説明

抗関節炎剤の組み合わせ

【解決手段】 本発明は、ERβ選択的リガンドと抗関節炎剤の組み合わせを提供するものであり、それは関節炎の治療または抑制に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年5月21日に出願された米国仮出願番号第60/472,382号明細書に対して優先権を主張するものであり、その内容はこの参照により完全に本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
本発明は、ERβ選択的リガンドと抗関節炎剤の組み合わせに関連しており、関節炎の治療または抑制に有用である。
【0003】
関節炎は、関節リウマチ、変形性関節症、および脊椎関節症という3つの疾病を含む幅広い用語である。これらの疾病の特徴は以下により完全に記載される。
【0004】
関節リウマチ:この疾病において、関節上皮の滑膜組織は、関節軟骨、腱、および骨を浸潤し分解する密集体を構築するものである。正常な滑膜組織は、たった2または3層の細胞層の薄い細胞膜から成り、主に線維芽細胞様滑膜細胞と希に常在性マクロファージから成る。一方、リウマチ性滑膜組織は、過剰な増殖能力を有している免疫T−およびB−細胞、単球/マクロファージ、多形核白血球、および線維芽細胞様細胞といった種類の細胞の混合物から成る。前記線維芽細胞を除いて、これらの細胞の多くは、この病気の病状の一部として起こる炎症性刺激に反応してリウマチ様関節に補充される。
【0005】
関節リウマチの病因は明らかにされてはいないが、未知の抗原(例えばバクテリア、ウィルス、またはマイコプラズマなど)が、全身感染症の結果として関節に沈着することが疑われている。通常、前記抗原は、除去され疾病は起こらない。しかし、一部の個人において、前記抗原は、自己組織損傷を引き起こす急性炎症/異物の反応を発現させる。これは、順に、自己免疫反応に進展し、さらに最終的には前記関節上皮の滑膜内において、慢性炎症性および免疫学的反応をもたらす。従って、活性化された細胞種と前記サイトカインの寄せ集めとなり、それらは前記滑膜線維芽細胞の増殖能力および破壊的能力の連続的な燃料を産生する。
【0006】
変形性関節症:変形性関節症においては、種々の関節が繰り返される物理的損傷にさらされた後に引き起こされる関節軟骨、軟骨下骨、および前記滑膜に対する退行性変化が生じる。IL−1、TNF−α、およびメタロプロテアーゼ値の上昇が発症した個人の関節内において示されている。
【0007】
脊椎関節症:脊椎関節症として分類されるこの疾病は、遅発性パンヌス発症、腸内遺伝子性脊椎関節症(腸内遺伝子反応性関節炎および炎症性腸疾患)、泌尿生殖器の脊椎関節症、および未分化性脊椎関節症を伴った、乾癬、関節炎、若年性慢性関節炎である。
【0008】
この種類の関節炎において、様々な種類の免疫媒介関節炎症が多数の関節において変性変化を生み出す。このような変化は、滑膜内における炎症性浸潤、および関節軟骨と関連した軟骨下骨に対する変性変化から成る。この特殊な症候群の更なる特徴は、発症した関節成分間の骨橋(脊椎症)の発達である。さらに、IL−1、TNF−α、およびメタロプロテアーゼの値の上昇が患者の発症した関節内において示されている。
【0009】
関節炎の標準的な薬物治療は、炎症を抑制して痛みを調整するために、ステロイド性経口用製剤(すなわち副腎皮質ステロイド)、および非ステロイド性抗炎症剤(例えばナプロキセンおよびセレコキシブ)を含む。さらに近年、INFLIXIMAB、腫瘍壊死因子−αとエタネルセプトに対するキメラモノクローナル抗体、腫瘍壊死因子とその受容体の結合を阻止する融合蛋白質(偽受容体)が関節リウマチの治療に良いと認められている。しかしながら、このようなそれぞれの治療法に伴う効果、運搬方法、および副作用プロフィールは、未だに主な懸念事項である。
【0010】
関節炎の安定したモデルは、アジュバンド誘発関節炎のルイス(Lewis)ラットモデルであり、重度の関節腫脹を引き起こす(Kahan,et al.,Agents&Actions 6:219(1976),Leisten,et al.,Clinical Immunology&Immunopathology 56:108(1990);)。2番目のモデルは、自発的炎症性疾患の表現型を示すHLA−B27ラットであり(Taurog,et al.,Journal of Immunology 150:4168(1993);)、関節腫脹を引き起こす。
【0011】
エストロゲンは今まで、例えば生存細胞などの免疫系細胞に直接的な影響(Cutolo et al.,Clinical&Experimental Rheumatology 13:217(1995),Jansson and Holmdahl,Inflammation Research 47:290(1998)の概説参照;)とNF−κB阻害を介したサイトカイン産生の影響(Ray,et al.,Journal of Biological Chemistry 269:12940(1994),Stein and Yang,Molecular&Biology 15:4971(1995);)の両方の免疫系を調節するとみられてきた。エストロゲンは、受容体(2つとも既知である)に結合することによって、細胞内にその作用を及ぼす。前記エストロゲン受容体(ER)の第二の形態が近年発見された(Tremblay,et al.,Molecular Endocrinology 11:353(1997),Bhat,et al.,Journal of Steroid Biochemistry&Molecular Biology 67:233(1998),Kuiper,et al.,Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 93:5925(1996),Mosselman et al.,FEBS Letters 392:49(1996);)。このタンパク質は、今までに知られている形態(今ではERαと呼ばれている)と区別するためにERβと命名された。前記組織分布(Brandenberger,et al.,Journal of Clinical Endocrinology&Metabolism 82:3509(1997)、Kuiper,et al.,Endocrinology 138:863(1997)、Saji et al.,Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America 97:337(2000)、Saunders,et al.,Journal of Endocrinology 154:R13(1997),Shughrue,et al.,Journal of Comparative Neurology 388:507(1997),Taylor and Al−Azzawi,Journal of Molecular Endocrinology 24:145(2000),Vidal,et al.,Journal of Bone&Mineral Research 14:923(1999),Wang,et al.,Biology of Reproduction 63:1331(2000))、リガンド特異性(Kuiper,et al.,Endocrinology 138:863(1997),Kuiper,et al.,Endocrinology 139:4252(1998);)、および3次元構造(X線結晶学)(Pike,et al.,EMBO Journal 18:4608(1999);)が研究されてきたが、その機能の定義は捕らえどころのないままになっている。
【0012】
