説明

押ボタンスイッチ及びこれを用いた操作装置並びに教示ペンダント

【課題】接点同士が溶着を起こした場合であっても接点を強制的に開離させてOFF状態に移行させることができて、動作を一層安定させ得る押ボタンスイッチを提供する。
【解決手段】第1のOFF状態から押ボタン122を押し込むと、第2の接点126が下動して第1の接点127に接触し、第1のOFF状態からON状態に移行する。押ボタン122の押込量がさらに増加すると、可動端子125の下部両端の間隔がそのばね力に抗して縮められ、可動端子125が押ボタン122内を上動して第2の接点126が押ボタン122内に没入するとともに、第1、第2の接点127、126間に押ボタン122の下端部が介挿されて第1、第2の接点127、126間が電気的に遮断され、スイッチはON状態から第2のOFF状態に移行する。このとき、第1、第2の接点127、126が仮に溶着していても第1、第2の接点127、126の強制開離を行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、押ボタンスイッチに関し、詳細には、押ボタンの押込量が増加するにつれて、初期の第1のOFF状態からON状態となり、さらに第2のOFF状態に移行する押ボタンスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ロボット等のNC制御の機械に対して手動操作を行う際、操作者は危険区域内に入って作業を行う場合が多く、このような場合に、機械との接触による作業中の事故を未然に回避するため、いわゆるイネーブルスイッチ(あるいはデッドマンスイッチ)と呼ばれる押ボタンスイッチを備えたペンダントが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このペンダントは、制御装置に接続することにより、ロボットにプログラムを教示したり、あるいはロボットを作動させたりすることのできる携帯用ユニットであって、図80に示すように、ペンダント500は、主面側に配置された入力用キーボード501と、一側面に配置された押ボタンスイッチ(イネーブルスイッチ)502とを有している。なお、押ボタンスイッチ502はペンダント500の裏面側に配置される場合もある。またペンダント500は、図示しない制御装置に接続される信号用ケーブル503を有している。
【0004】
従来の押ボタンスイッチ502は、図77に示すように、押ボタン505と、これに対向配置されたマイクロスイッチ506とを有している。押ボタン505の下面には、下方に延びる板ばね507が設けられており、マイクロスイッチ506の上面には、ばね性を有する押圧板508及びアクチュエータ509が設けられている。板ばね507の先端には、折曲げ部507aが形成されている。
【0005】
押ボタンスイッチ502を使用する際には、まず、押ボタンスイッチ502が組み込まれたペンダント500を、手動操作すべき機械の制御盤に信号用ケーブル503を介して接続する。このとき、押ボタンスイッチ502がOFF状態にあれば、ペンダント500のキーボード501を操作してもキー入力されることはない。
【0006】
次に、押ボタン505を押し込むと、図78に示すように、押ボタン505とともに移動する板ばね507の折曲げ部507aがマイクロスイッチ506の押圧板508と係合するとともに、押圧板508が下方に弾性変形してアクチュエータ509を押圧する。これにより、アクチュエータ509が下方に移動して、マイクロスイッチ506に内設された接点が接触し、これにより、マイクロスイッチ506がON状態になる。
【0007】
操作者は、このON状態が保持されるように押ボタン505を押し込んだまま、ペンダント500のキーボード501からキー入力を行う。このとき、手動操作される機械の可動部との接触の危険を感じたとき、操作者が押ボタン505から指を離すと、押ボタン505が図77に示す状態に戻ってマイクロスイッチ506がOFFとなり、機械が停止する。
【0008】
また、操作者が身の危険を感したときにパニックに陥って押ボタン505をさらに押し込んでしまった場合には、図79に示すように、板ばね507の折曲げ部507aが押圧板508を摺接してこの折曲げ部507aと押圧板508との係合が外れ、押圧板508がその復元力により元の位置に戻る。これにより、マイクロスイッチ506がOFF状態となって、機械が停止する。
【0009】
このように、押ボタンスイッチ502では、マイクロスイッチ506がON状態のときにのみ、ペンダント500のキーボード501からのキー入力が可能、即ちイネーブル状態となって手動操作を行えるようになるので、手動操作時の操作者の意思を明確にでき、操作者の安全を確保することができる。
【0010】
【特許文献1】実公平6−5103号公報(第1−2頁、第1図、第4図、第5図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、前記従来の押ボタンスイッチでは、板ばね同士の係合によりON状態が維持されるとともに、各板ばねの弾性変形量が増えて板ばね同士の係合が外れることによりOFF状態に移行するようになっているので、ON状態からOFF状態への移行のタイミングが各板ばねの精度に大きく左右される。
【0012】
このため、板ばねのばらつきによっては、ON状態からOFF状態にすぐに移行したり或いはなかなか移行しなかったりして、動作が安定せず、スイッチング精度があまり高くない。
【0013】
本発明は、このような従来の実情に鑑みてなされたもので、動作を安定させるとともに、接点同士が溶着を起こした場合であっても接点を強制的に開離させてOFF状態に移行させることができ、これにより動作を一層安定させることができる押ボタンスイッチを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記した目的を達成するために、本発明は、押ボタンの押込量が増加するにつれて、ON、OFFの状態が変化する押ボタンスイッチにおいて、前記押ボタンを上下動自在に支持するケースと、前記ケース内に設けられた第1の接点と、前記ケース内の前記第1の接点と対向する位置に配置された第2の接点と、接触状態の前記第1及び第2の接点を離反させる強制開離手段とを備え、前記第1、第2の接点が離反した初期の第1のOFF状態から前記押ボタンを押し込むことにより、前記第1、第2の接点が接触したON状態となり、前記押ボタンをさらに押し込むことにより、再び前記第1、第2の接点が離反した第2のOFF状態に移行し、前記強制開離手段は、前記第2のOFF状態のときに強制的に前記第2の接点を前記第1の接点から離反させるものであることを特徴としている(請求項1)。
【0015】
このようにすると、押ボタンの押込量が増加するにつれて第1のOFF状態、ON状態、第2のOFF状態と順次に変化し、しかもこのようなスイッチの状態の変化が確実に生じるため、安定した動作が可能な押ボタンスイッチを得ることができ、しかも接点同士が仮に溶着しているような場合であっても、強制開離手段によりこれを強制的に開離することが可能になり、信頼性の向上につながる。
【0016】
また、本発明は、根元部分が前記ケース内の底部に固定され、前記押ボタン方向に付勢力が働く先端部に前記第1の接点が取り付けられた導電性の第1部材と、根元部分が前記ケース内の底部に固定され、前記押ボタンと前記第1の接点との間に位置して前記押ボタン方向に付勢力が働く先端部に前記第2の接点が前記第1の接点に対向して取り付けられた導電性の第2部材と、一端側が前記押ボタンに取り付けられ他端側が前記第2部材の前記先端部に近接して配設された板ばねと、前記板ばねの前記他端側の先端部分が折曲されて形成され前記第2部材の前記先端部に係合する折曲部と、前記押ボタンの下面に取り付けられ、先端が前記第1部材の前記先端部に当接自在の前記強制開離手段としての作動部材とを備え、前記押ボタンの押し込みにより、前記折曲部が前記第2部材の前記先端部に係合した状態で押し下げられて前記第1のOFF状態から前記ON状態に移行し、その後の前記押ボタンの押し込みにより、前記折曲部が前記第2部材の前記先端部を摺接して前記第2部材との係合を解除するとともに、前記作動部材が前記第1部材の付勢力に抗して前記第1部材の前記先端部を押圧し、前記ON状態から前記第2のOFF状態に移行するようになっていることを特徴としている(請求項2)。
【0017】
この場合、スイッチング機構を設けることなく、板ばねによってON状態から第2のOFF状態への移行を安定して行うことが可能になり、簡単な構成によりスイッチ動作を安定させることができる。
【0018】
また、板ばねのばね力の低下により第2のOFF状態への移行が円滑に行えない場合や接点が溶着している場合であっても、作動部材によって強制開離を行うことができる。
【0019】
また、本発明は、前記押ボタンが中空であり、断面コ字状を成し互いに広がる方向に付勢されたばね性を有する両先端部が前記押ボタンに形成された中空に対して出没自在に前記中空内に設けられた導電性の可動部材を備え、前記第2の接点が、前記可動部材の少なくとも一方の前記先端部に設けられ、前記可動部材がその両先端部を前記中空外に突出した状態で前記押ボタンの押し込みに連動して前記第1のOFF状態から前記ON状態に移行し、その後の前記押ボタンの押し込みにより前記可動部材の前記両先端部が前記中空内に没入するとともに、前記押ボタンの一部が前記強制開離手段として前記第1の接点と第2の接点との間に介挿し、前記ON状態から前記第2のOFF状態に移行するようになっていることを特徴としている(請求項3)。
【0020】
こうすると、スイッチング機構を設けることなく、ON状態から第2のOFF状態への移行を安定して行うことが可能になり、簡単な構成によりスイッチ動作を安定させることができる。
【0021】
また、この場合には、接触した状態の第1、第2の接点間に押ボタンの一部が介挿して両接点が電気的に遮断されるため、強制開離手段として特別な手段を設けることなく、第1、第2の接点の強制開離を行うことが可能である。
【0022】
また、前記押ボタンの外周面に形成された突部と、前記ケースの内周面に形成された突部とから成り、前記第1のOFF状態から前記ON状態に移行する際に前記押ボタンの前記突部が前記ケースの前記突部に摺接してクリック感を発生するクリック感発生機構を備えてもよい(請求項4)。
【0023】
このようにすれば、操作者はスイッチが第1のOFF状態からON状態に移行したときにクリック感を得ることができるため、第1のOFF状態からON状態への移行を明確に把握できる。
【0024】
また、前記第1の接点及び前記第2の接点相互の接触に連動して接触または離反し、前記第1の接点及び前記第2の接点相互の離反に連動して離反または接触する一対の補助接点を前記ケース内に備えていてもよい(請求項5)。
【0025】
このような構成によれば、一対の補助接点を設けることで、一つのスイッチで第1、第2の接点による回路のスイッチングのほかに、他の回路のスイッチングを実現することができる。
【0026】
また、前記押ボタンの押し込みにより、前記第1のOFF状態時に互いに接触し、前記第2のOFF状態時に離反する第3及び第4の接点を前記ケース内に設けた構成としてもよい(請求項6)。
【0027】
このようにすれば、 第3及び第4の接点のON、OFFの状態により押ボタンスイッチが第1のOFF状態、第2のOFF状態のいずれに状態にあるのかを容易に把握することが可能になり、押ボタンスイッチの状態に応じた種々の制御を行うことができる。
【0028】
また、前記押ボタンに形成されたハート型のカム溝と、前記カム溝に対向する前記ケースの内側面に回動自在に取り付けられ、前記押ボタンの押し込みによって先端が前記カム溝内を相対的に一方向に移動するピンとを有し、前記第2のOFF状態のときに前記押ボタンを押込状態に保持し、解除操作によって前記押込状態の保持を解除するロック/リセット機構を備えている構成でもよい(請求項7)。
【0029】
また、前記押ボタンに形成されたロック用当接部と、前記第2のOFF状態のときに前記ロック用当接部に当接して前記押ボタンを押込状態に保持する作動部材と、解除操作によって前記作動部材を移動させ、前記ロック用当接部と前記作動部材との当接を解除して前記押込状態の保持を解除する操作バーとを有するロック/リセット機構を備えている構成でもよい(請求項8)。
【0030】
このような構成とすれば、ロック/リセット機構を設けることで、スイッチを第2のOFF状態に保持できるため、スイッチの操作者は、押ボタンの状態から第2のOFF状態に保持されていることを容易に認識することが可能になる。また、ロック/リセット機構により、スイッチが第2のOFF状態に保持された状態から、スイッチを初期の第1のOFF状態に簡単に復帰させることができる。
【0031】
また、本発明は、押ボタンスイッチを備えている操作装置において、手で把持される装置本体の把持部に前記押ボタンスイッチが複数配列して設けられ、前記各押ボタンスイッチの前記各押ボタンに当接する当接部材が前記装置本体に回動自在に取り付けられ、前記当接部材を押圧することで前記当接部材により前記各押ボタンが同時に押し込まれて前記各押ボタンスイッチが同時に前記ON状態となることを特徴としている(請求項9)。
