説明

抗感染剤としての表面的に両親媒性のポリマー

【課題】表面的に両親媒性のポリフェニレンおよびヘテロアリーレンポリマー、およびそれから製造した殺生物表面を有する物体を開示する。該ポリマーは該表面と接触したかまたは該殺生物表面に近接する領域に存在する微生物の増殖を阻害し得る。また、表面的に両親媒性のポリマーを固体支持体に結合させる方法を開示する。接触性殺菌剤としての有用性を開示する。
【解決手段】
【化1】


で示される化合物を含むポリマー。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2001年5月8日に出願した米国仮特許出願番号60/274,145号に基づく優先権を主張する。
政府支援
本発明は、合衆国政府による援助によって一部支持されており(NSF助成金DMR00−79909)、したがって合衆国政府は本発明におけるある種の権利を有し得る。
【0002】
本発明は、物資に被覆し得るまたはそれに取込ませ得る、殺微生物剤特性を有する表面的に両親媒性のポリマー性化合物の設計および合成、ならびにそれを設計する方法に関する。さらに、本発明は、表面的に両親媒性のポリマーを同定および設計する方法、ならびに微生物の増殖を妨害または制限する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
両親媒性分子は、極性および非極性の特徴の異なる領域を表している。これらの領域は立体構造的に決定された分子の特定および異なる領域への疎水性および親水性の置換基の置換から生じる場合がある。また、立体構造的にフレキシブルな分子または巨大分子は、分子上の疎水性および親水性の置換基が分子の異なる領域または面に分離している規則正しい構造をとり得る。一般的に発生する両親媒性分子には、界面活性剤、石鹸、洗浄剤、ペプチド、タンパク質およびコポリマーが含まれる。これらの分子は適当な溶媒中または界面で自己組織化して種々の両親媒性構造を形成する能力を有する。これらの構造のサイズおよび形状は、両親媒性分子の特定の組成ならびにpH、イオン強度および温度のごとき溶媒条件によって変化する。
【0004】
ユニークな広範な抗微生物スペクトル特性を有する両親媒性ペプチドが、植物、カエル、ガ、カイコ、ブタおよびヒトを含む種々の天然起源から単離されている (H. G. Boman Immunol Rev. 2000 173: 5−16; R. E. HancockおよびR. Lehrer, Trends Biotechnol. 1998 16: 82−88)。これらの化合物には、カエルの皮膚から単離されたマゲイニン1(1)およびダーマセプチンS1(2)ならびにアカスジシンジュサンガから単離されたセクロピンA(3)が含まれる。これらの天然発生化合物は広範な抗菌活性スペクトルを有し、細菌の耐性を発展させる傾向がないようである。これらの化合物は疎水性媒体または疎水性の表面付近でα−ヘリックスコンホメーションをとる傾向を有する比較的低分子量のペプチドであり、その結果、表面的に両親媒性である(すなわち、
【0005】
【化1】

【0006】
の残部は親水性側鎖を有するが、ヘリックスペプチドによって生じるシリンダー部の1/3ないし2/3は疎水性側鎖を有する)。これらの親水性側鎖は中性pHにおいては主にプラスに帯電している。疎水性アミノ酸は、大部分の抗微生物ペプチド中の全残基数の40−60%を構成している。両親媒性ペプチドの選択性(例えば、細菌−対−ヒト赤血球)は、全体的な疎水性に依存する。これら3の化合物の生物活性は疎水性(h)残基に対する電荷(c)の比に依存している。該比が1:1(c:h)から1:2(c:h)に変化すると、多くの疎水性残基を有するペプチドほど、赤血球膜に対する活性は高くなる。特定のアミノ酸または側鎖の三次構造が存在することよりも物理化学的特性が寄与するようである。関連するペプチドが哺乳動物から単離されており、これらの抗微生物ペプチドは先天的な免疫反応の重要な要素であることが示唆されている(Gennaro, R.ら, Biopoylmers (Peptide Science) 2000, 55, 31)。
【0007】
最近、これらの知見は、□−アミノ酸からなるペプチド(β−ペプチド)まで拡大されている。これらの非天然ポリペプチドミメティクスも安定なα−ヘリックスおよびβ−シート構造をとることができるが、これらの構造の正確な形状はα−アミノ酸オリゴマーによって生成されるものとは異なる。しかしながら、疎水性および親水性の残基が適当に位置すると、同様な抗微生物特性を有する両親媒性コンホメーションを生じる。このことにより、表面両親媒性抗微生物化合物を生成することにおける正確なアミノ酸配列と比べた疎水性および親水性の基の繰返し周期性の重要性がさらに確認される(D. SeebachおよびJ. L. Matthews, Chem Commun. 1997 2105; Hamuro, Y., Schneider, J. P., DeGrado, W. F., J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 12200−12201; D. H. Appellaら, J. Am. Chem. Soc., 1999 121, 2309)。
【0008】
ヘリックス以外の二次構造も両親媒性化合物を生じ得る。プロテグリン(4)は関連する一連の抗微生物ペプチドである(J. Chenら, Biopolymers (Peptide Science), 2000 55−88)。Cys−Cys15およびCys−Cys13の間に一対のジスルフィド結合が存在すると、鎖末端によって形成され、β−ターンによって連結するモノマー両親媒性の逆平行□−シートを生じる。両親媒性のβ−シートコンホメーションは、グラム陽性およびグラム陰性の両細菌に対する抗微生物活性に必須である。
【0009】
抗微生物ペプチドに関連するデータは、表面的な両親媒性、アミノ酸配列ではなくペプチド骨格によって形成される二次構造要素の反対側の面の極性(親水性)および非極性(疎水性)の側鎖の配置、いずれか特定の二次/三次構造、キラリティーまたは受容体特異性がその生物活性に寄与することを示唆している。
【0010】
ポリアミド結合を欠いている適当に置換されたポリマーも、両親媒性コンホメーションをとることができる。固相化学技術を用いて、適当な溶媒中でヘリックス構造にフォールディングするメタ置換型フェニルアセチレンのクラスが合成された(J. C. Nelsonら, Science 1997 277: 1793−96; R. B. Princeら, Angew. Chem. Int. Ed. 2000 39: 228−231)。これらの分子には、極性溶媒(アセトニトリル)に曝された場合に骨格がつぶれてこの極性溶媒との接触を最小限にとどまるように、エチレンオキシド側鎖を有するすべての炭化水素骨格が含まれる。メタ置換の結果、優先されるホールドされたコンホメーションはヘリックスである。このヘリカルなフォールディングは、“疎溶媒”エネルギー項(term)に寄与するが;フォールドされた状態における有利なπ−π芳香族相互作用の重要性も重要のようである。さらに、より極性の低い溶媒(CHCl)の添加はヘリックス構造のアンフォールディングを生じ、このフォールディングが可逆的であることを示している。
【0011】
レギオレギュラーなポリチオフェン(5および6)は、配列の1の側の疎水性側鎖と他の側の親水性側鎖とを有する非常に規則正しいπ−スタック配置で両親媒性コンホメーションをとることが示されている。これらのポリマーはナノ回路を構成するのに有用な薄膜を形成する(Bjornholmら, J. Am. Chem. Soc., 1998 120, 7643)。これらの物質は本明細書中に定義する表面的に両親媒性であろうが;これらの化合物についての生物特性は何ら報告されていない。
【0012】
【化2】

【0013】
抗微生物ペプチドは、抗微生物特性の幾分かを付与されて、表面またはバルク物質に取込まれている。DuPontのHaynieおよび共同研究者は、固体表面に共有結合させた抗菌性ペプチドの活性を調べている (S. L. Haynieら, Antimicrob Agents Chemother, 1995 39: 301−7; S. Margelら, J Biomed Mater Res, 1993, 27: 1463−76)。種々の天然ペプチドおよび新規に設計されたペプチドが合成され、固体支持体に結合したままで活性について試験された。ペプチドの活性は固体支持体に結合した場合に低下したが、その広範な活性スペクトルは保持していた。例えば、E14LKKという新規に設計されたペプチドは、固相ビーズに結合した場合の1.5mg/mlのMBC(最小殺菌活性)を有するのに対して、溶液中では31μg/mlのMBCを有する。ペプチドを2ないし6の炭素のアルキルリンカーで樹脂に結合した。合成に用いた樹脂であるPrepsyn Kの有孔性は細菌と比較して小さく(0.1ないし0.2μm)、したがって微生物が樹脂の内部に進入することはできない。したがって、大部分のペプチドは細胞に結合するのに利用することができないであろう。抗微生物活性は可溶性成分からは生じない;浸出したかまたは加水分解されたペプチドで観察されたものはなく、可溶性抽出物は不活性であった。これらの実験は、抗微生物ペプチドが固体支持体に結合した場合でさえも活性を保持していることを極めて納得のいくように示している。しかしながら、ペプチドの提示を最適化してその効力を増大させる必要がある。
【0014】
抗微生物であることが知られている化学官能基を含む他の抗微生物ポリマー性物質も報告されている(J. C. Tillerら, Proc Natl Acad Sci U S A, 2001 98: 5981−85)。この作業の大部分が、哺乳動物細胞に対して毒性であることが知られているアルキル化ピリジニウム誘導体のごとき化学官能基を用いている。抗菌性シプロフロキサシンが分解性のポリマー骨格にグラフトされている(G. L. Y. Wooら, Biomaterials 2000 21: 1235−1246)。この物質の活性はポリマー骨格からの有効成分の切断に依存する。
【0015】
親水性および疎水性の側鎖を有するモノマーがランダムに重合して両親媒性特性を有するポリマーを生成している抗感染性のビニルコポリマーが最近記載されている(W. H. Mandeville IIIら, 米国特許第6,034,129号)。これらの物質は疎水性および親水性のアクリレートモノマーの重合によって生成される。また、疎水性側鎖は、親水性アクリレートモノマーと共重合したスチレン誘導体にも由来し、そこではイオン性基がカルボン酸に結合している。しかしながら、これらのポリマーは比較的ランダムな極性基および非極性基の配置を有しており、本明細書中で定義する表面的に両親媒性ではない。
【0016】
両親媒性ポリマーを生成する別の方法は、疎水性ブロック(A)および親水性ブロック(B)からなるブロックコポリマーを製造することであり、一般的にはポリプロピレンオキシおよびポリエチレンオキシセグメントを、各々、A−B、A−B−Aまたは他のコポリマーとしている。これらのコポリマーも本明細書中で定義する表面的に両親媒性ではない。
【0017】
本発明を例示および説明する目的で具体的な例を選択するが、これらは本発明の範囲を如何なる場合においても限定するものではない。これらの具体例を添付する図面に示す:
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の1の目的は、装置、物体および表面の全体にわたって適用することができまたは分散し得、かつ、接触する微生物を殺すことができるが、典型的な小分子の抗微生物剤よりもよりゆっくりと環境に浸出する、抗微生物特性を有する新規なポリマー性化合物を提供することである。該ポリマー性物質は、フィルムとして基体の表面上に沈殿することができ、あるいは、基体全体にわたって分散することができて抗微生物表面を提供する。本発明のポリマー性物質は、微生物細胞壁の存在下で両親媒性特性を有し、膜を破壊して生物を殺すように設計された抗微生物ポリマーである。ポリマー性物質は哺乳動物細胞に対しては毒性が低いようにさらに設計されている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の両親媒性ポリマーは、下記の式Iで示されるポリフェニレンおよびヘテロアリーレン化合物であり、それは単結合、二重結合、三重結合または存在しないかのいずれかであって、AおよびBは極性または非極性の基で適当に置換された芳香族、複素環基である。R、RおよびRは特定のポリマー鎖に適する末端基であって、それらの設計は式で示されるポリマー技術においてよく知られている。
【0020】
【化3】

