説明

扁平角形電池の包装容器および梱包方法

【課題】緩衝効果を高く維持できながら、扁平角形電池の輸送効率を向上できる包装容器を得る。
【解決手段】本発明の扁平角形電池の包装容器は、複数個の扁平角形電池1をこれの前後の扁平面どうしが対面する縦姿勢で前後に並べて収容する内装部材2と、内装部材2を内部に収容する収容箱3とを備える。内装部材2は、扁平角形電池1が載置される底壁25と、内装部材2の前後に配置される一対の緩衝材37・38とを一体形成してなるものであり、両緩衝材37・38の間に扁平角形電池1が配置されている。内装部材2の前側の緩衝材37は、内装部材2の底壁25の前端側において左右方向に伸びる四角筒状に形成されており、後ろ側の緩衝材38は、内装部材2の底壁25の後端側において板状の部材31・32を起立姿勢で前後二重に重ねることで形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リチウムイオン二次電池等の扁平角形電池の輸送に適した扁平角形電池の包装容器および梱包方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電池の包装容器の公知例としては、例えば特許文献1および2を挙げることができる。特許文献1の包装容器では、段ボール製の内装部材内に電池を収容し、該内装部材を左右および上下にそれぞれ複数個並べて、上下が開放された四角筒状の段ボール製の収容箱内に収容する。その収容箱を段ボール製の外装箱内に収容したのち、その外装箱を輸送している。
【0003】
特許文献2の包装容器では、段ボール製の内装部材内に、前後の扁平面どうしが対面する縦姿勢で前後に並べた複数個の扁平角形電池を収容し、該内装部材を段ボール製の収容箱内に収容して、該収容箱を外装箱内に収容している。内装部材は、その前後部分をそれぞれ折り曲げて、前後一対の四角筒状の緩衝材を形成しており、前後の緩衝材の間に扁平角形電池を収容することで、外部衝撃から収容箱内の扁平角形電池を保護している。
【0004】
【特許文献1】特開2002−075308号公報(図4)
【特許文献2】特開2004−319387号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の包装容器では、内装部材は、一枚の段ボールで電池を覆うだけの構成であるために、緩衝効果が不十分である。特許文献2に記載の包装容器では、内装部材の前後に四角筒状の緩衝材を配置してあるために、特許文献1に記載の包装容器の内装部材よりも緩衝効果は高くなるが、内装部材が前後に嵩張り、収容箱および外装箱も嵩張ってしまう。この嵩張る分だけ貨物自動車の荷台等に積み込める包装容器の個数が少なくなって輸送効率が悪くなる。
【0006】
本発明は、以上のような問題点を解決するためになされたものであり、緩衝効果を高く維持できながら、扁平角形電池の輸送効率を向上できる扁平角形電池の包装容器および梱包方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の扁平角形電池の包装容器は、複数個の扁平角形電池1をこれの前後の扁平面どうしが対面する縦姿勢で前後に並べて収容する内装部材2と、内装部材2を内部に収容する収容箱3とを備えた包装容器を対象とする。前記内装部材2は、扁平角形電池1が載置される底壁25と、内装部材2の前後に配置される一対の緩衝材37・38とを一体形成してなるものであり、両緩衝材37・38の間に扁平角形電池1が配置されている。内装部材2の前後の緩衝材37・38のうち、一方の緩衝材37は、内装部材2の底壁25の前後方向の一端側において左右方向に伸びる筒状に形成されており、他方の緩衝材38は、内装部材2の底壁25の前後方向の他端側において板状の部材31・32を起立姿勢で前後二重に重ねることで形成されたものであることを特徴とする。ここでの一方の緩衝材37の形状としては、四角筒状又は円筒状等が該当する。
【0008】
