説明

投写型映像表示装置

【課題】映像の色再現範囲の拡大を適切に図ることを可能とする投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】映像入力信号に応じて、赤用、緑用および青用の出力信号を出力する制御部130と、赤用出力信号に基づいて、赤成分光Rを変調する液晶パネル230Rと、緑用出力信号に基づいて、緑成分光Gを変調する液晶パネル230Gと、青用出力信号に基づいて、青成分光Bを変調する液晶パネル230Bと、各液晶パネルから出射された光を合成するクロスダイクロイックキューブ250と、を備える投写型映像表示装置において、黄成分光Yeの偏光状態を調整する偏光切替素子230Yeをさらに備え、偏光切替素子から出射された黄成分光は、液晶パネルのうちいずれかの光変調素子に入射し、制御部は、映像入力信号のうち、黄成分光が再現する色の補色とは異なる色に対応する信号である参照信号に基づいて、偏光切替素子を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、赤成分光に対応する赤用入力信号、緑成分光に対応する緑用入力信号及び青成分光に対応する青用入力信号に応じて、赤用出力信号、緑用出力信号、青用出力信号及び第4色用出力信号を生成する投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、赤成分光を変調する赤用液晶パネルと、緑成分光を変調する緑用液晶パネルと、青成分光を変調する青用液晶パネルとを備えた3板式の投写型映像表示装置が一般的に広く知られている。
【0003】
また、輝度の向上や消費電力の低減を目的として、赤成分光、緑成分光及び青成分光に加えて、第4色成分光(例えば、白成分光)を利用した投写型映像表示装置も提案されている(例えば、特許文献1)。
【0004】
具体的には、投写型映像表示装置では、赤成分光、緑成分光及び青成分光の輝度成分を白成分光で代替することによって、スクリーン上に投写される映像の輝度向上や光源の消費電力低減が図られている。
【特許文献1】特開2004−280108号公報(請求項1、[0020]、図5など)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した投写型映像表示装置では、白成分光を追加することによって、スクリーン上に投写される映像の輝度向上を図ることは可能であるが、映像の色再現範囲の拡大を適切に図ることができない。
【0006】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、映像の色再現範囲の拡大を適切に図ることを可能とする投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一の特徴は、投写型映像表示装置であって、映像入力信号(例えば、赤入力信号Rin、緑入力信号Ginおよび青入力信号Bin)に応じて、第1色用出力信号(例えば、赤用出力信号Rout)、第2色用出力信号(例えば、緑用出力信号Gout)および第3色用出力信号(例えば、青用出力信号Bout)を出力する制御部(制御部130)と、前記第1色用出力信号に基づいて、第1色成分光(例えば、赤成分光R)を変調する第1光変調素子(例えば、液晶パネル230R)と、前記第2色用出力信号に基づいて、第2色成分光(例えば、緑成分光G)を変調する第2光変調素子(例えば、液晶パネル230G)と、前記第3色用出力信号に基づいて、第3色成分光(例えば、青成分光B)を変調する第3光変調素子(例えば、液晶パネル230B)と、前記第1光変調素子、前記第2光変調素子および前記第3光変調素子から出射された光を合成する色合成部(クロスダイクロイックキューブ250)と、を備えるものである。
【0008】
この投写型映像表示装置は、第4色成分光(例えば、黄成分光Ye)の偏光状態を調整する偏光切替素子(偏光切替素子230Ye)をさらに備え、前記偏光切替素子から出射された前記第4色成分光は、前記第1光変調素子、前記第2光変調素子及び前記第3光変調素子のうちいずれかの光変調素子に入射する。
【0009】
そして、前記制御部は、前記映像入力信号のうち、前記第4色成分光が再現する色の補色(例えば、第4色成分光が黄成分光Yeの場合は青成分光B)とは異なる色(例えば、第4色成分光が黄成分光Yeの場合は赤成分光Rおよび/または緑成分光G)に対応する信号である参照信号に基づいて、前記偏光切替素子を制御することを要旨とする。
【0010】
かかる特徴によれば、制御部が、映像入力信号のうち、第4色成分光が再現する色の補色とは異なる色に対応する信号に基づいて、第4色用出力信号を生成する。
【0011】
従って、第4色成分光を利用することによって映像の色再現性の向上を図りながら、映像の色バランスが崩れることを抑制できる。すなわち、映像の色再現範囲の拡大を適切に図ることができる。
【0012】
本発明の一の特徴は、上述した一の特徴において、前記制御部が、前記第4色成分光の光量を制御するための輝度パラメータβを用いて前記第4色用出力信号を生成し、前記輝度パラメータβが、前記映像の彩度の上昇に伴って前記第4色成分光の光量が減少するように定められたパラメータ(図5(b)を参照)であることを要旨とする。
【0013】
本発明の一の特徴は、上述した一の特徴において、前記制御部が、前記第4色成分光の光量を制御するための輝度パラメータβを用いて前記第4色用出力信号を生成し、前記輝度パラメータβは、前記映像の輝度が所定の閾値となるまで前記第4色成分光の光量が増大し、前記映像の輝度が前記所定の閾値を超えてから前記第4色成分光の光量が減少するように定められたパラメータ(図5(c)を参照)であることを要旨とする。
【0014】
本発明の一の特徴は、上述した一の特徴において、前記制御部が、制御の対象である対象領域と前記対象領域に隣接する隣接領域との相関に基づいて、前記対象領域に対応する前記第4色用出力信号を生成することを要旨とする。
【0015】
本発明の一の特徴は、上述した一の特徴において、前記制御部が、制御の対象である対象領域と前記対象領域に隣接する隣接領域との相関に基づいて、前記対象領域に対応する前記参照信号の減算量を制御することを要旨とする。
【0016】
本発明の一の特徴は、上述した一の特徴において、前記制御部が、前記映像入力信号に基づいて、背景領域及び前景領域を検出し、前記背景領域及び前記前景領域のうち、動きベクトルが小さい領域における前記第4色成分光の光量が、前記動きベクトルの大きい領域における前記第4色成分光の光量よりも増大するように、前記第4色用出力信号を生成することを要旨とする。
【0017】
本発明の一の特徴は、上述した一の特徴において、前記制御部が、前記第4色用出力信号に応じて、前記参照信号の減算量を算出し、前記第4色用出力信号と前記参照信号の減算量との差分に応じて、前記映像入力信号のうち、前記第4色成分光が再現する色の補色に対応する信号の増加量を算出することを要旨とする。
【0018】
本発明の一の特徴は、上述した一の特徴において、前記制御部は、前記映像入力信号のうち、前記第4色成分光が再現する色の補色とは異なる色に対応する信号である参照信号に基づいて、前記第4色用出力信号を生成するとともに、前記参照信号について減算して、前記赤用出力信号、前記緑用出力信号及び前記青用出力信号を生成することを要旨とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、映像の色再現範囲の拡大を適切に図ることを可能とする映像信号変換装置及び映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る照明ユニット120の構成を示す図である。
【図3】第1実施形態に係るRGB色再現範囲を示す図である。
【図4】第1実施形態に係る制御部130の構成を示すブロック図である。
【図5】第1実施形態に係る色再現パラメータα、輝度パラメータβ及び輝度パラメータβを示す図である。
【図6】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の動作を示すフロー図である。
【図7】第2実施形態に係る制御部130の構成を示すブロック図である。
【図8】第2実施形態に係る投写型映像表示装置100の動作を示すフロー図である。
【図9】第2実施形態に係る出力信号の算出例について説明するための図である。
【図10】第2実施形態に係る出力信号の算出例について説明するための図である。
【図11】第2実施形態に係る出力信号の算出例について説明するための図である。
【図12】第2実施形態に係る出力信号の算出例について説明するための図である。
【図13】第2実施形態に係る出力信号の算出例について説明するための図である。
【図14】第2実施形態に係る出力信号の算出例について説明するための図である。
【図15】第3実施形態に係る対象領域及び隣接領域について説明するための図である。
【図16】第3実施形態に係る出力信号の算出例について説明するための図である。
【図17】第3実施形態に係る出力信号の算出例について説明するための図である。
【図18】第4実施形態に係る制御部130の構成を示すブロック図である。
【図19】第5実施形態に係る照明ユニット320の構成を示す図である。
【図20】第5実施形態に係る液晶パネル30Yeを示す図である。
【図21】第5実施形態に係る液晶パネル30Yeと偏光板231Gとの組合せを示す図である。
【図22】第5実施形態に係る液晶パネル230Gの透過率について説明するための図である。
【図23】従来手法の第1例、従来手法の第2例及び第6実施形態の関係について示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0022】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0023】
[第1実施形態]
(投写型映像表示装置の概略)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の概略について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【0024】
図1に示すように、投写型映像表示装置100は、投写レンズ110を有しており、投写レンズ110によって拡大された映像光をスクリーン200上に投写する。投写型映像表示装置100は、後述するように、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bに加えて、黄成分光Yeを利用する。
【0025】
(照明ユニットの概略構成)
以下において、第1実施形態に係る照明ユニットの概略構成について、図面を参照しながら説明する。図2は、第1実施形態に係る照明ユニット120の概略構成を示す図である。図2では、光源10が発する光を均質化するフライアイレンズ、光源10が発する光の偏光方向を揃えるPBS(Polarized Beam Splitter)などが省略されていることに留意すべきである。
【0026】
図2に示すように、照明ユニット120は、複数の光源10(光源10R、光源10G、光源10B、光源10Ye)と、複数の液晶パネル30(液晶パネル30R、液晶パネル30G、液晶パネル30B及び液晶パネル30Ye)と、複数のダイクロイックキューブ(ダイクロイックキューブ51〜ダイクロイックキューブ53)と、複数のレンズ(レンズ71〜レンズ78)と投写レンズ110とを有する。
【0027】
光源10Rは、赤成分光Rを発するLED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)などの個体光源である。同様に、光源10G、光源10B及び光源10Yeは、緑成分光G、青成分光B及び黄成分光Yeを発するLEDやLDなどの個体光源である。
【0028】
液晶パネル30Rは、後述するように、赤用出力信号に基づいて赤成分光Rを変調する。同様に、液晶パネル30G、液晶パネル30B及び液晶パネル30Yeは、緑用出力信号、青用出力信号及び黄用出力信号に基づいて、緑成分光G、青成分光B及び黄成分光Yeを変調する。
【0029】
ここで、赤用出力信号、緑用出力信号及び青用出力信号は、後述するように、投写型映像表示装置100に外部から供給される赤用入力信号、青用入力信号及び緑用入力信号に応じて出力される信号である。黄用出力信号は、赤用入力信号及び緑用入力信号に基づいて生成される信号である。なお、赤用入力信号及び緑用入力信号は、黄成分光Yeが再現する黄色Yeの補色(青色B)とは異なる色(赤色R及び緑色G)に対応する信号(参照信号)である。
【0030】
ダイクロイックキューブ51は、液晶パネル30Bから出射される青成分光Bと液晶パネル30Gから出射される緑成分光Gを合成する。ダイクロイックキューブ51は、青成分光Bと緑成分光Gとが合成された合成光をダイクロイックキューブ53側に出射する。
【0031】
ダイクロイックキューブ52は、液晶パネル30Yeから出射される黄成分光Yeと液晶パネル30Rから出射される赤成分光Rとを合成する。ダイクロイックキューブ52は、黄成分光Yeと赤成分光Rとが合成された合成光をダイクロイックキューブ53側に出射する。
【0032】
ダイクロイックキューブ53は、ダイクロイックキューブ51によって合成された合成光とダイクロイックキューブ52によって合成された合成光とをさらに合成する。ダイクロイックキューブ53は、赤成分光R、緑成分光G、青成分光B及び黄成分光Yeが合成された合成光を投写レンズ110側に出射する。
【0033】
レンズ71及びレンズ72は、光源10Bが発する青成分光Bを集光して、液晶パネル30Bに青成分光Bを照射する。レンズ73及びレンズ74は、光源10Gが発する緑成分光Gを集光して、液晶パネル30Gに緑成分光Gを照射する。レンズ75及びレンズ76は、光源10Yeが発する黄成分光Yeを集光して、液晶パネル30Yeに黄成分光Yeを照射する。レンズ77及びレンズ78は、光源10Rが発する赤成分光Rを集光して、液晶パネル30Rに赤成分光Rを照射する。
【0034】
ここで、黄成分光Yeは、図3に示すように、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bが再現可能な色範囲(RGB色再現範囲)外の色を再現可能な光である。また、黄成分光Yeが再現する黄色Yeは、青成分光Bが再現する青色Bの補色である。黄成分光Yeが再現する黄色Yeは、赤成分光Rが再現する赤色R及び緑成分光Gが再現する緑色Gによって置換可能である。
【0035】
(投写型映像表示装置の機能)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の機能について、図面を参照しながら説明する。図4は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100(制御部130)の機能を示すブロック図である。
【0036】
図4に示すように、制御部130は、入力信号受付部131と、Ye置換成分算出部132と、パラメータ特定部133と、Ye成分調整部134と、出力部135とを有する。
【0037】
入力信号受付部131は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binを取得する。入力信号受付部131は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binをパラメータ特定部133に入力する。入力信号受付部131は、赤入力信号Rin及び緑入力信号GinをYe置換成分算出部132に入力する。
【0038】
なお、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binには、入力信号受付部131に入力される前に逆γ補正が加えられている。
【0039】
Ye置換成分算出部132は、赤成分光R及び緑成分光Gを黄成分光Yeによって代替可能な成分(Ye置換成分)に対応するYe置換信号Wを算出する。
【0040】
ここで、赤成分光R及び緑成分光Gは、赤成分光R及び緑成分光Gと等しい光量を有する黄成分光Yeによって代替可能である。従って、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginは、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginと等しい信号強度を有するYe置換信号Wによって代替可能である。
【0041】
従って、Ye置換成分算出部132は、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginに基づいて、以下の(式1)に従って、Ye置換信号Wを算出する。
【数1】

