説明

折畳み式携帯情報端末

【課題】 簡単な構造で光源から供給される光の有効利用を可能にした折畳み式携帯情報端末を提供すること。
【解決手段】 側壁面から導入した光を表裏両面へ導光する板状導光板11と、前記導光板11を間に挟んで積層された第1、第2液晶表示パネル15、30と、を有する表示部筐体51と、少なくとも操作キー52bを有する操作部筐体52とを備え、前記表示部筐体51と前記操作部筐体52とが連結機構53で結合されて折畳み可能とした折畳み式携帯情報端末50において、折畳み時に前記操作キー52bと対向する前記第1液晶表示パネル15が透過型液晶表示パネルにより形成され、かつ前記操作部筐体52は、前記第1液晶表示パネル15と対向する面52aが鏡面加工されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は折畳み式携帯情報端末に関し、特に、導光板の側壁に設けられた光源からの光の有効利用を図った折畳み式携帯情報端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、携帯電話機、PDA、或いは通信機能を有すると共により多くのメッセージの表示を可能とした携帯型の情報端末が製品化され広く普及している。これらの端末の中で、特に携帯電話機は、本来の会話のやりとりをする電話機能に加えて、インターネットに接続可能にして、種々の機能、例えばメール、情報検索、或いは地図を表示すると共に、行き先案内をするナビゲーション等々の機能を備え、今後さらに多種のソフトウエアが搭載されて、日常生活に欠かせないものになってきている。
【0003】
このような多種のソフトウエアが携帯電話機に搭載されるのに伴って、電話機自体、いわゆるハードも、より利便性、軽量化及び携帯性が追求され、多種のタイプのものが開発され製品化されている。
【0004】
この携帯電話機のタイプは、大別すると棒状タイプと、折畳み式タイプとに大別され、最近では、折畳んだままで着信相手が確認でき、また時刻等が表示されるように液晶表示パネルを表裏2箇所に組み込んだ後者の折畳み式タイプが多く普及してきている。
【0005】
また、この折畳み式の携帯電話機は、折畳んだときに嵩張りやすいので薄型化が図られ、この薄型化の一つの手段として、側壁面から導入した光を表裏両面へ導光する板状導光板を用い、この導光板の表裏面に2枚の第1、第2液晶表示パネルを配設して積層した液晶表示パネルユニット、いわゆる両面発光型液晶表示パネルを採用した携帯電話機が知られている。
【0006】
ところが、この両面発光型液晶表示パネルは、両面発光する導光板の側壁面に一つ光源が配設され、この光源から第1、第2液晶表示パネルを照明するようになっているため、この1つの光源により、第1、第2液晶表示パネルを照明する際に、光源からの光量は、第1、第2液晶表示パネルに所定の割合で分配されるが、その分配量のバランスが不均衡になると、何れかの液晶表示パネルが光量不足となり、表示面の内容が視認できないという不都合が発生することがある。
【0007】
このような不都合を解決した液晶表示装置は既に知られており、特許文献にも紹介されている(下記特許文献1、2参照)。
【0008】
図6は、下記特許文献1に記載された液晶ディスプレイ付き折畳み式携帯電話機を示す斜視図である。
【0009】
この携帯電話機60は、2枚の透明板の間に液晶が封入された透過型液晶ディスプレイ62を有する表示部筐体61と、この表示部筐体61に回動可能に連結され且つ複数のスイッチ64が設けられた操作部筐体63と、液晶ディスプレイ62に画像を表示する動作及び液晶ディスプレイの一面及び他面に表示される画像を反転制御する表示制御手段(図示省略)とを備え、操作部筐体63は、液晶ディスプレイ62と対向する面65の一部が反射面に形成された構成を有している。
【0010】
この構成によると、表示部筐体62と操作部筐体63とが重なるように閉じられたとき、液晶ディスプレイ62を透過した光が反射面に反射されて液晶ディスプレイ62に向けて照射され、折畳み時にも光量不足が補われて液晶ディスプレイ62の表示内容がはっきり視認できるようになる。
