説明

情報配信システム、サーバ装置、移動体および情報配信方法

【課題】トラヒックの発生を低減しつつ必要なタイミングでデータの配信が可能な情報配信システムを得ること。
【解決手段】移動体1と、移動体1へデータを配信するサーバ装置5と、から構成される情報配信システムであって、サーバ装置5は、移動体1の予測位置を算出する車両移動予測部と、移動体1の予測位置情報と、移動体1の通信可能エリア情報と、に基づいて配信するデータのスケジューリングを行う配信スケジューラ部と、スケジューリングに従って、移動体1のネットワーク識別子を用いて移動体1へデータを配信する配信データ送受信部と、を備え、移動体1は、受信したデータに対して、サーバ装置5へ自身の移動履歴情報および位置情報を含むProbe情報を送信する配信データ送受信部、を備え、配信スケジューラ部は、移動体1へ配信するデータが発生したときにスケジューリングを行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク側のサーバ装置が移動体へデータを配信する情報配信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターネットに接続可能な移動体として、携帯電話、スマートフォン、USB型データ通信モジュール等の無線通信機器が市販され普及している。これらの無線通信機器を利用してカーナビゲーション等の車載機を無線アクセス網経由でインターネットと接続し、車両の位置情報や各種Probe情報をネットワークのサーバ装置へ定期的に送信するシステムが自動車メーカ各社から発売されている(下記非特許文献1、2、3)。自動車メーカ各社は、受信した情報に基づいて、渋滞情報の案内や経路探索の最適化、近隣情報の報知等のサービスを提供している。これらのシステムでは、移動体側から一定周期でProbe情報をネットワークのサーバ装置へ送信し、サーバ装置から移動体側へは、その下り回線で渋滞情報、ナビルート情報を送信している。
【0003】
具体的に、下記特許文献1では、車両からの位置情報(GPS)がアップロードされて来るタイミングで車両位置をメッシュ上のエリアのどこに入るかを判断し、そのエリアに依存する情報を配信する技術が開示されている。車両からの定期的なアップロードをタイミングの起点として、必要に応じた情報配信を実現している。
【0004】
また、下記特許文献2では、無線通信が確実に実施可能であることを前提に、通信可能エリア内ではデータをバッファし、配信時刻帯にデータを配信することで配信を効率化する技術が開示されている。
【0005】
無線アクセス網は、広域エリアをカバーする携帯電話網でも全ての地域をカバーできていない。日本国内では、地方都市から農村部、山間部で通信できないエリアが多く存在する。欧米では、都市部から郊外へ移動すると通信できないエリアはより顕著になる。また、無線アクセス網も多様化しており、広域をカバーする携帯電話網、通信エリアの限定される無線LAN HOT SPOTなど複数の無線アクセス網が存在する。
【0006】
従来のインターネットアクセスは、通信ノード(例えば、ノートPCやスマートフォン)からインターネット上のサーバにアクセスし、そのアクセスを起点にサーバがデータを配信するポーリング方式である。携帯電話の場合もWebブラウザーは上記同様の方式でデータを取得するが、メール等の一部の機能では携帯電話網特有のネットワーク配信方法でデータを取得している。インターネットアクセスは、基本的にIPノードからの通信要求に対して、ネットワーク側のサーバが応答してデータを配信することで成立している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】ホンダインターナビ http://www.honda.co.jp/internavi/
【非特許文献2】日産カーウイングス http://drive.nissan-carwings.com/WEB/index.htm
【非特許文献3】トヨタ G−Book http://g-book.com/pc/default.asp
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−123741号公報
【特許文献2】特開2003−121171号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記従来の技術によれば、無線アクセス網を使用して自動車等の移動体がネットワークサーバと連携する場合、移動体からネットワークサーバ側へのアクセスを起点としてデータを取得するポーリング方式を使用してサービスを行っている。そのため、ネットワークサーバとの連携をより高度化するには、移動体からネットワークサーバへのポーリングアクセスの頻度を高める必要があり、アクセスの増加によりトラヒックが増加し、無線アクセス網やネットワークサーバの負荷が高くなる、という問題があった。
【0010】
また、頻繁にネットワークサーバにアクセスするのは最新の情報を早く取得することが目的であるが、例えば、自動車において渋滞情報や事故発生情報等は頻繁に状態が変化するものではない。そのため、頻繁にネットワークサーバにアクセスしても無駄なポーリングアクセスが多くなり不必要なトラヒックが増加する、という問題があった。
【0011】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、トラヒックの発生を低減しつつ必要なタイミングでデータの配信が可能な情報配信システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、移動体と、前記移動体とは無線アクセス網経由で接続されるネットワーク側に設置され、前記移動体へデータを配信するサーバ装置と、から構成される情報配信システムであって、前記サーバ装置は、前記移動体の移動履歴情報を保持し前記移動体の予測位置を算出する車両移動予測手段と、前記移動体の通信可能エリア情報を登録した通信可能エリアデータベースと、前記移動体の予測位置情報と、前記移動体の通信可能エリア情報と、に基づいて配信するデータのスケジューリングを行う配信スケジューラ手段と、前記移動体のネットワーク識別子および識別IDの情報を登録したネットワーク識別子蓄積手段と、前記スケジューリングに従って、前記移動体のネットワーク識別子を用いて前記移動体へデータを配信し、また、前記移動体から受信した当該移動体の移動履歴情報および位置情報を含むProbe情報に基づいて、自身が保持する前記移動体の移動履歴情報および通信可能エリア情報を更新するサーバ側配信データ送受信手段と、を備え、前記移動体は、前記サーバ装置から受信したデータに対して、前記サーバ装置へ自身の移動履歴情報および位置情報を含むProbe情報を送信する移動体側配信データ送受信手段、を備え、前記配信スケジューラ手段は、前記移動体へ配信するデータが発生したときにスケジューリングを行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、トラヒックの発生を低減しつつ必要なタイミングでデータの配信ができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は、情報配信システムの構成例を示す図である。
【図2】図2は、移動体の構成例を示す機能ブロック図である。
【図3】図3は、サーバ装置の構成例を示す機能ブロック図である。
【図4】図4は、通信可能エリアのデータを生成する時の動作を説明する図である。
【図5】図5は、通信可能エリアデータベースに登録された通信可能エリアを示す図である。
【図6】図6は、情報配信システムにおいてデータ配信を行うときの移動体の動作を示すシーケンス図である。
【図7】図7は、Port算出部におけるPort番号の算出処理を示す図である。
【図8】図8は、情報配信システムにおいてデータ配信を行うときのサーバ装置の動作を示すシーケンス図である。
【図9】図9は、配信スケジューラ部のスケジューリング処理を示すフローチャートである。
【図10】図10は、移動体とサーバ装置がそれぞれで算出した移動体の待ち受けPort番号で通信出来る領域を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明にかかる情報配信システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0016】
実施の形態.
