説明

情報処理装置及びその通信処理方法

【課題】複数の通信インタフェースを介して複数のサービスを同時に提供するとともに、各通信インタフェースを用いた通信の切断を的確に行なえるようにする。
【解決手段】公衆網を介さずに複数の通信端末と個別に通信を行なう第1の通信インタフェースと、公衆網を介して通信を行なう第2の通信インタフェースとを有する情報処理装置であって、第1の通信インタフェースを介して通信する複数の通信端末に対して、第1の通信インタフェース、若しくは第1の通信インタフェース及び第2の通信インタフェースを介してサービスを提供するとともに、使用する通信インタフェースに関する情報と、提供サービスに関する情報とを管理し、通信を制御する。第1の通信インタフェース及び第2の通信インタフェースのいずれか一方による通信の切断を検出した場合、管理した情報に基づいて切断が検出されていない通信インタフェースによる通信の切断に係わる制御を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置及びその通信処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IEEE802.11無線LANやBluetooth(登録商標)等の近距離無線通信機能を備えた情報処理装置(例えば、携帯電話)が製品化されている。また、近距離無線通信と公衆網通信とを介してデータを中継し、近距離無線通信で接続する端末(近距離無線通信端末)とインターネット上の端末(ネットワーク端末)とを接続する機能(データ転送サービス)を備えた携帯電話が提案されている(特許文献1)。これにより、近距離無線通信端末とネットワーク端末との間でデータの送受信が可能になる。
【0003】
従来、複数インタフェース間のデータを中継する中継端末においては、一方のインタフェースの通信に障害が発生した場合に、もう一方のインタフェースでそれに連動した処理を実施するようにした技術が提案されている(特許文献2〜4)。特許文献2には、アクセスポイントにおいて、有線インタフェースで接続されるノードへの接続が切断された場合に、無線インタフェースで接続される装置の接続を切断する技術が提案されている。特許文献3には、携帯電話に対して無線で通話装置が接続するハンズフリー通話システムにおいて、携帯電話と通話装置との間の無線状態に応じて通話相手との接続状態を制御する技術が開示されている。また、特許文献4には、ネットワーク間を繋ぐトンネリング技術をサポートする中継装置において、トンネルをネットワーク内の複数の端末が共有して使用し、端末によるトンネルの使用状況を監視してトンネルの接続状態を管理する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−180077号公報
【特許文献2】特開2000−156689号公報
【特許文献3】特開2008−92600号公報
【特許文献4】特開2007−267138号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
今後、携帯電話では、上述したデータ転送サービス以外にも、複数のサービスを他の通信端末に対して提供することが想定される。これらのサービスには、近距離無線通信のみを使用するものや、近距離無線通信と公衆網通信との両方を使用するものが含まれている。これらサービスは、携帯電話に接続する複数の通信端末によって同時に使用されることも想定される。
【0006】
しかし、上述した従来の技術では、中継装置においては、複数の異なるサービスが同時に実行されることは、考慮されていない。
【0007】
また、携帯電話では、できる限り電力消費を抑えることが求められるため、他の通信端末に対してサービスを提供する場合においても、省電力を考慮した通信制御を行なうことが望ましい。
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、複数の通信インタフェースを介して複数のサービスを同時に提供するとともに、各通信インタフェースを用いた通信の切断を的確に行なえるようにした技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため、本発明の一態様は、公衆網を介さずに複数の通信端末と個別に通信を行なう第1の通信インタフェースと、公衆網を介して通信を行なう第2の通信インタフェースとを有する情報処理装置であって、前記第1の通信インタフェースを介して通信する複数の通信端末に対して、前記第1の通信インタフェース、若しくは前記第1の通信インタフェース及び第2の通信インタフェースを介してサービスを提供するサービス制御手段と、前記第1の通信インタフェース及び前記第2の通信インタフェースの少なくともいずれかによる通信の