情報処理装置および情報処理方法
【課題】 高架道路および高架下道路のいずれかを車両が走行している際に、走行している道路が高架道路か高架下道路のいずれであるかを精度よく判断することができる情報処理装置を提供する。
【解決手段】 ナビゲーション1は、GPS受信機2から送信されるGPS情報に基づいて、自車両の位置を取得する。また、車車間通信装置4を介して、他車両位置情報および他車両位置情報を取得した際のGPS受信強度信号を取得する。さらに、取得した他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、他車両が高架道路を走行しているか高架下道路を走行しているかの他車両三次元位置を取得する。こうして取得した自車両位置および他社量産時原位置に基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を判断する。
【解決手段】 ナビゲーション1は、GPS受信機2から送信されるGPS情報に基づいて、自車両の位置を取得する。また、車車間通信装置4を介して、他車両位置情報および他車両位置情報を取得した際のGPS受信強度信号を取得する。さらに、取得した他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、他車両が高架道路を走行しているか高架下道路を走行しているかの他車両三次元位置を取得する。こうして取得した自車両位置および他社量産時原位置に基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を判断する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に係り、特に、他車両の三次元位置やこれを用いた情報処理を行う情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両においては、車両の走行経路をドライバ等に提供するため、ナビゲーション装置が広く利用されている。ナビゲーション装置では、自車両が走行する道路を判断するために、GPS装置が主に用いられている。GPS装置では、緯度経度情報を比較的精度よく検出できるものの、高さ情報を含めた三次元情報を検出することは困難である。このため、上空に高架道路が設けられた高架下道路となる一般道路を走行する場合などには、車両が一般道路と高架道路のいずれを走行しているかをGPS装置で検出することは難しかった。
【0003】
この問題に対して、GPS電波の受信状況を監視することにより、高架等で道路が上下に並行する場合に、上を走行中か下を走行中かを判断するカーナビゲーションシステムが開示されている(たとえば、特許文献1参照)。このカーナビゲーションシステムでは、GPS電波を送信するGPS衛星が複数あることを利用しており、GPS電波を受信できなかったGPS衛星の存在する受信不能領域を検出し、この受信不能領域と地図データとに基づいて、自車両が高架上にいるか否かを判定するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−174528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示されたカーナビゲーションシステムにおいては、受信不能領域に基づいて、自車両が高架にいるか否かを判断しているが、受信不能領域は、周辺受信環境の影響を受けて、誤差を生じることが少なくなかった。たとえば、高架道路上を走行している際にも、大型車両の影になってGPS信号を受信不能となる場合もあるし、逆に、高架下の一般道路を走行中であっても偶発的に受信環境が整ってGPS信号を受信可能となる場合もある。このように、周辺の受信環境によって受信不能領域の誤差が生じやすくなることから、さらに高架道路を走行しているか否かの判断の精度が十分でないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、高架道路および高架下道路のいずれかを車両が走行している際に、走行している道路が高架道路か高架下道路のいずれであるかを精度よく判断することができる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明に係る情報処理装置は、他車両から送信される他車両の走行位置に関する他車両位置情報および他車両が受信したGPS信号の強度に関するGPS受信強度信号を受信する他車両情報受信手段と、他車両から送信された他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、他車両の三次元位置を推定する他車両三次元位置推定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る情報処理装置は、他車両から送信された他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、他車両の三次元位置を推定している。通常、高架道路を走行している際には、GPS信号の強度は大きく、高架下道路を走行している際には、高架道路が遮蔽物となってGPS信号の強度が小さくなる。したがって、他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、他車両の三次元位置を推定することにより、高架道路および高架下道路のいずれかを車両が走行している際に、走行している道路が高架道路か高架下道路のいずれであるかを精度よく判断することができる。
【0009】
このとき、自車両位置に関する自車両位置情報を取得する自車両位置取得手段と、自車両位置情報および他車両三次元位置に関する他車両三次元位置情報に基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を判断する衝突判定手段と、をさらに備える態様とすることができる。
【0010】
高架道路の下方に高架下道路がある場合、車両同士の衝突は、高架下道路と交差する一般道路で発生することが多く、高架道路で発生することはほとんどない。この点、本発明に係る情報処理装置においては、他車両が高架道路を走行しているか高架下道路を走行しているかを精度よく判断することができるので、自車両と他車両との衝突を効果的に防止することができる。さらには、衝突判定を行う際に高架道路を走行する他車両を除外することができるので、計算負荷を軽減することができる。
【0011】
また、衝突判定手段は、複数の他車両における他車両三次元位置情報に基づいて、他車両と自車両との衝突可能性を判断するものであり、複数の他車両同士の距離である他車両間距離をそれぞれ取得する他車両間距離取得手段と、他車両間距離取得手段で取得された複数の他車両間距離のうち、他車両間距離が所定のしきい値以内となった他車両の数に基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を補正する衝突可能性補正手段と、を備える態様とすることができる。
【0012】
高架道路や高架下道路を走行する場合、車両同士が接近し、車両の周囲に多くの他車両が走行していることが多い。このため、他車両間距離取得手段で取得された複数の他車両間距離のうち、他車両間距離が所定のしきい値以内となった他車両の数に基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を補正することにより、他車両が走行している道路が高架道路か高架下道路のいずれであるかを精度よく判断することができる。その結果、衝突可能性を精度よく判定することができる。なお、衝突可能性の判断にあたっては、複数の他車両のすべてについて判断を行ってもよし、複数の他車両のうちの一部、たとえば自車両にもっとも近い他車両、衝突可能性が最も高い他車両、あるいは先頭を走行する他車両などとすることができる。
【0013】
他方、上記課題を解決した本発明に係る情報処理方法は、他車両から送信される他車両の走行位置に関する他車両位置情報および他車両が受信したGPS信号の強度に関するGPS受信強度信号を受信する他車両情報受信工程と、車両から送信された他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、他車両の三次元位置を推定する他車両三次元位置推定工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る情報処理装置によれば、高架道路および高架下道路のいずれかを車両が走行している際に、走行して道路が高架道路か高架下道路のいずれであるかを精度よく判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置のブロック構成図である。
【図2】高架道路および高架下道路を走行する他車両と高架下道路と交差する一般道路を走行する自車両との位置関係を模式的に説明する説明図である。
【図3】自車両の情報を他車両に送信するまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】他車両から送信された情報を受信した後の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】交錯判定の手順を示すフローチャートである。
【図6】高架道路と高架下道路とを走行する車両および高仰角衛星と低仰角衛星の位置関係を模式的に説明する説明図である。
【図7】高架道路を走行する他車両と大型車両および高仰角衛星との位置関係を模式的に説明する説明図である。
【図8】高架道路および高架下道路を走行する他車両と高架下道路と交差する一般道路を走行する自車両との位置関係を模式的に説明する説明図である。
【図9】(a)は、高架道路上のGPS受信機のGPS信号の受信状態を示す図、(b)は、高架道路下のGPS受信機のGPS信号の受信状態を示す図である。
【図10】衛星の配置を模式的に示す配置図である。
【図11】第2の実施形態に係る情報処理装置のブロック構成図である。である。
【図12】車両とGPS衛星との位置関係を模式的に説明する説明図である。