【0011】
また、下記特許文献2に記載された液晶表示装置は、特殊な反射体を設けて光の利用率を上げるようにしたもので、図7は、この文献に記載された両面発光型液晶表示モジュールを示す側面図である。
【0012】
この両面発光型液晶表示モジュール70は、板状両面発光体71と、この発光体71の一面71a側に配置された第1液晶表示パネル72と、他面71bに配置された第2液晶表示パネル74と、半透過反射体76とを備え、半透過型反射体76は、他面71bと第2液晶表示パネル74との間に配設されて、他面71bから発せられた光の一部を第1液晶表示パネル72側に反射させるとともに、光の残部を白色光として第2液晶表示パネル74側に透過させる働きをしている。なお、第1液晶表示パネル72は、一対の対向基板72a、72b間に液晶層73が形成された構成を有し、同様に第2液晶表示パネル74は一対の対向基板74a、74b間に液晶層75が形成された構成を有している。
【0013】
このような両面発光型液晶表示モジュール70では、第1液晶表示パネル72側への光量が70%未満であると、第1液晶表示パネル72の表示が暗くなって好ましくなく、また、第1液晶表示パネル72への光量が90%を超えると、相対的に第2液晶表示パネル74側への光量が少なくなって第2液晶表示パネル74の表示が暗くなってしまうことから、板状両面発光体71は、一面71a側及び他面71b側に出射させる光のうち、70%以上90%以下の光量を一面71a側から出射させるとともに、10%以上30%以下の光量を71b側から出射されるように調整されている。この光量調整は、半透過反射体73の反射率の変更、或いは両面発光体71の面を凹凸形状にすることによって行われている。
【特許文献1】特開2002−320012号公報(図3、段落〔0052〕〜〔0053〕)
【特許文献2】特開2004−144990号公報(図1、段落〔0017〕〜〔0023〕)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記特許文献1に記載された携帯電話機では、液晶ディスプレイは1枚の液晶表示パネルで構成されているため、この液晶表示パネル一面及び他面に表示される画像を反転制御させる表示制御手段が必要で回路構成が複雑になっている。
【0015】
また、上記特許文献1に記載された両面発光型液晶モジュールは、特殊な半透過反射体を使用しなければならないので、その調達が面倒でコスト高になり、また、部品点数が多くなり組み立て作業が面倒になっている。
【0016】
本発明は、上記従来技術が抱える課題を解決するためになされたものであって、本発明の目的は、簡単な構造で光源から供給される光の有効利用を可能にした折畳み式携帯情報端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に記載の折畳み式携帯情報端末は、側壁面に設けられた光源から導入された光を表裏両面へ導光する板状導光板と、前記導光板を間に挟んで積層された第1、第2液晶表示パネルと、を有する表示部筐体と、少なくとも操作キーを有する操作部筐体とを備え、前記表示部筐体と前記操作部筐体とが連結機構で結合されて折畳み可能とした折畳み式携帯情報端末において、折畳み時に前記操作キーと対向する前記第1液晶表示パネルが透過型液晶表示パネルにより形成され、かつ前記操作部筐体は、前記第1液晶表示パネルと対向する面が鏡面加工されていることを特徴とする。
【0018】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の折畳み式液晶表示装置に係り、前記表示筐体に設けられた導光板の前記第2液晶表示パネルが載置される面には、薄板状の補強フレームが設けられ、前記補強フレームは前記導光板と接触する側の面に鏡面加工が施されていることを特徴とする。
【0019】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の折畳み式液晶表示装置に係り、前記鏡面加工は、前記操作キーの表面にも施されていることを特徴とする。
