感光体ドラム装置およびそれを備えた画像形成装置
【課題】ピンと嵌合溝とのガタの発生を防止するとともに、回転軸からフランジ部材に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を防止する感光体ドラム装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】駆動手段33により回転駆動される回転軸34と、感光層を有するドラム本体31と、回転軸34から両端が突出するピン38とを備えている。また、ドラム本体31に装着されるとともに、回転軸34が挿通されて、回転軸34と一体的に回転するフランジ部材32を備えている。また、フランジ部材32には、ピン38と嵌合する嵌合溝39が形成されている。そして、嵌合溝39は、嵌合溝39の幅Yが回転軸34の長手方向Xにおける外側から内側にかけて漸減するテーパ状に形成されており、嵌合溝39の、長手方向Xにおける外側の幅がピン38の径よりも大きく、長手方向Xにおける内側の幅がピン38の径よりも小さく設定されている。
【解決手段】駆動手段33により回転駆動される回転軸34と、感光層を有するドラム本体31と、回転軸34から両端が突出するピン38とを備えている。また、ドラム本体31に装着されるとともに、回転軸34が挿通されて、回転軸34と一体的に回転するフランジ部材32を備えている。また、フランジ部材32には、ピン38と嵌合する嵌合溝39が形成されている。そして、嵌合溝39は、嵌合溝39の幅Yが回転軸34の長手方向Xにおける外側から内側にかけて漸減するテーパ状に形成されており、嵌合溝39の、長手方向Xにおける外側の幅がピン38の径よりも大きく、長手方向Xにおける内側の幅がピン38の径よりも小さく設定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動される感光体ドラム装置およびそれを備えた複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置においては、帯電装置により像担持体である感光体ドラムの表面が一様に帯電させられた後、画像読取部によって読み取られた画像に基づく光が、露光装置により感光体の表面に照射されて、その画像の静電潜像が形成され、その後、現像装置によりその静電潜像にトナーを付着させトナー像が形成される。
【0003】
また、画像形成装置に設けられる感光体ドラム装置は、一般に、円筒形状を有するドラム本体と、ドラム本体の長手方向の両端部において装着される2つのフランジ部材と、駆動手段により回転駆動され、フランジ部材に結合される回転軸とを備えている。この回転軸には、回転中心と交差する方向に両端が突出するピンが設けられるとともに、フランジ部材には、当該ピンと嵌合する嵌合溝が形成されている。そして、ピンと嵌合溝との嵌合により、回転軸とフランジ部材との結合が行われる構成となっている。
【0004】
また、一般に、回転軸とフランジ部材の結合を行う場合、ピンに対して嵌合溝を大きくすると、ピンと嵌合溝との間でガタが生じてしまうため、ピンに対して嵌合溝を小さく設定することにより、回転軸からフランジ部材に駆動を伝達する際のガタの発生を防止し、回転ムラを防止する方策が採られていた。しかし、ピンに対して嵌合溝を小さく設定すると、ピンを嵌合溝に嵌合する際に高い圧力が必要となるため、感光体ドラム装置の組立性が低下する等の問題が生じていた。また、ピンの太さにバラツキがあるため、嵌合溝に対して一定の接触位置で駆動を伝達することが困難になり、結果として、安定した回転が得られないという問題も生じていた。
【0005】
そこで、これらの問題点を解決するための感光体ドラム装置が提案されている。例えば、嵌合溝の一方の側壁面に突起を設け、当該突起により、嵌合溝に嵌合されるピンを嵌合溝の他方の側壁面に対して突き当てる感光体ドラム装置が開示されている。本構成により、ピンが嵌合溝内において、一方向に押し付けられて固定されるため、ピンと嵌合溝とのガタがなくなり、結果として、安定した回転を得ることができると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−182527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の感光体ドラム装置の構成においては、ピンを嵌合溝に嵌合させる際に、当該ピンにより嵌合溝に設けられた突起が変形したり、潰れたりする場合がある。そうすると、嵌合溝内において、ピンを十分に固定することが困難になるため、ピンと嵌合溝とのガタの発生を効果的に防止できなくなり、結果として、回転ムラを十分に防止することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、ピンと嵌合溝とのガタの発生を防止するとともに、回転軸からフランジ部材に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を防止する感光体ドラム装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、画像形成装置本体に設けられた駆動手段により回転駆動される回転軸と、外周面に感光層を有するドラム本体と、回転軸の回転中心と交差する方向に両端が突出するピンと、ドラム本体の長手方向両端部に装着されるとともに、回転軸が挿通されて、回転軸と一体的に回転し、少なくとも一方にピンと嵌合する嵌合溝が設けられた2つのフランジ部材と、を備える感光体ドラム装置において、嵌合溝は、嵌合溝の幅が回転軸の長手方向における外側から内側にかけて漸減するテーパ状に形成されており、嵌合溝の、回転軸の長手方向における外側の幅がピンの径よりも大きく、回転軸の長手方向における内側の幅がピンの径よりも小さいことを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の構成によれば、ピンの外周面と嵌合溝のテーパ面が密着するため、嵌合溝内において、ピンを固定することが可能になり、ピンと嵌合溝とのガタの発生を効果的に防止できることになる。その結果、回転軸からフランジ部材に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を効果的に防止することが可能になる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、回転軸の長手方向において、回転軸をドラム本体側に向けて付勢する弾性部材を設けたことを特徴とする。
請求項2に記載の構成によれば、回転駆動中においても、ピンの外周面と嵌合溝のテーパ面との密着性を確実に維持することが可能になるため、ピンと嵌合溝とのガタの発生を確実に防止できることになる。その結果、回転軸からフランジ部材に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を確実に防止することが可能になる。
【0011】