【0032】
このような構成によれば、当接部材により、各押ボタンスイッチの押ボタンを同時に押し込むことが可能なり、簡易な構成でしかも簡単な操作により各押ボタンスイッチの同時操作が可能になる。
【0033】
また、前記操作装置が、産業用マニピュレーティングロボットにおける教示ペンダントである構成としてもよい(請求項10)。
【0034】
この場合、当接部材により各押ボタンスイッチの押ボタンを同時に押し込むことができるため、例えば押ボタンスイッチをペンダントのイネーブルスイッチとして使用する場合に、簡易な構成でしかも簡単な操作によりペンダントをイネーブル状態に設定できるとともに、非常時にはスイッチを容易に第2のOFF状態にしてペンダントの機能を非常停止することができる。
【0035】
また、本発明は、押ボタンスイッチを備えている教示ペンダントにおいて、手で把持されるペンダント本体の把持部に前記押ボタンスイッチが設けられ、前記押ボタンスイッチの前記押ボタンに当接する操作レバーが前記ペンダント本体に回動自在に設けられ、前記操作レバーを把持することで前記押ボタンが押し込まれ、前記押ボタンスイッチが前記ON状態となって教示可能な状態に設定されることを特徴としている(請求項11)。
【0036】
このような構成によれば、操作レバーの回動により押ボタンスイッチの押ボタンを同時に押し込みことができるため、簡易な構成でしかも簡単な操作によりペンダントを教示可能なイネーブル状態に設定できるとともに、非常時にはスイッチを容易に第2のOFF状態にしてペンダントの機能を非常停止することができる。
【0037】
また、本発明は、押ボタンスイッチを備えている教示ペンダントにおいて、手で把持されるペンダント本体の把持部に前記押ボタンスイッチが設けられ、前記押ボタンスイッチの前記押ボタンを操作するためのアクチュエータ軸がその先端を突出して設けられ、前記アクチュエータ軸に当接する操作レバーが前記ペンダント本体に回転自在に設けられ、前記操作レバーを把持することで前記アクチュエータ軸及び前記押ボタンが押し込まれ、前記押ボタンスイッチが前記ON状態となって教示可能な状態に設定され、前記操作レバーを把持したときに前記押ボタンスイッチの操作感を発生する操作感発生機構が設けられていることを特徴としている(請求項12)。
【0038】
このようにすると、操作感発生機構を設けたため、イネーブルスイッチとしての押ボタンスイッチがON状態となったときに、教示ペンダントの操作者に対して押ボタンスイッチを操作したという感触を与えることが可能になる。
【0039】
また、前記操作感発生機構が、前記操作レバー側に形成されたばね性を有するばね部と、前記ペンダント本体に設けられたカム状の突起とにより構成され、前記操作レバーを把持したときに前記ばね部の先端が前記突起の周面を摺接することで前記操作感を発生するようにしてもよい(請求項13)。
【0040】
こうすれば、操作レバー側のばね部とペンダント本体側のカム状の突起とにより、簡単な構成により操作感を発生することができる。
【発明の効果】
【0041】
以上のように、この発明によれば、押ボタンの押込量が増加するにつれて第1のOFF状態、ON状態、第2のOFF状態と順次に確実に変化するため、安定した動作が可能な押ボタンスイッチを得ることができ、しかも接点同士が仮に溶着しているような場合であっても、強制開離手段によりこれを強制的に開離させてOFF状態に移行させることができ、信頼性の良好な押ボタンスイッチを得ることができる。
【0042】
また、請求項2の発明によれば、板ばねによってON状態から第2のOFF状態への移行を安定して行うことが可能になり、板ばねのばね力の低下により第2のOFF状態への移行が円滑に行えない場合や接点が溶着している場合であっても、作動部材によって強制開離を行うことができ、簡単な構成によりスイッチ動作を安定させることが可能になる。
【0043】
また、請求項3の発明によれば、スイッチング機構を設けることなく、ON状態から第2のOFF状態への移行を安定して行うことが可能になるのはもちろんのこと、接触した状態の第1、第2の接点間に押ボタンの一部が介挿して両接点が電気的に遮断されるため、強制開離手段として特別な手段を設けることなく、第1、第2の接点の強制開離を行うことができ、信頼性の優れた押ボタンスイッチを提供することが可能である。
【0044】
また、請求項4の発明によれば、操作者はスイッチが第1のOFF状態からON状態に移行したときにクリック感を得ることができるため、第1のOFF状態からON状態への移行を明確に把握できる。
【0045】
また、請求項5の発明よれば、一対の補助接点を設けることで、一つのスイッチで第1、第2の接点による回路のスイッチングのほかに、他の回路のスイッチングを実現することができる。
【0046】
また、請求項6の発明によれば、第3及び第4の接点のON、OFFの状態により押ボタンスイッチが第1のOFF状態、第2のOFF状態のいずれに状態にあるのかを容易に把握することが可能になり、押ボタンスイッチの状態に応じた種々の制御を行うことができる。
【0047】
また、請求項7,8の発明によれば、ロック/リセット機構を設けることで、スイッチを第2のOFF状態に保持できるため、スイッチの操作者は、押ボタンの状態から第2のOFF状態に保持されていることを容易に認識することが可能になる。また、ロック/リセット機構により、スイッチが第2のOFF状態に保持された状態から、スイッチを初期の第1のOFF状態に簡単に復帰させることができる。
【0048】
また、請求項9の発明によれば、当接部材により、各押ボタンスイッチの押ボタンを同時に押し込むことが可能なり、簡易な構成でしかも簡単な操作により各押ボタンスイッチの同時操作が可能になる。
【0049】
また、請求項10の発明によれば、当接部材により各押ボタンスイッチの押ボタンを同時に押し込むことができるため、例えば押ボタンスイッチをペンダントのイネーブルスイッチとして使用する場合に、簡易な構成でしかも簡単な操作によりペンダントをイネーブル状態に設定できるとともに、非常時にはスイッチを容易に第2のOFF状態にしてペンダントの機能を非常停止することができる。
【0050】
また、請求項11の発明によれば、操作レバーの回動により押ボタンスイッチの押ボタンを同時に押し込みことができるため、簡易な構成でしかも簡単な操作によりペンダントを教示可能なイネーブル状態に設定できるとともに、非常時にはスイッチを容易に第2のOFF状態にしてペンダントの機能を非常停止することができる。
【0051】
また、請求項12の発明によれば、操作感発生機構を設けたため、イネーブルスイッチとしての押ボタンスイッチがON状態となったときに、教示ペンダントの操作者に対して押ボタンスイッチを操作したという感触を与えることが可能になる。
【0052】
また、請求項13の発明によれば、操作レバー側のばね部とペンダント本体側のカム状の突起とにより、簡単な構成により操作感を発生することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態について、図1ないし図9を参照して説明する。
【0054】
図1は第1実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図、図2は図1のII−II線における切断平面図、図3ないし図8は押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図、図9は押ボタンの操作荷重と操作ストロークとの関係を示す概略図である。
【0055】
図1に示すように、押ボタンスイッチ1は、ほぼ直方体状の中空の押ボタン2と、押ボタン2を支持するケース3と、ケース3の底部31に固定された導電性の固定端子4と、固定端子4の上方に配置された導電性の可動端子5を有するスイッチング機構6とを備えている。
【0056】
押ボタン2には、中空となるべく凹状の穴2aが下面に形成され、この穴2aの左側及び右側はほぼ中央で段付形状に形成されている。さらに、この穴2aの両段付部分には各々傾斜面2b、2bが形成されている。また押ボタン2の下部には、下方に突出する複数の支軸部21が設けられており、各支軸部21には支軸部21よりも長尺のコイルスプリング7がそれぞれ巻装されている。各コイルスプリング7の上端は押ボタン2の下面2cに、下端は底部31の底面31aにそれぞれ係止されている。これら各コイルスプリング7のばね力により、押ボタン2は常時上方に付勢されている。
【0057】
固定端子4は、ケース3内において略U字状に折り曲げられた平面視略T字状の部材であって(図2参照)、この折曲部分4aは上下方向の弾性即ちばね性を有している。折曲部分4aの先端には、第1の接点41が設けられている。
【0058】
スイッチング機構6の上部は、押ボタン2の穴2a内に挿入されており、この挿入部61には、押ボタン2の押込方向と交差する左右方向に延びる左右一対の穴61a、61aが形成されている。
【0059】
両穴61a、61a内には、各々スライドブロック8が左右方向にスライド自在に挿入されている。両スライドブロック8、8には、押ボタン2の穴2aの両傾斜面2bとそれぞれ係合し得る傾斜面8a、8aが形成されている。また両穴61a、61a内には、スライドブロック8を穴61aから突出させる方向に付勢するコイルスプリング9、9が各々挿入されている。
【0060】
スイッチング機構6の下部には、下方に延びる軸部62が設けられている。可動端子5は、軸部62の上端部に上下方向スライド自在に支持され、この可動端子5の両端下面には第2の接点51が設けられている。また可動端子5の上部には、円錐台状を成すコイルスプリング10のばね力が下向きに作用している。このコイルスプリング10は、可動端子5の第2の接点51が固定端子4の第1の接点41と接触したときの接触圧を確保するために設けられている。
【0061】
軸部62の下部は、ケース3の底部31に形成された穴31b内に挿入されている。この穴31b内には復帰ばねとしてのコイルスプリング12が配設され、このコイルスプリング12の上部は軸部62の下部に小径に形成されたボス状部に巻装されるようにして装着されている。そして、このコイルスプリング12のばね力により、軸部62は常時上方に付勢されている。また、穴31b内には、軸部62のボス状部の根元である段付部62aが当接し得るストッパ面31cが形成されている。
【0062】
また、押ボタン2の下部の前後には、下方に突出して一対ずつの突起部22が設けられている。これら各突起部22は強制開離手段に相当し、特に図2に示されるように、各突起部22は、可動端子5を間に挟み、可動端子5には接触することなく固定端子4の端部に当接可能な位置に配置されている。
【0063】
図1に示すような押ボタン2を押し込んでいない初期状態である第1のOFF状態では、押ボタン2が各コイルスプリング7のばね力により初期位置に配置されており、第1、第2の接点41、51は離反して両者間には隙間が設けられている。また、両スライドブロック8、8の傾斜面8aが押ボタン2の穴2aの傾斜面2bに係合しており、この係合によって押ボタン2の押し込みにスイッチング機構6が連動する状態になっている。
【0064】
次に、本実施形態における押ボタンスイッチ1の動作について図3ないし図8を用いて説明する。
【0065】
いま、図1に示す第1のOFF状態から押ボタン2を押し込むと、図3に示すように、スライドブロック8の傾斜面8aと押ボタン2の傾斜面2bとの係合により、スイッチング機構6が押ボタン2と一緒に下方に移動し、スイッチング機構6の可動端子5の第2の接点51がケース3側の固定端子4の第1の接点41と接触してON状態になる。
【0066】
このON状態では、スライドブロック8の傾斜面8aには、押ボタン2の穴2aの傾斜面2bからスライドブロック8を内方に没入させようとする押付力が作用するが、この押付力よりも、スライドブロック8を外部に突出させようとするコイルスプリング9のばね力の方が強いので、スライドブロック8が穴61a内に没入することはない。
【0067】
またこのとき、ケース3の底部31の穴31b内において、スイッチング機構6の軸部62の段付部62aとストッパ面31cとの間には、隙間tが形成された状態となっている。
【0068】
そして、図3に示すON状態から押ボタン2をさらに押し込むと、図4に示すように、可動端子5の第2の接点51が固定端子4の第1の接点41と接触した状態のまま、スイッチング機構6の軸部62の段付部62aがケース底部31側のストッパ面31cに当接して、隙間tが0になる。このとき、図4中に破線で示すように、押ボタン2の下部の突起部22が可動端子5と紙面垂直方向にオーバラップしている。
【0069】
