説明

投写型映像表示装置

【課題】 映像ムラを抑制することを可能とする投写型映像表示装置を提供する。
【解決手段】 投写型映像表示装置100は、光源10から出射される光を変調する液晶パネル50と、液晶パネル50から出射される光を投写面上に投写する投写ユニット110とを有する。投写型映像表示装置100は、投写型映像表示装置100と投写面との距離に応じて、投写面上に投写される映像の補正処理を行う映像補正部250を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源から出射される光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写ユニットとを有する投写型映像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源から出射される光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写ユニットとを備える投写型映像表示装置が知られている。
【0003】
これに対して、以下の手順で映像を補正する方法が知られている。第1に、投写型映像表示装置は、長方形形状のテストパターン画像を投写面上に投写する。第2に、投写型映像表示装置は、投写面上に投写されたテストパターン画像を撮像して、投写面におけるテストパターン画像の4隅の座標を特定する。第3に、投写型映像表示装置は、投写面におけるテストパターン画像の4隅の座標に基づいて、投写型映像表示装置と投写面との位置関係を特定して、投写面上に投写される映像を補正する。
【0004】
また、投写面に対して斜め方向から光を投写型映像表示装置が投写するケースにおいて、投写型映像表示装置からの光路長が相対的に近い投写面の領域(近方領域)の照度を投写型映像表示装置からの光路長が長い投写面の領域(遠方領域)の照度に揃える技術が提案されている(例えば、特許文献1)。すなわち、投写型映像表示装置は、投写面に投写される光の照度を最も小さい照度に揃える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−62842号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、投写面に対して斜め方向から光を投写型映像表示装置が投写するケースでは、台形補正処理などのように、投写面に投写される映像の形状が補正される。台形補正処理では、遠方領域の画素数が減少するため、遠方領域では、近方領域と比べて、画素の間隔が広がる。また、遠方領域では、近方領域と比べて、投写型映像表示装置から出射される光束が広がるため、画素のサイズも拡大する。
【0007】
このように、画素の間隔や画素のサイズは、投写型映像表示装置から投写面を構成する各領域までの光路長に応じて異なる。これに伴って、焦点ムラ、輝度ムラなどの映像ムラが生じてしまう。
【0008】
そこで、本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、映像ムラを抑制することを可能とする投写型映像表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の特徴に係る投写型映像表示装置は、光源(光源10)から出射される光を変調する光変調素子(液晶パネル50)と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写ユニット(投写ユニット110)とを有する。投写型映像表示装置は、前記投写型映像表示装置と前記投写面との距離に応じて、前記投写面上に投写される映像の補正処理を行う映像補正部(映像補正部250)を備える。
【0010】
第1の特徴において、前記投写面は、前記投写型映像表示装置から離れた側に設けられる遠方領域と、前記遠方領域よりも前記投写型映像表示装置に近い側に設けられる近方領域とを含む。前記補正処理は、前記遠方領域に焦点を合わせる処理である。
【0011】
第1の特徴において、前記補正処理は、焦点位置から離れているほど、輪郭強調を強める処理である。
【0012】
第1の特徴において、前記補正処理は、焦点位置から離れているほど、コントラスト強調を強める処理である。
【0013】
第1の特徴において、前記光源は、複数色の色成分光を出射するように構成される。前記補正処理は、前記投写型映像表示装置と前記投写面との距離に応じて、前記複数色の色成分光間の輝度比を調整する処理である。
【0014】
第1の特徴において、前記投写面は、3次元の面によって構成される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、映像ムラを抑制することを可能とする投写型映像表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る遠方領域420Bを示す図である。
【図3】第1実施形態に係る近方領域420Aを示す図である。
【図4】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。
【図5】第1実施形態に係る制御ユニット200を示すブロック図である。
【図6】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図8】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図9】第1実施形態に係る記憶テストパターン画像の一例を示す図である。
【図10】第1実施形態に係る撮像テストパターン画像の一例を示す図である。
【図11】第1実施形態に係る撮像テストパターン画像の一例を示す図である。
【図12】第1実施形態に係る投写テストパターン画像における交点を算出する方法を説明するための図である。
【図13】第1実施形態に係るフォーカス補正処理を説明するための図である。
【図14】第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の動作を示すフロー図である。
【図15】変更例1に係る重み係数を示す図である。
【図16】変更例1に係る投写型映像表示装置100の動作を示すフロー図である。
