説明

抗炎症剤、抗老化剤、及び皮膚外用剤

【課題】優れたシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害作用、TNF−α産生抑制作用、及びサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用の少なくともいずれかを有する抗炎症剤、及び優れたI型コラーゲン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エラスターゼ活性阻害作用、及びエストロゲン様作用の少なくともいずれかを有する抗老化剤、並びに該抗炎症剤及び該抗老化剤の少なくともいずれかを含有する皮膚外用剤の提供。
【解決手段】ムラサキモクワンジュ(Bauhinia purpurea)の抽出物、フイリソシンカ(Bauhinia variegata)の抽出物、及びアカバナソシンカ(Bauhinia blakeana)の抽出物から選択される少なくとも1種を含有する抗炎症剤、抗老化剤、及び皮膚外用剤である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ムラサキモクワンジュの抽出物、フイリソシンカの抽出物、及びアカバナソシンカの抽出物の少なくともいずれかを含有する抗炎症剤及び抗老化剤、並びに皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
炎症は、発赤、浮腫、発熱、痛み、機能障害などの症状を示す複雑な反応である。微視的に見ると、血漿漏出を起こす血管反応、白血球の浸潤、炎症性細胞による組織破壊などの共通する反応からなり、発熱反応や痛覚過敏など中枢神経系も関与する全身の反応も引き起こす場合もある。このような炎症の個々の反応にはプロスタグランジンが重要な役割を果たしており、この炎症時におけるプロスタグランジンの産生には、主として誘導型のシクロオキシゲナーゼであるシクロオキシゲナーゼ−2の関与が明らかとなっている。
このため、炎症反応の防止及び予防を図る目的で、アスピリンに代表される多くのシクロオキシゲナーゼ阻害剤が用いられている(非特許文献1参照)。また、植物由来のシクロオキシゲナーゼ阻害剤としては、マンゴスチン果皮抽出物中のα−マンゴスチン及びγ−マンゴスチンが知られている(特許文献1参照)。また、前記シクロオキシゲナーゼ−2阻害作用を有する化合物としては、2−フェニル−1,2−ベンズイソセレナゾール−3(2H)−オン、その塩、又はその水和物が知られている(特許文献2参照)。
【0003】
TNF−αは、腫瘍を壊死させる因子として見出されたが、最近では腫瘍に対してだけでなく、正常細胞の機能を調節するメディエーター的な役割を担うサイトカインであると考えられている。TNF−αは炎症の初発から終息までの過程において重要な役割を担っているが、その持続的かつ過剰な産生は、皮膚を含めた組織の障害を引き起こし、全身的には発熱やカケクシアの原因となり、炎症の悪化を引き起こす。そのような炎症としては、例えば、関節リューマチ、変形性関節症などの慢性炎症性疾患が代表的である。したがって、病的な炎症においてはTNF−αの過剰な産生を抑制することが重要となる。
そのためのTNF−α産生抑制剤については種々の提案がなされており、例えば、シソ抽出液(非特許文献2参照)、ヒガンバナ科アルカロイドのリコリン及びリコリシジノール(非特許文献3参照)などが挙げられる。
【0004】
また、炎症性の疾患、例えば、接触性皮膚炎(かぶれ)、乾癬、尋常性天疱瘡、及びその他の肌荒れに伴う各種皮膚疾患等の原因や発症機構は多種多様であるが、その原因の一つとしてサイクリックAMPホスホジエステラーゼによる血小板凝集によるものが知られている。
前記血小板凝集は、血小板中のサイクリックAMPの濃度と関係があり、該サイクリックAMPの分解酵素であるサイクリックAMPホスホジエステラーゼによって、該サイクリックAMPが分解され、その濃度が低下すると、血小板は凝集しやすくなる。このため、サイクリックAMPホスホジエステラーゼの作用を抑制し、サイクリックAMPの低下を防止することにより、血小板凝集を防止できると考えられる。このようなサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用を有する抗炎症剤としては、例えば、有色素米若しくはその糠の抽出物(特許文献3参照)、独脚金の抽出物、小良姜の抽出物、サイコの抽出物(特許文献4参照)等が報告されている。
【0005】
一方、皮膚は角層、表皮、基底膜及び真皮から構成されている。皮膚の真皮は線維芽細胞及び細胞の外にあって皮膚構造を支持するI型コラーゲンやエラスチン等の細胞外マトリックスによって構成されている。基底膜は表皮と真皮境界部に存在し、表皮と真皮を繋ぎ止めるだけでなく、皮膚機能の維持に重要な役割を果たしている(非特許文献4参照)。基底膜の主要骨格はIV型コラーゲンからなる網目構造をしている。基底膜と表皮との境界に存在し、基底膜と表皮を繋ぎとめているのがラミニン5を主成分とする各種糖蛋白質である。若い皮膚においては、これらの皮膚組織の相互作用が恒常性を保つことにより水分保持、柔軟性、弾力性等が確保され、肌は外見的にも張りや艶があってみずみずしい状態に維持される。
【0006】
ところが、紫外線、空気の著しい乾燥、過度の皮膚洗浄等、ある種の外的因子の影響があったり加齢が進んだりすると、細胞外マトリックスの主要構成成分であるI型コラーゲンは産生量が減少すると共に架橋による弾性低下を起こし、基底膜の主要構成成分であるIV型コラーゲンや、ラミニン5は分解乃至変質を起こし、基底膜構造が破壊される。その結果、皮膚は保湿機能や弾力性が低下し、角質は異常剥離を始めるから、肌は張りや艶を失い、荒れ、シワ等の老化症状を呈するようになる。このように、皮膚の老化に伴う変化、即ち、シワ、くすみ、きめの消失、弾力性の低下等には、真皮マトリックス成分であるI型コラーゲンやヒアルロン酸、エラスチン等の減少及び変性と基底膜の主要構成成分であるIV型コラーゲンの減少、基底膜の構造変化とが関与している。
【0007】
近年の研究により、この変化を誘導する因子として、マトリックスメタロプロテアーゼ(MMPs;Matrix metalloproteinases)の関与が指摘されている。このMMPsの中でも、ゼラチナーゼ群に属する酵素であるMMP−2及びMMP−9は、基底膜の主要構成成分であるIV型コラーゲンやラミニン5を分解する酵素として知られているが、その発現及び活性は紫外線の照射により大きく増加し、紫外線による基底膜成分の減少、基底膜の構造変化の原因となり、皮膚におけるシワやたるみの形成等の大きな要因となることが明らかとなっている(非特許文献5参照)。
更に、加齢を伴う皮膚老化の一因は、女性ホルモンの一種であるエストロゲンの分泌が減退することにある。即ち、エストロゲンは成人女性の健康維持に深く関わっていて、その分泌不足は種々の内科的疾患を招くほか、肌の過敏症、弾力性低下、潤いの減少等、好ましくない肌の変化の原因となることが知られている。
したがって、真皮層線維芽細胞におけるI型コラーゲンの産生を促進することにより皮膚の老化を防止及び改善することができると考えられる。また、真皮線維芽細胞におけるIV型コラーゲンの産生を促進することによって基底膜構造の再構築を誘導し、MMPsの活性を阻害することにより基底膜成分の減少、基底膜の構造変化を抑制し、皮膚機能を改善する物質の開発が望まれている。一方、エストロゲンの分泌が衰える更年期以降の女性に対して、エストロゲンと同様の作用をする物質(エストロゲン様作用剤)を経皮的又は経口的に投与することが行われている。
【0008】
I型コラーゲン産生促進作用を有する植物抽出物として、例えば甘草葉抽出物(特許文献5参照)、ハス胚芽抽出物(特許文献6参照)、五斂子抽出物(特許文献7参照)などが知られている。
