説明

感光体ドラムユニット着脱機構、感光体ドラムユニット、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置

【課題】
感光体ドラムの交換作業の減速機構の出力軸と感光体ドラムの駆動軸を結合させる時に、過剰なスラスト方向の負荷が両者に作用して結合部あるいは減速機構そのものを破壊させることを、感光体ドラムの駆動安定性を損なうことなく防止できる感光体ドラムユニット着脱機構を提供する。
【解決手段】
ドラム駆動シャフト部111に、感光体駆動ユニット160の出力軸179に接合する外歯ギヤと感光体フランジ121に係合する外歯のテーパ付セレーション114を設け、結合部の結合着脱と係合部の係合・係合解除とがほぼ同時に行われるように構成した。そして、感光体ユニットケース130のケース装着位置への装着が完了した後に、ドラム駆動シャフト部111と感光体駆動ユニット160との結合を行なうようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体ドラムユニット着脱機構、この感光体ドラムユニット着脱機構を備えた感光体ドラムユニット、プロセスカートリッジ、及びこれらを備えた画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、プリンタ、複写機、FAX、及び複合機等の電子写真方式の画像形成装置において、感光体ドラムを装置本体に設けられた駆動機構に対して着脱可能に保持させ、メインテナンスや交換等を行う構成が知られている。そして、このような構成では、感光体ドラム単体を装置本体に対して着脱するのではなく、感光体ドラムユニット、着脱可能な感光体ドラムユニットを備えたプロセスカートリッジ、又は感光体ドラムを備えたプロセスカートリッジを画像形成装置本体に着脱していることが多い。
【0003】
一般に、感光体ドラムは、その長辺方向の両端部に感光体フランジを設け、その回転中心にドラム駆動シャフトを貫通させて感光体フランジに固定又は係合させるとともに、ドラム駆動シャフトの一端部に継ぎ手部を設けている。そして、この継ぎ手部と、回転駆動源である駆動モータからの回転駆動力を、回転速度を減速して回転体に伝達する減速機構の出力軸に設けた継ぎ手部とを接合させて感光体ドラムを回転駆動するとともに、軸方向に着脱可能な構成としていることが多い。
【0004】
このように感光体ドラムユニット等を着脱可能とした構成では、感光体ドラムの駆動安定性と、感光体ドラムユニット等に保持された感光体ドラムのドラム駆動シャフト継ぎ手部と減速装置の出力軸との接合部における接合性を高める必要があり、従来から様々な提案がなされてきた。主な、提案としては、接合部を構成する部材の高精度化、接合部での同軸度の高精度化等である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、接合部を構成する部材の高精度化、接合部での同軸度の高精度化を行なったとしても、接合部で嵌め合う部材同士の回転方向の位相が多少でもズレていれば、スムースな結合ができず、互いに嵌め合う部分とは異なる部分が接触してしまうことになる。そして、それぞれの接触部分の反発係数等により変化するが、着脱時に移動させる感光体ドラムユニットの質量、接触直前の感光体ドラムユニットの速度にほぼ比例した衝撃力が接触部分に作用する。この衝撃力で、ドラム駆動シャフトの継ぎ手部又は減速機構の出力軸の接合部に変形が起きたり部分的に破壊されてしまったりする危険性がある。ドラム駆動シャフトの継ぎ手部又は減速機構の出力軸の接合部に変形が起きたり、部分的に破壊されたりしてしまうと、同軸度が確保できなくなったり、継ぎ手部部材等の重心の偏りが生じたりして、感光体ドラムの駆動安定性が損なわれてしまう。
【0006】
さらに、近年コストダウンや、騒音防止の観点から、減速機構等に用いる歯車部材に樹脂製のものが用いられることが多いが、樹脂製の部品は上述したような衝撃力による変形等が生じやすい。また、感光体ドラムの減速機構への利用が増えている、遊星歯車減速機構では、出力軸側で浮動支持が行われていることが多く、上述したような衝撃力をスラスト方向に受けると、接触する接合部だけでなく、遊星歯車減速機構そのものが破壊させる危険性がある。ここで、出力軸の浮動支持とは、出力軸と被駆動であるドラム駆動シャフト側との回転軸芯が多少ずれていても、互いの軸心ずれを吸収して高精度駆動伝達させる技術である。しかし、浮動支持とするためには、遊星歯車減速機構側では軸受けにより固定的な回転支持をせず、30〜50μm程度のガタを有する必要があるとともに、スラスト方向の移動規制についても、高負荷には耐えられない構造となっていることが多い。
【0007】
従来から、結果的に結合部の変形や破壊させることを抑制できる構成として、互いに嵌め合う部材の一方又は両方を、ドラム駆動シャフト又は減速機構の出力軸に対して、スライド可能に設けてバネ等を用いて嵌め合わせる構成が知られている。本来は、接合性を高めるために、ドラム駆動シャフト又は減速機構の出力軸に対して、接合部をスライド可能に設けることで、接合部で嵌め合う部材同士の回転方向の位相がズレている場合に、いずれかの部材がスライドして位相が合った後にバネ力で接合させるというものである。そして、接合部で嵌め合う部材同士の位相がズレている場合に、いずれかの部材がスライドすることで、結果的に結合部の変形や破損を抑制できるというものである。
【0008】
例えば、特許文献1には、感光体ドラムのフランジ部に設けられた継ぎ手部(センター穴)に、結合される出力軸側の継ぎ手部(駆動力伝達部材)が、減速機構の出力軸(ドラム駆動シャフト)に対して移動可能に設けられている。そして、バネで、フランジ部に設けられた継ぎ手部に押圧される構成が開示されている。また、特許文献2には、プロセスカートリッジに備える、被動軸である現像ローラ回転軸に設けられた継ぎ手部(被動ジョイント)と駆動軸の継ぎ手部(駆動ジョイント)との接合部で、いずれか、又は両方の継ぎ手部が移動可能に設けられるとともに、互いに結合(連結)するように付勢されている構成が開示されている。
【0009】
しかし、いずれの特許文献の構成も、接合部の部材を嵌合する軸に対してスライド可能な構造とするために、軸部材と接合部の部材との嵌合箇所に、スライドに必要な嵌め合いのガタ量を設定しなければならない。その結果、このガタ分が原因となる駆動伝達系の振動が発生することになり、感光体ドラム又は現像ローラの駆動安定性を損なってしまい、形成する画像劣化に繋がってしまう。
【0010】
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、感光体ドラムの着脱にともなう減速機構の出力軸と感光体ドラムの駆動軸を結合させる時に、過剰なスラスト方向の負荷が両者に作用して結合部あるいは減速機構そのものを破壊させることを、感光体ドラムの駆動安定性を損なうことなく防止できる感光体ドラムユニット着脱機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、感光体ドラムユニット内に設けられた感光体ドラムが長手方向両端部に有する感光体フランジの回転中心を貫通するドラム駆動シャフトと、装置本体側に設けられた駆動ユニットとの結合・結合解除を自在に行う感光体ドラムユニット着脱機構において、上記ドラム駆動シャフトには、装置稼動時に、上記駆動ユニットの減速機構の出力軸と結合して回転駆動される出力軸継ぎ手部と、少なくとも一方の感光体フランジに形成さられたフランジ係合部と係合して感光体ドラムを回転させるシャフト係合部とが設けられ、上記感光体ドラムユニットのケースを装着位置へ装着した状態で、上記ドラム駆動シャフトを該感光体ドラムユニット内でスラスト方向に移動させることにより、上記出力軸継ぎ手部の結合・結合解除と上記シャフト係合部の係合・係合解除とがほぼ同時に行われるように構成されており、上記感光体ドラムユニットのケースを装着位置へ装着して位置だしを行った後に、該ケースの装着位置への装着動作と分けて、上記ドラム駆動シャフトの出力軸継ぎ手部と上記減速機構の出力軸を結合させる結合動作を行なうことを特徴とするものである。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の感光体ドラムユニット着脱機構において、ドラム駆動シャフトに設けられる出力軸継ぎ手部とフランジ係合部は、上記ドラム駆動シャフトの軸上に固定、又は一体に形成されていることを特徴とするものである。
