説明

成長促進方法

本発明は、有効量の式I(式中、XとYは、同一又は異なって、ヘテロ原子から選択され;(a)は、ヘテロ原子X及びYに依存して二重結合又は単結合であり;R〜Rは、同一又は異なって、水素又は非有害置換基から選択され;RとRは、同一又は異なって、水素及び非有害置換基から選択されるか、あるいは二重結合が存在するとき、RとRの一方は、存在しない)の化合物、その薬学的に又は獣医学的に許容できる塩又は誘導体、プロドラッグ、互変異性体、及び/又は異性体を、その必要のある被験体に投与する工程を含む、成長促進方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、成長促進方法、特に、動物、より詳細には、ブタ、ウシ、ヒツジ、ニワトリ、シチメンチョウ、又は魚などの集中飼育の動物の成長促進方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
本明細書で引用する特許又は特許出願を含む全ての参考文献は引用により本明細書に含まれるものである。いずれの参考文献も従来技術を構成することは許されない。参考文献の考察はそれらの筆者の主張を述べ、本出願人は引用文献の正確さと適切さを疑う権利を留保する。多数の従来技術の刊行物が本明細書で引用されるが、これらの文献のいずれも、オーストラリア又は任意の他の国の当該分野の共通の一般知識の部分を形成するということの容認をこの引用は構成しないことが明白に理解されよう。
【0003】
家畜管理の有名な方法は、集中管理システムであって、それは、飼育動物の集団密度を劇的に増大し、それゆえ、それほど集中管理していないシステムと比べて、収容、管理及び労働のコスト効率を改善する。しかし、集中管理の主要な結果は、疾患の発生と蔓延の機会の増大である。この疾患は、例えば、実施管理の誤りによって持ち込まれた特定の病原体によって、又は汚染され妥協した集中管理環境での日和見病原体によって、引き起こされうる。
【0004】
臨床的感染は、高い罹患率及び/又は死亡率の重大な疾患発生に至りうる。準臨床的感染は、動物の正常代謝過程を妨害しうる。例えば、動物の消化管機能の妨害は、その正常な食習慣を妨害しうる。これにより、動物による成長及び飼料効率の貧弱さが生じ、このため、今度は、動物産生がより効率的でなくなる。
【0005】
大部分の添加剤は、常にではないが、飼料の使用を改善しえ、3〜8%生体重増加速度を改善しうる。しかし、添加剤は、餌のコストを増加させるので、改良された性能が添加剤のコストをカバーし、より安価な手段(例えば、管理システムの変更又は動物の血統の改良)によっては、同じ改良を得ることができなかったであろう場合のみには、それらの含入はコスト的に有効であろう。
【0006】
家畜の餌での使用を承認された現在の飼料添加剤は一般的に、1〜175mg/kg飼料で投与される。消費されるときの動物の肉における添加剤の残渣の存在を最小化するために、多くの飼料添加剤は、と畜前に餌から抜く必要がある。
動物の成長促進のために使用される現在の添加剤として、抗生物質、ビタミン、並びに銅及びヒ素剤を含むミネラルの投与、並びにホルモン制御療法が挙げられる。古典的な例として、ブタ赤痢を抑制するためのヒ素剤、家禽のコクシジウム症を抑制するためのコクシジウム抑制剤、及びビタミン欠乏を補償するビタミンの使用が挙げられる。しかし、ヒトが消費するであろうこれらの分子を動物に与えることは、抗生物質耐性細菌の発達や、動物と土壌に残る残渣の結果として、ヒトと環境の両方への影響に対する関心をしばしば生じる。例えば、ブタ肝臓、及びまた、ブタスラリーで処理された土壌での銅残渣の証拠があった。
【0007】
生物における抗生物質耐性の発達は、消費者の別の主要関心事であり、ヒトでの重篤な感染を治療するために多くの広範に使用される抗生物質の能力を損なう。全ての抗生物質が成長を促進するわけではない。例えば、広いスペクトルの抗生物質は、この目的のために一般的には使用されない。従って、検出できる残渣が最小であるか、又は全く検出できる残渣が残らない成長促進剤の開発はまた、消費者の関心事である。特定の添加剤の消費の結果として起こるアレルギー反応が起こることが知られている。消費者に対するホルモンサプリメントの影響は更なる関心事であり、家禽や肉牛での幾つかのホルモン治療プログラムは制限されてきた。多くの化合物の使用を制限するという消費者からの圧力が増大している。欧州経済共同体では、例えば、未承認の添加剤として、テトラサイクリン、ペニシリンとセファロスポリン、アミノグリコシド、マクロライド、スルホンアミドとトリメトプリム、ニトロフラン(ニトロビンを除く)、ヒ素剤、ホルモン及び抗ホルモンが挙げられている。
【0008】
従って、投与された動物及び環境中に最低限の残渣を残す成長促進剤の必要性が存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の要旨
特定の置換ニトロスチレン化合物が、改良された成長促進剤活性を有し、低投与量を必要とし、低組織レベルを生じ、低経口毒性を有することを本発明者らはここに見出した。
第1局面で、本発明は、
有効量の式I:
【0010】
【化1】

