説明

抗座瘡スキンケア組成物及びスキンケア物品

皮膚の局所塗布用クレンジング及び保湿組成物を開示する。組成物は、有効成分としてサリチル酸を含み、70〜95重量%の水相と5〜30重量%の油相とを含むエマルジョンの形態を有し、前記サリチル酸が前記油相に溶解しており、1種又は複数の保湿剤を含む。組成物は、簡単に皮膚に塗布するために、拭取り基材に導入してもよい。組成物は、皮膚のクレンジング及び保湿の複合効果を有し、座瘡の予防又は治療処置に用いることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スキンケア組成物、特に、皮膚への局所塗布を目的としたクレンジング及び保湿組成物に関する。組成物は、拭取り製品を用いた塗布に特に適しており、よって本発明はさらに、前記組成物が含浸されているか、又はこれを塗布するための基材の形態のスキンケア物品を提供する。
【背景技術】
【0002】
スキンケア組成物、特に皮膚のクレンジングを目的としたものについて、拭取り材による塗布はよく知られている。このような製品は、配合物を含浸させるための、典型的には不織布、スポンジ、発泡体、又はその他の多孔質材料の形態をした拭取り基材を含む。含浸される配合物は、一般に、これらの拭取り材料への導入を促進するために、低い粘度を有する。
【0003】
サリチル酸(2−ヒドロキシ安息香酸)は、スキンケアに用いられるものとしてよく知られた薬剤である。サリチル酸は、特に、座瘡の処置に有効であることが知られており、よってこのような状態を予防したり緩和したりすることを目的とした、様々なクレンジング製品に用いられている。
【0004】
サリチル酸を含有する拭取り用配合物は、既に市販されている。このような製品は、水をベースとしているが、サリチル酸の水への溶解度は比較的低い。したがって、サリチル酸を可溶化するために、既存の製品は高い濃度の洗浄剤か、アルコール(例えばエタノール)を含有している。
【0005】
残念ながら、高レベルの洗浄剤や高レベルのアルコールの配合物への導入には、ある種の不利点がある。製品がユーザーに十分に受け入れられるような風合いを有していなかったり、(アルコールが存在する場合には)皮膚の乾燥作用を有していたり、又はむしろ刺激となったりすることがある。したがって、配合物が皮膚のクレンジングに効果的であったとしても、この利点は他の不利点によって相殺されてしまう。加えて、サリチル酸を可溶化するために必要な高いレベルのアルコールは、パッケージングの困難を招きかねない。
【0006】
低粘度組成物にサリチル酸を可溶化するための代替技術は、既に知られている。例えば、WO0219984は、比較的少ない量のサリチル酸を、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマー乳化剤、及び(i)エーテルポリマー、(ii)ソルビトールのラウリン酸エステルと、エチレンオキシドを用いて凝縮したソルビトール無水物との混合物、及び(iii)これらの混合物、からなる群から選択される非イオン性界面活性剤と組合せて含むエマルジョンを含有するウェット型拭取り製品を開示している。しかしながら、サリチル酸の効能を向上させるために、サリチル酸の量を増加させる及び/又は組成物のpHを低下させようとするならば、非刺激性の低粘度系を提供するにあたっての技術的課題に直面する。
【0007】
ここにおいて、従来技術に関する上記の及び/又はその他の不利点を克服又は実質的に軽減した、改良されたサリチル酸含有スキンケア組成物を発明した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、有効成分としてサリチル酸を含み、70〜95重量%の水相と5〜30重量%の油相とを含むエマルジョンの形態を有し、前記サリチル酸が前記油相に溶解しており、1種又は複数の保湿剤を含む皮膚への局所塗布用クレンジング及び保湿組成物が提供される。
【0009】
本発明による組成物は、何よりも、これが皮膚のクレンジングに効果的であり、従来技術の配合物に関連する不利点を伴っていない、という点で有利である。特に、この組成物は、より多くの量のサリチル酸を含むことができる。加えて、この組成物のpHは、サリチル酸の効能を最大化するのに十分な程度に酸性にすることができる。さらに、サリチル酸がエマルジョンの油相に存在するため、配合物は、サリチル酸を水相に可溶化するのに要するアルコールを含有する必要がない。その結果、多量のアルコールを含有する組成物の、望ましくない乾燥作用は減少する。加えて、アルコール含有配合物の乾燥作用を克服するのみならず、配合物中に存在する保湿剤によって皮膚の水分レベルを増加させることができる。さらなる利点は、配合物に、より多いレベルの保湿成分を導入できる点である。このことは、長期間にわたる保湿効果に寄与しうる。よってこの組成物は、皮膚の清浄が可能であり、座瘡の予防及び/又は処置に有効であると同時に、肌に潤いを与える、という複数の効果を提供することができる。このような効果の組合せは、特に1ステップの組成物の塗布によってこれらの全ての効果が得られるので、価値ある治療的及び化粧的特性を提供する。この配合物はまた、適当な粘度を有しているため、拭取り製品に導入することができる。加えて、この配合物は、皮膚に優しく非刺激性であり、非常に望ましい風合いを有している。高い濃度のアルコールを含有する配合物について生じる.パッケージングにおける困難もまた、回避することができる。