切断を検出する切断検出手段と、前記サービス制御手段により提供されるサービス各々が使用する通信インタフェースに関する情報と、前記サービス制御手段により提供されているサービスに関する情報とを管理する管理手段と、前記管理手段により管理された情報に基づいて前記第1の通信インタフェース及び前記第2の通信インタフェースによる通信を制御する通信制御手段とを具備し、前記通信制御手段は、前記切断検出手段により前記第1の通信インタフェース及び前記第2の通信インタフェースのいずれか一方による通信の切断を検出した場合、前記管理手段により管理された情報に基づいて前記切断検出手段により切断が検出されていない通信インタフェースによる通信の切断に係わる制御を行なうことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、複数の通信インタフェースを介して複数のサービスを同時に提供するとともに、各通信インタフェースを用いた通信の切断を的確に行なえる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の一実施の形態に係わる通信システムの構成の一例を示す図である。
【図2】図1に示す携帯電話1の機能的な構成の一例を示す図である。
【図3】状態管理テーブルのテーブルレイアウトの一例を示す図である。
【図4】図1及び図2に示す携帯電話1の動作の一例を示すフローチャートである。
【図5】図1及び図2に示す携帯電話1の動作の一例を示すフローチャートである。
【図6】図1に示す通信システムの通信シーケンスの一例を示すシーケンスチャートである。
【図7】図1に示す通信システムの通信シーケンスの一例を示すシーケンスチャートである。
【図8】状態管理テーブルのテーブルレイアウトの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、図面を参照して、本発明に係わる情報処理装置及びその通信処理方法の好適な実施の形態について説明する。以下、実施形態に記載される構成要素や動作は、あくまで例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0013】
図1は、本発明の一実施の形態に係わる通信システムの構成の一例を示す図である。
【0014】
通信システムは、携帯電話1と、ノートパソコン11(以下、ノートPCと呼ぶ場合もある)と、カメラ12と、ゲーム機13と、基地局21と、Webサーバ31と、携帯電話用Web(例えば、iモード(登録商標))サーバ32とを具備して構成される。携帯電話1、ノートPC11、カメラ12、ゲーム機13は、IEEE802.11系無線LANネットワーク41(以下、無線LAN通信網と呼ぶ場合もある)で接続されている。更に、携帯電話1は、公衆網ネットワーク42(以下、公衆網と呼ぶ場合もある)を介して基地局21と接続されている。
【0015】
ここで、携帯電話1は、無線LAN通信網と公衆網との間で各種データ等を中継する機能を備えている。すなわち、無線LANで接続する通信端末(ノートPC11、カメラ12、ゲーム機13)とインターネット上の端末(Webサーバ31と、携帯電話用Webサーバ32)との間でのデータ通信を中継する機能(データ転送サービス)を備えている。また、携帯電話1が提供する機能(サービス)は、これ以外にも、アドレス帳取得サービス、メール送信サービス、ダウンロードサービス、インターネット接続サービス(例えば、GPSデータ受信)、等もある。
【0016】
なお、上記説明した、携帯電話1、ノートPC11、カメラ12、ゲーム機13、基地局21、Webサーバ31、携帯電話用Webサーバ32等には、コンピュータが組み込まれている。コンピュータには、CPU等の主制御手段、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)等の記憶手段が具備される。また、コンピュータにはその他、キーボード、マウス、ディスプレイ、ボタン又はタッチパネル等の入出力手段、等も具備される。なお、これら各構成部は、バス等により接続され、主制御手段が記憶手段に記憶されたプログラムを実行することで制御される。
【0017】
図2は、図1に示す携帯電話1の機能的な構成の一例を示す図である。
【0018】
携帯電話1は、第1の通信インタフェース51と、第2の通信インタフェース54と、通信制御部56と、サービス制御部57と、サービス状態管理部59とを具備して構成される。
【0019】