また、請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の感光体ドラムユニット着脱機構において、ドラム駆動シャフトを減速機構の出力軸側へ向かうスラスト方向に押圧するシャフト押圧手段が設けられ、上記シャフト押圧手段は、上記ドラム駆動シャフトを押圧する押圧状態と、押圧しない解除状態とに可変可能であり、出力軸継ぎ手部と駆動ユニットの出力軸との結合及び装置稼動時には押圧状態にすることで、該出力軸継ぎ手部が該駆動ユニットの出力軸との結合完了位置からの離間距離に略比例した所定範囲の押圧力で、上記ドラム駆動シャフトを押圧して該出力軸継ぎ手部の位置を維持し、上記出力軸継ぎ手部と駆動ユニットの出力軸との結合解除時には押圧解除状態にすることで、上記ドラム駆動シャフトへの押圧力を解除することを特徴とするものである。
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の感光体ドラムユニット着脱機構において、ドラム駆動シャフトを感光体ドラムユニットに対して、減速機構の出力軸から離れるスラスト方向に離間させる離間手段を設けており、上記離間手段は、押圧解除時にはドラム駆動シャフトを退避位置まで離間させ、上記押圧手段は、押圧状態時にはドラム駆動シャフトを押圧完了位置まで押圧することを特徴とするものである。
また、請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の感光体ドラムユニット着脱機構において、シャフト押圧手段を押圧状態にした後、初回の装置稼動時の起動シーケンスで行なわれる駆動ユニットの極低速回転により、出力軸継ぎ手部と駆動ユニットの出力軸との歯形の位相が合致したところで噛み合いが進行し、最終的な結合が自動的に完了することを特徴とするものである。
また、請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5のいずれか一に記載の感光体ドラムユニット着脱機構において、減速機構が遊星歯車減速機構であることを特徴とするものである。
また、請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれか一に記載の感光体ドラムユニット着脱機構において、減速機構の出力軸が浮動支持されていることを特徴とするものである。
また、請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7のいずれか一に記載の感光体ドラムユニット着脱機構において、ドラム駆動シャフトの出力軸継ぎ手部と減速機構の出力軸の結合部がスプライン結合により構成されていることを特徴とするものである。
また、請求項9に記載の感光体ドラムユニットの発明は、請求項1乃至8のいずれか一に記載の感光体ドラムユニット着脱機構を備えたことを特徴とするものである。
また、請求項10に記載のプロセスカートリッジの発明は、現像装置、帯電装置、又は感光体ドラムクリーニング装置の内少なくとも1つと、感光体ドラムとを一体に保持するプロセスカートリッジにおいて、上記プロセスカートリッジの着脱機構として請求項1乃至8に記載の感光体ドラムユニット着脱機構、又は、着脱可能な感光体ドラムユニットとして請求項9に記載の感光体ドラムユニットを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項11に記載の画像形成装置の発明は、少なくとも、感光体ドラムを備える画像形成装置において、感光体ドラムユニット着脱機構として請求項1乃至8に記載の感光体ドラムユニット着脱機構、着脱可能な感光体ドラムユニットとして請求項9に記載の感光体ドラムユニット、又は、着脱可能なプロセスカートリッジとして請求項10に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とするものである。
本発明は、感光体ドラムユニットのケースの装着位置への装着動作を行った後に、装着動作と分けて出力軸継ぎ手部の結合動作を行なうので、ドラム駆動シャフトと駆動ユニットとの結合時には、ドラム駆動シャフトしか移動しない。結合時に移動する部材をドラム駆動シャフトのみとすることで、結合時に移動する質量を少なくできる。そして、感光体ドラムユニットのケースの装着位置から結合動作を行なうので、結合動作時のドラム駆動シャフトの結合位置までの移動量も短くできるので、結合位置に達する際のドラム駆動シャフトの速度も遅くなる。したがって、減速機構の出力軸とドラム駆動シャフトの出力軸継ぎ手部との接合部でう部材同士の回転方向の位相がズレていた場合に、結合部の接触部分に作用する衝撃力は移動するドラム駆動シャフトの質量、接触直前の速度にほぼ比例しするので、その衝撃力を小さくできる。また、従来の装着動作と結合動作とを同時に行なう構成よりも、結合部に作用する衝撃力を小さくできるので、ドラム駆動シャフトの出力軸継ぎ手部及び減速機構の出力軸のいずれも、それぞれを支持する軸部材に対してスライド可能に設ける必要がない。したがって、ドラム駆動シャフトの出力軸継ぎ手部及び減速機構の出力軸は、それぞれを支持する軸部材との嵌合箇所に、スライドに必要な嵌め合いのガタ量を設定する必要もないので、ガタ量の設定に起因した駆動伝達系の振動は発生せず、感光体ドラムの駆動安定性を損なうこともない。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、感光体ドラムの交換作業の減速機構の出力軸と感光体ドラムの駆動軸を結合させる時の衝撃力を小さくできるので、過剰なスラスト方向の負荷が両者に作用して結合部あるいは減速機構そのものを破壊させることを、感光体ドラムの駆動安定性を損なうことなく防止できる感光体ドラムユニット着脱機構を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本実施形態の画像形成装置であるプリンタの全体概要図。
【図2】実施例1に係る感光体ドラムユニットの装置本体への装着前の説明図。
【図3】実施例1に係る感光体ドラムユニットの装置本体への装着後の説明図。
【図4】実施例1に係るドラム駆動シャフトと減速機構との接合後の説明図。
【図5】実施例1に係るドラム駆動シャフトと減速機構との接合部の説明図。
【図6】実施例1に係る感光体ドラムユニットの押圧手段の説明図。
【図7】実施例2に係る感光体ドラムユニットの説明図。
【図8】実施例3に係る感光体ドラムユニットの説明図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を、電子写真方式を採用した画像形成装置としてのプリンタ100に適用した一実施形態について図を用いて説明する。本実施形態は、いわゆる中間転写方式のタンデム型の画像形成装置を例に挙げて説明するが、これに限られるものではない。
【0015】
図1は、本実施形態の画像形成装置であるプリンタの全体概要図である。プリンタ100はイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、黒(K)の各色のトナー画像を形成する画像形成ユニット70(Y,C,M,K)を備えている。画像形成ユニット70(Y,C,M,K)の下方には、各画像形成ユニット70がそれぞれ有する感光体ドラム1を露光する露光装置7、記録体である転写紙Pを収納する用紙収納部50を備える。そして、画像形成ユニット70(Y,C,M,K)の上方には中間転写部40を備えている。この中間転写部40は、各感光体ドラム1上のトナー画像を中間転写ベルト41上に重ね合わせるように一時転写する一次転写ローラ42(Y,C,M,K)を備えている。そして、重ね合わされたトナー画像を搬送する中間転写ベルト41と、中間転写ベルト41上のトナー画像を転写紙Pに転写する二次転写ローラ43も備えている。
【0016】