この発明の興味深いところは、非受容体選択的エストロゲンである17β−エストラジオールを用いて評価した場合、ERβはNF−κB転写活性を妨げることができるという観察結果である(Bhat,et al.,Journal of Steroid Biochemistry&Molecular Biology 67:233(1998),Harnish,et al.,Endocrinology 141:3403(2000);)。さらに、ERβは成長板および関節軟骨(Juma,et al.,Journal of Bone&Mineral Research 14:(1999),Nilsson,et al.,Journal of Clinical Endocrinology&Metabolism 84:370(1999),Nilsson et al.,Hormone Research 51:23(1999),Nilsson,et al.,Journal of Bone&Mineral Research 14(1999),Savendahl,et al.,Acta Paediatrica.Supplement(2000),Ushiyama,et al.,Osteoarthritis&Cartilage 7:560(1999),Richmond,et al.,Arthritis&Rheumatism 43:2081(2000);)、および免疫系細胞(Mosselman,et al.,FEBS Letters 392:49(1996),Brandenberger,et al.,Journal of Clinical Endocrinology&Metabolism 82:3509(1997),Rider,et al.,Clinical Immunology 95:124(2000);)において発現する。さらに、ICI−182780(非選択的エストロゲン受容体アンタゴニスト)が正常循環雌マウスにおいて関節炎の発達を促進し得ることが示された(Jansson,L.,Arthritis&Rheumatism 44:2168(2001);)。
【発明の開示】
【発明の効果】
【0013】
いくつかの実施形態において、本発明は、関節炎の治療または抑制を必要とする哺乳類において、関節炎を治療または抑制する方法を提供し、非子宮肥大性、非乳房肥大性のERβ選択的リガンドおよび抗関節炎剤の組み合わせの有効量を前記哺乳類に提供する工程を有し、前記ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合親和性は、ER−αに対するその結合親和性より少なくとも約20倍大きいものである。
【0014】
いくつかの実施形態において、前記ER−β選択的リガンドのERβに対する結合親和性は、ER−αに対するその結合親和性より少なくとも約50倍大きい。そのようないくつかの実施形態において、前記ERβ選択的リガンドは、子宮肥大活性を測定する標準薬理試験法において、子宮湿潤重量の増加をもたらし、それは17β−エストラジオールの最高有効投与量で観察されるものより約10%少なく、さらに前記ERβ選択的リガンドは、組織学的試験によって評価した場合、小葉肺胞末端乳房の発達の促進において、17ベータ−エストラジオールの効果より10%少ない活性を有する。
【0015】
前述のいくつかの実施形態において、前記ERβ選択的リガンドは、子宮肥大活性のない対照と比較して子宮湿潤重量の有意な増加はなく、乳房肥大活性のない対照と比較して小葉肺胞末端乳房の発達を有意に促進しない。
【0016】
いくつかの実施形態において、本発明は、関節の腫脹または侵食(糜爛)を治療または抑制する方法、または関節の損傷の治療または抑制を必要とする哺乳類において、関節鏡検査または外科的処置で続発する前記関節の損傷を治療または抑制する方法を提供し、この方法は、非子宮肥大性、非乳房肥大性ERβ選択的リガンドおよび抗関節炎剤の組み合わせの有効量を前記哺乳類に提供する工程を有し、前記ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合親和性は、ERαに対するその結合親和性より少なくとも約20倍大きいものである。いくつかの実施形態において、前記ERβに対するERβ選択的結合親和性は、ERαに対するその結合親和性より少なくとも約50倍大きいものである。
【0017】
さらにいくつかの実施形態において、本発明は、関節炎の治療または抑制を必要とする哺乳類において、関節炎を治療または抑制する方法を提供し、この方法は、化学式I、
【0018】
【化4】

式中、Rは、2〜7個の炭素原子のアルケニルであって、前記アルケニル部分は選択的に水酸基、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NR、またはN(R)CORで置換されており、
およびR2aは、それぞれ個別に、水素、水酸基、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであって、前記アルキル、アルケニル、またはアルキニル部分は選択的に水酸基、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、−CONR、NR、またはN(R)CORで置換されており、
およびR3aは、それぞれ個別に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであって、前記アルキル、アルケニル、またはアルキニル部分は選択的に、水酸基、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NR、またはN(R)CORで置換されており、
、Rは、それぞれ個別に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリールであり、
Xは、O、S、またはNRであり、
は、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、−COR、−CO、または−SOという構造を有する化学式Iの化合物、或いはそれらの薬学的に許容可能な塩類、および抗関節炎剤の組み合わせの有効量を前記哺乳類に提供する工程を有するものである。いくつかの実施形態において、XはOである。さらなる実施形態において、Rは、2〜3個の炭素原子のアルケニルであり、それは選択的に水酸基、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NR、またはN(R)CORで置換されている。いくつかの実施形態において、前記化学式Iの化合物は、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾキサゾール−5−オール、またはその薬学的に許容可能な塩類である。
【0019】
また、関節の腫脹または侵食(糜爛)を治療または予防する方法、または関節の損傷の治療または抑制を必要とする哺乳類において、関節鏡検査または外科的処置で続発する前記関節の損傷を治療または抑制する方法も、本発明に従って提供され、この方法は、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾキサゾール−5−オールまたはその薬学的に許容可能な塩類、および抗関節炎剤の組み合わせの有効量を前記哺乳類に提供する工程を有するものである。
【0020】
本発明はさらに、関節炎の治療または抑制を必要とする哺乳類おいて、関節炎を治療または抑制する方法を提供し、この方法は、化学式II、
【0021】
【化5】

式中、RおよびRはそれぞれ個別に、水素、水酸基、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、および2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、またはハロゲンから選択され、
