説明

投射型表示装置及びその制御方法

【課題】この発明は、レーザ光の照射中に正常な走査が行なわれなくなったことを迅速かつ確実に検出して、レーザ光が局所的に集中して照射されるようになった場合の危険性を回避することができ、十分に安全性が高く実用に好適する投射型表示装置及びその制御方法を提供することを目的としている。
【解決手段】走査素子(32)の光反射角度を入力映像信号に基づいて制御し、光変調されたレーザ光をスクリーン(33)上で走査させる制御手段(24)と、光反射角度が制御されている走査素子(32)に照射され反射された動作検知光の走査範囲の略中央部に受光領域(L)が設置された受光素子(36)と、受光素子(36)の出力に基づいて走査素子(32)が光変調されたレーザ光をスクリーン(33)上で正常に走査させることができない状態になったことを検出する検出手段(34d)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、レーザ光をスクリーン上で走査させることにより映像表示を行なう投射型表示装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、例えばカラープロジェクタ等に代表される投射型表示装置は、光源からの照射光を映像信号によって変調した光学像をスクリーン上に投射して映像表示を行なっている。そして、この投射型表示装置における光源としては、ランプからLED(light emitting diode)を経て現状ではレーザ発光素子が注目されてきている。
【0003】
ところで、光源としてレーザ発光素子を使用した投射型表示装置では、R(red),G(green),B(blue)の各レーザ光を映像信号によってそれぞれ変調した後、各レーザ光を合成した1本のレーザ光をスクリーン上に照射し、上記映像信号に対応させて走査させることにより映像表示を行なっている。
【0004】
このため、正常に映像表示が行なわれている状態では、レーザ光が常に走査されているため、そのエネルギーが分散されるので、人体等に当たった場合の安全性が確保されている。しかしながら、レーザ光の照射中に故障等で走査が停止した場合には、レーザ光のエネルギーが局所的に集中するため、非常に危険な状態となる。
【0005】
特許文献1には、レーザ光を走査するためのガルバノミラーに対する駆動力が消失し、レーザ光の走査が不可になった場合に、ガルバノミラーをばねによってレーザ光が外部に射出されない所定の位置に保持させることにより、安全性を確保するようにしたプロジェクタの構成が開示されている。
【特許文献1】特開2006−085189号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明は上記事情を考慮してなされたもので、レーザ光の照射中に正常な走査が行なわれなくなったことを迅速かつ確実に検出して、レーザ光が局所的に集中して照射されるようになった場合の危険性を回避することができ、十分に安全性が高く実用に好適する投射型表示装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、この発明に係る投射型表示装置は、映像信号が入力される入力手段と、レーザ光を発生するレーザ光発生素子と、レーザ光発生素子から発生されたレーザ光を入力手段に入力された映像信号に基づいて光変調する変調手段と、変調手段で光変調されたレーザ光をスクリーン上に反射させるもので、その光反射角度を制御可能な走査素子と、走査素子の光反射角度を入力手段に入力された映像信号に基づいて制御することにより、変調手段で光変調されたレーザ光をスクリーン上で走査させる走査素子制御手段と、走査素子に対して動作検知光を照射する光出力素子と、光出力素子から出力され走査素子制御手段によって光反射角度が制御されている走査素子で反射された動作検知光の走査範囲の略中央部に受光領域が設置された受光素子と、受光素子の出力に基づいて走査素子が変調手段で光変調されたレーザ光をスクリーン上で正常に走査させることができない状態になったことを検出する検出手段とを備えるようにしたものである。
【0008】
また、この発明に係る投射型表示装置の制御方法は、レーザ光発生素子から発生されたレーザ光を、入力された映像信号に基づいて光変調する工程と、光変調されたレーザ光をスクリーン上に反射させる走査素子の光反射角度を、入力された映像信号に基づいて制御することにより、光変調されたレーザ光をスクリーン上で走査させる工程と、光出力素子から出力された動作検知光を走査素子に照射する工程と、光反射角度が制御されている走査素子で反射された動作検知光を、その走査範囲の略中央部に受光領域が設置された受光素子で受光する工程と、受光素子の出力に基づいて走査素子が光変調されたレーザ光をスクリーン上で正常に走査させることができない状態になったことを検出する工程とを有するようにしたものである。
【発明の効果】
【0009】