【0011】
(式中、
XとYは、同一又は異なって、ヘテロ原子から選択され;
【0012】
【化2】

【0013】
は、ヘテロ原子X及びYに依存して二重結合又は単結合であり;
〜Rは、同一又は異なって、水素又は非有害置換基から選択され;
とRは、同一又は異なって、水素又は非有害置換基から選択されるか、あるいは二重結合が存在するとき、RとRの一方は、存在しない)
の化合物、その薬学的に又は獣医学的に許容できる塩又は誘導体、プロドラッグ、互変異性体、及び/又は異性体を、その必要のある被験体に投与する工程を含む、成長促進方法を提供する。
【0014】
本発明はまた、被験体の成長促進における、式Iの化合物の使用を提供する。
本発明は更に、被験体の成長促進用の医薬又は飼料の製造における、式Iの化合物の使用を提供する。
本発明はまた更に、被験体の成長促進における使用のための、式Iの化合物を提供する。
【0015】
第2局面で、本発明は、式Iの化合物と担体を含む、被験体における成長促進用の組成物を提供する。
組成物がヒト又は動物に投与されるとき、それは、好ましくは、式Iの化合物と薬学的に又は獣医学的に許容できる担体を含む薬学的又は獣医学的組成物の形態である。
あるいは、組成物は、式Iの化合物を含む、被験体における成長促進用の飼料の形態で投与されうる。
【0016】
第3局面で、本発明は、式Iの化合物を含む成長促進剤又は栄養サプリメントを提供する。
本発明はまた、成長促進剤又は栄養サプリメントとしての式Iの化合物の使用を提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
発明の詳細な説明
本明細書において、明白な言葉又は必要な含意によって、文脈がそうではないことを必要とする場合を除いて、語「含む(comprise)」、又は「含む(comprises)」もしくは「含む(comprising)」などの変形は、包含的意味で、即ち、記述された特徴の存在を具体化するが、本発明の種々の実施態様における更なる特徴の存在又は付加を除外しないように、使用される。
本明細書で使用される単数形態「a」、「an」及び「the」は、文脈が異なるように明確に指示していなければ、複数の局面を含むことに注意する必要がある。従って、例えば、「化合物(a compound)」の言及は、1つの化合物、並びに2つ以上の化合物を含む、など。
【0018】
式Iの化合物で、好ましくは、XとYは、同一又は異なって、O及びNから選択され、より好ましくは、XとYの両方は酸素である。
好ましくは、RとRは、同一又は異なって、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、及び置換されていてもよいC1−6アルキルから選択される。
好ましくは、R〜Rは、同一又は異なって、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、C1−6アルコキシ、及び置換されていてもよいC1−6アルキルから選択される。
好ましくは、ハロゲンは、塩素又は臭素である。
式Iの化合物のE異性体が好ましい。
X、Y、
【0019】
【化3】

【0020】
及びRが、上で定義した通りであり;RとRが、同一又は異なって、水素、ヒドロキシ、Cl、Br、及びC1−4アルキルから選択され;R〜Rが、同一又は異なって、水素、ヒドロキシ、Cl、Br、ニトロ、C1−4アルコキシ、及びC1−4アルキルから選択される、式Iの化合物が特に好ましい。
【0021】
本発明の化合物の具体例は以下の通りである:
(1)XとYがOであり、Rがメチルであり、RとRが水素である(3,4−メチレンジオキシ−β−メチル−β−ニトロスチレン)(以後、「イクシン(Iksin)」という)
【0022】
【化4】

【0023】
(2)XとYがOであり、R〜Rが水素である(3,4−メチレンジオキシ−β−ニトロスチレン)
【0024】
【化5】

【0025】
(3)XがNであり、YがNHであり、Rがメチルであり、RとRが水素である(ベンズイミダゾール−5−β−ニトロプロピレン)
【0026】
【化6】

【0027】
(4)XがNであり、YがNHであり、Rが水素であり、Rがメチルであり、Rが存在しない(2−メチル ベンズイミダゾール−5−β−ニトロエチレン)
【0028】
【化7】

【0029】
(5)XがOであり、YがNであり、RとRが水素であり、Rが存在しない(ベンズオキサゾール−5−β−ニトロエチレン)
【0030】
【化8】

【0031】
(6)XがNであり、YがOであり、RとRがメチルであり、Rが存在しない(2−メチル ベンズオキサゾール−5−β−ニトロプロピレン)
【0032】
【化9】