なお、本発明のピンは、回転軸とフランジ部材との結合に適したものであれば良く、請求項3に記載の発明のように、スプリングピンまたは平行ピンを好適に使用することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、画像形成装置本体に設けられた駆動手段により回転駆動される回転軸と、外周面に感光層を有するドラム本体と、回転軸の回転中心と交差する方向に両端が突出するピンと、ドラム本体の長手方向両端部に装着されるとともに、回転軸が挿通されて、回転軸と一体的に回転し、少なくとも一方にピンと嵌合する嵌合溝が設けられた2つのフランジ部材と、を備える感光体ドラム装置において、嵌合溝は、嵌合溝の幅が回転軸の長手方向における外側から内側にかけて漸増するテーパ状に形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の構成によれば、ピンが嵌合溝に食い込むことになるため、ピンの外周面と嵌合溝のテーパ面が密着し、嵌合溝内において、ピンを固定することが可能になり、ピンと嵌合溝とのガタの発生を効果的に防止できることになる。その結果、回転軸からフランジ部材に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を効果的に防止することが可能になる。
【0014】
なお、この場合も、本発明のピンは、回転軸とフランジ部材との結合に適したものであれば良く、請求項5に記載の発明のように、スプリングピンまたは平行ピンを好適に使用することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の感光体ドラム装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
請求項6に記載の構成によれば、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の感光体ドラム装置を備える構成としているため、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の感光体ドラム装置と同じ効果を得ることが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ピンと嵌合溝とのガタの発生を効果的に防止することができ、結果として、回転軸からフランジ部材に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を効果的に防止することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。図1に示す様に、この画像形成装置1は、複写機であり、画像形成装置本体1aの下部に配設された給紙部2と、この給紙部2の側方及び上方に配設された用紙搬送部3と、この用紙搬送部3の上方に配設された画像形成部4と、この画像形成部4よりも排出側に配設された定着部5と、これらの画像形成部4、及び定着部5の上方に配設された画像読取部6を備えている。
【0018】
給紙部2は、用紙9が収容された複数(本実施形態においては4つ)の給紙カセット7a〜7dを備えており、給紙ローラ(又は、ピックアップローラ)8の回転動作により、当該複数の給紙カセット7a〜7dのうち選択されたものから用紙9が用紙搬送部3側に送り出され、用紙9が1枚ずつ確実に用紙搬送部3に給紙されるように構成されている。尚、上記複数の給紙カセット7a〜7dには、大容量の用紙9を積載収容可能な大容量の給紙カセット7c、7dが含まれている。又、図1に示す様に、これらの給紙カセット7a〜7dのうち、給紙カセット7a、7bは、略垂直方向に並設されており、給紙カセット7c、7dは、略水平方向に並設されている。
【0019】
用紙搬送部3に給紙された用紙9は、用紙供給経路10を経由して画像形成部4に向けて搬送される。この画像形成部4は、電子写真プロセスによって、用紙9に所定のトナー像を形成するものであり、所定の方向(図中の矢印方向)に回転可能に軸支された像端持体である感光体ドラム11と、この感光体ドラム11の周囲にその回転方向に沿って、帯電装置12、露光装置13、現像装置14、転写装置15、クリーニング装置16、及び除電装置17を備えている。
【0020】
帯電装置12は、高電圧が印加される帯電ワイヤを備えており、この帯電ワイヤからのコロナ放電によって感光体ドラム11の表面に所定電位を与えることにより、感光体ドラム11の表面が一様に帯電させられる。そして、露光装置13により、画像読取部6によって読み取られた原稿の画像データに基づく光が、感光体ドラム11に照射されることにより、感光体ドラム11の表面電位が選択的に減衰されて、この感光体ドラム11の表面に静電潜像が形成される。次いで、現像装置14により、上記静電潜像にトナーが付着し、感光体ドラム11の表面にトナー像が形成され、転写装置15により、感光体ドラム11の表面のトナー像が、感光体ドラム11と転写装置15との間に供給された用紙9に転写される。
【0021】
トナー像が転写された用紙9は、画像形成部4から定着部5に向けて搬送される。この定着部5は、画像形成部4の用紙搬送方向の下流側に配置されており、画像形成部4においてトナー像が転写された用紙9は、定着部5に設けられた加熱ローラ18、及び当該加熱ローラ18に押し付けられる加圧ローラ19によって挟まれるとともに加熱され、用紙9上にトナー像が定着される。次いで、画像形成部4から定着部5において画像形成がなされた用紙9は、排出ローラ対20によって排出トレイ21上に排出される。一方、上記転写後、感光体ドラム11の表面に残留しているトナーは、クリーニング装置16により除去され、感光体ドラム11の表面の残留電荷は、除電装置17により除去される。そして、感光体ドラム11は帯電装置12によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われることになる。
【0022】
次に、本実施形態の感光体ドラム装置について、図面を参照しながら説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置の概略構成を説明するための斜視図であり、図3は、本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大斜視図である。また、図4は、本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大断面図であり、図5は、図4に示す嵌合溝の拡大断面図である。また、図6は、本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大斜視図である。また、図7は、本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大断面図である。
【0023】
