説明

折畳式携帯機器用静脈認証装置および静脈認証方法

【課題】近赤外光の照射開始タイミングを効率よく決定することが可能な、折畳式携帯機器用静脈認証装置および静脈認証方法を提供する。
【解決手段】本発明によれば、表示部を有する第1筐体と、操作部を有する第2筐体と、第1筐体および第2筐体を互いに回動自在に連結するヒンジ部と、を有する折畳式携帯機器に設けられる静脈認証装置において、第1筐体、第2筐体またはヒンジ部に配設された生体の一部に対して近赤外光を照射する光源部と、ヒンジ部に設けられ、回動操作に応じて撮像モードが静脈撮像モードに切り替わるとともに、生体の一部を撮像して静脈撮像データを生成する撮像部と、静脈撮像データから静脈パターンを抽出する静脈パターン抽出部と、抽出された前記静脈パターンの認証を行う認証部と、を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、折畳式携帯機器用静脈認証装置および静脈認証方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報通信技術の発達に伴い、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末や携帯電話等の携帯機器において、電子マネーや定期券など、様々なサービスを利用することができるようになってきた。これらのサービスの利用に際して安全性を担保するために、様々な認証方法を利用することが可能である。
【0003】
このような認証方法の一つに、生体の一部を撮像して得られる静脈パターンを用いて個人認証を行う静脈認証技術がある。この静脈認証は、判定精度の高さや偽造、成りすましが困難であるため、次世代の生体個人認証として期待されている。
【0004】
近年の携帯電話には、撮像装置が実装されている場合が多いため(例えば、特許文献1参照。)、この撮像装置を利用して生体の一部を撮像することで、静脈認証の実施が可能になると考えられる。
【0005】
【特許文献1】特開2002−374434号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、静脈パターンを撮像するためには、生体の一部に近赤外光を照射する必要があるが、携帯機器に静脈認証技術を適用する場合には、バッテリの持続時間に関する問題を考慮する必要がある。すなわち、バッテリの持続時間には限りがあるため、常時近赤外光を照射しておくわけにもいかず、近赤外光を照射するタイミングを効率よく決定する必要がある。
【0007】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、近赤外光の照射開始タイミングを効率よく決定することが可能な、新規かつ改良された折畳式携帯機器用静脈認証装置および静脈認証方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、表示部を有する第1筐体と、操作部を有する第2筐体と、前記第1筐体および前記第2筐体を互いに回動自在に連結するヒンジ部と、を有する折畳式携帯機器に設けられる静脈認証装置であって、前記第1筐体、前記第2筐体または前記ヒンジ部に配設された生体の一部に対して近赤外光を照射する光源部と、前記ヒンジ部に設けられ、回動操作に応じて撮像モードが静脈撮像モードに切り替わるとともに、前記生体の一部を撮像して静脈撮像データを生成する撮像部と、前記静脈撮像データから静脈パターンを抽出する静脈パターン抽出部と、抽出された前記静脈パターンの認証を行う認証部と、を備える折畳式携帯機器用静脈認証装置が提供される。
【0009】
前記光源部は、前記撮像部が前記静脈撮像モードに切り替わった際に、前記近赤外光を照射するようにしてもよい。
【0010】
前記撮像部は、当該撮像部における前記回動操作の回転角度を検知する角度検知部を備え、前記回動操作の回転角度が所定の角度以上になった場合に、前記撮像モードが前記静脈撮像モードに切り替わるようにしてもよい。
【0011】
前記折畳式携帯機器用静脈認証装置は、前記第1筐体または前記第2筐体に前記生体の一部が配設されたことを検知する生体配設検知部を更に備え、前記光源部は、前記生体配設検知部が前記生体の配設を検知すると、前記近赤外光を照射するようにしてもよい。
【0012】
前記生体配設検知部は、前記第1筐体、前記第2筐体または前記ヒンジ部に設けられた照度センサであってもよく、前記第1筐体、前記第2筐体または前記ヒンジ部に設けられたタッチパネルであってもよい。
【0013】
前記撮像部は、前記生体の一部により反射された前記近赤外光を集光する光学素子と、前記光学素子により集光された前記近赤外光が集光される撮像素子と、を備え、前記撮像部に対してなされた回動操作に応じて、前記撮像素子に向かう光軸上に、静脈撮像用光学フィルタが配設されるようにしてもよい。
【0014】
前記撮像部は、前記生体の一部により反射された前記近赤外光を集光する光学素子と、前記光学素子により集光された前記近赤外光が集光される撮像素子と、を備え、前記撮像部に対してなされた回動操作に応じて、前記撮像素子が回動するようにしてもよい。
【0015】
前記撮像部は、前記生体の一部により反射された前記近赤外光を集光する光学素子と、前記光学素子により集光された前記近赤外光が集光される撮像素子と、を備え、前記撮像部に対してなされた回動操作に応じて、前記光学素子および前記撮像素子の双方が回動するようにしてもよい。
【0016】
上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、表示部を有する第1筐体と、操作部を有する第2筐体と、前記第1筐体および前記第2筐体を互いに回動自在に連結するヒンジ部と、を有し、前記第1筐体、前記第2筐体または前記ヒンジ部に配設された生体の一部に対して近赤外光を照射する光源部と、前記ヒンジ部に設けられ、回動操作に応じて撮像モードが静脈撮像モードに切り替わるとともに、前記生体の一部を撮像して静脈撮像データを生成する撮像部と、前記静脈撮像データから静脈パターンを抽出する静脈パターン抽出部と、抽出された前記静脈パターンの認証を行う認証部と、を備える折畳式携帯機器用静脈認証装置における静脈認証方法であって、前記撮像部に対してなされた回動操作により、前記撮像モードが静脈撮像モードに切り替わるステップと、前記生体の一部に対して近赤外光を照射するステップと、前記生体の一部で反射された前記近赤外光を撮像し、静脈撮像データを生成するステップと、前記静脈撮像データから静脈パターンを抽出するステップと、抽出された前記静脈パターンを認証するステップと、を含む静脈認証方法が提供される。
【0017】
上記課題を解決するために、本発明の更に別の観点によれば、表示部を有する第1筐体と、操作部を有する第2筐体と、前記第1筐体および前記第2筐体を互いに回動自在に連結するヒンジ部と、前記ヒンジ部に設けられる撮像装置と、を備える折畳式携帯機器を制御するコンピュータを、静脈認証装置として機能させるためのプログラムであって、前記第1筐体、前記第2筐体または前記ヒンジ部に配設された生体の一部に対して近赤外光を照射する光源の制御を行う光源制御機能と、前記撮像装置を制御して前記生体の一部を撮像し、静脈撮像データを生成する撮像機能と、前記静脈撮像データから静脈パターンを抽出する静脈パターン抽出機能と、抽出された前記静脈パターンの認証を行う認証機能と、をコンピュータに実現させるためのプログラムが提供される。
【0018】
かかる構成によれば、コンピュータプログラムは、コンピュータが備える記憶部に格納され、コンピュータが備えるCPUに読み込まれて実行されることにより、折畳式携帯機器を制御するコンピュータを上記の静脈認証装置として機能させる。また、コンピュータプログラムが記録された、コンピュータで読み取り可能な記録媒体も提供することができる。記録媒体は、例えば、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、フラッシュメモリなどである。また、上記のコンピュータプログラムは、記録媒体を用いずに、例えばネットワークを介して配信してもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、撮像部の回動操作に応じて撮像モードが静脈撮像モードへと切り替わるため、近赤外光の照射開始タイミングを効率よく決定することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0021】
(第1の実施形態)
<折畳式携帯機器用静脈認証装置について>
まず、図1〜図4Bを参照しながら、本発明の第1の実施形態に係る静脈認証装置である、折畳式携帯機器用静脈認証装置について、詳細に説明する。図1〜図4Bは、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10について説明するための説明図である。
