説明

扉の開閉機構および当該扉の開閉機構を備えた操作ボックスおよび当該操作ボックスを備えた工作機械。

【課題】 扉のシール性を向上できる扉の開閉機構および当該扉の開閉機構を備えた操作ボックスおよび当該操作ボックスを備えた工作機械を提供する。
【解決手段】 マシニングセンタの操作ボックス10において、操作パネル11のパネル側固定穴に固定ネジがねじ込まれると、固定ネジの先端が、軸部ユニット50のL字片の面に当接して、軸基部を押圧することにより、軸部ユニット50がボックス本体12のボックス背面8側に向かって押圧される。すると、軸基部がボックス背面8に向かって移動するので、軸部ユニット50全体がボックス背面8に向かって移動し、その軸部ユニット50に連結された操作パネル11全体がボックス背面8に向かって移動する。よって、操作パネル11と当接端部40との間でパッキン30全体を均等に潰すことができ、操作パネル11のシール性を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉の開閉機構および当該扉の開閉機構を備えた操作ボックスおよび当該操作ボックスを備えた工作機械に関し、詳細には、パネルの開口部に扉を隙間なく密着して固定できる扉の開閉機構および当該扉の開閉機構を備えた操作ボックスおよび当該操作ボックスを備えた工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、工作機械であるマシニングセンタは、ワークを加工する工作機械本体と、当該工作機械本体を囲繞して、工作機械本体から飛散するクーラントの飛沫や切り屑が外部周囲に飛散するのを防止するスプラッシュカバーとから構成されている。そして、このスプラッシュカバーの前面(使用者対向側)には、マシニングセンタを操作する操作パネルを前面(使用者対向側)に備えた略直方体状の操作ボックスが設けられている。そして、操作パネルは、操作ボックスの前面に設けられた開口部に開閉可能に軸支されている。さらに、操作パネルの裏面側には、マシニングセンタ自身の制御に関わる各種回路基板が露出して固定されているが、その裏面側は、操作ボックスの内側に向けられている。そのため、操作パネルの裏面側と、スプラッシュカバーの内側との間は、操作ボックスの壁面によって確実に遮断されるため、工作機械本体の加工領域から飛散するクーラントの飛沫や切り屑等が操作パネルの各種基板には付着しないようになっている。また、操作パネルが開閉可能なため、操作パネルの各種基板のメンテナンス時には、操作パネルを開放して作業をおこなうことができる。
【0003】
さらに、この操作パネルは、操作ボックスの開口部に対して、その周囲を固定ネジで密着して固定できるようになっている。これは、マシニングセンタなどの各種工作機械が稼働する工場内には、クーラントや、各種溶剤などが揮発してミスト状に浮遊しているため、それらミスト状物質が操作パネルと開口部との隙間から侵入し、操作パネルの裏面側の回路基板に付着するのを防止するためである。さらに、操作パネルと開口部の縁近傍との間には、樹脂製のパッキンが配設されているため、操作パネルとのシール部分の密着性を向上させている。
【0004】
このような操作ボックスにおいて、例えば、操作パネルの各ネジによる締め付けが十分でない場合、又は各ネジによる締め付けが均等でない場合は、パッキンにかかる押圧が部分的に不均一となるため、パッキンのいたる所に隙間が形成され、その隙間からミスト状物質が侵入してしまう。そこで、例えば、カバー側蝶番(操作パネル側の蝶番)の軸と、その軸を軸支するパネル側蝶番の円筒部との間に遊びを形成した工作機械が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この工作機械のマシニングセンタによれば、スプラッシュカバーの開口部に対して、操作パネルを複数のネジで締め付ける際に、ネジの先端がパネル側蝶番に当接して、スプラッシュカバーの後ろ側に押圧するため、パネル側蝶番の円筒部との間の遊びの範囲内で、操作パネルがスプラッシュカバーの後ろ側に移動するようになっている。
【特許文献1】特開平11−33854号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の操作パネルは、カバー側蝶番の軸とパネル側の蝶番の円筒部内とにできた遊びの範囲内でしか移動できないため、パッキンが完全に潰れるまで操作パネルを移動させることができなかった。したがって、パッキンにできる隙間を完全になくすことができず、その隙間からスプラッシュカバー内にミスト状物質が侵入し、操作パネルの操作盤の各回路基板に付着して、操作盤を損傷させる等の問題点があった。そこで、これらパッキンの隙間をなくすために、パネル側蝶番の円筒部内の遊びを大きくして、パッキンの潰れ度を大きくすることも考えられるが、操作パネルが開放される際に、カバー側蝶番の軸がパネル側蝶番の円筒部内の遊びで大きくガタつくため、操作パネルが自身の重みにより斜めに傾いてしまう(所謂、片下がり状態)。よって、操作パネルが閉塞される際に、操作パネルの下端部が開口部の下縁近傍に衝突することがあり、操作パネルの開閉動作に困難を生じるなどの問題点もあった。
