説明

投射型画像表示装置

【課題】スペックル雑音の低減率が低いという問題を解決することが可能な投射型画像表示装置を提供する。
【解決手段】光源部102は、光ビーム107を出射する。ビーム断面形状変化部103は、光源部102からの光ビーム107の断面形状を変化させて光ビーム108として出射する。投射部104は、ビーム断面形状変化部103からの光ビーム108を投射して、画像を投射する。制御部105は、ビーム断面形状変化部103を制御して、投射部104から投射される光ビームの断面形状を時間的に変化させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投射型画像表示装置に関し、特には、光ビームを走査してスクリーンに画像を投射する走査型の投射型画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ビジネスプレゼンテーションなどの用途で広く使用されている投射型画像表示装置(以下、プロジェクタと称する)において、色再現を実現するためには、3色以上の光を投射可能にする必要がある。また、プロジェクタの光源としては、従来、白色光を出射する高圧水銀ランプが用いられていた。
【0003】
白色光の光源を用いて色再現を実現するためには、カラーフィルタなどを用いて、白色光から3色以上の光を生成する必要があった。この場合、白色光から他の色の光を生成する際に光の損失が発生するため、光の利用効率が低いという問題がある。
【0004】
これに対して、光源としてレーザ光源を用いたレーザプロジェクタでは、レーザ光を直接スクリーン上に投射することができるため、光の利用効率が高い。また、レーザプロジェクタには、レーザ光が単色性を有するために、色再現域が広いという特徴もある。
【0005】
しかしながら、レーザプロジェクタでは、レーザ光のコヒーレンス性に起因したスペックル雑音と呼ばれる雑音が問題となっている。スペックル雑音は、投射画像上に斑点模様のスペックルパターンとして現れ、投射画像の画質を劣化させる。
【0006】
スペックルパターンの発生原理について説明する。レーザ光のようにコヒーレンス性の高い光ビームが、スクリーンのような表面に微小な凹凸のある面に投射された場合、その凹凸で拡散した光が観測者の目に入射される。その拡散光は、凹凸の影響で空間的にランダムな位相分布を有しており、そのランダムな空間位相分布が眼の中で干渉して、網膜上にランダムなパターンを形成する。このランダムなパターンがスペックルパターンとして観測者に認識される。
【0007】
スペックル雑音を低減させる方法としては、スペックルパターンが統計的にそれぞれ異なる複数のビームを重畳させることで、スペックル雑音を統計的に低減させる方法がある。なお、スペックルパターンがそれぞれ統計的に異なるn個のビームが重畳された場合、スペックル雑音に対するS/N比(signal-noise ratio)は、1/√nに低減されることが知られている。
【0008】
スペックルパターンが統計的にそれぞれ異なる複数のビームを生成する技術は、特許文献1〜3に記載されている。具体的には、特許文献1〜3に記載の技術では、ビームの偏光状態を時間的に切り換えることで、スペックルパターンが統計的にそれぞれ異なる複数のビームを生成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2003−156710号公報
【特許文献2】特開2008−281672号公報
【特許文献3】特開2008−158191号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
光ビームの互いに独立な偏光成分は、S偏光成分とP偏光成分との2つしかないため、光ビームの偏光状態が多数あっても、スペックルパターンが統計的に異なる光ビームは、S偏光成分の光ビームと、P偏光成分の光ビームの2つしかない。このため、スペックル雑音に対するS/N比は、原理的に元の1/√2(約70%)以下にはならない。つまり、特許文献1〜3に記載の技術では、スペックル雑音の低減率が低いという問題があった。
【0011】
本発明の目的は、上記の課題である、スペックル雑音の低減率が低いという問題を解決することが可能な投射型画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による投射型画像表示装置は、光ビームを出射する光源手段と、前記光源手段からの光ビームの断面形状を調整して出射するビーム断面形状変化手段と前記ビーム断面形状変化手段からの光ビームを投射して、画像を投射する投射手段と、前記ビーム断面形状変化手段を制御して、前記投射手段から投射される光ビームの断面形状を時間的に変化させる制御手段と、を有する。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、スペックル雑音の低減率を高くすることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る投射型画像表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】断面形状の切換周期の一例を説明するための図である。
【図3】断面形状の切換周期の他の例を説明するための図である。
【図4】断面形状の切換周期の他の例を説明するための図である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係るビーム断面形状変化部の構成を示すブロック図である。
