説明

感熱応答性ポリ乳酸成形体及びその製造方法

【課題】ポリ乳酸特有の性質を利用し、温度変化に応じて光透過性が変化する性質を有する感熱応答性ポリ乳酸成形体を得る。
【解決手段】ポリ乳酸100質量部に対して1質量部以上10質量部以下の多官能性モノマーを混合したポリ乳酸組成物を作成する工程と、前記ポリ乳酸組成物を所要形状に成形する工程と、前記ポリ乳酸組成物からなる成形体に電離性放射線を照射して架橋して、ポリ乳酸架橋体を作成する工程と、前記ポリ乳酸架橋体にポリ乳酸のガラス転移温度以上の水分を付与し、該ポリ乳酸架橋体中に水分を含有させる工程と、前記ポリ乳酸架橋体中に含有させた水分を保持した状態で、前記ポリ乳酸架橋体をポリ乳酸のガラス転移温度未満に冷却する工程と、を備えている製造方法とし、架橋されたポリ乳酸に水分が分散して含有され、水分率が0.5質量%以上2.0質量%以下である感熱応答性ポリ乳酸成形体を得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感熱応答性ポリ乳酸成形体及びその製造方法に関し、従来のポリ乳酸成形体が有しない感熱応答性を付与しているものである。
【背景技術】
【0002】
現在、多くのフィルムや容器の原材料として利用されている石油合成高分子材料は、焼却廃棄処理に伴う熱および排気ガスによる地球温暖化、さらに燃焼ガスおよび燃焼後の残留物中の毒性物質による食物や健康への悪影響、廃棄埋設処理地の確保など、その廃棄処理過程についてだけでも様々な社会問題が懸念されている。
【0003】
このような石油合成高分子材料の廃棄処理の問題点を解決する材料として、石油合成高分子材料に比べて、燃焼に伴う熱量が少なく、かつ自然環境での分解・再合成のサイクルが保たれる等、生態系を含む地球環境に悪影響を与えないことから、生分解性高分子材料が注目されてきている。生分解性高分子材料のなかでも、脂肪族ポリエステル系樹脂は強度や加工性の点で石油合成高分子材料に匹敵する特性を有し、近年注目を浴びている素材であり、特にポリ乳酸は植物から供給されるデンプンから作られ、近年の大量生産によるコストダウンで他の生分解高分子材料に比べて価格が下がりつつある点から、その応用について多くの検討がなされている。
【0004】
しかし、地球環境問題の対策のためにポリ乳酸の主な材料であるトウモロコシがバイオエタノールの製造に転用されるようになって以来、ポリ乳酸の価格は下げ止まりの傾向を示すようになり、原料のトウモロコシ等の穀類の価格が石油価格と連動するように縮まりつつあった石油合成高分子との価格差は現状のまま推移すると考えられるようになった。そのため、今後さらにポリ乳酸の利用を拡大していくためには、ポリ乳酸に他の石油合成高分子にはない付加価値を見いだしていくことが重要と考えられるようになってきた。
【0005】
ポリ乳酸からなる材料に付加価値を持たせたものとして、例えば、特開2004−307661号公報(特許文献1)は、ポリ乳酸を主成分とし、厚さ1mmの板状にした際に、波長900〜940nmの光線透過率が50%以上、200〜700nmの光線透過率が40%以下であるポリ乳酸含有樹脂組成物を用いてなる、赤外線を発光または受光する光学部品を提供している。
【0006】
【特許文献1】特開2004−307661号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献1の光学部品は、ポリ乳酸にタルクや酸化チタンのような光線吸収剤を配合することにより、前述のような光線透過率を得ており、ポリ乳酸の特有な性質を利用して光線透過率を得ているものではない。
【0008】
本発明は前記問題に鑑みてなされたものであり、天然由来生分解性樹脂であるポリ乳酸を用い、周囲の温度に応じて光に対する透過性を変化させる性質を有する感熱応答性ポリ乳酸成形体を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は、第1の発明として、
架橋されたポリ乳酸中に水分が分散して含有され、水分率が0.5質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とする感熱応答性ポリ乳酸成形体を提供している。
【0010】
