説明

投写型映像表示装置及び画像調整方法

【課題】 映像の形状調整の処理負荷を低減することを可能とする投写型映像表示装置及び画像調整方法を提供する。
【解決手段】 投写型映像表示装置100は、3つ以上の交点を構成する3つ以上の線分のそれぞれの少なくとも一部分を構成するテストパターン画像を表示するように構成される。投写型映像表示装置100は、撮像テストパターン画像に含まれる3つ以上の交点に基づいて、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する。撮像テストパターン画像に含まれる3つ以上の線分は、所定ラインに対して傾きを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から出射される光を変調するように構成された光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写するように構成された投写ユニットとを有する投写型映像表示装置及び投写型映像表示装置に適用される画像調整方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から出射される光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写ユニットとを備える投写型映像表示装置が知られている。
【0003】
ここで、投写型映像表示装置と投写面との位置関係によっては、投写面上に投写される映像の形状が歪んでしまう。
【0004】
これに対して、以下の手順で映像の形状を調整する方法が提案されている(例えば、特許文献1)。第1に、投写型映像表示装置は、長方形形状のテストパターン画像を投写面上に投写する。第2に、投写型映像表示装置は、投写面上に投写されたテストパターン画像を撮像して、投写面におけるテストパターン画像の4隅の座標を特定する。第3に、投写型映像表示装置は、投写面におけるテストパターン画像の4隅の座標に基づいて、投写型映像表示装置と投写面との位置関係を特定して、投写面上に投写される映像の形状を調整する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−318652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、テストパターン画像を撮像する撮像素子は、撮像画像を所定ライン(例えば、水平方向の画素列)に沿って出力するように構成される。なお、所定ラインは、一般的には、水平方向に沿って延びるラインである。
【0007】
ここで、上述した技術では、長方形形状のテストパターン画像が用いられるため、テストパターン画像の4つの辺のうち、2つの辺は、水平方向に沿って延びる辺である。すなわち、テストパターン画像の4つの辺のうち、2つの辺は、所定ラインと略平行である。
【0008】
従って、上述した技術では、投写型映像表示装置は、撮像画像の全てを撮像素子から取得した上でエッジ検出等を行って、テストパターン画像の4辺や4隅の座標を特定する必要がある。
【0009】
このように、上述した技術では、撮像画像の全てを取得した上でエッジ検出等を行っているため、サンプリングすべき画素数が多く、テストパターン画像の4隅の座標を特定する処理負荷が大きい。すなわち、上述した技術では、映像の形状調整の処理負荷が大きい。
【0010】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、映像の形状調整の処理負荷を低減することを可能とする投写型映像表示装置及び画像調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
第1の特徴に係る投写型映像表示装置は、光源(光源10)から出射される光を変調するように構成された光変調素子(液晶パネル50)と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写するように構成された投写ユニット(投写ユニット110)とを有する。投写型映像表示装置は、3つ以上の交点を構成する3つ以上の線分のそれぞれの少なくとも一部分を構成するテストパターン画像を表示するように前記光変調素子を制御する素子制御部(素子制御部260)と、前記投写面上に投写された前記テストパターン画像を撮像する撮像素子(撮像素子300)から所定ラインに沿って出力される前記テストパターン画像の撮像画像を取得する取得部(取得部230)と、前記取得部によって取得された撮像画像に基づいて、前記撮像画像に含まれる3つ以上の線分より3つ以上の交点を特定し、前記3つ以上の交点に基づいて、前記投写型映像表示装置と前記投写面との位置関係を算出する算出部(算出部250)と、前記投写型映像表示装置と前記投写面との位置関係に基づいて、前記投写面上に投写される映像を調整する調整部(調整部280)とを備える。前記3つ以上の線分は、前記所定ラインに対して傾きを有する。
【0012】
第1の特徴において、前記所定ラインは、水平方向に沿って延びるラインである。
【0013】
第1の特徴において、前記素子制御部は、前記撮像画像に含まれる3つ以上の交点が取得されてから、前記投写面上に投写される映像の形状が補正されるまで、映像を表示しないように前記光変調素子を制御する。
【0014】
第1の特徴において、前記素子制御部は、前記テストパターン画像とともに、前記テストパターン画像以外の所定画像を表示するように前記光変調素子を制御する。
【0015】
第1の特徴において、前記3つ以上の線分が前記所定ラインに対して傾きを有するように前記撮像素子が配置される。
【0016】
第1の特徴において、前記調整部は、前記投写面上に投写される映像のフォーカスを調整するフォーカス調整部(投写ユニット調整部270)を含む。前記フォーカス調整部は、前記テストパターン画像を部分的に含むように分割された複数の画像領域毎にフォーカスを順に調整する。前記算出部は、フォーカスが調整された画像領域に表示されたテストパターン画像の一部の撮像画像に基づいて、前記テストパターン画像の一部に含まれる線分を特定する。
【0017】
第1の特徴において、投写型映像表示装置は、前記テストパターン画像を部分的に含むように分割された複数の画像領域毎に、前記撮像素子の露光時間を順に調整する露光時間調整部(露光時間調整部290)をさらに備える。前記算出部は、露光時間が調整された画像領域に表示されたテストパターン画像の一部の撮像画像に基づいて、前記テストパターン画像の一部に含まれる線分を特定する。
【0018】
第1の特徴において、投写型映像表示装置は、第1処理モード及び第2処理モードを制御するモード制御部(モード制御部295)をさらに備える。前記調整部は、前記投写面上に投写される映像のフォーカスを調整するフォーカス調整部を含む。前記第1処理モードは、前記テストパターン画像の全体を対象として、前記テストパターン画像に含まれる線分を特定するとともに、前記投写型映像表示装置と前記投写面との位置関係を算出するモードである。前記第2処理モードは、前記テストパターン画像を部分的に含むように分割された複数の画像領域のそれぞれを対象として、前記テストパターン画像に含まれる線分を特定するとともに、前記投写型映像表示装置と前記投写面との位置関係を算出するモードである。前記モード制御部は、前記第1処理モードを行った結果、前記投写型映像表示装置と前記投写面との位置関係が許容範囲外である場合に、前記第2処理モードを行う。
【0019】
第2の特徴に係る画像調整方法は、光源から出射される光を変調する光変調素子と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写ユニットとを有する投写型映像表示装置に適用される。画像調整方法は、3つ以上の交点を構成する3つ以上の線分のそれぞれの少なくとも一部分を構成するテストパターン画像を表示するステップAと、前記投写面上に投写された前記テストパターン画像を撮像し、前記3つ以上の線分に対して傾きを有する所定ラインに沿って前記テストパターン画像の撮像画像を取得するステップBと、前記撮像画像に基づいて、前記投写型映像表示装置と前記投写面との位置関係を算出するステップCと、前記投写型映像表示装置と前記投写面との位置関係に基づいて、前記投写面上に投写される映像を調整するステップDとを備える。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、映像の形状調整の処理負荷を低減することを可能とする投写型映像表示装置及び画像調整方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る制御ユニット200を示すブロック図である。
【図4】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図6】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る撮像テストパターン画像の一例を示す図である。
