説明

感光性組成物及びカラーフィルタ

【課題】露光感度、現像性が良好であり、パターン断面形状、解像性及び基板密着性がいずれも良好でかつ耐薬品性、耐溶剤性に優れたパターンを形成することが可能な、カラーフィルタ材料として好適な感光性組成物、及び該組成物を用いて形成されたカラーフィルタを提供すること。
【解決手段】光重合性モノマー、非感光性樹脂及び/又は感光性樹脂、重合開始剤、及び溶剤を含有し、前記光重合性モノマーは、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートを含み、多官能ウレタンアクリレートのウレタン基数は1.0×10−3mol/g以上、二重結合基数は4.5×10−3mol/g以上であり、光重合性モノマー中の多官能ウレタンアクリレートの含有量は50重量%以上であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カラーフィルタ材料として好適に用いられる感光性組成物、及びそれを用いたカラーフィルタに関する。
【背景技術】
【0002】
カラー液晶表示装置、カラーファクシミリ、イメージセンサー等の各種カラー表示体や光学機器等に搭載されるカラーフィルタは、所定のパターンの着色層と、隣接する着色層間を遮光するための遮光層(いわゆる「ブラックマトリクス」)とにより概略構成される。
【0003】
ここで、カラーフィルタとしては、顔料分散型カラーフィルタが広く用いられている。顔料分散型カラーフィルタの着色層及び遮光層の形成方法としては、分散剤、溶剤等を用いて、顔料を非感光性樹脂(アクリル樹脂等)中に分散させて得られる着色組成物に、光重合性モノマーと重合開始剤を添加して感光化した感光性着色組成物を直接パターニングするフォトリソグラフィー法が広く用いられている(例えば、特許文献1参照)。即ち、該感光性着色組成物を基板上に塗布し、乾燥させて着色組成物層を形成した後、直接、露光及び現像を行うことにより、マスクとなる感光性レジストを用いずに着色層及び遮光層を形成することができる。
【0004】
このような方法を採用すれば、着色組成物層を露光・現像するだけでパターニングを完了できるので、従来必要であった感光性レジストの成膜、パターニング、及び剥離の工程が不要となり、生産効率の向上を図ることができる。
【0005】
着色組成物に添加する光重合性モノマーとしては、従来、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する化合物が用いられており、具体的にはエチレン性不飽和二重結合を4〜6個有するジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル等が広く用いられている。
【0006】
また、以上の方法のように感光性着色組成物を用いる場合、組成物中に顔料が多量に含まれることにより、感光性レジストを用いてパターニングを行う方法に比較して、露光感度が悪化するという問題があるが、この問題に対しては、組成物中の光重合性モノマーの配合比を多くする方法(例えば、特許文献2参照)などによって改善されてきた。
【0007】
しかしながら、組成物中の光重合性モノマーの配合比を多くして露光感度を向上させる方法を用いた場合、作製された着色組成物層の耐薬品性及び耐溶剤性が悪化するという問題が新たに生じやすいことがわかった。即ち、硬化後の着色組成物層を、液晶表示装置の配向制御のためにカラーフィルタ上に塗布される配向膜に多く使用される薬品であるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に15分以上浸漬した場合、また液晶表示装置の製造工程である基板洗浄液で多く使用されるアルカリ水溶液(5%NaOH)に15分以上浸漬した場合などに、硬化後の着色組成物層が膨潤するために、該着色組成物層上に形成された透明電極(ITO)にクラックが発生したり、また該着色組成物層自身にクラックが発生し、表示品質を大きく低下させるという問題が生じている。
【0008】
一方、近年、液晶表示装置用カラーフィルタとして、セルギャップ(液晶層の厚み)を均一化するためのスペーサとして機能する柱状の凸部、いわゆるフォトスペーサや、セルギャップに段差を形成するための光路差調整層を、遮光層及び/又は着色層上に形成したものが提案されている。このようなカラーフィルタにおいて、従来の感光性着色組成物を用いて着色層及び遮光層を形成した場合、前記と同様に、該組成物層が膨潤することにより、硬化後の着色組成物層上及び/又は近傍に形成された保護層(オーバーコート層)、フォトスペーサ、及び光路差調整層の界面からクラックが発生することも確認されている。
【0009】
また、このフォトスペーサや光路差調整層も着色層や遮光層と同様に感光性組成物を硬化させることによって形成することができるため、同様の問題を有していた。すなわち、前記と同様にして、従来の感光性組成物を硬化して保護層、フォトスペーサ、及び光路差調整層の少なくとも一つを形成したカラーフィルタの耐薬品性及び耐溶剤性試験において、保護層、フォトスペーサ、及び光路差調整層にクラックが生じるという問題が発生している。
【特許文献1】特開平2−18704号公報
【特許文献2】特開2003−315998号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、露光感度、現像性が良好であり、パターン断面形状、解像性及び基板密着性がいずれも良好でかつ耐薬品性、耐溶剤性に優れたパターンを形成することが可能な、カラーフィルタ材料として好適な感光性組成物、及び該組成物を用いて形成されたカラーフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、鋭意検討した結果、特定の光重合性モノマーを用いることにより上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成した。
