説明

情報提供装置

【課題】ディスプレイを注視することなく、自車両とレーンマーキングの相対位置関係を理解しやすいように運転者に情報提供する情報提供装置を得る。
【解決手段】撮像装置101及びレーンマーキング認識手段106により構成される自車走行位置検出手段110により、自車走行レーン内の自車の走行位置を検出し、この検出された自車走行レーン内の自車の走行位置に基づいて、相対距離演算手段107によって自車両の中心からレーンマーキングまでの距離を演算し、表示手段108により、相対距離演算手段107によって得られる自車両の中心からレーンマーキングまでの距離に応じる位置に、レーンマーキング及び自車をシンボル表示して、レーンマーキングと自車両の位置関係を運転者に情報提供するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、車両に搭載され、自車両前方の所定距離に限定して、レーンマーキングと自車両の位置関係について運転者に情報提供を行う情報提供装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のレーンマーキングを認識する装置においては、例えば、特許文献1に示すように、自車両の少なくとも片側のレーンマーキングを抽出し、レーンマーキングと自車両の相対位置に応じて、警報を行うものや、特許文献2に示すように、自車両が走行中の走行路から逸脱した場合、あるいは逸脱しそうな場合に、この逸脱を抑制するために走行制御を行うものが一般的である。
このような装置によれば、自車両がレーンマーキングから逸脱した、あるいは逸脱しそうな場合に、運転者に対し警報を発生または車両制御を行うことができ、車両走行の安全性を高めることができる。
また、例えば特許文献3に示すように、路面上の区分表示を認識し、自車両と区分表示の相対位置関係を鳥瞰図で示す装置では、運転者が自車両と区分表示の相対位置関係を知ることができ、車庫入れを容易にすることができる。また、走行時は、自車両と区分表示の相対位置関係を知ることができ、センターラインを超えるなどの危険を回避することができる。
【0003】
【特許文献1】特許第3345913号公報(第2〜4頁、図2)
【特許文献2】特許第3183966号公報(第5〜11頁、図2)
【特許文献3】特開平10−083500号公報(第2〜4頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1、2によるものでは、自車両がレーンマーキングを逸脱した場合、あるいは逸脱しそうな場合に、運転者は、その状態を認識することが可能であるが、運転者が、レーンマーキングを視認しにくい場合には、自車両が逸脱するまでの過程で、運転者は自車両とレーンマーキングの相対位置関係を知ることができず、運転者にとって、システムが有効でない場合がある。
【0005】
また、特許文献3のものでは、鳥瞰図を用いて、レーンマーキングと自車両の相対位置関係を示すことで、車庫入れを容易にでき、また、走行時は自車両と区分表示の相対位置関係を知ることで、センターラインを超えるなどの危険を回避することができるが、鳥瞰図は情報量が多く、瞬時に、自車両と区分表示の相対位置関係を理解しにくい。
このため、このようなシステムを有効に使用することができないという問題や、自車両と区分表示の相対位置関係を理解しようとするとディスプレイを注視する必要性があり、かえって危険を伴う可能性があるという問題があった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、ディスプレイを注視することなく、自車両とレーンマーキングの相対位置関係を理解しやすいように運転者に情報提供する情報提供装置を得ることを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係わる情報提供装置においては、自車走行レーン内の自車の走行位置を検出する自車走行位置検出手段、この自車走行位置検出手段によって検出された自車走行レーン内の自車の走行位置に基づいて、レーンマーキングと自車両の位置関係を運転者に伝える表示手段、及び自車両の中心からレーンマーキングまでの距離を演算する相対距離演算手段を備え、表示手段は、相対距離演算手段によって得られる自車両の中心からレーンマーキングまでの距離に応じる位置に、レーンマーキング及び自車をシンボル表示することによって、レーンマーキングと自車両の位置関係を運転者に情報提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、以上説明したように、自車走行レーン内の自車の走行位置を検出する自車走行位置検出手段、この自車走行位置検出手段によって検出された自車走行レーン内の自車の走行位置に基づいて、レーンマーキングと自車両の位置関係を運転者に伝える表示手段、及び自車両の中心からレーンマーキングまでの距離を演算する相対距離演算手段を備え、表示手段は、相対距離演算手段によって得られる自車両の中心からレーンマーキングまでの距離に応じる位置に、レーンマーキング及び自車をシンボル表示することによって、レーンマーキングと自車両の位置関係を運転者に情報提供するので、運転者が、瞬時に、自車両とレーンマーキングの相対位置関係を理解することができると共に、ディスプレイを注視する必要性がなくなるため、危険を伴わずに必要な情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態1に係わる情報提供装置について説明する。
図1は、この発明の実施の形態1による情報提供装置の構成を示すブロック図である。
図1において、情報提供装置100は、車両前方の撮影を行う撮像装置101(撮像手段)、車速を検出する車速センサ801、情報提供装置100の動作を制御するCPU105、運転者に自車両及びレーンマーキングのシンボルを表示する表示装置109から構成される。
CPU105は、車速センサ801から車速情報を取得する車速情報取得手段807、レーンマーキングを認識するレーンマーキング認識手段106、自車両とレーンマーキングとの相対距離を演算する相対距離演算手段107、及び表示装置109への表示処理を行う表示手段108を有している。ここで、撮像装置101及びCPU105内のレーンマーキング認識手段106を合わせて、自車走行位置検出手段110とする。撮像装置101で取得した画像信号は、レーンマーキング認識手段106に出力される。
表示装置109は、表示手段107から出力された信号に基づき、自車両のシンボルと、レーンマーキングのシンボルとを表示する。
【0010】
図2は、この発明の実施の形態1による情報提供装置の撮像装置の取付け例を示す図である。
図2において、撮像装置101は、車両200のルームミラー付近に取り付けられ、車両前方の路面の状況を撮影する。
図3は、この発明の実施の形態1による情報提供装置の表示装置の取付け例を示す図である。
図3において、表示装置109は、計器パネル201に設けられている。
図4は、この発明の実施の形態1による情報提供装置の撮像装置で取得した画像の例を示す図である。
図4において、撮像装置101が撮影した実際の画像300には、レーンマーキング301L、301R、302と、レーンマーキングの検出エリア303が示されている。
【0011】
図5は、この発明の実施の形態1による情報提供装置の情報提供処理を示すフローチャートである。
図6は、図5の候補点抽出手段を説明する説明図である。
図6において、300、303は図4におけるものと同一のものである。さらに、レーンマーキングの候補点304と、レーンマーキングの1次モデル式305a〜cと、レーンマーキングの2次モデル式306a〜bと、自車両の中心400Cとが示されている。また、レーンマーキングまでの距離を算出する位置を、自車両前方から10mの位置400L及び400Rとしている。
【0012】
図7は、図5のモデル式算出手段を説明する説明図であり、図7(a)は、上面視変換前、図7(b)は、上面視変換後の図である。
図8は、この発明の実施の形態1による情報提供装置の表示装置を示す外観図である。
図8において、表示部501は、レーンマーキング及び自車両を示すための表示を行う。
【0013】
図9は、この発明の実施の形態1による情報提供装置の表示装置を示す構成図である。
図9において、発光LED502、LEDを発光させるための回路基板503、LED光を反射するための反射板504、反射したLED光を拡散させるための拡散版505からなるパーツが必要分解能分配置されている。
図10は、図5の表示手段における表示モードの一例を示す図である。
図10において、自車両シンボル601と、レーンマーキングシンボル602L、602Rとが示されている。
図11は、図5の表示手段における表示モードの他の一例を示す図である。
図11において、表示部501には、自車両シンボル601と、レーンマーキングシンボル602L、602Rとが示されている。
【0014】
図12は、この発明の実施の形態1による情報提供装置の別の構成を示すブロック図である。
図12において、105、107〜109、801、807は図1におけるものと同一のものである。図12では、自車走行位置検出手段110は、レーンマーカを検出するレーンマーカ検出器111(レーンマーカ検出手段)と、レーンマーカに対する自車両のオフセット値を検出するオフセット検出手段112とにより構成されている。
【0015】
図13は、この発明の実施の形態1による情報提供装置のさらに別の構成を示すブロック図である。
図13において、105、107〜109、801、807は図1におけるものと同一のものである。図13では、自車走行位置検出手段110は、道路上のレーンマーキングに電波を照射してそれからの反射情報を得るレーザレーダ115と、道路上のレーンマーキングからのレーダの反射情報からレーンマーキングを判定するレーンマーキング判定手段116とにより構成されている。
【0016】
次に、動作について説明する。
車速センサ801が取得した車速情報は、車速情報取得手段807に入力される。撮像装置101の撮影した画像は、レーンマーキング認識手段106に入力される。
図4に示される画像300には、レーンマーキング301L、301R、302と、レーンマーキングの検出エリア303が示されている。
【0017】
次に、図5のフローチャートにより、車速情報及び画像を用いて、CPU10により実行される処理について説明する。
