説明

感光性樹脂組成物、レジストパターンの形成方法、プリント配線板の製造方法及びプラズマディスプレイパネル用基板の製造方法

【課題】高い感度を有しながら、高い解像度で良好な形状のレジストパターンの形成が可能な感光性樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】(A)重量平均分子量が35000〜65000であるバインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有し、(B)成分が、(B1)エチレン性不飽和結合を1つ有する光重合性化合物、(B2)エチレン性不飽和結合を2つ有する光重合性化合物、及び(B3)エチレン性不飽和結合を3つ以上有する光重合性化合物を含み、(B3)成分の(B)成分全体量に対する比率が15〜30質量%である、感光性樹脂組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光性樹脂組成物、レジストパターンの形成方法、プリント配線板の製造方法及びプラズマディスプレイパネル用基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板の製造におけるエッチングやめっきなどの際にマスクとして用いられるレジストパターンを形成させるためのレジスト材料として、感光性樹脂組成物が用いられる。感光性樹脂組成物は、感光性樹脂組成物からなる層(以下「感光層」という)を支持フィルム上に形成させた感光性エレメントの形態で広く用いられている。
【0003】
従来、感光性エレメントを用いたプリント配線板の製造においては、銅張積層板などの回路形成用基板上に、感光層が回路形成用基板に密着するように感光性エレメントを加熱しながら圧着し、マスクフィルム等を介して感光層に対してパターン露光する。露光後、未露光部を現像液に溶解又は分散させて除去することにより、レジストパターンが形成される。形成されたレジストパターンをマスクとして用いたエッチング又はめっきにより導体パターンが形成される。導体パターンの形成の後、通常、レジストパターンは最終的に除去される。
【0004】
エッチングにより導体パターンを形成させる場合、例えば、レジストパターンによって被覆されていない部分の銅箔をエッチングにより除去した後、レジストパターンを剥離する。めっきにより導体パターンを形成させる場合、例えば、レジストパターンによって被覆されていない部分の銅箔上に銅、半田等の層をめっきにより形成した後、レジストパターンを除去し、レジストパターンによって被覆されていた部分の銅箔をエッチングにより除去する。
【0005】
ところで、フラットパネルパネルディスプレイ(以下「FPD」という)の分野において、液晶パネルに比べて高速の表示が可能であり、また大型化が容易であることから、プラズマディスプレイパネル(以下「PDP」という)がOA機器、広報表示装置等の分野に浸透している。さらに、高品位テレビジョンの分野などでPDPの進展が非常に期待されている。このような用途拡大に伴って、微細で多数の表示セルを有するカラーPDPが注目されている。
【0006】
PDPは、ガラス基板と背面ガラス基板との間に形成された放電空間内で電極間にプラズマ放電を生じさせ、放電空間内に封入されているガスから発生した紫外線を放電空間内の蛍光体に当てることにより表示を行う。放電の広がりを一定領域に抑えると同時に、均一な放電空間を確保するために、隔壁(以下「リブ」という)によって放電空間が仕切られている。リブは、およそ幅20〜80μm、高さ60〜200μmの形状を有する。
【0007】
このリブの形成方法としては、サンドブラスト法、スクリーン印刷法、感光性ペースト法、フォト埋め込み法、型転写法等が知られている。さらには、SID(Society for Information Display)において、Photonics Systems社,Dupont社、LG Micron社から提唱されているウェットエッチングプロセスが新工法として注目されている。これらリブの形成においても、殆どの場合、感光性樹脂組成物をパターン露光する工程が取り入れられている。
【0008】
パターン露光に関して、水銀灯光源から発せられる光のうち波長365nm以下の光をフィルタを使用して99.5%以上カットした活性光線をパターン露光に使用する技術が提案されている。また、近年、波長405nmの光を発振する、長寿命で高出力な窒化ガリウム系青色レーザ光源が安価に入手可能になり、これもパターン露光の光源として使用する技術が提案されている。
【0009】
パターン露光は、従来、水銀灯を光源として用いてフォトマスクを介して行われるのが一般的であったが、近年、DLP(Digital Light Processing)露光法という直接描画法が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。この露光法でも、水銀灯光源から発せられる光のうち波長365nm以下の光をフィルタを使用して99.5%以上カットした活性光線や、青色レーザ光源を使用する場合がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】エレクトロニクス実装技術2002年6月号、p.74〜79
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
生産のスループットを向上させるためには、露光時間を短縮することが望ましい。そのためには、感光性樹脂組成物は高い感度を有することが求められる。特に直接描画法は、従来のフォトマスクを用いたパターン露光と比較して高い照度を確保することが困難なため、より長い露光時間を要する傾向がある。
【0012】
光開始剤及び増感剤を適宜組合わせることによって、感光性樹脂組成物の高感度化を図ることも可能である。しかし、この場合、解像度が低下したり、形成されるレジストパターンの形状が乱れて、レジストパターンの断面形状が整った矩形となり難くなったりする傾向がある。そのため、従来の感光性樹脂組成物の場合、高い感度と、高い解像度及び良好な形状のレジストパターンとを両立させることはできなかった。
【0013】
そこで、本発明は、高い感度を有しながら、高い解像度で良好な形状のレジストパターンの形成が可能な感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは、上記課題を解決するため、バインダーポリマーと光重合性化合物の組成に着目して鋭意検討を行った結果、特定範囲の重量平均分子量を有するバインダーポリマーを用い、これに特定組成の光重合性化合物を組合わせることにより、高い感度を有しながら、高い解像度で良好な形状のレジストパターンの形成が可能な感光性樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0015】
すなわち、本発明は、(A)重量平均分子量が35000〜65000であるバインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有し、(B)成分が、(B1)エチレン性不飽和結合を1つ有する光重合性化合物、(B2)エチレン性不飽和結合を2つ有する光重合性化合物、及び(B3)エチレン性不飽和結合を3つ以上有する光重合性化合物を含み、(B3)成分の(B)成分全体に対する比率が15〜30質量%である、感光性樹脂組成物である。
【0016】
(B2)成分の(B)成分全体量に対する比率は40〜70質量%であることが好ましい。(B2)成分の比率がこの範囲内にない場合、解像度向上の効果が低下する傾向にある。
【0017】
(B1)成分の(B)成分全体量に対する比率は15〜30質量%であることが好ましい。(B1)成分の比率がこの範囲内にない場合、現像残渣が発生し易く、解像度向上の効果が低下する傾向がある。
【0018】
(C)成分は2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含むことが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の密着性及び感度が更に改善される。
【0019】
上記感光性樹脂組成物は、(D)成分として増感色素を更に含有することが好ましい。これにより、感光性樹脂組成物の感度が更に高められる。
【0020】
