説明

抗高血圧薬としてのカルベジロール及びその他のベータ遮断薬のニトロオキシ誘導体



本発明は、一般式A-(Y-ONO2)s (I) [式中、sは1又は2に等しい整数であり;Aは、次の式(II) (式中、R1は式(IIa)、式(IIb)、式(IIc)又は請求項1に規定されるその他の残基からなる群より選択され;R2は、-CH(CH3)2、-C(CH3)3又は式(IIIa)、式(IIIb)からなる群より選択され;Zは、H又は請求項1で規定されるYに結合可能な基であり;Z1は、H又はYに結合可能な-C(O)-基である)のβ-アドレナリン遮断薬の残基から選択され;他の置換基は請求項1で規定される]のβ-アドレナリン遮断薬ニトロオキシ誘導体ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩、これらを含有する医薬組成物及び高血圧、心臓血管疾患、緑内障、片頭痛及び血管疾患の治療のためのそれらの使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、β-アドレナリン遮断薬の誘導体に関する。より具体的には、本発明は、β-アドレナリン遮断薬のニトロオキシ誘導体、それらを含む医薬組成物及び高血圧、心臓血管疾患、緑内障、片頭痛、血管疾患及び高眼圧(elevated intraocular pressure)の治療のためのそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
β-アドレナリン遮断薬(β遮断薬)は、高血圧、及び狭心症、不整脈、急性心筋梗塞、肥大性心筋症、うっ血性心不全を含む心臓血管疾患の治療において広く用いられている。
これらは、心臓の受容体部位でのカテコールアミンの作用をブロックするように働くが、血管及び肺の受容体をブロックするそれらの能力は、いくらか異なる。選択的なβ遮断薬は、心臓に対して主な作用を有し、他のあるものはβ受容体の弱い刺激物質であるがカテコールアミンの主要な作用はブロックでき、あるものは心臓でのβ1及びβ2受容体の両方及び血管でのこれらをブロックするが刺激活性はなく、あるものは血管でさらなる血管性作用(vascular effects)を誘導し得る他のカテコールアミン受容体をブロックする。
【0003】
筋疲労、睡眠障害、心拍数減少、低血圧、四肢の冷え、喘息患者における気管支痙攣、低血糖、血症脂質の増加などのいくつかの副作用がこのクラスの薬剤と関連している。
さらに、アドレナリン作動系に対する感受性の増加が生じるので、β遮断薬での長期の治療後の突然の中止は避けなければならない。
【0004】
米国特許第6,242,432号は、抗血栓症活性を有する式A-(X1-NO2)toの誘導体(式中、Aはβ-アドレナリン遮断薬の残基であり、X1は二価の連結ブリッジであり、toは1又は2である)を開示している。この発明は、β-アドレナリン遮断薬の特定の残基に限定される。
【0005】
米国特許第5,502,237号及び米国特許第5,639,904号は、心臓血管障害の治療用の式R1-Ar-O-CH2-CH(OH)-CH2-NH-CH(CH3)2の誘導体(式中、R1は、置換基として少なくとも1つのニトロオキシ基を有する鎖である)を開示している。
【0006】
米国特許第4,801,596号は、心臓及び循環の疾患の予防及び/又は治療に用い得る、式:
【化1】

(式中、R3は、3〜8の炭素原子を含むアルキル又はニトロオキシアルキル基である)
のアミノプロパノール誘導体を開示している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、元来のβ遮断薬に比べて全体の薬理プロフィールが大幅に改善され、親(parent)化合物に関連する副作用が除去され得るか又は少なくとも減少され得るだけでなく、薬理活性及び許容性が改善された新規なβ-アドレナリン遮断薬ニトロオキシ誘導体を提供することであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
驚くべきことに、本発明のβ-アドレナリン遮断薬ニトロオキシ誘導体が、よりよい薬理活性及び臓器保護特性、抗炎症剤として及び腎機能に対して増強された効果を有することが見出された。さらに、これらは、アテローム性動脈硬化症、末梢血管疾患(PVD)及び高眼圧を含む他の病理にも効果的である。
【0009】
特に、本発明のβ-アドレナリン遮断薬ニトロオキシ誘導体は、上記の従来技術の化合物とは異なって、心臓血管系に対する活性が改善され、そして許容性が増強され、高血圧、心臓血管疾患、緑内障、片頭痛、血管疾患及び高眼圧の治療又は予防に用い得ることが認められた。
【0010】
本発明の目的は、一般式(I):
A-(Y-ONO2)s
のβ-アドレナリン遮断薬ニトロオキシ誘導体ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩であって、
式中、
sは1又は2に等しい整数であり;
Aは、次の式(II):
【0011】
【化2】

【0012】
(式中、
R1は:
【0013】
【化3】

【0014】
からなる群より選択され;
R2は、-CH(CH3)2、-C(CH3)3又は
【0015】
【化4】

【0016】
からなる群より選択され;
R1基が式(IIa)、(IIc)、(IId)、(IIg)、(IIh)、(IIi)、(IIm)から選択されるとき、R2は-CH(CH3)2であり;
R1基が式(IIe)、(IIf)又は(IIn)から選択されるとき、R2は-C(CH3)3であり;
R1が(IIb)基であるとき、R2は(IIIa)であり;
R1が(IIL)基であるとき、R2は(IIIb)であり;
Zは、H又は-C(O)-、-C(O)O-若しくは
【0017】
【化5】

【0018】
(式中、R'及びR''は同一又は異なって、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルである)
からなる群より選択されるYに結合可能な基であり;
Z1は、H又はYに結合可能な-C(O)-であるが;
但し、式(I)のsが1であるとき、Z又はZ1はHであり、好ましくは式(I)のsが2であるとき、Z及びZ1は-C(O)-である)
のβ-アドレナリン遮断薬の残基から選択され、
Yは、次の意味:
【0019】
a)
- ハロゲン原子、ヒドロキシ、- ONO2又はT (ここで、Tは-OC(O)(C1〜C10アルキル)-ONO2、-O(C1〜C10アルキル)-ONO2からなる群より選択される1又はそれより多い置換基で任意に置換されていてもよい直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C20アルキレン、好ましくはC1〜C10アルキレン、より好ましくはC3〜C6アルキレン;
【0020】
b)
- シクロアルキレン環中に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレンであって、該環は側鎖T1 (ここで、T1は1〜10の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキルであり、T1は好ましくはCH3である)で任意に置換されていてもよい;
c)
【0021】
【化6】

【0022】
(式中、
nは0〜20の整数であり、好ましくはnは0〜10の整数であり、より好ましくはnは0又は1であり;
n1は1〜20、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくはn1は1であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数であり、好ましくはnaは0に等しい)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHであり、好ましくはWは酸素である)である)
d)
【0023】
【化7】

【0024】
(式中、
n1は1〜20、好ましくは1〜10の整数であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHであり、好ましくはWは硫黄又はNHである)であり;
n6は1〜20、好ましくは1〜5の整数であり、より好ましくはn6は1であり;
n7は0〜20、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくはn7は1であり;
R5、R5'、R6及びR6'は、H、CH3、OH、NH2、NHCOCH3、COOH、CH2SH及びC(CH3)2SHからなる群より独立して選択され;
CA炭素とCB炭素との間の結合が二重結合であるときに、R5及びR6又はR6'及びR5'は存在しない)
但し、Yがc)〜d)で記載される二価の基から選択されるとき、-ONO2基は-(CH2)n1-基に結合し;
e)
【0025】
【化8】

【0026】
(式中、
X2はO又はSであり;
n10a、n10及びn12は、0〜20から独立して選択される整数であり;
n10aは好ましくは0〜10から選択され、より好ましくはn10aは0又は1であり;
n10及びn12は好ましくは1〜10から選択され、より好ましくはn10及びn12は1又は2であり;
n11は0〜6、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくはn11は0又は1であり;
R11は、H、CH3又はニトロオキシ基であり、好ましくはR11はH又はニトロオキシ基であり;
R11aは、CH3又はニトロオキシ基である)
f)
【0027】
【化9】

【0028】
(式中、
n8は0〜10の整数であり;
n9は1〜10の整数であり;
R9、R10、R8、R7は同一又は異なって、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルであり、好ましくはR9、R10、R8、R7はHであり;
ここで、-ONO2基は
【0029】
【化10】

【0030】
(式中、n9は上記で規定したとおりである)
に結合し;
Y2は、窒素、酸素、硫黄から選択される1又はそれより多いヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和若しくは芳香族の5又は6員の複素環式環であって、
【0031】
【化11】

【0032】
からなる群より選択される)
を有する2価の基である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
ある実施形態は、
sが2であり;
Aが、次の式(II):
【0034】
【化12】

【0035】
(式中、
R1は:
【0036】
【化13】

【0037】
からなる群より選択され;
R2は、-CH(CH3)2、-C(CH3)3又は
【0038】
【化14】

【0039】
からなる群より選択され;
R1基が式(IIa)、(IIc)、(IId)、(IIg)、(IIh)、(IIi)、(IIm)から選択されるとき、R2は-CH(CH3)2であり;
R1基が式(IIe)、(IIf)又は(IIn)から選択されるとき、R2は-C(CH3)3であり;
R1が(IIb)基であるとき、R2は(IIIa)であり;
R1が(IIL)基であるとき、R2は(IIIb)であり;
Zは、-C(O)-、-C(O)O-若しくは
【0040】
【化15】

【0041】
(式中、R'及びR''は同一又は異なって、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルである)
からなる群より選択されるYに結合可能な基であり;
Z1は、H又はYに結合可能な-C(O)-であり、好ましくは、Z及びZ1は-C(O)-である)
のβ-アドレナリン遮断薬の残基から選択され、
Yが、次の意味:
【0042】
a)
- ハロゲン原子、ヒドロキシ、- ONO2又はT (ここで、Tは-OC(O)(C1〜C10アルキル)-ONO2、-O(C1〜C10アルキル)-ONO2からなる群より選択される1又はそれより多い置換基で任意に置換されていてもよい直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C20アルキレン、好ましくはC1〜C10アルキレン、より好ましくはC3〜C6アルキレン;
【0043】
b)
- シクロアルキレン環中に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレンであって、該環は側鎖T1 (ここで、T1は1〜10の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキルであり、T1は好ましくはCH3である)で任意に置換されていてもよい;
c)
【0044】
【化16】