【図17】変更例4に係るフォーカス補正処理を説明するための図である。
【図18】変更例4に係るフォーカス補正処理を説明するための図である。
【図19】変更例5に係る台形補正補正処理を説明するための図である。
【図20】変更例5に係る台形補正処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下において、本発明の実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。
【0018】
ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なることに留意すべきである。従って、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれていることは勿論である。
【0019】
[実施形態の概要]
実施形態に係る投写型映像表示装置は、光源から出射される光を変調する光変調素子と、光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写ユニットとを有する。投写型映像表示装置は、投写型映像表示装置と投写面との距離に応じて、投写面上に投写される映像の補正処理を行う映像補正部を備える。
【0020】
ここで、投写型映像表示装置から離れた側に設けられた投写面の領域(遠方領域)では、投写型映像表示装置に近い側に設けられた投写面の領域(近方領域)と比べて、投写型映像表示装置から出射される光束が広がる。すなわち、遠方領域では、近方領域と比べて、画素のサイズが拡大する。また、台形補正処理では、遠方領域の画素数が減少するため、遠方領域では、近方領域と比べて、画素の間隔が広がる。
【0021】
これに対して、実施形態では、映像補正部は、投写型映像表示装置と投写面との距離に応じて、投写面上に投写される映像の補正処理を行う。従って、画素のサイズや画素の間隔が異なる場合において、映像ムラを抑制することができる。
【0022】
[第1実施形態]
(投写型映像表示装置の概略)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。図1は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の概略を示す図である。
【0023】
図1に示すように、投写型映像表示装置100には、撮像装置300が設けられる。また、投写型映像表示装置100は、投写面400上に映像光を投写する。
【0024】
撮像装置300は、投写面400を撮像するように構成される。すなわち、撮像装置300は、投写型映像表示装置100によって投写面400上に投写された映像光の反射光を検出するように構成される。撮像装置300は、投写型映像表示装置100に内蔵されていてもよく、投写型映像表示装置100と併設されていてもよい。
【0025】
投写面400は、スクリーンなどによって構成される。投写型映像表示装置100が映像光を投写可能な範囲(以下、投写可能範囲410)は、投写面400上に形成される。なお、図1では、台形補正処理前の投写可能範囲410Aが台形補正処理によって投写可能範囲410Bに補正されるケースについて例示されている。また、投写面400は、スクリーンの外枠などによって構成される投写枠を有する。
【0026】
第1実施形態では、投写型映像表示装置100の光軸Nが投写面400の法線Mと一致しないケースについて例示する。例えば、光軸Nと法線Mとが角度θを構成するケースについて例示する。
【0027】
すなわち、第1実施形態では、光軸Nが法線Mと一致しないため、投写可能範囲410(投写面400上に表示される映像)が歪んでしまう。第1実施形態では、このような投写可能範囲410の歪みを補正する方法についても説明する。
【0028】
ここで、投写面400は、投写型映像表示装置100に近い側に設けられる近方領域(例えば、近方領域420A)と、投写型映像表示装置100から離れた側に設けられる遠方領域(例えば、遠方領域420B)とを含む。
【0029】
遠方領域420Bでは、台形補正処理に伴って画素の間隔が相対的に広がる。また、遠方領域420Bは、投写型映像表示装置100から離れており、投写型映像表示装置100から出射される光束が広がるため、図2に示すように、遠方領域420Bに照射される光束が疎である。すなわち、遠方領域420Bでは、画素のサイズが大きい。
【0030】
一方で、近方領域420Aでは、台形補正処理に伴って画素間隔が相対的に広がらない。また、近方領域420Aは、投写型映像表示装置100に近く、投写型映像表示装置100から出射される光束が広がらないため、図3に示すように、近方領域420Aに照射される光束が密である。すなわち、遠方領域420Bでは、画素のサイズが小さい。
【0031】
(投写型映像表示装置の構成)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置について、図面を参照しながら説明する。図4は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100の構成を示す図である。
【0032】
図4に示すように、投写型映像表示装置100は、投写ユニット110と、照明装置120とを有する。
【0033】
投写ユニット110は、照明装置120から出射された映像光を投写面(不図示)上などに投写する。
【0034】
第1に、照明装置120は、光源10と、UV/IRカットフィルタ20と、フライアイレンズユニット30と、PBSアレイ40と、複数の液晶パネル50(液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50B)と、クロスダイクロイックプリズム60とを有する。
【0035】
光源10は、白色光を発する光源(例えば、UHPランプやキセノンランプ)などである。すなわち、光源10が発する白色光は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを含む。
【0036】