中間転写ベルト41と二次転写ローラ43とが対向する二次転写部の上方に転写紙P上の未定着トナーを転写紙Pに定着させるベルトなどを用いた加熱手段を備えた定着装置8を備えている。中間転写ベルト41の図中右側には用紙収納部50から二次転写部及び定着装置8を通って排紙トレイ80まで搬送する用紙搬送路90を形成している。また、中間転写部40の上方には、未使用の各色トナーを収納するトナー収納容器であるトナーボトル60(Y,C,M,K)を備え、中間転写部40と用紙収納部50との間には露光装置7を備えている。さらに、プリンタ100は、画像処理部(不図示)や制御部(不図示)等を備えている。
【0017】
また、4つの画像形成ユニット70は用いるトナーの色が異なる点でのみ相違し、他の構成は共通するので各画像形成ユニット70で用いるトナーの色を示すY,M,C,Kは適宜省略して説明する。図1に示すように、画像形成ユニット70は、潜像担持体である感光体ドラム1と、帯電ローラなどの帯電装置4と、現像手段である現像装置5とを備えている。そして、転写後の転写残トナーなどを感光体ドラム1から除去するブレードなどを用いたクリーニング装置6などを主に備えている。また、画像形成ユニット70には、詳しくは後述するが、感光体ドラム1を感光体ドラムユニット110としてユニット化して、装置本体に対し着脱可能に取り付けられている。ここで、感光体ドラムユニット110の着脱は、プリンタ100の図1における装置前面側(手前側)の側板(不図示)を取り外し、装置前面側に引出すことで取り外しを行い、装置背面側(奥側)に押し込むことで装着を行なうものである。
【0018】
ここで、プリンタ100動作について説明する。図示していないPCやスキャナなどの入力装置から画像出力命令がプリンタ100へ送られると、画像信号は画像処理部にて画像処理され、Y,C,M,K各色の信号に分解された後に露光装置7へ送られる。露光装置7は例えばレーザ光源とポリゴンミラー等を用いたレーザスキャン方式の露光方式などが用いられる。各色の画像形成ユニット70では感光体ドラム1が駆動し、帯電装置4により感光体ドラム1が一様帯電される。その後、露光装置7より画像信号に応じたレーザ光Lが照射されて、感光体ドラム1上に静電潜像が形成される。感光体ドラム1表面上の静電潜像は感光体ドラム1と現像装置5との対向部である現像領域において現像されることでトナー画像として顕像化される。感光体ドラム1表面上のトナー画像は一次転写ローラ42へのバイアス印加により中間転写ベルト41へと一次転写される。一次転写後に感光体ドラム1上に残った転写残トナーはクリーニング装置6のブレードにより除去されて感光体ドラム1表面が清掃された後、次の画像形成のために帯電装置4により帯電が行われるというサイクルで動作がなされる。現像により消費されたトナーは各トナーボトル60から、図示していないそれぞれのトナーボトル60に対応した搬送部材を介して各現像装置5へと補給される。
【0019】
一方、中間転写ベルト41へのトナー画像の転写は、各色の画像形成ユニット70(Y,M,C,K)から順次行われていき、中間転写ベルト41上にて各色のトナー画像が重ね合わせられる。転写紙Pは用紙収納部50より用紙搬送路90を通り、中間転写ベルト41と二次転写ローラ43との対向部であるニップ部において、トナー画像を転写される。未定着のトナー画像をのせた転写紙Pが定着装置8に進入することで、熱と圧力によりトナーが転写紙Pに融着し定着される。そして画像形成装置外の排紙トレイ80上へと出力されて画像形成が終了する。
【0020】
次に、本発明の特徴的な構成である感光体ドラムユニット110の着脱機構である感光体ドラムユニット着脱機構105の例について実施例及び変形例を挙げて図を用いて説明する。ここで、図2は、実施例1に係る感光体ドラムユニットの装置本体への装着前の説明図、図3は、実施例1に係る感光体ドラムユニットの装置本体への装着後の説明図である。図4は、実施例1に係るドラム駆動シャフトと減速機構との接合後の説明図、図5は、実施例1に係るドラム駆動シャフトと減速機構との接合部の説明図、図6は、実施例1に係る感光体ドラムユニットの押圧手段の説明図である。また、図7は、実施例2に係る感光体ドラムユニットの説明図、図8は、実施例3に係る感光体ドラムユニットの説明図である。以下、本実施形態では、装置本体に対し、感光体ドラム1を具備した感光体ドラムユニット110を着脱可能に取り付けた形態について説明する。
【0021】
(実施例1)
まず、本実施形態の感光体ドラムユニット着脱機構105の、第1の実施例である、実施例1から説明する。本実施例は、本発明を、浮動支持が行われて高精度回転する遊星歯車減速機構に適用したものである。遊星歯車減速機構の出力軸と、感光体ドラムの駆動軸であるを結合させる時、過剰な負荷が両者に作用して結合部の変形又は破壊、あるいは遊星歯車減速機構そのものを破壊させることを防止するためのものである。さらに、結合後の感光体ドラムの高精度回転が可能となるものである。これらのためには、いかに余計な力を結合部に作用させずに的確に結合させるかということと、結合後の運転性能で重要な、回転伝達剛性の確保をどの様にするか重要となる。
【0022】
まず、図2、3、4を用いて、本実施例の感光体ドラムユニット着脱機構105の構成の概略について説明する。図2に示すように、本実施例の感光体ドラムユニット着脱機構105は、主に、感光体ドラムユニット110と、感光体駆動ユニット160と、取り付けベース133からなる。感光体ドラムユニット110は、感光体ドラム1と、感光体駆動ユニット160の出力軸179から離れた側(以下、装置前面側という)の感光体ドラム1の端部に接続された感光体フランジ121と、感光体ドラム1の出力軸179に近い側(以下、装置背面側という)の端部に接続された感光体フランジ122を備えている。また、これら感光体フランジの回転中心を貫通し、感光体ドラム1及び各感光体フランジに対し、スラスト方向に移動可能なドラム駆動シャフト部111と、感光体ドラムユニット110のケースである感光体ユニットケース130を備えている。そして、ドラム駆動シャフト部111は、スラスト方向に移動して、感光体フランジ121とのセレーション係合部の係合が解除された時には、感光体ドラム1及び各感光体フランジに対し、回転可能になるように構成されている。また、ドラム駆動シャフト部111は、感光体ユニットケース130に対して、回転可能であるとともに、スラスト方向に移動可能に構成されている。
【0023】
ドラム駆動シャフト部111は、軸部材であるドラム駆動シャフト112と、感光体フランジ121に装置前面側から係合する外歯のテーパ付セレーション114と、出力軸179に嵌め合わされて接合するドラム駆動シャフト112の一端側の端部に設けられた出力軸継ぎ手部である外歯ギヤ113を有している。また、他端側には、詳しくは後述するドラム駆動シャフト部111を装置背面側へ向け押圧する押圧手段140のシャフト側押圧手段142が、ドラム駆動シャフト112に対して回転自在に接続されている。
【0024】
テーパ付セレーション114と感光体フランジ121との係合部はセレーション係合部となるように構成され、外歯ギヤ113と出力軸179との結合部はインボリュートスプライン結合部となるように構成されている。また、テーパ付セレーション114と外歯ギヤ113は、ドラム駆動シャフト112に、直接、歯切り加工するか、予め金属による切削加工又は焼結により製作された、テーパ付セレーション114及び外歯ギヤ113の部品を用意し、同軸度を確保して圧入を行い固定する方法で設ける。外歯ギヤ113と出力軸179との結合部をインボリュートスプライン結合部として構成することで、外歯ギヤ113ではドラム駆動シャフト112との同軸度が確保しやすくなるとともに、出力軸179では外歯ギヤ113との歯形部の噛み合いの機会を増やすことができる。また、テーパ付セレーション114と感光体フランジ121との係合部についても同様である。
【0025】
そして、外歯ギヤ113及びテーパ付セレーション114の固定又は一体に形成されるスラスト方向の位置は、外歯ギヤ113と出力軸179との歯形部の噛み合いが開始された直後に、テーパ付セレーション114と感光体フランジ121との係合部との歯形部の噛み合いが開始されるような位置に設定されている。このような位置に設定することで、外歯ギヤ113と出力軸179との歯形部の噛み合いが開始される際の回転方向の慣性力を小さくでき、外歯ギヤ113と出力軸179との歯形部の破損を抑制することができるとともに、インボリュートスプライン結合部の結合とセレーション係合部の係合とが、ほぼ同時に行われることとなる。