【0045】
(式中、
nは0〜20の整数であり、好ましくはnは0〜10の整数であり、より好ましくはnは0又は1であり;
n1は1〜20、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくはn1は1であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数であり、好ましくはnaは0に等しい)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHであり、好ましくはWは酸素である)である)
d)
【0046】
【化17】

【0047】
(式中、
n1は1〜20、好ましくは1〜10の整数であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHであり、好ましくはWは硫黄又はNHである)であり;
n6は1〜20、好ましくは1〜5の整数であり、より好ましくはn6は1であり;
n7は0〜20、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくはn7は1であり;
R5、R5'、R6及びR6'は、H、CH3、OH、NH2、NHCOCH3、COOH、CH2SH及びC(CH3)2SHからなる群より独立して選択され;
CA炭素とCB炭素との間の結合が二重結合であるときに、R5及びR6又はR6'及びR5'は存在しない)
但し、Yがc)〜d)で記載される二価の基から選択されるとき、-ONO2基は-(CH2)n1-基に結合し;
e)
【0048】
【化18】

【0049】
(式中、
X2はO又はSであり;
n10a、n10及びn12は、0〜20から独立して選択される整数であり;
n10aは好ましくは0〜10から選択され、より好ましくはn10aは0又は1であり;
n10及びn12は好ましくは1〜10から選択され、より好ましくはn10及びn12は1又は2であり;
n11は0〜6、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくはn11は0又は1であり;
R11は、H、CH3又はニトロオキシ基であり、好ましくはR11はH又はニトロキシであり;
R11aは、CH3又はニトロオキシ基である)
f)
【0050】
【化19】

【0051】
(式中、
n8は0〜10の整数であり;
n9は1〜10の整数であり;
R9、R10、R8、R7は同一又は異なって、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルであり、好ましくはR9、R10、R8、R7はHであり;
ここで、-ONO2基は
【0052】
【化20】

【0053】
(式中、n9は上記で規定したとおりである)
に結合し;
Y2は、窒素、酸素、硫黄から選択される1又はそれより多いヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和若しくは芳香族の5又は6員の複素環式環であって、
【0054】
【化21】

【0055】
からなる群より選択される)
を有する2価の基である、式(I)の化合物を提供する。
【0056】
別の実施形態は、
sが1であり;
Aが、次の式(II):
【0057】
【化22】

【0058】
(式中、
R1は:
【0059】
【化23】

【0060】
からなる群より選択され;
R2は、-CH(CH3)2、-C(CH3)3又は
【0061】
【化24】

【0062】
からなる群より選択され;
R1基が式(IIa)、(IIc)、(IId)、(IIg)、(IIh)、(IIi)、(IIm)から選択されるとき、R2は-CH(CH3)2であり;
R1基が式(IIe)、(IIf)又は(IIn)から選択されるとき、R2は-C(CH3)3であり;
R1が(IIb)基であるとき、R2は(IIIa)であり;
R1が(IIL)基であるとき、R2は(IIIb)であり;
ZはHであり、
Z1はYに結合可能な-C(O)-である)
のβ-アドレナリン遮断薬の残基から選択され、
Yが、次の意味:
【0063】
a)
- ハロゲン原子、ヒドロキシ、- ONO2又はT (ここで、Tは-OC(O)(C1〜C10アルキル)-ONO2、-O(C1〜C10アルキル)-ONO2からなる群より選択される1又はそれより多い置換基で任意に置換されていてもよい直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C20アルキレン、好ましくはC1〜C10アルキレン、より好ましくはC3〜C6アルキレン;
【0064】
b)
- シクロアルキレン環中に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレンであって、該環は側鎖T1 (ここで、T1は1〜10の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキルであり、T1は好ましくはCH3である)で任意に置換されていてもよい;
c)
【0065】
【化25】

【0066】
(式中、
nは0〜20の整数であり、好ましくはnは0〜10の整数であり、より好ましくはnは0又は1であり;
n1は1〜20、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくはn1は1であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数であり、好ましくはnaは0に等しい)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHであり、好ましくはWは酸素である)である)
d)
【0067】
【化26】

【0068】
(式中、
n1は1〜20、好ましくは1〜10の整数であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHであり、好ましくはWは硫黄又はNHである)であり;
n6は1〜20、好ましくは1〜5の整数であり、より好ましくはn6は1であり;
n7は0〜20、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくはn7は1であり;
R5、R5'、R6及びR6'は、H、CH3、OH、NH2、NHCOCH3、COOH、CH2SH及びC(CH3)2SHからなる群より独立して選択され;
CA炭素とCB炭素との間の結合が二重結合であるときに、R5及びR6又はR6'及びR5'は存在しない)
但し、Yがc)〜d)で記載される二価の基から選択されるとき、-ONO2基は-(CH2)n1-基に結合し;
e)
【0069】
【化27】

【0070】
(式中、
X2はO又はSであり;
n10a、n10及びn12は、0〜20から独立して選択される整数であり;
n10aは好ましくは0〜10から選択され、より好ましくはn10aは0又は1であり;
n10及びn12は好ましくは1〜10から選択され、より好ましくはn10及びn12は1又は2であり;
n11は0〜6、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくはn11は0又は1であり;
R11は、H、CH3又はニトロオキシ基であり、好ましくはR11はH又はニトロキシであり;
R11aは、CH3又はニトロオキシ基である)
f)
【0071】
【化28】

【0072】
(式中、
n8は0〜10の整数であり;
n9は1〜10の整数であり;
R9、R10、R8、R7は同一又は異なって、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルであり、好ましくはR9、R10、R8、R7はHであり;
ここで、-ONO2基は
【0073】
【化29】

【0074】
(式中、n9は上記で規定したとおりである)
に結合し;
Y2は、窒素、酸素、硫黄から選択される1又はそれより多いヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和若しくは芳香族の5又は6員の複素環式環であって、
【0075】
【化30】

【0076】
からなる群より選択される)
を有する2価の基である、式(I)の化合物を提供する。
【0077】
別の実施形態は、
sが1であり;
Aが、次の式(II):
【0078】
【化31】

【0079】
(式中、
R1は:
【0080】
【化32】

【0081】
からなる群より選択され;
R2は、-CH(CH3)2、-C(CH3)3又は
【0082】
【化33】

【0083】
からなる群より選択され;
R1基が式(IIa)、(IIc)、(IId)、(IIg)、(IIh)、(IIi)、(IIm)から選択されるとき、R2は-CH(CH3)2であり;
R1基が式(IIe)、(IIf)又は(IIn)から選択されるとき、R2は-C(CH3)3であり;
R1が(IIL)基であるとき、R2は(IIIb)であり;
Z1はHであり、
Zは-C(O)-、-C(O)O-若しくは
【0084】
【化34】

【0085】
(式中、R'及びR''は同一又は異なって、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルである)
からなる群より選択されるYに結合可能な基である)
のβ-アドレナリン遮断薬の残基から選択され、
Yが、次の意味:
c)
【0086】
【化35】

【0087】
(式中、
nは0〜20の整数であり、好ましくはnは0〜10の整数であり、より好ましくはnは0又は1であり;
n1は1〜20、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくはn1は1であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数であり、好ましくはnaは0に等しい)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHであり、好ましくはWは酸素である)である)
e)
【0088】
【化36】

【0089】
(式中、
X2はO又はSであり;
n10aは0又は1であり;
n11は0又は1であり;
n10及びn12は1又は2であり;
R11は、H、CH3又はニトロオキシ基であり;
R11aは、CH3又はニトロオキシ基である)
f)
【0090】
【化37】

【0091】
(式中、
n8は0〜10の整数であり;
n9は1〜10の整数であり;
R9、R10、R8、R7は同一又は異なって、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルであり、好ましくはR9、R10、R8、R7はHであり;
ここで、-ONO2基は
【0092】
【化38】

【0093】
(式中、n9は上記で規定したとおりである)
に結合し;
Y2は、窒素、酸素、硫黄から選択される1又はそれより多いヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和若しくは芳香族の5又は6員の複素環式環であって、
【0094】
【化39】

【0095】
からなる群より選択される)
を有する2価の基である、式(I)の化合物を提供する。
【0096】
別の実施形態は、
sが1又は2に等しい整数であり;
Aが、次の式(II):
【0097】
【化40】

【0098】
(式中、
R1は(IIb):
【0099】
【化41】

【0100】
であり;
R2は(IIIa)
【0101】
【化42】

【0102】
であり;
Zは、H又は-C(O)-、-C(O)O-若しくは
【0103】
【化43】

【0104】
(式中、R'及びR''は同一又は異なって、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルである)
からなる群より選択されるYに結合可能な基であり;
Z1は、H又はYに結合可能な-C(O)-であるが;
但し、式(I)のsが1であるとき、Z又はZ1はHであり、好ましくは式(I)のsが2であるとき、Z及びZ1は-C(O)-である)
のβ-アドレナリン遮断薬の残基であり、
Yは、次の意味:
【0105】
a)
- ハロゲン原子、ヒドロキシ、- ONO2又はT (ここで、Tは-OC(O)(C1〜C10アルキル)-ONO2、-O(C1〜C10アルキル)-ONO2からなる群より選択される1又はそれより多い置換基で任意に置換されていてもよい直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C20アルキレン、好ましくはC1〜C10アルキレン、より好ましくはC3〜C6アルキレン;
【0106】
b)
- シクロアルキレン環中に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレンであって、該環は側鎖T1 (ここで、T1は1〜10の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキルであり、T1は好ましくはCH3である)で任意に置換されていてもよい;
c)
【0107】
【化44】

【0108】
(式中、
nは0〜20の整数であり、好ましくはnは0〜10の整数であり、より好ましくはnは0又は1であり;
n1は1〜20、好ましくは1〜10の整数であり、より好ましくはn1は1であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数であり、好ましくはnaは0に等しい)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHであり、好ましくはWは酸素である)である)
d)
【0109】
【化45】

【0110】
(式中、
n1は1〜20、好ましくは1〜10の整数であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHであり、好ましくはWは硫黄又はNHである)であり;
n6は1〜20、好ましくは1〜5の整数であり、より好ましくはn6は1であり;
n7は0〜20、好ましくは0〜5の整数であり、より好ましくはn7は1であり;
R5、R5'、R6及びR6'は、H、CH3、OH、NH2、NHCOCH3、COOH、CH2SH及びC(CH3)2SHからなる群より独立して選択され;
CA炭素とCB炭素との間の結合が二重結合であるときに、R5及びR6又はR6'及びR5'は存在しない)
但し、Yがc)〜d)で記載される二価の基から選択されるとき、-ONO2基は-(CH2)n1-基に結合し;
e)
【0111】
【化46】