UV/IRカットフィルタ20は、可視光成分(赤成分光R、緑成分光G及び青成分光B)を透過する。UV/IRカットフィルタ20は、赤外光成分や紫外光成分を遮光する。
【0037】
フライアイレンズユニット30は、光源10が発する光を均一化する。具体的には、フライアイレンズユニット30は、フライアイレンズ31及びフライアイレンズ32によって構成される。フライアイレンズ31及びフライアイレンズ32は、それぞれ、複数の微少レンズによって構成される。各微少レンズは、光源10が発する光が液晶パネル50の全面に照射されるように、光源10が発する光を集光する。
【0038】
PBSアレイ40は、フライアイレンズユニット30から出射された光の偏光状態を揃える。例えば、PBSアレイ40は、フライアイレンズユニット30から出射された光をS偏光(又はP偏光)に揃える。
【0039】
液晶パネル50Rは、赤出力信号Routに基づいて赤成分光Rを変調する。液晶パネル50Rに光が入射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を透過して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を遮光する入射側偏光板52Rが設けられている。液晶パネル50Rから光が出射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を遮光して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を透過する出射側偏光板53Rが設けられている。
【0040】
液晶パネル50Gは、緑出力信号Goutに基づいて緑成分光Gを変調する。液晶パネル50Gに光が入射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を透過して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を遮光する入射側偏光板52Gが設けられる。一方で、液晶パネル50Gから光が出射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を遮光して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を透過する出射側偏光板53Gが設けられる。
【0041】
液晶パネル50Bは、青出力信号Boutに基づいて青成分光Bを変調する。液晶パネル50Bに光が入射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を透過して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を遮光する入射側偏光板52Bが設けられる。一方で、液晶パネル50Bから光が出射する側には、一の偏光方向(例えば、S偏光)を有する光を遮光して、他の偏光方向(例えば、P偏光)を有する光を透過する出射側偏光板53Bが設けられる。
【0042】
なお、赤出力信号Rout、緑出力信号Gout及び青出力信号Boutは、映像出力信号を構成する。映像出力信号は、1フレームを構成する複数の画素毎の信号である。
【0043】
ここで、各液晶パネル50には、コントラスト比や透過率を向上させる補償板(不図示)が設けられていてもよい。また、各偏光板は、偏光板に入射する光の光量や熱負担を軽減させるプリ偏光板を有していてもよい。
【0044】
クロスダイクロイックプリズム60は、液晶パネル50R、液晶パネル50G及び液晶パネル50Bから出射される光を合成する色合成部を構成する。クロスダイクロイックプリズム60から出射された合成光は、投写ユニット110に導かれる。
【0045】
第2に、照明装置120は、ミラー群(ミラー71〜ミラー76)及びレンズ群(レンズ81〜レンズ85)を有する。
【0046】
ミラー71は、青成分光Bを透過して、赤成分光R及び緑成分光Gを反射するダイクロイックミラーである。ミラー72は、赤成分光Rを透過して、緑成分光Gを反射するダイクロイックミラーである。ミラー71及びミラー72は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを分離する色分離部を構成する。
【0047】
ミラー73は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを反射して、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bをミラー71側に導く。ミラー74は、青成分光Bを反射して、青成分光Bを液晶パネル50B側に導く。ミラー75及びミラー76は、赤成分光Rを反射して、赤成分光Rを液晶パネル50R側に導く。
【0048】
レンズ81は、PBSアレイ40から出射された光を集光するコンデンサレンズである。レンズ82は、ミラー73で反射された光を集光するコンデンサレンズである。
【0049】
レンズ83Rは、液晶パネル50Rに赤成分光Rが照射されるように、赤成分光Rを略平行光化する。レンズ83Gは、液晶パネル50Gに緑成分光Gが照射されるように、緑成分光Gを略平行光化する。レンズ83Bは、液晶パネル50Bに青成分光Bが照射されるように、青成分光Bを略平行光化する。
【0050】
レンズ84及びレンズ85は、赤成分光Rの拡大を抑制しながら、液晶パネル50R上に赤成分光Rを略結像するリレーレンズである。
【0051】
(制御ユニットの構成)
以下において、第1実施形態に係る制御ユニットについて、図面を参照しながら説明する。図5は、第1実施形態に係る制御ユニット200を示すブロック図である。制御ユニット200は、投写型映像表示装置100に設けられており、投写型映像表示装置100を制御する。
【0052】
なお、制御ユニット200は、映像入力信号を映像出力信号に変換する。映像入力信号は、赤入力信号Rin、緑入力信号Gin及び青入力信号Binによって構成される。映像出力信号は、赤出力信号Rout、緑出力信号Gout及び青出力信号Boutによって構成される。映像入力信号及び映像出力信号は、1フレームを構成する複数の画素毎に入力される信号である。
【0053】