【0012】
即ち、本発明の第1の態様は、光重合性モノマー、非感光性樹脂及び/又は感光性樹脂、重合開始剤、及び溶剤を含有し、前記光重合性モノマーは、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートを含み、多官能ウレタンアクリレートのウレタン基数は1.0×10−3mol/g以上、二重結合基数は4.5×10−3mol/g以上であり、光重合性モノマー中の多官能ウレタンアクリレートの含有量は50重量%以上であることを特徴とする感光性組成物を提供する。
【0013】
このような光重合性モノマーを含むことにより、露光感度及び現像性を保ち、かつ耐溶媒性が良好である、カラーフィルタ材料として好適な感光性組成物を得ることが出来る。
【0014】
なお、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートのウレタン基数が1.0×10−3mol/g未満の場合、硬化後の感光性組成物が薬品や溶剤で膨潤しやすくなり、該感光性組成物層上に形成された透明電極(ITO)にクラックが発生したり、該感光性組成物自身にクラックが発生し、表示品質を大きく低下させることとなる。また、二重結合基数が4.5×10−3mol/g未満の場合は、露光感度が低下し、解像性が悪化するため、いずれの場合も好ましくない。
【0015】
本発明の感光性組成物において、光重合性モノマー中の多官能ウレタンアクリレートの含有量が多いほど効果が大きいため、当該多官能ウレタンアクリレートの含有量が50重量%未満の場合には、硬化後の感光性組成物層が薬品や溶剤で膨潤しやすくなり、該感光性組成物層上に形成された透明電極(ITO)にクラックが発生したり、該感光性組成物自身にクラックが発生し、表示品質を低下させる傾向となる。
【0016】
光重合性モノマー中に占める多官能ウレタンアクリレートの含有量は、50重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上であり、更に好ましくは90重量%以上である。
【0017】
以上の感光性組成物をカラーフィルタを構成する着色層または遮光層材料として用いるためには、顔料及び分散剤を更に含有することが必要である。
【0018】
また、本発明の第2の態様は、以上の感光性組成物の層を硬化してなる着色層及び/又は遮光層を具備することを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【0019】
更に、本発明の第3の態様は、着色層、遮光層、及び前記着色層及び/又は遮光層上に形成された、上述の感光性組成物の硬化層を具備し、前記硬化層は、保護層、液晶表示装置のセルギャップを均一化するための柱状の凸部、及び前記セルギャップに段差を形成するための光路差調整層の少なくとも一つであることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタを提供する。
【発明の効果】
【0020】
本発明の感光性組成物は、所定の光重合性モノマーを含有しているため、露光感度及び現像性を良好に保っている。また、このような感光性組成物を用いて形成した着色層、遮光層、保護層、スペーサ、光路差調整層を具備するカラーフィルタは、硬化後の感光性組成物層の断面形状、解像性がともに従来の感光性組成物同様に優れ、さらに良好な耐薬品性及び耐溶剤性を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、発明を実施するための最良の形態について詳述する。
【0022】
本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物は、光重合性モノマー、非感光性樹脂及び/又は感光性樹脂、重合開始剤、及び溶剤を含有する。以下、これらの各成分について説明する。
【0023】
(光重合性モノマー)
光重合性モノマーとは、ラジカルにより重合が誘起されるモノマーのことであり、本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物では、光重合性モノマーとして、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートを含んでいる。なお、水酸基を有する(メタ)アクリレートと多官能イソシアネートとの組み合わせは任意であり、特に限定されるものではない。また、1種の多官能ウレタンアクリレートを単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いることもできる。
【0024】
ここで、水酸基を有する(メタ)アクリレートとしては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールエチレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールプロピレンオキサイド変性ペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールカプロラクトン変性ペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールアクリレートメタクリレート、グリセロールジメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルプロピルメタクリレート、エポキシ基含有化合物とカルボキシ(メタ)アクリレートの反応物、水酸基含有ポリオールポリアクリレート等が挙げられる。また、多官能イソシアネートとしては、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0025】