本発明者らは、ポリ乳酸の新規な特性を鋭意探索してきた結果、架橋されたポリ乳酸(ポリ乳酸架橋体)に0.5質量%以上2.0質量%の水分を含有させることができ、このように水分を吸着等により含有させたポリ乳酸架橋体は温度変化によって可視光を含む電磁波の透過性が可逆的に変化する性質、所謂「感熱応答性」を発現することを見い出した。具体的には、0.5質量%以上2.0質量%以下の水分率を備えたポリ乳酸架橋体は、例えば、71〜73℃付近より高い温度の水中では透明となるのに対し、71〜73℃付近より低い温度の水中では白濁した状態となり、71〜73℃を境界として光透過率に可逆的な変化を生じる。
そのため、光線吸収剤等の他の薬剤を配合したりしなくても、光透過性を変化させることができ、従来に無い、天然由来生分解性樹脂であるポリ乳酸を用いた感熱応答性材料を得ることができる。感熱応答性ポリ乳酸成形体は、このように生分解性であり、自然界において生態系に及ぼす影響が極めて少ないことから、大量に製造、廃棄されるプラスチック製品全般の代替材料としての応用も期待される。
【0011】
感熱応答性ポリ乳酸成形体の水分率を0.5質量%以上2.0質量%以下としているのは、0.5質量%未満であると水分率が小さく、十分な感熱応答性が得られないからであり、2.0質量%を超える水分率はポリ乳酸では得られ難く、2.0質量%を超える水分率とするとポリ乳酸が加水分解するおそれがあると考えられるからである。
水分率の下限値は好ましくは0.7質量%以上であり、上限値は好ましくは1.5質量%以下、さらに好ましくは1.0質量%以下である。
なお、水分率の測定は、実施例に記載の方法で行っている。
【0012】
本発明の感熱応答性ポリ乳酸成形体の「感熱応答性」は、温度変化に応じて、電磁波の透過特性の変化を発現するものを示す。電磁波としては、可視光のみならず、紫外線、赤外線等の種々の波長の異なる光であってもよい。
具体的には、前記感熱応答性ポリ乳酸成形体は、厚さ500μmの場合の波長600nmにおける光線透過率が、60℃以下では5%以下の不透明で遮光性である一方、80℃以上では70%以上の透明で光透過性を有する性質(感熱応答性)を備えていることが好ましい。
【0013】
本発明は、さらに、前記第1の発明の感熱応答性ポリ乳酸成形体の製造方法に係る第2の発明として、
ポリ乳酸100質量部に対して1質量部以上10質量部以下の多官能性モノマーを混合したポリ乳酸組成物を作成する工程と、
前記ポリ乳酸組成物を所要形状に成形する工程と、
前記ポリ乳酸組成物からなる成形体に電離性放射線を照射して架橋して、ポリ乳酸架橋体を作成する工程と、
前記ポリ乳酸架橋体にポリ乳酸のガラス転移温度以上の水分を付与し、該ポリ乳酸架橋体中に水分を含有させる工程と、
前記ポリ乳酸架橋体中に含有させた水分を保持した状態で、前記ポリ乳酸架橋体をポリ乳酸のガラス転移温度未満に冷却する工程と、
を備えていることを特徴とする感熱応答性ポリ乳酸成形体の製造方法を提供している。
【0014】
本発明者らは、0.5質量%以上2.0質量%の水分を含有する第1の発明の感熱応答性ポリ乳酸成形体は、架橋されたポリ乳酸にポリ乳酸のガラス転移温度以上の水を付与した後、ガラス転移温度以下に冷却することで得られることを知見した。
【0015】
前記感熱応答性ポリ乳酸成形体の製造方法は前記工程からなり、
まず、第一工程で、ポリ乳酸100質量部に対して1質量部以上10質量部以下の多官能性モノマーを混合したポリ乳酸組成物を作製する。
【0016】
本発明で用いられるポリ乳酸としては、L−乳酸からなるポリ乳酸、D−乳酸からなるポリ乳酸、L−乳酸とD−乳酸の混合物を重合することにより得られるポリ乳酸、またはこれら2種類以上の混合物が挙げられる。なお、ポリ乳酸を構成するL−乳酸またはD−乳酸は化学修飾されていても良い。
本発明で用いるポリ乳酸としては前記のようなホモポリマーが好ましいが、乳酸モノマーまたはラクチドとそれらと共重合可能な他の成分とが共重合されたポリ乳酸コポリマーを用いても良い。コポリマーを形成する前記「他の成分」としては、例えばグリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、5−ヒドロキシ吉草酸もしくは6−ヒドロキシカプロン酸などに代表されるヒドロキシカルボン酸;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸もしくはイソフタル酸などに代表されるジカルボン酸;エチレングリコール、プロパンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、グリセリン、ソルビタンもしくはポリエチレングリコールなどに代表されるラクトン類等が挙げられる。
【0017】
