説明

感放射線性樹脂組成物、感放射線性カバーレイおよびフレキシブルプリント配線板

【課題】 解像性が高く、優れた屈曲性および難燃性を有する膜が得られる感放射線性樹脂組成物および感放射線性カバーレイ、並びに感放射線性カバーレイから得られる保護膜を有するフレキシブルプリント配線板を提供する。
【解決手段】 本発明の感放射線性樹脂組成物は、(A)成分:酸変性エポキシアクリレート樹脂、(B)成分:カルボキシル基およびび水酸基を有し、かつガラス転移温度が0℃以下の架橋ポリマー粒子、(C)成分:リン含有重合性化合物、(D)成分:光重合開始剤、および(E)成分:溶剤を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブルプリント配線板におけるカバーレイの材料として好適な感放射線性樹脂組成物、この感放射線性樹脂組成物から得られる感放射線性カバーレイ、およびこの感放射線性カバーレイから得られる保護膜を有するフレキシブルプリント配線板に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルプリント配線板においては、一般に、表面に形成された回路(導体パターン)を外部環境から保護するために、ソルダーレジストと称される保護膜が設けられており、近年、回路の微細化・高密度化の要請から、保護膜を形成するための材料として、感放射線樹脂組成物が用いられている(特許文献1参照。)。
このような感放射線樹脂組成物においては、高い解像性を有し、得られる膜が、曲げられた状態でもクラックが発生しない屈曲性を有することが求められており、例えばアクリロニトリルブタジエンゴム粒子を含有してなる感放射線樹脂組成物が提案されている(特許文献2および特許文献3参照。)。
また、近年、各種工業製品における難燃化の規制が厳しく、プリント配線板等に使用される材料についても難燃化が求められており、難燃性を有する膜を形成することができる感放射線樹脂組成物として、ホスファゼンオリゴマー、リン酸メラミン化合物、ビフェニルホスフェート化合物などの有機リン化合物を含有してなる感放射線樹脂組成物(特許文献4参照。)や、フェノキシホスファゼン化合物を含有してなる感放射線樹脂組成物(特許文献5参照。)などが提案されている。
しかしながら、解像性、屈曲性および難燃性の全ての性能を満足する感放射線樹脂組成物は知られていない。
【0003】
【特許文献1】特開2007−017644号公報
【特許文献2】特開平09−186462号公報
【特許文献3】特開平2006−259268号公報
【特許文献4】特開2005−283762号公報
【特許文献5】特開2008−107458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、その目的は、解像性が高く、優れた屈曲性および難燃性を有する膜が得られる感放射線性樹脂組成物、この感放射線性樹脂組成物から得られる感放射線性カバーレイ、およびこの感放射線性カバーレイから得られる保護膜を有するフレキシブルプリント配線板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の感放射線性樹脂組成物は、下記(A)成分〜(E)成分を含有することを特徴とする。
(A)成分:酸変性エポキシアクリレート樹脂
(B)成分:カルボキシル基および水酸基を有し、かつガラス転移温度が0℃以下の架橋ポリマー粒子
(C)成分:リン含有重合性化合物
(D)成分:光重合開始剤
(E)成分:溶剤
【0006】
本発明の感放射線性樹脂組成物においては、前記リン含有重合性化合物が、リン含有(メタ)アクリレートであることが好ましい。
また、本発明の感放射線性樹脂組成物においては、前記架橋ポリマー粒子が、下記の単量体(b1)〜単量体(b4)に由来の構造単位を有するものであることが好ましい。
単量体(b1):ジエン系単量体
単量体(b2):カルボキシル基含有単量体
単量体(b3):水酸基含有単量体
単量体(b4):エチレン性重合性不飽和基を少なくとも2個有する単量体
このような感放射線性樹脂組成物においては、前記架橋ポリマー粒子の全構造単位を100モルとするとき、前記単量体(b1)に由来の構造単位が65〜95モル、前記単量体(b2)に由来の構造単位および前記単量体(b3)に由来の構造単位の合計が5〜35モル、前記単量体(b4)に由来の構造単位および前記単量体(b1)〜単量体(b4)以外の単量体に由来する構造単位の合計が0.5〜5モルであることが好ましい。
本発明の感放射線性樹脂組成物は、フレキシブル基板用カバーレイの材料として好適である。
【0007】
本発明の感放射線性カバーレイは、上記の感放射線性樹脂組成物がシート状に成形されてなることを特徴とする。
【0008】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、上記の感放射線性カバーレイによって得られる保護膜が、回路を形成する金属箔上に設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、解像性が高く、優れた屈曲性および難燃性を有する膜が得られる感放射線性樹脂組成物および感放射線性カバーレイを提供することができ、このような感放射線性カバーレイは、フレキシブルプリント配線板用として好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態にについて詳細に説明する。
