説明

情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム

【課題】被写体に対して状態変化を促す情報を提供することが可能な情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置は、撮像画像を取得する画像取得部141と、上記画像取得部により取得される撮像画像内の被写体に対して、状態変化を促すためのグラフィックを生成する生成部143と、上記生成部により生成されたグラフィックの上記被写体への照射を制御する照射制御部144とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタとカメラの機能を併せ持つ装置が登場し、カメラによる撮影において、プロジェクタの機能を利用することが提案されてきている。例えば、特許文献1には、撮影情報を被写体に向けて照射することにより、被写体が撮影に関する情報を知ることができるカメラが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−129120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のカメラを用いると、被写体は、例えば撮影範囲などの撮影に関する情報を知ることができるが、それによって被写体が何をすればよいのかは知ることができず、被写体は与えられた情報から自分で判断するしかなかった。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、被写体に対して状態変化を促す情報を提供することが可能な、新規かつ改良された情報処理装置、情報処理方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、撮像画像を取得する画像取得部と、上記画像取得部により取得される撮像画像内の被写体に対して状態変化を促すためのグラフィックを生成する生成部と、上記生成部により生成されたグラフィックの上記被写体への照射を制御する照射制御部と、を有する情報処理装置が提供される。
【0007】
また、上記画像取得部により取得される撮像画像を解析する解析部をさらに有し、上記生成部は、上記解析部における解析結果に基づいて上記グラフィックを生成してもよい。
【0008】
また、操作者による操作の情報を取得する操作情報取得部をさらに有し、上記生成部は、上記操作情報に基づいて上記グラフィックを生成してもよい。
【0009】
また、上記生成部は、生成した上記グラフィックに対する操作の情報に基づいて修正グラフィックを生成し、上記照射制御部は、上記修正グラフィックの上記被写体への照射を制御してもよい。
【0010】
また、上記解析部は、所望の状態と上記撮像画像内の被写体の状態との差異を示す差異情報を含む解析結果を出力し、上記生成部は、上記差異情報に基づいて、上記被写体が上記所望の状態に近づくよう上記被写体に対して状態変化を促すためのグラフィックを生成してもよい。
【0011】
また、上記照射制御部は、上記差異情報が所定の閾値以下となったことが検知されると、上記グラフィックの照射を停止させてもよい。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、情報処理装置の演算処理手段に所定の処理手順を実行させることにより実現される譲歩処理方法の、上記処理手順が、撮像画像を取得する画像取得ステップと、上記撮像画像内の被写体に対して状態変化を促すためのグラフィックを生成する生成ステップと、上記グラフィックの上記被写体への照射を制御する照射制御ステップと、を含む、情報処理方法が提供される。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、撮像画像を取得する画像取得部と、上記画像取得部により取得される撮像画像内の被写体に対して状態変化を促すためのグラフィックを生成する生成部と、上記生成部により生成されたグラフィックの上記被写体への照射を制御する照射制御部として機能させるためのプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように本発明によれば、被写体に対して状態変化を促す情報を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の外観図である。
【図2】同実施形態にかかる情報処理装置のハードウェア構成図である。
【図3】同実施形態に係る情報処理装置によって実現されるユーザ体験の一例を示す説明図である。
【図4】同実施形態に係る情報処理装置の機能ブロック図である。
【図5】同実施形態に係る情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】ユーザ操作に従ってグラフィックが生成される一例の説明図である。
【図7】撮像領域と照射領域が異なる場合の表示例を示す説明図である。
【図8】ユーザ操作と生成されるグラフィックの一例を示す説明図である。
【図9】ユーザ操作と生成されるグラフィックの他の一例を示す説明図である。
【図10】ユーザ操作と生成されるグラフィックの他の一例を示す説明図である。
【図11】ユーザ操作と生成されるグラフィックの他の一例を示す説明図である。