【図6】本発明の第3の実施形態に係るビーム断面形状変化部の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の第4の実施形態に係るビーム断面形状変化部の構成を示すブロック図である。
【図8】本発明の第5の実施形態に係るビーム断面形状変化部の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の第6の実施形態に係るビーム断面形状変化部の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の第7の実施形態に係る光路変更部の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第8の実施形態に係る光路変更部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、同じ機能を有する構成には同じ符号を付け、その説明を省略する場合がある。
【0016】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態に係る投射型画像表示装置の構成を示すブロック図である。図1において、投射型画像表示装置101は、光源部102と、ビーム断面形状変化部103と、投射部104と、制御部105とを有する。
【0017】
光源部102は、光源手段の一例である。より具体的には、光源部102は、制御部105によって制御され、制御部105に入力される入力映像信号に応じて変調された光ビーム107を出射する。光ビーム107は、例えば、レーザ光である。
【0018】
ビーム断面形状変化部103は、ビーム断面形状変化手段の一例である。ビーム断面形状変化部103は、光源部102の後段に配置され、光源部102から出射された光ビーム107が入射される。ビーム断面形状変化部103は、制御部105によって制御され、入射された光ビーム107の断面形状(断面強度分布形状)を調整して光ビーム108として出射する。
【0019】
投射部104は、投射手段の一例である。ビーム断面形状変化部103の後段に配置され、ビーム断面形状変化部103から出射された光ビーム108が入射される。投射部104は、制御部105によって制御され、入射された光ビーム108を光ビーム109として被投射面106に投射して、入力映像信号に応じた画像を被投射面106上に投射する。
【0020】
本実施形態では、投射部104は、光ビーム108を走査することで、光ビーム109として被投射面106に投射するものとする。より具体的には、投射部104は、振動や回転可能なミラーにて光ビーム108を反射させたり、屈折率の空間分布を時間的に変化可能な素子を透過させたりすることで、光ビーム108の伝播方向を変化させることで、光ビーム108を走査する。
【0021】
振動や回転可能なミラーとしては、MEMS(Micro Electro Mechanical System)ミラー、ガルバノミラーおよびポリゴンミラーなどがあり、屈折率の空間分布を時間的に変化可能な素子としては、音響光学素子、電気光学結晶および液晶などがある。なお、走査方式は、特に限定がなく、ラスタースキャン型でもよいし、ベクトルスキャン型でもよいし、その他の方式でもよい。
【0022】
制御部105は、入力映像信号に応じた画像が投射部104から被投射面106上に投射されるように、光源部102および投射部104を制御する。
【0023】
例として、ラスタースキャン型の走査方式の場合における制御部105の処理について説明する。
【0024】
ラスタースキャン型の走査方式では、制御部105は、垂直走査方向に対しては、入力映像信号のフレーム周波数相当の周波数で光ビームの伝播方向が振動するように投射部104を制御する。また、制御部105は、水平走査方向に対しては、入力映像信号のフレーム周波数と、垂直走査方向の走査本数の積で表される周波数相当の周波数で光ビームの伝播方向が振動するように投射部104を制御する。
【0025】
入力映像信号は、一般に、VGA(Video Graphics Array)などの画面解像度に合わせて、ピクセルごとに色データを保持している。制御部105は、各ピクセルにおける光強度が、そのピクセルの色データに応じた光強度になるように、光源部102の光出力パワーを調整する。
【0026】
このようにラスタースキャン型の走査方式では、入力映像信号のフレーム周波数と同期して、画像を投射することが可能である。
【0027】
また、制御部105は、ビーム断面形状変化部103を制御して、投射部104から投射される光ビーム109の断面形状を時間的に変化させる。
【0028】
スペックルパターンは、光ビームの波面形状に応じて異なる。したがって、光ビームの波面形状が時間的に変化されると、複数の異なるスペックルパターンが統計的に重畳されることになり、スペックル雑音が低減する。
【0029】
しかしながら、波面形状が僅かにしか異ならない複数の光ビームの場合、例えば、ガウスビームにおいて波面の曲率が僅かにしか異ならない2つの光ビームの場合、それらの光ビームによるスペックルパターンは、互いに異なるものの、相関のあるパターンとなる。この場合、スペックル雑音の低減効果は、互いに完全に独立なスペックルパターンの重畳によるスペックル雑音の低減効果よりは小さい。
【0030】
S/N比が同一であり、かつ、平均強度が同一である、2つのスペックルパターンの重畳によるスペックル雑音のS/N比低減率は、統計的に、
