説明

成型物の製造方法

【課題】 新規な成型物の製造方法の提供。
【解決手段】 1)熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンと小片状材料を混合する工程、2)得られた混合物を乾燥して乾燥状態の熱可塑性樹脂(A)が表面に付着した小片状材料を形成する工程、3)上記小片状材料とイソシアネート化合物を混合して混合物を形成する工程、4)混合物を常温で加圧成型し、B−ステージの成型物を形成する工程、および5)工程4)で得られた成型物を、B−ステージのまま、引き続いて真空成型または圧空成型を行う工程、を含む成型物の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小片状材料を、熱可塑性樹脂およびイソシアネート化合物をバインダーとして使用し、常温で加圧成型してB−ステージの成型物を形成し、引き続いて真空成型または圧空成型を行う成型物の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境に重要な役割を果している森林資源の減少化傾向を防止するために森林から生産される木材の有効利用は勿論のこと、従来ほとんど焼却する以外は利用価値のなかった木材の一部分である枝葉、および樹皮などの活用方法を開発することが重要である。
さらには、最近家屋の解体に伴って発生する木材、石膏ボードなどの建築廃材の処理が大きな社会問題になっている。
これら森林資源、建築廃材などの有効利用の方法として、本発明者らは熱可塑性樹脂を使用した常温加熱成型方法を開発した(特開2004−174957)。この方法により、簡便かつ安価に板状などの簡単な形状の成型品を製造することが可能なった。しかし、より高付加価値な複雑な形状の造形品を製造するためには、高価な金型を製造する必要があった。高価な金型は製造コストを増大させ、安価な材料を使用するという前記の製造方法の利点を減ずるものであった。そのため、より安価で、設備投資の必要のない成型方法が望まれていた。
【特許文献1】特開2004−174957
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、小片状材料を使用し、安価かつ簡便に、美観に優れた花器などのような、複雑な形状の高付加価値成型品を製造する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、
1)熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンと小片状材料を混合する工程、
2)得られた混合物を乾燥して乾燥状態の熱可塑性樹脂(A)が表面に付着した小片状材料を形成する工程、
3)上記小片状材料とイソシアネート化合物を混合して混合物を形成する工程、
4)混合物を常温で加圧成型し、B−ステージの成型物を形成する工程、および
5)工程4)で得られた成型物を、B−ステージのまま、引き続いて真空成型または圧空成型を行う工程、を含む成型物の製造方法を提供する。
【0005】
本発明において、上記の工程3)の前または後に、小片状材料を水または熱可塑性樹脂(B)のエマルジョンもしくは水溶液で湿らせる工程を含むことができる。
すなわち、本発明は、
1)熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンと小片状材料を混合する工程、
2)得られた混合物を乾燥して乾燥状態の熱可塑性樹脂(A)が表面に付着した小片状材料を形成する工程、
3)得られた小片状材料を水または熱可塑性樹脂(B)のエマルジョンもしくは水溶液で湿らせる工程、
4)上記小片状材料とイソシアネート化合物を混合して混合物を形成する工程、
5)混合物を常温で加圧成型し、B−ステージの成型物を形成する工程、および
6)工程5)で得られた成型物を、B−ステージのまま、引き続いて真空成型または圧空成型を行う工程、を含む成型物の製造方法も提供する。
【0006】
また、本発明は、
1)熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンと小片状材料を混合する工程、
2)得られた混合物を乾燥して乾燥状態の熱可塑性樹脂(A)が表面に付着した小片状材料を形成する工程、
3)上記小片状材料とイソシアネート化合物を混合して混合物を形成する工程、
4)工程3で得られた小片状材料を水または熱可塑性樹脂(B)のエマルジョンもしくは水溶液で湿らせる工程、
5)混合物を常温で加圧成型し、B−ステージの成型物を形成する工程、および
6)工程5)で得られた成型物を、B−ステージのまま、引き続いて真空成型または圧空成型を行う工程、を含む成型物の製造方法も提供する。
【0007】
好ましくは小片状材料とイソシアネート化合物を混合して混合物を形成した後に、水または熱可塑性樹脂(B)のエマルジョンもしくは水溶液で湿らせる工程が行われる。