【0026】
また、シャフト側押圧手段142は、操作者がシャフト側押圧手段142を所定の位置にセットすれば、自動的にインボリュートスプライン結合部である出力軸179と外歯ギヤ113の結合が行われる。そして、セレーション係合部である感光体フランジ121とテーパ付セレーション114の係合において伝達に必要な押しつけ力が確保出来る構造としている。
【0027】
このようにドラム駆動シャフト部111を構成することで、従来の構成のように、テーパ付セレーション114や外歯ギヤ113を、ドラム駆動シャフト112に対してスライド可能に支持した場合のように、ガタ量を設定する必要がない。したがって、ガタ量を設定したことによる駆動伝達系の振動が発生することもなく、感光体ドラム1の駆動安定性を損なうこともない。また、従来のスライド構造を設けた構成では、スライド構造を設けた時点で回転駆動系の回転伝達剛性が低下するという問題があった。そのため、軸の捩れによる感光体ドラム1上の光学的記録潜像位置の変化による線曲がりや、微少な回転振動による感光体ドラム1上の光学的記録潜像位置の変化によるバンディング現象が発生していた。それに対して、本実施例の構成では、テーパ付セレーション114と外歯ギヤ113とを、ドラム駆動シャフト112に圧入による固定、又は一体に形成することで、回転駆動系の回転伝達剛性が低下することもない。したがって、軸の捩れによる感光体ドラム1上の光学的記録潜像位置の変化による線曲がりや、微少な回転振動による感光体ドラム1上の光学的記録潜像位置の変化によるバンディング現象を防止することができる。
【0028】
また、従来の方式のように、衝撃力を和らげるために、セレーション係合部あるいはインボリュートスプライン結合部をスライド可能にして結合させる構成をした場合には、どうしても回転伝達剛性が低くなる。その結果、出力軸179から外歯ギヤ113及び感光体フランジ121までの駆動伝達系の共振周波数が低くなり回転制御の制御ゲインを上げられないという問題が発生していた。そこで、本実施例では、ドラム駆動シャフト112に対して、テーパ付セレーション114と外歯ギヤ113を一体的でかつ高剛性に構成して、感光体ドラム1を回転駆動させる時の捩れ剛性を上げて回転駆動系の共振周波数よりも高いところで駆動させている。ここで、回転駆動系である駆動モータ180の共振周波数は一般的に100〜130Hz程度のところにあるので、本実施例では、駆動伝達系の共振周波数が、回転駆動系の共振周波数を超えるように、ドラム駆動軸の軸径太さや、歯形の形状とともに考慮している。このことで、駆動伝達系の共振周波数が低くなり回転制御の制御ゲインを上げられないという問題も回避できる。
【0029】
そして、感光体ユニットケース130の側板に設けられた、装置背面側のドラム駆動シャフト軸受け131と、装置前面側のドラム駆動シャフト軸受け132とに、テーパ付セレーション114が両側板の間に位置し、外歯ギヤ113とシャフト側押圧手段142が側板から両側板の外側へ突出するように、回転自在に支持されている。このように、本実施例では結合と回転を行うドラム駆動シャフト部111を、スラスト方向に任意に移動できるように構成した。また、感光体フランジ121とドラム駆動シャフト部111との係合部は、セレーション系合部となるように構成している。
【0030】
また、装置背面側の、ドラム駆動シャフト軸受け131と感光体フランジ122との間には、スラスト位置決め部材123が回転自在に支持されている。さらに、装置前面側のドラム駆動シャフト軸受け132とシャフト側押圧手段142との間には、離間手段であるコイルスプリング150が設けられている。そして、図2、3に示すように、押圧手段140のシャフト側押圧手段142を介して伝達されるスラスト方向の押圧力が解除されている時には、ドラム駆動シャフト部111を、感光体ユニットケース130に対して、装置前面側へ押圧して退避させる。ここで、コイルスプリング150の押圧力は、押圧手段140のシャフト側押圧手段142を介して伝達されるスラスト方向の押圧力よりも小さく、押圧状態時の感光体ユニットケース130に対する、ドラム駆動シャフト部111の移動を妨げない。
【0031】
感光体ユニットケース130は、後述する取り付けベース133に摺動可能な底面部と、装置背面側の側板と、装置前面側の側板とからなり、上述した感光体ドラム1、ドラム駆動シャフト部111等を保持している。そして、装置本体に設けられたガイド部材(不図示)と取り付けベース133とに案内されて、装置本体に対して着脱可能に構成されている。また、図3に示すように、ケース装着位置に移動させられ、取り付けベース133に設けられたケース位置決め突起138に当接することで、スラスト方向の位置決めがなされる。また、詳しくは後述するが、装置前面側の側板の上部は、さらに装置前面側へ折り曲げるように加工されており、その上面には、押圧手段140のケース側押圧手段141が取り付けられている。そして、操作者がシャフト側押圧手段142をケース側押圧手段141と嵌め合う位置にセットすれば、自動的にインボリュートスプライン結合部である出力軸179と外歯ギヤ113の結合が行われる。そして、セレーション係合部である感光体フランジ121とテーパ付セレーション114の係合において伝達に必要な押しつけ力が確保出来る構造としている。
【0032】
感光体駆動ユニット160は、主に、回転駆動源である駆動モータ180と、駆動モータ180の回転を減速してドラム駆動シャフト部111に伝達するとともに、駆動モータ180を保持する遊星歯車減速機構170からなる。そして、遊星歯車減速機構170は、略L字状に加工させた感光体駆動ユニット取り付けプレート161を介して、取り付けベース133に感光体駆動ユニット取り付けネジ163でネジ固定されている。そして、図4に示すように、感光体ユニットケース130をケース装着位置まで移動させた後、ドラム駆動シャフト部111を、さらに出力軸179側に押し込み、押圧手段140のケース側押圧手段141とシャフト側押圧手段142とを嵌め合わせる。この状態で起動シーケンスの極低速回転が行なわれ、出力軸179が1、2回転する間に、ドラム駆動シャフト部111の外歯ギヤ113と出力軸179に形成された内歯ギヤ部とが、同軸上で嵌め合わせられることとなる。ここで、外歯ギヤ113と出力軸179に形成された内歯ギヤ部は、インボリュートスプライン結合となるように構成されている。
【0033】
また、図5に示すように、遊星歯車減速機構170は、樹脂製の円筒状のハウジング171と、この円筒状のハウジング171と一体に形成された固定内歯歯車172と、1段目の太陽歯車であるモータギヤ173と1段目の遊星歯車174と、1段目のキャリア175を有している。また、1段目の出力歯車でもある2段目の太陽歯車176と、2段目の遊星歯車177と、2段目のキャリア178と、このキャリア178に接続された、感光体駆動ユニット取り付けプレート161に浮動支持される出力軸179とを有している。そして、感光体駆動ユニット取り付けプレート161に対向するハウジング171の端部には、駆動モータ取り付けプレート162が取り付けられており、この駆動モータ取り付けプレート162に駆動モータ180が取り付けられ、そのモータ軸に1段目の太陽歯車であるモータギヤ173が形成されている。
【0034】
取り付けベース133は、ガイド部材(不図示)と協業して、感光体駆動ユニット160を着脱可能に支持するとともに、感光体駆動ユニット160を固定して保持している。そして、プリンタ100の筐体に設けられた保持部材(不図示)により固定されている。また、図4に示すように、感光体ユニットケース130の底面が摺動する面には、感光体ユニットケース130の装置背面側の側板に当接して、装置装着時の感光体駆動ユニット160のスラスト方向の位置決めを行なう、ケース位置決め突起138が設けられている。このケース位置決め突起138は、その感光体駆動ユニット160着脱方向に平行な断面は直角三角形状であり、その斜辺を装置背面側に向け、直角な面を装置前面側に向け、感光体ユニットケース130の側板に当接するように形成されている。
