説明

抗コリン作用薬及びアンドラストを基にした新規な医薬組成物

本発明は、抗コリン作用薬及びアンドラストを基にした新規な医薬組成物、該組成物の製造方法ならびに呼吸器系疾患の治療での使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、抗コリン作用薬及びアンドラストを基にした新規な医薬組成物、該組成物の製造方法ならびに呼吸器系疾患の治療での使用に関する。
(発明の説明)
本発明は、抗コリン作用薬1及びアンドラスト2を基にした新規な医薬組成物、該組成物の製造方法ならびに呼吸器系疾患の治療での使用に関する。
驚いたことに、1種以上の抗コリン作用薬をアンドラストと共に用いると、気道疾患の治療において予期しなかった有利な治療効果を見出すことができる。
前述の効果は、2種の有効成分を単一の有効成分製剤にして同時に投与する場合、また、別々の製剤にして順次投与する場合のどちらにも見ることができる。本発明では、この有効成分を単一製剤にして同時に投与する方が好ましい。
本発明の範囲において使用することができる抗コリン作用薬1は、チオトロピウム、オキシトロピウム、フルトロピウム、イプラトロピウム、グリコピロニウムに加えて、対イオン(アニオン)としてのフッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、シトレート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート及びp−トルエンスルホネートを、好ましくは塩化物、臭化物、ヨウ化物、スルフェート、メタンスルホネート又はp−トルエンスルホネートを含む化合物を意味する。本発明の範囲において、すべての塩1の中で、メタンスルホン酸塩、塩化物、臭化物及びヨウ化物が好ましく、メタンスルホン酸塩及び臭化物が特に重要である。本発明では、臭化チオトロピウム、臭化オキシトロピウム、臭化イプラトロピウム及び臭化グリコピロニウムから選択される塩1が極めて重要である。臭化チオトロピウムがなかでもとりわけ好ましく、WO02/30928A1に開示の結晶性一水和物の臭化チオトロピウムが特に好ましい。
【0002】
別の好適な実施形態においては、抗コリン作用薬1は、トロペノール 2,2-ジフェニルプロピオン酸エステルメトブロミド、スコピン 2,2-ジフェニルプロピオン酸エステルメトブロミド、スコピン 2-フルオロ-2,2-ジフェニル酢酸エステルメトブロミド、トロペノール 2-フルオロ-2,2-ジフェニル酢酸エステルメトブロミド、トロペノール 3,3',4,4'-テトラフルオロベンジル酸エステルメトブロミド、スコピン 3,3',4,4'-テトラフルオロベンジル酸エステルメトブロミド、スコピン 4,4'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロミド、トロペノール 4,4'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロミド、スコピン 3,3'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロミド、トロペノール 3,3'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロミド、トロペノール 9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール 9-フルオロ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン 9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン 9-フルオロ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール 9-メチル-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン 9-メチル-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン ベンジレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン 2,2-ジフェニルプロピオネートメトブロミド、シクロプロピルトロピン 9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン 9-メチル-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン 9-メチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン 9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン メチル 4,4'-ジフルオロベンジレートメトブロミド、トロペノール 9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン 9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール 9-メチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン 9-メチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール 9-エチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール 9-ジフルオロメチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド及びスコピン 9-ヒドロキシメチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミドからなる化合物群から選択される。
【0003】
本願明細書前記のメトブロミドに替わるものとして、抗コリン作用薬は、対応のフルオリド、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、シトレート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート及びp−トルエンスルホネートから、好ましくは対応のクロリド、ヨージド、スルフェート、メタンスルホネート又はp−トルエンスルホネートから選択するとよい。
別の好適な実施形態において、抗コリン作用薬1は、トロペノール 2,2-ジフェニルプロピオン酸エステル メトブロミド、スコピン 2,2-ジフェニルプロピオン酸エステル メトブロミド、トロペノール 9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレート メトブロミド、トロペノール 9-フルオロ-フルオレン-9-カルボキシレート メトブロミド、スコピン 9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレート メトブロミド、スコピン 9-フルオロ-フルオレン-9-カルボキシレート メトブロミド、トロペノール 9-メチル-フルオレン-9-カルボキシレート メトブロミド及びスコピン 9-メチル-フルオレン-9-カルボキシレート メトブロミドからなる化合物群から選択される。