【0112】
(式中、
X2はO又はSであり;
n10a、n10及びn12は、0〜20から独立して選択される整数であり;
n10aは好ましくは0〜10から選択され、より好ましくはn10aは0又は1であり;
n10及びn12は好ましくは1〜10から選択され、より好ましくはn10及びn12は1又は2であり;
n11は0〜6、好ましくは0〜4の整数であり、より好ましくはn11は0又は1であり;
R11は、H、CH3又はニトロオキシ基であり、好ましくはR11はH又はニトロオキシ基であり;
R11aは、CH3又はニトロオキシ基である)
f)
【0113】
【化47】

【0114】
(式中、
n8は0〜10の整数であり;
n9は1〜10の整数であり;
R9、R10、R8、R7は同一又は異なって、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルであり、好ましくはR9、R10、R8、R7はHであり;
ここで、-ONO2基は
【0115】
【化48】

【0116】
(式中、n9は上記で規定したとおりである)
に結合し;
Y2は、窒素、酸素、硫黄から選択される1又はそれより多いヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和若しくは芳香族の5又は6員の複素環式環であって、
【0117】
【化49】

【0118】
からなる群より選択される)
を有する2価の基である式(I)の化合物を提供する。
【0119】
好ましい化合物は、
sが2であり、
Aが、上記で規定するような式(II)のβ-アドレナリン遮断薬の残基であり、
Z及びZ1が-(CO)-であり、
Yが次の意味:
a) 直鎖状のC1〜C10アルキレン、好ましくはC3〜C6アルキレン;
c)
【0120】
【化50】

【0121】
(式中、-ONO2基は(CH2)n1に結合し;
n、n2、n3、n4、n5は0に等しく、n1は1であり、-(CH2)n1-基は、[C]2又は[C]3又は[C]4を介してフェニル環に結合しているか、あるいは
n、n2、n5は1であり、n3及びn4は0に等しく、
n1は1〜10の整数であり、
Y1は、-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0である)であり、X1は、-WC(O)- (式中、Wは酸素であり、WC(O)基は[C]4を介してフェニル環に結合する)であり、R4がCH3でありかつ(OR4)基が、[C]3を介してフェニル環に結合する)
d)
【0122】
【化51】

【0123】
(式中、
n1は1〜10の整数であり、
n6及びn7は1であり、
X1は、-WC(O)- (式中、Wは硫黄である)であり、
R5、R5'及びR6'はHであり、R6はNHCOCH3であり、
-ONO2は、-(CH2)n1-基に結合する)
e)
【0124】
【化52】

【0125】
(式中、
X2はO又はSであり、n11は0であり、
n10aは0〜10の整数であり、
n12は1〜10の整数であり、
R11はH又はニトロオキシ基であり、
-ONO2基は(CH2)n12に結合する)
を有する2価の基である式(I)の化合物である。
【0126】
好ましい化合物の別の群は、
sが1であり、
Aが、上記で規定するような式(II)のβ-アドレナリン遮断薬の残基であり、
ZがHであり、
Z1が-(CO)-であり、
Yが次の意味:
a) 直鎖状のC1〜C10アルキレン、好ましくはC3〜C6アルキレン;
c)
【0127】
【化53】

【0128】
(式中、-ONO2基は(CH2)n1に結合し;
n、n2、n3、n4、n5は0に等しく、n1は1であり、-(CH2)n1-基は、[C]2又は[C]3又は[C]4を介してフェニル環に結合しているか、あるいは
n、n2、n5は1であり、n3及びn4は0に等しく、
n1は1〜10の整数であり、
Y1は、-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0である)であり、X1は、-WC(O)- (式中、Wは酸素であり、WC(O)基は[C]4を介してフェニル環に結合する)であり、R4がCH3でありかつ(OR4)基が、[C]3を介してフェニル環に結合する)
d)
【0129】
【化54】

【0130】
(式中、
n1は1〜10の整数であり、
X1は、-WC(O)- (式中、Wは硫黄である)であり、
n6は1であり、
n7は1であり、
R5、R5'及びR6'はHであり、R6はNHCOCH3であり、
-ONO2は、-(CH2)n1-基に結合する)
e)
【0131】
【化55】

【0132】
(式中、
X2はO又はSであり、n11は0であり、
n10aは0〜10の整数であり、
n12は1〜10の整数であり、
R11はH又はニトロオキシ基であり、
-ONO2基は(CH2)n12に結合する)
を有する2価の基である式(I)の化合物を含む。
【0133】
好ましい化合物の別の群は、
sが1であり、
Aが、上記で規定するような式(II)のβ-アドレナリン遮断薬の残基であり、
Z1がHであり、
Zが、-(CO)-又は-C(O)O-であり、
Yが次の意味:
c)
【0134】
【化56】

【0135】
(式中、-ONO2基は(CH2)n1に結合し;
n、n2、n3、n4、n5は0に等しく、n1は1であり、-(CH2)n1-基は、[C]2又は[C]3又は[C]4を介してフェニル環に結合しているか、あるいは
式(IV)において、
n、n2、n5は1であり、n3及びn4は0に等しく、
n1は1〜10の整数であり、
Y1は、-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0である)であり、X1は、-WC(O)- (式中、Wは酸素であり、WC(O)基は[C]4を介してフェニル環に結合する)であり、R4がCH3でありかつ(OR4)基が、[C]3を介してフェニル環に結合する)
を有する2価の基である式(I)の化合物を含む。
【0136】
好ましい化合物の別の群は、
sが1であり、
Aが、
R1
【0137】
【化57】

【0138】
であり、
R2
【0139】
【化58】

【0140】
であり、
Z1がHであり、Zが-(CO)-又は-C(O)O-である
式(II)のβ-アドレナリン遮断薬の残基であり、
Yが次の意味:
a) 直鎖状のC1〜C10アルキレン、好ましくはC3〜C6アルキレン;
c)
【0141】
【化59】

【0142】
(式中、-ONO2基は(CH2)n1に結合し;
n、n2、n3、n4、n5は0に等しく、n1は1であり、-(CH2)n1-基は、[C]2又は[C]3又は[C]4を介してフェニル環に結合しているか、あるいは
式(IV)において、
n、n2、n5は1であり、n3及びn4は0に等しく、
n1は1〜10の整数であり、
Y1は、-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0である)であり、X1は、-WC(O)- (式中、Wは酸素であり、WC(O)基は[C]4を介してフェニル環に結合する)であり、R4がCH3でありかつ(OR4)基が、[C]3を介してフェニル環に結合する)
d)
【0143】
【化60】

【0144】
(式中、
n1は1〜10の整数であり、
n6及びn7は1であり、
X1は、-WC(O)- (式中、Wは硫黄である)であり、
R5、R5'及びR6'はHであり、R6はNHCOCH3であり、
-ONO2は、-(CH2)n1-基に結合する)
e)
【0145】
【化61】

【0146】
(式中、
X2はO又はSであり、n11は0であり、
n10aは0〜10の整数であり、
n12は1〜10の整数であり、
R11はH又はニトロオキシ基であり、
-ONO2基は(CH2)n12に結合する)
を有する2価の基である式(I)の化合物を含む。
【0147】
本発明による、最も好ましい式(I)の化合物は、次のとおりである。
【0148】
【化62】

【0149】
【化63】

【0150】
【化64】

【0151】
【化65】

【0152】
【化66】

【0153】
【化67】

【0154】
【化68】

【0155】
【化69】

【0156】
【化70】

【0157】
「直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C20アルキレン」の例は、限定されないが、メチレン、エチレン、プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、ペンチレン、n-ヘキシレンなどを含む。
【0158】
上記のように、本発明は、式(I)の化合物の医薬的に許容される塩及びそれらの立体異性体も含む。
医薬的に許容される塩の例は、無機塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム及び水酸化アルミニウム、又は有機塩基、例えばリジン、アルギニン、トリエチルアミン、ジベンジルアミン、ピペリジン及びその他の許容される有機アミンとの塩のいずれかである。
【0159】
本発明による化合物は、分子内に1つの塩形成性の窒素原子を含むときに、アセトニトリル、テトラヒドロフランのような有機溶媒中での対応する有機又は無機の酸との反応により、対応する塩に変換できる。
医薬的に許容される有機酸の例は、シュウ酸、酒石酸、マレイン酸、コハク酸、クエン酸である。医薬的に許容される無機酸の例は、硝酸、塩化水素酸、硫酸、リン酸である。硝酸との塩が好ましい。
【0160】
1つ又はそれより多い不斉炭素原子を有する本発明の化合物は、光学的に純粋な鏡像異性体、純粋なジアステレオマー、鏡像異性体混合物、ジアステレオマー混合物、鏡像異性体ラセミ混合物、ラセミ体(racemates)又はラセミ体混合物(racemate mixtures)として存在し得る。式(I)の化合物の可能な異性体、立体異性体及びそれらの混合物の全ては、本発明の目的の範囲内である。
【0161】
本発明の化合物及び組成物は、限定されないが、経口で、バッカルで、非経口で、吸入スプレーにより、局所塗布により、注射により、経皮で、又は直腸で(例えば坐剤の使用により)を含むいずれの利用可能で効果的な送達系により、通常の非毒性の医薬的に許容される担体、アジュバント及び賦形剤(vehicles)を含む投与単位形態で投与できる。非経口は、皮下注射、静脈内、筋肉内、胸骨内(intrasternal)注射又は注入法を含む。
【0162】
経口投与用の固体剤形は、例えばカプセル剤、錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤及びゲルを含み得る。このような固体剤形において、活性化合物は、少なくとも1種の不活性な希釈剤、例えばスクロース、ラクトース又はスターチと混合され得る。このような剤形は、通常の実施として、不活性な希釈剤以外の添加物質、例えばステアリン酸マグネシウムのような滑沢剤をも含み得る。
【0163】
注射可能な製剤、例えば水性又は油性の滅菌注射用懸濁液は、公知の技術に従って、適切な分散剤、湿潤剤及び/又は懸濁剤を用いて処方できる。
【0164】
本発明の組成物は、通常の賦形剤(excipients)、すなわち活性化合物と有害な反応をしない、医薬的に許容される有機又は無機の物質をさらに含み得る。
【0165】
β-アドレナリン遮断薬ニトロオキシ誘導体の用量は、標準の診療所の技術により決定でき、Physician's Desk Reference, Medical Economics Company, Inc., Oradell, N.J., 58th Ed., 2004;The pharmacological basis of therapeutics, Goodman and Gilman, J. G. Hardman, L. e. Limbird, 20th Edに報告されるような市販で入手可能な化合物について記載されるのと同じか又はより少ない範囲である。
【実施例】
【0166】
実験
合成方法
本発明の化合物は、スキーム1〜6に示すようにして合成できる。
スキーム1〜3に式Dの化合物として規定される一般式(I) A-(Y-ONO2)s (式中、sは1であり、Yは上記で規定したとおりであり、Aは式(II) (式中、Zが-C(O)-であり、Z1はHである)のβ-アドレナリン遮断薬の残基である)の化合物、その鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩は、スキーム1〜3に概説するようにして製造できる。
スキーム1
【0167】
【化71】