【0020】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の折畳み式液晶表示装置に係り、前記板状導光板は、光が導入される側壁面を除く外周側壁面に反射層が形成されていることを特徴とする。
【0021】
また、請求項5に記載の発明は、折畳んで使用する場合には、電圧を印加しないノーマリーホワイトの透過型液晶表示パネルからなる第1液晶表示パネルを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明は上記構成を備えることにより以下に示すような効果を得ることができる。すなわち、請求項1に記載の発明によれば、操作部筐体は、第1液晶表示パネルと対向する筐体面に鏡面加工が施されているので、光源から発光された光は、この鏡面加工された筐体面に反射し、この反射した光が透過型液晶表示パネルを通過して他の液晶表示パネルを照射し、この表示パネルの輝度を向上させることができるようになる。
【0023】
例えば、この携帯情報端末が折畳み式携帯電話機である場合、通常、第1、第2液晶表示パネルは、主及び副液晶表示パネル、すなわち、折畳み時に操作キーと対向し、操作キーの操作に連動してその内容を表示する主液晶表示パネル(第1液晶表示パネル)と、主に時刻或いは着信を表示する副液晶表示パネル(第2液晶表示パネル)として使用されることから、折畳み時に携帯電話機の操作キーと対向する主液晶表示パネルに透過型液晶表示パネルを用いることにより、この液晶表示パネルに電圧が印加されていないときは、光が透過可能となる。したがって、導光板の側壁面から照射され、鏡面加工が施された操作筐体の面に反射された光は、この主液晶表示パネルを通過し、副液晶表示パネルを照射し、その結果、副液晶表示パネルの輝度不足が解消され表示画面に表示されている内容をはっきり視認することが可能になる。
【0024】
また、この副液晶表示パネルの輝度不足解消は、上述のように操作部筐体に鏡面加工を施すことで可能になるので、従来技術のように、半透過反射体のような特別な反射体が不要となり簡単に作製できる。さらに、2枚の液晶表示パネルを用いているので、従来技術のように画像反転させる制御手段が不要になる。
【0025】
請求項2に記載の発明によれば、薄板状の補強フレームを導光板と第2液晶表示パネルとの間に介在して第1液晶表示パネル、導光板及び第2液晶表示パネルを積層することにより、第1、第2液晶表示パネル及び導光板を薄くしても、この補強フレームで機械的な補強をしながら支持できるので、補強フレームを追加しても、導光板及び第1、第2液晶表示パネルの厚さを薄くでき、全体として液晶表示装置の薄型化が可能となる。
【0026】
また、補強フレームは、導光板と接触する側の面に鏡面加工が施されているので、この面に反射された光により第1液晶表示パネルを照射でき、供給された光を有効に利用し第1液晶表示パネルの輝度を向上させることができる。
【0027】
請求項3に記載の発明によれば、操作キー表面にも鏡面加工が施されるので、反射面が拡大し、第2液晶表示パネルの表示面をより明るくすることができる。
【0028】
請求項4に記載の発明によれば、板状導光板は、光が導入される側壁面を除く外周側壁面に反射層が形成されているので、この反射層から反射された光で第1、第2液晶表示パネルが照射され、光源からの光を有効利用して第1、第2液晶表示パネルの輝度を上げることができる。
【0029】
請求項5に記載の発明によれば、各ハウジングを折畳んで使用する場合は、第1液晶表示パネルはハウジングに挟まれて見えないため、通常は第2液晶表示パネルのみ使用する。このとき第1液晶表示パネルは視認できる状態ではないので、電圧が印加されておらず、よって、ノーマリーホワイトの透過型液晶表示パネルからなる第1液晶表示パネルは光を透過する状態となっている。この場合、導光板の側壁面に設けられた光源から導出した光は、導光板を介して両液晶表示パネルに照射され、かつ前記第1液晶表示パネルへ照射された光は、鏡面加工された操作面、すなわち下部ハウジングの上面及び入力キーにより第2液晶表示パネル側に反射し、これにより第2液晶表示パネルは高輝度に照射されるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の最良の実施形態を説明する。但し、以下に示す実施形態は、本発明の技術思想を具体化するための折畳み式携帯情報端末を例示するものであって、本発明をこの折畳み式携帯情報端末に特定することを意図するものではなく、特許請求の範囲に含まれるその他の実施形態のものも等しく適応し得るものである。
