説明

情報処理装置、情報処理装置の制御方法及び制御プログラム

【課題】 情報処理装置において、揮発性の記憶部をバックアップするための電池の充電が未完了の状態で装置が省電力モードに移行してしまうのを防止すること。
【解決手段】 情報処理装置において、装置が通常モードのときに揮発性の記憶部をバックアップするための電池の充電を行い、装置が通常モードに移行してから所定の時間が経過するまでは装置を省電力モードに移行させないように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理装置の制御方法及び制御プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置には、通常モード又は通常モードより消費電力が少ない省電力モードで動作するものがある。
特許文献1には、情報処理装置が所定の時間使用されなかった場合に、情報処理装置を通常モードから省電力モードに移行させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−36996
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、情報処理装置には、揮発性の記憶媒体を有し、電源の供給が途絶えた場合には、その揮発性の記憶媒体を電池からの電力供給によってバックアップするものがある。
【0005】
しかしながら、このような情報処理装置に特許文献1を適用すると、通常モードでのみ電池の充電を実行する構成とした場合には、電池の充電が未完了の状態で装置が省電力モードに移行してしまうことがあった。
【0006】
本発明は、情報処理装置において、揮発性の記憶部をバックアップするための電池の充電が未完了の状態で装置が省電力モードに移行してしまうのを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理装置は、通常モード又は当該通常モードより消費電力が少ない省電力モードで動作する情報処理装置であって、揮発性の記憶手段と、前記記憶手段に電力を供給する第1の供給手段と、前記第1の供給手段が前記記憶手段に電力を供給できなくなった場合に、前記記憶手段に電力を供給する第2の供給手段と、前記情報処理装置が前記通常モードで動作している場合に、前記第2の供給手段を充電する充電手段と、前記情報処理装置が前記通常モードに移行した後に、前記情報処理装置が前記通常モードで動作した時間を計測する第1の計測手段と、前記第1の計測手段により計測された時間が第1の所定の時間より大きくなるまで、前記情報処理装置を前記省電力モードに移行させないよう制御する制御手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、情報処理装置において、揮発性の記憶部をバックアップするための電池の充電が未完了の状態で装置が省電力モードに移行してしまうのを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】MFPの構成を示すブロック図
【図2】電源部の詳細を示すブロック図
【図3】MFPの動作を示すフローチャート
【図4】電池の充電の詳細を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照して説明する。
なお、以下の説明では、情報処理装置としてMFP(複合機)を例に説明するが、情報処理装置はMFP以外の装置であってもよい。
【0011】
〔第1の実施形態〕
図1は、MFP100の構成を示すブロック図である。
CPU101は、MFP100の動作を制御する。
ROM102は、不揮発性の記憶媒体であり、CPU101が用いるプログラム等を記憶する。
【0012】
DRAM103は、揮発性の記憶媒体であり、ROM102に記憶されたプログラム、LANインターフェース104やモデム105や読取部107により入力された画像データ等を記憶する。
【0013】
LANインターフェース104は、LANを介してMFP100と外部装置の間で画像データ等の入出力を行う。
【0014】
モデム105は、公衆回線を介してMFP100と外部装置の間で画像データ等の入出力を行う。
操作部106は、MFP100を操作するための指示をユーザから受け付ける。
読取部107は、原稿を読み取って画像データを入力する。
画像処理部108は、LANインターフェース104やモデム105や読取部107により入力された画像データに対して、様々な画像処理を実行する。
【0015】
印刷部109は、画像処理部により画像処理が実行された画像データに基づいて、用紙に画像を印刷する。
【0016】
電源部110は、AC電源に接続され、MFPの各構成に対して電力を供給する。なお、電源部110の詳細は、図2を用いて後述する。
【0017】
図2は、電源部110の詳細を示すブロック図である。なお、図2の矢印のうち、太線の矢印は電源系統の流れを示し、細線の矢印は制御系統の流れを示す。
【0018】
装置電源201(第1の供給手段の一例)は、AC電源に接続され、MFP100の各構成に対して電力を供給する。
【0019】
定電流回路202は、装置電源201から電流を受けた電流を所定の値にして、電池203を充電する。
【0020】
電池203(第2の供給手段の一例)は、AC電源の切断等によって、DRAM103が装置電源201から直接電力を供給されなった場合に、DRAM103に対して電力を供給する。
【0021】
電圧検知回路204は、電池203の電圧を検知し、充電制御回路205に信号を送り、電池203の充電が過充電となるのを防止する。
充電制御回路205は、定電流回路202に働きかけて、電池203に対する充電を制御する。
【0022】
タイマー制御回路206(第1の計測手段及び第2の計測手段の一例)は、後述する各種充電時間(連続充電時間や合計充電時間)等を計測する。
装置電源監視回路207は、装置電源201からの電力供給状態を検出し、AC電源が切断されたかどうか監視する。
復帰要因監視回路208は、MFP100が省電力モードから復帰(通常モードへ移行)するための要因を検出する。