【0006】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、扉のシール性を向上できる扉の開閉機構および当該扉の開閉機構を備えた操作ボックスおよび当該操作ボックスを備えた工作機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に係る扉の開閉機構によれば、略直方体状の箱体の前面に設けられた開口部を、当該開口部近傍に設けられた蝶番によって、当該蝶番の回動軸周りに軸支される扉によって開閉する扉の開閉機構において、前記蝶番は、前記扉に設けられた扉側蝶番と、前記箱体の背面内側面に設けられた箱体側蝶番とで構成され、前記箱体の背面に設けられ、前記箱体側蝶番を前記回動軸に対して垂直方向に移動可能に支持する箱体側蝶番支持手段を備えている。
【0008】
また、請求項2に係る扉の開閉機構によれば、請求項1に記載の発明の構成に加え、前記箱体側蝶番支持手段は、前記箱体側蝶番を前記扉側蝶番側へ常時付勢する付勢手段を備えている。
【0009】
また、請求項3に係る扉の開閉機構によれば、請求項1又は2に記載の発明の構成に加え、前記扉の外縁近傍に設けられた扉側固定穴と、前記開口部の縁近傍に設けられ、前記扉側固定穴に対向する箱体側固定穴と、当該箱体側固定穴に、前記扉側固定穴を介してねじ込まれ、前記開口部に前記扉を固定する固定ネジと、前記扉と前記開口部の縁近傍との間に設けられたパッキンとを備え、前記回動軸は、前記箱体側蝶番に連結され、前記扉が前記開口部に固定される際に、前記箱体側固定穴にねじ込まれた前記固定ネジの先端が、前記回動軸に当接して、前記箱体の背面に向かって押圧することにより、前記箱体側蝶番は、前記箱体の背面に向かって移動し、前記パッキンは、前記扉と前記開口部の縁近傍との間で押し潰されることを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る扉の開閉機構によれば、請求項3に記載の発明の構成に加え、前記箱体側蝶番の、前記箱体の背面に向かって移動できる移動量は、前記パッキンの潰れ代よりも大きいことを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る扉の開閉機構によれば、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の構成に加え、前記箱体側蝶番支持手段は、前記回動軸に直交して突設され、前記箱体の背面に向かって延設された第1のピンと、当該第1のピンの先端に対向し、前記箱体の背面に突設された第2のピンと、前記第1のピンと前記第2のピンとを同軸上に内挿して互いに連結する略筒状の連結筒体とから構成され、前記付勢手段は、略円筒状のバネで構成され、当該バネは、前記第1のピンに環装されていることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る扉の開閉機構によれば、請求項1乃至5の何れかに記載の発明の構成に加え、前記蝶番は複数設けられ、前記複数の蝶番の前記回動軸は、各々同軸上に連結されていることを特徴とする。
【0013】
また、請求項7に係る操作ボックスによれば、機械を操作する操作盤を備えた操作ボックスであって、当該操作ボックスの前面の開口部に設けられ、前記操作盤を支持するとともに、開閉可能に軸支された扉と請求項1乃至6の何れかに記載の扉の開閉機構とを備えている。
【0014】
また、請求項8に係る工作機械によれば、ワークを加工する工作機械であって、請求項7に記載の操作ボックスを備えている。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る扉の開閉機構によれば、箱体側蝶番支持手段によって、箱体側蝶番が、回動軸に対して垂直に移動できる。さらに、その箱体側蝶番の移動にともなって、扉側蝶番が回動軸を介して移動するため、扉を蝶番の回動軸に対して垂直に移動させることができる。したがって、扉を箱体の前面に固定する際に、扉全体を箱体の背面側に向かって移動させることができるので、箱体の開口部を扉全体によって隙間なく閉塞することができ、扉のシール性を向上することができる。
【0016】
また、請求項2に係る扉の開閉機構によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、箱体側蝶番は、付勢手段によって、扉側蝶番側へ常時付勢されている。そのため、箱体側蝶番支持手段は、箱体側蝶番を箱体から離れる方向に浮いた状態で支持することができる。したがって、扉を箱体前面の開口部から開放する際には、扉全体は箱体前面から浮いた状態に軸支された状態となり、閉塞する際には、扉全体を箱体前面に向かって押圧することにより、扉全体を箱体前面に対して隙間なく密着させることができる。
【0017】
また、請求項3に係る扉の開閉機構によれば、請求項1又は2に記載の発明の効果に加え、扉が開口部に固定される際に、箱体側固定穴にねじ込まれた固定ネジの先端が、回動軸に当接し、箱体の背面に向かって押圧するので、箱体側蝶番を箱体の背面に向かって移動させることができる。また、箱体側蝶番の移動にともない、扉側蝶番が回動軸を介して箱体の背面に向かって移動するため、扉全体を箱体の背面に向かって移動させることができる。さらに、扉全体が、箱体の背面に向かって移動するので、パッキンを扉と開口部縁近傍との間で確実に押し潰すことができ、扉のシール性を向上させることができる。
【0018】