水または熱可塑性樹脂(B)のエマルジョンもしくは水溶液で湿らせることにより熱可塑性樹脂とイソシアネート化合物との反応が促進され結合力が向上すると考えられ、その結果曲げ強さと耐水性に優れた成型物が得られると考えられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の方法により、美観に優れた造形物を簡便に製造することができる。また、B−ステージの小片材料成型物は熱可塑性樹脂のシートのようには型への追従性が良好でないので、得られる製品は形状についての再現性がなく、真空成型の操作ごとに一点もののような異なる形状のものを製造することができる。すなわち、本発明の方法により、需要者の購買意欲を高め、工芸品的のような高い付加価値を有する造形物を製造することができるのである。
本発明により種々の用途に使用される成型物を製造することができるが、代表的には花器、プランター、植木鉢などが製造される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明で用いられる小片状材料の材質、粒径および形状は、その材料および製造する成型物の種類、要求性能などにより変化するので、公知の技術に基き当業者が適宜選択することができる。小片状材料としては、木材小片、木材繊維、樹皮等の木材に由来する木質材料が好適に使用される。合板等の木材の廃材、新聞紙および雑誌等の古紙、紙管、段ボール、木炭、もみがら、とうもろこし、ゴムの木、わら、コーリャン茎、ケナフ等の材料も使用することができる。これらの材料は必要に応じ、破断粉砕して適当な大きさにして使用することができる。好適な小片状材料は木質材料である。
木質材料を使用する場合に、その木の種類は問わないが、松、杉、ひのき等の針葉樹、ラワン、カポール、ポプラ、ヤナギ等の広葉樹由来のものが好適に使用される。小片状材料として木材チップを使用する場合には、一般に0.01から100mmのサイズのものが使用される。用途に応じて複数種類の小片状材料を混合使用することができる。
【0010】
本発明で使用される熱可塑性樹脂(A)および(B)は、いずれも熱可塑性を有するものであればよく、天然樹脂および合成樹脂のいずれであってもよい。また、熱可塑性を有していれば、若干の架橋を有するものであっても良い。
熱可塑性樹脂(A)として好適に使用される樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル酸エステルおよび/またはメタクリル酸エステルを含むエチレン性不飽和モノマーの共重合体であるアクリル樹脂、ポリビニルアルコールなどがあげられる。
また、熱可塑性樹脂(B)として好適に使用される樹脂としては、酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂およびポリビニルアルコールがあげられる。これらの熱可塑性樹脂は単独で使用することもできるし、混合して使用することもできる。
【0011】
本発明で用いられるポリビニルアルコールを除く熱可塑性樹脂は、エマルジョン重合により製造され、提供されることが安全性、環境などの観点から好ましい。エマルジョン重合の方法については特に制限はなく、通常の方法で差し支えない。例えば、酢酸ビニル等の単量体を水中で各種乳化剤、保護コロイドの存在下、過硫酸塩等の開始剤を添加することにより得られるが、その際の、単量体の添加方法(一括添加、逐次添加、分割添加等)、乳化剤の種類(アニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤等)や保護コロイドの種類(ポリビニルアルコール系高分子、セルロース系高分子等)、開始剤の種類(過硫酸塩等、過酸化水素等のパーオキサイド類、それらとのレドックス反応の用いる重亜硫酸ナトリウム等の還元剤等)やその添加方法(一括添加、逐次添加、分割添加等)その他攪拌条件、重合温度等をはじめとする重合条件については公知であり、当業者が必要に応じ適宜決定できる事項である。
また、エチレン−酢酸ビニル共重合体エマルジョン存在下で酢酸ビニルを乳化重合するようなシード乳化重合法などによりえられるエマルジョンも使用できる。
【0012】
熱可塑性樹脂のエマルジョンとしては、固形分20から70%のものが好ましく使用される。熱可塑性樹脂のエマルジョンの粘度は特に制限はなく、その固形分濃度により変わるが、作業性等の観点で200000mPa・s(30℃)以下が好ましい。
【0013】
酢酸ビニル樹脂としては、たとえば、酢酸ビニルモノマーを保護コロイドの存在下で乳化重合して得られるものが好適に使用できる。
酢酸ビニル樹脂系エマルジョンは、粘度が1000から200000mPa・sであることが好ましい。又、pHは3から8であることが好ましい。
エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂としては、例えば、エチレンと酢酸ビニルモノマーを保護コロイドの存在下で乳化共重合して得られるものが好適に使用できる。エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂中のエチレン含有量は好ましくは5から40重量%であり、より好ましくは10から25重量%である。粘度は好ましくは200から20000mPa・sである。またpHは4から7であることが好ましい。
【0014】
ポリビニルアルコールとしては水溶液としたものが好ましく樹脂濃度5から30%で使用することが望ましい。
本発明で用いられるポリビニルアルコールとしては各種の重合度、鹸化度のものが使用でき、一般的には重合度200から4000、鹸化度50から100モル%である。
好ましくは、重合度1000から2000、鹸化度95から100モル%である。また、α−オレフィン系単量体由来の疎水基、カルボキシル基、スルホン酸基、カチオン基、アセトアセチル基、シラノール基等で変性したポリビニルアルコールも使用可能である。
【0015】
酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、およびポリビニルアルコールは種々のグレードのものが多くの製造者から市販されており、望ましい特性に応じて適宜選択して使用することができる。
【0016】
本発明で用いられるイソシアネート化合物としては、イソシアネート基を2個以上有する化合物が使用でき、例えばトリレンジイソシアネート(TDI)、水素化TDI、トリメチロールプロパン−TDIアダクト、トリフェニルメタントリイソシアネート、ジフエニルメタンジイソシアネート(MDI)、水素化MDI、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、メタキシリレンジイソシアネート、水素化XDI、イソホロンジイソシアネート、リジンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、上記イソシアネート化合物の水またはアミンアダクトのような各種アダクト、上記イソシアネート化合物の2または3量体のようなオリゴマー、ポリオールに過剰のポリイソシアネートであらかじめポリマー化した末端にイソシアネート基を有するウレタンプレポリマー、末端イソシアネート基がブロックされたブロックウレタン等があげられる。各種異性体を含むこれらを単独または2種類以上混合して使用する。中でも、経済性等の観点から、2量体以上のMDIを含む、いわゆるポリメリックMDIが好適に使用される。
【0017】
イソシアネート化合物の硬化を促進させる目的で公知の触媒を加えることができる。
例えば、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N−メチルモルフホリン、N−メチルイミダゾール、1−メチルイミダゾール、1−エチルイミダゾール、1−プロピルイミダゾール、1−シアノメチルイミダゾール、1、2−ジメチルイミダゾール、1、4−ジメチルイミダゾール、1−メチル−2−エチルイミダゾール、1−メチル−4−エチルイミダゾール、1−エチル−2−メチルイミダゾール、1−エチル−4−メチルイミダゾール、ピリジン、α−ピコリン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N,N´−トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N´,N´−テトラメチルヒドロキシプロピレンジアミン、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ナフテン酸カルシウム、オクチル酸カリ、オクチル酸スズ、オクチル酸亜鉛等があげられる。添加量はイソシアネート化合物100重量部に対し0.1から20重量部が好ましい。0.1重量部以下では硬化促進の効果がなく20重量部以上添加すると結合力が低下する。
【0018】
本明細書において「乾燥状態の熱可塑性樹脂(A)が表面に付着した小片状材料」とは、熱可塑性樹脂(A)が小片状材料表面に乾燥状態で存在するものであれば良く、乾燥とは水分がほぼなくなった状態をいう。具体的にはイソシアネート化合物を添加しても著しい発泡が生じない程度まで水分が減少された状態をいう。この状態では、たとえば、熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンの水分がほぼ蒸発し、熱可塑性樹脂(A)が半透明ないし透明の樹脂の乾燥皮膜が形成される。
【0019】
小片状材料に対する熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンの混合量は、材料の種類によって異なるが、例えば木材チップ(含水率5から15%)100重量部に対して、エマルジョンの固形分として5から50重量部、好ましくは10から40重量部である。樹脂量が少ないと結合力が不十分となり、樹脂量が多すぎてもそれに対応する結合力の向上を得ることができない。
