説明

情報処理装置

【解決課題】ユーザーIDやパスワード等のユーザー情報が漏洩した場合に、不適正なユーザーが正当なユーザーを装ってアクセスを行う、所謂なりすましを抑制する。
【解決手段】ユーザー毎に、定常処理及び定常処理を実施するための条件を処理情報記憶部42に予め記憶させ、ユーザーから要求された処理及び要求された処理を実施する実施状態が、記憶された定常処理及び条件に該当しないと判断された場合に、報知、定常処理以外の処理の禁止、及び定常処理以外の処理の継続の少なくとも1つを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に係り、特に不正ユーザーが正当なユーザーを装い、当該情報処理装置にアクセスを行う、所謂なりすましを抑制する情報処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の画像処理装置が分散配置されたネットワーク内に、ユーザーのアクセスを制御するために管理サーバを設置し、当該管理サーバにアクセス可能なユーザー情報を登録することによって不正ユーザーのアクセスを阻止する画像処理システムが提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平10−093803号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1の技術は、ユーザーのアクセス権限を制御するために利用されるユーザーの識別情報及びパスワードの漏洩によって、不正ユーザーがこれらの情報を利用した場合、不正ユーザーのアクセスであるにも関わらず、ユーザーの識別情報及びパスワードが適正であるためアクセスが許可される、所謂なりすましが生じてしまう。
【0004】
本発明は、上記問題を解決するために成されたもので、情報処理装置において、予め定められた条件下で、ユーザーの利用を制御するよう管理を行うことで、不正ユーザーのなりすましを抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、複数の定常処理の種類を各々示す定常処理情報を記憶すると共に、前記定常処理を実施するための予め定められた設定条件を前記定常処理情報の各々に対応させて記憶した記憶手段と、要求された処理及び前記要求された処理を実施する条件を示す実施条件が前記記憶手段に記憶された前記定常処理情報及び前記設定条件に対応するか否かを判断する判断手段と、前記判断手段により肯定判断された場合に、前記定常処理情報及び前記設定条件に対応する処理を実行し、否定判断された場合に、報知処理、定常処理以外の処理の禁止、及び定常処理以外の処理の継続の少なくとも1つを実行する実行手段と、を含んで構成される。
【0006】
請求項1の発明では、複数の定常処理の種類を各々示す定常処理情報を記憶すると共に、定常処理を実施するための設定条件を定常処理情報に対応させて予め記憶し、ユーザーから要求された処理及び要求された処理を実施する条件を示す実施条件が記憶された定常処理情報及び設定条件に対応するか否かを判断し、肯定判断された場合に、定常処理及び設定条件に対応した処理を実行し、否定判断された場合に、報知処理、定常処理以外の処理の禁止、及び定常処理以外の処理の継続の少なくとも1つを実行する。
【0007】
これにより、ユーザーからの要求された処理が、予め定めた定常処理及び設定条件に該当しない処理である場合には、不適正なユーザーからの処理の要求であると判断され、報知、定常処理以外の処理の禁止、及び定常処理以外の処理の継続の少なくとも1つを実行するので、なりすまし発生を抑制することが可能となる。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1記載の情報処理装置であって、複数の定常処理が複写処理、ファクシミリ送信処理、及びプリント処理を含み、前記設定条件が、定常処理を開始するための処理開始時刻と、定常処理を終了するための処理終了時刻と、曜日と、定常処理を実施するための処理実施装置と、ユーザーが定常処理の指示を行う場所である処理指示場所と、前記ファクシミリ送信処理時の送信先である少なくとも1つの宛先と、のうち少なくとも1つを含んで構成されている。
【0009】