【0031】
【数1】

【0032】
で表される。ρは、2つのスペックルパターンの相関の度合いを表す相関係数であり、−1〜1の値を有する。ρが1に近いほど2つのスペックルパターンの相関が高く、ρが1の場合、2つのスペックルパターンは同一であり、ρが0の場合、2つのスペックルパターンは無相関である。数1から分かるように、ρが0の場合、S/N比の低減率が最も高く、1/√2(約70%)となる。なお、2つのスペックルパターンに強度差がある場合、強度が強い方のスペックルパターンの影響が大きくなり、S/N比の低減率が小さくなる。
【0033】
以上より、スペックル雑音の低減効果を十分に実現するためには、互いに相関の少ないスペックルパターンとなるように、光ビームの波面形状を変化させることが望ましい。
【0034】
ここで、光ビームの波面形状と断面形状とは、およそ1対1に対応する。より正確には、断面形状が同一で波面形状の異なることはあるが、断面形状が異なるときには波面形状は必ず異なる。したがって、断面形状を変化させることで、波面形状を変化させることが可能である。
【0035】
なお、互いに異なるスペックルパターンとなるように光ビームの波面形状を切り換えるためには、断面形状を一定にしたまま波面形状を変化させることでも可能であるが、断面形状を変化させることで、波面形状を変化させる方が簡単である。また、断面形状が同一で波面形状の異なる光ビームとしては、ガウスビームにおいて、ビームウエストからの同一の距離にある2点での光ビームがある。
【0036】
断面形状の切換時間は、投射画像の各ピクセル位置において、人間の目で知覚できる判別時間内に2つ以上の断面形状の光ビームが投射される時間とする。これは、判別時間内のスペックルパターンが積分されて知覚されるため、互いに異なるスペックルパターンが生成されれば、スペックルパターンが重畳されて、スペックル雑音が低減されるからである。
【0037】
入力映像信号の切り換わり時間は、通常、判別時間より短いので、制御部105は、入力映像信号のフレーム周波数に応じて断面形状を切り換えることで、スペックル雑音を低減することができる。
【0038】
例えば、断面形状がパターンAおよびBの2種類の場合、制御部105は、図2に示すように、入力映像信号のフレーム周波数と同じ周波数で断面形状を切り換えれば、断面形状がパターンAおよびBの光ビームが各ピクセル位置に時分割して入射される。このため、スペックル雑音の低減率を高くすることができる。
【0039】
しかしながら、制御部105は、入力映像信号のフレーム周波数と同じ周波数で断面形状を切り換えなくてもよい。一般に、MおよびNを互いに素な正の整数とし、断面形状がM種類あるとすると、制御部105は、フレーム周波数のN倍の周波数で断面形状を切り換えれば、断面形状がそれぞれ異なるM種類の光ビームが投射領域内の各点に時分割して入射される。例えば、図3に示すように、断面形状がパターンA、BおよびCの3種類の場合、制御部105は、フレーム周波数の2倍の周波数で断面形状を切り換えれば、断面形状がパターンA、BおよびCの光ビームが各ピクセル位置に時分割して入射される。このため、スペックル雑音の低減率を高くすることができる。
【0040】
なお、MおよびNが互いに素でない場合、例えば、図4に示すようにM=4、N=2のとき、断面形状は4種類あるにも関わらず、各ピクセル位置に入射する光ビームの断面形状は2種類だけとなり、スペックル雑音の低減率が低くなる。
【0041】
また、断面形状の切換周波数が非常に早ければ、制御部105は、フレーム周波数と非同期に断面強度分布を切り換えてもよい。より具体的には、1ピクセルを描写している時間より短い時間で光ビーム109の断面形状が切り換えられれば、制御部105は、フレーム周波数と非同期に断面強度分布を切り換えても、各ピクセル位置に断面形状が異なる複数の光ビームを投射することが可能になるので、スペックル雑音を低減することができる。この場合、最大でフレーム周波数に応じたスペックル雑音低減効果が実現する。
【0042】
また、フレーム周波数が非常に早ければ、制御部105は、フレーム周波数と非同期に断面強度分布を切り換えてもよい。より具体的には、光ビーム109が切り換えられる時間内に画像が複数回更新されるようなフレーム周波数であれば、各ピクセル位置に断面形状が異なる複数の光ビームを投射することが可能になるので、スペックル雑音を低減することができる。この場合、最大で断面形状の切換周波数に応じたスペックル雑音低減効果が実現する。
【0043】
以上説明したように、本実施形態によれば、光源部102は、光ビーム107を出射する。ビーム断面形状変化部103は、光源部102からの光ビーム107の断面形状を変化させて光ビーム108として出射する。投射部104は、ビーム断面形状変化部103からの光ビーム108を投射して、画像を投射する。制御部105は、ビーム断面形状変化部103を制御して、投射部104から投射される光ビームの断面形状を時間的に変化させる。
【0044】
この場合、投射部104から投射される光ビームの断面形状が時間的に変化する。互いに独立な断面形状は、互いに独立な偏光成分と異なり2つに限定されないので、スペックルパターンが統計的に異なる光ビームを3つ以上投射することが可能になる。したがって、スペックル雑音の低減率を高くすることが可能になる。
【0045】