【0020】
小片状材料に対するイソシアネート化合物の混合量は、材料の種類によって異なるが、例えば木材チップ(含水率5から15%)100重量部に対して、1から20重量部、好ましくは5から15重量部である。イソシアネート化合物量が少ないと結合力が不十分となり、イソシアネート化合物量が多すぎてもそれに対応する結合力の向上を得ることができない。
【0021】
水または熱可塑性樹脂(B)のエマルジョンもしくは水溶液の使用量は、例えば木材チップ(含水率5から15%)100重量%に対して、15重量%以下の添加で充分である。15重量%以上添加すると水分によって成型物が変形するので好ましくない。
【0022】
小片状材料は必要に応じ水洗し、乾燥した後使用することができる。熱可塑性樹脂(A)と小片状材料との混合は、公知の任意の方法により行うことができ、例えばスプレー塗布または含浸等の方法により行うことができる。混合方法、混合装置、混合時間などは小片状材料の種類および大きさ、ならびに熱可塑性樹脂(A)の種類および混合比率に応じて、適宜選択することができる。小片状材料の表面全体に熱可塑性樹脂(A)が存在するように、充分に混合することが望ましい。
得られた混合物の乾燥も公知の方法により行うことができ、たとえば室温における風乾、熱風乾燥、オーブン中における加熱乾燥など、任意の方法が使用できる。
【0023】
乾燥状態の熱可塑性樹脂(A)が表面に付着した小片状材料とイソシアネート化合物及び、水または熱可塑性樹脂(B)のエマルジョンもしくは水溶液との混合は、公知の任意の方法により行うことができ、例えばスプレー塗布または含浸等の方法により行うことができる。混合方法、混合装置、混合時間などは乾燥状態の熱可塑性樹脂(A)が表面に付着した小片状材料の種類および大きさに応じて適宜選択することができる。乾燥状態の熱可塑性樹脂(A)が表面に付着した小片状材料の表面全体にイソシアネート化合物及び、水または熱可塑性樹脂(B)のエマルジョンもしくは水溶液が存在するように、充分に混合することが望ましい。
【0024】
成型物の吸湿変形を防止するために、パラフインワックス等の撥水剤を添加することもできる。また必要に応じて、充填材、溶剤、顔料、染料、防腐剤、防虫剤、消泡剤等を添加することができる。
【0025】
本発明においては、加圧成型によりB−ステージの成型物が形成される。B−ステージとは、半硬化状態をいい、外力により変形可能な状態を言う。具体的には、引き続く真空成型において賦形できる状態であればよい。B−ステージにするための成型時間は、樹脂の量、イソシアネートの量、成型温度および圧力、成型厚さ、小片材料の種類および粒径などにより変化するが、一般的には数秒から30分程度の間である。また、加圧圧力は成型物に求められる要求性能によって異なるが、典型的には98kPaから4900kPa(1kgf/cmから50kgf/cm)の圧力で充分である。成型時間および圧力は、各種条件を変化させつつ、当業者が実験により適宜決定ししうる事項である。
加圧成型は、常温で行われる。本明細書において「常温」とは0℃から100℃までの温度をいう。成型温度は好ましくは10℃から90℃、より好ましくは20℃から80℃、もっとも好ましくは30℃から70℃である。0℃未満のようなあまりに低い温度で加圧成型すると結合力が弱く、取り扱うことができない。
【0026】
加圧成型終了後、B−ステージ状態において引き続き真空成型がされる。加圧成型終了後、約10分以内に真空成型を行うことが望ましい。また、イソシアネートを添加した後真空成型を行うまでの時間は、約20分以内にすることが好ましい。イソシアネートによる硬化反応が進行し、B−ステージ段階から硬化状態に移行し、真空成型ができなくなるからである。真空成型の時間は典型的には約30秒から10分以内である。
真空成型は通常、常温で行われ、好ましくは20℃以上の温度で行われる。
本発明において真空成型は、たとえば一般的な熱可塑性樹脂の真空成型とは異なり、小片状材料でつくられた板状の成型物の上に柔軟性のあるフィルムをかぶせ、密閉した空間を形成した後、該空間を真空にすることにより行われる。上記のフィルムとしては、クロロプレンゴムおよびシリコンゴムなどが好適に使用される。
真空度も成型材料や厚さなどにより適宜決定することができるが、約88kPa(0.9kgf/cm)程度であれば十分である。
【0027】
本発明においては、真空成型に変えて、圧空成型を行うこともできる。圧空成型の場合には、成型圧力を高くすることができるので、より緻密な成型品を製造することができる。圧空成型の場合も、一般的な熱可塑性樹脂の圧空成型とは異なり、小片状材料でつくられた板状の成型物の上に柔軟性のあるフィルムをかぶせて、圧空成型が行われる。さらに、圧空成型の変形として、たとえばオイルを封入したシートを介して圧力を加えることにより成型することもできる。
【0028】