【図12】ユーザ操作と生成されるグラフィックの他の一例を示す説明図である。
【図13】ユーザ操作と生成されるグラフィックの他の一例を示す説明図である。
【図14】ユーザ操作と生成されるグラフィックの他の一例を示す説明図である。
【図15】ユーザ操作と生成されるグラフィックの他の一例を示す説明図である。
【図16】修正グラフィックの生成の一例についての説明図である。
【図17】修正グラフィックの生成の他の一例についての説明図である。
【図18】解析結果により生成されるグラフィックの一例を示す説明図である。
【図19】解析結果により生成されるグラフィックの他の一例を示す説明図である。
【図20】解析結果により生成されるグラフィックの他の一例を示す説明図である。
【図21】解析結果により生成されるグラフィックの他の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0017】
なお、説明は以下の順序で行うものとする。
1.概要
2.機能構成
3.動作
4.ユーザ操作に従ってグラフィックを生成する例
5.解析結果に従って自動的にグラフィックを生成する例
【0018】
<1.概要>
まず、図1を参照して、本実施形態の概要について説明する。本実施形態にかかる情報処理装置10は、主に、被写体を撮像する撮像装置(カメラ)と、映像を被写体に照射する照射装置(プロジェクタ)と、カメラにより撮像された撮像画像を表示する表示装置(ディスプレイ)などを備える。図1に示したように、情報処理装置10の一の面(表面)には、ディスプレイ11が備えられている。また、情報処理装置10の他の面(裏面)には、カメラ用レンズ12とプロジェクタ用レンズ13が備えられている。以下では、カメラ用レンズ12を含むカメラを撮像装置12またはカメラ12と称し、プロジェクタ用レンズ13を含むプロジェクタを照射装置13またはプロジェクタ13と称する。
【0019】
情報処理装置10では、カメラ12とプロジェクタ13が情報処理装置10の筐体の固定の位置に備えられている。カメラ12で撮像された被写体の画像は、ディスプレイ11に表示される。また、プロジェクタ13から被写体に投影イメージが照射される。そして、投影イメージが照射された被写体がディスプレイ11に表示される。
【0020】
次に、図2を参照して、情報処理装置10のハードウェア構成について説明する。図2は、情報処理装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図2に示したように、情報処理装置10は、表示装置(ディスプレイ)11と、撮像装置(カメラ)12と、照射装置(プロジェクタ)13と、CPU14と、入力装置15と、RAM(Random Access Memory)16と、不揮発性メモリ17などを備える。
【0021】
CPU14は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って情報処理装置10内の動作全般を制御する。また、CPU14は、マイクロプロセッサであってもよい。RAM16は、CPU14の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変換するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバスにより相互に接続されている。不揮発性メモリ17は、CPU14が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。不揮発性メモリ17は、例えばROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等を用いることができる。
【0022】
表示装置11は、情報を出力する出力装置の一例である。表示装置11として、例えば液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置などを用いることができる。
【0023】
撮像装置12は、撮像レンズを介して通過した光をCCDで電気信号に変換し、アナログ信号をデジタル変換することにより被写体を撮像する機能を有する。撮像装置12により撮像された画像は、表示装置11に表示される。
【0024】
照射装置13は、照射レンズを介して被写体に光を照射する機能を有する。照射装置13は、CPU14の制御のもと、投影イメージを被写体に照射する。
【0025】
入力装置15は、例えば、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU14に出力する入力制御回路などから構成されている。なお、以下の説明中においては、入力装置15は表示装置11上に積層されたタッチパネルである場合について主に説明するため、タッチパネル15と称する。
【0026】
次に、情報処理装置10を用いて実現できるユーザ体験の一例について図3を用いて説明する。図3は、情報処理装置10を用いて実現できるユーザ体験の一例について説明するための説明図である。
【0027】
なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の役割を有する要素を同一の符号の後にハイフンを介して異なる番号を付して区別する場合もある。例えば、実質的に同一の役割を有する複数の要素を、必要に応じて被写体20−1、被写体20−2、および被写体20−3のように区別する。ただし、実質的に同一の役割を有する要素を特に区別する必要がない場合、同一符号のみを付する。例えば、被写体20−1、被写体20−2などを特に区別する必要がない場合には、単に被写体20と称する。
【0028】
情報処理装置10は、撮像画像202における被写体20の状態、具体的には、被写体20の配置、表情、ポーズなどの状態変化を促すためのグラフィック102を生成し、被写体20に対して照射装置13を用いて照射する。被写体は、グラフィック102を見ることによって自らに要求されている状態変化を知ることができる。このため、被写体20はグラフィック102に従って移動する、表情を変える、またはポーズを変えるなど状態を変化させることにより、要求されている状態へと変化することができる。
【0029】
ここで、照射するグラフィック102が時の経過に従って変化する動的なグラフィックであれば、被写体20は、静的なグラフィックによって状態変化を促されるよりもその情報の内容をより正確に把握することができる。例えば、図3の例によると、被写体20に全体的に右に移動して欲しい場合には、右向きの小さな矢印が複数連なってなるグラフィック102によって状態変化を促す。このとき、グラフィック102を構成する一部の小さな矢印が欠けており、時の経過に伴って、小さな矢印の欠けている位置が順次右方向に変化する動的なグラフィック102を照射する。これにより、被写体20は、単に静的な右向きの矢印からなるグラフィックを照射されるよりもその方向を直感的に知ることができる。
【0030】
なお、ここで要求されている状態とは、例えば情報処理装置10の操作者が要求する状態であってもよい。この場合、操作者は、表示装置11に表示された撮像画像を見ながら、要求する状態へと被写体20を誘導するためのグラフィックを生成するためにタッチパネル15を用いて入力する。また、例えばここで要求されている状態とは、予め情報処理装置10に記憶された望ましい状態であってもよい。例えば、撮像画像における望ましい構図についての情報を情報処理装置10が予め有している場合に、情報処理装置10は、撮像画像を解析することにより、望ましい構図との差異を埋めるために被写体へ状態変化を促すグラフィックを生成する。また、予め情報処理装置10に記憶された望ましい状態とは、構図に限らず、表情などであってもよい。
【0031】
以上、本実施形態に係る情報処理装置10と、情報処理装置10により実現できるユーザ体験の概要について説明してきた。次に、このような機能を実現するための情報処理装置10の機能構成について図4を用いて説明する。
【0032】
<2.機能構成>
図4は、情報処理装置10のCPU14の機能構成図である。情報処理装置10のCPU14は、画像取得部141、解析部142、生成部143、照射制御部144、操作情報取得部145、および表示制御部146の機能を主に有する。
【0033】
画像取得部141は、撮像装置12を制御することにより、撮像画像を取得する。画像取得部141は、取得した撮像画像を解析部142および表示制御部146に入力する。
【0034】
解析部142は、画像取得部141により取得される撮像画像を解析する。解析部141は、情報処理装置10の動作モードが被写体に対してグラフィックにより情報を提供するアシストモードとなっており、さらにアシストモードの中でも、解析によって自動的にグラフィックを生成する自動解析モードとなっている場合に解析を実行する。動作モードが自動解析モードでない場合には、解析部142は撮像画像の解析を実行せずに、撮像画像を生成部143に入力する。
【0035】
ここで、自動解析モード動作中の場合の解析部142の機能について説明する。解析部142は、所定の解析基準に従って撮像画像を解析することによって、撮像画像中の被写体20の状態が所定の解析基準における好ましい状態であるか否か、また、撮像画像中の被写体20の状態と好ましい状態との差異の程度を示す解析結果を生成部143に出力する。解析部142の具体的な解析の内容については、具体例を用いて後述する。
【0036】
生成部143は、画像取得部141により取得される撮像画像内の被写体に対して状態変化を促すためのグラフィックを生成する。このとき、生成部143は、被写体が所望の状態に近づくように促すためのグラフィックを生成する。生成部143は、情報処理装置10が解析モードで動作している場合には、解析部142の解析結果に基づいて、グラフィックを生成する。また、生成部143は、情報処理装置10がアシストモードの中でも操作者の入力に従ってグラフィックを生成する入力モードで動作している場合には、操作情報取得部145による操作情報に基づいてグラフィックを生成する。さらに、生成部143は、入力モード動作中であっても、操作情報に基づいて、さらに解析結果に基づいてグラフィックが必要な場合には、解析部142に撮像画像を解析させ、操作情報および解析情報の双方に基づいたグラフィックを生成してもよい。かかる具体例については、後述される。そして、生成部143は、生成したグラフィックを照射制御部144および表示制御部146に入力する。
【0037】