【0168】
R1、R2、Z及びYが上記で規定したとおりであり、P1がアミン保護基、例えばtert-ブチルオキシカルボニルエステル(t-Boc)であり、X3がハロゲン原子、好ましくはCl、Br及びIである式(i)の化合物は、R1、R2、P1、Z及びYが上記で規定したとおりである式(L)の化合物に、適切な有機溶媒、例えばアセトニトリル、テトラヒドロフランの中でのAgNO3との反応により変換される。モル超過の硝酸銀が好ましく用いられ、反応は暗所で、室温から溶媒の沸騰温度までの温度で行なわれる。式(L)の化合物は、式(D)の化合物に、アミン基の脱保護(強酸、例えばジオキサン中のHCl又はトリフルオロ酢酸を用いてt-ブチルカルバメートを除去する)により変換される。アミン保護基を除くその他の好ましい方法は、T. W. Greene "Protective groups in organic synthesis", Harvard University Press, 1980に記載されるものである。
【0169】
R1、R2、Z、P1及びYが上記で規定したとおりである式(H)の化合物は、R1、R2、Y、Z、X3及びP1が上記で規定したとおりである式(i)のエステルに、式X3-Y-COOH (式中、Y及びX3は上記で規定したとおりである)の適切な酸(Q1)との反応により変換される。反応は、通常、不活性有機溶媒、例えばN,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、ポリハロゲン化脂肪族炭化水素の中で、0〜50℃の温度で、脱水剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドDCC又は1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド 塩酸塩 (EDAC HCl)と触媒、例えば4-N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下に行われる。
【0170】
R1、R2及びP1が上記で規定したとおりである式(H)の化合物は、R1、R2が上記で規定したとおりであり、Pがヒドロキシル保護基、例えばシリルエーテル、例えばトリメチルシリル又はtert-ブチル-ジメチルシリル及びT. W. Greene "Protective groups in organic synthesis", Harvard University Press, 1980に記載されるものである式(G)の化合物のヒドロキシル基を脱保護することにより得ることができる。フッ素イオンが、シリルエーテル保護基を除去するための好ましい方法である。
【0171】
R1、R2、P及びP1が上記で規定したとおりである式(G)の化合物は、R1、R2及びPが上記で規定したとおりである式(F)の化合物を、上記のような適切なアミン保護基(P1)と反応させることにより得ることができる。
【0172】
R1、R2が上記で規定したとおりである式(A)の化合物のアルコール基を保護することにより、R1、R2が上記で規定したとおりである式(F)の化合物が得られる。アルコール部分の好ましい保護基は、シリルエーテル、例えばトリメチルシリル又はtert-ブチル-ジメチルシリルである。
【0173】
R1、R2が上記で規定したとおりである式(A)の化合物は市販で入手可能であり、X3が上記で規定したとおりである式X3-Y-COOHの酸は、市販で入手可能である。
【0174】
スキーム2
【0175】
【化72】

【0176】
R1、R2、Z、Yが上記で規定したとおりであり、X3がハロゲン原子、例えばCl、Br及びIである式(B)の化合物は、R1、R2、Z及びYが上記で規定したとおりである式(D)の化合物に、適切な有機溶媒、例えばアセトニトリル、テトラヒドロフランの中でのAgNO3との反応により変換される。モル超過の硝酸銀が好ましく用いられ、反応は暗所で、室温から溶媒の沸騰温度までの温度で行なわれる。
【0177】
R1、R2、Z、Y及びX3が上記で規定したとおりである式(B)の化合物は、式(A)の化合物の、式X3-Y-C(O)Cl (式中、X3は塩素、臭素から選択され、Yは上記のとおりである)の適切な塩化アシル(Q)との反応により得ることができる。エステル化は、不活性有機溶媒、例えばN,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、クロロホルムの中で、塩基、例えばトリエチルアミン、ピリジンの存在下に、室温から50℃の温度で行われる。反応は、30分から24時間の時間範囲内で完了する。
【0178】
あるいは、式(B)の化合物は、式(A)の化合物の、式X3-Y-C(O)OHの酸(Q1)との、脱水剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又はN'-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド 塩酸塩(EDAC)と触媒、例えばN,N-ジメチルアミノ ピリジンの存在下での反応により得ることができる。反応は、不活性有機溶媒、例えばN,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、ポリハロゲン化脂肪族炭化水素の中で、0〜50℃の温度で行なわれる。反応は、30分から36時間の時間範囲内で完了する。
【0179】
X3がハロゲン原子である式(Q1)の化合物は、市販で入手可能であるか、又は市販で入手可能な対応するヒドロキシ酸から、公知の反応、例えば不活性溶媒、例えばトルエン、クロロホルム、DMFなどの中での塩化チオニル又は塩化オキサリル、PIII又はPVのハロゲン化物との反応により得ることができる。
【0180】
R1、R2が上記で規定したとおりである式(A)の化合物は、市販で入手可能である。
【0181】
スキーム3
【0182】
【化73】

【0183】
あるいは、式(D)の化合物は、次のようにして得ることができる。式の化合物は、化合物(D)に、活性化されたアシル化基を含む式Cl(O)C-Y-ONO2のニトロオキシ誘導体とのヒドロキシ基の反応により変換される。
ニトロオキシ化合物は、式Cl(O)C-Y-OHの対応するアルコールから、硝酸及び無水酢酸との-50〜0℃の温度範囲での反応によるか、又は式Cl(O)C-Y-Halの対応するハロゲン誘導体から、硝酸銀との不活性溶媒、例えばアセトニトリル、テトラヒドロフランの存在下での反応により得ることができる。モル超過の硝酸銀が好ましく用いられ、反応は暗所で、沸騰温度から室温までの温度で行なわれる。反応は、30分から3日の時間範囲内で完了する。
【0184】
式(D1)の化合物としてスキーム4で規定される一般式(I) A-(Y-ONO2)s (式中、sは1であり、Yは上記で規定したとおりであり、Aは式(II) (式中、Zは-C(O)O-であり、Z1はHである)のβアドレナリン遮断薬の残基である)の化合物、それらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩は、スキーム4に概説するようにして製造できる。
スキーム4
【0185】
【化74】

【0186】
R1、R2、Yが上記で規定したとおりであり、X3がハロゲン原子、例えばCl、Br及びIである式(B1)の化合物は、R1、R2及びYが上記で規定したとおりである式(D1)の化合物に、適切な有機溶媒、例えばアセトニトリル、テトラヒドロフランの中でのAgNO3との反応により変換される。モル超過の硝酸銀が好ましく用いられ、反応は暗所で、室温から溶媒の沸騰温度までの温度で行なわれる。
【0187】
R1及びR2が上記で規定したとおりである式(A)の化合物は、化合物(B1)に、式X3-Y-OC(O)Cl (式中、X3はCl、Br又はIであり、Yは上記で規定したとおりである)を有する適切な化合物(Q2)との反応により変換される。反応は、通常、非プロトン性の極性又は非極性の溶媒、例えばTHF又はCH2Cl2中の塩基の存在下に0〜65℃の温度範囲で、又は二相系(double phase system) H2O/Et2O中で20〜40℃の温度範囲で行なわれる。
【0188】
式(Q2)の化合物は、市販で入手可能であるか、又は対応するアルコールから、有機塩基の存在下でトリホスゲンとの反応により得ることができる。
【0189】
式(D)の化合物としてスキーム5で規定される一般式(I) A-(Y-ONO2)s (式中、sは1であり、Yは上記で規定したとおりであり、Aは式(II) (式中、Zは
【0190】
【化75】

【0191】
(式中、R'及びR''は、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルである)であり、Z1はHである)のβアドレナリン遮断薬の残基である)の化合物、それらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩は、スキーム5に概説するようにして製造できる。
スキーム5
【0192】
【化76】

【0193】
R1、R2、Z及びYが上記で規定したとおりであり、P1がアミン、例えばtert-ブチルオキシカルボニルエステル(t-Boc)であり、X3がハロゲン原子、例えばCl、Br及びIである式(i)の化合物は、R1、R2、P1、Z及びYが上記で規定したとおりである式(L)の化合物に、適切な有機溶媒、例えばアセトニトリル、テトラヒドロフランの中でのAgNO3との反応により変換される。モル超過の硝酸銀が好ましく用いられ、反応は暗所で、室温から溶媒の沸騰温度までの温度で行なわれる。式(L)の化合物は、式(D)の化合物に、アミン基の脱保護(強酸、例えばジオキサン中のHCl又はトリフルオロ酢酸を用いてt-ブチルカルバメートを除去する)により変換される。アミン保護基を除くその他の好ましい方法は、T. W. Greene "Protective groups in organic synthesis", Harvard University Press, 1980に記載されるものである。
【0194】
R1、R2、Y、X3、Z及びP1が上記で規定したとおりである式(i)の化合物は、R1、R2、P1、R'、R''及びX3が上記で規定したとおりである式(M)の化合物を、式X3-Y-COOH (式中、X3はハロゲン原子であり、Yは上記で規定したとおりである)の酸(Q1)と反応させることにより得ることができる。反応は、不活性有機溶媒、例えばN,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、ポリハロゲン化脂肪族炭化水素の中で、0〜50℃の温度で、脱水剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド DCC又は1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩 (EDAC HCl) と触媒、例えば4-N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)の存在下に行われる。
反応は、30分から24時間の時間範囲内で完了する。
【0195】
R1、R2、P1、R'、R''及びX3が上記で規定したとおりである式(M)の化合物は、式(H)の化合物を、式X3-C(R')(R'')-OC(O)X3 (式中、X3はハロゲン原子である)の化合物(S)と反応させることにより得ることができる。反応は、極性溶媒、例えばDMF、THF、アセトニトリルの中の有機又は無機塩基の存在下に、-5〜60℃の範囲の温度で、又は文献で公知の方法に従う二相系で行なわれる。
【0196】
化合物(A)のアミン基を保護することにより、P1が適切なアミン保護基、例えばtert-ブチルオキシカルボニルエステル(t-Boc)である式(H)の化合物が得られる。化合物(S)は、市販で入手可能である。
【0197】
式(E)の化合物としてスキーム6で規定される一般式(I) A-(Y-ONO2)s (式中、sは2であり、Yは上記で規定したとおりであり、Aは式(II) (式中、Z1及びZは-C(O)-である)のβアドレナリン遮断薬の残基である)の化合物、それらの鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩は、スキーム6に示すようにして製造できる。
スキーム6
【0198】
【化77】

