説明

情報送信装置および情報送信方法

【課題】情報に関連づけられた位置と情報送信装置の位置の間の距離に基づいて情報選択する処理の計算量を削減する。
【解決手段】位置情報を入力として受け付けてハッシュ値を返すハッシュ関数であって、入力された位置情報の距離が近いほど得られるハッシュ値の衝突確率が高いハッシュ関数を利用し、現在位置のハッシュ値と、記憶手段に記憶されている情報に関連づけられた位置情報のハッシュ値との、一致または不一致に基づいて情報を選択する。また、現在位置および情報に関連づけられた位置情報にオフセットを加え、オフセットが加えられた後の位置情報から得られるハッシュ値同士の比較に基づいて情報を選択することも好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報送信装置および情報送信方法に関し、特に位置情報と関連づけられた情報を送信元の位置情報との関係に基づいて選択して送信する情報送信装置および情報送信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車車間通信を用いて交通情報などの情報を複数の車両の間で共有する手法が研究・開発されている。例えば、自車両が測定した情報を測定位置の情報と共に周囲の車両に送信し、周囲の車両は受信した情報を記憶して、さらに周囲の車両に対して送信する。このようにして、ある地点で測定された情報が、周囲の車両に対して伝搬していく。
【0003】
ここで、配布される情報の量が多くなると全ての情報は送信できなくなるので、より有用な情報から優先的に送信することが求められる。どのような情報が有用であるかはアプリケーションの要求によるので一概には決定することはできないが、情報の有用性は、情報が生成された位置と現在の位置とに基づいて定まるのが一般的である。たとえば情報のリアルタイム性を重視するのであれば、現在位置から近い地点における情報が有用であると考えられる。また、移動後の地点における情報を重視するのであれば、現在位置から遠い地点における情報が有用であると考えられる。
【0004】
非特許文献1では、情報を発生地点に滞留させる収束モードと情報を周囲に拡散させる拡散モードの2つの通信モードを用いて、情報の滞留と拡散を同時に実現している。ここで、収束モードにおいては、自車両の位置と情報発生位置とが近い情報ほど頻繁に送信する。また、拡散モードにおいては、情報発生位置から所定の距離として定義される目的位置と自車両の位置が近い情報ほど頻繁に送信する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】佐藤雅明 他、「実車両を用いたセンタレスプローブ情報システムによる道路交通情報生成アルゴリズムの提案と評価」、情報処理学会論文誌、社団法人情報処理学会、平成20年1月15日、第49巻、第1号、p.253−264
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
情報送信装置の現在位置と情報の発生位置との距離に基づいて送信する情報を選択する場合には、現在位置と発生位置との距離を算出する必要が生じる。複数の情報の中から選択を行う場合には、これら全ての情報について発生位置と現在位置の距離を算出する必要がある。特に情報送信装置が移動する場合には、移動のたびに距離算出を行わなければならない。したがって、選択処理における計算量が多くなり、高性能な演算資源が必要となる。
【0007】
本発明は、情報に関連づけられた位置と情報送信装置の位置の間の距離に基づいて送信する情報を選択する情報送信装置において、選択処理に要する計算量を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る情報送信装置は、記憶手段に記憶された情報を選択して送信するものである。ここで、記憶手段には、情報が位置情報と関連づけられて記憶される。関連づけられ
る位置情報は、例えば、情報の生成位置や、情報の送信目的位置等とすることができる。なお本明細書においては、記載の簡略化のために、「情報に関連づけられた位置(位置情報)」を単に「情報の位置(位置情報)」等と表現する。
【0009】
本発明に係る情報送信装置は、さらに、現在の位置情報を取得する位置情報取得手段と、記憶手段に記憶された複数の情報の中から情報を選択する選択手段と、選択手段によって選択された情報を送信する送信手段と、を有する。ここで、選択手段は、位置情報を入力として受け付けてハッシュ値を返すハッシュ関数を用いる。このハッシュ関数は、入力された位置情報の距離が近いほど得られるハッシュ値の衝突確率が高いという性質を持つ。そして選択手段は、位置情報取得手段から取得される位置情報のハッシュ値と、記憶手段に記憶されている情報に関連づけられた位置情報のハッシュ値との、一致または不一致に基づいて送信する情報を選択する。
【0010】
上記のような条件を満たすハッシュ関数としてLocality Sensitive Hash関数 (LSH, LSハッシュ関数)を例として挙げることができる。このようなハッシュ関数によると、2つ