【0033】
「薬学的に許容できる誘導体」は、任意の、薬学的に許容できる塩、水和物、エステル、アミド、活性代謝物、アナログ、残基、あるいは生物学的に又はその他の点で非所望ではなくかつ所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を誘導する任意の他の化合物を意味する。
式Iの化合物の塩は、好ましくは、薬学的に許容できるものであるが、非薬学的に許容できる塩も本発明の範囲内であることが理解されよう。これらは、薬学的に許容できる塩の製造で中間体として有用であるからである。薬学的に許容できる塩の例として、薬学的に許容できるカチオン(例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及びアルキルアンモニウム)の塩;薬学的に許容できる無機酸(例えば、塩酸、オルトリン酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸及び臭化水素酸)の酸付加塩;又は、薬学的に許容できる有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トリハロメタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリル酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸及び吉草酸)の塩が挙げられる。
更に、本発明の化合物のいくつかは、水又は通常の有機溶媒と溶媒和物を形成しうる。このような溶媒和物は、本発明の範囲内に包含される。
【0034】
用語「プロドラッグ」は、式Iの化合物にインビボで容易に変換できる、式Iの化合物の機能性誘導体を含むように、その最も広い意味で本明細書で使用される。適切なプロドラッグ誘導体の選択と製造の通常の手順は、例えば、“Design of Prodrugs” H. Bundgaard編, Elsevier, 1985に記載されている。
用語「互変異性体」は、2つの異性形態の間の平衡状態で存在できる式Iの化合物を含むように、その最も広い意味で本明細書で使用される。このような化合物は、2つの原子又は基を連結する結合、及び該化合物でのこれらの原子又は基の位置が異なりうる。
用語「異性体」は、その最も広い意味で本明細書で使用され、構造、幾何、及び立体異性体を含む。式Iの化合物は、1つ以上のキラル中心を有しうるので、それは、エナンチオマー形態で存在できる。
用語「ヘテロ原子」は、O、N又はSを表す。
【0035】
用語「非有害置換基」は、その最も広い意味で本明細書で使用され、化合物の成長促進性に有害な効果を有さない置換基を指す。例として、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ハロアリール、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、アリールオキシ、ベンジルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ハロアリールオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、ニトロアルキニル、ニトロアリール、ニトロヘテロシクリル、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルケニルアミノ、アルキニルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ベンジルアミノ、ジベンジルアミノ、アシル、アルケニルアシル、アルキニルアシル、アリールアシル、アシルアミノ、ジアシルアミノ、アシルオキシ、アルキルスルホニルオキシ、アリールスルフェニルオキシ、ヘテロシクリル、ヘテロシクロオキシ(heterocycloxy)、ヘテロシクロアミノ(heterocyclamino)、ハロヘテロシクリル、アルキルスルフェニル、アリールスルフェニル、カルボアルコキシ、カルボアリールオキシ メルカプト、アルキルチオ、アリールチオ、アシルチオ、及びリン含有化合物が挙げられる。
特に適切な非有害置換基は、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロ、ハロアルキル、ハロアルケニル、ハロアルキニル、ヒドロキシ、アルコキシ、アルケニルオキシ、ハロアルコキシ、ハロアルケニルオキシ、ニトロ、ニトロアルキル、ニトロアルケニル、及びニトロアルキニルである。
好適実施態様で、非有害置換基は、C1−6アルキル、ハロ、ヒドロキシ、C1−6アルコキシ及びニトロである。
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素、好ましくは、塩素及び臭素を指す。
【0036】
用語「アルコキシ」は、その最も広い意味で本明細書で使用され、直鎖、分岐鎖、又は環状のオキシ含有基(各々は、アルキル部分、好ましくはC1−6アルキル、より好ましくはC1−4アルキルを有する)を指す。このようなアルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、及びt−ブトキシである。
単独で、又は「置換されていてもよいC1−4又はC1−6アルキル」などの複合語で使用される用語「C1−4アルキル」又は「C1−6アルキル」は、1〜6個の炭素原子を有する、直鎖、分岐鎖、又は環状の炭化水素基を指す。このようなアルキル基の例は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、又はシクロヘキシルである。
【0037】
本明細書で使用する用語「被験体」は、成長促進が望まれる任意の被験体を指す。被験体は、成長促進を必要とする疾患又は状態を有しうるか、又は有する危険性がありうる。被験体は動物又はヒトでありうる。本発明の化合物は、家畜(例えば、ウマ、ポニー、ロバ、ラバ、ラマ、アルパカ、ブタ、ウシ、ヒツジ、鳥、及び魚)又は動物園動物(例えば、霊長類、ネコ科動物、イヌ科動物、ウシ科動物、及び有蹄類)の治療に適切であると特に考えられるが、これらはまた、ヒトやペット動物(例えば、イヌやネコ)での使用に適用できる。
好ましくは、動物は、哺乳動物、鳥又は魚である。
適切な哺乳動物として、霊長目、げっ歯目、ウサギ目、クジラ目、食肉目、奇蹄目及び偶蹄目の目のメンバーが挙げられる。経済的重要性故に、奇蹄目及び偶蹄目の目のメンバーが特に好適である。
例えば、偶蹄目は、9つの科にわたり分布する約150の生物種を含む:ブタ(イノシシ科(Suidae))、ペッカリー(ペッカリー科(Tayassuidae))、カバ(カバ科(Hippopotamidae))、ラクダ(ラクダ科(Camelidae))、マメジカ(マメジカ科(Tragulidae))、キリンとオカピ(キリン科(Giraffidae))、シカ(シカ科(Cervidae))、プロングホーン(プロングホーン科(Antilocapridae))、並びに、ウシ、ヒツジ、ヤギ及びアンテロープ(ウシ科(Bovidae))。これらの動物の多く(例えば、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ブタ)は、非常に類似した生物学を有し、高度のゲノム相同性を共有する。
奇蹄目は、ウマやロバを含み、これらは、両方とも経済的に重要であり、密接に関連する。実際、ウマとロバは異種交配することが周知である。
好ましくは、哺乳動物は、ブタ、ウシ又はヒツジである。
【0038】
鳥の例として、ガンカモ目(Anseriformes)(ガチョウとアヒルを含む);キジ目(Galliformes)(ニワトリ、シチメンチョウ、ウズラ、キジ、ホロホロチョウ、クジャクを含む);ハト目(Columbiformes)(ハト(pigeon)とハト(dove)を含む)のメンバーが挙げられる。好ましくは、鳥は、ニワトリ、シチメンチョウ、アヒル又はガチョウである。
魚の例として、ニシン目(Clupeiforms)、スズキ目(Perciformes)、タラ目(Gadiformes)、カレイ目(Pleuronectiformes)、コイ目(Cypriniformes)、甲殻類(Crustaceans)及び軟体動物(Molluscs)が挙げられる。
【0039】