第1の通信インタフェース51は、無線LANネットワーク41を介した通信を行なう。第1の通信インタフェース51には、第1の通信インタフェース51による通信の切断を検出する第1の切断検出部52が設けられる。なお、第1の通信インタフェース51による通信は、必ずしも無線LAN網を用いる必要はない。例えば、ワイヤレスUSBやBluetooth、RFID(Radio Frequency IDentification)等の通信プロトコルを用いる通信インタフェースであってもよい。また、これ以外にも、NFC(Near Field Communication)、TransferJet等の近接無線転送(非接触通信)、USB(Universal Serial Bus)等の有線通信などを用いてもよい。すなわち、第1の通信インタフェース51は、公衆網を用いず、また、各通信端末との通信を個別に制御(例えば、切断、接続等)できるインタフェースであればよい。
【0020】
第2の通信インタフェース54は、公衆網ネットワーク42を介した通信を行なう。第2の通信インタフェース54には、第2の通信インタフェース54による通信の切断を検出する第2の切断検出部55が設けられる。
【0021】
通信制御部56は、通信インタフェース(第1の通信インタフェース51、第2の通信インタフェース54)による通信を制御する。通信制御部56では、通信インタフェースの制御、例えば、接続や切断、通信インタフェースの電源管理、その他、省電力モードへの遷移、などを行なう。また、通信制御部56には、切断判断部53が設けられる。切断判断部53は、切断検出部(第1の切断検出部52、第2の切断検出部55)により通信の切断が検出された場合に、どの通信インタフェース、又はどの通信端末との間の通信を切断するのかを判断する。この判断は、サービス状態管理部59に管理された情報に基づいて行なわれる。
【0022】
サービス制御部57は、携帯電話1が提供する各種サービスを制御する。サービス制御部57には、各サービスに対応した処理を行なう1又は複数のサービス処理部58(この場合、複数)が設けられる。これら、サービス処理部58では、通信インタフェースを介して接続される通信端末に対して複数のサービスを同時に提供することができる。
【0023】
サービス状態管理部59は、サービスの実行状態や、実行中のサービス各々が用いる通信インタフェースに関する情報等を管理する。サービス状態管理部59は、例えば、状態管理テーブルを用いて情報を管理する。状態管理テーブルでは、図3に示すように、サービスの実行を要求した端末、サービスの種別、当該サービスが使用する通信インタフェース、等を対応付けて保持している。
【0024】
ここで、図4を用いて、図1及び図2に示す携帯電話1の動作の一例について説明する。ここでは、携帯電話1においてサービスを開始する際の処理について説明する。
【0025】
この処理は、例えば、他の通信端末からサービス開始の指示要求を受信した場合や、操作者の操作によりサービスの開始が指示された場合に開始される(S101でYES)。この処理が開始すると、携帯電話1は、サービス制御部57において、当該サービスの開始を指示した要求元と、要求されたサービスの種別とを判断する(S102)。
【0026】
この判断が済むと、携帯電話1は、サービス状態管理部59において、当該判断された要求元及びサービス種別と、同一の要求元で且つサービス種別であるデータが状態管理テーブルに既に登録されているか否かの判断を行なう。
【0027】
判断の結果、該当のデータが既に登録されていれば(S103でYES)、携帯電話1は、サービス制御部57において、要求されたサービスを開始した後(S110)、この処理を終了する。一方、該当のデータが登録されていなければ(S103でNO)、携帯電話1は、サービス制御部57において、開始の指示を要求されたサービスが公衆網を用いるか否かを判断する(S104)。この結果、要求されたサービスが公衆網を使用し、また、携帯電話1が公衆網と接続されていない場合には(S105でYES)、携帯電話1は、通信制御部56において、公衆網への接続を開始する(S106)。その後、携帯電話1は、S107〜S109のサービス情報登録処理に進む。また、要求されたサービスが公衆網を使用しない場合や、公衆網を使用するが既に接続済みである場合には(S105でNO)、携帯電話1は、S107〜S109のサービス情報登録処理に進む。
【0028】
サービス情報登録処理が開始すると、携帯電話1は、サービス状態管理部59において、サービス要求元の端末識別子と、サービス種別と、使用する通信インタフェースとを状態管理テーブルに登録する(S107〜S109)。この登録処理が済むと、携帯電話1は、サービス制御部57において、当該要求されたサービスを開始する(S110)。これにより、この処理は終了する。
【0029】
次に、図5を用いて、図1に示す携帯電話1の動作の一例について説明する。ここでは、携帯電話1において、実行中のサービスを停止する際の処理について説明する。
【0030】
