説明

成形体、この成形体を用いる加熱装置、およびこの成形体の製造方法

【課題】電気抵抗が正の温度係数をもつとともに、機械的な強度が高く、かつ化学的安定性をも有する成形体、この成形体を用いる加熱装置、この成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】成形体(30)が、エレクトロセラミックスからなる第1部位(10)と、セラミック構造材からなる第2部位(20)を備えるようにして、この成形体を加熱装置に用いる。成形体(30)を、エレクトロセラミックスの出発物質を用意する工程A)と、セラミック構造材の出発物質を用意する工程B)と、エレクトロセラミックスの出発物質を含む第1部位(10)と、セラミック構造材(20)の出発物質を含む第2部位とからなる焼結素材を成形する工程C)と、エレクトロセラミックスの出発物質を、電気抵抗が正の温度係数をもつエレクトロセラミックスに転換させつつ、成形体製造のために焼結素材を焼結させる工程D)を含む方法によって製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形体、この成形体を用いる加熱装置、およびこの成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記のような加熱装置においては、流体等の被加熱体は、電気抵抗が正の温度係数(PTC特性)をもつ加熱器と接触することにより加熱される。これまで、このようなPTC特性をもつ加熱器は、正の温度係数をもつシート状または方形の素子として形成されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の課題は、電気抵抗が正の温度係数をもつとともに、機械的強度が高く、かつ化学的安定性をも有する成形体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記の課題は、電気抵抗が正の温度係数をもつエレクトロセラミックスからなる第1部位と、セラミック構造材からなる第2部位と、前記第1部位および第2部位の間に位置し、エレクトロセラミックスおよびセラミック構造材が互いに焼結し合った接合部位とを有することを特徴とする成形体(請求項1)によって解決される。請求項2以下には、上記成形体の種々の態様、この成形体を用いる加熱装置、およびこの成形体の製造方法が記載されている。
【0005】
本発明の一態様に係る成形体は、第1部位、第2部位および両者の接合部位を有する。第1部位は、電気抵抗が正の温度係数をもつエレクトロセラミックスからなり、他方、第2部位は、セラミック構造材からなる。接合部位においては、エレクトロセラミックスとセラミック構造材とが接合するように焼結される。こうすると、エレクトロセラミックスとセラミック構造材が一体となった成形体が得られる。したがって、成形体の形状を保持することのみを目的とする部位と、成形体の形状を保持することに加えて成形体に機能を付加することも目的とする部位とが、一つの成形体にまとめられる。
【0006】
成形体の第1部位を構成するエレクトロセラミックスは、ペロブスカイト型やBa1−x−yDTi1−a−bMn型の結晶構造を有する。ここで、xは0〜0.5,yは0〜0.01、aは0〜0.01、bは0〜0.01である。また、Mは2価のカチオンとなりうる元素、Dは3価または4価のアニオンとなりうる元素、Nは5価または6価のアニオンとなりうる元素である。すなわち、Mはカルシウム、ストロンチウム、鉛等、Dはイットリウム、ランタン等、Nはニオブ、アンチモン等である。このエレクトロセラミックスは、10ppm以下の金属不純物を含むことがあるが、非常に少量であるため、エレクトロセラミックスのPTC特性が影響を受けることはない。この外、このエレクトロセラミックスは、−30℃〜340℃のキュリー温度を有する。また、25℃において、3〜100000Ωcmの電気抵抗率を示す。
【0007】
本発明に係る成形体は、正の温度係数をもつエレクトロセラミックスを用いるため、電圧を印加すると発熱し、この熱を周囲に放散する。この際、エレクトロセラミックスからなる第1部位は、自動制御的な挙動を示す。すなわち、第1部位の温度が閾値まで上昇すると、この部位における電気抵抗は上昇し、第1部位を通過する電流は減少する。よって、第1部位における温度上昇は自動的に抑えられるため、第1部位の発熱を導く出力を電子的に制御する機構を設ける必要はない。
【0008】