図2に示す様に、本実施形態の感光体ドラム装置30は、ドラム本体31と、当該ドラム本体31の長手方向の両端部において装着される2つのフランジ部材32と、画像形成装置本体1a側に設けられた駆動手段33により回転駆動される回転軸34とを備えている。
【0024】
ドラム本体31は、導電性金属を円筒状に構成したものであり、感光体ドラム11としては、例えば、アルミニウム基体からなるドラム本体31の外周面上に有機感光体(OPC)の感光層が形成されたものが使用される。また、ドラム本体31の両端部には、所定長さで肉厚の薄いフランジ嵌合部(不図示)が形成されている。
【0025】
フランジ部材32は、POM、ADCなどの樹脂により略円板形状に構成されており、外径がドラム本体31のフランジ嵌合部の内径と略同一に構成されている。また、フランジ部材32の中央に突設された突起35には、回転軸34が挿通される挿通孔36が穿設されている。そして、フランジ部材32の外周がドラム本体31の両端部に形成されたフランジ嵌合部に嵌合されて固定されるとともに、中央に設けられた挿通孔36に回転軸34が挿通されて、ドラム本体31とフランジ部材32が回転軸34と一体的に回転する構成となっている。なお、フランジ部材32は、ドラム本体31に圧入、または接着されることにより固定されている。
【0026】
また、図3に示す様に、回転軸34には、当該回転軸34の回転中心に交差する方向に貫通する係合孔37が設けられており、当該係合孔37にピン38(スプリングピン、または平行ピン)が挿通されている。そして、当該ピン38は、回転軸34の回転中心と交差する方向に両端が突出した状態で設けられている。
【0027】
また、図2に示す2つのフランジ部材32のうち、少なくとも一方(本実施形態においては、駆動手段33側に設けられたフランジ部材32)には、ピン38と嵌合する嵌合溝39が、挿通孔36に連設して設けられている。そして、ピン38を嵌合溝39に嵌合させることにより、回転軸34がフランジ部材32に固定され、回転軸34とフランジ部材32との結合が行われる構成となっている。
【0028】
また、図3、図4に示す様に、本実施形態の感光体ドラム装置30には、回転軸34の長手方向(図中の矢印Xの方向)に移動自在に設けられたカップリング部材40が設けられている。このカップリング部材40は、駆動手段33の駆動力を回転軸34に伝達するためのものである。より具体的には、回転軸34を、カップリング部材40に設けられた嵌合溝42に嵌合し、カップリング部材40に取り付けることにより、駆動手段33の駆動力が、カップリング部材40を介して回転軸34に伝達される構成となっている。また、弾性部材であるコイルバネ41が、駆動手段33側において、カップリング部材40に隣接して設けられており、当該コイルバネ41により、回転軸34が、カップリング部材40を介して、回転軸34の長手方向Xにおいてドラム本体31側に向けて付勢される構成となっている。
【0029】
ここで、本実施形態においては、回転軸34の長手方向Xにおけるフランジ部材32の嵌合溝39の形状に特徴がある。図4に示す様に、本実施形態においては、フランジ部材32の嵌合溝39は、当該嵌合溝39の幅(図4に示す矢印Y)が、回転軸34の長手方向Xの外側(駆動手段33側)から内側(ドラム本体31側)にかけて漸減するテーパ状に形成されており、図5に示す様に、嵌合溝39の、回転軸34の長手方向Xにおける内側の幅Y2が、回転軸34の長手方向Xにおける外側の幅Y1よりも小さく設定されている。また、嵌合溝39の、回転軸34の長手方向Xにおける外側の幅Y1が、ピン38の径Z(図3、図4参照)よりも大きく設定されるとともに、回転軸34の長手方向Xにおける内側の幅Y2が、ピン38の径Zよりも小さく設定されている。
【0030】
そして、図3、図4に示す状態から、ピン38を嵌合溝39に嵌合させると、図6、図7に示す様に、回転軸34がフランジ部材32に固定され、回転軸34とフランジ部材32との結合が行われる。この際、本実施形態においては、上述のごとく、フランジ部材32の嵌合溝39が、回転軸34の長手方向Xの外側から内側にかけて幅Yが漸減するテーパ状に形成されており、嵌合溝39の、回転軸34の長手方向Xにおける外側の幅Y1が、ピン38の径Zよりも大きく設定され、当該長手方向Xにおける内側の幅Y2が、ピン38の径Zよりも小さく設定されている。従って、図7に示す様に、ピン38の外周面と嵌合溝39のテーパ面が密着するため、嵌合溝39内において、ピン38を固定することが可能になり、ピン38と嵌合溝39とのガタの発生を効果的に防止できることになる。その結果、回転軸34からフランジ部材32に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を効果的に防止することが可能になる。
【0031】
また、本実施形態においては、回転軸34の長手方向Xにおいて、回転軸34をドラム本体31側に向けて付勢するコイルバネ41を設ける構成としている。従って、回転駆動中においても、ピン38の外周面と嵌合溝39のテーパ面との密着性を確実に維持することが可能になるため、ピン38と嵌合溝39とのガタの発生を確実に防止できることになる。その結果、回転軸34からフランジ部材32に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を確実に防止することが可能になる。
【0032】
なお、本実施形態においては、上述のごとく、嵌合溝39の、回転軸34の長手方向Xにおける外側の幅Y1が、ピン38の径Zよりも大きく設定されている。従って、ピン38を嵌合溝39に嵌合する際に、高い圧力によってピン38を嵌合溝39に圧入する必要がなくなり、感光体ドラム装置30の組立性が向上する。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図8は、本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大斜視図である。また、図9は、本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大断面図であり、図10は、図9に示す嵌合溝の拡大断面図である。また、図11は、本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大斜視図であり、図12は、本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大断面図である。また、図13は、本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンに作用する力を説明するための図である。
【0034】
なお、本実施形態においては、上記第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。又、画像形成装置の全体構成についても、上述の第1の実施形態と同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0035】