また、本発明の扁平角形電池の包装容器は、複数個の扁平角形電池1をこれの前後の扁平面どうしが対面する縦姿勢で前後に並べて収容する内装部材2と、内装部材2を内部に収容する収容箱3と、少なくとも二個の収容箱3を前後に並べて収容する外装箱14とを備えた包装容器を対象とする。前記内装部材2は、扁平角形電池1が載置される底壁25と、内装部材2の前後に配置される一対の緩衝材37・38とを有しており、両緩衝材37・38の間に扁平角形電池1が配置されている。前後の緩衝材37・38のうち、一方の緩衝材37は、内装部材2の底壁25の前後方向の一端側において左右方向に伸びる筒状に形成されており、他方の緩衝材38は、内装部材2の底壁25の前後方向の他端側において板状の部材31・32を起立姿勢で前後二重に重ねることで形成されている。外装箱14内において、該外装箱14の前後側壁41・42に臨む収容箱3・3が、外装箱14の前後側壁41・42側に内装部材2の一方の緩衝材37を指向させた姿勢状態で、外装箱14内に収容されていることを特徴とする。
ここでは、前後の緩衝材37・38が内装部材2の底壁25と一体形成されている場合と、前後の緩衝材37・38の少なくとも一方が内装部材2の底壁25から分離して形成されている場合とが含まれる。外装箱14の前後側壁41・42にそれぞれ臨む前後両端の収容箱3・3の間に、一又は複数個の収容箱3を配置する場合も含まれる。この場合、前後両端の収容箱3・3の間に配置される収容箱3は、一方の緩衝材37が内装部材2の前後のいずれに指向してもよい。
【0009】
本発明の扁平角形電池の梱包方法は、前後の扁平面どうしが対面する縦姿勢で前後に並べた複数個の扁平角形電池1を内装部材2内に収容し、内装部材2を収容箱3内に収容したうえで、収容箱3を外装箱14内に収容する梱包方法を対象とする。前記扁平角形電池1は、内装部材2の底壁25上であって内装部材2の前後に配置される一対の緩衝材37・38の間に配置され、前後の緩衝材37・38のうち、一方の緩衝材37は、内装部材2の底壁25の前後方向の一端側において左右方向に伸びる筒状に形成され、他方の緩衝材38は、内装部材2の底壁25の前後方向の他端側において板状の部材31・32を起立姿勢で前後二重に重ねることで形成されている。外装箱14の前後側壁41・42に臨む収容箱3・3は、外装箱14の前後側壁41・42側に内装部材2の一方の緩衝材37を指向させた姿勢状態で、外装箱14内に収容されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の扁平角形電池の包装容器においては、一方の緩衝材37を、緩衝効果を高くできる筒状に形成してあり、その一方の緩衝材37と他方の緩衝材38との間に扁平角形電池1を配置するので、例えば輸送時に収容箱3に加わった外部衝撃を緩衝材37・38によって確実に緩和することができ、扁平角形電池1を確実に保護することができる。他方の緩衝材38は、板状の部材31・32を前後二重に重ねた構成になっているので、他方の緩衝材38の前後寸法が、例えば他方の緩衝材38を一方の緩衝材37と同様に筒状に形成した場合よりも小さくなる。この分だけ収容箱3の前後寸法を小さくできて、収容箱3のコンパクト化が図れる。したがって、例えば輸送の際に貨物自動車の荷台等に積み込める収容箱3の個数を多くすることができ、これによって扁平角形電池1の輸送効率を向上させることができる。
【0011】
また、内装部材2の底壁25と緩衝材37・38とが一体形成されているので、例えば一枚の段ボールを折り曲げることで、内装部材2の底壁25と緩衝材37・38とを形成することができる。したがって、内装部材2の底壁25と緩衝材37・38とを別々に形成する場合よりも包装容器の部品点数が減って、その部品の管理等を低減できるとともに、部品点数を減らせる分だけ扁平角形電池1の包装(梱包)の手間を抑えることができる。
【0012】
本発明の扁平角形電池の包装容器および梱包方法においては、外装箱14の前後側壁41・42に臨む収容箱3・3が、外装箱14の前後側壁41・42側に、緩衝効果が高い筒状の一方の緩衝材37を指向させた姿勢状態で外装箱14内に収容されるので、輸送時に外装箱14の前後から該外装箱14に加わった外部衝撃を一方の緩衝材37によってより確実に緩和することができ、扁平角形電池1をより確実に保護することができる。
【0013】