好適実施態様で、被験体は、動物、より好ましくは、集中飼育の動物(哺乳動物(例えば、ブタ、ウシ又はヒツジ);鳥(例えば、ブロイラーチキンなどのニワトリ、シチメンチョウ、アヒル又はガチョウ);又は魚など)である。
本明細書で使用するとき、用語「集中飼育」は、限定区域内で最大生産を達成する目的で飼育されることを意味する。
【0040】
理論に縛られることは望まないが、式Iの化合物は、消化管で病原体の増殖を阻害し、並びに飼料利用の直接的効果を有することによって、被験体の成長を促進するように作用すると考えられる。
成長促進は、任意の適切な公知の方法によって測定されうる。好適な方法では、成長促進は、対照被験体と比べて、被験体の、体重、長さ、及び/又は高さの増加、又は食物摂取の減少、市販可能体重に到達する時間及び/又は微生物感染例の減少によって測定される。より好適な方法では、成長促進は、対照被験体と比べての被験体の体重の増加によって測定される。
用語「成長促進(promotion of growth)」及び「成長促進(promoting growth)」は、対照被験体と比べた場合の被験体の成長の増加を意味することが明瞭に理解されよう。
本明細書で使用するとき、用語「対照被験体」は、成長が促進される被験体と同じ種、年齢、性別の被験体を意味するが、対照被験体は、式Iの化合物が投与されなかった。
【0041】
本明細書で使用するとき、用語「有効量」は、所望の成長促進活性を与えるのに有効な本発明の化合物の量を意味する。
具体的な「有効量」は、治療される特定の状態、被験体の肉体的状態、治療される被験体のタイプ、治療期間、併用療法の性質(もしあれば)、用いられる具体的製剤、及び化合物又はその誘導体の構造などの因子によって明らかに変わろう。
本発明の式Iの化合物の投与量レベルは、体重1kg当たり約1gまでのオーダーでありうる。単回投与量を製造するために、担体物質と混合されうる活性成分の量は、治療動物及び投与の特定様式に依存して変わろう。例えば、ヒトへの経口投与を意図した製剤は、全組成の約5〜約95%まで変わりうる担体物質の適切で使い易い量とともに、活性化合物約1gまでを含みうる。投与単位形態は一般的に、活性成分を約5mg〜約500mg含もう。飼料中に使用されるとき、活性成分量は、約10ppm〜約100ppmであろう。
【0042】
場合によっては、本発明の化合物は、スケジュールで全体で少なくとも2回の投与があるように、分割投与スケジュールで投与される。好ましくは、4時間又はそれ以上までの間に、投与は、少なくとも2時間毎に与えられる;例えば、化合物は、1時間毎、又は0.5時間毎に与えられうる。1好適実施態様では、分割投与レジメンは、第1投与後到達した最大血漿レベルの約5〜30%まで血液中の活性化合物のレベルが減少する十分長い第1投与からのインターバル後、本発明の化合物の第2投与を含み、血液中の活性剤の有効含量を維持するようにする。場合によっては、1回以上の次なる投与を、各々の先立つ投与からの対応するインターバルで、好ましくは、血漿レベルが、直前の最大の約10〜50%まで減少したときに、与えられうる。
【0043】
本発明の化合物は、有効な組み合わせを提供するために、他の分子と更に組み合わせうる。組み合わせが式Iの化合物の活性を除去しない限り、薬学的に又は獣医学的に活性な薬剤の任意の化学的に適合な組み合わせを含むことが意図される。本発明の化合物及び他の分子(単数又は複数)は、別個に、順次、又は同時に投与してもよいことが理解されよう。
成長促進のために使用されうる他の分子として、減少量の他の抗菌剤、ビタミン及び/又はミネラルが挙げられる。
【0044】
本明細書で使用するとき、「薬学的担体」は、被験体へ式Iの化合物を送達するための、薬学的に許容できる溶媒、懸濁剤、又はビヒクルである。担体は、液体又は固体でありえ、投与の計画された様式を考慮して選択される。各担体は、組成物の他の成分と適合性があり、被験体に非有害であるという意味で、薬学的に又は獣医学的に「許容できる」必要がある。
薬学的に又は獣医学的に許容できる担体は好ましくは、アセトン、ベンゼン、アセトニトリル、DMSO、又はアルコール(例えば、メタノール又はエタノール)などの有機溶媒である。式Iの化合物は、水中での乏しい溶解性を示すが、水と有機溶媒を組み合わせたとき、安定な混合物が形成される。
【0045】
飼料サプリメントの製造での使用に適した担体として、アルファルファミール、ダイズミール、綿実油ミール、アマニ油ミール、塩化ナトリウム、コーンミール、甘しゃ糖蜜、尿素、骨ミール、魚ミール、コーンコブミール、塩化カルシウム、野菜油又は植物油(例えば、オリーブ油又はキャノーラ油)及び他の同様な物質が挙げられる。飼料サプリメントでの担体の使用は、サプリメントがブレンドされる最終飼料中での式Iの化合物の分布の均一性を促進する。従って、飼料全体での式Iの化合物の適切な分布を確保することによって、それは重要な役割を担う。
【0046】
式Iの化合物は、任意の手段によって投与できることが理解されよう。好ましくは、化合物は、経口、局所、又は非経口で、より好ましくは、経口で、最も好ましくは飼料の形態で経口で投与される。式Iの化合物は、通常の、非毒性の、薬学的に又は獣医学的に許容できる担体、アジュバント、及びビヒクルを含む投与単位製剤で、経口、局所、又は非経口で投与されうる。本明細書で使用する用語非経口として、皮下注射、肺もしくは鼻腔への投与用エアロゾル、静脈内、筋肉内、クモ膜下、頭蓋内、注入又は輸液技術が挙げられる。
【0047】
本発明はまた、本発明の方法での使用のための、適切な局所、経口及び非経口の、薬学的又は獣医学的製剤を提供する。本発明の化合物は、飼料として、又は錠剤、水性もしくは油性懸濁剤、ロゼンジ、トローチ、粉末、顆粒、エマルション、カプセル、シロップ、又はエリキシルとして経口投与されうる。本明細書で使用するとき、用語「飼料」は、食物又は飲み物を意味する。
【0048】
経口使用用組成物は、薬学的に又は獣医学的に洗練された口当たりがよい製剤を産生するために、甘味剤、着香剤、着色剤、及び保存剤の群から選択される1つ以上の薬剤を含みうる。適切な甘味剤として、スクロース、ラクトース、グルコース、アスパルテーム、又はサッカリンが挙げられる。適切な崩壊剤として、コーンスターチ、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ベントナイト、アルギン酸又は寒天が挙げられる。適切な着香剤として、ペパーミント油、ウィンターグリーン、サクランボ、オレンジ又はラズベリーフレーバーの油が挙げられる。適切な保存剤として、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、アルファトコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、亜硫酸水素ナトリウムが挙げられる。適切な潤滑剤として、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、又はタルクが挙げられる。適切な時間遅延剤として、グリセリル モノステアレート又はグリセリル ジステアレートが挙げられる。錠剤は、錠剤の製造に適した、非毒性の薬学的に又は獣医学的に許容できる賦形剤と混合して活性成分を含む。
【0049】
これらの賦形剤は、例えば、(1)不活性希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、ラクトース、リン酸カルシウム又はリン酸ナトリウム);(2)造粒剤及び崩壊剤(例えば、コーンスターチ又はアルギン酸);(3)結合剤(例えば、スターチ、ゼラチン、又はアカシア);及び(4)滑沢剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルク)でありうる。これらの錠剤は、被覆されていなくてもよいし、消化管で崩壊と吸収を遅らせ、それによって、長時間にわたって、持続作用を提供するように、公知の技術によって被覆されていてもよい。例えば、グリセリル モノステアレート又はグリセリル ジステアレートなどの時間遅延物質が用いられうる。被覆はまた、制御放出用浸透圧性治療錠剤を形成するために、米国特許第4,256,108号;同4,160,452号;及び同4,265,874号に記載の技術を用いて行われうる。