【0021】
これらの表面的に両親媒性のポリマーは、分子の極性および非極性の領域を異なる空間領域に分離させる繰返し二次構造モチーフをとることができる。抗微生物ポリマーは、微生物の細胞壁と接触して位置する場合には両親媒性のコンホメーションをとることができ、両親媒性分子は必須の細胞壁機能を破壊することができ、微生物の死を生じる。
【0022】
さらに、本発明は、表面に表面的に両親媒性のポリマーを処理することによって該表面上で微生物を殺す方法も提供する。表面的に両親媒性のポリマーを取込む組成物の製法には、ポリマーの溶液、分散液または懸濁液を準備し、それを表面に適用することが含まれる。また、組成物は、後に他の物体に成型、形成または押出成型するプラスチックにポリマーを取込ませることによっても調製し得る。ポリマーを分布させる(deliver)ための最適の方法は、望ましい被覆の厚さ、基体の性質および配置、ならびに表面的に両親媒性のポリマーの物理的特徴を含む幾つかの要素に依存するであろう。
【0023】
本発明の表面的に両親媒性のポリマーは、実質的に一定範囲の分子量を有する。約0.8kDないし約20kDの分子量を有する表面的に両親媒性の分子は、基体の表面からより浸出する傾向があるであろう。表面的に両親媒性のポリマーは、共有結合、イオン的相互作用、クーロン力相互作用、水素結合または架橋を含むいずれかの適当な方法によって表面に結合または固定化し得る。本発明のポリマーは、表面と接触した生物のみを殺す表面介在の殺菌剤を提供する。さらに、本発明のポリマーは安定であって長期間その生物活性を保持し、鳥類、魚類、哺乳類および他の高等生物に対しては潜在的に非毒性である。
【0024】
さらに、本発明は、ポリマーコンホメーションのエネルギーを評価し、両親媒性挙動を示す能力を有するポリマーを同定し、両親媒特性を付与する極性および非極性置換基を置換するための最適部位を同定することを補助するコンピュータ技術も提供する。
【0025】
微生物感染は、ヒトおよび動物の健康に重大な持続する問題を示す。両親媒性のα−およびβ−ペプチドは効力のある抗菌性を示すが、にもかかわらず、それらを大量に調製することは困難かつ費用がかさむ。ペプチドは酵素的および化学的な加水分解に対して影響を受け易い。微生物病原体に対する曝露は種々の方法で行うことができる。日常でくわす大部分の対象物は、感染生物および新規な化合物をかくまう可能性を有し、微生物の増殖を制御するためのアプローチは極めて価値があり、極めて重要な商業的可能性を有する。マゲイニンに関連する抗微生物ペプチドは望ましい生物活性を有しているが、その有用性は限定される。本発明の目的は、安価で容易に入手可能なモノマーから利用することができ、広範な種々の物質の中、表面に取込ませることができ、かつ化学的および酵素的な分解に対して耐性のある新規な安定な抗微生物ポリマーを提供することである。
【0026】
近年、よく決定された二次および三次構造を有する非生物ポリマーの設計(S. H. Gellmanら, Acc. Chem. Res. 1998 31: 173−80; A. E. BarronおよびR. N. Zuckerman, Curr. Opin. Chem. Biol., 1999 3: 681−687; K. D. Stigersら, Curr. Opin. Chem. Biol., 1999 3: 714−723)が研究の活発な領域になってきている。この関心の1の理由は、5000ダルトンに近づく分子量を有する均一分散する(homodisperse)配列特異的なオリゴマーの合成が可能となるはじめての固相有機化学の現代的な方法であることである(E. AthertonおよびR. C. Sheppard, Solid Phase Peptide Synthesis A Practical Approach IRL Press Oxford 1989)。ホモ分散する配列特異的オリゴマーのこの新たな分野の発達は、ポリマー科学とタンパク質科学との間のギャップに広がるであろう新規な化学的および物理的特性を有する分子を創製することを約束する。ポリマーは典型的には1または幾つかのモノマーからなる分子の統計学的混合物である。それに対して、ペプチドおよびタンパク質は典型的には、配列、トポロジーおよび立体化学にわたって正確な制御を有する>15のモノマーからなる分子である。これらのホモ分散する配列特異的オリゴマーは、ポリマーおよびタンパク質の両方の特徴を有する分子を表す。
【0027】
表面的に両親媒性のポリマーは、1のモノマーが非極性および極性の両方の置換基で置換されたホモポリマー、または1のモノマーが極性の置換基で置換され、他のモノマーが非極性の置換基で置換されたコポリマーとすることができる。抗微生物活性は側鎖の正確な空間配置よりも側鎖の周期パターンによって付与される両親媒性特徴から生じるため、他の置換パターンも表面的に両親媒性のポリマーを生成することが予想され、これらはすべて本発明によって包含される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】図1は2の表面的に両親媒性のp−フェニレンモノマーの典型的な例(Ia)および(Ib)、ならびにm−フェニレンコポリマー(Ig)の完全な構造を示す。
【図2】図2はアリーレンポリマー(I)の一般的構造およびヘテロアリーレンモノマーの典型的な例(Ic−If)を示す。
【図3】図3はフェニレン−エチレンオリゴマーの合成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
ポリアリーレンおよびポリヘテロアリーレンポリマーは、表面的に両親媒性のポリマーを形成し得るもう1のクラスのポリマーを表す(図1および図2)。芳香族および複素環式芳香族モノマーの両方からなるコポリマーもユニークな特性を示すことが予想し得る (U Scherf Carbon Rich Compounds II, 1999 20: 163、Berresheim, A. J.ら, Chem. Rev. 1999 99: 1747)。図1に図示する例の芳香族環はメタおよびパラ置換パターンを有し、当業者であれば、同等のポリマーをオルト方向で設計することができ、これらの修飾が得られるポリマーのコンホメーションおよび物理特性を変化し得ることをただちに理解するであろう。さらに、図2に示すコポリマーは2,5−ポリアリーレンを有するが、他の立体化学を有するものも表面的に両親媒性のヘテロアリーレンを生成し、選択および立体化学が最も容易に官能化される位置を決定する非置換型モノマーの化学反応性によって決まる場合もある。極性および非極性の置換基の最適の置換パターンは、ポリマー骨格のコンホメーション特性によって決まり、他の置換基パターンも本発明に包含される。
【0030】
合成法を修飾して異なる範囲の分子量を作成することができ、本発明の抗微生物ポリマーは、意図する特定の適用のために最適化された物理的および化学的特性を付与するように選択された分子量を有するであろう。伝統的なポリマー合成は特定の範囲の分子量を有する生成物を生成する。ポリマー化学者であれば、これらのポリマーの鎖長をポリマー分野で知られている技術によって変化し得ることを容易に理解するであろう。本発明のポリマーは約800ダルトンないし約350キロダルトンの分子量の範囲とし得る。アミノ酸オリゴマーの固相および溶液相合成における利点により、特定の配列およびサイズを有する均一なポリマーまたはオリゴマーを調製する技術が利用可能となり、これらの技術は本発明に適用し得る。
【0031】
ポリマー設計方法は、モノマーの繰返し配列が骨格によってとられる二次構造に合致する構造であることを単純に必要とする。周期性が認識されたら、極性および非極性の基のモノマーで置換されたモノマーを調製し、カチオン性の両親媒性二次構造に導入しなければならない。図1および2に例示するごとく、これらのアリーレンポリマーはホモポリマー(図1 Ia)またはコポリマー(図1 Ibおよび図2 Ic−f)とし得る。モノマーは単環式アリール化合物に限定されるものではなく、多環式芳香族(If)も有利に用いて、サブユニットの周期性を変化させる基間の距離を修飾し得る。
【0032】
【化4】