前記多官能性モノマーとしては、電離性放射線の照射により架橋できるモノマーであれば特に制限を受けないが、例えばアクリル系もしくはメタクリル系、またはアリル系多官能性モノマーが挙げられる。
アクリル系もしくはメタクリル系の多官能性モノマーとしては、(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレ―ト、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート等が挙げられる。
【0018】
アリル系多官能性モノマーとしては、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、トリメタアリルシアヌレート、ジアリルアミン、トリアリルアミン、ジアクリルクロレンテート、アリルアセテート、アリルベンゾエート、アリルジプロピルイソシアヌレート、アリルオクチルオキサレート、アリルプロピルフタレート、ブチルアリルマレート、ジアリルアジペート、ジアリルカーボネート、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、ジアリルフマレート、ジアリルイソフタレート、ジアリルマロネート、ジアリルオキサレート、ジアリルフタレート、ジアリルプロピルイソシアヌレート、ジアリルセバセート、ジアリルサクシネート、ジアリルテレフタレート、ジアリルタトレート、ジメチルアリルフタレート、エチルアリルマレート、メチルアリルフマレート、メチルメタアリルマレート、ジアリルモノグリシジルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0019】
本発明で用いる多官能性モノマーとしては、比較的低濃度で高い架橋度を得ることができることからアリル系多官能性モノマーが好ましい。なかでもトリアリルイソシアヌレートはポリ乳酸に対する架橋効果が高いため特に好ましい。また、トリアリルイソシアヌレートと加熱によって相互に構造変換しうるトリアリルシアヌレートを用いても、実質的に効果は同じである。
【0020】
前記多官能性モノマーの配合量は、ポリ乳酸100質量部に対して1質量部以上10質量部以下としている。
多官能性モノマーは、ポリ乳酸100質量部に対して0.5質量部以上で架橋が認められるが、本発明の目的である感熱応答性を得るためには、多官能性モノマーは少なくともポリ乳酸100質量部に対して1質量部以上必要であり、さらに確実に感熱応答性を発現させるには3質量部以上配合するのが好ましい。また、ポリ乳酸に全量を均一に混合する観点から、ポリ乳酸100質量部に対する多官能性モノマーの配合量は10質量部以下としており、さらにポリ乳酸に確実に多官能性モノマーの全量を均一混合するためには8質量部以下とするのが好ましい。なお、8質量部を超える配合量としてもポリ乳酸の架橋効果には実質的に顕著な差は生じない。
また、本発明の感熱応答性ポリ乳酸成形体の生分解性を勘案すれば、生分解が確実なポリ乳酸成分を多くすることが望ましく、かつ架橋効果の確実性も考慮して、ポリ乳酸100質量部に対して5〜7質量部前後が最も適している。
【0021】
前記第一工程でポリ乳酸組成物を作製した後、第二工程で、得られたポリ乳酸組成物をシート、フィルム、繊維等の所要形状に成形する。
ポリ乳酸組成物の成形方法は、特に限定されず、公知の成形機を用いて行えばよい。
例えば、押出成形機、圧縮成形機、真空成形機、ブロー成形機、Tダイ型成形機、射出成形機、インフレーション成形機等の公知の成形機が用いられる。
【0022】
第三工程で、得られたポリ乳酸組成物からなる成形体に電離性放射線を照射して、ポリ乳酸を架橋して、ポリ乳酸架橋体としている。
架橋に使用する電離性放射線は、γ線、エックス線、β線或いはα線などが使用できるが、工業的生産にはコバルト−60によるγ線照射や電子線加速器による電子線が好ましい。
本発明に好適なポリ乳酸架橋体を容易に得るため、前記電離性放射線の照射量は、60kGy以上240kGy以下としていることが好ましい。
電離性放射線の照射量は多官能性モノマーの濃度にも多少依存し、数kGyでも架橋は認められるが、本発明に必要な架橋構造を得るには、数10kGy以上が必要である。望ましくは60kGy以上、さらに望ましく80kGyである。また、ポリ乳酸は、樹脂単独では放射線で崩壊する性質を持つため、必要以上の照射は架橋とは逆に分解を進行させることになる。したがって、通常、照射量は240kGy程度までとすることが望ましい。