なお、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートのウレタン基数が1.0×10−3mol/g未満の場合、硬化後の感光性組成物が薬品や溶剤で膨潤しやすくなり、該感光性組成物層上に形成された透明電極(ITO)にクラックが発生したり、該感光性組成物自身にクラックが発生し、表示品質を大きく低下させることとなる。また、二重結合基数が4.5×10−3mol/g未満の場合は、露光感度が低下し、解像性が悪化するため、いずれの場合も好ましくない。
【0026】
本発明の感光性組成物において、光重合性モノマー中の多官能ウレタンアクリレートの含有量が多いほど効果が大きいため、当該多官能ウレタンアクリレートの含有量が50重量%未満の場合には、硬化後の感光性組成物層が薬品や溶剤で膨潤しやすくなり、該感光性組成物層上に形成された透明電極(ITO)にクラックが発生したり、該感光性組成物自身にクラックが発生し、表示品質を低下させる傾向となる。
【0027】
本発明の光重合性モノマーは、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートの他に、ラジカルにより重合が誘起されるモノマー(他の光重合性モノマー)を含むことができる。このような、他の光重合性モノマーとしては、水酸基を有するアクリレートとしてすでに挙げられているアクリレートや、カプロラクトン変性をしたアクリレートなどが挙げられる。あるいは、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させる際に、(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートとして得られなかった二重結合基を有する成分が他のモノマーとして含まれていてもよい。
【0028】
本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物において、現像性、基板上に塗布し、乾燥させた後のタック性、及び組成物の安定性の観点から、光重合性モノマーの含有量は、感光性組成物総量(含溶剤)の20重量%以下であることが好ましい。また、露光感度、得られるパターンの解像性及び耐溶剤性の観点から、光重合性モノマーの含有量は、1重量%以上であることが好ましい。
【0029】
(非感光性樹脂及び/又は感光性樹脂)
本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物には、非感光性樹脂及び/又は感光性樹脂が配合される。現在、環境問題の観点から、現像液として有機溶剤は殆ど使われなくなり、アルカリ現像液が主流となっているが、アルカリ現像液を用いる場合、感光性組成物にはアルカリ可溶型非感光性樹脂を含有させることが好ましい。
【0030】
ここで、アルカリ可溶型非感光性樹脂とは、アルカリ現像液に溶解性を有すると共に、ラジカル架橋性を有しない樹脂のことを意味しており、例えば、カルボキシル基、スルホン基等の酸性官能基を有する、重量平均分子量1000〜50万、好ましくは5000〜10万の樹脂が挙げられる。具体的には、アクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体、エチレン/(メタ)アクリル酸共重合体、イソブチレン/(無水)マレイン酸共重合体等が挙げられる。これらの中では、アクリル樹脂、α−オレフィン/(無水)マレイン酸共重合体、スチレン/スチレンスルホン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種の樹脂が好ましい。これらの中でも特にアクリル樹脂は、耐熱性及び透明性が高いことから、好適に用いられる。
【0031】
また、本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物に好適に用いられる感光性樹脂とは、ラジカル架橋性を有する樹脂のことを意味しており、少なくとも1個のエチレン不飽和二重結合を有する重量平均分子量5000〜10万の樹脂を好適に用いることが出来る。具体的には、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性官能基を有する線状高分子に、前記反応性官能基と反応可能なイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等を有する(メタ)アクリル化合物、ケイヒ酸等を反応させて、エチレン不飽和二重結合を該線状高分子に導入した樹脂が挙げられる。また、イソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性官能基を有する線状高分子に、前記反応性官能基と反応可能な水酸基、カルボキシル基、アミノ基等を有する(メタ)アクリル化合物、ケイヒ酸等を反応させて、エチレン不飽和二重結合を該線状高分子に導入した樹脂が挙げられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合体やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合体等の酸無水物を含む線状高分子を、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0032】
(顔料)
本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物が、カラーフィルタの着色層又は遮光層を形成するためのものである場合、着色材として顔料を更に含有する必要がある。感光性組成物中の顔料の配合量は特に限定されるものではないが、感光性組成物総量100の1〜20重量%程度であることが好ましい。また、カラーフィルタの分光調整等のために、複数種の顔料を組み合わせて用いることもできる。以下に、着色層用の有機顔料の具体例をカラーインデックス(C.I)ナンバーで示す。