請求項2の発明では、定常処理は、複写処理、ファクシミリ送信処理、及びプリント処理を含んでおり、さらに設定条件が、定常処理を開始するための処理開始時刻と、定常処理を終了するための処理終了時刻と、曜日と、定常処理を実施するための処理実施装置と、ユーザーが定常処理の指示を行う場所である処理指示場所と、ファクシミリ送信処理時の送信先である少なくとも1つの宛先を含んでいるので、多様な定常処理に対して、詳細な条件を設定することが可能となり、より精度良くなりすましの抑制を行うことが可能となる。
【0010】
請求項3の発明は、請求項1または請求項2記載の情報処理装置であって、実行した情報処理装置の処理に関する処理情報を蓄積し、蓄積された処理情報から、所定基準に基づいて定常処理の種類を示す定常処理情報を選定し、選定した前記定常処理を実施するための設定条件を前記定常処理情報に対応させて前記記憶手段に記憶する選定手段と、を含んで構成されている。
【0011】
請求項3の発明では、実行した情報処理装置の処理に関する処理情報を蓄積し、蓄積された処理情報から、例えば、所定時間における処理実行回数が所定回数以上等の所定基準に基づいて、定常処理の種類を示す定常処理情報を選定し、さらに選定した定常処理を実施するための設定条件を、定常処理情報に対応させて記憶することで、定常処理情報及び設定条件を選定する繁雑さを解消することが可能となり、さらに自動で定常処理情報を選定することで、より一層選定の繁雑さを解消することが可能である。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置であって、前記報知処理は、予め定められたメールアドレスの宛先へ報知することを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明では、ユーザーからの要求された処理が、予め定めた定常処理及び設定条件に該当しない処理である場合には、予め定められたメールアドレスへ報知することによって、適切な管理を行うことが可能となる。
【0014】
請求項5の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の情報処理装置であって、前記報知処理は、前記情報処理装置のパネルによる報知であることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明では、ユーザーからの要求された処理が、予め定めた定常処理及び設定条件に該当しない処理である場合には、情報処理装置のパネルに報知することによって、なりすましが発生した情報処理装置を利用するユーザーの判断に基づいて、適切な対応を取ることが可能となる。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の情報処理装置であって、前記報知処理は、クライアントのコンピュータへのメッセージ送信であることを特徴とする。
【0017】
請求項6の発明では、ユーザーからの要求された処理が、予め定めた定常処理及び設定条件に該当しない処理である場合には、なりすましが発生したクライアントであるコンピュータを利用するユーザーの判断によって、適切になりすましへの対応を取ることが可能となる。
【0018】
請求項7の発明は、請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の情報処理装置であって、前記実行手段は、前記判断手段により否定判断された場合に、報知処理、定常処理以外の処理の禁止、及び定常処理以外の処理の継続の少なくとも1つをユーザーに応じて実行することを特徴とする。
【0019】
請求項7の発明では、ユーザーからの要求された処理が、予め定めた定常処理及び設定条件に該当しない処理である場合には、処理を要求したユーザーに応じて、報知処理、定常処理以外の処理の禁止、及び定常処理以外の処理の継続の少なくとも1つを実行することで、各ユーザーの希望する管理が可能となるため、各ユーザー事情に応じた適切な管理を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、複数の定常処理の種類を各々示す定常処理情報及び当該定常処理を実施するための条件に対して、ユーザーからの要求された処理が該当しないと判断された場合に、報知処理、定常処理以外の処理の禁止、及び定常処理以外の処理の継続の少なくとも1つを実行するため、不適正なユーザーから要求された処理、すなわちなりすましを抑制することが可能となる、という効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る情報処理システムを示しており、複写機能、ファクシミリ送信機能、及びプリント機能を備え、かつ自身を一意に定める機種識別情報が与えられた複数の複合機12、14、16、18、20、クライアントであるパーソナルコンピュータ(PC)10、ユーザー管理及びなりすましの抑制を行う情報処理装置である管理サーバ34がネットワークを介して接続されて構成されている。