本願明細書前記のメトブロミドに替わるものとして、抗コリン作用薬は、対応のフルオリド、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、シトレート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート及びp−トルエンスルホネートから、好ましくは対応のクロリド、ヨージド、スルフェート、メタンスルホネート又はp−トルエンスルホネートから選択するとよい。
別の好適な実施形態においては、抗コリン作用薬1は、下記式1aで表される化合物:
【0004】
【化1】

【0005】
式中、X-は、1個の負電荷を有するアニオンを示し、好ましくは、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、シトレート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート及びp−トルエンスルホネートから選択されるアニオンを示す)から選択され、これらはラセミ体、鏡像異性体又は水和物の状態であってもよい。
好適な医薬組成物は、式1aの塩を含み、式中、
-が、1個の負電荷を有するアニオンを示し、好ましくは、フッ化物、塩化物、臭化物、メタンスルホネート及びp−トルエンスルホネートから選択されるアニオンを、特に好ましくは臭化物アニオンを示し、これらはラセミ体、鏡像異性体又は水和物の状態であってもよい。
好適な医薬組成物は、式1aの塩を含み、式中、
-が、1個の負電荷を有するアニオンを示し、好ましくは、塩化物、臭化物及びメタンスルホネートから選択されるアニオンを、特に好ましくは臭化物アニオンを示し、これらはラセミ体、鏡像異性体又は水和物の状態であってもよい。
とりわけ好適な医薬組成物は、式1aの化合物を臭化物の状態で含む。
下記式1a-enで表される鏡像異性体を含む医薬組成物が特に重要である。
【0006】
【化2】

【0007】
(式中、X-は前記定義を有する。)
本願明細書前記の化合物1はすべて、薬理学的に有効なカチオンとアニオンとで構成されている塩である。本出願において、化合物1’に言及するときは、薬理学的に有効なカチオンを指すものと解釈される。
アンドラスト2は、N-4-(1H-テトラゾール-5-イル)フェニル-4-(1H-テトラゾール-5-イル)ベンズアミドジナトリウム塩であり、この分野ではCR2039としても知られている。アンドラストの医薬的に許容される塩は、リチウム、カリウム、マグネシウム等のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の塩を含むが、これらに限定されるものではない。
化合物1はキラル中心を有し、ラセミ体、ラセミ混合物として、また、個々のジアステレオ異性体、又は鏡像異性体の状態であってもよく、すべての異性体が本発明には含まれる。そのため、化合物がキラルである場合、分離した鏡像異性体で実質的に他の鏡像異性体を含まないものが本発明の範囲に含まれる。さらに、鏡像異性体のすべての混合物も含まれる。また、本発明の化合物の同質異像及び水和物も本発明の範囲に含まれる。
「治療上有効量」という用語は、研究者又は臨床医が探求している組織、器官、動物又はヒトの生物学的又は医学的反応を、顕在化させる医薬品又は薬剤の量を意味するものである。
本発明による化合物1及び2の医薬組成物は吸入による投与が好ましい。好適なカプセルに充填した適当な吸入可能粉末(インハレット)を最適な粉末吸入器を用いて投与することができる。あるいは、この医薬品は、好適な吸入エアロゾルを利用して吸入することができる。これには、例えば、HFA134a、HFA227又はこれらの混合物を噴射剤ガスとして含有する吸入エアロゾルが含まれる。この医薬品は、化合物1及び2で構成される医薬組成物の適当な溶液を利用して吸入することもできる。
【0008】
そこで、本発明の態様の1つは、化合物1及び2を共に含む医薬組成物に関する。
本発明の別の態様は、1種以上の塩1と2とを含む医薬組成物に関するもので、これらは溶媒和物又は水和物の状態であってもよい。これらの有効成分は単一調剤に混合してもよいし、あるいは2つの別々の製剤に含有してもよい。有効成分1及び2を単一調剤に含む医薬組成物の方が本発明では好ましい。
さらに別の態様では、本発明は、治療上有効量の1及び2に加えて、医薬的に許容される賦形剤を含む医薬組成物に関する。本発明の別の態様は、治療上有効量の1及び2の他に医薬的に許容される賦形剤を含まない医薬組成物に関する。
さらに本発明は、炎症性及び/又は閉塞性気道疾患、例えば、気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支拡張症、アレルギー性/非アレルギー性鼻炎もしくは副鼻腔炎、嚢胞性繊維症、アルファ-1-抗トリプシン欠乏症、咳、慢性の咳、肺気腫、肺線維症及び過反応性気道などの疾患のために、好ましくは喘息及びCOPDのために、治療上有効量の1及び2を含む医薬組成物を製造するための1及び2の使用に関する。
本発明の有効成分組成物において使用できる有効成分1及び2の比率は様々に変えることができる。有効成分1及び2は、溶媒和物又は水和物の形で存在してもよい。1及び2の化合物の選択によって、本発明の範囲内で用いることができる1と2の質量比は、化合物の分子量の違いやそれらの効力の違いによって変わる。基本的には、本発明の医薬組成物は、化合物1及び2を質量比で1:300〜50:1の範囲、好ましくは1:250〜40:1の範囲の比率で含むことができる。化合物1としてのチオトロピウム塩と化合物2とを含む特に好適な医薬組成物においては、1と2との比率は、チオトロピウム1’と2が1:150〜30:1、より好ましくは1:50〜20:1で存在する範囲が特に好適である。
【0009】
例えば、本発明の範囲を限定するものではないが、本発明の化合物1及びアンドラスト2との好ましい組合せには、チオトロピウム1’及びアンドラスト2が以下の質量比で含まれるとよい。1:3000、1:2900、1:2800、1:2700、1:2600、1:2500、1:2400、1:2300、1:2200、1:2100、1:2000、1:1900、1:1800、1:1700、1:1600、1:1500、1:1400、1:1300、1:1200、1:1100、1:1000、1:900、1:800、1:700、1:600、1:500、1:450、1:400、1:350、1:300、1:250、1:200、1:150、1:100、1:90、1:80、1:70、1:60、1:50、1:49、1:48、1:47、1:46、1:45、1:44、1:43、1:42、1:41、1:40、1:39、1:38、1:37、1:36、1:35、1:34、1:33、1:32、1:31、1:30、1:29、1:28、1:27、1:26、1:25、1:24、1:23、1:22、1:21、1:20、1:19、1:18、1:17、1:16、1:15、1:14、1:13、1:12、1:11、1:10、1:9、1:8、1:7、1:6、1:5、1:4、1:3、1:2、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、11:1、12:1、13:1、14:1、15:1、16:1、17:1、18:1、19:1、20:1。