また、請求項4に係る扉の開閉機構によれば、請求項3に記載の発明の効果に加え、箱体側蝶番の、箱体の背面に向かって移動できる移動量は、パッキンの潰れ代よりも大きいので、パッキンを十分に押し潰すことができる。よって、パッキンと扉および開口部近傍との間に隙間が形成されるのを防止できる。
【0019】
また、請求項5に係る扉の開閉機構によれば、請求項1乃至4の何れかに記載の発明の効果に加え、第1のピンに環装されたバネが連結筒体の一端部に当接しているため、回動軸に連結された箱体側蝶番は、箱体から離れる方向に浮いた状態で支持される。そのため、連結筒体の内側において、第1のピンと第2のピンとの間に隙間を形成することができる。そして、その隙間量の範囲内で、扉全体を移動させることができる。また、連結筒体、第1のピンおよび第2のピンとで、箱体側蝶番の移動の案内をすることができるので、扉全体を箱体の前面にズレることなく固定することができる。
【0020】
また、請求項6に係る扉の開閉機構によれば、請求項1乃至5の何れかに記載の発明の効果に加え、複数の蝶番は一本の回動軸を介して同軸上に連結されているので、蝶番同士の位置決めを容易にすることができる。また、複数の蝶番は、一本の回動軸で互いに連結されているので、互いの蝶番の相対位置がズレるのを防止することができる。さらに、回動軸は一本だけでよいので、部品コストを削減することもできる。
【0021】
また、請求項7に係る操作ボックスによれば、開口部の縁近傍と扉との間のシール性のよい扉の開閉機構を備えているので、操作ボックス内に異物が侵入するのを防止できる。したがって、例えば、操作ボックス内側に操作盤の裏面側が露出していても、該裏面側に異物が付着せず、操作盤の故障発生を防止することができる。
【0022】
また、請求項8に係る工作機械によれば、開口部の縁近傍と扉との間のシール性のよい扉の開閉機構を備えているので、操作ボックス内に切り屑や、クーラントの飛沫、揮発性溶剤等の異物が侵入するのを防止できる。したがって、例えば、操作ボックス内側に操作盤の裏面側が露出していても、該裏面側にそれら異物が付着せず、操作盤の故障発生を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施の形態であるマシニングセンタ1について、図面に基づいて説明する。図1は、マシニングセンタ1の正面図であり、図2は、操作ボックス10の斜視図であり、図3は、操作パネル11の正面図であり、図4は、操作パネル11の背面図であり、図5は、パッキン30が固定される状態を示す操作パネル11の背面から見た斜視図であり、図6は、図5に示す上側軸受け部22の近傍を示す部分拡大図である。なお、本実施形態であるマシニングセンタ1は、略箱体の操作ボックス10を備え、該操作ボックス10の開口部18近傍に開閉可能に設けられた操作パネル11を、パッキン30を介して、操作ボックス10の前面に密着して固定できるものである。なお、図1に示すマシニングセンタ1が、「工作機械」に相当する。
【0024】
はじめに、マシニングセンタ1の概略構造について説明する。図1に示すマシニングセンタ1は、ワークを加工する機械本体(図示外)と、当該機械本体の周囲を囲繞して保護するスプラッシュカバー2とから構成されている。そして、機械本体は、ワークを着脱可能に保持し、X軸方向(左右方向)およびY軸方向(奥行き方向)へ移動可能な加工テーブル(図示外)と、当該加工テーブルの後部に設けられたコラム(図示外)と、当該コラムに設けられ、Z軸方向(上下方向)に移動可能に支持された主軸頭(図示外)と、当該主軸頭に連結され、加工用の工具が装着されて高速回転する回転主軸(図示外)と、当該回転主軸の先端に装着された工具を、他の工具と交換する自動工具交換装置(図示外)とを主体に構成されている。そして、このような構成からなるマシニングセンタ1では、先端に工具が装着された回転主軸が高速回転することによって、加工テーブル上にセットされたワークに対して、「フライス削り」、「穴あけ」および「中ぐり」などの各種作業を施すことができる。
【0025】
次に、スプラッシュカバー2について説明する。図1に示すように、このスプラッシュカバー2は、機械本体の加工テーブルや工具等から切り屑や、クーラント(切削液)の飛沫等が飛散して、外部周囲が汚染されるのを防止するための略直方体状の金属製のカバーである。そして、スプラッシュカバー2の正面には、機械本体の加工テーブル上に載置されるワークの出し入れをおこなうカバー開口部(図示外)が設けられている。さらに、そのカバー開口部には、左右両側にスライド開閉する一対の左開閉扉3および右開閉扉4が設けられ、当該左開閉扉3および右開閉扉4の略中央には、窓部3a,4aが各々設けられている。そして、スプラッシュカバー2の右開閉扉4の右側には、縦長の略長方形状のボックス開口部(図示外)が開口され、当該ボックス開口部には、マシニングセンタ1の操作をおこなうための操作ボックス10が嵌め込まれている。
【0026】
次に、本発明の特徴である操作ボックス10について説明する。図2に示すように、操作ボックス10は、略直方体の金属製(例えば、鉄製)の箱型カバーである。この操作ボックス10は、前面に開口部18(図7参照)を有するボックス本体12と、当該ボックス本体12の開口部18近傍に開閉可能に軸支され、マシニングセンタ1を操作する操作パネル11とを主体に構成されている。そして、操作パネル11は、通常の場合、開口部18に覆設され、その外周縁近傍を複数の固定ネジ16で固定されている。また、操作パネル11の下側には、予備開口部14(図7参照)が設けられ、該予備開口部14には予備スイッチパネル13が覆設され、固定ネジ16により固定されている。なお、図2に示す操作ボックス10が、「箱体」に相当する。