【実施例】
【0031】
図1は本発明の1実施例に係る折畳み式携帯情報端末に使用される液晶表示装置を分解した分解斜視図、図2は図1の液晶表示装置組立体を示し、図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)のA−A線で切断した断面図、図3は液晶表示装置に搭載される回路基板を示し、図3(a)は表面斜視図、図3(b)は裏面斜視図、図4は液晶表示装置に搭載される板金フレームを示し、図4(a)は表面斜視図、図4(b)は裏面斜視図、図5は液晶表示装置が組み込まれる折畳み式携帯電話機を示し、図5(A)は電話機を開いた状態で一方から見た斜視図、図5(B)は他方から見た斜視図である。ちなみに、図3、図4に示す回路基板及び板金フレームの表裏は、第1液晶表示パネルが設けられる面を表面とし、第2液晶表示パネルが設けられる面を裏面として説明している。
【0032】
本発明の折畳み式携帯情報端末に使用される液晶表示装置10は、表裏の両面へ光をそれぞれ導出する導光板11と、この導光板11の表面11a側に配設される第1液晶表示パネル15と、導光板11の裏面11b側に配設される第1液晶表示パネル15より小型の第2液晶表示パネル30とを備え、導光板11の裏面11bに、導光板11とほぼ同じ大きさを有し且つ第2液晶表示パネル30の表示面とほぼ同じ大きさの開口26を有する薄板状の板金フレーム25を接触させて、第1液晶表示パネル15、導光板11及び第2液晶表示パネル30を積層し、この積層体を本体カバー40で覆って、この本体カバー40に設けた開口42から第2液晶表示パネル30の表面が露出するようにした固定した構成を有する。
【0033】
導光板11は、図1、図2に示すように、肉薄の板状体からなり、光源14から出光する光をその一端部11cから内部へ導入し、導光板11の表面11a側(第1液晶表示パネル15側)及び裏面11b側(第2液晶表示パネル30側)へ導出させるものであって、透明材料で形成される。透明材料には、例えば、アクリル樹脂材が使用される。また、その肉厚は0.6mm程度が好ましく、また、光源14が取り付けられた一端部11c以外の側壁面には、反射層が塗布されている。この反射層は導光板11を介して供給される光を両液晶表示パネル15、30が設けられている面以外から漏れないように設けられたものである。そして、この導光板11は、額縁状の枠体12に嵌め込まれる。
【0034】
この導光板11が嵌め込まれる額縁状の枠体12は、図1、図2(b)に示すように、矩形状をなし所定の幅及び高さを有する枠片12a〜12dからなり、第1液晶表示パネル15、導光板11、光学シート17a、17b及び光源14を収容できる大きさを有している。
【0035】
これらの枠片12a〜12dのうち、対向する長辺の枠片12c、12dを導光板11より長く延ばし、その先端に枠片12aを設け、枠体12に導光板11を嵌め込んだとき、枠片12aと導光板11との間に隙間12a’が形成されるようにする。この隙間12a’には、液晶表示パネルの組立て時に、光源14が挿入される。
【0036】
この額縁状の枠体12には、第1液晶表示パネル15、光学シート17a、17b及び導光板11が嵌め込まれる。このように各部品を枠体12内に嵌め込むことにより、一つの組立体が形成される。したがって、次工程での液晶表示パネルの組立てが簡単になる。
【0037】

また、第1液晶表示パネル15を固定する部材が不要で且つ液晶表示パネルの組立てが簡単になると共に、機械的強度を強くすることができる。
【0038】