図5に示すように、制御ユニット200は、映像信号受付部210と、記憶部220と、取得部230と、算出部240と、映像補正部250とを有する。映像補正部250は、素子制御部251及び光学補正部252を有する。
【0054】
映像信号受付部210は、DVDやTVチューナなどの外部装置(不図示)から映像入力信号を受付ける。
【0055】
記憶部220は、各種情報を記憶する。具体的には、記憶部220は、3つ以上の交点を構成する3つ以上の線分のそれぞれの少なくとも一部分を構成するテストパターン画像を記憶する。また、3つ以上の線分は、所定読み出し方向に対して傾きを有する。
【0056】
なお、所定読み出し方向は、テストパターン画像を構成する所定ラインの向き(例えば、水平方向)である。後述するように、取得部230は、撮像装置300によって撮像された撮像画像のうち、テストパターン画像を構成する所定ライン毎に、所定ラインに対応する撮像画像データを取得する。
【0057】
以下において、テストパターン画像の一例について、図6〜図9を参照しながら説明する。図6〜図9に示すように、テストパターン画像は、4つの交点(P1〜P4)を構成する4つの線分(L1〜L4)の少なくとも一部分を構成する画像である。第1実施形態では、4つの線分(L1〜L4)は、濃淡或いは明暗の差(エッジ)によって表される。
【0058】
詳細には、図6に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び白抜きの菱形であってもよい。ここで、白抜きの菱形の4辺は、4つの線分(L1〜L4)の少なくとも一部分を構成する。なお、4つの線分(L1〜L4)は、所定読み出し方向(水平方向)に対して傾きを有する。
【0059】
或いは、図7に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び白抜きの線分であってもよい。白抜きの線分は、図6に示す白抜きの菱形の4辺の一部分を構成する。ここで、白抜きの線分は、4つの線分(L1〜L4)の少なくとも一部分を構成する。なお、4つの線分(L1〜L4)は、所定読み出し方向(水平方向)に対して傾きを有する。
【0060】
或いは、図8に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び1対の白抜きの三角形であってもよい。ここで、1対の白抜きの三角形の2辺は、4つの線分(L1〜L4)の少なくとも一部分を構成する。なお、4つの線分(L1〜L4)は、所定読み出し方向(水平方向)に対して傾きを有する。
【0061】
或いは、図9に示すように、テストパターン画像は、黒の背景及び白抜きの線分であってもよい。ここで、白抜きの線分は、4つの線分(L1〜L4)の少なくとも一部分を構成する。図9に示すように、4つの線分(L1〜L4)によって構成される4つの交点(P1〜P4)は、投写可能範囲410の外側に設けられてもよい。なお、4つの線分(L1〜L4)は、取得部230(水平方向)に対して傾きを有する。
【0062】
取得部230は、撮像装置300から撮像画像を取得する。具体的には、取得部230は、撮像装置300から、テストパターン画像における所定読み出し方向に沿ってテストパターン画像の撮像画像データを順に取得する。言い換えると、取得部230は、ラインバッファを有しており、撮像装置300によって撮像された撮像画像のうち、テストパターン画像を構成する所定ライン毎に、所定ラインに対応する撮像画像データをラインバッファに格納する。すなわち、取得部230は、フレームバッファを必要としないことに留意すべきである。
【0063】
取得部230は、所定読み出し方向に沿って順にラインバッファから撮像画像データを読み出し、読み出された撮像画像データに基づいて、撮像画像における3つ以上の交点を取得する。
【0064】
具体的には、取得部230は、以下の手順によって、撮像画像における3つ以上の交点を取得する。ここでは、テストパターン画像が図6に示す画像(白抜きの菱形)であるケースについて例示する。
【0065】
第1に、取得部230は、図10に示すように、ラインバッファから読み出された撮像画像に基づいて、濃淡或いは明暗の差(エッジ)を有する点群Pedgeを取得する。すなわち、取得部230は、テストパターン画像の白抜きの菱形の4辺に対応する点群Pedgeを取得する。
【0066】
第2に、取得部230は、図11に示すように、点群Pedgeに基づいて、撮像画像における4つの線分(L1〜L4)を取得する。すなわち、取得部230は、テストパターン画像における4つの線分(L1〜L4)に対応する4つの線分(L1〜L4)を取得する。
【0067】
第3に、取得部230は、図11に示すように、4つの線分(L1〜L4)に基づいて、撮像画像における4つの交点(P1〜P4)を取得する。すなわち、取得部230は、テストパターン画像における4つの交点(P1〜P4)に対応する4つの交点(P1〜P4)を取得する。
【0068】
算出部240は、テストパターン画像における3つ以上の交点(例えば、P1〜P4)及び撮像画像における3つの交点(例えば、P1〜P4)に基づいて、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する。具体的には、算出部240は、投写ユニット110の光軸Nと投写面400の法線Mとのずれ量を算出する。
【0069】
なお、以下においては、記憶部220に記憶されたテストパターン画像を記憶テストパターン画像と称する。撮像画像に含まれるテストパターン画像を撮像テストパターン画像と称する。投写面400に投写されたテストパターン画像を投写テストパターン画像と称する。
【0070】
第1に、算出部240は、投写テストパターン画像における4つの交点(P1〜P4)の座標を算出する。ここでは、記憶テストパターン画像の交点P1、撮像テストパターン画像の交点P1、投写テストパターン画像の交点P1を例に挙げて説明する。交点P1、交点P1及び交点P1は、互いに対応する交点である。
【0071】
以下において、交点P1の座標(X1,Y1,Z1)の算出方法について、図12を参照しながら説明する。交点P1の座標(X1,Y1,Z1)は、投写型映像表示装置100の焦点Oを原点とする3次元空間における座標であることに留意すべきである。
