説明

抗生物質組成物

本発明は、抗生物質と抗生物質の有効性又は活性を亢進させる増感剤とを含む抗菌性組成物であって、増感剤は好ましくは長いアルキル鎖を含む第一級アミンである抗菌性組成物を提供する。このような組成物は、特に薬剤耐性細菌による感染の治療に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、抗菌性組成物の分野、特に抗生物質と抗生物質の抗菌効果の増強剤として働く化合物とを含む抗菌性組成物の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
ここ何十年で、1又は複数の抗生物質に対して耐性を示す菌株が劇的に増加したことが報告されている。この増加は、例えば院内感染に関連して特に重大な問題である、既存のスペクトルの抗生物質で処置することがほとんど又は全くできない細菌感染の発生を招き、致死的な転帰を伴う細菌感染の増加を招いた。抗生物質に対する耐性の出現は、ヒト用及び動物用医薬品における抗生物質の間違った使用と効率的な細菌の突然変異の機構とが組み合わさった結果のようである。
【0003】
細胞壁は、多くの抗生物質が細胞内部の標的に到達するのを防ぎ、かつ抗生物質排出ポンプシステムを含みうるため、特に抗生物質に対する耐性を生じる細菌の特徴である。さらに、細菌は、抗生物質を不活性化する抗生物質加水分解性タンパク質(例えば、β−ラクタマーゼ)を産生することができる。一般に、細菌膜をより透過性にすることさえできれば、抗生物質の効果が向上するはずであると考えられる。細菌外膜を透過性にする有効な方式を見出すための試みが多数行われている。いくつかのポリカチオンは、おそらく負に帯電したリポ多糖(LPS)に結合することによってグラム陰性細菌の外膜を透過性にすることがわかっている。これらのポリカチオン透過剤の中で、ポリミキシンB及びその誘導体が有用である(例えば、米国特許第4,510,132号を参照のこと)。他のポリカチオン性透過剤としては、殺菌性/透過性亢進タンパク質であるプロタミン、並びにリシンオリゴマー類、デフェンシン類、セクロピン類、マガイニン類、及びメリチンを含めて、様々なポリカチオン性及び/又は両親媒性ペプチドが挙げられる。負に帯電したキレート剤、例えばエチレンジアミンテトラアセテート(EDTA)、ニトリロトリアセテート、及びヘキサメタリン酸ナトリウムも、おそらくLPS単位同士でクラスターを形成させ、それにより膜不安定化を起こすカルシウム及びマグネシウムイオンを除去することによって有効な外膜透過剤であることが示されている。米国特許第6,165,997号は、抗菌物質の活性を亢進させるがそれ自体抗菌活性を有する負に帯電したリン脂質を開示する。これらの化合物は、上述するカチオンキレート剤として少なくとも部分的に作用するようである。
【0004】
特開昭57−155954号公報は、4個以上の炭素原子からなるリポアミンの存在による、飼料中の塩基性ペプチド抗生物質の活性の亢進を記載する。塩基性ペプチド抗生物質は、アミン類、例えばコリスチンA若しくはB、又はポリミキシンA、B、D、若しくはMに基づく。開示されたリポアミンは、モノアミン、特にブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、及びステアリルアミンである。これらのアミン類を抗菌性ポリミキシン含有動物用飼料に添加することによって、家畜に存在するリン脂質、不飽和脂肪酸、並びにカルシウム及びマグネシウムによって引き起こされる抗菌活性の低下を抑制することが焦点となっている。特開昭57−155954号公報は、飼料中の抗菌活性を、特に飼料中に存在する抗菌性ペプチドの量に対して回復又はさらに改善するために多量のリポアミンが必要であることを示す。効果は、少なくとも13:1のステアリルアミンとコリスチンのモル比でしか観察されない。これらの相対的に高いリポアミン濃度によって、動物用飼料の分野以外での使用には魅力的でないものになるであろう。
【0005】
さらに、特開昭57−155954号公報のリポアミンは、抗菌活性それ自体に必須である疎水性末端に似ている類似ポリミキシンと適合するように慎重に選択される。この構造的類似性により、当業者は何らかの相乗作用を予期する。したがって、当業者は、特異的抗生物質ペプチドに結合しているブチルアミンからステアリルアミンまでの効果を考慮する。
【0006】
国際公開第00/74654号パンフレットは、トリグリセリド及び固体パラフィンを含む混合物で作製されたマトリックス中に酸に不安定な活性化合物を含有する投与形態を開示する。この混合物は、さらに適当な賦形剤、例えばポリマー、ステロール、及び塩基性化合物を含有することができ、それらの中にはステアリルアミンがある。国際公開第00/74654号パンフレットは、酸に不安定な活性化合物を抗生物質と組み合わせることを示唆するが、抗生物質をさらに含有する投与形態は開示されていない。
【0007】
