説明

手動液体吐出具

【課題】UV硬化型樹脂液等の液体の吸入吐出量を手動で簡単に微調節でき、吸入吐出を簡易に行える手動液体吐出具を提供するを提供する。
【解決手段】液吸入吐出用ニードル1を前端に有し、ニードル1と連通状に接続された可撓性短寸チューブ2と、チューブ2を受ける受け面11と、チューブ2を受け面11に押圧すると共に人の指によって回転力が付与される回転体20と、回転体20の両端面から一体に突設された小ギア21と、回転体20が逃げないようにチューブ2に押圧ガイドするための一対のガイド溝12と、回転体20及び小ギア21と一体に連結されると共にガイド溝12によって前後方向に案内される軸22と、小ギア21と噛合して小ギア21及び回転体20を前後直線往復動させるラック部材13と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手動液体吐出具に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のフロントガラスが、飛んできた小石等によって傷がついた場合に、この傷の修理が簡便に行うことが難しいと考えられていたが、最近、透明のUV硬化型樹脂液を上記傷に塗布して紫外線ライトを照射して、硬化させ、補修する方法が提案されている。
ところが、従来、ガソリンスタンド等にて、UV硬化型樹脂液の微量を、フロントガラスの傷に塗布することが至難であった。その理由について、以下説明する。
従来、微量の液体の吸入吐出に使用する液体吐出具は、例えば、特許文献1記載のように、空気圧を利用したシリンジによって液体を手動で吸入吐出するものが知られている。 また、特許文献2記載のように、スクイーズポンプを用いたものでは、ロータを電動モータで回転させて吐出するものが知られている。
【特許文献1】登録実用新案第3142547号公報
【特許文献2】特公平5- 83309号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のシリンジを用いた液体吐出具は、手でピストンの押引操作を行う構造であり、UV硬化型樹脂液を必要以上に吸入し、シリンジ内にUV硬化型樹脂液が残留した場合に、シリンジ内のUV硬化型樹脂液が硬化して、シリンジが使用できなくなり無駄が発生するという問題があった。また、片手で微量の吐出を行う操作も熟練を要した。
また、スクイーズポンプを用いて、電動モータで圧送調節をおこなうものでは装置が比較的大容積となると共に高価になり、各ガソリンスタンドに常時備えることが困難であった。
【0004】
そこで、本発明は、UV硬化型樹脂液等の液体の吸入吐出量を手動(片手)で簡単に微調節でき、吸入吐出を簡易に行える手動液体吐出具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明に係る手動液体吐出具は、液吸入吐出用ニードルを前端に有し、該ニードルと連通状に接続された可撓性短寸チューブと、該チューブを受ける受け面と、上記チューブを上記受け面に押圧すると共に人の指によって回転力が付与される回転体と、該回転体の両端面から一体に突設された小ギアと、上記回転体が逃げないように上記チューブに押圧ガイドするための一対のガイド溝と、上記回転体及び上記小ギアと一体に連結されると共に上記ガイド溝によって前後方向に案内される軸と、上記小ギアと噛合して上記小ギア及び上記回転体を前後直線往復動させるラック部材と、を備えるものである。
【0006】
また、上記受け面と上記ガイド溝を一体状にボディが有し、かつ、該ボディは後方延伸状に握り部を有するものでる。
また、上記受け面と上記ガイド溝を一体状にボディが有し、かつ、該ボディの外面が握り部を併用しているものである。
【0007】
また、上記チューブは、長さ寸法が20mm〜100mmであって、かつ、後端部が大気に
開口しているものである。
また、上記回転体はその外周面に、軸心と平行な多数の突条を有しているものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の手動液体吐出具によれば、吐出具を片手に持った状態で回転体を指で操作することにより、回転体は前後に直線往復運動して、ニードル乃至チューブ内に微量を吸入し、逆に、微量を吐出できる。
また、回転体をチューブに沿って手動(片手)で前後運動させて圧送を行うため、全体構造が簡素で、かつ、コンパクトであり、安価な液体吸入吐出具が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、実施の形態を示す図面に基づき、本発明を詳説する。
図1は本発明の一実施の形態を示す平面図であり、図2はその断面側面図である。
