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抵抗層付銅箔、該銅箔の製造方法および積層基板
説明

抵抗層付銅箔、該銅箔の製造方法および積層基板

【課題】抵抗素子とした場合の抵抗値のバラツキが小さく、積層される樹脂基板との密着性が十分に維持でき、リジットおよびフレキシブル基板用の抵抗素子として優れた特性を有する抵抗層付銅箔を提供する。
【解決手段】抵抗層付銅箔は、マット面(液面側)の素地がJIS−B−0601に規定されるRz値で2.5〜6.5μmの範囲にある柱状晶粒からなる結晶を有する電解銅箔1の表面にリン含有ニッケルからなる抵抗層3を設け、該抵抗層3の表面に、粗度がJIS−B−0601に規定されるRz値で4.5〜8.5μmの範囲にニッケル粒子4による粗化処理が施されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抵抗値のバラツキを低減し、リジット基板およびフレキシブル基板用の抵抗素子として優れた特性を有する抵抗層付銅箔に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話に代表される携帯電子端末は、電子機器の中でも近年、小型化・薄型化に加えて通話以外にも映像や動画の送受信はもとよりGPS(Global Positioning System)機能、ワンセグ受信等々の多機能化が著しく進んで来ている。この多機能化に伴い、携帯端末の構成部品もモジュール化が飛躍的に進み、一つ或いは複数の機能を有するモジュールをいかに小型化するかが実装技術の鍵であり先端技術の焦点になっている。
【0003】
例えば現在の携帯機器向けのパッケージには、FBGA(Fine pitch Ball Grid Array)などの小型薄型パッケージが主流になっており最も適用されているが、更にメモリの大容量化や今まで以上の多機能化対応のためにMCP(Multi Chip Package)技術やPoP(Package on Package)技術が採用されて来ている。
【0004】
国内外のPCB(Printed Circuit Board)メーカーは、WL−CSP(Wafer Level Chip Size Package)、QFN(Quad Flat Non-leaded package)、FBGAなどのパッケージと共に次世代大容量化と多機能化技術として3次元チップ積層技術開発に凌ぎを削っている。その高密度実装方式の一つに部品内蔵基板技術がある。
【0005】
部品内蔵基板技術である基板への素子内蔵方式は、各種の方式が既に数多く提案され、商品化されている。しかし、能動素子に対して受動部品に相当する抵抗、コンデンサー、インダクタンス等は加工条件に制約があり、該受動部品を基板に埋め込む場合、設計の自由度と加工の容易性から抵抗素子を用いる場合が多い。
【0006】
受動部品としての抵抗素子に加工する薄膜材料として、例えば抵抗層付金属箔がある。この金属箔の代表として抵抗層付銅箔があり、銅箔面に電解メッキにて0.1μm程度の厚さの抵抗層からなる抵抗素子を形成させたタイプと、銅箔面にロールツーロール(Role to Role)でスパッタにより100〜1000Å(0.1〜100nm)程度の厚さの抵抗層を形成させたタイプが市販されている。
【0007】
抵抗層付金属箔の金属箔は、抵抗層(薄膜)の形成方法が電解メッキタイプであってもスパッタタイプであってもハンドリング加工性とコストパフォーマンスの面から銅箔が採用される割合が高い。
【0008】
このような抵抗層付銅箔で抵抗素子を形成するには、該銅箔の一方の面を樹脂基板と接着する。抵抗層付銅箔と樹脂基板との密着性を高めるために基体となる銅箔の表面に銅粒子による粗化処理を施し、その粗化処理面に電解メッキであればリン含有ニッケルをメッキ電着させ(特許文献1または2参照)、スパッタであればニッケルとクロム或いは、ニッケルとクロムとアルミニウムとシリカとを蒸着させて抵抗層(薄膜)を形成し、現在市販品では抵抗値として25〜250Ω/□程度の抵抗層付銅箔が販売されている。
【0009】