【0050】
本発明の方法で有用な式Iの化合物並びに薬学的又は獣医学的に活性な薬剤は、インビボ適用の場合、独立にもしくは一緒に、注射によって、又は、長期にわたり徐々に灌流することによって、非経口で投与できる。
投与は、静脈内、動脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、腔内、経皮、又は例えば、浸透圧ポンプによる点滴でありうる。インビトロ研究に関し、該薬剤は、適切な生物学的に許容できる溶媒又は緩衝剤に加えられるか又は溶解されえ、そして、細胞もしくは組織に加えられうる。
【0051】
非経口投与用製剤として、滅菌の、水性もしくは非水性の溶液、懸濁剤、及びエマルションが挙げられる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、野菜もしくは植物油(例えば、オリーブ油)、及び注射可能な有機エステル(例えば、オレイン酸エチル)である。水性担体として、水、アルコール性/水性溶液、エマルション又は懸濁液(生理食塩水や緩衝化媒体を含む)が挙げられる。非経口ビヒクルとして、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロースと塩化ナトリウム、流体及び補給栄養素を含む乳酸加リンゲル静脈内ビヒクル、補給電解質(例えば、リンゲルデキストロースに基いたもの)などが挙げられる。保存剤及び他の添加剤(例えば、他の抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、成長因子及び不活性ガスなど)も存在しうる。
【0052】
一般的に、用語「治療する」、「治療」などは、所望の薬理学的及び/又は生理学的効果を得るために、被験体、組織又は細胞に影響を与えることを意味するように、本明細書では使用される。効果は、疾患又はその徴候もしくは症状を完全に又は部分的に予防する点で予防的でありえ、及び/又は疾患の部分的又は完全治癒の点で治療的でありうる。本明細書で使用する「治療する」は、被験体の疾患の任意の治療又は予防を包含し、(a)疾患にかかりやすいかもしれないが、まだそれを有すると診断されていない被験体で疾患が発症するのを予防すること;(b)疾患を阻害すること、即ち、その発症を抑えること;又は(c)疾患の影響を取り除くこと又はそれを改善すること、即ち、疾患の影響の退化を引き起こすことが挙げられる。
【0053】
本発明は、疾患の改善に有用な種々の薬学的又は獣医学的組成物を含む。本発明の1実施態様の薬学的又は獣医学的組成物は、式Iの化合物、そのアナログ、誘導体もしくは塩、又は、式Iの化合物と1つ以上の薬学的に又は獣医学的に活性な薬剤との組み合わせを、担体、賦形剤及び添加剤又は助剤を用いて、被験体への投与に適した形態にすることによって製造される。しばしば使用される担体又は助剤として、炭酸マグネシウム、二酸化チタン、ラクトース、マンニトール及び他の糖、タルク、ミルク蛋白質、ゼラチン、スターチ、ビタミン、セルロース及びその誘導体、動物油及び野菜油、ポリエチレングリコール及び溶媒(例えば、滅菌水、アルコール、グリセロール及び多価アルコール)が挙げられる。静脈内ビヒクルとして、流体及び栄養補給剤が挙げられる。保存剤として、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性ガスが挙げられる。他の薬学的に許容できる担体として、例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences, 20th ed. Williams & Williams (2000), the British National Formulary, 43rd edition (British Medical Association and Royal Pharmaceutical Society of Great Britain, 2000)(その内容は、引用により本明細書に含まれるものである)に記載のような、水溶液、非毒性の賦形剤(塩を含む)、保存剤、緩衝剤などが挙げられる。薬学的又は獣医学的組成物のpH及び種々の成分の正確な濃度は、当該分野の慣用的技術に従って調整する。Goodman and Gilman’s The Pharmacological Basis for Therapeutics (7th ed. , 1985)参照。
【0054】
薬学的又は獣医学的組成物は好ましくは、投与単位で製造され、投与される。固体投与単位は、錠剤、カプセル、及び坐薬でありうる。被験体の治療のために、化合物の活性、投与様式、障害の性質と重症度、動物の年齢と体重に依存して、異なる1日投与量が使用できる。しかし、特定の状況下では、より大きい又はより小さい1日投与量が適切でありうる。1日投与量の投与は、個々の投与単位の形態又は幾つかのより小さい投与単位の形態での単回投与によって、また特定の間隔での細分化した投与量の多回投与によって、両方で行うことができる。
【0055】
本発明の薬学的又は獣医学的組成物は、治療有効投与量で、局所的又は全身的に投与されうる。この使用のために有効な量は勿論、疾患の重症度及び被験体の体重と全身状態に依存しよう。典型的には、インビトロで使用される投与量は、薬学的又は獣医学的組成物のインサイチュ投与に有用な量の有用なガイダンスを提供しえ、動物モデルを用いて、成長促進の有効投与量が決定されうる。種々の考察は、例えば、Langer, Science, 249: 1527, (1990)に記載されている。経口使用用製剤は、硬ゼラチンカプセルの形態でありえ、そこでは、活性成分は、不活性固体希釈剤(例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、又はカオリン)と混合されている。それらはまた、軟ゼラチンカプセルの形態でありえ、そこでは、活性成分は、水又は油性媒体(例えば、ピーナツ油、液動パラフィン又はオリーブ油)と混合されている。
【0056】
水性懸濁剤は通常、水性懸濁剤の製造に適した賦形剤と混合されて、活性物質を含む。このような賦形剤は、(1)懸濁剤(例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガム);(2)(a)レシチンなどの天然ホスファチド;(b)アルキレンオキシドと脂肪酸との縮合産物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート;(c)エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール;(d)エチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトール由来の部分エステルとの縮合産物、例えば、ポリオキシエチレン ソルビトール モノオレエート;又は(e)エチレンオキシドと、脂肪酸及びヘキシトール無水物由来の部分エステルとの縮合産物、例えば、ポリオキシエチレン ソルビタン モノオレエートでありうる分散剤又は湿潤剤でありうる。
【0057】
薬学的又は獣医学的組成物は、滅菌注射可能水性又は油性懸濁剤の形態でありうる。この懸濁剤は、上記の適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて、公知の方法により製剤化されうる。滅菌注射可能製剤はまた、非毒性の非経口に許容できる希釈剤又は溶媒中で滅菌注射可能溶液又は懸濁液(例えば、1,3−ブタンジオール中の溶液として)でありうる。使用されうる許容できるビヒクル及び溶媒の中には、水、リンゲル溶液、及び等張性塩化ナトリウム溶液がある。更に、滅菌の固定油が、溶媒又は懸濁媒体として通常使用される。この目的のために、合成モノ又はジグリセライドを含む任意の無刺激性の固定油が使用されうる。更に、オレイン酸などの脂肪酸は、注射剤の製造での使用が見出されている。
【0058】
式Iの化合物はまた、リポソーム送達システム(例えば、小型単層小胞体、大型単層小胞体、多層小胞体)の形態で投与されうる。リポソームは、種々のリン脂質(例えば、コレステロール、ステアリルアミン、又はホスファチジルコリン)から形成することができる。
【0059】