この状態からさらに押ボタン2が押し込まれると、押ボタン2からスライドブロック8の傾斜面8aに作用する押付力が、コイルスプリング9のばね力に打ち勝つようになり、図5に示すように、スライドブロック8の傾斜面8aが押ボタン2の傾斜面2bを摺接し始めてスライドブロック8が穴61aの内方にスライドを始める。やがて、スライドブロック8が穴61a内に完全に没入し、これによって押ボタン2の傾斜面2bとスライドブロック8の傾斜面8aとの係合が外れ、スイッチング機構6の上部が押ボタン2の穴2a内を上下方向に移動できる状態となり、スイッチング機構6が押ボタン2の押し込みに連動しなくなる。
【0070】
一方このとき、ケース底部31の穴31b内のコイルスプリング12は圧縮されており、軸部62の段付部62aには、軸部62を上方に押し上げようとするコイルスプリング12のばね力が作用している。そのため、上記したように押ボタン2の傾斜面2bとスライドブロック8の傾斜面8aとの係合が外れると、図6に示すように、コイルスプリング12のばね力によって、スイッチング機構6の上部が押ボタン2の穴2a内を上方に移動するとともに、スイッチング機構6全体が上方へ移動し、これにより可動端子5の第2の接点51が固定端子4の第1の接点41から離反して第2のOFF状態になる。
【0071】
このように、スライドブロック8の傾斜面8aと押ボタン2の穴2aの傾斜面2bとの係合状態が外れることにより、ON状態から第2のOFF状態へ移行するようになっているので、ON状態から第2のOFF状態への移行が安定して行われ、これによりスイッチ動作を安定させることができる。
【0072】
次に、図6に示す第2のOFF状態からさらに押ボタン2が押し込まれると、図7に示すように、押ボタン2の下部の突起部22が固定端子4の折曲部分4aに当接して第1の接点41が押し下げられるため、第1の接点41が第2の接点51から強制的に開離される。これにより、第1、第2の接点41、51同士が仮に溶着を起こしていた場合であっても、第1、第2の接点41、51を強制的に離反させることができ、これによってON状態から第2のOFF状態への移行が一層確実に行われるようになる。
【0073】
なお、押ボタン2の下部に突起部22を設けずに、押ボタン2の下端全体で固定端子4の第1の接点41を押し下げるようにしてもよく、あるいは、固定端子4の折曲部分4a側に突起部を設けるようにしてもよい。
【0074】
一方、図5に示す状態から、仮にコイルスプリング12が破損し、コイルスプリング12によるばね力がスイッチング機構6の軸部62に作用しない場合であっても、押ボタン2が押し込まれることによって、押ボタン2の下部の突起部22が固定端子4の第1の接点41を強制的に下方に押し下げることになるので、ON状態から第2のOFF状態に確実に移行することができる(図8参照)。
【0075】
次に、押ボタンスイッチ1を操作する際に押ボタン2に作用させる操作荷重と操作ストロークとの関係について図9を用いて説明する。なお、同図中の数字はそれぞれ図番号に対応させている。
【0076】
図1に示す初期の第1のOFF状態(1)からON状態を超えて図4に示す状態(4)に移行するまでは、操作ストロークの増加とともに操作荷重が徐々に増加している。次に、図4に示す状態(4)から図5に示す状態(5)に移行するとき、操作ストロークははとんど増加せず、操作荷重が急激に増加する。これは、スライドブロック8を内方に没入させるのに大きな荷重を必要とするからである。
【0077】
次に、図5に示す状態(5)から図6に示す状態(6)に移行するとき、操作荷重が急激に小さくなる。これは、押ボタン2とスライドブロック8との係合が外れたためである。ON状態での操作時に操作者かパニックに陥って押ボタン2を強く押し込んだときには押ボタン2か軽くなった方が好ましいので、このように操作荷重を小さく設定することにより、ON状態から第2のOFF状態にスムーズに移行することができるようになる。またこのとき、操作者はクリック感(操作感)を得ることかできる。
【0078】
次に、図6に示す状態(6)から図7に示す状態(7)に移行するまでは、操作ストロークの増加とともに操作荷重が徐々に増加している。このとき、押ボタン2の突起部22が固定端子4の接点41を徐々に押し下げている。
【0079】
このように第1実施形態によれば、スライドブロック8の傾斜面8aと押ボタン2の傾斜面2bとの係合が外れることにより、ON状態から第2のOFF状態に移行するようになっているので、ON状態から第2のOFF状態への移行が安定して行われ、これによりスイッチ動作が安定する。
【0080】
また、ON状態から第2のOFF状態への移行の際には、スイッチング機構6の上方への移動により可動端子5の第2の接点51が固定端子4の第1の接点41から離反するとともに、押ボタン2の突起部22が接点41を押し下げることにより第1の接点41が第2の接点51から強制的に離反される。これにより、接点同士が仮に溶着を起こしていた場合であっても第1、第2の接点41、51が確実に離反できるようになっている。このようにして、ON状態から第2のOFF状態への移行が確実に行われ、スイッチ動作が一層安定する。
【0081】
さらに、第1実施形態においては、固定端子4が単一の帯板状部材から構成されているので、部品点数を削減でき、構造を簡略化できる。
【0082】
なお、前記第1実施形態では、強制開離手段としての突起部22を押ボタン2に一体に形成した場合について説明したが、特に一体形成する必要はなく、押ボタン2と別個に形成した突起部22などの強制開離手段を押ボタンに取り付けるようにしてもよいのは勿論である。
【0083】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を図10ないし図19を用いて説明する。
【0084】
図10は第2実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図、図11は図10のXI−XI線における切断平面図、図12ないし図17は押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図、図18及び図19は押ボタンスイッチ内の固定端子の拡大図である。図10ないし図17は前記第1実施形態の図1ないし図8にそれぞれ対応している。なお、各図中、前記第1実施形態と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0085】
この第2実施形態においては、固定端子の横造のみが前記第1実施形態と異なっているので、ここでは、固定端子の部分についてのみ説明し、その他の部分についての詳細な説明は省略する。
【0086】
図10ないし図17中、ケース3の底部31側に配置された固定端子40は、底部31に固定された固定金具42と、固定金具42に回動自在に支持された可動金具43とから主として構成されている。
【0087】
固定金具42の一端には、上方に延びる立板部42aが設けられており、立板部42aの下端に可動金具43の一端部43aが係合している。この構成により、可動金具43は、立板部42aの下端を支点として上下方向に回動自在になっている。
【0088】
立板部42aの両端には、図11及び図18に示すように、可動金具43の上方への回動を規制するための規制板部42bが設けられている。なお、図10、図12ないし図17では、図示の便宜上、この規制板部42bを省略したものが示されている。
【0089】
また、立板部42a及び可動金具43間にはコイルスプリング44が配設されている。コイルスプリング44の一端は、立板部42aに係止され、他端は可動金具43の略中央部に係止されている。このコイルスプリング44のばね力により、可動金具43は常時上方に回動する方向に付勢されている。
【0090】
可動金具43は、図11に示すように、平面視略T字状の部材であって、その先端には、第1の接点41が設けられている。
【0091】
図10に示すような押ボタン2を押し込んでいない初期状態である第1のOFF状態においては、押ボタン2が各コイルスプリング7のばね力により初期位置に配置されており、第1、第2の接点41、51は離反して両者間には隙間が形成されている。また、両スライドブロック8、8の傾斜面8aが押ボタン2の穴2aの傾斜面2bと係合しており、この係合によって押ボタン2の押し込みにスイッチング機構6が連動する状態になっている。
【0092】
そして、図10に示す第1のOFF状態から押ボタン2を押し込むと、図12に示すように、スライドブロック8の傾斜面8aと押ボタン2の傾斜面2bとの係合により、スイッチング機構6が押ボタン2と一緒に下方に移動し、スイッチング機構6の可動端子5の第2の接点51がケース3側の固定端子40の第1の接点41と接触してON状態になる。
【0093】
このとき、スライドブロック8の傾斜面8aには、押ボタン2側の傾斜面2bから内方への押付力が作用しているか、この押付力よりも、スイッチング機構6内のコイルスプリング9のばね力の方が強いので、スライドブロック8が穴61a内に没入することはない。
【0094】
また、このとき、ケース底部31の穴31b内において、軸部62の段付部62aとストッパ面31cとの間には、隙間tが形成されている。
【0095】
そして、図12に示すON状態から押ボタン2をさらに押し込むと、図13に示すように、可動端子5の第2の接点51が固定端子40の第1の接点41と接触した状態のまま、スイッチング機構6の軸部62の段付部62aがケース底部31側のストッパ面31cに当接して、隙間tが0になる。このとき、図13中に破線で示すように、押ボタン2下部の突起部22が可動端子5と紙面垂直方向にオーバラップしている。
【0096】
この状態からさらに押ボタン2が押し込まれると、押ボタン2からスライドブロック8の傾斜面8aに作用する押付力が、コイルスプリング9のばね力に打ち勝つようになり、図14に示すように、スライドブロック8の傾斜面8aが押ボタン2の傾斜面2bを摺接し始めてスライドブロック8が穴61aの内方にスライドを始める。やがて、スライドブロック8が穴61a内に完全に没入し、これによって押ボタン2の傾斜面2bとスライドブロック8の傾斜面8aとの係合が外れ、スイッチング機構6の上部が押ボタン2の穴2a内を上下方向に移動できる状態となり、スイッチング機構6が押ボタン2の押し込みに連動しなくなる。
【0097】
一方このとき、ケース底部31の穴31b内のコイルスプリング12は圧縮されており、軸部62の段付部62aには、軸部62を上方に押し上げようとするコイルスプリング12のばね力が作用している。そのため、上記したように押ボタン2の傾斜面2bとスライドブロック8の傾斜面8aとの係合が外れると、図15に示すように、コイルスプリング12のばね力によって、スイッチング機構6の上部が押ボタン2の穴2a内を上方に移動するとともに、スイッチング機構6全体が押ボタン2側に移動し、これにより可動端子5の接点51が固定端子40の第1の接点41から離反して第2のOFF状態になる。
【0098】
このように、スライドブロック8の傾斜面8aと押ボタン2の穴2aの傾斜面2bとの係合状態が外れることにより、ON状態から第2のOFF状態へ移行するようになっているので、前記第1実施形態の場合と同様に、ON状態から第2のOFF状態への移行が安定して行われ、これによりスイッチ動作を安定させることができる。
【0099】
次に、図15に示す第2のOFF状態からさらに押ボタン2が押し込まれると、図16に示すように、押ボタン2の下部の突起部22が固定端子40の可動金具43に当接して第1の接点41を押し下げることにより(図19参照)、第1の接点41が可動端子5の第2の接点51から強制的に開離される。これにより、第1、第2の接点41、51同士が仮に溶着を起こしていた場合であっても、第1、第2の接点41、51を強制的に離反させることができ、これによってON状態から第2のOFF状態への移行が一層確実に行われるようになる。
【0100】
なお、この場合においても、押ボタン2の下部に突起部22を設けずに、押ボタン2の下端全体で固定端子40の接点41を押し下げるようにしてもよく、あるいは、固定端子40の可動金具43側に突起部を設けるようにしてもよい。
【0101】
一方、図14に示す状態から、仮にコイルスプリング12が破損し、コイルスプリング12によるばね力がスイッチング機構6の軸部62に作用しない場合であっても、押ボタン2が押し込まれることによって、押ボタン2下部の突起部22が固定端子40の接点41を強制的に下方に押し下げることになるので、ON状態から第2のOFF状態に確実に移行することができる(図17参照)。
【0102】
また、この場合においても、押ボタンスイッチ1を操作する際に押ボタン2に作用させる操作荷重と操作ストロークとの関係は、前記第1実施形態の図9に示すものと同様になる。
【0103】
このように、第2実施形態によれば、前記第1実施形態の場合と同様に、スライドブロック8の傾斜面8aと押ボタン2の傾斜面2bとの係合が外れることにより、ON状態から第2のOFF状態に移行するようになっているので、ON状態から第2のOFF状態への移行が安定して行われ、これによりスイッチ動作が安定する。
【0104】