【0023】
PC10は、ユーザーID及びパスワード等のユーザー情報、複合機12、14、16、18、20への処理指示の入力、及び処理指示に対する処理結果を出力するユーザーインタフェース(UI)22を備えている。
【0024】
さらに、PC10は、PC10の制御を行う制御部24、各複合機及び管理サーバ34とデータの送受信を行うデータ送受信部26を含んで構成されている。
【0025】
制御部24は、CPU、RAM、及びROMを備えたマイクロコンピュータで構成されており、CPU、RAM、及びROMは、システムバス等を介して相互に接続されている。ROMには、PC10における処理を行うための処理ルーチンのプログラム及び処理を行うためのデータ等が記憶されている。
【0026】
複合機12は、磁気カードやICカード等のカードに記録されたユーザー情報及びコピーの使用限度回数情報等のカード情報を読取るカードリーダ、並びにコピー指示を行うタッチパネル及び処理結果を出力するLCD等で構成されたユーザーインタフェース(UI)28、制御部30を備えている。さらに、複合機12は、PC10、他の複合機14〜20、及び管理サーバ34とデータの送受信を行うデータ送受信部32を備えている。
【0027】
制御部30は、CPU、RAM、及びROMを備えたマイクロコンピュータで構成されており、CPU、RAM、及びROMは、システムバス等を介して相互に接続されている。ROMには複合機12の複写処理、ファクシミリ処理、及びプリント処理等を行うための処理ルーチンのプログラムやデータ等が記憶されている。
【0028】
なお、複合機14、16、18、20の各々は、複合機12と同一構成であるため構成についての詳細な説明は省略する。
【0029】
管理サーバ34は、PC10、及び複合機12、14、16、18、20とのデータの送受信を行うデータ送受信部36、制御部38、後述するなりすまし抑制を行う処理プログラムに必要となるデータの入力や、なりすまし抑制を行う処理プログラムの処理結果を出力する上記と同様にタッチパネルを備えたLCDで構成されたユーザーインタフェース(UI)40を備えている。
【0030】
さらに、管理サーバ34は、ユーザー認証時に利用する認証データ及びなりすまし抑制を行う処理プログラムに必要となるデータ等を記憶する記憶媒体であるデータベースで構成された処理情報記憶部42を備えている。
【0031】
また、制御部38は、CPU、RAM、及びROMを備えたマイクロコンピュータで構成されており、CPU、RAM、及びROMは、システムバス等を介して相互に接続されている。ROMには管理サーバ34におけるなりすまし抑制処理を行うための処理ルーチンのプログラムや処理を行うためのデータ等が記憶されている。
【0032】
情報処理記憶部42には、下記表2に示すユーザー毎の通常処理を示す通常処理テーブル、及び下記表1に示すなりすまし抑制機能設定テーブルが記憶されている。
【0033】
【表1】

【0034】
【表2】

【0035】
通常処理テーブルには、複合機のコピー、ファックス、及びプリントの各処理種別に応じて、処理時刻(処理開始時刻から処理終了時刻で設定される)、通常処理を行う曜日、処理を実施する複合機の識別情報(マシンA等)、ユーザーが処理を指示する場所を示す情報、ファクシミリ通信を行う場合の宛先を示す情報を設定することができるように構成されている。
【0036】
表2には、ユーザーAの定常処理として、コピー処理については、マシンAを用いて平日の9時から21時までマシンAのタッチパネルから指示されることが設定され、ファクシミリ通信処理についてはマシンBを用いて金曜日の12時から15時まで宛先「XX−1234」及び「XX−5678」にマシンBのタッチパネルから指示されることが設定され、プリント処理については、マシンCを用いて平日の9時から21時までPC10のUI22から指示されることが設定された状態が示されている。
【0037】
また、なりすまし抑制機能設定テーブルには、ユーザーに応じて設定された定常処理以外の処理(非定常処理)が要求された否かを検出するための情報、及び非定常処理の要求が検出された場合に実施する動作(メールまたは複合機のユーザーインタフェースを利用したなりすまし警告等)を設定することができるように構成されている。
