説明

情報処理装置およびデジタルフォトフレーム

【課題】複数のコンテンツ再生機器に対応しうる外部記憶装置に保存されているコンテンツの2次利用を有効に防止する情報処理装置を提供する。
【解決手段】デバイス固有のベンダID、プロダクトID、シリアル番号を含む記憶媒体識別情報およびコンテンツ暗号化データを記憶する外部記憶装置14、15と、前記コンテンツ暗号化データを復号する認証情報および1つまたは複数のデバイス識別情報を記憶する不揮発性記憶装置7と、前記外部記憶装置14、15から読み出した前記記憶媒体識別情報と前記不揮発性記憶装置7に記憶した1つまたは複数のデバイス識別情報とを比較し、前記ベンダIDおよび前記プロダクトIDが一致し、かつ前記シリアル番号における所定桁位置の番号情報が一致することを条件として、前記外部記憶装置15に記憶した前記コンテンツ暗号化データを、前記不揮発性記憶装置7に記憶した認証情報を用いて復号する中央処理装置5とを備えるものとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、挿抜可能な記憶媒体に保存されているコンテンツの保護技術に関し、不正機器や不正記憶媒体を無効化する情報処理装置およびデジタルフォトフレームに関する。
【背景技術】
【0002】
この種の情報処理装置に関するものとしては、例えば特許文献1に記載されているデジタル放送の記録再生装置のように、ビデオデータ、オーディオデータなどのコンテンツデータを、記憶媒体としてのハードディスクドライブHDDに記録再生する際、HDDのシリアルナンバと、記録再生装置内に固定的に備えられたセキュアICが保持するセキュアIDと、外部記憶装置であるICカードのカードIDとを用いて、暗号キーおよび復号キーを生成し、この暗号キーおよび復号キーにより、コンテンツデータの暗号化および復号化を実行し、コンテンツデータを記録した記録再生装置のみによって完結的に、HDDからコンテンツデータを再生出力するものが知られている。
【0003】
また、例えば特許文献2に記載されている情報処理装置のように、各機器や各記憶媒体に対して一意もしくは一定に割り当てられた鍵情報のデバイス鍵を、複数の機器や記憶媒体に各々記憶し、この複数の異なるデバイス鍵で暗号化された複数の暗号化メディア鍵を用いて、コンテンツを暗号化し、機器と記憶媒体との間で相互認証を行うことにより、不正機器に対して認証を成立させないものも知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−174388号公報
【特許文献2】特開2011−30275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1および2に記載されているものでは、コンテンツデータを記憶媒体に記録した記録再生装置のみによって完結的に、記憶媒体から暗号化されたコンテンツデータを再生出力するので、正規のコンテンツを暗号化した暗号化データを複数の記憶媒体に複製し、この記憶媒体を複数のユーザに頒布する場合、ユーザが保有する機器の識別番号と頒布された記憶媒体の識別番号とを用いた相互認証によるコンテンツ暗号化データの復号が阻止されるため、複数のユーザが正規のコンテンツを視聴することができない。
【0006】
このような正規のコンテンツ暗号化データを復号するために、デジタル放送やDVDやSDカード等に実装されている不正コピー防止のCPRM(Content Protection for Recordable Media)技術を使用して、コンテンツ再生機器と記憶媒体との間でCPRM対応の相互認証を実行してからコンテンツ暗号化データを復号し、正規のコンテンツデータを再生出力するのが好ましいが、このようにすると、不正コピーを行うものが、記憶媒体をパーソナルコンピュータに接続し、CPRM解除ソフトウエアを使用することで、記憶媒体に記録された鍵束情報、メディアID、および認証領域に記憶した暗号キーを特定する可能性が高く、記憶媒体に施されたCPRMを解除してコンテンツデータを複製するような2次利用などに代表される不正行為を有効に防止することができない。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、複数のコンテンツ再生機器に対応しうる外部記憶装置に記憶されているコンテンツの2次利用を有効に防止するようにした情報処理装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によると、上記課題は、次のようにして解決される。