、R、R、R、およびRはそれぞれ個別に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキニル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−CHO、トリフルオロメチル、7〜12個の炭素原子のフェニルアルキニル、フェニル、或いはO、N、またはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員環の複素環であり、前記R、R、R、R、またはRのアルキルまたはアルケニル部分は選択的に水酸基、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−NO、またはフェニルで置換されていてもよく、前記R、R、R、R、R、またはR10のフェニル部分は選択的に、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、ハロゲン、水酸基、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、ハロゲン、−CN、−NO、アミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、アルキル基あたり1〜6個の炭素原子であるジアルキルアミノ、チオ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、1〜6個の炭素原子のアルキルスルフィニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホニル、2〜7個の炭素原子のアルコキシカルボニル、2〜7個の炭素原子のアルキルカルボニル、またはベンゾイルによってモノ−、ジ−、またはトリ−置換されていてもよく、
ただしRまたはRの少なくとも1つは水素ではない、という構造を有する前記化学式IIの化合物、またはそれらの薬学的に許容可能な塩類の組み合わせの有効量を、前記哺乳類へ提供する工程を有するものである。いくつかの実施形態において、化学式IIの化合物は、
【0022】
【化6】

という構造を有する、またはその薬学的に許容可能な塩類である。そのようないくつかの実施形態において、O、N、またはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員環の前記複素環は、フラン、チオフェン、またはピリジン、またはそれらの薬学的に許容可能な塩類である。さらなる実施形態において、R、R、R、R、およびRは、それぞれ個別に、水素、ハロゲン、−CN、または2〜7個の炭素原子のアルキニルである。さらなるいくつかの実施形態において、R、R、およびRは水素である。
【0023】
いくつかの実施形態において、前記化学式IIの化合物は、3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ヒドロキシ−1−ナフトニトリル、またはその薬学的に許容可能な塩類である。
【0024】
本発明はさらに、関節の腫脹または侵食(糜爛)を治療または抑制する方法、または関節の損傷の治療または抑制を必要とする哺乳類において、関節鏡検査または外科的処置で続発する前記関節の損傷を治療または抑制する方法を提供し、この方法は、3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ヒドロキシ−1−ナフトニトリル、またはその薬学的に許容可能な塩類、および抗関節炎剤の組み合わせの有効量を前記哺乳類へ提供する工程を有するものである。
【0025】
前述のいくつかの実施形態において、前記関節炎は、関節リウマチ、変形性関節症、または脊椎関節症である。前述のいくつかの実施形態において、前記抗関節炎剤は、関節炎の兆候または症状を治療するのに有用であるか、または疾患修飾性抗リウマチ薬である。前述のいくつかの実施形態において、前記抗関節炎剤は、a)ステロイド性抗炎症剤、b)スルファサラジン、c)メトトレキサート、d)オーラノフィン、e)D−ペニシラミン、f)COX−2阻害剤、g)NSAID,i)P38MAPキナーゼ阻害剤、j)TNFα阻害剤、k)IL1β変換酵素阻害剤、l)VLA4アンタゴニスト、m)NFκB阻害剤、n)免疫賦活剤、o)IL1受容体アンタゴニスト、p)抗生物質、q)スタチン、r)シクロホスファミド、s)ヒドロキシクロロキン、またはt)クロラムブシルである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、関節炎の治療または抑制に使用するためのERβ選択的リガンドと抗関
節炎剤の組み合わせを提供する。特に、前記組み合わせは、関節リウマチ、変形性関節症、または脊椎関節症を治療または抑制、または関節の腫脹または侵食(糜爛)を治療または抑制、または関節鏡検査または外科的処置で続発する関節の損傷を治療または抑制するのに有用である。本発明は、ERβ選択的リガンドと抗関節炎剤の組み合わせも提供し、この組み合わせにおいて、ERβ選択的リガンドまたは抗関節炎剤あるいはその両方の投与量は、サブ治療的に(subtherapeutically)有効な投与量で使用される。
【0027】
本発明に従って使用されたように、本発明の対象である化合物または物質の提供に関して「提供する」という用語は、そのような化合物または物質を直接投与することを意味する、または体内で前記化合物または物質の有効量を形成するプロドラッグ、誘導体、または類似物質を投与することを意味する。
【0028】
本発明に従って使用されたように、「治療する」という用語は、関節炎の発病または進行を抑制する、関節炎を根絶する、または関節炎の緩和を目的として、ERβ選択的リガンドの有効量を前記哺乳類に対して提供することによって、関節炎を有するまたはその影響を受けやすい哺乳類を治療するということを意味する。
【0029】
本発明に従って使用されたように、「ERβ選択的リガンド」という用語は、ERαおよびERβに対する結合親和性を測定する標準薬理試験方法において、ERβに対する前記リガンドの結合親和性が(17β−エストラジオールのIC50がERαおよびERβの間の相違の3倍は大きくない場合のIC50によって測定される)、ERαに対するその結合親和性よりも少なくとも約10倍大きいことを意味する。そのような標準試験は、例えば、Harris,H.A.,et al.,Steroids 67(2002)379−384において公開されており、これはこの参照によって本明細書に完全に組み込まれる。前記ERβ選択的リガンドは、ERβに対する結合親和性がERαに対するその結合親和性よりも少なくとも約20倍大きいことが好ましい。前記ERβ選択的リガンドは、ERβに対する結合親和性がERαに対するその結合親和性よりも少なくとも約50倍大きいことがより好ましい。前記ERβ選択的リガンドは、非子宮肥大性および非乳房肥大性であることがさらに好ましい。
【0030】
本発明に従って使用されたように、「非子宮肥大性」という用語は、17β−エストラジオールまたは17α−エチニル−17β−エストラジオールの最大有効投与量で観察される子宮重量増加が約50%以下である標準的な薬理試験方法と同様の試験方法において、子宮湿潤重量の増加を引き起こすことを意味する。そのような標準試験は、例えば、Harris,H.A.,et al.,Endocrinology 143(11)4172〜4177(2002)に公開されており、これはこの参照により本明細書に完全に組み込まれる。前記子宮湿潤重量の増加は、エストラジオールで観察されるものの約25%以下であることが好ましく、さらに前記子宮湿潤重量の増加は、エストラジオールで観察されるものの約10%以下であることがより好ましい。前記非子宮肥大性ERβ選択的リガンドは、子宮肥大性活性がない対照(例えば溶媒)と比較して、子宮湿潤重量が顕著に増加しないことが好ましい。本発明の文脈において、そのような比較の信頼水準が0.05以下である場合(すなわちp<0.05)、前記非子宮肥大性ERβ選択的リガンドは、そのような子宮肥大性活性の対照と比較して子宮湿潤重量が有意に増加しないと見なした。
【0031】