【0038】
表1には、ユーザーAに対して定常処理以外の検出を「する」が設定された状態が示されている。
【0039】
この通常処理テーブル、及びなりすまし抑制機能設定テーブルの設定は、前述の図1の管理サーバ34におけるUI40のLCDに表1、表2を表示し、タッチパネルを介して、表1の「ユーザー」の欄に、ユーザーの識別情報、「定常処理以外の検出」の欄に、定常処理以外の処理を検出する場合は、定常処理以外の処理を検出することを示す情報「する」、定常処理以外の処理を検出しない場合は、定常処理以外の処理を検出しないことを示す情報「しない」を入力する。
【0040】
下記表3及び表4は、ユーザーAから要求された処理に関する情報を示しており、処理種別、処理時刻、処理を行った曜日、処理を実施する複合機の識別情報、ユーザーAが処理指示を行った場所、ファクシミリの宛先に関する情報が設定できるように構成されており、表3には、ユーザーAがマシンCを用いて、平日の12時にマシンCのタッチパネルからコピーの指示を行ったことを表す情報が設定され、表4には、ユーザーAがマシンCを用いて、金曜日の14時にマシンCのタッチパネルから宛先「XX−1237」にファクシミリ送信を行った場合の処理に関する情報が示されている。
【0041】
【表3】

【0042】
【表4】

【0043】
また、情報処理記憶部42には、下記表5に示すユーザー毎の処理情報種別毎の動作種別選択テーブルが記憶されている。
【0044】
【表5】

【0045】
処理情報種別毎の動作種別選択テーブルには、処理情報種別、曜日、宛先、処理実施装置、指示場所、コピー及びプリント等を行う場合に、カラーで出力するか白黒で出力するかを示すカラー情報等の処理情報種別に応じて、定常処理以外の処理を検出した場合の動作として、メール通知を設定する場合のメールの宛先としてメールアドレス、なりすまし警告を行う場合の複合機のタッチパネルに出力するメッセージ内容を設定するための情報、ユーザーから要求された処理を継続するか否かを示す情報のそれぞれ設定することができるように構成されている。
【0046】
表5では、ユーザーから要求された処理が、処理時刻が通常処理を行う際の処理時刻と相違する場合には、メール宛先の欄にメールアドレスとして「user@fujixerox.co.jp」が、パネルメッセージの欄にメッセージ内容として「なりすまし警告」を、処理継続禁止の欄に「しない」が設定され、宛先が通常処理を行う際の宛先と相違する場合には、メール宛先には設定を行わず、パネルメッセージの欄にメッセージ内容として「宛先間違い確認」が、処理継続禁止の欄に「しない」が設定された状態が示されている。
【0047】
この処理情報種別毎の動作種別選択テーブルは、前述の図1の管理サーバ34におけるUI40のLCDに表1、表2、及び表2の処理時刻、曜日、処理実施装置、指示場所、宛先が、表5の処理情報種別に設定された状態で表5が表示され、検出時に所望する動作がメール通知であれば表5の「メール宛先」欄にメールアドレスを設定し、検出時の所望する動作がパネル出力であれば表5の「パネルメッセージ」の欄にメッセージ内容を設定し、検出時に処理継続を禁止したい場合は「処理継続禁止」の欄に「する」を設定することで、定常処理以外の処理を行った場合の動作について詳細に設定を行う。
【0048】
次に、なりすまし抑制機能を実行するための処理プログラムで必要とするデータの設定手順を図2のフローチャートに基づいて説明する。
【0049】
まず、ステップ100において、なりすまし抑制機能に必要とするデータの設定を行うユーザーが、設定を行うことが可能な管理者であるか否かのユーザー認証を行うため、図1の管理サーバ34のUI40からユーザーID及びパスワード等のユーザー情報が入力されたか否かを判断し、ステップ102において入力されたユーザー情報が処理情報記憶部42に記憶された認証データに該当するか否かを判断することで管理サーバ34にアクセス可能か否かのユーザー認証を行い、アクセス可能なユーザーである場合には、ユーザー情報を入力したユーザーが管理者であると認証され、ステップ104へ進み、アクセスが許可されない場合には、ステップ116でUI40にその旨をメッセージ表示し、処理を終了する。
【0050】
図2のステップ104では、なりすまし抑制機能の設定対象となるユーザー(対象ユーザー)の選択を行うため、図1のUI40を介して入力された対象ユーザーのユーザーID等のユーザー情報を認識し、図2のステップ106において、選択した対象ユーザーに対して、図1のUI40を介して入力された定常処理以外の検出を行うか否かを示す情報を認識し、図2のステップ104で選択したユーザー情報に対応させて、定常処理以外の検出を行うか否かを示す情報を図1の処理情報記憶部42に記憶する。