(1) デバイス固有のベンダID、プロダクトID、シリアル番号を含む記憶媒体識別情報およびコンテンツ暗号化データを記憶する外部記憶装置と、前記暗号化データを復号する認証情報および1つまたは複数のデバイス識別情報を記憶する不揮発性記憶装置と、前記外部記憶装置から読み出した前記記憶媒体識別情報と前記不揮発性記憶装置に記憶した1つまたは複数のデバイス識別情報とを比較し、前記ベンダIDおよび前記プロダクトIDが一致し、かつ前記シリアル番号における所定桁位置の番号情報が一致することを条件として、前記外部記憶装置に記憶した前記暗号化データを、前記不揮発性記憶装置に記憶した認証情報を用いて復号する中央処理装置とを備える情報処理装置を提供する。
【0009】
このような構成とすると、パーソナルコンピュータと外部記憶装置とを接続し、CPRM解除ソフトウエアを使用して、外部記憶装置を解析しても、外部記憶装置にコンテンツ暗号化データを復号する鍵情報が存在しないので、コンテンツ暗号化データの復号を阻止し、外部記憶装置に記憶されているコンテンツの2次利用を有効に防止することができる。
【0010】
(2) 上記(1)項において、中央処理装置は、認証情報を用いて復号したコンテンツデータを解析し、所定の圧縮符号化ファイルフォーマットに整合する復号成功の判定結果を得た場合、前記コンテンツデータを主記憶装置に記憶するようにする。
【0011】
このような構成とすると、情報処理装置と外部記憶装置との相互認証および認証情報を用いた復号が成功したコンテンツ暗号化データのみ主記憶装置に記憶するため、外部記憶装置に記憶されているコンテンツの2次利用を有効に防止することができる。
【0012】
(3) 上記(1)または(2)項において、中央処理装置は、外部記憶装置に記憶するファイルの属性情報を解析し、ファイル識別子情報またはファイルフォーマットによりコンテンツ暗号化データを保存するファイルであると判定したとき、前記コンテンツ暗号化データを受信し復号するようにする。
【0013】
このような構成とすると、中央処理装置は、コンテンツの2次利用を防止するデータとコンテンツの2次利用を許可するデータとを、ファイルの属性情報を解析して判定し、著作権保護が不要なコンテンツに対して、相互認証および復号の処理シーケンスを省略して、中央処理装置の負荷を軽減させることができる。
【0014】
(4) 上記(1)〜(3)項のいずれかにおいて、不揮発性記憶装置は、外部記憶装置のベンダIDおよびプロダクトIDの全桁の情報とシリアル番号における所定桁位置の番号情報とを識別しうるデバイス識別情報を記憶するようにする。
【0015】
このような構成とすると、中央処理装置は、複数の外部記憶装置が共有するベンダIDおよびプロダクトIDの全桁の情報とデバイス固有のシリアル番号における所定桁位置の番号情報とを識別することができるため、コンテンツの供給者は、同一のコンテンツを記憶した複数の外部記憶装置を、それぞれ複数のユーザに配布することができる。
【0016】
(5) 上記(1)〜(4)項のいずれかにおいて、不揮発性記憶装置に記憶するシリアル番号における所定桁位置の番号情報を、外部記憶装置に記憶するコンテンツ暗号化データのコンテンツ種別を特定する複数桁の数列を含むものとする。
【0017】
このような構成とすると、シリアル番号における所定桁位置の番号情報により、再生可能なコンテンツ種別を特定することができる。
【0018】
(6) 上記(1)〜(5)項のいずれかにおいて、外部記憶装置に記憶するシリアル番号における所定桁位置の番号情報を、他の複数の外部記憶装置と共通するものとする。
【0019】
このような構成とすると、コンテンツの供給者は、複数の外部記憶装置に同じ種別のコンテンツを記憶させて、複数のユーザに外部記憶装置を供給することができる。
【0020】
(7) 上記(1)〜(6)項のいずれかにおいて、情報処理装置を備え、この情報処理装置から受信したコンテンツデータを、表示制御部を介して画像信号へ変換し、表示装置に表示しうるようにする。
【0021】
このような構成とすると、外部記憶装置に記憶したコンテンツ暗号化データの復号が成功したコンテンツデータのみビデオ再生することができる。
【0022】
(8) 上記(7)項において、情報処理装置から受信したコンテンツデータを、再生制御部を介してオーディオ信号へ変換し、スピーカに出力しうるようにする。