本発明の手動液体吐出具は、握り部14を後方側に有するボディ10と、ボディ10の前方側に着脱可能に螺着される連結部材4と、ボディ10に連結部材4を介して着脱自在に接続された液吸入吐出用ニードル1と、ニードル1と連結部材4を介して連通状に接続される可撓性短寸チューブ2と、人の指によって回転力を付与される回転体20(図5参照)と、を備えている。
【0010】
ボディ10は上方開口状の空室部30が設けられ、その内部の底壁面部に凹設された受け面11と、回転体20が上下左右方向に逃げないように押圧ガイドするための左右一対のガイド溝12と、回転体20と一体同心状に連結された小ギア21と噛合して前後直線往復運動させる左右一対のラック部材13と、を備えている。なお、上記ガイド溝12,12はボディ10の上記空室部30の左右側壁内面に凹設されている。
さらに、ボディ10に於て、上記空室部30の前方下部の隅部から前方下傾状孔部31を貫設し、この孔部には、連結部材4が螺着される雌ねじ部を備えている。ボディ10の上壁部15は、空室部30が上方へ開口する窓部15aが形成されている。また、握り部14の付根部下面に下開状であって、かつ、空室部30の後方下部に連通状の凹窪部14aが設けられている。
【0011】
連結部材4は、内部に、貫通する連通路を有する。連結部材4の基端4bは、チューブ2の前端が外嵌される挿入部4eが形成されている。連結部材4の基端4b寄りにボディ10に螺着する雄ねじ部4dを有し、中央部には、外鍔部4fを有し、先端4aには、ニードル1の基端1bが圧入される差込部4cが設けられている。
ニードル1は、液体が流れる貫通孔を有し、基端1bは連結部材4の差込部4cに圧入する圧入部が設けられている。
チューブ2は、直線状態での長さ寸法Lが20mm〜100mmであり、受け面11に対し前
後直線状に付設される。またチューブ2の後端部3は、握り部14に設けられた凹窪部14aに対応して収納され、大気に開口している。
【0012】
また、図3は本発明に係る手動液体吐出具の断面正面図である。また図4は本発明に係る手動液体吐出具に使用する回転体20の一例を示した斜視図である。
回転体20は、回転体20の両端部から左右対称に突設された小ギア21と、小ギア21の両端部から左右対称に突設される軸22を有する。回転体20と、小ギア21と、軸22と、は一体同心状に連結され、軸22はガイド溝12に回転自在に、かつ、前後移動自在に差込まれている。回転体20はその外周面に、軸心と平行な多数の突条23を有する。小ギア21とラック部材13は図3と図2に示すように、相互に噛合し、小ギア21(回転体20)の回転運動を、前後方向の直線往復運動に変換する。
【0013】
次に上述した本発明の手動液体吐出具の使用方法(作用)について説明する。
図5は本発明に係る手動液体吐出具の使用例を示したものである。先ず、ボディ10を手に持つと共に、回転体20を指で操作する。
【0014】
回転体20は、図2に示すようにチューブ2の一部分を押圧しており、その押圧部40ではチューブ2の内壁は隙間無く密着される。回転体20を前方から後方に回転移動させることでチューブ2の押圧部40を前方から後方に直線移動させ、チューブ2内に負圧を発生させる。
また、突条23は、回転体20がガイド溝22やチューブ押圧部40からの摩擦抵抗を受け、回転体外周面を押す指が滑ることを防ぐ。
【0015】
ラック部材13の凹凸歯に対して、小ギア21が噛合し、回転体20は確実に前後に直線移動する。
ガイド溝12はチューブ2の弾発力に対して反作用的に押し返し、回転しつつ前後に直線移動する回転体20を押圧ガイドする。
【0016】
次に、ニードル1の先端1aを透明UV硬化型樹脂液や接着液等の液体の中に入れ、指で回転体20を前方から後方に回転させる。チューブ2内で発生した負圧を利用してニードル1の先端1aからニードル1乃至チューブ2内に液体を吸入する。
【0017】
次に、ニードル1の先端1aを液体から離別し、吐出する対象部(例えば車のフロントガラス等)に接近させる。指で回転体20を後方から前方に回転させると、回転体20によってチューブ2が圧搾される。チューブ2内の液体は吐出方向に圧送される。液体はチューブ2内からニードル1に搾り出され、ニードル1の先端1aから吐出する。ニードル1と、連結部材4と、を着脱自在としたことにより、使用後のニードル1と、連結部材4と、は交換可能となり、液体が固化してニードル内で目詰まりしたときには容易にニードル1を交換して、長期間使用できる。
【0018】
なお、本発明の手動液体吐出具は、設計変更可能であり、例えば図6に示すように、握り部14をボディ10の外面が併用している形状としても良い。