図1は、本実施の形態の情報配信システムの構成例を示す図である。情報配信システムは、移動体1と、無線アクセス網2と、インターネット3と、GPS(Global Positining System)衛星4と、サーバ装置5と、から構成される。なお、移動体1を1つとしているが、一例であり、複数の移動体1を対象とすることが可能である。
【0017】
移動体1は、無線アクセス網2(例えば、携帯電話網)と無線接続し、無線アクセス網2のゲートウエイを経由して、インターネット3上にあるサーバ装置5と接続する。移動体1は、GPS衛星4からGPS信号を受信し、自身の位置を常に計測している。ここでは移動体1として自動車を想定しているが、これに限定するものではない。また、無線アクセス網2についても、携帯電話網に限定するものではない。
【0018】
移動体1は、無線アクセス網2から払い出されたネットワーク識別子であるIPアドレスと、自身(移動体1)を識別する識別IDをサーバ装置5へ通知する。これにより、サーバ装置5では常に移動体1へのデータの宛先を把握できることから、移動体1では、常にサーバ装置5からのデータを受信可能な状態にしている。サーバ装置5は、移動体1の移動を予測し、移動体1に配信する必要のあるデータが発生した場合のみ、移動体1から通知されたIPアドレス宛てにデータを配信する。なお、本実施の形態では、ネットワーク識別子として、IPアドレスを用いた場合について説明するが一例であり、IPアドレスに限定するものではない。
【0019】
図2は、移動体1の構成例を示す機能ブロック図である。移動体1は、無線送受信部11と、配信データ送受信部12と、IPアドレス検知部13と、移動情報通知部14と、GPS受信部15と、位置算出部16と、移動情報蓄積部17と、Port算出部18と、アプリケーション部19と、から構成される。
【0020】
無線送受信部11は、無線アクセス網2との間で通信を行い、データを送受信する。配信データ送受信部12は、サーバ装置5からの配信データ(図2中の「D」)を受信し、移動体1内に蓄積した移動履歴情報、通信品質情報等のProbe情報(図2中の「P」)を無線送受信部11経由でサーバ装置5へ送信する。IPアドレス検知部13は、無線アクセス網2から割り当てられたIPアドレスを検知する。移動情報通知部14は、無線アクセス網2から割り当てられたIPアドレスと自身(移動体1)を識別する識別IDをまとめて(図2中の「A」)、無線送受信部11経由でサーバ装置5へ送付する。GPS受信部15は、自身(移動体1)の位置を計測するためにGPS衛星4からのGPS信号を受信する。位置算出部16は、GPS受信部15から送付されたデータから自身(移動体1)の位置情報を算出する。移動情報蓄積部17は、位置算出部16が検出した位置情報を蓄積する。位置情報を連続して蓄積することで、移動履歴情報が得られる。Port算出部18は、GPS受信部15が受信したGPS信号に含まれる時刻情報を用いて、自身(移動体1)がサーバ装置5からのデータ受信時に待ち受けするPort番号を算出する。アプリケーション部19は、カーナビゲーションとしての機能を動作させる。
【0021】
図3は、サーバ装置5の構成例を示す機能ブロック図である。サーバ装置5は、イーサネット(登録商標)部21と、移動情報通知部22と、IPアドレス管理部23と、IP/IDデータベース(DB)24と、配信データ送受信部25と、車両移動予測部26と、通信可能エリア管理部27と、通信可能エリアデータベース(DB)28と、NTP(Network Time Protocol)クライアント部29と、Port算出部30と、アプリケーション部31と、配信スケジューラ部32と、から構成される。なお、一般的なWebサーバ、メールサーバ等のサーバの基本的な機能については省略する。
【0022】
イーサネット部21は、インターネット3との通信を行い、データを送受信する。移動情報通知部22は、移動体1から送信されてくる移動体1のIPアドレスと識別ID(図3中の「A」)をイーサネット部21経由で受信する。IPアドレス管理部23は、移動情報通知部22から送付されたIPアドレスと識別IDをデータベースのフォーマットに変換し、IP/IDデータベース24に登録する。IP/IDデータベース24は、IPアドレスと識別IDを登録するためのネットワーク識別子を蓄積する記憶部である。配信データ送受信部25は、配信スケジューラ部32からの要求に応じて、該当する移動体1のIPアドレス、Port番号宛てにイーサネット部21経由でデータ(図3中の「D」)を配信し、移動体1からのProbe情報(図3中の「P」)を受信する。
【0023】
車両移動予測部26は、移動体1から受信したProbe情報から移動体1の移動履歴情報を抽出し、過去の移動履歴情報から任意の時間後の移動体1の位置を予測する。通信可能エリア管理部27は、車両移動予測部26が抽出した移動履歴情報に基づいて、移動体1の通信可能エリアのデータを生成する。通信可能エリアデータベース28は、移動体1の通信可能エリアのデータを登録するための記憶部である。NTPクライアント部29は、自身(サーバ装置5)の時刻同期をするため、時刻情報を取得する。Port算出部30は、NTPクライアント部29が受信した時刻情報を用いて、移動体1が受信時に待ち受けするPort番号を算出する。アプリケーション部31は、移動体1へ情報配信するデータ(例えば、渋滞情報、地図情報、事故情報、天気等)を生成する。配信スケジューラ部32は、アプリケーション部31からのデータ配信要求に応じて、配信対象の移動体1の予測位置と通信可能エリアの情報を参照し、配信タイミングを調整したスケジューリングを行う。
【0024】
つぎに、サーバ装置5において、移動体1の通信可能エリアのデータを生成する動作について説明する。図4は、通信可能エリアのデータを生成する時の動作を説明する図である。移動体1が通信を行った位置とそのときの通信可能な予測円(エリア)を示すものである。