のハッシュ値が一致する場合には、ハッシュ値の算出の元となった位置情報同士の距離が近いことが、高い確率で成立する。したがって、現在位置との距離が近い位置の情報を選択したい場合には、現在位置のハッシュ値と一致するハッシュ値を与える位置情報の情報を選択すればよい。逆に、現在位置との距離が遠い位置の情報を選択したい場合には、現在位置のハッシュ値と一致しないハッシュ値を与える位置情報と関連づけられた情報を選択すればよい。
【0011】
本発明によれば、情報に関連づけられた位置と情報送信装置の現在位置との間の距離に基づく情報選択の処理量を軽減することができる。以下、より具体的に説明する。記憶手段に記憶されている情報に関連づけられた位置は固定であるため、ハッシュ値の計算を一度行ったら再度計算を行う必要はない。情報送信装置の位置の変更に伴い再計算が必要となるのは、情報送信装置の現在地のハッシュ値のみである。そして、現在地のハッシュ値と、記憶手段に格納されている情報に関連づけられたハッシュ値とが一致するか否かだけを判断していけばよい。こうすることで、情報送信装置の現在位置と情報に関連づけられた位置との間の距離を直接求め、その距離と閾値とを比較する処理を行うよりも、計算量を削減することができる。
【0012】
また本発明において、選択手段は、現在位置と情報の位置の両方にオフセットを加え、オフセットが加えられた後の位置情報から得られるハッシュ値同士の一致または不一致に基づいて情報を選択しても良い。
【0013】
このオフセットは、あらかじめ定められたものであっても良いし、ランダムに設定されるものであっても良い。また、現在位置に加えるオフセットと情報の位置に加えるオフセットは、同じものであっても良いし、異なるものであっても良い。なお、異なるオフセットを加える場合には、両オフセットの差がハッシュ関数における閾値となる距離よりも充分に小さいことが望ましい。異なるオフセットを用いる場合には、一方のオフセットはゼロであっても構わない。
【0014】
このように、現在位置と情報の位置にオフセットを加えても、これらの位置の間の距離はそれほど変化しない、あるいは全く変化しない。したがって、オフセットを加えた後の位置情報から得られるハッシュ値を用いて選択しても、上記と同様の効果が得られる。
【0015】
なお、上記のハッシュ関数は距離が近ければ同一のハッシュ値を返す確率が高いだけであり、ハッシュ値が一致したからといって必ずしも距離が近いことを意味しない。また逆に、ハッシュ値が異なるからといって必ずしも距離が遠いことを意味しない。すなわち、
上記の方法によれば、現在位置と近いあるいは遠い距離の位置の情報が選択される可能性が高くはなるが、必ずこの条件を満たす情報が選択されるとは限らない。そこで、以下の手法によって、上記条件を満たす情報が選択される可能性を向上させることが好ましい。
【0016】
すなわち、選択手段は、現在位置と情報の位置に複数のオフセットを加え、複数のオフセットが加えられた後の複数の位置情報から得られる複数のハッシュ値同士の一致または不一致に基づいて情報を選択することが好ましい。つまり、(現在位置+オフセットA1)と(情報の位置+オフセットB1)からそれぞれハッシュ値を計算すると共に、(現在位置+オフセットA2)と(情報の位置+オフセットB2)からもそれぞれハッシュ値を計算する。ここで、オフセットA1とオフセットB1は等しくても良いし、オフセットA2とオフセットB2は等しくても良いが、これら4つのオフセット全てが同じ場合は除外する必要がある。また、オフセットはゼロであっても構わない。なお、ここでは2つのハッシュ値の組を例に挙げたが、3つ以上のハッシュ値の組の一致または不一致に基づいて情報の選択を行っても良い。
【0017】
このような構成を採用する場合は、現在位置と近い位置の情報を選択したいときには、これら2組のハッシュ値のうち、いずれかで一致した情報を選択しても良いし、両方で一致した情報を選択しても良い。逆に、現在位置から遠い位置の情報を選択したいときは、これら2組のハッシュ値のうち、いずれかで不一致となる情報を選択しても良いし、両方で不一致となる情報を選択しても良い。2点間の距離が閾値よりも小さい場合に同一のハッシュ関数を返す確率が極めて大きい(ただし100%ではない)ハッシュ関数を用いる場合には、近距離の情報を選択したいときにはいずれかのハッシュ値の組で一致することを条件とすれば近距離の情報をより確実に選択することができる。また、2組のハッシュ値の両方が一致することを条件とすれば、遠距離の情報が誤って選択される確率を下げることができる。逆に、遠距離の情報を選択したい場合には、いずれかのハッシュ値の組で不一致となることを条件とすれば遠距離の情報をより確実に選択することができる。また、2組の両方が不一致となることを条件とすれば、近距離の情報が誤って選択される確率を下げることができる。
【0018】