【0072】
(1)算出部240は、記憶テストパターン画像の2次元平面における交点P1の座標(x1,y1)について、投写型映像表示装置100の焦点Oを原点とする3次元空間における交点P1の座標(X1,Y1,Z1)に変換する。具体的には、交点P1の座標(X1,Y1,Z1)は、以下の式によって表される。
【数1】

【0073】
なお、Asは、3×3の変換行列であり、キャリブレーション等の前処理によって予め取得することが可能である。すなわち、Asは、既知のパラメータである。
【0074】
ここでは、投写型映像表示装置100の光軸方向に垂直な面がX軸及びY軸で表されており、投写型映像表示装置100の光軸方向がZ軸で表されている。
【0075】
同様に、算出部240は、撮像テストパターン画像の2次元平面における交点P1の座標(x1,y1)について、撮像装置300の焦点Oを原点とする3次元空間における交点P1の座標(X1,Y1,Z1)に変換する。
【数2】

【0076】
なお、Atは、3×3の変換行列であり、キャリブレーション等の前処理によって予め取得することが可能である。すなわち、Atは、既知のパラメータである。
【0077】
ここでは、撮像装置300の光軸方向に垂直な面がX軸及びY軸で表されており、撮像装置300の向き(撮像方向)がZ軸で表されている。このような座標空間において、撮像装置300の向き(撮像方向)の傾き(ベクトル)は既知であることに留意すべきである。
【0078】
(2)算出部240は、交点P1と交点P1とを結ぶ直線Lの式を算出する。同様に、算出部240は、交点P1と交点P1とを結ぶ直線Lの式を算出する。なお、直線L及び直線Lの式は、以下のように表される。
【数3】

【0079】
(3)算出部240は、投写型映像表示装置100の焦点Oを原点とする3次元空間における直線L’に直線Lを変換する。直線L’は、以下の式によって表される。
【数4】

【0080】
なお、投写型映像表示装置100の光軸及び撮像装置300の向き(撮像方向)は既知であるため、回転成分を示すパラメータRは既知である。同様に、投写型映像表示装置100及び撮像装置300の相対位置が既知であるため、並進成分を示すパラメータTも既知である。
【0081】
(4)算出部240は、式(3)及び式(5)に基づいて、直線L及び直線L’の交点(すなわち、交点P1)における媒介変数K及びKを算出する。続いて、算出部240は、交点P1の座標(X1,Y1,Z1)及びKに基づいて、交点P1の座標(X1,Y1,Z1)を算出する。或いは、算出部240は、交点P1の座標(X1,Y1,Z1)及びKに基づいて、交点P1の座標(X1,Y1,Z1)を算出する。
【0082】
これによって、算出部240は、交点P1の座標(X1,Y1,Z1)を算出する。同様に、算出部240は、交点P2の座標(X2,Y2,Z2)、交点P3の座標(X3,Y3,Z3)、交点P4の座標(X4,Y4,Z4)を算出する。
【0083】
第2に、算出部240は、投写面400の法線Mのベクトルを算出する。具体的には、算出部240は、交点P1〜交点P4のうち、少なくとも3つの交点の座標を用いて、投写面400の法線Mのベクトルを算出する。投写面400の式は、以下の式によって表され、パラメータk、k、kは、投写面400の法線Mのベクトルを表している。
【数5】

【0084】
これによって、算出部240は、投写型映像表示装置100の光軸Nと投写面400の法線Mとのずれ量を算出することができる。すなわち、算出部240は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出することができる。
【0085】
図5に戻って、素子制御部251は、映像入力信号を映像出力信号に変換して、映像出力信号に基づいて、液晶パネル50を制御する。
【0086】
例えば、素子制御部251は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係に基づいて、投写面400上に投写された映像の形状の自動補正を行う機能を有する。すなわち、素子制御部251は、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係に基づいて、自動的に台形補正処理を行う機能を有する。
【0087】
光学補正部252は、投写ユニット110に設けられるレンズ群を制御する。光学補正部252は、投写面400上に表示される映像のサイズを補正するズーム補正処理、投写面400上に表示される映像のフォーカスを補正するフォーカス補正処理を行う。
【0088】
第1実施形態では、光学補正部252は、投写型映像表示装置100と投写面400との距離に応じて、フォーカス補正処理を行う。具体的には、光学補正部252は、フォーカス補正処理において、遠方領域に焦点を合わせる。
【0089】
例えば、図13に示すように、投写面400(投写可能範囲410)が仮想的に複数の領域に分割されているケースについて例示しながら、フォーカス補正処理について説明する。図13に示すように、投写面400(投写可能範囲410)は、9つの領域(領域(m−1,n−1)、領域(m−1,n)、領域(m−1,n+1)、領域(m,n−1)、領域(m,n)、領域(m,n+1)、領域(m+1,n−1)、領域(m+1,n)、領域(m+1,n+1))に分割される。
【0090】
このようなケースにおいて、光学補正部252は、投写型映像表示装置100から離れた側に設けられる遠方領域(領域(m+1,n−1)、領域(m+1,n)、領域(m+1,n+1))のうち、例えば、領域(m+1,n)に焦点を合わせる。
【0091】
なお、一般的には、光学補正部252は、投写面400(投写可能範囲410)の略中央に設けられる領域(m,n)に焦点を合わせることに留意すべきである。
【0092】
(投写型映像表示装置の動作)
以下において、第1実施形態に係る投写型映像表示装置(制御ユニット)の動作について、図面を参照しながら説明する。図14は、第1実施形態に係る投写型映像表示装置100(制御ユニット200)の動作を示すフロー図である。
【0093】