【0027】
次に、操作パネル11について説明する。図2および図3に示すように、操作パネル11は、平面視縦長の略長方形状のパネルである。そして、操作パネル11の表面側において、その略上半分には、マシニングセンタ1(図1参照)の設定画面および稼働状況等がモニタリングされる液晶のディスプレイ17が設けられている。さらに、そのディスプレイ17の下方左側には、マシニングセンタ1の稼働条件の設定値を入力するためのテンキー(図示外)などを含む第1設定部19aが設けられ、その右側には、ディスプレイ17の表示画面の切替えなどをおこなう各種操作キー等を含む第2設定部19bが設けられている。
【0028】
そして、第1設定部19aおよび第2設定部19bの下方には、マシニングセンタ1を起動させる起動スイッチや、自動工具交換装置による工具の交換動作を指示する操作スイッチなどの各種スイッチおよびボタンが設けられた操作部20が設けられている。そして、この操作部20における各スイッチのON、OFFにより、操作パネル11の裏面側に設けられた回路基板28,29(図4参照)からマシニングセンタ1(図1参照)を構成する各装置に制御信号が各々出力され、これら制御信号に基づいて加工テーブルが移動し、自動工具交換装置による工具交換等がおこなわれ、各種動作が実行される。
【0029】
また、図3に示すように、操作パネル11の外縁近傍には、操作パネル11を、ボックス本体12(図7参照)の前面側に固定する扉側固定穴としてのパネル側固定穴15が間隔を空けて列設されている。そして、これら複数のパネル側固定穴15は、ボックス本体12(図7参照)の開口部18の当接端部40に列設された箱体側固定穴としてのボックス側固定穴35に各々対向している。
【0030】
一方、図4に示すように、操作パネル11の裏面における略中段には、ディスプレイ17に設定画面を表示する表示基板や、第1設定部19aおよび第2設定部19bにおける入力信号に基づいて、マシニングセンタ1の動作を制御する制御基板などで構成された回路基板28,29が露出して組み付けられている。
【0031】
さらに、図4および図5に示すように、操作パネル11の軸支される側の一端部を軸支側端部6とし、当該軸支側端部6とは反対の他端部を開閉側端部7としたときに、操作パネル11の軸支側端部6の長手方向略中段位置よりもやや上側には、断面略コの字型の上側軸受け部22が設けられ、同長手方向略下段位置には、断面略コの字型の下側軸受け部24が設けられている。そして、これら上側軸受け部22および下側軸受け部24が、後述する軸部ユニット50(図9参照)に軸支される。
【0032】
ここで、上側軸受け部22および下側軸受け部24について説明する。図6に示すように、上側軸受け部22は、操作パネル11の軸支側端部6の裏面に沿って固定された略帯状の第1軸受け片22aと、当該第1軸受け片22aの長手方向に直交する一端部から、操作パネル11の裏面に対して略垂直に立設され、かつ外方に向かって内側に折り返され、水平面における断面が略コの字型形状の第2軸受け片22bと、当該第2軸受け片22bの先端側の折り返し部分の外側面に沿って固定され、略L字型の第3軸受け片22cと、当該第3軸受け片22cの先端部に設けられ、上下方向に軸穴23が向けられた略円筒状の円筒部22dとから構成されている。一方、図5に示すように、下側軸受け部24も、上側軸受け部22と同様の構造を備え、上下方向に軸穴25が向けられた略円筒状の円筒部24dを備えている。そして、これら円筒部22dの軸穴23と円筒部24dの軸穴25とに、後述する軸部ユニット50(図9参照)の上軸ピン56および下軸ピン57が各々嵌挿され、上側軸受け部22および下側軸受け部24が各々軸支される。なお、図5に示す上側軸受け部22および下側軸受け部24が、「扉側蝶番」に相当する。
【0033】
そして、図5に示すように、上記構成からなる操作パネル11の裏面側の外縁近傍には、所定厚(例えば、5mm)を有する平面視略長方形状のパッキン30が固定されている。また、パッキン30の、操作パネル11のパネル側固定穴15に対向する部分には、固定ネジ16(図2参照)が貫通するためのパッキン側穴31が設けられている。なお、このパッキン30は、樹脂製のパッキンであり、操作パネル11が開口部18(図2参照)に固定される際に、操作パネル11とボックス本体12の開口部18の縁近傍とを隙間なく密着させるものである。
【0034】
次に、ボックス本体12について説明する。図7は、ボックス本体12の正面図であり、図8は、ボックス本体12の正面側から見た斜視図である。図7に示すように、ボックス本体12は、前面が開口された略直方体状の箱である。そして、その前面における下側を除く部分には、縦長の略長方形の開口部18が設けられている。さらに、その下側には、横長の略長方形の予備開口部14が設けられている。また、ボックス本体12の前面における開口部18および予備開口部14を囲繞する外周縁には、ボックス本体12の内側に向かってボックス背面8と平行に延設され、操作パネル11および予備スイッチパネル13の裏面側に各々当接する平面視略帯状の当接端部40が設けられ、平面視略矩形状の枠が上下に2つ合体したような構成となっている。そして、この当接端部40には、その幅方向略中央に沿って、複数のボックス側固定穴35が列設されている。さらに、ボックス側固定穴35は、上述した操作パネル11のパネル側固定穴15と、予備スイッチパネル13の外周縁近傍に設けられたパネル側固定穴(図示外)に各々対向している。