なお、本発明において、情報と関連づけられた位置情報についてのハッシュ値の算出は情報送信装置が行っても良いし、その他の装置が行っても良い。すなわち、情報送信装置は、情報とこの情報に関連づけられる位置情報のハッシュ値を取得するようにして、自身ではハッシュ値を計算しなくても良い。また、情報送信装置が、情報とこの情報に関連づけられる位置情報を取得し、その位置情報からハッシュ値を求めても良い。なお、一度算出したハッシュ値は情報と関連づけて記憶手段に記憶しておくことで、再度の計算を省略することができる。
【0019】
また、本発明において、送信すべき情報の選択は、上記で説明したハッシュ値に基づく基準のみによって行われる必要はない。すなわち、ハッシュ値に基づく選択基準に加えて、その他の選択基準を用いて、送信する情報を選択しても良い。例えば、ハッシュ値に基づいていくつかの情報を選択した後、さらにその中から、別の手法による距離算出を行って送信する情報を選択しても良い。また、別の基準というのは、距離以外にも、情報の生成時刻や、情報の種類などを考慮したものであっても良いし、ランダムな選択であっても良い。
【0020】
また、本発明における情報送信装置は移動通信装置であることが好ましい。移動通信装置とは、車両などの移動体に設置された通信装置、およびユーザが持ち運んだり車両などの移動体内に持ち込んだりすることによって移動する通信装置を含む。
【0021】
本発明は、上記手段の少なくとも一部を含む情報送信装置として捉えることができる。
また、これらの処理を行う情報送信方法、さらには、これらの方法を実現するためのプログラムとして捉えることもできる。上記手段および処理の各々は可能な限り互いに組み合わせて本発明を構成することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、情報に関連づけられた位置と情報送信装置の位置の間の距離に基づいて送信する情報を選択する情報送信装置において、選択処理に要する計算量を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態にかかる車載端末の機能ブロックを示す図である。
【図2】LSハッシュ関数(Locality Sensitive Hash関数)の特性を示す図である。
【図3】交通情報データベースのテーブル構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態における、(A)交通情報計測処理、(B)交通情報受信時処理、および(C)交通情報送信時処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】第2の実施形態におけるLSハッシュ値の比較を説明する図である。
【図6】第2の実施形態における、(A)交通情報計測処理、(B)交通情報受信時処理、および(C)交通情報送信時処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】第2の実施形態におけるLSハッシュ値比較の変形例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
(第1の実施形態)
[構成]
図1は、本実施形態における車両1の機能ブロック図である。車両は、大略、車両の状態や交通情報を取得する複数のセンサ類10、GPS装置20、交通情報送信ECU30、車車間通信装置40から構成される。また、交通情報送信ECU30は、メモリに格納されたプログラムをCPUが実行することによって、交通情報計測部31、交通情報DB32、送信情報選択部33として機能する。
【0025】
本実施形態にかかる車両1は、タイマ11、車速センサ12、加速度センサ13、ミリ波レーダ14などのセンサ類10によって、交通情報を計測する。計測される交通情報は任意のものであって構わないが、走行速度、周囲の車両密度、降雨の有無などを例として挙げることができる。交通情報の測定は、定期的(例えば10秒毎)であっても良いし、交差点を通過するたびであっても良い。また交通情報は、計測時の瞬間値であっても良いし、直近の所定期間における平均や交差点間における平均などであっても良い。
【0026】
車両1は、計測した交通情報を車車間通信装置40によって周囲に送信する。また、周囲から送信される交通情報を車車間通信装置40によって受信し、蓄積する。本実施形態において、車両1は例えば100ミリ秒などの一定周期で情報を送信する。この際、蓄積された交通情報を選択する基準が必要となる。送信情報選択部33はどの交通情報を送信するかを選択する機能部であり、その詳細は後ほど説明される。
【0027】
GPS装置20は、GPS衛星からの信号を受信し現在の位置情報を取得する。GPS装置20は、車両の搭載される加速度センサや速度センサやジャイロなどを用いて位置情報の補正を行うことも好ましい。また、地図データを用いて位置情報の補正を行うことも好ましい。
【0028】