そのうえで、外装箱14に加わった外部衝撃が伝わり難い外装箱14の中央側に臨む他方の緩衝材38は、板状の部材31・32を前後二重に重ねただけの構成になっているので、前述と同様に他方の緩衝材38の前後寸法が小さくなって、これに伴って収容箱3の前後寸法を小さくでき、これにて収容箱3を収容した外装箱14の前後寸法も小さくできる。したがって、輸送の際に貨物自動車の荷台等に積み込める外装箱14の個数を多くすることができて、扁平角形電池1の輸送効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1ないし図8に、本発明に係る扁平形電池の包装容器の一実施形態を示す。この包装容器は、図2および図7に示すように、複数個の扁平角形電池(以下、単に電池と言う。)1をこれの前後の扁平面どうしが対面する縦姿勢で前後に並べてなる電池群1Aを収容する内装部材2と、該内装部材2を内部に収容する収容箱3と、該収容箱3を前後に二個、且つ上下に二段に並べて収容する外装箱14とを備える。
【0015】
電池群1Aは、図1に示すように、例えば左右5列で各列に10個の電池1を並べて形成してあり、包装容器内では、電池群1Aの各電池1がガタつかないようになっている。電池群1Aにおいて電池1の左右の各列の間には、仕切り板4がそれぞれ配置される。電池群1Aの前後および上下は、一枚の絶縁シート5で覆われている。各電池1は、前後厚さ寸法が6.5mm、左右幅寸法が38mm、上下高さ寸法が50mmである。
【0016】
収容箱3は、図2に示すように、上面が開口する四角形の箱本体6と、左右一対の内フラップ7・7と、箱本体6の開口上面を開閉する蓋8とを有する。内装部材2と収容箱3と仕切り板4とは、約3mm厚の段ボール(Bフルート)等からなる。外装箱14は、約8mm厚の段ボール製(ABフルート)等からなる。
【0017】
収容箱3の箱本体6は、前側壁9と後側壁10と左側壁11と右側壁12と底壁13とからなる。すなわち図3に示す収容箱3の展開状態において、底壁13の前側(図3では下側)には、折線L1を介して前側壁9が連設され、底壁13の後ろ側(図3では上側)には、後側壁10ついで蓋8が折線L2・L3を介して順に連設される。底壁13の左側には、左側壁11ついで内フラップ7が折線L4・L5を介して順に連設され、底壁13の右側には、右側壁12ついで内フラップ7が折線L6・L7を介して順に連設される。前側壁9の左右両側には、前側接着片15・15が折線L8・L9を介してそれぞれ連設され、後側壁10の左右両側には、後側接着片16・16が折線L10・L11を介してそれぞれ連設される。
【0018】
蓋8による箱本体6の開口上面の閉じ状態を維持するために、蓋8の連出端(図3では上端)には、台形状の差込片17が折線L12を介して連設される。差込片17は、箱本体6の前側壁9の内側に差し込み可能になっている(図5参照)。差込片17の折線L12側の左右方向の中央部には、左右横長の係入孔19が折線L12に沿って打ち抜き形成されている。蓋8の連出端の左右方向の中央部には、係入孔19に繋がる半円形の指掛け孔20が打ち抜き形成されている。
【0019】
前側壁9の先端(図3では下端)の左右方向の中央部には、前記係入孔19に挿入する係合片21が連設され、また前側壁9には、係合片21の左右縁から底壁13側へ向けて左右一対の切り込み22・22が形成されている。切り込み22・22の底壁13側の先端間(図3では上端)には折線L13が形成され、切り込み22・22間に形成された操作部23が、折線L13で折り曲げ可能になっている。操作部23と係合片21との境界には折線L14が形成され、係合片21が、折線L14で折り曲げ可能になっている(図2参照)。
【0020】
内装部材2は、図1および図5に示すように、電池群1Aが載置される四角形の底壁25と、内装部材2の前後に配置される一対の緩衝材37・38とを一体形成している。電池群1Aは、図2および図6に示すように、底壁25上に載置された状態で両緩衝材37・38の間に配置される。図4に示す内装部材2の展開状態において、底壁25の前側(図4では下側)に、前側の緩衝材(一方の緩衝材)37を構成する前外壁26、前上壁27、前内壁28および前下壁29が折線L15・L16・L17・L18を介して順に連設される。底壁25の後ろ側(図4では上側)には、後ろ側の緩衝材(他方の緩衝材)38を構成する後内壁31および後外壁32が折線L19およびハーフカットH1を介して順に連設される。