また、生成部143は、生成したグラフィックに対する操作の情報に基づいて、照射したグラフィックを修正しあた修正グラフィックを生成してもよい。このとき、操作の情報は、例えば表示装置11に表示されたグラフィックに対して、タッチパネル15を用いて操作者が行った操作の情報であってよい。または、操作の情報は、照射装置13により被写体20に照射されたグラフィックに対して被写体が行った操作の情報であってもよい。
【0038】
照射制御部144は、照射装置13によるグラフィックの照射を制御する。照射制御部144は、生成部143により生成されたグラフィックまたは修正グラフィックの被写体20への照射を制御する。照射制御部144は、例えば撮像装置12のシャッターボタンが押下された情報を操作情報取得部145から得ると、グラフィックの照射を停止してもよい。或いは、照射制御部144は、解析部142による解析結果から被写体20の状態が要求される状態となったことが検知されると、グラフィックの照射を停止してもよい。
【0039】
操作情報取得部145は、情報処理装置10に対する操作者の操作情報を取得する。操作情報取得部145は入力装置15を用いた操作者の操作情報を取得する。ここで、入力装置15は、例えばタッチパネルであってもよく、例えばシャッターボタンのような入力装置であってもよい。
【0040】
表示制御部146は、表示装置11の画面表示を制御する。表示制御部146は、画像取得部141により取得された撮像画像に生成部143から入力されたグラフィックを重畳した表示画像を生成して表示装置11に表示させる。
【0041】
以上、情報処理装置10のCPU14の機能構成について説明してきた。なお、ここで説明した各部の機能は、実際には、CPU14がこれらの機能を実現する処理手順を記述した制御プログラムを記憶したRAM16などの記憶媒体から制御プログラムを読出し、そのプログラムを解釈して実行することにより達成される。なお、以上説明してきた機能部による情報処理装置10の動作について、次に、図5のフローチャートを用いて説明する。
【0042】
<3.動作>
図5は、情報処理装置10のアシストモードにおける動作を説明するためのフローチャートである。まず、情報処理装置10のCPU14は、情報処理装置10の動作モードがアシストモードになっているか否かを判断する(S102)。ステップS102の判断において、動作モードがアシストモードでない場合には、ここで説明する動作は関係ないため、処理を終了する。一方、アシストモードであることが確認された場合には、次に、CPU14は、照射装置13が動作しているか否かを判断する(S104)。
【0043】
ステップS104の判断において照射装置13が動作していない場合には、照射装置の照射を開始し(S106)、次に画像取得部141が撮像装置12から撮像画像を取得する(S108)。そして、画像取得部141が、解析部142および表示制御部146に取得した撮像画像を入力すると、表示制御部146は、入力された撮像画像を表示装置11に表示させる。一方、解析部142は、情報処理装置10の動作モードがアシストモードのうち操作者の操作情報に従って照射するグラフィックを生成する入力モードであるか否かを判断する(S110)。本実施形態においては、アシストモードの動作モードとして入力モードと解析モードがあることとする。
【0044】
ステップS110において動作モードが入力モードであると判断された場合には、次にCPU14は、操作者からの操作入力を受付ける状態となるよう情報処理装置10の動作を制御する(S112)。そして、操作者による操作情報から、撮像画像の解析が必要な操作であるか否かが判断され(S114)、ステップS114の判断において撮像画像の解析が必要な操作であると判断されると、生成部143は、解析部142に撮像画像を解析させる(S116)。ステップS114の判断において、解析の必要な操作ではないと判断された場合には、ステップS116の解析処理は省略される。また一方、ステップS110において、動作モードが入力モードではなく解析モードであると判断された場合には、ステップS112およびステップS114の動作は省略され、ステップS116において、解析部142は、撮像画像を解析する。
【0045】
そして、次に生成部143は、操作情報または解析情報の少なくともいずれかに基づいて、被写体に提示する情報があるか否かを判断する(S118)。ステップS118の判断において提示するべき情報がない場合には、ステップS108に戻って撮像画像が取得される。一方、ステップS118の判断において被写体に提示するべき情報があると判断された場合には、生成部143は、操作情報または解析情報の少なくともいずれかに基づいて、被写体20に照射するグラフィックを生成する(S120)。
【0046】
そして、照射制御部144は、ステップS120において生成部142により生成されたグラフィックを照射装置13に照射させる(S122)。被写体20は、照射されたグラフィックを見て要求されている状態に近づくための状態変化をする。具体的には、状態変化とは、立ち位置を移動したり、表情を変更したり、ポーズを変更したりといった行為をいう。
【0047】