[感放射線性樹脂組成物]
本発明の感放射線性樹脂組成物は、酸変性エポキシアクリレート樹脂よりなる(A)成分と、カルボキシル基および水酸基を有し、かつガラス転移温度が0℃以下の架橋ポリマー粒子(以下、「架橋ポリマー粒子」ともいう)よりなる(B)成分と、リン含有重合性化合物よりなる(C)成分と、光重合開始剤よりなる(D)成分と、溶剤よりなる(E)成分とを含有してなるものである。
【0011】
〔(A)成分:酸変性エポキシアクリレート樹脂〕
(A)成分を構成する酸変性エポキシアクリレート樹脂は、分子内にオキシラニル基を有するものであり、エポキシ樹脂にアクリル酸やメタクリル酸等のカルボン酸モノマーを反応させることにより生成した水酸基に、さらに酸無水物を付加させたることによって得られる。
前記エポキシ樹脂としては、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール-キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール−キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール−ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などを用いることができる。
【0012】
〔(B)成分:架橋ポリマー粒子〕
(B)成分を構成する架橋ポリマー粒子は、カルボキシル基および水酸基を有する重合体よりなるものである。
架橋ポリマー粒子を構成する重合体は、カルボキシル基を有する単量体、水酸基を有する単量体および架橋性単量体を含む単量体から得られるものであり、その他は特に限定されないが、ジエン系単量体よりなる単量体(b1)、カルボキシル基を有する単量体(b2)、水酸基を有する単量体(b3)、エチレン性重合性不飽和基を少なくとも2個有する単量体(b4)、および必要に応じて用いられる単量体(b1)〜単量体(b4)以外の単量体(以下、「他の単量体」という。)を共重合して得られる共重合体であることが好ましい。
【0013】
前記単量体(b1)の具体例としては、ブタジエン、イソプレン、ジメチルブタジエン、クロロプレン、1,3−ペンタジエンなどの共役ジエンが挙げられる。
前記単量体(b2)の具体例としては、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、コハク酸−β−(メタ)アクリロキシエチル、マレイン酸−β−(メタ)アクリロキシエチル、フタル酸−β−(メタ)アクリロキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸−β−(メタ)アクリロキシエチルなどの不飽和酸化合物などが挙げられる。
前記単量体(b3)の具体例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートなどの不飽和水酸基含有化合物が挙げられる。
前記単量体(b4)の具体例としては、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレートなどの重合性不飽和基を複数有する化合物を挙げることができる。これらのなかでも、重合性の点からジビニルベンゼンが好ましい。
【0014】
前記他の単量体としては、重合性基以外の官能基として、たとえばエポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、水酸基等の官能基を有する単量体が好ましい。
このような他の単量体の具体例としては、(メタ)アクリロニトリル、α−クロロアクリロニトリル、α−クロロメチルアクリロニトリル、α−メトキシアクリロニトリル、α−エトキシアクリロニトリル、クロトン酸ニトリル、ケイ皮酸ニトリル、イタコン酸ジニトリル、マレイン酸ジニトリル、フマル酸ジニトリルなどの不飽和ニトリル化合物類;
(メタ)アクリルアミド、N,N’−メチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−エチレンビス(メタ)アクリルアミド、N,N’−ヘキサメチレンビス(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、クロトン酸アミド、ケイ皮酸アミドなどの不飽和アミド類;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル類;
スチレン、α−メチルスチレン、o−メトキシスチレン、p−ヒドロキシスチレン、p−イソプロペニルフェノールなどの芳香族ビニル化合物;
ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、グリコールのジグリシジルエーテルなどと(メタ)アクリル酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートなどとの反応によって得られるエポキシ(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとポリイソシアナートとの反応によって得られるウレタン(メタ)アクリレート類やグリシジル(メタ)アクリレート、(メタ)アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有不飽和化合物;
ジメチルアミノ(メタ)アクリレート、ジエチルアミノ(メタ)アクリレート等のアミノ基含有不飽和化合物;
(メタ)アクリルアミド、ジメチル(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有不飽和化合物;
などを挙げることができる。
【0015】
単量体(b1)〜単量体(b4)および必要に応じて用いられる他の単量体を共重合して得られる共重合体において、共重合体の全構造単位100モル%中の各単量体に由来する構造単位の割合は、単量体(b1)に由来の構造単位の含有量が好ましくは60〜97モル%、より好ましくは65〜95モル%、単量体(b2)に由来の構造単位および単量体(b3)に由来の構造単位の合計が好ましくは3〜40モル%、より好ましくは5〜35モル%、単量体(b4)に由来の構造単位および他の単量体に由来の構造単位の合計が好ましくは0.5〜5モル%、より好ましくは0.9〜4.9モル%である。
また、単量体(b2)に由来の構造単位の割合は、1モル%以上であることが好ましく、単量体(b3)に由来の構造単位の割合は、3モル%以上であることが好ましく、単量体(b4)に由来の構造単位の割合は、0.5モル%以上であることが好ましい。
これらの構造単位の割合は、各種分析、例えば 1H−NMR、C−NMR、赤外分析、酸価、水酸基価試験などにより確認することができる。
【0016】
単量体(b1)に由来の構造単位の割合が過小である場合には、感光性樹脂組成物に配合した場合に、得られる膜の屈曲性および柔軟性が低下することがある。
単量体(b2)に由来の構造単位の割合が過小である場合には、感光性樹脂組成物に配合した場合に、解像性が低下することがある。
単量体(b3)に由来の構造単位の割合が過小である場合には、感光性樹脂組成物に配合した場合に、解像性や、得られる膜の屈曲性が低下することがある。
単量体(b4)に由来の構造単位の割合が過小である場合には、感光性樹脂組成物に配合した場合に、解像性が低下することがある。
【0017】
また、架橋ポリマー粒子を構成する重合体は、そのガラス転移温度(Tg)が0℃以下、好ましくは−80〜−3℃である。
このガラス転移温度(Tg)が0℃を超える場合には、感光性樹脂組成物に配合した場合に、得られる膜の屈曲性および柔軟性が低下することがある。
本発明において、架橋ポリマー粒子のガラス転移温度(Tg)とは、架橋ポリマー粒子のメチルエチルケトン分散液を凝固、乾燥することによって得られた試料を、示差走査熱量計(例えば、セイコーインスツルメンツ社製の「SSC/5200H」)により、−100℃〜150℃の範囲で昇温速度10℃/minで測定された値である。
重合体のガラス転移温度(Tg)を0℃以下にするためには、一般的に、ガラス転移温度(Tg)が低いホモポリマーとなる単量体を共重合すればよい。
具体的には、前記単量体(b1)が全単量体に対して上記の割合で共重合されることによって、得られる架橋ポリマー粒子はゴム状の軟らかいものとなり、得られる硬化膜にクラック(割れ)が生ずることが防止され、耐久性に優れた硬化膜を得ることができる。
【0018】
架橋ポリマー粒子の平均粒子径は通常30〜500nmであり、好ましくは40〜200nmであり、さらに好ましくは50〜120nmである。
この平均粒子径が500nmを超える場合には、他の配合成分との相溶性が著しく低下することがある。
【0019】
架橋ポリマー粒子の粒子径のコントロール方法は、特に限定されるものではないが、乳化重合により架橋ポリマー粒子を合成する場合には、使用する乳化剤の量により、乳化重合中のミセルの数を制御し、粒子径をコントロールする方法を例示することができる。
なお本発明において架橋ポリマー粒子(B)の平均粒子径とは、光散乱流動分布測定装置(例えば大塚電子社製の「LPA−3000」)を用い、架橋ポリマー粒子のメチルエチルケトン分散液を常法に従って希釈して測定した値である。
【0020】
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(B)成分である架橋ポリマー粒子の使用量は、(A)成分100質量部に対して5〜100質量部であることが好ましく、より好ましくは10〜70質量部である。(B)成分の使用量が過小である場合には、得られる膜に十分に高い屈曲性および柔軟性を付与することが困難となることがある。一方、(B)成分の使用量が過大である場合には、現像性が悪化し、十分な解像性が得られないことがある。
【0021】
〔(C)成分:リン含有重合性化合物〕