【図9】第1実施形態に係る撮像テストパターン画像の一例を示す図である。
【図10】第1実施形態に係る投写テストパターン画像に含まれる交点を算出する方法を説明するための図である。
【図11】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の動作を示すフロー図である。
【図12】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の動作を示すフロー図である。
【図13】変更例1に係る分割処理モードを説明するための図である。
【図14】変更例1に係る分割処理モードを説明するための図である。
【図15】変更例1に係る投写型映像表示装置100の動作を示すフロー図である。
【図16】変更例1に係る投写型映像表示装置100の動作を示すフロー図である。
【図17】変更例2に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。
【図18】変更例2に係る分割処理モードを説明するための図である。
【図19】変更例2に係る分割処理モードを説明するための図である。
【図20】変更例2に係る投写型映像表示装置100の動作を示すフロー図である。
【図21】変更例3に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。
【図22】変更例3に係る投写型映像表示装置100の動作を示すフロー図である。
【図23】変更例4に係る撮像素子300の配置を説明するための図である。
【図24】変更例4に係る撮像素子300の配置を説明するための図である。
【図25】変更例4に係る撮像素子300の配置を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0023】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0024】
[実施形態の概要]
実施形態に係る投写型映像表示装置は、光源から出射される光を変調するように構成された光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写するように構成された投写ユニットとを有する。投写型映像表示装置は、3つ以上の交点を構成する3つ以上の線分のそれぞれの少なくとも一部分を構成するテストパターン画像を表示するように光変調素子を制御する素子制御部と、投写面上に投写されたテストパターン画像を撮像する撮像素子から所定ラインに沿って出力されるテストパターン画像の撮像画像を取得する取得部と、取得部によって取得された撮像画像に基づいて、撮像画像に含まれる3つ以上の線分より3つ以上の交点を特定し、3つ以上の交点に基づいて、投写型映像表示装置と投写面との位置関係を算出する算出部と、投写型映像表示装置と投写面との位置関係に基づいて、投写面上に投写される映像を調整する調整部とを備える。3つ以上の線分は、所定ラインに対して傾きを有する。
【0025】
実施形態では、テストパターン画像に含まれる3つ以上の線分は、所定ラインに対して傾きを有する。第1に、テストパターン画像に含まれる線分が所定ラインに沿っている場合と比べて、エッジ検出等を行うためにサンプリングすべき画素数を低減することができる。従って、映像調整の処理負荷を軽減することができる。第2に、テストパターン画像に含まれる線分が所定ラインに沿っている場合と比べて、テストパターン画像に含まれる線分の検出精度が向上する。
【0026】
なお、投写型映像表示装置は、取得部によって取得された撮像画像に基づいて、撮像画像に含まれる3つ以上の線分を特定し、撮像画像に含まれる3つ以上の線分に基づいて、撮像画像に含まれる3つ以上の交点を特定する特定部を有していてもよい。なお、算出部は、テストパターン画像に含まれる3つ以上の交点と撮像画像に含まれる3つ以上の交点とに基づいて、投写型映像表示装置と投写面との位置関係を算出する。
【0027】
[第1実施形態]
(投写型映像表示装置の概略)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【0028】
図1に示すように、投写型映像表示装置100には、撮像素子300が設けられる。また、投写型映像表示装置100は、投写面400上に映像光を投写する。
【0029】
撮像素子300は、投写面400を撮像するように構成される。すなわち、撮像素子300は、投写型映像表示装置100によって投写面400上に投写された映像光の反射光を検出するように構成される。撮像素子300は、投写型映像表示装置100に対して、撮像画像を所定ラインに沿って出力する。撮像素子300は、投写型映像表示装置100に内蔵されていてもよく、投写型映像表示装置100と併設されていてもよい。
【0030】
投写面400は、スクリーンなどによって構成される。投写型映像表示装置100が映像光を投写可能な範囲(投写可能範囲410)は、投写面400上に形成される。また、投写面400は、スクリーンの外枠などによって構成される表示枠420を有する。
【0031】
第1実施形態では、投写型映像表示装置100の光軸Nが投写面400の法線Mと一致しないケースについて例示する。例えば、光軸Nと法線Mとが角度θを構成するケースについて例示する。
【0032】
すなわち、第1実施形態では、光軸Nが法線Mと一致しないため、投写可能範囲410(投写面400上に表示される映像)が歪んでしまう。第1実施形態では、このような投写可能範囲410の歪みを補正する方法について主として説明する。
【0033】
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。
【0034】
図2に示すように、投写型映像表示装置100は、投写ユニット110と、照明装置120とを有する。
【0035】
投写ユニット110は、照明装置120から出射された映像光を投写面(不図示)上などに投写する。
【0036】
第1に、照明装置120は、光源10と、UV/IRカットフィルタ20と、フライアイレンズユニット30と、PBSアレイ40と、複数の液晶パネル50(液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50B)と、クロスダイクロイックプリズム60とを有する。
【0037】
光源10は、白色光を発する光源(例えば、UHPランプやキセノンランプ)などである。すなわち、光源10が発する白色光は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを含む。
【0038】
UV/IRカットフィルタ20は、可視光成分(赤成分光R、緑成分光G及び青成分光B)を透過する。UV/IRカットフィルタ20は、赤外光成分や紫外光成分を遮光する。
【0039】
フライアイレンズユニット30は、光源10が発する光を均一化する。具体的には、フライアイレンズユニット30は、フライアイレンズ31及びフライアイレンズ32によって構成される。フライアイレンズ31及びフライアイレンズ32は、それぞれ、複数の微少レンズによって構成される。各微少レンズは、光源10が発する光が液晶パネル50の全面に照射されるように、光源10が発する光を集光する。
【0040】
PBSアレイ40は、フライアイレンズユニット30から出射された光の偏光状態を揃える。例えば、PBSアレイ40は、フライアイレンズユニット30から出射された光をS偏光(又はP偏光)に揃える。
【0041】
液晶パネル50Rは、赤出力信号Routに基づいて赤成分光Rを変調する。液晶パネル50Rに光が入射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を透過して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を遮光する入射側偏光板52Rが設けられている。液晶パネル50Rから光が出射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を遮光して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を透過する出射側偏光板53Rが設けられている。
【0042】
液晶パネル50Gは、緑出力信号Goutに基づいて緑成分光Gを変調する。液晶パネル50Gに光が入射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を透過して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を遮光する入射側偏光板52Gが設けられる。一方で、液晶パネル50Gから光が出射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を遮光して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を透過する出射側偏光板53Gが設けられる。