【図13】高仰角衛星と高架走行車両および高架下走行車両との関係を示す説明図である。
【図14】情報処理センタで情報を受信した後の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る情報処理装置は、自車両M1に設けられているナビゲーション装置1を備えている。また、ナビゲーション装置1には、GPS(Global Positioning System)受信機2が接続されており、GPS受信機2には、GPSアンテナ3が接続されている。
【0018】
また、ナビゲーション装置1には車車間通信装置4が接続されており、車車間通信装置4には、車車間通信アンテナ5が接続されている。さらに。ナビゲーション装置1には、出力装置6が接続されている。出力装置6としては、たとえばモニタやスピーカが用いられている。
【0019】
ナビゲーション装置1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)などを備えて構成されており、送信情報処理部10および受信情報処理部20を備えている。また、送信情報処理部10は、衛星情報取得部11および自車両情報生成部12を備えている。さらに、受信情報処理部20は、他車両情報取得部21、交錯判定部22、およびナビ情報生成部23を備えている。
【0020】
GPS受信機2は、GPSアンテナ3を用いたGPS衛星が送信したGPS信号を受信する。GPS受信機2は、受信したGPS信号をナビゲーション装置1における衛星情報取得部11に送信する。GPSアンテナ3は、複数のGPS衛星が送信するGPS信号を受信可能な範囲で受信し、GPS受信機2へと送信している。このため、GPS受信機2には、複数のGPS信号が送信される。GPS受信機2は、送信されたGPS信号の全てを衛星情報取得部11に送信している。さらに、GPS受信機2は、GPS信号を衛星情報取得部11に送信する際、GPS信号の強度をGPS受信強度信号として衛星情報取得部11に合わせて送信する。
【0021】
ナビゲーション装置1における衛星情報取得部11は、GPS受信機2から送信されたGPS信号を取得する。衛星情報取得部11では、GPS受信機2から送信されたGPS信号の全てについて、GPS衛星の位置であるGPS位置を算出する。GPS位置は、GPS受信機2がGPS信号を受信した際の状況に基づいて算出する。また、GPS位置としては、GPS受信機2から見たGPS衛星の方位および仰角が含まれる。衛星情報取得部11は、算出したGPS情報にGPS受信強度信号を関連付けて自車両衛星情報として取得する。衛星情報取得部11は、取得した自車両衛星情報を自車両情報生成部12に出力する。
【0022】
自車両情報生成部12は、衛星情報取得部11から出力された複数の自車両衛星情報に含まれるGPS情報に基づいて、自車両の位置を算出する。自車両の位置を算出する際には、GPS受信機2から送信されたGPS情報の全てを用いた演算を行う。また、自車両情報生成部12は、算出した自車両位置に関する自車両位置情報を自車両衛星情報とともに自車両情報として生成し、車車間通信装置4および交錯判定部22に出力する。自車両情報生成部12は、本発明の自車両位置取得手段を構成する。
【0023】
他車両情報取得部21は、車車間通信装置4から送信される他車両情報を取得する。他車両情報取得部21では、車車間通信装置4から送信される他車両情報に含まれる他車両位置情報および他車両衛星情報を取得する。他車両衛星情報には、他車両の位置を算出した際のGPS衛星の位置に関するGPS情報が含まれている。他車両情報取得部21は、取得した他車両位置情報を他車両衛星情報とともに交錯判定部22に出力する。
【0024】
交錯判定部22は、自車両情報生成部12から出力される自車両位置情報および自車両衛星情報に基づいて、自車両位置を推定する。このとき、交錯判定部22では、自車両が高架道路以外の道路、たとえば高架下道路や高架下道路と交差する一般道路を走行していると判断したときに、交錯判定を行う。
【0025】
また、交錯判定部22は、他車両情報取得部21から出力される他車両位置情報および他車両衛星情報に基づいて、他車両の三次元位置を推定する。さらに、交錯判定部22は、推定した自車両位置および他車両三次元位置、さらには、他車両衛星情報に基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を判断する。交錯判定部22は、本発明の他車両三次元位置推定手段および衝突判定手段を構成する。
【0026】
図2に模式的に示すように、自車両M1が高架道路HW以外の道路である一般道路NWを走行している場合、高架下道路LWを走行する高架下走行他車両M11,M12・・・と衝突する可能性はあるが、高架道路HWを走行している高架走行他車両M21,M22・・・と自車両M1とは物理的に衝突することはない。このため、交錯判定を行う際には、高架走行他車両M21,M22・・・を交錯判定の対象から外し、高架下道路LWを走行する高架下走行他車両M11,M12・・・に判定対象を限定することにより、交錯判定の精度を向上させることができるとともに、計算負荷を軽減することができる。このとき、自車両M1は、他車両M11,M12・・・、M21,M22・・・との間で車車間通信を行う。
【0027】
したがって、交錯判定部22は、自車両が高架下道路を走行している場合に、高架下道路を走行する他車両との交錯判定を行う。交錯判定を行う際、交錯判定部22は、判断した自車両と他車両との衝突可能性に関する衝突可能性情報および自車両位置情報をナビ情報生成部23に出力する。
【0028】
さらに、交錯判定部22は、複数の他車両からそれぞれ送信される他車両位置情報に基づいて、複数の他車両同士の車両間距離を算出して取得いる。交錯判定部22は、本発明の他車両距離取得手段を構成する。また、交錯判定部22は、算出した他車両同士の車間距離に基づいて、衝突可能性を補正する。交錯判定部22は、本発明の他車両間距離取得手段および衝突可能性補正手段を構成する。
【0029】
ナビ情報生成部23は、車両の走行可能性を有するエリアに関するマップ情報を備えている。ナビ情報生成部23は、交錯判定部22から出力された自車両位置情報をマップ情報に参照し、自車両のマップ上における走行位置を確認する。ナビ情報生成部23は、参照したマップに自車両の位置を付して走行位置情報として出力装置6に対して送信する。また、ナビ情報生成部23は、交錯判定部22から送信される衝突可能性情報に基づく他車両と自車両との衝突可能性が所定値を超えた場合に、衝突可能性についての警報信号を出力装置6に対して送信する。
【0030】
車車間通信装置4は、ナビゲーション装置1における自車両情報生成部12から送信される自車両情報について、車車間通信アンテナ5を利用して他車両に向けて送信する。他車両においても、同様にして、他車両情報(他車両情報を生成している車両から見れば自車両情報)を生成し、図示しない車車間通信アンテナを利用して、生成した他車両情報を自車両M1に送信する。また、車車間通信装置4は、他車両から送信される他車両情報を受信し、ナビゲーション装置1における他車両情報取得部21に送信する。車車間通信装置4は、本発明の他車両情報受信手段を構成する。
【0031】
出力装置6は、ナビ情報生成部23から送信される走行位置情報に基づいて、自車両が走行する周辺のマップおよびマップ中における自車両の走行位置をモニタに表示する。また、出力装置6は、ナビ情報生成部23から送信された警報信号を受信した際は、警報情報をモニタに表示するとともに、スピーカから警告音を出力する。
【0032】
次に、本実施形態に係る情報処理装置の動作について説明する。本実施形態に係る情報処理装置では、複数の車両が車車間で通信を行うことにより情報処理を行う。図3は、自車両の情報を他車両に送信するまでの処理手順を示すフローチャート、図4は、他車両から送信された情報を受信した後の処理手順を示すフローチャートである。
【0033】
自車両M1においては、ナビゲーション装置1に接続されたGPS受信機2において、図3に示すように、複数のGPS衛星から送信されるGPS信号を受信する(S1)。GPS受信機2は、GPS信号を受信した際に、各GPS衛星から送信されたGPS信号の電波の電波強度を測定する(S2)。
【0034】
受信強度の測定が済んだら、ナビゲーション装置1における送信情報処理部10の衛星情報取得部11に、受信したGPS信号およびGPS受信強度信号のすべてを送信する。衛星情報取得部11は、送信された複数のGPS信号およびそのGPS受信強度信号を自車両情報生成部12に出力する。自車両情報生成部12では、送信された複数のGPS信号に基づいて、自車両の走行位置である自車両位置を測位する(S3)。
【0035】
その後、測定した各GPS衛星の電波強度および自車両位置情報を交錯判定部22および車車間通信装置4に送信し、車車間通信装置4は、自車両位置情報およびGPS衛星の電波強度に関する自車両衛星情報を自車両情報として他車両に対して送信する(S4)。こうして、自車両の情報を他車両に送信するまでの処理を終了する。
【0036】
次に、他車両から送信された情報を受信した後の処理について説明する。自車両M1においては、ナビゲーション装置1に接続された車車間通信装置4において、図4に示すように、複数の他車両から送信される他車両情報を受信する(S11)。他車両情報には、他車両位置情報および他車両衛星情報が含まれている。車車間通信装置4は、受信した他車両情報をナビゲーション装置1における他車両情報取得部21に送信する。
【0037】
他車両情報取得部21では、送信された他車両情報から、他車両位置情報および他車両衛星情報を取得し(S12)、交錯判定部22に出力する。続いて、自車両が高架下道路と交差する一般道路を走行している場合に、交錯判定部22において、交錯判定を行う(S13)。自車両が高架下道路と交差する一般道路を走行しているか否かの判断は、自車両の走行位置に基づいて行うことができる。交錯判定は、図5に示すフローチャートに沿って行われる。
【0038】
