成分測定装置
【課題】測定対象における所望の測定位置の測定データを的確に取り込むことができる成分測定装置を実現すること。
【解決手段】共焦点光学系を介してレーザー光を測定対象の内部組織に照射し、前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する受光素子から出力されるデータに基づき前記測定対象の成分の測定を行うように構成された成分測定装置において、前記受光素子は、少なくとも中心領域の受光体とその外周領域の受光体が電気的に分離するように設けられたことを特徴とするもの。
【解決手段】共焦点光学系を介してレーザー光を測定対象の内部組織に照射し、前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する受光素子から出力されるデータに基づき前記測定対象の成分の測定を行うように構成された成分測定装置において、前記受光素子は、少なくとも中心領域の受光体とその外周領域の受光体が電気的に分離するように設けられたことを特徴とするもの。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成分測定装置に関し、詳しくは、レーザー光で成分の濃度などを測定する成分測定装置の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、たとえば血液中の血糖値などの成分の濃度などを測定する場合には、注射器で人体から血液を採取したり、指先や耳たぶを穿刺したりして、血液を実際に採取して血液中のグルコース濃度をすることが多い。
【0003】
一般に、血糖値は、食事の前後や運動後などの測定条件によって大きく変化することから、正確な血糖値データを得るためには頻繁に測定しなければならないが、その都度採血して直接分析する従来の方法は、被験者に与える苦痛も大きいという問題がある。
【0004】
そこで、出願人は、このように生体を侵襲して血液を採取せずに、生体にレーザー光を照射してその生体からの反射光を検出し、レーザー光が生体により吸収された度合(吸光度)に基づいて目的の成分(たとえば血液中のグルコース)の濃度などを測定する共焦点光学系を用いた生体成分測定装置を出願している(特許文献1参照)。
【0005】
図15は、特許文献1に記載されている生体成分測定装置の構成図である。
図15において、レーザーダイオード1から出力されるレーザー光は、コリメートレンズ2で平行光に整形され、コリメートレンズ2の光軸に対してほぼ45°の傾斜を有する状態で配置されたハーフミラー3に入射される。なお、レーザーダイオード1としては、たとえばグルコースの吸収が比較的大きい1600nm〜1700nmの波長領域のレーザー光を出力できる可変波長レーザーを用いる。
【0006】
ハーフミラー3を透過した平行光は、対物レンズ4により集光されて生体LBの内部組織に照射される。生体LBの内部組織で反射されたレーザー光は、再び対物レンズ4に入射されて平行光に整形され、ハーフミラー3に入射されてほぼ90°の方向に反射するように光路変換される。
【0007】
ハーフミラー3で光路変換されて反射されたレーザー光は、レンズ5により集光されてピンホール6に入射される。ピンホール6を通過したレーザー光は、受光素子7に入射されて電気信号に変換される。
【0008】
受光素子7は、受光したレーザー光の光量に応じて強さや大きさが増減する電気信号に変換し、A/D変換器8に入力する。A/D変換器8は、受光素子7から入力される電気信号をデジタルデータに変換し、データ解析部9に入力する。
【0009】
データ解析部9は、波長の異なる2波長以上の各レーザー光が生体LBに照射されたときに受光素子7から変換出力される複数の電気信号に基づいて生体LBの成分の定量解析を行う。
【0010】
具体的には、血糖値すなわち血液内のグルコース濃度の定量を行う場合、データ解析部9にはあらかじめ測定された血液内のグルコース濃度とレーザー光の吸光度との検量線が記憶されていて、データ解析部9は、この検量線に基づいて生体LBの血液内のグルコース濃度の定量を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−301944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、このような従来の生体成分測定装置における測定位置は、生体内について必ずしも測定者が希望する測定位置ではなく、測定位置近傍に存在する血管中血液、組織中組織液に関する情報などをすべて積算した形で血糖値に代表される生体内物質の定量を行うものであり、的確に測定者が希望する測定位置に近い位置で測定が行える成分測定装置が望まれていた。
【0013】
本発明は、このような問題点を解決するものであり、その目的は、的確に測定者が希望する測定位置に近い位置で測定が行える成分測定装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
共焦点光学系を介してレーザー光を測定対象の内部組織に照射し、前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する受光素子から出力されるデータに基づき前記測定対象の成分の測定を行うデータ解析部を有する成分測定装置において、
前記受光素子は、少なくとも中心領域の受光体とその外周領域の受光体が電気的に分離するように設けられたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項2は、請求項1記載の成分測定装置において、
前記測定対象の内部組織により反射された反射光の焦点位置に、ピンホールを有する受光素子が設けられたことを特徴とする。
【0016】
請求項3は、請求項1または請求項2記載の成分測定装置において、
前記レーザーは、波長可変光源であることを特徴とする。
【0017】
請求項4は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の成分測定装置において、
前記共焦点光学系と前記測定対象とを相対的に3次元的に移動させる移動駆動機構を設けたことを特徴とする。
【0018】
請求項5は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の成分測定装置において、
前記測定対象の成分は、血液内のグルコースであり、
前記データ解析部は、前記受光素子から出力されるデータに基づいて前記測定対象の内部組織中の前記グルコースによる吸光度を測定して前記グルコースの濃度の定量を行い、血糖値を測定することを特徴とする。
【0019】
請求項6は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の成分測定装置において、
前記レーザーから出射されるレーザー光の光束を拡大する手段を設けたことを特徴とする。
【0020】
請求項7は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の成分測定装置において、
前記レーザーの出力光を測定対象表面に照射する光ファイバと、
この光ファイバの照射に基づく測定対象の表面における反射光を検出する第2の受光素子と、
この第2の受光素子の検出信号に基づき前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動するレーザー駆動回路、
を設けたことを特徴とする。
【0021】
請求項8は、請求項7記載の成分測定装置において、
前記データ解析部は、前記第2の受光素子の検出信号で前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算して規格化したデータに基づいて前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする。
【0022】
請求項9は、請求項7に記載の成分測定装置において、
前記レーザーとしてその出力光をモニタする第3の受光素子が内蔵されたものを用い、
前記レーザー駆動回路は、前記第2の受光素子および第3の受光素子の検出信号の少なくともいずれかに基づき、前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動することを特徴とする。
【0023】
請求項10は、請求項7に記載の成分測定装置において、
前記レーザーとしてその出力光をモニタする第3の受光素子が内蔵されたものを用い、
前記データ解析部は、前記第2の受光素子および第3の受光素子の検出信号の少なくともいずれかで前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算して規格化したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする。
【0024】
請求項11は、請求項7記載の成分測定装置において、
前記レーザーとしてその出力光をモニタする第3の受光素子が内蔵されたものを用い、
前記データ解析部は、
前記第2の受光素子の検出信号で前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算した第1の規格化信号と、前記第3の受光素子の検出信号で前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算した第2の規格化信号を線形結合したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする。