レーンマーキング認識手段106は、候補点抽出手段(S01)、レーンマーキング認識状態判定手段(S31)(検出状態判定手段)、モデル式算出手段(S02)、上面視変換手段(S03)の各ステップを含み、候補点抽出手段(S01)では、検出エリア(303)内で、フィルタ処理を施し、図6のように、レーンマーキングの候補点304を抽出する。
次に、レーンマーキング認識状態判定手段(S31)により、候補点をグループ化し、左右または隣接斜線のレーンマーキングに分類し、各レーンマーキングの候補点の抽出数により、レーンマーキングが認識できたか否かを判定する。
【0018】
そして、レーンマーキング認識状態判定手段(S31)において、認識できたと判定されたレーンマーキングの候補点に対して、モデル式算出手段(S02)では、レーンマーキングの候補点のうち、自車両から近距離(10〜20m)に位置するものを用いてレーンマーキングの1次モデル式305a〜cを作成する。また、レーンマーキングの候補点のうち、自車両から遠距離(20〜40m)に位置するものを用いて、レーンマーキングの2次モデル式306a〜bを作成する。すなわち、図6に示すように、レーンマーキングをモデル式で近似する。
ここで用いるモデル式は、例えば、下記の数式1、数式2に示すものである。
数式1、数式2は、予め分かっている撮像装置101の諸条件(画角、取付高さ、俯角等)により、数式3、数式4に示す上面視変換式に変換する。
座標系は、図7(a)の上面視変換前の図、図7(b)の上面視変換後の図に示す通りである。
【0019】
h=av+b ・・(1)
ここで、数式1は1次式
h:垂直座標(消失点基準のイメージセンサ座標)
v:水平座標(消失点基準のイメージセンサ座標)
【0020】
h=av+b+c/v ・・(2)
ここで、数式2は2次式
h:垂直座標(消失点基準のイメージセンサ座標)
v:水平座標(消失点基準のイメージセンサ座標)
【0021】
x=Az+B ・・(3)
ここで、数式3は1次式
zに車両前方距離[m]を代入すると、その際の車両中心からレーンマーキングまでの距離xが算出できる。
z:垂直座標(車両前方距離)
x:水平座標(車両中心からレーンマーキングまでの距離)
【0022】
x=Az2+Bz+C ・・(4)
ここで、数式4は2次式
zに車両前方距離[m]を代入すると、その際の車両中心からレーンマーキングまでの距離xが算出できる。
z:垂直座標(車両前方距離)
x:水平座標(車両中心からレーンマーキングまでの距離)
【0023】
車速判定手段(S50)では、車両に搭載された車速センサ801からの信号を受け取り、現在の自車両の車速を判定する。
相対距離演算手段107では、S52で、車速SPDに応じて、レーンマーキングと自車両の相対位置関係を演算する車両前方距離FDを設定する。
次に、S06により、自車両レーンマーキングの左レーンマーキングを認識中であるか否かを判定する。自車両レーンマーキングの左レーンマーキングを認識中であれば、S07に移り、数式3、数式4を用いて、左レーンマーキングまでの距離を算出する。ここで用いる車両前方距離は、S52で設定したFDである。
続いて、S08により、自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを認識中であるか否かを判定する。自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを認識中であれば、S09に移り、数式3、数式4を用いて、右レーンマーキングまでの距離を算出する。S07と同様に、車両前方距離は、S52で設定したFDを用いる。
自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを不認識中であれば、相対距離を演算せずに表示手段108へ移行する。ここで、本実施の形態1では、レーンマーキングまでの距離を算出する位置を、自車両前方から10mの位置とする。
(図6中、400L及び400R。)
【0024】
次に、表示手段108の処理について説明する。
表示手段108では、S51により自車両の車速SPDが所定より大きいか否かを判定する。車速SPDが所定以下と判定されれば、相対距離を演算せずにS41へ移行し、左右とも表示無で終了する。S51で自車両の車速SPDが所定より大きいと判断されれば、S17へ移行する。ここで車速の所定値は、例えば、一般道と高速道路での切替となるような60km/h程度に設定する。
S17で、左相対距離が、数式3、数式4により演算されているか、それとも未処理(演算無し)であるかを判定する。数式3、数式4により演算されていれば、表示状態1とする(S19)。未処理であれば、表示無とする(S20)。
同様に、S21で右相対距離が、数式3、数式4により演算されているか、それとも未処理(演算無し)であるかを判定する。数式3、数式4により演算されていれば、表示状態1とする(S23)。未処理であれば、表示無とする(S24)。
【0025】
なお、上述の実施の形態1の説明では、車速の判定S51は、相対距離演算手段107の後で実行するが、相対距離演算手段107の前で実行し、車速が所定以下である場合には、相対距離演算を実施せず、S17へ移行するようにしてもよい。
【0026】
表示手段108の結果は、表示装置109に出力される。
表示装置109上の表示方法については、レーンマーキングと自車両の相対位置関係の表示方法として、以下の2種類がある。
レーンマーキング基準:レーンマーキングの位置を固定として、自車両表示位置を、相対距離に応じて変更する方法。
自車両位置基準:自車両位置を固定として、レーンマーキング表示位置を、相対距離に応じて変更する方法。
また、自車両の表示方法として、以下の2種類がある。
自車両中心位置表示:図10に示すように、自車両の中心位置を表示装置の分解能501の1〜数本分で表示。これは、車線中心を安定して走行しているか否かを認識しやすくする。
自車両車幅表示:図11に示すように、自車両の中心位置を表示装置上の分解能501の車幅相当分で表示。これは、レーンマーキングから自車両までの距離間が認識しやすくなる。
これらの表示方法については、運転者の嗜好により、選択可能なものとする。
【0027】
実施の形態1によれば、シンボル表示を用いて、自車両から所定距離前方のレーンマーキングと自車両の相対位置関係を示すことで、運転者が、瞬時に、自車両と区分表示の相対位置関係を理解することができる。
また、ディスプレイを注視する必要性がなくなるため、危険を伴わず、必要な情報を提供することができる。
また、表示モードを自車両基準、またはレーンマーキング基準の選択が可能とすることにより、運転者の嗜好にあわせて、違和感なく、情報を提供することができる。
【0028】
なお、上述の実施の形態1では、表示手段108をレーンマーキング認識手段を備えるCPU内に配置したが、表示装置109内に備えても何ら問題はない。
また、ここでは前方を撮影するカメラを設置した前方へ走行する車両についての例をあげたが、後方を撮影するカメラを設置した後方へ走行する車両についても同様である。
【0029】
また、レーンマーキング認識するための映像を取得する前方カメラ及び後方カメラは、自車側方を撮影するカメラに置き換えることによって、その機能を果たしてもよい。
【0030】
上述の実施の形態1では、撮像装置101、レーンマーキング認識手段106をもって、自車の走行レーン内の走行位置を検出する自車走行位置検出手段110としたが、その他のセンサ、例えば、道路の車線中央に埋設された、電磁共振原理を応用して動作するレーンマーカシステム等を利用してもよい。この場合は、図12のブロック図に示すように、レーンマーカ検出器111、レーンマーカに対する自車両のオフセット値を検出するオフセット検出手段112をもって、自車走行位置検出手段110とする。
また、続く相対距離演算手段107では、レーン幅は一般的なものを用いて、レーンマーカに対する自車両のオフセット値に基づいて、レーンマーキングと自車両の相対位置関係を演算する。
【0031】
また、上述の実施の形態1では、撮像装置101、レーンマーキング認識手段106をもって、自車の走行レーン内の走行位置を検出する自車走行位置検出手段110としたが、その他のセンサ、例えば、レーザレーダを用いてもよい。この場合は、図13のブロック図に示すように、レーザレーダ115、道路上のレーンマーキングからのレーダの反射情報からレーンマーキングを判定するレーンマーキング判定手段116をもって、自車走行位置検出手段110とする。
【0032】
実施の形態2.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態2に係る情報提供装置について説明する。
実施の形態2は、実施の形態1の図1〜図3と同じ構成である。
実施の形態2では、実施の形態1におけるレーンマーキング認識手段106、相対距離演算手段107において、図14に示すような変更を加え、レーンマーキングが認識されなかったものについては、推定を行うようにしたものである。
【0033】
図14は、この発明の実施の形態2による情報提供装置の情報提供処理を示すフローチャートである。
レーンマーキング認識手段106は、候補点抽出手段(S01)、レーンマーキング認識状態判定手段(S31)、モデル式算出手段(S02)、上面視変換手段(S03)、レーン幅学習手段(S04)を実行し、候補点抽出手段(S01)では、検出エリア303内で、フィルタ処理を施し、レーンマーキングの候補点304(図6)を抽出する。
次に、レーンマーキング認識状態判定手段(S31)により、候補点をグループ化し、左右または隣接斜線のレーンマーキングに分類し、各レーンマーキングの候補点の抽出数により、レーンマーキングが認識できたか否かを判定する。
【0034】
そして、レーンマーキング認識状態判定手段(S31)において、認識できたと判定されたレーンマーキングの候補点に対して、モデル式算出手段(S02)では、レーンマーキングの候補点のうち、自車両から近距離(10〜20m)に位置するものを用いてレーンマーキングの1次モデル式305a〜cを作成する。また、レーンマーキングの候補点のうち、自車両から遠距離(20〜40m)に位置するものを用いて、レーンマーキングの2次モデル式306a〜bを作成する。