式Iの化合物は好ましくは、例えば、当該分野で通常である方法によって製造されうる獣医学的組成物の形態での使用のために提示されうる。このような獣医学的組成物の例として、以下に適合したものが挙げられる:経口投与、外部適用、例えば、ドレンチ(例えば、水性もしくは非水性の溶液又は懸濁剤);錠剤又はボーラス;飼料と混合するための、粉末、顆粒、又はペレット;舌への適用のためのペースト;非経口投与、例えば、皮下、筋肉内、又は静脈内注射による、例えば、滅菌溶液又は懸濁剤として;又は(適宜)、懸濁剤又は溶液が乳頭を介して乳房に導入される乳房内注射;局所適用、例えば、皮膚に適用される、クリーム、軟膏、又はスプレーとして;又は膣内、例えば、ペッサリー、クリーム又はフォームとして。
【0060】
図面の簡単な説明
実施例で、付属の図面に言及される。
【実施例】
【0061】
実施例
以下の非限定実施例のみを参照して、ここで本発明を詳細に説明する。
【0062】
実施例1−投与量範囲の決定
1日齢のヒヨコに、DMSO中のイクシンを、100μg/g、125μg/g、150μg/g及び200μg/g体重で、そして蒸留水(DW)/5%ツウィーン−20中のイクシンを、100μg/g、200μg/g、400μg/g及び500μg/g体重で、経口投与した。
1日齢のブロイラーヒヨコのイクシンの最大許容経口投与量は、200μg/g イクシン/DMSO及び≧500μg/g DW/T20であった。
非常に僅かのイクシンが、単回経口投与から吸収された。12μg/g DMSO又は200μg/g DWの投与量のイクシン血液レベルは、検出限界未満であった。100μg/g DMSO及び400μg/g DWで、850ng/gのピークレベルが48時間で観察された(図1)。
【0063】
ヒヨコ成長に対する効果
イクシンの全ての投与量と製剤による処置により、単回処置後4日でヒヨコの体重獲得の増加があった(図2)。イクシン100μg/g DMSOで処置したヒヨコは、対照ヒヨコの群に対し体重獲得の32%増加を示した。イクシン12μg/g DMSO、200及び400μg/g DW/T20での処置により、平均体重獲得17%を得た。
【0064】
結論
水とDMSOの両方で処方されたイクシンの経口投与は、ヒヨコの成長促進に有効であり、吸収は乏しく、組織残渣は少ない。ヒヨコで観察された結果は、他の動物やヒトでも観察されようことが予想される。
【0065】
実施例2−繰り返し家禽試験
目的
ブロイラーニワトリのための性能増大飼料添加剤としてのイクシンの可能性を調査すること、及びその使用のための幾つかの安全性基準を決定すること。
【0066】
試験の目的
この試験の目的は、陰性対照飼料(添加剤無し)と陽性対照飼料(Znバシトラシン)に対し、イクシン補充飼料の性能を比較することである。
測定パラメーターは、以下の通り:
(i)週間隔での体重獲得と飼料転換率;
(ii)飼育中の排出腔スワブによって、そして、加工時の盲腸内容物によって、サルモネラ及びカンピロバクターによる消化管における病原体定着;
(iii)加工時の、そして5日間の中止後の、胸筋組織、脂肪及び肝臓中のイクシンの残留;及び
(iv)加工時の、そして5日間の中止後の、糞便及びブロイラーリター中の残留のレベル。
【0067】
試験プロトコル及び方法
飼料の製造
ブロイラースターターの標準的非添加飼料、及びキャノーラ油中のイクシン及び製造業者の推奨する濃度のZnバシトラシン(市販のAlbac 150)を補充したGrower−Finisher Feeds(Ridley)は、Longerenong農業大学により製造されよう。
ニワトリ
Hazeldene Bendigoからの720羽の1日齢の市販ブロイラーヒヨコ。
処置群
4回反復(各々60鳥)をもった3つの処置群(各々240鳥)
1 50mg/kgでイクシンを補充した飼料
2 Znバシトラシンを補充した飼料
3 添加剤無しの飼料
又は
各々2回反復(又は3回反復+1)の6つの処置群
1a イクシン50mg/kg+古リター
1b イクシン50+新リター
2a Znバシトラシン+古リター
2b Znバシトラシン+新リター
3a 添加剤無し+古リター
3b 添加剤無し+新リター
【0068】
ブロイラーヒヨコ管理
鳥は、市販ブロイラーの群れの空間要件(0.67 sq ft/鳥)と環境状態のための産業基準に従って収容されよう。
各々の反復は、別々の飼料と水の供給で、別々に収容されよう。
飼料と水は自由に利用できよう。
畜舎は、Longerenongの市販飼育小屋からブロイラーリター(16週齢)がまかれよう。
このリターは、汚染レベルを確認するために、Clostridium perfringens、Salmonella enterica及びCampylobacter sppの存在がアッセイされよう。
ブロイラーリターは、商業用の産業慣例に従って取り扱われよう。
イクシン処置鳥とリターは、破壊され、環境基準に従って廃棄されよう。非処置鳥と陽性対照鳥は、ヒトの消費用にブロイラーとして加工されよう。
【0069】
逐次的監視のための鳥
各処置群での各反復からの5羽のヒヨコは、研究を通し具体的データを集めるために無作為に選択されよう。
固有データ
a)0、14、28、42日(又はと畜)での個々の体重獲得の測定;
b)CampylobacterとSalmonellaの存在についての微生物培養のための0、14、28、42日(又はと畜)での排出腔スワブの収集;
c)イクシン残留の測定のための、イクシン処置鳥からのと畜での胸筋、肝臓及び脂肪組織+ブロイラーリターのサンプルの収集;
d)イクシン残留の測定のための、中止後5日での胸筋、肝臓及び脂肪組織+ブロイラーリターのサンプルの収集;
e)イクシンのアッセイに関し、イクシン処置鳥からの糞便サンプルの収集;
f)CampylobacterとSalmonellaそれぞれによる定着と侵入を測定するために、盲腸内容物と盲腸組織の収集(処置群当たりの平均生菌数)。
【0070】
一般的データ
a)ホッパー中の飼料の重量差し引き(weighback)による、0、14、28、42日(又はと畜)の間の消費飼料の記録;
b)外観、行動、全般的健康、良い生活状態の観察;
c)死亡率(死+不適当で間引かれた動物)と全体の病理学的データの記録。
データの解析
処置群間の体重獲得及び飼料効率が比較されよう。
全ての処置群からの指標鳥での病原体定着率は、排出腔サンプル中の病原体の存在/非存在によって決定されよう。
と畜での、Campylobacter定着(盲腸内容物)と侵入(盲腸組織)に対するイクシン処置の効果は、処置群平均生菌数の対照と比較されよう。
【0071】
期待される結果
試験は以下を示すはずである:
(i)特定のインターバルで、そして加工時に、陰性対照鳥を超える体重獲得利点があるかどうか;
(ii)イクシンは、産業で以前に使用された処置レジメンとどのように比較するか;
(iii)飼育中、イクシンは、消化管で病原体発生(Salmonella及びCampylobacter)を減少させるかどうか;
(iv)イクシンは、Campylobacter及びSalmonellaによる家禽組織への病原体負荷又は侵入を減少させるかどうか;
(v)と畜及び中止後の、筋肉、脂肪及び肝臓組織でイクシン残留があるかどうか;
(vi)と畜及び中止後の、ブロイラーリター中のイクシンレベル;及び
(vii)クリーン 対 汚染リターの使用の成長速度に対する効果があるかどうか。
【0072】
広く記載された本発明の精神又は範囲から逸脱せずに、具体的実施態様で示された本発明に対し多数の変形及び/又は改変がなされうることは、当業者に理解されよう。従って、本実施態様は、全ての点で、例示であって、限定的ではないものとして考えられるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、DMSO中の100μg/g及び蒸留水/ツウィーン20中の400μg/gのイクシンで処置した後の、ヒヨコでのイクシンの血漿レベルを示すグラフである。
【図2】図2は、非処置ヒヨコと比べて、DMSO中の12μg/g、DMSO中の100μg/g、蒸留水/ツウィーン20中の200μg/g及び蒸留水/ツウィーン20中の400μg/gのイクシンの単回投与後の、ヒヨコでの平均パーセント体重増加を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の式I:
【化1】