同様に、米国特許第6,479,540号明細書も、ステアリルアミンの担体としての使用を教示する。この場合、組成物は、活性成分として、抗生物質を含めてトコール可溶性治療薬を含有する。ステアリルアミンは、活性成分のトコール可溶性を高めるために活性成分とイオン対を形成する多くの候補物の1つである。抗生物質とステアリルアミンの実際の組合せは報告されていない。
【0008】
国際公開第00/30611号パンフレットは、原生動物、特にマラリアの病原因子を処置するための組成物に関する。ステアリルアミン、周囲のペニシリン又はテトラサイクリンを含有する脂質小胞が記載される。処方は記載されていないが、多量のステアリルアミンを使用して、脂質小胞を形成することが示唆されている。抗生物質耐性についての情報は記載されていない。
【0009】
国際公開第04/00360号パンフレットは、皮膚疾患を治療する際の抗生物質に対する耐性が発生する問題を課題とし、局所療法の使用を教示する。局所製剤において8.0以上のpHを生じることができ、その結果経皮透過増強剤として作用しうる、可能性のある塩基性化合物の中で、ステアリルアミン及びドデシルアミンが有用である。所望の目的のためには、相対的に多い量が必要である。
【0010】
独国特許出願公開第10245506号明細書には、抗生物質などの活性剤がリン脂質及びパルミトイル−D−グルクロニドのマトリックスに包埋されている製剤が記載される。製剤は非経口又は吸入投与される。実施例は、リン脂質の量が活性成分の量を大幅に超えることを示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】米国特許第4,510,132号明細書
【特許文献2】米国特許第6,165,997号明細書
【特許文献3】特開昭57−155954号公報
【特許文献4】国際公開第00/74654号パンフレット
【特許文献5】米国特許第6,479,540号明細書
【特許文献6】国際公開第00/30611号パンフレット
【特許文献7】国際公開第04/00360号パンフレット
【特許文献8】独国特許出願公開第10245506号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、抗菌性組成物を提供することである。さらに、本発明の目的は、1又は複数の抗生物質に対して耐性を示す細菌に対して活性である抗菌性組成物を提供することである。特に、本発明の目的は、細菌が耐性を示す1又は複数の抗生物質を含む1又は複数の抗生物質に対して耐性を示す細菌に対して活性である抗菌性組成物を提供することである。さらに、本発明の目的は、抗生物質単独に比べて、1又は複数の抗生物質の細菌に対する活性が亢進された抗菌性組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
抗生物質と組み合わせた一定の長鎖アルキルアミンによって、細菌は抗生物質に感受性を示すことができるが、一定の長鎖アルキルアミンを含まない抗生物質は細菌に対してかなり活性が低いか、或いは全く活性でないことが明らかになった。
【0014】
さらに、長鎖アルキルアミンはすでに、従来技術で報告されているものより大幅に低い濃度で抗生物質活性を促進することが明らかになった。
【0015】
したがって、本発明は、抗菌性組成物であって、式Iの長鎖アミン又はその生理学的に許容される塩
【0016】
【化1】



【0017】
[式中、
は、少なくとも7個の原子が直鎖中に含まれる直鎖状又は分枝状のアルキル基を表し、前記アルキル基は、二重結合又は三重結合を含むことができ、1又は複数の置換、1又は複数のシクロアルキル環及び/又はアリール環を含むことができ、かつ1又は複数のO、N、及び/又はS原子を含むことができ、R及びRの一方は、Rに定義される通りであり、Rと同じでもよく、又はR及びRはRと異なり、R及びRは同じでも異なってもよく、水素又は低級アルキル基を表し、前記低級アルキル基は、二重結合又は三重結合を含むことができ、1又は複数の置換、又はシクロアルキル環及び/若しくはアリール環を含むことができ、かつ1又は複数のO、N、及び/又はS原子を含むことができる]を含む組成物に関し、組成物は、さらに少なくとも1つの抗生物質を含有する。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本組成物は、抗生物質及び上記に定義する式Iの化合物を含み、前記式Iの化合物は増感剤として作用し、これは、式Iの化合物によって、微生物特に細菌は抗生物質の作用に感受性を示し、又は前記微生物は、より低い濃度若しくは投与量の抗生物質で抗生物質の作用に感受性を示すことを意味する。特に、ある種の抗生物質に対して耐性を示し、又は許容される投与量の抗生物質によっては少なくとも影響を受けない細菌は、現在この抗生物質が式Iの増感剤の存在下で投与されると、許容される濃度の抗生物質によって増殖が効果的に妨げられ、又は実際に死滅させることができることが明らかである。
【0019】