また、IV型コラーゲン産生促進作用を有するものとして、例えば、クロバナツルアズキ由来のフラボノイド又は配糖体(特許文献8参照)、加水分解カゼイン、プレエキス、ブナの芽エキス、エリスリナエキス、可溶性卵殻膜、カッコンエキス及び西洋キズタエキス(特許文献9参照)、サポニン又はサポゲノール(特許文献10参照)などが知られている。
また、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害作用を有するものとして、例えば黒霊芝抽出物(特許文献11参照)、クリ渋皮発酵物からの抽出物(特許文献12参照)、などが知られている。
また、前記エストロゲン様作用剤としては、例えばステロイド系エストロゲン、非ステロイド系エストロゲン、フラボン系化合物等が使われている(特許文献7、13〜14等参照)。
【0009】
しかしながら、安全性及び生産性に優れ、日常的に使用可能であり、かつ安価でありながら、優れたシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害作用、TNF−α産生抑制作用及びサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用を有する天然系の抗炎症剤、及びI型コラーゲン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エラスターゼ活性阻害作用、及びエストロゲン様作用を有する天然系の抗老化剤、並びに該抗炎症剤及び該抗老化剤の少なくともいずれかを含有する皮膚外用剤に対する需要者の要望は極めて強く、未だ十分満足し得るものが提供されていないのが現状である。
【0010】
【特許文献1】特開2002−47180号公報
【特許文献2】特開2000−16935号公報
【特許文献3】特開2001−163796号公報
【特許文献4】特開2003−261457号公報
【特許文献5】特開2000−191498号公報
【特許文献6】特開2002−29980号公報
【特許文献7】特開2002−226323号公報
【特許文献8】特開2007−223918号公報
【特許文献9】特開2004−18471号公報
【特許文献10】特表2002−516837号公報
【特許文献11】特開2005−298391号公報
【特許文献12】特開2004−352634号公報
【特許文献13】特開2001−316240号公報
【特許文献14】特開2003−55245号公報
【非特許文献1】薬理学アトラス(P184)、福原武彦監訳、文光堂
【非特許文献2】「炎症」1993年,Vol.13,No.4,p.337〜340
【非特許文献3】「薬学雑誌」2001年,Vol.121,No.2,p.167〜171
【非特許文献4】Marinkovich MP et al.,「J. Cell. Biol.」,1992年,第199巻,p.695-703
【非特許文献5】Gary J.Fisher et al.,「Nature」,1996年,第379巻,第25号,p.335
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、前記従来における問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、優れたシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害作用、TNF−α産生抑制作用、及びサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用の少なくともいずれかを有する抗炎症剤、及び優れたI型コラーゲン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エラスターゼ活性阻害作用、及びエストロゲン様作用の少なくともいずれかを有する抗老化剤、並びに該抗炎症剤及び該抗老化剤の少なくともいずれかを含有する皮膚外用剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
前記課題を解決するため本発明者が鋭意検討を行った結果、ムラサキモクワンジュ(Bauhinia purpurea)の抽出物、フイリソシンカ(Bauhinia variegata)の抽出物、及びアカバナソシンカ(Bauhinia blakeana)の抽出物から選択される少なくとも1種が、優れたシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害作用、TNF−α産生抑制作用、及びサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用の少なくともいずれかを有し、抗炎症剤として有効であることを知見した。
また、ムラサキモクワンジュ(Bauhinia purpurea)の抽出物、フイリソシンカ(Bauhinia variegata)の抽出物、及びアカバナソシンカ(Bauhinia blakeana)の抽出物から選択される少なくとも1種が、優れたI型コラーゲン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エラスターゼ活性阻害作用、及びエストロゲン様作用の少なくともいずれかを有し、抗老化剤として有効であることを知見した。
そして、前記抗炎症剤及び前記抗老化剤の少なくともいずれかを含有する皮膚外用剤が、優れた抗炎症作用及び皮膚の老化防止作用を有することを知見した。
【0013】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> ムラサキモクワンジュ(Bauhinia purpurea)の抽出物、フイリソシンカ(Bauhinia variegata)の抽出物、及びアカバナソシンカ(Bauhinia blakeana)の抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする抗炎症剤である。
<2> シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害作用、TNF−α産生抑制作用、及びサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用の少なくともいずれかを有する前記<1>に記載の抗炎症剤である。
<3> ムラサキモクワンジュ(Bauhinia purpurea)の抽出物、フイリソシンカ(Bauhinia variegata)の抽出物、及びアカバナソシンカ(Bauhinia blakeana)の抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする抗老化剤である。
<4> I型コラーゲン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エラスターゼ活性阻害作用、及びエストロゲン様作用から選択される少なくともいずれかを有する前記<3>に記載の抗老化剤である。
<5> 前記<1>から<2>のいずれかに記載の抗炎症剤、及び前記<3>から<4>のいずれかに記載の抗老化剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする皮膚外用剤である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によると、従来における諸問題を解決することができ、優れたシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害作用、TNF−α産生抑制作用、及びサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用の少なくともいずれかを有する抗炎症剤、及び優れたI型コラーゲン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エラスターゼ活性阻害作用、及びエストロゲン様作用の少なくともいずれかを有する抗老化剤、並びに該抗炎症剤及び該抗老化剤の少なくともいずれかを含有する皮膚外用剤を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(抗炎症剤及び抗老化剤)