図14に示すように、ステップ10において、投写型映像表示装置100は、準備画像を表示する。すなわち、投写型映像表示装置100は、液晶パネル50の制御などによって、投写面400上に準備画像を投写する。
【0094】
なお、準備画像は、例えば、ブルーバックの画像であってもよく、ブラックバックの画像であってもよい。
【0095】
ステップ20において、撮像装置300は、投写面400を撮像する。具体的には、撮像装置300は、投写面400を撮像する。
【0096】
なお、ステップ20では、投写型映像表示装置100は、投写可能範囲410を特定できるように、投写面400上に白色映像を表示することが好ましい。
【0097】
ステップ30において、投写型映像表示装置100は、投写面400上にテストパターン画像を表示する。すなわち、投写型映像表示装置100は、液晶パネル50の制御などによって、投写可能範囲410上にテストパターン画像を投写する。
【0098】
ステップ40において、撮像装置300は、投写面400を撮像する。すなわち、撮像装置300は、投写可能範囲410上に投写されたテストパターン画像を撮像する。
【0099】
ステップ50において、投写型映像表示装置100は、準備画像を再表示する。すなわち、投写型映像表示装置100は、液晶パネル50の制御などによって、投写面400上に準備画像を投写する。
【0100】
ステップ60において、投写型映像表示装置100は、撮像画像を構成する所定ライン毎に取得された撮像画像データに基づいて、テストパターン画像における3つ以上の交点を取得する。
【0101】
ステップ70において、投写型映像表示装置100は、撮像装置300によって撮像された撮像画像のうち、テストパターン画像の撮像画像に基づいて、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する。具体的には、投写型映像表示装置100は、テストパターン画像における4つの交点(P1〜P4)及び撮像画像における4つの交点(P1〜P4)に基づいて、投写型映像表示装置100と投写面400との位置関係を算出する。
【0102】
ステップ80において、投写型映像表示装置100は、投写面400上に投写される映像を補正する。投写面400上に投写される映像の補正処理は、(1)映像の台形補正処理、(2)フォーカス補正処理、(3)ズーム補正処理、(4)映像の局所歪み補正処理などである。
【0103】
ここで、投写型映像表示装置100は、投写型映像表示装置100と投写面400との距離に応じて、フォーカス補正処理を行う。具体的には、投写型映像表示装置100は、フォーカス補正処理において、投写型映像表示装置100から離れた側に設けられる遠方領域に焦点を合わせる。
【0104】
(作用及び効果)
第1実施形態では、映像補正部250は、投写型映像表示装置100と投写面400との距離に応じて、投写面400上に投写される映像の補正処理を行う。
【0105】
具体的には、光学補正部252は、フォーカス補正処理において、投写型映像表示装置100から離れた側に設けられた遠方領域(すなわち、光束が疎である領域)に焦点を合わせる。
【0106】
従って、遠方領域と近方領域との間で、画素の間隔や画素のサイズが異なる場合において、映像ムラを抑制することができる。言い換えると、遠方領域と近方領域との間で、投写面上に投写される光束の粗密が生じる場合であっても、映像ムラを抑制することができる。
【0107】
[変更例1]
以下において、第1実施形態の変更例1について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0108】
具体的には、第1実施形態では、映像補正部250(光学補正部252)は、投写型映像表示装置100と投写面400との距離に応じて、フォーカス補正処理を行う。
【0109】
これに対して、変更例1では、映像補正部250(素子制御部251)は、焦点位置からの距離に応じて、輪郭強調処理を行う。なお、第1実施形態に示すように、焦点位置(焦点を合わせる位置)は、投写型映像表示装置100と投写面400との距離によって定められる事に留意すべきである。
【0110】
具体的には、映像補正部250(素子制御部251)は、焦点位置から離れているほど、輪郭強調を強める。例えば、映像補正部250(素子制御部251)は、図15に示す関係を用いて、輪郭強調処理の重み係数を決定する。図15に示すように、焦点位置から離れているほど、輪郭強調処理の重み係数が大きい。なお、重み係数が大きいほど、輪郭強調の強度(高周波成分の強調度)が大きいことに留意すべきである。
【0111】
(投写型映像表示装置の動作)
以下において、変更例1に係る投写型映像表示装置(制御ユニット)の動作について、図面を参照しながら説明する。図16は、変更例1に係る投写型映像表示装置100(制御ユニット200)の動作を示すフロー図である。
【0112】
図16に示すように、ステップ110において、投写型映像表示装置100は、映像を構成する複数の画素の中から、対象画素をセットする。
【0113】
ステップ120において、投写型映像表示装置100は、全画素を検査したか否かを判定する。すなわち、投写型映像表示装置100は、全画素を対象画素としてセットしたか否かを判定する。全画素が検査されている場合には、投写型映像表示装置100は、一連の処理を終了する。全画素が検査されていない場合には、投写型映像表示装置100は、ステップ130の処理に移る。
【0114】
ステップ130において、投写型映像表示装置100は、対象画素の高周波成分を抽出する。
【0115】
ステップ140において、投写型映像表示装置100は、対象画素の位置を算出する。具体的には、投写型映像表示装置100は、焦点位置と対象画素の位置との距離を算出する。
【0116】
ステップ150において、投写型映像表示装置100は、対象画素の高周波成分を補正する。具体的には、投写型映像表示装置100は、図15に示す重み係数を用いて、高周波成分を補正する。
【0117】
(作用及び効果)
変更例1では、映像補正部250(素子制御部251)は、焦点位置から離れているほど、輪郭強調を強める。従って、遠方領域に焦点が合わされた場合であっても、近方領域における映像ボケを抑制することができる。