光源14は、複数個のLED(Light Emitting Diode)13aが細長の基板13に一列に配列して取付けられ、この基板に接続された配線13bを通して電力が供給される。なお、ここでは光源をLEDとして説明したがこれに限定されることなく、例えば、蛍光ランプ等を用いてもよい。
【0039】
第1液晶表示パネル15には透過型液晶表示パネルが用いられる。この液晶表示パネル15は、図2(b)に示すように、2枚の対向するガラスからなる第1、第2基板15a、15bとの間にシール材を介して液晶15cが封入され一体に貼り合わせた構成を有する。各基板15a、15bのうち、第2基板15bは、各基板を貼り合わせたとき、第2基板15bの端部が第1基板15aの端縁より突出するように第1基板15aより長いものを使用する。そして、この突出部15b’の裏面には光源14が貼付される。なお、ここで使用する透過型液晶表示パネルは、既に公知のものを使用するので、詳細な説明は省略する。
【0040】
また、第1液晶表示パネル15の表裏面には、それぞれ偏向板16a、16bが配設され、この液晶表示パネル15と導光板11との間には、光拡散シート、プリズムシート等からなる光学シート17aが配設される。
【0041】
第1液晶表示パネル15は、その一端に回路基板18が接続される。この回路基板18は、1枚の可撓性を有するフレキシブル基板(FPC;Flexible Printed Circuit)上にグラフィックコントローラ、光源(LED)ドライバー及び液晶を駆動する半導体素子等が搭載されたもので、図3に示すように、第1液晶表示パネル15とほぼ同じ大きさを有する制御基板19と、この制御基板19と第1液晶表示パネル15とを接続する接続部20とで構成されている。また、この回路基板18は組立て時に接続部20から折り畳めるようになっている。
【0042】
回路基板18の表面19b(図3(a)参照)、すなわち、板金フレーム25の裏面25b(図4(b)参照)と接触する面には、複数個のアース用接触部22bが設けられており、これらのアース用接触部22bは基板の外周囲付近に設けられている。
【0043】
また、回路基板18の裏面19aには、その開口21の周囲に液晶を駆動させる半導体素子23a及び外部回路接続用のコネクタ23b等が取付けられ、さらに、アース用接触部22aが複数個設けられる。これらのアース用接触部22aは基板表面のアース用接触部22bに連結しており、これらのアース用接触部22a、22bは、導電性粘着剤の塗布或いは導電性接着テープを貼付することにより形成される。
【0044】
第2液晶表示パネル30には半透過型或いは透過型液晶表示パネルが使用される。この第2液晶表示パネル30は、液晶層を挟持して対向するガラスなどからなる第1基板30a及び第2基板30bをシール材で接合し一体化して構成され、第2基板30bが表示面となっている。
【0045】
この液晶表示パネル30には、フレキシブル基板31が接続され、この基板31の他端は、コネクタを介して回路基板18に接続される。
【0046】
板金フレーム25は、額縁状の枠体12とほぼ同じ大きさを有し、その表面に第2液晶表示パネル30の表示面とほぼ同じ大きさの開口26と、外周囲の端縁に複数個の係止片27aとを有し、肉薄の金属材、例えばアルミで形成され、その板厚は、0.2mm程度が好ましい。
【0047】
この板金フレーム25は、その一面25a、すなわち導光板11と接する面に鏡面加工が施される。鏡面加工は、例えば研磨、蒸着、スパッタ、或いは金属材、例えばアルミニウムを含む塗料材の塗布によって行われる。この面に鏡面加工を施すことにより、導光板11へ導入された光の一部がこの面で反射され第1液晶表示パネル15を照射するようになり、これにより光源14から供給される光の効率的な利用が可能となる。
【0048】
また、板金フレーム25の裏面25b、すなわち第2液晶表示パネル30が装着される面には、その開口26の周縁の3辺に、表面から突出する複数個の突起片29a、29b、29cが形成される。これらの突起片29a、29b、29cは、第2液晶表示パネル30の外周囲面と接触し第2液晶表示パネル30を位置決めする。第2液晶表示パネル30及びこの第2液晶表示パネル30の裏面に設けられる光学シート(図示省略)の固定は、これらの突起片29a、29b、29cと後述するカバー40とによって行われる。