【0022】
なお、以下の説明では、折畳式携帯機器の一例として、折畳式携帯電話機を挙げながら説明を行うが、PDA等の折畳式携帯端末であっても同様である。
【0023】
本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10は、例えば図1に示したような折畳式携帯電話に設けられる静脈認証装置である。折畳式携帯電話は、表示部102が設けられた第1筐体101と、操作部104が設けられた第2筐体と、第1筐体101および第2筐体103を互いに回動自在に連結するヒンジ部105と、から構成される。ヒンジ部105の略中央部には、本実施形態に係る撮像部155が設けられており、ヒンジ部105の一端には、撮像部155を回転させるための撮像部回転つまみ106が設けられている。また、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10の撮像部155には、例えば図2に示したように、第1貫通孔107および第2貫通孔108が設けられている。
【0024】
図3A〜図4Bは、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10の撮像部155の一例を説明するための説明図である。図3Aおよび図3Bは、静脈撮像モード状態にある折畳式携帯機器用静脈認証装置10の撮像部155の一例を示しており、図4Aおよび図4Bは、風景・ポートレイト撮像モードにある折畳式携帯機器用静脈認証装置10の撮像部155の一例を示している。
【0025】
例えば図3Aおよび図4Aに示したように、第1貫通孔107に対応する部分には、風景・ポートレイト撮像用レンズ109が位置しており、第2貫通孔108に対応する部分には、静脈撮像用光学フィルタ111が設けられた静脈撮像用レンズ110が位置している。また、撮像部回転つまみ106の回転軸には、撮像素子112が載置されている撮像素子保持部113が設けられており、回転軸の回転に伴って、撮像素子保持部113が撮像素子112とともに回転するようになっている。
【0026】
また、撮像部155には、図3Bに示したように、撮像素子保持部113の回転角を規制する回転角規制リブ114が設けられている。撮像部155が静脈撮像モードとなっている場合には、回転角規制リブ114の端部が撮像素子保持部113の底面(撮像素子112が載置されている面に対向する面)と接するようになっており、撮像素子保持部113が必要以上に回転することを防止している。
【0027】
折畳式携帯機器用静脈認証装置10の使用者は、撮像部回転つまみ106を回転させることで、撮像部回転つまみ106に接続されている回転軸が回転し、撮像素子保持部113ごと撮像素子112が回転することとなる。図3Aおよび図3Bに示したように撮像部155が静脈撮像モードにある場合には、静脈撮像用光学フィルタ111、静脈撮像用レンズ110および撮像素子112が同一の光軸上に位置するようになり、生体の一部で反射した近赤外光が、撮像素子112上で集光される。また、図4Aおよび図4Bに示したように撮像部155が風景・ポートレイト撮像モードにある場合には、風景・ポートレイト撮像用レンズ109および撮像素子112が同一の光軸上に位置するようになる。
【0028】
なお、図2〜図4Bでは、風景・ポートレイト撮像用レンズ109と静脈撮像用レンズ110がそれぞれ設けられ、撮像部回転つまみ106の回転に応じて、撮像素子112のみが回転する場合について説明したが、本実施形態に係る撮像部155は上述の例に限定されるわけではない。例えば、本実施形態に係る撮像部155は、風景・ポートレイト用撮像用レンズが静脈撮像用レンズを兼ねており、撮像部回転つまみ106の回転に応じて、撮像用レンズと撮像素子の双方が回転するように構成されてもよい。
【0029】
<折畳式携帯機器用静脈認証装置の構成>
続いて、図5を参照しながら、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置の構成について、詳細に説明する。図5は、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10の構成を説明するためのブロック図である。
【0030】
本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10(以下、静脈認証装置10とも称する。)は、例えば図5に示したように、角度検知部151と、光源部153と、撮像部155と、静脈パターン抽出部157と、認証部159と、被制限処理実行部161と、表示制御部163と、記憶部165と、を主に備える。
【0031】
角度検知部151は、主に、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の半導体素子と、メカニカルスイッチ、磁気センサ(MRセンサ)またはロータリーエンコーダと、から構成され、撮像部155の回動角度の大きさを検知する。
【0032】
撮像部155の回転角度(例えば、撮像部回転つまみ106の回転角度)が所定の角度となり、静脈認証処理のために生体の一部(例えば、指表面などの体表面)が撮像可能な範囲となると、角度検知部151は、撮像可能となった旨を後述の光源部153および撮像部155に通知する。その結果、静脈認証アプリケーションが起動して、近赤外光の照射が開始される。ここで、生体の一部が撮像可能な範囲とは、後述する撮像部155の撮像範囲の中に前述の生体の一部が入っている状態を意味する。
【0033】
また、撮像部155の回転角度が所定の角度未満であった場合には、角度検知部151は、回転角度が所定の閾値未満である旨を光源部153、撮像部155および表示制御部163に通知する。通知を受けた表示制御部163は、表示部102に回転角度が足りない旨の警告を表示して使用者に再度回転操作を行うように促してもよい。また、通知を受けた光源部153および撮像部155は、静脈認証アプリケーションの起動を中止して、近赤外光の照射を行わないようにしてもよい。
【0034】
なお、角度検知部151は、上述の撮像部155の回動角度に加えて、第1筐体101と第2筐体103との開閉角度の大きさやスライド量を更に検知して、静脈認証処理の開始を判断するようにしてもよい。
【0035】
光源部153は、体表面(例えば、指表面)Sに対して所定の波長帯域を有する近赤外光を照射する。近赤外光は、身体組織に対して透過性が高い一方で、血液中のヘモグロビン(還元ヘモグロビン)に吸収されるという特徴を有するため、近赤外光を指や手のひらや手の甲に照射すると、指や手のひらや手の甲の内部に分布している静脈が影となって画像に現れる。画像に表れる静脈の影を、静脈パターンという。このような静脈パターンを良好に撮像するために、発光ダイオード等の光源部153は、約600nm〜1300nm程度の波長、好ましくは、700nm〜900nm程度の波長を有する近赤外光を照射する。
【0036】
ここで、光源部153が照射する近赤外光の波長が600nm未満または1300nm超過である場合には、血液中のヘモグロビンに吸収される割合が小さくなるため、良好な静脈パターンを得ることが困難となる。また、光源部153が照射する近赤外光の波長が700nm〜900nm程度である場合には、近赤外光は、脱酸素化ヘモグロビンと酸素化ヘモグロビンの双方に対して特異的に吸収されるため、良好な静脈パターンを得ることができる。
【0037】
また、上述のような波長帯域を有する発光ダイオードのような光源を用いる代わりに、上述の波長帯域を含む光を射出可能な発光ダイオードと、射出された光を光学的に帯域制限するフィルタとを組み合わせたものを使用してもよい。
【0038】
光源部153から射出された近赤外光は、体表面Sに向かって伝搬し、直接光として、生体の内部に入射する。ここで、人体は良好な近赤外光の散乱体であるため、生体内に入射した直接光は四方に散乱しながら伝搬する。これらの散乱光の一部は、背面散乱光として上述の静脈層を背面から指表面に向かって透過し、反射光として撮像部155の光学素子に入射することとなる。
【0039】
この光源部153は、後述する撮像部155による撮像に影響が生じない範囲であれば、第1筐体101、第2筐体103またはヒンジ部105の任意の箇所に設けることが可能である。
【0040】
撮像部155は、CCD(Charge Coupled Devices:電荷結合素子)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等の撮像素子およびレンズ等の光学素子から構成される光学系と、CPU、ROM、RAM等から構成され、前述の光学系の駆動制御を行う撮像制御部(図示せず。)と、から構成される。