【0043】
液晶パネル50Bは、青出力信号Boutに基づいて青成分光Bを変調する。液晶パネル50Bに光が入射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を透過して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を遮光する入射側偏光板52Bが設けられる。一方で、液晶パネル50Bから光が出射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を遮光して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を透過する出射側偏光板53Bが設けられる。
【0044】
なお、赤出力信号Rout、緑出力信号Gout及び青出力信号Boutは、映像出力信号を構成する。映像出力信号は、1フレームを構成する複数の画素毎の信号である。
【0045】
ここで、各液晶パネル50には、コントラスト比や透過率を向上させる補償板(不図示)が設けられていてもよい。また、各偏光板は、偏光板に入射する光の光量や熱負担を軽減させるプリ偏光板を有していてもよい。
【0046】
クロスダイクロイックプリズム60は、液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50Bから出射される光を合成する色合成部を構成する。クロスダイクロイックプリズム60から出射された合成光は、投写ユニット110に導かれる。
【0047】
第2に、照明装置120は、ミラー群(ミラー71〜ミラー76)及びレンズ群(レンズ81〜レンズ85)を有する。
【0048】
ミラー71は、青成分光Bを透過して、赤成分光R及び緑成分光Gを反射するダイクロイックミラーである。ミラー72は、赤成分光Rを透過して、緑成分光Gを反射するダイクロイックミラーである。ミラー71及びミラー72は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを分離する色分離部を構成する。
【0049】
ミラー73は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを反射して、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bをミラー71側に導く。ミラー74は、青成分光Bを反射して、青成分光Bを液晶パネル50B側に導く。ミラー75及びミラー76は、赤成分光Rを反射して、赤成分光Rを液晶パネル50R側に導く。
【0050】
レンズ81は、PBSアレイ40から出射された光を集光するコンデンサレンズである。レンズ82は、ミラー73で反射された光を集光するコンデンサレンズである。
【0051】
レンズ83Rは、液晶パネル50Rに赤成分光Rが照射されるように、赤成分光Rを略平行光化する。レンズ83Gは、液晶パネル50Gに緑成分光Gが照射されるように、緑成分光Gを略平行光化する。レンズ83Bは、液晶パネル50Bに青成分光Bが照射されるように、青成分光Bを略平行光化する。
【0052】
レンズ84及びレンズ85は、赤成分光Rの拡大を抑制しながら、液晶パネル50R上に赤成分光Rを略結像するリレーレンズである。
【0053】
(制御ユニットの構成)
以下において、第1実施形態に係る制御ユニットについて、図面を参照しながら説明する。図3は、第1実施形態に係る制御ユニット200を示すブロック図である。制御ユニット200は、投写型映像表示装置100に設けられており、投写型映像表示装置100を制御する。
【0054】
なお、制御ユニット200は、映像入力信号を映像出力信号に変換する。映像入力信号は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binによって構成される。映像出力信号は、赤出力信号Rout、緑出力信号Gout及び青出力信号Boutによって構成される。映像入力信号及び映像出力信号は、1フレームを構成する複数の画素毎に入力される信号である。
【0055】
図3に示すように、制御ユニット200は、映像信号受付部210と、記憶部220と、取得部230と、特定部240と、算出部250と、素子制御部260と、投写ユニット調整部270とを有する。
【0056】
映像信号受付部210は、DVDやTVチューナなどの外部装置(不図示)から映像入力信号を受付ける。
【0057】
記憶部220は、各種情報を記憶する。具体的には、記憶部220は、表示枠420を検出するために用いる枠検出パターン画像、フォーカスを調整するために用いるフォーカス調整画像、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出するために用いるテストパターン画像を記憶する。或いは、記憶部220は、露光値を調整するために用いる露光調整画像を記憶してもよい。
【0058】
テストパターン画像は、3つ以上の交点を構成する3つ以上の線分のそれぞれの少なくとも一部分を構成する画像である。また、3つ以上の線分は、所定ラインに対して傾きを有する。
【0059】
なお、撮像素子300は、上述したように、撮像画像を所定ラインに沿って出力する。例えば、所定ラインは、水平方向の画素列であり、所定ラインの向きは、水平方向である。
【0060】
以下において、テストパターン画像の一例について、図4〜図7を参照しながら説明する。図4〜図7に示すように、テストパターン画像は、4つの交点(P1〜P4)を構成する4つの線分(L1〜L4)の少なくとも一部分を構成する画像である。第1実施形態では、4つの線分(L1〜L4)は、濃淡或いは明暗の差(エッジ)によって表される。
【0061】
詳細には、図4に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び白抜きの菱形であってもよい。ここで、白抜きの菱形の4辺は、4つの線分(L1〜L4)の少なくとも一部分を構成する。なお、4つの線分(L1〜L4)は、所定ライン(水平方向)に対して傾きを有する。
【0062】
或いは、図5に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び白抜きの線分であってもよい。白抜きの線分は、図4に示す白抜きの菱形の4辺の一部分を構成する。ここで、白抜きの線分は、4つの線分(L1〜L4)の少なくとも一部分を構成する。なお、4つの線分(L1〜L4)は、所定ライン(水平方向)に対して傾きを有する。
【0063】
或いは、図6に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び1対の白抜きの三角形であってもよい。ここで、1対の白抜きの三角形の2辺は、4つの線分(L1〜L4)の少なくとも一部分を構成する。なお、4つの線分(L1〜L4)は、所定ライン(水平方向)に対して傾きを有する。
【0064】
或いは、図7に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び白抜きの線分であってもよい。ここで、白抜きの線分は、4つの線分(L1〜L4)の少なくとも一部分を構成する。図7に示すように、4つの線分(L1〜L4)によって構成される4つの交点(P1〜P4)は、投写可能範囲410の外側に設けられてもよい。なお、4つの線分(L1〜L4)は、所定ライン(水平方向)に対して傾きを有する。
【0065】
取得部230は、撮像素子300から所定ラインに沿って出力される撮像画像を取得する。例えば、取得部230は、撮像素子300から所定ラインに沿って出力される枠検出パターン画像の撮像画像を取得する。取得部230は、撮像素子300から所定ラインに沿って出力されるフォーカス調整画像の撮像画像を取得する。取得部230は、撮像素子300から所定ラインに沿って出力されるテストパターン画像の撮像画像を取得する。或いは、取得部230は、撮像素子300から所定ラインに沿って出力される露光調整画像の撮像画像を取得してもよい。
【0066】
特定部240は、取得部230によって所定ライン毎に取得される撮像画像に基づいて、撮像画像に含まれる3つの線分を特定する。続いて、特定部240は、撮像画像に含まれる3つの線分に基づいて、撮像画像に含まれる3つ以上の交点を取得する。
【0067】
具体的には、特定部240は、以下の手順によって、撮像画像に含まれる3つ以上の交点を取得する。ここでは、テストパターン画像が図4に示す画像(白抜きの菱形)であるケースについて例示する。
【0068】