本発明に係る成形体の第2部位を構成するセラミック構造材には、酸化物系セラミックスを用いることができる。酸化物系セラミックスは、ZrO、AlおよびMgOからなる群より選択することができるが、これら以外の酸化物系セラミックスも用いることができる。これらの酸化物系セラミックスは、耐摩耗性が強く、また、酸および塩基に対する高い化学耐性を示す。さらに、これらの酸化物系セラミックスは、食品その他の汚染が許されない製品に対しても適用可能であり、これらの製品に接触させつつ、製品を安全に加熱することができる。
【0009】
本発明に係る成形体を加熱装置に用いる場合、成形体の第2部位は、製品と接触する位置や、強い摩擦を受ける位置を占めるように形成される。
【0010】
上記のように、本発明に係る成形体においては、被加熱体を電気的に加熱する機能を発揮する第1部位と、成形体の構造的な安定性を保つ機能を発揮する第2部位とが分けられている。
【0011】
本発明に係る成形体は、射出成形により、周囲の構造的な環境に合わせて、任意の幾何形状に形成することができる。この成形体を加熱装置に用いる場合には、第1部位は、構造的に外部からアクセスしにくい領域にも配置しうるように成形することができる。このような理由により、被加熱体が流体の場合、加熱に係る出力が低くても、ごく短時間で効率的に加熱される。
【0012】
さらに、第1部位、第2部位および接合部位の各熱膨張係数は、2×10−6−1未満の範囲内であれば、互いに異なっていてもよい。この場合、第1部位と第2部位の間に位置する接合部位について、「適当な結晶」が形成されるように、各部位の材料の組み合わせを選択する。ここで、『結晶相』とは、エレクトロセラミックス材料とセラミック構造材材料の混晶を意味する。このような混晶は、例えば、第2部位のセラミック構造材材料としてジルコニウムを用いる場合には、バリウム、鉛およびジルコニウムの各チタン酸塩からなる混晶となる。他方、セラミック構造材材料として、Al23またはMgOを用いる場合には、それぞれ、バリウムおよびアルミニウムの各チタン酸塩からなる混晶、またはバリウムおよびマグネシウムの各チタン酸塩からなる混晶となる。混晶の内部構造は、第1部位および第2部位までの距離が短くなるにつれて、それぞれ、エレクトロセラミックスおよびセラミック構造材の内部構造に徐々に近づいていく。また、上記「適当な結晶相」の語における『適当な』とは、接合部位の熱膨張係数が、隣接する第1部位および第2部位の各熱膨張係数と近似する値であることを意味する。3つの部位の各熱膨張係数は、加熱時に応力によるひび割れが生じないよう、相互に調整する。
【0013】
成形体の接合部位は、エレクトロセラミックスとセラミック構造材の各構成物質が互いに他方へ拡散するのを防止する役割を果たす。ここでいう構成物質とは、エレクトロセラミックスとセラミック構造材中に存在するアニオンやカチオンを指す。すなわち、接合部位は、第1部位および第2部位が、その機能特性や構造特性を損ない合うのを防止する。
【0014】
本発明によれば、上記の特徴をもつ成形体を用いる加熱装置も提供される。この場合、成形体には、成形体に電流を流すための電気接点領域を設ける。この電気接点領域は、成形体の第1部位に設けられ、第1部位に電流が流れる。
【0015】
本発明に係る加熱装置は、第1セクション(機能セクション)と第2セクション(構造セクション)とを有するため、被加熱体とエレクトロセラミックスとが直接接触しないように構成することもできる。本発明に係る加熱装置は、機械的負荷(摩擦による負荷)に受けるセクションを、電気的な機能を発揮するセクションとは別個に設けるものである。本発明に係る加熱装置は、セラミック構造材からなる第2セクションを有しているため、汚染を避けなければならない被加熱体にも適用することができる。また、第1セクションと被加熱体との間に第2セクションを位置させた場合には、第1セクションの構成物質が液状の被加熱体中に溶解する事態も避けられる。
【0016】
本発明によれば、上記成形体の製造方法も提供される。この方法は、以下の工程からなる。
A)エレクトロセラミックスの出発物質を用意する。
B)セラミック構造材の出発物質を用意する。
C)エレクトロセラミックスの出発物質を含む第1部位と、セラミック構造材の出発物質を含む第2部位とからなる焼結素材を成形する。
D)エレクトロセラミックスの出発物質を、電気抵抗が正の温度係数をもつエレクトロセラミックスに転換させつつ、成形体製造のために焼結素材を焼結させる。
【0017】
この方法によれば、機能特性を備える部位と構造特性を備える部位とが一体となった成形体を、単一の成形プロセスにより製造することができる。このように、成形体の複数の部位を一体的に形成すると、多数の部位を一つ一つ形状を定めつつ形成した上で、これらの部位を、成形体の全体形状を定めるために、さらに互いに固定する必要がなくなる。本発明に係る、エレクトロセラミックス材料とセラミック構造材材料の各出発物質を含む素材を一体的に成形・接合し、かつ一体的に焼結させる方法によれば、次の3つの効果が得られる。