【0033】
Pigment Blue:<C.I>1,1:2,1:x,9:x,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:5,15:6,16,22,24,24:x,56,60,61,62,80
Pigment Green:<C.I>1,1:x,2,2:x,4,7,10,36,37
Pigment Orange:<C.I>2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73
Pigment Red:<C.I>1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:3,81:x,83,88,90,97,112,119,122,123,144,146,149,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,180,184,185,187,188,190,192,200,202,206,207,208,209,210,215,216,217,220,223,224,226,227,228,240,246,254,255,264,272,279
Pigment Violet:<C.I>1,1:x,3,3:3,3:x,5:1,19,23,27,29,30,32,37,40,42,50
Pigment Yellow:<C.I>1,2,3,4,5,6,10,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,144,146,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214
また、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、及び現像性等を確保するために、上記有機顔料と組み合わせて、無機顔料を用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等を挙げることができる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0034】
次に、遮光層用の黒色顔料としては、三菱化学社製のカーボンブラック#2400、#2350、#2300、#2200、#1000、#980、#970、#960、#950、#900、#850、MCF88、#650、MA600、MA7、MA8、MA11、MA100、MA220、IL30B、IL31B、IL7B、IL11B、IL52B、#4000、#4010、#55、#52、#50、#47、#45、#44、#40、#33、#32、#30、#20、#10、#5、CF9、#3050、#3150、#3250、#3750、#3950、ダイヤブラックA、ダイヤブラックN220M、ダイヤブラックN234、ダイヤブラックI、ダイヤブラックLI、ダイヤブラックII、ダイヤブラックN339、ダイヤブラックSH、ダイヤブラックSHA、ダイヤブラックLH、ダイヤブラックH、ダイヤブラックHA、ダイヤブラックSF、ダイヤブラックN550M、ダイヤブラックE、ダイヤブラックG、ダイヤブラックR、ダイヤブラックN760M、ダイヤブラックLR、キャンカーブ社製のカーボンブラックサーマックスN990、N991、N907、N908、N990、N991、N908、旭カーボン社製のカーボンブラック旭#80、旭#70、旭#70L、旭F−200、旭#66、旭#66HN、旭#60H、旭#60U、旭#60、旭#55、旭#50H、旭#51、旭#50U、旭#50、旭#35、旭#15、アサヒサーマル、デグサ社製のカーボンブラックColorBlack Fw200、ColorBlack Fw2、ColorBlack Fw2V、ColorBlack Fw1、ColorBlack Fw18、ColorBlack S170、ColorBlack S160、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、SpecialBlack4A、SpecialBlack250、SpecialBlack350、PrintexU、PrintexV、Printex140U、Printex140V(いずれも商品名)等が挙げられる。
【0035】
(分散剤)
本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物が着色材として顔料を含有する場合には、顔料を分散させるための分散剤を含有する必要がある。分散剤としては、界面活性剤、顔料の中間体、染料の中間体、ソルスパース(商品名、ゼネカ(株)社製)等が使用される。分散剤の添加量は特に限定されるものではないが、顔料の配合量を100として、1〜10重量%とすることが好ましい。
【0036】
(重合開始剤)
本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物に好適に使用される重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン系化合物、チオキサンソン、2−クロルチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2.4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4’−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−2−(o−ベンゾイルオキシム)]、o−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4’−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物ボレート系化合物、カルバソール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が挙げられる。これらは1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0037】