【0051】
例えば、上記表1のように、「ユーザー」の欄にステップ104で選定した「ユーザー情報」、「定常処理以外の検出」の欄に「する」あるいは「しない」を示す情報が設定され、設定されたテーブルが図1の処理情報記憶部42に記憶される。
【0052】
具体的には、ユーザーAは定常処理を行うユーザーであるため、ユーザーAが定常処理以外の処理を実施した場合は、メール通知により、なりすましの可能性がある旨の通知を行い、一方、ユーザーBは定常処理を行わないため、ユーザーBが定常処理以外の処理を実施しても何も実施しないような設定が、UI40を介してなされ、処理情報記憶部42に記憶される。
【0053】
なお、この設定は、各ユーザーではなく管理者が行うため、仮になりすましが発生しても、なりすましを行った者が設定を変更することは不可能である。
【0054】
ステップ104で、前述の「定常処理以外の検出」に「する」と設定した場合には、ステップ112に進み、「定常処理以外の検出」に「しない」と設定した場合には、ステップ108に進む。
【0055】
ステップ108では、定常処理の自動設定を実施するか否かの設定を行う。定常処理の自動設定を行う場合には、図1のUI40を介して入力された自動設定を行うことを示す情報を認識し、次のステップ110へ進み、自動設定を行わないことを示す情報を認識した場合には、ステップ112へ進む。
【0056】
ステップ110では、定常処理の自動設定を行うため、例えば、ユーザー毎に過去の処理履歴を所定期間ファイル等の記憶媒体(図示せず)に記憶させ、ユーザー毎の処理履歴から、ユーザーが要求した処理が所定基準以上の実施回数を上回った場合のデータを記憶媒体(図示せず)から抽出し、前述の表2のように、ユーザー毎及び処理種別毎に処理情報記憶部42へ記憶する。
【0057】
図2のステップ110の処理終了後、またはステップ108で自動設定を行わない場合には、ステップ112に進み、図1のUI40を介して定常処理の詳細設定を行う。
【0058】
定常処理の詳細設定は、例えば、前述の表2のように、ユーザー毎及び処理種別毎に処理情報記憶部42に記憶された定常処理を実施するための条件、すなわち処理時刻、曜日、処理実施装置、指示場所、及び宛先等の項目を、UI40を介して設定もしくは修正を行う。
【0059】
ステップ112での処理終了後、ステップ114において、UI40によって定常処理以外の処理が実施された場合の例外処理の設定を行う。
【0060】
定常処理以外の処理が実施された場合には、報知、定常処理以外の処理の禁止、及び定常処理以外の処理の継続の少なくとも1つの例外処理を実行するため、例えば、前述の表5のように、定常処理以外の処理が行われた旨をメール通知する場合には「メール宛先」の欄にメールの通知先であるメールアドレスを設定し、複合機のタッチパネルに警告メッセージを報知する場合には「パネルメッセージ」の欄にメッセージ内容を設定し、また要求された処理を継続するか、あるいは禁止するか否かを示す情報を「処理継続禁止」の欄に設定する。
【0061】
次に、ユーザーから要求された処理に対して、なりすまし抑制機能の制御順序を図3及び図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0062】
図3のステップ200では、ユーザーが処理を要求する前に、ユーザー認証を行うため、PC10のUI22を介して入力されたユーザーID及びパスワード等のユーザー情報を認識し、図3のステップ202において、ユーザー情報を管理サーバ34へ送信する。
【0063】
管理サーバ34におけるユーザー認証の処理(後述する)が終了し、管理サーバ34からの認証結果を受信後、ステップ204において、認証結果に基づいて、管理サーバ34のアクセスが許可されたか否かを判断し、アクセスが許可された場合には、ステップ206へ進み、アクセスが拒否された場合には、ステップ214へ進み、アクセスが拒否された旨をUI22にメッセージを表示する。
【0064】
次に、ステップ206では、ユーザーからUI40を介して入力された処理に基づいて形成した処理情報(例えば、前述の表3及び表4の処理)を管理サーバ34へ送信し、次のステップ208では、後述する管理サーバ34においてユーザーから要求された処理、あるいはなりすまし抑制機能の処理結果等を受信する。