1)所望の電気的・機械的特性を有する少なくとも2つの部位が1つの成形体に形成される。
2)上記少なくとも2つの部位が互いに密接して形成される。
3)上記少なくとも2つの部位が同時に形成される。
【0018】
前記工程A)においては、化学式Ba1−x−yDTi1−a−bMnで表されるエレクトロセラミックスの出発物質を用意する。ここで、xは0〜0.5,yは0〜0.01、aは0〜0.01、bは0〜0.01である。また、Mは2価のカチオンとなりうる元素、Dは3価または4価のアニオンとなりうる元素、Nは5価または6価のアニオンとなりうる元素である。この出発物質は、電気抵抗が正の温度係数をもつペロブスカイト構造型のエレクトロセラミックスに転換される。
【0019】
上記エレクトロセラミックスの出発物質における金属不純物の含有量が10ppm以下のときには、適当なツールを用いて、耐摩耗性の硬質コーティングを施す。ここで硬質のコーティングとは、例えばタングステンカーバイドからなるものをいう。この場合、ツールのエレクトロセラミックス材料と接触する表面全体に、硬質コーティング材を塗布しておく。
【0020】
上記エレクトロセラミックスの出発物質は、母材と混合され、顆粒状となるように処理された上で、焼結によってPTC特性をもつエレクトロセラミックスに転換される。顆粒状のエレクトロセラミックス材料は、さらなる処理にかけるために、射出成形される。
【0021】
エレクトロセラミックスの出発物質と混合される母材(この出発物質よりも融点が低い)の構成比は、20重量%未満でよい。この母材は、ワックス、樹脂、熱可塑性プラスチックおよび水溶性ポリマーからなる群より選択される物質を含むことができる。また、酸化防止剤、可塑剤等の添加物を含むこともできる。
【0022】
前記工程B)におけるセラミック構造材の出発物質は、母材と混合され、さらに、顆粒状となるように処理される。顆粒状のセラミック構造材材料は、さらなる処理にかけるために、射出成形される。
【0023】
セラミック構造材の出発物質と混合される母材(この出発物質よりも融点が低い)の構成比は、20重量%未満でよい。この母材は、ワックス、樹脂、熱可塑性プラスチックおよび水溶性ポリマーからなる群より選択される物質を含むことができる。また、酸化防止剤、可塑剤等の添加物を含むこともできる。
【0024】
前記工程D)の焼結中に、エレクトロセラミックスの出発物質は、正の温度係数をもつエレクトロセラミックスに転換する。一方、セラミック構造材の出発物質は、正の温度係数をもつセラミック構造材に転換する。この工程中に、それぞれの母材は除去される。
【0025】
エレクトロセラミックスとセラミック構造材の各出発物質を選択する際には、成形時の特性と焼結条件を考慮して、最適なものを選択するようにしなければならない。例えば、両出発物質は、ほぼ同等の最高焼結温度、焼結保持時間および焼結終了後の冷却温度勾配を有するものでなければならない。エレクトロセラミックスの出発物質とセラミック構造材の出発物質を、同一の過程で一体的に焼結させるためには、適当な手段を講じて、焼結温度を、エレクトロセラミックスの出発物質については上昇させ、セラミック構造材については下降させる。適当な手段を講ずるとは、例えば、カルシウム、ストロンチウム、鉛またはジルコニウムの酸化物をエレクトロセラミックスの出発物質に、アルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の酸化物、酸化チタンまたは酸化シリコンをセラミック構造材の出発物質に添加することである。こうすると、2つの出発物質の処理について共通の枠組みが得られるように、エレクトロセラミックスおよびセラミック構造材の各出発物質の物理的パラメータが改善される。
【0026】
エレクトロセラミックスとセラミック構造材の各出発物質は、前記工程A)と工程B)において、熱膨張係数の差が2×10−6−1以下に収まるように選択する。前記工程D)においては、エレクトロセラミックスとセラミック構造材の間に、エレクトロセラミックスとセラミック構造材の各出発物質が一体的に焼結された接合部位が形成される。この目的を実現するためには、焼結中に、接合部位において低融点の共融合金が過剰に生じてはならない。この点に留意すれば、十分な形状安定性をもつ成形体が形成される。
【0027】
前記工程C)においては、焼結素材は、射出成形法、多層押出成形法またはフィルムキャスティング法を用いて成形する。このうち、射出成形法によれば、諸条件や周囲の環境に適合しうる任意の形状の成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る加熱装置の模式的な側面図である。