【0025】
請求項12は、請求項1から請求項11のいずれかに記載の成分測定装置において、
前記レーザー光の光路に設けられたハーフミラーで反射された反射光を検出する第4の受光素子を設け、
前記レーザー駆動回路は、前記第2の受光素子と第3の受光素子および第4の受光素子の検出信号の少なくともいずれかに基づき、前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動することを特徴とする。
【0026】
請求項13は、請求項12に記載の成分測定装置において、
前記データ解析部は、前記第2の受光素子と第3の受光素子および第4の受光素子の検出信号の少なくともいずれかで前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算して規格化したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする。
【0027】
請求項14は、請求項12に記載の成分測定装置において、
前記データ解析部は、前記第2の受光素子と第3の受光素子および第4の受光素子の検出信号のそれぞれで前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算した規格化信号を線形結合したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする。
【0028】
請求項15は、請求項1から請求項11のいずれかに記載の成分測定装置において、
前記レーザー駆動回路は、前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号に含まれる散乱光成分に基づき、前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動することを特徴とする。
【0029】
請求項16は、請求項15に記載の成分測定装置において、
前記データ解析部は、
前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子全体の検出信号をこの受光素子の検出信号に含まれる散乱光成分に基づき除算して規格化したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする。
【0030】
このように構成することにより、測定対象における所望の測定位置の測定データを的確に取り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明で用いる受光素子の具体例を示す構成図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図4】本発明で用いるピンホール付きの受光素子の具体例を示す構成図である。
【図5】本発明で用いる受光素子の他の具体例を示す構成図である。
【図6】本発明で用いる受光素子の他の具体例を示す構成図である。
【図7】本発明で用いる受光素子の他の具体例を示す構成図である。
【図8】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図9】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図11】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図12】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図13】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図14】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図15】従来の生体成分測定装置の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示す構成図であり、図15と共通する部分には同一の符号を付けている。図1の装置と図15の装置の相違点は、受光素子7の構造を工夫していることと、受光素子7の出力信号をマルチプレクサ10を介してA/D変換器8に入力していることにある。
【0033】
図1において、レーザーダイオード1から出力されるレーザー光は、コリメートレンズ2で平行光に整形され、コリメートレンズ2の光軸に対してほぼ45°の傾斜を有する状態で配置されたハーフミラー3に入射される。なお、レーザーダイオード1としては、たとえばグルコースの吸収が比較的大きい1500nm〜1700nmの波長領域のレーザー光を出力できる可変波長レーザーを用いる。1個のレーザーダイオードで1500nm〜1700nmの波長領域のレーザー光を出力できない場合には、複数のレーザーダイオードを組み合わせて用いればよい。
【0034】
ハーフミラー3を透過した平行光は、対物レンズ4により集光されて生体LBの内部組織に照射される。生体LBの内部組織で反射されたレーザー光は、再び対物レンズ4に入射されて平行光に整形され、ハーフミラー3に入射されてほぼ90°の方向に反射するように光路変換される。
【0035】
ハーフミラー3で光路変換されて反射されたレーザー光は、レンズ5により集光され、ピンホール6を介して複数の受光体で構成された受光素子7に入射されて電気信号に変換される。なお、ピンホール6は、受光素子7に入射されるレーザー光の状態によっては省略してもよい。
【0036】
受光素子7は、受光したレーザー光の光量に応じて強さや大きさが増減する電気信号に変換し、複数の受光体の出力信号をマルチプレクサ10を介してA/D変換器8に入力する。A/D変換器8は、受光素子7の複数の受光体から入力される電気信号をデジタルデータに変換し、データ解析部9に入力する。
【0037】
データ解析部9は、従来と同様に、波長の異なる2波長以上の各レーザー光が生体LBに照射されたときに受光素子7の各受光体から変換出力される複数の電気信号に基づいて生体LBの成分の定量解析を行う。
【0038】
図2は、図1で用いる受光素子7の具体例を示す構成図であり、(A)は斜視図、(B)〜(D)はそれぞれ(A)のA−A’線に沿った断面図である。
【0039】
図2において、受光素子7の受光面には、(A)に示すように、中心領域の受光体PD1とその外周領域の受光体PD2とが電気的に分離するように設けられている。
【0040】
(A)に示す受光素子7の断面形態としては、(B)に示すように基板上にN型拡散層とP型拡散層が積層された受光体パターンが物理的に分離されたもの、(C)に示すように基板上の全面に形成されたN型拡散層上にP型拡散層が物理的に分離されたもの、(D)に示すようにN型拡散基板の表面近傍にP型拡散層が分離して形成されたものなどが考えられる。
【0041】
図2のように、中心領域の受光体PD1とその外周領域の受光体PD2とが電気的に分離するように設けられた受光素子7を用いることにより、受光素子7の各受光体PD1、PD2はレンズ5により集光された結像パターンに応じた光量を検出する。
【0042】
すなわち、図2に示すような受光素子7を用いることにより、中心領域の受光体PD1は対物レンズ4の焦点位置からの散乱光のみを受光でき、その外周領域の受光体PD2は対物レンズ4の焦点位置以外から散乱された光を受光できる。
【0043】
データ解析部9は、前述のように、波長の異なる2波長以上の各レーザー光が生体LBに照射されたときに受光素子7の各受光体PD1、PD2から変換出力される複数の電気信号に基づいて生体LBの成分の定量解析を行う。
【0044】
これにより、測定対象における所望の測定位置の測定データを的確に取り込むことができる。
【0045】
図3は本発明の他の実施例を示す構成図であり、図1のレンズ5の焦点位置にピンホール付きの受光素子12を設けたものである。
【0046】
この受光素子12の検出信号もマルチプレクサ10を介してA/D変換器8に入力されてデジタルデータに変換され、A/D変換器8で変換されたデジタルデータはデータ解析部9に入力されて各種生体情報のデータ解析処理に用いられる。
【0047】
図4は、図3で用いるピンホール付きの受光素子12の具体例を示す構成図であり、(A)は斜視図、(B)、(C)はそれぞれ(A)のB−B’線に沿った断面図である。
【0048】
図4において、受光素子7の受光面の中心部には、(A)に示すようにピンホールPHが設けられ、その外周領域全面には受光体PDが設けられている。
【0049】
(A)に示す受光素子7の断面形態としては、(B)に示すように基板上にN型拡散層とP型拡散層が積層された受光体PDの中心部にピンホールPHが設けられたもの、(C)に示すようにN型拡散基板の表面近傍にP型拡散層が形成された受光体PDの中心部にピンホールPHが設けられたものなどが考えられる。
【0050】
このようなピンホール付きの受光素子12を用いることにより、ピンホールを通過しない対物レンズ4の焦点位置以外に散乱された光を受光することができ、受光素子7の検出信号とともにマルチプレクサ10を介してA/D変換器8に入力してデジタルデータに変換し、変換されたデジタルデータをデータ解析部9に入力してデータ解析処理を行うことにより、受光素子7の検出信号のみでは得られない各種生体情報のデータ解析結果が期待できる。
【0051】
図5は、図1や図3で用いる受光素子7の他の具体例を示す構成図であり、(A)は斜視図、(B)〜(D)はそれぞれ(A)のC−C’線に沿った断面図である。
【0052】