本発明の抗炎症剤及び抗老化剤は、ムラサキモクワンジュ(Bauhinia purpurea)の抽出物、フイリソシンカ(Bauhinia variegata)の抽出物、及びアカバナソシンカ(Bauhinia blakeana)の抽出物から選択される少なくとも1種を含有し、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる。
前記抗炎症剤は、抗炎症作用として、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害作用、TNF−α産生抑制作用、及びサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用の少なくともいずれかを有している。
前記抗老化剤は、抗老化作用として、I型コラーゲン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エラスターゼ活性阻害作用、及びエストロゲン様作用から選択される少なくともいずれかを有している。
前記ムラサキモクワンジュの抽出物、フイリソシンカの抽出物、及びアカバナソシンカの抽出物における、抗炎症作用及び抗老化作用の少なくともいずれかを有する物質の詳細については不明であるが、該ムラサキモクワンジュの抽出物、フイリソシンカの抽出物、及びアカバナソシンカの抽出物がこれらの優れた作用を有し、抗炎症剤、及び抗老化剤として有用であることは現在までのところ全く知られておらず、これらのことは、本発明者らの鋭意研究による新知見である。
【0016】
前記ムラサキモクワンジュ(Bauhinia purpurea)は、東南アジア原産のマメ科に属する常緑亜高木で、別名としてムラサキソシンカ、紫荊花(シケイカ)とも言われている。熱帯では花木として庭、公園、街路などに栽培されており、インドで花序はカレー料理に使用されたり、酢漬にされている。若葉は咳を治し、樹皮は火傷や膿ほうの洗浄剤として利用されている。
前記フイリソシンカ(Bauhinia variegata)は、マメ科の落葉低木であり、葉は、長さと幅がほぼ同じで、中央部まで合着している。花は、無柄で大きく、紅紫色である。若葉、蕾などを食し、樹幹などから、ガム、タンニン、染料を採ることができる。
前記アカバナソシンカ(Bauhinia blakeana)は、マメ科の植物であり、高さ3mぐらいになり、葉はやや厚く深く2裂しており裂片の先は丸い。横向きに数個腋生する花は直径7〜8cmの5弁花で濃紫紅色であり、花弁に脈が目立つものである。
【0017】
前記ムラサキモクワンジュの抽出物、前記フイリソシンカの抽出物、及び前記アカバナソシンカの抽出物は、植物の抽出に一般に用いられている方法により容易に得ることができる。なお、前記ムラサキモクワンジュの抽出物、前記フイリソシンカの抽出物、及び前記アカバナソシンカの抽出物には、ムラサキモクワンジュ、フイリソシンカ、及びアカバナソシンカの抽出液、該抽出液の希釈液を乾燥して得られる乾燥物、又はこれらの粗精製物もしくは精製物のいずれもが含まれる。
【0018】
前記ムラサキモクワンジュ、前記フイリソシンカ、及び前記アカバナソシンカの抽出原料としては、例えば葉、樹皮、枝部等の地上部、根部、花部、果実部などを使用することができる。これらの中でも、花部が特に好ましい。
【0019】
前記抽出原料であるムラサキモクワンジュ、フイリソシンカ、及びアカバナソシンカは、乾燥した後、そのまま又は粗砕機を用い粉砕して溶媒抽出に供することにより得ることができる。乾燥は天日で行ってもよいし、通常使用される乾燥機を用いて行ってもよい。なお、前記ムラサキモクワンジュ、前記フイリソシンカ、及び前記アカバナソシンカは、ヘキサン、ベンゼン等の非極性溶媒によって脱脂等の前処理を施してから抽出原料として使用してもよい。なお、脱脂等の前処理を行うことにより、極性溶媒による抽出処理を効率よく行うことができる。
【0020】
前記抽出に用いる溶媒としては、水若しくは親水性有機溶媒又はこれらの混合液を室温又は溶媒の沸点以下の温度で用いることが好ましい。
前記抽出溶媒として使用し得る水としては、例えば、純水、水道水、井戸水、鉱泉水、鉱水、温泉水、湧水、淡水等の他、これらに各種処理を施したものが含まれる。水に施す処理としては、例えば、精製、加熱、殺菌、ろ過、イオン交換、浸透圧の調整、緩衝化等が含まれる。従って、本発明において抽出溶媒として使用し得る水には、精製水、熱水、イオン交換水、生理食塩水、リン酸緩衝液、リン酸緩衝生理食塩水等も含まれる。
【0021】
前記親水性有機溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール等の炭素数1〜5の低級アルコール;アセトン、メチルエチルケトン等の低級脂肪族ケトン;1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の炭素数2〜5の多価アルコールなどが挙げられ、これら親水性有機溶媒と水との混合溶媒などを用いることができる。
なお、前記水と親水性有機溶媒との混合溶媒を使用する場合には、低級アルコールの場合は水10質量部に対して1質量〜90質量部、低級脂肪族ケトンの場合は水10質量部に対して1質量部〜40質量部添加することが好ましい。多価アルコールの場合は水10質量部に対して1質量部〜90質量部添加することが好ましい。
【0022】
本発明において、抽出原料であるムラサキモクワンジュ、フイリソシンカ、及びアカバナソシンカから抗炎症物質又は抗老化物質を抽出するにあたって特殊な抽出方法を採用する必要はなく、室温又は還流加熱下で、任意の装置を用いて抽出することができる。
具体的には、抽出溶媒を満たした処理槽に抽出原料としてのムラサキモクワンジュ、フイリソシンカ、及びアカバナソシンカを投入し、更に必要に応じて時々攪拌しながら、30分〜2時間静置して可溶性成分を溶出した後、ろ過して固形物を除去し、得られた抽出液から抽出溶媒を留去し、乾燥することにより抽出物が得られる。抽出溶媒量は通常、抽出原料の5〜15倍量(質量比)である。抽出条件は、抽出溶媒として水を用いた場合には、通常50℃〜95℃にて1〜4時間程度である。また、抽出溶媒として水とエタノールとの混合溶媒を用いた場合には、通常40℃〜80℃にて30分〜4時間程度である。なお、溶媒で抽出することにより得られる抽出液は、抽出溶媒が安全性の高いものであればそのまま配合して本発明の抗炎症剤又は抗老化剤として用いることができるが、濃縮液又はその乾燥物としたものの方が利用しやすい。
【0023】
得られたムラサキモクワンジュの抽出液、フイリソシンカの抽出液、及びアカバナソシンカの抽出液は、該抽出液の希釈液若しくは濃縮液、該抽出液の乾燥物、又はこれらの粗精製物若しくは精製物を得るために、常法に従って希釈、濃縮、乾燥、精製等の処理を施してもよい。