本実施形態においては、図10に示す様に、フランジ部材32の嵌合溝39は、当該嵌合溝39の幅Yが、回転軸34の長手方向Xの外側(駆動手段33側)から内側(ドラム本体31側)にかけて漸増するテーパ状に形成されており、嵌合溝39の、長手方向Xにおける内側の幅Y4が、回転軸34の長手方向Xにおける外側の幅Y3よりも大きく設定されている。また、嵌合溝39の、回転軸34の長手方向Xにおける外側の幅Y3と内側の幅Y4が、ピン38の径Zよりも大きく設定されている。
【0036】
そして、図8、図9に示す状態から、ピン38を嵌合溝39に嵌合させると、図11、図12に示す様に、回転軸34とフランジ部材32との結合が行われる。ここで、画像形成装置本体1a側に設けられた駆動手段33により回転軸34を駆動させ、図11に示す矢印Aの方向に回転軸34が回転すると、図13に示す様に、回転トルクにより、ピン38に対して図中の矢印Bの方向の力が作用する。また、上述のごとく、嵌合溝39が、回転軸34の長手方向Xの外側から内側にかけて幅Yが漸増するテーパ状に形成されているため、回転トルクにより、ピン38に対して回転軸34の長手方向Xにおける内側(ドラム本体31側)の方向である矢印Xaの方向に力が作用する。従って、ピン38に対して、嵌合溝39の、回転軸34の長手方向Xにおける内側端部43の方向(図中の矢印Cの方向)の力が作用するため、ピン38が嵌合溝39に食い込むことになる。従って、図13に示す様に、ピン38の外周面と嵌合溝39のテーパ面が密着するため、嵌合溝39内において、ピン38を固定することが可能になり、ピン38と嵌合溝39とのガタの発生を効果的に防止できることになる。その結果、回転軸34からフランジ部材32に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を効果的に防止することが可能になる。
【0037】
また、本実施形態においては、上述の第1の実施形態と同様に、嵌合溝39の、回転軸34の長手方向Xにおける外側の幅Y3が、ピン38の径Zよりも大きく設定されている。従って、ピン38を嵌合溝39に嵌合する際に、高い圧力によってピン38を嵌合溝39に圧入する必要がなくなり、感光体ドラム装置30の組立性が向上する。
【0038】
なお、上記実施形態は、単なる説明例であり、本発明の範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて各構成物品の形状、寸法、材料等を変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0039】
例えば、上記実施形態においては、画像形成装置の一例として、デジタル複写機を示したが、ファクシミリやプリンタ等の他の画像形成装置であっても良いことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の活用例としては、回転駆動される感光体ドラム装置およびそれを備えた複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置の概略構成を説明するための斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大断面図である。
【図5】図4に示す嵌合溝の拡大断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大断面図である。
【図10】図9に示す嵌合溝の拡大断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大斜視図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンに作用する力を説明するための図である。
【符号の説明】
【0042】
1…画像形成装置、1a…画像形成装置本体、2…給紙部、3…用紙搬送部、4…画像形成部、5…定着部、6…画像読取部、11…感光体ドラム、30…感光体ドラム装置、31…ドラム本体、32…フランジ部材、33…駆動手段、34…回転軸、35…突起、36…挿通孔、37…係合孔、38…ピン、39…嵌合溝、40…カップリング部材、41…コイルバネ、42…嵌合溝、43…嵌合溝の内側端部、X…回転軸34の長手方向、Y…嵌合溝の幅、Y1…嵌合溝の、回転軸の長手方向における外側の幅、Y2…嵌合溝の、回転軸の長手方向における内側の幅、Y3…嵌合溝の、回転軸の長手方向における外側の幅、Y4…嵌合溝の、回転軸の長手方向における内側の幅、Z…ピンの径
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転駆動される感光体ドラム装置およびそれを備えた複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真方式を用いた複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置においては、帯電装置により像担持体である感光体ドラムの表面が一様に帯電させられた後、画像読取部によって読み取られた画像に基づく光が、露光装置により感光体の表面に照射されて、その画像の静電潜像が形成され、その後、現像装置によりその静電潜像にトナーを付着させトナー像が形成される。
【0003】
また、画像形成装置に設けられる感光体ドラム装置は、一般に、円筒形状を有するドラム本体と、ドラム本体の長手方向の両端部において装着される2つのフランジ部材と、駆動手段により回転駆動され、フランジ部材に結合される回転軸とを備えている。この回転軸には、回転中心と交差する方向に両端が突出するピンが設けられるとともに、フランジ部材には、当該ピンと嵌合する嵌合溝が形成されている。そして、ピンと嵌合溝との嵌合により、回転軸とフランジ部材との結合が行われる構成となっている。
【0004】
また、一般に、回転軸とフランジ部材の結合を行う場合、ピンに対して嵌合溝を大きくすると、ピンと嵌合溝との間でガタが生じてしまうため、ピンに対して嵌合溝を小さく設定することにより、回転軸からフランジ部材に駆動を伝達する際のガタの発生を防止し、回転ムラを防止する方策が採られていた。しかし、ピンに対して嵌合溝を小さく設定すると、ピンを嵌合溝に嵌合する際に高い圧力が必要となるため、感光体ドラム装置の組立性が低下する等の問題が生じていた。また、ピンの太さにバラツキがあるため、嵌合溝に対して一定の接触位置で駆動を伝達することが困難になり、結果として、安定した回転が得られないという問題も生じていた。
【0005】