車車間通信装置40は、車両間で無線通信を行うための装置である。車車間通信装置40が採用する無線通信方式は任意のものであって構わないが、一例として、700MHz
帯を利用したタイミング同期式CSMAや、5.8GHz帯を利用したDSRCなどを例として挙げることができる。
【0029】
交通情報計測部31は、上述のように、センサ類10から交通情報を取得する。計測された交通情報は交通情報データベース32に格納される。この際GPS装置20から得られる現在の位置情報に基づくハッシュ値と共に格納される。このハッシュ値を与えるハッシュ関数は、位置情報を入力として、所定長の数値を出力する。通常のハッシュ関数は、得られるハッシュ値の衝突確率ができるだけ小さくなるように設計されるが、本実施形態で使用されるハッシュ関数は、入力された位置情報間の距離が近いほど、得られるハッシュ値が衝突する確率が高いという性質を満たす。このようなハッシュ関数は、Locality Sensitive Hash関数(以下、LSハッシュ関数)と呼ばれる。
【0030】
図2は、2つの位置情報についてLSハッシュ関数によってハッシュ値を求めた際の、2点間の距離と2つのハッシュ値が衝突する確率の関係を表す図である。以下、位置Aから得られるハッシュ値をLSH(A)などと表記する。2点A,Bの距離が閾値よりも近ければ、2つのハッシュ値LSH(A)とLSH(B)が一致する確率が高い。逆に2点A,Bの距離が閾値よりも遠ければ、2つのハッシュ値LSH(A)とLSH(B)が一致する確率は低い。この閾値は、LSハッシュ関数に与えるパラメータによって変更可能である。本明細書では、基準を与えずに距離が近いあるいは遠いという場合には、LSハッシュ値の上記閾値と比較して近いあるいは遠いということを意味する。
【0031】
なお、ハッシュ値の衝突は確率的なものなので、2点の距離が近いからといって、必ずハッシュ値が一致するとは限らないし、2点の距離が遠いからといって、必ずハッシュ値が異なるとも限らない。また、ハッシュ値が異なるということは、2点の距離が閾値よりも遠い確率が高いことを意味するだけであり、2つのハッシュ値の差の大きさと2点間の距離には関係はない。
【0032】
交通情報計測部31が計測した交通情報は、計測位置のハッシュ値などと共に交通情報DB32に格納される。また、車車間通信装置40が他の車両から受信した交通情報も交通情報DB32に格納される。
【0033】
図3は、交通情報DB32のテーブルフォーマットを示す図である。図に示すように、交通情報DB32は、そのフィールドとして、情報生成時刻321、情報生成位置322、情報生成位置のLSハッシュ値323、交通情報324、初回登録時刻325、前回送受信時刻326を含む。情報生成時刻321には、交通情報が生成された時刻が格納される。この時刻は、一定時間(例えば15分)経過した情報をデータベースから削除するため等に用いられる。情報生成位置322は、交通情報が生成された位置を表し、典型的には緯度経度情報であるが、その他の表現形式であっても構わない。LSハッシュ値323は、上記で説明したハッシュ値である。交通情報324には、例えば、平均走行速度などの計測情報が格納される。初回登録時刻325は、この交通情報DB325に初めて登録された時刻を表す。前回送受信時刻326は、この情報が送信または受信された直近の時刻を表す。初回登録時刻325や前回送受信時刻326は、送信情報の選択基準として利用されたり、データベースからの削除の基準として利用されたりする。
【0034】
送信情報選択部33は、自車両の交通情報DB32に格納されている交通情報を送信する際に、どの情報を送信するか選択する機能部である。送信情報選択部33は、GPS装置20から得られる自車両の現在位置と、交通情報と関連づけられている位置(本実施形態では交通情報の生成位置)との距離に基づいて、送信する情報を選択する。もっとも、距離以外の情報も利用して送信情報を選択することも好ましい。送信情報選択部33の詳細な処理については、後ほど説明する。
【0035】
[処理内容]
本実施形態にかかる車載端末が行う処理は、交通情報を計測する処理、交通情報を受信した際の処理、交通情報を送信する際の処理の3つに大きく分類できる。これらの処理の関係を簡単に説明する。車両は、交通情報を計測しつつ走行を行う。交通情報の計測は、定期的(例えば10秒おき)に行われても良いし、交差点を通過するたびなどに行われても良い。また、車両は、周囲の車両と車車間通信を行っている。ここでは、各車両が100ミリ秒おきに1回の割合で情報の送信を行うものとする。そして、他の車両から送信される交通情報を受信すると共に、自車両が送信タイミングを得た時は交通情報DB32に格納されている交通情報を選択して送信する。
【0036】