上記した発明によれば、光変調されたレーザ光を反射してスクリーン上で走査させる走査素子に対して動作検知光を照射し、動作検知光をその走査範囲の略中央部に受光領域が設置された受光素子で受光し、受光素子の出力に基づいて走査素子が光変調されたレーザ光をスクリーン上で正常に走査させることができない状態になったことを検出するようにしたので、レーザ光の照射中に正常な走査が行なわれなくなったことを迅速かつ確実に検出することができ、レーザ光が局所的に集中して照射されるようになった場合の危険性を回避して十分に安全性が高く実用に好適するものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、この実施の形態で説明するレーザプロジェクタ11の外観を示している。すなわち、このレーザプロジェクタ11は、プロジェクタ本体となる、ほぼ薄型の箱状に形成された据置タイプのキャビネット12を有している。
【0011】
そして、このキャビネット12には、その前面パネル12aの一端部に、レーザ光投射部13が配置されている。このレーザ光投射部13は、映像信号によって変調されたレーザ光を、キャビネット12の前面に設置された映像投射面となる後述するスクリーン上に出射させるためのものである。
【0012】
また、上記キャビネット12には、その上面パネル12bに、表示部14及び操作部15が配置されている。このうち、表示部14は、レーザプロジェクタ11の現在の状態を表示したり、レーザプロジェクタ11を各種のモードに設定するためのメニューを表示したりするものである。
【0013】
さらに、上記操作部15は、電源キーを備えるとともに、レーザプロジェクタ11を各種の動作状態または停止状態に制御したり、レーザプロジェクタ11を各種のモードに設定したりするための各種のキーを備えている。これらのキーは、ユーザが操作するために上面パネル12bから露出するように設置されている。
【0014】
図2は、上記したレーザプロジェクタ11の信号処理系を示している。このレーザプロジェクタ11は、例えば図示しないPC(personal computer)等から映像信号が供給される入力端子16と、例えば図示しない光ディスク再生機器等から映像信号が供給される入力端子17とを備えている。
【0015】
このうち、入力端子16に供給された映像信号は、A/D(analog/digital)変換部18に供給されてデジタル化された後、イメージプロセッサ19に供給される。また、入力端子17に供給された映像信号は、映像デコーダ20に供給されてデコード処理が施された後、上記イメージプロセッサ19に供給される。
【0016】
このイメージプロセッサ19は、入力された映像信号に対して、例えばスケーリング処理等のスクリーンに投射される際に必要な所定の信号処理を施している。そして、このイメージプロセッサ19で信号処理の施された映像信号は、R,G,Bの各レーザ光制御部21,22,23に供給されるとともに、走査素子制御部24に供給される。
【0017】
このうち、R,G,Bの各レーザ光制御部21〜23は、それぞれ、入力された映像信号のR,G,B成分に基づいてR,G,Bの各レーザ光発生素子25,26,27を制御する。これにより、映像信号に基づいて水平ライン周期で光変調されたR,G,Bの各レーザ光が、時分割的に発生される。
【0018】
そして、R,G,Bの各レーザ光発生素子25〜27からそれぞれ発生されたR,G,Bの各レーザ光は、ミラー28及びダイクロイックミラー29,30により合成されて1本のレーザ光となる。そして、この1本化されたレーザ光が、ミラー31を介してレーザ光走査素子32に照射される。
【0019】
このレーザ光走査素子32は、入射されたレーザ光を反射し、上記レーザ光投射部13を介してスクリーン33上に出射させるもので、その光反射角度が上記走査素子制御部24によって制御可能になっている。この場合、走査素子制御部24は、イメージプロセッサ19から出力された映像信号に対応させて、レーザ光がスクリーン上で走査されるようにレーザ光走査素子32の反射角度を制御し、ここに、スクリーン33上に映像表示が行なわれる。
【0020】
ここで、上記したレーザプロジェクタ11の映像表示動作は、制御部34によって統括的に制御されている。この制御部34は、例えばCPU(central processing unit)34aを内蔵しており、上記操作部15から得られる操作情報に基づいて、その操作内容が反映されるように各部をそれぞれ制御している。
【0021】
この場合、制御部34は、メモリ部34bを利用している。このメモリ部34bは、主として、そのCPU34aが実行する制御プログラムを格納したROM(read only memory)と、該CPU34aに作業エリアを提供するためのRAM(random access memory)と、各種の設定情報及び制御情報等が格納される不揮発性メモリとを有している。
【0022】
また、この制御部34は、上記表示部14を制御して、レーザプロジェクタ11の現在の状態を表示させたり、レーザプロジェクタ11を各種のモードに設定するためのメニューを表示させたりしている。
【0023】
ここにおいて、上記レーザ光走査素子32には、映像信号によって光変調されたレーザ光の外に、光出力素子35から出射される動作検知光が入射されている。この光出力素子35としては、例えばLED(light emitting diode)や赤外線発光素子等が使用され、指向性の高い光が出射されるようになっている。そして、この動作検知光は、レーザ光走査素子32によって反射された後、受光素子36に受光されるようになっている。