光重合開始剤の使用量は、感光性組成物の全固形分量(溶剤以外の成分)を基準として0.5〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。
【0038】
(光増感剤)
重合開始剤と光増感剤とを併用することが好ましい。光増感剤としては、α−アシロキシムエステル、アシルフォスフィンオキサイド、メチルフェニルグリオキシレート、ベンジル、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアンスラキノン、4.4’−ジエチルイソフタロフェノン、3,3’,4,4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合物を用いることができる。これらの光増感剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0039】
光増感剤の使用量は、重合開始剤と光増感剤の合計量を基準として0.5〜60重量%が好ましく、より好ましくは3〜40重量%である。
【0040】
本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物は、連鎖移動剤としての作用を有する多官能チオールを含有することができる。
【0041】
多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロビオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2,4,6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上を混合して用いることができる。
【0042】
多官能チオールの使用量は、感光性組成物の全固形分量を基準として0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。0.1重量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30重量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
【0043】
(溶剤)
本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物には、基板上への均一な塗布を可能とするために、水や有機溶剤等の溶剤が配合される。また、本発明の一実施形態に係る感光性組成物がカラーフィルタの着色層や遮光層に用いる場合、溶剤は、顔料を均一に分散させる機能も有する。好適に使用される有機溶剤としては、シクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、モノマー組成、用いる重合開始剤の種類等に応じて、これらを単独でもしくは混合して用いることが出来る。
【0044】
次に、以上説明した本発明の一実施形態に係る感光性組成物の調製方法について説明する。
【0045】
[感光性組成物の調製方法]
本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物は、公知の方法により調製することが出来る。例えば、光重合性モノマー、感光性樹脂、重合開始剤、顔料、分散剤、及び溶剤からなる感光性組成物は、以下の方法により調製することができる。
【0046】
(1)光重合性モノマー及び/又は感光性樹脂、重合開始剤、あるいはこれらを溶剤に溶解した溶液に、顔料と分散剤を予め混合して調製した顔料組成物を添加して分散させた後、残りの成分を添加する。
【0047】
(2)光重合性モノマー及び/又は感光性樹脂、重合開始剤、あるいはこれらを溶剤に溶解した溶液に、顔料と分散剤を別々に添加して分散させた後、残りの成分を添加する。
【0048】
(3)光重合性モノマー及び/又は感光性樹脂、重合開始剤、あるいはこれらを溶剤に溶解した溶液に、顔料を分散させた後、顔料分散剤を添加し、残りの成分を添加する。
【0049】
(4)光重合性モノマー及び/又は感光性樹脂、重合開始剤、あるいはこれらを溶剤に溶解した溶液を2種類調製し、それぞれに顔料と分散剤を予め別々に分散させてから、これらを混合した後、残りの成分を添加する。なお、顔料と分散剤のうち一方は溶剤にのみ分散させても良い。
【0050】
ここで、光重合性モノマー及び/又は感光性樹脂、重合開始剤、あるいはこれらを溶剤に溶解した溶液への顔料や分散剤の分散は、三本ロールミル、二本ロールミル、サンドミル、ニーダー、ディゾルバー、ハイスピードミキサー、ホモミキサー、アトライター等の各種分散装置を用いて行うことができる。また、分散を良好に行うために、各種界面活性剤を添加して分散を行っても良い。
【0051】
また、顔料と分散剤を予め混合して顔料組成物を調製する場合、粉末の顔料と粉末の分散剤を単に混合するだけでも良いが、(a)ニーダー、ロール、アトライター、スーパーミル等の各種粉砕機により機械的に混合する方法、(b)顔料を溶剤に分散させた後、分散剤を含む溶液を添加し、顔料表面に分散剤を吸着させる方法、(c)硫酸等の強い溶解力を有する溶媒に顔料と分散剤を共溶解した後、水等の貧溶媒を用いて共沈させる方法などの混合方法を採用することが好ましい。
【0052】