【0023】
このような構成とすると、外部記憶装置に記憶したコンテンツ暗号化データの復号が成功したコンテンツデータのみオーディオ再生することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によると、複数のコンテンツ再生機器に対応しうる外部記憶装置に記憶されているコンテンツの2次利用を有効に防止するようにした情報処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の情報処理装置のブロック図である。
【図2】本発明の情報処理装置の動作シーケンスを示すフローチャートである。
【図3】本発明のデジタルフォトフレームの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。実施の形態としては、本発明に基づく情報処理装置を、デジタルフォトフレームに適用した例を挙げる。
【0027】
図1に示すように、情報処理装置1は、装置全体を制御するシステムコントローラ2と、このシステムコントローラ2の作業領域を提供し、データおよびタスクプログラムを一時記憶する主記憶装置3と、システムコントローラ2と主記憶装置3とを接続するバス4とを備えている。
【0028】
主記憶装置3は、ダイナミックランダムアクセスメモリDRAMやスタテックランダムアクセスメモリSRAMを使用することができ、電源が供給されている期間、データおよびタスクプログラムを保持するものである。
【0029】
システムコントローラ2には、中央処理装置5(Central Processing Unit)と、圧縮符号化されたコンテンツデータを解凍処理するデジタル信号処理装置6と、各種データおよびアプリケーションプログラムを記憶する不揮発性記憶装置7と、これら中央処理装置5とデジタル信号処理装置6と不揮発性記憶装置とを接続する内部バス4aが備えられている。なお、システムコントローラ2は、単一の半導体基板に、中央処理装置5とデジタル信号処理装置6と不揮発性記憶装置7とを集積してもよく、各装置5、6、7を個別の半導体装置として組み合わせてもよい。
【0030】
不揮発性記憶装置7は、電源供給が終了しても内部に記憶しているデータやプログラムを保持することができる電気的に書き換え可能なフラッシュメモリや読み出し専用のプログラマブルメモリを使用することができる。
【0031】
バス4は、有線または無線により外部とインターネットプロトコル通信を実行するIP通信部8と、動画または静止画のデジタル画像データをアナログ信号に変換する表示制御部9と、デジタルオーディオデータをアナログオーディオ信号に変換する再生制御部10と、コンテンツの再生順序や画像の再生速度等をユーザが指定するユーザ操作受付部11と、USB(Universal Serial Bus )デバイスのデータを送受するUSBインターフェース12と、SD(Secure Digital)カードのデータを送受するSDカードインターフェース13とを相互に接続している。
【0032】
USBインターフェース12は、情報処理装置1に対して着脱可能な外部記憶装置としてUSBフラッシュメモリ14と接続し、USBフラッシュメモリ14との間でデータを送受する。このUSBフラッシュメモリ14は、不図示のCPU、ROMおよびRAMを有するコントローラと、コンテンツ暗号化データや非暗号化データや各種プログラムを記憶するフラッシュメモリとを有している。
【0033】
SDカードインターフェース13は、情報処理装置1に対して着脱可能な外部記憶装置としてのSDカードメモリ15と接続し、SDカードメモリ15との間でデータを送受する。このSDカードメモリ15は、不図示のCPU、ROMおよびRAMを有するコントローラと、コンテンツ暗号化データや非暗号化データや各種プログラムを記憶するフラッシュメモリとを有している。
【0034】
表示制御部9は、バス4から動画または静止画のデジタルデータを受信し、デジタルデータを画像信号に変換して液晶パネルやプラズマパネルのような表示装置16へ出力する。
【0035】
再生制御部10は、バス4からオーディオのデジタルデータを受信し、デジタルデータをオーディオ信号に変換しスピーカ17へ出力する。
【0036】
本実施の形態の情報処理装置1には、不揮発性記憶装置7が設けられている。この不揮発性記憶装置7には、コンテンツデータを暗号化したコンテンツ暗号化データを復号する認証情報や相互認証に用いるデバイス識別情報や各種アプリケーションのソフトウエアプログラムが記憶されている。