【0024】
この場合、映像信号によって光変調されたレーザ光が、レーザ光走査素子32によりスクリーン33上で走査されるのに伴なって、レーザ光走査素子32によって反射される動作検知光も、図3に点線で示す長方形の範囲内を走査されるようになる。そして、上記受光素子36の受光領域Lは、動作検知光の走査範囲の略中央に位置するように設定されている。
【0025】
また、上記受光素子36は、その受光領域Lに入射された光の強度に対応した電圧レベルを有する受光信号を生成している。そして、この受光素子36は、動作検知光がレーザ光走査素子32によって水平方向に走査される毎に得られる受光信号を、上記制御部34に供給している。
【0026】
そして、上記制御部34は、受光素子36から動作検知光の水平走査毎に得られる受光信号の電圧レベルを、予め設定された所定のしきい値レベルとレベル比較し、しきい値レベルを超える電圧レベルを有する受光信号が得られた回数をカウントするカウンタ34cを備えている。
【0027】
また、この制御部34は、カウンタ34cのカウント値に基づいて、レーザ光走査素子32がレーザ光をスクリーン33上で正常に走査することができない状態となったことを検出する検出部34dを備えている。そして、この制御部34は、検出部34dによってレーザ光走査素子32が正常なレーザ光の走査が行なうことができない状態になったことが検出されたとき、R,G,Bの各レーザ光制御部21〜23を制御して、R,G,Bの各レーザ光発生素子25〜27から出射されるレーザ光の強度を低減させるように、または、R,G,Bの各レーザ光発生素子25〜27からのレーザ光の出力を停止させるように制御している。
【0028】
図4は、上記レーザ光走査素子32が正常にレーザ光の走査を行なっている場合に、上記受光素子36から得られる1画面分に対応する受光信号を示している。すなわち、レーザ光走査素子32が図3に点線で示した走査範囲の左上から動作検知光の水平走査を開始し、その水平走査を上から下に向けて順次繰り返し行なって1画面分を走査した場合、動作検知光が受光素子36の受光領域Lに対応する水平ライン上にあるとき、上記しきい値レベルを超える電圧レベルの受光信号が得られ、それ以外の水平ライン上にあるときにはしきい値レベル以下の電圧レベルの受光信号が得られることになる。
【0029】
このため、1画面毎に、しきい値レベルを超える電圧レベルを有する受光信号が得られた回数をカウンタ34cでカウントし、検出部34dでカウンタ34cのカウント値が予め設定された所定の範囲内にはいっているか否かを判別する。そして、カウント値が所定の範囲内にはいっているとき、検出部34dは、レーザ光走査素子32が正常にレーザ光の走査を行なっていると判断することができる。
【0030】
また、レーザ光走査素子32の垂直方向の走査のみが故障等により停止された場合、動作検知光は、同じ水平ラインを繰り返し走査することになる。このとき、動作検知光が受光素子36の受光領域Lを含む水平ライン上を走査する場合には、図5に示すように、受光素子36からは、上記しきい値レベルを超える電圧レベルの受光信号のみが得られる。この場合、カウンタ34cのカウント値が予め設定された所定の範囲を超えてしまうため、検出部34dでは、レーザ光走査素子32がレーザ光を正常に走査することができない状態になったことを検出することができる。
【0031】
さらに、動作検知光が受光素子36の受光領域Lを含まない水平ライン上を走査する場合には、図6に示すように、受光素子36からは、上記しきい値レベル以下の電圧レベルの受光信号のみが得られる。この場合、カウンタ34cのカウント値が予め設定された所定の範囲に達しないため、検出部34dでは、レーザ光走査素子32がレーザ光を正常に走査することができない状態になったことを検出することができる。
【0032】
また、レーザ光走査素子32の水平方向の走査のみが故障等により停止された場合、動作検知光は、水平ライン周期で上から下に向けて垂直方向に順次移動することになる。このとき、動作検知光が受光素子36の受光領域Lを垂直方向に通過する場合には、図7に示すように、受光素子36から出力される受光信号の電圧レベルは、上記しきい値レベルを1回だけ超えた後、再びしきい値以下になるように変化する。この場合、カウンタ34cのカウント値が予め設定された所定の範囲に達しないため、検出部34dでは、レーザ光走査素子32がレーザ光を正常に走査することができない状態になったことを検出することができる。
【0033】
さらに、動作検知光が受光素子36の受光領域L以外の領域を垂直方向に通過する場合には、図8に示すように、受光素子36からは、上記しきい値レベル以下の電圧レベルの受光信号のみが得られる。この場合、カウンタ34cのカウント値が予め設定された所定の範囲に達しないため、検出部34dでは、レーザ光走査素子32がレーザ光を正常に走査することができない状態になったことを検出することができる。
【0034】