本発明により得られた造形物の表面に、撥水剤および防水剤などを、たとえばディッピングにより施すことができる。このようにすることにより、成型品の耐水性および防水性を向上させることができる。また、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、およびアクリル樹脂のフィルムのような防水性フィルムをはじめとするシート材料を内部に積層することもできる。これにより、水漏れを完全に防止することができ、たとえば花器の場合に有用である。
【0029】
実施例
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、以下の実施例は本発明の範囲を何ら制限するものではない。
実施例1
木材チップ(15mmメッシュ通過の杉材含水率約12%)5000gを容器にとりエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン(商品名パンフレックスOM6000、粘度2500mPa・s、固形分50%、ポリビニルアルコール含有、株式会社クラレ製)を2000g添加して充分撹拌混合してからばらばらにして35から40℃で1日間放置乾燥させて木材チップ混合物を得た。撹拌しながら同温度でさらにイソシアネート化合物(商品名ウッドキュア300日本ポリウレタン工業株式会社製、主成分MDI、NCO含量28.5−30.5%)500gを混合し、さらに続けて水500gを混合してから、型枠(幅300mm×長さ600mm)へ投入し、ゲージ圧2.94MPa(30kg/cm)で5分間、加圧成型した。
成型板を取り出し、30秒以内に、台の上に置かれた半球状の型の上にフォーミングされた板を置いた。板の上に十分に大きなクロロプレンのシートをかぶせ、密閉した。密閉した空間内を脱気し、88kPa(0.9kgf/cm)とした。そのまま2分間保持したところ、花器として使用できる成型物が得られた。
【0030】
実施例2
木材チップ(15mmメッシュ通過の杉材含水率約12%)5000gを容器にとり酢酸ビニル樹脂エマルジョン(商品名ボンドCX55、粘度25000mPa・s、固形分55%、ポリビニルアルコール含有、コニシ株式会社製)を2000g添加して充分撹拌混合してからばらばらにして35から40℃で1日間放置乾燥させて木材チップ混合物を得た。撹拌しながら同温度でさらにイソシアネート化合物(商品名ウッドキュア300日本ポリウレタン工業株式会社製、主成分MDI、NCO含量28.5−30.5%)500gを混合し、さらに続けて水500gを混合してから、型枠(幅300mm×長さ600mm)へ投入し、ゲージ圧2.94MPa(30kg/cm)で5分間、加圧成型した。
成型板を取り出し、30秒以内に、台の上に置かれた半球状の型の上にフォーミングされた板を置いた。板の上に十分に大きなクロロプレンのシートをかぶせ、密閉した。密閉した空間内を脱気し、88kPa(0.9kgf/cm)とした。そのまま2分間保持したところ、花器として使用できる成型物が得られた。
【0031】
実施例3
木材チップ(15mmメッシュ通過の杉材含水率約12%)5000gを容器にとりアクリル酸エステル共重合体樹脂エマルジョン(粘度10000mPa・s、固形分50% ポリビニルアルコール含有、メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル共重合体樹脂)を2000g添加して充分撹拌混合してからばらばらにして35から40℃で1日間放置乾燥させて木材チップ混合物を得た。撹拌しながら同温度でさらにイソシアネート化合物(商品名ウッドキュア300日本ポリウレタン工業株式会社製、主成分MDI、NCO含量28.5−30.5%)500gを混合し、さらに続けて水500gを混合してから、型枠(幅300mm×長さ600mm)へ投入し、ゲージ圧2.94MPa(30kg/cm)で5分間、加圧成型した。
成型板を取り出し、30秒以内に、台の上に置かれた半球状の型の上にフォーミングされた板を置いた。板の上に十分に大きなクロロプレンのシートをかぶせ、密閉した。密閉した空間内を脱気し、88kPa(0.9kgf/cm)とした。そのまま2分間保持したところ、花器として使用できる成型物が得られた。
【0032】
実施例4
木材チップ(20mmメッシュ通過の杉材含水率約10%)3000gを容器にとりエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン(商品名パンフレックスOM6000、粘度2500mPa・s、固形分50%、ポリビニルアルコール含有、株式会社クラレ製)を900g添加して充分撹拌混合してからばらばらにして55から60℃で3時間放置乾燥させて木材チップ混合物を得た。撹拌しながら同温度で10重量%ポリビニルアルコール水溶液(商品名クラレポバール117、ケン化度98モル%、重合度1700株式会社クラレ製)300gを混合し、さらにイソシアネート化合物(商品名ウッドキュア300日本ポリウレタン工業株式会社製、主成分MDI、NCO含量28.5−30.5%)150gを混合してから、型枠(幅400mm×長さ400mm)へ投入し、ゲージ圧2.94MPa(30kg/cm)で5分間、加圧成型した。
