説明

情報処理装置

【課題】情報処理装置が故障した場合においても、故障した情報処理装置に登録されている設定情報を取り出すことを可能とする。
【解決手段】本発明の情報処理装置は、RAM11と、不揮発性メモリであるFROM12と、本情報処理装置1に着脱自在に構成されたCFカード13と、情報管理部14とを有している。情報管理部14は、RAM11内の設定情報がリセットや電源断などにより消えてしまうことを回避すべく、設定情報をFROM12に登録するだけでなく、CFカード13にも登録する。これにより、情報処理装置1においては、設定情報がFROM12内とCFカード13とに2重登録されることになる。また、その設定情報はCFカード13という記録媒体として取り出すことが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、OS(Operating System)、アプリケーションなどを利用する情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、OS、アプリケーションなどを利用する携帯電話などの携帯型の情報処理装置においては、OS、アプリケーションを動作させる動作環境の情報や、OS、アプリケーションの実際の動作状態の情報は、レジストリと呼ばれる固有の設定情報によって管理されている。この設定情報は、装置内のRAM(Random Access Memory)に登録されるが、RAM内の設定情報は、電源断やリセットなどにより消えてしまう。
【0003】
そのため、最近では、電源断などによりRAM内の設定情報が消えてしまうというリスクを回避すべく、設定情報を装置内の不揮発メモリ(FROM(Flash-Read Only Memory))にも登録する情報処理装置が一部で開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2001−154926号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術においては、情報処理装置自身が故障して動作できない状況に陥ると、不揮発メモリ内の設定情報は取り出すことができない。そのため、別の情報処理装置を代替機として用いた場合に、別の情報処理装置に対して設定情報を再度設定し直さなければならないという課題があった。それにより、別の情報処理装置を代替機として用いたとしても、故障した情報処理装置における運用が中断した場合、別の情報処理装置にてすぐに運用を継続することができなかった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、情報処理装置が故障した場合においても、故障した情報処理装置に登録されている設定情報を取り出すことができる情報処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために本発明は、自己の情報処理装置に固有の設定情報を登録して管理する情報処理装置において、情報処理装置に内蔵された不揮発メモリと、情報処理装置に着脱自在に構成された記録媒体と、設定情報を不揮発メモリに登録する場合に、当該設定情報を記録媒体にも登録する情報管理部とを有することを特徴としている。
【0007】
この構成によれば、設定情報を不揮発メモリだけでなく、情報処理装置に着脱自在な記録媒体にも登録しているため、情報処理装置に故障が発生したとしても、故障した情報処理装置の設定情報を記録媒体として取り出すことが可能となる。
【0008】
また、情報管理部は、他の情報処理装置の設定情報が登録された記録媒体が装着されている場合、当該記録媒体から当該他の情報処理装置の設定情報を読み出すことを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、情報処理装置が故障した場合にも、故障した情報処理装置から記録媒体を取り外し、別の情報処理装置に装着することにより、別の情報処理装置では、故障した情報処理装置の設定情報を読み出し、利用することが可能となる。
【0010】
また、他の情報処理装置の設定情報が登録された記録媒体が装着されており、かつ当該記録媒体にアプリケーション、データ、拡張ドライバも登録されている場合、当該記録媒体から当該他の情報処理装置の設定情報、アプリケーション、データ、拡張ドライバを読み出すことを特徴としている。
【0011】
この構成によれば、情報処理装置が故障した場合にも、故障した情報処理装置から記録媒体を取り外し、別の情報処理装置に装着することにより、別の情報処理装置では、故障した情報処理装置の故障直前までのアプリケーションなどの動作状態を復元して、故障した情報処理装置の運用をすぐに継続することが可能となる。
【0012】
また、情報管理部は、他の情報処理装置の設定情報が登録された記録媒体が装着されている場合、当該記録媒体から当該他の情報処理装置の設定情報を読み出して不揮発メモリに登録することを特徴としている。
【0013】
この構成によれば、情報処理装置が故障した場合にも、故障した情報処理装置から記録媒体を取り外し、別の情報処理装置に装着することにより、別の情報処理装置に対して、故障した情報処理装置と同一の設定内容を登録することが可能になる。また、情報処理装置が故障した場合に限らず、その情報処理装置に設定されている設定内容を別の情報処理装置に初期設定として登録することも可能となる。
【0014】