なお、レーザ光走査素子32の水平方向及び垂直方向の走査が共に故障等により停止された場合、動作検知光は、一箇所に留まることになる。このとき、動作検知光が受光素子36の受光領域L上で留まっている場合には、受光素子36から出力される受光信号の電圧レベルは、上記しきい値レベルを1回だけ超えた位置に留まることになる。この場合、カウンタ34cのカウント値が予め設定された所定の範囲に達しないため、検出部34dでは、レーザ光走査素子32がレーザ光を正常に走査することができない状態になったことを検出することができる。
【0035】
また、動作検知光が受光素子36の受光領域L以外の領域上で留まっている場合には、受光素子36から出力される受光信号の電圧レベルは、上記しきい値レベル以下に留まることになる。この場合、カウンタ34cのカウント値が予め設定された所定の範囲に達しないため、検出部34dでは、レーザ光走査素子32がレーザ光を正常に走査することができない状態になったことを検出することができる。
【0036】
そして、この制御部34は、検出部34dによってレーザ光走査素子32がレーザ光を正常に走査することができない状態になったことが検出されたとき、R,G,Bの各レーザ光制御部21〜23を制御して、R,G,Bの各レーザ光発生素子25〜27から出射されるレーザ光の強度を低減させるように、または、R,G,Bの各レーザ光発生素子25〜27からのレーザ光の出力を停止させるように制御する。
【0037】
図9は、上記した検出部34dによるレーザ光走査素子32がレーザ光を正常に走査することができない状態になったことを検出する処理動作をまとめたフローチャートを示している。この処理動作は、1画面分の映像表示が終了する毎に開始(ステップS1)される。すると、検出部34dは、ステップS2で、カウンタ34cのカウント値を取得し、ステップS3で、カウンタ34cのカウント値が予め設定された所定の範囲を超えているか否かを判別する。
【0038】
そして、カウント値が所定の範囲を超えていると判断された場合(YES)、検出部34dは、レーザ光走査素子32の垂直方向の走査が停止され、動作検知光が受光素子36の受光領域Lを含む水平ライン上を走査している状態と判断し、ステップS4で、制御部34にR,G,Bの各レーザ光発生素子25〜27から出射されるレーザ光の強度を低減させるように、または、R,G,Bの各レーザ光発生素子25〜27からのレーザ光の出射を停止させるように制御して、処理を終了(ステップS7)する。
【0039】
また、上記ステップS3でカウンタ34cのカウント値が所定の範囲を超えていないと判断された場合(NO)、検出部34dは、ステップS5で、カウント値が所定の範囲以下であるか否かを判別する。そして、カウント値が所定の範囲以下でないと判断された場合(NO)、検出部34dは、カウント値が所定の範囲内にはいっている、つまり、レーザ光走査素子32がレーザ光を正常に走査している状態であると判断し、ステップS6で、カウンタ34cのカウント値をリセットして、処理を終了(ステップS7)する。
【0040】
さらに、上記ステップS5でカウント値が所定の範囲以下であると判断された場合(YES)、検出部34dは、レーザ光走査素子32の垂直方向の走査が停止され、動作検知光が受光素子36の受光領域Lを含まない水平ライン上を走査している状態、レーザ光走査素子32の水平方向の走査が停止されている状態、または、レーザ光走査素子32の垂直及び水平方向の走査が共に停止されている状態と判断し、ステップS4で、制御部34にR,G,Bの各レーザ光発生素子25〜27から出射されるレーザ光の強度を低減させるように、または、R,G,Bの各レーザ光発生素子25〜27からのレーザ光の出射を停止させるように制御して、処理を終了(ステップS7)する。
【0041】
上記した実施の形態によれば、1画面分の映像表示が終了する毎に、レーザ光走査素子32がレーザ光を正常に走査することができない状態になったか否かを検出するようにしたので、レーザ光の正常な走査が行なわれなくなったことを迅速に検出して、レーザ光が局所的に集中して照射されるようになった場合の危険性を回避することができる。
【0042】
また、走査素子制御部24及びレーザ光走査素子32とは別個に設けられた光出力素子35及び受光素子36を用いて、レーザ光の正常な走査が行なわれなくなったことを検出するようにしているので、走査素子制御部24またはレーザ光走査素子32自体に不具合があった場合でも、レーザ光の走査が正常にできなくなったことを確実に検出することができる。
【0043】
さらに、上記した実施の形態では、受光素子36として、図4に示したように、動作検知光がレーザ光走査素子32によって水平方向に走査される毎に受光信号が得られるものとしたが、受光素子36としては、応答速度のもっと遅いものを使用することができる。この場合、レーザ光走査素子32が正常に走査を行なっている状態で、受光素子36から得られる1画面分に対応する受光信号は、図10に示すようになる。
【0044】