【0037】
不揮発性記憶装置7は、システムコントローラ2の中に設けられているので、ハードウエア的に高いセキュリティ性を有し、認証情報およびデバイス識別情報の秘密性を保持していることから、例えば情報処理装置1に組み込まれた状態では、外部から認証情報やデバイス識別情報を読み出して取得することは非常に困難である。
【0038】
また、不揮発性記憶装置7を情報処理装置1から取り外す、あるいは、情報処理装置1の回路から切り離して、解析を行おうとすれば、その作業は非常に面倒なものとなり、解析により認証情報およびデバイス識別情報を取得することも技術的には相当に困難である。
【0039】
不揮発性記憶装置7は、例えばUSBフラッシュメモリ14またはSDカードメモリ15に対応する1つのデバイス識別情報を記憶し、いずれか一方のメモリに接続されるデジタルフォトフレームに適用することができる。また、USBフラッシュメモリ14およびSDカードメモリ15に対応する複数の識別情報を記憶し、双方のメモリに接続されるデジタルフォトフレームに適用することもできる。
【0040】
不揮発性記憶装置7に記憶されている認証情報は、例えば、コンテンツ供給者が使用するコンピュータ(図外)に入力または記憶させ、ユーザに供給する前の外部記憶装置としてのUSBフラッシュメモリ14またはSDカードメモリ15に対して、記憶対象となるコンテンツデータを暗号化するために用いる所定桁数の数列である。例えばコンテンツ供給者が英数字を組み合わせた6桁のパスワードを任意に指定する認証情報として用いることができる。
【0041】
ここで、コンテンツデータは、静止画または動画のビデオデータや楽曲または音声のオーディオデータを、デジタル的に圧縮符号化したデジタル情報である。例えばMPEGコーディング、JPEGコーディング、GIFコーディング、PINGコーディング等の圧縮符号化技術を用いて生成されている。なお、本実施の形態の情報処理装置1は、画像とオーディオデータとを含むコンテンツにも、画像のみのコンテンツにも、オーディオデータのみのコンテンツにも対応し、それぞれ再生することができる。
【0042】
認証情報は、コンテンツ供給者が任意に指定するパスワードにすることもできるが、このパスワードに代えて、コンテンツ供給者が使用するコンピュータ(図外)が、乱数発生アルゴリズムを用いて生成する秘密鍵情報を用いて、コンテンツデータを暗号化したコンテンツ暗号化データを、USBフラッシュメモリ14またはSDカードメモリ15に記憶させることもできる。
【0043】
認証情報は、コンテンツ供給者が使用するコンピュータ(図外)と複数の情報処理装置1とが共有する情報であり、情報処理装置1の不揮発性記憶装置7に予め記憶させ、デジタルフォトフレームの製品形態で供給することができる。
【0044】
また、不揮発性記憶装置7に記憶されているデバイス識別情報は、例えば、USBフラッシュメモリ14およびSDカードメモリ15のデバイス固有のベンダID、プロダクトID、およびシリアル番号における所定桁位置の番号情報を含む所定桁数の16進数である。本実施の形態では、例えばシリアル番号の上位4桁、中位4桁、下位4桁のいずれか1つのブロックを、所定桁位置の番号情報として選択することにより、12桁のデバイス識別情報を得ることができる。
【0045】
USBフラッシュメモリ14には、情報処理装置1が読取り可能なシステム情報が記憶され、例えば、USBフラッシュメモリ14のシステム情報が「USB¥VID_xxxx&PID_xxxx¥xxxxxxxxxxxxx」のように読み出された場合、ベンダIDは、文字列「VID_」の後続4桁「xxxx」の16進数であり、プロダクトIDは、文字列「&PID_」の後続4桁「xxxx」の16進数であり、シリアル番号は、文字「¥」の後続19桁「xxx・・・・」の16進数によりデバイス固有の番号を特定することができる。このシリアル番号は、ハードウエア情報としてUSBフラッシュメモリ14に記憶されている。
【0046】
SDカードメモリ15には、情報処理装置1が読取り可能なシステム情報が記憶され、例えば、SDカードメモリ15のCIDレジスタ(Card identification number)の128ビットの内容を読み出すことで、4桁のベンダIDと、4桁のプロダクトIDと、19桁のシリアル番号との16進数の数列によりデバイス固有の番号を特定することができる。このシリアル番号は、SDカードメモリ15に記憶されている。