【0041】
撮像部155を構成する光学系は、1または複数の光学素子と、1または複数の撮像素子と、から構成される。本実施形態に係る光学系は、風景・ポートレイト撮像用の光学素子と、静脈撮像用の光学素子と、をそれぞれ別個に有していてもよく、風景・ポートレイト撮像用の光学素子を、静脈撮像用の光学素子として利用してもよい。
【0042】
人体の皮膚は、表皮層、真皮層および皮下組織層の3層構造となっていることが知られているが、静脈の存在する静脈層は、真皮層に存在している。真皮層は、指表面に対して0.1mm〜0.3mm程度の位置から2mm〜3mm程度の厚みで存在している層である。したがって、このような真皮層の存在位置(例えば、指表面から1.5mm〜2.0mm程度の位置)にレンズ等の光学素子の焦点位置を設定することで、静脈層を透過した透過光を、効率よく集光することが可能となる。
【0043】
光学素子によって集光された静脈層を透過した透過光(体表面からの反射光)は、撮像素子に結像されて、静脈撮像データとなる。
【0044】
撮像制御部は、撮像素子によって生成された撮像データを、後述する静脈パターン抽出部157に出力する。また、撮像制御部は、得られた撮像データを、後述する記憶部165に記録してもよい。また、記憶部165への記録に際して、撮像制御部は、生成した撮像データに撮像日や撮像時刻等を関連づけてもよい。なお、生成される撮像データは、RGB(Red−Green−Blue)信号であってもよいし、それ以外の色やグレースケール等の画像データであってもよい。
【0045】
撮像部155に対してなされた回動操作によって、角度検知部151から回転角度が所定の値を超えた旨の通知が伝送された場合には、撮像部155の撮像制御部は、撮像モードを、風景やポートレイトの撮像に適した風景・ポートレイト撮像モードから、体表面の撮像に適した静脈撮像モードへと切り替える。
【0046】
本実施形態に係る光学系が、風景・ポートレイト撮像用の光学素子と、静脈撮像用の光学素子とを個別に有している場合には、撮像モードが静脈撮像モードに切り替わることにより、光学素子が静脈撮像用の光学素子へと切り替わり、撮像素子が静脈撮像用の光学素子と略同一の光軸上に位置するように回動操作に応じて回動する。また、風景・ポートレイト撮像用の光学素子が、静脈撮像用の光学素子を兼ねている場合には、光学素子および撮像素子の双方が回動操作に伴って回動するとともに、光学素子の諸設定(例えば、焦点距離など)が、静脈パターン撮像用の設定値へと切り替わる。さらに、撮像素子に向かう光軸上に、近赤外光以外の波長を除去し近赤外光を選択的に透過させる静脈撮像用の光学フィルタが機械的に挿入されるようにしてもよい。
【0047】
静脈パターン抽出部157は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成され、例えば、撮像部155から伝送される近赤外光撮像データに対して、静脈パターン抽出の前処理を行なう機能と、静脈パターンの抽出を行なう機能と、静脈パターン抽出の後処理を行なう機能と、を備える。
【0048】
ここで、上記の静脈パターン抽出の前処理は、例えば、撮像データから指の輪郭を検出し、撮像データのどの位置に指があるかを識別する処理や、検出した指の輪郭を利用して撮像データを回転させて、撮像データの角度(撮像画像の角度)を補正する処理等を含む。
【0049】
また、上記の静脈パターンの抽出は、輪郭の検出や角度の補正が終了した撮像データに対して差分フィルタを適用することで行なわれる。差分フィルタは、注目している画素とその周囲の画素について、注目している画素と周囲の画素との差分が大きな部分で、大きな値を出力値として出力するフィルタである。換言すれば、差分フィルタとは、注目している画素とその近傍の階調値の差分を用いた演算により、画像中の線や縁を強調するフィルタである。
【0050】
一般的に、2次元平面の格子点(x,y)を変数とする画像データu(x,y)に対してフィルタh(x,y)を用いてフィルタ処理を行なうと、以下の式1に示すように、画像データν(x,y)を生成する。ここで、以下の式2において、‘*’は畳込み積分(コンボリューション)を表す。
【0051】
【数1】

【0052】
本実施形態に係る静脈パターンの抽出では、上記の差分フィルタとして、1次空間微分フィルタや2次空間微分フィルタ等の微分フィルタを用いてもよい。1次空間微分フィルタは、注目している画素について、横方向と縦方向の隣接している画素の階調値の差分を算出するフィルタであり、2次空間微分フィルタは、注目している画素について、階調値の差分の変化量が大きくなっている部分を抽出するフィルタである。
【0053】
上記の2次空間微分フィルタとして、例えば、以下に示すLog(Laplacian of Gaussian)フィルタを用いることが可能である。Logフィルタ(式3)は、ガウス関数を用いた平滑化フィルタであるガウシアン(Gaussian)フィルタ(式2)の2次微分で表される。ここで、以下の式2において、σはガウス関数の標準偏差を表し、ガウシアンフィルタの平滑化の度合いを表す変数である。また、以下の式3におけるσは、式2と同様にガウス関数の標準偏差を表すパラメータであり、σの値を変化させることで、Logフィルタ処理を行なった場合の出力値を変化させることができる。
【0054】
【数2】

【0055】
また、上記の静脈パターン抽出の後処理は、例えば、差分フィルタ適用後の画像データに対してなされる閾値処理や、2値化処理や、細線化処理等を含む。かかる後処理を経て、静脈パターンのスケルトンを抽出することが可能となる。
【0056】
静脈パターン抽出部157は、このようにして抽出した静脈パターンやスケルトンを、後述する認証部159等に伝送する。また、静脈パターン抽出部157は、抽出した静脈パターンやスケルトンを、後述する記憶部165に記憶してもよい。なお、静脈パターン抽出部157は、上述の各処理を行なうに当たって生成したパラメータや処理の途中経過等を、記憶部165に記憶してもよい。
【0057】
認証部159は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成され、静脈パターン抽出部157により生成された静脈パターンをテンプレートとして登録したり、静脈パターン抽出部157により生成された静脈パターンを既に登録されているテンプレートと照合して、静脈パターンの認証をおこなったりする。かかる認証部159は、例えば、静脈パターン登録部(図示せず。)と、静脈パターン認証部(図示せず。)と、を更に備える。
【0058】
静脈パターン登録部は、静脈パターン抽出部157により生成された静脈パターンを、テンプレートとして後述する記憶部165に登録する。また、登録静脈パターンの登録に際しては、静脈パターンだけでなく、静脈パターンを有する個人を特定する他のデータ(例えば、指紋データ、顔画像データ、虹彩データ、声紋データ等)を静脈パターンに関連づけて記憶してもよい。また、テンプレートとして登録される登録静脈パターンは、例えば、CBEFF(Common Biometric Exchange File Format:共通バイオメトリック交換ファイルフォーマットフレームワーク)等の規格に則ったヘッダ情報を有していてもよい。
【0059】
静脈パターン認証部は、静脈パターン抽出部157により生成された静脈パターンと、既に記録されている静脈パターンのテンプレートとに基づいて、生成された静脈パターンの認証を行なう。静脈パターン認証部は、後述する記憶部165に対して登録静脈パターンの開示を要求し、取得した登録静脈パターンと、静脈パターン抽出部157から伝送された静脈パターンとの比較を行なう。登録静脈パターンと伝送された静脈パターンとの比較は、例えば以下に示す相関係数を算出し、算出した相関係数に基づいて実行することが可能である。静脈パターン認証部は、比較の結果登録静脈パターンと伝送された静脈パターンが類似している場合には、伝送された静脈パターンを認証し、類似していない場合には、認証を行なわない。
【0060】
相関係数は、以下の式4で定義されるものであり、2つのデータx={x},y={y}間の類似度を示す統計学指標であって、−1から1までの実数値をとる。相関係数が1に近い値を示す場合には、2つのデータは類似していることを示し、相関係数が0に近い値を示す場合には、2つのデータは類似していないことを示す。また、相関係数が−1に近い値を示す場合には、2つのデータの符号が反転しているような場合を示す。
【0061】
【数3】

【0062】
また、静脈パターン認証部は、認証結果を認証時刻等と関連づけて、認証履歴として記憶部165に記録してもよい。かかる認証履歴を生成することで、誰がいつ静脈パターンの認証を要求したのか、ひいては、誰がいつ静脈認証装置10を利用したのか、を知ることが可能となる。