有効成分1及びアンドラスト2との組合せを含む本発明による医薬組成物は、1回の投与ごとに1〜10000μg、好ましくは0.1〜2000μg、より好ましくは1〜1000μg、さらに好ましくは5〜500μg、さらに本発明では10〜300μg、より好適には20〜200μgの用量中に有効成分1及びアンドラスト2とが含まれるように通常投与される。例えば、本発明による有効成分1とアンドラスト2との組成物は、1回の投与の全用量が、約0.1μg、0.5μg、1μg、5μg、10μg、15μg、20μg、25μg、30μg、35μg、45μg、50μg、55μg、60μg、65μg、70μg、75μg、80μg、85μg、90μg、95μg、100μg、105μg、110μg、115μg、120μg、125μg、130μg、135μg、140μg、145μg、150μg、155μg、160μg、165μg、170μg、175μg、180μg、185μg、190μg、195μg、200μg、205μg、210μg、215μg、220μg、225μg、230μg、235μg、240μg、245μg、250μg、255μg、260μg、265μg、270μg、275μg等となるようにしてカチオン1’とアンドラスト2とを含む。これらの用量の範囲のなかで、有効成分1’及び2を前述の質量比で含有させればよい。
【0010】
本発明の範囲を限定するものではないが、例えば、本発明による化合物1とアンドラスト2との組合せは、カチオン1’と2とが、1μgの1’と0.75μgの2、1μgの1’と1.5μgの2、1μgの1’と2μgの2、1μgの1’と4μgの2、1μgの1’と8μgの2、1μgの1’と12.5μgの2、1μgの1’と25μgの2、1μgの1’と50μgの2、1μgの1’と100μgの2、1μgの1’と125μgの2、1μgの1’と200μgの2、1μgの1’と250μgの2、5μgの1’と0.75μgの2、5μgの1’と1.5μgの2、5μgの1’と2μgの2、5μgの1’と4μgの2、5μgの1’と8μgの2、5μgの1’と12.5μgの2、5μgの1’と25μgの2、5μgの1’と50μgの2、5μgの1’と100μgの2、5μgの1’と125μgの2、5μgの1’と200μgの2、5μgの1’と250μgの2、10μgの1’と0.75μgの2、10μgの1’と1.5μgの2、10μgの1’と2μgの2、10μgの1’と4μgの2、10μgの1’と8μgの2、10μgの1’と12.5μgの2、10μgの1’と25μgの2、10μgの1’と50μgの2、10μgの1’と100μgの2、10μgの1’と125μgの2、10μgの1’と200μgの2、10μgの1’と250μgの2、18μgの1’と25μgの2、18μgの1’と0.75μgの2、18μgの1’と1.5μgの2、18μgの1’と2μgの2、18μgの1’と4μgの2、18μgの1’と8μgの2、18μgの1’と12.5μgの2、18μgの1’と50μgの2、18μgの1’と100μgの2、18μgの1’と125μgの2、18μgの1’と200μgの2、18μgの1’と250μgの2、20μgの1’と25μgの2、20μgの1’と0.75μgの2、20μgの1’と1.25μgの2、20μgの1’と2μgの2、20μgの1’と4μgの2、20μgの1’と8μgの2、20μgの1’と12.5μgの2、20μgの1’と50μgの2、20μgの1’と100μgの2、20μgの1’と125μgの2、20μgの1’と200μgの2、20μgの1’と250μgの2、36μgの1’と25μgの2、36μgの1’と0.75μgの2、36μgの1’と1.25μgの2、36μgの1’と2μgの2、36μgの1’と4μgの2、36μgの1’と8μgの2、36μgの1’と12.5μgの2、36μgの1’と50μgの2、36μgの1’と100μgの2、36μgの1’と125μgの2、36μgの1’と200μgの2、36μgの1’と250μgの2、40μgの1’と0.75μgの2、40μgの1’と1.25μgの2、40μgの1’と2μgの2、40μgの1’と4μgの2、40μgの1’と8μgの2、40μgの1’と12.5μgの2、40μgの1’と25μgの2、40μgの1’と50μgの2、40μgの1’と100μgの2、40μgの1’と125μgの2、40μgの1’と200μgの2、
【0011】
40μgの1’と250μgの2、80μgの1’と0.75μgの2、80μgの1’と1.25μgの2、80μgの1’と2μgの2、80μgの1’と4μgの2、80μgの1’と8μgの2、80μgの1’と12.5μgの2、80μgの1’と25μgの2、80μgの1’と50μgの2、80μgの1’と100μgの2、80μgの1’と125μgの2、80μgの1’と200μgの2、80μgの1’と250μgの2、80μgの1’と0.75μgの2、80μgの1’と1.25μgの2、80μgの1’と2μgの2、80μgの1’と4μgの2、80μgの1’と8μgの2、80μgの1’と12.5μgの2、80μgの1’と25μgの2、80μgの1’と50μgの2、80μgの1’と100μgの2、80μgの1’と125μgの2、80μgの1’と200μgの2、80μgの1’と250μgの2、120μgの1’と0.75μgの2、120μgの1’と1.25μgの2、120μgの1’と2μgの2、120μgの1’と4μgの2、120μgの1’と8μgの2、120μgの1’と12.5μgの2、120μgの1’と25μgの2、120μgの1’と50μgの2、120μgの1’と100μgの2、120μgの1’と125μgの2、120μgの1’と200μgの2、120μgの1’と250μgの2、200μgの1’と0.75μgの2、200μgの1’と1.25μgの2、200μgの1’と2μgの2、200μgの1’と4μgの2、200μgの1’と8μgの2、200μgの1’と12.5μgの2、200μgの1’と25μgの2、200μgの1’と50μgの2、200μgの1’と100μgの2、200μgの1’と125μgの2、200μgの1’と200μgの2、200μgの1’と250μgの2、300μgの1’と0.75μgの2、300μgの1’と1.25μgの2、300μgの1’と2μgの2、300μgの1’と4μgの2、300μgの1’と8μgの2、300μgの1’と12.5μgの2、300μgの1’と25μgの2、300μgの1’と50μgの2、300μgの1’と100μgの2、300μgの1’と125μgの2、300μgの1’と200μgの2、300μgの1’と250μgの2、600μgの1’と0.75μgの2、600μgの1’と1.25μgの2、600μgの1’と2μgの2、600μgの1’と4μgの2、600μgの1’と8μgの2、600μgの1’と12.5μgの2、600μgの1’と25μgの2、600μgの1’と50μgの2、600μgの1’と100μgの2、600μgの1’と125μgの2、600μgの1’と200μgの2、600μgの1’と250μgの2で、1回の投与ごとに投与されるような量で含まれているとよい。