電離性放射線の照射は空気を除いた不活性雰囲気下や真空下で行うのが好ましい。電離性放射線の照射によって生成した活性種が空気中の酸素と結合して失活すると架橋効率が低下するためである。
なお、電離性放射線照射後に得られるポリ乳酸架橋体のゲル分率は少なくとも80%以上、好ましくは90%以上、さらに好ましくは95%以上であり、実質的に100%であることが最も好ましい。
【0023】
第四工程で、得られたポリ乳酸架橋体にポリ乳酸のガラス転移温度以上の水分を付与し、該ポリ乳酸架橋体中に水分を含有させる。
ポリ乳酸架橋体に対して、ポリ乳酸のガラス転移温度以上の水分を付与する方法としては、工業生産上、簡便であるため、ポリ乳酸のガラス転移温度以上の温水に浸漬して該ポリ乳酸架橋体中に水を含浸させるか、あるいは、ポリ乳酸のガラス転移温度以上の高温蒸気に接触させるのが好ましい。
ポリ乳酸のガラス転移温度は通常約60℃であるため、具体的には、60℃以上、望ましくは80℃以上の温度で水を付与させている。温度の上限は特に無いが、水は常圧では100℃以上では蒸発するため実質100℃以下となる。
【0024】
第五工程で、ポリ乳酸架橋体中に含有させた水分を保持した状態で、ポリ乳酸のガラス転移温度未満、好ましくは常温まで冷却し、本発明の感熱応答性ポリ乳酸成形体を得る。
このように、含有した水分を失わないように、水中か、乾燥を防いだ密閉状態でポリ乳酸のガラス転移温度未満まで冷却することで、本発明の感熱応答性ポリ乳酸成形体を得ることが出来る。
【0025】
なお、前記第一工程で得られる前記ポリ乳酸組成物には、前記ポリ乳酸、多官能性モノマーのほか、感熱応答性ポリ乳酸成形体の感熱応答性を阻害しない限りにおいて、他の成分を配合してもよい。本発明の感熱応答性ポリ乳酸成形体は、透明−不透明の可逆変化を示す必要があるので、該透明性を阻害しない限りにおいて他の成分は配合するものとしており、具体的には、添加する成分にもよるが、製造される感熱応答性ポリ乳酸成形体中に1〜5質量%程度に限定される。
【0026】
前記「他の成分」としては、例えば、ポリ乳酸以外の生分解性ポリエステルである、ε−ポリカプロラクトンもしくはδ−ポリブチロラクトンに代表されるポリラクトン類、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、グルタル酸、デカンジカルボン酸、テレフタル酸もしくはイソフタル酸などに代表されるジカルボン酸と、エタンジオール、プロパンジオール、ブタンジオール、オクタンジオール、ドデカンジオール、などに代表される多価アルコールとのコポリマー、すなわち、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンアジペート、ポリブチレンアジペートテレフタレート等、さらにこれにポリ乳酸を加えたコポリマー、すなわち、ポリブチレンサクシネートラクチド、ポリブチレンサクシネートアジペートラクチド、またはポリグリコール酸、ポリヒドロシキ酪酸、ポリヒドロキシ吉草酸もしくはポリヒドロキシカプロン酸などに代表されるポリヒドロキシカルボン酸等、ポリ乳酸を含め以上に述べた2種以上のホモポリマー、コポリマーの混合物を配合してもよい。
【0027】
また、前記「他の成分」として前記生分解性ポリエステル以外の生分解性材を配合してもよく、該生分解性材としては、ポリビニルアルコール等の合成生分解性樹脂、またはポリヒドロキシブチレート・バリレート等の天然直鎖状ポリエステル等の天然生分解性樹脂を挙げることができる。
また、生分解性を有する合成高分子および/または天然高分子を、溶融特性を損なわない範囲で混合してもよい。生分解性を有する合成高分子としては、酢酸セルロース、セルロースブチレート、セルロースプロピオネート、硝酸セルロース、硫酸セルロース、セルロースアセテートブチレートもしくは硝酸セルロース、酢酸セルロース等のセルロースエステル、またはポリグルタミン酸、ポリアスパラギン酸もしくはポリロイシン等のポリペプチドが挙げられる。天然高分子としては、例えば澱粉として、トウモロコシ澱粉、コムギ澱粉もしくはコメ澱粉などの生澱粉、または酢酸エステル化澱粉、メチルエーテル化澱粉もしくはアミロース等の加工澱粉が挙げられる。
【0028】
このほか、「他の成分」として、硬化性オリゴマー、各種安定剤、難燃剤、加水分解抑制剤、帯電防止剤、防カビ剤、ポリ乳酸結晶化促進用核剤もしくは粘性付与剤等の添加剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉末、タルク、マイカもしくはシリカ等の無機・有機充填材からなるフィラー、及び該フィラーがシランやステアリン酸などで表面処理されたもの、染料もしくは顔料等の着色剤等を配合することもできる。