【0063】
被制限処理実行部161は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成され、認証部159から出力される静脈パターンの認証結果に応じて、実行が制限されている所定の処理を実行する。すなわち、被制限処理実行部161は、認証部159から静脈パターンの認証が成功した旨の通知を受けると、実行が制限されている所定の処理の制限を解除して、処理を実行する。
【0064】
表示制御部163は、例えば、CPU、ROM、RAM等から構成され、本実施形態に係る静脈認証装置10に設けられた表示部102に表示される各種情報の表示制御を行う。例えば、角度検知部151により、撮像部155の回転角度の大きさが所定の閾値以上になった旨が通知された場合には、表示制御部163は、例えば図6に示したように、指の配設位置を使用者に通知する指配設位置通知オブジェクト115と、第一関節配設位置通知オブジェクト116と、コメント117と、を併せて表示部102に表示する。
【0065】
本実施形態に係る静脈認証装置10は、これらの指配設位置通知オブジェクト115、第一関節配設位置通知オブジェクト116、コメント117等を表示部102に表示させることにより、折畳式携帯機器のデザイン性を損なうことなく、指を置かせる位置を指定することが可能となる。また、指を置く位置に関して大きなズレが生じる可能性を減らすことができるため、指置き位置のズレに起因する認証精度の低下を抑制することができる。
【0066】
記憶部165は、静脈パターン登録部から登録要請のあった登録静脈パターンや、当該登録静脈パターンに関連付けられた他のデータを記憶する。また、これらのデータ以外にも、撮像部155が生成した撮像データや、静脈パターン抽出部157が抽出した静脈パターン等を記憶することも可能である。更に、これらのデータ以外にも、静脈認証装置10が、何らかの処理を行う際に保存する必要が生じた様々なパラメータや処理の途中経過等、または、各種のデータベース等を、適宜記憶することが可能である。この記憶部165は、撮像部155、静脈パターン抽出部157、認証部159、被制限処理実行部161等が、自由に読み書きを行うことが可能である。
【0067】
以上説明したように、本実施形態に係る静脈認証装置10は、ヒンジ部105に設けられた撮像部155の回動角度の大きさが所定の閾値を超えた場合に、静脈認証処理に必要な近赤外光の照射が開始される。本実施形態に係る静脈認証装置10は、近赤外光の照射が必要となった場合のみに近赤外光の照射が行われるため、不必要なバッテリ電力の使用を削減することができる。
【0068】
また、本実施形態に係る静脈認証装置10では、撮像部155が静脈パターンの撮像に適した状態とならないと近赤外光の照射や静脈認証アプリケーションの起動を開始しないため、撮像部155が撮像に適した状態にないために生じうる認証精度の低下を抑制することができる。
【0069】
以上、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0070】
また、上述の説明では、テンプレートとして登録される登録静脈パターンが、折畳式携帯機器用静脈認証装置10内に記録される場合について説明したが、登録静脈パターンは、DVDメディア、Blu−rayメディア、コンパクトフラッシュ(登録商標)、メモリースティック、または、SDメモリカード等の記録媒体や、非接触型ICチップを搭載したICカードまたは電子機器等に記録されてもよく、折畳式携帯機器用静脈認証装置10とインターネット等の通信網を介して接続されたサーバに記録されていてもよい。
【0071】
<折畳式携帯機器用静脈認証装置における静脈認証処理>
続いて、図7および図8を参照しながら、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10における静脈認証処理について、詳細に説明する。図7は、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10における静脈パターンの登録処理について説明するための流れ図であり、図8は、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10における静脈認証処理について説明するための流れ図である。
【0072】
[静脈パターンの登録処理]
まず、図7を参照しながら、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10における静脈パターンの登録処理について、詳細に説明する。
【0073】
折畳式携帯機器のヒンジ部105に設けられた撮像部155に対して回動操作がなされると、角度検知部151は回転角度の検知を行う。回転角度が所定の閾値以上となると、角度検知部151は、閾値以上の回転角度になった旨を光源部153および撮像部155に伝送する。角度検知部151から出力された通知を受信した撮像部155は、撮像制御部が撮像モードを静脈撮像モードへと切り替えて(ステップS101)、静脈認証アプリケーションを起動する(ステップS103)。
【0074】
また、角度検知部151から出力された通知を受信した光源部153は、予め設定された箇所(例えば、指が配設される箇所)に対して近赤外光の照射を開始する(ステップS105)。
【0075】
なお、回転角度が閾値未満であった場合には、角度検知部151は、回転角度が所定の閾値未満である旨を光源部153、撮像部155および表示制御部163に通知する。通知を受けた表示制御部163は、表示部102に回転角度が足りない旨の警告を表示して使用者に再度回転操作を行うように促してもよい。また、通知を受けた光源部153および撮像部155は、静脈認証アプリケーションの起動を中止して、近赤外光の照射を行わないようにしてもよい。
【0076】
撮像部155は、予め設定された箇所に配設された生体の一部(例えば、指表面)の撮像を行い、静脈撮像データを生成する(ステップS107)。ここで、生体の一部の撮像タイミングは、撮像部155が所定の間隔で周期的に撮像を繰り返すようにしてもよく、使用者が操作部に設けられた所定のキーを押して撮像を開始させるようにしてもよい。
【0077】
撮像部155により生成された静脈撮像データは、静脈パターン抽出部157に伝送される。静脈パターン抽出部157は、伝送された静脈撮像データから静脈パターンを抽出し(ステップS109)、認証部159へと出力する。
【0078】
認証部159の静脈パターン登録部は、伝送された静脈パターンを登録静脈パターン(テンプレート)として記憶部165に登録し(ステップS111)、静脈パターンの登録処理を終了する。
【0079】
[静脈パターンの認証処理]
次に、図8を参照しながら、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10における静脈パターンの認証処理について、詳細に説明する。
【0080】
折畳式携帯機器のヒンジ部105に設けられた撮像部155に対して回動操作がなされると、角度検知部151は回転角度の検知を行う。回転角度が所定の閾値以上となると、角度検知部151は、閾値以上の回転角度になった旨を光源部153および撮像部155に伝送する。角度検知部151から出力された通知を受信した撮像部155は、撮像制御部が撮像モードを静脈撮像モードへと切り替えて(ステップS201)、静脈認証アプリケーションを起動する(ステップS203)。
【0081】
また、角度検知部151から出力された通知を受信した光源部153は、予め設定された箇所(例えば、指が配設される箇所)に対して近赤外光の照射を開始する(ステップS205)。
【0082】
なお、回転角度が閾値未満であった場合には、角度検知部151は、回転角度が所定の閾値未満である旨を光源部153、撮像部155および表示制御部163に通知する。通知を受けた表示制御部163は、表示部102に回転角度が足りない旨の警告を表示して使用者に再度回転操作を行うように促してもよい。また、通知を受けた光源部153および撮像部155は、静脈認証アプリケーションの起動を中止して、近赤外光の照射を行わないようにしてもよい。
【0083】
撮像部155は、予め設定された箇所に配設された生体の一部(例えば、指表面)の撮像を行い、静脈撮像データを生成する(ステップS207)。ここで、生体の一部の撮像タイミングは、撮像部155が所定の間隔で周期的に撮像を繰り返すようにしてもよく、使用者が操作部に設けられた所定のキーを押して撮像を開始させるようにしてもよい。
【0084】