【0012】
本発明による化合物1及びアンドラスト2の有効成分組合せは、吸入での投与が好ましい。そのためには、成分1及び2は吸入に適した形態で利用できなければならない。吸入用調剤としては吸入可能粉末、噴射剤含有定量エアロゾル又は噴射剤を含有しない吸入可能な溶液が挙げられる。有効成分1及び2の組合せを含有する本発明の吸入粉末は、有効成分のみから構成されていてもよいし、あるいは、有効成分と生理的に許容される賦形剤との混合物で構成されていてもよい。また、本発明の範囲において、噴射剤を含有しない吸入可能な溶液という用語は、濃縮物又は直ぐに使用できる無菌吸入液が挙げられる。本発明によるこの調剤は、有効成分1及び2の組合せを、1つの製剤中に一緒に含有してもよいし、2つの別個の製剤に含有してもよい。本発明の範囲において使用できるこうした製剤については、明細書の次のパートでより詳細に説明する。
A)本発明による有効成分1及び2の組合せを含む吸入粉末:
本発明による吸入粉末は、1及び2のみを含むか、又は1及び2を生理的に許容される適当な賦形剤と混合させて含むかのいずれでもよい。
有効成分1及び2が生理的に許容される賦形剤との混合物として存在する場合、以下の生理的に許容される賦形剤を使用して本発明による吸入粉末を調製することができる。単糖類(例えば、グルコース又はアラビノース)、二糖類(例えば、ラクトース、サッカロース、マルトース)、オリゴ糖類及び多糖類(例えば、デキストラン)、多価アルコール類(例えば、ソルビトール、マンニトール、キシリトール)、塩類(例えば、塩化ナトリウム、炭酸カルシウム)あるいは、これら賦形剤の混合物。好ましくは、単糖類又は二糖類が使用され、ラクトース又はグルコースの使用が好ましく、限定はされないが、その水和物の形が特に好ましい。本発明の目的にとって、ラクトースが特に好ましい賦形剤であり、ラクトース一水和物が最も好ましい。
【0013】
本発明による吸入粉末の範囲において、賦形剤の最大平均粒径は250μmまで、好ましくは10〜150μm、最も好ましくは15〜80μmの範囲である。上記の賦形剤に平均粒径1〜9μmのより微細な賦形剤画分を添加することが適切と考えられる場合もあろう。より微細な賦形剤も、本願明細書中で前記に列挙した使用可能な賦形剤の群から選択される。最終的には、本発明の吸入粉末を調製するために、好ましくは平均粒径0.5〜10μm、さらに好ましくは1〜5μmの微粒化した有効成分1及び2を、賦形剤混合物に添加する。粉砕及び微粒化を行い、最後に構成成分の混合を行うことによる本発明の吸入粉末の製造方法は、従来技術より公知である。本発明の吸入粉末は、1及び2の両方を含む単一の粉体混合物、あるいは、1又は2のみを含有する別個の吸入粉末の形態のどちらかに調製して投与することができる。
本発明の吸入粉末は、従来技術から公知の吸入器を用いて投与することができる。1及び2に加えて生理的に許容される賦形剤を含む本発明の吸入粉末は、例えば、US4570630Aに記載されているような計量チャンバーを用いた供給源から一回分の投与量を放出する吸入器によって、あるいは、DE3625685Aに記載されているような他の手段によって投与することができる。好ましくは、1と2とに加えて生理的に許容される賦形剤を含む本発明の吸入粉末をカプセルに充填(所謂インハレット(inhalettes)形成)し、例えばWO94/28958に記載されているような吸入器で使用する。
本発明の医薬組成物をインハレットにして使用するための特に好ましい吸入器は、WO03/084502の図1に示されている。この吸入器は、2個の窓2を含むハウジング1と、空気導入口を有し、スクリーンハウジング4を介して固定されたスクリーン5を備えたデッキ3と、デッキ3に連結し、2本の尖ったピン7を備えバネ8に対して可動型の押しボタン9を有する吸入チャンバー6と、スピンドル10を介してハウジング1、デッキ3及びカバー11と連結し、跳ね上げ式で開閉可能なマウスピース12と、カプセルチャンバー6を中心とした中央領域で、スクリーンハウジング4及びスクリーン5の下に位置する、直径1mm未満の3個の穴13とによって特徴づけられる。
【0014】
空気は主にヒンジ近傍のデッキ3とベース1の間から吸入器に流入する。この領域ではデッキの幅の方が狭いので、空気が流入するスリットが形成される。さらに、空気は逆流し、導入管からカプセルチャンバー6に入り込む。この空気の流れはさらにフィルター及びフィルターホルダを通ってマウスピースに流れる。一部の少量の空気がマウスピースとデッキとの間に入り、フィルターホルダとデッキの間を通って本流へと合流する。製造上の公差があるため、フィルターホルダとデッキ間の実際のスリット幅により上記の空気の流れは幾分不確定である。ツール類が新品か再生品であるかによって、吸入器の流動抵抗値は目標値から少々ずれることもある。このずれを修正するために、デッキには、カプセルチャンバー6を中心とした中央領域で、かつスクリーンハウジング4及びスクリーン5の下に位置するところに、直径1mm未満の3個の穴13がある。これらの穴13を通って空気はベースから空気流の主流へと流れこみ、吸入器の流動抵抗をわずかに下げる。平均流動抵抗が目標値と一致するようにツール内に適切なインサートを設けることによって穴13の実際の直径を設定することができる。
前記の好ましい使用のために、本発明による吸入粉末をカプセル(吸入器)に充填する場合、各カプセルの吸入粉末の充填量は、1〜30mg、好ましくは3〜20mg、より好ましくは5〜10mgが推奨される。本発明によれば、前記1’及び2の1回の投与量を一緒又は別個のいずれかでカプセル内に収容する。
【0015】
B)有効成分1及び2の組合せを含む、噴射剤ガス駆動型吸入エアロゾル:
本発明による噴射剤ガス含有吸入エアロゾルは、有効成分1及び2を噴射剤ガス中に溶解又は分散状態で含むことができる。1及び2は別々の製剤又は単一調剤中に存在させることができ、その中で1及び2は、それぞれが溶解または分散されているか、あるいは有効成分の1種のみ又は2種が溶解され、他方が分散されているかのいずれかである。本発明の吸入エアロゾルの調製に使用できる噴射剤ガスについては従来技術から既知である。n−プロパン、n−ブタン又はイソブタン等の炭化水素化合物、及び、メタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンのフッ素化誘導体等のハロ炭化水素化合物から、適当な噴射剤ガスが選択される。上記噴射剤ガスは単独で、又はその混合物として使用できる。特に好ましい噴射剤ガスは、TG134a(1,1,1,2-テトラフルオロエタン)、TG227(1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロプロパン)及びこれらの混合物から選択されるハロゲン化アルカン誘導体である。