また、本実施形態では、制御部105は、投射部104から入力映像信号に応じた画像が投射されるように、光源部102および投射部104を制御するとともに、入力映像信号のフレーム周波数に対して、光ビーム109の断面形状の数と互いに素な整数倍の周波数で、光ビーム107の断面形状を時間的に変化させる。この場合、より的確にスペックル雑音の低減率を高くすることが可能になる。
【0046】
以下、本発明の他の実施形態を説明する。以下の実施形態では、ビーム断面形状変化部103のより詳細な構成を説明する。また、ビーム断面形状変化部103以外の構成要素、すなわち、光源部102、投射部104、制御部105に関しては第1の実施形態と同じであるとする。ただし、制御部105に関しては、ビーム断面形状変化部103の構成により制御方法が異なる場合には、適宜説明を行う。
【0047】
(第2の実施形態)
図5は、本発明の第2の実施形態に係るビーム断面形状変化部の構成を示す図である。図5では、ビーム断面形状変化部103の一例として、ビーム断面形状変化部501が示されている。ビーム断面形状変化部501は、シリンドリカルレンズ502と、回転駆動部503とを有する。回転駆動部503は、制御部105によって制御されている。
【0048】
シリンドリカルレンズ502は、光ビーム107の断面形状を空間的に変化させる光学部材である。シリンドリカルレンズ502は、光学的特性が所定の軸に対して回転非対称である。特に、シリンドリカルレンズ502は、光ビーム107の光軸に垂直な直交軸を2つ取ったとき、直交軸のそれぞれと光軸との作る平面内における焦点距離が、軸によって異なる。また、シリンドリカルレンズ502は、所定の軸と光ビーム107の光軸とが一致するように配置される。
【0049】
このため、光ビーム107がシリンドリカルレンズ502を透過して光ビーム108として出射した場合、光ビーム107のビームスポット内で空間的な位相関係が変化し、光ビーム107に対して光ビーム108の断面形状が変化する。
【0050】
回転駆動部503は、シリンドリカルレンズ502を用いて光ビーム109の断面形状を時間的に変化させる駆動手段である。本実施形態では、回転駆動部503は、シリンドリカルレンズ502を所定の軸を中心に回転可能に支持する。
【0051】
制御部105は、回転駆動部503を制御して、光ビーム109光ビームの断面形状を時間的に変化させる。より具体的には、制御部105は、回転駆動部503を制御して、シリンドリカルレンズ502を所定の軸(つまり、光ビーム107の光軸)を中心に回転させることで、光ビーム107の光軸に垂直な直交軸を回転させる。これにより、光ビーム108の断面形状が時間的に変化するので、投射部104から投射される光ビーム109が時間的に変化されることになる。
【0052】
なお、シリンドリカルレンズ502の回転軸が光軸と一致しないと、シリンドリカルレンズ502が回転することで、光ビーム108の光軸が時間と共に変化してしまう。
【0053】
また、光学部材としてシリンドリカルレンズ502を用いているが、光学部材は、シリンドリカルレンズ502の代わりに、屈折率、表面曲率および透過率などの光学的特性が、所定の軸(光ビームの光軸、つまり回転軸)に対して回転非対称な部材であればよい。このような光学部材の例としては、中心対称でないアパーチャ・レンズなどが挙げられる。
【0054】
以上説明したように、本実施形態によれば、シリンドリカルレンズ502やアパーチャ・レンズなどの光学部材を用いて光ビーム109の断面形状を時間的に変化させることができるので、容易に光ビーム109の断面形状を時間的に変化させることが可能になる。
【0055】
(第3の実施形態)
図6は、本発明の第3の実施形態に係るビーム断面形状変化部の構成を示す図である。図6では、ビーム断面形状変化部103の一例として、ビーム断面形状変化部601が示されている。ビーム断面形状変化部601は、液晶セル602と、偏光板603とを有する。液晶セル602は、制御部105によって制御されている。
【0056】
液晶セル602は、ガラスなどの透明基板に挟まれた液晶材料と、透明基板上に微小なパターンで形成された電極とを有する。また、液晶セル602には、光ビーム107が入射される。液晶セル602は、電極に電圧が印加されることによって、光ビーム107の偏光状態を変化させて出射する。
【0057】
ここで、電極パターンは、光ビーム107のビームスポットより十分に小さいものとする。この場合、電極に電圧が印加されることにより、光ビーム107のビームスポット内の各点における偏光状態が変化される。したがって、液晶セル602は、光ビーム107をビームスポット内の空間偏光分布を変化させて出射する偏光素子として機能する。なお、偏光状態がどのように変化するかは、電極パターンに印加される電圧のパターンに応じて決定される。
【0058】
偏光板603は、液晶セル602から出射された光ビームのうち、所定の偏光方向の偏光成分のみを透過して光ビーム108として出射し、その所定の偏光方向と直交する方向の偏光成分を遮断する。
【0059】
制御部105は、液晶セル602を制御して、光ビーム107の空間偏光分布を時間的に切り換える。より具体的には、制御部105は、液晶セル602に印加する電圧パターンを時間的に切り換えることで、光ビーム107の空間偏光分布を切り換える。これにより、ビーム断面形状変化部601は、開口の変化するアパーチャとなり、偏光板603を透過する光の断面形状が時間的に切り換えられる。したがって、制御部105は、液晶セル602は、液晶セル602を制御して、光ビーム107空間偏光分布を時間的に切り換えることで、投射部104から投射される光ビーム109の断面形状を時間的に変化させることになる。