【0025】
移動体1では、GPS受信部15がGPS衛星4から受信したGPS信号に基づいて、位置算出部16が自車位置を算出し、移動情報蓄積部17に位置情報を蓄積している。移動体1は、サーバ装置5からの配信データ受信後、アプリケーション部19が位置情報を含むProbe情報を生成し、配信データ送受信部12、無線送受信部11経由でProbe情報をサーバ装置5へ送信する。
【0026】
Probe情報を受信したサーバ装置5では、通信可能エリア管理部27が、イーサネット部21、配信データ送受信部25、車両移動予測部26経由でProbe情報に含まれる移動体1の位置情報を受信する。通信可能エリア管理部27は、位置情報が都市部の場合、郊外の場合等に分類し、都市部では受信した位置情報から半径Aメートルを通信可能エリアとし、郊外では受信した位置情報から半径B(A<Bとする。)メートルを通信可能エリアとして、移動体1の通信可能エリアの情報を通信可能エリアデータベース28に登録する。通信エリアの大きさの設定方法については、例えば、無線アクセス網2に設置された無線基地局への到達距離に基づいて行うことができる。無線基地局到達距離が大きいエリア(郊外)では通信可能エリアを大きく設定し、無線基地局到達距離が小さいエリア(都市部)では通信可能エリアを小さく設定する。
【0027】
なお、通信可能エリアデータベース28では、システム運用開始時には全エリアを通信可能エリアとし、通信可能エリア管理部27が、サーバ装置5からのデータの配信に失敗したエリアを削除しながら登録されている通信可能エリアの情報の精度を向上させる。
【0028】
また、既存のサービスから通信可能エリアのベースとなる通信可能エリアデータベース28を生成し、通信可能エリア管理部27が、前述の動作により登録されている通信可能エリアの情報の精度を向上させてもよい。
【0029】
前述の動作を、多数の移動体1から受信したProbe情報を用いて通信可能エリアのデータを生成していくと、通信可能エリア管理部27では、図5に示す通信可能エリアの地図情報を生成することができる。図5は、通信可能エリアデータベース28に登録された通信可能エリアを示す図である。
【0030】
なお、図5では通信が可能か不可能かの2種類の種別で分けて記載しているが、これに限定するものではない。例えば、携帯電話のアンテナピクトの様に、アンテナ4本、3本、2本、1本、圏外のような多種類の種別に分けてもよい。
【0031】
また、同じ位置で通信可能な移動体1と通信不可能な移動体1の情報を、通信可能エリア管理部27が、通信可能・通信不可能の比率から通信レベルを多値化(例えば、通信品質100%、60%、30%、10%等)してもよい。このような情報を用いることにより、サーバ装置5は、通信品質の良い環境でデータ配信を効率的に実現することができる。
【0032】
つづいて、情報配信システムにおいて、サーバ装置5から移動体1へデータを配信する動作について説明する。本実施の形態では、サーバ装置5が、データの配信が必要なタイミングで移動体1へデータの配信を行う。ここで、サーバ装置5と移動体1が連動して動作するのは、無線アクセス網2から移動体1へ払い出されたIPアドレスが変化した場合とサーバ装置5から移動体1へデータを配信する場合のみであり、それ以外は移動体1とサーバ装置5は自律的に動作している。そのため、動作の説明は、移動体1の動作、サーバ装置5の動作に分けて説明する。
【0033】
まず、移動体1の動作について説明する。図6は、情報配信システムにおいてデータ配信を行うときの移動体1の動作を示すシーケンス図である。ここでは、移動体1が動作中のシーケンスを示すが、起動時のシーケンスもこれらの動作の組み合せとなる。
【0034】
まず、移動体1では、無線アクセス網2との無線接続状態を監視する(ステップS101)。移動体1では、データ配信送受信部12が、無線送受信部11の状態を監視し、無線回線が接続されている状態かどうかを判断する。無線回線が接続されていないと判断した場合、無線送受信部11に無線アクセス網2へ無線接続開始を指示する。無線送受信部11は、無線接続を開始した場合、データ配信送受信部12へ無線接続完了を通知する。移動体1では、これらの動作を一定周期間隔で実施する。
【0035】
例えば、無線アクセス網2が3G携帯電話網の場合、上位の通信レイヤでは仮想的に回線を維持し、物理的に無線リソースを解放するPreservation状態では、無線接続状態は接続していると判断する。
【0036】
つぎに、移動体1では、受信したGPS信号の情報を用いて、Port番号を算出する(ステップS102)。移動体1では、位置算出部16が、GPS受信部15へGPS情報取得を要求すると、GPS受信部15が、GPS信号を受信してGPS情報を取得し、位置算出部16へGPS情報を送付する。なお、取得したGPS情報はアプリケーション部19が他の機能(例えば、カーナビゲーションの機能)にも使用可能であるが、説明を省略する。位置算出部16は、取得したGPS情報から位置情報および時刻情報を取り出し、時刻情報をPort算出部18へ送付し、位置情報および時刻情報を移動情報蓄積部17へ送付する。
【0037】
時刻情報を取得したPort算出部18は、時刻情報と自身(移動体1)を個別に識別する識別IDから任意の計算アルゴリズムでPort番号を算出する。図7は、Port算出部18におけるPort番号の算出処理を示す図である。Port算出部18は、時刻情報と識別IDとを用いて任意のPort番号算出アルゴリズムでPort番号を算出する。Port算出部18は、算出したPort番号を配信データ送受信部12へ通知する。配信データ送受信部12は、つぎに新しいPort番号が通知されるまでの間は、通知されたPort番号を用いて配信データを待ち受けする。移動体1では、これらの動作を一定周期間隔で実施する。なお、この周期は、後述するサーバ装置5のPort算出部30がPort番号を算出する周期と同一である。