本発明者らは、以上説明した各成分を用いることにより、露光感度及び現像性が良好であり、基板上に塗布し乾燥させた後のタック性が良好であると共に、パターン断面形状、解像性、基板密着性、耐溶剤性がいずれも良好なパターンを形成することが可能な感光性組成物を提供できることを見出した。
【0053】
以下、本発明の第2の実施形態として、このような感光性組成物を用いて作製されたカラーフィルタについて説明する。
【0054】
[カラーフィルタ]
カラーフィルタは、基板上に所定のパターンで配列した色の異なる複数の着色層と、隣接する着色層間を遮光する遮光層とを具備してなり、これら着色層と遮光層上には、これらを保護するためのオーバーコート層が形成されることもある。また、液晶表示装置用カラーフィルタでは、遮光層及び/又は着色層上に、セルギャップを均一化するための柱状の凸部(フォトスペーサ)、セルギャップに段差を形成するための光路差調整層が形成されることもある。そして、本実施形態に係るカラーフィルタは、着色層及び/又は遮光層が所定の光重合性モノマーを含む本発明の第1の実施形態である感光性組成物を用いて形成されているか、着色層及び/又は遮光層とこれらの上に形成された保護層、フォトスペーサ、光路差調整層のいずれかを具備し、当該保護層、フォトスペーサ、光路差調整層が所定の光重合性モノマーを含む本発明の第1の実施形態である感光性組成物を用いて形成されているものである。
【0055】
なお、本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物を本発明の第2の実施形態に係るカラーフィルタの着色層や遮光層の材料として用いる場合には、顔料及び顔料を分散させるための分散剤が必須成分となる。これに対し、保護層、液晶表示装置のセルギャップを均一化するための柱状の凸部(フォトスペーサ)および光路差調整層の材料として用いる場合には、顔料及び分散剤は任意成分となる。
【0056】
以下、本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物を用いて、本発明の第2の実施形態に係るカラーフィルタの着色層、遮光層、保護層、フォトスペーサ、光路差調整層を形成する方法について説明する。
【0057】
まず、基板上に、スプレーコート法、スピンコート法、ロールコート等により、上述した本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物を均一に塗布し、乾燥させる。この工程において形成される層のことを「感光性組成物層」と称す。感光性組成物層が形成される基板としては、透明基板が好適であり、具体的には、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンフタレート等の樹脂基板が好適に用いられる。
【0058】
次に、フォトリソグラフィー法により、形成した感光性組成物層をパターニングする。すなわち、感光性組成物層に、所定のパターンのフォトマスクを介して紫外線、電子線等の活性エネルギー線を照射して露光した後、有機溶剤やアルカリ水溶液等の現像液を用いて現像する。ここで、露光工程において、活性エネルギー線が照射された部分の光重合性モノマーが重合し、硬化する。また、感光性樹脂を含有する場合には、該樹脂も架橋し、硬化する。また、露光感度を向上させるために、感光性組成物層を形成した後、水溶性あるいはアルカリ水溶性樹脂(例えばポリビニルアルコールや水溶性アクリル樹脂等)の溶液を塗布し、乾燥させることにより、酸素による重合阻害を制御する膜を形成した後、露光を行っても良い。
【0059】
現像工程においては、活性エネルギー線が照射されなかった部分が現像液により洗い流される。現像液としては、炭酸ソーダ、苛性ソーダ等の水溶液や、ジメチルベンジルアミン、トリエタノールアミン等の有機アルカリ溶液等のアルカリ現像液を用いることが出来る。また、現像液には、必要に応じて、消泡剤や界面活性剤が添加されてもよい。
【0060】
最後に、現像により得たパターンを焼成することにより、基板上に、着色層、遮光層、保護層、液晶表示装置のセルギャップを均一化するための柱状の凸部(フォトスペーサ)、セルギャップに段差を形成するための光路差調整層を形成することができる。
【0061】
本発明の第2の実施形態に係るカラーフィルタは、本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物を用いて形成されたものであるので、上述した本発明の第1の実施形態に係る感光性組成物により得られる効果と同様の効果を奏する。
【0062】
以下、光重合性モノマーとしての多官能ウレタンアクリレートの合成例、このような多官能ウレタンアクリレートを含む着色された感光性組成物を調製した実施例及び比較例について具体的に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々変形して実施可能である。
【0063】
(合成例1)
内容量が1リットルの5つ口反応容器に、グリシジルメタクリレート284g、アクリル酸144g、メトキシフェノール0.4g、及びトリフェニルホスフィン5gを仕込み、80℃で12時間反応させ、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルプロピルメタクリレートを得た。更に、これにヘキサメチレンジイソシアネート168gを仕込み、60℃で8時間反応させ、(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレート(1)を含む生成物を得た。生成物中、多官能ウレタンアクリレート(1)の占める割合は、100重量%である。なお、IR分析により反応生成物中にイソシアネート基が存在しないことを確認した。
【0064】