携帯電話1は、サービス制御部57において、実行中のサービスの完了を検出するか、また、第1の切断検出部52又は第2の切断検出部55において、接続中の通信の切断を検出するか、するまでサービス実行状態にある(S201〜S203でNO)。
【0031】
ここで、公衆網を介した第2の通信インタフェース54による通信の切断を検出した場合(S201でYES)、携帯電話1は、切断判断部53において、無線LAN網と公衆網との両方を使用するサービスが実行中であるか否かを判断する。この判断は、無線LAN網と公衆網との両方が「使用通信インタフェース」情報に設定されているレコードが状態管理テーブルに存在するか否かに基づいて行なう。図3に示す状態管理テーブルの場合には、例えば、No.2、3のレコードが該当する。
【0032】
ここで、該当のサービスが実行中(該当レコードあり)であれば(S204でYES)、携帯電話1は、通信制御部56において、サービス実行中の通信端末に対してサービスの中止を通知する(S205)。この通知は、第1の通信インタフェースを介して行なう。その後、携帯電話1は、サービス状態管理部59において、状態管理テーブルから公衆網を使用するサービスを実行中の通信端末のレコードを削除する(S206)。
【0033】
また、S201〜S203の処理中に、無線LANの切断を検出した場合(S202でYES)、携帯電話1は、サービス状態管理部59において、状態管理テーブルを検索し、該当のレコードを削除する。すなわち、状態管理テーブルにおいて、無線LAN通信が切断された通信端末(レコード)を検索し、そのレコードを削除する(S207)。また、S201〜S203の処理中に、実行中サービスの完了を検出した場合(S203でYES)、携帯電話1は、サービス状態管理部59において、状態管理テーブルを検索し、該当レコードを削除する。すなわち、状態管理テーブルにおいて、当該のサービスが完了した通信端末(レコード)を検索し、そのレコードを削除する(S208)。
【0034】
ここで、上述したS201〜S208のレコード削除処理が終了すると、携帯電話1は、使用されていない通信インタフェースを停止させる(S209〜S212)。まず、携帯電話1は、切断判断部53において、公衆網を用いるサービスが実行中であるか否かを判断する。この判断は、サービス状態管理部59による状態管理テーブルの検索結果に基づいて行なわれる。実行中であれば(S209でYES)、携帯電話1は、S211の処理に進む。実行中でなければ(S209でNO)、携帯電話1は、通信制御部56において、第2の通信インタフェース54による公衆網を介した通信を切断した後(S210)、S211の処理に進む。
【0035】
次に、携帯電話1は、切断判断部53において、無線LAN網を用いるサービスが実行中であるか否かを判断する。この判断は、サービス状態管理部59において、サービス状態管理部59による状態管理テーブルの検索結果に基づいて行なわれる。実行中であれば(S211でYES)、携帯電話1は、この処理を終了する。実行中でなければ(S211でNO)、携帯電話1は、通信制御部56において、第1の通信インタフェース51による無線LAN網を介した通信を切断した後(S212)、この処理を終了する。
【0036】
次に、図1に示す通信システムの通信シーケンスの一例について説明する。まず、図6及び図3を用いて、公衆網を介した通信が切断される場合の処理の流れについて説明する。
【0037】
携帯電話1は、初期状態として、基地局21及び各端末(ノートPC11、カメラ12、ゲーム機13)に未接続であるものとする。この時点では、携帯電話1の状態管理テーブルにはレコードは存在しない。
【0038】
ここで、ノートPC11の操作者が、ノートPC11を操作し、携帯電話1のアドレス帳データの取得を指示したとする(S301)。これに伴ってノートPC11は、携帯電話1に向けてメッセージを送信する。具体的には、携帯電話1に対してアドレス帳取得サービスの開始を要求する(S302)。
【0039】
メッセージを受信した携帯電話1は、当該メッセージに対応するサービス処理部58において、詳細については後述するが、サービス開始処理を実行する。なお、この時点では、状態管理テーブルにはレコードは存在しない。ここで、このアドレス帳取得サービスでは、無線LAN網のみが使用される。そのため、携帯電話1は、図4で説明したS107〜S110の処理を実行する(なお、S103はNO、S105はNOとなる)。この場合、サービス要求元はノートPC11となり、実行サービスの種別はアドレス帳取得となり、使用する通信インタフェースは無線LANとなる。そのため、図3に示す状態管理テーブルには、No.1のレコードが追加される(S303)。サービス開始処理が完了すると、ノートPC11は、携帯電話1からアドレス帳データを取得する(S304)。
【0040】