【0042】
なお、min(Rin,Gin)は、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginのうち、信号強度が低い入力信号である。
【0043】
Ye置換成分算出部132は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及びYe置換信号WをYe成分調整部134に入力する。
【0044】
パラメータ特定部133は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binによって再現される映像(赤色R、緑色G、青色B及び黄色Ye)の彩度及び輝度を算出する。続いて、パラメータ特定部133は、図5(a)〜図5(c)を参照して、色再現パラメータα及び輝度パラメータβを特定し、特定した色再現パラメータα及び輝度パラメータβをYe成分調整部134に入力する。
【0045】
具体的には、図5(a)に示すように、色再現パラメータαは、映像(特に、黄色Ye)の彩度がThとなるまでは一定である。一方、色再現パラメータαは、映像の彩度がThを超えると、映像の彩度の上昇に伴って増大するように定められている。すなわち、映像の彩度とホワイトポイントとの距離が一定距離以上において、映像の彩度がホワイトポイントから離れれば離れるほど、黄成分光Yeの光量が増大するように色再現パラメータαが定められている。これによって、赤成分光R及び緑成分光Gによって再現できない範囲の黄色Yeを黄成分光Yeによって再現できるため、映像の色再現性が向上する。
【0046】
なお、ホワイトポイントとは、白色を再現する際に各色成分光が組み合わされるポイントであることに留意すべきである。
【0047】
図5(b)に示すように、輝度パラメータβは、映像(特に、青色B)の彩度がThとなるまでは、映像の彩度の上昇に伴って減少するように定められている。一方、輝度パラメータβは、映像の彩度がThを超えると一定である。すなわち、映像の彩度とホワイトポイントとの距離が一定距離以内において、映像の彩度がホワイトポイントから離れれば離れるほど、黄成分光Yeの光量が減少するように輝度パラメータβが定められている。
【0048】
図5(c)に示すように、輝度パラメータβは、映像の輝度がThとなるまで増大し、映像の輝度がThを超えてから減少するように定められている。すなわち、映像の輝度がThであるときをピークとして、黄成分光Yeの光量が少なくなるように輝度パラメータβが定められている。これによって、映像の輝度が低い場合における「黒浮き」や映像の輝度が高い場合における「白とび」が抑制される。
【0049】
Ye成分調整部134は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及びYe置換信号Wに基づいて、赤調整信号R’、緑調整信号G’及び黄調整信号Ye’を算出する。ここで、第1実施形態では、Ye成分調整部134は、赤調整信号R’、緑調整信号G’及び黄調整信号Ye’に算出において、色再現パラメータα及び輝度パラメータβを用いる。具体的には、Ye成分調整部134は、以下の(式2)〜(式4)に基づいて、赤調整信号R’、緑調整信号G’及び黄調整信号Ye’を算出する。
【数2】