本文の残りの部分及び用語「増感剤」から容易に明らかであるが、式Iの化合物は組成物中の活性成分である。したがって、それが一般に組成物の他の成分と相互に作用しないように定められた担体材料として機能する状況とは完全に異なる。しかし、この場合、式Iの化合物は、まさに抗生物質の活性を亢進するために含有される。これは、好ましい(相対)量の増感剤によって反映される。
【0020】
式IにおけるRは、少なくとも7個の原子が直鎖中に含まれる直鎖状又は分枝状のアルキル基を表す。この文脈では、アルキル基は、炭素原子を含む基であることを意味する。例えば、特開昭57−155954号公報に開示されるリポアミンであるブチルアミン、ペンチルアミン、及びヘキシルアミンについて、本発明者らの研究では効果が見られなかった。別段の指定がない限り、アルキル基中のC、O、N、及びS原子は、それぞれの原子の原子価を適宜満たすようにさらに水素原子を含む。直鎖中の少なくとも7個の原子は、水素を含まない原子の最長の基に対して、式Iにおける窒素(N)から出発して共有結合で互いに直接結合している。したがって、直鎖中の少なくとも7個の原子のこのような基は、Rにおける芳香族環を含めて環式構成要素の一部分であってもよく、又は言い換えれば、1又は複数の(飽和及び/又は不飽和の)環は、少なくとも7個の原子が直鎖中に含まれるアルキル基(の一部分)を形成することができる。アルキル基は、1又は複数のO、N、及び/又はS原子を含むことができ、これは、炭素原子の鎖が1又は複数のO、N、及び/又はS原子で中断されていてもよいことを意味する。アルキル基はω−CH基を含むことが好ましく、又は言い換えれば、式Iにおける窒素(N)から出発して、最長のアルキル基は好ましくはCHで終わる。
【0021】
アルキル基、特に少なくとも7個の原子を含む直鎖は、1若しくは複数の二重結合、又は1若しくは複数の三重結合、又は二重結合と三重結合の組合せ、並びに/又はシクロアルキル環及び/若しくはアリール環を含むことができる。一実施形態では、少なくとも7個の原子を含む直鎖は、1つの二重結合を含む。
【0022】
また、少なくとも7個の原子を含む直鎖は、1又は複数のO、N、及び/又はS原子で中断されていてもよく、例えばアルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、ヒドロキシアルキル、チオアルキル、アミノアルキル部分などを生じてもよい。
【0023】
また、少なくとも7個の原子を含む直鎖は、例えば1若しくは複数のハロゲン原子、並びに/又は1若しくは複数のO、N、及び/若しくはS原子を介した基、例えばヒドロキシル、アミン、及び/若しくはチオール基、又はO−、N−、及び/若しくはS−低級(カルボキシ)アルキル、又は二重結合したO、N(−H又は−アルキル)、及び/若しくはSによって置換されていてもよい。低級アルキルは、好ましくは1〜6個の炭素原子を含む基を意味する。
【0024】
一実施形態では、少なくとも7個の原子を含む直鎖アルキル基は、炭素原子しか含まない。一実施形態では、直鎖アルキル基は、7〜30個の炭素原子、好ましくは10〜24個の炭素原子、より好ましくは12〜22個の炭素原子、最も好ましくは少なくとも13個の炭素原子を含む。一実施形態では、Rアルキル基は、炭素原子しか含まない。
【0025】
一実施形態では、相対的に大きいアルキル基、すなわち少なくとも7個の原子を含む直鎖アルキル基は、式Iの増感剤中に1つだけ存在する。一実施形態では、R及びRはRと異なる。したがって、R及びRは、水素及び低級アルキルからなる群から選択されることが好ましく、ここで低級アルキルは、1〜6個の炭素原子を含む基であることが好ましい。
【0026】
低級アルキル基は、1若しくは複数の二重結合、又は1若しくは複数の三重結合、又は二重結合と三重結合の組合せ、並びに/又はシクロアルキル環及び/又はアリール環を含むことができる。
【0027】
また、低級アルキル基は、1若しくは複数のO、N、及び/若しくはS原子で中断されていてもよく、又はO、N、及び/若しくはS原子で終わってもよく、例えばアルコキシアルキル、アルキルチオアルキル、ヒドロキシアルキル、チオアルキル、アミノアルキルなどであってもよい。
【0028】
また、低級アルキル基は、例えば1つ若しくは複数のハロゲン原子、並びに/又は1つ若しくは複数のO、N、及び/若しくはS原子を介した基、例えばヒドロキシル、アミン、及び/若しくはチオール基、又はO−、N−、及び/若しくはS−低級(カルボキシ)アルキル、又は二重結合したO、N(−H又は−アルキル)、及び/若しくはSによって置換されていてもよい。一実施形態では、低級アルキル基は、C1−C6アルキルを意味する。
【0029】
一実施形態では、R及びRは異なり、R及びRの少なくとも一方は水素である。別の一実施形態では、R及びRは同じであり、好ましくはC1−C4アルキル、好ましくはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、及びブチルからなる群から選択される。別の一実施形態では、R及びRは同じであり、両方とも水素である。
【0030】