(式中、
XとYは、同一又は異なって、ヘテロ原子から選択され;
【化2】

は、ヘテロ原子X及びYに依存して二重結合又は単結合であり;
〜Rは、同一又は異なって、水素又は非有害置換基から選択され;
とRは、同一又は異なって、水素及び非有害置換基から選択されるか、あるいは二重結合が存在するとき、RとRの一方は、存在しない)
の化合物、その薬学的に又は獣医学的に許容できる塩又は誘導体、プロドラッグ、互変異性体、及び/又は異性体を、その必要のある被験体に投与する工程を含む、成長促進方法。
【請求項2】
被験体が、動物又はヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
動物が、集中飼育の動物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
集中飼育の動物が、哺乳動物、鳥、又は魚である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
哺乳動物が、ブタ、ウシ、又はヒツジであり、鳥が、ニワトリ又はシチメンチョウである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
XとYが、同一又は異なって、O及びNから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
XとYが両方ともOである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
とRが、同一又は異なって、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、及び置換されていてもよいC1−6アルキルから選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
〜Rが、同一又は異なって、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、C1−6アルコキシ、及び置換されていてもよいC1−6アルキルから選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ハロゲンが、塩素又は臭素である、請求項8又は請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式Iの化合物がE異性体の形態である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
X、Y、
【化3】

、Rが、請求項1に記載の通りであり;RとRが、同一又は異なって、水素、ヒドロキシ、Cl、Br及びC1−4アルキルから選択され;R〜Rが、同一又は異なって、水素、ヒドロキシ、Cl、Br、ニトロ、C1−4アルコキシ、及びC1−4アルキルから選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
XとYがOであり、Rがメチルであり、RとRが水素である(3,4−メチレンジオキシ−β−メチル−β−ニトロスチレン)
【化4】