すなわち、図6に示すように、レーンマーキングをモデル式で近似する。ここで用いるモデル式は、例えば、数式1、数式2に示すものである。
数式1、数式2は、予め分かっている撮像装置101の諸条件(画角、取付高さ、俯角等)により、数式3、数式4に示す上面視変換式に変換する。座標系は、図7(a)の上面視変換前の図、図7(b)の上面視変換後の図に示す通りである。
レーン幅学習手段(S04)では、S01〜S03の結果をもとに、自車両レーンマーキングの幅を算出する。算出した結果は、現在走行中の自車両レーンマーキングの幅として保持し、所定時間の間学習する。
【0035】
車速判定手段(S50)では、車両に搭載された車速センサ801からの信号を受け取り、現在の自車両の車速を判定する。相対距離演算手段107では、S06により、自車両レーンマーキングの左レーンマーキングを認識中であるか否かを判定する。
自車両レーンマーキングの左レーンマーキングを認識中であれば、左相対距離演算手段S07に移り、数式3、数式4を用いて、左レーンマーキングまでの距離を算出する。
続いて、S08により自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを認識中であるか否かを判定する。自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを認識中であれば、右相対距離演算手段S09に移り、数式3、数式4を用いて、右レーンマーキングまでの距離を算出する。
自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを不認識中であれば、S10に移り、レーン幅が学習済みであるか否かを判定する。レーン幅が学習済みであれば、右相対距離推定手段S11で、レーン幅を用いて、数式5のように、右レーンマーキングまでの距離を推定する。レーン幅の学習は、例えば、所定時間の間の車線幅平均値等を用いる。
ここで、本実施の形態2では、レーンマーキングまでの距離を算出する位置は、自車両前方から10mの位置とする。(図6中、400L及び400R。)
【0036】
DRe=DLr+LW ・・(5)
ここで、
DRe:自車両中心位置から右のレーンマーキングまでの距離(推定値)
DLr :自車両中心位置から左のレーンマーキングまでの距離(検出値)
LW :自車両レーンマーキング幅
【0037】
S06で、自車両レーンマーキングの左レーンマーキングを不認識中であれば、S12に移り、自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを認識中であるか否かを判定する。自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを認識中であれば、右相対距離演算手段S13に移り、数式3、数式4を用いて、右レーンマーキングまでの距離を算出する。
続いて、S14により、レーン幅が学習済みであるか否かを判定する。レーン幅が学習済みであれば、左相対距離推定手段S15で、レーン幅を用いて、数式6のように、左レーンマーキングまでの距離を推定する。
【0038】
DLe=DRr+LW ・・(6)
ここで、
Dle :自車両中心位置から左のレーンマーキングまでの距離(推定値)
DRr :自車両中心位置から右のレーンマーキングまでの距離(検出値)
LW :自車両レーンマーキング幅
【0039】
S12で、右レーンマーキングが不認識の場合は、左右とも相対距離の演算/推定を行わずに相対距離演算手段107を終了する。S14で、レーン幅が学習済みでない場合は、左相対距離の演算/推定を行わずに終了する。S10で、レーン幅が学習済みでない場合は、右相対距離の演算/推定を行わずに終了する。
【0040】
次に、表示手段108の処理について説明する。
表示手段108では、まず、S51により自車両の車速SPDが所定より大きいか否かを判定する。所定以下であれば、相対距離を演算せずにS41へ移行し、左右とも表示無で終了する。S51で自車両の車速SPDが所定より大きいと判断されれば、S17へ移行する。
次に、S17で、左相対距離が、数式3、数式4により演算されているか、推定されているか、それとも未処理(演算及び推定無し)であるかを判定する。数式3、数式4により演算されていれば、表示状態1とする(S19)。推定されていれば、表示状態2とする(S18)。未処理であれば、表示無とする(S20)。
同様に、S21で、右相対距離が、数式3、数式4により演算されているか、推定されているか、それとも未処理(演算及び推定無し)であるかを判定する。数式3、数式4により演算されていれば、表示状態1とする(S23)。推定されていれば、表示状態2とする(S22)。未処理であれば、表示無とする(S24)。
【0041】
実施の形態2では、自車両を示すLEDは緑色、表示状態1である場合のレーンマーキングを示すLEDは黄色とする。ここで、表示状態2である場合のレーンマーキングはピンク色とし、表示状態1のレーンマーキングとは異なる色で表示する。
【0042】
実施の形態2によれば、運転者は、レーンマーキングの認識が自車両レーンマーキングのうちの左右いずれか一方である場合も、中断することなく、レーンマーキングと自車両との相対的位置関係を知ることができる。
かつ、認識時のレーンマーキング表示と不認識時のレーンマーキング表示を区別することで、運転者はシステムの作動状態を把握でき、自身でシステム依存度を調整することが可能となる。
【0043】
なお、以上説明した例における表示状態1、表示状態2の区別の方法として、表示色を変えるのではなく、例えば、表示状態1である場合のレーンマーキング表示を定常的に点灯させる表示とし、表示状態2である場合のレーンマーキング表示を周期的な点滅としても良い。
【0044】
実施の形態3.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態3に係る情報提供装置について説明する。
実施の形態3は、実施の形態1の図1〜図3と同じ構成である。
実施の形態3では、実施の形態2における相対距離演算手段107に、図15に示すような変更を加えたものである。
図15は、この発明の実施の形態3による情報提供装置の情報提供処理を示すフローチャートである。
図16は、この発明の実施の形態3による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
【0045】
次に、図15のフローチャートにしたがって情報提供処理を説明する。
レーンマーキング認識手段106における、レーンマーキング認識状態判定手段(S31)により、レーンマーキングが認識できたか否かの判定に加え、各レーンマーキングの認識が継続している時間についても判定を行う。
車速情報取得手段807は、車速判定手段(S50)を備える。車速判定手段(S50)では、車両に搭載された車速センサからの信号を受け取り、現在の自車両の車速を判定する。
【0046】
相対距離演算手段107では、S21により自車両レーンマーキングの左レーンマーキングを所定時間より長く認識しているか否かを判定する。自車両レーンマーキングの左レーンマーキングを所定時間より長く認識中であれば、S07に移り、数式3、数式4を用いて、左レーンマーキングまでの距離を算出する。
続いて、S22により自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを所定時間より長く認識しているか否かを判定する。自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを所定時間より長く認識中であれば、S09に移り、数式3、数式4を用いて、右レーンマーキングまでの距離を算出する。自車両レーンマーキングの右レーンマーキングの認識時間が所定以下であれば、S10に移り、レーン幅が学習済みであるか否かを判定する。レーン幅が学習済みであれば、レーン幅を用いて、数式5のように、右レーンマーキングまでの距離を推定する(S11)。
【0047】
S21で、自車両レーンマーキングの左レーンマーキングの認識が所定以下であれば、S23に移り、自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを所定時間より長く認識しているか否かを判定する。自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを所定時間より長く認識中であれば、S13に移り、数式3、数式4を用いて、右レーンマーキングまでの距離を算出する。
続いて、S14により、レーン幅が学習済みであるか否かを判定する。レーン幅が学習済みであれば、レーン幅を用いて、数式6のように、左レーンマーキングまでの距離を推定する(S15)。
【0048】
S23で、右レーンマーキングの認識時間が所定以下の場合は、左右とも相対距離の演算/推定を行わずに相対距離演算手段107を終了する。S14で、レーン幅が学習済みでない場合は、左相対距離の演算/推定を行わずに終了する。S10で、レーン幅が学習済みでない場合は、右相対距離の演算/推定を行わずに終了する。
【0049】
実施の形態3によれば、レーンマーキングの認識が安定せず、誤認識の可能性がある場合には表示されないので、運転者に誤った情報が伝わることを回避することができる。
【0050】
なお、以上説明した例では、レーンマーキングの認識の安定性は、左右独立で行ったが、左右のレーンマーキングを共に認識している時間が所定時間より長いか否かの判定を行っても良い。この場合の処理の例を、図16のフローチャートで示す。図16では、左右の相対距離の推定処理を行わない例を示している。
なお、一時的な不認識の場合は、左右の相対距離の推定処理を行い、認識時間は継続しているものとしても良い。
【0051】
実施の形態4.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態4に係る情報提供装置について説明する。
実施の形態4は、実施の形態1の図1〜図3と同じ構成である。
実施の形態4では、実施の形態2または実施の形態3におけるレーンマーキング認識手段106に、図17に示すような変更を加えたものである。
図17は、この発明の実施の形態4による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