そこで、これらの問題点を解決するための感光体ドラム装置が提案されている。例えば、嵌合溝の一方の側壁面に突起を設け、当該突起により、嵌合溝に嵌合されるピンを嵌合溝の他方の側壁面に対して突き当てる感光体ドラム装置が開示されている。本構成により、ピンが嵌合溝内において、一方向に押し付けられて固定されるため、ピンと嵌合溝とのガタがなくなり、結果として、安定した回転を得ることができると記載されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−182527号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記従来の感光体ドラム装置の構成においては、ピンを嵌合溝に嵌合させる際に、当該ピンにより嵌合溝に設けられた突起が変形したり、潰れたりする場合がある。そうすると、嵌合溝内において、ピンを十分に固定することが困難になるため、ピンと嵌合溝とのガタの発生を効果的に防止できなくなり、結果として、回転ムラを十分に防止することができないという問題があった。
【0007】
そこで、本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、ピンと嵌合溝とのガタの発生を防止するとともに、回転軸からフランジ部材に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を防止する感光体ドラム装置およびそれを備えた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、画像形成装置本体に設けられた駆動手段により回転駆動される回転軸と、外周面に感光層を有するドラム本体と、回転軸の回転中心と交差する方向に両端が突出するピンと、ドラム本体の長手方向両端部に装着されるとともに、回転軸が挿通されて、回転軸と一体的に回転し、少なくとも一方にピンと嵌合する嵌合溝が設けられた2つのフランジ部材と、を備える感光体ドラム装置において、嵌合溝は、嵌合溝の幅が回転軸の長手方向における外側から内側にかけて漸減するテーパ状に形成されており、嵌合溝の、回転軸の長手方向における外側の幅がピンの径よりも大きく、回転軸の長手方向における内側の幅がピンの径よりも小さいことを特徴とする。
【0009】
請求項1に記載の構成によれば、ピンの外周面と嵌合溝のテーパ面が密着するため、嵌合溝内において、ピンを固定することが可能になり、ピンと嵌合溝とのガタの発生を効果的に防止できることになる。その結果、回転軸からフランジ部材に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を効果的に防止することが可能になる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、回転軸の長手方向において、回転軸をドラム本体側に向けて付勢する弾性部材を設けたことを特徴とする。
請求項2に記載の構成によれば、回転駆動中においても、ピンの外周面と嵌合溝のテーパ面との密着性を確実に維持することが可能になるため、ピンと嵌合溝とのガタの発生を確実に防止できることになる。その結果、回転軸からフランジ部材に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を確実に防止することが可能になる。
【0011】
なお、本発明のピンは、回転軸とフランジ部材との結合に適したものであれば良く、請求項3に記載の発明のように、スプリングピンまたは平行ピンを好適に使用することができる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、画像形成装置本体に設けられた駆動手段により回転駆動される回転軸と、外周面に感光層を有するドラム本体と、回転軸の回転中心と交差する方向に両端が突出するピンと、ドラム本体の長手方向両端部に装着されるとともに、回転軸が挿通されて、回転軸と一体的に回転し、少なくとも一方にピンと嵌合する嵌合溝が設けられた2つのフランジ部材と、を備える感光体ドラム装置において、嵌合溝は、嵌合溝の幅が回転軸の長手方向における外側から内側にかけて漸増するテーパ状に形成されていることを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の構成によれば、ピンが嵌合溝に食い込むことになるため、ピンの外周面と嵌合溝のテーパ面が密着し、嵌合溝内において、ピンを固定することが可能になり、ピンと嵌合溝とのガタの発生を効果的に防止できることになる。その結果、回転軸からフランジ部材に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を効果的に防止することが可能になる。
【0014】
なお、この場合も、本発明のピンは、回転軸とフランジ部材との結合に適したものであれば良く、請求項5に記載の発明のように、スプリングピンまたは平行ピンを好適に使用することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の感光体ドラム装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
請求項6に記載の構成によれば、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の感光体ドラム装置を備える構成としているため、請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の感光体ドラム装置と同じ効果を得ることが可能になる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ピンと嵌合溝とのガタの発生を効果的に防止することができ、結果として、回転軸からフランジ部材に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を効果的に防止することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
(第1の実施形態)
以下に、本発明の具体的な実施形態について図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。図1に示す様に、この画像形成装置1は、複写機であり、画像形成装置本体1aの下部に配設された給紙部2と、この給紙部2の側方及び上方に配設された用紙搬送部3と、この用紙搬送部3の上方に配設された画像形成部4と、この画像形成部4よりも排出側に配設された定着部5と、これらの画像形成部4、及び定着部5の上方に配設された画像読取部6を備えている。
【0018】
給紙部2は、用紙9が収容された複数(本実施形態においては4つ)の給紙カセット7a〜7dを備えており、給紙ローラ(又は、ピックアップローラ)8の回転動作により、当該複数の給紙カセット7a〜7dのうち選択されたものから用紙9が用紙搬送部3側に送り出され、用紙9が1枚ずつ確実に用紙搬送部3に給紙されるように構成されている。尚、上記複数の給紙カセット7a〜7dには、大容量の用紙9を積載収容可能な大容量の給紙カセット7c、7dが含まれている。又、図1に示す様に、これらの給紙カセット7a〜7dのうち、給紙カセット7a、7bは、略垂直方向に並設されており、給紙カセット7c、7dは、略水平方向に並設されている。