近年、能動素子と受動部品とを内蔵する基板の設計において薄型化するのに最適な材料として抵抗層付金属箔の使用に対する需要が高まりつつある。さらに、受動部品を基板に埋め込むときの設計の幅を広げるためにリジット基板に限らずフレキシブル基板にも適用可能な材料が求められている。
【0010】
また、抵抗層付金属箔を用いた回路設計においては、必要とする抵抗値を回路の幅と長さのアスペクト比を変えて設計するのが一般的な手法であるが、近年の微細回路設計に伴うファインエッチング後の受動素子抵抗値の精度向上の要求が高まってきている。また、フレキシブル基板に対応するような適宜な曲げに追随できる伸び特性を有する抵抗層付金属箔が求められている。
【0011】
本出願人が現在市販している材料にファインパターン対応の抵抗層付銅箔がある。その構造は特許文献1〜3に開示されているが、いずれの材料も微細結晶構造を有する銅箔に必要により微細銅粒による粗化処理を施した後にリン含有ニッケル浴で電解メッキを施した構造である。しかし、銅箔表面に微細粗化処理により粗化粒子を均一性に分布させることが困難で、粗化粒子の分布に不均一性が生じると、その上に設ける(抵抗素子となる)含リンニッケルの電着メッキ薄膜層の厚さにバラツキが生じ、JIS−K−7194に規定される面内の抵抗値測定方法において得られる個々の抵抗値のバラツキが大きくなる不具合を起こし、強いては回路設計で抵抗素子パターンを形成させても理論通りの抵抗値が得られない可能性がある。そのため従来は、粗化処理工程において、並びに抵抗値を一定に制御する電解メッキ工程において多大の熟練技術を要していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2003−200523号公報
【特許文献2】特開2003−200524号公報
【特許文献3】特開2004−315843号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明は抵抗素子とした場合にも抵抗値のバラツキが小さく、積層される樹脂基板との密着性もJPCA規格(JPCA−EB01)を十分に維持でき、リジット基板およびフレキシブル基板用の抵抗素子としても優れた特性を有する抵抗層付銅箔を提供することにある。
【0014】
本発明の抵抗層付銅箔は、銅箔の一方の表面に抵抗素子となる金属層または合金層を設け、該金属層または合金層の表面にニッケル粒子による粗化処理が施されている。
【0015】
本発明の抵抗層付銅箔は、銅箔の一方の表面に抵抗素子となる金属層または合金層を設け、該金属層または合金層の表面にニッケル粒子による粗化処理が施され、該粗化処理が施された表面にカプセルメッキが施されている抵抗層付銅箔である。
【0016】
本発明の抵抗層付銅箔は、銅箔の一方の表面に抵抗素子となる金属層または合金層を設け、該金属層または合金層の表面にニッケル粒子による粗化処理が施され、該粗化処理が施された表面にクロメート防錆層が設けられている。
【0017】
また、本発明の抵抗層付銅箔は、銅箔の一方の表面に抵抗素子となる金属層または合金層を設け、該金属層または合金層の表面にニッケル粒子による粗化処理が施され、該粗化処理が施された表面にクロメート防錆層が設けられ、該防錆層の表面にシランカップリング剤からなる化学的な薄膜層が設けられている。
【0018】
本発明の抵抗層付銅箔の製造方法は、マット面(液面側)の素地がJIS−B−0601に規定されるRz値で2.5〜6.5μmの範囲にある柱状晶粒からなる結晶を有する電解銅箔の該マット面にリン含有ニッケルからなる抵抗層を設け、該抵抗層の表面にニッケル粒子による粗化処理を施す。ニッケル粒子による粗化処理は表面粗度がJIS−B−0601に規定されるRz値で4.5〜8.5μmの範囲に施す。
本発明において柱状晶粒からなる結晶を有する電解銅箔を使用するのは、柱状晶粒からなる結晶を有する電解銅箔の液面側(マット面側)が適宜な粗度を有するためである。電解銅箔のマット面が微細結晶粒では、本発明が目的とする表面粗度Rz値が2.5〜6.5μmの範囲を満足する電解銅箔は得難く、本発明のベース箔とするには好ましくないためである。柱状晶粒からなる結晶を有する電解銅箔は、電解液組成にチオ尿素や塩素を添加した汎用の電解液を用いて製箔することができ、健全なうねり形状を有してJIS−B−0601に規定されるRz値で2.5〜6.5μmの範囲のベース箔を得る事ができる。