【0199】
R1、R2、Z、Z1及びYが上記で規定されたとおりであり、X3がハロゲン原子、例えばCl、Br及びIである式(C)の化合物は、R1、R2、Z及びYが上記で規定されたとおりである式(E)の化合物に、適切な有機溶媒、例えばアセトニトリル、テトラヒドロフランの中でのAgNO3との反応により変換される。モル超過の硝酸銀が好ましく用いられ、反応は暗所で、室温から溶媒の沸騰温度までの温度で行なわれる。
【0200】
R1、R2、Z、Z1、Y及びX3が上記で規定されたとおりである式(C)の化合物は、式(A)の化合物の、式X3-Y-C(O)Cl (式中、X3は塩素、臭素から選択され、Yは上記のとおりである)の適切なハロゲン化アシル(Q)との反応により得ることができる。反応は、不活性有機溶媒、例えばN,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、クロロホルムの中で、塩基、例えばトリエチルアミン、ピリジンの存在下に、室温から50℃の温度で行われる。反応は、30分から24時間の時間範囲内で完了する。
【0201】
あるいは、式(C)の化合物は、式(A)の化合物の、式X3-Y-COOHの酸(Q1)との、脱水剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又はN'-(3-ジメチルアミノプロピル)-N-エチルカルボジイミド 塩酸塩(EDAC)とN,N-ジメチルアミノ ピリジンの触媒量の存在下での反応により得ることができる。反応は、不活性有機溶媒、例えばN,N'-ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、ジオキサン、ポリハロゲン化脂肪族炭化水素の中で、0〜50℃の温度で行なわれる。反応は、30分から36時間の時間範囲内で完了する。
【0202】
X3がハロゲン原子である式(Q1)の化合物は、市販で入手可能であるか、又は市販で入手可能な対応するヒドロキシ酸から、公知の反応、例えば不活性溶媒、例えばトルエン、クロロホルム、DMFなどの中での塩化チオニル又は塩化オキサリル、PIII又はPVのハロゲン化物との反応により得ることができる。
【0203】
R1、R2が上記で規定したとおりである式(A)の化合物は、市販で入手可能である。
【0204】
式(E)の化合物は、次のようにして得ることもできる。式Aの化合物は、化合物(E)に、活性化されたアシル化基を含む式Cl(O)C-Y-ONO2のニトロオキシ誘導体との反応により変換される。
【0205】
ニトロオキシ化合物は、式Cl(O)C-Y-OHの対応するアルコールから、硝酸及び無水酢酸との-50〜0℃の温度範囲での反応によるか、又は式Cl(O)C-Y-Halの対応するハロゲン誘導体から、硝酸銀との不活性溶媒、例えばアセトニトリル、テトラヒドロフランの存在下での反応により得ることができる。モル超過の硝酸銀が好ましく用いられ、反応は暗所で、沸騰温度から室温までの温度で行なわれる。反応は、30分から3日の時間範囲内で完了する。
【0206】
実施例
次の限定的でない実施例はさらに説明するものであり、当業者が本発明を作製し使用することを可能にする。
実施例1
式(8)の4-(ニトロオキシメチル)安息香酸 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル]アミノ]-2-プロパノエート
【0207】
【化78】

【0208】
1a. 4-(クロロメチル)安息香酸 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル]アミノ]-2-プロパノエート
クロロホルム (50ml)中のカルベジロール (2g, 5mmol)の溶液に、4-クロロメチル安息香酸(0.9g, 5.5mmol)、EDAC (1.15g, 6mmol)及びN,N-ジメチルアミノピリジン(触媒量)を加えた。反応物を、室温で24時間攪拌した。溶液を水で処理し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をn-ヘキサン/酢酸エチル 6/4 (Rf=0.2)で溶出するフラッシュクロマトグラフィで精製した。表題の物質0.27gを白色粉末として得た。
【0209】
1b. 4-(ニトロオキシメチル)安息香酸 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ) エチル] アミノ]-2-プロパノエート
アセトニトリル (30ml)中の実施例1aの物質(0.27g, 0.48mmol)及び硝酸銀(0.16g, 0.96mmol)の溶液を、暗所にて60℃で36時間攪拌した。沈殿物(銀塩)をろ過し、溶媒を真空下に蒸発させた。残渣をクロロホルム及び水で処理した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣を酢酸エチル/n-ヘキサン 6/4で溶出するフラッシュクロマトグラフィで精製した。表題の物質0.03gを白色粉末として得た。
【0210】
1H-NMR (DMSO) δ (ppm): 11.31 (1H,s); 8.15 (2H,m); 7.8-7.5 (2H,m); 7.43 (1H,d); 7.30 (2H,m); 7.15-6.85 (7H,m); 6.77 (1Hd); 6.03 (1H,m); 5.65 (2H,s); 4.55 (2H,m); 4.33 (2H,m); 4.0-3.7 (5H,m); 3.51 (2H,m).
【0211】
実施例2
式(11)の4-(ニトロオキシメチル)安息香酸 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル][(4-ニトロオキシメチル)ベンゾイル]アミノ]-2-プロパノエート
【0212】
【化79】

【0213】
2a. 4-(クロロメチル)安息香酸 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル][(4-クロロメチル)ベンゾイル]アミノ]-2-プロパノエート
クロロホルム (50ml)中のカルベジロール(2g, 5mmol)の溶液に、4-クロロメチル 安息香酸(0.9g, 5.5mmol)、EDAC (1.15g, 6mmol)及びN,N-ジメチルアミノピリジン(触媒量)を加えた。反応物を室温で24時間攪拌した。溶液を水で処理し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させてろ過した。溶媒を蒸発させ、残渣をn-ヘキサン/酢酸エチル 1/1 (Rf=0.42)で溶出するフラッシュクロマトグラフィで精製した。表題の物質(0.06g)を白色の粉末として得た。
【0214】
2b. 4-(ニトロオキシメチル)安息香酸 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル][(4-ニトロオキシメチル)ベンゾイル]アミノ]-2-プロパノエート
アセトニトリル (20ml)中の実施例2aの物質(0.06g, 0.08mmol)及び硝酸銀(0.06g, 0.32mmol)の溶液を、暗所にて60℃で36時間攪拌した。沈殿物(銀塩)をろ過により回収した。ろ過物を濃縮し、残渣をクロロホルム及び水で処理した。合わせた有機層抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させてろ過した。溶媒を蒸発させ、残渣をn-ヘキサン/酢酸エチル 6/4で溶出するフラッシュクロマトグラフィで精製した。表題の物質0.015gを粉末として得た。
【0215】
1H-NMR (DMSO) δ (ppm): 1.24(1H,s); 8.1 (3H,m); 7.7-7.2 (8H,m); 7.2-6.7 (8H,m); 6.05 (1H,m); 5.6-5.8 (4H,d); 4.55 (1H,m); 4.30 (2H,m); 4.15 (3H,m); 3.71 (5H,s).
【0216】
実施例3
式(15)の1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル][(4-ニトロオキシメチル)ベンゾイル]アミノ]-2-プロパノール
【0217】
【化80】

【0218】
3a. 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル][(4-クロロメチル)ベンゾイル]アミノ]-2-プロパノール
クロロホルム(50ml)中のカルベジロール(2g, 5mmol)の溶液に、4-クロロメチル 安息香酸(0.9g, 5.5mmol)、EDAC (1.15g, 6mmol)及びN,N-ジメチルアミノピリジン(触媒量)を加えた。反応物を室温で24時間攪拌した。溶液を水で処理し、有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させてろ過した。溶媒を蒸発させ、残渣をn-ヘキサン/酢酸エチル 6/4 (Rf=0.42)で溶出するフラッシュクロマトグラフィにより精製した。表題の物質1.05gを白色の粉末として得た。
【0219】
3b. 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル][(4-ニトロオキシメチル)ベンゾイル]アミノ]-2-プロパノール
アセトニトリル(100ml)中の実施例3aの物質(1.0g, 1.78mmol)及び硝酸銀(0.6g, 3.6 mmol)の溶液を、暗所にて65℃で32時間攪拌した。沈殿物(銀塩)をろ過により回収した。ろ過物を濃縮し、残渣を塩化メチレン及び水で処理した。合わせた有機層抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を蒸発させ、残渣をn-ヘキサン/酢酸エチル 1/1で溶出するフラッシュクロマトグラフィで精製した。表題の物質0.4gを黄色粉末として得た。
【0220】
1H-NMR (DMSO) δ (ppm): 11.24 (1H,s); 8.40-6.50 (15H,m); 5.61 (2H,m); 5.51 (1H,m); 5.36 (1H,m); 4.40-3.90 (4H,m); 3.74-3.71 (7H,m).
【0221】
実施例4
式(112)の1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル][(3-ニトロオキシプロパノイル)アミノ]-2-プロパノール
【0222】
【化81】

【0223】
この化合物は、カルベジロール及び3-ブロモプロパン酸から始まって実施例3に記載されたのと同じ方法で合成した。
1H-NMR (DMSO) δ (ppm): 11.24 (1H, s); 8.25 (1H, dd); 7.46 (1H, dd); 7.29 (2H, m); 7.08 (2H, m); 6.90 (4H, m); 6.70 (1H, dd); 5.50 (1H, d); 4.80 (2H, m); 4.35 (1H, m); 4.20-3.6(9H, m); 3.6-2.8 (4H, m).
【0224】
実施例5
式(113)の1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル][(6-ニトロオキシヘキサノイル)アミノ]-2-プロパノール
【0225】
【化82】