【0060】
なお、光ビーム109の各断面形状の相関が大きいと、スペックルパターンも相関が大きい傾向にある。相関が小さくなるように、液晶セルへの電圧印加パターンを制御することが望ましい。これは、印加パターンをランダムに変化させるなど、印加パターンの相関を小さくすることで、簡単に実現することができる。
【0061】
また、偏光素子として液晶セル602を用いているが、偏光素子は、液晶セル602の代わりに、屈折率、表面曲率、透過率および反射率などの光学的特性のビームスポット内の分布を変化させる可能な光学素子を用いることができる。このような光学素子の例としては、DMD(Digital Mirror Device)やLCOS(登録商標:Liquid crystal on silicon)などが挙げられる。
【0062】
以上説明したように、本実施形態によれば、第2の実施形態と比べて、回転駆動部503を必要としないので、機械的精度を厳密に必要としないという利点がある。
【0063】
(第4の実施形態)
図7は、本発明の第4の実施形態に係るビーム断面形状変化部の構成を示す図である。図7では、ビーム断面形状変化部103の一例として、ビーム断面形状変化部701が示されている。ビーム断面形状変化部701は、シリンドリカルレンズ702と、ダブプリズム703と、ダブプリズム703を回転させる回転駆動部704とを有する。回転駆動部704は、制御部105によって制御されている。
【0064】
シリンドリカルレンズ702は、光ビーム107の断面形状をその光軸に対して回転非対称にし、その断面形状を光軸に対して回転非対称にした光ビーム705をダブプリズム703に入射する前置光学部材である。
【0065】
ダブプリズム703には、光ビーム705が入射される。ダブプリズム703は、入射された光ビーム705をその光軸を中心に回転させて光ビーム108として出射する光学部材である。
【0066】
回転駆動部704は、ダブプリズム703を用いて光ビーム109の断面形状を時間的に変化させる駆動手段である。本実施形態では、回転駆動部704は、ダブプリズム703を所定の軸を中心に回転可能に支持する。
【0067】
制御部105は、回転駆動部704を制御して、ダブプリズム703を所定の軸(つまり、光ビーム705の光軸)を中心に回転させることで、ダブプリズムの回転角度変位の倍の回転角度変位で光ビーム705を回転させて光ビーム108として出射させる。これにより、光ビーム108の断面形状を時間的に変化するので、投射部104から出射される光ビーム109の断面形状を時間的に変化させることが可能になる。
【0068】
なお、光ビーム108の断面形状が時間的に変化するのは、光ビーム705の断面形状がその光軸に対して回転非対称だからである。このため、光ビーム107の断面形状が元々光軸に対して回転非対称であれば、シリンドリカルレンズ702はなくてもよい。また、ダブプリズム703の回転軸が光軸と一致しないと、ダブプリズム703が回転することで、光ビーム108の光軸が時間と共に変化してしまう。
【0069】
また、前置光学部材としてシリンドリカルレンズ702を用いたが、前置光学部材は、シリンドリカルレンズ702の代わりに、屈折率、表面曲率、透過率などの光学的特性が、光ビームの光軸に対して、中心対称でない部材を用いることもできる。このような部材としては、例えば、アパーチャなどが挙げられる。
【0070】
以上説明したように、本実施形態によれば、シリンドリカルレンズ702やアパーチャ・レンズなどの光学部材を用いて光ビーム109の断面形状を時間的に変化させることができるので、容易に光ビーム109の断面形状を時間的に変化させることが可能になる。
【0071】
(第5の実施形態)
図8は、本発明の第5の実施形態に係るビーム断面形状変化部の構成を示す図である。図8では、ビーム断面形状変化部103の一例として、ビーム断面形状変化部801が示されている。ビーム断面形状変化部801は、ビーム分岐部802と、ビーム合流部803と、シリンドリカルレンズ804とを有する。ビーム分岐部802およびビーム合流部803の少なくともひとつは制御部105によって制御されている。
【0072】
ビーム分岐部802およびビーム合流部803は、シリンドリカルレンズ804を用いて、光ビーム107の断面形状を時間的に変化させる駆動部を構成し、より具体的には、光ビーム107を複数の分岐光路の少なくともいずれか一つを経由させて出射する光路変更部を構成する。
【0073】
ビーム分岐部802は、光ビーム107を、複数の方向に偏向して、複数の分岐光路に出射する。ビーム合流部803は、ビーム分岐部802から複数の分岐光路に出射された光ビームを所定光路に光ビーム108として出射する。
【0074】
なお、光路変更部は、例えば、光ビーム107の伝播方向を変える偏向素子、および、光ビーム107を透過および反射する半透過鏡の少なくとも一方を用いて、光ビーム107を複数の分岐光路の少なくともいずれか一つを経由させて出射する。また、光路変更部は、光ビーム107の遮断可能な可動遮断素子をさらに用いてもよい。光路変更部のより詳細な構成については、後述する第7の実施形態および第8の実施形態で説明する。
【0075】
シリンドリカルレンズ804は、複数の分岐光路の少なくとも一つの光路上に配置される。
【0076】