そして、CPU14は、操作者が撮影のために例えばシャッターボタンを半押しすることによってピントを合わせるなどの動作をしたか否かを判断する(S124)。ステップS124における判断の結果、シャッターボタンが押下されていない場合には、再びステップS108に戻って撮像画像の取得が実行される。一方、ステップS124における判断の結果シャッターボタンの押下などの動作が行われた場合には、照射制御部144は、グラフィック照射を停止し(S126)、撮像装置12により撮影が実行される(S128)。なお、ステップS128において撮影が実行された後は、ステップS102の判断に戻り、アシストモードがOFFにされるまで上記の動作が繰り返される。
【0048】
なお、図5の例においては、シャッターボタンの押下を検知することによってグラフィック照射の停止を判断することとしたが、グラフィック照射停止の判断は、かかる例に限定されるものではない。例えば、照射制御部144は、解析部142の解析結果から被写体20の状態が要求される状態となったことが検知されると、グラフィックの照射を停止してもよい。或いは、照射制御部144は、操作者又は被写体による停止操作に基づいてグラフィックの照射を停止してもよい。
【0049】
以上、情報処理装置10の動作について説明してきたが、次は、図6〜図17を用いて、情報処理装置10の生成部143において生成されるグラフィックの具体例を挙げて説明していく。なお、図6〜図15に示されるグラフィックは、操作者による操作情報に従って生成されるグラフィックの例である。また、図16および図17は、生成されたグラフィックを修正する操作の例である。
【0050】
<4.ユーザ操作に従ってグラフィックを生成する例>
情報処理装置10は、操作者による操作情報に従ってグラフィックを生成するが、このとき、タッチパネル15上の操作と、そのとき生成するグラフィックとを予め対応付けておくことによって、操作情報からグラフィックを生成することができる。この対応関係については様々に定めることができるが、例えば以下のような例が挙げられる。
【0051】
まず図6の例について説明する。操作者が、表示装置11の表示画面に表示された撮像画像204を見て、被写体20にもっと右側に移動して欲しいと思った場合を考える。この場合、操作者は、タッチパネル15上において指を右側に動かす動作をすることにより、右側に移動して欲しいことを被写体20に伝えるためのグラフィックを生成することができる。このとき、生成部143は、操作者がタッチパネル上で指を動かした方向に動きの方向があるグラフィックを生成する。また、生成部143は、操作者がタッチパネル上で示した位置にグラフィックが照射されるようにグラフィックを生成する。
【0052】
このとき、タッチパネル上の表示範囲と、照射装置11の照射範囲とが同期されて一致している場合には、操作者がタッチパネル上で操作した位置にグラフィックを照射することができる。なお、図7に示すように、表示範囲51(この場合撮影範囲でもある)が照射範囲52よりも大きい場合には、表示装置11の画面上において、照射範囲52を示すことによって、操作者は、画面上において操作することのできる範囲を知ることができる。
【0053】
また、図6と同様の状態において、図8に示すように、操作者が移動の終点を明確に示すこともできる。操作者は、タッチパネル15上において、指を右に動かしたあと、その終点において縦に線を引く動作をする。すると、右側を向いた矢印を示すグラフィック106の終端に縦棒のグラフィック108が生成される。
【0054】
また、図9のように、操作者が、表示装置11の表示画面に表示された撮像画像208中を見て、被写体20−1および被写体20−2が端に寄り過ぎているため、中央に集まって欲しい場合を考える。操作者は、二本の指の相対距離を縮ませる動作をタッチパネル上において行うことにより、表示装置11の画面の中心点に相当する位置に向かった矢印を含むグラフィックを生成し、被写体に対して照射することができる。また、この場合に生成されるグラフィックは、画面の中心に相当する位置に向かった矢印に限定されるものではない。例えば、図10に示すように、時の経過に従って段々と小さくなる円を含むグラフィック112を被写体に対して照射させることにより、中心に向けた移動の要求を示してもよい。このとき、グラフィック112−3が表示された後は再びグラフィック112−1に戻って、繰り返しグラフィックが照射される。
【0055】
また、図9および図10の例とは逆に、図11のように、操作者が、表示装置11の表示画面に表示された撮像画像210を見て、被写体20にもっと立ち位置を広げるように移動して欲しいと思った場合を考える。この場合、操作者は、二本の指の相対距離を広げる動作をタッチパネル15上において行う。すると、表示装置11の画面の中心から外側に向けた矢印を含むグラフィックが生成され、生成されたグラフィックが被写体に対して照射される。また、図示しないが、図10と同様に、時の経過に従って段々と大きくなる円を含むグラフィックが照射されてもよい。
【0056】
また、操作者が、被写体20−1および被写体20−2に立ち位置を入れ替わって欲しいと思った場合について考える。この場合、操作者は、図12に示すように、タッチパネル15上において、被写体20−1および被写体20−2を指差し、それぞれの指の位置を入れ替える動作を行う。すると、操作者から見て左側の被写体20−1には右側へ移動するよう促すグラフィック118が、操作者から見て右側の被写体20−2には左側へ移動するよう促すグラフィック116が照射される。