【0226】
この化合物は、カルベジロール及び6-ブロモヘキサン酸から始まって実施例3に記載されたのと同じ方法で合成した。
1H-NMR (DMSO) δ (ppm): 11.24 (1H, s); 8.25 (1H, dd); 7.46 (1H, dd); 7.29 (2H, m); 7.08 (2H, m); 6.90 (4H, m); 6.70 (1H, dd); 5.40 (1H, d); 4.50-3.50 (13H, m); 2.6-2.3 (2H, m); 1.70-0.50 (6H, m).
【0227】
実施例6
式(111)の6-(ニトロオキシ)ヘキサン酸 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル]-[(6-ニトロオキシヘキサノイル]アミノ]-2-プロパノール
【0228】
【化83】

【0229】
この化合物は、カルベジロール及び6-ブロモヘキサン酸から始まって実施例2に記載されたのと同じ方法で合成した。
1H-NMR (DMSO) δ (ppm): 11.24 (1H, s); 8.15 (1H, dd); 7.46 (1H, dd); 7.29 (2H, m); 7.08 (2H, m); 6.90 (4H, m); 6.70 (1H, dd); 5.65 (1H, m); 4.6-4.20 (6H, m); 4.2-3.5 (9H, m); 2.50 (2H, m); 2.29 (2H, m); 1.70-0.60 (12H, m).
【0230】
実施例7
式(110)の6-(ニトロオキシ)ヘキサン酸 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル]アミノ]-2-プロパノール 塩酸塩
【0231】
【化84】

【0232】
この化合物は、カルベジロール及び6-ブロモヘキサン酸から始まって実施例1に記載されたのと同じ方法で合成した。
1H-NMR (DMSO) δ (ppm): 11.30(1H, s); 8.15 (1H, dd); 7.44 (1H, dd); 7.32 (2H, m); 7.10-6.90 (6H, m); 6.70 (1H, dd); 5.65 (1H, m); 4.50-4.20 (7H, m); 3.90-3.40 (7H, m); 2.40 (2H, m); 1.60-1.10 (6H, m).
【0233】
実施例8
ラットPC12細胞系でのcGMPの測定
cGMPは、いくつかの血管の細胞タイプの機能および相互作用に寄与し、その機能障害は、主要な心臓血管疾患、例えば高血圧、糖尿病合併症、アテローム性動脈硬化症及び組織の梗塞に関係する。よって、本発明の化合物により誘導されるcGMP形成の程度を、ラットクロム親和性細胞腫(PC12)細胞系で評価した。
【0234】
試験化合物
1) カルベジロール(親の薬剤)
2) 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル][(4-ニトロオキシメチル)ベンゾイル] アミノ]-2-プロパノール (実施例3の化合物);
3) 4-(ニトロオキシメチル)安息香酸 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル]アミノ]-2-プロパノエート (実施例1の化合物);
4) 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル][(3-ニトロオキシプロパノイル)アミノ]-2-プロパノール (実施例4の化合物);
5) 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル][(6-ニトロオキシヘキサノイル)アミノ]-2-プロパノール (実施例5の化合物)。
【0235】
方法
細胞を、10%ウマ血清及び5%胎児ウシ血清を補充したDMEM培地中に、37℃で、5% CO2雰囲気中に維持した。実験のときに、細胞を、0.05%アスコルビン酸を補ったハンクス液(Hank's Balanced Salt Solution;HBSS)で1回洗浄し、同じバッファー中に10分間、浮遊水浴(floating water bath)中でプレインキュベートした。プレインキュベーション工程の後に、さらに45分間、ホスホジエステラーゼ阻害剤であるIBMX (100μM)及び可溶性グアニリルシクラーゼのNO依存性活性化剤であるYC-1 (20μM)の存在下で、コントロール条件又は0.1〜25μMの範囲の増加する濃度の試験化合物のいずれかに細胞を曝露した。反応は、インキュベートバッファーを除去し、続いて無水エタノール100μlを加えることにより停止させた。次いで、有機抽出物を蒸発させて乾燥し、残渣を、cGMP酵素イムノアッセイキットを用いる細胞内cGMPレベルの定量測定用の水性バッファーに溶解した。
【0236】
表1に報告する得られた結果は、EC50 (μM)及び有効度Emax (賦形剤の% (% of vehicle))として表す。表に示すように、カルベジロールのニトロ誘導体は、PC12細胞系において細胞内cGMP形成の安定した増加を誘導した。逆に、親の化合物によりこの効果は誘導されなかった。
【0237】
表1:PC12細胞におけるcGMP蓄積に対するカルベジロールのニトロキシ誘導体及びカルベジロールの効果
【0238】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式A-(Y-ONO2)s (I)
[式中、
sは1又は2に等しい整数であり;
Aは、次の式(II):
【化1】

(式中、
R1は:
【化2】

からなる群より選択され;
R2は、-CH(CH3)2、-C(CH3)3又は
【化3】

からなる群より選択され;
R1基が式(IIa)、(IIc)、(IId)、(IIg)、(IIh)、(IIi)、(IIm)から選択されるとき、R2は-CH(CH3)2であり;
R1基が式(IIe)、(IIf)又は(IIn)から選択されるとき、R2は-C(CH3)3であり;
R1が(IIb)基であるとき、R2は(IIIa)であり;
R1が(IIL)基であるとき、R2は(IIIb)であり;
Zは、H又は-C(O)-、-C(O)O-若しくは
【化4】

(式中、R'及びR''は同一又は異なって、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルである)
からなる群より選択されるYに結合可能な基であり;
Z1は、H又はYに結合可能な-C(O)-基であるが;
但し、式(I)のsが1であるとき、Z又はZ1はHである)
のβ-アドレナリン遮断薬の残基から選択され、
Yは、次の意味:
a)
- ハロゲン原子、ヒドロキシ、- ONO2又はT (ここで、Tは-OC(O)(C1〜C10アルキル)-ONO2、-O(C1〜C10アルキル)-ONO2である)からなる群より選択される1又はそれより多い置換基で任意に置換されていてもよい直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C20アルキレン;
b)
- シクロアルキレン環中に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレンであって、該環は側鎖T1 (ここで、T1は1〜10の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキルである)で任意に置換されていてもよい;
c)
【化5】

(式中、
nは0〜20の整数であり;
n1は1〜20の整数であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数である)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)である)
d)
【化6】

(式中、
n1は1〜20の整数であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)であり;
n6は1〜20の整数であり;
n7は0〜20の整数であり;
R5、R5'、R6及びR6'は、H、CH3、OH、NH2、NHCOCH3、COOH、CH2SH及びC(CH3)2SHからなる群より独立して選択され;
CA炭素とCB炭素との間の結合が二重結合であるときに、R5及びR6又はR6'及びR5'は存在しない)
Yがc)〜d)で記載される二価の基から選択されるとき、-ONO2基は-(CH2)n1-基に結合し;
e)
【化7】

(式中、
X2はO又はSであり;
n10a、n10及びn12は、0〜20から独立して選択される整数であり;
n11は0〜6の整数であり;
R11は、H、CH3又はニトロオキシ基であり;
R11aは、CH3又はニトロオキシ基である)
f)
【化8】

(式中、
n8は0〜10の整数であり;
n9は1〜10の整数であり;
R9、R10、R8、R7は同一又は異なって、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルであり;
ここで、-ONO2基は
【化9】

(式中、n9は上記で規定したとおりである)
に結合し;
Y2は、窒素、酸素、硫黄から選択される1又はそれより多いヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和若しくは芳香族の5又は6員の複素環式環であって、
【化10】

からなる群より選択される)
を有する2価の基である]
の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項2】
sが2であり、Z及びZ1が-C(O)-である請求項1に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項3】
Yが、ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2又はT (ここで、Tは、-OC(O)(C1〜C10アルキル)-ONO2、-O(C1〜C10アルキル)-ONO2である)からなる群より選択される1又はそれより多い置換基で任意に置換されていてもよい直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C20アルキレンである請求項2に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項4】
Yが、直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C10アルキレンである請求項3に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項5】
Yが:
【化11】

(式中、
nは0〜20の整数であり;
n1は1〜20の整数であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数である)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)である)
である請求項2に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項6】
n2、n3、n4、n5が0に等しく、
n1が1であり、
nが0〜10の整数であり、
Y1がCH2である請求項5に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項7】
n、n2、n5が1であり、
n3及びn4が0に等しく、
n1が1〜10の整数であり、
Y1が、-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0である)であり、
X1が、-WC(O)- (式中、Wは酸素である)でありかつX1が、[C]4を介してフェニル環に結合し、
R4がCH3でありかつ(OR4)基が、[C]3を介してフェニル環に結合している請求項5に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項8】
Yが
【化12】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10a、n10及びn12は、0〜20から独立して選択される整数であり、
n11は0〜6の整数であり、
R11はH、CH3又はニトロオキシ基であり、
R11aはCH3又はニトロオキシ基である)
である請求項2に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項9】
Yが
【化13】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10aは0〜10の整数であり、
n11は0であり、
n12は1〜10の整数であり、
R11はH又はニトロオキシ基である)であり、
-ONO2基が-(CH2)n12-基に結合している
請求項8に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項10】
Yが
【化14】

(式中、
n1は1〜20の整数であり、
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)であり、
n6は1〜20の整数であり、
n7は0〜20の整数であり、
R5、R5'、R6及びR6'は、H、CH3、OH、NH2、NHCOCH3、COOH、CH2SH及びC(CH3)2SHからなる群より独立して選択され、
CA炭素とCB炭素との間の結合が二重結合であるとき、R5及びR6又はR6'及びR5'が存在しない)である請求項2に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項11】
n1が1〜10の整数であり、
n6及びn7が1であり、
X1が、-WC(O)- (式中、Wは硫黄である)であり、
R5、R5'及びR6'がHであり、
R6がNHCOCH3であるが、
但し、-ONO2基が-(CH2)n1-基に結合している請求項10に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項12】
sが1に等しく、
Aが次の式(II):
【化15】

(式中、
R1は:
【化16】

からなる群より選択され;
R2は、-CH(CH3)2、-C(CH3)3又は
【化17】

からなる群より選択され;
R1基が式(IIa)、(IIc)、(IId)、(IIg)、(IIh)、(IIi)、(IIm)から選択されるとき、R2は-CH(CH3)2であり;
R1基が式(IIe)、(IIf)又は(IIn)から選択されるとき、R2は-C(CH3)3であり;
R1が(IIL)基であるとき、R2は(IIIb)であり、
Zは、-C(O)-、-C(O)O-若しくは
【化18】

(式中、R'及びR''は同一又は異なって、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルである)
からなる群より選択されるYに結合可能な基であり、
Z1はHである)
のβ-アドレナリン遮断薬の残基から選択され、
Yが、次の意味:
c)
【化19】