また、前記第1実施形態の場合と同様に、ON状態から第2のOFF状態への移行の際には、スイッチング機構6の押ボタン2側への移動により可動端子5の接点51が固定端子40の第1の接点41から離れるとともに、押ボタン2の突起部22が第1の接点41を押し下げることにより第1の接点41が第2の接点51から強制的に離反される。これにより、接点同士が仮に溶着を起こしていた場合であっても第1、第2接点41、51が確実に離反できるようになっている。このようにして、ON状態から第2のOFF状態への移行が確実に行われ、動作が一層安定する。
【0105】
さらに、前記第1実施形態では、固定端子4が帯鋼を略U字状に折り曲げることにより構成されているため、帯鋼の材質、板厚等のばらつきによっては固定端子4の折曲部分4aにおける屈曲度のばらつきが大きくなり、固定端子4の品質及び性能を所望の範囲内におさめるのが容易ではない。これに対して、第2実施形態では、固定端子40全体のばね性がコイルスプリング44により左右されるため、固定端子40の品質及び性能を所望の範囲内におさめるのが比較的容易である。
【0106】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を図20ないし図24を用いて説明する。
【0107】
図20は第3実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図、図21及び図22は押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図、図23及び図24は押ボタンスイッチの一部の斜視図及び平面図である。なお、各図中、前記第1実施形態と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0108】
この第3実施形態においては、固定端子及び可動端子の構造と、スイッチング機構の構造が前記第1実施形態と異なっているので、ここでは、これらの相異点について説明し、その他の部分についての詳細な説明は省略する。
【0109】
図20ないし図22に示すように、本実施形態における固定端子はL字状の一対の固定金具46、46により構成され、両固定金具46がケース3の底部31を貫通してケース3内に対向配置されており、両固定金具46の上端部の下面側に第1の接点41が取り付けられている。
【0110】
一方、一対の可動端子50、50が反転機構90を介してスイッチング機構6を構成する軸部64に取り付けられており、両可動端子50の両端は第1のOFF状態において底部31の穴31bの周縁に上方に膨出して一体形成された台座部31dの上面に当接するように配設されている。
【0111】
このスイッチング機構6は、前記第1実施形態におけるスイッチング機構とほぼ同様の構造を有するが、次のような点が主に相異している。即ち、スイッチング機構6の下部における軸部64の中心部にはこの軸部64を上下に貫通する貫通孔65が形成され、この貫通孔65には、ケース3の底部31の穴31bの中央に植設されたボス31eが挿通されている。また、軸部64の上端からほぼ中央にかけて、図23及び図24に示すような割り溝66が形成されている。
【0112】
また、一対の可動端子50、50は、その一端が軸部64に回動自在に支持されて軸部64に翼状に取り付けられ、両可動端子50の他端の上面には第2の接点51が設けられている。そして、割り溝66を通して一対のコイルスプリング11、11の一端がボス31eにそれぞれ係止され、両コイルスプリング11、11の他端がそれぞれ両可動端子50の中央部に係止されている。ここで、例えば図24に示すように、軸部64の支持部分に切欠部を形成しておき、この切欠部に可動端子50の一端を挿入し、可動端子50の一端及び軸部64の切欠部に形成した凹凸の嵌め合わせによって、可動端子50の一端を軸部64に回動自在に支持することができる。
【0113】
そのため、例えば軸部64が初期位置つまり最上位置にあるときには、図20に示すように、両コイルスプリング11、11のばね力により両可動端子50の他端側は下向きに付勢されて、両可動端子50の他端がケース3側の台座部31dの上面に当接した状態にあり、押ボタン2の押し込みに伴いスイッチング機構6が下方に移動して軸部64が下方に移動すると、軸部64と一緒に両可動端子50の一端側が下方に移動しようとする。そして、両可動端子50の一端側がある程度まで下方に移動すると、先程とは逆に、両可動端子50の他端側に作用する両コイルスプリング11、11のばね力の向きが反転し、両可動端子50の他端側が上向きに付勢されるようになる。このように両可動端子50に働く両コイルスプリング11、11のばね力の向きが変わることで、両可動端子50の両端は変位する。
【0114】
このように、両可動端子50、50、両コイルスプリング11、11及びケース3側の台座部31dにより反転機構90が構成されている。
【0115】
次に、動作について簡単に説明する。いま、図20に示す第1のOFF状態から押ボタン2を押し込むと、前記第1実施形態の場合と同様の動作により、図21に示すように、スライドブロック8の傾斜面8aと押ボタン2の傾斜面2bとの係合により、スイッチング機構6が押ボタン2と一緒に下方に移動する。そして、上記したように、スイッチング機構6の軸部64が下動して反転機構90の両可動端子50の両端が上方に変位し、可動端子50の第2の接点51が第1の接点41と接触してON状態になる。
【0116】
このON状態では、前記第1実施形態の場合と同様、スライドブロック8が穴61a内に没入することはない。
【0117】
そして、図21に示すON状態から押ボタン2をさらに押し込むと、前記第1実施形態の場合と同様、スライドブロック8の傾斜面8aが押ボタン2の傾斜面2bを摺接し始めてスライドブロック8が穴61aの内方にスライドを始め、やがてスライドブロック8が穴61a内に完全に没入し、これによって押ボタン2の傾斜面2bとスライドブロック8の傾斜面8aとの係合が外れ、スイッチング機構6の上部が押ボタン2の穴2a内を上下方向に移動できる状態となり、スイッチング機構6が押ボタン2の押し込みに連動しなくなる。
【0118】
一方このとき、ケース底部31の穴31b内のコイルスプリング12は圧縮されており、上記したように押ボタン2の傾斜面2bとスライドブロック8の傾斜面8aとの係合が外れると、図22に示すように、コイルスプリング12のばね力によって、スイッチング機構6の上部が押ボタン2の穴2a内を上方に移動するとともに、スイッチング機構6全体が上方へ移動する。
【0119】
これにより、反転機構90の両可動端子50の両端が下方に変位し、可動端子50の第2の接点51が第1の接点41から離反して第2のOFF状態になる。
【0120】
このように、第3実施形態によれば、スライドブロック8の傾斜面8aと押ボタン2の穴2aの傾斜面2bとの係合状態が外れることにより反転機構90が変位し、スイッチがON状態から第2のOFF状態へ移行するようになっているので、ON状態から第2のOFF状態への移行が安定して行われ、これによりスイッチ動作を安定させることができる。
【0121】
ところで、押ボタン2の下面に強制開離手段として、前記第1実施形態における突起部22と同様の突起部を設け、ON状態から第2のOFF状態に移行した後にさらに押ボタン2を押し込んだときに、この突起部により両可動端子50の端部を押圧し、第1、第2の接点41、51が仮に溶着していてもこれを強制的に開離するようにしてもよいのは勿論である。
【0122】
このとき、強制開離手段は、特に突起部に限定されるものではなく、上記したようにON状態から第2のOFF状態に移行した後にさらに押ボタン2を押し込んだときに、この突起部により両可動端子50の端部を押圧可能な構成のものであればよい。
【0123】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を図25ないし図30を用いて説明する。
【0124】
図25は第4実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図、図26及び図27は押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図、図28は押ボタンスイッチの一部の斜視図、図29及び図30は押ボタンスイッチの他の一部の変形例の斜視図及び断面図である。なお、各図中、前記第3実施形態と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0125】
この第4実施形態においては、特に可動端子の横造と、スイッチング機構の構造が前記第3実施形態と異なっているので、ここでは、これらの相異点について説明し、その他の部分についての詳細な説明は省略する。
【0126】
図25ないし図27に示すように、本実施形態における可動端子は、中央部に対して両端部が下方に湾曲した形状を有する導電性のばね材53により構成され、スイッチング機構6の下部における軸部67のほぼ中央部にはコ字状の切欠凹部67aが形成され、この切欠凹部67a内にばね材53の中央部が収納されるとともに、ばね材53の両端が第1のOFF状態において台座部31dの上面に当接するように配設されている。
【0127】
そして、ばね材53の両端が下向きに湾曲し、その両端が台座部31dの上面に当接している状態で、軸部67の移動によって切欠凹部67aの上面がばね材53の中央部を押し下げると、ばね材53の両端部に作用するばね力の向きが上向きに変化する。一方、ばね材53の両端が上向きに湾曲し、その両端が第2の接点51を介して第1の接点41に係合している状態で、軸部67の移動によって切欠凹部67aの下面がばね材53の中央部を押し上げると、ばね材53の両端部に作用するばね力の向きが下向きに変化する。
【0128】
このばね材53の両端部上面であって第1の接点41に対向する位置に第2の接点51を設けておくことで、ばね材53の両端部が変位することにより、第2の接点51を第1接点41に接触或いは離反させることが可能になる。
【0129】
このように、可動端子であるばね材53、軸部67の切欠凹部67a及びケース3側の台座部31dにより、反転機構91が構成されている。
【0130】
次に、動作について簡単に説明する。いま、図25に示す第1のOFF状態から押ボタン2を押し込むと、前記第3実施形態の場合と同様の動作により、図26に示すように、スライドブロック8の傾斜面8aと押ボタン2の傾斜面2bとの係合により、スイッチング機構6が押ボタン2と一緒に下方に移動する。そして、上記したように、スイッチング機構6の軸部67が下動して切欠凹部67aの上面がばね材53の中央部に当接してこれを押し下げ、ばね材53の両端が第1の接点41の方向である上方に変位し、ばね材53の第2の接点51が第1の接点41と接触してON状態になる。
【0131】
このON状態では、前記第3実施形態の場合と同様、スライドブロック8が穴61a内に没入することはない。
【0132】
そして、図26に示すON状態から押ボタン2をさらに押し込むと、前記第3実施形態の場合と同様、スライドブロック8の傾斜面8aが押ボタン2の傾斜面2bを摺接し始めてスライドブロック8が穴61aの内方にスライドを始め、やがてスライドブロック8が穴61a内に完全に没入し、これによって押ボタン2の傾斜面2bとスライドブロック8の傾斜面8aとの係合が外れ、スイッチング機構6の挿入部61が押ボタン2の穴2a内を上下方向に移動できる状態となり、スイッチング機構6が押ボタン2の押し込みに連動しなくなる。
【0133】
一方このとき、ケース底部31の穴31b内のコイルスプリング12は圧縮されており、上記したように押ボタン2の傾斜面2bとスライドブロック8の傾斜面8aとの係合が外れると、図27に示すように、コイルスプリング12のばね力によって、スイッチング機構6の上部が押ボタン2の穴2a内を上方に移動するとともに、スイッチング機構6全体が上方へ移動する。
【0134】
これにより、軸部67の切欠凹部67aの下面がばね材53の中央部に当接してこれを押し上げるため、ばね材53の両端が第1の接点41とは反対方向である下方に変位し、ばね材53の第2の接点51が第1の接点41から離反して第2のOFF状態になる。
【0135】
このように、第4実施形態によれば、スライドブロック8の傾斜面8aと押ボタン2の穴2aの傾斜面2bとの係合状態が外れることにより、反転機構91を構成するばね材53の両端が変位し、スイッチがON状態から第2のOFF状態へ移行するようになっているので、ON状態から第2のOFF状態への移行が安定して行われ、これによりスイッチ動作を安定させることができる。
【0136】
なお、押ボタン2の下面に強制開離手段として、前記第1実施形態における突起部22と同様の突起部を設け、ON状態から第2のOFF状態に移行した後にさらに押ボタン2を押し込んだときに、この突起部によりばね材53の両端を押し下げ、第1、第2の接点41、51が仮に溶着していてもこれを強制的に開離するようにしてもよいのは勿論である。
【0137】
このとき、強制開離手段は、特に突起部に限定されるものではなく、上記したようにON状態から第2のOFF状態に移行した後にさらに押ボタン2を押し込んだときに、この突起部によりばね材53の両端を押圧可能な構成のものであればよい。