交錯判定部22では、図5に示すように、他車両衛星情報に含まれる他車両の位置を算出した際に用いたGPS情報に基づいて、他車両位置を算出した際に用いたGPS衛星の位置を取得する(S21)。このGPS衛星の位置を取得する処理を複数の他車両の全てについて行う。
【0039】
次に、取得したGPS衛星の位置のうち、仰角が高仰角であるGPS衛星(以下「高仰角衛星」という)を抽出し、高仰角衛星から送信されたGPS信号の受信強度が低いか否かを判断する(S22)。たとえば、図6に模式的に示すように、高架道路HWを走行している高架走行車両MHでは、高架走行車両MHと高仰角衛星HSとの間には遮蔽物等が存在しにくいと考えられることから、高架走行車両MHに搭載されたGPS受信機2では、高仰角衛星HSから送信されたGPS信号の受信強度が高くなる。また、高架道路HWの下の高架下道路LWを走行している高架下走行車両MLでは、高架下走行車両MLに搭載されたGPS受信機2と高仰角衛星HSとの間には高架道路HWが存在し、この高架道路HWが遮蔽物となってGPS受信機2が受信するGPS信号の受信強度が低くなる。
【0040】
したがって、ステップS22における判断の結果、高仰角衛星から送信されたGPS信号の受信強度が低いと判断した場合には、そのGPS信号を受信した他車両が高架下道路を走行していると判断し、第1グループに分類する(S23)。一方、高仰角衛星から送信されたGPS信号の受信強度が高いと判断した場合には、そのGPS信号を受信した他車両が高架道路を走行していると判断し、第2グループに分類する(S24)。
【0041】
続いて、第1グループに分類された他車両について、第1グループに分類された複数台の他車両が、互いに所定のしきい値以内の近距離に存在するか否かを判断する(S25)。本実施形態では、ここでの互いの所定のしきい値以内の近距離に存在する他車両の数が複数であるときに、衝突可能性の補正を行う。
【0042】
車両が高架道路を走行している場合には、GPS衛星と車両に搭載されたGPS受信機2との間には遮蔽物が存在することは少ないが、たとえば図7に示すように、高架道路HWにおいて、高架走行他車両M22の近傍を大型車両BMが走行している場合には、高架走行他車両M22においては、その大型車両BMが遮蔽物となってGPS衛星SからのGPS信号の受信強度が低くなることが考えられる。このため、GPS信号の受信強度が低いとしても、高架下道路を走行していると完全に判断することは難しい。
【0043】
その一方、図8に示すように、第1グループに分類された車両の中に、互いに近距離に複数台の高架下走行車両M11,M12・・・が存在している場合を考える。このとき、高架下走行他車両M11と車車間通信を行っているとき、高架下走行他車両M11が、第1グループに分類された他の高架下走行他車両M12,M13・・・と互いに近距離で走行している場合、高架下走行他車両M11も複数台の他車両とともに高架下道路を走行している可能性が高いと考えられる。また、単独で走行している他車両M31については、高架道路HWを走行している可能性もあると考えられる。
【0044】
そこで、ステップS25における判断の結果、互いに近距離に複数台の車両が存在すると判断した場合には、その他車両は、高架下を走行していると判定するとともに自信度「A」と判定する(S26)。ここで、自信度とは、判定が正しいと考えられる度合をいう。その後、自信度「A」で高架下を走行していると判定された他車両について、衝突判定対象車とし、衝突可能性を「高」に補正して設定し(S27)、交錯判定を終了する。そして、図3に示すステップS14に進む。
【0045】
一方、ステップS25において、互いに近距離に複数台の車両が存在しないと判断した場合には、互いに近距離に複数台の車両が、ステップS24で分類された第2グループ中に存在するか否かを判断する(S28)。その結果、互いに近距離に複数台の車両が第2グループ中に存在しないと判断した場合には、GPS信号の受信強度が低くても、他車両は高架下を走行している可能性が高いと考えられる。ただし、高架下道路を走行しているとの判断の精度は高くないと考えられる。そこで、他車両が高架下を走行していると判定するとともに、自信度「B」と判定する(S29)。その後、自信度「B」で高架下を走行していると判定された他車両について、衝突判定対象車とし、衝突可能性を「低」に設定して(S30)、交錯判定を終了し、図3に示すステップS14に進む。
【0046】
また、ステップS28において互いに近距離に複数台の車両が第2グループ中に存在すると判断した場合には、仰角が低仰角であるGPS衛星(以下「低仰角衛星」という)から送信されるGPS信号の受信強度が安定しているか否かを判断する(S31)。たとえば、図6に示すように、また、高架下道路LWを走行している高架下走行車両MLでは、高架下走行車両MLに搭載されたGPS受信機2と低仰角衛星LSとの間には、橋脚などの遮蔽物がしばしば存在し、この遮蔽物が低仰角衛星LSからのGPS信号の受信強度を低くする原因となることがある。
【0047】
ここで、図9(a) に、高架下道路を走行した場合のGPS信号の受信強度の例を示し、図9(b)に、高架上道路を走行した場合のGPS信号の受信強度の例を示す。このときの衛星の配置は図10に示す通りである。図10では、グラフの中心に車両が存在した場合の衛星の配置を示し、グラフの中心に近いほど仰角が高いものである。
【0048】
図9に示すように、高架下道路を走行した場合には、高仰角衛星であるNo27、No9のGPS衛星からの受信強度が低下している。また、高架上道路を走行している場合には、高仰角衛星であるNo27、No9のGPS衛星からの受信強度の低下することがない。さらに、低仰角衛星であるNo10、No22のGPS衛星からの受信強度も安定していた。
【0049】
ステップS31における判断の結果、低仰角衛星から送信されるGPS信号の受信強度が安定していないと判断した場合には、高架道路の橋脚などが遮蔽物となって低仰角衛星のGPS信号の受信強度が安定しなくなると考えられる。この場合には、他車両が高架下を走行していると判定するとともに、自信度「B」と判定する(S29)。その後、自信度「B」で高架下を走行していると判定された他車両について、衝突判定対象車とし、衝突可能性を「高」に設定して(S27)、交錯判定を終了し、図3に示すステップS14に進む。
【0050】
一方、低仰角衛星から送信されるGPS信号の受信強度が安定していると判断した場合には、他車両の周辺における遮蔽物は少ないと考えられる。この場合には、他車両が高架上を判定するとともに、自信度「A」と判定する(S32)。他車両が高架道路を走行している場合には、交差点等における自車両との衝突可能性はないので、衝突判定対象外車両とする(S33)。そして、衝突可能性「無」として交錯判定を終了し、図3に示すステップS14に進む。
【0051】
他方、ステップS24において、高架道路を走行する第2グループに分類された他車両については、第2グループに分類された複数台の他車両が、互いに近距離に存在するか否かを判断する(S34)。図8に示すように、第2グループに分類された車両の中に、互いに近距離に複数台の高架走行他車両M21,M22・・・が存在している場合を考える。このとき、高架走行他車両M21と車車間通信を行っているとき、高架走行他車両M21が、第2グループに分類された他の高架走行他車両M22,M23・・・と互いに近距離で走行している場合、高架走行他車両M21も複数台の他車両とともに高架道路を走行している可能性が高いと考えられる。また、単独で走行している他車両M41については、高架下道路LWを走行している可能性もあると考えられる。
【0052】
そこで、ステップS34における判断の結果、互いに近距離に複数台の車両が存在し、他車両間の距離が所定のしきい値内に複数の車両が存在すると判断した場合には、その他車両は、高架上を走行していると判定するとともに自信度「A」と判定する(S32)。そして、衝突可能性「無」の衝突判定対象外車両と判断する(S33)。その後、交錯判定を終了し、図3に示すステップS14に進む。
【0053】
逆に、互いに近距離に複数台の車両が存在すると判断した場合には、その他車両は、高架上を走行していると判定するが、自信度「B」と判定する(S35)。その後、その後、自信度「B」で高架上を走行していると判定された他車両について、衝突判定対象車とし、衝突可能性を「低」に設定して(S30)、交錯判定を終了し、図3に示すステップS14に進む。
【0054】
図4に示すフローに戻り、交錯判定が済んだら、衝突可能性があるか否かを判断する(S14)。その結果、図5のステップS33で衝突可能性無と判定されて、衝突可能性がないと判断した場合には、ステップS11に戻って、他車両から他車両情報を受信する処理を繰り返す。
【0055】
一方、図5のステップS27、S30で衝突可能性が「高」または「低」と判定されて衝突可能性があると判断した場合には、ナビ情報生成部23から出力装置6に対して警報信号を送信し、衝突可能性に応じた衝突支援を行う(S15)。たとえば、衝突可能性が高い場合には、衝突可能性が低い場合よりも強い警報を出力装置6に出力させたり、衝突可能性が低い場合には減速制御を行わないが、衝突可能性が高い場合には減速制御を行ったりすることができる。
【0056】
このように、本実施形態に係るナビゲーション装置1においては、他車両から送信された他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、他車両が高架道路を走行しているか高架下道路を走行しているかを推定している。通常、高架道路を走行している際には、GPS信号の強度は大きく、高架下道路を走行している際には、高架道路が遮蔽物となってGPS信号の強度が小さくなる。したがって、他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、他車両が走行している道路を推定することにより、高架道路および高架下道路のいずれかを車両が走行している際に、走行している道路が高架道路か高架下道路のいずれであるかを精度よく判断することができる。