【0019】
用紙搬送部3に給紙された用紙9は、用紙供給経路10を経由して画像形成部4に向けて搬送される。この画像形成部4は、電子写真プロセスによって、用紙9に所定のトナー像を形成するものであり、所定の方向(図中の矢印方向)に回転可能に軸支された像端持体である感光体ドラム11と、この感光体ドラム11の周囲にその回転方向に沿って、帯電装置12、露光装置13、現像装置14、転写装置15、クリーニング装置16、及び除電装置17を備えている。
【0020】
帯電装置12は、高電圧が印加される帯電ワイヤを備えており、この帯電ワイヤからのコロナ放電によって感光体ドラム11の表面に所定電位を与えることにより、感光体ドラム11の表面が一様に帯電させられる。そして、露光装置13により、画像読取部6によって読み取られた原稿の画像データに基づく光が、感光体ドラム11に照射されることにより、感光体ドラム11の表面電位が選択的に減衰されて、この感光体ドラム11の表面に静電潜像が形成される。次いで、現像装置14により、上記静電潜像にトナーが付着し、感光体ドラム11の表面にトナー像が形成され、転写装置15により、感光体ドラム11の表面のトナー像が、感光体ドラム11と転写装置15との間に供給された用紙9に転写される。
【0021】
トナー像が転写された用紙9は、画像形成部4から定着部5に向けて搬送される。この定着部5は、画像形成部4の用紙搬送方向の下流側に配置されており、画像形成部4においてトナー像が転写された用紙9は、定着部5に設けられた加熱ローラ18、及び当該加熱ローラ18に押し付けられる加圧ローラ19によって挟まれるとともに加熱され、用紙9上にトナー像が定着される。次いで、画像形成部4から定着部5において画像形成がなされた用紙9は、排出ローラ対20によって排出トレイ21上に排出される。一方、上記転写後、感光体ドラム11の表面に残留しているトナーは、クリーニング装置16により除去され、感光体ドラム11の表面の残留電荷は、除電装置17により除去される。そして、感光体ドラム11は帯電装置12によって再び帯電され、以下同様にして画像形成が行われることになる。
【0022】
次に、本実施形態の感光体ドラム装置について、図面を参照しながら説明する。図2は、本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置の概略構成を説明するための斜視図であり、図3は、本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大斜視図である。また、図4は、本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大断面図であり、図5は、図4に示す嵌合溝の拡大断面図である。また、図6は、本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大斜視図である。また、図7は、本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大断面図である。
【0023】
図2に示す様に、本実施形態の感光体ドラム装置30は、ドラム本体31と、当該ドラム本体31の長手方向の両端部において装着される2つのフランジ部材32と、画像形成装置本体1a側に設けられた駆動手段33により回転駆動される回転軸34とを備えている。
【0024】
ドラム本体31は、導電性金属を円筒状に構成したものであり、感光体ドラム11としては、例えば、アルミニウム基体からなるドラム本体31の外周面上に有機感光体(OPC)の感光層が形成されたものが使用される。また、ドラム本体31の両端部には、所定長さで肉厚の薄いフランジ嵌合部(不図示)が形成されている。
【0025】
フランジ部材32は、POM、ADCなどの樹脂により略円板形状に構成されており、外径がドラム本体31のフランジ嵌合部の内径と略同一に構成されている。また、フランジ部材32の中央に突設された突起35には、回転軸34が挿通される挿通孔36が穿設されている。そして、フランジ部材32の外周がドラム本体31の両端部に形成されたフランジ嵌合部に嵌合されて固定されるとともに、中央に設けられた挿通孔36に回転軸34が挿通されて、ドラム本体31とフランジ部材32が回転軸34と一体的に回転する構成となっている。なお、フランジ部材32は、ドラム本体31に圧入、または接着されることにより固定されている。
【0026】
また、図3に示す様に、回転軸34には、当該回転軸34の回転中心に交差する方向に貫通する係合孔37が設けられており、当該係合孔37にピン38(スプリングピン、または平行ピン)が挿通されている。そして、当該ピン38は、回転軸34の回転中心と交差する方向に両端が突出した状態で設けられている。
【0027】
また、図2に示す2つのフランジ部材32のうち、少なくとも一方(本実施形態においては、駆動手段33側に設けられたフランジ部材32)には、ピン38と嵌合する嵌合溝39が、挿通孔36に連設して設けられている。そして、ピン38を嵌合溝39に嵌合させることにより、回転軸34がフランジ部材32に固定され、回転軸34とフランジ部材32との結合が行われる構成となっている。
【0028】
また、図3、図4に示す様に、本実施形態の感光体ドラム装置30には、回転軸34の長手方向(図中の矢印Xの方向)に移動自在に設けられたカップリング部材40が設けられている。このカップリング部材40は、駆動手段33の駆動力を回転軸34に伝達するためのものである。より具体的には、回転軸34を、カップリング部材40に設けられた嵌合溝42に嵌合し、カップリング部材40に取り付けることにより、駆動手段33の駆動力が、カップリング部材40を介して回転軸34に伝達される構成となっている。また、弾性部材であるコイルバネ41が、駆動手段33側において、カップリング部材40に隣接して設けられており、当該コイルバネ41により、回転軸34が、カップリング部材40を介して、回転軸34の長手方向Xにおいてドラム本体31側に向けて付勢される構成となっている。
【0029】
ここで、本実施形態においては、回転軸34の長手方向Xにおけるフランジ部材32の嵌合溝39の形状に特徴がある。図4に示す様に、本実施形態においては、フランジ部材32の嵌合溝39は、当該嵌合溝39の幅(図4に示す矢印Y)が、回転軸34の長手方向Xの外側(駆動手段33側)から内側(ドラム本体31側)にかけて漸減するテーパ状に形成されており、図5に示す様に、嵌合溝39の、回転軸34の長手方向Xにおける内側の幅Y2が、回転軸34の長手方向Xにおける外側の幅Y1よりも小さく設定されている。また、嵌合溝39の、回転軸34の長手方向Xにおける外側の幅Y1が、ピン38の径Z(図3、図4参照)よりも大きく設定されるとともに、回転軸34の長手方向Xにおける内側の幅Y2が、ピン38の径Zよりも小さく設定されている。