まず、交通情報の計測処理を図4Aのフローチャートを参照して説明する。上述のように、交通情報計測部31は、定期的あるいは交差点通過などのタイミングで、センサ類10から交通情報を取得する(S111)。交通情報計測部31は、情報生成位置をGPS装置20から取得し、そのLSハッシュ値を算出する(S112)。交通情報計測部31は、情報生成時刻、情報生成位置、情報生成位置のLSハッシュ値、交通情報などをひとまとめとして交通情報データとして交通情報DB32に格納する(S113)。また、交通情報の計測が完了したら、その交通情報は車車間通信装置40によって優先的に他の車両に送信される(S114)。
【0037】
図4Bのフローチャートを参照して、車車間通信装置40が他の車両から交通情報データを取得した時の処理を説明する。車車間通信装置40が他の車両から交通情報を取得すると(S121)、受信された交通情報データは交通情報DB32に格納される(S122)。なお、情報を受信した際に交通情報データの中身を確認して、情報生成時刻が古かったり、情報生成位置が現在位置から大きく離れたりしている場合には、この情報を破棄して交通情報DB32に格納しないことも好ましい。
【0038】
次に、交通情報を送信する処理を、図4Cのフローチャートを参照して説明する。なお、ここでは、現在位置から所定の距離以内の情報を優先的に送信する場合を例に説明する。
【0039】
交通情報の送信処理は、上述のように定期的に行われる。送信タイミングが到来したら、送信情報選択部33は、GPS装置20から現在位置を取得して(S131)、そのLSハッシュ値を算出する(S132)。
【0040】
そして、送信情報選択部33は、ステップS131で算出した現在位置のLSハッシュ値と同じLSハッシュ値を有する交通情報データを、交通情報DB32から選択する(S133)。LSハッシュ関数は、上記の所定距離以内の位置情報が入力であれば同一のハッシュ値を返す確率が高い。したがって、現在位置のLSハッシュ値と同じハッシュ値を有する交通情報というのは、情報生成位置が現在位置から所定距離以内である確率が高い。
【0041】
このようにして選択された交通情報は、車車間通信装置40によって周囲の車両に送信される(S134)。ただし、現在位置のLSハッシュ値と同じハッシュ値と有する交通情報が多い場合には、さらに別の基準に従って送信する情報を選択しても良い。例えば、長い間送受信されていない交通情報を優先したり、情報内容にしたがった優先度で送信したりすること(たとえば平均速度が遅い情報ほど優先する)が考えられる。なお、ハッシュ値が一致する情報のみを対象として、現在位置と情報生成位置の距離を実際に計算しても良い。これにより、情報生成位置と現在位置の距離を正確に知ることができるので、ハッシュ値がたまたま一致してしまった交通情報を除外できるし、現在位置と情報生成位置
のより詳細な距離に基づいた優先度で情報送信することができる。なお、現在位置から遠い情報生成位置のハッシュ値が一致してしまう場合を除外するためには、距離を算出する以外にも、緯度情報の差あるいは経度情報の差が閾値以上であるか否かを判別しても良い。
【0042】
[本実施形態による作用/効果]
本実施形態では、車両が移動するたびに再計算する必要があるのは、現在位置のLSハッシュ値だけである。交通情報の位置についてのLSハッシュ値は既に計算されており、この値は車両の現在位置とは無関係なので再計算の必要はない。したがって、本実施形態による交通情報の選択を行う際には、位置情報についてLSハッシュ値計算を1回と、ハッシュ値同士の比較をDBに格納されている交通情報の数だけ行えば良い。
【0043】
LSハッシュ値を用いずに上記と同様の選択を行う場合には、車両が移動する度に、現在位置と交通情報の位置との間の距離計算および計算された距離と閾値との比較を、DBに格納されている交通情報の数だけ行う必要がある。
【0044】
(第1の実施形態の変形例)
上記の説明では、情報生成位置と現在位置の距離が所定の距離以内の交通情報を優先的に送信するために、現在位置のLSハッシュ値と一致するハッシュ値をもつ交通情報を選択していた。アプリケーションによっては、情報生成位置と現在位置の距離が所定の距離よりも遠い交通情報を優先して送信することが望まれることが考えられる。この場合には、現在位置のLSハッシュ値と一致しないハッシュ値を有する交通情報を選択して送信すればよい。
【0045】
なお、現在位置からあまり離れすぎた情報は選択しないことが望まれる場合がある。このような場合には、情報生成位置と現在位置の緯度情報、経度情報を比較して、少なくともいずれかの差が大きすぎる場合には、その交通情報は選択しないことが考えられる。また、情報生成から所定期間経過した交通情報を破棄することで、情報が伝達できる期間を制約でき、したがって、情報生成位置から大きく離れたところで情報が伝搬することを避けるようにしても良い。
【0046】