(C)成分を構成するリン含有重合性化合物としては、2,2,4,4,6,6ヘキサ[2−(メタクリロイルオキシ)−エトキシ]−1,3,5−トリアザ−2,4,6−トリホスホリン、2,2,4,4,6,6ヘキサ[2−(アクリロイルオキシ)−エトキシ]−1,3,5−トリアザ−2,4,6−トリホスホリン、2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、2−アクリロイロキシエチルアシッドホスフェート等のリン含有(メタ)アクリレート化合物、リン含有(メタ)アクリルアミド化合物、リン含有ビニルエステル化合物、リン含有ビニルエーテル化合物、モノアクリルオキシエチルホスフェート、ビス(2−メタクリオキシエチルホスフェートなどのビニル基を有するホスホン酸エステル、リン含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂などを用いることができるが、これらの中では、リン含有(メタ)アクリレート化合物が好ましい。
【0022】
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(C)成分であるリン含有重合性化合物の使用量は、(A)成分100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、よりより好ましくは0.5〜5質量部である。(C)成分の使用量が過小である場合には、得られる膜に十分な難燃性を付与することが困難となることがある。一方、(C)成分の使用量が過大である場合には、十分な解像性が得られないことがある。
【0023】
〔(D)成分:光重合開始剤〕
(D)成分を構成する光重合開始剤としては、放射線の照射により(C)成分であるリン含有重合性化合物を重合し得るものが用いられ、その具体例としては、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4‘−モルフォリノブチロフェノンなとを挙げることができる。
【0024】
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(D)成分である光重合開始剤の使用量は、(C)成分1質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。(D)成分の使用量が過小である場合には、十分な解像性が得られないことがある。一方、(D)成分の使用量が過大である場合にも、十分な解像性が得られないことがある。
【0025】
〔(E)成分:溶剤〕
溶剤(E)は、本発明の感放射線性樹脂組成物の取り扱い性を向上させたり、粘度や保存安定性を調節するために添加される。このような溶剤(E)としては、特に制限されず、例えばエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル等のプロピレングリコールモノアルキルエーテル類;
プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジプロピルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテル等のプロピレングリコールジアルキルエーテル類;
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート等のプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;
エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ等のセロソルブ類、ブチルカルビトール等のカルビトール類;
乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸イソプロピル等の乳酸エステル類; 酢酸エチル、酢酸n-プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n-ブチル、酢酸イソブチル、酢酸n-アミル、酢酸イソアミル、プロピオン酸イソプロピル、プロピオン酸n-ブチル、プロ ピオン酸イソブチル等の脂肪族カルボン酸エステル類;
3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル等の他のエステル類;
トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類;
2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、シクロヘキサノン等のケトン類;
N−ジメチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン等のアミド類;
γ−ブチロラクン等のラクトン類などを用いることができる。
これらの溶剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0026】
本発明の感放射線性樹脂組成物において、(E)成分である溶剤の使用量は、(E)以外の成分の合計100質量部に対して、40〜900質量部であることが好ましく、より好ましくは60〜400質量部である。(E)成分の使用量が過小である場合には、当該組成物の粘度が高くなりすぎて、塗布性、塗工性が低下することがある。一方、(E)成分の使用量が過大である場合には、当該組成物の粘度が低下しすぎて、必要な膜厚に塗工することが困難となることがある。