【0038】
つぎに、移動体1では、IPアドレス検知部13が、無線送受信部11から無線アクセス網2より払い出されたIPアドレス情報を取得し、変化していないかどうかを確認する(ステップS103)。IPアドレスが変化していると判断した場合、IPアドレス検知部13は、移動情報通知部14、無線送受信部11経由で、サーバ装置5へIPアドレスと移動体1を識別する識別IDを送信する。ここで、IPアドレスが変化した場合とは、例えば、移動体1が無線アクセス網2との接続を切断され、上記ステップS101の処理を行って再接続する場合等がある。なお、図6に示していないが、サーバ装置5へのIPアドレスと識別IDの送信が失敗した場合、IPアドレス検知部13は、再送を繰り返し実施する。
【0039】
移動体1では、上記ステップS101からS103までの処理を行うことにより、サーバ装置5からのデータの配信を待ち受けできる状態となる。
【0040】
そして、移動体1とサーバ装置5との間では、サーバ装置5が起点となってデータの送受信が行われる(ステップS104)。移動体1では、無線送受信部11が、サーバ装置5からデータを受信すると、配信データ送受信部12へデータを送付する。配信データ送受信部12は、アプリケーション部19へデータを送付する。アプリケーション部19は、データを受信すると、移動情報蓄積部17から前回のデータ受信時から現在までの位置情報を移動履歴情報として取得し、各種情報と共にProbe情報として配信データ送受信部12へ送付する。配信データ送受信部12は、無線送受信部11経由で、サーバ装置5へ、移動履歴情報を含むProbe情報を送信する。
【0041】
なお、サーバ装置5が必要な情報が無いと判断した場合には、データの配信が実施されない。そのため、移動体1では、前回のProbe情報を送信してからあらかじめ規定した期間が経過してもつぎのデータの配信を受けない場合は、自律的にProbe情報をサーバ装置5へ送信する(ステップS105)。送信するProbe情報の内容は、ステップS104のときと同様である。
【0042】
このように、サーバ装置5から移動体1へデータを配信するタイミングは、サーバ装置5が配信するデータがあると判断したときである。移動体1では、あらかじめ自身のIPアドレス等をサーバ装置5へ送信しており、データの配信を受けるタイミングでサーバ装置5へ通信を行う必要がない。これにより、サーバ装置5から移動体1へ必要なタイミングでデータを配信しつつ、従来のポーリング形式と比較してトラヒックの発生を低減することができる。
【0043】
つぎに、サーバ装置5の動作を説明する。図8は、情報配信システムにおいてデータ配信を行うときのサーバ装置5の動作を示すシーケンス図である。移動体1(図6参照)と同様、サーバ装置5が動作中のシーケンスを示すが、起動時のシーケンスもこれらの動作の組み合せとなる。
【0044】
まず、サーバ装置5では、移動体1からIPアドレスおよび識別IDの情報を受け付ける(ステップS201)。具体的には、イーサネット部21が、移動体1からIPアドレスおよび識別IDの情報を受信すると、移動情報通知部22へ送付する。移動情報通知部22は、IPアドレス管理部23へIPアドレスおよび識別IDの情報を送付する。IPアドレス管理部23は、送付されたIPアドレスおよび識別IDを、IP/IDデータベース24に登録する。このように、移動体1からIPアドレスおよび識別IDの情報が送付される度に登録されているデータを更新することで、移動体1のIPアドレスおよび識別IDの情報を常に最新の状態にすることができる。なお、図8に記載していないが、移動情報通知部22は、IPアドレスおよび識別IDの情報を受信したことを移動体1に返送する。一定期間内に返送が来ない場合、移動体1は、再度IPアドレスおよび識別IDの情報をサーバ装置5へ送信する。
【0045】
つぎに、サーバ装置5では、取得した移動体1の識別IDを用いて、移動体1の待ち受けPort番号を算出する(ステップS202)。サーバ装置5では、時刻情報の取得にインターネット3上にあるNTPサーバを使用する。NTPクライアント部29は、インターネット3上のNTPサーバから時刻情報を取得し、取得した時刻情報をPort算出部30へ送付する。時刻情報を取得したPort算出部30は、移動体1のPort算出部18と同一の計算方法(図7参照)により、時刻情報と移動体1の識別IDとを用いて任意のPort番号算出アルゴリズムでPort番号を算出する。Port算出部30は、算出したPort番号を配信データ送受信部25へ通知する。配信データ送受信部25は、つぎに新しいPort番号が通知されるまでの間は、通知されたPort番号を用いて配信データを送信する。サーバ装置5では、これらの動作を一定周期間隔で実施する。なお、この周期は、前述の移動体1のPort算出部18がPort番号を算出する周期と同一である。
【0046】
なお、サーバ装置5がNTPクライアント部29を使用して時刻情報を取得する場合について説明したが、これに限定するものではない。例えば、サーバ装置5が電波時計やGPS受信機を備え、電波時計やGPS信号から時刻情報を取得することも可能である。
【0047】
つぎに、サーバ装置5では、移動体1へデータの配信を行う(ステップS203)。サーバ装置5では、アプリケーション部31が、移動体1へ配信するデータが発生すると配信スケジューラ部32へ配信データを送信し、データの配信要求を行う。配信スケジューラ部32は、配信データを受信し、データ配信要求に応じて配信データのスケジューリングを行う。