【図2】本発明の第2の実施形態に係る加熱装置の模式的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面および例示的な態様に基づいて、本発明を説明する。
【0030】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る加熱装置の模式的な側面図である。この加熱装置は、成形体30を構成する第1部位10および第2部位20を備えている。第1部位10は、電気端子15,15に接続された2つの電気接点領域40,45を有している。第1部位10と第2部位20は、これら2つの部位を新たに接合する過程を経なくても、成形体30が一体として構成されるように、一まとめにして焼結される。
【0031】
第1部位10は、Ba1−x−yTi1−a−bMn型の結晶構造をもつエレクトロセラミックス材料からなっているが、カルシウム、ストロンチウム、鉛、ジルコニウム等の希土類元素を添加することもできる。このような構成のエレクトロセラミックス材料からなる第1部位の電気抵抗は、正の温度係数をもつ。
【0032】
第2の部位20は、酸化物系セラミックス(アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、チタン、シリコン、イットリウム、カルシウム、セリウム等を添加することもできる)等のセラミック構造材からなっている。
【0033】
このようにして、セラミック構造材における機械的および化学的な負荷に対する耐性と、エレクトロセラミックス材料における電気的特性とが、1つの成形体30に保持される。成形体30を製造する際には、セラミック射出成形(CIM)を用い、熱膨張係数が互いに符合するようにしたエレクトロセラミックス材料とセラミック構造材とを接合する。この場合、両者の熱膨張係数の差は、2×10−6未満にとどめる。これは、不純物を添加することによって、1260℃(固体のBaTiOと液体のBaTiSiOの混合物が存在する温度)から室温(液相焼結温度よりも低い)に至るすべての温度範囲において実現することができる。エレクトロセラミックス材料とセラミック構造材は、940℃〜1670℃で、どちらも液相となる。
【0034】
大きな熱応力が発生する臨界温度においては、セラミックス材料は、例えば毎分0.2℃の割合で、徐々に冷却させる。この実施形態における成形体の焼結温度は、室温から1260℃の範囲である。
【0035】
セラミック構造材の密度の99%に至るまで焼結による特性向上を図るためには、焼結前のセラミック構造材の粒径を1μm未満にしておくか、またはSiO、TiO、FeO等の焼結助剤を用いる。こうすると、1400℃未満の焼結温度でも、120分未満の焼結時間で焼結を完了することができる。
【0036】
エレクトロセラミックス材料が相当量の鉛を含む場合には、エレクトロセラミックス材料とセラミック構造材材料を一体的に焼結させる接合部位においてセラミック構造材中における鉛の増量を防ぐため、1300℃未満の非常に低い焼結温度で焼結を行う。
【0037】
エレクトロセラミックス材料またはセラミック構造材に含有させる結合剤の量、および接合の際に加える力の大きさは、焼結・結合過程において、エレクトロセラミックス材料とセラミック構造材が、同等の収縮率を示すように設定される。このためには、結合剤の量は、1重量%を超える値とする。
【0038】
図2は、本発明の第2の実施形態に係る加熱装置の模式的な斜視図である。この実施形態においては、成形体30の第1部位10と第2部位20は、パイプ状をなしており、第1部位10が第2部位20を取り囲んでいる。第1部位10の両端部には、電気接点領域40,45が位置している。これらの電気接点領域40,45を電気的に接続するための電気端子15は、全体を見やすくするため、本図においては省略してある。第1部位10に電圧が印加された状態で、このようなパイプ状の成形体30に流体を通すと、この流体は加熱される。一方、流体が成形体30を通過する間、第2部位20は、成形体30の機械的・化学的安定性を保持する。被加熱流体と第1部位10との間に第2部位20が存在しているため、被加熱流体が汚染されたり、この被加熱流体と接触することによって第1部位が破損したりするのは防止される。
【0039】
添付の図面を参照して説明した上記各実施形態は、適宜変更することができる。本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本明細書に示されなかった改良を加えることも可能であることに留意すべきである。
【符号の説明】
【0040】
10 第1部位
15 電気端子
20 第2部位
30 成形体
40 電気接点領域