【0138】
また、ばね材の変形例として、図29及び図30に示すように、中央に軸部67の径よりも小径の透孔54aが形成されたドーム状のばね材54を用いてもよく、この場合スイッチング機構6の軸部67のほぼ中央部分にこのドーム状ばね材54の透孔よりも小径となる小径部67bを形成し、この小径部をドーム状ばね材54の透孔に挿通するような構成にし、小径部67bの両端部が軸部67の移動によってドーム状ばね材54の中央部分を押し上げ或いは押し下げるようにすればよい。
【0139】
この場合にも、ドーム状ばね材54の端部を強制的に押し下げる強制開離手段を設けることが望ましい。
【0140】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について図31を用いて説明する。なお、図31は第5実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図であり、同図中において前記第1実施形態と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0141】
この第5実施形態においては、特に押ボタン2の構成が前記第1実施形態と若干異なっているので、ここではその相異点について説明し、その他の部分についての詳細な説明は省略する。
【0142】
図31に示すように、押ボタン2の中空部に相当する穴2aの下端に係合体2dを一体に設け、付勢手段としての各コイルスプリング7のばね力により、押ボタン2が押し込み前の状態に復帰する際に、穴2a内に配置されているスイッチング機構6の挿入部61aの下面にこの係合体2dを係合させるようにしている。
【0143】
これにより、係合体2dのスイッチング機構6の挿入部61aとの係合によって押ボタン2と一緒にスイッチング機構6を初期位置まで確実に復帰させることができる。
【0144】
従って、第5実施形態によれば、押ボタン2の復帰にスイッチング機構6を連動させることができるため、スイッチング機構6の復帰ばねであるコイルスプリング12が損傷しているような場合であっても、スイッチング機構6を初期位置まで確実に復帰させることが可能になる。
【0145】
なお、係合体2dは押ボタン2に必ずしも一体に設ける必要はなく、別個の係合体を押ボタン2に取り付けるようにしてもよい。
【0146】
また、係合体2dはスライドブロック8に係合する位置に配設されていてもよい。
【0147】
さらに、このような係合体は、前記第2ないし第4実施形態における押ボタン2に設けてもよいのは勿論である。
【0148】
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態を図32ないし図36を用いて説明する。
【0149】
図32は第6実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図、図33は一部の斜視図、図34ないし図36は動作説明用の斜視図である。なお、同図中において前記第1実施形態と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0150】
この第6実施形態においては、特に可動端子とその支持構造が前記第1実施形態と異っているため、ここではその相異点について説明し、その他の部分についての詳細な説明は省略する。
【0151】
図32及び図33に示すように、本実施形態では、スイッチング機構6の上部の挿入部61aに対してその下部である軸部68が、凹凸の嵌め合わせによって回転自在に結合され、この軸部68の上端部に一対の可動端子55、55が取り付けられ、両可動端子55の端部下面に第2の接点51が設けられている。さらに、ケース3の底部31の穴31b内に配置された軸部68の下端部周面の対向する位置には、特に図33に示されるようなカム溝68aが形成されて、このようなカム溝68aに、穴31bの周面に設けられた突起31fが嵌挿している。
【0152】
このカム溝68aは、軸部68の下端部の周面に形成された上下方向の第1溝S1と、この第1溝S1の上端から連続的に斜め上方向に形成された第2溝S2と、この第2溝S2の端から下方に形成された第3溝S3と、この第3溝S3の下端から連続的に斜め下方向に形成されて第1溝S1の下端付近に連なった第4溝S4とにより構成されている。
【0153】
また、スイッチング機構6の軸部68の下面には凹部68bが形成され、この凹部68bにはボス68cが軸部68に一体形成されており、このボス68cに復帰ばねとしてのコイルスプリング12が巻装されている。
【0154】
次に、動作について簡単に説明する。いま、図32及び図34に示す第1のOFF状態から押ボタン2を押し込むと、前記第1実施形態の場合と同様の動作により、スライドブロック8の傾斜面8aと押ボタン2の傾斜面2bとの係合により、スイッチング機構6が押ボタン2と一緒に下方に移動する。
【0155】
このとき、スイッチング機構6の下方への移動により、カム溝38aの上下方向の第1溝S1内を突起31fが相対的に移動するため、突起31fが第1溝S1内を移動する間、突起31fによって軸部68の回転が阻止されることとなる。
【0156】
また、押ボタン2が押し込まれてスイッチング機構6が下方に移動し、突起31fがカム溝68aの第1溝S1の上端に到達するときに丁度第1、第2の接点41、51が接触してスイッチがON状態となるように第1溝S1の長さを設定しておけば、押ボタン2の押し込みにより、スイッチング機構6がカム溝68aの第1溝S1の長さに相当する量だけ下方に移動したときに、図35に示すようにスイッチが第1のOFF状態からON状態に移行する。
【0157】
続いて、ON状態から押ボタン2をさらに押し込むと、前記第3実施形態の場合と同様、スライドブロック8の傾斜面8aが押ボタン2の傾斜面2bを摺接し始めてスライドブロック8が穴61aの内方にスライドを始め、やがてスライドブロック8が穴61a内に完全に没入し、これによって押ボタン2の傾斜面2bとスライドブロック8の傾斜面8aとの係合が外れ、スイッチング機構6の挿入部61が押ボタン2の穴2a内を上下方向に移動できる状態となり、スイッチング機構6が押ボタン2の押し込みに連動しなくなる。
【0158】
一方このとき、ケース底部31の穴31b内のコイルスプリング12は圧縮されており、上記したように押ボタン2の傾斜面2bとスライドブロック8の傾斜面8aとの係合が外れると、コイルスプリング12のばね力によって、スイッチング機構6の上部が押ボタン2の穴2a内を上方に移動するとともに、スイッチング機構6全体が上方へ移動する。
【0159】
このとき、突起31fは突起31fがカム溝38aの第2溝S2、第3溝S3内を相対的に移動するが、突起31fがカム溝38aの第2溝S2内を移動する間、突起31fに対して軸部68が回転することになる。ここで、突起31fが第2溝S2の端部に到達するときに、丁度軸部68がほぼ90゜回転し、かつ押ボタン2の傾斜面2bとスライドブロック8の傾斜面8aとの係合が外れるように第2溝S2の長さを設定しておけば、押ボタン2をON状態から押し込んだときに、突起31fが第2溝S2を移動する間に、図36に示すようにスイッチがON状態から第2のOFF状態に移行する。
【0160】
その後、上記したように、コイルスプリング12のばね力によってスイッチング機構6が上方へ移動する間、突起31fはカム溝68aの第3溝S3、第4溝S4内を移動し、突起31fが第4溝S4内を移動する間に、軸部68は先程とは逆方向のほぼ90゜回転して初期の第1のOFF状態(図34参照)に復帰する。
【0161】
このように、カム溝68aと突起31fとの組み合わせにより、押ボタン2の押し込みにつれてスイッチを第1のOFF状態からON状態に移行させ、さらには軸部68の90゜の回転によってON状態から第2のOFF状態に確実に移行させることができる。
【0162】
従って、 第6実施形態によれば、前記第1の実施形態におけるスイッチング機構を設けることなく、ON状態から第2のOFF状態への移行が安定して行われ、これによりスイッチ動作を安定させることができる。
【0163】
また、この場合には、軸部68が回転する構造であるため、第1、第2の接点41、51が仮に溶着していても軸部68の回転により第1、第2の接点41、51を強制的に離反させることが可能であるため、強制開離手段を特に設ける必要はない。
【0164】
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態(請求項2に対応)を図37ないし図41を用いて説明する。
【0165】
図37は第7実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図、図38及び図39は動作説明用の切断正面図、図40は一部の分解斜視図、図41は一部の変形例の分解斜視図である。
【0166】
図37に示すように、押ボタンスイッチ100は、ほぼ直方体状の押ボタン102と、押ボタン102を支持するケース103と、ケース103の底部113に固定された導電性の第1部材としての固定端子104と、固定端子104の上方に配置された導電性の第2部材としての可動端子105と、押ボタン102の下面に取り付けられた板ばね106と、押ボタン102の下面に取り付けられた強制開離用の作動部材107とを備えている。
【0167】
押ボタン102の下面端部には、下方に突出する複数の支軸部112が設けられており、各支軸部112には支持軸112よりも長尺のコイルスプリング108がそれぞれ巻装され、各コイルスプリング108の上端は押ボタン102の下面102aに、下端は底部113にそれぞれ係止されている。これら各コイルスプリング108のばね力により、押ボタン102は常時上方に付勢されている。
【0168】
固定端子104は、根元部分がケース103の底部113を貫通して支持され、ケース103内において略U字状に折り曲げられた部材により構成され、この折曲部分104aは上下方向の弾性即ちばね性を有している。折曲部分104aの先端の上面側には第1の接点41が設けられている。
【0169】
可動端子105も、固定端子104とほぼ同様に、根元部分がケース103の底部113を貫通して支持され、ケース103内において略U字状に折り曲げられた部材により構成され、この折曲部分105aは上下方向の弾性即ちばね性を有している。この可動端子105の折曲部分105aは、押ボタン102と固定端子104の折曲部分104aとの間に配設されるとともに、折曲部分105aの先端の下面側には、第1の接点41と対向するように第2の接点51が設けられている。
【0170】
板ばね106は、その上端側が押ボタン102に取り付けられ、下端側の先端部分が可動端子105の折曲部分105aの先端部に近接して配設されている。この板ばね106の下端側には左方へのばね力が作用している。
【0171】
そして、この板ばね106の下端側の先端部分が、可動端子105の折曲部分105aの先端から逃げる方向に折曲され、これによって板ばね106の下端側に折曲部106aが形成され、この折曲部106aが、押ボタン102の押し込みに伴って可動端子105の折曲部分105aの先端部に係合する。
【0172】
ところで、図40に示すように、可動端子105の折曲部分105aのほぼ中央には、矩形の透孔105bが形成され、押ボタン102の押し込みに伴って作動部材107がこの透孔105bを遊通し、作動部材107の下端が固定端子104の折曲部分104aの先端を押し下げるようになっている。
【0173】
次に、動作について簡単に説明する。いま、図37に示す第1のOFF状態から押ボタン102を押し込むと、押ボタン102の押し込みに連動して板ばね106が下動し、折曲部106aが可動端子105の折曲部分105aの先端部に当接して係合する。
【0174】
このとき、押ボタン102の押し込みの初期の段階では板ばね106のばね力の作用により、折曲部106aが可動端子105の折曲部分105aの先端部に係合した状態のまま、可動端子105の折曲部分105aが折曲部106aにより押し下げられ、やがて図38に示すように、第2の接点51が第1の接点41に接触してON状態に移行する。
【0175】
その後、押ボタン102の押込量がさらに増加すると、折曲部106aが板ばね106のばね力に抗して可動端子105の折曲部分105aの先端から逃げる方向(右方向)に移動し始め、折曲部106aが可動端子105の折曲部分105aの先端を摺接して折曲部106aの可動端子105の折曲部分105aの先端との係合状態が解除される。すると、可動端子105の折曲部分105aの先端部分がそのばね力により元の上方位置に復帰し、図39に示すように、第2の接点51が第1の接点41から離反しON状態から第2のOFF状態に移行する。
【0176】
一方、この第2のOFF状態から押ボタン102をさらに押し込むと、作動部材107の下端が固定端子104の折曲部分104aの先端に当接してこれを押し下げるため、仮に第1、第2の接点41、51が溶着していても、作動部材107による固定端子104の折曲部分104aの押し下げによって強制的に開離されることになる。