図5において、受光素子7の受光面には、(A)に示すように、同心円状に複数の受光体が設けられている。ここで、本実施例では4個の受光体PD1〜PD4が設けられた例を示しているが、同心円状の受光体パターンの個数およびピッチはこの実施例に限るものではなく、半導体製造プロセスや装置に要求される解析処理能力などを勘案して適切な仕様が選定される。
【0053】
(A)に示す受光素子7の断面形態としては、(B)に示すように基板上にN型拡散層とP型拡散層が積層された受光体パターンが物理的に同心円状に分離されたもの、(C)に示すように基板上の全面に形成されたN型拡散層上にP型拡散層が同心円状に積層されて受光体パターンとして形成されたもの、(D)に示すようにN型拡散基板の表面近傍にP型拡散層が同心円状に形成されたものなどが考えられる。
【0054】
図5のように、同心円状に複数の受光体PD1〜PD4が設けられた受光素子7を用いることにより、受光素子7の各受光体PD1〜PD4はレンズ5により集光された結像パターンに応じた光量を検出する。
【0055】
すなわち、図5に示すような受光素子7を用いることにより、受光素子7が共焦点結像位置になくても、同心円状の各受光体PD1〜PD4の信号強度を測定して信号強度が大きい受光体PD1の信号を積算することで、目的とする対物レンズ4の焦点位置からの散乱信号のみを検出できる。
【0056】
なお、共焦点位置以外の散乱信号は、信号が大きく取れている受光体PD1よりさらに外周に位置する受光体PD2〜PD4の信号として得られ、これらは皮膚の表面情報や他の生体情報として、解析アルゴリズムなどで活用できる。
【0057】
図6も、図1や図3で用いる受光素子7の他の具体例を示す構成図であり、(A)は斜視図、(B)〜(D)はそれぞれ(A)のD−D’線に沿った断面図である。
【0058】
図6において、受光素子7の受光面には、(A)に示すように、全面にわたってマトリクス状に複数の受光体が設けられている。
【0059】
(A)に示す受光素子7の断面形態としては、(B)に示すように基板上に形成されたN型拡散層とP型拡散層の積層パターンがマトリクス状に設けられたもの、(C)に示すように基板上の全面に形成されたN型拡散層上にP型拡散層パターンがマトリクス状に設けられたもの、(D)に示すようにN型拡散基板の表面近傍にP型拡散層がマトリクス状に設けられたものなどが考えられる。
【0060】
図6に示すような受光素子7を用いることにより、受光素子7が共焦点結像位置になくてさらに光学系に収差があっても、検出信号の大きい受光体の信号を選択して積算することで、目的とする対物レンズ4の焦点位置からの散乱信号のみを検出できる。そして、共焦点位置以外の散乱信号は、検出信号が大きく取れている受光体以外の受光体の信号として得られ、これらは皮膚の表面情報や他の生体情報として、解析アルゴリズムなどで利用できる。
【0061】
図7も、図1や図3で用いる受光素子7の他の具体例を示す構成図であり、図6における受光体の縦方向の配列パターンを横方向に1/2ピッチずつずらしたものである。このように配列された受光素子7を用いることにより、図3の場合には隣接する受光体間に規則的な格子状のマトリクスパターンとして存在する光信号検出に対する不感帯の影響を分散軽減できる。
【0062】
このように構成することにより、図15の従来構成に比べて光学部品間の光軸合わせなど、組立調整を簡略化できる。
【0063】
図8も、本発明の他の実施例を示す構成図であり、図1の構成におけるレーザーダイオード1から出力されるレーザー光の光束を、平凸レンズ11で拡大したものである。
【0064】
これにより、図1よりも光路長を短くでき、光路長を短くできる分だけ小型化が図れる。受光素子7としては、図2、図5〜図7に示すいずれでも用いることができ、受光素子7の構造に応じたデータ解析処理アルゴリズムを用いればよい。
【0065】
また、レーザーダイオード1から出力されるレーザー光を平行光に整形することなく対物レンズ4で集光して生体内における測定位置に照射するので、生体LB内における所望の測定位置の測定データを的確に取り込むことができる。
【0066】
図9も、本発明の他の実施例を示す構成図である。図9において、レーザーダイオード1から出力されるレーザー光の光束は平凸レンズ11で拡大され、受光素子7の前段の対物レンズ4の焦点位置にはピンホールを有する受光素子12が設けられている。
【0067】
この受光素子12の検出信号もマルチプレクサ10を介してA/D変換器8に入力されてデジタルデータに変換され、A/D変換器8で変換されたデジタルデータはデータ解析部9に入力されて各種生体情報のデータ解析処理に用いられる。図9においても、受光素子7としては、図2、図5〜図7に示すいずれでも用いることができ、受光素子7の構造に応じたデータ解析処理アルゴリズムを用いればよい。
【0068】
また、図1よりも光路長を短くでき、光路長を短くできる分だけ小型化が図れる。
【0069】
そして、ピンホール付きの受光素子12を用いることにより、前述のように、ピンホールを通過しない対物レンズ4の焦点位置以外に散乱された光を受光することができ、受光素子7の検出信号とともにマルチプレクサ10を介してA/D変換器8に入力してデジタルデータに変換し、変換されたデジタルデータをデータ解析部9に入力してデータ解析処理を行うことにより、受光素子7の検出信号のみでは得られない各種生体情報のデータ解析結果が期待できる。
【0070】
上記各実施例において、レーザーダイオード1から測定対象に照射される光強度を所定の値に維持するように、レーザーダイオード1を自動出力制御ループで駆動することにより、安定した測定が行える。
【0071】
図10は、このような構成を前述図1の実施例に適用した例を示す構成図である。図10の実施例では、レーザーダイオード1の出力光の一部を光ファイバ13を介して測定対象である生体LBの表面に照射させてその反射光を第2の受光素子14で検出し、この第2の受光素子14の出力信号をレーザーダイオード駆動回路15に与えてレーザーダイオード1の出力光強度を所定の値に維持するように駆動する。
【0072】
これにより、レーザーダイオード1の温度変化および空間強度変動に起因する出力光強度変化を抑制でき、安定した成分測定結果が得られる。
【0073】
また、第2の受光素子14の出力信号をA/D変換器16を介してデータ解析部9に加え、第1の受光素子7の出力信号を第2の受光素子14の出力信号で除算して規格化することにより、レーザーダイオード1の出力変動分や測定対象LBの表面反射による変動分を補償できる。
【0074】
図11は、図10のレーザーダイオード1として、その出力光をモニタする図示しない第3の受光素子が内蔵されたものを用いた実施例を示す構成図である。第3の受光素子の出力信号もレーザーダイオード駆動回路15に入力され、レーザーダイオード1の出力光強度を所定の値に維持するように駆動する。
【0075】
また、第3の受光素子の出力信号もA/D変換器17を介してデータ解析部9に入力され、第1の受光素子7の出力信号を第3の受光素子の出力信号で除算して規格化する。これにより、データ解析部9は、2つの規格化信号を線形結合して多変量解析により結合係数を求め、これらの値に基づきレーザーダイオード1の出力変動分や測定対象LBの表面反射による変動分を高精度に補償する。
【0076】
図12は、図11の実施例に、さらにハーフミラー3で反射された反射光を検出する第4の受光素子18と、この第4の受光素子18の出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換器19を追加したものである。第4の受光素子18は、レーザーダイオード1の出力光の空間変動分を検出する。第4の受光素子18の出力信号もレーザーダイオード駆動回路15に入力され、レーザーダイオード1の出力光強度を所定の値に維持するように駆動する。
【0077】
また、第4の受光素子18の出力信号もA/D変換器19を介してデータ解析部9に入力され、第1の受光素子7の出力信号を第4の受光素子18の出力信号で除算して規格化する。これにより、データ解析部9は、3つの規格化信号を線形結合して多変量解析により結合係数を求め、これらの値に基づきレーザーダイオード1の出力変動分と空間変動分および測定対象LBの表面反射による変動分をさらに精度よく補償する。
【0078】
図13は図12の実施例から、光ファイバ13と第2の受光素子14およびA/D変換器16からなる信号系統を省いたものである。図13の構成によれば、レーザーダイオード駆動回路15は、第3の受光素子と第4の受光素子18の出力信号に基づいてレーザーダイオード1の出力光強度を所定の値に維持するように駆動する。そしてデータ解析部9は、第1の受光素子7の出力信号を第3の受光素子の出力信号で除算した規格化信号と第1の受光素子7の出力信号を第4の受光素子18の出力信号で除算した規格化信号に基づき、レーザーダイオード1の出力変動分および空間変動分を精度よく補償する。
【0079】
図14は、図13の実施例からさらに第4の受光素子18およびA/D変換器19からなる信号系統を省くとともに、マルチプレクサ10からA/D変換器8に入力される信号を分岐してレーザーダイオード駆動回路15にも入力するようにしたものである。レーザーダイオード駆動回路15には、マルチプレクサ10を介して、第1の受光素子7の出力信号のうち、信号が大きく取れている共焦点位置の受光体PD1よりさらに外周の共焦点位置以外に位置して散乱光を検出する受光体PD2〜PD4の出力信号が入力される。これら受光体PD2〜PD4の出力信号は皮膚の表面情報や他の生体情報を含むものであり、測定対象LBの表面反射による変動分を精度よく補償できる。