(合成例2)
内容量が1リットルの5つ口反応容器に、グリシジルメタクリレート142g、アクリル酸77g、メトキシフェノール0.2g、トリフェニルホスフィン3gを仕込み、80℃で12時間反応させ、2−ヒドロキシ−3−アクリロイルプロピルメタクリレートを得た。更に、これにトリメチロールプロパンのヘキサメチレンジイソシアネート付加物[コロネートHL(日本ポリウレタン(株)製)]490gを仕込み、60℃で8時間反応させ、(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレート(2)を含む生成物を得た。生成物中、多官能ウレタンアクリレート(2)の占める割合は、100重量%である。なお、IR分析により反応生成物中にイソシアネート基が存在しないことを確認した。
【0065】
(合成例3)
内容量が1リットル5つ口反応容器に、ペンタエリスリトールトリアクリレート(大阪有機化学工業(株)製)432g、ヘキサメチレンジイソシアネート84gを仕込み、60℃で8時間反応させ、(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレート(3)を含む生成物を得た。生成物中、多官能ウレタンアクリレート(3)の占める割合は、70重量%であり、残部を他の光重合性モノマーで占めている。なお、IR分析により反応生成物中にイソシアネート基が存在しないことを確認した。
【0066】
(合成例4)
内容量が1リットルの5つ口反応容器に、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(東亞合成(株)製)623g、ヘキサメチレンジイソシアネート44gを仕込み、60℃で8時間反応させ、(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレート(4)を含む生成物を得た。生成物中、多官能ウレタンアクリレート(4)の占める割合は、45重量%であり、残部を他の光重合性モノマーで占めている。なお、IR分析により反応生成物中にイソシアネート基が存在しないことを確認した。
【0067】
(実施例1)
以下の手順で、カラーフィルタの作製に用いる赤に着色されたアルカリ現像型感光性組成物を調製した。
【0068】
即ち、下記の組成の混合物を均一に攪拌混合した後、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで5時間分散させた後、5μmのフィルタで濾過し、赤色顔料分散体を作製した。
【0069】
赤色顔料:C.I. Pigment Red 254 18重量部
(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製「イルガーフォーレッド B−CF」)
分散剤(味の素ファインテクノ社製「アジスパーPB821」) 2重量部
アクリルワニス(固形分20重量%) 108重量部
その後、光重合性モノマーとして、上記合成例1で合成した多官能ウレタンアクリレート(1)を含む下記の組成の混合物を均一になるように攪拌混合した後、5μmのフィルターで濾過し、赤色着色組成物を得た。
【0070】
赤色顔料分散体 38重量部
アクリルワニス(固形分20重量%) 16重量部
多官能ウレタンアクリレート(1) 6重量部
光重合開始剤(チバガイギー社製「イルガキュアー369」) 0.3重量部
光増感剤(保土ヶ谷化学社製「EAB−F」) 0.2重量部
シクロヘキサノン 27重量部
(実施例2)
光重合性モノマーとして、上記合成例2で合成した多官能ウレタンアクリレート(2)を含む生成物を用いた以外は実施例1と同様にして、赤に着色されたアルカリ現像型感光性着色組成物を調製した。
【0071】
(実施例3)
光重合性モノマーとして、上記合成例3で合成した多官能ウレタンアクリレート(3)を含む生成物を用いた以外は実施例1と同様にして、赤に着色されたアルカリ現像型感光性組成物を調製した。
【0072】
(実施例4)
光重合性モノマーとして、上記合成例3で合成した多官能ウレタンアクリレート(3)を含む生成物とジペンタエリスリトールヘキサアクリレートカプロラクトン変性(日本化薬社製「DPCA−30」)を8対2の割合で混合したものを用いた以外は実施例1と同様にして、赤に着色されたアルカリ現像型感光性組成物を調製した。
【0073】
(比較例1)
比較のため、実施例1〜4とは異なる光重合性モノマーを用いて、感光性組成物を調製した。すなわち、光重合性モノマーとして、東亜合成社製「アロニックスM−402」を用いた以外は実施例1と同様にして、赤に着色されたアルカリ現像型感光性着色組成物を調製した。
【0074】
(比較例2)
光重合性モノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートカプロラクトン変性(日本化薬社製「DPCA−30」)を用いた以外は比較例1と同様にして、赤に着色されたアルカリ現像型感光性組成物を調製した。
【0075】
(比較例3)
光重合性モノマーとして、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(大阪有機化学工業社製「PET−4A」)を用いた以外は比較例1と同様にして、赤に着色されたアルカリ現像型感光性組成物を調製した。
【0076】
(比較例4)
光重合性モノマーとして、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(大阪有機化学工業社製「DiTMP−4A」)を用いた以外は比較例1と同様にして、赤に着色されたアルカリ現像型感光性組成物を調製した。
【0077】
(比較例5)
光重合性モノマーとして、上記合成例4で合成した多官能ウレタンアクリレート(4)を含む生成物を用いた以外は比較例1と同様にして、赤に着色されたアルカリ現像型感光性組成物を調製した。