【0047】
メモリ製品の製造会社は、USBフラッシュメモリ14におけるシリアル番号の下位7桁に製造番号に相当する連番を使用し、約2億6千8百万本のデバイス固有の番号を付与したUSBフラッシュメモリ14を製造することができる。ここでコンテンツの供給者は、例えばシリアル番号の下位7桁より上位桁位置の中から4桁の英数字を番号情報として指定した場合、同一のベンダIDとプロダクトIDとを有するUSBフラッシュメモリ14を用いて、約6万5千種類のコンテンツを供給することができ、同一の番号情報に対応する同種のコンテンツを約2億6千8百万本まで供給することができる。
【0048】
また、USBフラッシュメモリ14の4桁のプロダクトIDを更新することで、追加のコンテンツをも供給することができる。さらに、SDカードメモリ15もUSBフラッシュメモリ14と同様に、シリアル番号の所定桁位置の中から4桁の英数字を番号情報として指定した場合、約6万5千種類のコンテンツを供給しすることができ、同一の番号情報に対応する同種のコンテンツを約2億6千8百万本まで供給することができる。
【0049】
さらに、USBフラッシュメモリ14およびSDカードメモリ15は、情報処理装置1と同梱して、デジタルフォトフレームの製品形態でユーザに供給してもよく、情報処理装置1と独立して、コンテンツの供給者から複数のユーザに個別に供給してもよい。
【0050】
認証情報は、正規のユーザが使用する情報処理装置1に記憶しているので、例えば悪意のあるユーザが、USBフラッシュメモリ14またはSDカードメモリ15を情報処理装置1から取外し、内部に記憶されている記憶媒体識別情報や不正コピー防止用のCPRM情報を読み出しても、それらには認証情報および認証情報を生成する情報源が含まれていないため、コンテンツ暗号化データの復号は技術的に困難であり、コンテンツの2次利用を有効に防止できる。
【0051】
不揮発性記憶装置7に記憶されているソフトウエアプログラムは、例えば、中央処理装置5が実行するコンテンツ再生プログラム、外部記憶装置としてのUSBフラッシュメモリ14、およびSDカードメモリ15との相互認証プログラム、コンテンツ暗号化データを復号する復号プログラム、コンテンツデータの復号成功を判定する解析プログラム、およびデジタル信号処理装置6が実行する各種解凍プログラムが含まれている。
【0052】
図2に示すように、情報処理装置1は、コンテンツ暗号化データの復号処理を含むコンテンツ再生動作を実行する。この図に示す動作シーケンスは、システムコントローラ2における中央処理装置5が、不揮発性記憶装置7に記憶しているプログラムを実行することにより得られるものである。
【0053】
本実施の形態の情報処理装置1に対して、外部記憶装置としてのUSBフラッシュメモリ14またはSDカードメモリ15が接続した状態で処理が開始(スタート)するが、SDカードメモリ15を外部記憶装置として適用する場合を例示する。
【0054】
中央処理装置5は、ステップS1において、SDカードメモリ15に記憶されているファイルを選択し、このファイルの識別子、ファイルフォーマットを取得し、ファイルにより指定されるデータがコンテンツ暗号化データであるか判定する。コンテンツ暗号化データである肯定的判定結果(YES)を出力したとき、処理をステップS2に分岐させる。
【0055】
中央処理装置5は、ステップS2において、SDカードメモリ15に対して記憶媒体識別情報の送信要求コマンドを送信し、SDカードメモリ15から記憶媒体識別情報を受信する。この記憶媒体識別情報は、SDカードメモリ15のCIDレジスタに記憶されているベンダID、プロダクトID、およびシリアル番号を含む128ビットのバイナリデータである。
【0056】
また、中央処理装置5は、受信した記憶媒体識別情報を主記憶装置3の所定領域に記憶し、処理をステップ4に移行させる。但し、本発明は、記憶媒体識別情報を主記憶装置3に記憶する態様に限定するものではなく、主記憶装置3に代えて、中央処理装置5の内部レジスタに記憶媒体識別情報を一時記憶させてもよい。
【0057】
中央処理装置5は、ステップS3において、選択したファイルに対応するコンテンツ暗号化データをSDカードメモリ15から受信し、主記憶装置3の所定領域に一時記憶し、処理をステップ5へ移行させる。
【0058】