【0010】
サリチル酸は、遊離酸として本発明による組成物中に導入することが好ましい。しかしながら、組成物のpHは、通常はそうであるように、サリチル酸が組成物中で解離した形態で存在するようなものであってもよい。組成物は、カチオン性対イオンを含有していてもよく、その場合、サリチル酸は塩の形態で存在していると考えられる。又は、サリチル酸は、例えばサリチル酸ナトリウムなどの1族金属との塩の形態で組成物中に導入してもよい。本明細書において、文脈上他の意味に解すべき場合を除き、サリチル酸に関するありとあらゆる言及は、この酸とその解離形態及びその塩に関する言及を包含すると解されるべきである。サリチル酸はまた、例えばヤナギランなどの天然由来のものから供されてもよい。
【0011】
本発明による組成物中のサリチル酸の濃度は、少なくとも0.1重量%であることが好ましく、少なくとも0.5重量%であることがより好ましい。本発明による組成物中のサリチル酸の濃度は、5重量%未満であることが好ましく、4重量%未満であることがより好ましく、3重量%未満であることが最も好ましい。したがって、サリチル酸の濃度は、0.1重量%から5重量%の範囲となり、0.5重量%よりも大きく4重量%までであることが好ましく、1重量%から3重量%が最も好ましく、1〜2重量%であることが最も好ましい。特に好ましいサリチル酸の濃度は、1重量%、1.5重量%、2重量%である。
【0012】
上述のように、本発明による組成物は、実質的な量のアルコール、例えばエタノール又はイソプロピルアルコールなどの低級アルコール、を含有する必要がない点において有利である。したがって、組成物は、エタノール又はイソプロピルアルコールなどの単純な脂肪族モノアルコールを含まないか、又は実質的に含まないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、アルコールが5重量%未満のレベルでしか存在しないことを意味し、1重量%、特に0.1重量%未満であることがより好ましい。
【0013】
エマルジョンは、薄いエマルジョンの形態をしていることが好ましい。これによって、組成物は、皮膚に塗布するための繊維製パッドに含浸又は吸収させるのに適した粘度のものとなる。本発明による組成物は、例えば約100mPa.s未満である、水と同程度の粘度を有していることが好ましい。約1,000mPa.sを超える粘度では、エマルジョンは拭取り製品と共に使用するのにあまり適さなくなると考えられている。粘度は、例えばブルックフィールド粘度計などの標準的な粘度測定法を用いて測定できる。
【0014】
本発明による組成物の油相は、組成物の5w/w%と20w/w%の間を構成していることが好ましく、組成物の5w/w%と15w/w%の間を構成していることがより好ましい。油相は、脂質材料又は疎水性材料のブレンドを含むことが好ましい。組成物は、水中油型エマルジョンであることが好ましい。
【0015】
組成物の油相は、サリチル酸を油相に可溶化するために、ポリアルキレングリコールの脂肪族アルコールとのエーテル、例えばPPG−14ブチルエーテル及び/又はPPG−15ステアリルエーテルなどのポリプロピレングリコールアルキルエーテル、を含んでいることが好ましい。
【0016】
油中水型又は水中油型エマルジョンの油相はまた、例えば次のものを含んでいてもよい:
a)パラフィン又は鉱物油などの炭化水素油;
b)ビーズワックス又はパラフィンワックスなどのワックス;
c)ひまわり油、杏仁油、シアバター又はホホバ油などの天然油;
d)ジメチコーン、シクロメチコーン又はセチルジメチコーンなどのシリコーン油;
e)パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、マレイン酸ジオクチル、オレイン酸グリセリル及びイソノナン酸セトステアリルなどの脂肪酸エステル;
f)セチルアルコール又はステアリルアルコール及びこれらの混合物(例えばセテアリルアルコール)などの脂肪アルコール;
g)例えばPPG−14ブチルエーテルなどのポリプロピレングリコール又はポリエチレングリコールエーテル;又は
h)例えばCutina(Henkel)の商品名で市販されているワックスのブレンドなどの、これらの混合物。
【0017】
組成物の水相は、組成物の80w/w%から95w/w%を構成していることが好ましく、組成物の85w/w%から95w/w%を構成していることがより好ましい。
【0018】