本発明に係るレジストパターンの形成方法においては、上記感光性樹脂組成物からなる感光層に活性光線を照射した後、感光層の一部を除去してレジストパターンを形成させる。
【0021】
本発明に係るプリント配線板の製造方法は、上記本発明に係るレジストパターンの形成方法によりレジストパターンを形成させる工程と、形成されたレジストパターンをマスクとして用いたエッチング又はめっきにより導体パターンを形成させる工程と、を備える。
【0022】
本発明はまた、基板及び該基板上に形成されたリブを有するプラズマディスプレイパネル用基板の製造方法であって、上記本発明に係るレジストパターンの形成方法によりレジストパターンを形成させる工程と、形成されたレジストパターンをマスクとして用いてリブ前駆体膜の一部を除去してこれをパターン化する工程と、パターン化されたリブ前駆体膜からリブを形成させる工程と、を備える製造方法である。
【0023】
本発明に係る感光性樹脂組成物は、プラズマディスプレイパネルに用いられるリブ材料との密着性が良好であり、プラズマディスプレイパネルの製造において密着性と解像性を高いレベルで両立することが可能である。さらに、リブ材からの剥離性も良好である。すなわち、本発明に係る感光性樹脂組成物は、リブを有するプラズマディスプレイパネル用基板の製造に用いたときにも有用なものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、高い感度を有しながら、高い解像度で良好な形状のレジストパターンの形成が可能な感光性樹脂組成物が提供される。
【0025】
本発明に係るレジストパターンの形成方法によれば、高い解像度で良好な形状のレジストパターンを短い露光時間で形成させることが可能である。
【0026】
本発明に係るプリント配線板の製造方法によれば、高密度にパターン化された導体パターンを有するプリント配線板を高いスループットで製造することが可能である。
【0027】
本発明に係るプラズマディスプレイパネル用基板の製造方法によれば、高密度にパターン化されたリブを有するプラズマディスプレイパネル用基板を高いスループットで製造することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明に係るレジストパターンの形成方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図2】本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【図3】本発明に係るプラズマディスプレイパネル用基板の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸又はメタクリル酸のことを意味し、「(メタ)アクリレート」はアクリレート又はそれに対応するメタクリレートのことを意味し、「(メタ)アクリロイル基」はアクリロイル基又はメタクリロイル基のことを意味する。
【0030】
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、少なくとも、(A)重量平均分子量が35000〜65000であるバインダーポリマー、(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び(C)光重合開始剤を含有する。この感光性樹脂組成物は、支持フィルム及び該支持フィルム上に形成された感光層を有する感光性エレメントの感光層を構成する樹脂として好適に用いられる。この場合、感光層の支持フィルムと反対側の面は、通常、樹脂製の保護フィルムで覆われている。保護フィルムはレジストパターンの形成等の際に適宜剥離される。
【0031】
(A)成分であるバインダーポリマーとしては、光重合性化合物等の他の成分を溶解又は分散させることが可能なポリマーが用いられる。バインダーポリマーは、1種類のポリマーから構成されていてもよいし、2種類以上のポリマーの組み合わせから構成されていてもよい。2種類以上のポリマーを組み合わせる場合、例えば、共重合成分、重量平均分子量、又は分散度が互いに異なるポリマーの組み合わせを適用することができる。また、特開平11−327137号公報に記載のようなマルチモード分子量分布を有するポリマーを使用することもできる。
【0032】
バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)は35000〜65000である。Mwが35000未満であると、感光層の露光部分の一部が現像時に除去されて、レジストパターンの下部が欠けてしまい易くなる。一方、Mwが65000を超えると、レジストパターンがその下部において幅が拡がった形状となり易くなる。このように、レジストパターンの断面形状が整った矩形でなくなると、レジストパターンをマスクとして用いるエッチングやメッキ等の工程の精度が低下する。同様の観点から、バインダーポリマーの重量平均分子量は40000〜60000であることがより好ましく、45000〜56000にあることが更に好ましい。
【0033】
バインダーポリマーの分散度(Mw/Mn)は1.0〜3.0であることが好ましく、1.0〜2.0であることがより好ましい。分散度が3.0を超えると感光性樹脂組成物の密着性及び解像度が低下する傾向がある。
【0034】
バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンを用いた検量線による換算値として求められる。
【0035】
バインダーポリマーとしては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、エポキシ系樹脂、アミド系樹脂、アミドエポキシ系樹脂、アルキド系樹脂、フェノール系樹脂等が挙げられる。アルカリ現像性の見地からは、(メタ)アクリル酸エステルを共重合成分として含むアクリル系樹脂が好ましい。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
バインダーポリマーは、スチレン又はスチレン誘導体に由来するモノマー単位を有することが好ましい。これらモノマー単位を有していることにより、感光層が、回路形成用基板等に対する良好な密着性及び剥離特性を有するものとなる。ここで、「スチレン誘導体」とは、スチレンにおける水素原子が置換基(例えば、アルキル基等の有機基やハロゲン原子)で置換された化合物をいう。スチレン誘導体の具体例としては、ビニルトルエン、α−メチルスチレンがある。
【0037】
上記と同様の観点から、スチレン又はスチレン誘導体に由来するモノマー単位の比率は、ポリマーの全体質量を基準として3〜30質量%であることが好ましく、4〜28質量%であることがより好ましく、5〜27質量%であることが特に好ましい。この比率が3質量%未満では密着性が低下する傾向があり、30質量%を超えると剥離特性が低下する傾向がある。
【0038】
また、密着性及び剥離特性の観点から、バインダーポリマーはメタクリル酸に由来するモノマー単位を有することが好ましい。特に、メタクリル酸、メタクリル酸アルキルエステル及びスチレンを共重合させたポリマーがバインダーポリマーとして好適に用いられる。
【0039】
バインダーポリマーは、例えば、重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。重合性単量体としては、スチレン、スチレン誘導体、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、(メタ)アクリル酸等が用いられる。
【0040】
その他の重合性単量体として、ジアセトンアクリルアミドなどのアクリルアミド、アクリロニトリル、ビニル−n−ブチルエーテル等のビニルアルコールのエステル類、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリルエステル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸ジエチルアミノエチルエステル、(メタ)アクリル酸グリシジルエステル、2,2,2−トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、α−ブロモ(メタ)アクリル酸、α−クロル(メタ)アクリル酸、β−フリル(メタ)アクリル酸、β−スチリル(メタ)アクリル酸、マレイン酸、マレイン酸無水物、マレイン酸モノメチル、マレイン酸モノエチル及びマレイン酸モノイソプロピル等のマレイン酸モノエステル、フマール酸、ケイ皮酸、α−シアノケイ皮酸、イタコン酸、クロトン酸、プロピオール酸が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を任意に組み合わせて用いることができる。