本発明に従って使用されたように、「非乳房肥大性」という用語は、組織学的検査によって評価される小葉肺胞末乳房の発達の促進において、17ベータ−エストラジオールの有効性の10%以下の活性を有することを意味する。組織学的検査によるそのような測定方法の実施例は技術的によく知られている。例えば、Harris,H.A.,et al.,Endocrinology 144(10)4241〜4249(2003);Mulac Jericevic,B.,et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.,100(17)9744〜9749(2003);Bocchinfuso,W.P.,et al.,Endocrinology 141(8)2982〜2994(2002);およびLewis,B.C.,et al.,Toxicological Sciences 62,46〜53(2001)を参照し、これらはそれぞれこの参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0032】
本発明に従って使用されたように、「抗関節炎剤」という用語は、関節炎の兆候または症状の治療または抑制に有用である化合物、薬剤、または物質を意味するか、または疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARD)を意味するものである。
【0033】
好ましい抗関節炎剤は以下を含むがこれに限らない。これらの薬剤は市販されているか、または以下に記載されているように調整してもよい。
a)例えばプレドニゾ、デキサメタゾン、またはコルチゾンなどのステロイド性抗炎症剤、
b)スルファサラジン、
c)メトトレキサート、
d)オーラノフィン、
e)D−ペニシラミン、
f)例えばセレコキシブまたはロフェコキシブなどのCOX−2阻害剤、
g)例えばエトドラク、イブプロフェン、ナプロキセン、またはピロキシカムなどのNSAIDs、
h)レフノミド(lefunomide)、
i)例えばSCIO−469(米国特許番号第6,541,477号、第6,410,540号において開示されており、これらはこの参照によって本明細書に組み込まれる)などのP38 MAPキナーゼ阻害剤、
j)例えばTMI−005(米国特許番号第6,225,311号において開示されており、これはこの参照によって本明細書に組み込まれる)、ISIS 104838(米国特許番号第6,080,580号において開示されており、これはこの参照によって本明細書に組み込まれる)、インフリキシマブ、またはエタネルセプトなどのTNFα阻害剤、
k)IL1β変換酵素阻害剤、
l)VLA4アンタゴニスト、
m)NFκB阻害剤、
n)例えばCCI−779(米国特許番号第5,362,718号)、ラパムン(rapamune)、シクロスポリン、フルダラビン、またはレフルノミド(leflunomide)などの免疫賦活剤、
o)例えばアナキンラ(anakinra)などのIL1受容体アンタゴニスト、
p)例えばミノサイクリンなどの抗生物質、
q)例えばシムバスタチンなどのスタチン、
r)シクロホスファミド、
s)ヒドロキシクロロキン、または、
t)クロランブシル。
【0034】
本明細書において使用されたように、「インターロイキン−1β変換酵素阻害剤」(カスパーゼ−1阻害剤としても知られている)という用語は、活性化インターロイキン−1βのプロ酵素からの放出を阻害する試薬を意味するよう意図されている。
【0035】
本明細書において使用されたように、「VLA4アンタゴニスト」という用語は、最晩期抗原4(α4β1インテグリンまたはCD49D/CD29としても知られている)を介した細胞シグナリングを阻害する試薬を意味する。このタンパク質を阻害する前記抗炎症剤は、記載されている(Lin and Castro,Current Opinion in Chemical Biology 2:453−457(1988)これはこの参照により本明細書に完全に組み込まれる)。
【0036】
本明細書において使用されたように、「核因子カッパーB(NFκB)」という用語は、炎症カスケードを広める際に重要な役割を果たす転写因子というその認識された意味を有する。
【0037】
本明細書において使用されたように、「インターロイキン−1(IL−1)受容体アンタゴニスト」という用語は、IL−1受容体に結合するが、同様の炎症性誘発反応を発現しない物質を意味する。炎症鈍化におけるこれらの効果は、記載されている(Arend et al.Annual Review of immunology16:27−55(1998)これはこの参照により本明細書に完全に組み込まれる)。
【0038】
好ましいERβ選択的リガンドは、以下の化学式I、
【0039】
【化7】

式中、Rは、2〜7個の炭素原子のアルケニルであって、前記アルケニル部分は選択的に、水酸基、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NR、またはN(R)CORによって置換されており、
およびR2aは、それぞれ個別に、水素、水酸基、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであって、前記アルキル、アルケニル、またはアルキニル部分は選択的に、水酸基、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NR、またはN(R)CORによって置換されており、
およびR3aは、それぞれ個別に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであって、前記アルキル、アルケニル、またはアルキニル部分は選択的に、水酸基、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NR、またはN(R)CORによって置換されており、
、Rは、それぞれ個別に、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、または6〜10個の炭素原子のアリールであり、
Xは、O、S、またはNRであり、
は、ハロゲン、1〜6この炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、−COR、−CO、または−SOという構造を有する化学式Iのもの、またはそれらの薬学的に許容可能な塩類を含むものである。
【0040】
前記化学式Iの化合物の調整と使用は、米国特許出願番号第10/309,699号明細書(WO03/050095)に記載されており、これはこの参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0041】
薬学的に許容可能な塩類は、本発明の化合物が塩基性部分を含む場合、例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩化水素酸、塩化臭素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、および類似のものとして知られている許容可能な酸などの、有機および無機酸から形成されることができる。さらに、塩類は、本発明の化合物が酸性部分を含む場合、例えばアルカリ金属塩(例えばナトリウム、リチウム、またはカリウム)、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、1〜6個の炭素原子を含むアルキルアンモニウム塩または各アルキル基が1〜6個の炭素原子を含むジアルキルアンモニウム塩、および各アルキル基が1〜6個の炭素原子を含むトリアルキルアンモニウム塩などの、有機および無機塩基から形成されてもよい。
【0042】