なお、本発明に於て、「液体」とは、UV硬化型樹脂液や接着剤や薬液やオイル等の通常の液体の他に、さらに、磁性粉末等の超微粒子が混入した液体、あるいは、グリース等の粘性のある液体をも包含する。
【0019】
以上のように、本発明は、液吸入吐出用ニードル1を前端に有し、ニードル1と連通状に接続された可撓性短寸チューブ2と、チューブ2を受ける受け面11と、チューブ2を受け面11に押圧すると共に人の指によって回転力が付与される回転体20と、回転体20の両端面から一体に突設された小ギア21と、回転体20が逃げないようにチューブ2に押圧ガイドするための一対のガイド溝12と、回転体20及び小ギア21と一体に連結されると共にガイド溝12によって前後方向に案内される軸22と、小ギア21と噛合して小ギア21及び回転体20を前後直線往復動させるラック部材13と、を備えているので、動力源、制御部が省略されて、全体構造が簡素で、かつ、コンパクトであり、安価な液体吸入吐出具が得られる。
また、液体の吸入吐出量を手動(片手)で簡単に微調節でき、吸入吐出を簡易に行える。従って、既述のようなフロントガラスの傷の補修のために、各ガソリンスタンドに設置しておけば、比較的熟練を要さずに補修作業を行い得る。
【0020】
また、受け面11とガイド溝12を一体状にボディ10が有し、かつ、ボディ10は後方延伸状に握り部14を有するので、片手で本発明に係る液体吐出具を容易に操作できる。
また、受け面11とガイド溝12を一体状にボディ10が有し、かつ、ボディ10の外面が握り部14を併用しているので、コンパクト化を図り得て、片手で本発明に係る液体吐出具を容易に操作できる。
【0021】
また、チューブ2は、長さ寸法Lが20mm〜100mmであって、かつ、チューブの後端
部3が大気に開口しているので、吸入吐出に利用されない圧力を逃がすことができる。
また、回転体20はその外周面に、軸心と平行な多数の突条23を有しているので、人の指が滑ることなく確実に操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の一形態を示す平面図である。
【図2】手動液体吐出具の断面側面図である。
【図3】手動液体吐出具の断面正面図である。
【図4】手動液体吐出具に使用する回転体の斜視図である。
【図5】使用例を示す説明図である。
【図6】他の実施の形態を示す使用状態説明図である。
【符号の説明】
【0023】
1 ニードル
2 チューブ
3 チューブの反ニードル側端部
4 連結部材
10 ボディ
11 受け面
12 ガイド溝
13 ラック部材
14 握り部
20 回転体
21 小ギア
22 軸
23 突条

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液吸入吐出用ニードル(1)を前端に有し、該ニードル(1)と連通状に接続された可撓性短寸チューブ(2)と、該チューブ(2)を受ける受け面(11)と、上記チューブ(2)を上記受け面(11)に押圧すると共に人の指によって回転力が付与される回転体(20)と、該回転体(20)の両端面から一体に突設された小ギア(21)と、上記回転体(20)が逃げないように上記チューブ(2)に押圧ガイドするための一対のガイド溝(12)と、上記回転体(20)及び上記小ギア(21)と一体に連結されると共に上記ガイド溝(12)によって前後方向に案内される軸(22)と、上記小ギア(21)と噛合して上記小ギア(21)及び上記回転体(20)を前後直線往復動させるラック部材(13)と、を備えることを特徴とする手動液体吐出具。
【請求項2】
上記受け面(11)と上記ガイド溝(12)を一体状にボディ(10)が有し、かつ、該ボディ(10)は後方延伸状に握り部(14)を有する請求項1記載の手動液体吐出具。
【請求項3】
上記受け面(11)と上記ガイド溝(12)を一体状にボディ(10)が有し、かつ、該ボディ(10)の外面が握り部(14)を併用している請求項1記載の手動液体吐出具。
【請求項4】
上記チューブ(2)は、長さ寸法(L)が20mm〜100mmであって、かつ、チューブ
後端部(3)が大気に開口している請求項1記載の手動液体吐出具。
【請求項5】
上記回転体(20)はその外周面に、軸心と平行な多数の突条(23)を有している請求項1,2,3又は4記載の手動液体吐出具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−71160(P2010−71160A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−238493(P2008−238493)
【出願日】平成20年9月17日(2008.9.17)
【出願人】(592205034)
【Fターム(参考)】