次に、カメラ12の操作者が、カメラ12を操作し、携帯電話1を介した画像データのメール送信処理を指示したとする(S305)。これに伴ってカメラ12は、携帯電話1に向けてメール送信サービスの開始を要求するメッセージを送信する(S306)。
【0041】
メッセージを受信した携帯電話1は、当該メッセージに対応するサービス処理部58において、サービス開始処理を実行する。この時点では、状態管理テーブルにはカメラ12を要求元とするレコードは存在しない。このメール送信サービスでは、無線LAN網と公衆網との両方が使用される。そのため、携帯電話1は、図4で説明したS106〜S110の処理を実行する(なお、S103はNO、S105はYESとなる)。この場合、サービス要求元はカメラ12となり、実行サービスの種別はメール送信となり、使用する通信インタフェースは無線LAN網と公衆網となる。そのため、図3に示す状態管理テーブルには、No.2のレコードが追加される(S308)。サービス開始処理が完了すると、カメラ12は、携帯電話1を介して画像データのメール送信を開始する(S309)。
【0042】
次に、ゲーム機13の操作者が、ゲーム機13を操作し、携帯電話1を介したWebサーバ31からのデータのダウンロード処理を指示したとする(S310)。ゲーム機13は、携帯電話1にインターネット接続サービスの開始を要求するメッセージを送信する(S311)。
【0043】
メッセージを受信した携帯電話1は、当該メッセージに対応するサービス処理部58において、サービス開始処理を実行する。この時点では、状態管理テーブルにはゲーム機13を要求元とするレコードは存在しない。このインターネット接続サービスでは、無線LAN網と公衆網との両方が使用される。そのため、携帯電話1は、図4で説明したS107〜S110の処理を実行する(なお、S103はNO、S105はNOとなる)。この場合、サービス要求元はゲーム機13となり、実行サービスの種別はインターネット接続サービスとなり、使用する通信インタフェースは無線LAN網と公衆網となる。そのため、図3に示す状態管理テーブルには、No.3のレコードが追加される(S312)。サービス開始処理が完了すると、ゲーム機13は、携帯電話1を介してWebサーバ31からのデータのダウンロードを開始する(S313)。
【0044】
次に、携帯電話1の操作者が、携帯電話1を操作し、メール受信処理を指示したとする(S314)。これに伴って携帯電話1は、当該処理に対応するサービス処理部58において、サービス開始処理を実行する。この時点では、状態管理テーブルには携帯電話1を要求元とするレコードは存在しない。このメール受信サービスでは、公衆網のみが使用される。そのため、携帯電話1は、図4で説明したS107〜S110の処理を実行する(なお、S103はNO、S105はNOとなる)。この場合、サービス要求元は携帯電話1となり、実行サービスの種別はメール受信となり、使用する通信インタフェースは公衆網となる。そのため、図3に示す状態管理テーブルには、No.4のレコードが追加される(S315)。サービス開始処理が完了すると、携帯電話1は、携帯電話用Webサーバ32からのメール受信を開始する(S316)。
【0045】
ここで、S316の処理の完了時点では、携帯電話1においては、4つのサービスが同時に実行されている。このとき、携帯電話1で管理される状態管理テーブルは、図3に示す情報(レコード1〜4)を保持している。この状態において、公衆網を介した通信が切断されたとする(S317)。
【0046】
携帯電話1は、第2の切断検出部55において、第2の通信インタフェース54による公衆網を介した通信の切断を検出すると、公衆網と無線LAN網の双方を使用するサービスを実行している通信端末に対して通信の中止を通知する。この通知は、第1の通信インタフェース51を用いて行なう。具体的には、ゲーム機13に対してインターネット接続の中止を通知するとともに(S318)、カメラ12に対してメール送信サービスの中止を通知する(S320)。この通知を受信した通信端末(ゲーム機13、カメラ12)では、サービスの終了処理を実行する(S319、S321)。
【0047】
次に、携帯電話1は、サービス制御部57において、公衆網を使用するサービスを停止するとともに(S322)、サービス状態管理部59において、公衆網を含むレコードを削除する(S323)。図3に示す状態管理テーブルの場合には、No.2、3、4のレコードを削除する。
【0048】