アルキル、アルケニル、およびアルキニルという用語は、分枝鎖および直鎖部分の両方を含む。実施例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、ビニル、アリル、アセチレン、1−メチルビニル、および同種のものなどを含む。アルキルまたはアルケニル部分が置換されている場合、それらは一般的にモノ−、ジ−、トリ−であるか、または各々が置換されているものであってもよい。ハロゲン置換基の実施例としては、1−ブロモビニル、1−フルオロビニル、1,2−ジフルオロビニル、2,2−ジフルオロビニル、1,2,2−トリフルオロビニル、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジフルオロエタン、1−フルオロ−2−ブロモエタン、CFCF、CFCFCF、および同種のものなどを含む。前記ハロゲンという用語は、臭素、塩素、フッ素、およびヨウ素を含む。前記アリールという用語は、フェニル、1−ナフチル、または2−ナフチルという意味である。好ましい5〜6員環の複素環は、フラン、チオフェン、ピロール、イソピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ジチオール、オキサチオール、イソキサゾール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、フラザン、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、オキサチアゾール、テトラゾール、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、またはオキサジアジンを含む。前記複素環はフラン、チオフェン、またはチアゾールであることがより好ましい。
【0043】
前記化学式Iの化合物において、XはOであり、および、XはOであり、さらにRは2〜3個の炭素原子のアルケニルであり、選択的に水酸基、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6この炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NR、またはN(R)CORであることが好ましい。特に好ましい1実施形態において、前記化学式Iの化合物は、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾキサゾール−5−オールまたはその薬学的に許容可能な塩類である。
【0044】
他に好ましいERβ選択的リガンドは、以下の化学式II、
【0045】
【化8】

式中、RおよびRは、それぞれ個別に、ハロゲン、水酸基、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、またはハロゲンであり、
、R、R、R、およびRは、それぞれ個別に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−CHO、トリフルオロメチル、7〜12の炭素原子のフェニルアルキル、フェニル、またはO、N、またはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員環の複素環であって、前記R、R、R、R、またはRのアルキルまたはアルケニル部分は選択的に、水酸基、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−NO、またはフェニルによって置換されていてもよく、前記前記R、R、R、R、R、またはR10のフェニル部分は選択的に、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、ハロゲン、水酸基、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−NO、アミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、各アルキル基が1〜6個の炭素原子のジアルキルアミノ、チオ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、1〜6個の炭素原子のアルキルスルフィニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホニル、2〜7個の炭素原子のアルコキシカルボニル、2〜7個の炭素原子のアルキルカルボニル、またはベンゾイルから個別に選択される3つまでの置換基によってモノ−、ジ−、またはトリ−置換されていてもよく、
ただしRまたはRの少なくとも1つはハロゲンではない、という構造を有する化学式Iのもの、またはそれらの薬学的に許容可能な塩類である。
【0046】
薬学的に許容可能な塩類は、本発明の化合物が塩基性部分を含む場合、例えば酢酸、プロピオン酸、乳酸、クエン酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、マレイン酸、マロン酸、マンデル酸、リンゴ酸、フタル酸、塩化水素酸、塩化臭素酸、リン酸、硝酸、硫酸、メタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸、および類似のものとして知られている許容される酸などの、有機および無機酸から形成されることができる。さらに塩類は、本発明の化合物が酸性部分を含む場合、例えばアルカリ金属塩(例えばナトリウム、リチウム、またはカリウム)、アルカリ土類金属塩、アンモニウム塩、1〜6個の炭素原子を含むアルキルアンモニウム塩または各アルキル基が1〜6個の炭素原子を含むジアルキルアンモニウム塩、および各アルキル基が1〜6個の炭素原子を含むトリアルキルアンモニウム塩などの、有機および無機塩基から形成されてもよい。
【0047】
アルキルおよびアルケニルという用語は、分枝鎖および直鎖部分の両方を含む。実施例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、イソプロピル、sec−ブチル、tert−ブチル、ビニル、アリル、1−メチルビニル、および同種のものを含む。アルキルまたはアルケニル部分が置換されている場合、それらは一般的にモノ−、ジ−、トリ−であるか、または各々が置換されているものであってもよい。ハロゲン置換基の実施例としては、1−ブロモビニル、1−フルオロビニル、1,2−ジフルオロビニル、2,2−ジフルオロビニル、1,2,2−トリフルオロビニル、1,2−ジブロモエタン、1,2−ジフルオロエタン、1−フルオロ−2−ブロモエタン、CFCF、CFCFCF、および同種のものなどを含む。前記ハロゲンという用語は、臭素、塩素、フッ素、およびヨウ素を含む。
【0048】
好ましい5〜6員環の複素環は、フラン、チオフェン、ピロール、イソピロール、ピラゾール、イミダゾール、トリアゾール、ジチオール、オキサチオール、イソキサゾール、オキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、オキサジアゾール、フラザン、オキサトリアゾール、ジオキサゾール、オキサチアゾール、テトラゾール、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジン、オキサジン、オキサチアジン、またはオキサジアジンを含む。前記複素環はフラン、チオフェン、またはチアゾールであることがより好ましい。
【0049】
前記化学式IIの化合物の調整および使用方法は、米国特許出願番号第10/316,640号明細書(WO03/051805)に記載されており、これはこの参照により本明細書に完全に組み込まれる。
【0050】
好ましい化学式IIの化合物は、以下の構造、
【0051】
【化9】

を有するもの、またはその薬学的に許容可能な塩類である。
【0052】
さらに好ましい化学式IIの化合物は、IIaの構造を有するものであって、
O、N、またはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する前記5または6員環の複素環は、フラン、チオフェン、またはピリジン、またはそれらの薬学的に許容可能な塩類である。
【0053】
さらに好ましい化学式IIaの化合物は、O、N、またはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員環の複素環がフラン、チオフェン、またはピリジンであって、さらにR、R、R、R、およびRがそれぞれ個別に水素、ハロゲン、−CN、または2〜7個の炭素原子のアルキニルであるもの、またはそれらの薬学的に許容可能な塩類を含む。
【0054】