図18は、この発明の実施の形態4による情報提供装置の情報提供処理の別の一部を示すフローチャートである。
【0052】
図19は、図18の候補点抽出閾値に関する説明図であり、図19(a)は、閾値が大きい場合の図、図19(b)は、閾値が小さい場合の図である。
図19において、フィルタにより抽出されたレーンマーキングは、所定の閾値702によって2値化される。ここで、候補点抽出のための閾値は、レーンマーキングと路面のコントラスト701によって動的に制御されるものとする。従って、図19(b)のように、閾値が小さいということは、レーンマーキングと路面のコントラストが低く、状態不良と判断できる。
図20は、この発明の実施の形態4による情報提供装置の情報提供処理のさらに別の一部を示すフローチャートである。
【0053】
図17で、レーンマーキング認識手段106は、候補点抽出手段(S01)、レーンマーキング認識状態判定手段(S31)、モデル式算出手段(S02)、上面視変換手段(S03)、レーン幅学習手段(S04)を備える。レーンマーキング認識状態判定手段(S31)以外のステップは、実施の形態1または実施の形態2と同様であるのでその説明を省略する。
【0054】
レーンマーキング認識状態判定手段(S31)では、実施の形態2または実施の形態3の状態判定に加え、S01の結果をもとに、自車両レーンマーキングの状態判定を行う。図18は状態判定の条件を示すものである。
図18のS33では、S01で抽出した候補点の数が所定より多いか否かを判定する。次いで、S34では、候補点抽出に用いた閾値が所定より大きいか否かを判定する。これは、図19のように、閾値の大小により、レーンマーキングと路面のコントラストに応じて、レーンマーキングの状態が判断できるためである。
S33で、候補点抽出数が所定値より多い、またはS34で、候補点抽出閾値が所定値より大きいと判定された場合は、レーンマーキングの状態は良好であると判定する。それ以外の場合は、レーンマーキングの状態は、不良であると判定する。
【0055】
S31で、レーンマーキング認識状態判定後、相対距離演算手段107を実施し、さらに図20の表示手段を実行する。図20で、S51により自車両の車速SPDが所定より大きいか否かを判定する。SPDが所定以下と判断されれば、相対距離を演算せずにS41へ移行し、左右とも表示無で終了する。
S51で、自車両の車速SPDが所定より大きいと判断されれば、S40へ移行する。S40で、レーンマーキングの状態が良好か否かを判定し、不良であればS17へ移行し、良好であればS41へ移行する。
実施の形態4では、レーンマーキングの状態判定S40は、相対距離演算手段107後に実行するようにしたが、相対距離演算手段107の前に実行し、レーンマーキングの状態が良好である場合には、相対距離演算を実施せず、S17へ移行してもよい。
【0056】
実施の形態4によれば、レーンマーキングの認識が容易でないような場合(例えば、トンネル入口、逆光、雨天時等)にのみ表示するため、運転者にとってもレーンマーキングの認識がしにくいような状況でガイドラインとして利用することができる。かつ、レーンマーキングの状態が良好な場合は、表示を行わないため、運転者の注意が散漫となるようなことがなくなる。
【0057】
実施の形態5.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態5に係る情報提供装置について説明する。
実施の形態5は、図21、図2、図3の構成である。
図21は、この発明の実施の形態5による情報提供装置の構成を示すブロック図である。
図21において、100、101、105〜110、801、807は図1におけるものと同一のものである。情報提供装置100は、車速センサ801の加えて、車速以外の車両情報800(ステア角センサ802、ヨーレートセンサ803、ステアトルクセンサ804、ウインカ805)を有し、この車両情報800は車両状態判定手段806に入力される。(但し、車両情報はこれに限ったものではない)。なお、802から806は車両情報取得手段を構成する。
【0058】
図22は、この発明の実施の形態5による情報提供装置の情報提供処理を示すフローチャートである。
図23は、図22の表示手段における表示モードの一例を示す説明図であり、図23(a)は、車線幅固定の場合の図、図23(b)は、車線幅可変の場合の図である。
図23において、109、601、602L、602Rは、図10におけるものと同一のものである。図23では、自車両の中心位置602Cが示されている。
【0059】
次に、図22にしたがって、情報提供処理を説明する。
レーンマーキング認識手段106は、候補点抽出手段(S01)、レーンマーキング認識状態判定手段(S31)、モデル式算出手段(S02)、上面視変換手段(S03)を備える。各手段における処理は、実施の形態1または実施の形態2に示す通りである。
【0060】
車速情報取得手段807は、車速判定手段(S50)を備える。車速判定手段(S50)では、車両に搭載された車速センサからの信号を受け取り、現在の自車両の車速を判定する。
【0061】
相対距離演算手段107では、S52で、車速SPDに応じて、相対距離演算手段S07でレーンマーキングと自車両の相対位置関係を演算する車両前方距離FDを設定する。
次に、S06により、自車両レーンマーキングの左レーンマーキングを認識中であるか否かを判定する。自車両レーンマーキングの左レーンマーキングを認識中であれば、S07に移り、数式3、数式4を用いて、左レーンマーキングまでの距離を算出する。ここで用いる車両前方距離は、S52で設定したFDである。
続いて、S08により自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを認識中であるか否かを判定する。自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを認識中であれば、S09に移り、数式3、数式4を用いて、右レーンマーキングまでの距離を算出する。S07と同様に、車両前方距離は、S52で設定したFDを用いる。
自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを不認識中であれば、相対距離を演算せずに表示手段へ移行する。
【0062】
前方距離設定手段(S52)では、例えば、以下に示す演算で車両前方距離を実施する。
現在の自車両の車速がSPD0[m/s]、情報提供装置の処理周期がSt[s]とした場合、相対距離表示には処理周期分の遅延が発生する。従って、相対距離を算出するための車両前方距離FDは、以下の数式(7)で演算する。
ただし、これに限ったものではなく、高速走行であることの危険度等を考慮して演算してもよい。
FD= SPD0 x St [m] ・・(7)
【0063】
次に、表示手段108の処理について説明する。
表示手段108では、S51により自車両の車速SPDが所定より大きいか否かを判定する。SPDが所定以下と判断されれば、相対距離を演算せずにS41へ移行し、左右とも表示無で終了する。S51で自車両の車速SPDが所定より大きいと判断されれば、S17へ移行する。ここで車速の所定値は、例えば、一般道と高速道路での切替となるような60km/h程度に設定する。
S17で左相対距離が、数式3、数式4により演算されているか、それとも未処理(演算無し)であるかを判定する。数式3、数式4により演算されていれば、表示状態1とする(S19)。未処理であれば、表示無とする(S20)。
【0064】
同様に、S21で右相対距離が、数式3、数式4により演算されているか、それとも未処理(演算無し)であるかを判定する。数式3、数式4により演算されていれば、表示状態1とする(S23)。未処理であれば、表示無とする(S24)。
なお、実施の形態5では、車速の判定S51を、相対距離演算手段107後に実行するようにしたが、相対距離演算手段107の前で実行し、車速が所定以下である場合には、相対距離演算を実施せず、S17へ移行してもよい。
【0065】
表示装置109上の表示方法については、レーンマーキングと自車両の相対位置関係の表示方法として、ここでは、レーンマーキング基準(レーンマーキングの位置を固定として、自車両表示位置を、相対距離に応じて変更する方法)を用いる。
レーンマーキングで示す車線幅の表示方法としては、以下の2種類があり、選択することができる。
車線幅固定:一般的な車線幅を用いる。
車線幅可変:レーンマーキング認識結果に応じた車線幅を用いる。
車線幅固定の場合は、例えば、基準の車線幅LW0を3.45m固定とし、表示装置の1メモリを0.15mとした場合に、
実際の車線幅LW=3.0m、左レーンマーキングと自車両の距離400L=1.0m、右レーンマーキングと自車両の距離400R=2.0mとすると、
図23(a)に示すように、表示装置上での車線幅23メモリ、自車両から左レーンマーキングまでの距離=(23x1/3)=7.7メモリ、自車両から右レーンマーキングまでの距離=(23x2/3)=15.3メモリとなる(小数点第2位以下四捨五入)。従って、自車両の中心位置602Cは左レーンマーキングから8メモリ目、右レーンマーキングから16メモリ目と設定できる。
車線幅固定のモードは、レーンマーキング基準表示の場合に、自車両のシンボルのみの制御でよく、有効である。
【0066】
車線幅可変の場合は、
例えば、表示装置の1メモリを0.15mとした場合に、
実際の車線幅LW=3.15m、左レーンマーキングと自車両の距離400L=1.15m、右レーンマーキングと自車両の距離400R=2.0mとすると、
図23(b)に示すように、表示装置上での車線幅は3.15/0.15=21メモリ、自車両から左レーンマーキングまでの距離=1.15/0.15=7.7メモリ、自車両から右レーンマーキングまでの距離=2.0/0.15=13.3メモリとなる(小数点第2位以下四捨五入)。従って、自車両の中心位置602Cは左レーンマーキングから8メモリ目、右レーンマーキングから14メモリ目と設定できる。
車線幅可変のモードは、実際の走行中の車線幅に応じた情報が得られるため、運転者に違和感なく、表示することができる。
【0067】
実施の形態5によれば、運転者は、高速走行中であってもレーンマーキングと自車両の相対的位置関係を正確に知ることができる。かつ、低車速時には表示を行わないことで、一般道走行中などレーンマーキング認識において、外乱が多く誤認識が発生するような環境で、運転者に誤った情報を提供するのを回避することができる。