なお、得られたムラサキモクワンジュの抽出液、フイリソシンカの抽出液、及びアカバナソシンカの抽出液はそのままでも抗炎症剤又は抗老化剤として使用することができるが、濃縮液又はその乾燥物としたものの方が利用しやすい。抽出液の乾燥物を得るにあたっては、吸湿性を改善するためにデキストリン、シクロデキストリン等のキャリアーを添加してもよい。また、前記ムラサキモクワンジュ、フイリソシンカ、及びアカバナソシンカは特有の匂いを有しているため、その生理活性の低下を招かない範囲で脱色、脱臭等を目的とする精製を行うことも可能であるが、皮膚外用剤などに添加する場合には大量に使用するものではないから、未精製のままでも実用上支障はない。なお、精製は具体的には、活性炭処理、吸着樹脂処理、イオン交換樹脂処理等によって行うことができる。
【0024】
本発明の抗炎症剤及び抗老化剤は、極めて高い抗炎症作用及び抗老化作用を有しており、特に、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害作用、TNF−α産生抑制作用、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用、I型コラーゲン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エラスターゼ活性阻害作用、及びエストロゲン様作用の少なくともいずれかの作用を効果的に達成することができると共に、高い安全性をも有し、以下の本発明の皮膚外用剤に好適に使用することができる。
【0025】
(皮膚外用剤)
本発明の皮膚外用剤は、本発明の前記抗炎症剤及び前記抗老化剤の少なくともいずれかを含有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の成分を含有してなる。
【0026】
ここで、前記皮膚外用剤としては、皮膚に適用される各種薬剤を意味し、例えば、化粧料、医薬部外品、医薬品、などが含まれる。
前記皮膚外用剤の用途としては、特に制限はなく、各種用途から適宜選択することができ、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、入浴剤、トニック、リンス、シャンプー、アストリンゼント、などが挙げられる。
【0027】
前記抗炎症剤又は抗老化剤の前記皮膚外用剤全体に対する配合量は、皮膚外用剤の種類や抽出物の生理活性等によって適宜調整することができるが、前記ムラサキモクワンジュの抽出物、前記フイリソシンカの抽出物、又は前記アカバナソシンカの抽出物に換算して0.001質量%〜10質量%であることが好ましい。
【0028】
前記抗炎症剤及び前記抗老化剤には、更に必要に応じて本発明の効果を損なわない範囲で、その皮膚外用剤の製造に通常使用される各種主剤及び助剤、その他成分を使用することができる。
【0029】
−その他の成分−
前記その他の成分としては、抗炎症作用又は抗老化作用の妨げにならない限り、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択した成分が挙げられ、例えば、美白剤、収斂剤、殺菌・抗菌剤、紫外線吸収剤、保湿剤、細胞賦活剤、抗酸化・活性酸素除去剤、油脂類、ロウ類、炭化水素類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、香料、などが挙げられる。これらの成分は、前記ムラサキモクワンジュ、フイリソシンカ、及びアカバナソシンカの抽出物と共に併用した場合、相乗的に作用して、通常期待される以上の優れた使用効果をもたらすことがある。
【0030】
前記美白剤としては、例えば、アスコルビン酸又はその誘導体、イオウ、胎盤加水分解物、エラグ酸又はその誘導体、コウジ酸又はその誘導体、グルコサミン又はその誘導体、アルブチン又はその誘導体、ヒドロキシケイヒ酸又はその誘導体、グルタチオン、アルニカエキス、オウゴンエキス、ソウハクヒエキス、サイコエキス、ボウフウエキス、マンネンタケ菌糸体培養物又はその抽出物、シナノキエキス、モモ葉エキス、エイジツエキス、クジンエキス、ジユエキス、トウキエキス、ヨクイニンエキス、カキ葉エキス、ダイオウエキス、ボタンピエキス、ハマメリスエキス、マロニエエキス、オトギリソウエキス、油溶性カンゾウエキス(カンゾウ疎水性フラボン、グラブリジン、グラブレン、リコカルコンA)、などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、美白効果を向上させる観点から、アスコルビン酸又はその誘導体、プラセンタエキス、カミツレエキス、アルブチン、エラグ酸、ルシノール及びコウジ酸から選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0031】
前記収斂剤としては、例えば、クエン酸又はその塩類、酒石酸又はその塩類、乳酸又はその塩類、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム・カリウム、アラントインクロルヒドロキシアルミニウム、アラントインジヒドロキシアルミニウム、パラフェノールスルホン酸亜鉛、硫酸亜鉛、ジユエキス、エイジツエキス、ハマメリスエキス、ゲンノショウコエキス、チャカテキン類、オドリコソウエキス、オトギリソウエキス、ダイオウエキス、ヤグルマソウエキス、キズタエキス、キューカンバーエキス、マロニエエキス、サルビアエキス、メリッサエキス、などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0032】
前記殺菌・抗菌剤としては、例えば、安息香酸、安息香酸ナトリウム、パラオキシ安息香酸エステル、塩化ジステアリルメチルアンモニウム、塩化ベンゼトニウム、塩酸クロルヘキシジン、感光素101号、感光素201号、サリチル酸、サリチル酸ナトリウム、ソルビン酸、ハロカルバン、レゾルシン、パラクロロフェノール、フェノキシエタノール、ビサボロール、ヒノキチオール、メントール、キトサン、キトサン分解物、ジユエキス、クジンエキス、エンメイソウエキス、ビワエキス、ユッカエキス、アロエエキス、ケイヒエキス、ガジュツエキス、などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0033】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、β−イソプロピルフラノン誘導体、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、オキシベンゾン、オキシベンゾンスルホン酸、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシベンゾフェノン、シノキサート、ジイソプロピルケイヒ酸メチル、メトキシケイヒ酸オクチル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラジメチルアミノ安息香酸アミル、パラジメチル安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸エチル、酸化チタン、β−カロチン、γ−オリザノール、コメヌカエキス、アロエエキス、カバノキエキス、シラカンバエキス、カミツレエキス、ヘンナエキス、チョウチグルミエキス、イチョウ葉エキス、カミツレエキス、セイヨウサンザシエキス、油溶性カンゾウエキス、などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0034】
前記保湿剤としては、例えば、セリン、グリシン、スレオニン、アラニン、コラーゲン、加水分解コラーゲン、ヒドロネクチン、フィブロネクチン、ケラチン、エラスチン、ローヤルゼリー、コンドロイチン硫酸ヘパリン、グリセロリン脂質、グリセロ糖脂質、スフィンゴリン脂質、スフィンゴ糖脂質、リノール酸又はそのエステル類、エイコサペンタエン酸又はそのエステル類、ペクチン、ビフィズス菌発酵物、乳酸発酵物、酵母抽出物、レイシ菌糸体培養物又はその抽出物、小麦胚芽油、アボガド油、米胚芽油、ホホバ油、ダイズリン脂質、γ−オリザノール、ビロウドアオイエキス、ヨクイニンエキス、ジオウエキス、タイソウエキス、カイソウエキス、キダチアロエエキス、ゴボウエキス、マンネンロウエキス、アルニカエキス、小麦フスマ、などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0035】