【0057】
また、本実施形態に係るナビゲーション装置1においては、他車両が高架道路を走行しているか高架下道路を走行しているかを精度よく判断することができることから、自車両と他車両との衝突を効果的に防止することができる。さらには、交錯判定を行う際に高架道路を走行する他車両を除外することができるので、計算負荷を軽減することができる。
【0058】
さらに、本実施形態に係るナビゲーション装置1においては、他車両と互いに近距離を走行する他の他車両の台数に応じて、衝突可能性を補正している。このため、他車両が走行している道路が高架道路か高架下道路のいずれであるかをさらに精度よく判断することができる。その結果、衝突可能性をさらに精度よく判定することができる。
【0059】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図11は、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置のブロック構成図である。図11に示すように、本実施形態に係る情報処理装置は、上記第1の実施形態と同様、車両M10に設けられているナビゲーション装置1を備えている。また、ナビゲーション装置1には、GPS受信機2が接続されており、GPS受信機2には、GPSアンテナ3が接続されている。さらに、ナビゲーション装置1には、路車間通信装置7が接続されており、路車間通信装置7には、路車間通信アンテナ8が接続されている。その他、ナビゲーション装置1には、出力装置6が接続されている。また、ナビゲーション装置1は、送信情報処理部10および受信情報処理部20を備えている。
【0060】
ナビゲーション装置1における送信情報処理部10は、第1の実施形態と同様の衛星情報取得部11および自車両情報生成部12を備えている。このうち、自車両情報生成部12は、生成した自車両情報を路車間通信装置7および受信情報処理部20におけるナビ情報生成部23に送信する。
【0061】
また、送信情報処理部20は、ナビ情報生成部23を備えているナビ情報生成部23は、自車両情報生成部12から送信される自車両情報に基づいて、自車両の走行位置を取得し、走行位置情報として出力装置6に送信する。さらに、路車間通信装置7から送信される衝突可能性情報に基づく他車両と自車両との衝突可能性が所定値を超えた場合に、衝突可能性についての警報信号を出力装置6に対して送信する。
【0062】
一方、本実施形態に係る情報処理装置は、情報処理センタSSに設けられたセンタ側路車間通信装置9およびセンタ側路車間通信装置9が接続された情報処理センタサーバ30を備えている。センタ側路車間通信装置9は、路側に設けられた図示しない複数の路側アンテナと電気通信可能とされている。車両M10における路車間通信アンテナ8は、路側アンテナとの間で信号の送受信が可能とされている。センタ側路車間通信装置9は、路車間通信アンテナ8および路側アンテナを介して、路車間通信装置7との間で双方向通信を行っている。
【0063】
さらに、情報処理センタサーバ30には、車両情報取得部31、および交錯判定部32を備えている。車両情報取得部31および交錯判定部32は、いずれも上記第1の実施形態の他車両情報取得部21および交錯判定部22と同様の構成を有している。また、交錯判定部32は、衝突可能性情報をセンタ側路車間通信装置9に送信する。衝突可能性情報は、センタ側路車間通信装置9および路車間通信装置7を介してナビゲーション装置1におけるナビ情報生成部23に提供される。
【0064】
本発明の第2の実施形態に係る情報処理センタSSにおける処理手順について、図14に示す。ここで示した以外の処理については、上記第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。情報処理センタSSにおける処理について簡単に説明すると、自車両および他車両からの自車両情報および他車両情報を受信し(S41)、自車両および他車両について、自車両位置情報および自車両衛星情報、並びに他車両位置情報および他車両衛星情報を取得する(S42)。
【0065】
続いて、交錯判定を行い(S43)、自車両および他車両について、衝突可能性情報を生成する。それから、情報処理センタSSは、生成した衝突可能性情報を自車両および他車両にそれぞれ送信する(S44)。自車両および他車両では、それぞれ衝突可能性がしきい値よりも高いか否かを判断し(S45)、しきい値よりも高くない場合に、ステップS41に戻って同様の処理を繰り返す。また、しきい値よりも高い場合に衝突回避支援を行い(S46)、処理を終了する。
【0066】
このように、車両M10では、自車両情報を生成して情報処理センタSSに送信する。情報処理センタSSでは、複数の車両から自車両情報が送信される。情報処理センタSSでは、これらの各車両について、自車両情報とその他の複数の他車両における他車両情報とに基づいて、上記第1の実施形態と同様にして、衝突可能性を判断する。
【0067】
そして、衝突可能性の判断結果を衝突可能性情報として車両M10やそのほかの他車両に送信する。かかる態様によっても、他車両が走行している道路が高架道路か高架下道路のいずれであるかを精度よく判断することができる。また、他車両との衝突判定を精度よく行うことができるとともに、計算負荷の軽減を図ることができる。
【0068】
また、上記第2の実施形態においては衝突可能性の判断結果を衝突可能性情報として車両M10やそのほかの車両に送信しているが、交錯判定以降であれば、衝突可能性情報をいつ送信してもよい。たとえば、衝突可能性がしきい値より高いか否かの判定を行ってからその判定結果を含む衝突可能性情報を自車両および他車両に送信することもできる。また、ステップS46における衝突回避支援を実施する際における衝突回避支援の内容をセンタサーバ30で生成し、その衝突回避支援内容を自車両および他車両に送信することもできる。このときには、各車両同士の制御内容を調整することで、より適切な支援を行うことができる。
【0069】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記各実施形態においては、GPS信号の受信強度について、GPS信号を受信した際に実際に電波強度の測定を行っている。これに代えて、GPS受信機と複数のGPS衛星との間における疑似距離を用いて、車両が高架道路を走行しているか高架下道路を走行しているかを判断することができる。
【0070】
図12に示すように、GPSでは、GPS衛星S1,S2,・・・からの電波を車両Mに設けられたGPS受信機2で受信することにより、GPS衛星S1,S2,・・・とGPS受信機2との距離を計測する。このときのGPS衛星S1,S2,・・・とGPS受信機2との距離を疑似距離という。GPS受信機2では、複数のGPS衛星S1,S2,・・・との間における疑似距離を計測し、三角測量の原理を用いてGPS受信機2の位置を計測している。
【0071】
ここで、車両MにおけるGPS衛星SnとGPS受信機2との間に遮蔽物Wが存在すると、遮蔽物の存在によってGPS衛星Snから送信される電波の強度が弱くなる。このため、GPS衛星Snから送信される疑似距離について原理的にうまく測定ができなくなり、GPS衛星SnとGPS受信機2との間における疑似距離に含まれる誤差が大きくなってしまう。
【0072】
この特性を利用し、図13に示すように、GPS衛星Snが高仰角衛星であるとき、高仰角衛星Snの疑似距離の誤差が大きいときに、高架道路HWが遮蔽物となり、車両は、高架道路HWを走行する高架走行車両MHではなく、高架下道路LWを走行する高架下走行車両MLであると判断することもできる。
【符号の説明】
【0073】
1…ナビゲーション装置、2…GPS受信機、3…GPSアンテナ、4…車車間通信装置、5…車車間通信アンテナ、6…出力装置、7…路車間通信装置、8…路車間通信アンテナ、9…センタ側路車間通信装置、10…送信情報処理部、1…衛星情報取得部、12…自車両情報生成部、20…送信情報処理部、21…他車両情報取得部、31…車両情報取得部、22,32…交錯判定部、23…ナビ情報生成部、24…臨時駐車場情報検出部、30…情報処理センタサーバ、32…交錯判定部、HS…高仰角衛星、LS…低仰角衛星、HW高架道路、LW高架下道路、M…車両、M1…自車両、M11〜M13・・・高架下走行他車両、M21〜M23…高架走行他車両、SS…情報処理センタ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に係り、特に、他車両の三次元位置やこれを用いた情報処理を行う情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の車両においては、車両の走行経路をドライバ等に提供するため、ナビゲーション装置が広く利用されている。ナビゲーション装置では、自車両が走行する道路を判断するために、GPS装置が主に用いられている。GPS装置では、緯度経度情報を比較的精度よく検出できるものの、高さ情報を含めた三次元情報を検出することは困難である。このため、上空に高架道路が設けられた高架下道路となる一般道路を走行する場合などには、車両が一般道路と高架道路のいずれを走行しているかをGPS装置で検出することは難しかった。
【0003】