【0050】
出力部135は、赤用出力信号Rout、緑用出力信号Gout、青用出力信号Bout及び黄用出力信号Yeoutを各液晶パネル30に出力する。具体的には、出力部135は、赤調整信号R’を赤用出力信号Routとして液晶パネル30Rに出力する。同様に、出力部135は、緑調整信号G’及び黄調整信号Ye’を緑用出力信号Gout及び黄用出力信号Yeoutとして、液晶パネル30G及び液晶パネル30Yeに出力する。一方で、出力部135は、青入力信号Binをそのまま青用出力信号Boutとして液晶パネル30Bに出力する。
【0051】
なお、赤用出力信号Rout、緑用出力信号Gout、青用出力信号Bout及び黄用出力信号Yeoutには、各液晶パネル30に入力される前にγ補正が加えられる。
【0052】
(投写型映像表示装置の動作)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置の動作について、図面を参照しながら説明する。図6は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の動作を示すフロー図である。
【0053】
図6に示すように、ステップ10において、投写型映像表示装置100は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binを受付ける。
【0054】
ステップ20において、投写型映像表示装置100は、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginに基づいて、Ye置換信号Wを算出する。具体的には、投写型映像表示装置100は、以下の(式1)に基づいてYe置換信号Wを算出する。
【数3】

【0055】
なお、min(Rin,Gin)は、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginのうち、信号強度が低い入力信号である。
【0056】
ステップ30において、投写型映像表示装置100は、映像の彩度及び輝度に基づいて、色再現パラメータα及び輝度パラメータβを特定する。具体的には、投写型映像表示装置100は、上述した図5を参照して輝度パラメータβを特定する。
【0057】
ステップ40において、投写型映像表示装置100は、Ye置換信号Wに基づいて、赤調整信号R’、緑調整信号G’及び黄調整信号Ye’を算出する。具体的には、投写型映像表示装置100は、以下の(式2)〜(式4)に基づいて各調整信号を算出する。
【数4】

【0058】
ステップ50において、投写型映像表示装置100は、赤用出力信号Rout、緑用出力信号Gout、青用出力信号Bout及び黄用出力信号Yeoutを出力する。具体的には、投写型映像表示装置100は、赤調整信号R’を赤用出力信号Routとして液晶パネル30Rに出力する。同様に、投写型映像表示装置100は、緑調整信号G’及び黄調整信号Ye’を緑用出力信号Gout及び黄用出力信号Yeoutとして、液晶パネル30G及び液晶パネル30Yeに出力する。一方で、投写型映像表示装置100は、青入力信号Binをそのまま青用出力信号Boutとして液晶パネル30Bに出力する。
【0059】
(作用及び効果)
第1実施形態に係る投写型映像表示装置100によれば、黄成分光Yeが、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bによって再現可能なRGB色再現範囲外の色を再現する光であり、制御部130が、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binのうち、黄成分光Yeが再現する色の補色(青色B)とは異なる色(赤色R及び緑色G)に対応する赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginに基づいて、黄用出力信号Yeoutを生成する。
【0060】
従って、黄成分光Yeを利用することによって映像の色再現性の向上を図りながら、映像の色バランスが崩れることを抑制できる。すなわち、映像の色再現範囲の拡大を適切に図ることができる。
【0061】
制御部130が、映像(特に、黄色Ye)の彩度の上昇に伴って黄成分光Yeの光量が増大するように定められた色再現パラメータαを用いて、黄用出力信号Yeoutを生成する。従って、映像の色再現性を効果的に向上することができる。
【0062】
制御部130が、映像の彩度の上昇に伴って黄成分光Yeの光量が減少するように定められた輝度パラメータβを用いて、黄用出力信号Yeoutを生成する。従って、映像(特に、青色B)の彩度が高い場合に、黄成分光Yeによって色純度が低下することを抑制しながら、ホワイトポイント近傍において映像の輝度向上を図ることができる。
【0063】
制御部130が、映像の輝度がThであるときをピークとして、黄成分光Yeの光量が少なくなるように定められた輝度パラメータβを用いて黄用出力信号Yeoutを生成する場合には、映像の輝度が低い場合における「黒浮き」や映像の輝度が高い場合における「白とび」が抑制される。
【0064】
[第2実施形態]
以下において、第2実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第2実施形態との相違点について主として説明する。
【0065】
具体的には、上述した第1実施形態では、投写型映像表示装置100は、青入力信号Binをそのまま青用出力信号Boutとして液晶パネル30Bに出力する。これに対して、第2実施形態では、投写型映像表示装置100は、赤成分光R、緑成分光G、青成分光B及び黄成分光Yeの視感度を考慮して、赤用出力信号Rout、緑用出力信号Gout、青用出力信号Bout及び黄用出力信号Yeoutを調整する。
【0066】
(投写型映像表示装置の機能)
以下において、第2実施形態に係る投写型映像表示装置の機能について、図面を参照しながら説明する。図7は、第2実施形態に係る投写型映像表示装置100(制御部130)の機能を示すブロック図である。なお、図7では、図4と同様の構成については同様の符号を付していることに留意すべきである。
【0067】
図7に示すように、制御部130は、図4に示した構成に加えて、共通成分抽出部136と、視感度調整部137とを有する。
【0068】
共通成分抽出部136は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binに共通する信号強度共通成分Wを抽出する。具体的には、共通成分抽出部136は、以下の(式5)に基づいて、信号強度共通成分Wを算出する。
【数5】

【0069】
なお、min(Rin,Gin,Bin)は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binのうち、信号強度が低い入力信号である。第2実施形態では、青入力信号Binの信号強度は、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginの信号強度よりも低いことに留意すべきである。
【0070】
続いて、共通成分抽出部136は、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginから信号強度共通成分Wを除いた赤用中間信号R及び緑用中間信号Gを算出する。具体的には、共通成分抽出部136は、以下の(式6)〜(式8)に基づいて、赤用中間信号R及び緑用中間信号Gを算出する。
【数6】

【0071】
なお、第2実施形態では、青入力信号Binの信号強度は、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginの信号強度よりも低いため、Bが0となることは勿論である。
【0072】
視感度調整部137は、信号強度共通成分Wに基づいて、赤成分光R、緑成分光G、青成分光B及び黄成分光Yeの視感度を考慮した赤用中間信号R、緑用中間信号G、青用中間信号B及び黄用中間信号Yeを算出する。ここで、視感度調整部137は、赤成分光R、緑成分光G、青成分光B及び黄成分光Yeの視感度を考慮した比率(例えば、赤用比率r=187/255、緑用比率r=255/255、青用比率r=128/255、黄用比率rYe=255/255)を用いて、赤用中間信号R、緑用中間信号G、青用中間信号B及び黄用中間信号Yeを算出する。具体的には、視感度調整部137は、以下の(式9)〜(式12)に基づいて、赤用中間信号R、緑用中間信号G、青用中間信号B及び黄用中間信号Yeを算出する。
【数7】

【0073】
上述したYe置換成分算出部132は、赤成分光R及び緑成分光Gを黄成分光Yeによって代替可能な成分(Ye置換成分)に対応するYe置換信号Wを算出する。具体的には、Ye置換成分算出部132は、赤用中間信号R及び緑用中間信号Gに基づいて、以下の(式13)に従って、Ye置換信号Wを算出する。
【数8】

【0074】
なお、min(R,G)は、赤用中間信号R及び緑用中間信号Gのうち、信号強度が低い入力信号である。
【0075】
上述したYe成分調整部134は、赤用中間信号R、緑用中間信号G及びYe置換信号Wに基づいて、赤調整信号R、緑調整信号G及び黄調整信号Yeを算出する。ここで、Ye成分調整部134は、赤調整信号R、緑調整信号G及び黄調整信号Yeに算出において、色再現パラメータα及び輝度パラメータβを用いる。具体的には、Ye成分調整部134は、以下の(式14)〜(式16)に基づいて、赤調整信号R、緑調整信号G及び黄調整信号Yeを算出する。
【数9】