【0041】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、例えば、下記一般式(I)で表される。式(I)中、Rは水素原子又はメチル基を示し、Rは炭素数1〜12のアルキル基を示す。Rは水酸基、エポキシ基、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。
【0042】
【化1】

【0043】
式(I)中のRで示される炭素数1〜12のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基及びこれらの構造異性体が挙げられる。
【0044】
式(I)で表される(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好適な具体例としては、(メタ)アクリル酸メチルエステル、(メタ)アクリル酸エチルエステル、(メタ)アクリル酸プロピルエステル、(メタ)アクリル酸ブチルエステル、(メタ)アクリル酸ペンチルエステル、(メタ)アクリル酸ヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ヘプチルエステル、(メタ)アクリル酸オクチルエステル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシルエステル、(メタ)アクリル酸ノニルエステル、(メタ)アクリル酸デシルエステル、(メタ)アクリル酸ウンデシルエステル、(メタ)アクリル酸ドデシルエステルが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を任意に組み合わせて用いることができる。
【0045】
バインダーポリマーは、アルカリ溶液を用いてアルカリ現像を行う場合の現像性を良好なものとするために、カルボキシル基を有するポリマーを含むことが好ましい。カルボキシル基を有するポリマーは、例えば、カルボキシル基を有する重合性単量体とその他の重合性単量体をラジカル重合させることにより製造することができる。
【0046】
バインダーポリマーがカルボキシル基を有するポリマーを含む場合、バインダーポリマーの酸価は、30〜200mgKOH/gであることが好ましく、45〜150mgKOH/gであることがより好ましい。この酸価が30mgKOH/g未満では現像時間が長くなる傾向があり、200mgKOH/gを超えると光硬化したレジストの耐現像液性が低下する傾向がある。
【0047】
有機溶剤を現像液として用いる場合は、バインダーポリマーにおけるカルボキシル基を有する重合性単量体の割合を低くすることが好ましい。
【0048】
バインダーポリマーは、波長350〜440nmの光に対して感光性を有する官能基を有するポリマーを含んでいてもよい。
【0049】
(B)成分の光重合性化合物は、光重合性のエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する複数種の光重合性化合物からなる。光重合性化合物としては、例えば、多価アルコールとα,β−不飽和カルボン酸とのエステル、ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物、グリシジル基含有化合物にα,β−不飽和カルボン酸を反応させて得られる化合物、分子内にウレタン結合を有する(メタ)アクリレート化合物等のウレタンモノマー、ノニルフェノキシポリエチレンオキシアクリレート、フタル酸系化合物、(メタ)アクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0050】
光重合性化合物は、(B1)エチレン性不飽和結合を1つ有する光重合性化合物と、(B2)エチレン性不飽和結合を2つ有する光重合性化合物と、(B3)エチレン性不飽和結合を3つ以上有する光重合性化合物とを含む。(B3)成分が有するエチレン性不飽和結合の数の上限は、8程度とすることが好ましい。
【0051】
(B1)成分としては、例えば、2−エチルヘキシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンチルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、イソペンチルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘプチルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクチルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノニルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、デシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ウンデシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ドデシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリデシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、テトラデシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタデシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサデシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘプタデシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレートオクタデシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ノナデシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、イコシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロプロピルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロブチルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロペンチルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロヘキシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロオクチルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロノニルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、シクロデシルポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレンオキシ−ポリプロピレンオキシ(メタ)アクリレート、オクチルフェノキシヘキサエチレンオキシ(メタ)アクリレート、オクチルフェノキシヘプタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、オクチルフェノキシオクタエチレンオキシ(メタ)アクリレート、オクチルフェノキシノナエチレンオキシ(メタ)アクリレート、オクチルフェノキシデカエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレート、ノニルフェノキシポリエチレンオキシ−ポリプロピレンオキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル基を有するフタル酸誘導体が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、ノニルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル基を有するフタル酸誘導体が特に好ましい。