【0049】
すなわち、第2液晶表示パネル30及びこの第2液晶表示パネル30の裏面に設けられる光学シートは、これらの突起片29a、29b、29cの三方で位置決めし、カバー40で覆い、カバー40に設けられた開口42の周辺に第2液晶表示パネル30の外周囲を押し当てて固定する。この方法によると、このパネル30等を固定する専用の枠体は不要になり、組立て作業も簡単になる。
【0050】
図4(b)に示すように、板金フレーム25の裏面25bには、その外周端部に複数個のアース用接触部25b’が形成され、この電極25b’及び開口26を除く部分に両面接着テープTが貼着される。また、各アース用接触部25b’には、導電性接着剤の塗布或いは導電性接着テープが貼付されることにより形成される。
【0051】
板金フレーム25の裏面25bに両面接着テープTが貼付され、アース用接触部25b’に導電性接着剤が塗布されると、液晶表示パネルの組立て時に、回路基板18が両面接着テープTの一面に貼付されると共に、導電性接着剤に回路基板18のアース用接触部22bが貼着される。
【0052】
したがって、回路基板18が板金フレーム25にしっかり固定され、また、各アース用接触部22bが確実に接続される。
【0053】
このように金属材からなる板金フレーム25を用いることにより、所定の機械的強度が保持され、この板金フレーム25を導光板11に接触させて、これらを機械的に補強しながら支持できる。この板金フレーム25は、肉薄でも所定の機械的強度を保持できるので、この部品を追加し、導光板及び第1、第2液晶表示パネルの厚さを薄くしても、全体として液晶表示装置10の薄型化が可能になる。また、この板金フレーム25は、このフレーム25と導光板11との間に介在する光学シートに接触させることにより、光学シートの皺を伸ばし、皺の発生を防止する機能を有する。さらに、板金フレーム25は、導電体であることから、回路基板18と後述する本体カバー40との間で良好な電気的接続回路が形成でき、この回路接続を通してアース接続ができる。
【0054】
なお、この板金フレーム25は、金属材に限定されず所定の強度を保有する樹脂材等からなるシート材でもよい。
【0055】
カバー40は、図1、図2に示すように、第1液晶表示パネル15、導光板11、板金フレーム25及び第2液晶表示パネル30等が積層された後に、第2液晶表示パネル30側からこの積層体を覆うカバーであって、浅底で外周囲に背低の側板41a〜41dを有する箱型をなし、同一の平坦面をなす高さの底板41f・41gに第2液晶表示パネル30の表示面を露出させる大きさの開口42及び回路基板18に設けられたコネクタ23bを露出される複数個の開口43を有し、金属材で形成される。底板41f・41gは、回路基板18のアース用接触部22aと接触する部分を内側へ突出させて突出部(図示省略)を形成し、組立て時にアース用接触部22aとの接触を良好にするのが好ましい。また、金属材には、ステンレス材が好ましいが、ステンレス材に限定されず、他の金属材、或いは樹脂材でもよい。
【0056】
以下に、両面発光型導光板を備えた液晶表示装置の組立てを説明する。
【0057】
先ず、額縁状の枠体12に導光板11を嵌め込み、嵌め込んだ導光板の一面11aに1枚ないし複数枚の光学シート17aを載置し、更にこの光学シート17aの上から第1液晶表示パネル15を枠体12に嵌め込む。また、導光板11の他面11bも、同様にして1枚ないし複数枚の光学シート17bを載置し、この光学シート17bの上に第2液晶表示パネル30の表示面を露出させる開口を有する遮光シート(図示省略)を貼付する。
【0058】
この遮光シートは、小型の第2液晶表示パネル30の外周囲へ導光板11からの光が照射されるのを遮光する。また、額縁状の枠体12に、第1液晶表示パネル15、光学シート17a、17b及び導光板11を嵌め込むことにより、これらの部品が枠体12内に収まり、一つの組立体が形成されるので、次工程での液晶表示パネルの組立てが簡単になる。また、第1液晶表示パネルを固定する部材が不要で且つ液晶表示パネルの組立てが簡単になると共に、機械的強度を強くすることができる。