【0033】
さらなる分子的特徴を巨大分子骨格に付加して、望ましい二次構造および望ましくない他の構造を促進し、それによって陽性および陰性の両方の設計の要素を組合せることができる。生物的にフォールドする分子(biofoldamer)(タンパク質およびRNA)に対するコンホメーション研究および種々の配列特異的なポリマーを用いた初期の実験により、望ましいフォールドコンホメーションをポリマーにとらせるためには幾つかの要素が重要であることが示された。鍵となる要素には、近接する分子の間またはより離れたモノマー間の強力な静電気相互作用(すなわち、分子内水素結合)、骨格のねじれまたはバルキーな官能基によって生じる剛直性、および非連続的な芳香族単位の間のπ−πスタッキング相互作用が含まれる。
【0034】
マゲイニンおよび他の天然発生抗菌ペプチドは、それらの鎖長、疎水性および電荷の分布においてかなりの変動を示す。しかしながら、これらの線状ペプチドはプラスに帯電したアミノ酸および大きな疎水性モーメントを実際に含み、その結果として、疎水的な環境、例えば細胞表面または天然もしくは合成の膜、でα−ヘリックスコンホメーションをとる高い傾向を生じる(Z. OrenおよびY. Shai, Biopolymers (Peptide Science), 1998 47: 451−463.)。そのアミノ酸配列中の疎水性側鎖および親水性側鎖の周期的な分布により、ヘリックスによって形成されるシリンダーの反対側の面に疎水性側鎖および親水性側鎖が分離される。特定の配列ではなく、全体の両親媒性、二次構造またはキラリティーが、抗微生物活性と最もよく相関する。したがって、いずれかの好適な両親媒性物質(必ずしもα−ヘリックスまたはβ−シートでなくてもよい)が抗微生物特性を有するようである。表面的に両親媒性の構造を形成するのに必要な条件は、分子が極性および非極性の側鎖の繰返しパターンを有し、その周期性が興味のある二次構造のものとほぼ同一でなければならないことである。
【0035】
本明細書中で用いる“微生物”なる語には、細菌、藻類、糸状菌、酵母、マイコプラスミド(mycoplasmids)、寄生虫および原生動物が含まれる。
本明細書中で用いる“抗微生物”、“殺微生物”または“殺生物”なる語は、物質が、微生物の増殖または繁殖を阻害、妨害または破壊することを意味する。この活性は、殺細菌または静菌のいずれかとし得る。本明細書中で用いる“殺細菌”なる語は、微生物を殺すことを意味する。本明細書中で用いる“静菌的”なる語は、ある種の条件下で可逆的となり得る微生物の増殖を阻害することを意味する。
【0036】
本明細書中で用いる“ポリマー”なる語は、複数の繰返し単位またはモノマーを含む巨大分子をいう。その語には、単一の型のモノマーから形成されるホモポリマーおよび2またはそれを超える異なるモノマーから形成されるコポリマーが含まれる。コポリマーにおいては、モノマーは、ランダムで(ランダムコポリマー)、交互様式で(交互コポリマー)またはブロックで(ブロックコポリマー)分布し得る。本発明のポリマーは、ホモポリマーまたは交互ポリマーのいずれかである。本明細書中で用いる“ポリマー”なる語は、α−またはβ−アミノ酸から絶対的になるタンパク質、ペプチド、ポリペプチドおよび他のタンパク質性物質を排除することを意図する。本明細書中で用いる“オリゴマー”なる語は、決まった配列および分子量を有する均一なポリマーをいう。
【0037】
本明細書中で用いる“ポリマー骨格”または“骨格”なる語は、重合の際にモノマー間で形成される結合を含む連続する鎖であるポリマーの部分をいう。ポリマー骨格の組成は、ポリマー骨格からはずれた分岐または側鎖の組成に関係なしに、それを形成するモノマーの個性の観点から記載し得る。
【0038】
“ポリマー側鎖”または“側鎖”なる語は、重合後に、ポリマー骨格からはずれた伸長を形成するモノマーの部分をいう。ホモポリマーにおいては、すべてのポリマー側鎖が同一のモノマーに由来する。コポリマーは異なるモノマーからの2またはそれを超える異なる側鎖を含み得る。
【0039】
本明細書中で用いる“アルキル”なる語は、一価の飽和の分岐または直鎖の炭化水素鎖を示す。別段指摘しない限りは、かかる鎖には、1ないし18の炭素原子が含まれる。かかるアルキル基の代表例は、メチル、エチル、プロピル、イソ−プロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ネオ−ペンチル、イソ−ペンチル、ヘキシル、イソ−ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、トリデシル、テトラデシル、ヘキサデシル、オクタデシルなどである。“低級”と制限する場合には、アルキル基は1ないし6の炭素原子を含むであろう。本明細書中で用いる“シクロアルキル”なる語は、一価の環式炭化水素鎖を示す。代表的な基は、シクロプロピル、シクロブチル、シクロヘキシル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0040】
“化学的に非同等な末端を有する基”なる句は、置換基の方向の逆転、例えばRC(=O)ORとRO(O=)CRが、ユニークな化学基を作成する、エステルアミド、スルホンアミドおよびN−ヒドロキシオキシムのごとき官能基をいう。
【0041】
本明細書中で用いる“塩基性複素環”なる語は、約5よりも大きなpKaを有し、かつ、生理的条件下で陽子が加わる窒素原子を含む環式の原子の配列を示す。かかる塩基性複素環の代表例は、ピリジン、キノリン、イミダゾール、イミダゾリン、環状グアニジン、ピラゾール、ピラゾリン、ジヒドロピラゾリン、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、4−アルキルピペラジン、および2−アミノピリジン、4−アミノピリジン、2−アミノイミダゾリン、4−アミノイミダゾリン、あるいは、XがO、N、Sまたは存在せず、iが2ないし4である下式VIIで示される化合物のごときそれらの誘導体である。
【0042】
【化5】

【0043】
本明細書中で用いる“両親媒性”なる語は、分離した疎水性領域および親水性領域を有する三次元構造を説明している。両親媒性ポリマーには、そのポリマー骨格に沿って疎水性および親水性の両方のエレメントが存在していることが必要である。疎水性および親水性の基が存在することは、両親媒性の分子またはポリマーを生成するための必要条件であるが、十分条件ではない。ポリマーは、側鎖が空間中にランダムに位置し、特徴的な疎水性および親水性領域が存在しないランダムまたは不規則なコンホメーションをとる場合もある。
【0044】
本明細書中で用いる“表面的に両親媒性の”または“表面的な両親媒性”なる語は、極性(親水性)および非極性(疎水性)の側鎖を構造の反対の面または分離した領域に分離させるコンホメーション(群)をとる極性(親水性)および非極性(疎水性)の側鎖を有するポリマーを説明している。この構造は、所定のポリマー骨格に対していずれかのエネルギー的に接近し易い低エネルギーのコンホメーションを含み得る。さらに、ランダムまたはブロックコポリマーは、明確な親水性および疎水性の領域に通じないかまたはポリマーの異なる面に沿って分離しないランダムな骨格コンホメーションをとり得る。
【0045】
“天然発生アミノ酸”なる語は、天然発生のアミノ酸のL−異性体を意味する。天然発生アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、セリン、メチオニン、スレオニン、フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン、システイン、プロリン、ヒスチジン、アスパラギン酸、アスパラギン、グルタミン酸、グルタミン、カルボキシグルタミン酸、アルギニン、オルニチンおよびリシンである。別段指摘しない限り、本願において言及するすべてのアミノ酸はL−型で存在する。
【0046】
本明細書中で用いる“天然発生アミノ酸の側鎖”なる語句は、α−アミノ酸のα−炭素上の置換基をいう。“天然発生アミノ酸の極性側鎖”なる語句は、プラスに帯電する、マイナスに帯電するまたは親水性のアミノ酸の側鎖をいう。“天然発生アミノ酸の非極性側鎖”なる語句は、疎水性アミノ酸の側鎖をいう。
【0047】
本明細書中で用いる“プラスに帯電するアミノ酸”または“カチオン性アミノ酸”なる語は、通常の生理条件下でプラスに帯電した側鎖を有するいずれかの天然発生のまたは非天然のアミノ酸が含まれる。プラスに帯電する天然発生アミノ酸の例はアルギニン、リシンおよびヒスチジンである。“マイナスに帯電するアミノ酸”なる語句には、通常の生理条件下でマイナスに帯電する側鎖を有するいずれかの天然発生のまたは非天然のアミノ酸が含まれる。マイナスに帯電する天然発生アミノ酸の例は、アスパラギン酸およびグルタミン酸である。
【0048】
“親水性アミノ酸”なる語は、比較的水中で可溶性である非帯電の極性の側鎖を有するいずれかのアミノ酸を意味する。天然発生の親水性アミノ酸の例は、セリン、スレオニン、チロシン、アスパラギン、グルタミンおよびシステインである。
【0049】
“疎水性アミノ酸”なる語は、比較的水中で不溶性である非帯電の非極性の側鎖を有するいずれかのアミノ酸を意味する。天然発生の疎水性アミノ酸の例は、アラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンである。
【0050】
本発明の具体例は、下記式Iで示される表面的に両親媒性のポリマーである:
【0051】
【化6】

【0052】
式中:
AおよびBは、独立して、所望により置換されていてもよいo−、m−、p−フェニレンまたは所望により置換されていてもよいヘテロアリーレンであり、ここで(i)AおよびBは両方とも極性(P)基および非極性(NP)基で置換されているか、(ii)AまたはBのうちの1が極性(P)基および非極性(NP)基で置換されていて、AまたはBの他方は極性(P)基でも非極性(NP)基でも置換されていないか、あるいは(iii)AまたはBのうちの1が1または2の極性(P)基(群)で置換されていて、AまたはBの他方が1または2の非極性(NP)基(群)で置換されているか、あるいは(iv)AまたはBのうちの1が2位で極性(P)基で置換され、5−または6−位で非極性(NP)基で置換されており、AまたはBの他方が非極性基で置換されているかのいずれかであり;あるいは
Aは前記定義に同じであって、極性(P)基および非極性(NP)基で置換されていて、Bは基C≡C(CHC≡Cであり(ここにpは下記定義に同じ);
sは存在しないか、または単結合、二重結合または三重結合を表し、あるいは所望により極性(P)および非極性(NP)基で置換されていてもよいVIであり(ここにtはOまたはS);
は(i)ハロであって、Rは水素であり;(ii)C−s−B−s−であって、RはCであり;または、(iii)C−s−であって、Rは−A−s−C(ここにCはピリジンまたはフェニルであり、該ピリジンまたはフェニルは、独立して、所望によりハロ、ニトロ、シアノ、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルよりなる群から選択される1または2の置換で置換されていてもよい);あるいはRおよびRは一緒にsであり;
NPは、独立して、Rまたは−U−(CH−Rから選択される非極性基であり、ここにRは水素、C−C10アルキル、C−C18分岐型アルキル、C−Cシクロアルキル、所望により1またはそれを超えるC−Cアルキルまたはハロ基で置換されていてもよい単環式または多環式フェニル、および所望により1またはそれを超えるC−Cアルキルまたはハロ基で置換されていてもよい単環式または多環式ヘテロアリールよりなる群から選択され、Uおよびpは前記定義に同じであり;
Pは下記式で示されるIII、ヒドロキシエトキシメチル、メトキシエトキシメチルおよびポリオキシエチレンよりなる群から選択される極性基であり
【0053】
【化7】

【0054】
式中;
Uは存在しないか、またはO、S、S(=O)、S(=O)、NH、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−C(=O)S−、−C(=S)NH−、−S(=O)NH−およびC(=NO−)よりなる群から選択され、ここに2の化学的に非等価な末端を有する基は両方の可能な方向をとり得;
Vはアミノ、ヒドロキシル、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、NH(CHNH、N(CHCHNH、アミジン、グアニジン、セミカルバゾン、塩基性複素環、および所望によりアミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノおよび所望により1またはそれを超えるアミノ、低級アルキルアミノまたは低級ジアルキルアミノで置換さていてもよい低級アシルアミノで置換されていてもよいフェニルよりなる群から選択され;および
アルキレン鎖は所望によりアミノまたはヒドロキシル基で置換されていてもよく、または不飽和であり;
pは独立して0ないし8であり;および
mは2ないし少なくとも約500であるが、
但し、AおよびBがチオフェンである場合、極性基が3−(プロピオン酸)またはメトキシ(ジエトキシ)エチルとなることはできず、非極性基がn−ドデシルとなることはできない。
【0055】
本発明のいまだもう1の具体例は式Iで示される表面的に両親媒性のポリマーであり:
式中:
AおよびBは独立して、所望により置換されていてもよいo−、m−またはp−フェニレンであり;
sは存在しないか、または単結合、二重結合または三重結合を表し;
NPは独立してRまたは−U−(CH−Rから選択される非極性基であり、ここにRは水素、C−Cアルキル、C−C12分岐型アルキル、C−Cシクロアルキル、所望により1またはそれを超えるC−Cアルキル基で置換されていてもよいフェニルおよび1またはそれを超えるC−Cアルキル基で置換されていてもよいヘテロアリール基であり、Uおよびpは後記定義に同じであり;
Pは下記式III、ヒドロキシエトキシメチル、メトキシエトキシメチルまたはポリオキシエチレンよりなる群から選択される極性基であり;
【0056】
【化8】