第1に、特定部240は、図8に示すように、取得部230によって所定ライン毎に取得される撮像画像に基づいて、濃淡或いは明暗の差(エッジ)を有する点群Pedgeを取得する。すなわち、特定部240は、テストパターン画像の白抜きの菱形の4辺に対応する点群Pedgeを特定する。
【0069】
第2に、特定部240は、図9に示すように、点群Pedgeに基づいて、撮像画像に含まれる4つの線分(L1〜L4)を特定する。すなわち、特定部240は、テストパターン画像に含まれる4つの線分(L1〜L4)に対応する4つの線分(L1〜L4)を特定する。
【0070】
第3に、特定部240は、図9に示すように、4つの線分(L1〜L4)に基づいて、撮像画像に含まれる4つの交点(P1〜P4)を特定する。すなわち、特定部240は、テストパターン画像に含まれる4つの交点(P1〜P4)に対応する4つの交点(P1〜P4)を特定する。
【0071】
算出部250は、テストパターン画像に含まれる3つ以上の交点(例えば、P1〜P4)及び撮像画像に含まれる3つの交点(例えば、P1〜P4)に基づいて、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する。具体的には、算出部250は、投写型映像表示装置100(投写ユニット110)の光軸Nと投写面400の法線Mとのずれ量を算出する。
【0072】
なお、以下においては、記憶部220に記憶されたテストパターン画像を記憶テストパターン画像と称する。撮像画像に含まれるテストパターン画像を撮像テストパターン画像と称する。投写面400に投写されたテストパターン画像を投写テストパターン画像と称する。
【0073】
第1に、算出部250は、投写テストパターン画像に含まれる4つの交点(P1〜P4)の座標を算出する。ここでは、記憶テストパターン画像の交点P1、撮像テストパターン画像の交点P1、投写テストパターン画像の交点P1を例に挙げて説明する。交点P1、交点P1及び交点P1は、互いに対応する交点である。
【0074】
以下において、交点P1の座標(X1,Y1,Z1)の算出方法について、図10を参照しながら説明する。交点P1の座標(X1,Y1,Z1)は、投写型映像表示装置100の焦点Oを原点とする3次元空間における座標であることに留意すべきである。
【0075】
(1)算出部250は、記憶テストパターン画像の2次元平面における交点P1の座標(x1,y1)について、投写型映像表示装置100の焦点Oを原点とする3次元空間における交点P1の座標(X1,Y1,Z1)に変換する。具体的には、交点P1の座標(X1,Y1,Z1)は、以下の式によって表される。
【数1】

なお、Asは、3×3の変換行列であり、キャリブレーション等の前処理によって予め取得することが可能である。すなわち、Asは、既知のパラメータである。
【0076】
ここでは、投写型映像表示装置100の光軸方向に垂直な面がX軸及びY軸で表されており、投写型映像表示装置100の光軸方向がZ軸で表されている。
【0077】
同様に、算出部250は、撮像テストパターン画像の2次元平面における交点P1の座標(x1,y1)について、撮像素子300の焦点Oを原点とする3次元空間における交点P1の座標(X1,Y1,Z1)に変換する。
【数2】

なお、Atは、3×3の変換行列であり、キャリブレーション等の前処理によって予め取得することが可能である。すなわち、Atは、既知のパラメータである。
【0078】
ここでは、撮像素子300の光軸方向に垂直な面がX軸及びY軸で表されており、撮像素子300の向き(撮像方向)がZ軸で表されている。このような座標空間において、撮像素子300の向き(撮像方向)の傾き(ベクトル)は既知であることに留意すべきである。
【0079】
(2)算出部250は、交点P1と交点P1とを結ぶ直線Lの式を算出する。同様に、算出部250は、交点P1と交点P1とを結ぶ直線Lの式を算出する。なお、直線L及び直線Lの式は、以下のように表される。
【数3】

【0080】
(3)算出部250は、投写型映像表示装置100の焦点Oを原点とする3次元空間における直線L’に直線Lを変換する。直線L’は、以下の式によって表される。
【数4】

なお、投写型映像表示装置100の光軸及び撮像素子300の向き(撮像方向)は既知であるため、回転成分を示すパラメータRは既知である。同様に、投写型映像表示装置100及び撮像素子300の相対位置が既知であるため、並進成分を示すパラメータTも既知である。
【0081】
(4)算出部250は、式(3)及び式(5)に基づいて、直線L及び直線L’の交点(すなわち、交点P1)における媒介変数K及びKを算出する。続いて、算出部250は、交点P1の座標(X1,Y1,Z1)及びKに基づいて、交点P1の座標(X1,Y1,Z1)の座標を算出する。或いは、算出部250は、交点P1の座標(X1,Y1,Z1)及びKに基づいて、交点P1の座標(X1,Y1,Z1)の座標を算出する。
【0082】
これによって、算出部250は、交点P1の座標(X1,Y1,Z1)を算出する。同様に、算出部250は、交点P2の座標(X2,Y2,Z2)、交点P3の座標(X3,Y3,Z3)、交点P4の座標(X4,Y4,Z4)を算出する。
【0083】
第2に、算出部250は、投写面400の法線Mのベクトルを算出する。具体的には、算出部250は、交点P1〜交点P4のうち、少なくとも3つの交点の座標を用いて、投写面400の法線Mのベクトルを算出する。投写面400の式は、以下の式によって表され、パラメータk、k、kは、投写面400の法線Mのベクトルを表している。
【数5】

【0084】
これによって、算出部250は、投写型映像表示装置100の光軸Nと投写面400の法線Mとのずれ量を算出することができる。すなわち、算出部250は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出することができる。
【0085】
なお、第1実施形態では、特定部240及び算出部250を別々に説明したが、特定部240及び算出部250は、1つの構成と考えてもよい。例えば、特定部240の機能を算出部250が有していてもよい。
【0086】
図3に戻って、素子制御部260は、映像入力信号を映像出力信号に変換して、映像出力信号に基づいて、液晶パネル50を制御する。また、素子制御部260は、以下に示す機能を有する。
【0087】
具体的には、素子制御部260は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係に基づいて、投写面400上に投写された映像の形状の自動補正を行う機能を有する(形状調整)。すなわち、素子制御部260は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係に基づいて、自動的に台形補正を行う機能を有する。
【0088】
投写ユニット調整部270は、投写ユニット110に設けられるレンズ群を制御する。第1に、投写ユニット調整部270は、投写ユニット110に設けられるレンズ群のシフトによって、投写面400上に設けられる表示枠420内に投写可能範囲410を収める(ズーム調整)。具体的には、投写ユニット調整部270は、投写ユニット調整部270は、取得部230によって取得される枠検出パターン画像の撮像画像に基づいて、表示枠420内に投写可能範囲410が収まるように、投写ユニット110に設けられるレンズ群を制御する。
【0089】
第2に、投写ユニット調整部270は、投写ユニット110に設けられるレンズ群のシフトによって、投写面400に投写された映像のフォーカスを調整する(フォーカス調整)。具体的には、投写ユニット調整部270は、取得部230によって取得されるフォーカス調整画像の撮像画像に基づいて、投写面400に投写された映像のフォーカス値が最大値となるように、投写ユニット110に設けられるレンズ群を制御する。
【0090】
なお、素子制御部260及び投写ユニット調整部270は、投写面400に投写された映像を調整する調整部280を構成する。
【0091】
第1実施形態では、投写型映像表示装置100は、投写面400上に枠検出パターン画像を投写して、投写面400上に設けられる表示枠420を検出する。続いて、投写型映像表示装置100は、投写面400上にフォーカス調整画像を投写して、投写面400上に投写される映像(テストパターン画像)の全体を対象として、投写面400上に投写される映像のフォーカスを調整する。続いて、投写型映像表示装置100は、投写面400上にテストパターン画像を投写して、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する。続いて、投写型映像表示装置100は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係に基づいて、投写面400上に投写される映像の形状を調整する。
【0092】