このなかでも、特に、補強用として無機フィラーを配合することが好ましい。
【0029】
なお、第1の発明の感熱応答性ポリ乳酸成形体は、第2の発明の製造方法のほか、ポリ乳酸架橋体を得る方法として化学架橋開始剤を用いた下記製造方法によっても得ることができる。
化学架橋開始剤を用いる他の製造方法は、
ポリ乳酸100質量部に対して1質量部以上10質量部以下の多官能性モノマーと、化学架橋開始剤とを混合したポリ乳酸組成物を作成する工程と、
前記ポリ乳酸組成物を所要形状に成形する工程と、
前記ポリ乳酸組成物からなる成形体を、前記化学架橋開始剤が熱分解する温度に加熱して、ポリ乳酸架橋体を作成する工程と、
前記ポリ乳酸架橋体にポリ乳酸のガラス転移温度以上の水分を付与し、該ポリ乳酸架橋体中に水分を含有させる工程と、
前記ポリ乳酸架橋体中に含有させた水分を保持した状態で、前記ポリ乳酸架橋体をポリ乳酸のガラス転移温度未満に冷却する工程と、
を備えている。
【0030】
このように化学架橋開始剤を用いる場合、ポリ乳酸及び多官能性モノマーと共に化学架橋開始剤を混合したのち、第2の発明の製造方法と同様に所望の形状に成形し、化学架橋開始剤が熱分解する温度まで加熱することにより、ポリ乳酸架橋体を作製している。ポリ乳酸、多官能性モノマーとしては、第2の発明と同じ物質を用いることができる。
【0031】
化学架橋開始剤としては、熱分解により過酸化ラジカルを生成する過酸化ジクミル、過酸化プロピオニトリル、過酸化ベンゾイル、過酸化ジ−t−ブチル、過酸化ジアシル、過酸化ペラルゴニル、過酸化ミリストイル、過安息香酸−t−ブチルもしくは2,2’−アゾビスイソブチロニトリルなどの過酸化物触媒をはじめとするモノマーの重合を開始する触媒であればいずれでもよい。
架橋させるための温度条件は化学架橋開始剤の種類により適宜選択することができる。
架橋は、放射線照射の場合と同様、空気を除いた不活性雰囲気下や真空下で行うのが好ましい。
【0032】
第1の発明の感熱応答性ポリ乳酸成形体は、水分を失っても再びポリ乳酸のガラス転移温度以上の水分を付与することにより、再生することが可能である。本発明者等は後述するように10回以上の繰り返しが可能であることを確認している。
再生不能になるのは、ポリ乳酸には加水分解性があるために水存在化で加熱されることで加水分解するためであり、加水分解性を加水分解抑制剤などで抑制すれば、さらに多数回、長期間使用できるようにすることが可能である。
この場合の加水分解抑制剤としては、カルボジイミド等を用いることができ、具体的な商品名としては、日清紡(株)製「カルボジライトLA−1(商品名)」を好適に用いることができる。
【0033】
前述した本発明の感熱応答性ポリ乳酸成形体の「感熱応答性」は、温度に応じて、下記(A)(B)のような変化が繰り返し起こることにより発現すると考えられる。
(A)ポリ乳酸架橋体は吸着水を有することによりガラス転移温度が低下するため、温度が低くなると、表面付近でのサブミクロンサイズのポリ乳酸の微結晶化が起こって不透明になる。
(B)温度の上昇に伴い、吸着水が外れて元のガラス転移温度に復帰し、非結晶化して透明になる。
架橋されたポリ乳酸中の水分率が0.5質量%未満となると、吸着水により低下していたガラス転移温度が元に復帰するため、この性質を示さなくなると考えられる。
【0034】
本発明の感熱応答性ポリ乳酸成形体は、可逆的な感熱応答性を有するため、感熱マーカーや熱応答性の光スイッチなどに応用することができる。
さらに、乾燥により透明になるので、湿度センサに利用することもできる。特に他の生分解性樹脂に無いポリ乳酸の透明性を利用して光透過性を変化しうる点から、光ファイバーや光ディスクなど光学製品へも応用することができる。
【発明の効果】
【0035】
前述したように、本発明によれば、ポリ乳酸架橋体に所定量の水分を含有させることにより、周囲の温度に応じて光に対する透過性を変化させる性質(感熱応答性)を発現させることができ、従来に無い、天然由来生分解性樹脂であるポリ乳酸を用いた感熱応答性材料を得ることができる。
【0036】
本発明の感熱応答性ポリ乳酸成形体は、生分解性であることから、自然界において生態系に及ぼす影響が極めて少なく、大量に製造、廃棄されるプラスチック製品全般の代替材料としての応用も期待することができる。
【0037】
本発明の感熱応答性ポリ乳酸成形体は、可逆的な感熱応答性を有するため、感熱マーカーや熱応答性の光スイッチなどに応用することができる。