また、渋滞追従時等、前方に意識を集中する必要性がある場合など、表示をしないことで、運転者の注意がそれることを回避することができる。
【0068】
なお、以上説明した例では、左右レーンマーキングの不認識時の相対距離推定を行わないが、実施の形態2同様、左右レーンマーキングの不認識時の相対距離推定を行っても良い。
【0069】
また、上述の実施の形態5では、前方へ高速走行中の例について説明したが、後方へ走行中の場合は、前方距離設定手段ではなく、後方距離設定手段としてもよい。
【0070】
実施の形態6.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態6に係る情報提供装置について説明する。
実施の形態6の構成は、実施の形態5と同じである。
図24は、この発明の実施の形態6による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
図25は、この発明の実施の形態6による情報提供装置の課題を示す説明図である。図25(a)は、車線変更途中の図、図25(b)は、車線変更後の図である。
【0071】
図26は、この発明の実施の形態6による情報提供装置の別の課題を示す説明図である。
図26において、306a、306bは図6におけるものと同一のものである。図26では、曲率の大きなカーブを走行中で、モデル式より算出した自車両とレーンマーキングの相対位置関係の誤差が大きい場合を示している。
【0072】
次に、図24のフローチャートを用いて実施の形態6の情報提供処理を説明する。
車両状態判定手段806は、ステア角判定手段(S60)を備える。ステア角判定手段(S60)では、車両に搭載されたステア角センサ802からの信号を受け取り、現在の自車両のステア角を判定する。
S61では、ステア角が所定より小さいか否かを判定する。ステア角が所定より小さいと判断された場合には、直線路を走行しているとし、S17へ移行する。ステア角が所定より大きいと判断された場合には、車線変更を行っている、またはカーブ走行時であるとし、S41へ移行する。
実施の形態6では、ステア角の判定(S61)は、相対距離演算手段107後に実行するものとしたが、相対距離演算手段107の前に実行し、ステア角が所定以上である場合には、相対距離演算を実施せず、S17へ移行するようにしてもよい。
【0073】
実施の形態6によれば、運転者が、意図的に車線変更を行っているような場合で、レーンマーキングをまたいでいる状況において、運転者に違和感を与えるような表示を回避することができる。
例えば、車線変更途中で、図25(a)に示すような状態にあり、車線変更後、図25(b)となった場合、自車両のシンボルは、図25(a)から図25(b)へ突然移動するような状態をなくすことができるとともに、図26に示すような、曲率の大きなカーブを走行中で、モデル式より算出した自車両とレーンマーキングの相対位置関係の誤差が大きい場合に、運転者に誤った情報を提供することを回避できる。
【0074】
なお、以上説明した例では、ステア角センサを用いたが、ヨーレートセンサ及びステアトルクセンサを用いても良い。
【0075】
実施の形態7.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態7に係る情報提供装置について説明する。
実施の形態7の構成は、実施の形態5と同じである。
図27は、この発明の実施の形態7による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
【0076】
次に、図27のフローチャートを用いて情報提供処理について説明する。
車両状態判定手段806は、ステア角判定手段(S60)に加え、ウインカ判定手段(S70)を備える。ウインカ判定手段(S70)では、車両に搭載されたウインカからの信号を受け取り、ウインカがONであるか、OFFであるかを判定する。判定は、現在のウインカ状態でも良いが、所定時間内にウインカ操作があったかの判定でも良い。
表示手段108のS71では、ウインカがONであったか、OFFであったかを判定する。ウインカがOFFである場合は、車線変更状態にないとし、S17へ移行する。ウインカがONである場合は、車線変更を行っているとし、S41へ移行する。
実施の形態7では、ウインカの判定(S71)は、相対距離演算手段107後に実行するようにしたが、相対距離演算手段107の前に実行し、ウインカONである場合には、相対距離演算を実施せず、S17へ移行してもよい。
【0077】
実施の形態7によれば、運転者が、意図的に車線変更を行っているような場合で、レーンマーキングをまたいでいる状況において、運転者に違和感を与えるような表示を回避することができる。
例えば、車線変更途中で、図25(a)に示すような状態にあり、車線変更後、図25(b)となった場合、自車両のシンボルは、図25(a)から図25(b)へ突然移動するような状態をなくすことができる。
【0078】
実施の形態8.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態8に係る情報提供装置について説明する。
図28は、この発明の実施の形態8による情報提供装置の構成を示すブロック図である。
図28において、100、101、105〜110、800、801、806、807は図21におけるものと同一のものである。図28には、撮像手段101より入力された画像から自車両の前方の道路環境を判定する道路環境判定手段906が設けられている。撮像装置101で取得した画像信号は、レーンマーキング認識手段106、道路環境判定手段906に出力される。
レーンマーキング認識手段106は、候補点抽出手段(S01)、モデル式算出手段(S02)、上面視変換手段(S03)を備える。各手段における処理は、実施の形態1に示す通りである。
なお、実施の形態8の撮像装置の車両への取付け例、表示装置の車両への取付け例は、実施の形態1の図2、図3と同様である。
【0079】
図29は、この発明の実施の形態8による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
図30は、図29の相対距離補正手段を示す説明図である。
図30において、自車両の中心400Cから、障害物HLの最も自車両に近い位置までの距離410Lと、左レーンマーキングまでの距離400Lが示されている。
【0080】
次に、図29のフローチャートにしたがって情報提供処理について説明する。
道路環境状態判定手段906は、障害物認識手段(S70)を備える。障害物認識手段(S70)では、撮像手段101より入力された画像から自車両の前方に存在する障害物(例えば、停車車両)を抽出し、その存在位置を判定する。
【0081】
相対距離演算手段107では、S52で、車両前方距離FDを設定する。次に、S06により自車両レーンマーキングの左レーンマーキングを認識中であるか否かを判定する。自車両レーンマーキングの左レーンマーキングを認識中であれば、S07に移り、数式3、数式4を用いて、左レーンマーキングまでの距離400Lを算出する。ここで用いる車両前方距離は、S52で設定したFDである。
続いて、S71により、S70で抽出した障害物が、自車両中心400Cから左レーンマーキングまでの間、もしくは左レーンマーキング上に存在するか否かを判定する。S71で、障害物無と判定されれば、左相対距離の補正を行わずにS08へ移行する。障害物有と判定されれば、左相対距離補正手段S72へ移行し、相対距離演算手段S07で算出した左レーンマーキングまでの距離400Lを補正する。この補正は、図30に示すように、自車両の中心400Cから、障害物HLの最も自車両に近い位置までの距離410Lを、左レーンマーキングまでの距離400Lに置き換える。
【0082】
次に、S08により、自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを認識中であるか否かを判定する。自車両レーンマーキングの右レーンマーキングを認識中であれば、S09に移り、数式3、数式4を用いて、右レーンマーキングまでの距離を算出する。ここで用いる車両前方距離は、S52で設定したFDである。
続いて、S73により、S70で抽出した障害物が、自車両中心400Cから右レーンマーキングまでの間、もしくは右レーンマーキング上に存在するか否かを判定する。S73で、障害物無と判定されれば、右相対距離の補正を行わずにS51へ移行する。障害物有と判定されれば、右相対距離補正手段S74へ移行し、相対距離演算手段S09で算出した右レーンマーキングまでの距離を補正する。この補正は、左側と同様、障害物HRの最も自車両に近い位置までの距離を、右レーンマーキングまでの距離に置き換える。
【0083】
実施の形態8によれば、運転者は、道路上に障害物が存在する場合であっても、運転者が危険な状態を回避しつつ、レーンマーキングと自車両の相対的位置関係を表示することができる。かつ、自車両が実際に走行可能な範囲を相対的に知ることができ、車幅感覚がない運転者においても、容易にすり抜けが可能となる。
【0084】
実施の形態9.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態9に係る情報提供装置について説明する。
実施の形態9の構成は、実施の形態8と同様である。
図31は、この発明の実施の形態9による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
図32は、この発明の実施の形態9による情報提供装置の課題を示す説明図である。
図33は、図31の前方距離補正手段を示す説明図である。
【0085】
次に、図31のフローチャートを用いて情報提供処理について説明する。
道路環境状態判定手段906は、障害物認識手段(S70)に加え、先行車認識手段(S80)を備える。
先行車認識手段(S80)では、撮像手段101より入力された画像から、自車両の前方かつ自車両レーンに存在する先行車を抽出し、その存在位置を判定する。
【0086】
相対距離演算手段107では、S52で、車両前方距離FDを設定する。次に、S81で、S80で先行車が検出されたか否かを判定する。先行車が無かったと判定されれば、S06へ移行する。先行車が有りと判定されれば、S82へ移行する。S82では、検出された先行車までの距離FVDが、所定より大きいか否かを判定する。