【0027】
本発明の感放射線性樹脂組成物においては、上記の(A)成分〜(E)成分が必須の成分として含有されているが、必要に応じて、架橋剤、難燃剤、無機フィラー、増感剤、レベリング剤・界面活性剤、クエンチャーなどを、本発明の組成物の特性を損なわない程度に含有させることができる。
【0028】
前記架橋剤は、(A)成分である酸変性エポキシアクリレート樹脂と反応する架橋成分(硬化成分)として作用するものであれば、特に限定されない。架橋剤としては、例えば、オキシラニル基含有化合物、チイラン環含有化合物、イソシアネート基含有化合物(ブロック化されたものを含む)等を用いることができる。
前記オキシラニル基含有化合物は、オキシラニル基を分子内に含有しているものであれば特に制限されないが、具体的にはフェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、テトラフェノール型エポキシ樹脂、フェノール−キシリレン型エポキシ樹脂、ナフトール−キシリレン型エポキシ樹脂、フェノール−ナフトール型エポキシ樹脂、フェノール−ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂などのエポキシ樹脂が挙げられる。
これらの架橋剤は、1種単独で或いは2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、これらの架橋剤のなかでも、オキシラニル基含有化合物が好ましい。
本発明の感放射線性樹脂組成物において、架橋剤の使用量は、(A)成分100質量部に対して、100質量部以下であることが好ましく、より好ましくは1〜100質量部、更に好ましくは5〜50質量部である。このような使用量で架橋剤が含有されることにより、硬化反応が十分に進行し、得られる硬化膜は、解像度が高くて良好なパターン形状を有し、耐熱性、電気絶縁性に優れるため好ましい。
【0029】
難燃剤は、樹脂組成物の難燃性を向上させるために添加される。このような難燃剤としては、特に限定されないが、例えば、デカブロモジフェニルエーテル、テトラブロモビスフェノールA、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン等の臭素系難燃剤;
トリフェニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリス(t−ブチル化フェニル)ホスフェート、1,3−フェニレン ビス(ジフェニルホスフェート)等のリン系難燃剤;
三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、水酸化マグネシウム等の無機系難燃剤;
などを用いることができる。
これらの難燃剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0030】
また上記レベリング剤・界面活性剤は、感放射線性樹脂組成物の塗布性を向上させるために添加される。このようなレベリング剤・界面活性剤としては、特に限定されないが、その具体例としては、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステリアルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレインエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;
ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェノールエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル類;
ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類;
ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類;
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどのノニオン系レベリング剤・界面活性剤;
エフトップEF301、同EF303、同EF352(以上、株式会社トーケムプロダクツ製)、メガファックF171、同F172、同F173(以上、大日本インキ化学工業株式会社製)、フロラードFC430、同FC431(以上、住友スリーエム株式会社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−381、同S−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、サーフィノールE1004、KH−10、KH−20、KH−30、KH−40(以上、旭硝子株式会社製)、フタージェント250、同251、同222F、FTX−218(以上、株式会社ネオス製)等のフッ素系レベリング剤・界面活性剤;