中央処理装置5は、ステップS4において、主記憶装置3に記憶した記憶媒体識別情報と不揮発性記憶装置7に記憶されてる1つまたは複数のデバイス識別情報とを比較し、上述したベンダIDおよびプロダクトIDが一致し、かつシリアル番号における所定桁位置の番号情報が一致することを条件として、認証成功の肯定的判定結果(YES)を出力したとき、処理をステップ5へ分岐させる。
【0059】
1つまたは複数のデバイス識別情報は、コンテンツ供給者が供給する可能性のあるUSBフラッシュメモリ14およびSDカードメモリ15が記憶するベンダID、プロダクトID、シリアル番号における所定桁位置の番号情報であって、それらを不揮発性記憶装置7に記憶させている。
【0060】
これにより、複数の情報処理装置1を所有しているユーザは、リビング、居室、通路等の複数の場所に情報処理装置1が、それぞれ設置された場合であっても、デバイス識別情報が一致するSDカードメモリ15を、情報処理装置1に接続し直すだけでコンテンツを再生することができる。
【0061】
また、単一の情報処理装置1を所有しているユーザがコンテンツ供給者から新たなSDカードメモリ15の供給を受けた場合にも、SDカードメモリ15には、予め定めた記憶媒体識別情報を記憶させているので、情報処理装置1における不揮発性記憶装置7の記憶内容を更新することなく、新たなSDカードメモリ15からコンテンツを再生することができる。
【0062】
中央処理装置5は、ステップS5において、主記憶装置3に一時記憶したコンテンツ暗号化データを、不揮発性記憶装置7に記憶されている認証情報を用いてコンテンツデータに復号するとともに、このコンテンツデータを主記憶装置3に記憶する。この復号および記憶処理が完了した段階で処理をステップ6へ移行させる。
【0063】
本発明は、ステップS3により主記憶装置3に一時記憶したコンテンツ暗号化データを、中央処理装置5により復号する態様に限定するものではなく、ステップS3の処理とステップS5の処理とを結合することもできる。すなわち、中央処理装置5は、外部記憶装置としてのSDカードメモリ15に記憶したコンテンツ暗号化データを読み出し、このコンテンツ暗号化データを不揮発性記憶装置7に記憶した認証情報を用いてコンテンツデータに復号し、このコンテンツデータを主記憶装置3に記憶させてもよい。これにより、コンテンツ暗号化データを主記憶装置3に記憶させる必要がなく、主記憶装置3の記憶領域を有効に活用することができる。
【0064】
中央処理装置5は、ステップS6において、主記憶装置3に記憶したコンテンツデータのファイルフォーマットが所定の圧縮符号化ファイルに復号させているか判定し、肯定的判定結果(YES)を出力したとき、処理をステップ7へ分岐させる。
【0065】
中央処理装置5は、ステップS7において、主記憶装置3に記憶したコンテンツデータを解凍処理を施し、生成したデジタル画像データやデジタルオーディオデータを、バス4を介して表示制御部9や再生制御部10に出力することにより、表示装置16およびスピーカ17から画像および音声のコンテンツを再生させ、処理を終了させることができる。
【0066】
本発明は、ステップS7により中央処理装置5が主記憶装置3に記憶したコンテンツデータを解凍する態様に限定するものではなく、中央処理装置5に代えて、デジタル信号処理装置6が、主記憶装置3に記憶したコンテンツデータの解凍処理を遂行し、圧縮符号化されたコンテンツデータをデジタル画像データやデジタルオーディオデータに解凍し、各デジタルデータをバス4を介して表示制御部9や再生制御部10に出力することもできる。これにより、デジタル信号処理装置がコンテンツデータの解凍処理を実行してる間に、中央処理装置5が外部記憶装置としてのSDカードメモリ15から次のコンテンツ暗号化データを受信できるという点で有効である。
【0067】
また中央処理装置5は、上述したステップS1において、SDカードメモリ15に保存されているデータがコンテンツ暗号化データではないという否定的判定結果(NO)を出力したとき、処理をステップS8へ分岐させる。例えば、否定的判定結果(NO)となる対象物は、コンテンツ供給者から供給された圧縮符号化コンテンツデータやユーザがデジタルカメラにより撮影した著作物データが該当する。
【0068】
中央処理装置5は、ステップS8において、SDカードメモリ15に保存されているデータを受信し、解凍処理を遂行する。この解凍処理したコンテンツデータは伸張された状態で、バス4を介して表示制御部9および再生制御部10へ送信し、表示装置16およびスピーカ17に出力することができる。