好ましいエマルジョンは、少なくとも70重量%、より好ましくは少なくとも75重量%、最も好ましくは少なくとも80重量%の水を含む。水の上限は、組成物に導入される他の成分の量に依存し、水は組成物の100%までの残りを形成する。典型的な最大値は95重量%未満であり、例えば90重量%又は85重量%である。
【0019】
本発明による組成物は、1種又は複数の保湿剤、言い換えれば、皮膚最表層の水分率を増加させることを目的とする成分を含む。このような成分の例としては、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、尿素、パンテノール、例えば乳酸などのα−ヒドロキシ酸、タンパク質加水分解物、ヒアルロン酸、炭酸ピロリドン、及び、例えばアロエベラ(aloe barbadlensis)などの天然由来のものがある。保湿剤は、通常、水溶性の保湿剤である。
【0020】
組成物は、2w/w%から10w/w%の保湿剤を含むことが好ましく、4w/w%から8w/w%であることがより好ましい。
【0021】
本発明による組成物はまた、スキンケアにおいて有用な、1種又は複数のさらなる局所で有効な成分を含んでいてもよい。
【0022】
組成物のpHは、pH5.0未満の値に調整することが好ましく、pH4.0未満であることがより好ましい。pH2.0よりも高いことが好ましい。よって、組成物のpHは、pH2.0から5.0の範囲にあることが好ましく、pH2.0から4.0であることがより好ましい。組成物のpHは、pH2.5から3.5の範囲、例えば約3.0であることが特に好ましい。
【0023】
組成物のpHは、1種又は複数の適当なpH調整剤を組成物に導入することによって調整してもよい。pH調整剤の例としては、例えば水酸化ナトリウムなどの無機塩、及び、例えばトリエタノールアミンなどの有機塩基がある。水酸化ナトリウムは、特に好ましいpH調整剤である。
【0024】
本発明による組成物は、少なくとも1種又は複数の乳化剤を含んでいてもよい。最も好ましくは、このような乳化剤は油相乳化剤と水相乳化剤の両方を含み、すなわち、それぞれ油相又は水相中に処理されるか、配合される乳化剤を意味する。
【0025】
本発明による組成物に含有させるには、多くの様々な種類の乳化剤が適している可能性があるが、これらは当業者には容易に識別できるであろう。
【0026】
使用される乳化剤は、油中水型又は水中油型乳化剤で用いられるものとして当技術分野で知られているいかなる乳化剤でもよい。化粧品分野で受容可能な乳化剤として知られているものには、次のものが含まれる:
a)例えばArlacel 83(ICI)の商品名で市販されているセスキオレイン酸ソルビタン、又はポリグリセリル−2−セスキオレエートなどの、セスキオレエート;
b)例えばArlacel 989(ICI)の商品名で市販されている水素化ヒマシ油のポリエトキシル化エステルなどの、天然油の誘導体のエトキシル化エステル;
c)例えばABIL WS08(Th. Goldschmidt AG)の商品名で市販されているシリコーンポリオールなどの、シリコーン乳化剤;
d)例えばステアリン酸カリウムなどの脂肪酸石鹸、例えばDehydag(Henkel)の商品名で市販されているケトステアリル硫酸塩などの脂肪酸硫酸塩などの、アニオン性乳化剤;
e)例えばBrij(ICI)の商品名で市販されている乳化剤などの、エトキシル化脂肪アルコール;
f)例えばSpan(ICI)の商品名で市販されている乳化剤などの、ソルビタンエステル;
g)例えばTween(ICI)の商品名で市販されている乳化剤などの、エトキシル化ソルビタンエステル;
h)例えばMyrj(ICI)の商品名で市販されている乳化剤などのエトキシル化ステアリン酸塩などの、エトキシル化脂肪酸エステル;
i)例えばLabrafil(Alfa Chem.)の商品名で市販されている乳化剤などの、エトキシル化モノグリセリド、ジグリセリド、及びトリグリセリド;
j)例えばPolawax(Croda)の商品名で市販されているワックスなどの、非イオン性自己乳化型ワックス;
k)例えばTefose(Alfa Chem.)の商品名で市販されている乳化剤などの、エトキシル化脂肪酸;
l)例えば、Tegocare 450(Degussa Goldschmidt)の商品名で市販されているポリグリセロール−3メチルグルコースジステアレートなどの、メチルグルコースエステル;或いは
m)これらの混合物。
【0027】
乳化剤は、非イオン性乳化剤、並びに、脂質及びワックス様構成成分の、水中油型エマルジョン濃縮物の形態で使用することが特に好ましく、例えば、EMULGADE CMの商品名でCognisから販売されている、特にイソノナン酸セテアリル、セテアレス−20、セテアリルアルコール、ステアリン酸グリセリル、グリセリン、パルミチン酸セチル、及びセテアレス−12を含むものがある。
【0028】