【0019】
本発明の積層基板は、前記抵抗層付銅箔が部品内蔵のリジット基板またはフレキシブル基板にエッチングパターン加工して搭載されている積層基板である。
【発明の効果】
【0020】
本発明抵抗層付銅箔は、抵抗素子として抵抗値のバラツキが十分に小さく、積層される樹脂基板との密着性もJPCA規格(JPCA−EB01)を十分に維持でき、R=0.8〜1.25(mm)範囲の曲げにも対応できる適宜な伸縮塑性と耐折性を有する抵抗層付銅箔を提供することができる。
また、本発明の抵抗層付銅箔の製造方法によれば、抵抗素子とした場合にも抵抗値のバラツキが十分に小さく、積層される樹脂基板との密着性もJPCA規格(JPCA−EB01)を十分に維持しつつ、R=0.8〜1.25(mm)範囲の曲げにも対応できる適宜な伸縮塑性と耐折性を有する抵抗層付銅箔を製造することができる。
本発明の積層基板によれば、樹脂基板との接着性がJPCA規格(JPCA−EB01)を十分に維持し、抵抗値のバラツキが小さい、樹脂基板と抵抗層付銅箔とを積層した積層基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】抵抗層付銅箔の形成工程順における製品の断面を示す断面説明図である。
【図2】抵抗層付銅箔の抵抗層形成以降の製造工程の一例を示す工程図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の抵抗層付銅箔につき詳細に説明する。
本発明の抵抗層付銅箔は、銅箔の一方の表面に抵抗素子となる金属層または合金層を設け、該金属層または合金層の表面にニッケル粒子による粗化処理が施されている。抵抗素子となる金属、合金としては、ニッケル、リン含有ニッケルが好ましい。
図1は本発明の一実施形態を拡大表示して示すもので、図1(A)は電解銅箔1の断面で、該銅箔のマット面2の表面はJIS−B−0601に規定されるRz値で2.5〜6.5μmの範囲にある柱状晶粒となっている。ここで、電解銅箔1の表面粗さRz値を2.5〜6.5μmの範囲に限定するのは、2.5μm未満では、次工程以下で粗化処理をしても十分な樹脂基板との密着性が得られず、6.5μmを超えると、樹脂基板との密着強度に優れるものの、表面積が増大して、250Ω/□の高抵抗素子膜(非常に厚みの薄い膜)の形成時には、メッキ厚が顕著に不均一となり、均一な抵抗膜を形成することが困難なためである。なお、電解銅箔の表面粗さは好ましくはRz値で3.0〜5.5μmである。
【0023】
前記銅箔1は電解銅箔であることが好ましく、特に、180℃で60分間の大気加熱条件での加熱後の常温状態での伸び物性率(伸び率)が12%以上である電解銅箔を採用することが好ましい。銅箔、特に圧延銅箔は樹脂基板と積層する加熱工程での加熱成型温度域で結晶構造が塑性変形して大きくなる場合がある。結晶が大きくなってしまうとファインパターンを作成する場合に、エッチング後のパターン直進性が悪くなるばかりか、エッチングファクターが劣る。このため、伸び率を汎用の加熱プレス加工温度である180℃前後の条件下でも12%以上と限定することで、積層工程において加熱処理しても健全な結晶粒形を維持でき、樹脂基板の線膨張係数とも追随できるのでリジットおよびフレキシブル基板に対して好適に対処できるようになる。なお、180℃前後の条件下での伸び率は13.5%以上であることがより好ましい。ここで伸び率はIPC−TM−650に基づいて測定するものとする。
なお、通常、電解製箔後の常温状態での伸び物性率が8%以上であれば、180℃で60分間の大気加熱条件での加熱後の常温状態での伸び率が12%以上となる。
【0024】
図1(B)は前記銅箔1のマット面に抵抗層3を設けた状態を示すもので、抵抗層3の表面はRz値で2.5〜6.5μmの範囲に仕上げられている。
【0025】
図1(C)は抵抗層3の表面をニッケル粒子で粗化処理した状態を示すもので、ニッケルの微粒子4が特に抵抗層3の山部分に集中して付着されている。該ニッケル粗化処理後の粗度は、JIS−B−0601に規定されるRz値で4.5〜8.5μmの範囲とすることが好ましい。粗化処理後の表面粗度Rzを4.5〜8.5μmの範囲に限定するのは、ファインパターン形成後のマイグレーション不具合を防止するためである。即ち、Rzが上限の8.5μmを超えるとマイグレーション、粗化粒子の脱落などの不具合が発生する恐れがあり、下限の4.5μm未満であると樹脂基板との密着強度が満足できなくなる恐れがあるためである。なお、ニッケル粗化処理後の粗度はRz値で4.8〜7.5μmであることがより好ましい。