【0057】
式中:
Uは存在しないか、O、S、SO、SOまたはNHであり;
Vはアミノ、ヒドロキシル、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、NH(CHNH、N(CHCHNH、アミジン、グアニジン、セミカルバゾン、イミダゾール、ピペリジン、ピペラジン、4−アルキルピペラジン、および所望により1またはそれを超えるアミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノおよび所望により1またはそれを超えるアミノ、低級アルキルアミノまたは低級ジアルキルアミノで置換されていてもよい低級アシルアミノよりなる群から選択され;
アルキレン鎖は所望によりアミノまたはヒドロキシル基で置換されていてもよく、または不飽和であり;
pは独立して0ないし8であり;および
mは2ないし少なくとも約500である。
【0058】
本発明のなおだもう1の具体例は、式Iで示される表面的に両親媒性のポリマーであり
式中:
AおよびBは、独立して、所望により置換されていてもよいm−フェニレンであり、(i)Aは5−位で非極性(NP)基で置換されており、Bは5−位で非極性基(P)で置換されている、(ii)Aは2−位で極性(P)基で置換されており、5−位で非極性(NP)基で置換されており、Bは2−位で非極性(NP)基で置換されており、5−位で極性(P)基で置換されている、(iii)AまたはBのうちの1が2−位で極性基で置換されており、5−位で非極性基で置換されており、AまたはBの他方が極性基でも非極性基でも置換されていない、または(iv)AまたはBのうちの1が5−位で極性基で置換されており、2−位で非極性基で置換されており、AまたはBの他方が極性基でも非極性基でも置換されていない;
sは存在しないか、または単結合、二重結合または三重結合を表し;
NPは、独立して、Rまたは−U−(CH−Rから選択される非極性基であり、ここにRは水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチルおよびsec−ペンチルよりなる群から選択され、およびUおよびpは下記定義に同じであり;
Pは極性基U−(CH−Vであり、ここにUは存在しないか、またはOおよびSよりなる群から選択され、およびVはアミノ、低級アルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、イミダゾール、グアニジン、NH(CHNH
N(CHCHNH、ピペリジン、ピペラジン、4−アルキルピペラジンよりなる群から選択され;
pは独立して0ないし8であり;および
mは2ないし少なくとも約500である。
【0059】
本発明のもう1の具体例は、式XIX:
【0060】
【化9】

【0061】
で示される表面的に両親媒性のポリマーであり、
式中:
NPはメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチルまたはsec−ペンチルであり;
Pは極性基U−(CH−Vであり、ここにUはOまたはSであり、pは0ないし8であり、Vはアミノ、低級アルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、グアニジン、ピリジン、ピペラジン、4−アルキルピペラジンよりなる群から選択され;
pは0ないし8であり;および
mは2ないし少なくとも約30である。
【0062】
本発明のいまだもう1の具体例は、式XX:
【0063】
【化10】

【0064】
で示される表面的に両親媒性のポリマーであり、
式中:
NPはメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチルまたはsec−ペンチルであり;
Pは極性基U−(CH−Vであり、ここにUはOまたはSであり、pは0ないし8であり、Vはアミノ、低級アルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、グアニジン、ピリジン、ピペラジン、4−アルキルピペラジンよりなる群から選択され;
pは0ないし8であり;および
mは2ないし少なくとも約30である。
【0065】
本発明のもう1の具体例は、式Iで示される化合物を含む請求項1に記載のポリマーであり、
式中:
AおよびBは、独立して、所望により置換されていてもよいp−フェニレンであり、ここで(i)Aは2−位で非極性(NP)基で置換されていて、Bは5−または6−位で非極性(NP)基で置換されているか、(ii)AおよびBの両方が2−位で極性(P)基で置換されていて、5−または6−位で非極性(NP)基で置換されているか、または(iii)AまたはBのうちの1が2−位で極性(P)基で置換され、5−または6−位で非極性(NP)基で置換されており、AまたはBの他方が極性基でも非極性基でも置換されていないかのいずれかであり;
sは存在しないか、または単結合、二重結合または三重結合を表し;
NPは、独立して、Rまたは−U−(CH−Rから選択される非極性基であり、ここにRは水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチルおよびsec−ペンチルよりなる群から選択され、およびUおよびpは下記定義に同じであり;
Pは極性基U−(CH−Vであり、ここにUは存在しないか、またはOおよびSよりなる群から選択され、およびVはアミノ、低級アルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、イミダゾール、グアニジン、NH(CHNH
N(CHCHNH、ピペリジン、ピペラジン、4−アルキルピペラジンよりなる群から選択され;
pは独立して0ないし8であり;および
mは2ないし少なくとも約500である。
【0066】
本発明のもう1の具体例は、式Iで示される表面的に両親媒性のポリマーであり、
式中:
AおよびBは、独立して、所望により置換されていてもよいp−フェニレンであり、ここに(i)Aは2−位で非極性(NP)基で置換されていて、Bは5−または6−位で非極性(NP)基で置換されているか、(ii)AおよびBの両方が2−位で極性(P)基で置換されていて、5−または6−位で非極性(NP)基で置換されているか、または(iii)AまたはBのうちの1が2−位で極性(P)基で置換され、5−または6−位で非極性(NP)基で置換されていて、AまたはBの他方が極性基でも非極性基でも置換されていないかのいずれかであり;
sは存在しないか、または単結合、二重結合または三重結合を表し;
NPは、独立して、Rまたは−U−(CH−Rから選択される非極性基であり、ここにRは水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチルおよびsec−ペンチルよりなる群から選択され、およびUおよびpは下記定義に同じであり;
Pは極性基U−(CH−Vであり、ここにUは存在しないか、またはOおよびSよりなる群から選択され、およびVはアミノ、低級アルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、イミダゾール、グアニジン、NH(CHNH、N(CHCHNH、ピペリジン、ピペラジン、4−アルキルピペラジンよりなる群から選択され;
pは独立して0ないし8であり;および
mは2ないし少なくとも約500である。
【0067】
本発明のいまだもう1の具体例は式Iで示される表面的に両親媒性のポリマーであり、
式中:
AおよびBは、独立して、所望により置換されていてもよいヘテロアリーレンであり、ここでAまたはBのうちの1は1または2の極性(P)基で置換されていて、AまたはBの他方は1または2の非極性(NP)基で置換されており;
sは存在しないか、または単結合、二重結合または三重結合を表し;
NPは、独立して、Rまたは−U−(CH−Rから選択される非極性基であり、ここにRは水素、C−Cアルキル、C−C12分岐アルキル、C−Cシクロアルキル、および所望により1またはそれを超えるC−Cアルキル基で置換されていてもよいヘテロアリールよりなる群から選択される非極性基であり;
Pは下記式III、ヒドロキシエトキシメチル、メトキシエトキシメチルまたはポリオキシエチレンよりなる群から選択される極性基であり;
【0068】
【化11】