本実施形態では、シリンドリカルレンズ804は、分岐光路のうち1つを除いた光路に配置されるものとする。なお、図8では、各光路に共通のシリンドリカルレンズ804に配置されているが、実際には、シリンドリカルレンズ804は複数あり、各光路のそれぞれに配置されることが望ましい。また、ビーム分岐部802から出射された光ビームのうち、シリンドリカルレンズ804が配置された光路への光ビームを805とし、シリンドリカルレンズ804が配置されていない光路への光ビームを806とする。また、光ビーム806や807をビーム合流部803まで導くためのミラーなどの光学素子は適宜挿入されているものとする。
【0077】
シリンドリカルレンズ804は、光ビーム806の断面形状を空間的に変化させて光ビーム807として出射する光学部材として機能する。また、各光路のそれぞれに配置されるシリンドリカルレンズ804にて変化される断面形状がそれぞれ異なる。
【0078】
制御部105は、ビーム分岐部802およびビーム合流部803の少なくとも1つを制御して、ビーム合流部803から光ビーム108として出射される光ビームの分岐光路を切り換えて、投射部104から出射される光ビーム109の断面形状を時間的に変化させる。
【0079】
例えば、ビーム分岐部802を制御する場合、制御部105は、ビーム分岐部802から光ビーム805および806が出射される分岐光路を切り換えて、光ビーム109の断面形状を時間的に変化させる。
【0080】
また、ビーム合流部803を制御する場合、制御部105は、光ビーム805および806のうち光ビーム108としてビーム合流部803から出射される光ビームを切り換えて、光ビーム109の断面形状を変化させる。
【0081】
また、ビーム分岐部802およびビーム合流部803を制御する場合、制御部105は、ビーム分岐部802から光ビーム805および806が出射される分岐光路を切り換え、かつ、その分岐光路に出射された光ビーム805または806をビーム合流部803から光ビーム109から出射させて、光ビーム108の断面形状を変化させる。
【0082】
なお、光学部材としてシリンドリカルレンズ804を用いたが、光学部材は、シリンドリカルレンズの代わりに、屈折率、表面曲率および透過率などの光学的特性が、所定の軸(光ビームの光軸、つまり回転軸)に対して回転非対称な部材であればよい。このような光学部材の例としては、中心対称でないアパーチャ・レンズなどが挙げられる。
【0083】
以上説明したように、本実施形態によれば、第2および第4の実施形態と比べて、回転駆動部503を必要としないので、機械的精度を厳密に必要としないという利点がある。また、第3の実施形態と比べて、電気的に簡単な系で光ビーム109の断面形状を時間的に変化させることができる。
【0084】
(第6の実施形態)
図9は、本発明の第6の実施形態に係るビーム断面形状変化部の構成を示す図である。図9では、ビーム断面形状変化部103の一例として、ビーム断面形状変化部901が示されている。ビーム断面形状変化部901は、シリンドリカルレンズ902と、ビーム分岐部903と、ビーム合流部904と、ダブプリズム905とを有する。ビーム分岐部903およびビーム合流部904の少なくともひとつは制御部105によって制御されている。
【0085】
シリンドリカルレンズ902は、図7で示したシリンドリカルレンズ702と同等な機能を有する前置光学部材であり、光ビーム107の断面形状をその光軸に対して回転非対称にし、その断面形状を光軸に対して回転非対称にした光ビーム906をビーム分岐部903に入射する。
【0086】
ビーム分岐部903およびビーム合流部904は、ビーム分岐部802およびビーム合流部803の同様に、ダブプリズム905を用いて、光ビーム107の断面形状を時間的に変化させる駆動部を構成し、より具体的には、光ビーム107を複数の分岐光路の少なくともいずれかを経由させて出射する光路変更部を構成する。つまり、ビーム分岐部903は、光ビーム906を複数の方向に偏向して、複数の分岐光路に出射する。ビーム合流部904は、ビーム分岐部903から複数の分岐光路に出射された光ビームを所定光路に光ビーム108として出射する。
【0087】
ダブプリズム905は、複数の分岐光路の少なくとも一つの光路上に配置される。
【0088】
本実施形態では、ダブプリズム905は、分岐光路のうち1つを除いた光路に配置されるものとする。なお、図9では、各光路に共通のダブプリズム905に配置されているが、実際には、ダブプリズム905は複数あり、各光路のそれぞれに配置されることが望ましい。また、ビーム分岐部903から出射された光ビームのうち、ダブプリズム905が配置された分岐光路への光ビームを907とし、ダブプリズム905が配置されていない分岐光路への光ビームを908とする。また、光ビーム908や909をビーム合流部904まで導くためのミラーなどの光学素子は適宜挿入されているものとする。
【0089】
ダブプリズム905は、入射された光ビーム907をその光軸を中心に回転させて光ビーム909として出射する光学部材として機能する。また、各光路のそれぞれに配置されたダブプリズム905にて回転される光ビーム907の回転角度がそれぞれ異なる。
【0090】
制御部105によるビーム分岐部903およびビーム合流部904の制御方法は、第5の実施形態におけるビーム分岐部802およびビーム合流部803の制御方法と同じである。
【0091】