【0078】
(評価)
各実施例及び比較例において調製した各感光性組成物について、以下のようにして評価を行った。はじめに、ガラス基板上に、得られた感光性組成物をスピンコート法により塗布した後、乾燥し、感光性組成物層を形成した。なお、スピンコート条件は500rpm、5秒とした。次いで、ガラス基板を70℃に保持したホットプレート上に載置して、1分間仮焼成した後、感光性組成物層の表面を指で触れ、タック性を評価した。
【0079】
次に、線幅0.5〜50μmのテスト用のフォトマスク(凸版印刷社製)を用い、100mJ/cm2の露光量で感光性組成物層を露光した。その後、1.25重量%の炭酸ナトリウム溶液を用いてシャワー現像した後、水洗して、パターニングを完了した。その後、230℃で1時間本焼成し、試料基板を作製した。
【0080】
この試料基板の作製段階では感光性組成物の現像性について、基板作製後は、硬化後の感光性組成物のパターン断面形状及び耐溶剤性についての評価を行った。
【0081】
耐溶剤性の評価としては、試料基板を規定時間N−メチル−2−ピロリジノン(以下、NMPと記載)に浸漬し、その前後での膜の膨潤について、膜厚を測定し、変化率を算出して評価した。更に、試料基板上の硬化した感光性組成物層表面にインジウム錫化合物(ITO)を蒸着し、NMPに規定時間浸漬し、その外観変化および色素変化を評価した(ITO形成後外観評価)。
【0082】
各評価項目については、下記の判定基準に基づいて評価を行った。
【0083】
判定基準
<現像性>
○:未露光領域には、残査が全く確認されなかった。
【0084】
×:未露光領域に、残査が著しく確認された。
【0085】
<パターン断面形状>
○:断面形状が順テーパー
×:断面形状が逆テーパー
<膜厚膨潤率評価(膨潤率)>
○:膜厚膨潤率がNMP浸漬20分で2%以内。
【0086】
×:膜厚膨潤率がNMP浸漬20分で2%以上。
【0087】
<ITO形成後外観評価>
○:NMP浸漬時間30分で外観に変化無し。
【0088】
×:NMP浸漬時間30分でITOクラックが発生。
【0089】
(結果)
それらの結果を下記表1に示す。
【0090】
このとき、光重合性モノマー中の多官能ウレタンアクリレートの含有量(重量%)を含有量と表す。
【表1】

【0091】
上記表1に示すように、光重合性モノマーとして、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートを含む生成物を用いて調製した実施例1−4に係る感光性組成物は、現像性および断面形状が優れており、溶剤NMPに浸漬させても膜膨潤しにくく、硬化後の感光性組成物層上にITOを成膜した後のNMP浸漬においてもITOクラック耐性が良く、耐溶剤性に優れた膜を形成することが出来た。
【0092】
これに対し、光重合性モノマーとして、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート又はジトリメチロールプロパンアクリレート等を用いて感光性組成物を調製した比較例1〜5では、現像性および断面形状の特性は良好であるが、溶剤NMPに浸漬させると膜が膨潤しやすく、ITOクラックも多数発生し、耐溶剤性が不良であった。
【0093】
また、光重合性モノマーとして、多官能ウレタンアクリレートの含有量が所定の量に満たない(4)を用いた場合も、耐溶剤性が不良であった。
【0094】
以上のように、感光性組成物の含有成分である光重合性モノマーとして、所定の光重合性モノマーを用いることにより、現像性、パターン断面形状などが従来のモノマーと同様に良好であり、かつ溶剤による膨潤が低減し、ITOクラックが発生しにくい、耐溶剤性に優れた膜を形成することができた。
【0095】
なお、以上の実施例の耐溶剤性の評価に用いたNMPは一例であり、他の溶剤を用いても同様の結果が得られる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光重合性モノマー、非感光性樹脂及び/又は感光性樹脂、重合開始剤、及び溶剤を含有し、前記光重合性モノマーは、水酸基を有する(メタ)アクリレートに多官能イソシアネートを反応させて得られる(メタ)アクリロイル基を有する多官能ウレタンアクリレートを含み、多官能ウレタンアクリレートのウレタン基数は1.0×10−3mol/g以上、二重結合基数は4.5×10−3mol/g以上であり、光重合性モノマー中の多官能ウレタンアクリレートの含有量は50重量%以上であることを特徴とする感光性組成物。
【請求項2】
顔料及び分散剤を更に含有することを特徴とする請求項1に記載の感光性組成物。
【請求項3】
請求項2に記載の感光性組成物の層を硬化してなる着色層及び/又は遮光層を具備することを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項4】
着色層、遮光層、及び前記着色層及び/又は遮光層上に形成された、請求項1または2に記載の感光性組成物の硬化層を具備し、前記硬化層は、保護層、液晶表示装置のセルギャップを均一化するための柱状の凸部、及び前記セルギャップに段差を形成するための光路差調整層の少なくとも一つであることを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタ。

【公開番号】特開2006−259351(P2006−259351A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−77737(P2005−77737)
【出願日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000205638)大阪有機化学工業株式会社 (101)
【Fターム(参考)】