第1実施形態では、投写型映像表示装置100は、テストパターン画像の全体を対象として、テストパターン画像に含まれる線分を特定し、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する(一括処理モード(第1処理モード))。すなわち、一括処理モードでは、撮像素子300は、投写可能範囲410の全体を対象としてフォーカスが調整された状態でテストパターン画像の全体を撮像し、投写型映像表示装置100は、テストパターン画像の全体の撮像画像に基づいて、テストパターン画像に含まれる3つ以上の線分を特定する。
【0093】
(投写型映像表示装置の動作)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置(制御ユニット)の動作について、図面を参照しながら説明する。図11及び図12は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100(制御ユニット200)の動作を示すフロー図である。
【0094】
図11に示すように、ステップ50において、投写型映像表示装置100は、画像調整リセット処理を行う。具体的には、投写型映像表示装置100は、形状調整、ズーム調整、フォーカス調整などのパラメータ(例えば、以前のパラメータ)を初期パラメータにリセットする。
【0095】
なお、投写型映像表示装置100は、画像調整リセット処理において、投写面400上に映像の形状変化をユーザに視認させないために、図11に示すフローの開始から画像調整リセット処理(各種パラメータのリセット)を行うまで、投写面400上に映像を表示しないことが好ましい。
【0096】
ステップ100において、投写型映像表示装置100は、投写面400上に枠検出パターン画像を表示(投写)する。枠検出パターン画像は、例えば、白画像などである。
【0097】
ステップ200において、投写型映像表示装置100に設けられた撮像素子300は、投写面400を撮像する。すなわち、撮像素子300は、投写面400上に投写された枠検出パターン画像を撮像する。続いて、投写型映像表示装置100は、枠検出パターン画像の撮像画像に基づいて、投写面400上に設けられる表示枠420を検出する。
【0098】
ステップ310において、投写型映像表示装置100は、テストパターン画像の全体を対象として、テストパターン画像に含まれる線分を特定し、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する(一括処理モード)。なお、一括処理モードの詳細については後述する(図12を参照)。
【0099】
ステップ400において、投写型映像表示装置100は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係に基づいて、投写面400上に投写される映像の形状を調整する(台形補正)。
【0100】
図12に示すように、ステップ311において、投写型映像表示装置100は、投写面400上にフォーカス調整画像を表示(投写)する。フォーカス調整画像は、例えば、白のストライプ及び黒のストライプが交互に配置された画像などである。
【0101】
ステップ312において、投写型映像表示装置100に設けられた撮像素子300は、投写面400を撮像する。すなわち、撮像素子300は、投写面400上に投写されたフォーカス調整画像を撮像する。
【0102】
ステップ313において、投写型映像表示装置100は、投写面400に投写されたフォーカス調整画像のフォーカス値を算出する。
【0103】
ステップ314において、投写型映像表示装置100は、フォーカス調整画像の全体を対象として、フォーカス調整画像のフォーカス値が最大値であるか否かを判定する。投写型映像表示装置100は、フォーカス値が最大値である場合に、ステップ316の処理に移る。投写型映像表示装置100は、フォーカス値が最大値でない場合に、ステップ315の処理に移る。
【0104】
ステップ315において、投写型映像表示装置100は、投写可能範囲410の全体を対象として、投写面400に投写されたフォーカス調整画像のフォーカスを調整する。具体的には、投写型映像表示装置100は、フォーカス調整画像の撮像画像に基づいて、投写ユニット110に設けられるレンズ群をシフトする。
【0105】
すなわち、投写型映像表示装置100は、ステップ312〜ステップ315のループ処理によって、フォーカス調整画像の全体を対象としてフォーカス値が最大値となるように、フォーカス調整画像のフォーカスを調整する。
【0106】
ステップ316において、投写型映像表示装置100は、投写面400上にテストパターン画像を表示(投写)する。
【0107】
ステップ317において、投写型映像表示装置100に設けられた撮像素子300は、投写面400を撮像する。すなわち、撮像素子300は、投写面400上に投写されたテストパターン画像を撮像する。
【0108】
ステップ318において、投写型映像表示装置100は、撮像テストパターン画像の全体を対象として、撮像テストパターン画像に含まれる4つの線分(L1〜L4)を特定する。
【0109】
ステップ319において、投写型映像表示装置100は、4つの線分(L1〜L4)に基づいて、撮像テストパターン画像に含まれる4つの交点(P1〜P4)を特定する。
【0110】
ステップ320において、投写型映像表示装置100は、記憶テストパターン画像に含まれる4つの交点(P1〜P4)及び撮像テストパターン画像に含まれる4つの交点(P1〜P4)に基づいて、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する。
【0111】
(作用及び効果)
第1実施形態では、テストパターン画像に含まれる3つ以上の線分は、所定ラインに対して傾きを有する。第1に、テストパターン画像に含まれる線分が所定ラインに沿っている場合と比べて、エッジ検出等を行うためにサンプリングすべき画素数を低減することができる。従って、映像調整の処理負荷を軽減することができる。第2に、テストパターン画像に含まれる線分が所定ラインに沿っている場合と比べて、テストパターン画像に含まれる線分の検出精度が向上する。
【0112】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0113】
具体的には、第1実施形態では、投写型映像表示装置100は、テストパターン画像の全体を対象として、テストパターン画像に含まれる線分を特定し、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する(一括処理モード)。
【0114】
これに対して、変更例1では、投写型映像表示装置100は、テストパターン画像を部分的に含むように分割された複数の画像領域のそれぞれを対象として、テストパターン画像に含まれる線分を特定し、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する(分割処理モード(第2処理モード))。すなわち、分割処理モードでは、撮像素子300は、複数の画像領域毎にフォーカスが調整された状態でテストパターン画像を複数の領域毎に撮像し、投写型映像表示装置100は、複数の領域毎のテストパターン画像の撮像画像に基づいて、テストパターン画像に含まれる3つ以上の線分を特定する。
【0115】
具体的には、図13に示すように、投写可能範囲410は、複数の画像領域(例えば、画像領域#1〜画像領域#4)を含む。各画像領域は、テストパターン画像を部分的に含むように分割されている。
【0116】
ここで、投写型映像表示装置100は、図14(a)に示すように、画像領域#1にフォーカス調整画像を表示した上で、画像領域#1を対象として、画像領域#1に表示されるフォーカス調整画像のフォーカスを調整する。続いて、投写型映像表示装置100は、フォーカスが調整された画像領域#1に表示されるテストパターン画像の一部の撮像画像に基づいて、テストパターン画像の一部の撮像画像に含まれる線分を特定する。
【0117】
同様に、投写型映像表示装置100は、図14(b)〜図14(d)に示すように、画像領域#2〜画像領域#4にフォーカス調整画像を順に表示した上で、画像領域#2〜画像領域#4のそれぞれを対象として、画像領域#2〜画像領域#4のそれぞれに表示されるフォーカス調整画像のフォーカスを調整する。続いて、投写型映像表示装置100は、フォーカスが調整された画像領域#2〜画像領域#4に表示されるテストパターン画像の一部の撮像画像に基づいて、テストパターン画像の一部に含まれる線分を順に特定する。
【0118】
(投写型映像表示装置の動作)
以下において、変更例1に係る投写型映像表示装置(制御ユニット)の動作について、図面を参照しながら説明する。図15及び図16は、変更例1に係る投写型映像表示装置100(制御ユニット200)の動作を示すフロー図である。なお、図15では、図11と同様の処理について、同様の符号を付している。従って、ステップ100、ステップ200及びステップ400の処理の説明については省略する。