ここで、携帯電話1は、切断判断部53において、使用されていない通信インタフェースがあるか否かを判断する。この判断は、サービス状態管理部59による状態管理テーブルの検索結果に基づいて行なわれる。この結果、使用されていないインタフェースがあれば、携帯電話1は、通信制御部56において、当該通信インタフェースを停止させる。なお、使用中の通信インタフェースの動作は継続される。この場合、図3に示す状態管理テーブルには、No.1のレコードが存在しているため、第2の通信インタフェース54は停止させるが(S324)、第1の通信インタフェース51の動作は継続させる。
【0049】
以上が、公衆網を介した通信が切断された場合の処理の流れについての説明であるが、図6で説明した処理は、あくまで一例であり、適宜変更できる。例えば、ノートPC11、カメラ12、ゲーム機13、携帯電話1において上記以外の処理を実施してもよいし、また、その処理の順番も問わない。
【0050】
次に、図7及び図8を用いて、無線LAN網を介した通信が切断される場合の処理について説明する。
【0051】
図7においては、上述した図6同様に、携帯電話1とノートPC11との間では、アドレス帳データの取得サービスが実行され、携帯電話1とカメラ12との間では、メール送信サービスが実行されている(S401〜S409)。このとき、携帯電話1のサービス状態管理部59においては、図8に示す状態管理テーブルを保持している。この状態で何らかの要因によって携帯電話1とカメラ12との間の無線LAN通信が切断されたとする(S410)。
【0052】
携帯電話1は、第1の切断検出部52において、第1の通信インタフェース51による無線LAN網を介した通信の切断を検出すると、サービス状態管理部59において、通信の切断した通信端末を特定する。この特定は、例えば、状態管理テーブルの各レコードの「サービス要求元」情報を検索することにより行なう。図8に示す状態管理テーブルの場合、No.2のレコードが該当する。携帯電話1は、サービス状態管理部59において、該当レコードを削除する(S412)。
【0053】
その後、上述した図6同様の処理が実施される。すなわち、携帯電話1は、使用されていない通信インタフェースがあるか否かを判断し、該当インタフェースがあれば、そのインタフェースの動作を停止させる。この場合、図8に示す状態管理テーブルには、No.1のレコードが存在しているため、第2の通信インタフェース54は停止されるが(S413及びS414)、第1の通信インタフェース51の動作は継続される。
【0054】
以上説明したように本実施形態によれば、複数の通信インタフェースを介して複数のサービスを同時に提供するとともに、各通信インタフェースを用いた通信の切断を的確に行なえる。例えば、公衆網を介した通信が切断された場合には、公衆網を使用する通信端末にのみ公衆網が切断されたことや、それに伴うサービスの中止を通知することができる。
【0055】
これにより、不要な通信の発生による通信帯域の消費や、不要なメッセージの受信を起因とした通信端末の誤動作等を抑制できる。また、通信に使用されていない通信インタフェースの動作を速やかに停止できるため、省電力を図ることができる。
【0056】
以上が本発明の代表的な実施形態の一例であるが、本発明は、上記及び図面に示す実施形態に限定することなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜変形して実施できるものである。
【0057】
例えば、上述した説明では、公衆網を介した通信の切断を検出すると、即座に各種サービスを停止させているが、サービスを即座に停止させずに、再接続等の復旧処理を実行するようにしてもよい。この場合、復旧処理に失敗した場合に、各種サービスの停止処理を実施する。
【0058】
また、上述した説明では、サービスの停止を指示するメッセージを携帯電話1から各通信端末に送信しているが、これに限られず、通信を切断することにより通知を行なうようにしてもよい。例えば、通知の代わりに、携帯電話1と各通信端末との間の無線LAN接続を切断する。
【0059】
また、上述した説明では、サービスの停止に伴って通信インタフェースによる通信を切断していたが、通信インタフェースによる通信の切断だけでなく、例えば、通信インタフェースの通信機能部を電源オフ状態又は省電力状態にするようにしてもよい。この場合、省電力を図れる。
【0060】
また、上述した携帯電話1における処理を、コンピュータにインストールされたプログラムにより実施するように構成してもよい。なお、このプログラムは、ネットワーク等の通信手段により提供することは勿論、CD−ROM等の記録媒体に格納して提供することも可能である。
【0061】
また、上述した説明では、携帯電話1を例に挙げて説明したが、携帯電話以外の通信端末で行なうようにしてもよい。例えば、このような通信端末以外の通信端末としては、複数の通信インタフェースを具備し、当該通信インタフェースを介して複数のサービスを提供する情報処理装置であればよい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