【0021】
内装部材2の前内壁28の連出端(図4では下側)の左右両端には、係合片34・34が前下壁29側に入り込むようにそれぞれ形成されており、内装部材2の底壁25の前後中間における左右両縁には、前記係合片34・34がそれぞれ係合する切り欠き35・35が形成されている。なお、係合片34・34の配置箇所には、折線L18を形成していない。
【0022】
展開状態からの内装部材2の組み立てに際しては、内装部材2の底壁25に対して前外壁26を折線L15で直角に内折りするとともに、前上壁27、前内壁28および前下壁29を各折線L16・L17・L18でそれぞれ直角に内折りし、底壁25の切り欠き35・35に係合片34・34を嵌め込む。これにて、図1に示すように、内装部材2の底壁25の前端側において左右方向に伸びる四角筒形状の前側の緩衝材37が組み立てられる。また、内装部材2の底壁25に対して、後内壁31を折線L19で直角に内折りし、後外壁32をハーフカットH1で外側に二つ折りして、板状の部材の後内壁31と後外壁32とを起立姿勢で前後二重に重ねることで、後ろ側の緩衝材38が組み立てられる。
【0023】
展開状態からの収容箱3の組み立てに際しては、まず左右の側壁11・12の適所に接着剤39(図3)が配置される。次に、前側壁9に対して左右の前側接着片15・15を折線L8・L9でそれぞれ直角に内折りし、後側壁10に対して左右の後側接着片16・16を折線L10・L11でそれぞれ直角に内折りする。次いで、底壁13に対して前後の側壁9・10を折線L1・L2でそれぞれ直角に内折りし、底壁13に対して左右の側壁11・12を折線L4・L6でそれぞれ直角に内折りする。このとき、左右の側壁11・12に配置した接着剤39によって、左右の側壁11・12に前側接着片15・15と後側接着片16・16とがそれぞれ接着固定される。これにて、図2に示す収容箱3の組み立てが完了する。
【0024】
外装箱14は、図7および図8に示すように、前側壁41と後側壁42と左側壁43と右側壁44と上蓋45と下蓋46とからなるA式の箱に形成される。上蓋45と下蓋46とは同一の構成をなす。つまり、上蓋45は、前後の側壁41・42の上端に連設される前後の蓋部48・48と、左右の側壁43・44の上端に連設される左右の内フラップ49・49とからなる。そして、外装箱14の上蓋45の左右の内フラップ49・49を内側に折ったのち、前後の蓋部48・48を内側に折って内フラップ49・49の上側に重ねることで、上蓋45によって外装箱14の上面開口が閉じられる。この状態で、前後の蓋部48・48どうしが接着テープ50で接合される。
【0025】
下蓋46も、上蓋45と同様に、前後の側壁41・42の下端に連設される前後の蓋部48・48と、左右の側壁43・44の下端に連設される左右の内フラップ49・49とからなる。そして、外装箱14の下蓋46の左右の内フラップ49・49を内側に折ったのち、前後の蓋部48・48を内側に折って内フラップ49・49の下側に重ねることで、下蓋46によって外装箱14の下面開口が閉じられる。この状態で、前後の蓋部48・48どうしが接着テープ50で接合される。
【0026】
本発明の包装容器の使用要領を説明する。まず前述の要領で組み立てられた内装部材2(図1)の底壁25上に絶縁シート5を敷き、その絶縁シート5を介して内装部材2の前後の緩衝材37・38間に前記電池群1Aを載置する(図2の状態)。この状態の内装部材2を、前述の要領で組み立てられた収容箱3の箱本体6内に嵌め込み収容し、絶縁シート5の前後両端部を電池群1A上に重ねる。
【0027】
この後、収容箱3の左右の内フラップ7・7を折線L5・L7で内折りし、その外側上面に蓋8を折線L3で内折りして重ねて、収容箱3の箱本体6の開口上面を蓋8で閉じる。この際、差込片17を前側壁9の内側に差し込み、係合片21を内折りして係入孔19に挿入することで、蓋8によって箱本体6の上面を閉じた状態が保持され(図5参照)、収容箱3内への電池群1Aおよび内装部材2の収容が完了する。