【0026】
図1(D)はニッケルの微粒子4が脱落しない程度にニッケル微粒子4の表面を覆うように平滑なメッキ、所謂カプセルメッキ5を施した状態を示すもので、カプセルメッキ5を施すことでニッケル微粒子4が健全なものとなる。
【0027】
なお、本発明においては、前記ニッケル粗化処理後、カプセルメッキを施した場合はその後の表面にクロメート防錆層(図示せず)を設けることが好ましい。前記防錆層のクロム付着量は、金属クロムとして0.005〜0.045mg/dmとすることが好ましい。クロメート付着量を0.005〜0.045mg/dmとするのは、これだけの付着量を満足すれば品質上の酸化変色等の不具合の発生を防止できるためである。なお、より好ましくは0.005〜0.030mg/dmである。
【0028】
前記防錆層の表面にシランカップリング剤からなるケミカル的な薄膜層(図示せず)を設けると、樹脂基板との密着性を更に向上させることができるので望ましい。シランカップリング剤の付着量はケイ素として0.001〜0.015mg/dmとすることが望ましく、なお、より好ましくは0.003〜0.008mg/dmである。
【0029】
次に、図2により本発明抵抗層付銅箔の製造方法につきその一実施形態を説明する。
図2においてリールに巻き取られた基体銅箔(電解銅箔、以下単に銅箔という)1を、抵抗層3を形成するための第一処理槽22に導く。第一処理槽22には酸化イリジウムアノード23が配置され、Ni−P電解液24が充填され、抵抗層3が形成される。第一処理槽22で抵抗層3が形成された銅箔5は水洗槽25で洗浄された後第二処理層26へ導かれる。
【0030】
第二処理槽26には酸化イリジウムアノード27が配置され、Ni電解液28が充填されており、ニッケル粗化処理が施される。ニッケル粗化処理が施された銅箔6は水洗槽29で洗浄された後、第三処理層30へ導かれる。第三処理槽30には酸化イリジウムアノード31が配置され、Ni電解液32が充填されており、カプセルメッキが施される。第三処理槽30においてカプセルメッキが施された銅箔7は水洗槽35で洗浄された後、第四処理層37へ導かれる。第四処理槽37にはSUSアノード38が配置され、クロメート電解液39が充填されており、クロメート防錆層が施される。第四処理槽37においてクロメート防錆層が施された銅箔8は水洗槽40で洗浄された後、第五処理層42へ導かれる。第五処理槽42にはシラン液43が充填されており、銅箔8の表面にシランカップリング剤を塗布する。第五処理槽42においてシランカップリング剤を塗布された銅箔9は乾燥工程44を経て巻取りロール45に巻き取られる。
【0031】
基体銅箔1としては圧延銅箔を用いることも可能であるが、抵抗層のバラツキをより小さくするために、汎用の電解製箔条件により製造された12μm厚さ以上でマット面2(電解液面側)の電解製箔後の形状粗度がJIS−B−0601に規定されるRz値で2.5〜6.5μm範囲で、かつ180℃で60分間の大気加熱条件後に伸びが12%以上ある銅箔を用いることが好ましい。
【0032】
銅箔1のマット面2に設ける抵抗層3は第一処理槽22で含リンニッケル浴を用いた陰極電解メッキ法により形成する。
抵抗層3を形成するリン含有のニッケル浴としては、スルファミン酸ニッケルをニッケルとして60〜70g/l、亜燐酸をPOとして35〜45g/l、次亜燐酸をPOとして45〜55g/l、ホウ酸(HBO)を25〜35g/l、pH:1.6、浴温度53〜58℃に設定して、電解メッキ電流密度を4.8〜5.5A/dm2でJIS−K−7194に規定される面内抵抗値の測定方法に準拠して25〜250Ω/□範囲を有する面内抵抗のバラツキが非常に小さな抵抗層付銅箔を製造することができる。
【0033】
しかし、前記工程では銅箔表面に粗化処理を施していないので樹脂基板との密着性が劣る。このため、本発明では次工程において適宜なニッケルの粗化処理を行うことで、樹脂基板との密着性を抵抗層内蔵基板用途に適合するよう向上させている。