オルガノシロキサンポリマーKP341、X−70−092、X−70−093(以上、信越化学工業株式会社製)、SH8400(東レ・ダウコーニング製)、アクリル酸系又はメタクリル酸系ポリフローNo.75、同No.77、同No.90、同No.95(以上、共栄社油脂化学工業株式会社製)が挙げられる。
これらのレベリング剤・界面活性剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記レベリング剤・界面活性剤の使用量は、感放射線性樹脂組成物中、1000ppm以下であることが好ましく、より好ましくは50〜1000ppm、更に好ましくは100〜800ppmである。このような使用量でレベリング剤・界面活性剤が含有されることにより、本発明の感放射線性樹脂組成物の段差基板上への均一塗布性が良好となり、かつ現像時や硬化後の基板への密着性が向上するため好ましい。
【0031】
[感放射線性カバーレイ]
本発明の感放射線性カバーレイは、前述した感放射線性樹脂組成物がシート状に成形されてなり、フレキシブルプリント配線板における回路(導体パターン)を形成する金属箔を保護するために設けられるものである。
感放射線性カバーレイの厚みは、20〜60μmであることが好ましい。
また、本発明の感放射線性カバーレイには、少なくとも一面に離型フィルムが設けられていてもよく、このような感放射線性カバーレイにおいては、離型フィルムを適宜剥離して使用される。
離型フィルムを構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエチレンなどの合成樹脂を用いることができる。
また、離型フィルムの厚みは、10〜50μmであることが好ましい。
このような感放射線性カバーレイは、感放射線性樹脂組成物を塗布して乾燥処理することによって得られる。
【0032】
[フレキシブルプリント配線板]
本発明のフレキシブルプリント配線板は、上記の感放射線性カバーレイによって得られる保護膜が、回路を形成する金属箔上に設けられてなるものである。
フレキシブルプリント配線板における基板材料としては、ポリイミドフィルム、ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルムなどを用いることができ、これらの中では、難燃性、電気絶縁性、耐熱性、弾性率等の点で、ポリイミドフィルムが好ましい。
フレキシブルプリント配線板における基板は、多層構造のものであってもよい。
また、金属箔としては、例えば、銅箔や銀箔等の通電素材を用いることができる。
【0033】
本発明のフレキシブルプリント配線板は、例えば以下のようにして製造することができる。
先ず、所要の回路(導体パターン)が形成された基板の表面に、上記の感放射線性カバーレイを熱圧着する。次いで、この熱圧着された感放射線性カバーレイに対して、放射線照射処理(露光処理)することにより、当該感放射線性カバーレイにおける一部を硬化し、更に、現像処理を施すことにより、感光性カバーレイにおける未露光部分を除去する。そして、残存する露光部分に対してポストキュアを施すことにより、所期の保護膜が形成され、以て、本発明のフレキシブルプリント配線板が得られる。
以上において、感放射線性カバーレイを熱圧着する手段としては、例えば加熱ロール装置を用いることができ、ロール温度、ロール線圧、ロール速度などの具体的な条件は、感放射線性カバーレイを構成する感放射線性樹脂組成物の種類や、感放射線性カバーレイの厚みなどに応じて適宜設定される。
露光処理工程においては、例えば超高圧水銀ランプ光源UV照射機等を用い、光透過部および非光透過部が所要のパターンで形成されたフォトマスクを介して、感放射線性カバーレイに放射線が照射される。
現像処理工程においては、現像剤として適宜の温度に調整したアルカリ水溶液を用いることができる。具体的な現像処理方法としては、スプレー法、浸漬法等を利用することができる。
このようなフレキシブルプリント配線板は、例えば、ICチップ実装用の所謂チップオンフレキ用フレキシブルプリント配線板として好適である。
【実施例】
【0034】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。
また、以下の実施例および比較例において、感放射線性樹脂組成物における各成分として、下記のものを使用した。
【0035】
[(A)成分:酸変性エポキシアクリレート樹脂]
樹脂(A−1):
クレゾールノボラック型酸変性エポキシアクリレート(日本化薬(株)製、商品名;CCR−1291H,酸価=84.6mgKOH/g)
樹脂(A−2):
ビスフェノールA型酸変性エポキシアクリレート(日本化薬(株)製、商品名;ZAR−1035,酸価=98.6mgKOH/g)
樹脂(A−3):
ビフェニルノボラック型酸変性エポキシアクリレート(日本化薬(株)製、商品名;ZCR−1642H,酸価=99.8mgKOH/g)。
【0036】
[(B)成分:架橋ポリマー粒子]
粒子(B−1):
ブタジエン(71.3モル%)/2−ヒドロキシブチルメタクリレート(18.5モル%)/メタクリル酸(9.0モル%)/ジビニルベンゼン(1.2モル%)共重合体よりなる架橋ポリマー粒子(ガラス転移温度=−14℃,平均粒子径=67nm)
粒子(B−2):