FVDが所定以下であれば、S17へ移行し、終了する。ここで、FVDが所定以下であれば終了するのは、図32に示すERR部のように、レーンマーキング認識結果が誤検出の可能性が高いためである。例えば、FVDは、自車両から15m未満の距離に設定する。
FVDが所定より大きければ、前方距離補正手段(S83)へ移行する。S83では、前方距離設定手段(S52)で得られるFDが、図33に示すFD1であった場合に、先行車より自車両に近い距離FD2に補正する。前方距離設定手段(S52)で得られるFDが、図33に示すFD3であった場合は、補正は行わない。
S06以下の処理は、実施の形態8と同様とするため、その説明を省略する。
【0087】
実施の形態9によれば、運転者は、道路上に先行車が存在する場合であっても、運転者に誤った情報を提供するのを回避することができる。
また、渋滞追従時等、前方に意識を集中する必要性がある場合など、表示をしないことで、運転者の注意が反れることを回避することができる。
【0088】
実施の形態10.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態10に係る情報提供装置について説明する。
実施の形態10の構成は、実施の形態8と同様である。
図34は、この発明の実施の形態10による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
【0089】
次に、図34のフローチャートにより情報提供処理について説明する。
道路環境状態判定手段906は、障害物認識手段(S70)、先行車認識手段(S80)に加え、交差点判定手段(S90)を備える。
交差点判定手段(S90)では、撮像手段101より入力された画像から、自車両の前方に交差点を認識し、その有無を判定する。
【0090】
表示手段108では、S91により、S90で交差点が認識されたか否かを判定する。交差点があれば、S41へ移行し、相対距離は表示無で終了する。交差点が無しであれば、S17へ移行する。
実施の形態10では、交差点の判定(S91)は、相対距離演算手段107後に実行するようにしたが、相対距離演算手段107の前に実行し、交差点が有りの場合には、相対距離演算を実施せず、S17へ移行してもよい。
交差点で表示しないのは、交差点内にレーンマーキングがないため、横断歩道やその他の外乱を誤認識する可能性が高くなるためである。
【0091】
実施の形態10によれば、運転者は、交差点が存在する場合であっても、運転者に誤った情報を提供するのを回避することができる。
【0092】
なお、以上説明した例では、交差点認識を画像処理で行ったが、ナビゲーションからの情報を利用しても良い。
【0093】
実施の形態11.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態11に係る情報提供装置について説明する。
実施の形態11の構成は、実施の形態8と同様である。
図35は、この発明の実施の形態11による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
【0094】
次に、図35のフローチャートにより情報提供処理について説明する。
道路環境状態判定手段906は、障害物認識手段(S70)、先行車認識手段(S80)、交差点判定手段(S90)に加え、道路曲率判定手段(SA0)を備える。
道路曲率判定手段(SA0)では、レーンマーキング認識手段106のモデル式算出手段(S02)で算出したモデル式のうち、数式3、数式4で示す2次モデルから、自車両のレーンマーキングの道路曲率を判定する。
【0095】
表示手段108では、SA1により、SA0で判定した道路曲率が所定より大きいか否かを判定する。道路曲率が所定以下であれば、S41へ移行し、相対距離は表示無で終了する。道路曲率が所定より大きければ、S17へ移行する。
実施の形態11では、道路居曲率の判定(SA1)は、相対距離演算手段107後に実行するようにしたが、相対距離演算手段107の前に実行し、道路曲率が所定以下の場合には、相対距離演算を実施せず、S17へ移行してもよい。
【0096】
実施の形態11によれば、図26に示すような、曲率の大きなカーブを走行中で、モデル式より算出した自車両とレーンマーキングの相対位置関係の誤差が大きい場合に、運転者に誤った情報を提供することを回避できる。
【0097】
なお、以上説明した例では、道路曲率をレーンマーキング認識結果から判定したが、ヨーレートセンサ及び車速センサからの情報を利用しても良い。
【0098】
実施の形態12.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態12に係る情報提供装置について説明する。
実施の形態12の構成は、実施の形態5と同様である。
図36は、この発明の実施の形態12による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
図37は、図36の表示手段における表示モードの一例を示す図である。
図37において、レーンマーキングシンボル602L、602Rと、隣接レーンマーキングシンボル602Nとが示されている。
【0099】
次に、図36のフローチャートにより情報提供処理について説明する。
相対距離演算手段107では、実施の形態5に、SB1及びSB2による隣接レーンマーキング(図6 305c)の相対距離の演算処理を加えたものである。
SB1では、隣接レーンマーキング(図37の602N)が認識できているか否かを判定し、認識していれば、SB2により、相対距離を演算する。不認識であれば、S17へ移行する。
これにより、表示手段108においても、SB3、SB4、SB5による処理が追加され、隣接レーンマーキングシンボル602Nの表示が行われる。
【0100】
実施の形態12によれば、図37に示すように、自車両レーンマーキングのみならず、隣接レーンマーキングの位置も知ることができ、例えば車線変更時に、運転者に車線変更状態の経過を知らせることができる。
【0101】
なお、以上説明した例では、常に自車両レーンマーキングの左右のレーンマーキングを含む3本のレーンマーキングを表示することとしたが、車線変更時に限定して3本表示するようにしても良い。
【0102】
実施の形態13.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態13に係る情報提供装置について説明する。
実施の形態13は、実施の形態1の図1〜図3と同じ構成である。
実施の形態13では、実施の形態1における表示手段108において、図38、図39に示すような変更を加えたものである。
図38は、この発明の実施の形態13による情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
図39は、図38の表示手段における表示モードの一例を示す図である。
図39において、自車両シンボルC70と、車線中心位置シンボルC71Cと、自車両の車線中心からのオフセット距離C72と、右レーンマーキングシンボルC71Rと、右レーンマーキングと自車両の相対位置C73が示されている。
【0103】
次に、図38にしたがって、情報提供処理を説明する。実施の形態13では、車線中心位置シンボルC71Cの表示を固定する。
図38に示すように、表示手段108では、まず、S51で、自車両の車速SPDが所定より大きいか否かを判定する。所定以下であれば、相対距離を演算せずにS41へ移行し、左右とも表示無で終了する。S51で、自車両の車速SPDが所定より大きいと判断されれば、S17へ移行する。
次に、S17で、左相対距離が、数式3、数式4により演算されているか、それとも未処理(演算無し)であるかを判定する。数式3、数式4により演算されていれば、S21へ移行する。未処理であれば、S41で、表示無とする。
次に、S21で、右相対距離が、数式3、数式4により演算されているか、それとも未処理(演算無し)であるかを判定する。数式3、数式4により演算されていれば、SC1へ移行する。未処理であれば、S41で、表示無とする。
【0104】
SC1では、左右の相対距離演算結果から、自車両の車線中央からのオフセット距離を演算する。自車両の車線中央からのオフセット距離を演算後、図39(a)のように、車線中心位置C71Cと、自車両の車線中央からのオフセット距離C72に応じた自車両のシンボルC70表示を行う。
さらに、SC2で、図39(b)に示す左レーンマーキングと自車両の相対距離が、所定閾値以下か、それより大きいか否かを判定する。左レーンマーキングと自車両の相対距離が、所定以下である場合は、SC4で、左レーンマーキングと自車両の相対位置に応じて左レーンマーキングのシンボル表示を行う。左レーンマーキングと自車両の相対距離が所定より大きい場合は、SC3により左レーンマーキングを示すシンボル表示は行わない。
【0105】
同様に、SC5で、右レーンマーキングと自車両の相対距離C73が、所定閾値以下か、それより大きいか否かを判定する。右レーンマーキングと自車両の相対距離C73が、所定以下である場合は、SC7で、図39(b)のように、右レーンマーキングと自車両の相対位置C73に応じて右レーンマーキングのシンボルC71Rの表示を行う。右レーンマーキングと自車両の相対距離C73が、所定より大きい場合は、SC6により右レーンマーキングを示すシンボル表示は行わない。
なお、実施の形態13では、自車両を示すLEDは緑色、車線の中心位置を示す表示はオレンジ色、レーンマーキングを示すLEDは赤色とする。
【0106】
実施の形態13によれば、レーンマーキングと自車両の相対距離が十分で安全な場合は、自車両の車線中心に対するふらつきのみが確認でき、レーンマーキングと自車両の相対距離が不十分で危険な場合は、自車両とレーンマーキングの相対距離を知ることができる。
これにより、運転者は、システムに依存しすぎることが無く、常に安全走行を意識することができるとともに、レーンマーキングを逸脱しそうな危険な場合には、回避することが可能となる。
【0107】
なお、以上説明した例においては、実施の形態1を変更した形としたが、レーン幅の学習結果に基づいたレーンマーキングの推定を行う実施の形態2を変更した形としてもよい。
【0108】
実施の形態14.