【0080】
図14の構成によれば、レーザーダイオード駆動回路15は、第3の受光素子と第1の受光素子7の受光体PD2〜PD4の出力信号に基づいてレーザーダイオード1の出力光強度を所定の値に維持するように駆動する。そしてデータ解析部9は、第1の受光素子7全体の出力信号を第3の受光素子の出力信号で除算した規格化信号と第1の受光素子7全体の出力信号を第1の受光素子7の受光体PD2〜PD4の出力信号で除算した規格化信号に基づき、レーザーダイオード1の出力変動分および空間変動分を精度よく補償する。
【0081】
なお、図11〜図14の実施例ではレーザーダイオード1としてその出力光をモニタする第3の受光素子が内蔵されたものを用いているが、装置に求められる補償精度に応じて、図6のように第3の受光素子が内蔵されていないものを用いてもよい。
【0082】
これら図9〜図14の構成は、図1に示す実施例にのみ適用できるものではなく、図8に示すように、レーザーダイオード1から出力されるレーザー光の光束を平凸レンズ11で拡大するように構成された実施例にも適用できるものであるが、図8の実施例に適用した構成図は省略する。
【0083】
なお、上記各実施例では、対物レンズ4として固定焦点レンズを用いる例を示したが、可変焦点レンズを用いてもよい。可変焦点レンズとしては、たとえばレンズ状に形成された空間に液晶が封入され、印加電圧を調整して見かけ上の液晶の屈折率を変化させるように構成された液晶レンズを用いることができる。液晶レンズによれば、同じレンズ形状でありながら、構成材料の屈折率が変化することにより、焦点距離が変化することになる。
【0084】
このような可変焦点レンズを対物レンズ4として用いることにより、対物レンズ4の位置を光軸方向に移動させずに可変焦点レンズに対する印加電圧を調整することで、生体LBの組織内における深さ方向の測定位置を任意に設定でき、レンズ移動機構が簡略化できる。
【0085】
上記各実施例では、光源として可変波長レーザーを用いる例を説明したが、測定成分が特定されている場合には、単波長レーザーであってもよい。
【0086】
上記各実施例では、人体の血液中の血糖値を測定する例について説明したが、血糖値以外の血液成分や組織液成分の定量測定にも有効である。
【0087】
上記各実施例において、共焦点光学系と測定対象との相対位置を相対的に3次元的に移動させる移動駆動機構を設けることにより、測定対象内部の成分に関する3次元情報を得ることができる。
【0088】
また、測定対象は人体に限るものではなく、動物や植物などの内部物質の定量測定にも有効である。
【0089】
また、測定対象は生体に限るものではなく、農産物、水産物、食品、有機材料などの構造、組成の非破壊検査、化学物質の定量測定にも有効である。
【0090】
以上説明したように、本発明によれば、的確に測定者が希望する測定位置に近い位置で測定が行える成分測定装置を実現することができ、人体の血液中の血糖値をはじめとする各種の成分測定に好適である。
【符号の説明】
【0091】
1 レーザーダイオード
2 コリメートレンズ
3 ハーフミラー
4 対物レンズ
5 集光レンズ
6 ピンホール
7、14、18 受光素子
8、16、17、19 A/D変換器
9 データ解析部
10 マルチプレクサ
11 平凸レンズ
12 ピンホール付き受光素子
13 光ファイバ
15 レーザーダイオード駆動回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、成分測定装置に関し、詳しくは、レーザー光で成分の濃度などを測定する成分測定装置の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、たとえば血液中の血糖値などの成分の濃度などを測定する場合には、注射器で人体から血液を採取したり、指先や耳たぶを穿刺したりして、血液を実際に採取して血液中のグルコース濃度をすることが多い。
【0003】
一般に、血糖値は、食事の前後や運動後などの測定条件によって大きく変化することから、正確な血糖値データを得るためには頻繁に測定しなければならないが、その都度採血して直接分析する従来の方法は、被験者に与える苦痛も大きいという問題がある。
【0004】
そこで、出願人は、このように生体を侵襲して血液を採取せずに、生体にレーザー光を照射してその生体からの反射光を検出し、レーザー光が生体により吸収された度合(吸光度)に基づいて目的の成分(たとえば血液中のグルコース)の濃度などを測定する共焦点光学系を用いた生体成分測定装置を出願している(特許文献1参照)。
【0005】
図15は、特許文献1に記載されている生体成分測定装置の構成図である。
図15において、レーザーダイオード1から出力されるレーザー光は、コリメートレンズ2で平行光に整形され、コリメートレンズ2の光軸に対してほぼ45°の傾斜を有する状態で配置されたハーフミラー3に入射される。なお、レーザーダイオード1としては、たとえばグルコースの吸収が比較的大きい1600nm〜1700nmの波長領域のレーザー光を出力できる可変波長レーザーを用いる。
【0006】
ハーフミラー3を透過した平行光は、対物レンズ4により集光されて生体LBの内部組織に照射される。生体LBの内部組織で反射されたレーザー光は、再び対物レンズ4に入射されて平行光に整形され、ハーフミラー3に入射されてほぼ90°の方向に反射するように光路変換される。
【0007】
ハーフミラー3で光路変換されて反射されたレーザー光は、レンズ5により集光されてピンホール6に入射される。ピンホール6を通過したレーザー光は、受光素子7に入射されて電気信号に変換される。
【0008】
受光素子7は、受光したレーザー光の光量に応じて強さや大きさが増減する電気信号に変換し、A/D変換器8に入力する。A/D変換器8は、受光素子7から入力される電気信号をデジタルデータに変換し、データ解析部9に入力する。
【0009】
データ解析部9は、波長の異なる2波長以上の各レーザー光が生体LBに照射されたときに受光素子7から変換出力される複数の電気信号に基づいて生体LBの成分の定量解析を行う。
【0010】
具体的には、血糖値すなわち血液内のグルコース濃度の定量を行う場合、データ解析部9にはあらかじめ測定された血液内のグルコース濃度とレーザー光の吸光度との検量線が記憶されていて、データ解析部9は、この検量線に基づいて生体LBの血液内のグルコース濃度の定量を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2008−301944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、このような従来の生体成分測定装置における測定位置は、生体内について必ずしも測定者が希望する測定位置ではなく、測定位置近傍に存在する血管中血液、組織中組織液に関する情報などをすべて積算した形で血糖値に代表される生体内物質の定量を行うものであり、的確に測定者が希望する測定位置に近い位置で測定が行える成分測定装置が望まれていた。
【0013】
本発明は、このような問題点を解決するものであり、その目的は、的確に測定者が希望する測定位置に近い位置で測定が行える成分測定装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
共焦点光学系を介してレーザー光を測定対象の内部組織に照射し、前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する受光素子から出力されるデータに基づき前記測定対象の成分の測定を行うデータ解析部を有する成分測定装置において、
前記受光素子は、少なくとも中心領域の受光体とその外周領域の受光体が電気的に分離するように設けられたことを特徴とするものである。
【0015】
請求項2は、請求項1記載の成分測定装置において、
前記測定対象の内部組織により反射された反射光の焦点位置に、ピンホールを有する受光素子が設けられたことを特徴とする。
【0016】
請求項3は、請求項1または請求項2記載の成分測定装置において、
前記レーザーは、波長可変光源であることを特徴とする。
【0017】
請求項4は、請求項1から請求項3のいずれかに記載の成分測定装置において、
前記共焦点光学系と前記測定対象とを相対的に3次元的に移動させる移動駆動機構を設けたことを特徴とする。
【0018】
請求項5は、請求項1から請求項4のいずれかに記載の成分測定装置において、
前記測定対象の成分は、血液内のグルコースであり、
前記データ解析部は、前記受光素子から出力されるデータに基づいて前記測定対象の内部組織中の前記グルコースによる吸光度を測定して前記グルコースの濃度の定量を行い、血糖値を測定することを特徴とする。
【0019】
請求項6は、請求項1から請求項5のいずれかに記載の成分測定装置において、
前記レーザーから出射されるレーザー光の光束を拡大する手段を設けたことを特徴とする。
【0020】
請求項7は、請求項1から請求項6のいずれかに記載の成分測定装置において、
前記レーザーの出力光を測定対象表面に照射する光ファイバと、
この光ファイバの照射に基づく測定対象の表面における反射光を検出する第2の受光素子と、
この第2の受光素子の検出信号に基づき前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動するレーザー駆動回路、
を設けたことを特徴とする。
【0021】