【0048】
ここで、配信スケジューラ部32のスケジューリングについてはフローチャートを用いて説明する。図9は、配信スケジューラ部32のスケジューリング処理を示すフローチャートである。配信スケジューラ部32は、アプリケーション部31からデータ配信要求を受信すると(ステップS301)、配信要求がOnDemand(直ちに配信)であるかどうかを判断する(ステップS302)。例えば、データに優先度が付与されている場合に、優先度の高いデータをOnDemandとし、優先度の低いデータをOnDemandではない、とすることができる。
【0049】
OnDemandでない場合(ステップS302:No)、配信スケジューラ部32は、車両移動予測部26に対して車両位置の問い合わせ、詳細には現在の移動体1の車両移動位置の算出を要求する(ステップS303)。車両移動予測部26は、前回までの移動履歴情報から移動位置を予測し、現在位置の予測車両情報を配信スケジューラ部32へ通知する。配信スケジューラ部32は、予測車両位置の情報を取得する(ステップS304)。
【0050】
つぎに、配信スケジューラ部32は、取得した予測車両位置情報に基づいて、車両移動予測部26、通信可能エリア管理部27経由で通信可能エリアデータベース28に通信可能エリアの問い合わせを行う(ステップS305)。配信スケジューラ部32は、予測車両位置情報における移動体1の通信可能エリアの情報を取得する(ステップS306)。
【0051】
そして、配信スケジューラ部32は、取得した予測車両位置および通信可能エリアの情報に基づいて、移動体1へデータを配信する時間を算出する(ステップS307)。例えば、移動体1が通信可能エリアから出る方向に移動している場合にはデータの配信時間を直近の時間に設定し、移動体1が通信可能エリア内に留まっていると予測したときにはデータの配信時間を遅らせる。これにより、サーバ装置5では、通信可能エリア内に留まっている移動体1に対しては、いくつかのデータをまとめて配信することも可能である。
【0052】
配信スケジューラ部32は、算出した配信時間に合わせてタイマーを設定し(ステップS308)、配信時間までは待機し(ステップS309:No)、配信時間になったときに(ステップS309:Yes)、データを配信するため配信データ送受信部25へデータ配信要求を行う(ステップS310)。
【0053】
なお、配信要求がOnDemandの場合(ステップS302:Yes)、配信スケジューラ部32は、直ちに配信と判断し、最短時間で配信データ送受信部25へデータ配信要求を行う(ステップS310)。
【0054】
図8のステップS203に戻って、配信データ送受信部25は、IP/IDデータベース24へ移動体1のIPアドレスを問い合わせてIPアドレスの情報を取得し、取得したIPアドレスおよび算出したPort番号を用いて、イーサネット部21経由で移動体1へデータの配信を行う。なお、配信データ送受信部25は、データを配信するとタイマーを起動し、一定期間内に移動体1からProbe情報が戻って来ない場合は、データの再送を実施する。また、配信データ送受信部25は、データを配信すると、その旨をデータ配信受付として配信スケジューラ部32へ通知する。
【0055】
サーバ装置5では、イーサネット部21が、移動体1からProbe情報を受信すると配信データ送受信部25へ送付する。配信データ送受信部25は、Probe情報から通信可能エリア情報と車両移動履歴情報を取り出し、通信可能エリア情報に基づいて、車両移動予測部26、通信可能エリア管理部27経由で通信可能エリアデータベース28の内容を更新し、車両移動履歴情報を車両移動予測部26へ通知する(ステップS204)。
【0056】
なお、移動体1から自律的にProbe情報を取得した場合も、上記同様に、配信データ送受信部25は、Probe情報から通信可能エリア情報と車両移動履歴情報を取り出し、通信可能エリア情報に基づいて、車両移動予測部26、通信可能エリア管理部27経由で通信可能エリアデータベース28の内容を更新し、車両移動履歴情報を車両移動予測部26へ通知する(ステップS205)。
【0057】
このように、サーバ装置5から移動体1へデータを配信するタイミングは、サーバ装置5が配信するデータがあると判断したときである。サーバ装置5では、移動体1からの要求ごとにデータの配信を行う必要がないことから、従来のポーリング形式と比較してトラヒックの発生を低減することができる。
【0058】
図10は、移動体1とサーバ装置5がそれぞれで算出した移動体1の待ち受けPort番号で通信出来る領域を示す図である。移動体1の待ち受けPort番号は、一定時間毎に変更することで外部から移動体1への攻撃を回避している。図10に示すように、移動体1はGPSの時刻情報を基準に動作し、サーバ装置5はNTPサーバの時刻情報に同期している。そのため、移動体1とサーバ装置5は、完全に同期して動作することは出来ない。移動体1とサーバ装置5の時刻に差異があるため、Port番号が一致している時間50とPort番号が一致していない時間51が存在する。しかしながら、Port番号が一致していない時間51では、サーバ装置5の配信データ送受信部25が再送制御を行うことにより、データ配信を実施することができる。
【0059】
以上説明したように、本実施の形態では、移動体1とサーバ装置5に機能を分割し、車、バス、電車等の移動体1が走行している場合において、サーバ装置5は、移動体1の移動位置予測機能および通信可能エリアの情報を備えており、移動体1の移動位置と無線アクセス網2の通信可能エリアの情報から通信可能なタイミングを常に管理できることとした。これにより、サーバ装置5では、サーバ装置5が送信したい必要なタイミングで効率的なデータの配信が可能となる。
【0060】