前記細胞賦活剤としては、例えば、リボフラビン又はその誘導体、ピリドキシン又はその誘導体、ニコチン酸又はその誘導体、パントテン酸又はその誘導体、α−トコフェロール又はその誘導体、アルニカエキス、ニンジンエキス、ナタネニンジンエキス、ヘチマエキス(サポニン)、シコンエキス、オウバクエキス、ボタンピエキス、シャクヤクエキス、ムクロジエキス、ベニバナエキス、アシタバエキス、ビワ葉エキス、ヒキオコシエキス、ユキノシタエキス、黄杞エキス、サルビアエキス、ニンニクエキス、マンネンロウエキス、などが挙げられ、これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0036】
前記抗酸化・活性酸素消去剤としては、例えば、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没子食酸プロピル、バイカリン、バイカレイン、スーパーオキサイドディスムターゼ、カタラーゼ、ローズマリーエキス、メリッサエキス、オウゴンエキス、エイジツエキス、ビワ葉エキス、ホップエキス、ハマメリスエキス、シャクヤクエキス、セージエキス、キナエキス、カミツレエキス、ユーカリエキス、シソエキス、イチョウ葉エキス、タイムエキス、カルダモンエキス、キャラウェイエキス、ナツメグエキス、メースエキス、ローレルエキス、クローブエキス、ターメリックエキス、ヤナギタデエキス、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0037】
前記油脂類としては、例えば、大豆油、アマニ油、ゴマ油、ヌカ油、綿実油、ナタネ油、サフラワー油、トウモロコシ油、オリーブ油、ツバキ油、アーモンド油、ヒマシ油、落花生油、カカオ油、パーム核油、牛脂、ミンク油、ホホバ油、月見草油、馬油、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0038】
前記ロウ類としては、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、蜜ロウ、サラシ蜜ロウ、鯨ロウ、セラックス、ラノリン類、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0039】
前記炭化水素類としては、例えば、流動パラフィン、ワセリン、マイクロスリスタリンワックス、セレシン、スクワラン、ポリエチレン末、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0040】
前記脂肪酸類としては、例えば、ステアリン酸、リノール酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ヘベニン酸、ラノリン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、イソステアリン酸、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
前記アルコール類としては、例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、オレイルアルコール、ヘキサデシルアルコール、2−オクチルドデカノール、グリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール又はその重合体、ブドウ糖、白糖、コレステロール、フィトステロール、セトステアリルアルコール、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0042】
前記エステル類としては、例えば、オレイン酸デシル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、ジオレイン酸プロピレングリコール、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸グリセリン、トリミリスチン酸グリセリン、乳酸セチル、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0043】
前記界面活性剤としては、例えば、ノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤などを使用することができるが、これらの中でも皮膚疾患の発生のない、又は軽微な化粧品原料基準に収載された界面活性剤が好ましく、例えば、大豆レシチン、卵黄レシチン、サポニン、オリゴ配糖体、リン脂質系バイオサーファクタント、アシルペプチド系バイオサーファクタント、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリオキシエチレンヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸、ポリオキシエチレンラウリルエーテルリン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシプロピレンブチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリリン酸ナトリウム、モノオレイン酸ソルビタン、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸エチレングリコール、モノステアリン酸ソルビタン、モノステアリン酸プロピレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、などの界面活性剤が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0044】
前記香料としては、例えば、メントール、カルボン、オイゲノール、アネトール、ハッカ油、スペアミント油、ペパーミント油、ユーカリ油、アニス油、などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0045】
本発明の皮膚外用剤は、皮膚に使用した場合に高い安全性を有し、極めて高い抗炎症作用及び抗老化作用を有しており、特に、シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害作用、TNF−α産生抑制作用、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用、I型コラーゲン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エラスターゼ活性阻害作用、及びエストロゲン様作用の少なくともいずれかの作用を効果的に達成することができる。
【0046】
なお、本発明の抗炎症剤、抗老化剤、及び皮膚外用剤は、ヒトに対して好適に適用されるものであるが、それぞれの作用効果が奏される限り特に制限はなく、ヒト以外の動物に対して適用することもできる。
【実施例】
【0047】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明は、これらの実施例に何ら限定されるものではない。
【0048】
(製造例1)
−各植物の水抽出物の製造−
下記表1に示す各植物の粉砕物に、質量比で10倍量の水を加え、還流抽出器で80℃にて2時間加熱し、熱時ろ過した。残渣について同量の水を加え、80℃にて2時間加熱し、ろ過した。得られたろ液を合わせて濃縮し、凍結乾燥して、各植物の水抽出物を得た。
得られた各植物の水抽出物の「抽出率」を表1に示す。