適宜なニッケルの粗化処理を行う方法としては、図2に示すように先ず溶解ニッケル浴(第二処理槽26)を用いてニッケルのヤケメッキを施す。ヤケメッキを施す溶解ニッケルの浴組成は、可溶性ニッケル化合物であれば特に限定はしないが、好ましくは硫酸ニッケルを用いニッケルとして15〜20g/l、硫酸アンモニュームを18〜25g/l、微細なニッケル粗化粒子を形成させる添加物として銅化合物より金属銅として0.5〜2g/lを溶解した浴組成とすることが好ましく、浴温は、25〜35℃範囲、pHは硫酸と炭酸ニッケルとで微調整して3.5〜3.8に設定した後に陰極電解電流密度40±2A/dmの範囲で処理することが好ましい。
【0034】
次いで該ニッケルヤケメッキで形成した粗化粒子が脱落しない程度に硫酸ニッケル浴(第三処理槽30)を用いて平滑なメッキ、所謂カプセルメッキを施してニッケル粗化粒子を健全なものとする。
【0035】
ヤケメッキ後の微細ニッケル粒子の脱落を防ぐためのカプセルメッキの浴組成は、基本的にはニッケルヤケメッキを行なう溶解ニッケル浴を転用しても良いが、好ましくは硫酸ニッケルを用いニッケルとして35〜45g/l、ホウ酸を23〜28g/lに調整することが好ましく、浴温は、25〜45℃範囲、pHは硫酸と炭酸ニッケルとで微調整して2.4〜2.8に設定した後に陰極電解電流密度10±2A/dmの範囲で処理することが好ましい。
【0036】
カプセルメッキの処理条件は、浴温は、30〜40℃範囲、pHは硫酸と炭酸ニッケルとで微調整して2.4〜2.6に設定した後に陰極電解電流密度10A/dmで平滑メッキ処理するのが好ましい。
カプセルメッキを施す目的はニッケル粒子により施した粗化処理のニッケル粒子が脱落するのを防止するためであり、薄過ぎるとニッケル粒子の脱落を防止できず、また、厚過ぎると抵抗層の抵抗値にバラツキを生じさせることになる。従って、カプセルメッキの厚さは抵抗層3の厚さの1/4〜1/10程度とすることが好ましい。
【0037】
カプセルメッキ工程後には防錆処理を施すが、クロメート防錆でもベンゾトリアゾールに代表される有機系防錆剤あるいはその誘導体化合物による防錆処理であっても良い。しかし、好ましくはクロム酸溶解液によるクロム防錆処理が連続処理或いは単板処理であっても、コストパフォーマンスに優れるため好ましい。
【0038】
防錆処理はクロメート防錆剤を浸漬処理により設け、或いは必要に応じて陰極電解処理(第四処理槽37)して防錆力を高める。
【0039】
防錆処理における皮膜は、クロメート処理の場合は金属クロム量として0.005〜0.045mg/dmの範処理囲、有機防錆処理の場合は、ベンゾトリアゾール(1.2.3-Benzotriazole〔公称:BTA〕)が好ましいが、市販の誘導体でもよく、その処理量はJIS-Z−2371に規定される塩水噴霧試験(塩水濃度:5%−NaCl、温度35℃)条件下で24時間まで表面が酸化銅変色しない程度の浸漬処理を施す。
【0040】
更に防錆処理層の上に必要に応じてシランカップリング剤を適宜コーティング(第五処理槽42)してリジットの樹脂基板やフレキシブル基板との密着性を高めることが望ましい。シランカップリング剤は対象となる樹脂基板、例えばエポキシ基板であればエポキシ系カップリング剤、ポリイミド樹脂基板であればアミノ系カップリング剤と、それぞれ相性を有するので、本発明においては種類を限定しないが、少なくともケミカル的に樹脂基板との密着性を向上させるためには、マット面側のシランカップリング剤の付着量が、ケイ素として0.001〜0.015mg/dmの範囲であることが好ましい。
以上は図2に基づき銅箔の連続表面処理につき説明したが、銅箔単板の表面処理についても同様の処理条件で施すことができる。
【0041】
上述した抵抗層3の作製に含有リンニッケル浴を用いる理由は、建浴条件が容易であることと抵抗層の抵抗値管理をニッケル付着量と含リン量とそれらの比率で管理できるためであり、特にスルファミン酸ニッケルを用いる場合には、薄膜形成後に残留メッキ応力が小さいために反りの発生が抑えられるので生産性の向上と品質の安定性の双方にメリットがある。
【0042】