【0076】
出力部135は、赤用出力信号Rout、緑用出力信号Gout、青用出力信号Bout及び黄用出力信号Yeoutを各液晶パネル30に出力する。具体的には、出力部135は、赤調整信号Rと赤用中間信号Rとを合算した信号を赤用出力信号Routとして液晶パネル30Rに出力する。同様に、出力部135は、緑調整信号Gと緑用中間信号Gとを合算した信号を緑用出力信号Goutとして液晶パネル30Gに出力し、黄調整信号Yeと黄用中間信号Yeとを合算した信号を黄用出力信号Yeoutとして液晶パネル30Yeに出力する。一方で、出力部135は、青用中間信号Bを青用出力信号Boutとして液晶パネル30Bに出力する。
【0077】
(投写型映像表示装置の動作)
以下において、第2実施形態に係る投写型映像表示装置の動作について、図面を参照しながら説明する。図8は、第2実施形態に係る投写型映像表示装置100の動作を示すフロー図である。
【0078】
図8に示すように、ステップ10Aにおいて、投写型映像表示装置100は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binを受付ける。
【0079】
ステップ12Aにおいて、投写型映像表示装置100は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binに共通する信号強度共通成分Wを抽出する。具体的には、投写型映像表示装置100は、以下の(式5)に基づいて、信号強度共通成分Wを算出する。
【数10】

【0080】
なお、min(Rin,Gin,Bin)は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binのうち、信号強度が低い入力信号である。
【0081】
ステップ14Aにおいて、投写型映像表示装置100は、信号強度共通成分Wに基づいて、赤成分光R、緑成分光G、青成分光B及び黄成分光Yeの視感度を考慮した赤用中間信号R、緑用中間信号G、青用中間信号B及び黄用中間信号Yeを算出する。具体的には、投写型映像表示装置100は、以下の(式9)〜(式12)に基づいて、赤用中間信号R、緑用中間信号G、青用中間信号B及び黄用中間信号Yeを算出する。
【数11】

【0082】
なお、赤用比率r、緑用比率r、青用比率r及び黄用比率rYeは、赤成分光R、緑成分光G、青成分光B及び黄成分光Yeの視感度を考慮した比率である。
【0083】
ステップ20Aにおいて、投写型映像表示装置100は、以下の(式6)〜(式8)に基づいて、赤用中間信号R及び緑用中間信号Gを算出する。
【数12】

【0084】
続いて、投写型映像表示装置100は、赤用中間信号R及び緑用中間信号Gに基づいて、以下の(式13)に従って、Ye置換信号Wを算出する。
【数13】

【0085】
なお、min(R,G)は、赤用中間信号R及び緑用中間信号Gのうち、信号強度が低い入力信号である。
【0086】
ステップ30Aにおいて、投写型映像表示装置100は、映像の彩度及び輝度に基づいて、色再現パラメータα及び輝度パラメータβを特定する。具体的には、投写型映像表示装置100は、上述した図5を参照して輝度パラメータβを特定する。
【0087】
ステップ40Aにおいて、投写型映像表示装置100は、赤用中間信号R、緑用中間信号G及びYe置換信号Wに基づいて、赤調整信号R、緑調整信号G及び黄調整信号Yeを算出する。具体的には、投写型映像表示装置100は、以下の(式14)〜(式16)に基づいて、赤調整信号R、緑調整信号G及び黄調整信号Yeを算出する。
【数14】

【0088】
ステップ50Aにおいて、投写型映像表示装置100は、赤用出力信号Rout、緑用出力信号Gout、青用出力信号Bout及び黄用出力信号Yeoutを出力する。具体的には、投写型映像表示装置100は、赤調整信号Rと赤用中間信号Rとを合算した信号を赤用出力信号Routとして液晶パネル30Rに出力する。同様に、投写型映像表示装置100は、緑調整信号Gと緑用中間信号Gとを合算した信号を緑用出力信号Goutとして液晶パネル30Gに出力し、黄調整信号Yeと黄用中間信号Yeとを合算した信号を黄用出力信号Yeoutとして液晶パネル30Yeに出力する。一方で、投写型映像表示装置100は、青用中間信号Bを青用出力信号Boutとして液晶パネル30Bに出力する。
【0089】
(出力信号の算出例)
以下において、第2実施形態に係る出力信号の算出例について、図9〜図14を参照しながら説明する。具体的には、図9に示すように、赤入力信号Rin=“200”、緑入力信号Gin=“170”、青入力信号Bin=“100”であるときに、赤用出力信号Rout、緑用出力信号Gout及び青用出力信号Bout及び黄用出力信号Yeoutを算出するケースを例に挙げて説明する。
【0090】
図10に示すように、投写型映像表示装置100は、以下の(式5)に基づいて、信号強度共通成分Wを算出する。
【数15】

【0091】
図11に示すように、投写型映像表示装置100は、以下の(式6)〜(式8)に基づいて、赤用中間信号R及び緑用中間信号Gを算出する。
【数16】

【0092】
図12に示すように、投写型映像表示装置100は、以下の(式9)〜(式12)に基づいて、赤用中間信号R、緑用中間信号G、青用中間信号B及び黄用中間信号Yeを算出する。
【数17】

【0093】
なお、図12では、赤用比率r=187/255、緑用比率r=255/255、青用比率r=128/255、黄用比率rYe=255/255である場合について例示していることに留意すべきである。
【0094】
図13に示すように、投写型映像表示装置100は、赤用中間信号R及び緑用中間信号Gに基づいて、以下の(式13)に従って、Ye置換信号Wを算出する。
【数18】

【0095】
続いて、投写型映像表示装置100は、以下の(式14)〜(式16)に基づいて、赤調整信号R、緑調整信号G及び黄調整信号Yeを算出する。
【数19】

【0096】
なお、図13では、色再現パラメータαとして“1”が特定され、輝度パラメータβとして“0”が特定された場合について例示していることに留意すべきである。
【0097】
図14に示すように、投写型映像表示装置100は、赤調整信号Rと赤用中間信号Rとを合算した信号を赤用出力信号Routとして液晶パネル30Rに出力する。同様に、投写型映像表示装置100は、緑調整信号Gと緑用中間信号Gとを合算した信号を緑用出力信号Goutとして液晶パネル30Gに出力し、黄調整信号Yeと黄用中間信号Yeとを合算した信号を黄用出力信号Yeoutとして液晶パネル30Yeに出力する。一方で、投写型映像表示装置100は、青用中間信号Bを青用出力信号Boutとして液晶パネル30Bに出力する。
【0098】
(作用及び効果)
第2実施形態に係る投写型映像表示装置100によれば、制御部130が、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binに共通する信号強度を有する信号強度共通成分Wを抽出し、視感度を考慮した比率を信号強度共通成分Wに乗算することによって、赤用中間信号R、緑用中間信号G、青用中間信号B及び黄用中間信号Yeを算出する。
【0099】
また、制御部130が、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginから信号強度共通成分Wを除いた赤用中間信号R及び緑用中間信号Gに基づいて、赤調整信号R、緑調整信号G及び黄調整信号Yeを算出する。
【0100】
さらに、赤用出力信号Rout、緑用出力信号Gout及び黄用出力信号Yeoutが、赤調整信号Rと赤用中間信号Rとを合算した信号、緑用中間信号Gと緑調整信号Gとを合算した信号及び黄調整信号Yeと黄用中間信号Yeとを合算した信号である。
【0101】
すなわち、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginから信号強度共通成分Wを除くことによって、黄成分光Yeが青成分光Bに混じって色バランスが悪化することを抑制することができる。従って、映像の色再現性の向上を適切に図りながら、映像の輝度の向上を適切に図ることができる。
【0102】
[第3実施形態]
以下において、第3実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第3実施形態との相違点について主として説明する。
【0103】
具体的には、上述した第1実施形態では、制御部130は、映像の彩度又は輝度に応じて、黄用出力信号Yeoutを算出する。これに対して、第3実施形態では、制御部130は、制御の対象となる対象領域と対象領域に隣接する隣接領域との相関(高周波成分)に基づいて、対象領域に対応する黄用出力信号Yeoutを算出する。
【0104】
なお、対象領域は、画素単位であってもよく、ブロック単位であってもよい。
【0105】
(投写型映像表示装置の機能)
以下において、第3実施形態に係る投写型映像表示装置の機能について、図面を参照しながら説明する。制御部130の機能を示すブロックは、上述した第1実施形態と同様であることに留意すべきである(図4を参照)。
【0106】
図15に示すように、対象領域の水平方向の座標を“m”とし、対象領域の垂直方向の座標を“n”としたケースについて考える。対象領域に隣接する隣接領域は、(m−1、n+1)、(m、n+1)、(m+1、n+1)、(m−1、n)、(m+1、n)、(m−1、n−1)、(m、n−1)及び(m+1、n−1)の8領域である。
【0107】
Ye置換成分算出部132は、水平方向、垂直方向及び斜め方向について、対象領域と隣接領域との相関を算出する。具体的には、Ye置換成分算出部132は、以下の(式17)〜(式20)によって対象領域と隣接領域との相関を算出する。
【数20】