従来のカーナビゲーション等のように、移動体からの、ネットワーク側のサーバ装置と通信する時に行う定期的なサーバ装置へのアクセスが不要となる。そのため、通信トラヒックの発生を低減でき、リアルタイムに必要な情報はすぐに送信することが可能となる。
【0061】
また、サーバ装置5において配信するデータに種別(優先度)を設定し、データの種別に応じて移動体1の移動位置と無線アクセス網2の通信可能エリアの情報から配信タイミングを調整できることとした。これにより、優先度の高いデータについては即時に配信でき、優先度の低いデータはまとめて配信することが可能となる。
【0062】
また、移動体1が、識別IDと無線アクセス網2から払い出される通信宛先情報(ネットワーク識別子)をサーバ装置5へ変化する度に通知することとした。これにより、サーバ装置5は、移動体1の通信宛先を常に管理でき、サーバ装置5の主導によるデータ配信が可能となる。
【0063】
また、移動体1が通信した位置の情報とその位置が都市部か郊外か等の無線エリアの特性を考慮して、通信した位置の周辺を通信可能エリアの情報として保持することとした。これにより、効率的に通信可能エリアの情報を生成することが可能となる。
【0064】
また、移動体1のIPアドレスおよび移動体1を個別識別する識別IDを移動体1からサーバ装置5へ通知し、時刻に同期してIPアドレスの待ち受けポート番号を変更することとした。これにより、サーバ装置5から任意のタイミングでデータ配信が可能となる。
【0065】
また、移動体1とサーバ装置5が異なる時刻で同期しても、一定期間は移動体1とサーバ装置5が同じ待ち受けPort番号で送受信することができることとした。これにより、一定時間毎に待ち受けPort番号がランダムに変更されるため、移動体1へのセキュリティを高めることが可能となる。
【0066】
また、移動体1は、あらかじめ規定した期間サーバ装置5からデータ配信がない場合には、蓄積したデータをサーバ装置5へ送信することとした。これにより、サーバ装置5に蓄積する情報の信頼性、精度向上させることが可能となる。
【0067】
なお、本実施の形態の情報配信システムは、携帯電話網等の特定の無線アクセス網2の方式に依存しないように、上位のレイヤで全ての機能を実現する構成とした。そのため、無線アクセス網2に関係なくシステムを構成することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
以上のように、本発明にかかる情報配信システムは、移動体とネットワーク側に設置された装置から構成されるシステムに有用であり、特に、ネットワーク側の装置からデータを配信するシステムに適している。
【符号の説明】
【0069】
1 移動体
2 無線アクセス網
3 インターネット
4 GPS衛星
5 サーバ装置
11 無線送受信部
12 配信データ送受信部
13 IPアドレス検知部
14 移動情報通知部
15 GPS受信部
16 位置算出部
17 移動情報蓄積部
18 Port算出部
19 アプリケーション部
21 イーサネット部
22 移動情報通知部
23 IPアドレス管理部
24 IP/IDデータベース
25 配信データ送受信部
26 車両移動予測部
27 通信可能エリア管理部
28 通信可能エリアデータベース
29 NTPクライアント部
30 Port算出部
31 アプリケーション部
32 配信スケジューラ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体と、前記移動体とは無線アクセス網経由で接続されるネットワーク側に設置され、前記移動体へデータを配信するサーバ装置と、から構成される情報配信システムであって、
前記サーバ装置は、
前記移動体の移動履歴情報を保持し前記移動体の予測位置を算出する車両移動予測手段と、
前記移動体の通信可能エリア情報を登録した通信可能エリアデータベースと、
前記移動体の予測位置情報と、前記移動体の通信可能エリア情報と、に基づいて配信するデータのスケジューリングを行う配信スケジューラ手段と、
前記移動体のネットワーク識別子および識別IDの情報を登録したネットワーク識別子蓄積手段と、
前記スケジューリングに従って、前記移動体のネットワーク識別子を用いて前記移動体へデータを配信し、また、前記移動体から受信した当該移動体の移動履歴情報および位置情報を含むProbe情報に基づいて、自身が保持する前記移動体の移動履歴情報および通信可能エリア情報を更新するサーバ側配信データ送受信手段と、
を備え、
前記移動体は、
前記サーバ装置から受信したデータに対して、前記サーバ装置へ自身の移動履歴情報および位置情報を含むProbe情報を送信する移動体側配信データ送受信手段、
を備え、
前記配信スケジューラ手段は、前記移動体へ配信するデータが発生したときにスケジューリングを行う、
ことを特徴とする情報配信システム。
【請求項2】
前記配信スケジューラ手段は、配信するデータの優先度に基づいて、優先度の高いデータは最短時間で配信し、前記優先度の高いデータよりも優先度の低いデータについては、前記移動体の予測位置情報および通信可能エリア情報に基づいて前記移動体が通信可能エリア外へ出る時刻を予測し、予測時刻までにデータを配信するスケジューリングを行う、
ことを特徴とする請求項1に記載の情報配信システム。
【請求項3】
前記移動体は、さらに、
ネットワークとの接続状態を監視する移動体側配信データ送受信手段と、
ネットワークから取得したネットワーク識別子を確認し、取得したネットワーク識別子が前回取得時から変化していた場合は、前記サーバ装置へ当該ネットワーク識別子および自身を識別する識別IDの情報を送信するネットワーク識別子検知手段と、
を備え、
前記サーバ装置は、さらに、
前記移動体から取得したネットワーク識別子および識別IDの情報を、前記ネットワーク識別子蓄積手段に登録するネットワーク識別子管理手段、