本発明の組成物は、1w/w%から10w/w%の乳化剤を含むことが好ましく、5w/w%未満であることがより好ましい。よって、組成物は、1w/w%から5w/w%の範囲の量の乳化剤を含むことが好ましい。水相乳化剤が、存在している乳化剤の大半の部分を占めていることが好ましい。油相乳化剤の総量は、典型的には1w/w%未満であり、0.5w/w%未満である、例えば0.1w/w%から0.5w/w%の範囲であることがより好ましく、水相乳化剤の総量は1w/w%から5w/w%の範囲、2w/w%から3.5w/w%の範囲であることがより好ましい。組成物による皮膚への乾燥作用を最小限に抑えるため、少量の乳化剤を使用するほど好ましい。
【0029】
本発明による組成物は、加えて、当業者によく知られているその他の成分を含んでいてもよい。これらには、例えば次のものが含まれる:
a)保存料――微生物の増殖を防止又は抑制し、よって組成物を腐敗から守る成分。保存料の例には、プロピルパラベン、ブロノポール、デヒドロ酢酸ナトリウム、ポリヘキサメチレンビグアニドハイドロクロリド、イソチアゾロン、及びジアゾリジニル尿素などのものが含まれる。
b)キレート剤又は金属イオン封鎖剤(sequestering agent)(金属イオン封鎖剤(sequestrant))――組成物の安定性や外観への悪影響を防止するために、金属イオンと複合して不活性化する能力を有する成分。キレート剤の例には、エチレンジアミン四酢酸及びその塩、とりわけ二カリウム、及び特に二ナトリウム又は四ナトリウムの塩、がある。
c)香料及び着色料。
【0030】
本発明による組成物は、拭取り製品を用いた皮膚への塗布に特に適している。よって、本発明のさらなる態様によれば、上に記載した組成物を含浸させてあるか、又はこれを塗布するような拭取り基材を含むスキンケア物品が提供される。
【0031】
拭取り基材は、適切であればいかなる形態を有していてもよく、そのような形態は当業者には自明であろう。例には、不織シート、発泡体、スポンジ、又はその他の多孔性材料が含まれる。組成物は、適切であればいかなる方法によって基材に塗布されてもよく、このような方法もまた、当業者には自明であろう。適切な方法には、例えば、組成物中への基材のディッピング若しくは浸漬、又は、例えばスプレーによる組成物を用いた基材のコーティング、が含まれる。通常、拭取り材が皮膚に適用された時に望ましい効果を得るために、基材は十分な組成物によってコーティングされていなければならないが、基材中への組成物の吸収は、例えば基材の多孔性などの要因によって決定する。基材に組成物が均一に含浸され、基材全体に均一に分散するようにするために、組成物は微細な被膜として塗布されなければならない。
【0032】
前記拭取り基材には、スキンケア組成物が拭取り基材の10から30重量%の範囲の量だけ含浸されていることが好ましく、15から25重量%であることが好ましく、18から22重量%であることが最も好ましい。適切な拭取り基材は、例えばセルロース及び/又は綿繊維などの天然又は合成の繊維又はそれらの混合物を含有する材料を含む。拭取り基材には、ウェット型拭取り材として組成物を含浸させてもよく、これはユーザーの皮膚に本発明のスキンケア組成物を塗布する際にそのまま使用できるようになっている。又は、拭取り基材にスキンケア組成物を含浸させた後に乾燥してドライ型拭取り材を形成させてもよいが、これは使用する前に例えば水で濡らすことが必要である。
【0033】
その他の態様において、本発明はヒトの皮膚の処置方法を提供するが、この方法は、有効成分としてサリチル酸を含み、70〜95重量%の水相と5〜30重量%の油相とを含むエマルジョンの形態を有し、前記サリチル酸が前記油相中に溶解しており、1種又は複数の保湿剤を含むクレンジング及び保湿組成物を、皮膚に塗布することを含む。
【0034】
本発明のこの態様による方法は、当然のことながら治療法でありうるが、多くの場合は主として化粧法であり、外面的に識別できて目障りであることが多い、尋常性座瘡の徴候を低減又は除去することを目的とする。
【0035】
さらなる態様においては、本発明は、1種又は複数の保湿剤を含み、70〜95重量%の水相と5〜30重量%の油相とを含むエマルジョン形態であり、前記油相中にサリチル酸が溶解している組成物において、前記サリチル酸を可溶化するためのポリプロピレングリコールアルキルエーテルの使用を提供する。
【0036】
さらなる態様においては、本発明は、有効成分としてサリチル酸を含み、70〜95重量%の水相と5〜30重量%の油相とを含むエマルジョンの形態を有し、前記サリチル酸が前記油相中に溶解しており、1種又は複数の保湿剤を含むクレンジング及び保湿組成物の、
(a)サリチル酸を前記油相の少なくとも一部に溶解させるステップと;
(b)ステップ(a)の生成物を、水相の一部を含有する予め形成したエマルジョンとブレンドするステップと;
(c)保湿剤及び残りの水相を含むさらなる成分を添加するステップと;
を含む調製方法を提供する。
【0037】