撮像部155により生成された静脈撮像データは、静脈パターン抽出部157に伝送される。静脈パターン抽出部157は、伝送された静脈撮像データから静脈パターンを抽出し(ステップS209)、認証部159へと出力する。
【0085】
認証部159の静脈パターン認証部は、記憶部165から予め登録されている登録静脈パターン(テンプレート)を取得して、静脈パターン抽出部157から伝送された静脈パターンとの比較を行う(ステップS211)。
【0086】
比較の結果、静脈パターン抽出部157から伝送された静脈パターンが、登録静脈パターンと類似している場合には、静脈パターン認証部は、認証は成功であると判定し、被制限処理実行部161および表示制御部163に、認証が成功した旨を伝送する(ステップS213)。認証が成功した旨の伝送を受けた表示制御部163は、認証が成功した旨を表示部102に表示する。また、認証が成功した旨の伝送を受けた被制限処理実行部161は、実行が制限されている処理を実行する(ステップS213)。
【0087】
また、比較の結果、静脈パターン抽出部157から伝送された静脈パターンが、登録静脈パターンと類似していない場合には、静脈パターン認証部は、認証は失敗であると判定し、被制限処理実行部161および表示制御部163に、認証が失敗した旨を伝送する。認証が失敗した旨の伝送を受けた表示制御部163は、認証が失敗した旨を表示部102に表示する。また、認証が失敗した旨の伝送を受けた被制限処理実行部161は、実行が制限されている処理を実行することなく、処理を終了する。
【0088】
以上説明したように、本実施形態に係る静脈認証方法では、ヒンジ部105に設けられた撮像部155の回動角度の大きさが所定の閾値を超えた場合に、静脈認証アプリケーションが起動するとともに静脈認証処理に必要な近赤外光の照射が開始される。本実施形態に係る静脈認証方法では、近赤外光の照射が必要となった場合のみに近赤外光の照射が行われるため、不必要なバッテリ電力の使用を削減することができる。
【0089】
(第2の実施形態)
<静脈認証装置の構成>
続いて、図9〜図10Bを参照しながら、本発明の第2の実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10について、詳細に説明する。図9は、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10の構成について説明するためのブロック図であり、図10Aおよび図10Bは、本実施形態に係る生体配設検知部を説明するための説明図である。
【0090】
本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10は、例えば図5に示したように、光源部153と、撮像部155と、静脈パターン抽出部157と、認証部159と、被制限処理実行部161と、表示制御部163と、記憶部165と、生体配設検知部167と、を主に備える。
【0091】
ここで、本実施形態に係る光源部153、撮像部155、静脈パターン抽出部157、認証部159、被制限処理実行部161、表示制御部163および記憶部165については、本発明の第1の実施形態に係る光源部153、撮像部155、静脈パターン抽出部157、認証部159、被制限処理実行部161、表示制御部163および記憶部165と同様の構成を有し、ほぼ同一の効果を奏するため、詳細な説明は省略する。
【0092】
本実施形態に係る生体配設検知部167は、本発明の第1の実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10が備える角度検知部151に換えて設けられるものである。この生体配設検知部167は、例えば、CPU、ROM、RAM等からなる半導体素子および各種センサを含む回路等から構成され、第1筐体101、第2筐体103またはヒンジ部105に設けられる。生体配設検知部167は、所定の位置に生体の一部が配設されたか否かを判定し、生体の一部が配設されたと判断した場合には、判定結果を光源部153および撮像部155に通知する。その結果、静脈認証アプリケーションが起動して、近赤外光の照射が開始される。
【0093】
また、生体の一部が配設されていないと判断した場合には、生体配設検知部167は、生体の一部が配設されていない旨を光源部153、撮像部155および表示制御部163に通知する。通知を受けた表示制御部163は、表示部102に生体の一部(例えば、指)が配置されていない旨の警告を表示して使用者に再度生体の配置を促してもよい。また、通知を受けた光源部153および撮像部155は、静脈認証アプリケーションの起動を中止して、近赤外光の照射を行わないようにしてもよい。
【0094】
本実施形態に係る生体配設検知部167として、例えば、照度センサを挙げることができる。照度センサを生体の一部が配設される箇所に設置し、生体の一部が配設されることにより照度センサが生体の一部によって覆われるようにする。生体の一部(例えば、指)の配設前後での照度差が所定の閾値以上となった場合に、生体配設検知部167は、生体の一部が配設されたことを検知可能である。
【0095】
ここで、照度センサの周囲の明るさを、ある一定の値に保つために、発光ダイオード等を、照度センサ用の照明として設けるようにしてもよい。かかる照明を設けることにより、暗環境下であっても、安定した生体配設の検知処理を行うことが可能となる。
【0096】
折畳式携帯機器に生体の一部が配設されたか否かを判定する機械的なスイッチを設けることは、折畳式携帯機器の機構的な観点やデザイン的な観点から困難が伴うが、本実施形態に係る生体配設検知部167のように照度センサを利用することによって、機構的・デザイン的な困難を伴うことなく、生体の一部が配設されたか否かを判定することが可能となる。
【0097】
また、この照度センサは、生体の配置がなされたか否かの判定用に用いられるだけでなく、第2筐体103に設けられた操作部の照明や、表示部102の照明等を省エネルギーモードに切り替えるか否かの判定用に併用してもよい。
【0098】
例えば、図10Aに示したように、本実施形態に係る静脈認証装置10が、第1筐体101に配設された指を撮像するものである場合には、指が配設される位置に照度センサ118を配置して、指配置の有無を判定することが可能である。
【0099】
照度センサ118を用いた生体配設検知部167は、例えば図10Bに示したような回路で実現することが可能である。この場合の生体配設検知部167は、図10Bに示したように、照度センサ118と、照度センサ118に接続された電源Vと、照度センサ118に接続された2つの抵抗R11、R13と、抵抗R13に接続されたマイコンチップICと、を備える。
【0100】
例えば、指が配設されていないために照度センサ118の周囲が明るい場合には、照度センサ118へ光電流が流れるため、マイコンチップICのA/D入力に印加される電圧が増加する。他方、指が配設され照度センサ118の周囲が暗くなった場合には、照度センサ118へ光電流が流れないため、マイコンチップICのA/D入力に印加される電圧は減少する。そのため、本実施形態に係る生体配設検知部167は、マイコンチップICのA/D入力に印加される電圧の変化に着目することにより、生体が配設されたか否かを判定することが可能となる。
【0101】
なお、生体の配設前後の照度差に着目する以外にも、測定した照度に応じて、生体の配設がなされたか否かを判定するようにしてもよい。
【0102】
また、本実施形態に係る撮像部155は、生体配設検知部167から伝送された通知に応じて撮像モードを切り替えるだけでなく、生体配設検知部167から伝送された通知をトリガにして、生体の一部を自動的に撮像してもよい。
【0103】
以上、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0104】
なお、本実施形態に係る静脈認証装置における静脈認証方法は、以下で説明する本発明の第3の実施形態に係る静脈認証装置における静脈認証方法と同様の処理手順を有するため、第3の実施形態に係る静脈認証方法にて詳細に説明する。
【0105】
(第3の実施形態)
<静脈認証装置の構成>
続いて、図9および図11を参照しながら、本発明の第3の実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10について、詳細に説明する。図9は、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10の構成について説明するためのブロック図であり、図11は、本実施形態に係る生体配設検知部を説明するための説明図である。
【0106】
本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10は、例えば図5に示したように、光源部153と、撮像部155と、静脈パターン抽出部157と、認証部159と、被制限処理実行部161と、表示制御部163と、記憶部165と、生体配設検知部167と、を主に備える。