一実施形態では、式Iの増感剤は、塩、特に酸付加塩、例えばそのHCl、HBr、HF、HPO、HSO4、クエン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、乳酸、イセチオン酸、メタンスルホン酸、又はエチレンジアミン四酢酸付加塩の形で存在する。
【0031】
本組成物では、式Iの増感剤は、抗生物質の有効性を亢進するのに十分な量で存在することが好ましい。
【0032】
抗生物質の有効性によって、抗生物質を培地に添加すると、接種物の増殖が抑制され、したがって抗生物質を添加した場合のコロニー形成単位(CFU)の数が、抗生物質を添加していない場合のCFUの30%未満、例えば20%、15%、10%、又は5%となることが理解される。好ましくは、抗生物質の添加によって、接種物は死滅し、したがってCFUは、接種物の70%未満、例えば60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%、2%、1%、0.1%、又は0.01%である。
【0033】
抗生物質の効果の亢進によって、本発明における式Iの増感剤を含まない抗生物質の最小発育阻止濃度(MIC)は、前記増感剤を添加することによって少なくとも2倍低減されることが理解される。好ましくは、この低減率は、少なくとも4倍、例えば8倍、10倍、又はさらにはそれ以上、例えば20倍、50倍、又はさらには100倍である。
【0034】
当業者は、所定の実験に基づいて、特定の増感剤、特定の抗生物質、及び抗生物質の有効性の亢進が達成される程度を考慮して、増感剤の適当な濃度を確定することができる。
【0035】
上記に報告するように、抗生物質の有効性を亢進するために増感剤の量を高くする必要がないことは、本発明の一部である。式Iの増感剤と抗生物質のモル比は、魅力的なことには5:1より低く、より好ましくは2:1より低く、最も好ましくは1.5:1より低く、特に、高くとも1:1であることが好ましい。より好ましくは、モル比は少なくとも1×10−5:1、より好ましくは少なくとも5×10−5:1、最も好ましくは少なくとも1×10−4:1である。
【0036】
したがって、本組成物は、好ましくは抗菌物質又は抗生物質として有効量の抗生物質も含む。上記から、当業者は、所定の実験に基づいて、特定の増感剤、特定の抗生物質、及び抗生物質の有効性の亢進が達成される程度を考慮して、抗生物質の適当な濃度を確定できるということになる。
【0037】
一実施形態では、本組成物は、グラム陰性細菌に対して有効な抗生物質を含む。グラム陽性及びグラム陰性細菌は、グラム染色によって鑑別される。グラム陽性種では、脱色剤(アルコール又はアセトン)で処理したとき一次ステイン(クリスタルバイオレット)は保持されるが、グラム陰性細菌では一次ステインは失われる。染色の差異は、グラム陰性細菌とグラム陽性細菌の細胞壁の構造的差異を反映する。グラム陽性細胞壁は、相対的に厚いペプチドグリカン層とタイコ酸からなるが、グラム陰性細胞壁は、相対的に薄いペプチドグリカン層と、リン脂質、リポ多糖、リポタンパク質、及びタンパク質を含有する脂質二重層からなる外膜とからなる。
【0038】
さらに別の一実施形態では、本組成物は、グラム陽性細菌に対して有効な抗生物質を含む。
【0039】
一実施形態では、本組成物は、β−ラクタム類(例えば、アンピシリン、セフタジジム、メロペネム)、キノロン類(例えば、ノルフロキサシン、シプロフロキサシン)、糖ペプチド類(例えば、バンコマイシン)、マクロライド類(例えば、エリスロマイシン)、オキサゾリジノン類(例えば、リネゾリド)、ペプチド系抗生物質(例えば、マガイニンII)、リポペプチド類(例えば、ポリミキシン、バシトラシン)、ニトロイミダゾール類(例えば、メトロニダゾール)、アンサマイシン類(例えば、リファンピン)、アゾール類(例えば、フルコナゾール)、D−シクロセリン、リンコサミド類(例えば、クリンダマイシン)、ムピロシン、ストレプトグラミン類(例えば、ダルホプリスチン、キヌプリスチン)、ホスホマイシン、アミノグリコシド類(例えば、ゲンタマイシン)、スルホンアミド類(例えば、スルホメトキサゾール)、トリメトプリム、テトラサイクリン類(例えば、チギルサイクリン)、ノボビオシン、クロラムフェニコール、モノバクタム類、及びこれらの抗生物質の合成誘導体からなる群から選択される抗生物質を含む。
【0040】