以下、図面を参照しながら、この発明の実施の形態14に係る情報提供装置について説明する。
実施の形態14の構成は、実施の形態1の図1〜図3と同じ構成である。
実施の形態14では、実施の形態1における表示手段108において、図40及び図41に示すような変更を加えたものである。
図40は、この発明の実施の形態14による情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
図41は、図40の表示手段における表示モードの一例を示す図である。
図41において、左レーンマーキングシンボルD71Lと、右レーンマーキングシンボルD71Rとが示されている。
【0109】
次に、図40にしたがって、情報提供処理を説明する。実施の形態14では、左レーンマーキングシンボルD71L及び右レーンマーキングシンボルD71Rの表示位置を固定する。
図40に示すように、表示手段108では、まず、S51で、自車両の車速SPDが所定より大きいか否かを判定する。所定以下であれば、相対距離を演算せずにS41へ移行し、左右とも表示無で終了する。S51で、自車両の車速SPDが所定より大きいと判断されれば、S17へ移行する。
次に、S17で、左相対距離が、数式3、数式4により演算されているか、それとも未処理(演算無し)であるかを判定する。数式3、数式4により演算されていれば、S21へ移行する。未処理であれば、S41で表示無とする。
次に、S21で、右相対距離が、数式3、数式4により演算されているか、それとも未処理(演算無し)であるかを判定する。数式3、数式4により演算されていれば、SC2へ移行する。未処理であれば、S41で表示無とする。
【0110】
SC2で、左レーンマーキングと自車両の相対距離が、所定閾値以下か、それより大きいか否かを判定する。左レーンマーキングと自車両の相対距離が、所定以下である場合は、SD2により、左レーンマーキングシンボルD71L(図41)の表示は、点滅表示する。左レーンマーキングと自車両の相対距離が所定より大きい場合は、SD1により、左レーンマーキングシンボルD71Lの表示は、点灯表示する。
同様に、SC5で、右レーンマーキングと自車両の相対距離が、所定閾値以下か、それより大きいか否かを判定する。右レーンマーキングと自車両の相対距離が、所定以下である場合は、SD4で、右レーンマーキングシンボルD71R(図41)の表示は、点滅表示する。右レーンマーキングと自車両の相対距離が、所定より大きい場合は、SD3で、右レーンマーキングシンボルD71Rの表示は、点灯表示する。
実施の形態14では、左右のレーマーキングを示すシンボル間の幅は、一般的な幅に設定する。
【0111】
実施の形態14によれば、レーンマーキングと自車両の相対距離が不十分で危険な場合のみ、レーンマーキングを示すシンボル表示の点滅表示により、危険を知ることができる。
これにより、運転者は、システムに依存しすぎることが無く、レーンマーキングを逸脱しそうな危険な場合には、回避することが可能となる。
【0112】
なお、以上説明した例においては、実施の形態1を変更した形としたが、レーン幅の学習結果に基づいたレーンマーキングの推定を行う実施の形態2を変更した形としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】この発明の実施の形態1による情報提供装置の構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態1による情報提供装置の撮像装置の取付け例を示す図である。
【図3】この発明の実施の形態1による情報提供装置の表示装置の取付け例を示す図である。
【図4】この発明の実施の形態1による情報提供装置の撮像装置で取得した画像の例を示す図である。
【図5】この発明の実施の形態1による情報提供装置の情報提供処理を示すフローチャートである。
【図6】図5の候補点抽出手段を説明する説明図である。
【図7】図5のモデル式算出手段を説明する説明図である。
【図8】この発明の実施の形態1による情報提供装置の表示装置を示す外観図である。
【図9】この発明の実施の形態1による情報提供装置の表示装置を示す構成図である。
【図10】図5の表示手段における表示モードの一例を示す図である。
【図11】図5の表示手段における表示モードの他の一例を示す図である。
【図12】この発明の実施の形態1による情報提供装置の別の構成を示すブロック図である。
【図13】この発明の実施の形態1による情報提供装置のさらに別の構成を示すブロック図である。
【図14】この発明の実施の形態2による情報提供装置の情報提供処理を示すフローチャートである。
【図15】この発明の実施の形態3による情報提供装置の情報提供処理を示すフローチャートである。
【図16】この発明の実施の形態3による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
【図17】この発明の実施の形態4による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
【図18】この発明の実施の形態4による情報提供装置の情報提供処理の別の一部を示すフローチャートである。
【図19】図18の候補点抽出閾値に関する説明図である。
【図20】この発明の実施の形態4による情報提供装置の情報提供処理のさらに別の一部を示すフローチャートである。
【図21】この発明の実施の形態5による情報提供装置の構成を示すブロック図である。
【図22】この発明の実施の形態5による情報提供装置の情報提供処理を示すフローチャートである。
【図23】図22の表示手段における表示モードの一例を示す説明図である。
【図24】この発明の実施の形態6による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
【図25】この発明の実施の形態6による情報提供装置の課題を示す説明図である。
【図26】この発明の実施の形態6による情報提供装置の別の課題を示す説明図である。
【図27】この発明の実施の形態7による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
【図28】この発明の実施の形態8による情報提供装置の構成を示すブロック図である。
【図29】この発明の実施の形態8による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
【図30】図29の相対距離補正手段を示す説明図である。
【図31】この発明の実施の形態9による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
【図32】この発明の実施の形態9による情報提供装置の課題を示す説明図である。
【図33】図31の前方距離補正手段を示す説明図である。
【図34】この発明の実施の形態10による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
【図35】この発明の実施の形態11による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
【図36】この発明の実施の形態12による情報提供装置の情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
【図37】図36の表示手段における表示モードの一例を示す図である。
【図38】この発明の実施の形態13による情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
【図39】図38の表示手段における表示モードの一例を示す図である。
【図40】この発明の実施の形態14による情報提供処理の一部を示すフローチャートである。
【図41】図40の表示手段における表示モードの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0114】
100 情報提供装置
101 撮像装置
105 CPU
106 レーンマーキング認識手段
107 相対距離演算手段
108 表示手段
109 表示装置
501 レーンマーキング表示部
502〜505 表示部の構成
601 自車両シンボル
602L、602R レーンマーキングシンボル
800 車両情報
801〜805 車両情報取得用センサ
806 車両状態判定手段
C70 自車両シンボル
C71C 車線中心位置シンボル
C71R 右レーンマーキングシンボル
C72 自車両の車線中心からのオフセット距離
C73 右レーンマーキングと自車両の相対位置
D71L 左レーンマーキングシンボル
D71R 右レーンマーキングシンボル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車走行レーン内の自車の走行位置を検出する自車走行位置検出手段、この自車走行位置検出手段によって検出された自車走行レーン内の自車の走行位置に基づいて、レーンマーキングと自車両の位置関係を運転者に伝える表示手段、及び自車両の中心からレーンマーキングまでの距離を演算する相対距離演算手段を備え、上記表示手段は、上記相対距離演算手段によって得られる自車両の中心からレーンマーキングまでの距離に応じる位置に、レーンマーキング及び自車をシンボル表示することによって、レーンマーキングと自車両の位置関係を運転者に情報提供することを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
上記自車走行位置検出手段は、自車両前方、後方及び側方のいずれかを撮影する撮像手段と、この撮像手段によって撮影された画像を処理して、レーンマーキングを認識するレーンマーキング認識手段とを有し、上記相対距離演算手段は、上記レーンマーキング認識手段によるレーンマーキングの認識結果に基づいて、自車両の中心からレーンマーキングまでの距離を演算することを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項3】
上記自車走行位置検出手段は、道路に埋設されたレーンマーカを検知するレーンマーカ検出手段と、このレーンマーカ検出手段によって検出された情報を処理して、レーンマーカからの自車位置のオフセット値を検出するオフセット検出手段とを有し、上記相対距離演算手段は、上記オフセット検出手段によって検出されたレーンマーカからの自車位置のオフセット値に基づいて、自車両の中心からレーンマーキングまでの距離を演算することを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項4】
上記表示手段は、自車両のシンボル表示位置を固定し、上記レーンマーキングのシンボル表示位置を、自車両のレーンマーキングに対する相対距離に応じて変化させることを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項5】