【0052】
ノニルフェノキシポリエチレンオキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ノニルフェノキシテトラエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシペンタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘキサエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシヘプタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシオクタエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシノナエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシデカエチレンオキシアクリレート、ノニルフェノキシウンデカエチレンオキシアクリレートが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を任意に組み合わせて用いることができる。
【0053】
(メタ)アクリル基を有するフタル酸誘導体としては、γ−クロロ−β−ヒドロキシプロピル−β’−(メタ)アクリロイルオキシエチル−o−フタレート、β−ヒドロキシアルキル−β’−(メタ)アクリロルオキシアルキル−o−フタレートが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を任意に組み合わせて用いることができる。
【0054】
(B2)成分としては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14であるポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレン基の数が2〜14であるポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレン基の数が2〜14でありプロピレン基の数が2〜14であるポリエチレン・ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールA系ジ(メタ)アクリレート、分子内にウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート、ビス(アクリルオキシエチル)ヒドロキシエチルイソシアヌレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、フタル酸グリシジルエステルの(メタ)アクリル酸付加物が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を任意に組み合わせて用いることができる。
【0055】
ビスフェノールA系(メタ)アクリレート化合物としては、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリプロポキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリブトキシ)フェニル]プロパン、2,2−[4−((メタ)アクリロキシポリエトキシポリプロポキシ)フェニル]プロパンが挙げられる。
【0056】
2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンとしては、例えば、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシトリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシテトラエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシペンタエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシヘキサエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシヘプタエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシオクタエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシノナエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシデカエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシウンデカエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシドデカエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシトリデカエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシテトラデカエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシヘキサデカエトキシ)フェニル]プロパンが挙げられる。
【0057】
2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−500(新中村化学工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能であり、2,2−ビス(4−(メタクリロキシペンタデカエトキシ)フェニル)プロパンは、BPE−1300(新中村化学工業(株)製、製品名)として商業的に入手可能である。上記2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパンの1分子内のエチレンオキサイド基の数は4〜20であることが好ましく、8〜15であることがより好ましい。これらは単独で又2種類以上を任意に組み合わせて用いることができる。
【0058】
分子内にウレタン結合を有するジ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、β位にOH基を有する(メタ)アクリルモノマーとジイソシアネート化合物(イソホロンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、2,4−トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等)との付加反応物、トリス((メタ)アクリロキシテトラエチレングリコールイソシアネート)ヘキサメチレンイソシアヌレート、EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレート、EO及びPO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0059】
EO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、UA−11(新中村化学工業(株)製、製品名)が挙げられる。
【0060】
また、EO及びPO変性ウレタンジ(メタ)アクリレートとしては、例えば、UA−13(新中村化学工業(株)製、製品名)が挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0061】
(B3)成分としては、例えば、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO及びPO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸のエチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸から誘導されるウレタン結合を有するトリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。これらは単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0062】