【0069】
さらに中央処理装置5は、上述したステップS4およびS6において、否定的判定結果(NO)を出力したとき、例えば表示装置に「ファイル不整合」のような表示をさせるエラー処理を経て、再生処理を終了させ、次のタスクを実行するように動作する。すなわち、識別情報による認証不成功またはコンテンツデータが復号不成功の場合、中央処理装置5は、エラー処理を実行し、ユーザが既にユーザ操作受付部11から操作および指定した再生シーケンスを続行する。例えば、中央処理装置5は、デジタルフォトフレームが備えるリピート再生やランダム再生等の表示モードに従い、不揮発性記憶装置7に記憶された再生プログラムを実行し、USBフラッシュメモリ14またはSDカードメモリ15から、次のコンテンツデータまたはコンテンツ暗号化データをピックアップして読み出し、情報処理装置1の電源がOFF状態になるまで再生させることができる。
【0070】
上述した情報処理装置1は、コンテンツ供給者がコンピュータ(図外)を使用して、外部記憶装置としてのUSBフラッシュメモリ14またはSDカードメモリ15にコンテンツ暗号化データを記憶させる実施の態様を例示したが、本発明は、この態様に限定されるものではなく、例えば情報処理装置1におけるIP通信部8を介して受信するコンテンツ暗号化データを、USBフラッシュメモリ14またはSDカードメモリ15に記憶させる場合もある。
【0071】
この場合、IP通信部8は、例えばSIMカード(Subscriber Identity Module Card)が実装されており、携帯電話やIP通信部8で使われている電話番号を特定するための固有のID番号が割り振られている。
【0072】
携帯電話通信企業は、自社のサーバを経由させて、SIMカードのID番号とインターネットプロトコルアドレス(以下、「IPアドレス」と略記する。)とを対応させ、このIPアドレスを宛先とする種々のインターネット情報をSIMカードを実装するIP通信部8へ転送する。
【0073】
コンテンツ供給者は、コンテンツが記憶されたコンテンツ暗号化データを、コンテンツ供給者が管理するサーバからインターネット通信網へ送信し、携帯電話通信企業のサーバを経由させ、IP通信部8に伝送させることができ、正規のユーザが使用する情報処理装置1におけるUSBフラッシュメモリ14またはSDカードメモリ15にコンテンツ暗号化データを記憶させることができる。
【0074】
また、IP通信部8は、無線LAN機能を実装し、コンテンツ供給者が管理するサーバからインターネット通信網を介してコンテンツ暗号化データを受信することもできる。
【0075】
コンテンツ暗号化データは、上述のように、コンテンツ供給者が使用するコンピュータにより暗号化されているため、インターネット通信網に伝送させても、第三者がコンテンツデータに復号することが困難であり、コンテンツの2次利用を防止することができる。
【0076】
さらに、本発明の情報処理装置1は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、パーソナルコンピュータを用いて、コンテンツ供給者が管理するサーバからインターネット通信網を介してコンテンツ暗号化データを受信することもできる。このコンテンツ暗号化データは、パーソナルコンピュータのハードディスクドライブの記憶領域に記憶される。
【0077】
ユーザは、パーソナルコンピュータにUSBフラッシュメモリ14またはSDカードメモリ15を接続し、ハードディスクからコンテンツ暗号化データを移動または複製し、USBフラッシュメモリ14またはSDカードメモリ15をパーソナルコンピュータから取り外して、情報処理装置1に再接続し、コンテンツ暗号化データを再生させることができる。
【0078】
図3に示すように、デジタルフォトフレームは、横長の立方体からなる筐体18を有し、この筐体18の前面に表示装置16を配置し、筐体18の上面にスピーカ17を覆うスピーカカバー17aとユーザ操作受付部11とを配置し、筐体18の右側面に電源スイッチ19とSDカードメモリ15を挿入する開口とUSBフラッシュメモリ14を挿入する開口とを備えている。例示したデジタルフォトフレームは、USBフラッシュメモリ14およびSDカードメモリ15に対応し、両メモリに記憶されたコンテンツ暗号化データを表示装置16およびスピーカ17に再生することができる。
【0079】