【0107】
本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10は、本発明の第2の実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10における照度センサを利用した生体配設検知部167に換えて、タッチパネルを利用した生体配設検知部167を設けるものである。そのため、本実施形態に係る光源部153、撮像部155、静脈パターン抽出部157、認証部159、被制限処理実行部161、表示制御部163および記憶部165については、本発明の第2の実施形態に係る光源部153、撮像部155、静脈パターン抽出部157、認証部159、被制限処理実行部161、表示制御部163および記憶部165と同様の構成を有し、ほぼ同一の効果を奏するため、詳細な説明は省略する。
【0108】
生体配設検知部167は、例えば、CPU、ROM、RAM等からなる半導体素子および各種センサを含む回路等から構成され、第1筐体101、第2筐体103またはヒンジ部105に設けられる。生体配設検知部167は、所定の位置に生体の一部が配設されたか否かを判定し、生体の一部が配設されたと判断した場合には、判定結果を光源部153および撮像部155に通知する。その結果、静脈認証アプリケーションが起動して、近赤外光の照射が開始される。
【0109】
また、生体の一部が配設されていないと判断した場合には、生体配設検知部167は、生体の一部が配設されていない旨を光源部153、撮像部155および表示制御部163に通知する。通知を受けた表示制御部163は、表示部102に生体の一部(例えば、指)が配置されていない旨の警告を表示して使用者に再度生体の配置を促してもよい。また、通知を受けた光源部153および撮像部155は、静脈認証アプリケーションの起動を中止して、近赤外光の照射を行わないようにしてもよい。
【0110】
本実施形態に係る生体配設検知部167として、例えば、タッチパネルを利用することができる。タッチパネルを生体の一部が配設される箇所に設置し、生体の一部が配設されることによりタッチパネルが生体の一部によって押圧されるようにする。生体の一部(例えば、指)の配設前後におけるタッチパネルの抵抗値または静電容量等が所定の閾値以上となった場合に、生体配設検知部167は、生体の一部が配設されたことを検知可能である。
【0111】
ここで、生体が載置されたか否かの判定に用いるタッチパネルの特性値については、用いるタッチパネルの種類に応じて適宜変更することが可能である。
【0112】
折畳式携帯機器に生体の一部が配設されたか否かを判定する機械的なスイッチを設けることは、折畳式携帯機器の機構的な観点やデザイン的な観点から困難が伴うが、本実施形態に係る生体配設検知部167のように照度センサを利用することによって、機構的・デザイン的な困難を伴うことなく、生体の一部が配設されたか否かを判定することが可能となる。
【0113】
例えば、図11に示したように、本実施形態に係る静脈認証装置10が、第1筐体101に配設された指を撮像するものである場合には、指が配設される位置にタッチパネル119を配置して、指配置の有無を判定することが可能である。
【0114】
また、表示部102としてタッチパネルが用いられている場合には、生体配設検知用のタッチパネルに兼用することが可能である。
【0115】
以上、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10の機能の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材や回路を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。また、各構成要素の機能を、CPU等が全て行ってもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用する構成を変更することが可能である。
【0116】
<折畳式携帯機器用静脈認証装置における静脈認証処理>
続いて、図12および図13を参照しながら、本発明の第2および第3の実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10における静脈認証処理について、詳細に説明する。図12は、これらの実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10における静脈パターンの登録処理について説明するための流れ図であり、図13は、これらの実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10における静脈認証処理について説明するための流れ図である。
【0117】
[静脈パターンの登録処理]
まず、図12を参照しながら、折畳式携帯機器用静脈認証装置10における静脈パターンの登録処理について、詳細に説明する。
【0118】
折畳式携帯機器のヒンジ部105に設けられた撮像部155に対して回動操作がなされ、所定の位置に生体の一部が配置されると、生体配設検知部167は生体の一部が配設されたか否かの検知を行う。生体が配設されたことを検知すると、生体配設検知部167は、生体が配設された旨を光源部153および撮像部155に伝送する。生体配設検知部167から出力された通知を受信した撮像部155は、撮像制御部が撮像モードを静脈撮像モードへと切り替えて(ステップS301)、静脈認証アプリケーションを起動する(ステップS303)。
【0119】
また、生体配設検知部167から出力された通知を受信した光源部153は、予め設定された箇所(例えば、指が配設される箇所)に対して近赤外光の照射を開始する(ステップS305)。
【0120】
また、生体の一部が配設されていないと判断した場合には、生体配設検知部167は、生体の一部が配設されていない旨を光源部153、撮像部155および表示制御部163に通知する。通知を受けた表示制御部163は、表示部102に生体の一部(例えば、指)が配置されていない旨の警告を表示して使用者に再度生体の配置を促してもよい。また、通知を受けた光源部153および撮像部155は、静脈認証アプリケーションの起動を中止して、近赤外光の照射を行わないようにしてもよい。
【0121】
撮像部155は、予め設定された箇所に配設された生体の一部(例えば、指表面)の撮像を行い、静脈撮像データを生成する(ステップS307)。ここで、生体の一部の撮像タイミングは、撮像部155が所定の間隔で周期的に撮像を繰り返すようにしてもよく、使用者が操作部に設けられた所定のキーを押して撮像を開始させるようにしてもよい。
【0122】
撮像部155により生成された静脈撮像データは、静脈パターン抽出部157に伝送される。静脈パターン抽出部157は、伝送された静脈撮像データから静脈パターンを抽出し(ステップS309)、認証部159へと出力する。
【0123】
認証部159の静脈パターン登録部は、伝送された静脈パターンを登録静脈パターン(テンプレート)として記憶部165に登録し(ステップS311)、静脈パターンの登録処理を終了する。
【0124】
[静脈パターンの認証処理]
次に、図13を参照しながら、折畳式携帯機器用静脈認証装置10における静脈パターンの認証処理について、詳細に説明する。
【0125】
折畳式携帯機器のヒンジ部105に設けられた撮像部155に対して回動操作がなされ、所定の位置に生体の一部が配置されると、生体配設検知部167は生体の一部が配設されたか否かの検知を行う。生体が配設されたことを検知すると、生体配設検知部167は、生体が配設された旨を光源部153および撮像部155に伝送する。生体配設検知部167から出力された通知を受信した撮像部155は、撮像制御部が撮像モードを静脈撮像モードへと切り替えて(ステップS401)、静脈認証アプリケーションを起動する(ステップS403)。
【0126】
また、生体配設検知部167から出力された通知を受信した光源部153は、予め設定された箇所(例えば、指が配設される箇所)に対して近赤外光の照射を開始する(ステップS405)。
【0127】
また、生体の一部が配設されていないと判断した場合には、生体配設検知部167は、生体の一部が配設されていない旨を光源部153、撮像部155および表示制御部163に通知する。通知を受けた表示制御部163は、表示部102に生体の一部(例えば、指)が配置されていない旨の警告を表示して使用者に再度生体の配置を促してもよい。また、通知を受けた光源部153および撮像部155は、静脈認証アプリケーションの起動を中止して、近赤外光の照射を行わないようにしてもよい。