ステップ(a)においては、サリチル酸を、ポリアルキレングリコールの脂肪族アルコールとのエーテル、例えば、PPG−14ブチルエーテル又はPPG−15ステアリルエーテルなどのポリプロピレングリコールアルキルエーテルなどと混合することが好ましい。
【0038】
ステップ(b)において、予備形成するエマルジョンは水中油型エマルジョン濃縮物であることが好ましい。予備形成エマルジョンは、少ない部分の水相を含んでいることが、より好ましい。好ましい濃縮物は、組成物中に含有される乳化剤の全てを含有している。
【0039】
ステップ(c)においては、pHを2〜4の範囲のpHに調整することが好ましい。
【0040】
ここで、あくまでも例として、以下の実施例を参照しながら、本発明をより詳細に説明する。
【実施例】
【0041】
(実施例1)
拭取り用保湿配合物
【表1】

【0042】
(調製方法)
1.20kgのサリチル酸と80kgのPPG−14ブチルエーテル(Probutyl14;Croda)を混合した。
2.150kgのEMULGADE CM(登録商標)(Cognis;62%の水、15%のイソノナン酸セテアリル、7.5%のセテアレス−20、7.5%のセテアリルアルコール、3%のステアリン酸グリセリル、3%のグリセリン、1%のパルミチン酸セチル及び1%のセテアレス−12を含む、水中油型エマルジョン濃縮物)を混合容器中に導入し、ステップ1からのサリチル酸/PPG−14ブチルエーテルの予備混合物を添加した。
3.グリセリン(50kg)とパルファム(2kg)を添加した。
4.混合物を最低30分間、ペーストが形成されるまで攪拌した。
5.攪拌子の速度を落とし、20kgの水を添加した。
6.残りの水を添加した。
7.少なくとも15分間、又は全ての水が取り込まれるまで、混合を続けた。
8.EDTA二ナトリウム(1kg)とアロエベラ粉末(0.5kg;0.25kgのアロエベラ(aloe barbadensis)汁と0.25kgのマルトデキストリンを含む)を添加し、30分間混合を続けた。
9.水酸化ナトリウムを添加して、pHを2.8〜3.2に調整した。
【0043】
組成物は乳液の形態を有しており、不織拭取り材に含浸させて使用することができ、よって従来の様式でパッケージされる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有効成分としてサリチル酸を含み、70〜95重量%の水相と5〜30重量%の油相とを含むエマルジョンの形態を有し、前記サリチル酸が前記油相中に溶解しており、1種又は複数の保湿剤を含む、皮膚への局所塗布用クレンジング及び保湿組成物。
【請求項2】
サリチル酸の濃度が0.5重量%よりも大きく4重量%までの範囲にある請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
サリチル酸の濃度が1重量%から3重量%の範囲にある請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
エタノールを含まないか、又は実質的に含まない、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
脂肪族モノアルコールを含まないか、又は実質的に含まない、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
油相が組成物の5w/w%から20w/w%を構成している前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
油相が脂質材料又は疎水性材料のブレンドを含む前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
油相がポリアルキレングリコールの脂肪族アルコールとのエーテルを含む前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
油相がポリプロピレングリコールアルキルエーテルを含む前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
油相がPPG−14ブチルエーテルを含む請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
組成物の水相が組成物の80w/w%から95w/w%を構成している前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項12】
1種又は複数の保湿剤が、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、尿素、パンテノール、例えば乳酸などのα−ヒドロキシ酸、タンパク質加水分解物、ヒアルロン酸、炭酸ピロリドン、及びアロエベラからなる群から選択される前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項13】