【0069】
式中:
Uは存在しないか、O、S、SO、SOまたはNHであり;
Vはアミノ、ヒドロキシル、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、NH(CHNH、N(CHCHNH、アミジン、グアニジン、セミカルバゾン、イミダゾール、ピペリジン、ピペラジン、4−アルキルピペラジン、および所望によりアミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノおよび所望により1またはそれを超えるアミノ、低級アルキルアミノまたは低級ジアルキルアミノで置換されていてもよい低級アシルアミノよりなる群から選択され;
アルキレン鎖は所望によりアミノまたはヒドロキシル基で置換されていてもよく、または不飽和であり;
pは独立して0ないし8であり;および
mは2ないし少なくとも約500である。
【0070】
本発明のいまだもう1の具体例は式Iで示される表面的に両親媒性のポリマーであり、
式中:
AおよびBは所望により置換されていてもよい2,5−チオフェニレンまたは2,5−ピローレンであり、ここに(i)Aは3−位で非極性(NP)基で置換されていて、Bは3−位で極性(P)基で置換されているか、(ii)Aは3−位で非極性(NP)基で置換されていて、Bは4−位で極性(P)基で置換されているか、または(iii)AまたはBのうちの1が3−および4−位で非極性(NP)基で置換されていて、AまたはBの他方は3−および4−位で極性(P)基で置換されているかのいずれかであり;
sは存在しないか、または単結合、二重結合または三重結合を表し;
NPは、独立して、Rまたは−U−(CH−Rから選択される非極性基であり、ここにRは水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、イソ−ペンチルおよびsec−ペンチルよりなる群から選択され、およびUおよびpは下記定義に同じであり;
Pは極性基U−(CH−Vであり、ここにUは存在しないか、またはOおよびSよりなる群から選択され、およびVはアミノ、低級アルキルアミノ、低級ジアルキルアミノ、イミダゾール、グアニジン、NH(CHNH、N(CHCHNH、ピペリジン、ピペラジン、4−アルキルピペラジンよりなる群から選択され;
pは独立して0ないし8であり;および
mは2ないし少なくとも約500である。
【0071】
ポリフェニレンおよびポリヘテロアリーレンポリマーは、Hecht、Stille、Suzukiほかによって開発されたパラジウム(0)カップリング反応を利用することによってレジオ特異的に調製することができる。Bjomholmらは一連のPd(0)媒介有機スズ・カップリング反応を利用してポリチオフェンを調製し、同様の方法をいずれの芳香族ポリマーにも採用することができる。McCulloughおよびLoeweは、有機マグネシウム誘導体のNi(II)触媒カップリングによるポリ−(3−置換)チオフェンの調製を記載しており(R. D. McCulloughおよびR. S. Lowe, 米国特許第6,166,172号)、Campsらは複素環/芳香族導電性コポリマーの合成に関して関連する方法を記載している(M. Campsら, 米国特許第4,508,639号)。また、複素環ポリマーは、電気分解によっても調製し得る。本発明における芳香族および複素環式芳香族モノマーはポリベンゾアゾール(If)およびポリベンゾチアゾールによって連結することもできる。これらの化合物は、好適な置換型テレフタル酸誘導体と1,3−ジアミノ−4,6−ジヒドロキシベンゼンまたは1,3−ジアミノ−4,6−ジメルカプトベンゼンのいずれかとを脱水剤の存在下でカップリングさせることによって調製し得る(M. P. Stevens, Polymer Chemistry, Oxford University Press, 1999, p. 417)。適当な置換型モノマーの合成は直腺様式である。メタ−フェニレン誘導体のモノマーの調製を図3に図示する。オルトおよびパラ二ハロゲン化物またはホウ酸は種々のカップリング反応の好適な前駆体であり、膨大な経路を利用して極性および非極性側鎖を取込ませることが可能である。モノマー上のフェノール性基をアルキル化して、極性および非極性の置換基を生成することができる。市販されているフェノールのアルキル化は、アルキル化剤として臭化エチルを用いて非極性側鎖についての標準的なWilliamsonエーテル合成で行う。極性側鎖はBOC−NH(CHBrのごとき二官能性アルキル化剤で導入し得る。また、BOC−NH(CH−OH、トリフェニルホスフィンおよびアセチレンジカルボン酸ジエチルを用いたMitsonobu反応を用いることによって、フェノール基をアルキル化して目的の極性側鎖官能基を取込むことができる。適当なモノマーの合成に必要な方法は、当該技術分野でよく知られている。
【0072】
抗微生物試験は、イー・コリ(E.coli)を用いた微量液体希釈法を用いて行う。
スクリーニングする他の生物には、アンピシリンおよびストレプロマイシン耐性イー・コリ(E.coli)D31、バチルス・ズブチリス(B. subtilis)、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェシウム(Enterococcus faecium)A436、およびメチシリン耐性スタフィロコッカス・アウレウス(S. aureus)5332が含まれる。有効であることが判明したいずれのペプチドも均一に精製して、正確なIC50を得るために再試験することができる。二次スクリーニングには、クレブシエラ・ニューモニエ(Klebsiella pneumoniae)Kp1およびサルモネラ・チフィムリウム(Salmonella typhimunium)S5およびシュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonus aeruginosa)10が含まれる。伝統的には、微量液体希釈法では、18−24時間の間の単一点のデータのみを評価する;しかしながら、測定を24時間を超えて延長して増殖相全体にわたる細胞増殖をモニターすることができる。これらの実験はLB培地(典型的にはタンパク質発現のために細胞を増殖させるために用いるリッチな培地)で行い、活性についての重要な初期スクリーニングを表す。塩濃度、タンパク質および他の溶質は抗生物質の活性に影響し得るため、リッチな培地で活性を示さない物質は最小培地(M9)で再試験してリッチな培地が活性を制限しているかを判定する。培地と活性との間に関連性は観察されず、これは作用の様式とも一致し、一般膜破壊を介するものと考えられている。
【0073】
細菌の細胞に加えて哺乳動物の細胞に対する毒性を判定するために、培養細胞および新たに得たヒト血液細胞の両方を用いて殺生物活性を評価する。増大してゆく濃度のポリマーを、ヒト臍帯上皮細胞(HUVEC, Cambrex)の凝集および非凝集培養物の両方に添加する。細胞数、単層一体性および細胞生存率(トリパンブルー排除として測定)を培養時間の関数として評価する。
【0074】
種々のポリマー骨格の合成がよく理解されているが、コンピュータ支援計算法は、潜在的な抗微生物ポリマーの選抜に価値ある洞察および案内を提供し得る。これらの計算法の最終目的は、6未満のモノマー単位の簡便な配列繰返しに合致する構造的繰返しを有する潜在的に低エネルギーのコンホメーションを同定することである。例えば、α−アミノ酸オリゴマーにおいては、β−シートの構造的繰返しは2.0残基である。これらの繰返しスカホールドを同定したら、繰返しの頻度を計算し、極性および非極性の置換基をモノマーに取込ませて、分子に両親媒特性を付与することができる。
【0075】
高精度のab initio計算は、接近し易い低エネルギーコンホメーションを同定する1の技術である。残念なことには、極めて強力なこれらの技術は、本発明のサイズの分子には実践的でない。分子動力学シミュレーションにより、本発明において明らかにされた分子に対して効率的に適用し得る別法が提供される。コンホメーションエネルギーを決定する鍵となる要素は近接するまたはより離れたモノマーの間の強力な静電相互作用(すなわち、分子内水素結合) および骨格のねじれまたはバルキーな官能基によって生じる剛直性である。分子力学計算法でこれらの相互作用をシミュレートするためには、代表的なポリマー骨格について経験的なパラメータ、すなわち力場を決定しなければならない。密度汎関数理論 (DFT)を用いて、必要なねじれポテンシャルを生成するであろうポリマー骨格の基本的構造結合性を共有する小さなモデル化合物に対してab initio計算を行うことができる。これらの計算法を行うための工程は:
1.ターゲットポリマー骨格と同様なねじれパターンを共有する単純なモデル化合物を選択する。
2.各化合物について、BLYP/6 31G(d)レベルの理論で完全構造最適化を行う(複数の初期構成により、大域的最小値を得ることが保証される)。
3.B3LYP/6−311 G++(dp)または平面波CPMDを用いて、前記工程2で得た最も安定な構造の単一点エネルギーを計算する。
4. 設定した角度に適当なねじれを拘束して工程2および3を繰り返す。
5. 幾つかの角度について工程4を繰り返し;非結合相互作用を除算することによってねじれエネルギーを得る。
6.エネルギー−対−ねじれ角度を、その係数が力場パラメータであるコサイン・シリーズにフィットする。
【0076】
構造および熱力学的特性の計算した予想を、同様なねじれパターンを有し、かつ実験データが利用できる分子と比較することによって力場の好適性を証明した後に、ついで、フィットしたねじれをCHARMM (B. R. Brooksら, J. Comp. Chem. 1983 4: 187−217)およびTraPPE (M. G. MartinおよびJ. I. Siepmann, J. Phys. Chem B. 1999 103: 4508−17; C. D. Wickら, J. Phys. Chem B. 2000 104: 3093−3104)の分子動力学力場結合ストレッチ、曲げ、ワン−フォア(one−four)、ファン・デル・ワールス力および静電気的ポテンシャルと組合せる。周期をとり得るコンホメーションを同定するために、極性および非極性基を有するフォールディングパターンを反対側に整列させる。初期構造は、Gaussian package (M. Frischら, Gaussian 98 (revision A. 7) Gaussian Inc., Pittsburgh, PA 1998)を用いて得ることができる。ついで、平行化した平面波Car−Parrinello CP−MD (R, CarおよびM. Parrinello Phys. Rev. Lett. 1985 55: 2471−2474)プログラム(cf. U. Roethlisbergerら, J. Chem. Phys. 1996 3692−3700)を用いて、最小かつ拘束された構造におけるエネルギーを得る。側鎖を有しないポリマーのコンホメーションは気相において調べることができる。MDおよびMC法の両方を用いて、コンホメーションをサンプリングすることができるであろう。前者はポリマーの全域的な運動について有用である。バイアス技術(J. I. SiepmannおよびD. Frenkel Mol. Phys. 1992 75: 59−70; M. G. MartinおよびJ. I. Siepmann J. Phys. Chem. B 1999 103: 4508−4517; T. J. H. Vlugtら, Mol. Phys. 1998 94: 727−733)を用いれば、後者により、比較的大きなバリアによって分離された複数の局所最小構造を有するポリマーについて効果的なサンプリングができる。
【0077】
潜在的なコンホメーションを、二次構造に両親媒性特徴を付与するであろうペンダント基を結合する位置について調べる。両親媒性を導入するために好適な骨格コンホメーションおよび最適な位置の側鎖を用いた気相実験から選択したポリマーは、モデル界面系、n−ヘキサン/水においてさらに評価する。その系を選択したのは、それが、脂質/水二重層環境をよく模倣しつつ、計算するのに単純かつ安価であるからである。ポリマー間相互作用を必要とするポリマー二次構造は、溶媒を用いるか用いないで、種々のシンメトリーの周期的に繰返す一連の単位格子を用いる前記の計算(いわゆる、変分格子(variable cell)分子動力学またはモンテカルロ法)を繰返すことによって同定し得る。これらの計算の結果により、合成の候補の選択が案内されるであろう。
【0078】
本発明の具体例は、以下の工程によって表面的に両親媒性のポリマーを生成し得るポリマー骨格を同定するための計算技術である:
(1) 極性(P)および非極性(NP)基のレジオ特異的な導入に好適なポリマー骨格またはスカフォールドを選択し;
(2)ab initio分子軌道法を用いて分子軌道の力場に対するパラメータを決定し;
(3)分子動力学または分子軌道計算法を用いて該骨格のエネルギー的に接近し易いコンホメーションを計算し;
(4)構造/コンホメーションの繰返しの周期が配列の繰返しに合致する該骨格のエネルギー的に接近し易いコンホメーションを同定し;
(5)極性および非極性置換基を有するモノマーを合成し;
(6)溶液相または固相合成によって該モノマーを含む抗微生物ポリマーを合成する。
【0079】
本発明の表面的に両親媒性のポリマーは分子量で実質的範囲を有し得る。約0.8kDないし約20kDaの分子量を有する表面的に両親媒性のポリマーは、基体の表面からより浸出し易いであろう。表面的に両親媒性のポリマーは、限定されるものではないが、木材、紙、合成ポリマー(プラスチック)、天然および合成の繊維、天然および合成のゴム、布、ガラスおよびセラミクスを含むほぼいずれの基体にも、共有結合、イオン相互作用、クーロン相互作用、水素結合または架橋を含む適当な方法によって結合し、適用し、または取込ませることができる。合成ポリマーの例には、限定されるものではないが、ポリプロピレン、ポリエチレン、塩化ポリビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリラクチドまたはポリグリコリドのごときポリエステル、ポリイソプレン、ポリブタジエンまたはラテックスのごときゴム、ポリテトラフルオロエチレン、ポリスルホンおよびポリエチレンスルホンのポリマーまたはコポリマーが含まれる。天然繊維の例には、コットン、ウールおよびリネンが含まれる。
【0080】
したがって、本発明のポリマーは、表面と接触する生物のみを殺す表面媒介殺微生物剤を提供する。さらに、本発明のポリマーは長期間にわたって安定であってその生物活性を保持している。表面に結合したポリマーは表面から環境に浸出しないであろう。微生物細胞壁に対する特異性を付与することができ、それは鳥類、魚類、哺乳動物および他の高等生物に対しては低い毒性を有するポリマーを提供し得る。
【0081】
細菌または微生物の汚染に曝されるまたはそれに対して感受性のいずれの対象物も、これらのポリマーで処理し得る。これらの必要性は、ヘルスケアおよび食品産業においては特に激しい。大きくなっている保存料に関する関心は、保存料を含むことなく微生物汚染を予防する新たな物質に対する要望を生み出している。
【0082】
食品発生病原菌の発生率は継続している関心事であり、抗微生物性の包装材料、台所用品および表面は価値がある。ヘルスケアおよび医療装置の分野においては、抗微生物性の機器、包装および表面の有用性は明らかである。限定されるものではないが、手術用グローブ、移植デバイス、縫糸、カテーテル、透析膜、水フィルターおよび器具を含むヒトまたは動物の健康に内部的または外部的に使用する製品は、すべて病原菌を収容し、伝播し得る。
【0083】
本発明のポリマーは、織物、手術用ガウン、およびカーペットを含む細菌汚染に感受性の材料に使用する紡績用繊維に取込ませ得る。眼科液剤およびコンタクトレンズは容易に汚染され、目の感染症を引起す。コンタクトレンズおよび洗浄液用の抗微生物保存容器は非常に価値があるであろう。ペットおよび農業動物は両方とも、動物またはヒトに疾患を引起し得る種々の感染性の病原生物に曝されており、その棲息場所となっている。コーティング、塗料および接着剤はすべて微生物汚染に曝されており、微生物の増殖が望ましくない場所で用いられている。
【0084】
伝統的には、空気/水界面に単層が作りだされ、BlodgettおよびLangmuirのセミナー研究にさかのぼる大量の作業で証明されているごとく、化学的および構造的な特徴付けのために種々の表面に移行されてきている。単層は固体支持体に化学的に結合して、吸着によって自己組織化する安定な均一充填分子層を生じる。典型的には、これらの自己組織化単層(SAMS)は、アルキルシロキサンまたはチオレート−金結合のいずれかを用いて固体に共有的に係留する。アルキルチオレート−金結合は、チオールまたはジスルフィドの自然吸着によって金の表面に形成し得る。金の層は大部分の固体表面に沈澱させることができ、非常に大きな融通性を提供する。アルキルシロキサン単層は、トリアルコキシシランまたはトリクロロシランと二酸化ケイ素表面とを反応させて、表面上の架橋シロキサンの単層を生じることによって調製し得る。シロキサン単層は、原子的に平滑であり、表面酸化されたシリコンウェハー、ガラス、クォーツを含む表面シラノール基を含むいずれの固体にも形成し得る。これらの2の化学方法により、両親媒性ポリマーを種々の表面に結合できるであろう。
【0085】
これらの両親媒性ポリマーはリンカーを取込んで、ポリマーを固体表面の回りの環境とより効率的に相互作用させることができる。基礎をなす基体と最小限の相互作用で天然のコンホメーションでペプチドおよびタンパク質を提示することができる係留法が記載されている。例えば、一般的形態HS−(CH11−(OCH−CH−OHで示されるアルカンチオール (HS−C11−Enと示す、n=3−6)は、現在、受容体/リガンド相互作用の研究に広範に広がって使用されてきている(M. Mrksich, Cell Mol. Life Sci. 1998 54: 653−62; M. MrksichおよびG. M. Whitesides Ann. Rev. Biophys. Biomol. Struct. 1996 25: 55−78)。ポリエチレングリコール誘導化アミノ酸、例えばFmoc−NH−(CH−CH−O))CH−COOH (Neosystems)も、CysをN−末端に付加して、そのチオールを介して、直接的にまたは化学選択的な結合を介してカップリングを許容する基として作用すると記載されている(T. W. Muirら, Methods Enzymol. 1997 289: 266−98; G. G. Kochendoerferら, Biochemistry 1999 38: 11905−13)。 チオール基は金表面に分子を係留するよう作用し、一方で末端ヒドロキシルおよびエチレングリコール基は溶媒に突出して親水性表面を提示する。シロキサンおよびポリエチレン表面に対する結合も記載されている(S. P. MassiaおよびJ. Stark J. Biomed. Mat. res. 2001 56: 390−9; S. P. MassiaおよびJ. A. Hubbell J. Cell Biol. 1991 114: 1089−1100; S. P. MassiaおよびJ. A. Hubbell Anal. Biochem. 1990 187: 292301; B. T. HousemanおよびM. Mrksich Biomaterials 2001 22 : 943−55)。
【0086】
【化12】