ブタジエン(92.4モル%)/2−ヒドロキシブチルメタクリレート(4.6モル%)/メタクリル酸(2.1モル%)/ジビニルベンゼン(0.9モル%)共重合体よりなる架橋ポリマー粒子(ガラス転移温度=−54℃,平均粒子径=65nm)
粒子(B−3):
ブタジエン(66.5モル%)/2−ヒドロキシブチルメタクリレート(28.2モル%)/メタクリル酸(4.0モル%)/ジビニルベンゼン(1.3モル%)共重合体よりなる架橋ポリマー粒子(ガラス転移温度=−7℃,平均粒子径=67nm)
粒子(B−4):
ブタジエン(71.1モル%)/2−ヒドロキシブチルメタクリレート(14.0モル%)/メタクリル酸(13.7モル%)/ジビニルベンゼン(1.1モル%)共重合体よりなる架橋ポリマー粒子(ガラス転移温度=−12℃,平均粒子径=68nm)
[(B’)成分:比較用架橋ポリマー粒子]
粒子(BR−1)(カルボキシル基を有さないもの):
ブタジエン(81.3モル%)/2−ヒドロキシブチルメタクリレート(17.6モル%)/ジビニルベンゼン(1.1モル%)共重合体よりなる架橋ポリマー粒子(ガラス転移温度=−32℃,平均粒子径=70nm)
粒子(BR−2)(水酸基を有さないもの):
ブタジエン(92.5モル%)/メタクリル酸(6.6モル%)/ジビニルベンゼン(0.9モル%)共重合体よりなる架橋ポリマー粒子(ガラス転移温度=−55℃,平均粒子径=70nm)
【0037】
[(C)成分:リン含有重合性化合物]
化合物(C−1):
2,2,4,4,6,6ヘキサ[2−(メタクリロイルオキシ)−エトキシ]−1,3,5−トリアザ−2,4,6−トリホスホリン(共栄社化学(株)製、商品名;PPZ) 化合物(C−2):
2−メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学(株)製、商品名;ライトエステルP−2M)
[(C’)成分:比較用重合性化合物]
化合物(CR−1)(リンを含有していないもの):
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製、商品名;ライトアクリレートDPE−6A)。
【0038】
[(D)成分:光重合開始剤]
開始剤(D−1):
2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン
開始剤(D−2):
2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−4‘−モルフォリノブチロフェノン
[(E)成分:溶剤]
溶剤(E−1):2−ブタノン
溶剤(E−2):2−ヘプタノン
【0039】
〈実施例1〉
(A)成分として樹脂(A−1)100質量部、(B)成分として粒子(B−1)10質量部、(C)成分として化合物(C−1)10質量部、および(D)成分として開始剤(D−1)1質量部を、(E)成分である溶剤(E−1)145質量部に溶解・分散させることにより、本発明の感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0040】
〈実施例2〜7〉
(A)成分〜(E)成分およびそれらの使用量を下記表1に示す配合に従って変更したこと以外は、実施例1と同様にして本発明の感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0041】
〈比較例1〜2〉 (B)成分の代わりに、表1に示す(B’)成分を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較用の感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0042】
〈比較例3〉
(B)成分を用いなかったこと以外は、実施例1と同様にして比較用の感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0043】
〈比較例4〉
(B)成分および(C)成分の代わりに下記表1に示す(B’)成分および(C’)成分を用いたこと以外は、実施例1と同様にして比較用の感放射線性樹脂組成物を調製した。
【0044】

【表1】

【0045】
[感放射線性樹脂組成物の評価]
実施例1〜7および比較例1〜4の感放射線性樹脂組成物の特性を、下記の方法に従って評価した。結果は下記表2に記載のとおりである。
(1)相溶性
10cm角のポリイミド基板に、感放射線性樹脂組成物をアプリケーターバーを用いて塗布し、オーブンで80℃、10分間加熱処理することにより、厚みが30μmの均一な塗膜を形成した。この塗膜の表面を目視で観察し、塗膜の表面に異物の発生が認められないものを、感放射線性樹脂組成物における各成分が均一に混合されているものとみなして○と判定し、塗膜の表面に異物の発生が認められるものを、感放射線性樹脂組成物における各成分が均一に混合されていないものとみなして×と判定した。
(2)解像性