【0035】
また、図8に示すように、ボックス本体12の内側におけるボックス背面8において、その左側面側(図8の左側)の隅部の長手方向における略中段位置よりやや上側には、ボックス本体12の底面から前面に向かって突出する上支持ピン41が突設されている。さらに、同隅部近傍の長手方向における略下段位置には、同じくボックス本体12の底面から前面に向かって突出する下支持ピン42が突設されている。これら上支持ピン41および下支持ピン42は、後述する軸部ユニット50(図9参照)を介して、操作パネル11を支持するものである。なお、図8に示す上支持ピン41および下支持ピン42が、「第2のピン」に相当する。
【0036】
次に、予備スイッチパネル13について説明する。図8に示すように、予備スイッチパネル13は、ボックス本体12の前面に設けられた予備開口部14を閉塞するようにして固定されている。この予備スイッチパネル13には、上下2段に渡って10個(各段に5個)の予備穴9が貫通して列設されている。そして、それら予備穴9には、図2に示すように、パネル栓45が各々嵌入されて閉塞されている。これら予備穴9は、使用者の希望によってオプションで組み付けられる各種スイッチを組み付けるためのもである。ここで、オプション設定される各種スイッチの一例としては、扉の自動開閉のスイッチであったり、ワークをクランプ又はアンクランプするスイッチなどである。そして、オプション設定された新規のスイッチを予備穴9に組み付ける場合、予備穴9に嵌入されたパネル栓45(図2参照)を取り外し、そのスイッチを組み付けるようになっている。
【0037】
なお、本実施形態における予備スイッチパネル13に設けられた予備穴9は10個であるが、10個に限らず、これ以上多くても少なくてもよい。また、予備スイッチパネル13の外周縁近傍には、パネル側固定穴(図示外)が穿設されている。そして、図7に示す予備開口部14に対して、予備スイッチパネル13を被せた状態で、各パネル側固定穴に固定ネジ16をねじ込むことによって、予備スイッチパネル13が、予備開口部14が設けられたボックス本体12の前面下段位置に固定される。
【0038】
次に、軸部ユニット50について説明する。図9は、軸部ユニット50の斜視図である。図9に示すように、軸部ユニット50は、上下方向に長手を有する軸部材である。この軸部ユニット50は、図3に示す操作パネル11側に連結される第1軸部51と、図7に示すボックス本体12側に連結される第2軸部52とで構成されたユニットである。
【0039】
まず、第1軸部51は、上下方向に延設された平面視略帯状の軸基部53と、当該軸基部53の長手方向上端部に設けられた略直方体状の上側軸支持部54と、軸基部53の長手方向下端部に設けられた略直方体状の下側軸支持部55と、上側軸支持部54の上面から軸基部53の延長線上に略上方に向かって延設された上軸ピン56と、下側軸支持部55の上面から軸基部53の長手方向と平行に略上方に向かって延設された下軸ピン57とから構成されている。なお、図9に示す軸基部53が、「回動軸」に相当する。
【0040】
一方、第2軸部52は、軸基部53の長手方向と平行に延設され、その軸基部53の長手方向の上側および下側を除く略中段部分に固定された断面略L字型のL字片58と、当該L字片58の長手方向上端部近傍および下端部近傍位置に各々設けられ、L字片58を介して、軸基部53に対して略垂直に突設された上ガイドピン59および下ガイドピン60とで構成されている。そして、これら上ガイドピン59および下ガイドピン60には、螺旋状に巻かれた略円筒状のバネ61,61が各々環装される。なお、図9に示す上軸ピン56、下軸ピン57、上側軸支持部54および下側軸支持部55が、「箱体側蝶番」に相当する。また、図9に示す上ガイドピン59および下ガイドピン60が、「第1のピン」に相当する。
【0041】
次に、上記構成からなる操作パネル11の、ボックス本体12への組み付け構造について説明する。図10は、操作ボックス10の分解斜視図であり、図11は、操作パネル11がボックス本体12に組み付けられた状態を示す操作ボックス10の斜視図であり、図12は、操作パネル11がボックス本体12に固定される状態を示す操作ボックス10の斜視図である。
【0042】
図10に示すように、まず、操作パネル11の軸支側端部6に設けられた上側軸受け部22および下側軸受け部24に対し、軸部ユニット50の上軸ピン56および下軸ピン57を連結する。このとき、上側軸受け部22の軸穴23に対し、軸部ユニット50の上軸ピン56を下側から嵌挿する。一方、下側軸受け部24の軸穴25に対して、軸部ユニット50の下軸ピン57を下側から嵌挿する。すると、軸部ユニット50に対して、操作パネル11の軸支側端部6側が軸となり、開閉側端部7側が開放される状態となる。
【0043】