【0119】
図15に示すように、ステップ350において、投写型映像表示装置100は、テストパターン画像を部分的に含むように分割された複数の画像領域のそれぞれを対象として、テストパターン画像に含まれる線分を特定し、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する(分割処理モード)。なお、分割処理モードの詳細については、図16を参照しながら説明する。
【0120】
図16に示すように、ステップ351において、投写型映像表示装置100は、テストパターン画像を部分的に含むように分割された複数の画像領域の中から、線分を特定すべき対象領域をセットする。例えば、投写型映像表示装置100は、画像領域#1を対象領域としてセットする。
【0121】
ステップ352Aにおいて、投写型映像表示装置100は、対象領域を対象として、投写面400上にフォーカス調整画像を表示(投写)する。フォーカス調整画像は、例えば、白のストライプ及び黒のストライプが交互に配置された画像などである。
【0122】
ステップ353Aにおいて、投写型映像表示装置100に設けられた撮像素子300は、投写面400を撮像する。すなわち、撮像素子300は、対象領域(例えば、画像領域#1)と対応する位置に投写されたフォーカス調整画像を撮像する。
【0123】
ステップ354Aにおいて、投写型映像表示装置100は、対象領域(例えば、画像領域#1)と対応する位置に投写されたフォーカス調整画像のフォーカス値を算出する。
【0124】
ステップ355Aにおいて、投写型映像表示装置100は、対象領域(例えば、画像領域#1)と対応する位置に投写されたフォーカス調整画像のフォーカス値が最大値であるか否かを判定する。投写型映像表示装置100は、フォーカス値が最大値である場合に、ステップ357の処理に移る。投写型映像表示装置100は、フォーカス値が最大値でない場合に、ステップ356Aの処理に移る。
【0125】
ステップ356Aにおいて、投写型映像表示装置100は、対象領域(例えば、画像領域#1)を対象として、対象領域に投写されたフォーカス調整画像のフォーカスを調整する。具体的には、投写型映像表示装置100は、フォーカス調整画像の撮像画像に基づいて、投写ユニット110に設けられるレンズ群をシフトする。
【0126】
すなわち、投写型映像表示装置100は、ステップ353A〜ステップ356Aのループ処理によって、対象領域(例えば、画像領域#1)を対象としてフォーカス値が最大値となるように、対象領域に投写されたフォーカス調整画像のフォーカスを調整する。
【0127】
ステップ357において、投写型映像表示装置100は、投写面400上にテストパターン画像を表示(投写)する。
【0128】
ステップ358において、投写型映像表示装置100に設けられた撮像素子300は、投写面400を撮像する。すなわち、撮像素子300は、対象領域(例えば、画像領域#1)と対応する位置に投写されたテストパターン画像を撮像する。
【0129】
ステップ359において、投写型映像表示装置100は、対象領域(例えば、画像領域#1)と対応する撮像テストパターン画像の一部に基づいて、対象領域と対応する撮像テストパターン画像の一部に含まれる4つの線分(L1〜L4の少なくとも1つ)を特定する。
【0130】
ステップ360において、投写型映像表示装置100は、テストパターン画像を部分的に含むように構成された複数の画像領域の全てが対象領域としてセットされたか否かを判定する。
【0131】
ステップ361において、投写型映像表示装置100は、テストパターン画像を部分的に含むように構成された複数の画像領域毎に特定された線分を用いて、撮像テストパターン画像に含まれる4つの線分(L1〜L4)を特定する。続いて、投写型映像表示装置100は、撮像テストパターン画像に含まれる4つの交点(P1〜P4)を特定する。
【0132】
ステップ362において、投写型映像表示装置100は、記憶テストパターン画像に含まれる4つの交点(P1〜P4)及び撮像テストパターン画像に含まれる4つの交点(P1〜P4)に基づいて、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する。
【0133】
(作用及び効果)
変更例1では、分割処理モードでは、撮像素子300は、複数の画像領域毎にフォーカスが調整された状態でテストパターン画像を複数の領域毎に撮像し、投写型映像表示装置100は、複数の領域毎のテストパターン画像の撮像画像に基づいて、テストパターン画像に含まれる3つ以上の線分を特定する。
【0134】
従って、投写面400の法線に対して投写型映像表示装置100の光軸が非常に傾いているケースにおいて、テストパターン画像の全体を対象としてフォーカスを調整することができなくても、テストパターン画像に含まれる3つ以上の線分の特定精度が向上する。
【0135】
なお、テストパターン画像の全体を対象としてフォーカスを調整することができない場合には、エッジ検出等の精度が低下して、テストパターン画像に含まれる3つ以上の線分の特定精度が低いことに留意すべきである。
【0136】
[変更例2]
以下において、第1実施形態の変更例2について、図面を参照しながら説明する。以下においては、変更例1との相違点について主として説明する。
【0137】
具体的には、変更例1では、分割処理モードにおいて、撮像素子300は、複数の画像領域毎にフォーカスが調整された状態でテストパターン画像を複数の領域毎に撮像し、投写型映像表示装置100は、複数の領域毎のテストパターン画像の撮像画像に基づいて、テストパターン画像に含まれる3つ以上の線分を特定する。
【0138】
これに対して、変更例2では、撮像素子300は、複数の画像領域毎に露光時間が調整された状態でテストパターン画像を複数の領域毎に撮像し、投写型映像表示装置100は、複数の領域毎のテストパターン画像の撮像画像に基づいて、テストパターン画像に含まれる3つ以上の線分を特定する。
【0139】
(制御ユニットの構成)
以下において、変更例2に係る制御ユニットについて、図面を参照しながら説明する。図17は、変更例2に係る制御ユニット200を示すブロック図である。なお、図17では、図3と同様の構成について、同様の符号が付されている。
【0140】
図17に示すように、制御ユニット200は、図3に示す構成に加えて、露光時間調整部290を有する。
【0141】
露光時間調整部290は、露光調整画像の撮像画像に基づいて、撮像素子300の露光時間を調整する。具体的には、露光時間調整部290は、テストパターン画像を部分的に含むように分割された複数の画像領域のそれぞれを対象として、撮像素子300の露光時間を調整する。
【0142】
変更例2では、図18に示すように、投写可能範囲410は、変更例1と同様に、複数の画像領域(例えば、画像領域#1〜画像領域#4)を含む。各画像領域は、テストパターン画像を部分的に含むように分割されている。
【0143】
ここで、投写型映像表示装置100は、図19(a)に示すように、露光調整画像を表示した上で、画像領域#1を対象として、撮像素子300の露光時間を調整する。続いて、投写型映像表示装置100は、露光時間が調整された画像領域#1に表示されるテストパターン画像の一部の撮像画像に基づいて、テストパターン画像の一部の撮像画像に含まれる線分を特定する。
【0144】
同様に、投写型映像表示装置100は、図19(b)〜図19(d)に示すように、露光調整画像を順に表示した上で、画像領域#2〜画像領域#4のそれぞれを対象として、撮像素子300の露光時間を調整する。続いて、投写型映像表示装置100は、露光時間が調整された画像領域#2〜画像領域#4に表示されるテストパターン画像の一部の撮像画像に基づいて、テストパターン画像の一部に含まれる線分を順に特定する。
【0145】
(投写型映像表示装置の動作)
以下において、変更例2に係る投写型映像表示装置(制御ユニット)の動作について、図面を参照しながら説明する。図20は、変更例2に係る投写型映像表示装置100(制御ユニット200)の動作を示すフロー図である。なお、図20は、分割処理モードを示すフロー図である。図20では、図16と同様の処理について、同様の符号が付されている。従って、ステップ351、ステップ357〜ステップ362の処理の説明については省略する。
【0146】
図20に示すように、ステップ352Bにおいて、投写型映像表示装置100は、露光調整画像を表示(投写)する。露光調整画像は、例えば、白画像などである。
【0147】
ステップ353Bにおいて、投写型映像表示装置100に設けられた撮像素子300は、投写面400を撮像する。すなわち、撮像素子300は、対象領域(例えば、画像領域#1)と対応する位置に投写された露光調整画像を少なくとも撮像する。
【0148】