なお、前置光学部材としてシリンドリカルレンズ902を用いたが、前置光学部材は、シリンドリカルレンズ902の代わりに、屈折率、表面曲率、透過率などの光学的特性が、光ビームの光軸に対して、中心対称でない部材を用いることもできる。このような部材としては、例えば、アパーチャなどが挙げられる。
【0092】
本実施形態でも、第5の実施形態と同様な効果を奏する。
【0093】
(第7の実施形態)
図10は、第7の実施形態に係る光路変更部の構成を示す図である。なお、光路変更部は、ビーム分岐部802およびビーム合流部803で構成されているものとするが、ビーム分岐部903およびビーム合流部904に構成されているものにも適用することができる。
【0094】
図10では、ビーム分岐部802がガルバノミラー1001で構成され、ビーム合流部803がガルバノミラー1002で構成されている。制御部105は、ビーム分岐部802およびビーム合流部803の両方を制御する。
【0095】
ガルバノミラー1001は、光ビーム107を偏向して、複数の光路のいずれかに光ビーム805として出射する偏向素子である。ガルバノミラー1002は、シリンドリカルレンズ804からの光ビーム807を偏向して所定の光路に光ビーム108として出射する偏向素子である。
【0096】
制御部105は、ガルバノミラー1001から出射された光ビーム805に応じた光ビーム807を所定の光路に光ビーム108として出射されるように、ガルバノミラー1001および1002が同期させて駆動する。
【0097】
なお、偏向素子は、ガルバノミラー1001に限らず、MEMSミラーまたはポリゴンミラーなどの可動ミラーや、音響光学結晶および電気光学結晶などの光ビームを偏向可能な光学結晶でもよい。
【0098】
また、ガルバノミラー1001および1002うちの一方を半透過鏡に代えてもよい。半透過鏡は、反射率が100%でない鏡であり、例えば、透過率が50%であり、反射率が50%である鏡である。
【0099】
(第8の実施形態)
図11は、第8の実施形態に係るビーム分岐部およびビーム合流部の構成を示す図である。図11では、ビーム分岐部802が半透過鏡1101で構成され、ビーム合流部803が半透過鏡1102およびシャッター1103で構成されている。制御部105は、シャッター1103を制御する。
【0100】
半透過鏡1101および1102は、反射率が100%でない鏡であり、例えば、透過率が50%であり、反射率が50%である鏡である。
【0101】
半透過鏡1101は、光ビーム107を反射および透過して、それらの光ビームを光ビーム805および806として出射する。なお、光ビーム805は、シリンドリカルレンズ804にて光ビーム807に変換されて半透過鏡1102に入射され、光ビーム806は、半透過鏡1102に直接入射される。
【0102】
半透過鏡1102は、入射された光ビームを反射または透過して光ビーム108として出射する。本実形態では、半透過鏡1102は、入射された光ビーム806を透過して出射するとともに、入射された光ビーム807を反射して出射する。このとき、光ビーム806および808が共に入射された場合、半透過鏡1102は、光ビーム806および807の合成光を光ビーム108として出射する。
【0103】
シャッター1103は、光ビーム805および806の光路の少なくとも一つの光路上に配置される可動遮光手段であり、その光路上の光ビームを遮蔽することが可能である。本実施形態では、シャッター1103は、光ビーム806の光路上に配置されているものとする。なお、シャッター1103は、機械的に駆動するものでも良いし、液晶セルや偏光板を組み合わせたものや、偏向させる光学素子などでもよい。
【0104】
制御部105は、シャッター1103の開閉を切り換えて、半透過鏡1102から出射される光ビームを切り換える。なお、制御部105によるシャッター1103の駆動周波数は、光ビーム108の断面形状の切換周波数に応じて定められる。
【0105】
なお、シャッター1103が閉じている場合、光ビーム806が遮蔽されるので、光ビーム807のみが半透過鏡1102から出射され、シャッター1103が開いている場合、光ビーム806および807の合成光が出射される。このため、制御部105は、シャッター1103の開閉に合わせて、光源部102から出射される光ビームの光出力パワーを制御する必要がある。また、合成光に含まれる光ビーム806および807の光強度の比は、スペックル雑音の低減率を最大にするためには1対1であることが望ましい。
【0106】
また、シャッター1103は、ビーム分岐部802に含まれていてもよい。
【0107】
また、上記の構成を複数使用することで、光ビーム107の分岐数を増やすことが可能である。例えば、ビーム分岐部802から出射された各光ビームの光路上に、新たなビーム分岐部やビーム合流部を配置することで、光ビーム107の分岐数を増やすことが可能である。また、ビーム合流部は、ビーム断面形状変化部の中で、少なくとも1つあればよい。シャッター1103は、少なくとも[分岐数−1]個必要である。
【0108】
以上説明した各実施形態において、図示した構成は単なる一例であって、本発明はその構成に限定されるものではない。
【0109】
例えば、投射型画像表示装置には、反射や屈折を利用して光ビームの伝播方向を変化させる光学素子が設けられてもよい。なお、このような光学素子には、ミラーやプリズムなどがある。
【0110】
また、投射型画像表示装置には、光源部102からの光ビームをコリメートビームにするためのコリメートレンズや、ビーム断面形状変化部からの光ビーム108のビーム成型を行うためのレンズなどが設けられてもよい。