さらに、本発明の感熱応答性ポリ乳酸成形体は、乾燥することにより透明になるので、湿度センサに利用することもできる。特に他の生分解性樹脂に無いポリ乳酸の透明性を利用して光透過性を変化しうる点から、光ファイバーや光ディスクなど光学製品へも広く応用することができる。
また、生体への影響がない点から、生体内外に利用される注射器やカテーテルなどの医療用器具への適用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態について説明する。
第1実施形態の感熱応答性ポリ乳酸成形体は、0.5質量%以上2.0質量%以下の範囲の水分率を有しており、該範囲の水分率を保持した状態で60℃以下とすると白濁して遮光性である一方、80℃以上では透明で光透過性を有する感熱応答性を有している。
【0039】
本実施形態の感熱応答性ポリ乳酸成形体は、以下の方法で製造している。
第一工程で、ポリ乳酸組成物を作成している。
詳しくは、ポリ乳酸を加熱により軟化させるか、あるいはクロロホルムやクレゾール等のポリ乳酸が溶解しうる溶媒中にポリ乳酸を溶解または分散させる。
ついで、ポリ乳酸100質量部に対して、多官能性モノマーを3質量部以上7質量部以下の割合で添加する。本実施形態では、多官能性モノマーとしてトリアリルイソシアヌレートを用いている。
添加後、多官能性モノマーが均一になるように撹拌混合して、ポリ乳酸組成物を得ている。
ついで、溶媒を用いた場合は、さらに溶媒を乾燥除去しても良い。
【0040】
第二工程で、得られたポリ乳酸組成物を再び加熱により軟化させて、シート、フィルム、繊維等の所望形状に成形している。
このポリ乳酸組成物の成形は、組成物の調製と連続して、例えば溶媒に溶解した状態のまま続けて行っても良いし、一旦冷却または溶媒を乾燥除去した後に再び組成物を加熱軟化させて行ってもいずれでも良い。
【0041】
第三工程で、得られたポリ乳酸組成物からなる成形体に電離性放射線を照射し、ポリ乳酸を架橋させ、ポリ乳酸架橋体としている。
電離性放射線は、電子線加速器による電子線照射とし、その照射量を60kGy以上240kGy以下の範囲としている。電子線の照射量は、多官能性モノマーの配合量等に応じて前記照射量の範囲内で適宜選択している。
また、放射線照射量は、電離性放射線照射後に得られるポリ乳酸架橋体のゲル分率が実質的に100%となることを目安に選択しており、ゲル分率を90%以上としている。
【0042】
第四工程で、得られたポリ乳酸架橋体をポリ乳酸のガラス転移温度以上の温水に浸漬している。本実施形態では、温水の温度を80〜95℃としており、該温水に20〜60分間浸漬している。
第五工程で、ポリ乳酸架橋体を水中に浸漬した状態で、ポリ乳酸のガラス転移温度以下である室温まで冷却し、水中から取り出して、本実施形態の感熱応答性ポリ乳酸成形体を得ている。
【0043】
前記第一〜第五工程で得られた感熱応答性ポリ乳酸成形体は、前述したように、0.5質量%以上2.0質量%以下の範囲の水分率を有しており、厚さ500μmのシートに成形された場合、該範囲の水分率を保持した状態で60℃以下とすると波長600nmにおける光線透過率が5%以下の不透明で遮光性である一方、80℃以上とすると波長600nmにおける光線透過率が70%以上の透明で光透過性を有する。
【0044】
なお、本実施形態ではポリ乳酸架橋体を温水に浸漬することによってポリ乳酸架橋体に水分を含有させたが、ポリ乳酸架橋体にポリ乳酸のガラス転移温度以上の水蒸気を接触させることにより水分を含有させてもよい。
例えば、80〜100℃の水蒸気を満たした恒温恒湿槽内に一定時間(例えば、5〜10分)放置する等の方法とすればよい。
【0045】
以下、本発明の実施例および比較例を挙げて具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0046】
(実施例1)
ポリ乳酸として、ペレット状の三井化学(株)製ポリ乳酸「レイシア(LACEA)H−400(商品名)」を使用した。ポリ乳酸を略閉鎖型混練機ラボプラストミルにて、180℃で融解させ、透明になるまで十分溶融混練した中に、多官能性モノマーとしてアリル系モノマーであるトリアリルイソシアヌレート(日本化成工業(株)製「TAIC(商品名)」)をポリ乳酸100質量部に対して5質量部の割合で添加し、回転数40rpmで5分間良く練って混合し、ポリ乳酸組成物を得た。
【0047】