【0087】
樹脂結合型の中間体も簡単に修飾してリンカーを取込ませ得る。ガラス表面は下記の反応によってペプチドのチオール基と反応できるように修飾し得る:
(i)トリメトキシシリルプロピルアミンで処理することによってガラス表面のアミノアルキル化;(ii)チオール基とも反応することができる臭化ブロモアセチルまたは他のヘテロ二官能性架橋剤基とアミノ基との反応。上記の例においては、本発明者らは、本発明者らが後にペプチドのチオールと反応させるためにブロモアセチル基を導入しているアミノ表面を示す。また、チオール反応性マレイミド、ビニル−スルホン(マイケル受容体)を市販の架橋剤を用いて取込ませることもできる。また、表面アミノ基を無水物で処理することによってカルボン酸に変換し、ついで標準的な条件下でチオエステルに変換することもできる。得られたチオエステルは容易にかつ極めて高いレジオ選択性でもってN−末端Cys残基と反応する。多量の不活性“フィラー”分子、例えばその一例は限定されるものではないが、反応性の束縛基を有する単官能性チオール末端化短鎖ポリエチレングリコールポリマーを取込ませることによって、“フィラー”成分に対するオリゴマーのモル比、固体支持体に結合したポリマーの表面密度を連続して変化させることができる。
【0088】
本発明の具体例は、表面を第1の化学的に反応性の基で処理し、第2の反応性基に結合した表面的に両親媒性のポリマーをそれに反応させることを含む、抗微生物性の表面的に両親媒性のポリマーを表面に結合することによって抗微生物表面を製造する方法である。
【0089】
本発明のもう1の具体例は、固体表面を1−(トリアルコキシシリル)アルキルアミンで処理し、表面的に両親媒性のポリマーが活性化されたカルボン酸を含む、表面的に両親媒性のポリマーを表面に結合させる方法である。
【0090】
本発明のもう1の具体例は、固体表面をω−(トリアルキルシリル)アルキルアミンで処理し、表面的に両親媒性のポリマーが活性化されたカルボン酸を含む、表面的に両親媒性のポリマーを表面に結合させる方法である。
【0091】
本発明のなおもう1の具体例は、固体表面をN−[ω−(トリアルコキシシリル)アルキル]マレイミドで処理し、表面的に両親媒性のポリマーがチオールを含む、表面的に両親媒性のポリマーを表面に結合させる方法である。
【0092】
本発明のいまだもう1の具体例は、表面が金であって、表面的に両親媒性のポリマーがチオールを含む、表面的に両親媒性のポリマーを表面に結合させる方法である。
【0093】
種々のポリマーが無菌表面を必要とする医療適用の宿主において用いられている。静脈または泌尿器カテーテルのようなカテーテルは重篤な感染症を引起す。現在まで、ポリウレタンベースの管材料が市販のカテーテル管材料の大部分の供給源である。両親媒性ポリマーは、製造前および製造後の技術を用いてポリウレタンおよび他のポリマーに取込ませ得る。製造前取り込みの利点は、より単純な修飾戦略および管材料全体にわたる抗微生物剤の分散である。管材料の製造は、典型的には、ポリウレタンのペレットを加熱し、所望の直径のダイ製造管材料を通して圧縮する。ウレタン結合の熱安定性はアミドおよび尿素結合に非常に類似しており、ここでも熱処理条件は問題とならないことを示唆している。製造前アプローチのために、設計した抗微生物ポリマーを押出し成型前に元のポリウレタンペレットに添加して、押出したポリマー全体にわたる均一な分散を生じる。
【0094】
このケースにおいては抗微生物ポリマーは管材料の表面にしか存在しないであろうが、製造後の修飾も可能である。しかしながら、カテーテルは最小限の寿命を有するため、表面処理は材料をその適用について十分に清潔にするようである。ポリマー性表面を修飾することができる種々の方法が存在する(E. Piskin J. Biomat. Sci.−Polymer Ed. 1992 4: 45−60)。最も一般的な技術は、ポリマーと界面活性剤との間に共有結合を形成するフリーラジカルを生成する放射により両親媒性ポリマーを表面に共有結合させることである。残念ながら、この方法では、表面に対する方向または官能基の結合にわたっては制御を有さない完全にランダムである。また、ポリウレタン表面の光または化学酸化は、これらの抗微生物ポリマー(カチオン性側鎖またはカチオン性末端基)に向けて反応性であろうカルボン酸またはアルコール官能基を生成する。表面酸化の最も一般的な技術は、オゾンを用いることができるが、プラズマ・エッチングである(E. Piskin loc. cit. ; S. H. HsuおよびW. C. Chen, Biomaterials 2000 21: 359−67)。酸化した後に、表面を二官能性エポキシドで処理し、つづいて該エポキシドと反応し得るカチオン性抗微生物ポリマーを付加する。
【0095】
塗料および塗料膜の表面上の微生物増殖も、未解決の課題を残している。これは、湿潤処方された塗料においてまたは乾燥した表面上の微生物の増殖によって引起され得る。現在の塗料産業では、微生物か湿潤塗料を保護するためにイソチオゾロンまたは“ホルムアルデヒド・リリーサー”のいずれかを用いている(G. Sekaranら, J. Applied Polymer Sci. 2001 81: 1567−1571; T. J. Kellyら, Environ. Sci. Technol. 1999 33: 81−88; M. Sondossiら, International Biodeterioration & Biodegradation 1993 32: 243−61)。これらの製品は両方ともヒトに対して有害であり、従業者の曝露を制限するためには非常に長い期間と支出が工場にかかり;しかしながら、当該産業については価値のある代替法は現在存在しない。イソチオゾロンはシュードモナス・アエルギノーサ(Pseudomonas aeruginosa)に対するその有効性につき主として使用されており、予備データで論じた抗微生物ポリマーはこの菌株に対して有効である。
【0096】
細菌または微生物の汚染に曝露されるかまたは感受性であるいずれの対象物もこれらのポリマーで処理し得る。これらの要望はヘルスケアおよび食品産業において特に激しい。保存料に関する増大する関心は、保存料を含むことなく微生物汚染を予防する新たな物質に対する要望を作り出している。食品発生病原菌からの感染率は継続している関心事であり、抗微生物性の包装材料、台所用品および表面は価値がある。ヘルスケアおよび医療装置の分野においては、抗微生物性の機器、包装および表面の有用性は明らかである。限定されるものではないが、手術用グローブ、移植デバイス、縫糸、カテーテル、透析膜、水フィルターおよび器具を含むヒトまたは動物の健康に内部的または外部的に使用する製品は、すべて病原菌を収容し、伝播し得る。本発明のポリマーは、織物、手術用ガウン、およびカーペットを含む細菌汚染に感受性の材料に使用する紡績用繊維に取込ませ得る。眼科液剤およびコンタクトレンズは容易に汚染され、目の感染症を引起す。コンタクトレンズおよび洗浄液用の抗微生物保存容器は非常に価値があるであろう。ペットおよび農業動物は両方とも、動物またはヒトに疾患を引起し得る種々の感染性の病原生物に曝されており、その棲息場所となっている。
【0097】
本発明の具体例は、表面的に両親媒性のポリマーと、塗料、コーティング剤、ラッカー、ワニス、コーキング剤、グラウト剤、接着剤、樹脂、フィルム、化粧品、石鹸および洗浄剤よりなる群から選択される組成物を含む抗微生物組成物である。
【0098】
本発明のもう1の具体例は、改良されたカテーテルであり、該改良はその中またはそれに表面的に両親媒性のポリマーを取込ませるまたは結合することを含む。
【0099】
本発明のいまだもう1の具体例は、改良されたコンタクトレンズであり、該改良はその中またはそれに両親媒性のポリマーを取込ませるまたは結合することを含む。
【0100】
本発明の具体例は、病院および研究室用の改良されたプラスチック装置であり、該改良はその中またはそれに表面的に両親媒性のポリマーを取込ませるまたは結合することを含む。
【0101】
本発明のさらなる具体例は、病院で使用する改良された織布または不織布であり、該改良はその中またはそれに表面的に両親媒性のポリマーを取込ませるまたは結合することを含む。
【0102】
以下の実施例は本発明の本質をさらに特徴的にするために供するものであって、その範囲に限定することを意図するものではなく、その範囲は添付の請求の範囲によってのみ決まる。
【0103】
実施例1
フェニレン−エチニレン合成(図3)
乾燥し、空気を含まないフラスコに、m−ジエチニル−ベンゼン(0.037g、0.284ミリモル、1.03当量)、ジヨードモノマー3(0.157g、0.275ミリモル、1.00当量)、3モル%のPd(PPh(0.009g)、Cul(0.003g、0.017ミリモル、0.06当量)、5mLのトルエンおよび2mLのジイソプロピルアミンを満たした。その溶液を窒素雰囲気下に流し、攪拌し、ついで70℃の油浴中に12時間置いた。その溶液を迅速に攪拌したメタノールに注ぎ、沈澱を採取した。一晩真空下にて乾燥させた後に、保護ポリマー5の分子量を決定した。
【0104】
7a:NP=CHCHCHCHCH、P=ベンジルアミン、Mn=17,400、PDI=2.2
7b:NP=(S)−CHCH(CH)CHCH、P=ベンジルアミン、Mn=9,780、PDI=1.4
【0105】
ポリマー(50mg)を0℃の4MのHCl/ジオキサンに採り、ついで12時間放置して室温まで温めた。溶媒は真空下にて除去し、固形物は一晩乾燥させる前に3回エーテルでトリチュレートした。
【0106】
実施例2
アリーレン重合の一般的方法−スズキ・カップリング
乾燥させたフラスコにトルエン中の等モル比のジブロミドおよび二ホウ酸を満たした。パラジウム触媒、例えばPd(0)Cl(PPhを添加し、その反応物を遮光し、正圧のN下、80℃にて一晩攪拌した。溶媒を除去し、固形物をCHCl/ヘキサンでトリチュレートした。重合度は、種々のモル量の一官能性アリールブロミドの添加によって制御する。アリールブロミドのモル量はFlory式によって決定する。
【0107】
実施例3
抗微生物アッセイ
阻害実験は、96−ウェル形式で細菌(10CFU/ml)を接種したBHI培地を用いた懸濁液で行う。ポリマーのストック溶液は調製したDMSO/水であり、これを用いて10倍希釈シリーズを調製した。最小阻止濃度(MIC)は、化合物と細菌とを37℃にて18時間インキュベートし、細胞増殖を590nmにてモニターすることによって得た。
【0108】
本願で引用したすべての参照文献はその全体を本明細書の一部とみなす。先の記載に鑑みれば、当業者であれば本発明の多数の変形および別の具体例が明らかであろう。したがって、本願の記載は説明のみを目的とし、本発明を実施するベストモードを当業者に教示することを目的とするものである。詳細な構成は、本発明の意図から逸脱することなく実質的に変化させることができ、添付する特許請求の範囲の範囲内から生じるすべての修飾の排他的な使用は保有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中:
AおよびXは、独立して、所望により置換されていてもよいo−、m−、p−フェニレンまたは所望により置換されていてもよいヘテロアリーレンであり、ここで(i)AおよびXは両方とも極性(P)基および非極性(NP)基で置換されているか、(ii)AまたはXのうちの1が極性(P)基および非極性(NP)基で置換されていて、AまたはXの他方は極性(P)基でも非極性(NP)基でも置換されていないか、(iii)AまたはXのうちの1が1または2の極性(P)基で置換されていて、AまたはXの他方が1または2の非極性(NP)基で置換されているか、あるいは(iv)AまたはXのうちの1は2−位で極性(P)基で置換され、5−または6−位で非極性(NP)基で置換されていて、AまたはXの他方は非極性基で置換されているかのいずれかであり;あるいは
Aは前記定義に同じであって、極性(P)基および非極性(NP)基で置換されていて、Xは基C≡C(CHC≡Cであり(ここにpは下記定義に同じ);
sは存在しないか、またはsは−CH=CH−または−C≡C−であり;
は(i)ハロゲンであって、Rは水素であり;(ii)Y−s−X−s−であって、RはYであり;または(iii)Y−s−であって、Rは−A−s−Y(ここにYはピリジンまたはフェニルであり、該ピリジンまたはフェニルは、所望により、独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルよりなる群から選択される1または2の置換基で置換されていてもよい);
NPは、独立して、Rまたは−U−(CH−Rから選択される非極性基であり、ここにRは水素、C−C10アルキル、C−C18分岐型アルキル、C−Cシクロアルキル、所望により1またはそれを超えるC−Cアルキルまたはハロゲン基で置換されていてもよい単環式または多環式フェニル、および所望により1またはそれを超えるC−Cアルキルまたはハロゲン基で置換されていてもよい単環式または多環式ヘテロアリールよりなる群から選択され、Uおよびpは後記定義に同じであり;
Pは下記式で示されるIII、ヒドロキシエトキシメチル、メトキシエトキシメチルおよびポリオキシエチレンよりなる群から選択される極性基であり、
【化2】