を備えることを特徴とする請求項1または2に記載の情報配信システム。
【請求項4】
前記サーバ装置は、さらに、
前記移動体の位置が無線アクセス網の無線基地局到達距離が大きいエリアでは前記通信可能エリアを大きく設定し、前記移動体の位置が無線アクセス網の無線基地局到達距離が前記大きいエリアよりも小さいエリアでは大きく設定した前記通信可能エリアより小さい通信可能エリアを設定し、複数の移動体について通信可能エリアを設定することにより所定のエリアにおける通信可能エリアのデータを作成し、前記通信可能エリアデータベースに登録する通信可能エリア管理手段、
を備えることを特徴とする請求項1、2または3に記載の情報配信システム。
【請求項5】
前記ネットワークの識別子をIPアドレスとした場合に、
前記移動体は、さらに、
所定の期間毎に、GPS衛星から受信したGPS情報から時刻情報を抽出する位置算出手段と、
前記時刻情報と自身を識別する識別IDとを用いて、前記サーバ装置からのデータを受信するときに使用するPort番号を算出する移動体側Port算出手段と、
を備え、
前記サーバ装置は、さらに、
前記所定の期間毎に、ネットワークから取得した時刻情報と前記移動体の識別IDとを用いて、前記移動体へデータを送信するときに使用するPort番号を、前記移動体側Port算出手段と同一の計算方法で算出するサーバ側Port算出手段、
を備え、
前記サーバ装置の配信スケジューラ手段は、前記移動体のネットワーク識別子であるIPアドレス、および前記サーバ側Port算出手段で算出されたPort番号を用いて、前記移動体へデータを配信する、
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の情報配信システム。
【請求項6】
前記移動体の移動体側配信データ送受信手段は、あらかじめ規定した期間、前記サーバ装置からデータを受信しなかった場合は、前記サーバ装置へ自身の移動履歴情報および位置情報を含むProbe情報を送信する、
ことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つに記載の情報配信システム。
【請求項7】
移動体と、前記移動体とは無線アクセス網経由で接続されるネットワーク側に設置され、前記移動体へデータを配信するサーバ装置と、から構成される情報配信システムの前記サーバ装置であって、
前記移動体の移動履歴情報を保持し前記移動体の予測位置を算出する車両移動予測手段と、
前記移動体の通信可能エリア情報を登録した通信可能エリアデータベースと、
前記移動体の予測位置情報と、前記移動体の通信可能エリア情報と、に基づいて配信するデータのスケジューリングを行う配信スケジューラ手段と、
前記移動体のネットワーク識別子および識別IDの情報を登録したネットワーク識別子蓄積手段と、
前記スケジューリングに従って、前記移動体のネットワーク識別子を用いて前記移動体へデータを配信し、また、前記移動体から受信した当該移動体の移動履歴情報および位置情報を含むProbe情報に基づいて、自身が保持する前記移動体の移動履歴情報および通信可能エリア情報を更新する配信データ送受信手段と、
を備え、
前記配信スケジューラ手段は、前記移動体へ配信するデータが発生したときにスケジューリングを行う、
ことを特徴とするサーバ装置。
【請求項8】
前記配信スケジューラ手段は、配信するデータの優先度に基づいて、優先度の高いデータは最短時間で配信し、前記優先度の高いデータよりも優先度の低いデータについては、前記移動体の予測位置情報および通信可能エリア情報に基づいて前記移動体が通信可能エリア外へ出る時刻を予測し、予測時刻までにデータを配信するスケジューリングを行う、
ことを特徴とする請求項7に記載のサーバ装置。
【請求項9】
さらに、
前記移動体から取得したネットワーク識別子および識別IDの情報を、前記ネットワーク識別子蓄積手段に登録するネットワーク識別子管理手段、
を備えることを特徴とする請求項7または8に記載のサーバ装置。
【請求項10】
さらに、
前記移動体の位置が無線アクセス網の無線基地局到達距離が大きいエリアでは前記通信可能エリアを大きく設定し、前記移動体の位置が無線アクセス網の無線基地局到達距離が前記大きいエリアよりも小さいエリアでは大きく設定した前記通信可能エリアより小さい通信可能エリアを設定し、複数の移動体について通信可能エリアを設定することにより所定のエリアにおける通信可能エリアのデータを作成し、前記通信可能エリアデータベースに登録する通信可能エリア管理手段、
を備えることを特徴とする請求項7、8または9に記載のサーバ装置。
【請求項11】
前記ネットワークの識別子をIPアドレスとした場合に、さらに、
所定の期間毎に、ネットワークから取得した時刻情報と前記移動体の識別IDとを用いて、前記移動体へデータを送信するときに使用するPort番号を、前記移動体がPort番号を算出する計算方法と同一の計算方法で算出するPort算出手段、
を備え、
前記配信スケジューラ手段は、前記移動体のネットワーク識別子であるIPアドレス、および前記Port算出手段で算出されたPort番号を用いて、前記移動体へデータを配信する、
ことを特徴とする請求項7〜10のいずれか1つに記載のサーバ装置。
【請求項12】
移動体と、前記移動体とは無線アクセス網経由で接続されるネットワーク側に設置され、前記移動体へデータを配信するサーバ装置と、から構成される情報配信システムの前記移動体であって、
前記サーバ装置から受信したデータに対して、前記サーバ装置へ自身の移動履歴情報および位置情報を含むProbe情報を送信する配信データ送受信手段、
を備えることを特徴とする移動体。
【請求項13】
さらに、
ネットワークとの接続状態を監視する移動体側配信データ送受信手段と、