ここで、抵抗層を形成するために、汎用の電解銅箔のマット面側を用いる理由は、Rz値で粗面形状が2.5〜6.5μm範囲であれば薄膜の厚みが抵抗値で250Ω/□程度になる電解メッキ厚みであってもポーラスにならず均一にメッキを施すことができ、次工程で密着性を持たせるニッケル粗化処理に対しても不具合を生じさせることがなく、健全な微細ニッケル粗化粒を付与することができるためである。
【0043】
伸び性の良い電解銅箔を用いる理由は、リジット基板、フレキシブル基板共に一次積層工程での加熱プレス工程等を通搬時にも適宜に伸縮塑性して、反りや端面のカール不具合を抑制する効果を付与させるためである。
伸び性の良い電解銅箔は、電解製箔時に電解液に公知の添加剤を処方することで容易に得られる。
【実施例1】
【0044】
電解製箔条件により製造された18μm厚みでマット面側(電解液面側)の形状粗度がJIS−B−0601に規定のRz値4.8μmで、かつ180℃で60分間の大気加熱条件での加熱後の伸び物性率が14.2%の銅箔(古河電気工業(株)製造のMP箔)を用いて、該マット面側に抵抗素子体となる抵抗層薄膜の形成、ニッケル粗化処理、カプセルメッキ処理を以下の条件で施した。
[抵抗層形成浴組成と処理条件]
スルファミン酸ニッケルを用いてニッケルとして・・・・・65g/l
亜燐酸のPOとし・・・・・40g/l
次亜燐酸のPOとして・・・・・50g/l
ホウ酸(HBO)・・・・・30g/l
pH:1.6
浴温度:55℃
電解メッキ電流密度・・・・・・5.0A/dm
【0045】
[ニッケル粗化処理条件]
硫酸ニッケルを用いてニッケルとして・・・・・18g/l
硫酸アンモニューム・・・・・20g/l
添加物として硫酸銅化合物より金属銅として・・・・・1.2g/l
pH:3.6
浴温度:30℃
電解メッキ電流密度・・・・・・40A/dm
【0046】
[カプセルメッキ処理条件]
硫酸ニッケルを用いてニッケルとして・・・・・40g/l
ホウ酸(HBO)・・・・・25g/l
pH:2.5
浴温度:35℃
電解メッキ電流密度・・・・・・10A/dm
【0047】
実施例の防錆処理は、CrOとして3g/l浴に浸漬し、乾燥後に0.5wt%に建浴したエポキシ系のシランカップリング剤(チッソ(株)製サイラエースS-510)を該銅箔のマット面側のみに薄膜塗工した。
【0048】
得られた抵抗層付銅箔を250mm角に切断して市販の樹脂基板(日立化成(株)製LX67Fプリプレグ使用)に抵抗層側(マット面側)を重ね合わせて加熱プレス積層して、片面抵抗層付銅張積層板を作製し、メルテックス(株)製の商品名「エープロセス-W」のアルカリエッチング剤にて銅箔のみを選択エッチングした後に、JIS−K−7194に規定される面内抵抗値の測定方法に準拠して20個の試験片を抵抗率計・ロレスタGP/MCP−T610型/(株)ダイアインスルメンツ製の4端子4深針法(定電流印加方式)で測定し、合計180の測定値のバラツキ指標シグマ(σ)を統計的手法で求め表1に記載した。
【0049】
また樹脂基材との密着性(密着強度)の測定は、JIS−C−6481に規定される測定方法により測定した。適宜な伸縮塑性を有するか否かの評価は、伸び物性率(常温伸び率)に対しては積層前の箔の状態でIPC−TM−650に規定される測定法により測定し、塑性程度(0.8R/MIT耐折性)はJIS−P−8115に規定される耐屈曲性の測定法(R=0.8mm)により測定し表1に記載した。
【0050】
また、表1に示すエッチング後のニッケル残渣の判定は、光学顕微鏡の観察結果による
。判定基準は、100倍率で25.4mm四方(1インチ四方)のエッチング面内を目視で観察し、残渣が全く見られないものを◎、10μmΦ未満に相当する残渣が5個以下のものを○、10μmΦ以上30μmΦ未満に相当する残渣が10個未満のものを△、10μmΦ以上30μmΦ未満で実用性に問題があると判断される残渣が10個以上のものを×とした。
【実施例2】
【0051】
電解製箔条件により製造された18μm厚みでマット面側の形状粗度がJIS−B−0601に規定のRz値4.5μmで、かつ180℃で60分間の大気加熱条件での加熱後の伸び物性率が14.2%の銅箔(古河電気工業(株)製造のMP箔)を用いた以外は、実施例1に記載の条件にて処理し評価測定に供した。
測定、評価結果を表1に併記する。
【実施例3】