【0108】
続いて、Ye置換成分算出部132は、以下の(式21)によってYe置換信号Waを算出する。
【数21】

【0109】
ここで、対象領域の輝度が高いほど、その値が大きくなるように、Ye成分重畳係数(C1)が設定されていることに留意すべきである。すなわち、対象領域の輝度が高いほど、Ye置換信号Waも増大する。
【0110】
Ye成分調整部134は、以下の(式22)によって、赤入力信号Rin及び緑入力信号Gin(参照信号)の減算量Wbを算出する。
【数22】

【0111】
ここで、対象領域の輝度が高いほど、その値が大きくなるように、減算係数(C2)が設定されていることに留意すべきである。すなわち、対象領域の輝度が高いほど、現残量Wbが減少する。
【0112】
続いて、Ye成分調整部134は、以下の(式23)〜(式25)によって、赤調整信号R’、緑調整信号G’及び黄調整信号Ye’を算出する。
【数23】

【0113】
なお、出力部135は、赤調整信号R’を赤用出力信号Routとして液晶パネル30Rに出力する。同様に、出力部135は、緑調整信号G’及び黄調整信号Ye’を緑用出力信号Gout及び黄用出力信号Yeoutとして、液晶パネル30G及び液晶パネル30Yeに出力する。一方で、出力部135は、青入力信号Binをそのまま青用出力信号Boutとして液晶パネル30Bに出力する。
【0114】
ここで、Ye置換成分算出部132及びYe成分調整部134は、対象領域と隣接領域との相関(HPF_H、HPF_V、HPF_D1及びHPF_D2)が所定閾値を超える場合には、対象領域と隣接領域との間にエッジが設けられていると判定する。また、上述したように、対象領域の輝度が高いほど、Ye置換信号Waが増大し、現残量Wbが減少する。
【0115】
従って、映像入力信号が図16(a)に示す信号である場合について考えると、図16(b)に示すように、高輝度領域では、黄成分光Yeの重畳量が大きい。一方で、低輝度領域では、黄成分光Yeの重畳量が小さい。
【0116】
また、図16(c)に示すように、高輝度領域では、赤成分光R及び緑成分光Gの減算量が小さい。一方で、低輝度領域では、赤成分光R及び緑成分光Gの減算量が大きい。
【0117】
この結果、図17に示すように、図16(b)及び図16(c)を合わせると、高輝度領域では、さらに輝度が増大し、低輝度領域では、さらに輝度が減少する。すなわち、エッジが強調されることになる。
【0118】
[第4実施形態]
以下において、第4実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第4実施形態との相違点について主として説明する。
【0119】
具体的には、上述した第1実施形態では特に触れていないが、第4実施形態では、前景領域及び背景領域のうち、動きベクトルが小さい領域における黄成分光Yeの重畳量は、動きベクトルが大きい領域における黄成分光Yeの重畳量よりも大きい。
【0120】
(投写型映像表示装置の機能)
以下において、第4実施形態に係る投写型映像表示装置の機能について、図面を参照しながら説明する。図18は、第4実施形態に係る投写型映像表示装置(制御部130)の機能を示すブロックである。なお、図18では、図4と同様の構成については同様の符号を付していることに留意すべきである。
【0121】
図18に示すように、制御部130は、図4に示した構成に加えて、領域判定部138を有する。
【0122】
領域判定部138は、制御の対象となる制御対象フレームにおいて、前景領域と背景領域とを判定する。具体的には、領域判定部138は、制御対象フレームと参照フレームとの差分に応じて、前景領域と背景領域とを判定する。なお、参照フレームは、時間軸上において制御対象フレームの前後に設けられたフレームである。
【0123】
続いて、領域判定部138は、ブロックマッチングなどの既存の方法によって、前景領域及び背景領域の動きベクトルを検出する。領域判定部138は、前景領域及び背景領域の動きベクトルに応じて、前景領域及び背景領域に対応する領域制御信号(D)をYe成分調整部134に出力する。
【0124】
ここで、前景領域及び背景領域のうち、動きベクトルが小さい領域に対応する領域制御信号(D)は、動きベクトルが大きい領域に対応する領域制御信号(D)よりも大きいことに留意すべきである。
【0125】
Ye成分調整部134は、領域制御信号(D)を考慮して、赤調整信号R’、緑調整信号G’及び黄調整信号Ye’を算出する。具体的には、Ye成分調整部134は、以下の(式26)〜(式28)によって、赤調整信号R’、緑調整信号G’及び黄調整信号Ye’を算出する。
【数24】