【0023】
図2では、電源部110からMFP100の各構成に対する電力供給の状態も示している。
MFP100は、各構成への電力供給状態として、次の2つのモードのうち何れかで動作する。
【0024】
1つ目は、通常モードである。通常モードとは、MFPが通常電力状態で動作している場合のモードであり、このモードにおいて、装置電源201は図2の太い矢印のうち実線の矢印が指し示す各構成と破線の矢印が指し示す各構成の両方に対して電力を供給する。
【0025】
2つ目は、省電力モードである。省電力モードとは、MFPが通常状態より消費電力が少ない省電力状態で動作している場合のモードであり、このモードにおいて、装置電源201は図2の太い矢印のうち実線の矢印が指し示す各構成のみに対して電力を供給する。
【0026】
なお、本実施形態では、省電力モードを1つとしたが、互いに電力の供給対象が異なる省電力モードが複数あってもよい。
【0027】
また、AC電源が切断された状態では、装置電源201は図2の太い矢印のうち実線の矢印が指し示す各構成と破線の矢印が指し示す各構成の両方に対して電力を供給することができなくなり、電池203がDRAM103に対して電力を供給することになる。
【0028】
図3は、MFP100の動作を示すフローチャートである。本フローチャートに示す動作は、CPU101がROM102に記憶されたプログラムをDRAM103に読み出し実行することにより実現される。
【0029】
まず、CPU101は、操作部106を介して、ユーザからMFP100の電源をオンにする指示を受け付ける(S101)。
【0030】
次に、CPU101は、装置電源201を制御して、MFP100を前述した通常モードに移行させる(S102)。
【0031】
次に、CPU101は、充電制御回路205を制御して、電池203の充電を実行する(S103)。なお、電池の充電S103の詳細は、図4を用いて後述する。
【0032】
次に、CPU101は、MFP100を前述した省電力モードに移行させるための所定の要因(条件)が発生したか否かを判断する(S104)。ここで、所定の要因とは、例えば操作部106〜印刷部109が動作しない状態で所定の時間が経過したこと等である。S104で、MFP100を前述した省電力モードに移行させるための所定の要因が発生したと判断された場合(S104でYES)、S105に移行する。S104で、MFP100を前述した省電力モードに移行させるための所定の要因が発生していないと判断された場合(S104でNO)、S107に移行する。
【0033】
S104でYESだった場合、CPU101は、装置電源201を制御して、MFP100を前述した省電力モードに移行させる(S105)。
【0034】
次に、復帰要因監視回路208は、MFP100を前述した通常モードに移行させるための所定の要因(条件)が発生したか否かを判断する(S106)。ここで、所定の要因とは、例えばLANインターフェース104やモデム105が動作して何らかのデータを受信したこと等である。S106で、MFP100を前述した通常モードに移行させるための所定の要因が発生したと判断された場合(S106でYES)、S102に移行する。S106で、MFP100を前述した通常モードに移行させるための所定の要因が発生していないと判断された場合(S106でNO)、待機する。
【0035】
S104でNOだった場合、CPU101は、装置電源監視回路207から信号を受けて、AC電源が切断されたか否かを判断する(S107)。なお、CPU101と装置電源監視回路207は、図示しないコンデンサに接続されており、AC電源が切断された後でも多少の時間は動作することが可能であるものとする。S107で、AC電源が切断されたと判断された場合(S107でYES)、S108に移行する。S107で、AC電源が切断されていないと判断された場合(S107でNO)、S110に移行する。
【0036】
S108でYESだった場合、CPU101は、電池203からDRAM103に電力を供給するように制御する(S108)。
【0037】
次に、装置電源監視回路207は、AC電源が復旧したか否かを判断する(S109)。S109で、AC電源が復旧したと判断された場合(S109でYES)、S101に移行する。S109で、AC電源が復旧していないと判断された場合(S109でNO)、待機する。
【0038】
S107でNOだった場合、CPU101は、操作部106を介して、ユーザからMFP100の電源をオフにする指示を受け付けたか否かを判断する(S110)。S110で、ユーザからMFP100の電源をオフにする指示を受け付けたと判断された場合(S110でYES)、制御を終了する。S110で、ユーザからMFP100の電源をオフにする指示を受け付けていないと判断された場合(S110でNO)、S104に移行する。
【0039】
図4は、電池の充電S103の詳細を示すフローチャートである。
まず、CPU101は、復帰要因監視回路208に問い合わせて、電池の充電S103がMFP100の電源がオンになった直後の処理であるか否かを判断する(S201)。ここで、CPU101は、復帰要因監視回路208から省電力モードに移行した後であることを通知された場合には、S201でNOと判断し、そうでない場合には、S201でYESと判断する。S201で、電池の充電S103がMFP100の電源がオンになった直後の処理であると判断された場合(S201でYES)、S202に移行する。S201で、電池の充電S103がMFP100の電源がオンになった直後の処理でないと判断された場合(S201でNO)、S203に移行する。
【0040】
次に、CPU101は、タイマー制御回路206を制御して、電池203の合計充電時間をゼロにリセットし新たに計測を開始する(S202)。ここで、合計充電時間とは、電池203を充電した時間のうち、MFP100の電源がオンになった後に、MFP100が前述した通常モードで動作した時間の合計を計測したものである。
【0041】