成型板を取り出し、30秒以内に、台の上に置かれた半球状の型の上にフォーミングされた板を置いた。板の上に十分に大きなクロロプレンのシートをかぶせ、密閉した。密閉した空間内を脱気し、88kPa(0.9kgf/cm)とした。そのまま2分間保持したところ、花器として使用できる成型物が得られた。
【0033】
実施例5
木材チップ(20mmメッシュ通過の杉材含水率約10%)3000gを容器にとりエチレン酢酸ビニル共重合体樹脂エマルジョン(商品名パンフレックスOM6000、粘度2500mPa・s、固形分50%、ポリビニルアルコール含有、株式会社クラレ製)を900g添加して充分撹拌混合してからばらばらにして55から60℃で3時間放置乾燥させて木材チップ混合物を得た。撹拌しながら同温度でさらにイソシアネート化合物(商品名ウッドキュア300日本ポリウレタン工業株式会社製、主成分MDI、NCO含量28.5−30.5%)150gを混合し、さらに続けて10重量%ポリビニルアルコール水溶液(商品名クラレポバール117、ケン化度98モル%、重合度1700株式会社クラレ製)300gを混合してから、型枠(幅300mm×長さ600mm)へ投入し、ゲージ圧2.94MPa(30kg/cm)で5分間、加圧成型した。
成型板を取り出し、30秒以内に、台の上に置かれた半球状の型の上にフォーミングされた板を置いた。板の上に十分に大きなクロロプレンのシートをかぶせ、密閉した。密閉した空間内を脱気し、88kPa(0.9kgf/cm)とした。そのまま2分間保持したところ、花器として使用できる成型物が得られた。
【0034】
比較例1
加圧成型された成型物を取り出した後、30分後に真空成型をしたが、成型物が変形せず、真空成型することができなかった。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンと小片状材料を混合する工程、
2)得られた混合物を乾燥して乾燥状態の熱可塑性樹脂(A)が表面に付着した小片状材料を形成する工程、
3)上記小片状材料とイソシアネート化合物を混合して混合物を形成する工程、
4)混合物を常温で加圧成型し、B−ステージの成型物を形成する工程、および
5)工程4)で得られた成型物を、B−ステージのまま、引き続いて真空成型または圧空成型を行う工程、
を含む成型物の製造方法。
【請求項2】
1)熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンと小片状材料を混合する工程、
2)得られた混合物を乾燥して乾燥状態の熱可塑性樹脂(A)が表面に付着した小片状材料を形成する工程、
3)得られた小片状材料を水または熱可塑性樹脂(B)のエマルジョンもしくは水溶液で湿らせる工程、
4)上記小片状材料とイソシアネート化合物を混合して混合物を形成する工程、
5)混合物を常温で加圧成型し、B−ステージの成型物を形成する工程、および
6)工程5)で得られた成型物を、B−ステージのまま、引き続いて真空成型または圧空成型を行う工程、
を含む成型物の製造方法。
【請求項3】
1)熱可塑性樹脂(A)のエマルジョンと小片状材料を混合する工程、
2)得られた混合物を乾燥して乾燥状態の熱可塑性樹脂(A)が表面に付着した小片状材料を形成する工程、
3)上記小片状材料とイソシアネート化合物を混合して混合物を形成する工程、
4)工程3で得られた小片状材料を水または熱可塑性樹脂(B)のエマルジョンもしくは水溶液で湿らせる工程、
5)混合物を常温で加圧成型し、B−ステージの成型物を形成する工程、および
6)工程5)で得られた成型物を、B−ステージのまま、引き続いて真空成型または圧空成型を行う工程、
を含む成型物の製造方法。
【請求項4】
小片状材料が木質材料である、請求項1から3のいずれか1項記載の製造方法。
【請求項5】
熱可塑性樹脂(A)が酢酸ビニル樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、およびアクリル樹脂からなる群から選択される少なくとも一つの樹脂である、請求項1から4のいずれか1項記載の製造方法。


【公開番号】特開2006−43984(P2006−43984A)
【公開日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−226677(P2004−226677)
【出願日】平成16年8月3日(2004.8.3)
【出願人】(591267855)埼玉県 (71)
【出願人】(501001393)有限会社グランテック (1)
【出願人】(597077159)協同組合フォレスト西川 (1)
【出願人】(000001085)株式会社クラレ (1,607)
【Fターム(参考)】