また、本発明の噴射剤駆動型吸入エアロゾルには、補助溶剤、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、滑剤及びpH調節剤等の他の成分も含ませることができる。これらの成分はすべて、当分野において公知である。
本発明による噴射剤ガス含有吸入エアロゾルには、有効成分1及び/又は2を5質量%まで含有させるとよい。例えば、本発明のエアロゾルは、有効成分1及び/又は2を0.002〜5質量%、0.01〜3質量%、0.015〜2質量%、0.1〜2質量%、0.5〜2質量%又は0.5〜1質量%含む。
有効成分1及び/又は2が分散状態で存在する場合は、該有効成分粒子の平均粒子径は10μmまでが好ましく、さらに好ましくは0.1〜5μm、より好ましくは1〜5μmである。
【0016】
前述の本発明による噴射剤駆動型吸入エアロゾルは、当該分野において公知の吸入器(定量噴霧吸入器(MDI))を用いて投与することができる。従って、本発明の別の態様としては、前述の噴射剤駆動型エアロゾルを投与するのに適した1種以上の吸入器と組み合わせた、噴射剤駆動型エアロゾル状態の医薬組成物に関する。更に、本発明は、本発明による前記噴射剤ガス含有エアロゾルを収容することを特徴とする吸入器に関するものである。また、本発明は、適切なバルブが設けられ、適当な吸入器で使用可能であり、かつ、本発明による上記噴射剤ガス含有吸入エアロゾルの1種を収容する、カートリッジに関する。好適なカートリッジ、さらには本発明による噴射剤ガス含有吸入エアロゾルをカートリッジに充填する方法については、従来技術から公知である。
C)本発明による有効成分1及び2の組合せを含む、噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液:
本発明の有効成分組合せは、噴射剤を含有しない吸入性溶液及び懸濁液の状態で使用することがとりわけ好ましい。使用する溶媒は、水性又はアルコール性がよく、好ましくはエタノール性溶液である。溶媒としては水を単独で用いるか、水とエタノールとの混合物がよい。水に対するエタノールの相対的割合は限定されないが、その最大値は70容量%まで、より好ましくは60容量%まで、最も好ましくは30容量%までである。残りの容量は水で構成される。1及び2を別個に又は一緒に含有する溶液又は懸濁液は、そのpH値を適当な酸を用いてpH2〜7、好ましくはpH2〜5に調整する。pH値は無機酸又は有機酸から選択される酸を用いて調整すればよい。好適な無機酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硝酸、硫酸及び/又はリン酸が挙げられる。特に好適な有機酸の例としては、アスコルビン酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、フマル酸、酢酸、ギ酸及び/又はプロピオン酸等が挙げられる。推奨される無機酸は塩酸及び硫酸である。また、有効成分の1つとともに酸付加塩をすでに形成している酸を使用することも可能である。有機酸の中では、アスコルビン酸、フマル酸及びクエン酸が好ましい。所望であれば、上記の酸の混合物を用いることもでき、特に、酸性化特性に加えて、例えば香料、酸化防止剤又は錯化剤としての特性を有する酸、例えばクエン酸又はアスコルビン酸等の場合は、混合して用いるとよい。本発明によると、塩酸を用いてpH値を調整することが特に好ましい。
【0017】
本発明では、エデト酸(EDTA)又はその公知の塩の1つであるエデト酸ナトリウムを安定剤又は錯化剤として添加することは、本発明の製剤においては不要である。実施形態によっては、この化合物を1種以上含んでもよい。推奨実施形態は、エデト酸ナトリウムを基準とした含有量が、100mg/100ml未満、好ましくは50mg/100ml未満、さらに好ましくは20mg/100ml未満である。一般に、エデト酸ナトリウムの含有量が0〜10mg/100mlの範囲となる吸入液が好ましい。
本発明の噴射剤を含有しない吸入溶液には、補助溶剤及び/又は他の賦形剤を添加することができる。好ましい補助溶剤は、ヒドロキシル基又は他の極性基を含むもので、例えばアルコール類、特にイソプロピルアルコール、グリコール類、特にプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリコールエーテル、グリセロールと、ポリオキシエチレンアルコール類とポリオキシエチレン脂肪酸エステル類とである。本明細書における賦形剤及び添加剤という用語は、それ自体は活性物質ではないが、薬理学的に好適な溶媒中で1種またはそれより多くの活性物質と共に処方されて、活性物質を含む調剤の定性的特性を改善することができる、薬理的に許容される任意の物質を意味する。これらの物質は薬理的作用を持たないことが好ましいが、所望の療法との関連において容易に認識できるような薬理作用は持たないか、少なくとも望ましくない薬理作用を有していないことが好ましい。賦形剤及び添加剤としては、例えば、大豆レシチン、オレイン酸、ポリソルベートなどのソルビタンエステル類、ポリビニルピロリドンなどの界面活性剤、他の安定剤、錯化剤、最終的な薬剤製剤物の品質保持期間を保証又は延長する酸化防止剤及び/又は防腐剤、香味付与剤、ビタミン類及び/又は当分野において公知の他の添加剤が含まれる。また、添加剤には、塩化ナトリウムなどの薬理学的に許容される塩も等張剤として含まれる。
好ましい賦形剤としては、例えばpHの調整に使用されていないことを前提とするアスコルビン酸、さらにはビタミンA、ビタミンE、トコフェロール及び人体内で産生する同様なビタミン類及びプロビタミン類等の酸化防止剤が挙げられる。
【0018】
防腐剤を使用して病原体による汚染から調剤を保護することができる。適当な防腐剤は当該分野において公知のものであり、特に当該分野において既知の濃度の、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム又は安息香酸もしくは安息香酸ナトリウムなどの安息香酸塩である。上記防腐剤は、好ましくは50mg/100mlまで、より好ましくは5〜20mg/100mlの範囲の濃度で存在していることが好ましい。
好ましい調剤は、溶剤としての水及び有効成分1と2との組合せのほかに、塩化ベンザルコニウム及びエデト酸ナトリウムのみを含むものである。エデト酸ナトリウムを含まない推奨実施形態もある。
本発明の噴射剤を含有しない吸入溶液は、特には、必要とされる治療投与量の液体調剤少量を数秒間以内に霧状にして治療用の吸入に適したエアロゾルを生成することができるタイプの吸入器を用いて投与される。本発明の範囲内において、100μL未満、好ましくは50μL未満、より好ましくは10〜30μLの量の有効成分溶液を、好ましくは1回のスプレー操作で霧状にすることができ、その結果、平均粒径が20μm未満、好ましくは10μm未満のエアロゾルを生成し、エアロゾルの吸入されうる部分が治療上の有効量に相当するように生成することができる噴霧器が好ましい噴霧器である。
吸入用液状医薬組成物の定量を噴射剤なしで放出するタイプの装置については、例えば国際特許出願WO91/14468及びWO97/12687(特に図6a及び図6b参照)に記載されている。これらに記載されているネブライザー(装置)は、Respimat(登録商標)という名称で知られている。