【0028】
電池群1Aおよび内装部材2を収容した収容箱3は、以下のようにして外装箱14内に収容される。すなわち、まず二個の収容箱3・3が、該収容箱3・3が臨む外装箱14の前後側壁41・42側に内装部材2の前側の緩衝材37を指向させた姿勢状態で、外装箱14内の下部に前後に並べて収容される(図8参照)。このとき、外装箱14の下面開口は下蓋46によって閉じられ、前後の蓋部48・48どうしが接着テープ50で接合されている。
【0029】
次いで、前記下側の二個の収容箱3・3の上側に、前述と同様に二個の収容箱3・3が、該収容箱3・3が臨む外装箱14の前後側壁41・42側に内装部材2の前側の緩衝材37を指向させた姿勢状態で前後に並べて収容される。この後、外装箱14の上面開口が上蓋45によって閉じられ、前後の蓋部48・48どうしが接着テープ50で接合される。この外装箱14が輸送される。
【0030】
開梱時には、外装箱14の上蓋45の蓋部48・48から接着テープ50を外して、上蓋45の前後の蓋部48・48および左右の内フラップ7・7を開き、外装箱14から各収容箱3を取り出す。次に、収容箱3の指掛孔20に指先を入れて、係合片21を収容箱3の外側に引いて、操作部23を外側に折り曲げながら係合片21を係入孔19から抜き外したのち、蓋8を上開き操作することで箱本体6の上面を開く。この状態で絶縁シート5の前後両端部を引っ張り上げて、電池群1Aを内装部材2から取り出す。
【0031】
このように、前側の緩衝材37を、緩衝効果を高くできる四角筒形状に形成してあり、その前側の緩衝材37と後ろ側の緩衝材38との間に電池群1Aを配置するので、例えば輸送時に収容箱3に加わった外部衝撃を、緩衝材37・38によって確実に緩和することができ、電池群1Aの扁平角形電池1を保護することができる。後ろ側の緩衝材38は、板状の部材31・32を前後二重に重ねた構成になっているので、後ろ側の緩衝材38の前後寸法が、例えば後ろ側の緩衝材38を前側の緩衝材37と同様に四角筒形状に形成した場合よりも小さくなる。この分だけ収容箱3および外装箱14の前後寸法を小さくできて、収容箱3および外装箱14のコンパクト化が図れる。
【0032】
外装箱14の前後側壁41・42に臨む収容箱3・3が、外装箱14の前後側壁41・42側に四角筒形状の前側の緩衝材37を指向させた姿勢状態で外装箱14に収容されるので、輸送時に外装箱14の前後から該外装箱14に加わった外部衝撃を前側の緩衝材37によって確実に緩和することができ、扁平角形電池1を確実に保護することができる。
【0033】
また、内装部材2の底壁25と前後の緩衝材37・38とが一体形成されており、一枚の段ボールを折り曲げることで内装部材2の底壁25と前後の緩衝材37・38とが形成されるので、内装部材2の底壁25と前後の緩衝材37・38とを別々に形成する場合よりも包装容器の部品点数が減って、その部品の管理等を低減できるとともに、部品点数を減らせる分だけ扁平角形電池1の包装(梱包)の手間を抑えることができる。
【0034】
内装部材2は、左右の側壁を備えており、該左右の側壁を電池群1Aの左右の側面に臨ませて、電池群1Aの左右の側面を保護してもよい。収容箱3は、図3以外の展開図からなるものであってもよい。外装箱14は、例えばB式の箱であってもよく、外装箱14の下蓋46が、いわゆる地獄底の構造であってもよい。
【0035】
前記説明では、内装部材2の前側の緩衝材37は、底壁25の上面の前端部に配置したが、底壁25よりも前側になるように配置してもよい。また、収容箱3は、外装箱14内において前後方向に二個だけ並べて収容したが、収容箱3を前後方向に三個以上並べて収容してもよい。この場合であっても、外装箱14の前後側壁41・42に臨む前後両端の収容箱3・3は、外装箱14の前後側壁41・42側に前側の緩衝材37を指向させた姿勢状態で外装箱14に収容されることになる。この場合、前後両端の収容箱3・3に挟まれる収容箱3内の内装部材2は、前側の緩衝材37を、後ろ側の緩衝材38と同様に内外の壁を前後二重に重ねた構成にしてもよい。