公衆網を介さずに複数の通信端末と個別に通信を行なう第1の通信インタフェースと、公衆網を介して通信を行なう第2の通信インタフェースとを有する情報処理装置であって、
前記第1の通信インタフェースを介して通信する複数の通信端末に対して、前記第1の通信インタフェース、若しくは前記第1の通信インタフェース及び第2の通信インタフェースを介してサービスを提供するサービス制御手段と、
前記第1の通信インタフェース及び前記第2の通信インタフェースの少なくともいずれかによる通信の切断を検出する切断検出手段と、
前記サービス制御手段により提供されるサービス各々が使用する通信インタフェースに関する情報と、前記サービス制御手段により提供されているサービスに関する情報とを管理する管理手段と、
前記管理手段により管理された情報に基づいて前記第1の通信インタフェース及び前記第2の通信インタフェースによる通信を制御する通信制御手段と
を具備し、
前記通信制御手段は、
前記切断検出手段により前記第1の通信インタフェース及び前記第2の通信インタフェースのいずれか一方による通信の切断を検出した場合、前記管理手段により管理された情報に基づいて前記切断検出手段により切断が検出されていない通信インタフェースによる通信の切断に係わる制御を行なう
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記通信制御手段は、
前記切断検出手段により前記第2の通信インタフェースによる通信の切断を検出した場合、前記第2の通信インタフェースを用いるサービスを実行中の前記通信端末に対して前記第1の通信インタフェースを用いて該実行中のサービスの中止を通知する
ことを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記通信制御手段は、
前記切断検出手段により前記第2の通信インタフェースによる通信の切断を検出した場合、前記第2の通信インタフェースを用いるサービスを実行中の前記通信端末との前記第1の通信インタフェースを用いた通信を切断する
ことを特徴とする請求項1又は2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記通信制御手段は、
前記切断検出手段により前記第2の通信インタフェースによる通信の切断を検出した場合に、該切断を検出した通信端末以外の通信端末が前記第1の通信インタフェースを用いるサービスを実行している時には、該切断を検出した通信端末以外の通信端末との間の前記第1の通信インタフェースを用いた通信を継続する
ことを特徴とする請求項1から3いずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記通信制御手段は、
使用されていない通信インタフェースがある場合には、該通信インタフェースの通信機能部を電源オフ状態又は省電力状態にする
ことを特徴とする請求項1から4いずれか1項に記載の中継装置。
【請求項6】
公衆網を介さずに複数の通信端末と個別に通信を行なう第1の通信インタフェースと、公衆網を介して通信を行なう第2の通信インタフェースとを有する情報処理装置の通信処理方法であって、
前記第1の通信インタフェースを介して通信する複数の通信端末に対して、前記第1の通信インタフェース、若しくは前記第1の通信インタフェース及び第2の通信インタフェースを介してサービスを提供するサービス制御工程と、
前記第1の通信インタフェース及び前記第2の通信インタフェースの少なくともいずれかによる通信の切断を検出する切断検出工程と、
前記サービス制御工程で提供されるサービス各々が使用する通信インタフェースに関する情報と、前記サービス制御工程で提供されているサービスに関する情報とを管理する管理工程と、
前記管理工程で管理された情報に基づいて前記第1の通信インタフェース及び前記第2の通信インタフェースによる通信を制御する通信制御工程と
を含み、
前記通信制御工程では、
前記切断検出工程で前記第1の通信インタフェース及び前記第2の通信インタフェースのいずれか一方による通信の切断を検出した場合、前記管理工程で管理された情報に基づいて前記切断検出工程で切断が検出されていない通信インタフェースによる通信の切断に係わる制御を行なう
ことを特徴とする情報処理装置の通信処理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−213123(P2010−213123A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58700(P2009−58700)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】