【0049】
【表1】

【0050】
(製造例2)
−各植物の50質量%エタノール抽出物の製造−
下記表2に示す各植物の粉砕物に、質量比で10倍量の50質量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。残渣に同量の50質量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。得られたろ液を合わせて濃縮し、凍結乾燥して、各植物の50質量%エタノール抽出物を得た。
得られた各植物の50質量%エタノール抽出物の「抽出率」を表2に示す。
【0051】
【表2】

【0052】
(製造例3)
−各植物のエタノール抽出物の製造−
下記表3に示す各植物の粉砕物に、質量比で10倍量のエタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。残渣に同量の80質量%エタノールを加え、80℃で2時間加熱し、ろ過した。得られたろ液を合わせて濃縮し、凍結乾燥して、各植物のエタノール抽出物を得た。
得られた各植物のエタノール抽出物の「抽出率」を表3に示す。
【0053】
【表3】

【0054】
(実施例1)
<シクロオキシゲナーゼ(COX−2)を介したPGE産生抑制作用>
Hwang,B.−Y.らの方法(Planta Medica 67(2001)406−410)に一部修正を加えて行った。即ち、マウス由来マクロファージ様細胞(RAW264.7)を前培養後、細胞を集め、1×10個/mLに調製して、96穴プレートに100μLずつ播種し、37℃、5%COで18時間培養した。培養後、既に存在するCOX−1及び少量発現しているCOX−2をアセチル化し失活させるため、500μmol/Lのアスピリン含有培地に交換して4時間培養した。細胞をPBS(−)で3回洗浄し、1μg/mLのLPSを含む培地で溶解したNo.1〜9の各抽出物溶液200μLを添加し、18時間培養した。培養後、上清中のPGEをPGE EIA Kit(Cayman,Chemical,Ann Arbor,MI,米国)を用いて定量し、No.1〜9の各抽出物を無添加時の値を100%として、PGE産生抑制率を算出した。
次に、No.1〜9の各抽出物溶液の濃度を段階的に減少させて上記COX−2を介したPGE産生抑制率を測定し、抑制率が50%になる濃度IC50を内挿法により求めた(このIC50値が小さいほどCOX−2を介したPGE産生抑制作用が強い)。結果を表4に示す。
【0055】
【表4】

表4の結果から、No.1〜9の各抽出物がCOX−2を介したPGE産生抑制作用を有することが確認された。
【0056】
(実施例2)
<TNF−α産生抑制作用試験>
No.1〜9の各抽出物について、下記の試験法によりTNF−α産生抑制作用を試験した。
マウスマクロファージ細胞(RAW264.7細胞、大日本製薬株式会社製)を、10%FBS含有ダルベッコMEM(日水製薬株式会社製)培地にて前培養後、セルスクレーパーより細胞を集め、1ウェル当たり1×10/cells/100μLの密度で96穴マイクロプレートに細胞を播種し、37℃、5%COの条件下で4時間前培養した。次いで、96穴プレート中の培地を捨て、予め1%DMSOを含む培養液で溶解したNo.1〜9の各抽出物を100μL添加した後、リポポリサッカライド(LPS、終濃度1μg/mL、E.Coli 0111;B4、DIFCO Laboratories社製)を100μL添加し、細胞を刺激した。その後、37℃、5%COの条件下で24時間の培養により産生したTNF−αの産生量を、下記サンドイッチELISA法を用いて測定した。
一次抗体であるラット抗マウスTNF−αモノクローナル抗体(Endogen Inc.製)を50mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)で2.5μg/mLとなるように溶解し、その溶液100μLを96ウェルマイクロプレートに加え、一夜、4℃でコーティングした。次いで、洗浄液(0.05%Tween20を含むリン酸緩衝液)で各ウェルを洗浄後、1%BSAを含むリン酸緩衝液でブロッキングを行った。
洗浄液によって各ウェルを洗浄後、試験培地で培養上清を希釈し、その100μLを各ウェルに加え、37℃で120分間インキュベートした。各ウェルを洗浄した後、二次抗体として、0.3%BSAを含むリン酸緩衝液に2.5μg/mLの濃度で溶解させたウサギ抗マウスTNF−αポリクローナル抗体(Endogen Inc.製)100μLを加え、37℃で60分間インキュベートしてから洗浄した。
次いで、1000倍に希釈したアルカリフォスファターゼ標識抗ウサギIgG抗体(CHEMICON Inc.製)を100μL加え、37℃で60分間インキュベートした。各ウェルを洗浄した後、発色用緩衝液(20mM硫酸マグネシウム含有トリス塩酸緩衝液、pH8.0)100mLにp−ニトロフェニルリン酸50mgを溶解してなる基質溶液150μLをウェルに添加し、37℃で20〜30分間酵素反応を行って発色させ、405nmの吸光度を測定し、リコビナントマウスTNF−α(Endogen Inc.製)標準液より作成した標準曲線から、培養上清中のTNF−α量(pg/mL)を求めた。試験試料のTNF−α産生抑制率は以下の式に基づいて算出した。
TNF−α産生抑制率(%)={(B−A)/B}×100
ただし、前記式中、「A」は「試料添加時のTNF−α量」、「B」は「試料無添加時のTNF−α量」を表す。
TNF−α産生抑制率は、試料濃度12.5μg/mL添加時の値を算出したものである。結果を表5に示す。
【0057】
【表5】

表5の結果から、No.1〜9の各抽出物には、優れたTNF−α産生抑制作用が認められた。
【0058】
(実施例3)
<サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用試験>
No.1〜9の各抽出物について、以下のようにしてサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用を試験した。
5mMの塩化マグネシウムを含有する50mMのトリス塩酸緩衝液(pH7.5)0.2mLに、2.5mg/mLのウシ血清アルブミン溶液0.1mL、0.1mg/mLのサイクリックAMPホスホジエステラーゼ溶液0.1mL及び50%DMSOに溶解したNo.1〜9の各抽出物0.05mLを加え、37℃の温度条件下で5分間インキュベーションした。
この反応溶液に、0.5mg/mLのサイクリックAMP溶液0.05mLを加え、37℃の温度条件下で60分間インキュベーションした。3分間沸騰水浴上で煮沸することにより反応を停止させ、これを遠心(2260×g,10分間,4℃)し、上清中の反応基質であるサイクリックAMPを、下記の条件で高速液体クロマトグラフィーを用いて分析した。また、試料溶液を添加せずに同様の方法で空試験を行った。
<高速液体クロマトグラフィー条件>
・製品名:Chromatocorder 12(SYSTEM INSTRUMENTS社製)
・固定相:Wakosil 5C18(和光純薬工業社製)
・カラム径:4.6mm
・カラム長:250mm
・移動相:1mM TBAP in 25mM KH2PO4:CH3CN=90:10
・移動相流速:1.0mL/min
・検出:UV,260nm
次に、サイクリックAMP標準品のピーク面積(A)、試料無添加時におけるサイクリックAMP標準品とサイクリックAMPホスホジエステラーゼとの反応溶液の上清のピーク面積(B1)及び試料添加時におけるサイクリックAMP標準品とサイクリックAMPホスホジエステラーゼとの反応溶液の上清のピーク面積(B2)を求めた。得られた結果から、下記式により試料無添加時のサイクリックAMP標準品の分解率(C)及び試料添加時のサイクリックAMP標準品の分解率(D)を算出した。