さらに特に、式Iの増感剤と組み合わせて使用される適当な抗生物質(の組合せ)は、糖ペプチド類(好ましくは、バンコマイシン又はテイコプラニン)、β−ラクタム類、好ましくはペニシリン類、例えばアムジノシリン、アンピシリン、アモキシシリン、アズロシリン、バカンピシリン、ベンザチンペニシリンG、カルベニシリン、クロキサシリン、シクラシリン、ジクロキサシリン、メチシリン、メズロシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンG、ペニシリンV、ピペラシリン、及びチカルシリン;セファロスポリン類、例えば第一世代の薬物であるセファドロキシル、セファゾリン、セファレキシン、セファロチン、セファピリン、及びセフラジン、第二世代の薬物であるセファクロル、セファマンドール、セフォニシド、セフォラニド、セフォキシチン、及びセフロキシム、若しくは第三世代のセファロスプリンであるセフォペラゾン、セフォタキシム、セフォテタン、セフタジジム、セフチゾキシム、セフトリアキソン、及びモキサラクタム;カルバペネム類、例えばイミペネム;又はモノバクタム類、例えばアズトレオナム;さらにテトラサイクリン類、例えばデメクロサイクリン、チギルサイクリン、ドキシサイクリン、メタサイクリン、ミノサイクリン、及びオキシテトラサイクリン;アミノグリコシド類、例えばアミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、パロモマイシン、スペクチノマイシン、ストレプトマイシン、及びトブラマイシン;ポリミキシン類、例えばコリスチン、コリスチマタート、及びポリミキシンB、並びにエリスロマイシン類及びリンコマイシン類からなる群から選択され、またスルホンアミド類、例えばスルファシチン、スルファジアジン、スルフイソキサゾール、スルファメトキサゾール、スルファメチゾール、及びスルファピリジン;トリメトプリム、キノロン類、ノボビオシン、ピリメタミン、並びにリファンピンも、本発明に従う組成物中式Iの増感剤の存在下で亢進された活性を有するものと予想される。
【0041】
本発明の増感剤は、抗生物質との構造的類似性で選択されていない。式Iの化合物は、構造的に共通するところが少ししかないが、ペプチド系抗生物質及びリポペプチド以外の上記の抗生物質の抗菌効果を亢進することが明らかである。
【0042】
本発明はまた、上記に定義する式Iの増感剤の組成物、及び抗生物質、並びに薬学的に許容される担体にも関する。このような医薬組成物は、内服用又は外用、例えば錠剤、カプセル剤、液剤、蒸気剤、軟膏剤、ペースト剤、スプレー剤などである、固体、半固体、液体などの形とすることができる。適当な形態への製剤は、当業者によく知られている。例えば、"Remington's Pharmaceutical Sciences"、及び"Encyclopedia of Pharmaceutical Technology"を参照のこと。
【0043】
抗生物質との最適な相互作用のためには、式Iの増感剤は保護又は包埋層に含まれていないことが好ましい。式Iの増感剤と抗生物質は同じマトリックス中に存在することが好ましい。
【0044】
本発明の特に好ましい実施形態は、式Iの増感剤が3−ラウリルオキシプロピルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、エイコサミン、オレイルアミン、リノレイルアミン、リノレニルアミン、スフィンゴシンからなる群から選択される実施形態である。別の好ましい実施形態では、本発明に従う組成物は、3−ラウリルオキシプロピルアミン、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、ステアリルアミン、エイコサミン、オレイルアミン、リノレイルアミン、リノレニルアミン、スフィンゴシン、デヒドロアビエチルアミンのHCl塩、又はタモキシフェンのクエン酸塩を含む。さらに詳細には、本発明は、3−ラウリルオキシプロピルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、エイコサミン、オレイルアミン、リノレイルアミン、リノレニルアミン、スフィンゴシン、デヒドロアビエチルアミン、タモキシフェン、又はそれらのHCl塩、又はタモキシフェンのクエン酸塩を含む。
【0045】
一般に、本組成物を使用して、グラム陰性及び/又はグラム陽性細菌を望まれていない場所から根絶することができる。したがって、本発明はまた、本抗菌性組成物の物体及び領域を清浄化又は滅菌するための使用にも関する。このためには、上記に定義する式Iの増感剤、及び抗生物質、並びに任意選択でさらに清浄剤及び/又は滅菌剤を、適当な担体又は希釈剤、例えば水及び/又はアルコールなどと組み合わせることが好ましい。
【0046】
動物用飼料製剤は、本発明の好ましい実施形態ではない。本発明の組成物は医薬組成物であることがより好ましい。
【0047】
酸に不安定な活性化合物のための新規投与形態を提供することは、本発明の一部ではない。本発明の組成物は、このような酸に不安定な活性化合物、例えば酸に不安定なプロトンポンプ阻害薬(H+/K+ATPアーゼ阻害薬)、特に置換ピリジン−2−イル−メチルスルフィニル−1H−ベンゾイミダゾール又はプラゾールを含まないことが好ましい。或いは又はさらに、固体パラフィン、例えばパラフィヌムソリダム(paraffinum solidum)(パラフィン蝋)又はオゾセライトを組成物中で使用しないことが好ましい。
【0048】
本発明はまた、上記に定義する式Iの増感剤及び抗生物質の、好ましくはヒトにおける細菌感染の治療用医薬品、特に抗生物質の抗菌活性を亢進するための医薬品を調製するための使用にも関する。或いは、本発明は、細菌感染の治療を必要とする患者、好ましくはヒトにおいて細菌感染を治療する方法であって、本発明の組成物を患者に投与することを含む方法も提供する。