【符号の説明】
【0111】
101 投射型画像表示装置
102 光源部
103、501、601、701、801、901 ビーム断面形状変化部
104 投射部
105 制御部
106 被投射面
107、108、109 光ビーム
502、702、804、902 シリンドリカルレンズ
503、704 回転駆動部
602 液晶セル
603 偏光板
703、905 ダブプリズム
802、903 ビーム分岐部
803、904 ビーム合流部
1001、1002 ガルバノミラー
1101、1102 半透過鏡
1103 シャッター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ビームを出射する光源手段と、
前記光源手段からの光ビームの断面形状を調整して出射するビーム断面形状変化手段と
前記ビーム断面形状変化手段からの光ビームを投射して、画像を投射する投射手段と、
前記ビーム断面形状変化手段を制御して、前記投射手段から投射される光ビームの断面形状を時間的に変化させる制御手段と、を有する投射型画像表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の投射型画像表示装置において、
前記ビーム断面形状変化手段は、
前記光ビームの断面形状を空間的に変化させる光学部材と、
前記光学部材を用いて、前記光ビームの断面形状を時間的に変化させる駆動手段と、を有し、
前記制御手段は、前記駆動手段を制御して、前記光ビームの断面形状を時間的に変化させる、投射型画像表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の投射型画像表示装置において、
前記光学部材は、光学的特性が所定の軸に対して回転非対称であり、前記所定の軸と前記光ビームの光軸とが一致するように配置されている、投射型画像表示装置。
【請求項4】
請求項2に記載の投射型画像表示装置において、
前記光学部材は、前記光ビームの光軸を中心に当該光ビームを回転させるダブプリズムである、投射型画像表示装置。
【請求項5】
請求項4に記載の投射型画像表示装置において、
前記ビーム断面形状変化手段は、前記光源手段からの光ビームの断面形状を光軸に対して回転非対称にし、当該断面形状を回転非対称にした光ビームを前記光学部材へ出射する前置光学部材をさらに有する、投射型画像表示装置。
【請求項6】
請求項3ないし5のいずれか1項に記載の投射型画像表示装置において、
前記駆動手段は、前記光学部材を回転可能に支持し、
前記制御手段は、前記駆動手段を用いて、前記光学部材を前記光ビームの光軸を中心に回転させて、前記光ビームの断面形状を時間的に変化させる、投射型画像表示装置。
【請求項7】
請求項3ないし5のいずれか1項に記載の投射型画像表示装置において、
前記駆動手段は、前記光ビームを複数の光路のいずれかを経由させて出射する光路変更手段であり、
前記光学部材は、前記複数の光路の少なくとも1つの光路上に配置され、
前記制御手段は、前記光路変更手段から出射される光ビームの光路を切り換えて、前記光ビームの断面形状を時間的に変化させる、投射型画像表示装置。
【請求項8】
請求項7に記載の投射型画像表示装置において、
前記光路変更手段は、前記光ビームの伝播方向を変える偏向素子、および、前記光ビームを透過および反射する半透過鏡の少なくとも一方を用いて、前記光ビームを複数の光路のいずれかを経由させて出射する、投射型画像表示装置。
【請求項9】
請求項8に記載の投射型画像表示装置において、
前記光路変更手段は、前記光ビームの遮蔽可能な可動遮蔽手段をさらに用いて、前記光ビームを複数の光路のいずれかを経由させて出射する、投射型画像表示装置。
【請求項10】
請求項1に記載の投射型画像表示装置において、
前記ビーム断面形状変化手段は、
前記光ビームをビームスポット内の空間偏光分布を変化させて出射する偏光素子と、
前記偏光素子から出射された光ビームの所定の偏光方向の偏光成分のみを透過して出射する偏光板と、を有し、
前記制御手段は、前記偏光素子を制御して、前記空間偏光分布を時間的に切り換えて、前記光ビームの断面形状を時間的に変化させる、投射型画像表示装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の投射型画像表示装置において、
前記制御手段は、前記投射手段から入力映像信号に応じた画像が投射されるように、前記光源手段および前記投射手段を制御するとともに、前記入力映像信号のフレーム周波数に対して、前記光ビームの断面形状の数と互いに素な整数倍の周波数で、前記光ビームの断面形状を時間的に変化させる、投射型画像表示装置。
【請求項12】
請求項1ないし10のいずれか1項に記載の投射型画像表示装置において、
前記制御手段は、前記投射手段から入力映像信号に応じた画像が投射されるように、前記光源手段および前記投射手段を制御し、前記入力映像信号のフレーム周波数とは非同期に前記光ビームの断面形状を時間的に変化させる、投射型画像表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−2922(P2012−2922A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−136109(P2010−136109)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】