得られたポリ乳酸組成物を混練機より取り出し、180℃でシート状に熱プレス成形した後、水冷で急冷し、500μm厚のシートを作製した。
次に、このシートに対して、空気を除いた不活性雰囲気下で電子加速器(加速電圧2MeV、電流量1mA)により100kGyの照射量の電離性放射線を照射し、ポリ乳酸架橋体を得た。
【0048】
次いで、得られたポリ乳酸架橋体を恒温槽内で90℃に加熱した純水に30分間浸漬し、純水をいれた容器ごと恒温槽から取り出して常温に冷却したのち、純水から取り出した直後、あるいは乾燥しないように保管したものを実施例1とした。
【0049】
(比較例1〜3)
電離性放射線の照射を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1とした。
また、多官能性モノマーを配合しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例2とした。
また、90℃温水に浸漬しなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例3とした。
【0050】
得られた実施例及び比較例のシートの水分率、ゲル分率、目視による光の透過性を下記方法で評価した。
【0051】
(水分率)
実施例及び比較例のシートの質量(元質量)を測定し、さらに各々のシートを100℃で1時間乾燥させた後の質量(乾燥質量)を測定し、下記式(1)から水分率を求めた。
水分率(%)=[(元質量−乾燥質量)/元質量]×100 (1)
【0052】
(ゲル分率)
実施例及び比較例のシートの乾燥質量を測定し、各々目空き100μmのメッシュに入れて、サンプル質量の100倍以上のクロロホルムに60℃で24時間浸漬したのち、シートを乾燥し、クロロホルム浸漬後の乾燥質量を求め、下記式(2)によりゲル分率を求めた。
ゲル分率(%)=(A/B)×100 (2)
A:クロロホルム浸漬後のサンプルの乾燥質量
B:クロロホルム浸漬前のサンプルの乾燥質量
【0053】
(目視による光の透過性)
実施例及び比較例のシートについて、製造後の室温での状態、90℃の温水中に30分間浸漬した後、90℃で30分間空気乾燥した後について、各々目視観察を行い、透明であるか、白濁している(不透明)かを判定した。
【0054】
前記測定結果を、実施例及び比較例の製造条件の違いと共に、表1に示す。
【0055】
【表1】

【0056】
また、感熱応答性を有する実施例1のシートについて、下記方法により感熱光応答性の温度特性の評価、及び感熱光応答性の繰り返し評価を行なった。
【0057】
(感熱光応答性の温度特性の評価)
実施例1のシートを温度の異なる純水に浸漬した時の水中でのシートの波長600nmにおける透過率を島津製作所(株)製紫外可視分光光度計「UV−160(商品名)」を用いて測定した。測定結果を図1に示す。
【0058】
(感熱光応答性の繰り返し特性の評価)
実施例1のシートについて、(i)90℃の温水中に30分間浸漬した後に引き上げて、シートが濡れた状態での水分率及び吸光度を測定する、(ii)90℃の空気中で30分間乾燥して、シートが乾いた状態で質量及び吸光度を測定する、という操作を(i)→(ii)→(i)→(ii)→・・・というように10回繰り返した時のシートの吸光度(波長600nm)の変化と、製造時における90℃温水浸漬前のポリ乳酸架橋体を基準とした時の質量変化(質量%)を、各々、図2、図3に示した。なお、1回目の90℃温水中への浸漬(wet1)は、前記製造方法における温水浸漬に相当するものとし、この時点を本評価のスタートとした。
シートの吸光度は、島津製作所(株)製紫外可視分光光度計「UV−160(商品名)」を用いて波長600nmにおける吸光度を測定することにより行った。
【0059】
表1より、実施例1のシートは、室温では白く不透明な状態であるが、90℃の温水に浸漬すると透明となり、感熱光応答性を有していた。次いで、温水中から浸漬したシートを引き上げて90℃で乾燥を行うと白く不透明な状態から透明に変化した。シリカゲルとともに密閉容器に12時間入れたのちに取り出しても同様に透明になった。
これに対し、比較例1,2のシートは、室温では白く不透明な状態であり、90℃の純水に浸漬し、乾燥する過程でも、すべて白く不透明であり、感熱光応答性を有していなかった。
比較例3のシートは、室温では透明であり、90℃の温水に浸漬しても透明のままであった。このように比較例3のシートは感熱光応答性を有していないが、90℃温水浸漬試験中において実質的に実施例1と同様のシートとなるため、その後は感熱応答性を示す。