(式中、
nは0〜20の整数であり;
n1は1〜20の整数であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数である)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)である)
e)
【化20】

(式中、
X2はO又はSであり;
n10aは0又は1であり;
n11は0又は1であり;
n10及びn12は1又は2であり;
R11は、H、CH3又はニトロオキシ基であり;
R11aは、CH3又はニトロオキシ基である)
f)
【化21】

(式中、
n8は0〜10の整数であり;
n9は1〜10の整数であり;
R9、R10、R8、R7は同一又は異なって、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルであり;
ここで、-ONO2基は
【化22】

(式中、n9は上記で規定したとおりである)
に結合し;
Y2は、窒素、酸素、硫黄から選択される1又はそれより多いヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和若しくは芳香族の5又は6員の複素環式環であって、
【化23】

からなる群より選択される)
を有する2価の基である請求項1に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項13】
Zが-C(O)-である請求項12に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項14】
Yが:
【化24】

(式中、
nは0〜20の整数であり;
n1は1〜20の整数であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数である)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)である)
である請求項12又は13に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項15】
n2、n3、n4、n5が0に等しく、
n1が1であり、
nが0〜10の整数であり、
Y1がCH2である請求項14に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項16】
n、n2、n5が1であり、
n3及びn4が0に等しく、
n1が1〜10の整数であり、
Y1が、-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0である)であり、
X1が、-WC(O)- (式中、Wは酸素である)でありかつX1が、[C]4を介してフェニル環に結合し、
R4がCH3でありかつ(OR4)基が、[C]3を介してフェニル環に結合している請求項14に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項17】
Yが
【化25】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10a及びn11は0であり、
n12は1であり、
R11はHである)であり、
-ONO2基が-(CH2)n12-基に結合している
請求項12又は13に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項18】
Zが-C(O)O-である請求項12に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項19】
Yが:
【化26】

(式中、
nは0〜20の整数であり;
n1は1〜20の整数であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数である)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)である)
である請求項12又は18に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項20】
n2、n3、n4、n5が0に等しく、
n1が1であり、
nが0〜10の整数であり、
Y1がCH2である請求項19に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項21】
Yが
【化27】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10a及びn11は0であり、
n12は1であり、
R11はHである)であり、
-ONO2基が-(CH2)n12-基に結合している
請求項12又は18に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項22】
Zが
【化28】

である請求項12に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項23】
Yが:
【化29】

(式中、
nは0〜20の整数であり;
n1は1〜20の整数であり;
n2、n3、n4及びn5は0に等しく;
Y1は-CH2-である)
である請求項12又は22に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項24】
nが0であり、n1が1である請求項23に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項25】
Yが
【化30】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10a及びn11は0であり、
n12は1であり、
R11はHである)であり、
-ONO2基が-(CH2)n12-基に結合している
請求項12又は22に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項26】
sが1であり、ZがHであり、Z1が-C(O)-である請求項1に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項27】
Yが、ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2又はT (ここで、Tは、-OC(O)(C1〜C10アルキル)-ONO2、-O(C1〜C10アルキル)-ONO2である)からなる群より選択される1又はそれより多い置換基で任意に置換されていてもよい直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C20アルキレンである請求項26に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項28】
Yが、直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C10アルキレンである請求項27に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項29】
Yが:
【化31】

(式中、
nは0〜20の整数であり;
n1は1〜20の整数であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数である)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)である)
である請求項26に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項30】
n2、n3、n4、n5が0に等しく、
n1が1であり、
nが0〜10の整数であり、
Y1がCH2である請求項29に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項31】
n、n2、n5が1であり、
n3及びn4が0に等しく、
n1が1〜10の整数であり、
Y1が、-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0である)であり、
X1が、-WC(O)- (式中、Wは酸素である)でありかつX1が、[C]4を介してフェニル環に結合し、
R4がCH3でありかつ(OR4)基が、[C]3を介してフェニル環に結合している請求項29に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項32】
Yが
【化32】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10a、n10及びn12は、0〜20から独立して選択される整数であり、
n11は0〜6の整数であり、
R11はH、CH3又はニトロオキシ基であり、
R11aはCH3又はニトロオキシ基である)
である請求項26に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項33】
Yが
【化33】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10aは0又は1であり、
n11は0又は1であり、
n10及びn12は1又は2であり、
R11はH又はニトロオキシである)であり、
-ONO2基が-(CH2)n12-基に結合している
請求項32に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項34】
Yが
【化34】

(式中、
n1は1〜20の整数であり、
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)であり、
n6は1〜20の整数であり、
n7は0〜20の整数であり、
R5、R5'、R6及びR6'は、H、CH3、OH、NH2、NHCOCH3、COOH、CH2SH及びC(CH3)2SHからなる群より独立して選択され、
CA炭素とCB炭素との間の結合が二重結合であるとき、R5及びR6又はR6'及びR5'が存在しない)である請求項26に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項35】
n1が1〜10の整数であり、
n6及びn7が1であり、
X1が、-WC(O)- (式中、Wは硫黄である)であり、
R5、R5'及びR6'がHであり、
R6がNHCOCH3であるが、
但し、-ONO2基が-(CH2)n1-基に結合している請求項34に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項36】
sが1又は2に等しい整数であり、
Aが式(II):
【化35】

(式中、
R1は:
【化36】

であり;
R2は:
【化37】

であり;
Zは、Hであるか又は-C(O)-、-C(O)O-若しくは
【化38】

(式中、R'及びR''は同一又は異なって、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルである)
からなる群より選択されるYに結合可能な基であり、
Z1は、H又はYに結合可能な-C(O)-基である)
のβ-アドレナリン遮断薬の残基であり、
Yが、次の意味:
a)
- ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2又はT (ここで、Tは-OC(O)(C1〜C10アルキル)-ONO2、-O(C1〜C10アルキル)-ONO2からなる群より選択される1又はそれより多い置換基で任意に置換されていてもよい直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C20アルキレン;
b)
- シクロアルキレン環中に5〜7の炭素原子を有するシクロアルキレンであって、該環は側鎖T1 (ここで、T1は1〜10の炭素原子を有する直鎖状又は分枝鎖状のアルキルである)で任意に置換されていてもよい;
c)
【化39】

(式中、
nは0〜20の整数であり;
n1は1〜20の整数であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数である)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)である)
d)
【化40】

(式中、
n1は1〜20の整数であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)であり;
n6は1〜20の整数であり;
n7は0〜20の整数であり;
R5、R5'、R6及びR6'は、H、CH3、OH、NH2、NHCOCH3、COOH、CH2SH及びC(CH3)2SHからなる群より独立して選択され;
CA炭素とCB炭素との間の結合が二重結合であるときに、R5及びR6又はR6'及びR5'は存在しない)
Yがc)〜d)で記載される二価の基から選択されるとき、-ONO2基は-(CH2)n1-基に結合し;
e)
【化41】

(式中、
X2はO又はSであり;
n10a、n10及びn12は、0〜20から独立して選択される整数であり;
n11は0〜6の整数であり;
R11は、H、CH3又はニトロオキシ基であり;
R11aは、CH3又はニトロオキシ基である)
f)
【化42】

(式中、
n8は0〜10の整数であり;
n9は1〜10の整数であり;
R9、R10、R8、R7は同一又は異なって、H又は直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜C4アルキルであり;
ここで、-ONO2基は
【化43】

(式中、n9は上記で規定したとおりである)
に結合し;
Y2は、窒素、酸素、硫黄から選択される1又はそれより多いヘテロ原子を含有する、飽和、不飽和若しくは芳香族の5又は6員の複素環式環であって、
【化44】

からなる群より選択される)
を有する2価の基である請求項1に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項37】
sが2であり、Z及びZ1が-C(O)-である請求項36に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項38】
Yが、ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2又はT (ここで、Tは、-OC(O)(C1〜C10アルキル)-ONO2、-O(C1〜C10アルキル)-ONO2である)からなる群より選択される1又はそれより多い置換基で任意に置換されていてもよい直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C20アルキレンである請求項37に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項39】
Yが、直鎖状又は分枝鎖状のC3〜C6アルキレンである請求項38に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項40】
Yが:
【化45】

(式中、
nは0〜20の整数であり;
n1は1〜20の整数であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数である)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)である)
である請求項37に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項41】
n2、n3、n4、n5が0に等しく、
n1が1であり、
nが0〜10の整数であり、
Y1がCH2である請求項40に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項42】
n、n2、n5が1であり、
n3及びn4が0に等しく、
n1が1〜10の整数であり、
Y1が、-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0である)であり、
X1が、-WC(O)- (式中、Wは酸素である)でありかつX1が、[C]4を介してフェニル環に結合し、
R4がCH3でありかつ(OR4)基が、[C]3を介してフェニル環に結合している請求項40に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項43】
Yが
【化46】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10a、n10及びn12は、0〜20から独立して選択される整数であり、
n11は0〜6の整数であり、
R11はH、CH3又はニトロオキシ基であり、
R11aはCH3又はニトロオキシ基である)
である請求項37に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項44】
Yが
【化47】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10aは0〜10の整数であり、
n11は0であり、
n12は1〜10の整数であり、
R11はH又はニトロオキシ基である)であり、
-ONO2基が-(CH2)n12-基に結合している
請求項43に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項45】
Yが
【化48】

(式中、
n1は1〜20の整数であり、
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)であり、
n6は1〜20の整数であり、
n7は0〜20の整数であり、
R5、R5'、R6及びR6'は、H、CH3、OH、NH2、NHCOCH3、COOH、CH2SH及びC(CH3)2SHからなる群より独立して選択され、
CA炭素とCB炭素との間の結合が二重結合であるとき、R5及びR6又はR6'及びR5'が存在しない)である請求項37に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項46】
n1が1〜10の整数であり、
n6及びn7が1であり、
X1が、-WC(O)- (式中、Wは硫黄である)であり、
R5、R5'及びR6'がHであり、
R6がNHCOCH3であるが、
但し、-ONO2基が-(CH2)n1-基に結合している請求項45に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項47】
sが1であり、ZがHであり、Z1が-C(O)-である請求項36に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項48】
Yが、ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2又はT (ここで、Tは、-OC(O)(C1〜C10アルキル)-ONO2、-O(C1〜C10アルキル)-ONO2である)からなる群より選択される1又はそれより多い置換基で任意に置換されていてもよい直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C20アルキレンである請求項47に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項49】
Yが、直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C10アルキレンである請求項48に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項50】
Yが:
【化49】