この問題に対して、GPS電波の受信状況を監視することにより、高架等で道路が上下に並行する場合に、上を走行中か下を走行中かを判断するカーナビゲーションシステムが開示されている(たとえば、特許文献1参照)。このカーナビゲーションシステムでは、GPS電波を送信するGPS衛星が複数あることを利用しており、GPS電波を受信できなかったGPS衛星の存在する受信不能領域を検出し、この受信不能領域と地図データとに基づいて、自車両が高架上にいるか否かを判定するというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−174528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献1に開示されたカーナビゲーションシステムにおいては、受信不能領域に基づいて、自車両が高架にいるか否かを判断しているが、受信不能領域は、周辺受信環境の影響を受けて、誤差を生じることが少なくなかった。たとえば、高架道路上を走行している際にも、大型車両の影になってGPS信号を受信不能となる場合もあるし、逆に、高架下の一般道路を走行中であっても偶発的に受信環境が整ってGPS信号を受信可能となる場合もある。このように、周辺の受信環境によって受信不能領域の誤差が生じやすくなることから、さらに高架道路を走行しているか否かの判断の精度が十分でないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、高架道路および高架下道路のいずれかを車両が走行している際に、走行している道路が高架道路か高架下道路のいずれであるかを精度よく判断することができる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決した本発明に係る情報処理装置は、他車両から送信される他車両の走行位置に関する他車両位置情報および他車両が受信したGPS信号の強度に関するGPS受信強度信号を受信する他車両情報受信手段と、他車両から送信された他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、他車両の三次元位置を推定する他車両三次元位置推定手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る情報処理装置は、他車両から送信された他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、他車両の三次元位置を推定している。通常、高架道路を走行している際には、GPS信号の強度は大きく、高架下道路を走行している際には、高架道路が遮蔽物となってGPS信号の強度が小さくなる。したがって、他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、他車両の三次元位置を推定することにより、高架道路および高架下道路のいずれかを車両が走行している際に、走行している道路が高架道路か高架下道路のいずれであるかを精度よく判断することができる。
【0009】
このとき、自車両位置に関する自車両位置情報を取得する自車両位置取得手段と、自車両位置情報および他車両三次元位置に関する他車両三次元位置情報に基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を判断する衝突判定手段と、をさらに備える態様とすることができる。
【0010】
高架道路の下方に高架下道路がある場合、車両同士の衝突は、高架下道路と交差する一般道路で発生することが多く、高架道路で発生することはほとんどない。この点、本発明に係る情報処理装置においては、他車両が高架道路を走行しているか高架下道路を走行しているかを精度よく判断することができるので、自車両と他車両との衝突を効果的に防止することができる。さらには、衝突判定を行う際に高架道路を走行する他車両を除外することができるので、計算負荷を軽減することができる。
【0011】
また、衝突判定手段は、複数の他車両における他車両三次元位置情報に基づいて、他車両と自車両との衝突可能性を判断するものであり、複数の他車両同士の距離である他車両間距離をそれぞれ取得する他車両間距離取得手段と、他車両間距離取得手段で取得された複数の他車両間距離のうち、他車両間距離が所定のしきい値以内となった他車両の数に基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を補正する衝突可能性補正手段と、を備える態様とすることができる。
【0012】
高架道路や高架下道路を走行する場合、車両同士が接近し、車両の周囲に多くの他車両が走行していることが多い。このため、他車両間距離取得手段で取得された複数の他車両間距離のうち、他車両間距離が所定のしきい値以内となった他車両の数に基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を補正することにより、他車両が走行している道路が高架道路か高架下道路のいずれであるかを精度よく判断することができる。その結果、衝突可能性を精度よく判定することができる。なお、衝突可能性の判断にあたっては、複数の他車両のすべてについて判断を行ってもよし、複数の他車両のうちの一部、たとえば自車両にもっとも近い他車両、衝突可能性が最も高い他車両、あるいは先頭を走行する他車両などとすることができる。
【0013】
他方、上記課題を解決した本発明に係る情報処理方法は、他車両から送信される他車両の走行位置に関する他車両位置情報および他車両が受信したGPS信号の強度に関するGPS受信強度信号を受信する他車両情報受信工程と、車両から送信された他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、他車両の三次元位置を推定する他車両三次元位置推定工程と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る情報処理装置によれば、高架道路および高架下道路のいずれかを車両が走行している際に、走行して道路が高架道路か高架下道路のいずれであるかを精度よく判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置のブロック構成図である。
【図2】高架道路および高架下道路を走行する他車両と高架下道路と交差する一般道路を走行する自車両との位置関係を模式的に説明する説明図である。
【図3】自車両の情報を他車両に送信するまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図4】他車両から送信された情報を受信した後の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】交錯判定の手順を示すフローチャートである。
【図6】高架道路と高架下道路とを走行する車両および高仰角衛星と低仰角衛星の位置関係を模式的に説明する説明図である。
【図7】高架道路を走行する他車両と大型車両および高仰角衛星との位置関係を模式的に説明する説明図である。
【図8】高架道路および高架下道路を走行する他車両と高架下道路と交差する一般道路を走行する自車両との位置関係を模式的に説明する説明図である。
【図9】(a)は、高架道路上のGPS受信機のGPS信号の受信状態を示す図、(b)は、高架道路下のGPS受信機のGPS信号の受信状態を示す図である。
【図10】衛星の配置を模式的に示す配置図である。
【図11】第2の実施形態に係る情報処理装置のブロック構成図である。である。
【図12】車両とGPS衛星との位置関係を模式的に説明する説明図である。
【図13】高仰角衛星と高架走行車両および高架下走行車両との関係を示す説明図である。
【図14】情報処理センタで情報を受信した後の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、図示の便宜上、図面の寸法比率は説明のものと必ずしも一致しない。
【0017】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る情報処理装置のブロック構成図である。図1に示すように、本実施形態に係る情報処理装置は、自車両M1に設けられているナビゲーション装置1を備えている。また、ナビゲーション装置1には、GPS(Global Positioning System)受信機2が接続されており、GPS受信機2には、GPSアンテナ3が接続されている。
【0018】
また、ナビゲーション装置1には車車間通信装置4が接続されており、車車間通信装置4には、車車間通信アンテナ5が接続されている。さらに。ナビゲーション装置1には、出力装置6が接続されている。出力装置6としては、たとえばモニタやスピーカが用いられている。
【0019】
ナビゲーション装置1は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read OnlyMemory)、RAM(Random Access Memory)などを備えて構成されており、送信情報処理部10および受信情報処理部20を備えている。また、送信情報処理部10は、衛星情報取得部11および自車両情報生成部12を備えている。さらに、受信情報処理部20は、他車両情報取得部21、交錯判定部22、およびナビ情報生成部23を備えている。
【0020】
GPS受信機2は、GPSアンテナ3を用いたGPS衛星が送信したGPS信号を受信する。GPS受信機2は、受信したGPS信号をナビゲーション装置1における衛星情報取得部11に送信する。GPSアンテナ3は、複数のGPS衛星が送信するGPS信号を受信可能な範囲で受信し、GPS受信機2へと送信している。このため、GPS受信機2には、複数のGPS信号が送信される。GPS受信機2は、送信されたGPS信号の全てを衛星情報取得部11に送信している。さらに、GPS受信機2は、GPS信号を衛星情報取得部11に送信する際、GPS信号の強度をGPS受信強度信号として衛星情報取得部11に合わせて送信する。
【0021】
ナビゲーション装置1における衛星情報取得部11は、GPS受信機2から送信されたGPS信号を取得する。衛星情報取得部11では、GPS受信機2から送信されたGPS信号の全てについて、GPS衛星の位置であるGPS位置を算出する。GPS位置は、GPS受信機2がGPS信号を受信した際の状況に基づいて算出する。また、GPS位置としては、GPS受信機2から見たGPS衛星の方位および仰角が含まれる。衛星情報取得部11は、算出したGPS情報にGPS受信強度信号を関連付けて自車両衛星情報として取得する。衛星情報取得部11は、取得した自車両衛星情報を自車両情報生成部12に出力する。
【0022】