この図10に示す特性において、受光信号の電圧レベルが予め設定された所定のしきい値レベルを超えている期間Tを計測し、この期間Tが予め設定された所定の期間内にはいっていれば、レーザ光走査素子32が正常に走査を行なっていると判断し、期間Tが所定の期間内にはいっていなければ、レーザ光走査素子32が正常に走査を行なっていないと判断することができる。
【0045】
なお、この発明は上記した実施の形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を種々変形して具体化することができる。また、上記した実施の形態に開示されている複数の構成要素を適宜に組み合わせることにより、種々の発明を形成することができる。例えば、実施の形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除しても良いものである。さらに、異なる実施の形態に係る構成要素を適宜組み合わせても良いものである。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明の実施の形態を示すもので、レーザプロジェクタの外観を説明するために示す斜視図。
【図2】同実施の形態におけるレーザプロジェクタの信号処理系を説明するために示すブロック構成図。
【図3】同実施の形態におけるレーザプロジェクタが有するレーザ光走査素子の動作を検出する受光素子の配置を説明するために示す図。
【図4】同実施の形態におけるレーザ光走査素子の正常な動作状態で受光素子から得られる出力を説明するために示す特性図。
【図5】同実施の形態におけるレーザ光走査素子の異常な動作状態で受光素子から得られる出力の一例を説明するために示す特性図。
【図6】同実施の形態におけるレーザ光走査素子の異常な動作状態で受光素子から得られる出力の他の例を説明するために示す特性図。
【図7】同実施の形態におけるレーザ光走査素子の異常な動作状態で受光素子から得られる出力のさらに他の例を説明するために示す特性図。
【図8】同実施の形態におけるレーザ光走査素子の異常な動作状態で受光素子から得られる出力のさらに他の例を説明するために示す特性図。
【図9】同実施の形態における受光素子の出力に基づいてレーザ光走査素子の動作状態を検出する処理動作を説明するために示すフローチャート。
【図10】同実施の形態におけるレーザ光走査素子の動作状態を検出する処理動作の変形例を説明するために示す図。
【符号の説明】
【0047】
11…レーザプロジェクタ、12…キャビネット、12a…前面パネル、12b…上面パネル、13…レーザ光投射部、14…表示部、15…操作部、16,17…入力端子、18…A/D変換部、19…イメージプロセッサ、20…映像デコーダ、21…Rレーザ光制御部、22…Gレーザ光制御部、23…Bレーザ光制御部、24…走査素子制御部、25…Rレーザ光発生素子、26…Gレーザ光発生素子、27…Bレーザ光発生素子、28…ミラー、29,30…ダイクロイックミラー、31…ミラー、32…レーザ光走査素子、33…スクリーン、34…制御部、34a…CPU、34b…メモリ部、34c…カウンタ、34d…検出部、35…光出力素子、36…受光素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像信号が入力される入力手段と、
レーザ光を発生するレーザ光発生素子と、
前記レーザ光発生素子から発生されたレーザ光を前記入力手段に入力された映像信号に基づいて光変調する変調手段と、
前記変調手段で光変調されたレーザ光をスクリーン上に反射させるもので、その光反射角度を制御可能な走査素子と、
前記走査素子の光反射角度を前記入力手段に入力された映像信号に基づいて制御することにより、前記変調手段で光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で走査させる走査素子制御手段と、
前記走査素子に対して動作検知光を照射する光出力素子と、
前記光出力素子から出力され前記走査素子制御手段によって光反射角度が制御されている前記走査素子で反射された動作検知光の走査範囲の略中央部に受光領域が設置された受光素子と、
前記受光素子の出力に基づいて前記走査素子が前記変調手段で光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で正常に走査させることができない状態になったことを検出する検出手段とを具備することを特徴とする投射型表示装置。
【請求項2】
前記検出手段により前記走査素子が前記変調手段で光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で正常に走査させることができない状態になったことが検出されたとき、前記レーザ光発生素子に対して、発生するレーザ光の強度を低減させる、または、レーザ光の発生を停止させるように制御する制御手段を備えることを特徴とする請求項1記載の投射型表示装置。
【請求項3】
前記走査素子制御部は、前記走査素子を前記変調手段で光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で水平方向に走査させることにより、1画面分の映像を前記スクリーン上に表示させ、
前記受光素子は、前記走査素子により前記変調手段で光変調されたレーザ光とともに水平方向に走査される動作検知光の水平ライン毎に出力を発生し、