【0128】
撮像部155は、予め設定された箇所に配設された生体の一部(例えば、指表面)の撮像を行い、静脈撮像データを生成する(ステップS407)。ここで、生体の一部の撮像タイミングは、撮像部155が所定の間隔で周期的に撮像を繰り返すようにしてもよく、使用者が操作部に設けられた所定のキーを押して撮像を開始させるようにしてもよい。
【0129】
撮像部155により生成された静脈撮像データは、静脈パターン抽出部157に伝送される。静脈パターン抽出部157は、伝送された静脈撮像データから静脈パターンを抽出し(ステップS409)、認証部159へと出力する。
【0130】
認証部159の静脈パターン認証部は、記憶部165から予め登録されている登録静脈パターン(テンプレート)を取得して、静脈パターン抽出部157から伝送された静脈パターンとの比較を行う(ステップS411)。
【0131】
比較の結果、静脈パターン抽出部157から伝送された静脈パターンが、登録静脈パターンと類似している場合には、静脈パターン認証部は、認証は成功であると判定し、被制限処理実行部161および表示制御部163に、認証が成功した旨を伝送する(ステップS213)。認証が成功した旨の伝送を受けた表示制御部163は、認証が成功した旨を表示部102に表示する。また、認証が成功した旨の伝送を受けた被制限処理実行部161は、実行が制限されている処理を実行する(ステップS413)。
【0132】
また、比較の結果、静脈パターン抽出部157から伝送された静脈パターンが、登録静脈パターンと類似していない場合には、静脈パターン認証部は、認証は失敗であると判定し、被制限処理実行部161および表示制御部163に、認証が失敗した旨を伝送する。認証が失敗した旨の伝送を受けた表示制御部163は、認証が失敗した旨を表示部102に表示する。また、認証が失敗した旨の伝送を受けた被制限処理実行部161は、実行が制限されている処理を実行することなく、処理を終了する。
【0133】
以上説明したように、本実施形態に係る静脈認証方法では、生体配設検知部167が生体の配設を検知した場合に、静脈認証アプリケーションが起動するとともに静脈認証処理に必要な近赤外光の照射が開始される。本実施形態に係る静脈認証方法では、近赤外光の照射が必要となった場合のみに近赤外光の照射が行われるため、不必要なバッテリ電力の使用を削減することができる。
【0134】
<ハードウェア構成について>
次に、図14を参照しながら、本発明の各実施形態に係る静脈認証装置10のハードウェア構成について、詳細に説明する。図14は、本実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置10のハードウェア構成を説明するためのブロック図である。
【0135】
静脈認証装置10は、主に、CPU901と、ROM903と、RAM905と、ホストバス907と、ブリッジ909と、外部バス911と、インターフェース913と、入力装置915と、出力装置917と、ストレージ装置919と、ドライブ921と、接続ポート923と、通信装置925とを備える。
【0136】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、ROM903、RAM905、ストレージ装置919、またはリムーバブル記録媒体927に記録された各種プログラムに従って、静脈認証装置10内の動作全般またはその一部を制御する。ROM903は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM905は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一次記憶する。これらはCPUバス等の内部バスにより構成されるホストバス907により相互に接続されている。
【0137】
ホストバス907は、ブリッジ909を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス911に接続されている。
【0138】
入力装置915は、例えば、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、スイッチおよびレバーなどユーザが操作する操作手段である。また、入力装置915は、例えば、赤外線やその他の電波を利用したリモートコントロール手段(いわゆる、リモコン)であってもよいし、静脈認証装置10の操作に対応した携帯電話やPDA等の外部接続機器929であってもよい。さらに、入力装置915は、例えば、上記の操作手段を用いてユーザにより入力された情報に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。静脈認証装置10のユーザは、この入力装置915を操作することにより、静脈認証装置10に対して各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0139】
出力装置917は、例えば、CRTディスプレイ装置、液晶ディスプレイ装置、プラズマディスプレイ装置、ELディスプレイ装置およびランプなどの表示装置や、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置や、プリンタ装置、携帯電話、ファクシミリなど、取得した情報をユーザに対して視覚的または聴覚的に通知することが可能な装置で構成される。出力装置917は、例えば、静脈認証装置10が行った各種処理により得られた結果を出力する。具体的には、表示装置は、静脈認証装置10が行った各種処理により得られた結果を、テキストまたはイメージで表示する。他方、音声出力装置は、再生された音声データや音響データ等からなるオーディオ信号をアナログ信号に変換して出力する。
【0140】
ストレージ装置919は、静脈認証装置10の記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置であり、例えば、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気記憶部デバイス、半導体記憶デバイス、光記憶デバイス、または光磁気記憶デバイス等により構成される。このストレージ装置919は、CPU901が実行するプログラムや各種データ、および外部から取得した音響信号データや画像信号データなどを格納する。
【0141】
ドライブ921は、記録媒体用リーダライタであり、静脈認証装置10に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録されている情報を読み出して、RAM905に出力する。また、ドライブ921は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記録媒体927に記録を書き込むことも可能である。リムーバブル記録媒体927は、例えば、DVDメディア、HD−DVDメディア、Blu−rayメディア、コンパクトフラッシュ(登録商標)(CompactFlash:CF)、メモリースティック、または、SDメモリカード(Secure Digital memory card)等である。また、リムーバブル記録媒体927は、例えば、非接触型ICチップを搭載したICカード(Integrated Circuit card)または電子機器等であってもよい。
【0142】
接続ポート923は、例えば、USB(Universal Serial Bus)ポート、i.Link等のIEEE1394ポート、SCSI(Small Computer System Interface)ポート、RS−232Cポート、光オーディオ端子、HDMI(High−Definition Multimedia Interface)ポート等の、機器を静脈認証装置10に直接接続するためのポートである。この接続ポート923に外部接続機器929を接続することで、静脈認証装置10は、外部接続機器929から直接音響信号データや画像信号データを取得したり、外部接続機器929に音響信号データや画像信号データを提供したりする。
【0143】
通信装置925は、例えば、通信網931に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。通信装置925は、例えば、有線または無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth、またはWUSB(Wireless USB)用の通信カード、光通信用のルータ、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)用のルータ、または、各種通信用のモデム等である。この通信装置925は、例えば、インターネットや他の通信機器との間で音響信号等を送受信することができる。また、通信装置925に接続される通信網931は、有線または無線によって接続されたネットワーク等により構成され、例えば、インターネット、家庭内LAN、赤外線通信、ラジオ波通信または衛星通信等であってもよい。