【0057】
また、図13に示すように、操作者が、表示装置11の表示画面に表示された撮像画像214を見ると、被写体20の他に、関係のない人物30が写りこんでいた場合について考える。この場合、操作者は、表示画面に表示された撮像画像214の人物30上において、消しゴムでこするような動作をする。すると、人物30上に避けて欲しい旨を伝えるためのグラフィック120が照射される。
【0058】
また、図14に示されるように、操作者が、表示装置11の表示画面に表示された撮像画像216を見ると、被写体20−1および被写体20−2の他に、関係のない人物30が写りこんでいた場合について考える。この場合、操作者は、被写体20−1および被写体20−2の顔を囲むように指でなぞる操作をタッチパネル15上で行う。すると、被写体20−1および被写体20−2に対しては、もっと近寄るよう促すためのグラフィック122が照射され、関係のない人物30−1および人物30−2に対しては、避けてほしい旨を伝えるためのグラフィック123が照射される。このとき、操作者は被写体20の顔を囲む操作を行ったが、これに限らず例えばタッチパネル上で被写体20の顔の部分を触ることによって、被写体を指定するようにしてもよい。
【0059】
または、図15に示されるように、ツールボックスによって予め準備されたグラフィックを選択して操作者が入力するようにしてもよい。例えば、操作者が、被写体20の表情を変化させたい場合、被写体20が笑顔の状態を撮影したい場合には、表示装置11の表示画面に表示されたツールボックス内のアイコン402を触り、これをドラッグ&ドロップ操作することにより、被写体20の顔付近にグラフィック124が照射される。このとき、グラフィック124は、被写体20の表情に応じた色で照射されてもよい。例えば、笑顔の程度が少ないほど寒色系の色が照射され、笑顔に近づくほど暖色系の色が照射されるようにしてもよい。このような色の調整は、解析部142により撮像画像が解析されることにより実現される。
【0060】
また、このツールボックス内に予め準備されたグラフィックを組み合わせることによって照射するグラフィックを生成することもできる。或いは、ツールボックス内のグラフィックテンプレートを操作者が作ることのできるインタフェースを用意してもよい。
【0061】
以上、ユーザの操作情報に基づいて生成されるグラフィックの例について挙げてきたが、次に、生成されたグラフィックを調整する動作について、説明する。例えば、図16は、図8の例によって生成されたグラフィック106及びグラフィック108を調整する例である。例えば左図に示されるように、ユーザのタッチパネル15上の操作に従ってグラフィック106およびグラフィック108が生成される。操作者がグラフィック108に触れて左側に移動するようドラッグ&ドロップ操作を行う。すると、グラフィック108がドロップされた位置に応じてグラフィック106の長さが変更される。なお、この調整操作は、例えば、操作者の操作によって調整モードに切替えることにより行われてもよい。或いは、操作者の指の位置によって既に生成されたグラフィックの調整操作なのか、又は新たなグラフィックの生成のための入力操作なのかが自動的に区別されてもよい。
【0062】
また、例えば、図17は、図10の例によって生成されたグラフィック112を調整する例である。例えば、操作者は、表示装置11の表示画面上に表示された撮像画像222上に重畳して表示されたグラフィック112−1に対して、中図に示すようにグラフィック112−1をつかんで大きさを調整するための動作を行う。例えば図17は、円を小さくする操作が示されている。すると、操作者の操作に従って大きさが調整された修正グラフィック112−2が被写体20に照射される。
【0063】
<5.解析結果に従って自動的にグラフィックを生成する例>
以上、ユーザによる操作情報に基づいてグラフィックが生成される例について説明してきた。次に、解析部142における撮像画像の解析結果に基づいて自動的にグラフィックが生成される例について、説明していく。
【0064】
図18は、被写体20の表情を解析する例である。被写体20が笑っていない場合には、暗い色のグラフィック126−1が照射され、被写体20が笑顔になるほど明るい色のグラフィック126−2が照射されるようにする。このとき、解析部142においては、既存の顔認識技術や笑顔検出技術が用いられてよい。
【0065】
図19は、被写体のフレームアウトを検知する例である。被写体20が撮影領域からはみ出してしまう可能性がある場合、移動すべき方向を示すグラフィックが照射される。
【0066】
また、図20は、顔被りを検出する例である。被写体20−1の顔が他の被写体20−2などによって見えなくなってしまう場合に、他の被写体20−2、被写体20−3、および被写体20−4の位置から、顔被りしない方向への顔の位置の移動を促すグラフィック130が照射される。このとき、解析部142においては、既存の顔認識技術により被写体20の顔を検出し、検出された顔が見えなくなった場合などに顔被りしている状態であると認識することができる。
【0067】