式中;
Uは存在しないか、またはO、S、S(=O)、S(=O)、NH、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−C(=O)S−、−C(=S)NH−、−S(=O)NH−およびC(=NO−)よりなる群から選択され、ここに2の化学的に非等価な末端を有する基は両方の可能な方向をとり得;
Vはアミノ、ヒドロキシル、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、NH(CHNH、N(CHCHNH、アミジン、グアニジン、セミカルバゾン、塩基性複素環、および所望によりアミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノおよび所望により1またはそれを超えるアミノ、C−CアルキルアミノまたはC−Cジアルキルアミノで置換されていてもよいC−Cアシルアミノで置換されていてもよいフェニルよりなる群から選択され;および
アルキレン鎖は所望によりアミノまたはヒドロキシル基で置換されていてもよく、または不飽和であり;
pは独立して0ないし8であり;および
mは2ないし500であるが、
但し、AおよびXがチオフェンである場合、極性基が3−(プロピオン酸)またはメトキシ(ジエトキシ)エチルとなることはできず、非極性基がn−ドデシルとなることはできない]
で示される化合物を含むポリマーまたはオリゴマー。
【請求項2】
AおよびXは、独立して、所望により置換されていてもよいo−、m−またはp−フェニレンであり;
sは存在しないか、またはsは−C≡C−であり;
NPは、独立して、Rまたは−U−(CH−Rから選択される非極性基であり、ここにRは水素、C−Cアルキル、C−C12分岐型アルキル、C−Cシクロアルキル、所望により1またはそれを超えるC−Cアルキル基で置換されていてもよいフェニル、および所望により1またはそれを超えるC−Cアルキル基で置換されていてもよいヘテロアリールよりなる群から選択され、およびUおよびpは下記定義に同じであり;
Pは下記式III、ヒドロキシエトキシメチル、メトキシエトキシメチルまたはポリオキシエチレンよりなる群から選択される極性基であり;
【化3】

式中:
Uは存在しないか、O、S、SO、SOまたはNHであり;
Vはアミノ、ヒドロキシル、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、NH(CHNH、N(CHCHNH、アミジン、グアニジン、セミカルバゾン、イミダゾール、ピペリジン、ピペラジン、4−アルキルピペラジン、および所望によりアミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノおよび所望により1またはそれを超えるアミノ、C−CアルキルアミノまたはC−Cジアルキルアミノで置換されていてもよいC−Cアシルアミノで置換されていてもよいフェニルよりなる群から選択され;
アルキレン鎖は所望によりアミノまたはヒドロキシル基で置換されていてもよく、または不飽和であり;
pは独立して0ないし8であり;および
mは2ないし500である
請求項1記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項3】
AおよびXは、独立して、所望により置換されていてもよいm−フェニレンであり、ここで(i)Aは5−位で非極性(NP)基で置換されており、Xは5−位で非極性(P)基で置換されているか、(ii)Aは2−位で極性(P)基で置換されており、5−位で非極性(NP)基で置換されており、Xは2−位で非極性(NP)基で置換されており、5−位で極性(P)基で置換されているか、(iii)AまたはXのうちの1が2−位で極性基で置換されており、5−位で非極性基で置換されており、AまたはXの他方が極性基でも非極性基でも置換されていないか、または(iv)AまたはXのうちの1が5−位で極性基で置換されており、2−位で非極性基で置換されており、AまたはXの他方が極性基でも非極性基でも置換されていない;
sは存在しないか、またはsは−C≡C−であり;
NPは、独立して、Rまたは−U−(CH−Rから選択される非極性基であり、ここにRは水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチルおよびsec-ペンチルよりなる群から選択され、およびUおよびpは下記定義に同じであり;
Pは極性基U−(CH−Vであり、ここにUは存在しないか、またはOおよびSよりなる群から選択され、およびVはアミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、イミダゾール、グアニジン、NH(CHNH、N(CHCHNH、ピペリジン、ピペラジン、4−アルキルピペラジンよりなる群から選択され;
pは独立して0ないし8であり;および
mは2ないし500である
請求項1記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項4】
式XIX:
【化4】

[式中:
NPはメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチルまたはsec−ペンチルであり;
Pは極性基U−(CH−Vであり、ここにUはOまたはSであり、pは0ないし8であり、Vはアミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、グアニジン、ピリジン、ピペラジンおよび4−アルキルピペラジンよりなる群から選択され;
pは0ないし8であり;および
mは2ないし30である]
で示される化合物を含む請求項3記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項5】
式XX:
【化5】

[式中:
NPはメチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、n−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチルまたはsec−ペンチルであり;
Pは極性基U−(CH−Vであり、ここにUはOまたはSであり、pは0ないし8であり、Vはアミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、グアニジン、ピリジン、ピペラジンおよび4−アルキルピペラジンよりなる群から選択され;
pは0ないし8であり;および
mは2ないし30である]
で示される化合物を含む請求項3記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項6】
AおよびXは、独立して、所望により置換されていてもよいp−フェニレンであり、ここで(i)Aは2−位で非極性(NP)基で置換されていて、Xは5−または6−位で非極性(P)基で置換されているか、(ii)AおよびXの両方は2−位で極性(P)基で置換されていて、5−または6−位で非極性(NP)基で置換されているか、または(iii)AまたはXのうちの1は2−位で極性(P)基で置換されていて、5−または6−位で非極性(NP)基で置換されていて、AまたはXの他方は極性基でも非極性基でも置換されていないかのいずれかであり;
sは存在しないか、またはsは−C≡C−である;
NPは、独立して、Rまたは−U−(CH−Rから選択される非極性基であり、ここにRは水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、n−ペンチル、イソ−ペンチルおよびsec-ペンチルよりなる群から選択され、およびUおよびpは下記定義に同じであり;
Pは極性基U−(CH−Vであり、ここにUは存在しないか、またはOおよびSよりなる群から選択され、およびVはアミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、イミダゾール、グアニジン、NH(CHNH、N(CHCHNH、ピペリジン、ピペラジン、4−アルキルピペラジンよりなる群から選択され;
pは独立して0ないし8であり;および
mは2ないし500である
請求項1記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項7】
AおよびXは、独立して、所望により置換されていてもよいヘテロアリーレンであり、ここでAまたはXのうちの1は1または2の極性(P)基で置換されていて、AまたはXの他方は1または2の非極性(NP)基で置換されており;
sは存在しないか、またはsは−C≡C−であり;
NPは、独立して、Rまたは−U−(CH−Rから選択される非極性基であり、ここにRは水素、C−Cアルキル、C−C12分岐アルキル、C−Cシクロアルキル、および所望により1またはそれを超えるC−Cアルキル基で置換されていてもよいヘテロアリールよりなる群から選択され、およびUおよびpは下記定義に同じであり;
Pは下記式III、ヒドロキシエトキシメチル、メトキシエトキシメチルまたはポリオキシエチレンよりなる群から選択される極性基であり、
【化6】