【0035】
また、感光体駆動ユニット160の着脱方向に平行、かつ略鉛直な取り付けベース133の一側面には、装置前面側の位置にケース装着位置に移動した感光体ユニットケース130の位置を維持するためのロック爪134が設けられている。このロック爪134は、ロック爪の回転軸135を中心に略鉛直な平面上を回動可能に設けられており、ロック爪134の下方の端辺と、ロック爪の回転軸135と、ねじりバネ固定突起137とに掛け回された、ねじりバネ136により時計回りに回動する。そして、図4に示すように、感光体駆動ユニット160が装着位置まで移動した時に、ロック爪134が回動して、ロック爪134に設けれれた直角三角形状に形成された、直角な辺が感光体ユニットケース130の側板に当接する。そして、感光体駆動ユニット160のスラスト方向の移動を規制して、その位置を維持する。
【0036】
次に、本実施例の感光体ドラムユニット着脱機構105の、操作及び動作について説明する。感光体駆動ユニット160の出力軸179に対して、感光体ドラムユニット110に組み込まれたドラム駆動シャフト部111を、インボリュートスプライン結合により結合するために、本実施例では次のような操作を行なう。まず、操作者は、図2に示すように、感光体ドラムユニット110の感光体ユニットケース130を装置の取り付けベース133上に置き、装置前面側から装置背面側にスライドさせる。そして、感光体ユニットケース130は、装置本体に設けられたガイド部材(不図示)に沿って、図3に示しているケース装着位置まで移動することとなる。感光体ユニットケース130がケース装着位置まで移動すると、その側板がケース位置決め突起138に当接すると同時に、ロック爪134が回動して、自動的にケース装着位置での位置決めが行われる。また、ロック爪134は、ねじりバネ136の力で力が作用するように構成されており、これを解除して感光体ドラムユニット110を引き出す時は、ロック爪134を手で押し下げて引出すだけで良い。このように、ロック爪134による感光体ユニットケース130の位置決めができるので、操作者の利便性を高めることができる。
【0037】
また、感光体ユニットケース130においては、ドラム駆動シャフト部111は、係合フランジである感光体フランジ121と感光体フランジ122を貫通して感光体ドラム1の同軸度を保障しつつ、自在にスラスト方向には移動するように組み付けられている。また、この移動の間は、ドラム駆動シャフト112の端部に設けられた押圧手段140のシャフト側押圧手段142は、押圧を解除した状態である。従来の方式では、これでインボリュートスプライン結合部の結合も同時に行うところだが、本実施例では、まず、感光体ユニットケース130の位置決めだけが行われる。
【0038】
従来の方式では、操作者が感光体ユニットケース130をケース装着位置にセットする時には、感光体ユニットケース130の全体の質量が移動するとともに、その移動量も大きく、インボリュートスプライン結合部の歯形の位相が合っていない場合に接触する時の速度も速い。そのため、感光体ユニットケース130をケース装着位置にセットする時、いきなり所定のケース装着位置まで押し込むと、非常に大きな衝撃力がインボリュートスプライン接合部の接触する部分に作用してしまい、遊星歯車減速機構170の樹脂製の歯形部に傷をつけたり、変形させたりしてしまう。さらに、浮動支持されたインボリュートスプライン接合部である出力軸179の噛み合いがスムーズに行われない場合には、出力軸179と一体となった2段目のキャリア178や2段目の遊星歯車177等を破壊して、遊星歯車減速機構170が動作不能になる畏れもある。
【0039】
本実施例では、上述したように構成することで感光体ユニットケース130のケース装着位置への装着と、インボリュートスプライン結合部における結合及びセレーション係合部における係合とを分けて行なえる。したがって、ドラム駆動シャフト部111と感光体駆動ユニット160との結合時には、ドラム駆動シャフト部111しか移動しない。つまり、感光体ユニットケース130のケース装着位置への装着と、出力軸継ぎ手部である出力軸179と外歯ギヤ113の結合及びシャフト係合部である装置前面側の感光体フランジ121と外歯のテーパ付セレーション114の係合とを分けて行なえるので、ドラム駆動シャフト部111と感光体駆動ユニット160との結合時には、ドラム駆動シャフト部111しか移動しない。
【0040】
結合時に移動する部材をドラム駆動シャフト部111のみとすることで、結合時に移動する質量を少なくできるとともに、感光体ユニットケース130のケース装着位置への装着後に行なうので、その移動量も短くできる。したがって、インボリュートスプライン結合部の回転方向の歯形の位相がズレていても、結合部に作用する衝撃力を小さくできる。つまり、感光体駆動ユニット160の出力軸179とドラム駆動シャフト部111の外歯ギヤ113との嵌め合いの回転方向の歯形の位相がズレていても、結合部に作用する衝撃力を小さくできる。
【0041】
また、感光体ドラムユニット110を装置本体にセットする時点では、上述した離間手段であるコイルスプリング150により、ドラム駆動シャフト部111は、感光体駆動ユニット160側から完全に退避していて、インボリュートスプライン結合部では接触しない構造としている。当然、同軸に構成された装置前面側の感光体フランジ121との結合を行うセレーション係合部も、フランジとの接触はしていない。このように、感光体ドラムユニット110を装置本体にセットする時点で、ドラム駆動シャフト部111を感光体駆動ユニット160側から完全に退避させることができる。したがって、操作者がドラム駆動シャフト部111を退避させることなく装着作業を行ったとしても、インボリュートスプライン結合部に過剰な衝撃力が作用することはない。そして、インボリュートスプライン結合部である、外歯ギヤ113、出力軸179や、遊星歯車減速機構170の歯形部の変形や破損、もしくは、遊星歯車減速機構170自体が破壊されてしまうことを、未然に防止することができる。
【0042】
次に、ドラム駆動シャフト部111と感光体駆動ユニット160の結合をおこなう。本実施例では、インボリュートスプライン結合部の結合を自動的に行うのと、セレーション係合部の係合を自動的に行いかつ必要な押し付け力を確保するのを押圧手段140を操作することで行なうように構成している。ドラム駆動シャフト部111を装置背面側へ向け押圧する押圧手段140について説明する。この押圧手段140は、図2、3、4、6に示すように、感光体ユニットケース130の装置前面側の側板の上部の折り曲げ部に取り付けられたケース側押圧手段141と、ドラム駆動シャフト112の装置前面側のシャフト側押圧手段142とからなる。また、図2、3は押圧解除状態を図示し、図4、6は押圧状態を図示している。
【0043】
ケース側押圧手段141は、図6(a)、(b)に示すように、押圧バネ143と、押圧バネ143に取り付けたクリック部145と、この押圧バネ143を感光体ユニットケース130の装置前面側の側板に形成された水平な取り付け部にネジ止めする押圧バネ固定ネジ144を有している。押圧バネ143は、板バネを逆Uの字状に折り曲げ加工した後、感光体ユニットケース130の側板の上部に形成された水平な取り付け部に取り付けるために、さらに逆Uの字の一方を装置背面側へ水平になるように折り曲げられている。そして、この水平に折り曲げ加工された部分にネジ止め用の穴が形成されており、上述した感光体ユニットケース130の側板の上部に形成された水平な取り付け部に、押圧バネ固定ネジ144でネジ止めされている。
【0044】
また、他方の装置背面側の部分には、後述するシャフト側押圧手段142のセットアーム凸部148と嵌め合う穴が形成された、押圧バネ143の剛性補強する樹脂材で成形されたクリック部145が取り付けられている。そして、この押圧バネ143のクリック部145が取り付けられた部分の形状は、無負荷時には、図2、3に示すように、下方に下がるほど装置背面側に近づくように加工されている。そして、後述するシャフト側押圧手段142と嵌め合わされ、かつ、インボリュートスプライン結合部の歯形の位相が一致して、結合がなされた状態で、略鉛直方向となるように構成されている。また、押圧バネ143のバネ定数は、離間手段であるコイルスプリングのバネ定数よりも大きく設定されている。