さらに好ましい化学式IIaの化合物は、O、N、またはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する5または6員環の複素環がフラン、チオフェン、またはピリジンであって、さらにRおよびRがそれぞれ個別に水素、ハロゲン、−CN、または2〜7個の炭素原子のアルキニルであって、R、RおよびRはハロゲンであるもの、またはそれらの薬学的に許容可能な塩類を含む。
【0055】
特に好ましい1実施形態において、前記化学式IIの化合物は、3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ヒドロキシ−1−ナフトニトリル、またはその薬学的に許容可能な塩類である。
【0056】
特定の疾病状態または疾患を治療または抑制するために投与される場合、有効な投与量は、使用される特定の化合物、投与方法、状態、およびそれらの重症度、治療される状態、および治療される個人に関連した様々な身体的要因によって変わることが理解される。ERβ選択的リガンドの有効な投与は、1日あたり約0.1mg〜約1,000mgの経口投与量で与えられてもよい。好ましくは、投与は、単回投与または2または3回の分割投与において、1日あたり約10mg〜約600mgであり、より好ましくは1日あたり約50mg〜約600mgである。この計画的な1日投与量は、投与手段によって変わることが予測される。抗関節炎剤の投与量は、物質および投与手段の選択によって変わる。一般的に、初回投与量は、市販されているこれらの物質では、市販で利用可能な投与量かつ投与手段である。市販されていない物質は、文献などに記載されている投与量と投与手段に従って投与される。
【0057】
そのような投与量は、本明細書の活性化合物をレシピエントの血流に導くのに役立つ任意の方法で投与してもよく、経口、移植経由、母体経由(静脈内、腹腔内、動脈内、および皮下注射を含む)、直腸内、鼻腔内、局所、眼内(点眼経由)、経膣的、および経皮内を含む。
【0058】
本発明の活性化合物を含む経口製剤は、通常使用される任意の経口剤型を含んでもよく、錠剤、カプセル、口腔形態、トローチ、薬用キャンディー、および経口液体、懸濁液または溶液を含む。カプセルは、例えば薬学的に許容される澱粉(例えばコーン、ポテト、タピオカ澱粉)、糖、人口甘味料、結晶性および微結晶性セルロールなどの粉末セルロース、小麦粉、ゼラチン、ゴムなどの不活性充填剤および/または希釈剤と活性化合物の混合物を含んでもよい。実用的な錠剤製剤は、従来の圧縮、湿式造粒、または乾式造粒方法によって製造されてもよく、薬学的に許容可能な希釈剤、結合剤、滑剤、錠剤分解物質、表面変性剤(界面活性剤を含む)、懸濁または安定化剤を利用してもよく、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、滑石、ラウリル硫酸ナトリウム、微結晶性セルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、アルギン酸、アカシアゴム、キサンタンガム、クエン酸ナトリウム、複合シリカ、炭酸カルシウム、グリシン、デキストリン、スクロース、ソルビトール、第二リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、ラクトース、カオリン、マンにトール、塩化ナトリウム、滑石、乾燥澱粉、および粉末糖を含むがこれらに限らない。好ましい表面変性剤は、非イオン性および陰イオン性表面変性剤を含む。表面変性剤の代表的な実施例としては、ポロキサマー(poloxamer)188、塩化ベンザルコニウム、ステアリン酸カルシウム、セトステアリルアルコール、セトマクロゴール乳化ろう、ソルビタンエステル、コロイド状二酸化ケイ素、リン酸塩、ドデシル硫酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、およびトリエタノールアミンを含むがこれらに限らない。本明細書の経口製剤は、前記活性化合物の吸収を変えるために標準的な遅延または徐放性製剤を利用してもよい。前記経口製剤は、活性成分を水または果汁中において投与することから成っていてもよく、随時適当な可溶化剤または乳化剤を含んでもよい。
【0059】
場合によっては、前記化合物を噴霧機の形態で気道内に直接投与することが望ましい。
【0060】
本発明の化合物は、非経口または腹腔内に投与されてもよい。遊離塩基または薬学的に許容可能な塩類としてのこれらの活性化合物の溶液または懸濁液は、例えばヒドロキシ−プロピルセルロースのような界面活性剤と共に適切に混和された水の中で調整することができる。油中、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびそれらの混合物で分散を調整することができる。保管および使用の通常の条件下において、これらの製剤は微生物の増殖を抑制するために防腐剤を含む。
【0061】
注入可能な使用に適した薬学的形態は、無菌の水溶液または懸濁液、および無菌の注入可能な溶液または懸濁液を即時調整するための無菌の粉末を含む。全ての場合、前記形態は無菌でなくてはならなく、容易に注射針を通過して存在する程度の液体でなくてはならない。それは製造および保管条件下で安定でなくてはならなく、例えば細菌および真菌類などの微生物作用の汚染に備えて保存されなければならない。キャリアは、例えば水、エタノール、ポリオール(例えばグリセロール、プロピレングリコール、および液体ポリエチレングリコール)、それらの適切な混合物、および植物性油脂などを含む溶媒または分散媒であってもよい。
【0062】
本開示の目的に対して、経皮投与は、上皮および粘膜組織を含む身体表面と身体上の通路の内層にわたる全ての投与を含むことが理解される。そのような投与は、ローション、クリーム、泡、パッチ、懸濁液、溶液、および座薬(直腸および膣内)において、本化合物またはその薬学的に許容可能な塩類の使用が実行される。
【0063】
経皮投与は、前記活性化合物および前記活性化合物に対して不活性なキャリアを含む経皮パッチの使用を通じて達成されてもよく、皮膚に対して無毒であり、体内吸収のために皮膚を経由して血流内に前記物質を輸送することを可能にする。前記キャリアは、例えばクリームおよび軟膏、パッチ、ジェル、および密封装置など、任意の形態をとってもよい。前記クリームおよび軟膏は、粘性の液体、または水中油型あるいは油中水型の半固体乳化剤であってもよい。活性成分を含む石油または親水性の石油中に分散された吸収性のある粉末から成るペーストも、適切である。活性成分を含むキャリアまたは充填剤の有無に関わらず、活性成分を血流中に放出するために、例えば前記活性成分を含む容器を覆う半浸透性膜などの様々な密封装置が使用されてもよい。別の密閉装置は、文献にて知られている。
【0064】
座薬製剤は、座薬の融点を変えるためのワックスおよびグリセリンの添加の有無に関らず、カカオ脂を含む従来の物質から製造されてもよい。例えば、様々な分子量のポリエチレングリコールのような水溶性座薬塩基が使用されてもよい。
【0065】
当業者は、本発明の精神を逸脱しない範囲で本発明の好ましい実施形態に様々な変化と改良がなされてもよいことを理解するであろう。そのような変化は全て本発明の範囲内であることが意図されている。
【0066】
本特許において述べられた特許、出願、および書籍を含む印刷された刊行物は、それぞれこの参照により本明細書に完全に組み込まれることが意図されている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節炎の治療または抑制を必要とする哺乳類において、関節炎を治療または抑制する方法であって、この方法は、非子宮肥大性、非乳房肥大性ERβ選択的リガンド、および抗関節炎剤の組み合わせの有効量を前記哺乳類に対して提供する工程を有するものであり、前記ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合親和性は、ER−αに対するその結合親和性よりも少なくとも約10倍大きいものである。
【請求項2】
請求項1の方法において、前記関節炎は関節リウマチ、変形性関節症、または脊椎関節症である。