式中:
Uは存在しないか、O、S、SO、SOまたはNHであり;
Vはアミノ、ヒドロキシル、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、NH(CHNH、N(CHCHNH、アミジン、グアニジン、セミカルバゾン、イミダゾール、ピペリジン、ピペラジン、4−アルキルピペラジン、および所望によりアミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノおよび所望により1またはそれを超えるアミノ、C−CアルキルアミノまたはC−Cジアルキルアミノで置換されていてもよいC−Cアシルアミノで置換されていてもよいフェニルよりなる群から選択され;および
アルキレン鎖は所望によりアミノまたはヒドロキシル基で置換されていてもよく、または不飽和であり;
pは独立して0ないし8であり;および
mは2ないし500である
請求項1記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項8】
AおよびXは、独立して、所望により置換されていてもよい2,5−チオフェニレンまたは2,5−ピローレンであり、ここで(i)Aは3−位で非極性(NP)基で置換されていて、Xは3−位で極性(P)基で置換されているか、(ii)Aは3−位で非極性(NP)基で置換されていて、Xは4−位で極性(P)基で置換されているか、または(iii)AまたはXのうちの1は3−および4−位で非極性(NP)基で置換されていて、AまたはXの他方は3−および4−位で極性(P)基で置換されており;
sは存在しないか、またはsは−C≡C−であり;
NPは、独立して、Rまたは−U−(CH−Rから選択される非極性基であり、ここにRは水素、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、イソ−ブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、イソ−ペンチルおよびsec-ペンチルよりなる群から選択され、およびUおよびpは下記定義に同じであり;
Pは極性基U−(CH−Vであり、ここにUは存在しないか、またはOおよびSよりなる群から選択され、およびVはアミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、イミダゾール、グアニジン、NH(CHNH、N(CHCHNH、ピペリジン、ピペラジン、4−アルキルピペラジンよりなる群から選択され;
pは独立して0ないし8であり;および
mは2ないし500である
請求項1記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項9】
接触して微生物を殺す、表面的に両親媒性の請求項1ないし8いずれか1記載のポリマーまたはオリゴマーをその上に設けた基体を準備し;ついで
その上に設けた該表面的に両親媒性のポリマーまたはオリゴマーを微生物と接触させて該基体上に置く
工程を含む微生物を殺す方法。
【請求項10】
該基体が、木材、合成ポリマー、プラスチック、天然および合成の繊維、布、紙、ゴムおよびガラスよりなる群から選択される請求項9記載の方法。
【請求項11】
該基体が、ポリスルホン、ポリアクリレート、ポリウレア、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびセルロース物質よりなる群から選択されるプラスチックである請求項10記載の方法。
【請求項12】
請求項1ないし8いずれか1記載の表面的に両親媒性のポリマーまたはオリゴマーと、木材、合成ポリマー、天然および合成の繊維、布、紙、ゴムおよびガラスよりなる群から選択される固体支持体とを含む殺微生物組成物。
【請求項13】
該固体支持体が、ポリスルホン、ポリアクリレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリカーボネート、ポリフッ化ビニリデン、ポリエチレン、ポリプロピレンおよびセルロース物質よりなる群から選択されるプラスチックである請求項12記載の殺微生物組成物。
【請求項14】
表面を第1の化学的官能基で処理し、ついで、第2の官能基に結合した表面的に両親媒性の請求項1ないし8いずれか1記載のポリマーまたはオリゴマーをそれに反応させることを含む、抗微生物性の表面的に両親媒性のポリマーまたはオリゴマーを表面に結合することによって抗微生物表面を製造する方法。
【請求項15】
該第1の官能基が1-(トリアルコキシシリル)プロピルアミンであって、該第2の官能基が活性化されたカルボン酸である請求項14記載の方法。
【請求項16】
該第1の官能基がω−(トリアルコキシシリル)アルキル ブロモメチルアセトアミドであって、該第2の官能基がチオールである請求項14記載の方法。
【請求項17】
該第1の官能基がN−[ω−(トリアルコキシシリル)アルキル]マレイミドであって、該第2の官能基がチオールである請求項14記載の方法。
【請求項18】
該第1の官能基が金表面であって、該第2の官能基がチオールである請求項14記載の方法。
【請求項19】
有効成分としての表面的に両親媒性の請求項1ないし8いずれか1記載のポリマーまたはオリゴマーと、塗料、コーティング剤、ラッカー、ワニス、コーキング剤、グラウト剤、接着剤、樹脂、フィルム、化粧品、石鹸および洗浄剤よりなる群から選択される組成物とを含む抗微生物組成物。
【請求項20】
改良されたカテーテルであって、該改良が抗微生物性の表面的に両親媒性の請求項1ないし8いずれか1記載のポリマーまたはオリゴマーをその中またはその上に取込ませるかまたは結合させることを特徴とする該カテーテル。
【請求項21】
改良されたコンタクトレンズであって、該改良が抗微生物性の表面的に両親媒性の請求項1ないし8いずれか1記載のポリマーまたはオリゴマーをその中またはその上に取込ませるかまたは結合させることを特徴とする該コンタクトレンズ。
【請求項22】
病院および研究室用の改良されたプラスチック装置であって、該改良が抗微生物性の表面的に両親媒性の請求項1ないし8いずれか1記載のポリマーまたはオリゴマーをその中またはその上に取込ませるかまたは結合させることを特徴とする該プラスチック装置。
【請求項23】
病院で使用する改良された織布および不織布であって、該改良が抗微生物性の表面的に両親媒性の請求項1ないし8いずれか1記載のポリマーまたはオリゴマーをその中またはその上に取込ませるかまたは結合させることを特徴とする該織布および不織布。
【請求項24】
表面的に両親媒性の請求項1ないし8いずれか1記載のポリマーまたはオリゴマー、および医療機器または医療製品を含む殺微生物組成物。
【請求項25】
該医療機器または医療製品が外科手袋、移植されたデバイス、縫合系、カテーテル、透析膜および水濾紙および器具よりなる群から選択される請求項24記載の殺微生物組成物。
【請求項26】
表面的に両親媒性の請求項1ないし8いずれか1記載のポリマーまたはオリゴマー、および紡糸可能な繊維を含む材料を含む殺微生物組成物。
【請求項27】
紡糸可能な繊維を含む該材料がファブリック、外科ガウン、およびカーペットよりなる群から選択される請求項26記載の殺微生物組成物。
【請求項28】
Sが−C≡C−である請求項1記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項29】
AまたはXの一方が極性(P)基および非極性(NP)基で置換されており、AまたはXの他方が極性(P)基または非極性(NP)基で置換されている請求項28記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項30】
AまたはXの一方が2−位で極性基で、および5−位で非極性基で置換されており、AまたはXの他方は極性基または非極性基で置換されていない請求項29記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項31】
Pが極性基U−(CH)−Vであり、ここに、Uは存在しないか、あるいはOおよびSよりなる群から選択され、VはC−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、イミダゾール、グアニジン、NH(CHNH、N(CHCHNH、ピペリジン、ピペラジン、および4−アルキルピペラジンよりなる群から選択される請求項30記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項32】
Uが存在しない請求項31記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項33】
式I:
【化7】

[式中:
AおよびXは、独立して、所望により置換されていてもよいo−、m−、p−フェニレンであり、ここで(i)AおよびXは両方とも極性(P)基および非極性(NP)基で置換されているか、(ii)AまたはXのうちの1が極性(P)基および非極性(NP)基で置換されていて、AまたはXの他方は極性(P)基でも非極性(NP)基でも置換されていないか、(iii)AまたはXのうちの1が1または2の極性(P)基で置換されていて、AまたはXの他方が1または2の非極性(NP)基で置換されているか、あるいは(iv)AまたはXのうちの1は2−位で極性(P)基で置換され、5−または6−位で非極性(NP)基で置換されていて、AまたはXの他方は非極性基で置換されているかのいずれかであり;
sは−C≡C−であり;
は(i)ハロゲンであって、Rは水素であり;(ii)Y−s−X−s−であって、RはYであり;または(iii)Y−s−であって、Rは−A−s−Y(ここにYはピリジンまたはフェニルであり、該ピリジンまたはフェニルは、所望により、独立してハロゲン、ニトロ、シアノ、C−Cアルコキシ、C−Cアルコキシカルボニルおよびベンジルオキシカルボニルよりなる群から選択される1または2の置換基で置換されていてもよい)であり;
NPは、独立して、Rまたは−U−(CH−Rから選択される非極性基であり、ここにRは水素、C−C10アルキル、C−C18分岐型アルキル、C−Cシクロアルキル、所望により1またはそれを超えるC−Cアルキルまたはハロゲン基で置換されていてもよい単環式または多環式フェニル、および所望により1またはそれを超えるC−Cアルキルまたはハロゲン基で置換されていてもよい単環式または多環式ヘテロアリールよりなる群から選択され、Uおよびpは後記定義に同じであり;
Pは下記式で示されるIII、ヒドロキシエトキシメチル、メトキシエトキシメチルおよびポリオキシエチレンよりなる群から選択される極性基であり、
【化8】

式中;
Uは存在しないか、またはO、S、S(=O)、S(=O)、NH、−C(=O)O−、−C(=O)NH−、−C(=O)S−、−C(=S)NH−、−S(=O)NH−およびC(=NO−)よりなる群から選択され、ここに2の化学的に非等価な末端を有する基は両方の可能な配位をとり得;
Vはアミノ、ヒドロキシル、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、NH(CHNH、N(CHCHNH、アミジン、グアニジン、セミカルバゾン、塩基性複素環、および所望によりアミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノおよび所望により1またはそれを超えるアミノ、C−CアルキルアミノまたはC−Cジアルキルアミノで置換されていてもよいC−Cアシルアミノで置換されていてもよいフェニルよりなる群から選択され;および
アルキレン鎖は所望によりアミノまたはヒドロキシル基で置換されていてもよく、または不飽和であり;
pは独立して0ないし8であり;および
mは2ないし500である、
但し、AおよびXがチオフェンである場合、極性基が3−(プロピオン酸)またはメトキシ(ジエトキシ)エチルとなることはできず、非極性基がn−ドデシルとなることはできない]
で示される化合物を含むポリマーまたはオリゴマー。
【請求項34】
mが2ないし30である請求項33記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項35】
AおよびXが、独立して、所望により置換されていてもよいm−フェニレンであり、AまたはXの一方は極性(P)基および非極性(NP)基で置換されており、AまたはXの他方は極性(P)基でも、または非極性(NP)基でも置換されていない請求項34記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項36】
AまたはXの一方が2−位で極性基で、および5−位で非極性で置換されており、AまたはXの他方は極性基でも非極性基でも置換されていない請求項35記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項37】
Pが極性基U−(CH−Vであり、ここに、Uは存在しないか、あるいはOおよびSよりなる群から選択され、Vはアミノ、C−Cアルキルアミノ、C−Cジアルキルアミノ、イミダゾール、グアニジン、NH(CHNH、N(CHCHNH、ピペリジン、ピペラジン、および4−アルキルピペラジンよりなる群から選択される請求項36記載のポリマーまたはオリゴマー。
【請求項38】
Uが存在しない請求項37記載のポリマーまたはオリゴマー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−155653(P2009−155653A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−88807(P2009−88807)
【出願日】平成21年4月1日(2009.4.1)
【分割の表示】特願2002−570967(P2002−570967)の分割
【原出願日】平成14年3月7日(2002.3.7)
【出願人】(500429103)ザ・トラスティーズ・オブ・ザ・ユニバーシティ・オブ・ペンシルバニア (102)
【Fターム(参考)】