このネブライザーRespimat(登録商標)を効果的に利用して、有効成分1及び2の組合せを含む本発明の吸入エアロゾルを生成することができる。この装置は、形状が円筒状で、長さ9〜15cm及び幅2〜4cm未満の取り扱い易いサイズであるために、患者は常に携行することができる。このネブライザーは、高圧を利用して小さなノズルから所定量の医薬製剤を噴霧して、吸入エアロゾルを生成するものである。
【0019】
好ましい噴霧器は、上部ハウジング部と、ポンプハウジングと、ノズルと、ロック機構と、バネハウジングと、バネと、貯蔵容器のみから実質的になり、
− 上部ハウジング部内に固定され、その一端にはノズル又はノズル装置を備えたノズル本体を含むポンプハウジング、
− バルブ本体を備えた中空プランジャー、
− 中空プランジャーが中に固定され、上部ハウジング部に配置された動力取り出しフランジ、
− 上部ハウジング部に位置するロック機構、
− 内部にバネを収容し、回転軸受けによって上部ハウジング部に回動可能に取り付けられているバネハウジング、
− バネハウジング上に軸方向に取り付けられている下部ハウジング部、とによって特徴づけられる。
バルブ本体を備えた中空プランジャーは、WO97/12687に開示の装置に対応する。中空プランジャーは、ポンプハウジングのシリンダ内に一部が突き出ており、シリンダ内を軸方向に移動可能である。特に図1乃至図4、とりわけ図3、及びそれに関連する説明部分に記載されている。バルブ本体を備えた中空プランジャーは、バネが作動した瞬間に、その高圧末端において、流体、即ち定量の有効成分溶液に対して5〜60Mpa(約50〜600bar)、好ましくは10〜60Mpa(約100〜600bar)の圧力を及ぼす。1回のスプレーによる量は、好ましくは10〜50μL、特に好ましくは10〜20μLで、最も好ましくは15μLである。
バルブ本体は、好ましくは、バルブ本体に面した中空プランジャーの端部に取り付けられる。
ノズル本体内のノズルは微細構造を有することが好ましく、即ち、マイクロテクノロジーによって作成されたものであることが好ましい。微細構造を有するノズル本体については、例えばWO94/07607に開示されており、この明細書の内容、特に図1及びその関連説明の内容を本願明細書に引用する。
【0020】
ノズル本体は、例えば、強固に結合した2枚のガラス及び/又はシリコンシートからなり、2枚のうちの少なくとも1枚には、1本以上の微細構造により作製された溝があり、この溝によってノズル入口端部がノズル出口端部と連結している。ノズル出口端部には、深さ2〜10μmで幅5〜15μm、好ましくは深さが4.5〜6.5μmで、長さが7〜9μmの少なくとも1個の円形又は非円形開口部がある。
ノズル開口部が複数個、好ましくは2個ある場合、ノズル本体内におけるノズルのスプレー方向は互いに平行に延びてもよいし、あるいはノズル開口方向に互いに対して傾斜させることも可能である。出口端部に少なくとも2つのノズル開口部を有するノズル本体において、スプレー方向は、互いに対して20〜160°、好ましくは60〜150°、最も好ましくは80〜100°の角度がよい。ノズル開口部は、好ましくは10〜200μm、より好ましくは10〜100μm、最も好ましくは30〜70μmの間隔をおいて配置される。50μmの間隔が最も好ましい。したがって、スプレー方向はノズル開口部近傍でぶつかることになる。
液状医薬調剤は、600barまでの導入圧力、好ましくは200〜300barの導入圧力でノズル本体に突き当たり、ノズル開口部を通って霧化され吸入エアロゾル状態になる。エアロゾルの好ましい粒径または液滴の径は20μmまで、好ましくは3〜10μmである。
ロック機構には、力学的エネルギーを保存するためのバネ、好ましくは円筒状の圧縮コイルバネが含まれる。このバネは作動部材としての動力取出しフランジに作用するが、フランジの移動はロック部材の位置によって決まる。この動力取出しフランジの移動は、上部および下部の止め(stop)によって正確に定められている。上部ハウジング部が下部ハウジング部内のバネハウジングと反対に回転する際に発生する外部トルクによって、バネは、動力増速機、例えば螺旋状スラストギアを介して偏向させられると好ましい。この場合、上部ハウジング部及び動力取出しフランジは、単一又は多数のV字型ギアを有する。
噛合するロック面を有するロック部材は、動力取出しフランジの回りにリング状に配置されている。ロック部材は、例えば、本質的に径方向に弾性変形するプラスチックまたは金属のリングからなる。このリングは、噴霧器の軸に対して直角をなす面に配置される。バネの偏向により、ロック部材のロック表面は動力取出しフランジの通路内に移動し、バネが緩まないようにする。ロック部材はボタンによって作動する。この作動ボタンはロック部材に接続又は連結している。ロック機構を作動させるには、作動ボタンをリング状平面に対して水平に移動させ、好ましくは噴霧器内に移動させる。これによって変形性リングはリング状平面方向に変形する。ロック機構の構成に関する詳細は、WO97/20590に記載されている。
【0021】
バネハウジングの上から下部ハウジング部が軸方向にはめこまれ、マウント(mounting)、スピンドルの駆動装置及び流体用貯蔵容器を収容する。
噴霧器を作動させると、上部ハウジング部は下部ハウジング部に対して相対的に回転し、下部ハウジング部はバネハウジングを一緒に回転させる。結果として、バネは螺旋状スラストギアによって圧縮、偏向され、ロック機構が自動的に嵌合する。回転角は360度分の整数度、例えば180度が好ましい。バネが偏向されると同時に、上部ハウジング部における動力取出し部が所定の距離だけ移動し、中空プランジャーがポンプハウジング内のシリンダ内部に引き戻され、その結果として、流体の一部が貯蔵容器から吸い出され、ノズル前方の高圧チャンバーに送りこまれる。
所望であれば、噴霧すべき流体を収容する交換可能な多数の貯蔵容器を順番に噴霧器に押し込み、連続的に使用することもできる。貯蔵容器には、本発明による水性エアロゾル調剤が収容される。
噴霧工程は、作動ボタンを軽く押すことにより開始される。この結果、ロック機構が動力取出し部材用の通路を開ける。偏向されたバネによって、ポンプハウジングのシリンダ内にプランジャーが押し込まれる。流体が霧状になって噴霧器のノズルから放出される。
構造についての更なる詳細は、PCT出願WO97/12683及びWO97/20590に開示されており、これらを本願明細書に引用する。
【0022】
噴霧器(ネブライザー)の構成部品は、その目的に適した材料で作られる。噴霧器のハウジング、さらには操作上許されるならば他の部品も同様に、例えば射出成型によって好ましくはプラスチックで作製される。医薬的な目的から生理学的に安全な材料を用いる。
WO97/12687の図6a/図6bは引用により本出願の記載に含まれるものとするが、本発明による水性エアロゾル調剤の吸入に有利に使用できるネブライザーRespimat(登録商標)を示す。