【0045】
シャフト側押圧手段142は、図6(a)、(b)に示すように、セットアーム146と、セットアーム146をドラム駆動シャフト112に対して回転可能に支持するセットアーム玉軸受け147と、操作者がセットアーム146を操作する時に摘むつまみ部149とからなる。また、セットアーム146には、押圧手段140の押圧状態時、つまり、ケース側押圧手段141に嵌め合う位置にシャフト側押圧手段142がセットされた時に、ケース側押圧手段141に取り付けられたクリック部145の穴と嵌め合うセットアーム凸部148が設けられている。そして、このセットアーム146は、ドラム駆動シャフト112との間にセットアーム玉軸受け147を介して取り付けられる剛性アームである。したがって、ケース側押圧手段141に取り付けられたクリック部145の穴とセットアーム凸部148が嵌め合わされた後は、ドラム駆動シャフト112が回転駆動されても、その姿勢を維持してドラム駆動シャフト部111にスラスト方向の力を作用させ続けることができる。
【0046】
具体的な、押圧手段140の操作は次のように行なう。図3に示すように、感光体ユニットケース130のケース装着位置への装着が済んだ感光体ドラムユニット110では、離間手段であるコイルスプリング150の押圧力により、感光体ユニットケース130に対してドラム駆動シャフト部111が装置前面側に移動している。ドラム駆動シャフト部111がこのように移動していることで、インボリュートスプライン結合部における結合及びセレーション係合部における係合は行なわれず、それそれ、結合及び係合位置から離間して退避した状態となっている。そして、押圧手段140でも、ケース側押圧手段141とシャフト側押圧手段142の押圧状態時に互いに嵌め合わされる面のスラスト方向の位置が、ケース側押圧手段141の面よりも、シャフト側押圧手段142の面が装置前面側に位置している。また、この時、シャフト側押圧手段142のセットアーム146は押圧状態時に互いに嵌め合わされるセット位置から回転して移動している。
【0047】
このような状態から、操作者は、図6に示すセットアーム146に設けられたつまみ部149を摘んで、図4に示すように、セットアーム146を装置背面側へ押し込みつつ、クリック部145の穴とセットアーム凸部148が嵌め合うセット位置まで回転させる。そして、セットアーム凸部148をクリック部145の穴に嵌め合わさせてつまみ部149から手を離すと、セットアーム146の回転方向の位置が固定されるとともに、押圧バネ143の力により、セットアーム146を介してドラム駆動シャフト部111にスラスト方向の力が作用して出力軸179に向かう方向に移動する。このように押圧手段140のケース側押圧手段141とシャフト側押圧手段142とを嵌め合わせ、セット位置に移動させることで、インボリュートスプライン結合部の結合動作と、セレーション係合部での歯の接触動作がほぼ同時に行われることとなる。そして、インボリュートスプライン結合部及びセレーション係合部の歯形の位相が合っている場合には、そのまま最終的な結合及び係合が行われる。
【0048】
また、歯形の位相がズレている場合には、歯形の位相がズレて接触するスラスト方向の位置までしかドラム駆動シャフト部111は移動できず、ケース側押圧手段141の押圧バネ143の下端部が出力軸179から離れるように変形し、ドラム駆動シャフト部111を装置背面側へ押圧した状態で押圧手段140がセットされる。その後、装置の通電が「ON」されると、感光体駆動ユニット160の駆動モータ180が規定の起動シーケンスに従って極低速回転が行なわれる。そして、出力軸179が1、2回転する間に、インボリュートスプライン結合部である外歯ギヤ113と出力軸179に形成された内歯ギヤ部とが歯形の位相が合致したところで噛み合いが進行し、同軸上で嵌め合わせられて最終的な結合が行なわれる。また、ほぼ同時にセレーション係合部である装置前面側の外歯のテーパ付セレーション114と感光体フランジ121に形成された内歯のテーパ付セレーション部とが歯形の位相が合致したところで噛み合いが進行して最終的な係合が完了する。
【0049】
また、逆にドラム駆動シャフト部111と感光体駆動ユニット160との結合を解除する場合には操作者は、次のような操作を行なう。図6で示すセットアーム146のつまみ部149を手で摘み、若干押し込みながらクリック部145から離接させた後に、図中、矢印の右又は左にセットアーム146を回転させて押圧バネ143の位置からずらす。その後、つまみ部149から手を離すと、離間手段であるコイルスプリング150の押圧力が作用して、ドラム駆動シャフト部111を感光体ユニットケース130に対して、装置前面側へ移動させる。また、コイルスプリング150の押圧力は、押圧手段140の押圧力よりも小さいため、移動に時間を要するが、急ぐ場合には、セットアーム146を押圧バネ143の位置からずらした後、装置前面側に引き出して解除することもできる。
【0050】
このように構成することで、インボリュートスプライン結合部に過分な押圧力を作用させることなく、適切な範囲のスラスト方向の押圧力をドラム駆動シャフト部111に作用させることができる。したがって、インボリュートスプライン結合部に過分な押圧力を作用させることなく、インボリュートスプライン結合部の結合と、結合後のセレーション係合部における伝達に必要な押しつけ力が確保ができるとともに、インボリュートスプライン結合部の結合が維持できる。つまり、外歯ギヤ113と出力軸179の結合部に過分な押圧力を作用させることなく、外歯ギヤ113と出力軸179の結合と、感光体フランジ121とドラム駆動シャフト部111との係合部における伝達に必要な押しつけ力が確保ができるとともに、外歯ギヤ113と出力軸179の結合が維持できる。ここで、結合時に作用する最大力は、押圧バネ143の変位量相当であり、従来の方式の結合時のような衝撃力は作用しないので、両結合部及び減速機構内部の歯車列を破壊させるという問題も起こらない。
【0051】
以上、本発明を、装置本体に対し、感光体ドラム1を具備した感光体ドラムユニット110を着脱可能に取り付けた形態に適用した場合について説明した。しかし、本発明は、この形態に限定されるものではなく、装置本体に着脱可能なプロセスカートリッジ71(不図示)に対し感光体ドラムユニット110を着脱可能に取り付けた形態、装置本体に対し少なくとも感光体ドラム1を具備したプロセスカートリッジ71を着脱可能に形態にも適用できる。また、その他の形態で画像形成装置であるプリンタ100に備えられる形態でも良い。
【0052】
(実施例2)
次に、本実施形態の感光体ドラムユニット着脱機構105の、第2の実施例である、実施例2について説明する。本実施例と上述した実施例1とは、本実施例の感光体ドラムユニット着脱機構105では、感光体ドラムユニット110の、ドラム駆動シャフト部111から回転駆動力を感光体ドラム1に伝達するためのセレーション係合部を、装置背面側の感光体フランジ122に設けた点のみ異なる。したがって、実施例1と共通する構成・動作については適宜省略して説明する。
【0053】
図7に示すように、本実施例の感光体ドラム1に回転駆動力を伝達するセレーション係合部は、装置背面側の感光体フランジ122に形成した係合部と係合する外歯のテーパ付セレーション115を、装置前面側から係合させている。
このように感光体ドラムユニット110を構成することで、ドラム駆動シャフト部111と、感光体駆動ユニット160を接合した場合の、テーパ付セレーション115の出力軸179から離れた面から外歯ギヤ113の先端までの軸長:Lを短くすることができる。ドラム駆動シャフト部111の回転駆動を伝達する部分の軸長:Lを短くすることで、回転駆動を伝達する部分の捩れ剛性を、実施例1の構成よりも高めることができる。また、捩れ剛性を高めることで結合部における捻り振動も抑えることもでき、実施例1の構成よりも駆動伝達系の共振周波数を高めることもできる。したがって、軸の捩れによる感光体ドラム1上の光学的記録潜像位置の変化による線曲がりや、微少な回転振動による感光体ドラム1上の光学的記録潜像位置の変化によるバンディング現象を、実施例1の構成よりもより良く防止することができる。
