前記装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対し、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報を指定して、当該他装置の利用を許可するよう要求し、
前記第2の利用許可手段は、前記他装置からユーザ特定情報を指定して自装置の利用を許可するよう要求された場合には、前記利用範囲記憶手段によって当該ユーザ特定情報に対応付けて記憶されている範囲内で自装置の利用を許可する
ことを特徴とする請求項2記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記利用範囲記憶手段は、
自装置のオーナーユーザのユーザ特定情報と、当該オーナーユーザが自装置を利用し得る範囲とを対応付けて記憶するとともに、
自装置の一時的な利用者であるゲストユーザのユーザ特定情報と、当該ゲストユーザが自装置を利用し得る範囲とを対応付けて記憶しており、
前記オーナーユーザが利用し得る範囲は、前記ゲストユーザが利用し得る範囲よりも広く、
前記オーナーユーザが利用し得る範囲には、少なくとも、他装置の前記記憶手段に記憶されている前記装置識別情報及び前記ユーザ特定情報を自装置の前記記憶手段に記憶させることが含まれている
ことを特徴とする請求項7記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータを、
自装置及び自装置以外の情報処理装置である他装置にそれぞれ割り当てられた装置識別情報と、各々のユーザを特定するユーザ特定情報とを対応付けて記憶する記憶手段と、
ユーザが前記ユーザ特定情報を入力する入力手段と、
前記記憶手段により自装置の装置識別情報に対応付けて記憶されているユーザ特定情報と、前記入力手段に入力されたユーザ特定情報とが合致するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によってユーザ特定情報が合致すると判定された場合、自装置の利用を許可する第1の利用許可手段と、
前記判定手段によって合致すると判定されたユーザ特定情報に対応付けて前記記憶手段に記憶されている他装置の装置識別情報を特定し、特定した装置識別情報が割り当てられた前記他装置に対して、当該他装置の利用を許可するよう要求する利用要求手段と、
自装置以外の情報処理装置である他装置から、自装置の利用を許可するように要求された場合には、自装置の利用を許可する第2の利用許可手段と
して機能させるプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2009−129027(P2009−129027A)
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−300921(P2007−300921)
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年11月20日(2007.11.20)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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