XとYがOであり、R〜Rが水素である(3,4−メチレンジオキシ−β−ニトロスチレン)
【化5】

XがNであり、YがNHであり、Rがメチルであり、RとRが水素である(ベンズイミダゾール−5−β−ニトロプロピレン)
【化6】

XがNであり、YがNHであり、Rが水素であり、Rがメチルであり、Rが存在しない(2−メチル ベンズイミダゾール−5−β−ニトロエチレン)
【化7】

XがOであり、YがNであり、RとRが水素であり、Rが存在しない(ベンズオキサゾール−5−β−ニトロエチレン)
【化8】

又は、
XがNであり、YがOであり、RとRがメチルであり、Rが存在しない(2−メチル ベンズオキサゾール−5−β−ニトロプロピレン)
【化9】

、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
被験体の成長促進における、請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項15】
被験体の成長促進用の医薬又は飼料の製造における、請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項16】
被験体の成長促進における使用のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物。
【請求項17】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物と担体を含む、被験体における成長促進用の組成物。
【請求項18】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物と薬学的に又は獣医学的に許容できる担体を含む薬学的又は獣医学的組成物。
【請求項19】
局所、経口、又は非経口組成物である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
薬学的に又は獣医学的に許容できる担体が有機溶媒である、請求項18又は請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
有機溶媒が、アセトン、ベンゼン、アセトニトリル、DMSO、又はアルコールである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物を含む、被験体における成長促進用の飼料。
【請求項23】
アルファルファミール、ダイズミール、綿実油ミール、アマニ油ミール、塩化ナトリウム、コーンミール、甘しゃ糖蜜、尿素、骨ミール、魚ミール、コーンコブミール、塩化カルシウム、及び野菜油又は植物油から選択される担体を更に含む、請求項22に記載の飼料。
【請求項24】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物を含む成長促進剤又は栄養サプリメント。
【請求項25】
成長促進剤又は栄養サプリメントとしての、請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物の使用。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効量の式I:
【化1】

(式中、
XとYは、同一又は異なって、ヘテロ原子から選択され;
【化2】

は、ヘテロ原子X及びYに依存して二重結合又は単結合であり;
〜Rは、同一又は異なって、水素又は非有害置換基から選択され;
とRは、同一又は異なって、水素及び非有害置換基から選択されるか、あるいは二重結合が存在するとき、RとRの一方は、存在しない)
の化合物、その薬学的に又は獣医学的に許容できる塩又は誘導体、プロドラッグ、互変異性体、及び/又は異性体を、その必要のある被験体に投与する工程を含む、成長促進方法。
【請求項2】
被験体が、動物又はヒトである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
動物が、集中飼育の動物である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
集中飼育の動物が、哺乳動物、鳥、又は魚である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
哺乳動物が、ブタ、ウシ、又はヒツジであり、鳥が、ニワトリ又はシチメンチョウである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
XとYが、同一又は異なって、O及びNから選択される、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
XとYが両方ともOである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
とRが、同一又は異なって、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、及び置換されていてもよいC1−6アルキルから選択される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
〜Rが、同一又は異なって、水素、ヒドロキシ、ハロゲン、ニトロ、C1−6アルコキシ、及び置換されていてもよいC1−6アルキルから選択される、請求項1〜8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ハロゲンが、塩素又は臭素である、請求項8又は請求項9に記載の方法。
【請求項11】
式Iの化合物がE異性体の形態である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
X、Y、
【化3】

、Rが、請求項1に記載の通りであり;RとRが、同一又は異なって、水素、ヒドロキシ、Cl、Br及びC1−4アルキルから選択され;R〜Rが、同一又は異なって、水素、ヒドロキシ、Cl、Br、ニトロ、C1−4アルコキシ、及びC1−4アルキルから選択される、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
XとYがOであり、Rがメチルであり、Rが水素である(3,4−メチレンジオキシ−β−メチル−β−ニトロスチレン)
【化4】

XとYがOであり、R〜Rが水素である(3,4−メチレンジオキシ−β−ニトロスチレン)
【化5】

XがNであり、YがNHであり、Rがメチルであり、Rが水素であり、Rが存在しない(ベンズイミダゾール−5−β−ニトロプロピレン)
【化6】

XがNであり、YがNHであり、R〜R水素であり、Rがメチルであり、Rが存在しない(2−メチル ベンズイミダゾール−5−β−ニトロエチレン)
【化7】

XがOであり、YがNであり、Rが水素であり、Rが存在しない(ベンズオキサゾール−5−β−ニトロエチレン)
【化8】

又は、
XがNであり、YがOであり、Rメチルであり、〜Rが水素であり、Rがメチルであり、が存在しない(2−メチル ベンズオキサゾール−5−β−ニトロプロピレン)
【化9】

、請求項1〜12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
被験体の成長促進における、請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項15】
被験体の成長促進用の医薬又は飼料の製造における、請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項16】
被験体の成長促進における使用のための、請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物。
【請求項17】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物と担体を含む、被験体における成長促進用の組成物。
【請求項18】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物と薬学的に又は獣医学的に許容できる担体を含む薬学的又は獣医学的組成物。
【請求項19】
局所、経口、又は非経口組成物である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
薬学的に又は獣医学的に許容できる担体が有機溶媒である、請求項18又は請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
有機溶媒が、アセトン、ベンゼン、アセトニトリル、DMSO、又はアルコールである、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物を含む、被験体における成長促進用の飼料。
【請求項23】
アルファルファミール、ダイズミール、綿実油ミール、アマニ油ミール、塩化ナトリウム、コーンミール、甘しゃ糖蜜、尿素、骨ミール、魚ミール、コーンコブミール、塩化カルシウム、及び野菜油又は植物油から選択される担体を更に含む、請求項22に記載の飼料。
【請求項24】
請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物を含む成長促進剤又は栄養サプリメント。
【請求項25】
成長促進剤又は栄養サプリメントとしての、請求項1〜13のいずれか1項に記載の式Iの化合物の使用。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−519183(P2006−519183A)
【公表日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501384(P2006−501384)
【出願日】平成16年2月27日(2004.2.27)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000253
【国際公開番号】WO2004/076423
【国際公開日】平成16年9月10日(2004.9.10)
【出願人】(503466004)バイオディエム リミティッド (3)
【Fターム(参考)】