【0126】
このように、前景領域及び背景領域のうち、動きベクトルが小さい領域における黄成分光Yeの光量は、動きベクトルが大きい領域における黄成分光Yeの光量よりも大きい。
【0127】
従って、例えば、背景領域よりも前景領域の動きベクトルが小さいパン映像では、前景領域の輝度が背景領域の輝度よりも強調され、動きベクトルが小さい前景領域が鮮明に表示される。一方で、前景領域よりも背景領域の動きベクトルが小さい定点撮像映像では、背景領域の輝度が前景領域の輝度よりも強調され、動きベクトルが大きい前景領域のちらつきなどが抑制される。
【0128】
[第5実施形態]
以下において、第5実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第5実施形態との相違点について主として説明する。
【0129】
上述した第1実施形態では、液晶パネル(液晶パネル30Ye)から出射する黄成分光Yeは、他の液晶パネルに照射されずに、投写レンズに導かれる。これに対して、第5実施形態では、液晶パネルから出射する黄成分光Yeは、他の液晶パネルに照射された後に、投写レンズに導かれる。
【0130】
(照明ユニットの概略構成)
以下において、第5実施形態に係る照明ユニットの概略構成について、図面を参照しながら説明する。図19は、第5実施形態に係る照明ユニット320の概略構成を示す図である。図19では、光源210が発する光を均質化するフライアイレンズ、光源210が発する光の偏光方向を一の偏光方向(例えば、P偏光方向)に揃えるPBS(Polarized Beam Splitter)などが省略されていることに留意すべきである。
【0131】
図19に示すように、照明ユニット320は、光源210と、複数の液晶パネル230(液晶パネル230R、液晶パネル230G及び液晶パネル230B)と、偏光切替素子230Yeと、クロスダイクロイックキューブ250とを備える。なお、図19では、投写レンズユニット310が図示されているが、投写レンズユニット310は照明ユニット320に含まれないことに留意すべきである。
【0132】
光源210は、白色光を発するUHPランプなどである。すなわち、光源210が発する光は、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光を少なくとも含む。
【0133】
液晶パネル230Rは、赤成分光の偏光方向を回転させることによって赤成分光を変調する。液晶パネル230Rに光が入射する側には、一の偏光方向を有する光(例えば、P偏光)を透過して、他の偏光方向を有する光(例えば、S偏光)を遮光する偏光板231Rが設けられる。一方で、液晶パネル230Rから光が出射する側には、他の偏光方向を有する光(例えば、S偏光)を透過して、一の偏光方向を有する光(例えば、P偏光)を遮光する偏光板232Rが設けられる。
【0134】
従って、液晶パネル230Rが赤成分光の偏光方向を回転させない場合には、偏光板231Rを透過した赤成分光が偏光板232Rで遮光されるため、赤成分光がクロスダイクロイックキューブ250に照射されない。一方で、液晶パネル230Rが赤成分光の偏光方向を回転させた場合には、偏光板231Rを透過した赤成分光が偏光板232Rを透過するため、赤成分光がクロスダイクロイックキューブ250に照射される。
【0135】
同様に、液晶パネル230Gは、緑成分光及び黄成分光の偏光方向を回転させることによって緑成分光及び黄成分光を変調する。液晶パネル230Gに光が入射する側には、一の偏光方向を有する光を透過して、他の偏光方向を有する光を遮光する偏光板231Gが設けられる。一方で、液晶パネル230Gから光が出射する側には、他の偏光方向を有する光を透過して、一の偏光方向を有する光を遮光する偏光板232Gが設けられる。
【0136】
液晶パネル230Bは、青成分光の偏光方向を回転させることによって青成分光を変調する。液晶パネル230Bに光が入射する側には、一の偏光方向を有する光を透過して、他の偏光方向を有する光を遮光する偏光板231Bが設けられる。一方で、液晶パネル230Bから光が出射する側には、他の偏光方向を有する光を透過して、一の偏光方向を有する光を遮光する偏光板232Bが設けられる。
【0137】
偏光切替素子230Yeは、黄成分光の偏光方向を回転させることによって黄成分光を変調する。一方で、偏光切替素子230Yeは、緑成分光の偏光方向を回転させずに緑成分光を透過する。
【0138】
第5実施形態では、偏光切替素子230Yeは、黄成分光の偏光方向を0〜90°の範囲内で回転させないか、黄成分光の偏光方向を90°回転させるかを選択的に切り替える素子であることに留意すべきである。また、偏光切替素子230Yeは、複数の分割領域(例えば、画素)毎に黄成分光の偏光方向を切り替える構成を有しておらず、偏光切替素子230Yeに入射した全ての黄成分光の偏光方向を回転させる素子であることに留意すべきである。
【0139】
例えば、図20(a)に示すように、偏光切替素子230Yeは、偏光切替素子230Yeに電圧が印加されていない状態(電源OFF)では、緑成分光及び黄成分光の偏光方向を回転させずに、緑成分光及び黄成分光を透過する。
【0140】
一方で、図20(b)に示すように、偏光切替素子230Yeは、偏光切替素子230Yeに電圧が印加された状態(電源ON)では、黄成分光の偏光方向のみを90°回転させて、緑成分光及び黄成分光を透過する。
【0141】
ここで、偏光切替素子230Yeから出射された黄成分光及び緑成分光は、偏光板231Gに照射される。偏光板231Gは、一の偏光方向を有する光(例えば、S偏光)を透過して、他の偏光方向を有する光(例えば、P偏光)を遮光する。従って、偏光切替素子230Yeが黄成分光の偏光方向を回転させるか否かによって、クロスダイクロイックキューブ250に到達する黄成分光の光量が制御される。
【0142】
クロスダイクロイックキューブ250は、液晶パネル230R、液晶パネル230G及び液晶パネル230Bから出射される光を合成する。すなわち、クロスダイクロイックキューブ250は、液晶パネル230Rから出射される赤成分光、液晶パネル230Gから出射される緑成分光及び黄成分光、及び、液晶パネル230Bから出射される青成分光を合成する。また、クロスダイクロイックキューブ250は、赤成分光、緑成分光、青成分光及び黄成分光を含む合成光(映像光)を投写レンズユニット310側に出射する。
【0143】
投写レンズユニット310は、上述したように、クロスダイクロイックキューブ250によって合成された合成光(映像光)をスクリーン200上に投写する。
【0144】
照明ユニット320は、複数のミラー群(ミラー221〜ミラー225)を有する。ミラー221は、青成分光、緑成分光及び黄成分光を透過して、赤成分光を反射するダイクロイックミラーである。ミラー222は、緑成分光及び黄成分光を反射して、青成分光を透過するダイクロイックミラーである。ミラー223及びミラー224は、青成分光を反射して液晶パネル230B側に導くミラーである。ミラー225は、赤成分光を反射して液晶パネル230R側に導くミラーである。
【0145】
(第4色光変調素子の機能)
以下において、第5実施形態に係る第4色光変調素子の機能について、図面を参照しながら説明する。図21は、第5実施形態に係る第4色光変調素子(偏光切替素子230Ye)の機能について説明するための図である。
【0146】
具体的には、図21では、偏光切替素子230Yeと偏光板231Gとの組合せが示されている。偏光切替素子Ye−1は、電圧が印加された状態(電源ON)で黄成分光の偏光方向のみを90°回転させる素子である。一方で、偏光切替素子Ye−2は、電圧が印加されていない状態(電源OFF)で黄成分光の偏光方向のみを90°回転させる素子である。
【0147】
偏光板G−1は、P偏光を有する光を透過して、S偏光を有する光を遮光する素子である。偏光板G−1は、例えば、光源210が発する光がP偏光に揃えられる場合に用いられる。一方で、偏光板G−2は、S偏光を有する光を透過して、P偏光を有する光を遮光する素子である。偏光板G−2は、例えば、光源210が発する光がS偏光に揃えられる場合に用いられる。
【0148】
図21に示すように、光源210が発する光がP偏光に揃えられるケースにおいて、偏光切替素子Ye−1を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ250に到達する黄成分光の光量は、偏光切替素子Ye−1に電圧が印加されていない状態(電源OFF)で最大となる。一方で、偏光切替素子Ye−2を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ250に到達する黄成分光の光量は、偏光切替素子Ye−2に電圧が印加された状態(電源ON)で最大となる。
【0149】
次に、光源210が発する光がS偏光に揃えられるケースにおいて、偏光切替素子Ye−1を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ250に到達する黄成分光の光量は、偏光切替素子Ye−1に電圧が印加されていない状態(電源OFF)で最大となる。一方で、偏光切替素子Ye−2を用いる場合について考えると、クロスダイクロイックキューブ250に到達する黄成分光の光量は、偏光切替素子Ye−2に電圧が印加された状態(電源ON)で最大となる。
【0150】
(投写型映像表示装置の機能)
以下において、第5実施形態に係る投写型映像表示装置の機能について、図面を参照しながら説明する。制御部130の機能を示すブロックは、上述した第1実施形態と同様であることに留意すべきである(図4を参照)。
【0151】
ここで、第5実施形態では、図22に示すように、偏光切替素子230Yeから出射された黄成分光は、液晶パネル230Gに照射される。従って、黄成分光については、偏光切替素子230Yeの透過率(q)だけではなくて、液晶パネル230Gの透過率(p)についても考慮する必要がある。なお、透過率(p)は、上述した緑用出力信号Goutによって制御されることに留意すべきである。同様に、透過率(q)は、上述した黄用出力信号Yeoutによって制御されることに留意すべきである。
【0152】
光源210が発する緑成分光GをGMAXとした場合には、液晶パネル230Gから出射される緑成分光Gの光量は、“GMAX×p”で表される。一方で、光源210が発する黄成分光YeをYeMAXとした場合には、偏光切替素子230Yeから出射される黄成分光Yeの光量は、“YeMAX×q”で表される。従って、液晶パネル230Gから出射される黄成分光Yeの光量は、“YeMAX×p×q”で表される。
【0153】
ここで、黄成分光Yeを緑成分光Gに重畳させるケースについて考える。このケースでは、液晶パネル230Gから出射される緑成分光Gの光量(“GMAX×p”)は、緑入力信号Ginに相当する光量(IN)から黄成分光Yeの光量(“YeMAX×p×q”)を減算したものである。
【0154】
ここで、緑入力信号Ginに相当する光量から減算する光量を“X”で表した場合には、液晶パネル230Gの透過率(p)、すなわち、緑用出力信号Goutは以下の(式29)〜(式31)によって算出される。
【数25】