【0036】
前記説明では、電池群1Aの前後および上下を一枚の絶縁シート5で覆っているが、電池群1Aの扁平角形電池1毎に絶縁シートで覆ったり、電池群1Aの扁平角形電池1毎に絶縁性のシートからなる袋に収容してもよい。各扁平角形電池1には、回路基板等が付設されていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明に係る扁平形電池の包装容器の内装部材の斜視図である。
【図2】包装容器の分解斜視図である。
【図3】包装容器の収容箱の展開図である。
【図4】包装容器の内装部材の展開図である。
【図5】包装容器の縦断側面図である。
【図6】包装容器の横断平面図である。
【図7】包装容器の外装箱の斜視図である。
【図8】包装容器の外装箱の縦断側面図である。
【符号の説明】
【0038】
1 扁平形電池
2 内装部材
3 収容箱
14 外装箱
25 底壁
31 後内壁
32 後外壁
37 前側の緩衝材
38 後ろ側の緩衝材
41 前側壁
42 後側壁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の扁平角形電池をこれの前後の扁平面どうしが対面する縦姿勢で前後に並べて収容する内装部材と、該内装部材を内部に収容する収容箱とを備えた扁平角形電池の包装容器であって、
前記内装部材は、前記扁平角形電池が載置される底壁と、前記内装部材の前後に配置される一対の緩衝材とを一体形成してなるものであり、前記両緩衝材の間に前記扁平角形電池が配置されており、
前後の前記緩衝材のうち、一方の緩衝材は、前記底壁の前後方向の一端側において左右方向に伸びる筒状に形成されており、他方の緩衝材は、前記底壁の前後方向の他端側において板状の部材を起立姿勢で前後二重に重ねることで形成されたものであることを特徴とする扁平角形電池の包装容器。
【請求項2】
複数個の扁平角形電池をこれの前後の扁平面どうしが対面する縦姿勢で前後に並べて収容する内装部材と、該内装部材を内部に収容する収容箱と、少なくとも二個の前記収容箱を前後に並べて収容する外装箱とを備えた扁平角形電池の包装容器であって、
前記内装部材は、前記扁平角形電池が載置される底壁と、前記内装部材の前後に配置される一対の緩衝材とを有しており、前記両緩衝材の間に前記扁平角形電池が配置されており、
前後の前記緩衝材のうち、一方の緩衝材は、前記底壁の前後方向の一端側において左右方向に伸びる筒状に形成されており、他方の緩衝材は、前記底壁の前後方向の他端側において板状の部材を起立姿勢で前後二重に重ねることで形成されたものであり、
前記外装箱内において、該外装箱の前後側壁に臨む前記収容箱が、前記外装箱の前後側壁側に前記内装部材の一方の緩衝材を指向させた姿勢状態で、前記外装箱内に収容されていることを特徴とする扁平角形電池の包装容器。
【請求項3】
前後の扁平面どうしが対面する縦姿勢で前後に並べた複数個の扁平角形電池を内装部材内に収容し、該内装部材を収容箱内に収容したうえで、前記収容箱を外装箱内に収容する扁平角形電池の梱包方法であって、
前記扁平角形電池は、前記内装部材の底壁上であって該内装部材の前後に配置される一対の緩衝材の間に配置され、
前後の前記緩衝材のうち、一方の緩衝材は、前記底壁の前後方向の一端側において左右方向に伸びる筒状に形成され、他方の緩衝材は、前記底壁の前後方向の他端側において板状の部材を起立姿勢で前後二重に重ねることで形成されており、
前記外装箱の前後側壁に臨む前記収容箱が、前記外装箱の前後側壁側に前記内装部材の一方の緩衝材を指向させた姿勢状態で、前記外装箱内に収容されることを特徴とする扁平角形電池の梱包方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−9825(P2010−9825A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−165695(P2008−165695)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【出願人】(000005810)日立マクセル株式会社 (2,366)
【Fターム(参考)】