試料無添加時の標準品分解率(C,%)=(1−B1/A)×100
試料添加時の標準品の分解率(D,%)=(1−B2/A)×100
その後、上記式により算出した各分解率(C,D)に基づいて、下記式によりサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害率(%)を算出した。
サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害率(%)=(1−D/C)×100
試料溶液の濃度を段階的に減少させて、上記サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害率を算出し、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害率が50%になる試料濃度IC50(μg/mL)を内挿法により求めた。結果を表6に示す。
【0059】
【表6】

表6の結果から、No.1〜9の各抽出物が、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ活性阻害作用を有することが確認された。
【0060】
(実施例4)
<I型コラーゲン産生促進作用試験>
No.1〜9の各抽出物について、下記の方法によりI型コラーゲン産生促進作用の試験をした。
ヒト正常線維芽細胞(NB1RGB)を10%FBS含有ダルベッコMEM(日水製薬株式会社製)培地を用いて培養した後、トリプシン処理により細胞を回収した。回収した細胞を1.6×10cells/mLの濃度に上記培地で希釈した後、96穴マイクロプレートに1穴当たり100μLずつ播種し、一晩培養した。培養終了後、培地を抜き、0.25%FBS含有ダルベッコMEM培地に溶解したNo.1〜9の各抽出物を各穴に200μL添加し(試料濃度:100μg/mL)で3日間培養した後、上清90μLをELISAプレートに移し換え、4℃、一晩でプレートに吸着させた後、溶液を捨て、0.05%Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて、洗浄を行った。その後、1%ウシ血清アルブミンを含むリン酸生理緩衝液で、ブロッキング操作を行った。溶液を捨て、0.05%Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて、洗浄を行い、抗ヒトコラーゲンタイプI抗体(ウサギIgG;ケミコン社製)を反応させた。溶液を捨て、0.05%Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて、洗浄を行い、HRP標識抗ウサギIgG抗体と反応させた後、同様の洗浄操作を行い、発色反応を行った。
I型コラーゲン産生促進率は、標準品を用いて上記ELISAを行い、検量線を作成し、試料無添加時のI型コラーゲン産生量を100%として算出した。各試料のI型コラーゲン産生促進率(%)を表7に示す。
I型コラーゲン産生促進率は、試料無添加時のI型コラーゲン産生量を100%として算出した。I型コラーゲン産生促進率の計算方法は以下のとおりである。
I型コラーゲン産生促進率(%)=A/B×100
ただし、Aは被験試料添加時のI型コラーゲン量、Bは被験試料無添加時のI型コラーゲン量をそれぞれ表す。
【0061】
【表7】

表7の結果から、No.1〜9の各抽出物が、ヒトの線維芽細胞のI型コラーゲン産生促進作用を有することが確認できた。
【0062】
(実施例5)
<IV型コラーゲン産生促進作用試験>
No.1〜9の各抽出物について、下記の方法によりIV型コラーゲン産生促進作用の試験をした。
ヒト線維芽細胞を96穴プレートに播種し、37℃、5%CO−95%airの条件下にて、No.1〜9の各抽出物の添加培地(試料濃度:25μg/mL)で72時間培養した後、上清100μLをエライザプレートに移し換え4℃、一晩でプレートに吸着させたのち、溶液を捨て、0.05%Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて洗浄を行った。その後、1%のウシ血清アルブミンを含むリン酸生理緩衝液で、ブロッキング操作を行った。溶液を捨て、0.05%Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて、洗浄を行い、抗ヒトコラーゲンタイプIV抗体(ウサギIgG,ノボテック社製)を反応させた。溶液を捨て、0.05%Tween−20を含むリン酸生理緩衝液(PBS−T)にて、洗浄を行い、HRP標識抗ウサギIgG抗体と反応させたのち、同様の洗浄操作を行い、発色反応を行った。
IV型コラーゲン産生促進率(%)は、標準品を用いて上記ELISAを行い、検量線を作成し、試料無添加時のIV型コラーゲン産生量を100%として算出した。各試料のIV型コラーゲン産生促進率(%)を表8に示す。
【0063】
【表8】

表8の結果から、No.1〜9の各抽出物が、ヒトの線維芽細胞のIV型コラーゲン産生促進作用を有することが確認できた。
【0064】
(実施例6)
<エラスターゼ活性阻害作用の試験>
No.1〜9の各抽出物について、下記の方法によりエラスターゼ活性阻害作用の試験をした。
96ウェルプレートにて、0.2mol/Lのトリス−塩酸緩衝液(pH8.0)で調製したNo.1〜9の各抽出物50μL(試料濃度400μg/mL)と、エラスターゼ・タイプIII溶液50μLを混合した。その後、上記緩衝液で調製した4.514mg/mLのN−succinyl−Ala−Ala−Ala−p−nitroanilideを100μL添加して、25℃で15分間反応させた。反応終了後、波長415nmにおける吸光度を測定した。同様の方法で空試験を行い補正した。得られた結果から、次式に基づき、エラスターゼ活性阻害率(%)を算出した。結果を表9に示す。
エラスターゼ活性阻害率(%)={1−(C−D)/(A−B)}×100
ただし、前記式中、Aは「試料無添加・酵素添加時の波長415nmにおける吸光度」を表し、Bは「試料無添加・酵素無添加時の波長415nmにおける吸光度」を表し、Cは「試料添加・酵素添加時の波長415nmにおける吸光度」を表し、Dは「試料添加・酵素無添加時の波長415nmにおける吸光度」を表す。
【0065】
【表9】

表9の結果から、No.1〜9の各抽出物が、エラスターゼ活性阻害作用を有することが確認された。
【0066】
(実施例7)
<エストロゲン様作用試験>
No.1〜9の各抽出物について、下記の方法によりエストロゲン様作用の試験をした。
まず、エストロゲン依存性細胞の増殖に対する影響を調べるThomasらの方法(In Vitro Cell.Dev.Biol.28A,595−602,1992)に準拠して試験を行った。
ヒト乳ガン由来のMCF−7細胞を75cmフラスコでコンフルエント様になるまで培養し、トリプシン処理により、このMCF−7細胞を集め、10%FBS(活性炭処理済み)、1%NEAA及び1mMピルビン酸ナトリウムを含みフェノールレッドを含まないMEM培地(以下、「MEM培地」と称することがある)を用いて、3.3×10cells/mLに調製した。
調製したMCF−7細胞を48穴プレートに0.45mLずつ播種し、これを定着させるために5%CO−95%airの下、37℃にて培養した。6時間後(0日日)、MEM培地で50μg/mLに調製したNo.1〜9の各抽出物溶液50μLを上記プレートに添加し、培養を続けた。
培養開始から6日目、培地を0.97mmol/LのMTTを含むMEM培地に交換し、2時間培養後、培地をイソプロパノールに交換して細胞内に生成したブルーホルマザンを抽出した。溶出したブルーホルマザンを含有するイソプロパノールについて、ブルーホルマザンの吸収極大点がある570nmの吸光度を測定した。