【0049】
一実施形態では、医薬品は、ある種の特異的抗生物質に対して耐性又は多耐性を示す細菌による感染の治療に使用される。一実施形態では、医薬品は、グラム陰性細菌による感染の治療に使用される。一実施形態では、医薬品は、大腸菌属菌種(Escherichia spp)、特に大腸菌(E. coli)、ヘモフィリス属菌種(Haemophilus spp)、特にインフルエンザ桿菌(H. influenzae)、シュードモナス属菌種(Pseudomonas spp)、特に緑膿菌(P. aeruginosa)、クレブシエラ属菌種(Klebsiella spp)、特に肺炎桿菌(K. pneumoniae)、エンテロバクター属菌種(Enterobacter spp)、ヘリコバクター属菌種(Helicobacter spp)、特にピロリ菌(Helicobacter pylori)、シゲラ属菌種(Shigella spp)、サルモネラ属菌種(Salmonella spp)、エルシニア属菌種(Yersinia spp)、カンピロバクター属菌種(Campylobacter spp)、ナイセリア属菌種(Neisseria spp)、ボルデテラ属菌種(Bordetella spp)、エロモナス属菌種(Aeromonas spp)、バークホルデリア属菌種(Burkholderia spp)、セラチア属菌種(Serratia spp)、ビブリオ属菌種(Vibrio spp)、プロテウス・ミラビリス(Proteus mirabilis)、及びアシネトバクター属菌種(Acinetobacter spp)、特にA.バウマンニ(A. baumannii)による感染の治療に使用される。
【0050】
一実施形態では、医薬品は、グラム陽性細菌による感染の治療に使用される。一実施形態では、医薬品は、ブドウ球菌属菌種(Staphylococcus spp)、特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、連鎖球菌属菌種(Streptococcus spp)、腸球菌属菌種(Enterococcus spp)、リステリア属菌種(Listeria spp)、ブドウ球菌属菌種(Staphylococcus spp)、連鎖球菌属菌種(Streptococcus spp)、クロストリジウム属菌種(Clostridium spp)、バシラス属菌種(Bacillus spp)、腸球菌属菌種(Enterococcus spp)、コリネバクテリウム属菌種(Corynebacterium spp)、レジオネラ属菌種(Legionella spp)、マイコバクテリウム属菌種(Mycobacterium spp)による感染の治療に使用される。
【0051】
さらに、本発明はまた、細菌感染の治療のための、特に抗生物質の抗菌効果を亢進するためのパーツのキットであって、
a)式Iで表される少なくとも1つの増感剤、及び
b)少なくとも1つの抗生物質
を含むパーツのキットにも関する。
【0052】
増感剤及び抗生物質は、上記に定義する1又は複数の追加の特徴を含むことができる。パーツのキットは、連続又は同時投与用であり、増感剤及び抗生物質の投与経路は同じでも異なってもよい。その中で、抗生物質の有効性を亢進させるように増感剤の投与量を適合させることが好ましい。これを実現する手段を上述する。
[実施例]
【0053】
式Iの増感剤をアッセイする実験手順
溶液
エタノールを用いて2倍系列希釈するために、8mMの式Iの長鎖アルキルアミンのエタノール保存溶液を調製した。アミンがHClの形で存在していない場合に備えて、第1の溶液に1当量の塩酸(1Mの保存水溶液)を希釈前に添加した。クエン酸タモキシフェンをエタノールに溶解して、第1の8mMの保存溶液を準備した。
【0054】
細菌
100% LB中で終夜培養(16時間、37℃)した緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)PA01の濃度を、較正曲線との比較によって確定し、100% LBで1×10CFU/mLに希釈した。同様に、次の臨床分離株(Leiden University Medical Centerで入手)の培養物を調製した:多剤耐性アシネトバクター・バウマンニ(Acinetobacter baumannii)LUH5771、拡張型β−ラクタマーゼ(ESBL)産生肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)LUH5344、並びに緑膿菌(Pseudomonae aeruginosa)PA7243、PA7247、PA7249、PA7252、PA7253、及びPA 24−7−3(セフタジジム耐性)。
【0055】
試験