【0065】
処理結果を受信した後に、ステップ210において、なりすまし抑制機能の処理結果に応じて、メールを用いたなりすまし発生の報知等の例外処理を実施する場合には、ステップ212において、例外処理を実施し、例外処理を実施しない場合には、処理を終了する。
【0066】
次に、図4のフローチャートに基づいて管理サーバ34の処理について説明する。
【0067】
まず、ステップ300では、PC10、あるいは各複合機12〜16のいずれかからの受信データがあるか否かが判断され、受信データがある場合には、ステップ302へ進む。
【0068】
ステップ302では、ステップ200で入力されたユーザー情報が処理情報記憶部42に予め記憶された認証データに該当するか否かを判断することで、ユーザーが管理サーバ34にアクセス可能か否かを判断するユーザー認証を行い、ステップ316で、認証結果をPC10へ送信し、ステップ204で、認証結果に基づいてユーザーのアクセス可否を判断する。
【0069】
次に、ステップ304では、表1の「定常処理以外の検出」の欄に設定された情報に基づいて、処理を要求したユーザーについて定常処理以外の処理の要求を検出するか否かの判断を行う。
【0070】
定常処理以外の処理の要求を検出しないユーザーであると判断された場合には、ステップ314へ進み、要求された処理を実施するために該当する複合機へ処理命令を送信し、ユーザーが定常処理以外の処理を実施するユーザーであると判定された場合には、ステップ306へ進み、要求された処理が定常処理であるか否かの判断を行うため、定常処理以外の処理に関する項目を抽出する。定常処理以外の処理に関する項目を抽出する処理の詳細については、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0071】
定常処理以外の処理に関する項目を抽出する処理は、ステップ206において送信されたユーザーから要求された処理情報が、予めユーザー毎に定められた定常処理及び定常処理を実施するための条件に該当するか否かの判断を前述の通常処理テーブルを用いて以下のように行われる。
【0072】
まず、図5のステップ400では、実行開始時刻が設定範囲内であるか否かの判断を行い、肯定判断されたならばステップ404へ進み、否定判断されたならばステップ402へ進み、「処理時刻」が不適切である情報をRAMへ記憶する。
【0073】
ステップ404では実行曜日が設定範囲内であるか否かが判断され、肯定判断されたならばステップ408へ進み、否定判断されたならばステップ406へ進み、「曜日」が不適切である情報をRAMへ記憶する。
【0074】
ステップ408では実施処理装置が設定通りであるか否かの判断がなされ、肯定判断されたならばステップ412へ進み、否定判断されたならばステップ410へ進み、「実施処理装置」が不適切である情報をRAMへ記憶する。
【0075】
ステップ412では処理種別がファックスあるいはインターネットファックスであるか否かが判断され、肯定判断されたならば、ステップ414へ進み宛先に間違いがあるか否かの判断を行い、否定判断されたならば、宛先に間違いがあるか否かの判断を行う必要がないため、処理を終了し、図5のステップ308に進む。
【0076】
ステップ414では宛先が設定リストにあるか否かが判断され、否定判断されたならばステップ416へ進み、「宛先」が不適切である情報をRAMへ記憶し、肯定判断されたならば処理を終了し、ステップ308に進む。
【0077】
次に、ステップ308では、前述の定常処理以外の処理に関する項目を抽出する処理に基づいて、ユーザーから要求された処理が定常処理であるか否かの判断を行うが、前述した定常処理以外の処理に関する項目の抽出処理において記憶した不適切な情報がRAMに存在しない場合には、要求された処理が定常処理と判断され、ステップ314へ進み、ステップ314で要求された処理を実施するために該当する複合機へ処理命令を送信し(例えば、前述の機種識別情報に基づいて処理命令を送信する)、RAMに記憶された不適切な情報が存在する場合には、要求された処理が定常処理以外の処理と判断されステップ310へ進む。
【0078】
ステップ310では、定常処理以外の処理が行われた場合に行う例外処理を実行する。例外処理を実行するには、定常処理以外の処理に関する項目の抽出処理においてRAMに記憶された不適切な情報に該当する処理情報種別毎の動作種別選択テーブルの「処理情報種別」に対応した「メール宛先」、「パネルメッセージ」、及び「処理継続禁止」の欄に設定された情報を取得し、取得した情報に基づいて例外処理を実行する。