請求項8は、請求項7記載の成分測定装置において、
前記データ解析部は、前記第2の受光素子の検出信号で前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算して規格化したデータに基づいて前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする。
【0022】
請求項9は、請求項7に記載の成分測定装置において、
前記レーザーとしてその出力光をモニタする第3の受光素子が内蔵されたものを用い、
前記レーザー駆動回路は、前記第2の受光素子および第3の受光素子の検出信号の少なくともいずれかに基づき、前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動することを特徴とする。
【0023】
請求項10は、請求項7に記載の成分測定装置において、
前記レーザーとしてその出力光をモニタする第3の受光素子が内蔵されたものを用い、
前記データ解析部は、前記第2の受光素子および第3の受光素子の検出信号の少なくともいずれかで前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算して規格化したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする。
【0024】
請求項11は、請求項7記載の成分測定装置において、
前記レーザーとしてその出力光をモニタする第3の受光素子が内蔵されたものを用い、
前記データ解析部は、
前記第2の受光素子の検出信号で前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算した第1の規格化信号と、前記第3の受光素子の検出信号で前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算した第2の規格化信号を線形結合したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする。
【0025】
請求項12は、請求項1から請求項11のいずれかに記載の成分測定装置において、
前記レーザー光の光路に設けられたハーフミラーで反射された反射光を検出する第4の受光素子を設け、
前記レーザー駆動回路は、前記第2の受光素子と第3の受光素子および第4の受光素子の検出信号の少なくともいずれかに基づき、前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動することを特徴とする。
【0026】
請求項13は、請求項12に記載の成分測定装置において、
前記データ解析部は、前記第2の受光素子と第3の受光素子および第4の受光素子の検出信号の少なくともいずれかで前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算して規格化したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする。
【0027】
請求項14は、請求項12に記載の成分測定装置において、
前記データ解析部は、前記第2の受光素子と第3の受光素子および第4の受光素子の検出信号のそれぞれで前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算した規格化信号を線形結合したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする。
【0028】
請求項15は、請求項1から請求項11のいずれかに記載の成分測定装置において、
前記レーザー駆動回路は、前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号に含まれる散乱光成分に基づき、前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動することを特徴とする。
【0029】
請求項16は、請求項15に記載の成分測定装置において、
前記データ解析部は、
前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子全体の検出信号をこの受光素子の検出信号に含まれる散乱光成分に基づき除算して規格化したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする。
【0030】
このように構成することにより、測定対象における所望の測定位置の測定データを的確に取り込むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の一実施例を示す構成図である。
【図2】本発明で用いる受光素子の具体例を示す構成図である。
【図3】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図4】本発明で用いるピンホール付きの受光素子の具体例を示す構成図である。
【図5】本発明で用いる受光素子の他の具体例を示す構成図である。
【図6】本発明で用いる受光素子の他の具体例を示す構成図である。
【図7】本発明で用いる受光素子の他の具体例を示す構成図である。
【図8】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図9】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図10】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図11】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図12】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図13】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図14】本発明の他の実施例を示す構成図である。
【図15】従来の生体成分測定装置の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明の一実施例を示す構成図であり、図15と共通する部分には同一の符号を付けている。図1の装置と図15の装置の相違点は、受光素子7の構造を工夫していることと、受光素子7の出力信号をマルチプレクサ10を介してA/D変換器8に入力していることにある。
【0033】
図1において、レーザーダイオード1から出力されるレーザー光は、コリメートレンズ2で平行光に整形され、コリメートレンズ2の光軸に対してほぼ45°の傾斜を有する状態で配置されたハーフミラー3に入射される。なお、レーザーダイオード1としては、たとえばグルコースの吸収が比較的大きい1500nm〜1700nmの波長領域のレーザー光を出力できる可変波長レーザーを用いる。1個のレーザーダイオードで1500nm〜1700nmの波長領域のレーザー光を出力できない場合には、複数のレーザーダイオードを組み合わせて用いればよい。
【0034】
ハーフミラー3を透過した平行光は、対物レンズ4により集光されて生体LBの内部組織に照射される。生体LBの内部組織で反射されたレーザー光は、再び対物レンズ4に入射されて平行光に整形され、ハーフミラー3に入射されてほぼ90°の方向に反射するように光路変換される。
【0035】
ハーフミラー3で光路変換されて反射されたレーザー光は、レンズ5により集光され、ピンホール6を介して複数の受光体で構成された受光素子7に入射されて電気信号に変換される。なお、ピンホール6は、受光素子7に入射されるレーザー光の状態によっては省略してもよい。
【0036】
受光素子7は、受光したレーザー光の光量に応じて強さや大きさが増減する電気信号に変換し、複数の受光体の出力信号をマルチプレクサ10を介してA/D変換器8に入力する。A/D変換器8は、受光素子7の複数の受光体から入力される電気信号をデジタルデータに変換し、データ解析部9に入力する。
【0037】
データ解析部9は、従来と同様に、波長の異なる2波長以上の各レーザー光が生体LBに照射されたときに受光素子7の各受光体から変換出力される複数の電気信号に基づいて生体LBの成分の定量解析を行う。
【0038】
図2は、図1で用いる受光素子7の具体例を示す構成図であり、(A)は斜視図、(B)〜(D)はそれぞれ(A)のA−A’線に沿った断面図である。
【0039】
図2において、受光素子7の受光面には、(A)に示すように、中心領域の受光体PD1とその外周領域の受光体PD2とが電気的に分離するように設けられている。
【0040】
(A)に示す受光素子7の断面形態としては、(B)に示すように基板上にN型拡散層とP型拡散層が積層された受光体パターンが物理的に分離されたもの、(C)に示すように基板上の全面に形成されたN型拡散層上にP型拡散層が物理的に分離されたもの、(D)に示すようにN型拡散基板の表面近傍にP型拡散層が分離して形成されたものなどが考えられる。
【0041】
図2のように、中心領域の受光体PD1とその外周領域の受光体PD2とが電気的に分離するように設けられた受光素子7を用いることにより、受光素子7の各受光体PD1、PD2はレンズ5により集光された結像パターンに応じた光量を検出する。
【0042】
すなわち、図2に示すような受光素子7を用いることにより、中心領域の受光体PD1は対物レンズ4の焦点位置からの散乱光のみを受光でき、その外周領域の受光体PD2は対物レンズ4の焦点位置以外から散乱された光を受光できる。