45 電気接点領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気抵抗が正の温度係数をもつエレクトロセラミックスからなる第1部位(10)と、セラミック構造材からなる第2部位(20)と、前記第1部位(10)および第2部位(20)の間に位置し、エレクトロセラミックスおよびセラミック構造材が互いに焼結し合った接合部位とを有する成形体(30)。
【請求項2】
前記エレクトロセラミックスは、ペロブスカイト構造を有することを特徴とする請求項1に記載の成形体(30)。
【請求項3】
前記エレクトロセラミックスは、Ba1−x−yDTi1−a−bMn(xは0〜0.5,yは0〜0.01、aは0〜0.01、bは0〜0.01である。Mは2価のカチオンとなりうる元素、Dは3価または4価のアニオンとなりうる元素、Nは5価または6価のアニオンとなりうる元素である。)型の結晶構造を有することを特徴とする請求項1または2に記載の成形体(30)。
【請求項4】
前記エレクトロセラミックスは、−30℃〜340℃のキュリー温度を有することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の成形体(30)。
【請求項5】
前記エレクトロセラミックスは、25℃において、3〜100000Ωcmの電気抵抗率を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の成形体(30)。
【請求項6】
前記セラミック構造材は、酸化物系セラミックスであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の成形体(30)。
【請求項7】
前記酸化物系セラミックスは、ZrO、AlおよびMgOからなる群より選択されるであることを特徴とする請求項6に記載の成形体(30)。
【請求項8】
前記第1部位(10)、第2部位(20)および接合部位の各熱膨張係数は、2×10−6−1未満の範囲内で互いに異なることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の成形体(30)。
【請求項9】
前記接合部位は、エレクトロセラミックスとセラミック構造材の各構成物質が互いに他方へ拡散するのを防止する役割を果たすことを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の成形体(30)。
【請求項10】
請求項1乃至11のいずれかに記載の成形体(30)を用いることを特徴とする加熱装置。
【請求項11】
前記成形体(30)に電流を流すための電気接点領域(40)が成形体(30)に設けられていることを特徴とする請求項10に記載の加熱装置。
【請求項12】
前記成形体(30)の電気接点領域(40)は、第1部位(10)に設けられていることを特徴とする請求項11に記載の加熱装置。
【請求項13】
A)エレクトロセラミックスの出発物質を用意する工程と、
B)セラミック構造材の出発物質を用意する工程と、
C)エレクトロセラミックスの出発物質を含む第1部位(10)と、セラミック構造材(20)の出発物質を含む第2部位とからなる焼結素材を成形する工程と、
D)エレクトロセラミックスの出発物質を、電気抵抗が正の温度係数をもつエレクトロセラミックスに転換させつつ、成形体製造のために焼結素材を焼結させる工程とを含む成形体(30)の製造方法。
【請求項14】
前記工程A)と工程B)は、エレクトロセラミックスとセラミック構造材の各出発物質を、両熱膨張係数の差が2×10−6−1以下に収まるように選択する工程を含むことを特徴とする請求項13に記載の成形体(30)の製造方法。
【請求項15】
前記工程C)は、焼結素材を、射出成形法、多層押出成形法またはフィルムキャスティング法を用いて成形する工程を含むことを特徴とする請求項13または14に記載の成形体(30)の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−529851(P2011−529851A)
【公表日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−521523(P2011−521523)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【国際出願番号】PCT/EP2009/059578
【国際公開番号】WO2010/015531
【国際公開日】平成22年2月11日(2010.2.11)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS  AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】