【請求項3】
請求項1または請求項2の方法において、
前記ERβ選択的リガンドのERβに対する結合親和性は、ERαに対するその結合親和性より少なくとも約50倍大きいものである。
【請求項4】
請求項3の方法において、
前記ERβ選択的リガンドは、17β−エストラジオールの最大有効投与量で観察されるものより約10%少ない湿潤子宮重量の増加を引き起し、さらに前記ERβ選択的リガンドは、組織学的検査により評価される肺胞小葉末端乳房の発達の促進において、17ベータ−エストラジオールの有効性より10%少ない活性を有するものである。
【請求項5】
請求項4の方法において、
前記ERβ選択的リガンドは、子宮肥大活性を欠く対照と比較して子宮湿潤重量を有意に増加せず、さらに乳房肥大活性を欠く対照と比較して肺胞小葉末端乳房の発達を有意に促進しないものである。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つの方法において、
前記抗関節炎剤は、関節炎の兆候および症状の治療に有用であるか、または疾患修飾性抗リウマチ薬である。
【請求項7】
請求項6の方法において、
前記抗関節炎剤は、
a)ステロイド性抗炎症剤、
b)スルファサラジン、
c)メトトレキサート、
d)オーラノフィン、
e)D−ペニシラミン、
f)COX−2阻害剤、
g)NSAID、
i)P38MAPキナーゼ阻害剤、
j)TNFα阻害剤、
k)IL1β変換酵素阻害剤、
l)VLA4アンタゴニスト、
m)NFκB阻害剤、
n)免疫賦活剤、
o)IL1受容体アンタゴニスト、
p)抗生物質、
q)スタチン、
r)シクロホスファミド、
s)ヒドロキシクロロキン、または、
t)クロランブシル
である。
【請求項8】
関節腫脹または侵食(糜爛)を治療または抑制する方法、または関節障害の治療または抑制を必要とする哺乳類において、関節鏡検査または外科的処置によって続発する前記関節障害を治療または抑制する方法であって、この方法は、非子宮肥大性、非乳房肥大性ERβ選択的リガンド、および抗関節炎剤の組み合わせの有効量を前記哺乳類に提供する工程を有するものであり、前記ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合親和性は、ER−αに対するその結合親和性より少なくとも約10倍大きいものである。
【請求項9】
請求項8の方法において、
前記ERβ選択的リガンドのERβに対する結合親和性は、ERαに対するその結合親和性より少なくとも約50倍大きいものである。
【請求項10】
請求項8または請求項9の方法において、
前記抗関節炎剤は、関節炎の兆候および症状の治療に有用であるか、または疾患修飾性抗リウマチ薬である。
【請求項11】
請求項10の方法において、
前記抗関節炎剤は、
a)ステロイド性抗炎症剤、
b)スルファサラジン、
c)メトトレキサート、
d)オーラノフィン、
e)D−ペニシラミン、
f)COX−2阻害剤、
g)NSAID、
i)P38MAPキナーゼ阻害剤、
j)TNFα阻害剤、
k)IL1β変換酵素阻害剤、
l)VLA4アンタゴニスト、
m)NFκB阻害剤、
n)免疫賦活剤、
o)IL1受容体アンタゴニスト、
p)抗生物質、
q)スタチン、
r)シクロホスファミド、
s)ヒドロキシクロロキン、または、
t)クロランブシル
である。
【請求項12】
関節炎の治療または抑制を必要とする哺乳類において、関節炎を治療または抑制する方法であって、化学式I
【化1】

式中、Rは、2〜7個の炭素原子のアルケニルであって、前記アルケニル部分は選択的に水酸基、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NR、またはN(R)CORで置換されており、
およびR2aは、それぞれ個別に、水素、水酸基、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルキル、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであって、前記アルキル、アルケニル、またはアルキニル部分は選択的に水酸基、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NR、またはN(R)CORで置換されており、
およびR3aは、それぞれ個別に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜4個の炭素原子のアルコキシ、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、または1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシであって、前記アルキル、アルケニル、またはアルキニル部分は選択的に、水酸基、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NR、またはN(R)CORで置換されており、
、Rは、それぞれ個別に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリールであり、
Xは、O、S、またはNRであり、
は、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、6〜10個の炭素原子のアリール、−COR、−CO、または−SOという構造を有する前記化学式Iの化合物、或いはそれらの薬学的に許容可能な塩類、及び抗関節炎剤の組み合わせの有効量を前記哺乳類に対して提供する工程を有する方法。
【請求項13】
請求項12の方法において、Xは、Oである前記方法。
【請求項14】
請求項12または請求項13の方法において、
は、2〜3個の炭素原子のアルケニルであって、選択的に水酸基、−CN,ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−COR、−CO、−NO、CONR、NR、またはN(R)CORで置換されているものである。
【請求項15】
請求項12の方法において、
前記化学式Iの化合物は、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾキサゾール−5−オール、またはその薬学的に許容可能な塩類である。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか1つの方法において、
前記関節炎は、関節リウマチ、変形性関節症、または脊椎関節症である。
【請求項17】
請求項12〜16のいずれか1つの方法において、
前記抗関節炎剤は、関節炎の兆候および症状の治療に有用であるか、または疾患修飾性抗リウマチ薬である。
【請求項18】
関節の腫脹または侵食(糜爛)を治療または予防する方法、または関節障害の治療または抑制を必要とする哺乳類において、関節鏡検査または外科的処置によって続発する前記関節障害を治療または抑制する方法であって、
この方法は、2−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ビニル−1,3−ベンゾキサゾール−5−オール、またはその薬学的に許容可能な塩類、および抗関節炎剤の組み合わせの有効量を前記哺乳類に提供する工程を有するものである。
【請求項19】
請求項17または請求項18の方法において、
前記抗関節炎剤は、
a)ステロイド性抗炎症剤
b)スルファサラジン、
c)メトトレキサート、
d)オーラノフィン、
e)D−ペニシラミン、
f)COX−2阻害剤、
g)NSAID、
i)P38MAPキナーゼ阻害剤、
j)TNFα阻害剤、
k)IL1β変換酵素阻害剤、
l)VLA4アンタゴニスト、
m)NFκB阻害剤、
n)免疫賦活剤、
o)IL1受容体アンタゴニスト、
p)抗生物質、
q)スタチン、
r)シクロホスファミド、
s)ヒドロキシクロロキン、または、
t)クロランブシル
である。
【請求項20】
関節炎の治療または抑制を必要とする哺乳類において、関節炎を治療または抑制する方法であって、化学式II、