【0052】
電解製箔条件により製造された18μm厚みでマット面側の形状粗度がJIS−B−0601に規定のRz値4.5μmで、かつ180℃で60分間の大気加熱条件での加熱後の伸び物性率が12.0%の銅箔(古河電気工業(株)製造のMP箔)を用いた以外は、実施例1に記載の条件にて処理し評価測定に供した。
測定、評価結果を表1に併記する。
【実施例4】
【0053】
電解製箔条件により製造された18μm厚みでマット面側の形状粗度がJIS−B−0601に規定のRz値8.5μmで、かつ180℃で60分間の大気加熱条件での加熱後の伸び物性率が12.0%の銅箔(古河電気工業(株)製造のMP箔)を用いた以外は、実施例1に記載の条件にて処理し評価測定に供した。
測定、評価結果を表1に併記する。
【実施例5】
【0054】
電解製箔条件により製造された18μm厚みでマット面側の形状粗度がJIS−B−0601に規定のRz値3.5μmで、かつ180℃で60分間の大気加熱条件での加熱後の伸び物性率が12.0%の銅箔(古河電気工業(株)製造のMP箔)を用いた以外は、実施例1に記載の条件にて処理し評価測定に供した。
測定、評価結果を表1に併記する。
【0055】
[比較例1]
電解製箔条件により製造された18μm厚みでマット面側の形状粗度がJIS−B−0601に規定のRz値9.2μmで、かつ180℃で60分間の大気加熱条件での加熱後の伸び物性率が12.0%の銅箔(古河電気工業(株)製造のMP箔)を用いた以外は、実施例1に記載の条件にて処理し評価測定に供した。
測定、評価結果を表1に併記する。
【0056】
[比較例2]
実施例1で用いた基体銅箔のマット面側に下記処理条件で銅ヤケメッキ処理を施し、次いで銅のカプセルメッキを施した後に抵抗素子体となる抵抗層薄膜をリン含有スルファミン酸ニッケル浴を用いて電解メッキした工程以外は、実施例1に記載の条件にて処理し評価測定に供した。
測定、評価結果を表1に併記する。
【0057】
[銅粗化処理条件]
硫酸銅を用いて金属銅として・・・・・・23.5g/l
硫酸・・・・・・100g/l
添加物としてモリブデン化合物よりモリブデンとして・・・・・・0.25g/l
浴温度:25℃
電解メッキ電流密度・・・・・・38A/dm
【0058】
[銅カプセル平滑メッキ処理条件]
硫酸銅を用いて金属銅として・・・・・・45g/l
硫酸・・・・・・120g/l
浴温度:55℃
電解メッキ電流密度・・・・・・18A/dm
【0059】
[比較例3]
実施例1で用いた基体銅箔を17.5μm厚の圧延銅箔に変更して、一方の面のみに抵抗素子体となる抵抗層薄膜をリン含有スルファミン酸ニッケル浴を用いて電解メッキした工程以外は、実施例1と同様に処理し評価測定に供した。
測定、評価結果を表1に併記する。
【0060】
【表1】

【0061】
表から明らかなように、実施例1〜5の抵抗層付銅箔の面内バラツキは0.80未満と小さく、樹脂基板に埋め込む抵抗素子として十分満足しうるものである。
樹脂基板との密着強度は通常18μm厚み相当であれば0.70kg/cm以上であれば実用的に問題がなく、また1.35kg/cm以下であればニッケル残渣による品質上の問題を起こす懸念もない。実施例1〜5の抵抗層付銅箔の密着性はいずれもこの数値範囲を満足しているので密着強度もニッケル残渣についても問題のない結果であった。また、実施例1〜5の抵抗層付銅箔の耐折性も求める特性を十分満足するものであった。
また、電解製箔後の常温状態での伸び物性率についても、実施例1〜5はいずれも8%以上であり満足するものであった。
一方、比較例1は電解メッキ後の形状粗度がJIS−B−0601に規定のRz値9.2μmと大きい基体銅箔を用いたために、出来上がった抵抗層付銅箔は密着力が1.38kg/cmと大きくなったが、抵抗層の面内バラツキが大きく、ニッケル残渣も比較的多く、実用性に乏しい結果であった。
また、比較例2の抵抗層付銅箔は面内バラツキが大きく、比較例3は面内バラツキは実施例1より小さいが、密着強度、耐折性ともに満足できず、実用性に乏しい結果であった。
【0062】
上述したように本発明の抵抗層付銅箔は、抵抗素子として抵抗値のバラツキが十分に小さく、積層される樹脂基板との密着性も十分に維持でき、曲げに対しても適宜な伸縮塑性と耐折性を有する。