上記表示手段は、レーンマーキングのシンボル表示位置を固定し、自車両のシンボル表示位置を、上記レーンマーキングに対する相対距離に応じて変化させることを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項6】
上記表示手段は、自車両のシンボル表示位置を自車両の中心位置のみ表示することを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項7】
上記表示手段は、自車両のシンボル表示位置を自車両の車幅分で表示することを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項8】
上記表示手段は、自車両から特定の範囲に存在するレーンマーキングに限定したシンボル表示を行うことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項9】
上記表示手段は、自車線のレーンマーキング及び自車線に隣接する車線のレーンマーキングを含む1〜3本のレーンマーキングのシンボル表示を行うことを特徴とする請求項8記載の情報提供装置。
【請求項10】
上記表示手段は、自車が車線変更を行う場合のみ、自車線のレーンマーキング及び自車が車線変更しようとしている隣接車線のレーンマーキングを含む1〜3本のレーンマーキングのシンボル表示を行うことを特徴とする請求項8記載の情報提供装置。
【請求項11】
上記表示手段は、レーンマーキングのシンボル表示の間隔を、一般的な車線幅に応じた値に設定することを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項12】
上記表示手段は、レーンマーキングのシンボル表示の間隔を、上記レーンマーキング認識手段によるレーンマーキング認識結果で得られた車線幅に応じた値に設定することを特徴とする請求項2載の情報提供装置。
【請求項13】
自車両の車速を取得する車速情報取得手段を備え、上記相対距離演算手段は、上記車速情報取得手段によって取得された上記自車両の車速に応じて、自車両の中心からレーンマーキングまでの距離を演算する自車両の前後方向の距離を設定することを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項14】
車速以外の車両情報を取得する車両情報取得手段を備え、上記車両情報取得手段によって取得される車両情報は、ステア角及びヨーレートのいすれかであり、上記表示手段は、上記ステア角及びヨーレートのいずれかが、所定値以上の場合に、レーンマーキングと自車両の相対距離を示すシンボル表示を一時的に中断することを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項15】
車速以外の車両情報を取得する車両情報取得手段を備え、上記車両情報取得手段によって取得されるた車両情報は、ステアトルクであり、上記表示手段は、上記ステアトルクが所定値以上の場合に、レーンマーキングと自車両の相対距離を示すシンボル表示を一時的に中断することを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項16】
車速以外の車両情報を取得する車両情報取得手段を備え、上記車両情報取得手段によって取得される車両情報は、ウインカであり、上記表示手段は、上記ウインカを操作している場合に、レーンマーキングと自車両の相対距離を示すシンボル表示を一時的に中断することを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項17】
上記自車走行位置検出手段は、自車走行位置の検出状態を判定する検出状態判定手段を有し、上記相対距離演算手段は、自車走行位置の検出状態に応じて演算することを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項18】
上記自車走行位置検出手段は、上記レーンマーキング認識手段が左右レーンマーキングを認識できたか否かにより、自車走行位置の検出状態を判定する検出状態判定手段を有し、上記レーンマーキング認識手段は、レーンマーキング認識結果から、自車が走行中のレーン幅を学習するレーン幅学習手段を有し、上記相対距離演算手段は、自車走行車線のレーンマーキングの一方が不認識であった場合に、上記レーン幅学習手段により学習した自車レーン幅から、不認識であるレーンマーキングと自車両の相対距離を推定する相対距離推定手段を有することを特徴とする請求項2記載の情報提供装置。
【請求項19】
上記表示手段は、シンボル表示するレーンマーキングが、上記相対距離推定手段により、自車が走行中のレーン幅の学習値に基づいて推定されたレーンマーキングである場合に、上記レーンマーキングのシンボル表示色を、推定していないレーンマーキングの表示色とは異なる色とすることを特徴とする請求項18記載の情報提供装置。
【請求項20】
上記表示手段は、シンボル表示するレーンマーキングが、上記相対距離推定手段により、自車が走行中のレーン幅の学習値に基づいて推定されたレーンマーキングである場合に、上記レーンマーキングのシンボル表示の周期を、推定していないレーンマーキングの表示の周期とは異なる周期で表示することを特徴とする請求項18記載の情報提供装置。
【請求項21】
上記検出状態判定手段は、上記自車走行位置検出手段が、自車両の走行位置を検出している時間により自車走行位置の検出状態を判定し、上記相対距離演算手段は、自車両の走行位置を検出している時間が所定以上の場合のみ、自車両の中心からレーンマーキングまでの相対距離を演算することを特徴とする請求項17記載の情報提供装置。
【請求項22】
上記レーンマーキング認識手段は、レーンマーキングの状態によって動的に設定される閾値に基き、レーンマーキングの候補点を抽出する候補点抽出手段を有し、上記検出状態判定手段は、上記候補点抽出手段によって抽出された候補点数及び上記動的に設定された閾値によって自車走行位置の検出状態を判定し、上記表示手段は、上記候補点数及び閾値がそれぞれ所定値より小さいと判断される場合にのみ、上記表示手段が、レーンマーキング及び自車両の相対距離を示すシンボル表示を行うことを特徴とする請求項17記載の情報提供装置。
【請求項23】
道路環境を判定する道路環境判定手段を備え、上記表示手段は、上記道路環境判定手段によって判定された道路環境に応じて、レーンマーキングと自車両の相対距離を示すシンボル表示を行うことを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項24】
上記撮像手段によって撮影した画像を処理して、先行車との車間距離を認識する先行車認識手段を有する道路環境判定手段を備え、上記相対距離演算手段は、先行車がいる場合に、先行車との車間距離に応じて、自車両のレーンマーキングに対する相対距離を補正する相対距離補正手段を有することを特徴とする請求項2記載の情報提供装置。
【請求項25】
上記撮像手段によって撮影した画像を処理して、先行車との車間距離を認識する先行車認識手段を有する道路環境判定手段を備え、上記表示手段は、上記車間距離が所定値以下の場合は、レーンマーキングと自車両の相対距離を示すシンボル表示を一時的に中断することを特徴とする請求項2記載の情報提供装置。
【請求項26】
上記撮像手段によって撮影した画像を処理して、障害物の存在位置を認識する障害物認識手段を有する道路環境判定手段を備え、上記相対距離演算手段は、上記障害物が自車レーン内に侵入している場合は、上記障害物の存在位置に応じて、自車両のレーンマーキングに対する相対距離を補正する相対距離補正手段を有することを特徴とする請求項2記載の情報提供装置。
【請求項27】
上記撮像手段によって撮影した画像を処理して、交差点を判定する交差点判定手段を有する道路環境判定手段を備え、上記表示手段は、自車両が交差点内へ侵入したと判断される場合は、レーンマーキングと自車両の相対距離を示すシンボル表示を一時的に中断することを特徴とする請求項2記載の情報提供装置。
【請求項28】
ナビゲーションの情報によって、交差点を判定する交差点判定手段を有する道路環境判定手段を備え、上記表示手段は、自車が交差点内へ侵入したと判断される場合は、レーンマーキングと自車両の相対距離を示すシンボル表示を一時的に中断することを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項29】
自車両の車速を取得する車速情報取得手段、自車両のヨーレートを取得する車両情報取得手段、及び上記車速及びヨーレートから道路曲率を判定する道路曲率判定手段を有する道路環境判定手段を備え、上記表示手段は、上記道路曲率が所定値以下の場合は、レーンマーキングと自車両の相対距離を示すシンボル表示を一時的に中断することを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項30】
上記自車走行位置検出手段による検出結果から道路曲率を判定する道路曲率判定手段を有する道路環境判定手段を備え、上記表示手段は、上記道路曲率が所定値以下の場合は、レーンマーキングと自車両の相対距離を示すシンボル表示を一時的に中断することを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項31】
上記表示手段は、自車線の車線中心を示すシンボル表示位置を固定し、自車両のシンボル表示位置を、自車両の上記車線中心に対する相対距離に応じて変化させると共に、自車両とレーンマーキングの相対距離が所定以下になった場合には、レーンマーキングのシンボル表示を行うことを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。
【請求項32】
上記表示手段は、レーンマーキングのシンボル表示位置を固定して点灯表示し、自車両とレーンマーキングとの相対距離が所定以下になった場合には、上記レーンマーキングのシンボル表示を点滅表示させることを特徴とする請求項1記載の情報提供装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【公開番号】特開2007−328410(P2007−328410A)
【公開日】平成19年12月20日(2007.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−157270(P2006−157270)
【出願日】平成18年6月6日(2006.6.6)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】