【0177】
従って、第7実施形態によれば、前記第1の実施形態におけるスイッチング機構を設けることなく、板ばね106によってON状態から第2のOFF状態への移行を安定して行うことが可能になり、簡単な構成によりスイッチ動作を安定させることができる。
【0178】
また、板ばね106のばね力の低下により第2のOFF状態への移行が円滑に行えない場合や接点が溶着している場合であっても、作動部材107により強制開離を行うことができる。
【0179】
なお、作動部材の変形例として、図41に示すように、上端が押ボタン102の下面に固着された棒状の固定部材107aの下端部に、コ字状部材107bを設け、これら固定部材107a及びコ字状部材107bにより作動部材107を構成し、固定端子104の折曲部分104aの先端の前後には、各々前方及び後方に延出した延出片104bを形成し、コ字状部材107bが跨ぐようにして可動端子105の折曲部分105aを回避しつつ延出片104bに当接するようにしてもよい。
【0180】
(第8実施形態)
次に、本発明の第8実施形態(請求項3に対応)を図42ないし図44を用いて説明する。
【0181】
第42は第8実施形態における押ボタンスイッチの切断側面図、図43及び図44は動作説明用の切断側面図である。
【0182】
各図に示すように、樹脂などの絶縁材から成る押ボタンスイッチ120は、ほぼ直方体状の中空の押ボタン122と、押ボタン122を支持するケース123と、ケース123の底部130に固定された導電性の固定端子124と、押ボタン122の中空内に下端部が中空より下方に出没自在に収容された導電性の可動端子125とを備えている。
【0183】
そして、固定端子124は、図44ないし図46に示すように一対の導電性の板状部材124a、124aがケース123の底部130に前後に並行して貫設されており、ケース123内に配設された両板状部材124a、124aの上端部には各々外側に向かって折曲して形成された第1の接点127、127が一体的に形成されている。このとき、両板状部材124a、124aの上端部には、両板状部材124a、124aの上端部間を押し広げようとする外力が働いたときに、両板状部材124a、124aの上端部間の間隔を縮める方向にばね力が作用している。
【0184】
また、押ボタン122には、中空となるべく凹状の穴122aが下面に形成され、この穴122a内に可動端子125が収容されている。この可動端子125は断面コ字状を有し、可動端子125の両側下端には、それぞれ外側に膨らんだ断面円弧状の第2の接点126、126が一体的に設けられており、可動端子125の両側下端には、互いに広がる方向へのばね力が作用している。そのため、可動端子125の下端の第2の接点126が押ボタン122の穴122a内に没入し、穴122aから突出可能になっている。なお、第2の接点126が摺接する押ボタン122の下端部付近は、第2の接点126の出没が円滑に行われるようテーパ状に加工されている。
【0185】
ところで、ケース123内にはコイルスプリング128が設けられ、コイルスプリング128の両端はそれぞれケース123の底部130及び可動端子125に係止されて可動端子125が上方に付勢されている。一方、図示はされていないが、ケース123内には、前記第1の実施形態と同様のコイルスプリングも設けられており、このコイルスプリングにばね力により、押ボタン122の押し込みを解除したときに押ボタン122が初期の位置に復帰されるようになっている。
【0186】
そして、押ボタン122が押し込まれて押ボタン122の穴122a内に可動端子125が没入した状態から初期の状態に復帰する際、押ボタン122の復帰用のコイルスプリングにばね力によって押ボタン122が上動し、コイルスプリング128のばね力によって可動端子125が上動する。
【0187】
これら押ボタン122及び可動端子125の上動はほぼ連動して行われるが、可動端子125は、図示されていない係止体の係止によってそれ以上の上動が阻止されるようになっているため、可動端子125の上動は初期位置に相当する位置で停止するのに対し、押ボタン122はさらに上動を続ける。
【0188】
そのため、可動端子125の下端の第2の接点126が押ボタン122の穴122aから再び突出し、押し込み前の初期の状態に復帰することになる。
【0189】
次に、動作について簡単に説明する。いま、図42に示す第1のOFF状態から押ボタン122を押し込むと、このときには可動端子125の下端の第2の接点126が押ボタン122の穴122aから突出した状態にあり、この突出状態を維持しつつ、押ボタン122の押し込みに連動して第2の接点126が下動し、やがて図43に示すように、第2の接点126が第1の接点127に接触し、第1のOFF状態からON状態に移行する。
【0190】
その後、押ボタン122の押込量がさらに増加すると、コイルスプリング128のばね力及び第1、第2の接点127、126の当接力の作用により、第1、第2の接点127、126が接触した位置に可動端子125が留まろうとするのに対し、押ボタン122が押し込みによってさらに可動を続けるため、押ボタン125によって、可動端子125の下部両端の間隔がそのばね力に抗して縮められ、図44に示すように、可動端子125が押ボタン122に対して穴122a内を相対的に上動し、第2の接点126が押ボタン122内に没入するとともに、第1、第2の接点127、126間に押ボタン122の下端部が介挿されて第1、第2の接点127、126間が電気的に遮断され、スイッチはON状態から第2のOFF状態に移行する。
【0191】
そして、第2のOFF状態に至った後に、押ボタン122の押し込みが解除されると、上記したように、コイルスプリング128などのばね力によって押ボタン122の穴122a内に可動端子125が没入した状態のまま押ボタン122及び可動端子125が一緒に上動する。可動端子125が押し込み前の初期位置まで上動すると、上記した係止体の係止によって可動端子125の上動が阻止される一方、押ボタン122は復帰用のコイルスプリングのばね力によってさらに上動を続けるため、可動端子125の下端の第2の接点126が押ボタン122の穴122aから突出し、やがて押ボタン122は図42に示すような初期位置まで上動を続け、スイッチは初期の第1のOFF状態に復帰する。
【0192】
従って、 第8実施形態によれば、前記第1の実施形態におけるスイッチング機構を設けることなく、ON状態から第2のOFF状態への移行を安定して行うことが可能になり、簡単な構成によりスイッチ動作を安定させることができる。
【0193】
また、この場合には、接触した状態の第1、第2の接点127、126間に押ボタン122の下端が介挿して第1、第2の接点127、126が電気的に遮断される構造であるため、第1、第2の接点127、126が仮に溶着していても第1、第2の接点127、126の強制開離を行うことが可能であるため、強制開離手段として特別な手段を設ける必要はない。
【0194】
(第9実施形態)
次に、本発明の第9実施形態を図45及び図47を用いて説明する。なお、図45は第9実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図、図46及び図47は一部の斜視図及び他の一部の拡大断面図であり、各図中において前記第1実施形態と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0195】
この第9実施形態においては、特に押ボタン2の構成が前記第1実施形態と若干異なっているので、ここではその相異点について説明し、その他の部分についての詳細な説明は省略する。
【0196】
図45ないし図47に示すように、押ボタン2の左右の下端に下方の延びる延出片2f、2fを一体的に形成し、これら両延出片2f、2fの外周面に突部2g、2gをそれぞれ形成するとともに、ケース3の左右の内周面に、押ボタン2側の突部2g、2gがそれぞれ摺接する突部3a、3aを形成し、これら各突部2g、3aにより、スイッチが第1のオフ状態からON状態に移行する際にクリック感を発生するクリック感発生機構135を構成している。
【0197】
このとき、押ボタン2側の突部2g、2g及びケース3側の突部3a、3aは、第1、第2の接点41、51が接触する直前に突部2gが突部3aを摺接して乗り越えるような位置関係に形成しておく。
【0198】
このように、クリック感発生機構135を設けることで、スイッチが第1のOFF状態からON状態に移行する際、突部2gが突部3aを摺接して乗り越えるときに抵抗力が発生するため、この抵抗力が操作者に対する明確なクリック感となる。
【0199】
従って、第9実施形態によれば、操作者はスイッチが第1のOFF状態からON状態に移行したときにクリック感を得ることができるため、第1のOFF状態からON状態への移行を明確に把握することが可能になる。
【0200】
なお、クリック感発生機構は上記したような構成に限定されるものではなく、要するに、スイッチが第1のOFF状態からON状態に移行する際にクリック感を発生し得るものであればよい。例えば押ボタン2の外側面或いはケース3の内側面に凹部を形成し、この凹部内にボール及びこのボールを外部に付勢するばねを収納するとともに、ボールが凹部から抜け出ることなく且つボールの一部がその凹部から突出するように保持しておき、このボールが摺接する突起をケース3の内側面或いは押ボタン2の外側面の凹部に対向する位置に形成してもよく、この場合、ボールが突起を乗り越えるときにクリック感が得られる。
【0201】
また、上記したようなクリック感発生機構を、前記第2ないし第8実施形態における押ボタンスイッチにも適用してよいのは勿論である。
【0202】
(第10実施形態)
次に、本発明の第10実施形態を図48及び図49を用いて説明する。なお、図48及び図49は第10実施形態における押ボタンスイッチの一部のそれぞれ異なる状態における切断側面図であり、各図中において前記第1実施形態と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0203】
この第10実施形態においては、特に前記第1実施形態と相異する点についてのみ説明し、その他の部分についての詳細な説明は省略する。
【0204】
図48及び図49に示すように、ケース3内であって固定端子4の折曲部分4aの先端部下方に、一対の補助接点である補助固定接点137及び補助可動接点138を配設し、固定端子4の折曲部分4aに装着樹脂等の絶縁材から成る操作体139により、第1、第2の接点41、51が接触したときに補助可動接点138を下方の押し下げて補助固定接点137及び補助可動接点138を接触させるようにしている。
【0205】
このとき、L字状の取付部材137a及び138aをケース3の底部31に貫設し、ケース3内において取付部材137a及び138aの先端部分を上下に対向して配置し、取付部材137aの先端部分の上面側に補助固定接点137を設けるとともに、取付部材138aの先端部分の上面側に補助可動接点138を設ける。
【0206】
また、押ボタン2の突起部22により固定端子4の折曲部分4aの先端を押し下げて強制開離されることに連動して、補助固定接点137及び補助可動接点138が離反するよう、例えば突起部22に相当する他の突起部を押ボタン2の下端に設け、この他の突起部により補助固定接点137側の取付部材137aの先端を押し下げるようにしておく。
【0207】
なお、押ボタン2を押し込んでON状態に移行したときには固定端子4の折曲部分4aの先端が少し下動し、さらに強制開離する際には固定端子4の折曲部分4aの先端の下動量は大きくなるが、このような固定端子4の折曲部分4aの先端の下動に対して干渉することがないように、補助固定接点137及び補助可動接点138は配置されている。
【0208】
このような補助固定接点137及び補助可動接点138を第1、第2の接点41、51に併設しておくことで、一つのスイッチで第1、第2の接点41、51による回路のスイッチングのほかに、補助固定接点137及び補助可動接点138による他の回路のスイッチングを実現することが可能になる。
【0209】
従って、第10実施形態によれば、補助固定接点137及び補助可動接点138をケース3内に設けたため、一つのスイッチで第1、第2の接点41、51による回路のスイッチングのほかに、他の回路のスイッチングを実現することができる。
【0210】
なお、一対の補助接点の構成や配置は上記したものに限定されるものでないのはいうまでもなく、第1、第2の接点41、51相互の接触時に両補助接点が接触或いは離反し、第1、第2の接点41、51の離反時に両補助接点が離反或いは接触するような構成であればよい。
【0211】
また、このような一対の補助接点をケース3内に複数組設けてもよい。
【0212】
さらに、上記したような一対の補助接点を、前記第2ないし第8実施形態における押ボタンスイッチにも設けてもよい。
【0213】
(第11実施形態)