また、本発明の抵抗層付銅箔の製造方法は、抵抗素子とした場合にも抵抗値のバラツキが十分に小さく、積層される樹脂基板との密着性も十分に維持しつつ、曲げに対しても適宜な伸縮塑性と耐折性を有する抵抗層付銅箔を製造することができる。
本発明の積層基板によれば、樹脂基板との接着性が十分に維持され、抵抗値のバラツキが小さい積層基板である。
【符号の説明】
【0063】
1 基体銅箔
3 抵抗層
4 ニッケル粒子
22 第一処理槽(抵抗層形成工程)
26 第二処理槽(粗化処理工程)
30 第三処理槽(カプセルメッキ工程)
37 第四処理槽(防錆処理工程)
42 第五処理槽(シランカップリング)
44 乾燥工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
銅箔の一方の表面に抵抗素子となる金属層または合金層を設け、該金属層または合金層の表面にニッケル粒子による粗化処理が施されている抵抗層付銅箔。
【請求項2】
銅箔の一方の表面に抵抗素子となる金属層または合金層を設け、該金属層または合金層の表面にニッケル粒子による粗化処理が施され、該粗化処理が施された表面にカプセルメッキが施されている抵抗層付銅箔。
【請求項3】
銅箔の一方の表面に抵抗素子となる金属層または合金層を設け、該金属層または合金層の表面にニッケル粒子による粗化処理が施され、該粗化処理が施された表面にクロメート防錆層が設けられている抵抗層付銅箔。
【請求項4】
銅箔の一方の表面に抵抗素子となる金属層または合金層を設け、該金属層または合金層の表面にニッケル粒子による粗化処理が施され、該粗化処理が施された表面にクロメート防錆層が設けられ、該防錆層の表面にシランカップリング剤からなるケミカル的な薄膜層が設けられている抵抗層付銅箔。
【請求項5】
前記銅箔が柱状晶粒からなる結晶を有する電解銅箔であり、該電解銅箔に抵抗素子となる金属層または合金層を設ける面がマット面(液面側)であり、該マット面の素地が、JIS−B−0601に規定されるRz値で2.5〜6.5μmの範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の抵抗層付銅箔。
【請求項6】
前記電解銅箔の180℃で60分間の大気加熱条件での加熱後の常温状態での伸び物性率が12%以上である請求項4に記載の抵抗層付銅箔。
【請求項7】
前記ニッケル粗化処理後の粗度が、JIS−B−0601に規定されるRz値で4.5〜8.5μmの範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載の抵抗層付銅箔。
【請求項8】
前記クロメート防錆層のクロム付着量が、金属クロムとして0.005〜0.045mg/dmである請求項2叉は3に記載の抵抗層付銅箔。
【請求項9】
前記シランカップリング剤からなるケミカル的な薄膜層におけるシランカップリング剤の付着量が、ケイ素として0.001〜0.015mg/dmである請求項3に記載の抵抗層付銅箔。
【請求項10】
マット面(液面側)の素地がJIS−B−0601に規定されるRz値で2.5〜6.5μmの範囲にある柱状晶粒からなる結晶を有する電解銅箔の表面にリン含有ニッケルからなる抵抗層を設け、該抵抗層の表面に、粗度がJIS−B−0601に規定されるRz値で4.5〜8.5μmの範囲にあるニッケル粒子による粗化処理を施す抵抗層付銅箔の製造方法。
【請求項11】
前記電解銅箔の180℃で60分間の大気加熱条件での加熱後の常温状態での伸び物性率が12%以上である請求項9に記載の抵抗層付銅箔の製造方法。
【請求項12】
請求項1〜7のいずれかに記載の抵抗層付銅箔が部品内蔵のリジット基板或いはフレキシブル基板にエッチングパターン加工して搭載されている積層基板。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−21216(P2011−21216A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165571(P2009−165571)
【出願日】平成21年7月14日(2009.7.14)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】