【0155】
このように、緑用出力信号Goutは、緑入力信号Ginに相当する光量から減算する光量(X)を基準として制御される。
【0156】
[第6実施形態]
以下において、第6実施形態について図面を参照しながら説明する。以下においては、上述した第1実施形態と第6実施形態との相違点について主として説明する。
【0157】
具体的には、上述した第1実施形態では特に触れていないが、Ye置換信号Wは、黄成分光Yeの光量(すなわち、黄用出力信号Yeout)を制御可能な制御対象領域毎に算出される。制御対象領域は、液晶パネル30Yeの解像度に応じて定められる。制御対象領域は、液晶パネル30Yeの映像表示面(フレーム)全体であってもよく、液晶パネル30Yeに設けられた複数の分割領域(画素やブロック)であってもよい。
【0158】
一方で、映像入力信号(赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Bin)は、液晶パネル30に設けられた各画素を制御するための信号である。従って、Ye置換信号Wの算出では、制御対象領域に相当する映像入力信号の合計値や平均値などが用いられる。
【0159】
また、映像出力信号(赤用出力信号Rout、緑用出力信号Gout及び青用出力信号Bout)は、映像入力信号と同様に、液晶パネル30に設けられた各画素を制御するための信号である。
【0160】
第6実施形態では、黄用出力信号Yeoutの制御対象領域(フレームやブロック)が他の映像出力信号(赤用出力信号Rout、緑用出力信号Gout及び青用出力信号Bout)の制御対象領域(画素)よりも大きいケースについて考える。このようなケースでは、赤用出力信号Routや緑用出力信号Goutの算出において、Ye置換信号Wの影響を除去しきれない場合がある。
【0161】
第6実施形態では、赤入力信号Rinや緑入力信号Ginを減少させるだけではなくて、青入力信号Binを増加させることによって、黄成分光Yeの重畳に起因する色バランスの悪化を防ぐ。
【0162】
(投写型映像表示装置の機能)
以下において、第6実施形態に係る投写型映像表示装置の機能について、図面を参照しながら説明する。制御部130の機能を示すブロックは、上述した第1実施形態と同様であることに留意すべきである(図4を参照)。
【0163】
以下においては、制御対象領域に含まれる画素のうち、Ye置換信号Wが赤入力信号Rin又は緑入力信号Ginよりも大きい画素について考える。なお、Ye置換信号Wは、制御対象領域に相当する映像入力信号(赤入力信号Rinや緑入力信号Gin)の合計値又は平均値に基づいて、Ye置換成分算出部132によって算出された値である。
【0164】
なお、第1実施形態と同様に、赤用入力信号及び緑用入力信号は、黄成分光Yeが再現する黄色Yeの補色(青色B)とは異なる色(赤色R及び緑色G)に対応する信号(参照信号)である。青入力信号Binは、黄成分光Yeが再現する黄色Yeの補色(青色B)に対応する信号である。
【0165】
Ye成分調整部134は、以下の(式41)〜(式43)に従って、各第1中間信号(赤用中間信号R11、緑用中間信号G11及び青用中間信号B11)を算出する。
【数26】

【0166】
なお、min(Rin,Gin)は、第1実施形態と同様に、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginのうち、信号強度が低い入力信号である。従って、赤用中間信号R11及び緑用中間信号G11のいずれか一方は“0”である。なお、min(Rin,Gin)は、赤用入力信号及び緑用入力信号(参照信号)の減算量に相当する。
【0167】
続いて、Ye成分調整部134は、以下の(式44)〜(式46)に従って、各第2中間信号(赤用中間信号R12、緑用中間信号G12及び青用中間信号B12)を算出する。
【数27】

【0168】
ここで、“W−min(Rin,Gin)”は、赤入力信号Rin又は緑入力信号GinからYe置換信号Wを減算しきれなかった値であることに留意すべきである。すなわち、“W−min(Rin,Gin)”は、黄用出力信号Yeout(Ye置換信号W)と参照信号(赤入力信号Rin及び緑入力信号Gin)の減算量との差分である。“A”は、青入力信号Binの加算量を調整するための係数(補色光加算係数)である。
【0169】
このように、Ye成分調整部134は、第4色用出力信号(黄用出力信号Yeout)に応じて、参照信号(赤入力信号Rin及び緑入力信号Gin)の減算量を算出する。続いて、Ye成分調整部134は、第4色用出力信号(黄用出力信号Yeout)と参照信号(赤入力信号Rin及び緑入力信号Gin)の減算量との差分に応じて、第4色成分光(黄成分光Ye)が再現する色(黄色Ye)の補色(青色B)に対応する青入力信号Binの増加量を算出する。
【0170】
なお、出力部135は、赤用中間信号R12を赤用出力信号Routとして液晶パネル30Rに出力する。出力部135は、緑用中間信号G12を緑用出力信号Goutとして液晶パネル30Gに出力する。出力部135は、青用中間信号B12を青用出力信号Boutとして液晶パネル30Bに出力する。出力部135は、Ye置換信号Wを黄用出力信号Yeoutとして液晶パネル30Yeに出力する。
【0171】
なお、第6実施形態では特に触れていないが、各映像出力信号は、上述した色再現パラメータα、輝度パラメータβ及び輝度パラメータβなどによって調整されてもよいことは勿論である。
【0172】
(映像出力信号の算出例)
以下にいて、第6実施形態に係る映像出力信号の算出例について説明する。以下においては、Ye置換信号W(すなわち、黄用出力信号Yeout)が“80”であり、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binの信号値(Rin,Gin,Bin)が(50,100,50)である画素について考える。
【0173】
なお、黄用出力信号Yeoutが(Rout,Gout,Bout)=(80,80,0)によって置換可能であり、補色光加算係数Aが“1”であることを前提とする。
【0174】
最初に、各第1中間信号が上述した(式41)〜(式43)に従って算出される。
【0175】
R11=Rin−min(Rin,Gin)=50−50=0
G11=Gin−min(Rin,Gin)=100−50=50
B11=Bin=50
次に、各第2中間信号が上述した(式44)〜(式46)に従って算出される。
【0176】
R12=R11=0
G12=G11=50
B12=B11+A(W−min(Rin,Gin))=50+(80−50)=80
すなわち、赤用出力信号Rout、緑用出力信号Gout及び青用出力信号Boutの信号値(Rout,Gout,Bout)は、(0,50,80)である。
【0177】
最終的には、赤用出力信号Rout、緑用出力信号Gout及び青用出力信号Boutに黄用出力信号Yeoutが加算される。従って、投写型映像表示装置100から出射される各色成分光に対応する信号値(R,G,B)は、(80,130,80)である。
【0178】
ここで、赤、緑及び青の信号値によって再現される光の色相は、以下の(式47)〜(式49)に従って算出される。
【数28】