【0054】
(実施例3)
次に、本実施形態の感光体ドラムユニット着脱機構105の、第3の実施例である、実施例2について説明する。本実施例と上述した実施例1、2とは、本実施例の感光体ドラムユニット着脱機構105では、感光体ドラムユニット110の、ドラム駆動シャフト部111から回転駆動力を感光体ドラム1に伝達するためのセレーション係合部を、感光体ドラム1の両端部の感光体フランジ121、122の両方に設けた点のみ異なる。したがって、実施例1と共通する構成・動作については適宜省略して説明する。
【0055】
近年、画像形成を行なう記録紙の大型化の要求、又は生産性向上の要求への対応で、A3横(297mm)の用紙サイズをカバーする感光体ドラム1を備えた画像形成装置への要求が高まってきている。しかし、実施例1、2に記載したような片側の感光体フランジだけで感光体ドラム1を回転駆動させる構成では、A3横に対応できる感光体ドラム1の僅かな捩れによる書き込み位置のずれによる直線曲がりや、微振動に伴うバンディングを発生してしまう。
【0056】
そこで、本実施例では図8に示すように、感光体ドラム1の両端部に接続された感光体フランジ121、122の両方にセレーション係合部を設ける構成とした。具体的には、感光体フランジ121、122に形成した係合部と係合する外歯のテーパ付セレーション114、115をドラム駆動シャフト部111に設け、それぞれ装置前面側から係合させている。このように感光体ドラムユニット110を構成することで、A3横に対応できる感光体ドラム1を両端部に接続した感光体フランジ121、122で回転駆動することができ、感光体ドラム1の捩れを抑制することができる。また、ドラム駆動シャフト部111に2箇所のセレーション係合部として、テーパ付セレーション114、115を設けており、感光体駆動ユニット160から伝達された回転駆動力を2箇所に分散して感光体ドラム1に伝達できる。感光体ドラム1に両端から回転駆動力を伝達することで、感光体ドラム1の僅かな捩れによる書き込み位置のずれによる直線曲がりや、微振動に伴うバンディングの発生を、実施例1、2の構成よりも、より良く抑制することができる。ただし、本実施例の構成では、噛み合う2箇所のセレーション係合部の歯形の位相がずれていると伝達特性が不安定になるので、特に両フランジの治具を用いた歯形の機械的位相あわせを行ってから、組付け固定を行うようにする必要がある。
【0057】
以上、本実施形態の感光体ドラムユニット着脱機構105では、次のような作用・効果を奏することができる。感光体ユニットケース130のケース装着位置への装着と、インボリュートスプライン結合部の結合着脱及びセレーション係合部の係合とを分けて行なえるので、ドラム駆動シャフト部111と感光体駆動ユニット160との結合時には、ドラム駆動シャフト部111しか移動しない。結合時に移動する部材をドラム駆動シャフト部111のみとすることで、結合時に移動する質量を少なくできるとともに、感光体ユニットケース130のケース装着位置への装着後に行なうので、その移動量も短くできる。したがって、遊星歯車減速機構170の出力軸179とドラム駆動シャフト部111の外歯ギヤ113との嵌め合いの回転方向の歯形の位相がズレていても、結合部に作用する衝撃力を小さくできる。また、ドラム駆動シャフト部111の外歯ギヤ113及び遊星歯車減速機構170の出力軸179のいずれも、それぞれを支持する軸部材に対してスライド可能に設けることなく、結合部に作用する衝撃力を小さくできるので、外歯ギヤ113と出力軸179に、支持する軸部材に対するガタ量を設定する必要もない。したがって、感光体ドラム1の駆動安定性を損なうこともない。よって、感光体ドラム1の交換作業の遊星歯車減速機構170の出力軸179とドラム駆動シャフト部111の外歯ギヤ113を結合させる時の衝撃力を小さくできるので、過剰なスラスト方向の負荷が両者に作用してインボリュートスプライン結合部あるいは遊星歯車減速機構170そのものを破壊させることを、感光体ドラムの駆動安定性を損なうことなく防止できる感光体ドラムユニット着脱機構105を提供することができる。
また、本実施形態の感光体ドラムユニット着脱機構105では、ドラム駆動シャフト112に対して、テーパ付セレーション114と外歯ギヤ113を一体的でかつ高剛性に構成しているので、ドラム駆動シャフト部111の捩れによる感光体ドラム1上の光学的記録潜像位置の変化による線曲がりを防止できる。そして、ドラム駆動シャフト112に対して、テーパ付セレーション114と外歯ギヤ113を一体的でかつ高剛性に構成しているので、感光体ドラム1を回転駆動させる時の捩れ剛性を上げて回転駆動系の共振周波数よりも高いところで駆動させることができる。回転駆動系の共振周波数よりも高いところで駆動することで、微少な回転振動による感光体ドラム1上の光学的記録潜像位置の変化によるバンディング現象を防止することができる。また、回転駆動系の共振周波数よりも高いところで駆動することで、従来の駆動伝達系の共振周波数が低くなり回転制御の制御ゲインを上げられないという問題も回避できる。
また、本実施形態の感光体ドラムユニット着脱機構105では、感光体ユニットケース130のケース装着位置への装着を行なった後に、押圧手段140を押圧状態とすることで、インボリュートスプライン結合部に過分な押圧力を作用させることなく、適切な範囲のスラスト方向の押圧力をドラム駆動シャフト部111に作用させることができる。したがって、外歯ギヤ113と出力軸179の結合部に過分な押圧力を作用させることなく、外歯ギヤ113と出力軸179の結合と、感光体フランジ121とドラム駆動シャフト部111との係合部における伝達に必要な押しつけ力が確保ができるとともに、外歯ギヤ113と出力軸179の結合が維持できる。ここで、結合時に作用する最大力は、押圧手段140の押圧バネ143の変位量相当であり、従来の方式の結合時のような衝撃力は作用しないので、両結合部及び減速機構内部の歯車列を破壊させるという問題も起こらない。
また、本実施形態の感光体ドラムユニット着脱機構105では、離間手段であるコイルスプリング150を設けているので、感光体ドラムユニット110を装置本体にセットする時点で、ドラム駆動シャフト部111は感光体駆動ユニット160側から完全に退避している。したがって、操作者がドラム駆動シャフト部111を退避させることなく装着作業を行ったとしても、インボリュートスプライン結合部に過剰な衝撃力が作用することはない。そして、インボリュートスプライン結合部である、外歯ギヤ113、出力軸179や、遊星歯車減速機構170の歯形部の変形や破損、もしくは、遊星歯車減速機構170自体が破壊されてしまうことを、未然に防止することができる。
また、本実施形態の感光体ドラムユニット着脱機構105では、操作者のシャフト押圧手段であるセットアーム146を押圧状態にセットするという簡単な操作で、最終的な結合が自動的に完了する。このことで、操作者に過分な操作をしいることなく確実に、外歯ギヤ113と出力軸179の結合と、感光体フランジ121とドラム駆動シャフト部111との係合部における伝達に必要な押しつけ力が確保ができるとともに、外歯ギヤ113と出力軸179の結合が維持できる。
また、本実施形態の感光体ドラムユニット着脱機構105では、樹脂製歯車が使用されることが多い、感光体ドラムユニット110の装着時の衝撃力により破壊される虞が高い遊星歯車減速機構170において、装着時の衝撃力により遊星歯車減速機構170自体が破壊されることを防ぐことができる。
また、本実施形態の感光体ドラムユニット着脱機構105では、出力軸179が噛み合う歯車の歯形部分が変形や破損し易い出力軸179が浮動支持されている減速機構でも、出力軸179や、出力軸179が噛み合う歯車の歯形部分の変形や破損を防ぐことができる。
また、本実施形態の感光体ドラムユニット着脱機構105では、結合部が、インボリュートスプライン結合部である外歯ギヤ113と出力軸179から構成されているので、ドラム駆動シャフト部111では、ドラム駆動シャフト112と外歯ギヤ113の同軸度を高めることができる。また、感光体駆動ユニット160の出力軸179では、外歯ギヤ113と嵌め合わされる時の、互いの歯形部の接触機会が増えることで、スムーズな結合が可能となる。