次いで、操作パネル11に連結された軸部ユニット50の上ガイドピン59および下ガイドピン60に、バネ61,61を各々装着する。一方、ボックス本体12側の上支持ピン41および下支持ピン42には、連結筒体70,70を装着する。続いて、バネ61,61が装着された上ガイドピン59の先端および下ガイドピン60の先端を、上支持ピン41および下支持ピン42に嵌挿された連結筒体70,70内に各々挿入する。こうして、図11に示すように、操作パネル11は、軸部ユニット50を介して、ボックス本体12側に支持される。そして、操作パネル11は、ボックス本体12の開口部18に対して開閉可能に軸支され、開口部18を開放および閉塞することができる。
【0044】
また、図10に示すように、バネ61,61は、軸部ユニット50のL字片58と、連結筒体70の軸線方向一端部との間に挟まれている。そして、バネ61,61は、軸部ユニット50を、ボックス本体12のボックス背面8側とは離れる方向に向かって常時付勢する。よって、連結筒体70,70内において、上ガイドピン59の先端と上支持ピン41の先端との間、下ガイドピン60の先端と下支持ピン42の先端との間に所定の隙間量が形成される。そして、この隙間における各先端間の隙間量(距離)は、パッキン30の厚み(潰れ代)よりも長く設定されている。なお、この連結筒体70内における隙間量については、後に詳述する。なお、図8に示す上支持ピン41および下支持ピン42と、図9に示す上ガイドピン59および下ガイドピン60と、図10に示す連結筒体70が、「箱体側蝶番支持手段」に相当する。
【0045】
次に、操作パネル11の、ボックス本体12の前面への固定方法について説明する。図13は、固定ネジ16のねじ込みにより移動する操作パネル11の移動状態(移動前)を示す説明図であり、図14は、固定ネジ16のねじ込みにより移動する操作パネル11の移動状態(移動中)を示す説明図であり、図15は、固定ネジ16のねじ込みにより移動する操作パネル11の移動状態(移動完了)を示す説明図である。なお、図13乃至図15においては、説明の便宜上、軸部ユニット50の下ガイドピン60近傍における各部材の移動について図示し、上ガイドピン59近傍における各部材の移動については、下ガイドピン60と同様であるため省略する。
【0046】
図12に示すように、まず、操作パネル11の裏面側を、ボックス本体12の前面の開口部18の外周縁に設けられた当接端部40(図7、図8参照)に当接して、開口部18(図11参照)を閉塞する。このとき、操作パネル11の外縁近傍に複数列設されたパネル側固定穴15(図5参照)と、パッキン30のパッキン側穴31(図5参照)と、ボックス本体12の当接端部40に列設されたボックス側固定穴35(図7参照)とが各々上下に対向する。そして、図13に示すように、操作パネル11のパネル側固定穴15に対して、固定ネジ16をねじ込んでいく。すると、固定ネジ16の先端は、パネル側固定穴15と、パッキン30のパッキン側穴31と、ボックス側固定穴35とを順に通過する。さらに、固定ネジ16をねじ込むと、図14に示すように、固定ネジ16の先端が、軸部ユニット50の軸基部53に固定されたL字片58の面に当接する。
【0047】
さらに、固定ネジ16がねじ込まれると、固定ネジ16の先端が、軸部ユニット50のL字片58に当接し、軸基部53を、ボックス本体12のボックス背面8側に向かって押圧する。すると、軸基部53がボックス背面8側に向かって移動するので、軸部ユニット50全体が移動する。さらに、その軸部ユニット50の上軸ピン56および下軸ピン57に、上側軸受け部22および下側軸受け部24(図10参照)を介して連結された操作パネル11全体は、ボックス背面8側に向かって移動する。そして、その操作パネル11の移動にともなって、操作パネル11の裏面側と、ボックス本体12の当接端部40との間に配設されたパッキン30が徐々に押し潰される。そして、図15に示すように、固定ネジ16のネジ頭部16aの座面が操作パネル11の表面に当接するまでねじ込まれることにより、パッキン30が完全に押し潰される。このように、操作パネル11の、ボックス背面8側への移動量に比例して、操作パネル11と当接端部40との間でパッキン30が潰れる。
【0048】
また、図14および図15に示すように、軸部ユニット50の下ガイドピン60(上ガイドピン59)が、連結筒体70内に形成された隙間内を案内されるため、軸部ユニット50の移動方向のズレを防止できる。さらに、軸部ユニット50に連結された操作パネル11全体を水平方向に移動させることができるため、パッキン30を均等に押圧することができる。そして、パッキン30は部分的に偏って押圧されることがないため、パッキン30に隙間ができるのを防止できる。したがって、操作パネル11と当接端部40との間から、ボックス本体12内に切り屑やクーラントが侵入するのを防止することができる。
【0049】
ここで、操作パネル11の移動量について説明する。図13に示すように、固定ネジ16が固定されていないときの連結筒体70内において、下ガイドピン60(上ガイドピン59)の先端と下支持ピン42(上支持ピン41)の先端との間に形成される隙間量は、パッキン30の潰れ代よりも長く調整されている。このため、固定ネジ16がパネル側固定穴15からねじ込まれ、その先端がL字片58を介して軸基部53を押圧することにより、連結筒体70の隙間内を移動できる操作パネル11の移動量は、パッキン30の潰れ代よりも大きくすることができる。これにより、図15に示すように、パッキン30を完全に押し潰すことができるため、パッキン30と操作パネル11および当接端部40との間のシール性をより向上させることができる。