【0059】
次いで、この組立体の遮光シートの裏面に板金フレーム25を接触させて、板金フレーム25の係止片27aを枠体12の係止突起12eに係合させて固定する。
【0060】
また、板金フレーム25には、予め、両面接着テープTを貼付すると共に、アース用接触部25b’に導電性接着剤を塗布しておき、またこの開口26周辺の突起片29a〜29cの間に第2液晶表示パネルを挟み込む。
【0061】
その後、回路基板18を両面接着テープTの一面に貼付すると共に、回路基板18のアース用接触部22bを導電性接着剤を介して板金フレーム25のアース用接触部25b’と電気的に接続をする。
【0062】
このようにして組立てた組立体に、第2液晶表示パネル30側からカバー40で覆い、このカバー40の係止穴41eを枠体12の係止突起12fに係止して、両面発光型導光板を備えた液晶表示装置10を組立てる。上述のようにカバー40で組立体を覆うことにより、カバー40に設けられた開口から回路基板18のコネクタ23bが露出され、他の機器への接続はこのコネクタ23bを介して行われる。また、回路基板18のアース用接触部22aは、カバー40の内壁面に電気的に接続させる。
【0063】
この組み立てにより、回路基板18のアース用接触部22a、22bは、板金フレーム25のアース用接触部25b’及びカバー40に電気的に接続されるので、ノイズの発生を抑制できる。しかも、第1、第2液晶表示パネル15、30及び回路基板18が前記カバーで覆われるので、全体がシールドされ電磁波の影響を少なくできる。
【0064】
このようにして組立てた液晶表示装置は、携帯端末、例えば携帯電話機に搭載される。
【0065】
図5は液晶表示装置が組み込まれる折畳み式携帯電話機を示し、図5(A)は電話機を開いた状態で一方から見た斜視図、図5(B)は他方から見た斜視図である。
【0066】
この折畳み式携帯電話機50は、図5(A)、図5(B)に示すように、上部ハウジング51と下部ハウジング52とがヒンジ機構53によって開閉自在に連結されている。
【0067】
上部ハウジング51には、液晶表示装置10が組み込まれており、下部ハウジング52の操作面52aには、ダイヤル操作等を行うための入力キー52bが所定数設けられ、この操作面52a、すなわち下部ハウジング51の上面及び入力キー52bに鏡面加工が施される。この鏡面加工は、金属材、例えばアルミニウムを含む塗料を塗布することにより行われる。
【0068】
この液晶表示装置10が搭載された携帯電話機50において、各ハウジング51、52が開いた状態で使用される際には、通常第1液晶表示パネル15を使用するが、このとき光源14から導出した光は導光板11を介して両液晶表示パネル15、30に照射され、かつ板金フレーム25の鏡面加工が施された面25aに照射された光は、第1液晶表示パネル15側へ反射し、第1液晶表示パネル15に照射されるようになるため、第1液晶表示パネル15を高輝度とすることができる。
【0069】
また、各ハウジング51、52を折畳んで使用する場合は、第1液晶表示パネル15はハウジング51、52に挟まれて見えないため、通常は第2液晶表示パネル30を使用する。このとき第1液晶表示パネル15は視認できる状態ではないので、電圧が印加されておらず、よって、ノーマリーホワイトの透過型液晶表示パネルからなる第1液晶表示パネル15は光を透過する状態となっている。この場合、導光板11の側壁面に設けられた光源14から導出した光は、導光板11を介して両液晶表示パネル15、30に照射され、かつ前記第1液晶表示パネル15へ照射された光は、鏡面加工された操作面52a、すなわち下部ハウジング51の上面及び入力キー52bにより第2液晶表示パネル30側に反射し、これにより第2液晶表示パネル30は高輝度に照射されるようになる。
【0070】
ただし、電圧印加により多少の電力消費はあるが、第1液晶表示パネルをノーマリーブラックの透過型液晶表示パネルとしてもよい。