なお、設定情報は、具体的には、OS、記録媒体に登録されているアプリケーション、データ、拡張ドライバを動作させる動作環境の情報と、OS、アプリケーション、データ、拡張ドライバの実際の動作状態の情報とを含んでいる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように本発明においては、同一の設定情報を不揮発メモリと記録媒体とに2重登録し、その1つの記録媒体が情報処理装置に着脱自在に構成されているため、情報処理装置に故障が発生したとしても、故障した情報処理装置の設定情報は記録媒体として取り出すことができる。これにより、故障した情報処理装置から設定情報を読み出すことができないというリスクを軽減することができる。
【0016】
また、本発明においては、他の情報処理装置の設定情報が登録された記録媒体が装着されている場合、当該記録媒体から当該他の情報処理装置の設定情報を読み出すように構成されているため、情報処理装置が故障した場合にも、故障した情報処理装置から記録媒体を取り外し、別の情報処理装置に装着することにより、別の情報処理装置では、故障した情報処理装置の設定情報を読み出し、利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本発明の一実施形態の情報処理装置の構成について、図1を参照して説明する。
【0019】
図1を参照すると、本実施形態の情報処理装置1は、本情報処理装置1に内蔵されたRAM11と、本情報処理装置1に内蔵された不揮発性メモリであるFROM12と、本情報処理装置1に着脱自在に構成されたリムーバルな記録媒体であるCF(Compact Flash)カード13と、RAM11、FROM12、およびCFカード13の情報管理を行う情報管理部14とを有している。
【0020】
情報管理部14は、CFカード13に登録されているアプリケーション132、データ133、拡張ドライバ134を利用したり、不図示のOSを利用したりするための固有の設定情報を、RAM11に設定情報(#1)111として登録する。具体的には、設定情報とは、OS、アプリケーション132、データ133、拡張ドライバ134を動作させる動作環境の情報や、OS、アプリケーション132、データ133、拡張ドライバ134の実際の動作状態の情報などである。
【0021】
さらに、情報管理部14は、RAM11内の設定情報(#1)111がリセットや電源断などにより消えてしまうことを回避すべく、RAM11内の設定情報(#1)111をFROM12に設定情報(#2)121として登録するとともに、その設定情報をCFカード13に設定情報(#3)131として登録することも行う。
【0022】
これにより、情報処理装置1においては、同一の設定情報が不揮発な2つのエリア(FROM12内のエリアとCFカード13内のエリア)に、それぞれ設定情報(#2)121、設定情報(#3)131として2重に登録されることになる。また、その設定情報はCFカード13という記録媒体として取り出すことが可能となる。
【0023】
以下、本実施形態の情報処理装置の動作について、図2を参照して説明する。なお、図2においては、本実施形態の情報処理装置1A,1Bが2台図示されている。また、情報処理装置1A,1Bの構成要素である、RAM11A,11B、FROM12A,12B、CFカード13A,13B、情報管理部14A,14Bは、図1における、RAM11、FROM12、CFカード13、情報管理部14に対応するものである。
【0024】
最初に、情報処理装置1Aにおいて、OSやアプリケーションを利用するための設定情報を登録する動作を行う。この場合、情報管理部14Aは、まず、上記の設定情報を、RAM11Aに設定情報(#1)111Aとして登録する。続いて、情報管理部14Aは、RAM11A内の設定情報(#1)111Aを、FROM12Aに設定情報(#2)121Aとして登録する。この状態において、設定情報(#1)111A=設定情報(#2)121Aとなる。さらに、情報管理部14Aは、RAM11A内の設定情報(#1)111AをCFカード13Aに設定情報(#3)131Aとして登録する。この状態において、設定情報(#1)111A=設定情報(#2)121A=設定情報(#3)131Aとなる。ただし、FROM12Aは、2回分の設定情報、つまり今回登録された設定情報の他、前回登録された設定情報も常に保存しておく。これにより、上述の設定情報(#1)111A=設定情報(#2)121Aとする動作が失敗したとしても、前回登録された設定情報が設定情報(#2)121Aとして残っているため、前回の設定情報(#2)121Aに基づき今回の設定情報の登録をやり直す動作を容易に行うことができる。
【0025】
上述のような情報処理装置1Aにおける設定情報の登録動作は、ユーザがシステム(OS)に登録されたメニューからマニュアルで設定することが可能である。
【0026】
次に、情報処理装置1AからCFカード13Aを取り外し、情報処理装置1BにCFカード13Bとして装着する。つまり、CFカード13A=CFカード13Bとなる。また、CFカード13A,13B内の設定情報も、設定情報(#3)131A=設定情報(#3)131Bとなる。
【0027】
次に、情報処理装置1Bにおいて、CFカード13B内の設定情報(#3)131Bを、OSやアプリケーションなどから利用するために、その設定情報を反映する動作(復元する動作)を行う。この場合、情報管理部14Bは、CFカード13B内の設定情報(#3)131Bを読み出して、FROM12Bに設定情報(#4)121Bとして登録する。この状態において、設定情報(#3)131B=設定情報(#4)121Bとなる。さらに、情報管理部14Bは、CFカード13B内の設定情報(#3)131Bを、RAM11Bに設定情報(#5)111Bとして登録する。この状態において、設定情報(#3)131B=設定情報(#4)121B=設定情報(#5)111Bとなる。
【0028】