次に、本発明の第11実施形態を図50及び図51を用いて説明する。なお、図50は第11実施形態における押ボタンスイッチの概略構成を示す切断側面図、図51は切断背面図であり、各図中において前記第1実施形態と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0214】
本実施形態では、前記第1実施形態における押ボタンスイッチ1に対して、図50に示すように、絶縁用の仕切部材を介して押ボタン2及びケース3を兼用した構成の常閉スイッチ150を並設している。
【0215】
この常閉スイッチ150は、図51に示すように、押ボタンスイッチ1を構成する押ボタン2及びケース3と、ケース3の底部31に固定された導電性の固定端子154と、固定端子154の上方に配置された導電性の可動端子155を有するスイッチング機構156とを備えている。
【0216】
押ボタン2及びケース3は、押ボタンスイッチ1及び常閉スイッチ150の各主要構成部分が収容されるように、いずれも前記第1実施形態の場合の少なくとも2倍の大きさに形成されている。そして、押ボタン2の常閉スイッチ150の収容側の下面にも凹状の穴2aが形成され、この穴2aの左側及び右側はほぼ中央で段付形状に形成されている。さらに、この穴2aの両段付部分にも各々傾斜面2b、2bが形成されている。また押ボタン2の下部には、下方に突出する複数の支軸部21が押ボタンスイッチ1側と同じように設けられており、各支軸部21には支軸部21よりも長尺のコイルスプリング7がそれぞれ巻装されている。各コイルスプリング7の上端は押ボタン2の下面2cに、下端は底部31の底面31aにそれぞれ係止され、これらのコイルスプリング7のばね力により、押ボタン2は常時上方に付勢されている。
【0217】
固定端子154は、ケース3の底部31に貫設された一対のL字状の取付部材154aから成り、ケース3内に配設された取付部材154aの上端部の下面に第1の接点41が設けられている。
【0218】
スイッチング機構156の上部の挿入部156aは、押ボタン2の穴2a内に挿入されており、この挿入部156aには、押ボタン2の傾斜面2bに係合する傾斜面156bが形成され、これらの傾斜面2b、156bの係合によって、押ボタン2の押し込みに連動してスイッチング機構156が下動するようになっている。
【0219】
スイッチング機構156の下部には、下方に延びる軸部156cが設けられ、この軸部156cのほぼ中央部にコ字状の切欠凹部156dが形成され、この切欠凹部156d内に可動端子155の中央部が配設されている。この可動端子155の両端上面には第2の接点51が設けられており、押ボタン2を押し込んでいない状態ではこの第2の接点51が第1の接点41に接触するように可動端子155は配設されている。
【0220】
このとき、切欠凹部156d内であって可動端子155の上側及び下側にはコイルスプリング157、157が配設され、両コイルスプリング157、157のばね力によって可動端子155が切欠凹部156d内に留まるよう保持されるとともに、両コイルスプリング157、157により、第1の接点41と第2の接点51とが接触するときの接触圧が確保されるようになっている。
【0221】
軸部156cの下部は、ケース3の底部31に形成された穴31b内に挿入されている。この穴31b内には、押ボタンスイッチ1側と同様、復帰ばねとしてのコイルスプリング12が配設され、このコイルスプリング12の上部は軸部156cの下部に小径に形成されたボス状部に巻装されるようにして装着されている。そして、このコイルスプリング12のばね力により、軸部156cは常時上方に付勢されている。
【0222】
次に、このような構成の常閉スイッチ150の動作について簡単に説明すると、押ボタン2を押し込んでいない状態、つまり押ボタンスイッチ1が第1のOFF状態にあるときには、図51に示すように、第1、第2の接点41、51は接触しており、常閉スイッチ150はON状態にある。
【0223】
そして、このON状態から押ボタン2が押し込まれると、前記第1実施形態において説明したように、押ボタンスイッチ1は、第1のOFF状態からON状態に移行する。一方、常閉スイッチ150では、押ボタン2の押し込みに連動してスイッチング機構156が下動するため、スイッチング機構156の下動によって可動端子155も下動して第2の接点51が第1の接点41から離反し、常閉スイッチ150はON状態からOFF状態に移行する。
【0224】
続いて、押ボタンスイッチ1のON状態から押ボタン2をさらに押し込むと、前記第1実施形態において説明したように、押ボタンスイッチ1は、ON状態から第2のOFF状態に移行する。これに対し、常閉スイッチ150では押ボタン2の押込量が増加しても押ボタン2に連動してスイッチング機構156がさらに下動するだけで、第2の接点51が第1の接点41から離反した状態に変化はなく、常閉スイッチ150はOFF状態を維持する。
【0225】
このように、押ボタンスイッチ1はOFF状態として、上記したような押ボタン2を押し込む前の初期における第1のOFF状態と、押ボタン2を押し込んだ第2のOFF状態とがあるが、押ボタンスイッチ1によりスイッチングが行われる回路では回路が遮断されたOFF状態が、押ボタンスイッチ1の第1のOFF状態或いは第2のOFF状態のいずれによって実現されているのか把握することはできない。
【0226】
そこで、上記したように押ボタンスイッチ1の第1のOFF状態のときにON状態となり、押ボタンスイッチ1の第2のOFF状態のときにOFF状態となる常閉スイッチ150によりスイッチングされる回路を用いれば、常閉スイッチ150のON、OFFにより押ボタンスイッチ1が第1のOFF状態、第2のOFF状態のいずれに状態にあるのかを容易に把握することが可能になる。
【0227】
従って、第11実施形態によれば、常閉スイッチ150のON、OFFにより押ボタンスイッチ1が第1のOFF状態、第2のOFF状態のいずれに状態にあるのかを容易に把握することができ、押ボタンスイッチ1の状態に応じて種々の制御を行う場合に非常に都合がよい。
【0228】
なお、常閉スイッチの構成は、上記したものに限定されるものでないのはいうまでもない。
【0229】
(第12実施形態)
次に、本発明の第12実施形態について図52を用いて説明する。なお、図52は第12実施形態における押ボタンスイッチの切断背面図であり、同図中において前記第11実施形態と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0230】
この第12実施形態においては、特に前記第11実施形態と相異する点についてのみ説明し、その他の部分についての詳細な説明は省略する。
【0231】
図52に示すように、常閉スイッチ150側の、押ボタン2の穴2aにおける傾斜面2bの形成位置を、第11実施形態の場合(図51参照)よりも上方にし、押ボタン2を押し込んでいない状態のときに、押ボタン2の傾斜面2bとスイッチング機構156の挿入部156aの傾斜面156bとの間に隙間158が生じるようにしている。
【0232】
次に、動作について簡単に説明すると、押ボタン2を押し込んでいない状態、つまり押ボタンスイッチ1が第1のOFF状態にあるときには、図52に示すように、第1、第2の接点41、51は接触しており、常閉スイッチ150はON状態にある。
【0233】
そして、このON状態から押ボタン2が押し込まれると、前記第1実施形態において説明したように、押ボタンスイッチ1は、第1のOFF状態からON状態に移行する。このとき、このように押ボタンスイッチ1が第1のOFF状態からON状態に移行するまでの間、押ボタン2の傾斜面2bとスイッチング機構156の傾斜面156bとが係合せず、押ボタンスイッチ1がON時にこれら傾斜面2b、156bが係合するように隙間158を調整しておけば、押ボタンスイッチ1がON状態となり、常閉スイッチ150もON状態となる。
【0234】
そのため、押ボタンスイッチ1がON状態になったときには常閉スイッチ150はON状態となり、この点前記第11実施形態と相異している。
【0235】
続いて、押ボタンスイッチ1のON状態から押ボタン2をさらに押し込むと、前記第11実施形態の場合と同様に、押ボタンスイッチ1は、ON状態から第2のOFF状態に移行するのに対し、常閉スイッチ150では、押ボタン2に連動してスイッチング機構156が下動し、スイッチング機構156の下動によって可動端子155も下動して第2の接点51が第1の接点41から離反し、常閉スイッチ150がON状態からOFF状態に移行する。
【0236】
このように、隙間158を設けることで、押ボタンスイッチ1の第1のOFF状態、ON状態、第2のOFF状態に各々対応して本実施形態における常閉スイッチ150はON状態、ON状態、OFF状態となるが、押ボタンスイッチ1の第1のOFF状態及び第2のOFF状態のときの常閉スイッチ150の状態を見ればそれぞれON状態、OFF状態となる。
【0237】
従って、第12実施形態によれば、前記第11実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0238】
なお、前記第11実施形態或いは上記した第12実施形態における常閉スイッチを、前記第2ないし第8実施形態における押ボタンスイッチにも並設してもよいのは勿論である。
【0239】
また、前記第11、第12実施形態では常閉スイッチについて説明したが、このような常閉スイッチに代えて常開スイッチを押ボタンスイッチ1に並設してもよく、この場合も前記第11第12実施形態と同等の効果を得ることができる。このとき、前記第11、第12実施形態における第1の接点41を取付部材154aの上端部の上面側に設け、可動端子155を第11、第12実施形態の場合と上下反転させて第1の接点41の上方に配置するとともに、初期の状態において第2の接点51が第1の接点41に接触しないように可動端子155を配設することで、常開スイッチを実現することができる。
【0240】
(第13実施形態)
次に、本発明の第13実施形態を図53及び図54を用いて説明する。なお、図53は第13実施形態における押ボタンスイッチの切断側面図、図54は一部の概略説明図であり、各図中において前記第1実施形態と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0241】
この第13実施形態においては、特に前記第1実施形態と相異する点についてのみ説明し、その他の部分についての詳細な説明は省略する。
【0242】
図53に示すように、押ボタン2の前面或いは背面に、図54に示すようなハート型の左右ほぼ対称形のカム溝160を形成し、押ボタン2の押し込みによって先端がカム溝160内を相対的に移動するピン161の根元をケース3のカム溝160に対向する内側面に回動自在に取り付けている。これらカム溝160及びピン161によりロック/リセット機構であるオルタネイト機構が構成されている。
【0243】
このハート型のカム溝160は、図54に示すように、斜め方向の長尺の第1溝部160aと、水平方向の第2溝部160bと、第2溝部160bよりやや下方位置から左上がりの第3溝部160cと、第3溝部160cの端部から垂直方向に下る第4溝部160dと、第1溝部160aとは逆の斜め方向の長尺の第5溝部160eとにより構成される。
【0244】
次に、動作について簡単に説明すると、押ボタン2を押し込んでいない状態、つまり押ボタンスイッチ1が第1のOFF状態にあるときには、ピン161の先端はカム溝160の下端にある。そして、押ボタン2が押し込まれてスイッチが第1のOFF状態からON状態に移行すると、ピン161の先端はカム溝160の第1溝部160a内を図54中の矢印に沿って相対的に上動し、スイッチが第2のOFF状態に移行したときに、ピン161の先端は第1溝部160aの上端に達してその上面に当接する。
【0245】
このように、ピン161の先端が第1溝部160aの上面に当接したときには、スイッチング機構6を押し上げるためのコイルスプリング12が圧縮された状態となり、それ以上押ボタン2を押し下げることが不可能になる。
【0246】
その後、押ボタン2の押し下げが解除されると、押ボタン2はコイルスプリング12のばね力によって上動しようとするため、ピン161の先端は、図54に示すように、カム溝160の第2溝部160bを経て第3溝部160cに移動する。このとき、ピン161の先端が第3溝部160cの下面に当接して押ボタン2の押し上げが規制されることになり、押ボタンスイッチ1は第2のOFF状態に保持される。従って、押ボタン2は押し込んだ状態のままとなるため、スイッチの操作者は、押ボタン2が初期状態に復帰しないことから、第2のOFF状態に保持されていることを容易に認識することができる。
【0247】
続いて、押ボタンスイッチ1は第2のOFF状態に保持された状態を解除するために押ボタン2をもう一度押し込むと、ピン161の先端が第3溝部160cから第4溝部160dを経て第5溝部160eの上端に移行する。そのときに押ボタン2の押し込みを解除すれば、ピン161により押ボタン2の押し上げが規制されることもないため、押ボタン2に対するコイルスプリング12のばね力によって、押ボタン2が上動するとともにピン161は第5溝部160e内を相対的に下動し、押ボタン2及びピン161の先端は初期の状態に復帰する。