自車両情報生成部12は、衛星情報取得部11から出力された複数の自車両衛星情報に含まれるGPS情報に基づいて、自車両の位置を算出する。自車両の位置を算出する際には、GPS受信機2から送信されたGPS情報の全てを用いた演算を行う。また、自車両情報生成部12は、算出した自車両位置に関する自車両位置情報を自車両衛星情報とともに自車両情報として生成し、車車間通信装置4および交錯判定部22に出力する。自車両情報生成部12は、本発明の自車両位置取得手段を構成する。
【0023】
他車両情報取得部21は、車車間通信装置4から送信される他車両情報を取得する。他車両情報取得部21では、車車間通信装置4から送信される他車両情報に含まれる他車両位置情報および他車両衛星情報を取得する。他車両衛星情報には、他車両の位置を算出した際のGPS衛星の位置に関するGPS情報が含まれている。他車両情報取得部21は、取得した他車両位置情報を他車両衛星情報とともに交錯判定部22に出力する。
【0024】
交錯判定部22は、自車両情報生成部12から出力される自車両位置情報および自車両衛星情報に基づいて、自車両位置を推定する。このとき、交錯判定部22では、自車両が高架道路以外の道路、たとえば高架下道路や高架下道路と交差する一般道路を走行していると判断したときに、交錯判定を行う。
【0025】
また、交錯判定部22は、他車両情報取得部21から出力される他車両位置情報および他車両衛星情報に基づいて、他車両の三次元位置を推定する。さらに、交錯判定部22は、推定した自車両位置および他車両三次元位置、さらには、他車両衛星情報に基づいて、自車両と他車両との衝突可能性を判断する。交錯判定部22は、本発明の他車両三次元位置推定手段および衝突判定手段を構成する。
【0026】
図2に模式的に示すように、自車両M1が高架道路HW以外の道路である一般道路NWを走行している場合、高架下道路LWを走行する高架下走行他車両M11,M12・・・と衝突する可能性はあるが、高架道路HWを走行している高架走行他車両M21,M22・・・と自車両M1とは物理的に衝突することはない。このため、交錯判定を行う際には、高架走行他車両M21,M22・・・を交錯判定の対象から外し、高架下道路LWを走行する高架下走行他車両M11,M12・・・に判定対象を限定することにより、交錯判定の精度を向上させることができるとともに、計算負荷を軽減することができる。このとき、自車両M1は、他車両M11,M12・・・、M21,M22・・・との間で車車間通信を行う。
【0027】
したがって、交錯判定部22は、自車両が高架下道路を走行している場合に、高架下道路を走行する他車両との交錯判定を行う。交錯判定を行う際、交錯判定部22は、判断した自車両と他車両との衝突可能性に関する衝突可能性情報および自車両位置情報をナビ情報生成部23に出力する。
【0028】
さらに、交錯判定部22は、複数の他車両からそれぞれ送信される他車両位置情報に基づいて、複数の他車両同士の車両間距離を算出して取得いる。交錯判定部22は、本発明の他車両距離取得手段を構成する。また、交錯判定部22は、算出した他車両同士の車間距離に基づいて、衝突可能性を補正する。交錯判定部22は、本発明の他車両間距離取得手段および衝突可能性補正手段を構成する。
【0029】
ナビ情報生成部23は、車両の走行可能性を有するエリアに関するマップ情報を備えている。ナビ情報生成部23は、交錯判定部22から出力された自車両位置情報をマップ情報に参照し、自車両のマップ上における走行位置を確認する。ナビ情報生成部23は、参照したマップに自車両の位置を付して走行位置情報として出力装置6に対して送信する。また、ナビ情報生成部23は、交錯判定部22から送信される衝突可能性情報に基づく他車両と自車両との衝突可能性が所定値を超えた場合に、衝突可能性についての警報信号を出力装置6に対して送信する。
【0030】
車車間通信装置4は、ナビゲーション装置1における自車両情報生成部12から送信される自車両情報について、車車間通信アンテナ5を利用して他車両に向けて送信する。他車両においても、同様にして、他車両情報(他車両情報を生成している車両から見れば自車両情報)を生成し、図示しない車車間通信アンテナを利用して、生成した他車両情報を自車両M1に送信する。また、車車間通信装置4は、他車両から送信される他車両情報を受信し、ナビゲーション装置1における他車両情報取得部21に送信する。車車間通信装置4は、本発明の他車両情報受信手段を構成する。
【0031】
出力装置6は、ナビ情報生成部23から送信される走行位置情報に基づいて、自車両が走行する周辺のマップおよびマップ中における自車両の走行位置をモニタに表示する。また、出力装置6は、ナビ情報生成部23から送信された警報信号を受信した際は、警報情報をモニタに表示するとともに、スピーカから警告音を出力する。
【0032】
次に、本実施形態に係る情報処理装置の動作について説明する。本実施形態に係る情報処理装置では、複数の車両が車車間で通信を行うことにより情報処理を行う。図3は、自車両の情報を他車両に送信するまでの処理手順を示すフローチャート、図4は、他車両から送信された情報を受信した後の処理手順を示すフローチャートである。
【0033】
自車両M1においては、ナビゲーション装置1に接続されたGPS受信機2において、図3に示すように、複数のGPS衛星から送信されるGPS信号を受信する(S1)。GPS受信機2は、GPS信号を受信した際に、各GPS衛星から送信されたGPS信号の電波の電波強度を測定する(S2)。
【0034】
受信強度の測定が済んだら、ナビゲーション装置1における送信情報処理部10の衛星情報取得部11に、受信したGPS信号およびGPS受信強度信号のすべてを送信する。衛星情報取得部11は、送信された複数のGPS信号およびそのGPS受信強度信号を自車両情報生成部12に出力する。自車両情報生成部12では、送信された複数のGPS信号に基づいて、自車両の走行位置である自車両位置を測位する(S3)。
【0035】
その後、測定した各GPS衛星の電波強度および自車両位置情報を交錯判定部22および車車間通信装置4に送信し、車車間通信装置4は、自車両位置情報およびGPS衛星の電波強度に関する自車両衛星情報を自車両情報として他車両に対して送信する(S4)。こうして、自車両の情報を他車両に送信するまでの処理を終了する。
【0036】
次に、他車両から送信された情報を受信した後の処理について説明する。自車両M1においては、ナビゲーション装置1に接続された車車間通信装置4において、図4に示すように、複数の他車両から送信される他車両情報を受信する(S11)。他車両情報には、他車両位置情報および他車両衛星情報が含まれている。車車間通信装置4は、受信した他車両情報をナビゲーション装置1における他車両情報取得部21に送信する。
【0037】
他車両情報取得部21では、送信された他車両情報から、他車両位置情報および他車両衛星情報を取得し(S12)、交錯判定部22に出力する。続いて、自車両が高架下道路と交差する一般道路を走行している場合に、交錯判定部22において、交錯判定を行う(S13)。自車両が高架下道路と交差する一般道路を走行しているか否かの判断は、自車両の走行位置に基づいて行うことができる。交錯判定は、図5に示すフローチャートに沿って行われる。
【0038】
交錯判定部22では、図5に示すように、他車両衛星情報に含まれる他車両の位置を算出した際に用いたGPS情報に基づいて、他車両位置を算出した際に用いたGPS衛星の位置を取得する(S21)。このGPS衛星の位置を取得する処理を複数の他車両の全てについて行う。
【0039】
次に、取得したGPS衛星の位置のうち、仰角が高仰角であるGPS衛星(以下「高仰角衛星」という)を抽出し、高仰角衛星から送信されたGPS信号の受信強度が低いか否かを判断する(S22)。たとえば、図6に模式的に示すように、高架道路HWを走行している高架走行車両MHでは、高架走行車両MHと高仰角衛星HSとの間には遮蔽物等が存在しにくいと考えられることから、高架走行車両MHに搭載されたGPS受信機2では、高仰角衛星HSから送信されたGPS信号の受信強度が高くなる。また、高架道路HWの下の高架下道路LWを走行している高架下走行車両MLでは、高架下走行車両MLに搭載されたGPS受信機2と高仰角衛星HSとの間には高架道路HWが存在し、この高架道路HWが遮蔽物となってGPS受信機2が受信するGPS信号の受信強度が低くなる。
【0040】
したがって、ステップS22における判断の結果、高仰角衛星から送信されたGPS信号の受信強度が低いと判断した場合には、そのGPS信号を受信した他車両が高架下道路を走行していると判断し、第1グループに分類する(S23)。一方、高仰角衛星から送信されたGPS信号の受信強度が高いと判断した場合には、そのGPS信号を受信した他車両が高架道路を走行していると判断し、第2グループに分類する(S24)。
【0041】
続いて、第1グループに分類された他車両について、第1グループに分類された複数台の他車両が、互いに所定のしきい値以内の近距離に存在するか否かを判断する(S25)。本実施形態では、ここでの互いの所定のしきい値以内の近距離に存在する他車両の数が複数であるときに、衝突可能性の補正を行う。
【0042】
車両が高架道路を走行している場合には、GPS衛星と車両に搭載されたGPS受信機2との間には遮蔽物が存在することは少ないが、たとえば図7に示すように、高架道路HWにおいて、高架走行他車両M22の近傍を大型車両BMが走行している場合には、高架走行他車両M22においては、その大型車両BMが遮蔽物となってGPS衛星SからのGPS信号の受信強度が低くなることが考えられる。このため、GPS信号の受信強度が低いとしても、高架下道路を走行していると完全に判断することは難しい。
【0043】
その一方、図8に示すように、第1グループに分類された車両の中に、互いに近距離に複数台の高架下走行車両M11,M12・・・が存在している場合を考える。このとき、高架下走行他車両M11と車車間通信を行っているとき、高架下走行他車両M11が、第1グループに分類された他の高架下走行他車両M12,M13・・・と互いに近距離で走行している場合、高架下走行他車両M11も複数台の他車両とともに高架下道路を走行している可能性が高いと考えられる。また、単独で走行している他車両M31については、高架道路HWを走行している可能性もあると考えられる。