ステップ354Bにおいて、投写型映像表示装置100は、対象領域(例えば、画像領域#1)と対応する位置に投写された露光調整画像の露光値を算出する。
【0149】
ステップ355Bにおいて、投写型映像表示装置100は、対象領域(例えば、画像領域#1)と対応する位置に投写された露光調整画像の露光値が最適値であるか否かを判定する。投写型映像表示装置100は、露光値が最適値である場合に、ステップ357の処理に移る。投写型映像表示装置100は、露光値が最適値でない場合に、ステップ356Bの処理に移る。
【0150】
ステップ356Bにおいて、投写型映像表示装置100は、対象領域(例えば、画像領域#1)を対象として、撮像素子300の露光時間を調整する。具体的には、投写型映像表示装置100は、露光調整画像の撮像画像に基づいて、撮像素子300の露光時間(例えば、シャッタスピード)を調整する。
【0151】
すなわち、投写型映像表示装置100は、ステップ353B〜ステップ356Bのループ処理によって、対象領域(例えば、画像領域#1)を対象として露光値が最適値となるように、対象領域に投写されたフォーカス調整画像の露光時間を調整する。
【0152】
(作用及び効果)
変更例2では、分割処理モードでは、撮像素子300は、複数の画像領域毎に露光時間が調整された状態でテストパターン画像を複数の領域毎に撮像し、投写型映像表示装置100は、複数の領域毎のテストパターン画像の撮像画像に基づいて、テストパターン画像に含まれる3つ以上の線分を特定する。
【0153】
従って、投写面400の法線に対して投写型映像表示装置100の光軸が非常に傾いているケースにおいて、投写可能範囲410の明るさにムラがあっても、テストパターン画像に含まれる3つ以上の線分の特定精度が向上する。
【0154】
なお、投写可能範囲410の明るさにムラがある場合には、撮像素子300によって撮像された画像の品質が低下して、テストパターン画像に含まれる3つ以上の線分の特定精度が低いことに留意すべきである。
【0155】
[変更例3]
以下において、第1実施形態の変更例3について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0156】
具体的には、変更例3では、投写型映像表示装置100は、一括処理モードを行った結果、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係が許容範囲外である場合に、分割処理モードを行う。
【0157】
(制御ユニットの構成)
以下において、変更例3に係る制御ユニットについて、図面を参照しながら説明する。図21は、変更例3に係る制御ユニット200を示すブロック図である。なお、図21では、図3と同様の構成について、同様の符号が付されている。
【0158】
図21に示すように、制御ユニット200は、図3に示す構成に加えて、モード制御部295を有する。
【0159】
モード制御部295は、一括処理モード及び分割処理モードを制御する。具体的には、モード制御部295は、処理モードに応じて、取得部230、特定部240、算出部250及び撮像素子300を制御する。
【0160】
詳細には、モード制御部295は、一括処理モードで算出された投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出部250から取得する。続いて、モード制御部295は、位置関係が許容範囲内であるか否かを判定する。
【0161】
モード制御部295は、位置関係が許容範囲内である場合には、一括処理モードで算出された位置関係に基づいて、投写面400上に投写される映像の形状を調整するように素子制御部260に指示する。
【0162】
一方で、モード制御部295は、位置関係が許容範囲内でない場合には、分割処理モードを行うように、取得部230、特定部240、算出部250、投写ユニット調整部270及び撮像素子300を制御する。続いて、モード制御部295は、分割処理モードで算出された位置関係に基づいて、投写面400上に投写される映像の形状を調整するように素子制御部260に指示する。
【0163】
(投写型映像表示装置の動作)
以下において、変更例3に係る投写型映像表示装置(制御ユニット)の動作について、図面を参照しながら説明する。図22は、変更例3に係る投写型映像表示装置100(制御ユニット200)の動作を示すフロー図である。なお、図22では、図11と同様の処理について、同様の符号を付している。従って、ステップ100、ステップ200及びステップ400の処理の説明については省略する。
【0164】
なお、ステップ310の詳細は、図12と同様であるため、ステップ310の処理の説明については省略する。また、ステップ350の詳細は、図16と同様であるため、ステップ350の処理の説明については省略する。
【0165】
図22に示すように、投写型映像表示装置100は、一括処理モードを行った結果、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係が許容範囲内であるか否かを判定する。投写型映像表示装置100は、位置関係が許容範囲内である場合には、分割処理モードを行わずに、ステップ400の処理に移る。投写型映像表示装置100は、位置関係が許容範囲内でない場合には、ステップ350の処理に移る。
【0166】
(作用及び効果)
変更例3では、投写型映像表示装置100は、一括処理モードを行った結果、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係が許容範囲外である場合に、分割処理モードを行う。すなわち、分割処理モードを行う必要がない場合に、分割処理モードが省略される。従って、映像調整の処理負荷の増大を抑制することができる。
【0167】
[変更例4]
以下において、第1実施形態の変更例4について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0168】
図23は、変更例4に係る投写型映像表示装置100の正面図である。図23に示すように、撮像素子300が撮像データを出力する所定ラインの向きが水平方向とは異なるように撮像素子300が配置される。
【0169】
従って、図24に示すように、テストパターン画像が投写可能範囲410と略相似の長方形形状である場合であっても、テストパターン画像の4辺は、撮像素子300が撮像データを出力する所定ラインの向きに対して傾きを有する。
【0170】
これによって、図25に示すように、濃淡或いは明暗の差(エッジ)を有する点群Pedgeは、所定ラインの向きに対して傾きを持って検出される。
【0171】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0172】
上述した実施形態では、光源として、白色光源を例示した。しかしながら、光源は、LED(Laser Emitting Diode)やLD(Laser Diode)であってもよい。
【0173】
上述した実施形態では、光変調素子として、透過型の液晶パネルについて例示した。しかしながら、光変調素子は、反射型の液用パネルやDMD(Digital Micromirror Device)であってもよい。
【0174】
上述した実施形態では特に触れていないが、分割処理モードは、変更例1に示すフォーカス調整及び変更例2に示す露光時間調整の組み合わせであってもよい。
【0175】
変更例3では、分割処理モードとして、変更例1に示すフォーカス調整を例示した。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。変更例3において、分割処理モードとして、変更例2に示す露光時間調整を適用してもよい。
【0176】
上述した実施形態では特に触れていないが、素子制御部260は、表示枠420が検出されてから、テストパターン画像が表示されるまで、映像を表示しないように液晶パネル50を制御することが好ましい。
【0177】
上述した実施形態では特に触れていないが、素子制御部260は、撮像テストパターン画像に含まれる3つ以上の交点が取得されてから、投写面400上に投写される映像の形状が補正されるまで、映像を表示しないように液晶パネル50を制御することが好ましい。
【0178】
上述した実施形態では特に触れていないが、素子制御部260は、テストパターン画像とともに、テストパターン画像以外の所定画像(例えば、背景画像)を表示するように液晶パネル50を制御することが好ましい。
【0179】
例えば、撮像素子300によって検出可能な色や輝度によってテストパターン画像が構成されており、撮像素子300によって検出できない色や輝度によってテストパターン画像以外の所定画像が構成される。
【0180】
或いは、赤、緑及び青のうち、いずれかの色によってテストパターン画像が構成されており、他の色によってテストパターン画像以外の所定画像が構成される。撮像素子300は、テストパターン画像を構成する色のみを検出することによって、テストパターン画像の撮像画像を取得することができる。