ネットワークから取得したネットワーク識別子を確認し、取得したネットワーク識別子が前回取得時から変化していた場合は、前記サーバ装置へ当該ネットワーク識別子および自身を識別する識別IDの情報を送信するネットワーク識別子検知手段と、
を備えることを特徴とする請求項12に記載の移動体。
【請求項14】
前記ネットワークの識別子をIPアドレスとした場合に、さらに、
所定の期間毎に、GPS衛星から受信したGPS情報から時刻情報を抽出する位置算出手段と、
前記時刻情報と自身を識別する識別IDとを用いて、前記サーバ装置からのデータを受信するときに使用するPort番号を、前記サーバ装置がPort番号を算出する計算方法と同一の計算方法で算出するPort算出手段と、
を備えることを特徴とする請求項12または13に記載の移動体。
【請求項15】
前記配信データ送受信手段は、あらかじめ規定した期間、前記サーバ装置からデータを受信しなかった場合は、前記サーバ装置へ自身の移動履歴情報および位置情報を含むProbe情報を送信する、
ことを特徴とする請求項12、13または14に記載の移動体。
【請求項16】
移動体と、前記移動体とは無線アクセス網経由で接続されるネットワーク側に設置され、前記移動体へデータを配信するサーバ装置と、から構成される情報配信システムの情報配信方法であって、
前記サーバ装置が、自身が保持する前記移動体の移動履歴情報および位置情報に基づいて算出した当該移動体の予測位置情報と、前記予測位置情報に基づく当該移動体の通信可能エリア情報と、に基づいて配信するデータのスケジューリングを行う配信データスケジューリングステップと、
前記サーバ装置が、前記スケジューリングに従って、自身が保持する前記移動体のネットワーク識別子を用いて前記移動体へデータを配信するデータ配信ステップと、
前記移動体が、受信したデータに対して、前記サーバ装置へ自身の移動履歴情報および位置情報を含むProbe情報を送信するProbe情報送信ステップと、
前記サーバ装置が、受信したProbe情報に基づいて、自身が保持する前記移動体の移動履歴情報および通信可能エリア情報を更新する移動体情報更新ステップと、
を含み、
前記配信データスケジューリングステップでは、前記サーバ装置において前記移動体へ配信するデータが発生したときにスケジューリングを行う、
ことを特徴とする情報配信方法。
【請求項17】
前記配信データスケジューリングステップでは、前記サーバ装置が、配信するデータの優先度に基づいて、優先度の高いデータは最短時間で配信し、前記優先度の高いデータよりも優先度の低いデータについては、前記移動体の予測位置情報および通信可能エリア情報に基づいて前記移動体が通信可能エリア外へ出る時刻を予測し、予測時刻までにデータを配信するスケジューリングを行う、
ことを特徴とする請求項16に記載の情報配信方法。
【請求項18】
さらに、
前記移動体が、ネットワークとの接続状態を監視する接続監視ステップと、
前記移動体が、ネットワークから取得したネットワーク識別子を確認し、取得したネットワーク識別子が前回取得時から変化していた場合は、前記サーバ装置へ当該ネットワーク識別子および自身を識別する識別IDの情報を送信する識別情報確認ステップと、
前記サーバ装置が、自身が保持する前記移動体のネットワーク識別子および識別IDの情報を、前記移動体から取得したネットワーク識別子および識別IDの情報に更新する移動体識別情報更新ステップと、
を含むことを特徴とする請求項16または17に記載の情報配信方法。
【請求項19】
前記移動体情報更新ステップでは、前記サーバ装置が、前記移動体の位置が無線アクセス網の無線基地局到達距離が大きいエリアでは前記通信可能エリアを大きく設定し、前記移動体の位置が無線アクセス網の無線基地局到達距離が前記大きいエリアよりも小さいエリアでは大きく設定した前記通信可能エリアより小さい通信可能エリアを設定し、複数の移動体について通信可能エリアを設定することにより所定のエリアにおける通信可能エリアのデータを作成する、
ことを特徴とする請求項16、17または18に記載の情報配信方法。
【請求項20】
前記ネットワークの識別子をIPアドレスとした場合に、
前記移動体が、所定の期間毎に、GPS衛星から受信したGPS情報から時刻情報を抽出し、前記時刻情報と自身を識別する識別IDとを用いて、前記サーバ装置からのデータを受信するときに使用するPort番号を算出する第1のPort番号算出ステップと、
前記サーバ装置が、前記所定の期間毎に、ネットワークから取得した時刻情報と前記移動体の識別IDとを用いて、前記移動体へデータを送信するときに使用するPort番号を、前記第1のPort番号算出ステップと同一の計算方法で算出する第2のPort番号算出ステップと、
を含み、
前記データ配信ステップでは、前記サーバ装置が、自身が保持する前記移動体のネットワーク識別子であるIPアドレス、および前記第2のPort番号算出ステップで算出したPort番号を用いて、前記移動体へデータを配信する、
ことを特徴とする請求項16〜19のいずれか1つに記載の情報配信方法。
【請求項21】
前記Probe情報送信ステップでは、前記移動体が、あらかじめ規定した期間、前記サーバ装置からデータを受信しなかった場合は、前記サーバ装置へ自身の移動履歴情報および位置情報を含むProbe情報を送信する、
ことを特徴とする請求項16〜20のいずれか1つに記載の情報配信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−92879(P2013−92879A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−234030(P2011−234030)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】