【0030】
そして、図3、図4に示す状態から、ピン38を嵌合溝39に嵌合させると、図6、図7に示す様に、回転軸34がフランジ部材32に固定され、回転軸34とフランジ部材32との結合が行われる。この際、本実施形態においては、上述のごとく、フランジ部材32の嵌合溝39が、回転軸34の長手方向Xの外側から内側にかけて幅Yが漸減するテーパ状に形成されており、嵌合溝39の、回転軸34の長手方向Xにおける外側の幅Y1が、ピン38の径Zよりも大きく設定され、当該長手方向Xにおける内側の幅Y2が、ピン38の径Zよりも小さく設定されている。従って、図7に示す様に、ピン38の外周面と嵌合溝39のテーパ面が密着するため、嵌合溝39内において、ピン38を固定することが可能になり、ピン38と嵌合溝39とのガタの発生を効果的に防止できることになる。その結果、回転軸34からフランジ部材32に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を効果的に防止することが可能になる。
【0031】
また、本実施形態においては、回転軸34の長手方向Xにおいて、回転軸34をドラム本体31側に向けて付勢するコイルバネ41を設ける構成としている。従って、回転駆動中においても、ピン38の外周面と嵌合溝39のテーパ面との密着性を確実に維持することが可能になるため、ピン38と嵌合溝39とのガタの発生を確実に防止できることになる。その結果、回転軸34からフランジ部材32に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を確実に防止することが可能になる。
【0032】
なお、本実施形態においては、上述のごとく、嵌合溝39の、回転軸34の長手方向Xにおける外側の幅Y1が、ピン38の径Zよりも大きく設定されている。従って、ピン38を嵌合溝39に嵌合する際に、高い圧力によってピン38を嵌合溝39に圧入する必要がなくなり、感光体ドラム装置30の組立性が向上する。
【0033】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図8は、本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大斜視図である。また、図9は、本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大断面図であり、図10は、図9に示す嵌合溝の拡大断面図である。また、図11は、本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大斜視図であり、図12は、本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大断面図である。また、図13は、本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンに作用する力を説明するための図である。
【0034】
なお、本実施形態においては、上記第1の実施形態と同様の構成部分については同一の符号を付してその説明を省略する。又、画像形成装置の全体構成についても、上述の第1の実施形態と同様であるため、ここでは詳しい説明を省略する。
【0035】
本実施形態においては、図10に示す様に、フランジ部材32の嵌合溝39は、当該嵌合溝39の幅Yが、回転軸34の長手方向Xの外側(駆動手段33側)から内側(ドラム本体31側)にかけて漸増するテーパ状に形成されており、嵌合溝39の、長手方向Xにおける内側の幅Y4が、回転軸34の長手方向Xにおける外側の幅Y3よりも大きく設定されている。また、嵌合溝39の、回転軸34の長手方向Xにおける外側の幅Y3と内側の幅Y4が、ピン38の径Zよりも大きく設定されている。
【0036】
そして、図8、図9に示す状態から、ピン38を嵌合溝39に嵌合させると、図11、図12に示す様に、回転軸34とフランジ部材32との結合が行われる。ここで、画像形成装置本体1a側に設けられた駆動手段33により回転軸34を駆動させ、図11に示す矢印Aの方向に回転軸34が回転すると、図13に示す様に、回転トルクにより、ピン38に対して図中の矢印Bの方向の力が作用する。また、上述のごとく、嵌合溝39が、回転軸34の長手方向Xの外側から内側にかけて幅Yが漸増するテーパ状に形成されているため、回転トルクにより、ピン38に対して回転軸34の長手方向Xにおける内側(ドラム本体31側)の方向である矢印Xaの方向に力が作用する。従って、ピン38に対して、嵌合溝39の、回転軸34の長手方向Xにおける内側端部43の方向(図中の矢印Cの方向)の力が作用するため、ピン38が嵌合溝39に食い込むことになる。従って、図13に示す様に、ピン38の外周面と嵌合溝39のテーパ面が密着するため、嵌合溝39内において、ピン38を固定することが可能になり、ピン38と嵌合溝39とのガタの発生を効果的に防止できることになる。その結果、回転軸34からフランジ部材32に駆動を伝達する際の回転ムラの発生を効果的に防止することが可能になる。
【0037】
また、本実施形態においては、上述の第1の実施形態と同様に、嵌合溝39の、回転軸34の長手方向Xにおける外側の幅Y3が、ピン38の径Zよりも大きく設定されている。従って、ピン38を嵌合溝39に嵌合する際に、高い圧力によってピン38を嵌合溝39に圧入する必要がなくなり、感光体ドラム装置30の組立性が向上する。
【0038】
なお、上記実施形態は、単なる説明例であり、本発明の範囲は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて各構成物品の形状、寸法、材料等を変更することが可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【0039】
例えば、上記実施形態においては、画像形成装置の一例として、デジタル複写機を示したが、ファクシミリやプリンタ等の他の画像形成装置であっても良いことは言うまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明の活用例としては、回転駆動される感光体ドラム装置およびそれを備えた複写機、プリンタ装置、ファクシミリ装置等の画像形成装置が挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る画像形成装置の全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置の概略構成を説明するための斜視図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大斜視図である。
【図4】本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大断面図である。
【図5】図4に示す嵌合溝の拡大断面図である。