【0181】
また、映像信号が入力されていない場合には、素子制御部260は、テストパターン画像とともに、所定画像としてエラーメッセージを表示するように液晶パネル50を制御してもよい。或いは、テストパターン画像に含まれる線分或いは交点を特定することができない場合に、素子制御部260は、所定画像としてエラーメッセージを表示するように液晶パネル50を制御してもよい。
【0182】
実施形態では、投写型映像表示装置100は、表示枠420の検出後に、フォーカスを調整する。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、投写型映像表示装置100は、表示枠420を検出せずに、フォーカスを調整してもよい。具体的には、通常の使用態様では、投写可能範囲410の中心部分が表示枠420内に含まれることが想定されるため、投写型映像表示装置100は、投写可能範囲410の中心部分にフォーカス調整画像を表示するとともに、投写可能範囲410の中心部分に表示される映像(フォーカス調整画像)のフォーカスを調整してもよい。
【0183】
実施形態では、テストパターン画像のうち、背景部分が黒であり、パターン部分が白である。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。例えば、背景部分が白であり、パターン部分が黒であってもよい。背景部分が青であり、パターン部分が白であってもよい。すなわち、エッジ検出が可能な程度、背景部分とパターン部分との間に輝度差があればよい。なお、エッジ検出が可能な程度は、撮像素子300の精度に応じて定められる。背景部分とパターン部分との間の輝度差が大きいほど、撮像素子300の精度が必要とされないため、撮像素子300のコストを低減できることは勿論である。
【0184】
上述した実施形態では、投写型映像表示装置100は、分割処理モードにおいて、フォーカス調整(或いは、露光調整)を行って線分を特定するまでの処理を対象領域毎に行う。しかしながら、実施形態は、これに限定されるものではない。投写型映像表示装置100は、分割処理モードにおいて、フォーカス調整(或いは、露光調整)を対象領域毎に行って、フォーカス値(或いは、露光値)を対象領域毎に記憶した上で、フォーカス値(或いは、露光値)を対象領域毎に変更しながら、各対象領域に含まれる線分を特定してもよい。
【符号の説明】
【0185】
10…光源、20…UV/IRカットフィルタ、30…フライアイレンズユニット、40…PBSアレイ、50…液晶パネル、52、53…偏光板、60…クロスダイクロイックキューブ、71〜76…ミラー、81〜85…レンズ、100…投写型映像表示装置、110…投写ユニット、120…照明ユニット、200…制御ユニット、210…映像信号受付部、220…記憶部、230…取得部、240…特定部、250…算出部、260…素子制御部、270…投写ユニット制御部、280…調整部、290…露光時間調整部、295…モード制御部、300…撮像素子、400…投写面、410…投写可能範囲、420…表示枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射される光を変調する光変調素子と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写ユニットとを有する投写型映像表示装置であって、
3つ以上の交点を構成する3つ以上の線分のそれぞれの少なくとも一部分を構成するテストパターン画像を表示するように前記光変調素子を制御する素子制御部と、
前記投写面上に投写された前記テストパターン画像を撮像する撮像素子から所定ラインに沿って出力される前記テストパターン画像の撮像画像を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された撮像画像に基づいて、前記撮像画像に含まれる3つ以上の線分より3つ以上の交点を特定し、前記3つ以上の交点に基づいて、前記投写型映像表示装置と前記投写面との位置関係を算出する算出部と、
前記投写型映像表示装置と前記投写面との位置関係に基づいて、前記投写面上に投写される映像を調整する調整部とを備え、
前記3つ以上の線分は、前記所定ラインに対して傾きを有することを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記所定ラインは、水平方向に沿って延びるラインであることを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記素子制御部は、前記撮像画像に含まれる3つ以上の交点が取得されてから、前記投写面上に投写される映像の形状が補正されるまで、映像を表示しないように前記光変調素子を制御することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記素子制御部は、前記テストパターン画像とともに、前記テストパターン画像以外の所定画像を表示するように前記光変調素子を制御することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記3つ以上の線分が前記所定ラインに対して傾きを有するように前記撮像素子が配置されることを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項6】
前記調整部は、前記投写面上に投写される映像のフォーカスを調整するフォーカス調整部を含み、
前記フォーカス調整部は、前記テストパターン画像を部分的に含むように分割された複数の画像領域毎にフォーカスを順に調整し、
前記算出部は、フォーカスが調整された画像領域に表示されたテストパターン画像の一部の撮像画像に基づいて、前記テストパターン画像の一部に含まれる線分を特定することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項7】
前記テストパターン画像を部分的に含むように分割された複数の画像領域毎に、前記撮像素子の露光時間を順に調整する露光時間調整部をさらに備え、
前記算出部は、露光時間が調整された画像領域に表示されたテストパターン画像の一部の撮像画像に基づいて、前記テストパターン画像の一部に含まれる線分を特定することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項8】
第1処理モード及び第2処理モードを制御するモード制御部をさらに備え、
前記調整部は、前記投写面上に投写される映像のフォーカスを調整するフォーカス調整部を含み、
前記第1処理モードは、前記テストパターン画像の全体を対象として、前記テストパターン画像に含まれる線分を特定するとともに、前記投写型映像表示装置と前記投写面との位置関係を算出するモードであり、
前記第2処理モードは、前記テストパターン画像を部分的に含むように分割された複数の画像領域のそれぞれを対象として、前記テストパターン画像に含まれる線分を特定するとともに、前記投写型映像表示装置と前記投写面との位置関係を算出するモードであり、
前記モード制御部は、前記第1処理モードを行った結果、前記投写型映像表示装置と前記投写面との位置関係が許容範囲外である場合に、前記第2処理モードを行うことを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項9】
光源から出射される光を変調する光変調素子と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写ユニットとを有する投写型映像表示装置に適用される画像調整方法であって、
3つ以上の交点を構成する3つ以上の線分のそれぞれの少なくとも一部分を構成するテストパターン画像を表示するステップAと、
前記投写面上に投写された前記テストパターン画像を撮像し、前記3つ以上の線分に対して傾きを有する所定ラインに沿って前記テストパターン画像の撮像画像を取得するステップBと、
前記撮像画像に基づいて、前記投写型映像表示装置と前記投写面との位置関係を算出するステップCと、
前記投写型映像表示装置と前記投写面との位置関係に基づいて、前記投写面上に投写される映像を調整するステップDとを備えることを特徴とする画像調整方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate


【公開番号】特開2011−50036(P2011−50036A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−118460(P2010−118460)
【出願日】平成22年5月24日(2010.5.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】