【0043】
データ解析部9は、前述のように、波長の異なる2波長以上の各レーザー光が生体LBに照射されたときに受光素子7の各受光体PD1、PD2から変換出力される複数の電気信号に基づいて生体LBの成分の定量解析を行う。
【0044】
これにより、測定対象における所望の測定位置の測定データを的確に取り込むことができる。
【0045】
図3は本発明の他の実施例を示す構成図であり、図1のレンズ5の焦点位置にピンホール付きの受光素子12を設けたものである。
【0046】
この受光素子12の検出信号もマルチプレクサ10を介してA/D変換器8に入力されてデジタルデータに変換され、A/D変換器8で変換されたデジタルデータはデータ解析部9に入力されて各種生体情報のデータ解析処理に用いられる。
【0047】
図4は、図3で用いるピンホール付きの受光素子12の具体例を示す構成図であり、(A)は斜視図、(B)、(C)はそれぞれ(A)のB−B’線に沿った断面図である。
【0048】
図4において、受光素子7の受光面の中心部には、(A)に示すようにピンホールPHが設けられ、その外周領域全面には受光体PDが設けられている。
【0049】
(A)に示す受光素子7の断面形態としては、(B)に示すように基板上にN型拡散層とP型拡散層が積層された受光体PDの中心部にピンホールPHが設けられたもの、(C)に示すようにN型拡散基板の表面近傍にP型拡散層が形成された受光体PDの中心部にピンホールPHが設けられたものなどが考えられる。
【0050】
このようなピンホール付きの受光素子12を用いることにより、ピンホールを通過しない対物レンズ4の焦点位置以外に散乱された光を受光することができ、受光素子7の検出信号とともにマルチプレクサ10を介してA/D変換器8に入力してデジタルデータに変換し、変換されたデジタルデータをデータ解析部9に入力してデータ解析処理を行うことにより、受光素子7の検出信号のみでは得られない各種生体情報のデータ解析結果が期待できる。
【0051】
図5は、図1や図3で用いる受光素子7の他の具体例を示す構成図であり、(A)は斜視図、(B)〜(D)はそれぞれ(A)のC−C’線に沿った断面図である。
【0052】
図5において、受光素子7の受光面には、(A)に示すように、同心円状に複数の受光体が設けられている。ここで、本実施例では4個の受光体PD1〜PD4が設けられた例を示しているが、同心円状の受光体パターンの個数およびピッチはこの実施例に限るものではなく、半導体製造プロセスや装置に要求される解析処理能力などを勘案して適切な仕様が選定される。
【0053】
(A)に示す受光素子7の断面形態としては、(B)に示すように基板上にN型拡散層とP型拡散層が積層された受光体パターンが物理的に同心円状に分離されたもの、(C)に示すように基板上の全面に形成されたN型拡散層上にP型拡散層が同心円状に積層されて受光体パターンとして形成されたもの、(D)に示すようにN型拡散基板の表面近傍にP型拡散層が同心円状に形成されたものなどが考えられる。
【0054】
図5のように、同心円状に複数の受光体PD1〜PD4が設けられた受光素子7を用いることにより、受光素子7の各受光体PD1〜PD4はレンズ5により集光された結像パターンに応じた光量を検出する。
【0055】
すなわち、図5に示すような受光素子7を用いることにより、受光素子7が共焦点結像位置になくても、同心円状の各受光体PD1〜PD4の信号強度を測定して信号強度が大きい受光体PD1の信号を積算することで、目的とする対物レンズ4の焦点位置からの散乱信号のみを検出できる。
【0056】
なお、共焦点位置以外の散乱信号は、信号が大きく取れている受光体PD1よりさらに外周に位置する受光体PD2〜PD4の信号として得られ、これらは皮膚の表面情報や他の生体情報として、解析アルゴリズムなどで活用できる。
【0057】
図6も、図1や図3で用いる受光素子7の他の具体例を示す構成図であり、(A)は斜視図、(B)〜(D)はそれぞれ(A)のD−D’線に沿った断面図である。
【0058】
図6において、受光素子7の受光面には、(A)に示すように、全面にわたってマトリクス状に複数の受光体が設けられている。
【0059】
(A)に示す受光素子7の断面形態としては、(B)に示すように基板上に形成されたN型拡散層とP型拡散層の積層パターンがマトリクス状に設けられたもの、(C)に示すように基板上の全面に形成されたN型拡散層上にP型拡散層パターンがマトリクス状に設けられたもの、(D)に示すようにN型拡散基板の表面近傍にP型拡散層がマトリクス状に設けられたものなどが考えられる。
【0060】
図6に示すような受光素子7を用いることにより、受光素子7が共焦点結像位置になくてさらに光学系に収差があっても、検出信号の大きい受光体の信号を選択して積算することで、目的とする対物レンズ4の焦点位置からの散乱信号のみを検出できる。そして、共焦点位置以外の散乱信号は、検出信号が大きく取れている受光体以外の受光体の信号として得られ、これらは皮膚の表面情報や他の生体情報として、解析アルゴリズムなどで利用できる。
【0061】
図7も、図1や図3で用いる受光素子7の他の具体例を示す構成図であり、図6における受光体の縦方向の配列パターンを横方向に1/2ピッチずつずらしたものである。このように配列された受光素子7を用いることにより、図3の場合には隣接する受光体間に規則的な格子状のマトリクスパターンとして存在する光信号検出に対する不感帯の影響を分散軽減できる。
【0062】
このように構成することにより、図15の従来構成に比べて光学部品間の光軸合わせなど、組立調整を簡略化できる。
【0063】
図8も、本発明の他の実施例を示す構成図であり、図1の構成におけるレーザーダイオード1から出力されるレーザー光の光束を、平凸レンズ11で拡大したものである。
【0064】
これにより、図1よりも光路長を短くでき、光路長を短くできる分だけ小型化が図れる。受光素子7としては、図2、図5〜図7に示すいずれでも用いることができ、受光素子7の構造に応じたデータ解析処理アルゴリズムを用いればよい。
【0065】
また、レーザーダイオード1から出力されるレーザー光を平行光に整形することなく対物レンズ4で集光して生体内における測定位置に照射するので、生体LB内における所望の測定位置の測定データを的確に取り込むことができる。
【0066】
図9も、本発明の他の実施例を示す構成図である。図9において、レーザーダイオード1から出力されるレーザー光の光束は平凸レンズ11で拡大され、受光素子7の前段の対物レンズ4の焦点位置にはピンホールを有する受光素子12が設けられている。
【0067】
この受光素子12の検出信号もマルチプレクサ10を介してA/D変換器8に入力されてデジタルデータに変換され、A/D変換器8で変換されたデジタルデータはデータ解析部9に入力されて各種生体情報のデータ解析処理に用いられる。図9においても、受光素子7としては、図2、図5〜図7に示すいずれでも用いることができ、受光素子7の構造に応じたデータ解析処理アルゴリズムを用いればよい。
【0068】
また、図1よりも光路長を短くでき、光路長を短くできる分だけ小型化が図れる。
【0069】
そして、ピンホール付きの受光素子12を用いることにより、前述のように、ピンホールを通過しない対物レンズ4の焦点位置以外に散乱された光を受光することができ、受光素子7の検出信号とともにマルチプレクサ10を介してA/D変換器8に入力してデジタルデータに変換し、変換されたデジタルデータをデータ解析部9に入力してデータ解析処理を行うことにより、受光素子7の検出信号のみでは得られない各種生体情報のデータ解析結果が期待できる。
【0070】
上記各実施例において、レーザーダイオード1から測定対象に照射される光強度を所定の値に維持するように、レーザーダイオード1を自動出力制御ループで駆動することにより、安定した測定が行える。
【0071】
図10は、このような構成を前述図1の実施例に適用した例を示す構成図である。図10の実施例では、レーザーダイオード1の出力光の一部を光ファイバ13を介して測定対象である生体LBの表面に照射させてその反射光を第2の受光素子14で検出し、この第2の受光素子14の出力信号をレーザーダイオード駆動回路15に与えてレーザーダイオード1の出力光強度を所定の値に維持するように駆動する。
【0072】
これにより、レーザーダイオード1の温度変化および空間強度変動に起因する出力光強度変化を抑制でき、安定した成分測定結果が得られる。
【0073】
また、第2の受光素子14の出力信号をA/D変換器16を介してデータ解析部9に加え、第1の受光素子7の出力信号を第2の受光素子14の出力信号で除算して規格化することにより、レーザーダイオード1の出力変動分や測定対象LBの表面反射による変動分を補償できる。
【0074】
図11は、図10のレーザーダイオード1として、その出力光をモニタする図示しない第3の受光素子が内蔵されたものを用いた実施例を示す構成図である。第3の受光素子の出力信号もレーザーダイオード駆動回路15に入力され、レーザーダイオード1の出力光強度を所定の値に維持するように駆動する。
【0075】
また、第3の受光素子の出力信号もA/D変換器17を介してデータ解析部9に入力され、第1の受光素子7の出力信号を第3の受光素子の出力信号で除算して規格化する。これにより、データ解析部9は、2つの規格化信号を線形結合して多変量解析により結合係数を求め、これらの値に基づきレーザーダイオード1の出力変動分や測定対象LBの表面反射による変動分を高精度に補償する。
【0076】