(式中、
nは0〜20の整数であり;
n1は1〜20の整数であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数である)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)である)
である請求項47に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項51】
n2、n3、n4、n5が0に等しく、
n1が1であり、
nが0〜10の整数であり、
Y1がCH2である請求項50に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項52】
n、n2、n5が1であり、
n3及びn4が0に等しく、
n1が1〜10の整数であり、
Y1が、-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0である)であり、
X1が、-WC(O)- (式中、Wは酸素である)でありかつX1が、[C]4を介してフェニル環に結合し、
R4がCH3でありかつ(OR4)基が、[C]3を介してフェニル環に結合している請求項50に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項53】
Yが
【化50】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10a、n10及びn12は、0〜20から独立して選択される整数であり、
n11は0〜6の整数であり、
R11はH、CH3又はニトロオキシ基であり、
R11aはCH3又はニトロオキシ基である)
である請求項47に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項54】
Yが
【化51】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10a及びn11は0であり、
n12は1であり、
R11はHである)であり、
-ONO2基が-(CH2)n12-基に結合している
請求項53に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項55】
Yが
【化52】

(式中、
n1は1〜20の整数であり、
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)であり、
n6は1〜20の整数であり、
n7は0〜20の整数であり、
R5、R5'、R6及びR6'は、H、CH3、OH、NH2、NHCOCH3、COOH、CH2SH及びC(CH3)2SHからなる群より独立して選択され、
CA炭素とCB炭素との間の結合が二重結合であるとき、R5及びR6又はR6'及びR5'が存在しない)である請求項47に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項56】
n1が1〜10の整数であり、
n6及びn7が1であり、
X1が、-WC(O)- (式中、Wは硫黄である)であり、
R5、R5'及びR6'がHであり、
R6がNHCOCH3であるが、
但し、-ONO2基が-(CH2)n1-基に結合している請求項55に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項57】
sが1であり、Z1がHであり、Zが-C(O)-である請求項36に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項58】
Yが、ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2又はT (ここで、Tは、-OC(O)(C1〜C10アルキル)-ONO2、-O(C1〜C10アルキル)-ONO2である)からなる群より選択される1又はそれより多い置換基で任意に置換されていてもよい直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C20アルキレンである請求項57に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項59】
Yが、直鎖状又は分枝鎖状のC3〜C6アルキレンである請求項58に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項60】
Yが:
【化53】

(式中、
nは0〜20の整数であり;
n1は1〜20の整数であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数である)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)である)
である請求項57に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項61】
n2、n3、n4、n5が0に等しく、
n1が1であり、
nが0〜10の整数であり、
Y1がCH2である請求項60に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項62】
n、n2、n5が1であり、
n3及びn4が0に等しく、
n1が1〜10の整数であり、
Y1が、-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0である)であり、
X1が、-WC(O)- (式中、Wは酸素である)でありかつX1が、[C]4を介してフェニル環に結合し、
R4がCH3でありかつ(OR4)基が、[C]3を介してフェニル環に結合している請求項60に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項63】
Yが
【化54】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10a、n10及びn12は、0〜20から独立して選択される整数であり、
n11は0〜6の整数であり、
R11はH、CH3又はニトロオキシ基であり、
R11aはCH3又はニトロオキシ基である)
である請求項57に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項64】
Yが
【化55】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10a及びn11は0であり、
n12は1であり、
R11はHである)であり、
-ONO2基が-(CH2)n12-基に結合している
請求項63に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項65】
Yが
【化56】

(式中、
n1は1〜20の整数であり、
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)であり、
n6は1〜20の整数であり、
n7は0〜20の整数であり、
R5、R5'、R6及びR6'は、H、CH3、OH、NH2、NHCOCH3、COOH、CH2SH及びC(CH3)2SHからなる群より独立して選択され、
CA炭素とCB炭素との間の結合が二重結合であるとき、R5及びR6又はR6'及びR5'が存在しない)である請求項57に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項66】
n1が1〜10の整数であり、
n6及びn7が1であり、
X1が、-WC(O)- (式中、Wは硫黄である)であり、
R5、R5'及びR6'がHであり、
R6がNHCOCH3であるが、
但し、-ONO2基が-(CH2)n1-基に結合している請求項65に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項67】
sが1であり、Z1がHであり、Zが-C(O)O-である請求項36に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項68】
Yが、ハロゲン原子、ヒドロキシ、-ONO2又はT (ここで、Tは、-OC(O)(C1〜C10アルキル)-ONO2、-O(C1〜C10アルキル)-ONO2である)からなる群より選択される1又はそれより多い置換基で任意に置換されていてもよい直鎖状又は分枝鎖状のC1〜C20アルキレンである請求項67に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項69】
Yが、直鎖状又は分枝鎖状のC3〜C6アルキレンである請求項68に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項70】
Yが:
【化57】

(式中、
nは0〜20の整数であり;
n1は1〜20の整数であり;
n2、n3、n4及びn5は互いに等しいか又は異なって、0又は1に等しい整数であり;
R3及びR4は、H又はCH3から独立して選択され;
Y1は、-CH2-又は-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0〜20の整数である)であり;
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)である)
である請求項67に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項71】
n2、n3、n4、n5が0に等しく、
n1が1であり、
nが0〜10の整数であり、
Y1がCH2である請求項70に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項72】
n、n2、n5が1であり、
n3及びn4が0に等しく、
n1が1〜10の整数であり、
Y1が、-(CH2)na-CH=CH- (式中、naは0である)であり、
X1が、-WC(O)- (式中、Wは酸素である)でありかつX1が、[C]4を介してフェニル環に結合し、
R4がCH3でありかつ(OR4)基が、[C]3を介してフェニル環に結合している請求項70に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項73】
Yが
【化58】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10a、n10及びn12は、0〜20から独立して選択される整数であり、
n11は0〜6の整数であり、
R11はH、CH3又はニトロオキシ基であり、
R11aはCH3又はニトロオキシ基である)
である請求項67に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項74】
Yが
【化59】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10aは0又は1であり、
n11は0又は1であり、
n12は1又は2であり、
R11はHである)であり、
-ONO2基が-(CH2)n12-基に結合している
請求項73に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項75】
Yが
【化60】

(式中、
n1は1〜20の整数であり、
X1は、-WC(O)-又は-C(O)W- (式中、Wは酸素、硫黄又はNHである)であり、
n6は1〜20の整数であり、
n7は0〜20の整数であり、
R5、R5'、R6及びR6'は、H、CH3、OH、NH2、NHCOCH3、COOH、CH2SH及びC(CH3)2SHからなる群より独立して選択され、
CA炭素とCB炭素との間の結合が二重結合であるとき、R5及びR6又はR6'及びR5'が存在しない)である請求項67に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項76】
n1が1〜10の整数であり、
n6及びn7が1であり、
X1が、-WC(O)- (式中、Wは硫黄である)であり、
R5、R5'及びR6'がHであり、
R6がNHCOCH3であるが、
但し、-ONO2基が-(CH2)n1-基に結合している請求項75に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項77】
sが1であり、Z1がHであり、Zが
【化61】

である請求項36に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項78】
Yが:
【化62】

(式中、
nは0〜20の整数であり;
n1は1〜20の整数であり;
n2、n3、n4及びn5は0であり;
Y1は-CH2-である)
である請求項77に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項79】
nが0であり、n1が1である請求項78に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項80】
Yが
【化63】

(式中、
X2はO又はSであり、
n10a及びn11は0であり、
n12は1であり、
R11はHである)であり、
-ONO2基が-(CH2)n12-基に結合している
請求項77に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項81】
化合物が
【化64】

である請求項36及び57〜67のいずれか1つに記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項82】
化合物が
【化65】

【化66】

である請求項12〜17のいずれか1つに記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項83】
化合物が
【化67】

である請求項36及び67〜76のいずれか1つに記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項84】
化合物が
【化68】

である請求項36〜46のいずれか1つに記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項85】
化合物が
【化69】

【化70】

【化71】

である請求項2〜11のいずれか1つに記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項86】
化合物が
【化72】

である請求項36及び47〜55のいずれか1つに記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項87】
化合物が
【化73】

【化74】

【化75】

である請求項26〜35のいずれか1つに記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項88】
4-(ニトロオキシメチル)安息香酸 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ) エチル]アミノ]-2-プロパノエートである請求項36又は47に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項89】
4-(ニトロオキシメチル)安息香酸 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル][(4-ニトロオキシメチル)ベンゾイル]アミノ-2-プロパノエートである請求項36又は57に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項90】
1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル][(4-ニトロオキシメチル)ベンゾイル] アミノ]-2-プロパノールである請求項36又は47に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項91】
6-(ニトロオキシ)ヘキサン酸 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ) エチル]アミノ]-2-プロパノール 塩酸塩である請求項36又は47に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項92】
6-(ニトロオキシ)ヘキサン酸 1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ) エチル]-[(6-ニトロオキシヘキサノイル] アミノ]-2-プロパノールである請求項36又は47に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項93】
1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル][(6-ニトロオキシヘキサノイル)アミノ]-2-プロパノールである請求項36又は47に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項94】
1-(9H-カルバゾール-4-イルオキシ)-3-[[2-(2-メトキシフェノキシ)エチル][(3-ニトロオキシプロパノイル)アミノ]-2-プロパノールである請求項36又は47に記載の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項95】
医薬として用いるための請求項1〜94のいずれか1つに記載の式(I)の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩。
【請求項96】
請求項1〜94のいずれか1つに記載の式(I)の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩の、高血圧、心臓血管疾患及び血管疾患の治療又は予防に用い得る薬剤を製造するための使用。
【請求項97】
請求項1〜94のいずれか1つに記載の式(I)の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩の、緑内障及び高眼圧の治療に用い得る薬剤を製造するための使用。
【請求項98】
請求項1〜94のいずれか1つに記載の式(I)の化合物ならびにその鏡像異性体、ジアステレオ異性体及び医薬的に許容される塩と少なくとも医薬的に許容される担体とを含む医薬組成物。

【公表番号】特表2007−513114(P2007−513114A)
【公表日】平成19年5月24日(2007.5.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−541892(P2006−541892)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013683
【国際公開番号】WO2005/053685
【国際公開日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(398034032)ニコックス エス エイ (36)
【住所又は居所原語表記】Taissounieres HB4,1681 route des Dolines−BP313,06560 Sophia Antipolis−Valbonne,France
【Fターム(参考)】