ユーザ操作受付部11は、例えば単一の押しボタンスイッチを使用することができ、ユーザの押下操作により、トグル形式によりデジタルフォトフレームの再生モードを選択することができる。例えば、1回目の押下操作に対応して、連続再生モードを選択し、2回目の押下操作に対応して、ランダム再生モードを選択し、所定期間の長押し操作によりオーディオの音量調整モードを選択することができる。
【符号の説明】
【0080】
1 情報処理装置
2 システムコントローラ
3 主記憶装置
4 バス
5 中央処理装置
6 デジタル信号処理装置
7 不揮発性記憶装置
8 IP通信部
9 表示制御部
10 再生制御部
11 ユーザ操作受付部
12 USBインターフェース
13 SDカードインターフェース
14 USBフラッシュメモリ
15 SDカードメモリ
16 表示装置
17 スピーカ
17aスピーカカバー
18 筐体
19 電源スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
デバイス固有のベンダID、プロダクトID、シリアル番号を含む記憶媒体識別情報およびコンテンツ暗号化データを記憶する外部記憶装置と、
前記コンテンツ暗号化データを復号する認証情報および1つまたは複数のデバイス識別情報を記憶する不揮発性記憶装置と、
前記外部記憶装置から読み出した前記記憶媒体識別情報と前記不揮発性記憶装置に記憶した1つまたは複数のデバイス識別情報とを比較し、前記ベンダIDおよび前記プロダクトIDが一致し、かつ前記シリアル番号における所定桁位置の番号情報が一致することを条件として、前記外部記憶装置に記憶した前記コンテンツ暗号化データを、前記不揮発性記憶装置に記憶した認証情報を用いて復号する中央処理装置と
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
中央処理装置は、認証情報を用いて復号したコンテンツデータを解析し、所定の圧縮符号化ファイルフォーマットに整合する復号成功の判定結果を得た場合、前記コンテンツデータを主記憶装置に記憶する請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
中央処理装置は、外部記憶装置に記憶するファイルの属性情報を解析し、ファイル識別子情報またはファイルフォーマットによりコンテンツ暗号化データを保存するファイルであると判定したとき、前記コンテンツ暗号化データを受信し復号する請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】
不揮発性記憶装置は、外部記憶装置のベンダIDおよびプロダクトIDの全桁の情報とシリアル番号における所定桁位置の番号情報とを識別しうるデバイス識別情報を記憶する請求項1〜3のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項5】
不揮発性記憶装置に記憶するシリアル番号における所定桁位置の番号情報を、外部記憶装置に記憶するコンテンツ暗号化データのコンテンツ種別を特定する複数桁の数列を含む請求項1〜4のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項6】
外部記憶装置に記憶するシリアル番号における所定桁位置の番号情報を、他の複数の外部記憶装置と共通する請求項1〜5のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載の情報処理装置を備え、かつそれらから受信したコンテンツデータを、表示制御部を介して画像信号へ変換し、表示装置に表示しうるようにしたことを特徴とするデジタルフォトフレーム。
【請求項8】
情報処理装置から受信したコンテンツデータを、再生制御部を介してオーディオ信号へ変換し、スピーカに出力しうるようにした請求項7記載のデジタルフォトフレーム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−203490(P2012−203490A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−65316(P2011−65316)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【出願人】(511075689)ミテネインターネット株式会社 (1)
【出願人】(709000930)株式会社クイーリー (3)
【Fターム(参考)】