【図6】本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大斜視図である。
【図7】本発明の第1の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大断面図である。
【図8】本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合する前の状態を示す要部拡大断面図である。
【図10】図9に示す嵌合溝の拡大断面図である。
【図11】本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大斜視図である。
【図12】本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンを嵌合溝に嵌合した状態を示す要部拡大断面図である。
【図13】本発明の第2の実施形態に係る感光体ドラム装置におけるピンに作用する力を説明するための図である。
【符号の説明】
【0042】
1…画像形成装置、1a…画像形成装置本体、2…給紙部、3…用紙搬送部、4…画像形成部、5…定着部、6…画像読取部、11…感光体ドラム、30…感光体ドラム装置、31…ドラム本体、32…フランジ部材、33…駆動手段、34…回転軸、35…突起、36…挿通孔、37…係合孔、38…ピン、39…嵌合溝、40…カップリング部材、41…コイルバネ、42…嵌合溝、43…嵌合溝の内側端部、X…回転軸34の長手方向、Y…嵌合溝の幅、Y1…嵌合溝の、回転軸の長手方向における外側の幅、Y2…嵌合溝の、回転軸の長手方向における内側の幅、Y3…嵌合溝の、回転軸の長手方向における外側の幅、Y4…嵌合溝の、回転軸の長手方向における内側の幅、Z…ピンの径
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置本体に設けられた駆動手段により回転駆動される回転軸と、外周面に感光層を有するドラム本体と、前記回転軸の回転中心と交差する方向に両端が突出するピンと、前記ドラム本体の長手方向両端部に装着されるとともに、前記回転軸が挿通されて、前記回転軸と一体的に回転し、少なくとも一方に前記ピンと嵌合する嵌合溝が設けられた2つのフランジ部材と、を備える感光体ドラム装置において、
前記嵌合溝は、前記嵌合溝の幅が前記回転軸の長手方向における外側から内側にかけて漸減するテーパ状に形成されており、前記嵌合溝の、前記回転軸の長手方向における外側の幅が前記ピンの径よりも大きく、前記回転軸の長手方向における内側の幅が前記ピンの径よりも小さいことを特徴とする感光体ドラム装置。
【請求項2】
前記回転軸の長手方向において、前記回転軸を前記ドラム本体側に向けて付勢する弾性部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の感光体ドラム装置。
【請求項3】
前記ピンが、スプリングピンまたは平行ピンであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感光体ドラム装置。
【請求項4】
画像形成装置本体に設けられた駆動手段により回転駆動される回転軸と、外周面に感光層を有するドラム本体と、前記回転軸の回転中心と交差する方向に両端が突出するピンと、前記ドラム本体の長手方向両端部に装着されるとともに、前記回転軸が挿通されて、前記回転軸と一体的に回転し、少なくとも一方に前記ピンと嵌合する嵌合溝が設けられた2つのフランジ部材と、を備える感光体ドラム装置において、
前記嵌合溝は、前記嵌合溝の幅が前記回転軸の長手方向における外側から内側にかけて漸増するテーパ状に形成されていることを特徴とする感光体ドラム装置。
【請求項5】
前記ピンが、スプリングピンまたは平行ピンであることを特徴とする請求項4に記載の感光体ドラム装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の感光体ドラム装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
画像形成装置本体に設けられた駆動手段により回転駆動される回転軸と、外周面に感光層を有するドラム本体と、前記回転軸の回転中心と交差する方向に両端が突出するピンと、前記ドラム本体の長手方向両端部に装着されるとともに、前記回転軸が挿通されて、前記回転軸と一体的に回転し、少なくとも一方に前記ピンと嵌合する嵌合溝が設けられた2つのフランジ部材と、を備える感光体ドラム装置において、
前記嵌合溝は、前記嵌合溝の幅が前記回転軸の長手方向における外側から内側にかけて漸減するテーパ状に形成されており、前記嵌合溝の、前記回転軸の長手方向における外側の幅が前記ピンの径よりも大きく、前記回転軸の長手方向における内側の幅が前記ピンの径よりも小さいことを特徴とする感光体ドラム装置。
【請求項2】
前記回転軸の長手方向において、前記回転軸を前記ドラム本体側に向けて付勢する弾性部材を設けたことを特徴とする請求項1に記載の感光体ドラム装置。
【請求項3】
前記ピンが、スプリングピンまたは平行ピンであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感光体ドラム装置。
【請求項4】
画像形成装置本体に設けられた駆動手段により回転駆動される回転軸と、外周面に感光層を有するドラム本体と、前記回転軸の回転中心と交差する方向に両端が突出するピンと、前記ドラム本体の長手方向両端部に装着されるとともに、前記回転軸が挿通されて、前記回転軸と一体的に回転し、少なくとも一方に前記ピンと嵌合する嵌合溝が設けられた2つのフランジ部材と、を備える感光体ドラム装置において、
前記嵌合溝は、前記嵌合溝の幅が前記回転軸の長手方向における外側から内側にかけて漸増するテーパ状に形成されていることを特徴とする感光体ドラム装置。
【請求項5】
前記ピンが、スプリングピンまたは平行ピンであることを特徴とする請求項4に記載の感光体ドラム装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の感光体ドラム装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2006−227098(P2006−227098A)
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−37953(P2005−37953)
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年8月31日(2006.8.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月15日(2005.2.15)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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