グリセリンを含む請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
アロエベラを含む請求項12又は請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
1種又は複数の保湿剤が組成物の2w/w%から10w/w%を構成している前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項16】
pHが2.0から5.0の範囲にある請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
pHが2.5から3.5の範囲にある請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
pH調整剤として無機塩を含む前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項19】
pH調整剤が水酸化ナトリウムである請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
粘度が100mPa.s未満である前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
1種又は複数の乳化剤を含む前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項22】
1種又は複数の乳化剤が組成物の1w/w%から10w/w%を構成している請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
乳化剤の総量が1w/w%から5w/w%の範囲である請求項22に記載の組成物。
【請求項24】
保存料、キレート剤又は金属イオン封鎖剤、香料、及び着色料からなる群から選択される1種又は複数の賦形剤を含む、前記請求項のいずれかに記載の組成物。
【請求項25】
前記請求項のいずれかに記載のクレンジング及び保湿組成物が含浸されているか、又はこれを塗布するための拭取り基材を含むスキンケア物品。
【請求項26】
拭取り基材が、不織シート、発泡体、スポンジ、及びその他の多孔質材料からなる群から選択される請求項25に記載のスキンケア物品。
【請求項27】
拭取り基材の10〜30重量%の範囲の量の組成物が拭取り基材に含浸されている請求項25又は26のいずれか一項に記載のスキンケア物品。
【請求項28】
基材が、セルロース又は綿繊維又はこれらの混合物を含む請求項25から27までのいずれか一項に記載のスキンケア物品。
【請求項29】
1種又は複数の保湿剤を含み、70〜95重量%の水相と5〜30重量%の油相とを含むエマルジョンの形態であり、前記油相中にサリチル酸が溶解している組成物において、前記サリチル酸を可溶化するためのポリプロピレングリコールアルキルエーテルの使用。
【請求項30】
有効成分としてサリチル酸を含み、70〜95重量%の水相と5〜30重量%の油相とを含むエマルジョンの形態を有し、前記サリチル酸が前記油相中に溶解しており、1種又は複数の保湿剤を含むクレンジング及び保湿組成物を、皮膚に塗布することを含むヒト皮膚の処置方法。
【請求項31】
治療法である請求項30に記載の方法。
【請求項32】
座瘡の予防又は治療処置のための請求項31に記載の方法。
【請求項33】
化粧法である請求項30に記載の方法。
【請求項34】
組成物が請求項2から24までのいずれか一項に記載の組成物である、請求項30から33までのいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
有効成分としてサリチル酸を含み、70〜95重量%の水相と5〜30重量%の油相とを含むエマルジョンの形態を有し、前記サリチル酸が前記油相中に溶解しており、1種又は複数の保湿剤を含むクレンジング及び保湿組成物の調製方法であって、
(a)サリチル酸を前記油相の少なくとも一部に溶解させるステップと;
(b)ステップ(a)の生成物を、水相の一部を含有する予め形成したエマルジョンとブレンドするステップと;
(c)保湿剤及び残りの水相を含む任意のさらなる成分を添加するステップと
を含む調製方法。

【公表番号】特表2008−506634(P2008−506634A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−512344(P2007−512344)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【国際出願番号】PCT/GB2005/001834
【国際公開番号】WO2005/110349
【国際公開日】平成17年11月24日(2005.11.24)
【出願人】(397030341)レキット アンド コールマン(オーバーシーズ) リミテッド (3)
【Fターム(参考)】