【化2】

式中、RおよびRはそれぞれ個別に、水素、水酸基、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、および2〜7個の炭素原子のアルキニル、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、またはハロゲンから選択され、
、R、R、R、およびRはそれぞれ個別に、水素、1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、2〜7個の炭素原子のアルキニル、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、−CN、−CHO、トリフルオロメチル、7〜12個の炭素原子のフェニルアルキニル、フェニル、或いはO、N、またはSから選択される1〜4個のヘテロ原子を有する6員環の複素環であり、前記R、R、R、R、またはRのアルキルまたはアルケニル部分は選択的に水酸基、−CN、ハロゲン、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルキル、1〜6個の炭素原子のトリフルオロアルコキシ、−NO、またはフェニルで置換されており、前記R、R、R、R、R、またはR10のフェニル部分は選択的に1〜6個の炭素原子のアルキル、2〜7個の炭素原子のアルケニル、ハロゲン、水酸基、1〜6個の炭素原子のアルコキシ、ハロゲン、−CN、−NO、アミノ、1〜6個の炭素原子のアルキルアミノ、アルキル基あたり1〜6個の炭素原子であるジアルキルアミノ、チオ、1〜6個の炭素原子のアルキルチオ、1〜6個の炭素原子のアルキルスルフィニル、1〜6個の炭素原子のアルキルスルホニル、2〜7個の炭素原子のアルコキシカルボニル、2〜7個の炭素原子のアルキルカルボニル、またはベンゾイルによってモノ−、ジ−、トリ−置換されており、
ただしRまたはRの少なくとも1つは水素ではない構造を有する前記化学式IIの化合物、またはその薬学的に許容可能な塩類の組み合わせの有効量を前記哺乳類に提供する工程を有する方法。
【請求項21】
請求項20の方法において、
前記化学式IIの化合物は、
【化3】

という構造を有する、またはその薬学的に許容可能な塩類である。
【請求項22】
請求項20または請求項21の方法において、
O、N、またはSから選択される1〜4のヘテロ原子を有する5または6員環の前記複素環は、フラン、チオフェン、またはピリジンであるか、またはそれらの薬学的に許容可能な塩類である。
【請求項23】
請求項20〜22のいずれか1つの方法において、
、R、R、R、またはRは、それぞれ個別に、水素、ハロゲン、−CN、または2〜7個の炭素原子のアルキニルであるか、またはそれらの薬学的に許容可能な塩類である。
【請求項24】
請求項23の方法において、
、R、およびRは、水素であるか、またはその薬学的に許容可能な塩類である。
【請求項25】
請求項20の方法において、
前記化学式IIの化合物は、3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ヒドロキシ−1−ナフトニトリル、またはその薬学的に許容可能な塩類である。
【請求項26】
請求項25の方法において、
前記関節炎は、関節リウマチ、変形性関節炎、または脊椎関節症である。
【請求項27】
請求項20〜25のいずれか1つの方法において、
前記抗関節炎剤は、関節炎の兆候および症状の治療に有用であるか、または疾患修飾性抗リウマチ薬である。
【請求項28】
関節腫脹または侵食(糜爛)を治療または抑制する方法であるか、または関節障害の治療または抑制を必要とする哺乳類において、関節鏡検査または外科的処置によって続発する関節障害を治療または抑制する方法であって、3−(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)−7−ヒドロキシ−1−ナフトニトリル、またはその薬学的に許容可能な塩類、および抗関節炎剤の組み合わせの有効量を前記哺乳類に提供する工程を有する方法。
【請求項29】
請求項20〜28のいずれか1つの方法において、
前記関節炎剤は、
a)ステロイド性抗炎症剤
b)スルファサラジン、
c)メトトレキサート、
d)オーラノフィン、
e)D−ペニシラミン、
f)COX−2阻害剤、
g)NSAID、
i)P38MAPキナーゼ阻害剤、
j)TNFα阻害剤、
k)IL1β変換酵素阻害剤、
l)VLA4アンタゴニスト、
m)NFκB阻害剤、
n)免疫賦活剤、
o)IL1受容体アンタゴニスト、
p)抗生物質、
q)スタチン、
r)シクロホスファミド、
s)ヒドロキシクロロキン、または、
t)クロランブシル
である。
【請求項30】
哺乳類において関節炎を治療または抑制するための薬剤の調整における、非子宮肥大性、非乳房肥大性ERβ選択的リガンドおよび抗関節炎剤組み合わせの使用であって、前記ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合親和性は、ER−αに対するその結合親和性より少なくとも約10倍大きいものである使用。
【請求項31】
哺乳類において関節炎を治療または抑制するための薬剤の調整における、非子宮肥大性、非乳房肥大性ERβ選択的リガンドの使用であって、前記ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合親和性は、ER−αに対するその結合親和性より少なくとも約10倍大きいものであり、この治療は抗関節炎剤の投与も含むものである使用。
【請求項32】
哺乳類において関節炎を治療または抑制するための薬剤の調整における、抗関節炎剤の使用であって、この治療は非子宮肥大性、非乳房肥大性ERβ選択的リガンドの投与も含み、前記ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合親和性は、ER−αに対するその結合親和性より少なくとも約10倍大きいものである使用。
【請求項33】
関節炎の治療または抑制を必要とする哺乳類において、関節炎を治療または抑制する方法に使用するための物質または組成物であって、前記物質または組成物は、非子宮肥大性、非乳房肥大性ERβ選択的リガンドおよび抗関節炎を有するものであり、前記ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合親和性は、ER−αに対するその結合親和性より少なくとも約10倍大きいものであり、前記方法は、前記哺乳類に対して前記物質または組成物の有効量を提供するものである物質または組成物。
【請求項34】
非子宮肥大性、非乳房肥大性ERβ選択的リガンド、及び、哺乳類において関節炎を治療または抑制する際に同時、分離、または順次使用するために組み合わせた製剤としての抗関節炎剤を有する生成物であって、前記ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合親和性は、ER−αに対するその結合親和性より少なくとも約20倍大きいものである生成物。
【請求項35】
非子宮肥大性、非乳房肥大性ERβ選択的リガンド、および抗関節炎剤を有する薬学的組成物であって、前記ER−β選択的リガンドのER−βに対する結合親和性は、ER−αに対するその結合親和性より少なくとも約10倍大きいものである薬学的組成物。

【公表番号】特表2007−500223(P2007−500223A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−533294(P2006−533294)
【出願日】平成16年5月20日(2004.5.20)
【国際出願番号】PCT/US2004/016030
【国際公開番号】WO2004/103365
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【出願人】(591011502)ワイス (573)
【氏名又は名称原語表記】Wyeth
【Fターム(参考)】