なお、付着細胞の影響を補正するため、同時に650nmの吸光度も測定し、両吸光度の差をもってブルーホルマザンの生成量に比例する値とした(下記数式1における吸光度はこの補正済み吸光度である)。陽性対照としては、10−9Mのβ−エストラジオールを使用した。エストロゲン様作用(エストロゲン依存性増殖作用)の強さは、試料無添加時の吸光度を100%として下記数式1により算出した。結果を表10に示す。
<数式1>
エストロゲン様作用率(%)=(A/B)×100
ただし、前記数式1において、Aは、試料添加の場合の吸光度を表す。Bは、試料無添加の場合の吸光度を表す。
【0067】
【表10】

表10の結果から、No.1〜9の各抽出物が、エストロゲン様作用を有することが確認された。
【0068】
(配合実施例1)−乳液−
下記組成の乳液を常法により製造した。
・No.1のムラサキモクワンジュの水抽出物・・・0.01g
・ホホバオイル・・・4.0g
・プラセンタエキス・・・0.1g
・オリーブオイル・・・2.0g
・スクワラン・・・2.0g
・セタノール・・・2.0g
・モノステアリン酸グリセリル・・・2.0g
・ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O)・・・2.5g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O)・・・2.0g
・グリチルレチン酸ステアリル・・・0.1g
・1,3−ブチレングリコール・・・3.0g
・ヒノキチオール・・・0.15g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
【0069】
(配合実施例2)−クリーム−
下記組成のクリームを常法により製造した。
・No.5のフイリソシンカの50質量%エタノール抽出物・・・0.05g
・アロエエキス・・・0.1g
・流動パラフィン・・・5.0g
・サラシミツロウ・・・4.0g
・スクワラン・・・10.0g
・セタノール・・・3.0g
・ラノリン・・・2.0g
・ステアリン酸・・・1.0g
・オレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O)・・・1.5g
・モノステアリン酸グリセリル・・・3.0g
・油溶性甘草エキス・・・0.1g
・1,3−ブチレングリコール・・・6.0g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・1.5g
・香料・・・0.1g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
【0070】
(配合実施例3)−美容液−
下記組成の美容液を常法により製造した。
・No.3のアカバナソシンカの水抽出物・・・0.01g
・カミツレエキス・・・0.1g
・キサンタンガム・・・0.3g
・ヒドロキシエチルセルロース・・・0.1g
・カルボキシビニルポリマー・・・0.1g
・1,3−ブチレングリコール・・・4.0g
・グリチルリチン酸ジカリウム・・・0.1g
・グリセリン・・・2.0g
・水酸化カリウム・・・0.25g
・香料・・・0.01g
・防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル)・・・0.15g
・エタノール・・・2.0g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
【0071】
(配合実施例4)−パック−
下記組成のパックを常法により製造した。
・No.8のフイリソシンカのエタノール抽出物・・・0.05g
・ヨクイニンエキス・・・0.1g
・ポリビニルアルコール・・・15g
・ポリエチレングリコール・・・3g
・プロピレングリコール・・・7g
・エタノール・・・10g
・パラオキシ安息香酸メチル・・・0.05g
・グリチルリチン酸ジカリウム・・・0.1g
・香料・・・0.05g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
【0072】
(配合実施例5)−化粧水−
下記組成の化粧水を常法により製造した。
・No.6のアカバナソシンカの50質量%エタノール抽出物・・・0.05g
・ラベンダーエキス・・・0.1g
・1,3−ブチレングリコール・・・4.0g
・グリセリン・・・4.0g
・ジプロピレングリコール・・・2.0g
・ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル・・・0.7g
・エタノール・・・3.0g
・グリチルリチン酸ジカリウム・・・0.1g
・香料・・・0.001g
・防腐剤(パラオキシ安息香酸メチル)・・・0.15g
・精製水・・・残部(全量を100gとする)
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明の抗炎症剤及び抗老化剤は、優れたシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害作用、TNF−α産生抑制作用、サイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用、I型コラーゲン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エラスターゼ活性阻害作用、及びエストロゲン様作用の少なくともいずれかを有しているので、例えば、軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、ゼリー、リップクリーム、口紅、入浴剤、トニック、リンス、シャンプー、アストリンゼントなどの皮膚外用剤として好適に用いられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ムラサキモクワンジュ(Bauhinia purpurea)の抽出物、フイリソシンカ(Bauhinia variegata)の抽出物、及びアカバナソシンカ(Bauhinia blakeana)の抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする抗炎症剤。
【請求項2】
シクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害作用、TNF−α産生抑制作用、及びサイクリックAMPホスホジエステラーゼ阻害作用の少なくともいずれかを有する請求項1に記載の抗炎症剤。
【請求項3】
ムラサキモクワンジュ(Bauhinia purpurea)の抽出物、フイリソシンカ(Bauhinia variegata)の抽出物、及びアカバナソシンカ(Bauhinia blakeana)の抽出物から選択される少なくとも1種を含有することを特徴とする抗老化剤。
【請求項4】
I型コラーゲン産生促進作用、IV型コラーゲン産生促進作用、エラスターゼ活性阻害作用、及びエストロゲン様作用から選択される少なくともいずれかを有する請求項3に記載の抗老化剤。
【請求項5】
請求項1から2のいずれかに記載の抗炎症剤、及び請求項3から4のいずれかに記載の抗老化剤の少なくともいずれかを含有することを特徴とする皮膚外用剤。

【公開番号】特開2010−116348(P2010−116348A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290861(P2008−290861)
【出願日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(591082421)丸善製薬株式会社 (239)
【Fターム(参考)】