図21は、既に撮影された過去の写真220を被写体に対して照射することにより、その構図情報を参考にして被写体に移動を促す例である。この場合に、解析部142は、過去の写真220と、現在の被写体の位置との差異を検出し、生成部143は、解析部142により検出された差異を埋める方向を示す矢印を含むグラフィックを生成してもよい。
【0068】
なお、解析部142による解析結果から、所望の状態との差異を把握することができる場合には、この情報をグラフィック照射の停止の判断に用いることができる。図5のフローチャートにおいては、照射制御部144は、操作者がシャッターボタンを半押ししたことを検知してグラフィックの照射を停止することとした。しかし、本発明はこれに限らず、解析情報から、所望の状態との差異がなくなった、或いは、非常に小さくなった場合にグラフィックの照射を停止してもよい。例えば、図18の例においては、被写体20の表情が笑顔になったのが検知された場合であり、図20の例においては、全ての人の顔が正しく認識された場合に、グラフィックの照射が停止される。
【0069】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0070】
例えば、上記実施形態では、情報処理装置10は、撮像装置12および照射装置13を内蔵する装置としたが、本発明はかかる例に限定されない。例えば、情報処理装置10は、別体の撮像装置から撮像画像を取得し、照射するグラフィックを生成した後、別体の照射装置へ照射するグラフィックを出力する装置であってもよい。
【0071】
尚、本明細書において、フローチャートに記述されたステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的に又は個別的に実行される処理をも含む。また時系列的に処理されるステップでも、場合によっては適宜順序を変更することが可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0072】
10 情報処理装置
11 表示装置
12 撮像装置
13 照射装置
14 CPU
141 画像取得部
142 解析部
143 生成部
144 照射制御部
145 操作情報取得部
146 表示制御部
15 タッチパネル
16 RAM
17 不揮発性メモリ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得される撮像画像内の被写体に対して状態変化を促すためのグラフィックを生成する生成部と、
前記生成部により生成されたグラフィックの前記被写体への照射を制御する照射制御部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記画像取得部により取得される撮像画像を解析する解析部をさらに備え、
前記生成部は、前記解析部における解析結果に基づいて前記グラフィックを生成する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
操作者による操作の情報を取得する操作情報取得部をさらに備え、
前記生成部は、前記操作情報に基づいて前記グラフィックを生成する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記生成部は、生成した前記グラフィックに対する操作の情報に基づいて修正グラフィックを生成し、
前記照射制御部は、前記修正グラフィックの前記被写体への照射を制御する、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記解析部は、所望の状態と前記撮像画像内の被写体の状態との差異を示す差異情報を含む解析結果を出力し、
前記生成部は、前記差異情報に基づいて、前記被写体が前記所望の状態に近づくよう前記被写体に対して状態変化を促すためのグラフィックを生成する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記照射制御部は、前記差異情報が所定の閾値以下となったことが検知されると、前記グラフィックの照射を停止させる、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
情報処理装置の演算処理手段に所定の処理手順を実行させることにより実現される譲歩処理方法の、前記処理手順が、
撮像画像を取得する画像取得ステップと、
前記撮像画像内の被写体に対して状態変化を促すためのグラフィックを生成する生成ステップと、
前記グラフィックの前記被写体への照射を制御する照射制御ステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項8】
コンピュータを、
撮像画像を取得する画像取得部と、
前記画像取得部により取得される撮像画像内の被写体に対して状態変化を促すためのグラフィックを生成する生成部と、
前記生成部により生成されたグラフィックの前記被写体への照射を制御する照射制御部として機能させるためのプログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−193240(P2011−193240A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−57817(P2010−57817)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】