96ウェルプレートを使用し、20μLの緑膿菌(最終濃度1×10CFU/mL、OD550=0.1)、及びアンピシリン又はリネゾリド(PA 24−7−3及びESBL肺炎桿LUH5344の場合は、セフタジジムを使用した)を含有するウェルに、様々な濃度の増感剤(エタノール溶液ごとに1μL)を添加した。1×10CFU/mLのA.バウマンニLUH5771について、増感剤の増殖に及ぼす効果をゲンタマイシンの存在下で調査した。20% LBを用いて、ウェルの体積を200μLに調整した。対照として、20% LB、細菌+20% LB、細菌+20% LB+抗生物質が含まれた。場合によっては、培地を100% LB(下記参照)に変更した。t=0において増感剤を添加した後、96ウェルプレートをカバーし(気密ではない)、BioTekプレートリーダーで20時間振盪しながら、37℃でインキュベートした。OD550を、PA01の試験については少なくとも10分ごとに、又は臨床分離株について20時間後に1回測定した。特定の化合物のMIC値を最低濃度で測定した。この最低濃度では、20時間インキュベートした後のOD550値は、使用したブランクのOD550値に匹敵した。
【0056】
結果
【0057】
【表1】

【0058】
式Iの増感剤の代表例は、オレイルアミン及びステアリルアミンである。表1に示されているように、これらの化合物は、緑膿菌PA01をアンピシリンに対して敏感にさせる。PA01は、0.62μMのステアリルアミン又は0.08μMのオレイルアミンの存在下で200μg/mLのアンピシリンによって死滅した。PA01の増殖も、増感剤の存在下でリネゾリドによって顕著に抑制された。リネゾリドは、適応症がグラム陽性種の処置のみである抗生物質である。PA01は、アンピシリンを脂肪アミンと組み合わせることによって抑制されただけでなく、アンピシリンと三環式デヒドロアビエチルアミン又は抗癌剤タモキシフェンを組み合わせることによっても抑制された。
【0059】
同様に、オレイルアミンの増感剤としての効果を緑膿菌の臨床分離株に対して判定した(表2)。これらの分離株は、アンピシリン+オレイルアミンの組合せによって根絶することができるが、高濃度の両方に対して影響されない。
【0060】
【表2】

【0061】
表3は、PA01が通常は耐性を示すアンピシリンのMIC値に及ぼす低濃度の増感剤オレイルアミン及びステアリルアミンの効果を示す。さらに、表3は、低濃度の増感剤を添加すると、PA01に対するキノロン抗生物質ナリジクス酸のMIC値が低下することを示す。抗生物質のMIC値25μg/mLは、臨床的に耐性があると分類されることに留意されたい。
【0062】
【表3】

【0063】
さらに、多耐性アシネトバクター・バウマンニ臨床分離株は、オレイルアミンの存在下でゲンタマイシンの作用に対して敏感であることがわかったが、その種はそれ自体、ゲンタマイシン、アンピシリン、頻用されるゲンタマイシン/アンピシリンの組合せ又はオレイルアミン単独を用いた処置に対して耐性を示した(表4を参照のこと)。
【0064】
【表4】

【0065】
最後に、拡張型β−ラクタマーゼ産生肺炎桿菌及び緑膿菌臨床分離株の場合、オレイルアミンを増感剤として使用することによって、セフタジジムのMIC値を大幅に低下させることができた。
【0066】
【表5】

【0067】
上記の表に示す同様の結果は、より短いR基(式Iで示す)、例えばラウリルアミンを有する増感剤を使用して得ることができた。
【0068】
上述したのと同様な方式で、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)も試験し、これをオレイルアミンやステアリルアミンなど上述する長鎖アルキルアミンと共に投与するとメチシリンに対して感受性を示すことがわかる。同様に、バンコマイシン耐性エンテロコッカス・フェカリス(Enterococcus faecalis)(VRE)を、式Iの増感剤の存在下でバンコマイシン及び他の糖ペプチドを用いて死滅させることができる。また、ブドウ球菌属菌種、連鎖球菌属菌種、クロストリジウム属菌種、バシラス属菌種、腸球菌属菌種、コリネバクテリウム属菌種、レジオネラ属菌種、マイコバクテリウム属菌種、リステリア属菌種の増殖を抑制するために必要な抗生物質の投与量は、式Iの増感剤の存在下ではより少ないことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)式Iの長鎖アルキルアミン又はその生理学的に許容される塩
【化1】



[式中、
は、少なくとも7個の原子を直鎖中に含む直鎖状又は分枝状アルキル基を表し、前記アルキル基は、二重又は三重結合を含むことができ、1又は複数の置換、シクロアルキル又はアリール環を含むことができ、1又は複数のO、N、及び/又はS原子を含むことができ、
及びRは、同じでも異なってもよく、水素又は1〜6個の炭素原子を含む低級アルキル基を表し、前記低級アルキル基は、二重結合又は三重結合、シクロアルキル又はアリール環を含むことができ、1又は複数の置換を含むことができ、1又は複数のO、N、及び/又はS原子を含むことができる]、及び
b)少なくとも1つの抗生物質