現在位置からの距離が所定範囲内の位置の情報を選択するためには、2つのLSハッシュ関数によるハッシュ値を用いることも好ましい。例えば、距離L1以上L2以内の交通情報を優先的に選択するには、次のようにすることができる。すなわち、一方のLSハッシュ関数HF1は、2点の距離がL1以下である場合に衝突する確率が高いハッシュ関数とし、他方のLSハッシュ関数HF2は、2点の距離がL2以下である場合に衝突する確率が高いハッシュ関数とする。そして、各交通情報が生成される度に各LSハッシュ値を求めて、交通情報と関連づけてデータベースに格納したり周囲に送信したりする。情報選択の際には、現在位置について2つのLSハッシュ値を求めて、ハッシュ関数HF1によるハッシュ値は一致しないが、ハッシュ関数HF2によるハッシュ値が一致する交通情報を選択すればよい。このようにすれば、現在位置から距離L1以上離れている確率が高く、かつ、現在位置から距離L2以内である確率が高い交通情報、すなわち現在位置から距離L1以上L2以内の交通情報を優先的に選択することができる。
【0047】
また、上記の説明では、交通情報が計測される度に、情報生成位置のLSハッシュ値を計算して、交通情報と情報生成位置とそのLSハッシュ値をまとめて周囲の車両に送信していた。しかしながら、情報の送信側は交通情報と情報生成位置のみを送信し、受信側で情報生成位置のLSハッシュ値を算出して交通情報DBに格納するようにしても良い。このようにしても同様の効果を得ることができる。なお、このような処理方法は、演算資源よりも通信資源(通信容量)が貴重な環境において効果的である。
【0048】
また、上記の説明では、現在位置と交通情報の情報生成位置の距離に基づいて、情報の選択を行っていたが、交通情報と関連づけられる位置情報はその生成位置である必要はない。たとえば、交通情報が伝搬されるべき位置(目的位置)を交通情報と関連づけても良い。この場合、交通情報が生成される度に、目的位置のLSハッシュ関数を求めて、交通情報と関連づけてデータベースに格納したり周囲に送信したりする。そして、情報選択の際には、現在位置のLSハッシュ値と、交通情報の目的位置のLSハッシュ値を比較する。
【0049】
(第2の実施形態)
上記の第1実施形態およびその変形例では、現在位置のLSハッシュ値と情報生成位置のLSハッシュ値が一致するか否かに基づいて、情報選択を行っていた。例えば、情報生成位置が現在位置から所定の距離以内の情報を選択する場合には、LSハッシュ値同士が一致する交通情報を選択すれば良い。しかしながら、2点の距離が近い場合であってもLSハッシュ値が一致するか否かは確率的でしかない。したがって、2点間の距離が近い場合であってもLSハッシュ値が異なる場合もあるし、2点間の距離が遠い場合であってもLSハッシュ値が一致する場合もある。
【0050】
本実施形態では、LSハッシュ関数を変更することなく、より精度良く所定距離以内あるいは所定距離以上の情報を選択できる方法を提供する。ここでは、所定距離以内の情報を選択する場合を例に説明するが、所定距離以上の情報を選択する場合も同様である。
【0051】
図5は、本実施形態による情報選択を説明する図である。現在位置AのLSハッシュ値LSH(A)と情報生成位置BのLSハッシュ値LSH(B)を比較するだけでなく、現在位置Aに所定のオフセットを加えた位置(A+offset)のLSハッシュ値LSH(A+offset)と情報生成位置Bに同じオフセットを加えた位置(B+offset)のLSハッシュ値LSH(B+offset)の比較も行う。現在位置と情報生成位置に同じオフセットを加えているので、オフセットを付加しても両者間の距離は変わらない。なお、本実施形態においては、同一のオフセットを用いることとする。
【0052】
したがって、例えば、現在位置と情報生成位置の距離が所定の距離以内である場合には、オフセットを加えない位置のLSハッシュ値同士と、オフセットを加えた位置のLSハッシュ値同士はいずれも一致する確率が高い(確率Pとする)。確率的にLSハッシュ値同士が異なることもあり得るが、オフセットを加えないハッシュ値同士とオフセットを加えたハッシュ値同士の両方が異なる確率((1−P))は、いずれか一方のみが異なる確率(2P(1−P))よりも小さくなる。したがって、オフセットを加えないハッシュ値同士またはオフセットを加えたハッシュ値同士の少なくとも一方が一致することを情報選択の基準とすることで、選択の精度を上げることができる。
【0053】
本実施形態における交通情報計測処理、交通情報受信時の処理、および交通情報送信時の処理を図6のフローチャートにしたがって説明する。
【0054】
図6Aは交通情報計測処理の流れを示すフローチャートである。この処理は第1の実施形態(図4A)とほぼ同様であるが、交通情報データに、情報生成位置のLSハッシュ値だけでなく、情報生成位置にオフセットを加えた位置のLSハッシュ値も格納される点が異なる。したがって、ステップS212において、情報生成位置のLSハッシュ値を求めると共に、情報生成位置にオフセットを加えた位置のLSハッシュ値も算出する。そして、ステップS213において交通情報DB32に交通情報を格納する際には、交通情報をこれら2つのLSハッシュ値とともに格納する。また、ステップS214において交通情報を送信する際には、交通情報と共に2つのLSハッシュ値が周囲の車両に送信される。
【0055】