【0144】
以上、本発明の各実施形態に係る静脈認証装置10の機能を実現可能なハードウェア構成の一例を示した。上記の各構成要素は、汎用的な部材を用いて構成されていてもよいし、各構成要素の機能に特化したハードウェアにより構成されていてもよい。従って、本実施形態を実施する時々の技術レベルに応じて、適宜、利用するハードウェア構成を変更することが可能である。
【0145】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0146】
例えば、上述した第2および第3の実施形態においては、折畳式携帯機器に静脈認証装置が実装される場合について説明したが、折畳式携帯機器以外の装置に対して、上述の実施形態にて説明したような静脈認証装置が実装されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置を説明するための説明図である。
【図2】同実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置を説明するための説明図である。
【図3A】同実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置を説明するための説明図である。
【図3B】同実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置を説明するための説明図である。
【図4A】同実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置を説明するための説明図である。
【図4B】同実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置を説明するための説明図である。
【図5】同実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図6】同実施形態に係る表示制御部の機能の一例を説明するための説明図である。
【図7】同実施形態に係る静脈認証方法を説明するための流れ図である。
【図8】同実施形態に係る静脈認証方法を説明するための流れ図である。
【図9】本発明の第2および第3の実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置の構成を説明するためのブロック図である。
【図10A】本発明の第2の実施形態に係る生体配設検知部を説明するための説明図である。
【図10B】同実施形態に係る生体配設検知部を説明するための説明図である。
【図11】本発明の第3の実施形態に係る生体配設検知部を説明するための説明図である。
【図12】本発明の第2および第3の実施形態に係る静脈認証方法を説明するための流れ図である。
【図13】同実施形態に係る静脈認証方法について説明するための流れ図である。
【図14】本発明の各実施形態に係る折畳式携帯機器用静脈認証装置のハードウェア構成について説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0148】
10 折畳式携帯機器用静脈認証装置
101 第1筐体
102 表示部
103 第2筐体
104 操作部
105 ヒンジ部
106 撮像部回転つまみ
107 第1貫通孔
108 第2貫通孔
109 風景・ポートレイト用レンズ
110 静脈撮像用レンズ
111 光学フィルタ
112 撮像素子
113 撮像素子保持部
114 回転角規制用リブ
118 照度センサ
119 タッチパネル
151 角度検知部
153 光源部
155 撮像部
157 静脈パターン抽出部
159 認証部
161 被制限処理実行部
163 表示制御部
165 記憶部
167 生体配設検知部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示部を有する第1筐体と、操作部を有する第2筐体と、前記第1筐体および前記第2筐体を互いに回動自在に連結するヒンジ部と、を有する折畳式携帯機器に設けられる静脈認証装置であって、
前記第1筐体、前記第2筐体または前記ヒンジ部に配設された生体の一部に対して近赤外光を照射する光源部と、
前記ヒンジ部に設けられ、回動操作に応じて撮像モードが静脈撮像モードに切り替わるとともに、前記生体の一部を撮像して静脈撮像データを生成する撮像部と、
前記静脈撮像データから静脈パターンを抽出する静脈パターン抽出部と、
抽出された前記静脈パターンの認証を行う認証部と、
を備えることを特徴とする、折畳式携帯機器用静脈認証装置。
【請求項2】
前記光源部は、前記撮像部が前記静脈撮像モードに切り替わった際に、前記近赤外光を照射する
ことを特徴とする、請求項1に記載の折畳式携帯機器用静脈認証装置。
【請求項3】
前記折畳式携帯機器用静脈認証装置は、
前記第1筐体または前記第2筐体に前記生体の一部が配設されたことを検知する生体配設検知部を更に備え、
前記光源部は、
前記生体配設検知部が前記生体の配設を検知した際に、前記近赤外光を照射する
ことを特徴とする、請求項1に記載の折畳式携帯機器用静脈認証装置。
【請求項4】
前記撮像部は、当該撮像部における前記回動操作の回転角度を検知する角度検知部を備え、
前記回動操作の回転角度が所定の角度以上になった場合に、前記撮像モードが前記静脈撮像モードに切り替わる
ことを特徴とする、請求項2に記載の折畳式携帯機器用静脈認証装置。
【請求項5】
前記生体配設検知部は、前記第1筐体、前記第2筐体または前記ヒンジ部に設けられた照度センサである
ことを特徴とする、請求項3に記載の折畳式携帯機器用静脈認証装置。
【請求項6】
前記生体配設検知部は、前記第1筐体、前記第2筐体または前記ヒンジ部に設けられたタッチパネルである
ことを特徴とする、請求項3に記載の折畳式携帯機器用静脈認証装置。
【請求項7】
前記撮像部は、
前記生体の一部により反射された前記近赤外光を集光する光学素子と、
前記光学素子により集光された前記近赤外光が集光される撮像素子と、
を備え、
前記撮像部に対してなされた回動操作に応じて、前記撮像素子に向かう光軸上に、静脈撮像用光学フィルタが配設される
ことを特徴とする、請求項1に記載の折畳式携帯機器用静脈認証装置。
【請求項8】
前記撮像部は、
前記生体の一部により反射された前記近赤外光を集光する光学素子と、
前記光学素子により集光された前記近赤外光が集光される撮像素子と、
を備え、
前記撮像部に対してなされた回動操作に応じて、前記撮像素子が回動する
ことを特徴とする、請求項1に記載の折畳式携帯機器用静脈認証装置。
【請求項9】
前記撮像部は、
前記生体の一部により反射された前記近赤外光を集光する光学素子と、
前記光学素子により集光された前記近赤外光が集光される撮像素子と、
を備え、
前記撮像部に対してなされた回動操作に応じて、前記光学素子および前記撮像素子の双方が回動する
ことを特徴とする、請求項1に記載の折畳式携帯機器用静脈認証装置。
【請求項10】
表示部を有する第1筐体と、操作部を有する第2筐体と、前記第1筐体および前記第2筐体を互いに回動自在に連結するヒンジ部と、を有し、前記第1筐体、前記第2筐体または前記ヒンジ部に配設された生体の一部に対して近赤外光を照射する光源部と、前記ヒンジ部に設けられ、回動操作に応じて撮像モードが静脈撮像モードに切り替わるとともに、前記生体の一部を撮像して静脈撮像データを生成する撮像部と、前記静脈撮像データから静脈パターンを抽出する静脈パターン抽出部と、抽出された前記静脈パターンの認証を行う認証部と、を備える折畳式携帯機器用静脈認証装置における静脈認証方法であって、
前記撮像部に対してなされた回動操作により、前記撮像モードが静脈撮像モードに切り替わるステップと、
前記生体の一部に対して近赤外光を照射するステップと、
前記生体の一部で反射された前記近赤外光を撮像し、静脈撮像データを生成するステップと、
前記静脈撮像データから静脈パターンを抽出するステップと、
抽出された前記静脈パターンを認証するステップと、
を含む
ことを特徴とする、静脈認証方法。



【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−211332(P2009−211332A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−52733(P2008−52733)
【出願日】平成20年3月3日(2008.3.3)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】