なお、図2では省略されているが、CFカード13Aには設定情報(#3)131A以外にもアプリケーション132、データ133、拡張ドライバ134などが登録されており(図1参照)、情報管理部14Bは、CFカード13Aに登録されているアプリケーション132、データ133、拡張ドライバ134などの読み出しも行う。
【0029】
従って、情報処理装置1AのCFカード13Aを、CFカード13Bとして別の情報処理装置1Bに装着し、かつ、CFカード13A内の設定情報(#3)131A、アプリケーション132などを、別の情報処理装置1Bに反映させることにより、情報処理装置1Aにて運用中に動作させていたアプリケーション132やデータ133などを、そのまま別の情報処理装置1Bにて継続して動作させることが可能となる。
【0030】
従って、情報処理装置1Aが運用中に故障した場合にも、情報処理装置1AからCFカード13Aを取り外し、情報処理装置1BにCFカード13Bとして装着することにより、情報処理装置1Bでは、情報処理装置1Aの故障直前までのアプリケーション132やデータ133の動作状態を復元して、継続運用することが可能となる。
【0031】
なお、本実施形態は、故障した情報処理装置1Aでの運用を別の情報処理装置1Bにて継続するためだけでなく、別の情報処理装置1Bでの運用開始時に初期設定するために適用しても良い。上述のように本実施形態は、CFカード13Aというリムーバブルな記録媒体に、情報処理装置1AのOS、アプリケーションなどの動作環境を設定情報として登録することができるため、その設定環境による初期設定を別の情報処理装置1Bに対して容易に行うことができる。また、複数の情報処理装置で運用を開始する場合にも、CFカード13Aをコピーして用いるなどにより、複数の情報処理装置に対して容易に初期設定を行うことができる。
【0032】
また、本実施形態においては、情報処理装置1Aにおける設定情報の登録動作を、システム(OS)メニューからマニュアルで設定された場合に行うだけでなく、システム(OS)の機能として自動的に同期を取る形で行う構成であっても良い。ただし、設定情報(#1)111Aを設定情報(#2)121Aに登録するときに、同時に設定情報(#3)131Aを登録する場合、ハードウェアとしての書き込みエラーが発生する可能性がある。そのため、設定情報(#2)121Aの登録が完了した段階で、設定情報(#3)131Aの登録を行う必要がある。
【0033】
また、本実施形態においては、設定情報を取り出すリムーバルな記録媒体として、CFカードだけでなく、SD(Secure Digital)カード、PCカード、メモリスティックなどの各種のリムーバブル記録媒体を利用しても良い。
【0034】
また、本実施形態は、携帯電話などの携帯型の情報処理装置だけでなく、PCなどの据置き型の情報処理装置に適用しても良い。また、電源駆動の情報処理装置であればいかなる装置にも適用可能であり、電池駆動の情報処理装置に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態の情報処理装置の構成を示す図である。
【図2】図1に示した情報処理装置の動作を説明する図である。
【符号の説明】
【0036】
1,1A,1B 情報処理装置
11,11A,11B RAM
12,12A,12B FROM
13,13A,13B CFカード
14,14A,14B 情報管理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自己の情報処理装置に固有の設定情報を登録して管理する情報処理装置において、
前記情報処理装置に内蔵された不揮発メモリと、
前記情報処理装置に着脱自在に構成された記録媒体と、
前記設定情報を前記不揮発メモリに登録する場合に、当該設定情報を前記記録媒体にも登録する情報管理部とを有する情報処理装置。
【請求項2】
前記情報管理部は、他の情報処理装置の設定情報が登録された前記記録媒体が装着されている場合、当該記録媒体から当該他の情報処理装置の設定情報を読み出す、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報管理部は、他の情報処理装置の設定情報が登録された前記記録媒体が装着されており、かつ当該記録媒体にアプリケーション、データ、拡張ドライバも登録されている場合、当該記録媒体から当該他の情報処理装置の設定情報、アプリケーション、データ、拡張ドライバを読み出す、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記設定情報は、OS、前記記録媒体に登録されているアプリケーション、データ、拡張ドライバを動作させる動作環境の情報と、前記OS、前記アプリケーション、前記データ、前記拡張ドライバの実際の動作状態の情報とを含んでいる、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記情報管理部は、他の情報処理装置の設定情報が登録された前記記録媒体が装着されている場合、当該記録媒体から当該他の情報処理装置の設定情報を読み出して前記不揮発メモリに登録する、請求項2から4のいずれか1項に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−31240(P2006−31240A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−207097(P2004−207097)
【出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000227205)NECインフロンティア株式会社 (1,047)
【Fターム(参考)】