【0050】
次に、操作ボックス10の内側における省スペース化について説明する。図16は、操作パネル11が開放された状態を示す操作ボックス10の平面図である。図16に示すように、操作パネル11が開閉可能となっている場合(固定ネジ16が固定されていない状態)において、上側軸受け部22の軸穴23に嵌挿された軸部ユニット50の上軸ピン56は、バネ61の付勢によって、ボックス本体12の当接端部40の裏面側に向かって移動する。したがって、操作パネル11の上側軸受け部22を構成する第2軸受け片22bの構造を以下のように設定することができる。
【0051】
例えば、図16に示すように、略コの字型の第2軸受け片22bを上から見たときに、操作パネル11の裏面側から立設して最初に内側に折り返される部分を第1折り返し部72、当該第1折り返し部72から延設されて、さらに内側に折り返される部分を第2折り返し部73とする。そして、第1折り返し部72から第2折り返し部までの距離を「A」とし、第2折り返し部73から軸穴23までの距離を「B」とする。そして、操作パネル11の開閉動作時には、バネ61,61の付勢によって、操作パネル11の回転軸(上軸ピン56および下軸ピン57)と、操作パネル11が最初に当接する当接端部40との距離が短くなるため、AおよびBをともに短く設定することができる。そのため、ボックス本体12の内側に占める軸受け部22の体積をできるだけ小さくすることができるので、操作ボックス10の内側の省スペース化をはかることができる。さらに、操作ボックス10の厚みを薄くすることができるので、スプラッシュカバー2の内側に占める操作ボックス10の体積を小さくすることができる。
【0052】
以上説明したように、本発明の一実施の形態であるマシニングセンタ1によれば、操作パネル11の軸受け部22,24が、軸部ユニット50の上軸ピン56と下軸ピン57とに軸支されている。そして、軸部ユニット50の軸基部53に突設された上ガイドピン59および下ガイドピン60が、連結筒体70,70を介してボックス本体12のボックス背面8に突設された上支持ピン41および下支持ピン42によって支持されている。そして、操作パネル11、パッキン30およびボックス本体12の当接端部40に穿設して位置合わせされた各固定穴に固定ネジ16がねじ込まれると、固定ネジ16の先端は、軸部ユニット50の軸基部53に固定されたL字片58の面に当接して、ボックス本体12のボックス背面8側に向かって押圧する。すると、軸基部53がボックス背面8側に向かって移動するので、軸部ユニット50全体が移動し、その軸部ユニット50に連結された操作パネル11全体がボックス背面8側に向かって移動する。したがって、操作パネル11と当接端部40との間でパッキン30全体を均等に潰すことができ、パッキン30によるシール性を向上することができる。
【0053】
さらに、連結筒体70内において、上ガイドピン59(下ガイドピン60)の先端と上支持ピン41(下支持ピン42)の先端との間に形成される隙間量は、パッキン30の厚み(潰れ代)よりも長く調整されている。これにより、連結筒体70の隙間内を移動できる移動量は、パッキン30の潰れ代よりも大きくすることができる。そして、パッキン30を確実に押し潰すことができるため、パッキン30と操作パネル11および当接端部40との間のシール性を向上させることができる。
【0054】
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されることなく、各種の変形が可能である。
【0055】
例えば、付勢手段として、略円筒状のバネ61を設けたが、バネ61の代わりに、軸部ユニット50の軸基部53と、ボックス本体12のボックス背面8との間に板バネなどを設けてもよい。さらに、バネに限らず、硬質スポンジ、ウレタン、または磁石等を用いてもよい。
【0056】
また、軸部ユニット50の軸基部53には、上ガイドピン59および下ガイドピン60の2本のガイドピンが突設されているが、2本より多くてもよい。なお、操作パネル11を安定して軸支するために、好ましくは複数がよい。
【0057】
さらに、軸部ユニット50の上軸ピン56および下軸ピン57は、上方に向かって延設されているが、下方に向かって延設されてもよく、上軸受け部22および下軸受け部24の軸穴23,25に対して上方から嵌挿するようにしてもよい。
【0058】
また、軸部ユニット50の軸基部53は、上側軸支持部54と、下側軸支持部55とを上下に連結する1本の部材であるが、上下に切断されていてもよい。
【0059】
さらに、図17に示す軸部ユニット50の変形例である軸部ユニット500のように、上側軸支持部54に上ガイドピン590を突設し、下側軸支持部55に下ガイドピン600を突設することにより、上軸ピン56と上ガイドピン590との位置、および下軸ピン57と下ガイドピン600との位置がほぼ同位置となっていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明の扉の開閉機構は、工作機械の操作ボックスのみならず、パネルの開口部近傍に開閉可能に軸支された扉を有する扉を有する各種箱体に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】マシニングセンタ1の正面図である。