イソシアヌル酸から誘導されるウレタン結合を有するトリ(メタ)アクリレート化合物としては、例えば、UA−21、UA−41、UA−42(以上、新中村化学工業(株)、商品名)が商業的に入手可能である。
【0063】
ここで、「EO」とはエチレンオキサイドを示し、EO変性された化合物はエチレンオキサイド基のブロック構造を有する。また、「PO」とはプロピレンオキサイドを示し、PO変性された化合物はプロピレンオキサイド基のブロック構造を有する。
【0064】
(C)成分である光重合開始剤としては、例えば、4,4’−(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、ベンゾフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ノン−1,2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパノン−1等の芳香族ケトン、アルキルアントラキノン等のキノン類、ベンゾインアルキルエーテル等のベンゾインエーテル化合物、ベンゾイン、アルキルベンゾイン等のベンゾイン化合物、ベンジルジメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体、9−フェニルアクリジン、1,7−(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体が挙げられる。
【0065】
これらの中でも、密着性及び感度を更に改善するため、2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体が特に好ましい。2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体において、それぞれのイミダゾール環に結合したアリール基の置換基は同一でも異なっていてもよい。
【0066】
感光性樹脂組成物は、(D)成分として増感色素を含有していてもよい。増感色素としては、例えば、ピラゾリン類、アントラセン類、クマリン類、キサントン類、オキサゾール類、ベンゾオキサゾール類、チアゾール類、ベンゾチアゾール類、トリアゾール類、スチルベン類、トリアジン類、チオフェン類、ナフタルイミド類が挙げられる。これらは、それぞれ単独で又は二種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0067】
(A)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、40〜80質量部であることが好ましく、45〜65質量部であることがより好ましい。この含有量が40質量部未満では光硬化物が脆くなり易く、感光性エレメントとして用いた場合、塗膜性に劣る傾向があり、80質量部を超えると感度が低下する傾向がある。
【0068】
(B)成分の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、20〜60質量部であることが好ましく、35〜55質量部であることがより好ましい。この含有量が20質量部未満では感度が低下する傾向があり、60質量部を超えると光硬化物が脆くなる傾向がある。
【0069】
(B1)成分の比率は、(B)成分全体量に対して15〜30質量%である。この比率は17〜27質量%が好ましく、20〜25質量%がより好ましい。
【0070】
(B2)成分の比率は、(B)成分全体量に対して40〜70質量%であることが好ましく、45〜65質量%であることがより好ましく、50〜60質量%がより好ましい。
【0071】
(B3)成分の比率は、(B)成分全体量に対して15〜30質量%であることが好ましく、17〜27質量%であることがより好ましく、20〜25質量%であることが更に好ましい。
【0072】
光重合開始剤の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、0.1〜10.0質量部であることが好ましく、0.5〜6.0質量部であることがより好ましく、1〜4質量部であることが更に好ましい。この比率が0.1質量部未満では感度が低下する傾向があり、10.0質量部を超えるとレジスト底部の硬化性が低下し、また、スカムが発生し易くなる傾向がある。
【0073】
増感色素の含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して0.01〜10質量部とすることが好ましく、0.05〜5質量部とすることがより好ましく、0.1〜2質量部とすることが更に好ましい。この含有量が0.01質量部未満では良好な感度や解像性が得られ難くなる傾向があり、10質量部を超えると良好な形状のレジストパターンを形成することが困難になる傾向がある。
【0074】
感光性樹脂組成物には、以上のような成分の他、少なくとも1つのカチオン重合可能な環状エーテル基を有する光重合性化合物(オキセタン化合物など)、カチオン重合開始剤、マラカイトグリーン等の染料、トリブロモフェニルスルホン、ロイコクリスタルバイオレット等の光発色剤、熱発色防止剤、p−トルエンスルホンアミドなどの可塑剤、顔料、充填剤、消泡剤、難燃剤、安定剤、密着性付与剤、レベリング剤、剥離促進剤、酸化防止剤、香料、イメージング剤、熱架橋剤等を含有していてもよい。これらの含有量は、(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対してそれぞれ0.01〜20質量部程度であることが好ましい。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。
【0075】
感光性樹脂組成物は、メタノール、エタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、トルエン、N,N−ジメチルホルムアミド、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の溶剤又はこれらの混合溶剤に溶解して固形分30〜60質量%程度の溶液として用いることができる。この溶液は、感光性エレメントの感光層を形成するための塗布液として使用される。あるいは、この溶液を、例えば、金属板の表面、例えば、銅、銅系合金、ニッケル、クロム、鉄、ステンレス等の鉄系合金、好ましくは銅、銅系合金、鉄系合金の表面上に液状レジストとして塗布するために用いてもよい。
【0076】
感光性エレメントは、支持フィルムと、該支持体上に形成された感光層と、感光層の支持体と反対側の面を覆う保護フィルムとを有する。
【0077】
支持フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。支持フィルムの厚さは1〜100μmであることが好ましく、10〜50μmであることがより好ましく、15〜30μmであることが更に好ましい。この厚みが1μm未満であると現像前の支持フィルム剥離の際に支持フィルムが破れやすくなる傾向があり、100μmを超えると解像度が低下する傾向がある。
【0078】
感光層は、例えば、上述の感光性樹脂組成物を溶剤に溶解した固形分30〜60質量%程度の溶液(塗布液)を支持フィルム上に塗布し、支持フィルム上の溶液を乾燥することにより形成される。
【0079】
塗布は、例えば、ロールコータ、コンマコータ、グラビアコータ、エアーナイフコータ、ダイコータ、バーコータ等の公知の方法で行うことができる。乾燥は70〜150℃、5〜30分間程度の加熱により行うことができる。
【0080】
感光層中に残存する有機溶剤量は、後の工程での有機溶剤の拡散を防止するために、2質量%以下であることが好ましい。
【0081】
感光層の厚みは、用途により異なるが、乾燥後の厚みで1〜100μmであることが好ましく、1〜50μmであることがより好ましい。この厚みが1μm未満では工業的に塗工困難な傾向があり、100μmを超えると接着力や解像度が低下する傾向がある。
【0082】
感光層の波長365nmの紫外線に対する透過率は5〜75%であることが好ましく、7〜60%であることがより好ましく、10〜40%であることが更に好ましい。この透過率が5%未満では密着性が低下する傾向があり、75%を超えると解像度が低下する傾向がある。透過率は、UV分光計により測定することができる。UV分光計としては、(株)日立製作所製の228A型Wビーム分光光度計が挙げられる。