前記検出手段は、前記受光素子の出力レベルが予め設定されたしきい値レベルを超えた回数が、予め設定された所定の範囲内にはいっていないとき、前記走査素子が前記変調手段で光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で正常に走査させることができない状態になったと判断することを特徴とする請求項1記載の投射型表示装置。
【請求項4】
前記走査素子制御部は、前記走査素子を前記変調手段で光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で水平方向に走査させることにより、1画面分の映像を前記スクリーン上に表示させ、
前記受光素子は、前記走査素子により前記変調手段で光変調されたレーザ光とともに水平方向に走査される動作検知光に応じて出力を発生し、
前記検出手段は、前記受光素子の出力レベルが予め設定されたしきい値レベルを超えている期間が、予め設定された所定の期間内にはいっていないとき、前記走査素子が前記変調手段で光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で正常に走査させることができない状態になったと判断することを特徴とする請求項1記載の投射型表示装置。
【請求項5】
レーザ光発生素子から発生されたレーザ光を、入力された映像信号に基づいて光変調する工程と、
前記光変調されたレーザ光をスクリーン上に反射させる走査素子の光反射角度を、入力された映像信号に基づいて制御することにより、前記光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で走査させる工程と、
光出力素子から出力された動作検知光を前記走査素子に照射する工程と、
前記光反射角度が制御されている前記走査素子で反射された動作検知光を、その走査範囲の略中央部に受光領域が設置された受光素子で受光する工程と、
前記受光素子の出力に基づいて前記走査素子が前記光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で正常に走査させることができない状態になったことを検出する工程とを有することを特徴とする投射型表示装置の制御方法。
【請求項6】
前記検出する工程により前記走査素子が前記光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で正常に走査させることができない状態になったことが検出されたとき、前記レーザ光発生素子に対して、発生するレーザ光の強度を低減させる、または、レーザ光の発生を停止させるように制御する工程を有することを特徴とする請求項5記載の投射型表示装置の制御方法。
【請求項7】
前記光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で走査させる工程は、前記走査素子を前記光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で水平方向に走査させることにより、1画面分の映像を前記スクリーン上に表示させ、
前記受光素子は、前記走査素子により前記光変調されたレーザ光とともに水平方向に走査される動作検知光の水平ライン毎に出力を発生し、
前記検出する工程は、前記受光素子の出力レベルが予め設定されたしきい値レベルを超えた回数が、予め設定された所定の範囲内にはいっていないとき、前記走査素子が前記光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で正常に走査させることができない状態になったと判断することを特徴とする請求項5記載の投射型表示装置の制御方法。
【請求項8】
前記光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で走査させる工程は、前記走査素子を前記光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で水平方向に走査させることにより、1画面分の映像を前記スクリーン上に表示させ、
前記受光素子は、前記走査素子により前記光変調されたレーザ光とともに水平方向に走査される動作検知光に応じて出力を発生し、
前記検出する工程は、前記受光素子の出力レベルが予め設定されたしきい値レベルを超えている期間が、予め設定された所定の期間内にはいっていないとき、前記走査素子が前記光変調されたレーザ光を前記スクリーン上で正常に走査させることができない状態になったと判断することを特徴とする請求項5記載の投射型表示装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−244632(P2009−244632A)
【公開日】平成21年10月22日(2009.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−91719(P2008−91719)
【出願日】平成20年3月31日(2008.3.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】