を含む抗菌性組成物。
【請求項2】
a)とb)のモル比が5:1より低い、請求項1に記載の抗菌性組成物。
【請求項3】
a)とb)の前記モル比が高くとも1:1である、請求項2に記載の抗菌性組成物。
【請求項4】
医薬組成物である、請求項1〜3のいずれかに記載の抗菌性組成物。
【請求項5】
少なくとも7個の原子を含む直鎖アルキル基が炭素原子しか含まない、請求項1〜4のいずれかに記載の抗菌性組成物。
【請求項6】
直鎖アルキル基が12〜22個の炭素原子を含む、請求項1〜5のいずれかに記載の抗菌性組成物。
【請求項7】
アルキル基が炭素原子しか含まない、請求項1〜6のいずれかに記載の抗菌性組成物。
【請求項8】
及びRが水素を表す、請求項1〜7のいずれかに記載の抗菌性組成物。
【請求項9】
式Iの長鎖アルキルアミンがそのHCl塩の形である、請求項1〜8のいずれかに記載の抗菌性組成物。
【請求項10】
長鎖アミンが、ラウリルアミン、ミリスチルアミン、パルミチルアミン、エイコサミン、オレイルアミン、スフィンゴシン、3−ラウリルオキシプロピルアミン、リノレイルアミン、リノレニルアミン、デヒドロアビエチルアミン、タモキシフェンからなる群から選択される、請求項1〜9のいずれかに記載の抗菌性組成物。
【請求項11】
抗生物質が、β−ラクタム類、キノロン類、糖ペプチド類、マクロライド類、オキサゾリジノン類、ペプチド系抗生物質、リポペプチド類、ニトロイミダゾール類、アンサマイシン類、アゾール類、D−シクロセリン、リンコサミド類、ムピロシン、ストレプトグラミン類、ホスホマイシン、アミノグリコシド類、スルホンアミド類、トリメトプリム、テトラサイクリン類、ノボビオシン、クロラムフェニコール、モノバクタム類、及びそれらの合成誘導体から選択される、請求項1〜10のいずれかに記載の抗菌性組成物。
【請求項12】
細菌感染の治療用医薬品の調製における請求項1〜11のいずれかに記載の組成物の使用。
【請求項13】
抗生物質の抗菌活性を亢進するための、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
グラム陰性細菌による感染の治療のための、請求項12又は13に記載の使用。
【請求項15】
大腸菌属菌種、ヘモフィリス属菌種、シュードモナス属菌種、クレブシエラ属菌種、エンテロバクター属菌種、ヘリコバクター属菌種、シゲラ属菌種、サルモネラ属菌種、エルシニア属菌種、カンピロバクター属菌種、ナイセリア属菌種、ボルテデラ属菌種、エロモナス属菌種、バークホルデリア属菌種、セラチア属菌種、プロテウス属菌種、ビブリオ属菌種、及びアシネトバクター属菌種による感染の治療のための、請求項12〜14のいずれかに記載の使用。
【請求項16】
グラム陽性細菌による感染の治療のための、請求項12に記載の使用。
【請求項17】
ブドウ球菌属菌種、連鎖球菌属菌種、クロストリジウム属菌種、バシラス属菌種、腸球菌属菌種、コリネバクテリウム属菌種、レジオネラ属菌種、マイコバクテリウム属菌種、及びリステリア属菌種による感染の治療のための、請求項12又は16に記載の使用。
【請求項18】
物体及び領域を清浄化又は滅菌するための、清浄剤及び/又は滅菌剤をさらに含んでいてもよく、かつ適当な担体又は希釈剤を含んでいてもよい請求項1〜11のいずれかに記載の抗菌性組成物の使用。
【請求項19】
a)式Iの長鎖アルキルアミン又はその生理学的に許容される塩
【化2】



[式中、
は、少なくとも7個の原子を直鎖中に含む直鎖状又は分枝状アルキル基を表し、前記アルキル基は、二重結合又は三重結合を含むことができ、1又は複数の置換、シクロアルキル又はアリール環を含むことができ、1又は複数のO、N、及び/又はS原子を含むことができ、
及びRは、同じでも異なってもよく、水素又は1〜6個の炭素原子を含む低級アルキル基を表し、前記低級アルキル基は、二重結合又は三重結合、シクロアルキル又はアリール環を含むことができ、1又は複数の置換を含むことができ、かつ1又は複数のO、N、及び/又はS原子を含むことができる]、及び
b)少なくとも1つの抗生物質
を含むパーツのキット。
【請求項20】
細菌感染の治療用医薬品の調製における、請求項19に記載のパーツのキットの使用。

【公表番号】特表2009−545588(P2009−545588A)
【公表日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−522730(P2009−522730)
【出願日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際出願番号】PCT/NL2007/050387
【国際公開番号】WO2008/016300
【国際公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願人】(509031305)プロセンサ テクノロジーズ ビー.ブイ. (5)
【氏名又は名称原語表記】PROSENSA TECHNOLOGIES B.V.
【Fターム(参考)】