【0083】
保護フィルムは、感光層と支持体との間の接着力よりも、感光層と保護フィルムとの接着力の方が小さくなるフィルムであることが好ましい。また、低フィッシュアイのフィルムが好ましい。なお、「フィッシュアイ」とは、材料を熱溶融、混練、押し出し、2軸延伸、キャスティング法等によりフィルムを製造する際に、材料の異物、未溶解物、酸化劣化物等がフィルム中に取り込まれたものである。
【0084】
保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル等の耐熱性及び耐溶剤性を有する重合体フィルムを用いることができる。市販のものとして、例えば、王子製紙(株)製、商品名アルファンMA−410、E−200C、信越フィルム(株)製のポリプロピレンフィルム、帝人(株)製のPS−25などPSシリーズなどのポリエチレンテレフタレートフィルムが挙げられる。
【0085】
保護フィルムの厚みは1〜100μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましく、5〜30μmであることがさらに好ましく、15〜30μmであることがより一層好ましい。この厚みが1μm未満では積層の際に保護フィルムが破れ易くなる傾向があり、100μmを超えると高価になる傾向がある。
【0086】
感光性エレメントは、クッション層、接着層、光吸収層、ガスバリア層のような中間層等を更に有していてもよい。
【0087】
図1は、本発明に係るレジストパターンの形成方法の一実施形態を示す概略断面図である。本実施形態は、積層基板100上に感光層1を形成させる工程と、感光層1に活性光線を照射する工程と、活性光線を照射された感光層1の一部を除去してレジストパターン2を形成させる工程とを備える。
【0088】
図1の(a)に示される積層基板100は、基板11及び基板11上に形成された導体層20を有する回路形成用基板3と、回路形成用基板3の導体層20側の面上に形成された表面樹脂層5とから構成される。導体層20は所定のパターンが形成されるようにパターニングされている。表面樹脂層5は、導体層20の表面Sが露出する開口部5aが形成されるようにパターニングされている。
【0089】
支持フィルム7及び支持フィルム7上に形成された感光層1を有する感光性エレメント15を、積層基板100の表面樹脂層5側の面に感光層1が密着するように積層することにより、感光層1が積層基板100上に形成される(図1の(b))。感光性エレメントが保護フィルムを有している場合には、積層の前に保護フィルムが感光層から剥離される。感光性エレメント15は、加熱しながら圧着することにより積層されることが好ましい。より具体的には、積層の際、感光性エレメント15及び/又は積層基板100を70〜130℃に加熱することが好ましく、0.098〜0.98MPa程度(1〜10kgf/cm程度)に加圧することが好ましい。圧着の前に予め積層基板100を余熱してもよい。ただしこれらの条件には特に制限はない。感光層1の積層基板100への密着性及び追従性を良好なものとするため、減圧下で積層が行われることが好ましい。
【0090】
続いて、積層基板100上に形成された感光層1に対して、マスクパターン90を通して活性光線が画像状に照射される(図1の(c))。活性光線の照射により、感光層1のうち活性光線に露光された部分において感光性樹脂組成物が硬化して硬化層1aが形成される。活性光線92の光源としては、公知の光源、例えば、カーボンアーク灯、水銀蒸気アーク灯、高圧水銀灯、キセノンランプ等の紫外線、可視光などを有効に放射するものが用いられる。マスクパターン90はアートワークと呼ばれるネガ又はポジマスクパターンであり、活性光線92を遮蔽する遮蔽部90aと、活性光線92を透過する透明部90bとを有している。
【0091】
支持フィルム7が活性光線に対して透明である場合には、支持フィルム7が積層された状態で活性光線を照射することができる。支持フィルム7が遮光性である場合には、これを除去してから感光層1に活性光線を照射する。
【0092】
上記のようにマスクパターンを用いる方法に代えて、レーザ直接描画露光法やDLP(Digital Light Processing)露光法などの直接描画法により活性光線を画像状に照射する方法を採用してもよい。
【0093】
活性光線の照射後、感光層1のうち硬化層1a以外の部分を除去して、レジストパターン2が形成される。硬化層1a以外の部分を除去する方法としては、支持フィルム7を除去してから、ウェット現像、ドライ現像等で現像する方法が挙げられる。ウェット現像は、現像液を用いて、スプレー、揺動浸漬、ブラッシング、スクラッピング等の公知の方法により行われる。現像液は、感光性樹脂組成物の溶解性を考慮して、アルカリ性水溶液、水系現像液、有機溶剤系現像液等から適宜選択される。
【0094】
現像液としては、アルカリ性水溶液が好ましい。アルカリ性水溶液の塩基としては、例えば、水酸化アルカリ(リチウム、ナトリウム又はカリウムの水酸化物等)、炭酸アルカリ(リチウム、ナトリウム、カリウム若しくはアンモニウムの炭酸塩又は重炭酸塩等)、アルカリ金属リン酸塩(リン酸カリウム、リン酸ナトリウム等)、アルカリ金属ピロリン酸塩(ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム等)が用いられる。
【0095】
アルカリ性水溶液の好適な具体例としては、0.1〜5質量%炭酸ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%炭酸カリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%水酸化ナトリウムの希薄溶液、0.1〜5質量%四ホウ酸ナトリウムの希薄溶液が挙げられる。
【0096】
アルカリ性水溶液のpHは9〜11の範囲とすることが好ましく、その温度は、感光層1の現像性に合わせて適宜調節される。
【0097】
アルカリ性水溶液は、表面活性剤、消泡剤、現像を促進させるための少量の有機溶剤等を含有していてもよい。
【0098】
水系現像液としては、水又はアルカリ水溶液と一種以上の有機溶剤とからなる現像液が挙げられる。ここでアルカリ性水溶液の塩基としては、先に述べた物質以外に、例えば、ホウ砂やメタケイ酸ナトリウム、水酸化テトラメチルアンモニウム、エタノールアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、2ーアミノ−2−ヒドロキシメチル−1、3−プロパンジオール、1、3−ジアミノプロパノール−2、モルホリンが挙げられる。
【0099】
水系現像液のpHは、レジストの現像が充分にできる範囲でできるだけ小さいことが好ましい。具体的には、水系現像液のpH8〜12とすることが好ましく、pH9〜10とすることがより好ましい。
【0100】
水系現像液中の有機溶剤としては、例えば、アセトン、酢酸エチル、炭素数1〜4のアルコキシ基をもつアルコキシエタノール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらは、単独で又は2種類以上を組み合わせて使用される。
【0101】
有機溶剤の濃度は、通常、2〜90質量%とすることが好ましく、その温度は、感光層1の現像性にあわせて適宜調節される。
【0102】
水系現像液は、界面活性剤、消泡剤等を少量含有していてもよい。
【0103】
有機溶剤系現像液としては、例えば、1,1,1−トリクロロエタン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、Y−ブチロラクトン等が挙げられる。これらの有機溶剤は、引火防止のため、1〜20質量%の範囲で水を含むことが好ましい。
【0104】
必要に応じて2種以上の現像方法を併用してもよい。現像の方式には、ディップ方式、バトル方式、スプレー方式、ブラッシング、スラッピング等があり、高圧スプレー方式が解像度向上のためには最も適している。
【0105】
現像後、必要に応じて60〜250℃程度の加熱又は0.2〜10J/cm程度の露光を行うことにより、レジストパターンの硬化さらに進行させてもよい。
【0106】