【0079】
例えば、処理情報記憶部42に記憶された定常処理及び定常処理を実施するための条件に基づいて、表3のように、ユーザーAからの処理の要求が、処理種別がコピー、処理時刻が12時、曜日が平日、処理実施装置がマシンC、及び指示場所がタッチパネルである場合には、表2のように設定された情報と比較すると、複合機が、マシンAとマシンCで相違があり、定常処理を実施するための条件が相違するため、要求された処理は、定常処理ではないと判断され、表5のように、処理情報種別の「処理実施装置」に対応した「メール宛先」に設定された「admin@fujixerox.co.jp」のメールアドレスへメール通知、「パネルメッセージ」に設定された「なりすまし警告」をマシンCのLCDに表示させ、「処理継続禁止」に「する」が設定されているため、要求された処理の継続(後述のステップ312で実施)を行う。
【0080】
また、表4のように、ユーザーAからの処理の要求が、処理種別がファックス、処理時刻が14時、曜日が金曜日、処理実施装置がマシンC、指示場所がタッチパネル、及び宛先がXX−1237である場合には、表2のように設定された情報と比較すると、宛先がXX−1234及びXX−5678とXX−1237で相違があり、定常処理を実施するための条件が相違するために、要求された処理は、定常処理ではないと判断され、表5のように、処理情報種別の「処理実施装置」に対応した「メール宛先」には設定がなされていないためメール通知を行わず、「パネルメッセージ」に設定された「宛先間違い確認」をマシンCのLCDに表示させ、「処理継続禁止」に「しない」が設定されているため、要求された処理の継続(後述のステップ312で実施)を行う。
【0081】
ステップ310において、PC10における例外処理を実施すると判断された場合には、PC10で実行するメール通知やUI22になりすまし警告を表示する(表5に図示せず)等の例外処理を表す情報をRAMへ記憶させ、後述するステップ318において、RAMに記憶した情報に基づいて、PC10に対して例外処理を実行する。
【0082】
次に、ステップ312では、ユーザーから要求された処理が定常処理以外の処理である場合に、要求された処理を継続するか禁止するかの判断を行い、ステップ310で取得した「処理継続禁止」に「しない」を表す情報が設定されている場合には、ステップ314へ進み、ユーザーから要求された処理を継続して実施し、「する」を表す情報が設定されている場合には、ユーザーから要求された処理を禁止して、ステップ318へ進む。
【0083】
ステップ318では、ステップ316で実施したユーザーに対する認証結果、定常処理の処理結果、定常処理以外の処理を行った場合の例外処理に関する情報をPC10へデータ送信し、処理を終了する。
【0084】
ステップ318で、PC10へ各処理結果をデータ送信した後、ステップ208において、処理結果を受信したと判断され、ステップ210へ進み、受信データに含まれる定常処理以外の処理を行った場合の例外処理に関する情報に基づいて、定常処理以外の処理が行われた場合の例外処理を行うか否かの判断を行い、例外処理を行う場合には、ステップ212へ進み、例外処理を行わない場合には、処理を終了する。
【0085】
ステップ212では、前述の例外処理に関する情報に基づいて、メールの受信やUI22になりすまし警告を出力(表5に図示せず)する等の例外処理を実行し、処理を終了する。
【0086】
なお、本実施の形態では、PC10とネットワークを介して接続された各複合機及び管理サーバ34との構成において、PC10をクライアントとして、PC10において処理情報を形成し、管理サーバ34におけるなりすまし抑制機能の処理について述べたが、各複合機をクライアントとし、UI28を介して入力されたユーザー情報によって、ネットワークを介して接続された管理サーバ34においてユーザー認証を行った後に、UI28を介して要求された処理情報を管理サーバ34へ送信し、管理サーバ34において、ユーザーから要求された処理あるいはなりすまし抑制機能の処理を行うことも可能である。
【0087】
これによって、ユーザーから要求された処理が、予め定められた定常処理及び定常処理を実施するための条件に該当しないと判断された場合に、報知、定常処理以外の処理の禁止、及び定常処理以外の処理の継続の少なくとも1つを実行するため、不適正なユーザーから要求された処理、すなわちなりすましを抑制することが可能となる