図6Bは交通情報を受信した時の処理の流れを示すフローチャートである。受信した交通情報データに2つのLSハッシュ値が異なっている点が異なるだけであり、基本的に第1の実施形態における交通情報受信時の処理(図4B)と同様である。
【0056】
図6Cは交通情報送信時の処理の流れを示すフローチャートである。情報送信タイミングが到来したら、送信情報選択部33は、GPS装置20から現在位置を取得する(S231)。そして、現在位置および現在位置にオフセットを加えた位置のLSハッシュ値を算出する(S232)。
【0057】
そして、送信情報選択部33は、現在位置のハッシュ値と情報生成位置のハッシュ値が一致するか、現在位置にオフセットを加えた位置のハッシュ値と情報生成位置にオフセットを加えた位置のハッシュ値が一致する情報を選択して(S233)、送信する(S234)。
【0058】
[本実施形態の作用/効果]
本実施形態によれば、LSハッシュ関数を変えることなく、現在位置と情報生成位置の距離に基づく情報の選択をより精度良く行うことができる。
【0059】
(第2の実施形態の変形例)
上記の説明では、現在位置と情報生成位置が所定の距離以内である交通情報を選択して送信する方法を説明した。現在位置と情報生成位置が所定の距離以上である交通情報を選択して送信する場合であっても同様にして、精度を高めることができる。すなわち、現在位置のLSハッシュ値と情報生成位置のLSハッシュ値が異なるか、現在位置にオフセットを加えた位置のLSハッシュ値と情報生成位置にオフセットを加えた位置のLSハッシュ値が異なる交通情報を選択すれば良い。現在位置と情報生成位置が所定距離以上離れている場合に、オフセットを加えないLSハッシュ値同士とオフセットを加えたLSハッシュ値同士の両方が一致する確率は低いためである。
【0060】
なお、上記の説明では、オフセットを加えない位置のLSハッシュ値同士と、オフセットを加えた位置のLSハッシュ値同士のいずれか一方が一致する(異なる)ことを選択の基準としているが、両方の組が一致する(異なる)ことを選択の条件としても構わない。OR条件を採用すると、所定の距離以内の情報を選択したい場合に、所定の距離以内の情報が誤って選択されない確率を下げることができる。一方AND条件を採用すると、所定の距離以内の情報を選択したい場合に、所定の距離以上の情報が誤って選択される確率を下げることができる。したがって、OR条件とAND条件のいずれを採用するかは、アプリケーションの要求やLSハッシュ関数の性質などによって決定することが好ましい。
【0061】
第2の実施形態の主旨は、オフセットを加えた後の位置のLSハッシュ値も比較の対象とするという点にある。具体的な実装方法は、上記以外に種々の方法が考えられる。図7にいくつかの方法を示した。
【0062】
図7Aは、比較するLSハッシュ値の組合せを変更する方法である。すなわち、LSH(現在位置)とLSH(情報生成位置+オフセット)を比較し、LSH(現在位置+オフセット)とLSH(情報生成位置)を比較する方法である。オフセットの大きさが小さければ、現在位置と情報生成位置+オフセット間の距離や、現在位置+オフセットと情報生成位置の距離は、現在位置と情報生成位置の距離とそれほど変わらない。したがって、上記の説明と同様の効果が得られる。
【0063】
図7Bは、オフセット値として現在位置と情報生成位置に異なるオフセットを加える方
法である。オフセット値の差が小さければ、オフセット付加後の距離にそれほど影響を与えないので、同様の効果が得られる。なお、オフセットは予め定まったものであっても良いし、その都度ランダムに定められるものであっても良い。ただし、情報生成位置に加えるオフセットについては、ランダムなオフセットとした場合にはその都度LSハッシュ値を計算する必要が生じてしまうため、予め定まったものとする方が好ましい。
【0064】
図7Cは、上記図7Aの方法と図7Bの方法を組み合わせた方法であり、現在位置と情報生成位置に異なるオフセットを加えた上で、オフセットを加えた位置とオフセットを加えない位置のLSハッシュ値を比較するようにしている。
【0065】
ここまでは、1つのオフセットを加える場合のみを説明したが、図7Dに示すように、例えば2つのオフセットを用意して、オフセットを加えない位置同士のLSハッシュ値の比較、第1のオフセットを加えた位置同士のLSハッシュ値の比較、第2のオフセット値を加えた位置同士のLSハッシュ値の比較を行うことも好ましい。この場合、3つの比較のうち少なくとも1つでハッシュ値が一致した場合や、少なくとも2つでハッシュ値が一致した場合、あるいは3つ全てでハッシュ値が一致した場合などを、情報選択の基準とすることができる。
【0066】
2つ以上のオフセットを利用する場合には、図7A〜図7Cに示すような変形と組み合わせができることは明らかであろう。また、オフセットを加えない現在位置と情報生成位置の比較を行う必要は必ずしもないことも明らかであろう。すなわち、オフセットを加えた位置同士のLSハッシュ値の比較のみに基づいて情報選択を行っても構わない。