図2は、本発明に係るプリント配線板の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。本実施形態は、上記のレジストパターンの形成方法によりレジストパターン2を形成させる工程と、形成されたレジストパターン2をマスクとして用いためっきにより導体パターン25を形成させる工程(図2の(e))と、レジストパターン2を除去する工程(図2の(f))とを備える。
【0107】
めっき方法としては、例えば、硫酸銅めっき、ピロリン酸銅めっき等の銅めっき、ハイスローはんだめっき等のはんだめっき、ワット浴(硫酸ニッケル−塩化ニッケル)めっき、スルファミン酸ニッケル等のニッケルめっき、ハード金めっき、ソフト金めっき等の金めっきが挙げられる。
【0108】
本実施形態のようにパターン化された導体層上に導体パターンをめっきにより形成させるのに代えて、レジストパターンをマスクとして用いたエッチングによって導体層の一部を除去して、導体パターンを形成させてもよい。
【0109】
この場合、エッチング液としては、塩化第二銅溶液、塩化第二鉄溶液、アルカリエッチング溶液、過酸化水素エッチング液が好ましく用いられる。これらの中でも、エッチファクタが良好な点から塩化第二鉄溶液を用いることが好ましい。
【0110】
導体パターン25が形成された後、レジストパターン2が除去されて、プリント配線板200が得られる。レジストパターン2は、例えば、現像に用いたアルカリ性水溶液よりさらに強アルカリ性の水溶液で剥離することにより、除去される。この強アルカリ性の水溶液としては、例えば、1〜10質量%水酸化ナトリウム水溶液、1〜10質量%水酸化カリウム水溶液が用いられる。
【0111】
剥離の方式としては、例えば、浸漬方式、スプレー方式が挙げられる。浸漬方式及びスプレー方式を単独で使用してもよいし、併用してもよい。
【0112】
本発明に係る製造方法は、多層プリント配線板や小径スルーホールの製造方法として適用することも可能である。
【0113】
図3は、本発明に係るプラズマディスプレイパネル用基板の製造方法の一実施形態を示す概略断面図である。本実施形態は、基板12上に形成されたリブ前駆体膜30上にレジストパターン2を形成させる工程と、レジストパターン2をマスクとして用いてリブ前駆体膜30の一部を除去してこれをパターン化する工程と、レジストパターン2を除去する工程と、パターン化されたリブ前駆体膜30aからリブ35を形成させる工程とを備える。
【0114】
本実施形態では、まず、基板12上にリブ前駆体膜30が形成される(図3の(a))。基板12としては、ガラス基板等の透明基板が用いられる。リブ前駆体膜30は、焼成等によりリブ材を生成するリブ前駆体を成膜することにより形成される。リブ前駆体は、プラズマディスプレイパネル製造の分野においてリブを形成させるために通常用いられている材料から適宜選択される。リブ前駆体の具体例としては、GLASS PASTE PD200(旭硝子社製)等の、ガラス粒子を含むペーストが挙げられる。
【0115】
リブ前駆体膜30上に、感光層1を形成し(図3の(b))、上述のレジストパターン2の形成方法と同様の方法によってレジストパターン2を形成させる(図3の(c))。
【0116】
次いで、レジストパターン2をマスクとして用いたエッチングにより、レジストパターン2によって覆われていない部分のリブ前駆体膜30を除去する(図3の(d))。これにより、パターン化されたリブ前駆体膜30aが形成される。
【0117】
エッチングの方法としては、サンドブラスト法、ウェットエッチングプロセスが挙げられる。サンドブラスト法の場合、例えば、シリカ、アルミナ等の切削粒子をリブ前駆体膜30に噴きつけることによりエッチングが行われる。ウェットエッチングプロセスの場合、硝酸等の酸溶液を用いてエッチングが行われる。
【0118】
エッチングの後、レジストパターン2が除去される。レジストパターン2の除去は上述のプリント配線板の製造方法と同様に手法で行うことができる。
【0119】
更に、パターン化されたリブ前駆体膜30aを焼成して、リブ35が形成される。以上のようにして、基板12及び基板12上に形成されたリブ35を有するプラズマディスプレイパネル用基板300が得られる。プラズマディスプレイパネル用基板300は、プラズマディスプレイパネルの背面基板として好適に用いられる。
【実施例】
【0120】
以下、実施例を挙げて本発明についてより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0121】
1.原料
(A)バインダーポリマー
バインダーポリマーを、重量平均分子量(Mw)=34000、38000、46200、50500、55000、64000又は67000となるようにそれぞれ合成した。バインダーポリマーの共重合比は、メタクリル酸/メタクリル酸メチル/メクリル酸ブチル/スチレン=25/45/5/25(質量比)とした(酸価:160mgKOH/g)。得られたバインダーポリマーをメチルセロソルブ/トルエン=3/2(質量比)の混合溶剤に溶解したバインダーポリマー溶液を感光性樹脂組成物の調製に用いた。
【0122】
バインダーポリマーの重量平均分子量(Mw)は、下記条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、標準ポリスチレンを用いた検量線から換算した換算値として測定した。
GPC条件
ポンプ:日立 L−6000型((株)日立製作所製)
カラム:Gelpack GL−R420 + Gelpack GL−R430 + Gelpack GL−R440(計3本)(以上、日立化成工業(株)製、商品名)
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:室温
流量:2.05mL/分
検出器:日立 L−3300型RI((株)日立製作所製)
【0123】
(B)光重合性化合物
(B1)
・「ライトアクリレ−トNP−8EA」(商品名、共栄社化学製):下記化学式(1a)で表されるノニルフェノキシポリエチレングリコ−ルアクリレ−ト
・「FA−MECH」(商品名、日立化成工業社製):下記化学式(1b)で表される2−[(2−メチル−1−オキソアリル)オキシ]エチル−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルフタル酸
【0124】
【化2】

【0125】
(B2)
・「FA−321M」(商品名、日立化成工業社製):下記化学式(2a)で表され、m+nの平均値が10であるエトキシ化ビスフェノールジメタクリレート
・「DA−721」(商品名、ナガセケムテックス社製):下記化学式(2b)で表されるフタル酸誘導体エポキシアクリレート
【0126】
【化3】


[式(2a)中、m及びnは正の整数を示す。]
【0127】
(B3)
・「TMPT21」(商品名、日立化成工業社製):下記化学式(3a)で表されるポリヒドロキシエチルエ−テルカトリメチロ−ルプロパントリアクリレ−ト
・「NKオリゴUA−21」(商品名、新中村化学工業社製):下記化学式(3b)で表されるイソシアネ−ト・メタクリレ−トエステル
【0128】
【化4】

【0129】
(C)光重合開始剤
・「BCIM」:2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビスイミダゾール
【0130】
(その他)
増感色素・「PIR1」:1−フェニル−3−(4−t−ブチルスチリル)−5−(4−t−ブチルフェニル)−ピラゾリン
発色剤
・ロイコクリスタルバイオレット
染料
・マラカイトグリーン
溶剤
・アセトン9g、トルエン5g及びメタノール5を混合した混合溶媒
【0131】
2.感光性樹脂組成物の調製
バインダーポリマー溶液113g(固形分54g)、光重合開始剤3.7g、増感色素0.25g、発色剤0.25g及び染料0.03gと、表2に示す種類及び量の光重合性化合物とを上記混合溶媒に溶解して、感光性樹脂組成物の溶液を調製した。
【0132】
3.感光性エレメントの作製
上記で調製した感光性樹脂組成物の溶液を、支持フィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム、厚さ16μm、商品名「HTF01」、帝人社製)に均一に塗布し、70℃及び110℃の熱風対流式乾燥器で乾燥して、感光性樹脂組成物からなる感光層を形成させた。そして、感光層を覆う保護フィルムを貼り付けて、感光性エレメントを得た。感光層の膜厚は25μmであった。