【0044】
そこで、ステップS25における判断の結果、互いに近距離に複数台の車両が存在すると判断した場合には、その他車両は、高架下を走行していると判定するとともに自信度「A」と判定する(S26)。ここで、自信度とは、判定が正しいと考えられる度合をいう。その後、自信度「A」で高架下を走行していると判定された他車両について、衝突判定対象車とし、衝突可能性を「高」に補正して設定し(S27)、交錯判定を終了する。そして、図3に示すステップS14に進む。
【0045】
一方、ステップS25において、互いに近距離に複数台の車両が存在しないと判断した場合には、互いに近距離に複数台の車両が、ステップS24で分類された第2グループ中に存在するか否かを判断する(S28)。その結果、互いに近距離に複数台の車両が第2グループ中に存在しないと判断した場合には、GPS信号の受信強度が低くても、他車両は高架下を走行している可能性が高いと考えられる。ただし、高架下道路を走行しているとの判断の精度は高くないと考えられる。そこで、他車両が高架下を走行していると判定するとともに、自信度「B」と判定する(S29)。その後、自信度「B」で高架下を走行していると判定された他車両について、衝突判定対象車とし、衝突可能性を「低」に設定して(S30)、交錯判定を終了し、図3に示すステップS14に進む。
【0046】
また、ステップS28において互いに近距離に複数台の車両が第2グループ中に存在すると判断した場合には、仰角が低仰角であるGPS衛星(以下「低仰角衛星」という)から送信されるGPS信号の受信強度が安定しているか否かを判断する(S31)。たとえば、図6に示すように、また、高架下道路LWを走行している高架下走行車両MLでは、高架下走行車両MLに搭載されたGPS受信機2と低仰角衛星LSとの間には、橋脚などの遮蔽物がしばしば存在し、この遮蔽物が低仰角衛星LSからのGPS信号の受信強度を低くする原因となることがある。
【0047】
ここで、図9(a) に、高架下道路を走行した場合のGPS信号の受信強度の例を示し、図9(b)に、高架上道路を走行した場合のGPS信号の受信強度の例を示す。このときの衛星の配置は図10に示す通りである。図10では、グラフの中心に車両が存在した場合の衛星の配置を示し、グラフの中心に近いほど仰角が高いものである。
【0048】
図9に示すように、高架下道路を走行した場合には、高仰角衛星であるNo27、No9のGPS衛星からの受信強度が低下している。また、高架上道路を走行している場合には、高仰角衛星であるNo27、No9のGPS衛星からの受信強度の低下することがない。さらに、低仰角衛星であるNo10、No22のGPS衛星からの受信強度も安定していた。
【0049】
ステップS31における判断の結果、低仰角衛星から送信されるGPS信号の受信強度が安定していないと判断した場合には、高架道路の橋脚などが遮蔽物となって低仰角衛星のGPS信号の受信強度が安定しなくなると考えられる。この場合には、他車両が高架下を走行していると判定するとともに、自信度「B」と判定する(S29)。その後、自信度「B」で高架下を走行していると判定された他車両について、衝突判定対象車とし、衝突可能性を「高」に設定して(S27)、交錯判定を終了し、図3に示すステップS14に進む。
【0050】
一方、低仰角衛星から送信されるGPS信号の受信強度が安定していると判断した場合には、他車両の周辺における遮蔽物は少ないと考えられる。この場合には、他車両が高架上を判定するとともに、自信度「A」と判定する(S32)。他車両が高架道路を走行している場合には、交差点等における自車両との衝突可能性はないので、衝突判定対象外車両とする(S33)。そして、衝突可能性「無」として交錯判定を終了し、図3に示すステップS14に進む。
【0051】
他方、ステップS24において、高架道路を走行する第2グループに分類された他車両については、第2グループに分類された複数台の他車両が、互いに近距離に存在するか否かを判断する(S34)。図8に示すように、第2グループに分類された車両の中に、互いに近距離に複数台の高架走行他車両M21,M22・・・が存在している場合を考える。このとき、高架走行他車両M21と車車間通信を行っているとき、高架走行他車両M21が、第2グループに分類された他の高架走行他車両M22,M23・・・と互いに近距離で走行している場合、高架走行他車両M21も複数台の他車両とともに高架道路を走行している可能性が高いと考えられる。また、単独で走行している他車両M41については、高架下道路LWを走行している可能性もあると考えられる。
【0052】
そこで、ステップS34における判断の結果、互いに近距離に複数台の車両が存在し、他車両間の距離が所定のしきい値内に複数の車両が存在すると判断した場合には、その他車両は、高架上を走行していると判定するとともに自信度「A」と判定する(S32)。そして、衝突可能性「無」の衝突判定対象外車両と判断する(S33)。その後、交錯判定を終了し、図3に示すステップS14に進む。
【0053】
逆に、互いに近距離に複数台の車両が存在すると判断した場合には、その他車両は、高架上を走行していると判定するが、自信度「B」と判定する(S35)。その後、その後、自信度「B」で高架上を走行していると判定された他車両について、衝突判定対象車とし、衝突可能性を「低」に設定して(S30)、交錯判定を終了し、図3に示すステップS14に進む。
【0054】
図4に示すフローに戻り、交錯判定が済んだら、衝突可能性があるか否かを判断する(S14)。その結果、図5のステップS33で衝突可能性無と判定されて、衝突可能性がないと判断した場合には、ステップS11に戻って、他車両から他車両情報を受信する処理を繰り返す。
【0055】
一方、図5のステップS27、S30で衝突可能性が「高」または「低」と判定されて衝突可能性があると判断した場合には、ナビ情報生成部23から出力装置6に対して警報信号を送信し、衝突可能性に応じた衝突支援を行う(S15)。たとえば、衝突可能性が高い場合には、衝突可能性が低い場合よりも強い警報を出力装置6に出力させたり、衝突可能性が低い場合には減速制御を行わないが、衝突可能性が高い場合には減速制御を行ったりすることができる。
【0056】
このように、本実施形態に係るナビゲーション装置1においては、他車両から送信された他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、他車両が高架道路を走行しているか高架下道路を走行しているかを推定している。通常、高架道路を走行している際には、GPS信号の強度は大きく、高架下道路を走行している際には、高架道路が遮蔽物となってGPS信号の強度が小さくなる。したがって、他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、他車両が走行している道路を推定することにより、高架道路および高架下道路のいずれかを車両が走行している際に、走行している道路が高架道路か高架下道路のいずれであるかを精度よく判断することができる。
【0057】
また、本実施形態に係るナビゲーション装置1においては、他車両が高架道路を走行しているか高架下道路を走行しているかを精度よく判断することができることから、自車両と他車両との衝突を効果的に防止することができる。さらには、交錯判定を行う際に高架道路を走行する他車両を除外することができるので、計算負荷を軽減することができる。
【0058】
さらに、本実施形態に係るナビゲーション装置1においては、他車両と互いに近距離を走行する他の他車両の台数に応じて、衝突可能性を補正している。このため、他車両が走行している道路が高架道路か高架下道路のいずれであるかをさらに精度よく判断することができる。その結果、衝突可能性をさらに精度よく判定することができる。
【0059】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図11は、本発明の第2の実施形態に係る情報処理装置のブロック構成図である。図11に示すように、本実施形態に係る情報処理装置は、上記第1の実施形態と同様、車両M10に設けられているナビゲーション装置1を備えている。また、ナビゲーション装置1には、GPS受信機2が接続されており、GPS受信機2には、GPSアンテナ3が接続されている。さらに、ナビゲーション装置1には、路車間通信装置7が接続されており、路車間通信装置7には、路車間通信アンテナ8が接続されている。その他、ナビゲーション装置1には、出力装置6が接続されている。また、ナビゲーション装置1は、送信情報処理部10および受信情報処理部20を備えている。
【0060】
ナビゲーション装置1における送信情報処理部10は、第1の実施形態と同様の衛星情報取得部11および自車両情報生成部12を備えている。このうち、自車両情報生成部12は、生成した自車両情報を路車間通信装置7および受信情報処理部20におけるナビ情報生成部23に送信する。
【0061】
また、送信情報処理部20は、ナビ情報生成部23を備えているナビ情報生成部23は、自車両情報生成部12から送信される自車両情報に基づいて、自車両の走行位置を取得し、走行位置情報として出力装置6に送信する。さらに、路車間通信装置7から送信される衝突可能性情報に基づく他車両と自車両との衝突可能性が所定値を超えた場合に、衝突可能性についての警報信号を出力装置6に対して送信する。
【0062】
一方、本実施形態に係る情報処理装置は、情報処理センタSSに設けられたセンタ側路車間通信装置9およびセンタ側路車間通信装置9が接続された情報処理センタサーバ30を備えている。センタ側路車間通信装置9は、路側に設けられた図示しない複数の路側アンテナと電気通信可能とされている。車両M10における路車間通信アンテナ8は、路側アンテナとの間で信号の送受信が可能とされている。センタ側路車間通信装置9は、路車間通信アンテナ8および路側アンテナを介して、路車間通信装置7との間で双方向通信を行っている。