また、本実施形態の感光体ドラムユニット110では、上述した感光体ドラムユニット着脱機構105を備えることで、上述した感光体ドラムユニット着脱機構105と同様な作用効果を奏することができる。
また、本実施形態のプロセスカートリッジ71では、上述した感光体ドラムユニット着脱機構105、又は上述した感光体ドラムユニット110を備えることで、上述した感光体ドラムユニット着脱機構105、又は上述した感光体ドラムユニット110と同様な作用効果を奏することができる。
また、本実施形態のプリンタ100では、感光体ドラムユニット着脱機構として上述した感光体ドラムユニット着脱機構105、着脱可能な感光体ドラムユニットとして上述した感光体ドラムユニット110、又は、着脱可能なプロセスカートリッジとして上述したプロセスカートリッジ71を備えることで、上述した感光体ドラムユニット着脱機構105、着脱可能な感光体ドラムユニットとして上述した感光体ドラムユニット110、又は、着脱可能なプロセスカートリッジとして上述したプロセスカートリッジ71と同様な作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0058】
1 感光体ドラム
4 帯電装置
5 現像装置
6 クリーニング装置
7 露光装置
8 定着装置
40 中間転写部
50 用紙収納部
60 トナーボトル
70 画像形成ユニット
80 排紙トレイ
100 プリンタ
105 感光体ドラムユニット着脱機構
110 感光体ドラムユニット
111 ドラム駆動シャフト部
112 ドラム駆動シャフト
113 外歯ギヤ
114 装置前面側の外歯のテーパ付セレーション
121 装置前面側の感光体フランジ
130 感光体ユニットケース
133 取り付けベース
134 ロック爪
140 押圧手段
141 ケース側押圧手段
142 シャフト側押圧手段
143 押圧バネ
145 クリック部
146 セットアーム
150 コイルスプリング
160 感光体駆動ユニット
170 遊星歯車減速機構
173 モータギヤ(1段目の太陽歯車)
179 出力軸(2段目の太陽歯車)
180 駆動モータ
P 転写紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0059】
【特許文献1】特開2006−171411号公報
【特許文献2】特開2007−286575号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムユニット内に設けられた感光体ドラムが長手方向両端部に有する感光体フランジの回転中心を貫通するドラム駆動シャフトと、装置本体側に設けられた駆動ユニットとの結合・結合解除を自在に行う感光体ドラムユニット着脱機構において、
上記ドラム駆動シャフトには、装置稼動時に、上記駆動ユニットの減速機構の出力軸と結合して回転駆動される出力軸継ぎ手部と、少なくとも一方の感光体フランジに形成さられたフランジ係合部と係合して感光体ドラムを回転させるシャフト係合部とが設けられ、
上記感光体ドラムユニットのケースを装着位置へ装着した状態で、上記ドラム駆動シャフトを該感光体ドラムユニット内でスラスト方向に移動させることにより、上記出力軸継ぎ手部の結合・結合解除と上記シャフト係合部の係合・係合解除とがほぼ同時に行われるように構成されており、
上記感光体ドラムユニットのケースを装着位置へ装着して位置だしを行った後に、該ケースの装着位置への装着動作と分けて、上記ドラム駆動シャフトの出力軸継ぎ手部と上記減速機構の出力軸を結合させる結合動作を行なうことを特徴とする感光体ドラムユニット着脱機構。
【請求項2】
請求項1に記載の感光体ドラムユニット着脱機構において、
ドラム駆動シャフトに設けられる出力軸継ぎ手部とフランジ係合部は、上記ドラム駆動シャフトの軸上に固定、又は一体に形成されていることを特徴とする感光体ドラムユニット着脱機構。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の感光体ドラムユニット着脱機構において、
ドラム駆動シャフトを減速機構の出力軸側へ向かうスラスト方向に押圧するシャフト押圧手段が設けられ、
上記シャフト押圧手段は、
上記ドラム駆動シャフトを押圧する押圧状態と、押圧しない解除状態とに可変可能であり、
出力軸継ぎ手部と駆動ユニットの出力軸との結合及び装置稼動時には押圧状態にすることで、該出力軸継ぎ手部が該駆動ユニットの出力軸との結合完了位置からの離間距離に略比例した所定範囲の押圧力で、上記ドラム駆動シャフトを押圧して該出力軸継ぎ手部の位置を維持し、
上記出力軸継ぎ手部と駆動ユニットの出力軸との結合解除時には押圧解除状態にすることで、上記ドラム駆動シャフトへの押圧力を解除することを特徴とする感光体ドラムユニット着脱機構。
【請求項4】
請求項3に記載の感光体ドラムユニット着脱機構において、
ドラム駆動シャフトを感光体ドラムユニットに対して、減速機構の出力軸から離れるスラスト方向に離間させる離間手段を設けており、
上記離間手段は、押圧解除時にはドラム駆動シャフトを退避位置まで離間させ、
上記押圧手段は、押圧状態時にはドラム駆動シャフトを押圧完了位置まで押圧することを特徴とする感光体ドラムユニット着脱機構。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の感光体ドラムユニット着脱機構において、
シャフト押圧手段を押圧状態にした後、初回の装置稼動時の起動シーケンスで行なわれる駆動ユニットの極低速回転により、出力軸継ぎ手部と駆動ユニットの出力軸との歯形の位相が合致したところで噛み合いが進行し、最終的な結合が自動的に完了することを特徴とする感光体ドラムユニット着脱機構。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか一に記載の感光体ドラムユニット着脱機構において、
減速機構が遊星歯車減速機構であることを特徴とする感光体ドラムユニット着脱機構。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか一に記載の感光体ドラムユニット着脱機構において、
減速機構の出力軸が浮動支持されていることを特徴とする感光体ドラムユニット着脱機構。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一に記載の感光体ドラムユニット着脱機構において、
ドラム駆動シャフトの出力軸継ぎ手部と減速機構の出力軸の結合部がスプライン結合により構成されていることを特徴とする感光体ドラムユニット着脱機構。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか一に記載の感光体ドラムユニット着脱機構を備えたことを特徴とする感光体ドラムユニット。
【請求項10】
現像装置、帯電装置、又は感光体ドラムクリーニング装置の内少なくとも1つと、感光体ドラムとを一体に保持するプロセスカートリッジにおいて、
上記プロセスカートリッジの着脱機構として請求項1乃至8に記載の感光体ドラムユニット着脱機構、又は、着脱可能な感光体ドラムユニットとして請求項9に記載の感光体ドラムユニットを備えたことを特徴とするプロセスカートリッジ。
【請求項11】
少なくとも、感光体ドラムを備える画像形成装置において、
感光体ドラムユニット着脱機構として請求項1乃至8に記載の感光体ドラムユニット着脱機構、着脱可能な感光体ドラムユニットとして請求項9に記載の感光体ドラムユニット、又は、着脱可能なプロセスカートリッジとして請求項10に記載のプロセスカートリッジを備えたことを特徴とする画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−83441(P2012−83441A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228013(P2010−228013)
【出願日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】