【0179】
ここで、入力映像信号(50,100,50)の色相(H)は、(式48)を用いて算出される。すなわち、入力映像信号(50,100,50)の色相(H)は“120”である。
【0180】
同様に、投写型映像表示装置100から出射される映像光(80,130,80)の色相(H)は、(式48)を用いて算出される。具体的には、映像光(80,130,80)の色相(H)は“120”である。
【0181】
このように、赤入力信号Rinや緑入力信号Ginを減少させるだけではなくて、青入力信号Binを増加させることによって、投写型映像表示装置100から出射される映像光の色相が入力映像信号の色相からずれることが抑制される。
【0182】
(従来手法の第1例)
従来手法の第1例では、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginのうち、小さい方の入力信号に相当するYe置換信号Wが、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginの双方から減算される。
【0183】
上述した“映像出力信号の算出例”と同様に、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binの信号値(Rin,Gin,Bin)が(50,100,50)である画素について考える。なお、Ye置換信号W(すなわち、黄用出力信号Yeout)は“80”であり、(Rout,Gout,Bout)=(80,80,0)によって置換可能であることを前提とする。
【0184】
従来手法の第1例では、赤用出力信号Rout、緑用出力信号Gout及び青用出力信号Boutは、以下の通りである。
【0185】
Rout=50−50=0
Gout=100−50=50
Bout=50
従来手法の第1例では、投写型映像表示装置100から出射される各色成分光に対応する信号値(R,G,B)は、(80,130,50)である。投写型映像表示装置100から出射される映像光の色相(H)は、(式48)を用いて算出される。具体的には、映像光(80,130,80)の色相(H)は“97.5”である。
【0186】
(従来手法の第2例)
従来手法の第2例では、Ye置換信号Wが、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginの双方から可能な限り減算される。
【0187】
上述した“映像出力信号の算出例”と同様に、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binの信号値(Rin,Gin,Bin)が(50,100,50)である画素について考える。なお、Ye置換信号W(すなわち、黄用出力信号Yeout)は“80”であり、(Rout,Gout,Bout)=(80,80,0)によって置換可能であることを前提とする。
【0188】
従来手法の第2例では、赤用出力信号Rout、緑用出力信号Gout及び青用出力信号Boutは、以下の通りである。
【0189】
Rout=50−50=0
Gout=100−80=20
Bout=50
従来手法の第2例では、投写型映像表示装置100から出射される各色成分光に対応する信号値(R,G,B)は、(80,100,50)である。投写型映像表示装置100から出射される映像光の色相(H)は、(式48)を用いて算出される。具体的には、映像光(80,100,50)の色相(H)は“84”である。
【0190】
ここで、図23は、従来手法(第1例及び第2例)及び第6実施形態の関係について示す図である。図23に示すように、映像入力信号に相当するポイントP(50,100,50)は、黄成分光Yeの重畳によってポイントP(130,180,50)にシフトする。また、赤入力信号RinからYe置換信号Wを減算すると、ポイントP(130,180,50)はポイントP(80,180,50)にシフトする。
【0191】
上述した従来手法の第1例では、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginのうち、小さい方の入力信号に相当するYe置換信号Wが緑入力信号Ginから減算される。従って、ポイントP(80,180,50)はポイントP(80,130,50)にシフトする。
【0192】
上述した従来手法の第2例では、Ye置換信号Wが緑入力信号Ginから可能な限り減算される。従って、ポイントP(80,180,50)はポイントP(80,100,50)にシフトする。
【0193】
第6実施形態では、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginのうち、小さい方の入力信号に相当するYe置換信号Wが緑入力信号Ginから減算された上で、赤入力信号Rin及び緑入力信号Ginから減算しきれなかったYe置換信号Wが青入力信号Binに加算される。従って、ポイントP(80,180,50)はポイントP(80,130,50)を経由してポイントP(80,130,80)にシフトする。
【0194】
ここで、色相は、ホワイトポイントから色度図の外周(単色における波長を示す線)と考えられる。映像入力信号に対応する色相は、ホワイトポイントWPからポイントPを通って色度図の外周(520nm近傍)に至るベクトルである。
【0195】
従来手法の第1例に対応する色相は、ホワイトポイントWPからポイントPを通って色度図の外周(540nm近傍)に至るベクトルである。従来手法の第2例に対応する色相は、ホワイトポイントWPからポイントPを通って色度図の外周(550nm近傍)に至るベクトルである。第6実施形態に対応する色相は、ホワイトポイントWPからポイントPを通って色度図の外周(520nm近傍)に至るベクトルである。
【0196】
このように、上述した計算結果及び図23から明らかなように、第6実施形態によれば、従来手法に比べて、投写型映像表示装置100から出射される映像光の色相が入力映像信号の色相からずれることが抑制される。
【0197】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0198】
例えば、投写型映像表示装置100は、第4色成分光としてシアン成分光Cyを利用してもよい。この場合には、シアン用出力信号Cyoutは、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binのうち、シアン成分光Cyが再現する色の補色(赤色R)とは異なる色(緑色G及び青色B)に対応する緑入力信号Gin及び青入力信号Binに基づいて生成される。
【0199】
同様に、投写型映像表示装置100は、第4色成分光としてマゼンタ成分光Mを利用してもよい。この場合には、マゼンタ用出力信号Moutは、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binのうち、マゼンタ成分光Mが再現する色の補色(緑色G)とは異なる色(赤色R及び青色B)に対応する赤入力信号Rin及び青入力信号Binに基づいて生成される。
【0200】
上述した実施形態では、黄用出力信号Yeoutは、色再現パラメータα及び輝度パラメータβを用いて生成されるが、これに限定されるものではない。具体的には、黄用出力信号Yeoutは、色再現パラメータαのみを用いて生成されてもよく、輝度パラメータβのみを用いて生成されてもよい。黄用出力信号Yeoutは、輝度パラメータβのみを用いて生成されてもよい。黄用出力信号Yeoutは、輝度パラメータβ及び輝度パラメータβを用いて生成されてもよい。なお、色再現パラメータα、輝度パラメータβ及び輝度パラメータβが適宜組み合わされて黄用出力信号Yeoutが生成されてもよい。
【0201】
上述した実施形態では、各成分光は、個体光源が発する光であるが、これに限定されるものではない。具体的には、各成分光は、UHPランプなどの白色光源が発する光が分離された光であってもよい。
【0202】
上述した実施形態では、制御部130が投写型映像表示装置100に設けられているが、これに限定されるものではない。具体的には、制御部130が単体で提供されてもよい。
【0203】
上述した実施形態では、映像表示装置として投写型映像表示装置100を例示しているが、これに限定されるものではなく、映像表示装置は映像を表示可能な装置であればよい。
【0204】
上述した第5実施形態では、偏光切替素子230Yeは、黄成分光の偏光方向を回転させるか否かを選択的に切り替える素子であるが、これに限定されるものではない。具体的には、偏光切替素子230Yeは、0〜90°の範囲で黄成分光の偏光方向を回転させる素子であってもよい。
【符号の説明】
【0205】
10・・・光源、30・・・液晶パネル、51・・・ダイクロイックキューブ、53・・・ダイクロイックキューブ、71〜78・・・レンズ、100・・・投写型映像表示装置、110・・・投写レンズ、120・・・照明ユニット、130・・・制御部、131・・・入力信号受付部、132・・・Ye置換成分算出部、133・・・パラメータ特定部、134・・・Ye成分調整部、135・・・出力部、136・・・共通成分抽出部、137・・・視感度調整部、200・・BR>E・スクリーン、210・・・光源、221〜225・・・ミラー、230・・・液晶パネル、230Ye・・・偏光切替素子、231、232・・・偏光板、250・・・クロスダイクロイックキューブ、310・・・投写レンズユニット、320・・・照明ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像入力信号に応じて、第1色用出力信号、第2色用出力信号および第3色用出力信号を出力する制御部と、前記第1色用出力信号に基づいて、第1色成分光を変調する第1光変調素子と、前記第2色用出力信号に基づいて、第2色成分光を変調する第2光変調素子と、前記第3色用出力信号に基づいて、第3色成分光を変調する第3光変調素子と、前記第1光変調素子、前記第2光変調素子および前記第3光変調素子から出射された光を合成する色合成部と、を備える投写型映像表示装置において、
第4色成分光の偏光状態を調整する偏光切替素子をさらに備え、
前記偏光切替素子から出射された前記第4色成分光は、前記第1光変調素子、前記第2光変調素子及び前記第3光変調素子のうちいずれかの光変調素子に入射し、
前記制御部は、前記映像入力信号のうち、前記第4色成分光が再現する色の補色とは異なる色に対応する信号である参照信号に基づいて、前記偏光切替素子を制御することを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第4色成分光の光量を制御するための輝度パラメータβを用いて前記第4色用出力信号を生成し、
前記輝度パラメータβは、前記映像の彩度の上昇に伴って前記第4色成分光の光量が減少するように定められたパラメータであることを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記第4色成分光の光量を制御するための輝度パラメータβを用いて前記第4色用出力信号を生成し、
前記輝度パラメータβは、前記映像の輝度が所定の閾値となるまで前記第4色成分光の光量が増大し、前記映像の輝度が前記所定の閾値を超えてから前記第4色成分光の光量が減少するように定められたパラメータであることを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記制御部は、制御の対象である対象領域と前記対象領域に隣接する隣接領域との相関に基づいて、前記対象領域に対応する前記第4色用出力信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記制御部は、制御の対象である対象領域と前記対象領域に隣接する隣接領域との相関に基づいて、前記対象領域に対応する前記参照信号の減算量を制御することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記映像入力信号に基づいて、背景領域及び前景領域を検出し、
前記背景領域及び前記前景領域のうち、動きベクトルが小さい領域における前記第4色成分光の光量が、前記動きベクトルの大きい領域における前記第4色成分光の光量よりも増大するように、前記第4色用出力信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記第4色用出力信号に応じて、前記参照信号の減算量を算出し、
前記第4色用出力信号と前記参照信号の減算量との差分に応じて、前記映像入力信号のうち、前記第4色成分光が再現する色の補色に対応する信号の増加量を算出することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記映像入力信号のうち、前記第4色成分光が再現する色の補色とは異なる色に対応する信号である参照信号に基づいて、前記第4色用出力信号を生成するとともに、
前記参照信号について減算して、前記赤用出力信号、前記緑用出力信号及び前記青用出力信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2010−186184(P2010−186184A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−43758(P2010−43758)
【出願日】平成22年3月1日(2010.3.1)
【分割の表示】特願2007−263449(P2007−263449)の分割
【原出願日】平成19年10月9日(2007.10.9)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】