図12は、図11の実施例に、さらにハーフミラー3で反射された反射光を検出する第4の受光素子18と、この第4の受光素子18の出力信号をデジタル信号に変換するA/D変換器19を追加したものである。第4の受光素子18は、レーザーダイオード1の出力光の空間変動分を検出する。第4の受光素子18の出力信号もレーザーダイオード駆動回路15に入力され、レーザーダイオード1の出力光強度を所定の値に維持するように駆動する。
【0077】
また、第4の受光素子18の出力信号もA/D変換器19を介してデータ解析部9に入力され、第1の受光素子7の出力信号を第4の受光素子18の出力信号で除算して規格化する。これにより、データ解析部9は、3つの規格化信号を線形結合して多変量解析により結合係数を求め、これらの値に基づきレーザーダイオード1の出力変動分と空間変動分および測定対象LBの表面反射による変動分をさらに精度よく補償する。
【0078】
図13は図12の実施例から、光ファイバ13と第2の受光素子14およびA/D変換器16からなる信号系統を省いたものである。図13の構成によれば、レーザーダイオード駆動回路15は、第3の受光素子と第4の受光素子18の出力信号に基づいてレーザーダイオード1の出力光強度を所定の値に維持するように駆動する。そしてデータ解析部9は、第1の受光素子7の出力信号を第3の受光素子の出力信号で除算した規格化信号と第1の受光素子7の出力信号を第4の受光素子18の出力信号で除算した規格化信号に基づき、レーザーダイオード1の出力変動分および空間変動分を精度よく補償する。
【0079】
図14は、図13の実施例からさらに第4の受光素子18およびA/D変換器19からなる信号系統を省くとともに、マルチプレクサ10からA/D変換器8に入力される信号を分岐してレーザーダイオード駆動回路15にも入力するようにしたものである。レーザーダイオード駆動回路15には、マルチプレクサ10を介して、第1の受光素子7の出力信号のうち、信号が大きく取れている共焦点位置の受光体PD1よりさらに外周の共焦点位置以外に位置して散乱光を検出する受光体PD2〜PD4の出力信号が入力される。これら受光体PD2〜PD4の出力信号は皮膚の表面情報や他の生体情報を含むものであり、測定対象LBの表面反射による変動分を精度よく補償できる。
【0080】
図14の構成によれば、レーザーダイオード駆動回路15は、第3の受光素子と第1の受光素子7の受光体PD2〜PD4の出力信号に基づいてレーザーダイオード1の出力光強度を所定の値に維持するように駆動する。そしてデータ解析部9は、第1の受光素子7全体の出力信号を第3の受光素子の出力信号で除算した規格化信号と第1の受光素子7全体の出力信号を第1の受光素子7の受光体PD2〜PD4の出力信号で除算した規格化信号に基づき、レーザーダイオード1の出力変動分および空間変動分を精度よく補償する。
【0081】
なお、図11〜図14の実施例ではレーザーダイオード1としてその出力光をモニタする第3の受光素子が内蔵されたものを用いているが、装置に求められる補償精度に応じて、図6のように第3の受光素子が内蔵されていないものを用いてもよい。
【0082】
これら図9〜図14の構成は、図1に示す実施例にのみ適用できるものではなく、図8に示すように、レーザーダイオード1から出力されるレーザー光の光束を平凸レンズ11で拡大するように構成された実施例にも適用できるものであるが、図8の実施例に適用した構成図は省略する。
【0083】
なお、上記各実施例では、対物レンズ4として固定焦点レンズを用いる例を示したが、可変焦点レンズを用いてもよい。可変焦点レンズとしては、たとえばレンズ状に形成された空間に液晶が封入され、印加電圧を調整して見かけ上の液晶の屈折率を変化させるように構成された液晶レンズを用いることができる。液晶レンズによれば、同じレンズ形状でありながら、構成材料の屈折率が変化することにより、焦点距離が変化することになる。
【0084】
このような可変焦点レンズを対物レンズ4として用いることにより、対物レンズ4の位置を光軸方向に移動させずに可変焦点レンズに対する印加電圧を調整することで、生体LBの組織内における深さ方向の測定位置を任意に設定でき、レンズ移動機構が簡略化できる。
【0085】
上記各実施例では、光源として可変波長レーザーを用いる例を説明したが、測定成分が特定されている場合には、単波長レーザーであってもよい。
【0086】
上記各実施例では、人体の血液中の血糖値を測定する例について説明したが、血糖値以外の血液成分や組織液成分の定量測定にも有効である。
【0087】
上記各実施例において、共焦点光学系と測定対象との相対位置を相対的に3次元的に移動させる移動駆動機構を設けることにより、測定対象内部の成分に関する3次元情報を得ることができる。
【0088】
また、測定対象は人体に限るものではなく、動物や植物などの内部物質の定量測定にも有効である。
【0089】
また、測定対象は生体に限るものではなく、農産物、水産物、食品、有機材料などの構造、組成の非破壊検査、化学物質の定量測定にも有効である。
【0090】
以上説明したように、本発明によれば、的確に測定者が希望する測定位置に近い位置で測定が行える成分測定装置を実現することができ、人体の血液中の血糖値をはじめとする各種の成分測定に好適である。
【符号の説明】
【0091】
1 レーザーダイオード
2 コリメートレンズ
3 ハーフミラー
4 対物レンズ
5 集光レンズ
6 ピンホール
7、14、18 受光素子
8、16、17、19 A/D変換器
9 データ解析部
10 マルチプレクサ
11 平凸レンズ
12 ピンホール付き受光素子
13 光ファイバ
15 レーザーダイオード駆動回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
共焦点光学系を介してレーザー光を測定対象の内部組織に照射し、前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する受光素子から出力されるデータに基づき前記測定対象の成分の測定を行うデータ解析部を有する成分測定装置において、
前記受光素子は、少なくとも中心領域の受光体とその外周領域の受光体が電気的に分離するように設けられたことを特徴とする成分測定装置。
【請求項2】
前記測定対象の内部組織により反射された反射光の焦点位置に、ピンホールを有する受光素子が設けられたことを特徴とする請求項1記載の成分測定装置。
【請求項3】
前記レーザーは、波長可変光源であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の成分測定装置。
【請求項4】
前記共焦点光学系と前記測定対象とを相対的に3次元的に移動させる移動駆動機構を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の成分測定装置。
【請求項5】
前記測定対象の成分は、血液内のグルコースであり、
前記データ解析部は、前記受光素子から出力されるデータに基づいて前記測定対象の内部組織中の前記グルコースによる吸光度を測定して前記グルコースの濃度の定量を行い、血糖値を測定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の成分測定装置。
【請求項6】
前記レーザーから出射されるレーザー光の光束を拡大する手段を設けたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の成分測定装置。
【請求項7】
前記レーザーの出力光を測定対象表面に照射する光ファイバと、
この光ファイバの照射に基づく測定対象の表面における反射光を検出する第2の受光素子と、
この第2の受光素子の検出信号に基づき前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動するレーザー駆動回路、
を設けたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の成分測定装置。
【請求項8】
前記データ解析部は、前記第2の受光素子の検出信号で前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算して規格化したデータに基づいて前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする請求項7記載の成分測定装置。
【請求項9】
前記レーザーとしてその出力光をモニタする第3の受光素子が内蔵されたものを用い、
前記レーザー駆動回路は、前記第2の受光素子および第3の受光素子の検出信号の少なくともいずれかに基づき、前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動することを特徴とする請求項7記載の成分測定装置。
【請求項10】
前記レーザーとしてその出力光をモニタする第3の受光素子が内蔵されたものを用い、
前記データ解析部は、前記第2の受光素子および第3の受光素子の検出信号の少なくともいずれかで前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算して規格化したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする請求項7に記載の成分測定装置。
【請求項11】
前記レーザーとしてその出力光をモニタする第3の受光素子が内蔵されたものを用い、
前記データ解析部は、