10cm角のポリイミド基板に、感放射線性樹脂組成物をアプリケーターバーを用いて塗布し、オーブンで80℃、10分間加熱処理することにより、厚みが30μmの均一な塗膜を形成した。その後、得られた塗膜に対して、アライナー(Karl Suss社製 「MA−100」)を用い、パターンマスクを介して、高圧水銀灯から波長350nmの紫外線を、露光量が3,000〜5,000J/m2 となるように露光処理を行った。 次いで、1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用い、23℃、180秒間の条件で、塗膜を浸漬現像処理することにより、ポリイミド基板上にパターンを形成した。
この操作を、ポリイミド基板を交換し、順次寸法の小さいパターンマスクを用いて繰り返して行い、抜けのないパターンが得られるパターンマスクの最小寸法を測定した。
(3)屈曲性(柔軟性)試験
離型ポリエチレンスレフタレートフィルム上に、アプリケーターバーを用いて感放射線性樹脂組成物を塗布し、オーブンで80℃、10分加熱処理し、更に、170℃で、1時間加熱処理した。その後、離型PETフィルムを除去し、厚さ30μmのシートを得た。得られたシートを幅5mm×長さ10cmに切り取り、試験片を得た。シートの中央に500gのおもりを乗せた後、反対に折り返して再度500gのおもりを乗せ、シートの折り目上にクラックが発生するか、しないか(○;クラックなし、×クラック発生)を目視により判定した。
(4)難燃性試験
ASTM D4804に、準拠して試験を実施した。
試験条件は、接炎時間3秒/2回、炎長20mm、試験片として、ポリイミドフィルム上に膜厚30μmになるようアプリケーターバーを用いて塗布した後、オーブンで80℃10分加熱処理させて、その後、170℃で1時間加熱処理したものを使用した。
接炎後の燃焼時間を測定し、10秒間以下のものをVTM−0、30秒間以下のものをVTM−1、30秒間を超えるものをNGとして判定した。
【0046】
【表2】

【0047】
表2の結果から明らかなように、実施例1〜7に係る感放射線性樹脂組成物によれば、相溶性、解像性、得られる膜の屈曲性および難燃性の全てにおいて優れたものであることが確認された。
これに対して、比較例1に係る感放射線性樹脂組成物においては、架橋ポリマー粒子がカルボキシル基を有していないため、アルカリ溶解性が低く、良好な解像性が得られなかった。また、比較例2に係る感放射線性樹脂組成物においては、架橋ポリマー粒子が水酸基を有していないため、良好な相溶性および解像性が得られず、また、架橋ポリマー粒子が析出して十分な屈曲性を有する膜が得られなかった。また、比較例3に係る感放射線性樹脂組成物においては、架橋ポリマー粒子が含有されていないため、十分な屈曲性を有する膜が得られなかった。また、比較例4に係る感放射線性樹脂組成物においては、リン含有重合性化合物が含有されていないため、良好な難燃性が得られなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)成分〜(E)成分を含有することを特徴とする感放射線性樹脂組成物。
(A)成分:酸変性エポキシアクリレート樹脂
(B)成分:カルボキシル基および水酸基を有し、かつガラス転移温度が0℃以下の架橋ポリマー粒子
(C)成分:リン含有重合性化合物
(D)成分:光重合開始剤
(E)成分:溶剤
【請求項2】
前記リン含有重合性化合物が、リン含有(メタ)アクリレートであること特徴とする請求項1に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項3】
前記架橋ポリマー粒子が、下記の単量体(b1)〜単量体(b4)に由来の構造単位を有するものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の感放射線性樹脂組成物。
単量体(b1):ジエン系単量体
単量体(b2):カルボキシル基含有単量体
単量体(b3):水酸基含有単量体
単量体(b4):エチレン性重合性不飽和基を少なくとも2個有する単量体
【請求項4】
前記架橋ポリマー粒子の全構造単位を100モルとするとき、前記単量体(b1)に由来の構造単位が65〜95モル、前記単量体(b2)に由来の構造単位および前記単量体(b3)に由来の構造単位の合計が5〜35モル、前記単量体(b4)に由来の構造単位および前記単量体(b1)〜単量体(b4)以外の単量体に由来する構造単位の合計が0.5〜5モルであることを特徴とする請求項3に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項5】
フレキシブル基板用カバーレイの材料として用いられるものであることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の感放射線性樹脂組成物。
【請求項6】
請求項5に記載の感放射線性樹脂組成物がシート状に成形されてなることを特徴とする感放射線性カバーレイ。
【請求項7】
請求項6に記載の感放射線性カバーレイによって得られる保護膜が、回路を形成する金属箔上に設けられていることを特徴とするフレキシブルプリント配線板。

【公開番号】特開2010−139559(P2010−139559A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−313413(P2008−313413)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】