【0118】
[変更例2]
以下において、第1実施形態の変更例2について説明する。以下においては、変更例1との相違点について主として説明する。
【0119】
具体的には、変更例1では、映像補正部250(素子制御部251)は、焦点位置からの距離に応じて、輪郭強調処理を行う。
【0120】
これに対して、変更例2では、映像補正部250(素子制御部251)は、焦点位置からの距離に応じて、コントラスト強調処理を行う。なお、第1実施形態に示すように、焦点位置(焦点を合わせる位置)は、投写型映像表示装置100と投写面400との距離によって定められる事に留意すべきである。
【0121】
具体的には、映像補正部250(素子制御部251)は、焦点位置から離れているほど、コントラスト強調を強める。例えば、映像補正部250(素子制御部251)は、図15に示した関係を用いて、コントラスト強調処理の重み係数を決定する。
【0122】
なお、コントラスト強調処理の手順は、輪郭強調処理の手順と類似しており、その詳細については省略する。なお、コントラスト強調の手法としては、既存の様々な手法を適用することが可能である。
【0123】
(作用及び効果)
変更例2では、映像補正部250(素子制御部251)は、焦点位置から離れているほど、コントラスト強調を強める。従って、遠方領域に焦点が合わされた場合であっても、近方領域における映像ボケを抑制することができる。
【0124】
[変更例3]
以下において、第1実施形態の変更例3について説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0125】
具体的には、第1実施形態では、映像補正部250(光学補正部252)は、投写型映像表示装置100と投写面400との距離に応じて、フォーカス補正処理を行う。
【0126】
これに対して、変更例3では、映像補正部250は、投写型映像表示装置100と投写面400との距離に応じて、複数色の色成分光間の輝度比を調整する。
【0127】
例えば、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bの反射率が既知であるケースについて例示しながら、複数色の色成分光間の輝度比の調整について説明する。なお、赤成分光Rの反射率は、赤成分光Rが投写面400に入射する角度と投写面400で反射される赤成分光Rの光量との関係である。同様に、緑成分光Gの反射率は、緑成分光Gが投写面400に入射する角度と投写面400で反射される緑成分光Gの光量との関係である。青成分光Bの反射率は、青成分光Bが投写面400に入射する角度と投写面400で反射される青成分光Bの光量との関係である。
【0128】
第1に、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bの反射率の比率(差異)は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bが投写面400に入射する角度に応じて異なる。
【0129】
第2に、投写型映像表示装置100に近い側に設けられる近方領域と投写型映像表示装置100から離れた側に設けられる遠方領域とでは、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bが投写面400に入射する角度が異なる。
【0130】
このようなケースにおいて、映像補正部250は、投写型映像表示装置100と投写面400との距離に応じて、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bの輝度比を調整する。
【0131】
具体的には、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bが投写面400に入射する角度が大きいほど、すなわち、投写型映像表示装置100から離れているほど、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bの反射率の比率(差異)が大きくなる。すなわち、近方領域よりも遠方領域の方が、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bの反射率の比率(差異)が大きい。
【0132】
従って、映像補正部250は、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bのうち、最も反射率が小さい色成分光に合わせて、他の色成分光の光量を減少する。
【0133】
なお、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bの光量は、液晶パネル50の制御によって減少されてもよい。或いは、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bを個別に出射する光源が用いられる場合には、赤成分光R、緑成分光G及び青成分光Bの光量は、光源の制御によって減少されてもよい。
【0134】
(作用及び効果)
変更例3では、映像補正部250(素子制御部251)は、投写型映像表示装置100と投写面400との距離に応じて、複数色の色成分光間の輝度比を調整する。従って、複数色の色成分光間の反射率の比率(差異)が大きい場合であっても、複数色の色成分光間の輝度バランスを維持することができる。
【0135】
[変更例4]
以下において、第1実施形態の変更例4について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0136】
具体的には、第1実施形態では、投写面400が2次元平面によって構成されるケースについて例示した。これに対して、変更例4では、投写面400が3次元の面によって構成されるケースについて例示する。
【0137】
具体的には、投写面400が3次元の面であっても、映像補正部250(光学補正部252)は、投写型映像表示装置100と投写面400との距離に応じて、フォーカス補正処理を行う。
【0138】