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態に係る複数のPC及び複合機がネットワークを介して分散配置されたことを示す概略の構成図である。
【図2】本発明の実施形態に係るなりすまし抑制機能の設定についての手順を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施形態に係るなりすまし抑制機能におけるクライアントとなるPCの処理を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施形態に係るなりすまし抑制機能における管理サーバの処理を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態に係るなりすまし抑制機能における定常処理以外の処理に関する項目を抽出する処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
10 PC
12、14、16、18、20 複合機
22、28、40 ユーザーインタフェース
26、32、36 データ送受信部
34 管理サーバ
42 処理情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の定常処理の種類を各々示す定常処理情報を記憶すると共に、前記定常処理を実施するための予め定められた設定条件を前記定常処理情報の各々に対応させて記憶した記憶手段と、
要求された処理及び前記要求された処理を実施する条件を示す実施条件が前記記憶手段に記憶された前記定常処理情報及び前記設定条件に対応するか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により肯定判断された場合に、前記定常処理情報及び前記設定条件に対応する処理を実行し、否定判断された場合に、報知処理、定常処理以外の処理の禁止、及び定常処理以外の処理の継続の少なくとも1つを実行する実行手段と、
を含む情報処理装置。
【請求項2】
複数の定常処理が複写処理、ファクシミリ送信処理、及びプリント処理を含み、前記設定条件が、定常処理を開始するための処理開始時刻と、定常処理を終了するための処理終了時刻と、曜日と、定常処理を実施するための処理実施装置と、ユーザーが定常処理の指示を行う場所である処理指示場所と、前記ファクシミリ送信処理時の送信先である少なくとも1つの宛先と、のうち少なくとも1つを含む請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】
実行した情報処理装置の処理に関する処理情報を蓄積し、蓄積された処理情報から、所定基準に基づいて定常処理の種類を示す定常処理情報を選定し、選定した前記定常処理を実施するための設定条件を前記定常処理情報に対応させて前記記憶手段に記憶する選定手段と、
を含む請求項1または請求項2記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記報知処理は、予め定められたメールアドレスの宛先へ報知する請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記報知処理は、前記情報処理装置のパネルによる報知である請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記報知処理は、クライアントのコンピュータへのメッセージ送信である請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記実行手段は、前記判断手段により否定判断された場合に、報知処理、定常処理以外の処理の禁止、及び定常処理以外の処理の継続の少なくとも1つをユーザーに応じて実行する請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載の情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−186042(P2008−186042A)
【公開日】平成20年8月14日(2008.8.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−16290(P2007−16290)
【出願日】平成19年1月26日(2007.1.26)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】