【0060】
また、図1より、実施例1のシートは、100℃に加熱した純水に入れると透明になり、そのまま室温で放置して自然冷却させたところ、透過率が低下し、73〜71℃付近で白く不透明な状態に戻った。図1には示していないが、次いで水温を上昇させると透明に戻り、自然冷却で73〜71℃付近となると再び白く不透明な状態に戻り、この透過率の変化は可逆的であることが確認できた。
【0061】
また、実施例1のシートは、90℃温水浸漬と90℃乾燥を繰り返してもこの光透過性の変化が図2のように可逆的に繰り返し起こり、図3の質量変化から吸水、脱水による繰り返しの再生が可能であることがわかった。
【0062】
なお、図には示していないが、比較例1,2は、90℃温水浸漬と90℃乾燥を繰り返しても白く不透明なままで透明にはならず、光の透過性に変化は見られなかった。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明の感熱応答性ポリ乳酸成形体は、周囲の温度に応じて光透過性を変化させる性質を有することから、光学的なスイッチ材、熱履歴マーキング材等の分野の用途に用いることができる。さらに、乾燥により透明になる性質もあり、湿度センサなどへの応用も期待できる。特に他の生分解性樹脂に無いポリ乳酸の透明性を利用して光透過性を変化しうる点から、光ファイバーや光ディスクなど光学製品への応用が期待できる。また、生体への影響がない点から、生体内外に利用される注射器やカテーテルなどの医療用器具への適用にも適した材料である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】実施例1の感熱応答性ポリ乳酸成形体の水温と透過率の関係を表すグラフである。
【図2】実施例1の感熱応答性ポリ乳酸成形体に対して、90℃温水浸漬、90℃乾燥を繰り返した時の吸光度の変化を表すグラフである。
【図3】実施例1の感熱応答性ポリ乳酸成形体に対して、90℃温水浸漬、90℃乾燥を繰り返した時のポリ乳酸架橋体からの質量変化を表すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋されたポリ乳酸中に水分が分散して含有され、水分率が0.5質量%以上2.0質量%以下であることを特徴とする感熱応答性ポリ乳酸成形体。
【請求項2】
厚さ500μmの場合の波長600nmにおける光線透過率が、60℃以下では5%以下の不透明で遮光性である一方、80℃以上では70%以上の透明で光透過性を有する請求項1に記載の感熱応答性ポリ乳酸成形体。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の感熱応答性ポリ乳酸成形体の製造方法であって、
ポリ乳酸100質量部に対して1質量部以上10質量部以下の多官能性モノマーを混合したポリ乳酸組成物を作成する工程と、
前記ポリ乳酸組成物を所要形状に成形する工程と、
前記ポリ乳酸組成物からなる成形体に電離性放射線を照射して架橋して、ポリ乳酸架橋体を作成する工程と、
前記ポリ乳酸架橋体にポリ乳酸のガラス転移温度以上の水分を付与し、該ポリ乳酸架橋体中に水分を含有させる工程と、
前記ポリ乳酸架橋体中に含有させた水分を保持した状態で、前記ポリ乳酸架橋体をポリ乳酸のガラス転移温度未満に冷却する工程と、
を備えていることを特徴とする感熱応答性ポリ乳酸成形体の製造方法。
【請求項4】
前記電離性放射線の照射量を60kGy以上240kGy以下としている請求項3に記載の感熱応答性ポリ乳酸成形体の製造方法。
【請求項5】
前記ポリ乳酸架橋体への水分の付与は、ポリ乳酸架橋体をポリ乳酸のガラス転移温度以上の水に含浸する方法、及び/または、ポリ乳酸架橋体にポリ乳酸のガラス転移温度以上の高温の水蒸気に接触させる方法で行っている請求項3または請求項4に記載の感熱応答性ポリ乳酸成形体の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−161715(P2009−161715A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−3279(P2008−3279)
【出願日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(505374783)独立行政法人 日本原子力研究開発機構 (727)
【出願人】(599109906)住友電工ファインポリマー株式会社 (203)
【Fターム(参考)】