【0071】
上述のように、本発明の折畳み式携帯情報端末によれば、開いた状態及び折畳んだ状態での使用に際しても、低消費電力で、両液晶表示パネルを高輝度に保つことができ、更に各液晶表示パネルの輝度の向上を操作筐体に鏡面加工を施したのみで達成できるので、安価に液晶表示パネルの輝度を向上させることができるようになる。
【0072】
また、液晶表示装置10は上述の構成により薄型化が実現されているので、この液晶表示装置10を搭載した携帯電話機も薄型化することができる。なお、この液晶表示装置10を搭載する機器は、携帯電話機に限定されず、他の携帯情報端末、例えばPDA等にも搭載することができる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は本発明の1実施例に係る液晶表示装置を分解した分解斜視図、
【図2】図2は図1の液晶表示装置組立体を示し、図2(a)は平面図、図2(b)は図2(a)のA−A線で切断した断面図、
【図3】図3は本発明の液晶表示装置に搭載される回路基板を示し、図3(a)は表面斜視図、図3(b)は裏面斜視図、
【図4】図4は本発明の液晶表示装置に搭載される板金フレームを示し、図4(a)は表面斜視図、図4(b)は裏面斜視図、
【図5】図5は折畳み式携帯電話機を示す図であり、図5(A)は電話機を開いた状態で一方から見た斜視図、図5(B)は他方から見た斜視図、
【図6】図6は従来技術の折畳み式携帯電話機を示す斜視図、
【図7】図7は従来技術の液晶表示モジュールを示す側面図である。
【符号の説明】
【0074】
10 液晶表示装置
11 導光板
12 枠体
14 光源
15 第1液晶表示パネル
18 回路基板
25 板金フレーム(補強フレーム)
30 第2液晶表示パネル
40 カバー
50 折畳み式携帯電話
51 上部ハウジング
52 下部ハウジング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
側壁面に設けられた光源から導入された光を表裏両面へ導光する板状導光板と、前記導光板を間に挟んで積層された第1、第2液晶表示パネルと、を有する表示部筐体と、少なくとも操作キーを有する操作部筐体とを備え、前記表示部筐体と前記操作部筐体とが連結機構で結合されて折畳み可能とした折畳み式携帯情報端末において、折畳み時に前記操作キーと対向する前記第1液晶表示パネルが透過型液晶表示パネルにより形成され、かつ前記操作部筐体は、前記第1液晶表示パネルと対向する面が鏡面加工されていることを特徴とする折畳み式携帯情報端末。
【請求項2】
前記表示筐体に設けられた導光板の前記第2液晶表示パネルが載置される面には、薄板状の補強フレームが設けられ、前記補強フレームは前記導光板と接触する側の面に鏡面加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載の折畳み式携帯情報端末。
【請求項3】
前記鏡面加工は、前記操作キーの表面にも施されていることを特徴とする請求項1に記載の折畳み式携帯情報端末。
【請求項4】
前記板状導光板は、光が導入される側壁面を除く外周側壁面に反射層が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の折畳み式携帯情報端末。
【請求項5】
折畳んで使用する場合には、電圧を印加しないノーマリーホワイトの透過型液晶表示パネルからなる第1液晶表示パネルを備えたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の携帯情報端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−101332(P2006−101332A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−286713(P2004−286713)
【出願日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】