WO97/12687の図6aは、バネが偏向した状態の噴霧器の長手方向断面図であり、一方、WO97/12687の図6bは、バネが緩んだ状態の噴霧器の長手方向断面図を示す。上部ハウジング部(51)はポンプハウジング(52)を収容し、その端部には噴霧器ノズル用のホルダ(53)が取付けられている。ホルダにはノズル本体(54)及びフィルタ(55)がある。ロック機構の動力取出しフランジ(56)内に固定された中空プランジャー(57)は、ポンプハウジングのシリンダ内にその一部が突き出している。中空プランジャーは、その端部においてバルブ本体(58)を担持する。中空プランジャーは、封止手段(59)によって封止される。上部ハウジング部内には止め(60)があり、バネが緩んでいる状態の時には動力取出しフランジが止めに突き合わさる。動力取出しフランジ上には止め(61)があり、バネが偏向すると動力取出しフランジがこの止めに突き合わさる。バネの偏向後、ロック部材(62)は、上部ハウジング部内の止め(61)と支持体(63)との間を移動する。作動ボタン(64)は、ロック部材に連結している。上部ハウジング部は、マウスピース(65)で終端しており、またその上に配置できる保護カバー(66)によって封止される。
【0023】
圧縮バネ(68)を備えたバネハウジング(67)は、カチッとはまる爪(69)及び回転軸受けによって上部ハウジング部に回動自在に取付けられている。下部ハウジング部(70)はバネハウジングの上からかぶせられている。バネハウジング内部には、噴霧すべき流体(72)用の交換可能な貯蔵容器(71)がある。貯蔵容器はストッパー(73)により封止され、ストッパーを介して中空プランジャーは貯蔵容器内に突き出し、かつその端部が流体中に浸漬される(有効成分溶液の供給)。
機械的カウンタ用のスピンドル(74)は、バネハウジングのカバー内に取付けられている。上部ハウジング部に面したスピンドルの端部には、駆動ピニオン(75)がある。スライダ(76)がスピンドル上に配置されている。
上記ネブライザーは、本発明のエアロゾル調剤を噴霧するのに好適で、吸入に適したエアロゾルを生成する。
本発明の製剤を、上記方法Respimat(登録商標)を用いて噴霧する場合、吸入器の全操作(スプレー作動)の少なくとも97%、好ましくは少なくとも98%の達成で、放出される量が規定量に対して許容差25%以下、好ましくは20%以下に相当する量であるとよい。好ましくは、5〜30mg、最も好ましくは5〜20mgの製剤が、規定量として1回ごとのスプレー動作で放出されることが好ましい。
【0024】
本発明の製剤は、上記以外の吸入器、例えば、ジェット流吸入器又は他の固定式噴霧器等によって噴霧されてもよい。
従って、更なる本発明の態様は、上記のような噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液状態の医薬製剤であって、その製剤の投与に適した装置、好ましくは、Respimat(登録商標)と組み合わせた、噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液状態の医薬製剤に関する。好ましくは、本発明による有効成分1及び2の組合せを特徴とする、噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液であって、Respimat(登録商標)という名称で知られている装置と組み合わせた前記噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液に関する。さらに、本発明は、本願明細書で前述したような本発明の噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液を収容することを特徴とする、前記吸入用装置、好ましくはRespimat(登録商標)に関するものである。
本発明による噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液は、濃縮物又は直ぐに使用できる無菌吸入溶液もしくは懸濁液、ならびにRespimat(登録商標)用に設計された上記溶液及び懸濁液の状態とすることができる。濃縮物の場合、例えば等張性の生理食塩水を添加することによって直ぐに使用可能な製剤を作製できる。直ぐに使用できる無菌製剤は、ベンチュリの原理又は他の原理によって超音波又は圧縮空気を用いて吸入性エアロゾルを生成する、エネルギー駆動型の固定式又は持運び可能なネブライザーを使用して投与することができる。
したがって、本発明の別の態様は、濃縮物又は直ぐに使用可能な無菌製剤の形態をとる、前述のような噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液状態の医薬組成物に関するもので、これらの溶液の投与に適した装置、即ち、ベンチュリの原理または他の方法によって超音波又は圧縮空気を用いて吸入性エアロゾルを生成する、エネルギー駆動式の自立型又は持運び可能なネブライザーであることを特徴とする装置と組み合わせた医薬組成物に関する。
以下の実施例は本発明をより詳細に説明することを意図するもので、本発明の範囲を一例として以下の実施形態に限定するものではない。
【0025】
製剤の実施例
吸入可能粉末:
【0026】
【表1】

【0027】
【表2】

【0028】
【表3】

【0029】
【表4】

【0030】
【表5】

【0031】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の抗コリン作用薬1とアンドラスト2とを共に含有する医薬組成物であって、前記有効成分が鏡像異性体、鏡像異性体混合物又はラセミ体の状態であってもよく、また、溶媒和物又は水和物の状態であってもよく、かつ、医薬的に許容される賦形剤を一緒に含んでもよい医薬組成物。
【請求項2】
前記抗コリン作用薬1が、チオトロピウム塩、オキシトロピウム塩、イプラトロピウム塩及びグリコピロニウム塩からなる群から選択され、これらがジアステレオ異性体、鏡像異性体又はその混合物であってもよいことを特徴とする請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記抗コリン作用薬1が、トロペノール 2,2-ジフェニルプロピオン酸エステルメトブロミド、スコピン 2,2-ジフェニルプロピオン酸エステルメトブロミド、スコピン 2-フルオロ-2,2-ジフェニル酢酸エステルメトブロミド、トロペノール 2-フルオロ-2,2-ジフェニル酢酸エステルメトブロミド、トロペノール 3,3',4,4'-テトラフルオロベンジル酸エステルメトブロミド、スコピン 3,3',4,4'-テトラフルオロベンジル酸エステルメトブロミド、スコピン 4,4'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロミド、トロペノール 4,4'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロミド、スコピン 3,3'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロミド、トロペノール 3,3'-ジフルオロベンジル酸エステルメトブロミド、トロペノール 9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール 9-フルオロ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン 9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン 9-フルオロ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール 9-メチル-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン 9-メチル-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン ベンジレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン 2,2-ジフェニルプロピオネートメトブロミド、シクロプロピルトロピン 9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン 9-メチル-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン 9-メチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン 9-ヒドロキシ-フルオレン-9-カルボキシレートメトブロミド、シクロプロピルトロピン メチル 4,4'-ジフルオロベンジレートメトブロミド、トロペノール 9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン 9-ヒドロキシ-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール 9-メチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、スコピン 9-メチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール 9-エチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、トロペノール 9-ジフルオロメチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド及びスコピン 9-ヒドロキシメチル-キサンテン-9-カルボキシレートメトブロミド、或いは、これらに対応するフルオリド、クロリド、ヨージド、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、シトレート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート及びp−トルエンスルホネートからなる群から選択され、これらが、ジアステレオ異性体、鏡像異性体又はその混合物であってもよい、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記抗コリン作用薬1が、下記式1aで表される化合物:
【化1】

(式中、X-は、1個の負電荷を有するアニオンを示し、好ましくは、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、スルフェート、ホスフェート、メタンスルホネート、ニトレート、マレエート、アセテート、シトレート、フマレート、タルトレート、オキサレート、スクシネート、ベンゾエート及びp−トルエンスルホネートから選択されるアニオンを示す)から選択され、これらがラセミ体、鏡像異性体又は水和物の状態であってもよいことを特徴とする、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記有効成分1及び2が単一製剤中に一緒に存在するか、又は、2種の別々の製剤に含有されるかのいずれかである、請求項1〜4のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記抗コリン作用薬1が、クロリド、ブロミド、ヨージド、メタンスルホネート、スルフェート又はp−トルエンスルホネートの状態で存在し、好ましくはブロミドの状態で存在することを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記医薬組成物が吸入に適した製剤形態であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記医薬組成物が、吸入可能粉末、噴射剤含有定量エアロゾル及び噴射剤を含まない吸入溶液又は懸濁液から選択される製剤であることを特徴とする、請求項7記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記医薬組成物が、単糖類、二糖類、オリゴ糖及び多糖類、多価アルコール類、塩類、またはこれらの賦形剤の混合物から選択される医薬的に許容される好適な賦形剤とともに、抗コリン作用薬1とアンドラスト2とを含有する吸入可能粉末であることを特徴とする、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記医薬組成物が抗コリン作用薬1とアンドラスト2とを溶解又は分散状態で含む、噴射剤含有定量エアロゾルである、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記医薬組成物が、n−プロパン、n−ブタン又はイソブタン等の炭化水素化合物、或いは、メタン、エタン、プロパン、ブタン、シクロプロパン又はシクロブタンのフッ素化誘導体等のハロ炭化水素化合物を噴射剤ガスとして含有する、請求項10記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記噴射剤ガスがTG134a、TG227又はこれらの混合物であることを特徴とする、請求項11記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記医薬組成物が、水、エタノール又は水とエタノールとの混合物を溶媒として含有する、噴射剤を含有しない吸入溶液又は懸濁液であることを特徴とする、請求項8記載の医薬組成物。
【請求項14】
pH値が2〜7、好ましくは2〜5であることを特徴とする請求項13記載の医薬組成物。
【請求項15】
気管支炎、慢性気管支炎、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、喘息、気管支拡張症、アレルギー性/非アレルギー性鼻炎もしくは副鼻腔炎、嚢胞性繊維症、アルファ-1-抗トリプシン欠乏症、咳、慢性の咳、肺気腫、肺線維症及び過反応性気道などの炎症性及び/又は閉塞性気道疾患用の医薬品を製造するための、請求項1〜14のいずれか1項記載の組成物の使用。

【公表番号】特表2009−522328(P2009−522328A)
【公表日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−548981(P2008−548981)
【出願日】平成18年12月22日(2006.12.22)
【国際出願番号】PCT/EP2006/070137
【国際公開番号】WO2007/077164
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】