【0067】
ここで説明した第2の実施形態およびその変形例は第1の実施形態およびその変形例と適宜組み合わせ可能であることもまた明らかであろう。
【符号の説明】
【0068】
20 GPS装置
30 交通情報送信ECU
31 交通情報計測部
32 交通情報DB
33 交通情報選択部
40 車車間通信装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
現在の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
位置情報と関連づけられた情報を複数記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された複数の情報の中から情報を選択する選択手段と、
前記選択手段によって選択された情報を送信する送信手段と、
を有し、
前記選択手段は、
位置情報を入力として受け付けてハッシュ値を返すハッシュ関数であって、入力された位置情報の距離が近いほど得られるハッシュ値の衝突確率が高いハッシュ関数を利用し、
前記位置情報取得手段から取得される位置情報のハッシュ値と、前記記憶手段に記憶されている情報に関連づけられた位置情報のハッシュ値との、一致または不一致に基づいて情報を選択する、
情報送信装置。
【請求項2】
前記選択手段は、前記位置情報取得手段から取得される位置情報のハッシュ値と同じハッシュ値となる位置情報に関連づけられた情報を選択する、
請求項1に記載の情報送信装置。
【請求項3】
前記選択手段は、前記位置情報取得手段によって得られた位置情報のハッシュ値と異なるハッシュ値となる位置情報に関連づけられた情報を選択する、
請求項1に記載の情報送信装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記位置情報取得手段から取得される位置情報と、前記記憶手段に記憶されている情報に関連づけられた位置情報とに、オフセットを加え、オフセットが加えられた後の位置情報から得られるハッシュ値同士の一致または不一致に基づいて情報を選択する、
請求項1〜3のいずれかに記載の情報送信装置。
【請求項5】
前記選択手段は、前記位置情報取得手段から取得される位置情報と、前記記憶手段に記憶されている情報に関連づけられた位置情報とに、複数のオフセットを加え、複数のオフセットが加えられた後の複数の位置情報から得られる複数のハッシュ値同士の一致または不一致に基づいて情報を選択する、
請求項4に記載の情報送信装置。
【請求項6】
現在の位置情報を取得する位置情報取得工程と、
位置情報と関連づけられた情報を複数記憶する記憶手段から情報を選択する選択工程と、
前記選択工程において選択された情報を送信する送信工程と、
を含み、
前記選択工程では、
位置情報を入力として受け付けてハッシュ値を返すハッシュ関数であって、入力された位置情報の距離が近いほど得られるハッシュ値の衝突確率が高いハッシュ関数を利用し、
前記位置情報取得工程において取得される位置情報のハッシュ値と、前記記憶手段に記憶されている情報に関連づけられた位置情報のハッシュ値との、一致または不一致に基づいて情報を選択する、
情報送信方法。
【請求項7】
前記選択工程では、前記位置情報取得工程において取得される位置情報のハッシュ値と同じハッシュ値となる位置情報に関連づけられた情報を選択する、
請求項6に記載の情報送信方法。
【請求項8】
前記選択工程では、前記位置情報取得工程において得られた位置情報のハッシュ値と異なるハッシュ値となる位置情報に関連づけられた情報を選択する、
請求項6に記載の情報送信方法。
【請求項9】
前記選択工程では、前記位置情報取得工程において取得される位置情報と、前記記憶手段に記憶されている情報に関連づけられた位置情報とに、オフセットを加え、オフセットが加えられた後の位置情報から得られるハッシュ値同士の一致または不一致に基づいて情報を選択する、
請求項6〜8のいずれかに記載の情報送信方法。
【請求項10】
前記選択工程では、前記位置情報取得工程において取得される位置情報と、前記記憶手段に記憶されている情報に関連づけられた位置情報とに、複数のオフセットを加え、複数のオフセットが加えられた後の複数の位置情報から得られる複数のハッシュ値同士の一致または不一致に基づいて情報を選択する、
請求項9に記載の情報送信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−84167(P2013−84167A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224534(P2011−224534)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(502087460)株式会社トヨタIT開発センター (232)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】