【0133】
得られた各感光性エレメントの感光層の吸光度(OD値)を、UV分光計((株)日立製作所製、商品名「U−3310分光光度計」)を用いて測定した。OD値の測定は、測定側に保護フィルムを除去した感光性エレメントを、リファレンス側に支持フィルムを配置し、吸光度モードにより600〜300nmの範囲を連続測定することによって行った。
【0134】
4.感光性エレメントの評価
(1)感度
ガラスエポキシ材の両面に銅箔(厚さ35mm)を積層した銅張積層板(日立化成工業(株)製、製品名MCL−E−67)の銅箔表面を#600相当のブラシを装着した研磨機(三啓(株)製)を用いて研磨し、水洗後、空気流で乾燥させた。
【0135】
研磨後の銅張積層板を80℃に加温してから、感光性エレメントを、感光層が銅張積層板の表面に密着するように保護フィルムを除去しながら銅張積層板上に積層した。積層は、感光性エレメント及び銅張積層板を120℃に加熱しながら全体を0.392MPa(4kgf/cm)に加圧して行った。
【0136】
感光性エレメントが積層された銅張積層板を冷却し23℃になった時点で、濃度領域0〜2.00、濃度ステップ0.05、タブレットの大きさ20mm×187mm、各ステップの大きさが3mm×12mmである41段ステップタブレットと、解像度評価用ネガとしてライン幅/スペース幅が6/6〜35/35(単位:mm)の配線パターンを有するフォトツールを支持フィルム上に密着させた。
【0137】
次いで、405nm露光用シグマ光機(株)製シャープカットフィルタSCF−100S−39Lを置き、5kwショートアークランプを光源とする平行光露光機((株)オーク製作所製、製品名EXM−1201)を用いて、41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が17段となる露光量で露光を行った。
【0138】
ここで、41段ステップタブレットの現像後の残存ステップ段数が17段となる露光量を感光層の感度とした。405nm対応プローブを適用した紫外線照度計(ウシオ電機(株)製、商品名「UIT−150」+「UVD−S405」(受光部))を用いて照度を測定し、照度×露光時間=露光量とした。
【0139】
なお、直描露光を行う場合は、例えば日立ビアメカニクス(株)製のDE−1AHを用いて同様の露光を行うことができる。この場合、直接露光されるためフォトツールは必要ない。また、光源が405nmのLD(レーザーダイオード)であるため、シャープカットフィルタは用いない。
【0140】
露光後、支持フィルムを剥離し、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を30℃で24秒間スプレーし、未露光部分を除去した。
【0141】
(2)剥離性
40ミクロンピッチ(L/S=20/20μm)となるように上記方法でレジストパターンを形成させた銅張積層板の銅箔上に、表1に示す条件の電解銅めっきによって厚さ20μmの銅めっき膜を形成させた。そして、30wt%水酸化ナトリウム水溶液を用いて表1に示す条件でレジストパターンを剥離させた。この後、剥離されずに残ったレジストパターンを金属顕微鏡で観察して、剥離性を評価した。
【0142】
【表1】

【0143】
(3)解像度
現像処理によって未露光部をきれいに除去することができ、なおかつラインが蛇行、カケを生じることなく生成された部分のライン幅/スペース幅(L/S)のうち、最も小さい値を指標として解像度を評価した。この値が小さいほど解像度が優れる。
【0144】
(4)レジスト形状
現像後のレジストパターンの形状を、日立走査型電子顕微鏡S−500Aを用いて観察した。現像後のレジストパターンは、その断面形状が矩形に近いことが望ましい。レジストパターンの底部においてレジストパターンが部分的に削れた「スソ食われ」や、未露光部にレジストの一部が残っているか、またはレジストパターンの底部が除去しきれていない「スソ残渣」のような現象が起こると、レジストパターンの断面形状が整った矩形ではなくなる。
【0145】
【表2】

【0146】
【表3】

【0147】
表2に示されるように、実施例1〜10は解像度及びレジスト形状がともに十分に優れていた。これに対して、バインダーポリマーの重量平均分子量が35000〜65000の範囲内にない比較例1及び4や、(B3)成分の比率が15〜30質量%の範囲内にない比較例2及び3は、解像度及びレジスト形状の少なくともいずれか一方が実施例と比較して劣っていた。すなわち、本発明によれば、十分に高い感度を維持しながら、解像度およびレジスト形状が同時に改善された感光性樹脂組成物が提供されることが確認された。
【符号の説明】
【0148】
1…感光層、2…レジストパターン、3…回路形成用基板、5…表面樹脂層、7…支持フィルム、11…基板、12…基板、15…感光性エレメント、20…導体層、25…導体パターン、30…リブ前駆体膜、35…リブ、100…積層基板、200…プリント配線板、300…プラズマディスプレイパネル用基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)重量平均分子量が35000〜65000であるバインダーポリマー、
(B)エチレン性不飽和結合を有する光重合性化合物、及び
(C)光重合開始剤を含有し、
前記(B)成分が、
(B1)エチレン性不飽和結合を1つ有する光重合性化合物、
(B2)エチレン性不飽和結合を2つ有する光重合性化合物、及び
(B3)エチレン性不飽和結合を3つ以上有する光重合性化合物を含み、
前記(B3)成分の前記(B)成分全体量に対する比率が15〜30質量%である、
感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(B2)成分の前記(B)成分全体量に対する比率が40〜70質量%である、請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(B1)成分の前記(B)成分全体量に対する比率が15〜30質量%である、請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(C)成分が2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体を含む、請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項5】
(D)増感色素を更に含有する、請求項1記載の感光性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載の感光性樹脂組成物からなる感光層に活性光線を照射した後、前記感光層の一部を除去してレジストパターンを形成させる、レジストパターンの形成方法。
【請求項7】
請求項6記載のレジストパターンの形成方法によりレジストパターンを形成させる工程と、
前記レジストパターンをマスクとして用いたエッチング又はめっきにより導体パターンを形成させる工程と、を備えるプリント配線板の製造法。
【請求項8】
基板及び該基板上に形成されたリブを有するプラズマディスプレイパネル用基板の製造方法において、
請求項6記載のレジストパターンの形成方法により、基板上に形成されたリブ前駆体膜上にレジストパターンを形成させる工程と、
前記レジストパターンをマスクとして用いて前記リブ前駆体膜の一部を除去してこれをパターン化する工程と、
パターン化された前記リブ前駆体膜からリブを形成させる工程と、を備える製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−3280(P2012−3280A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−195353(P2011−195353)
【出願日】平成23年9月7日(2011.9.7)
【分割の表示】特願2008−501715(P2008−501715)の分割
【原出願日】平成19年2月20日(2007.2.20)
【出願人】(000004455)日立化成工業株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】