例えば、図17及び図18に示すように、投写面400が曲面によって構成されている場合であっても、映像補正部250(光学補正部252)は、フォーカス補正処理において、遠方領域420Bに焦点を合わせる。
【0139】
ここで、図18に示すように、投写型映像表示装置100からの距離は、投写ユニット110の光出射面と液晶パネル50(図4に示す液晶パネル50G)の有効領域と略平行な平面(例えば、平面D、平面D、平面D、平面D)との距離である。言い換えると、投写型映像表示装置100と投写面400との距離は、投写ユニット110に設けられるレンズ群の光軸方向Aにおける距離である。
【0140】
また、遠方領域420B(焦点位置)からの距離は、焦点位置と液晶パネル50(図4に示す液晶パネル50G)の有効領域と略平行な平面(例えば、平面D、平面D、平面D、平面D)との距離である。言い換えると、焦点位置からの距離は、投写ユニット110に設けられるレンズ群の光軸方向Aにおける距離である。従って、例えば、点V及び点Wを例に挙げると、点Vと焦点位置との距離は、点Wと焦点位置との距離と同じである。
【0141】
(作用及び効果)
変更例4では、投写面400が3次元の面によって構成される場合であっても、第1実施形態と同様に、映像ムラを抑制することができる。
【0142】
[変更例5]
以下において、第1実施形態の変更例5について、図面を参照しながら説明する。以下においては、第1実施形態との相違点について主として説明する。
【0143】
具体的には、第1実施形態では、図19に示すように、台形補正処理によって、投写面400に対して垂直方向から見て適切な形状となるように投写可能範囲410が補正される。
【0144】
これに対して、変更例5では、図20に示すように、台形補正処理によって、ユーザから見て適切な形状となるように投写可能範囲410が補正される。なお、ユーザから見て適切な形状となるように投写可能範囲410を補正するためには、投写型映像表示装置100がユーザの位置を取得する必要がある。ユーザの位置の取得方法としては、以下に示す方法が考えられる。
【0145】
(1)撮像装置300によってユーザを撮像することによって、ユーザと投写面400との位置関係を取得する。
【0146】
(2)ユーザが所持するリモートコントローラから、投写型映像表示装置100に設けられた複数の赤外線センサによって信号を受信することによって、ユーザと投写型映像表示装置100との位置関係を取得する。
【0147】
(3)ユーザが所持するリモートコントローラからテストパターン画像を投写面400上に投写する。
【0148】
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
【0149】
実施形態では、光変調素子として、透過型の液晶パネルを例示したに過ぎない。光変調素子は、DMD(Digital Micromirror Device)や反射型の液晶パネルであってもよい。
【0150】
実施形態では、光源として、LED(Light Emitting Diode)やLD(Laser Diode)を例示した。しかしながら、光源は、白色光源であってもよい。
【0151】
実施形態では特に触れていないが、近方領域420Aでは、遠方領域420Bと比べて、映像の解像度を上げてもよい(超解像処理)。例えば、近方領域420Aでは、画素の補間などによって映像の解像度を上げる。
【符号の説明】
【0152】
10…光源、20…UV/IRカットフィルタ、30…フライアイレンズユニット、40…PBSアレイ、50…液晶パネル、52、53…偏光板、60…クロスダイクロイックキューブ、71〜76…ミラー、81〜85…レンズ、100…投写型映像表示装置、110…投写ユニット、120…照明ユニット、200…制御ユニット、210…映像信号受付部、220…記憶部、230…取得部、240…算出部、250…映像補正部、251…素子制御部、252…光学補正部、300…撮像装置、400…投写面、410…投写可能範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源から出射される光を変調する光変調素子と、前記光変調素子から出射される光を投写面上に投写する投写ユニットとを有する投写型映像表示装置であって、
前記投写型映像表示装置と前記投写面との距離に応じて、前記投写面上に投写される映像の補正処理を行う映像補正部を備えることを特徴とする投写型映像表示装置。
【請求項2】
前記投写面は、前記投写型映像表示装置から離れた側に設けられる遠方領域と、前記遠方領域よりも前記投写型映像表示装置に近い側に設けられる近方領域とを含み、
前記補正処理は、前記遠方領域に焦点を合わせる処理であることを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項3】
前記補正処理は、焦点位置から離れているほど、輪郭強調を強める処理であることを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項4】
前記補正処理は、焦点位置から離れているほど、コントラスト強調を強める処理であることを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項5】
前記光源は、複数色の色成分光を出射するように構成されており、
前記補正処理は、前記投写型映像表示装置と前記投写面との距離に応じて、前記複数色の色成分光間の輝度比を調整する処理であることを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。
【請求項6】
前記投写面は、3次元の面によって構成されることを特徴とする請求項1に記載の投写型映像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2011−176637(P2011−176637A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−39331(P2010−39331)
【出願日】平成22年2月24日(2010.2.24)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】