【図2】操作ボックス10の斜視図である。
【図3】操作パネル11の正面図である。
【図4】操作パネル11の背面図である。
【図5】パッキン30が固定される状態を示す操作パネル11の背面から見た斜視図である。
【図6】図5に示す上側軸受け部22の近傍を示す部分拡大図である。
【図7】ボックス本体12の正面図である。
【図8】ボックス本体12の正面側から見た斜視図である。
【図9】軸部ユニット50の斜視図である。
【図10】操作ボックス10の分解斜視図である。
【図11】操作パネル11がボックス本体12に組み付けられた状態を示す操作ボックス10の斜視図である。
【図12】操作パネル11がボックス本体12に固定される状態を示す操作ボックス10の斜視図である。
【図13】固定ネジ16のねじ込みにより移動する操作パネル11の移動状態(移動前)を示す説明図である。
【図14】固定ネジ16のねじ込みにより移動する操作パネル11の移動状態(移動中)を示す説明図である。
【図15】固定ネジ16のねじ込みにより移動する操作パネル11の移動状態(移動完了)を示す説明図である。
【図16】操作パネル11が開放された状態を示す操作ボックス10の平面図である。
【図17】軸部ユニット50の変形例である軸部ユニット500の斜視図である。
【符号の説明】
【0062】
1 マシニングセンタ
8 ボックス背面
10 操作ボックス
11 操作パネル
12 ボックス本体
15 パネル側固定穴
16 固定ネジ
18 開口部
22 上側軸受け部
24 下側軸受け部
30 パッキン
35 ボックス側固定穴
41 上支持ピン
42 下支持ピン
53 軸基部
59 上ガイドピン
60 下ガイドピン
61 バネ
70 連結筒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略直方体状の箱体の前面に設けられた開口部を、当該開口部近傍に設けられた蝶番によって、当該蝶番の回動軸周りに軸支される扉によって開閉する扉の開閉機構において、
前記蝶番は、
前記扉に設けられた扉側蝶番と、
前記箱体の背面内側面に設けられた箱体側蝶番と
で構成され、
前記箱体の背面に設けられ、前記箱体側蝶番を前記回動軸に対して垂直方向に移動可能に支持する箱体側蝶番支持手段を備えたことを特徴とする扉の開閉機構。
【請求項2】
前記箱体側蝶番支持手段は、前記箱体側蝶番を前記扉側蝶番側へ常時付勢する付勢手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の扉の開閉機構。
【請求項3】
前記扉の外縁近傍に設けられた扉側固定穴と、
前記開口部の縁近傍に設けられ、前記扉側固定穴に対向する箱体側固定穴と、
当該箱体側固定穴に、前記扉側固定穴を介してねじ込まれ、前記開口部に前記扉を固定する固定ネジと、
前記扉と前記開口部の縁近傍との間に設けられたパッキンと
を備え、
前記回動軸は、前記箱体側蝶番に連結され、
前記扉が前記開口部に固定される際に、
前記箱体側固定穴にねじ込まれた前記固定ネジの先端が、前記回動軸に当接して、前記箱体の背面に向かって押圧することにより、前記箱体側蝶番は、前記箱体の背面に向かって移動し、
前記パッキンは、前記扉と前記開口部の縁近傍との間で押し潰されることを特徴とする請求項1又は2に記載の扉の開閉機構。
【請求項4】
前記箱体側蝶番の、前記箱体の背面に向かって移動できる移動量は、前記パッキンの潰れ代よりも大きいことを特徴とする請求項3に記載の扉の開閉機構。
【請求項5】
前記箱体側蝶番支持手段は、
前記回動軸に直交して突設され、前記箱体の背面に向かって延設された第1のピンと、
当該第1のピンの先端に対向し、前記箱体の背面に突設された第2のピンと、
前記第1のピンと前記第2のピンとを同軸上に内挿して互いに連結する略筒状の連結筒体と
から構成され、
前記付勢手段は、略円筒状のバネで構成され、
当該バネは、前記第1のピンに環装されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の扉の開閉機構。
【請求項6】
前記蝶番は複数設けられ、
前記複数の蝶番の前記回動軸は、各々同軸上に連結されていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の扉の開閉構造。
【請求項7】
機械を操作する操作盤を備えた操作ボックスであって、
当該操作ボックスの前面の開口部に設けられ、前記操作盤を支持するとともに、開閉可能に軸支された扉と
請求項1乃至6の何れかに記載の扉の開閉機構と
を備えたことを特徴とする操作ボックス。
【請求項8】
ワークを加工する工作機械であって、
請求項7に記載の操作ボックスを備えたことを特徴とする工作機械。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−55976(P2006−55976A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−243175(P2004−243175)
【出願日】平成16年8月24日(2004.8.24)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】