【0063】
さらに、情報処理センタサーバ30には、車両情報取得部31、および交錯判定部32を備えている。車両情報取得部31および交錯判定部32は、いずれも上記第1の実施形態の他車両情報取得部21および交錯判定部22と同様の構成を有している。また、交錯判定部32は、衝突可能性情報をセンタ側路車間通信装置9に送信する。衝突可能性情報は、センタ側路車間通信装置9および路車間通信装置7を介してナビゲーション装置1におけるナビ情報生成部23に提供される。
【0064】
本発明の第2の実施形態に係る情報処理センタSSにおける処理手順について、図14に示す。ここで示した以外の処理については、上記第1の実施形態と同様であるので、説明は省略する。情報処理センタSSにおける処理について簡単に説明すると、自車両および他車両からの自車両情報および他車両情報を受信し(S41)、自車両および他車両について、自車両位置情報および自車両衛星情報、並びに他車両位置情報および他車両衛星情報を取得する(S42)。
【0065】
続いて、交錯判定を行い(S43)、自車両および他車両について、衝突可能性情報を生成する。それから、情報処理センタSSは、生成した衝突可能性情報を自車両および他車両にそれぞれ送信する(S44)。自車両および他車両では、それぞれ衝突可能性がしきい値よりも高いか否かを判断し(S45)、しきい値よりも高くない場合に、ステップS41に戻って同様の処理を繰り返す。また、しきい値よりも高い場合に衝突回避支援を行い(S46)、処理を終了する。
【0066】
このように、車両M10では、自車両情報を生成して情報処理センタSSに送信する。情報処理センタSSでは、複数の車両から自車両情報が送信される。情報処理センタSSでは、これらの各車両について、自車両情報とその他の複数の他車両における他車両情報とに基づいて、上記第1の実施形態と同様にして、衝突可能性を判断する。
【0067】
そして、衝突可能性の判断結果を衝突可能性情報として車両M10やそのほかの他車両に送信する。かかる態様によっても、他車両が走行している道路が高架道路か高架下道路のいずれであるかを精度よく判断することができる。また、他車両との衝突判定を精度よく行うことができるとともに、計算負荷の軽減を図ることができる。
【0068】
また、上記第2の実施形態においては衝突可能性の判断結果を衝突可能性情報として車両M10やそのほかの車両に送信しているが、交錯判定以降であれば、衝突可能性情報をいつ送信してもよい。たとえば、衝突可能性がしきい値より高いか否かの判定を行ってからその判定結果を含む衝突可能性情報を自車両および他車両に送信することもできる。また、ステップS46における衝突回避支援を実施する際における衝突回避支援の内容をセンタサーバ30で生成し、その衝突回避支援内容を自車両および他車両に送信することもできる。このときには、各車両同士の制御内容を調整することで、より適切な支援を行うことができる。
【0069】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。たとえば、上記各実施形態においては、GPS信号の受信強度について、GPS信号を受信した際に実際に電波強度の測定を行っている。これに代えて、GPS受信機と複数のGPS衛星との間における疑似距離を用いて、車両が高架道路を走行しているか高架下道路を走行しているかを判断することができる。
【0070】
図12に示すように、GPSでは、GPS衛星S1,S2,・・・からの電波を車両Mに設けられたGPS受信機2で受信することにより、GPS衛星S1,S2,・・・とGPS受信機2との距離を計測する。このときのGPS衛星S1,S2,・・・とGPS受信機2との距離を疑似距離という。GPS受信機2では、複数のGPS衛星S1,S2,・・・との間における疑似距離を計測し、三角測量の原理を用いてGPS受信機2の位置を計測している。
【0071】
ここで、車両MにおけるGPS衛星SnとGPS受信機2との間に遮蔽物Wが存在すると、遮蔽物の存在によってGPS衛星Snから送信される電波の強度が弱くなる。このため、GPS衛星Snから送信される疑似距離について原理的にうまく測定ができなくなり、GPS衛星SnとGPS受信機2との間における疑似距離に含まれる誤差が大きくなってしまう。
【0072】
この特性を利用し、図13に示すように、GPS衛星Snが高仰角衛星であるとき、高仰角衛星Snの疑似距離の誤差が大きいときに、高架道路HWが遮蔽物となり、車両は、高架道路HWを走行する高架走行車両MHではなく、高架下道路LWを走行する高架下走行車両MLであると判断することもできる。
【符号の説明】
【0073】
1…ナビゲーション装置、2…GPS受信機、3…GPSアンテナ、4…車車間通信装置、5…車車間通信アンテナ、6…出力装置、7…路車間通信装置、8…路車間通信アンテナ、9…センタ側路車間通信装置、10…送信情報処理部、1…衛星情報取得部、12…自車両情報生成部、20…送信情報処理部、21…他車両情報取得部、31…車両情報取得部、22,32…交錯判定部、23…ナビ情報生成部、24…臨時駐車場情報検出部、30…情報処理センタサーバ、32…交錯判定部、HS…高仰角衛星、LS…低仰角衛星、HW高架道路、LW高架下道路、M…車両、M1…自車両、M11〜M13・・・高架下走行他車両、M21〜M23…高架走行他車両、SS…情報処理センタ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他車両から送信される他車両の走行位置に関する他車両位置情報および他車両が受信したGPS信号の強度に関するGPS受信強度信号を受信する他車両情報受信手段と、
前記他車両から送信された他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、前記他車両の三次元位置を推定する他車両三次元位置推定手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
自車両位置に関する自車両位置情報を取得する自車両位置取得手段と、
前記自車両位置情報および前記他車両三次元位置に関する他車両三次元位置情報に基づいて、前記自車両と前記他車両との衝突可能性を判断する衝突判定手段と、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記衝突判定手段は、複数の前記他車両における他車両三次元位置情報に基づいて、前記他車両と前記自車両との衝突可能性を判断するものであり、
複数の前記他車両同士の距離である他車両間距離をそれぞれ取得する他車両間距離取得手段と、
前記他車両間距離取得手段で取得された複数の他車両間距離のうち、他車両間距離が所定のしきい値以内となった他車両の数に基づいて、前記自車両と前記他車両との衝突可能性を補正する衝突可能性補正手段と、
を備える請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
他車両から送信される他車両の走行位置に関する他車両位置情報および他車両が受信したGPS信号の強度に関するGPS受信強度信号を受信する他車両情報受信工程と、
前記車両から送信された他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、前記他車両の三次元位置を推定する他車両三次元位置推定工程と、
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項1】
他車両から送信される他車両の走行位置に関する他車両位置情報および他車両が受信したGPS信号の強度に関するGPS受信強度信号を受信する他車両情報受信手段と、
前記他車両から送信された他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、前記他車両の三次元位置を推定する他車両三次元位置推定手段と、
を備えることを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
自車両位置に関する自車両位置情報を取得する自車両位置取得手段と、
前記自車両位置情報および前記他車両三次元位置に関する他車両三次元位置情報に基づいて、前記自車両と前記他車両との衝突可能性を判断する衝突判定手段と、
をさらに備える請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記衝突判定手段は、複数の前記他車両における他車両三次元位置情報に基づいて、前記他車両と前記自車両との衝突可能性を判断するものであり、
複数の前記他車両同士の距離である他車両間距離をそれぞれ取得する他車両間距離取得手段と、
前記他車両間距離取得手段で取得された複数の他車両間距離のうち、他車両間距離が所定のしきい値以内となった他車両の数に基づいて、前記自車両と前記他車両との衝突可能性を補正する衝突可能性補正手段と、
を備える請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
他車両から送信される他車両の走行位置に関する他車両位置情報および他車両が受信したGPS信号の強度に関するGPS受信強度信号を受信する他車両情報受信工程と、
前記車両から送信された他車両位置情報およびGPS受信強度信号に基づいて、前記他車両の三次元位置を推定する他車両三次元位置推定工程と、
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−168113(P2012−168113A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−31026(P2011−31026)
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月16日(2011.2.16)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】
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