前記第2の受光素子の検出信号で前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算した第1の規格化信号と、前記第3の受光素子の検出信号で前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算した第2の規格化信号を線形結合したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする請求項7に記載の成分測定装置。
【請求項12】
前記レーザー光の光路に設けられたハーフミラーで反射された反射光を検出する第4の受光素子を設け、
前記レーザー駆動回路は、前記第2の受光素子と第3の受光素子および第4の受光素子の検出信号の少なくともいずれかに基づき、前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の成分測定装置。
【請求項13】
前記データ解析部は、
前記第2の受光素子と第3の受光素子および第4の受光素子の検出信号の少なくともいずれかで前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算して規格化したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする請求項12に記載の成分測定装置。
【請求項14】
前記データ解析部は、
前記第2の受光素子と第3の受光素子および第4の受光素子の検出信号のそれぞれで前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算した規格化信号を線形結合したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする請求項12に記載の成分測定装置。
【請求項15】
前記レーザー駆動回路は、前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号に含まれる散乱光成分に基づき、前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の成分測定装置。
【請求項16】
前記データ解析部は、
前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子全体の検出信号をこの受光素子の検出信号に含まれる散乱光成分に基づき除算して規格化したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする請求項15に記載の成分測定装置。
【請求項1】
共焦点光学系を介してレーザー光を測定対象の内部組織に照射し、前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する受光素子から出力されるデータに基づき前記測定対象の成分の測定を行うデータ解析部を有する成分測定装置において、
前記受光素子は、少なくとも中心領域の受光体とその外周領域の受光体が電気的に分離するように設けられたことを特徴とする成分測定装置。
【請求項2】
前記測定対象の内部組織により反射された反射光の焦点位置に、ピンホールを有する受光素子が設けられたことを特徴とする請求項1記載の成分測定装置。
【請求項3】
前記レーザーは、波長可変光源であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の成分測定装置。
【請求項4】
前記共焦点光学系と前記測定対象とを相対的に3次元的に移動させる移動駆動機構を設けたことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の成分測定装置。
【請求項5】
前記測定対象の成分は、血液内のグルコースであり、
前記データ解析部は、前記受光素子から出力されるデータに基づいて前記測定対象の内部組織中の前記グルコースによる吸光度を測定して前記グルコースの濃度の定量を行い、血糖値を測定することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の成分測定装置。
【請求項6】
前記レーザーから出射されるレーザー光の光束を拡大する手段を設けたことを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の成分測定装置。
【請求項7】
前記レーザーの出力光を測定対象表面に照射する光ファイバと、
この光ファイバの照射に基づく測定対象の表面における反射光を検出する第2の受光素子と、
この第2の受光素子の検出信号に基づき前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動するレーザー駆動回路、
を設けたことを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の成分測定装置。
【請求項8】
前記データ解析部は、前記第2の受光素子の検出信号で前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算して規格化したデータに基づいて前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする請求項7記載の成分測定装置。
【請求項9】
前記レーザーとしてその出力光をモニタする第3の受光素子が内蔵されたものを用い、
前記レーザー駆動回路は、前記第2の受光素子および第3の受光素子の検出信号の少なくともいずれかに基づき、前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動することを特徴とする請求項7記載の成分測定装置。
【請求項10】
前記レーザーとしてその出力光をモニタする第3の受光素子が内蔵されたものを用い、
前記データ解析部は、前記第2の受光素子および第3の受光素子の検出信号の少なくともいずれかで前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算して規格化したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする請求項7に記載の成分測定装置。
【請求項11】
前記レーザーとしてその出力光をモニタする第3の受光素子が内蔵されたものを用い、
前記データ解析部は、
前記第2の受光素子の検出信号で前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算した第1の規格化信号と、前記第3の受光素子の検出信号で前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算した第2の規格化信号を線形結合したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする請求項7に記載の成分測定装置。
【請求項12】
前記レーザー光の光路に設けられたハーフミラーで反射された反射光を検出する第4の受光素子を設け、
前記レーザー駆動回路は、前記第2の受光素子と第3の受光素子および第4の受光素子の検出信号の少なくともいずれかに基づき、前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の成分測定装置。
【請求項13】
前記データ解析部は、
前記第2の受光素子と第3の受光素子および第4の受光素子の検出信号の少なくともいずれかで前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算して規格化したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする請求項12に記載の成分測定装置。
【請求項14】
前記データ解析部は、
前記第2の受光素子と第3の受光素子および第4の受光素子の検出信号のそれぞれで前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号を除算した規格化信号を線形結合したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする請求項12に記載の成分測定装置。
【請求項15】
前記レーザー駆動回路は、前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子の検出信号に含まれる散乱光成分に基づき、前記レーザーの出力光強度を所定の値に維持するように駆動することを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の成分測定装置。
【請求項16】
前記データ解析部は、
前記測定対象の内部組織により反射された反射光を前記共焦点光学系を介して検出する前記受光素子全体の検出信号をこの受光素子の検出信号に含まれる散乱光成分に基づき除算して規格化したデータに基づき、前記測定対象の成分の測定を行うことを特徴とする請求項15に記載の成分測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−230663(P2010−230663A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47718(P2010−47718)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000006507)横河電機株式会社 (4,443)
【Fターム(参考)】
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