次に、CPU101は、タイマー制御回路206を制御して、電池203の連続充電時間をゼロにリセットし新たに計測を開始する(S203)。ここで、連続充電時間とは、電池203を充電した時間のうち、MFP100が前述した通常モードに移行した後に、MFP100が前述した通常モードで連続して動作した時間を計測したものである。
【0042】
次に、CPU101は、装置電源201を制御して、MFP100が前述した省電力モードに移行することを禁止する(S204)。S204とS209により、S205〜S208の間において、MFP100は前述した省電力モードに移行されないようになる。
【0043】
次に、CPU101は、充電制御回路205を制御して、電池203の充電を開始させる(S205)。
【0044】
次に、CPU101は、タイマー制御回路206に問い合わせて、前述した連続充電時間が2時間(第1の所定の時間の一例)より大きくなったか否かを判断する(S206)。S206で、前述した連続充電時間が前述した2時間より大きくなったと判断された場合(S206でYES)、S208に移行する。S206で、前述した連続充電時間が前述した2時間より大きくなっていないと判断された場合(S206でNO)、S207に移行する。
【0045】
S206でNOだった場合、CPU101は、タイマー制御回路206に問い合わせて、前述した合計充電時間が5時間(第1の所定の時間より大きい第2の所定の時間の一例)より大きくなったか否かを判断する(S207)。S207で、前述した合計充電時間が前述した5時間より大きくなったと判断された場合(S207でYES)、S208に移行する。S207で、前述した合計充電時間が前述した5時間より大きくなっていないと判断された場合(S207でNO)、S206に移行する。
【0046】
次に、CPU101は、充電制御回路205を制御して、電池203の充電を停止させる(S208)。なお、S208は、電圧検知回路204により電池203の充電が完了したことを受けてから実行してもよい。また、S208では、充電を完全に停止させるのではなく、トリクル充電等によって電池203が保持できる程度の少量の充電を継続させるようにしてもよい。
【0047】
次に、CPU101は、装置電源201を制御して、MFP100が前述した省電力モードに移行することを許可する(S209)。S204とS209により、S205〜S208の間において、MFP100は前述した省電力モードに移行されないようになる。
【0048】
〔他の実施形態〕
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(制御プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通常モード又は当該通常モードより消費電力が少ない省電力モードで動作する情報処理装置であって、
揮発性の記憶手段と、
前記記憶手段に電力を供給する第1の供給手段と、
前記第1の供給手段が前記記憶手段に電力を供給できなくなった場合に、前記記憶手段に電力を供給する第2の供給手段と、
前記情報処理装置が前記通常モードで動作している場合に、前記第2の供給手段を充電する充電手段と、
前記情報処理装置が前記通常モードに移行した後に、前記情報処理装置が前記通常モードで動作した時間を計測する第1の計測手段と、
前記第1の計測手段により計測された時間が第1の所定の時間より大きくなるまで、前記情報処理装置を前記省電力モードに移行させないよう制御する制御手段とを有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置の電源がオンになった後に、前記情報処理装置が前記通常モードで動作した時間の合計を計測する第2の計測手段を更に有し、
前記制御手段は、前記第2の計測手段により計測された時間が第2の所定の時間より大きくなるまで、前記情報処理装置を前記省電力モードに移行させないよう制御することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2の所定の時間は、前記第1の所定の時間より大きいことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
通常モード又は当該通常モードより消費電力が少ない省電力モードで動作し、
揮発性の記憶手段と、
前記記憶手段に電力を供給する第1の供給手段と、
前記第1の供給手段が前記記憶手段に電力を供給できなくなった場合に、前記記憶手段に電力を供給する第2の供給手段とを有する情報処理装置の制御方法であって、
前記情報処理装置が前記通常モードで動作している場合に、前記第2の供給手段を充電する充電工程と、
前記情報処理装置が前記通常モードに移行した後に、前記情報処理装置が前記通常モードで動作した時間を計測する第1の計測工程と、
前記第1の計測工程により計測された時間が第1の所定の時間より大きくなるまで、前記情報処理装置を前記省電力モードに移行させないよう制御する制御工程とを有することを特徴とする制御方法。
【請求項5】
通常モード又は当該通常モードより消費電力が少ない省電力モードで動作し、
揮発性の記憶手段と、
前記記憶手段に電力を供給する第1の供給手段と、
前記第1の供給手段が前記記憶手段に電力を供給できなくなった場合に、前記記憶手段に電力を供給する第2の供給手段とを有する情報処理装置に、
前記情報処理装置が前記通常モードで動作している場合に、前記第2の供給手段を充電する充電工程と、
前記情報処理装置が前記通常モードに移行した後に、前記情報処理装置が前記通常モードで動作した時間を計測する第1の計測工程と、
前記第1の計測工程により計測された時間が第1の所定の時間より大きくなるまで、前記情報処理装置を前記省電力モードに移行させないよう制御する制御工程とを実行させるための制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−159063(P2011−159063A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−19437(P2010−19437)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】