【0248】
このように、第13実施形態によれば、カム溝160及びこれに嵌挿するピン161から成るオルタネイト機構を設けることで、スイッチを第2のOFF状態に保持できるため、スイッチの操作者は、押ボタン2の状態から第2のOFF状態に保持されていることを容易に認識することが可能になる。
【0249】
また、この保持状態から押ボタン2を再度押し込むことで、スイッチを初期の第1のOFF状態に簡単に復帰させることができる。
【0250】
なお、このようなオルタネイト機構を前記第2ないし第8実施形態における押ボタンスイッチにも並設してもよい。
【0251】
(第14実施形態)
次に、本発明の第14実施形態を図55及び図56を用いて説明する。なお、図55は第14実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図、図56は切断平面図であり、各図中において前記第1実施形態と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0252】
図55に示すように、本実施形態では、特にケース3の左右の側面の肉厚を厚くしており、このケース3の左右の側面のロック/リセット機構を構成する作動部材を収容する空間である収容部165を形成し、この収容部165内に四角形の枠状の作動部材166を左右方向に移動自在に収容する。このとき、作動部材166の左辺の内側の一部がケース3内に突出して配設されている。また、作動部材166の中央の空間を押ボタン2が移動する。
【0253】
この作動部材166の左辺の左側面には凹部166aを形成し、この凹部166a内にコイルスプリング167の右端部を配設し、コイルスプリング167の左端は収容部165の左側面に係止しておき、コイルスプリング167のばね力により作動部材166を右方向に付勢する。
【0254】
作動部材166の右辺の中央部には、その先端がケース3の外部に導出された操作バー166bを一体に設け、ケース3の外部に導出された操作バー166bの先端を押し込むことで、コイルスプリング167のばね力に抗して作動部材166が左方へ移動する。
【0255】
また、押ボタン2の左側面のほぼ中央にはロック用突起168を一体に形成し、この突起168の下面には傾斜面169を形成するとともに、作動部材166の左辺のケース3内に突出した箇所の上面には、押ボタン2側の傾斜面169に係合する傾斜面170を形成する。
【0256】
このように、収容部165、作動部材166、コイルスプリング167、突起168、傾斜面169、170及び操作バー166bによりロック/リセット機構が構成されている。
【0257】
次に、動作について簡単に説明すると、第1のOFFの状態から押ボタン2を押し下げると、押ボタン2が下動して傾斜面169と傾斜面170とが当接して係合する。このとき、第1、第2の接点41、51が接触してスイッチが第1のOFF状態からON状態に移行する。
【0258】
さらに、このON状態から押ボタン2を押し込むと、押ボタン2側の傾斜面169が作動部材166の傾斜面170を摺接し、作動部材166が押ボタン2の押し込みにつれて左方へ移動し、やがて作動部材166の左辺が収容部165内に完全に没入した状態となり、押ボタン2は作動部材166に邪魔されることなく押し込むことが可能になる。このとき第1、第2の接点41、51は離反してスイッチはON状態から第2のOFF状態に移行する。また、作動部材166がコイルスプリング167のばね力により、その左辺が収容部165内に没入した状態から右動して、作動部材166の左辺の一部が再び収容部165からケース3内に突出した状態となる。
【0259】
その後、押ボタン2の押し込みを解除すると、押ボタン2がコイルスプリング7のばね力により上動しようとするが、突起168の上面がケース3内に突出した作動部材166の左辺の下面に当接してロック状態となり、押ボタン2の上動が規制される。従って、スイッチは第2のOFF状態に保持され、押ボタン2は押し込んだ状態のままとなるため、スイッチの操作者は、押ボタン2が初期状態に復帰しないことから、第2のOFF状態に保持されていることを容易に認識することができる。
【0260】
続いて、この保持状態を解除するために、ケース3から突出した作動部材166の操作バー166bを押し込むと、作動部材166が左動してその左辺が再び収容部165内に完全に没入しロック解除状態となり、作動部材166による押ボタン2の上動の規制が外れて、押ボタン2がコイルスプリング7のばね力により初期の位置まで上動するとともに、作動部材166がコイルスプリング167のばね力により右方に移動して初期の状態(リセット状態)に復帰する。
【0261】
このように、第14実施形態によれば、前記第13実施形態と同等の効果を得ることができ、即ちロック/リセット機構を設けることで、スイッチの操作者は、押ボタン2の状態から第2のOFF状態に保持されていることを容易に認識することが可能になる。
【0262】
なお、このようなロック/リセット機構を前記第2ないし第8実施形態における押ボタンスイッチにも並設してもよい。
【0263】
また、このようなロック/リセット機構のうちケース3に形成或いは収容する部材など、具体的には収容部165、作動部材166、コイルスプリング167はケース3とは別体の部材に設けておき、この別部材を押ボタン2に装着するなどして押ボタン2側の突起168と別部材側の作動部材166とが係合可能なように構成してもよい。
【0264】
さらに、ロック/リセット機構は、押ボタン2を押し込むための別体の操作ボタンを押ボタン2に着脱自在に装着し、この操作ボタンを介して押ボタン2を押し込むことで、スイッチを第1のOFF状態、ON状態を経て第2のOFF状態に移行させ、このときに操作ボタンがケース3などに設けられた係止部材に係止してスイッチを第2のOFF状態に保持するようにし、操作ボタンを所定方向に回転させることによって、この保持状態を解除するような構成にしてもよい。
【0265】
(第15実施形態)
次に、本発明の押ボタンスイッチを非常停止スイッチとして用いた第15実施形態を図57ないし図60を用いて説明する。
【0266】
図57は第15実施形態における非常停止スイッチの切断正面図、図58は図57のY−Y線における切断正面図、図59は非常停止スイッチの動作説明用の切断正面図、図60は本実施形態の作用効果の説明図である。
【0267】
図57及び図58に示すように、非常停止スイッチ201は、操作ブロック(操作部)202と、これに着脱自在に取り付けられるコンタクトブロック(コンタクト部)203とから主として構成されている。
【0268】
操作ブロック202は、押ボタンに相当する非常停止ボタン220と、これを支持する支持ブロック221とを有している。支持ブロック221内には、押し込まれた非常停止ボタン220を元の位置に戻すための復帰ばね222が設けられている。
【0269】
また支持ブロック221内には、操作軸223が軸方向にスライド自在に設けられている。操作軸223にはフランジ部223aが設けられている。
【0270】
操作軸223の下部側方には、操作プレート224、224が操作軸223を挟んで対向配置されている。各操作プレート224、224の上端は、操作軸223のフランジ部223aに当接している。
【0271】
支持ブロック221の下部には、ロック部材225が設けられている。ロック部材225に形成された傾斜面225aは、操作軸223の下部に形成された傾斜面223bと係合している。また、支持ブロック221の下部には、ロック部材225を操作軸223側に突出させるようばね力を作用させるばね226が設けられている。また、操作軸223上において傾斜面223bの上方には、傾斜面223bと同様の傾斜面223cが形成されている。
【0272】
コンタクトブロック203の底部には、固定端子231が固定されている。固定端子231は略U字状に折り曲げられており、その折曲げ部分231aは、上下方向の弾性を有している。折曲げ部分231aの先端には、第1の接点に相当する固定接点232が設けられている。
【0273】
またコンタクトブロック203内には、操作軸223と連動する可動接点ユニット230が設けられている。可動接点ユニット230は、操作プレート224の先端224aに当接する当接部233を有している。当接部233は、コンタクトブロック203の底部から上方に延びる支軸部234により上下方向にスライド自在に支持されている。また、当接部233には、コンタクトブロック203の底部に配置されたばね235によるばね力が上方に作用している。
【0274】
当接部233内には、接点ホルダ236が配置されている。この接点ホルダ236の上端にはばね237によるばね力が下方に作用し、下端にはばね(付勢部材)238によるばね力が上方に作用している。接点ホルダ236の略中央部には、該接点ホルダ236を軸方向と直交する方向に貫通する窓孔236aが形成されている。
【0275】
窓孔236a内には、可動端子239が挿入されている。可動端子239の先端には第2の接点に相当する可動接点240が設けられ、この可動接点240は固定端子231の固定接点232に接触しており、各接点232、240はON状態におかれている。また窓孔236a内において、可動端子239にはばね241によるばね力が下方に作用しており、これにより、各接点232、240の接触時に接触圧が得られるようになっている。
【0276】
また当接部233の下部233aは、固定端子231の折曲げ部分231aに上方から当接し得るようになっている。この下部233aは、非常停止ボタン220の操作時に固定端子231の固定接点232を可動端子239の可動接点240から離反させる離反部として作用する。
【0277】
このように構成される非常停止スイッチ201においては、コンタクトブロック203を操作ブロック202に装着した状態では、上述したように、操作プレート224の先端224aがコンタクトブロック203内の当接部233に当接しており、これにより、当接部233とともに接点ホルダ236が下方に若干量移動して、接点ホルダ236の下端236bがコンタクトブロック203の底部に当接している(図57及び図58参照)。
【0278】
この状態から、非常停止ボタン220が軽く押された場合には、復帰ばね222によるばね力が操作軸223に対して下方に作用するが、操作軸223下部の傾斜面223bにロック部材225が係合しているため、操作軸223は非常停止ボタン220の動きに連動してすぐには移動しない。
【0279】
次に、非常停止ボタン220が強く押されて、非常停止ボタン220の下端部220aが操作軸223のフランジ部223aに当接し、操作軸223の傾斜面223bからロック部材225の傾斜面225aに作用する押圧力がある一定限度を超えた場合には、ロック部材225が操作軸223から離れる方向に移動し、操作軸223の傾斜面223bとロック部材225の傾斜面225aとの係合が外れる。
【0280】
その結果、図59に示すように、操作軸223及び操作プレート224が下方に移動し、操作プレート224の先端224aに当接する当接部233が同様に下方に移動する。すると、当接部233の下部233aが固定端子231の折曲げ部分231aを下方に押し下げ、これにより、固定端子231の固定接点232が可動端子239の可動接点240から離反する。このようにして、各接点232、240が離反されてスイッチがOFF状態(第2のOFF状態)に移行する。
【0281】
一方、操作軸223が下方に移動したことにより、ロック部材225は、操作軸223の下部において傾斜面223bの上方に形成された傾斜面223cと係合するとともに、操作軸223下部の段付面223dと係合する。これにより、操作軸223が下方に移動した状態が保持される。なお、段付面223dは、操作軸223の全周に形成されているのではなく、操作軸223の円周上の一部に形成されている。
【0282】
次に、図59に示される非常停止状態を解除するには、まず、操作者が非常停止ボタン220を中心軸回りに所定角度だけ回転させる。すると、非常停止ボタン220とともに操作軸223も回転して、操作軸223の段付面223dとロック部材225との係合が外れる。その結果、ばね235、237の反発力により、当接部233及び操作プレート224を介して、操作軸223が上方に移動して元の位置に戻る(図57参照)。
【0283】
次に、コンタクトブロック203が操作ブロック202から分離した場合には、図60に示すように、ばね238の反発力により、接点ホルダ236が上方に移動して、接点ホルダ236の下端236bがコンタクトブロック203の底部から離れる。このとき、接点ホルダ236とともに可動端子239も上方に移動するため、可動端子239の可動接点240が固定端子231の固定接点232から離れ、各接点232、240が離反されてスイッチがOFF状態(第1のOFF状態)にされる。
【0284】
このように可動端子239には、固定端子231から離反する方向に付勢するばね238のばね力が接点ホルダ236を介して常時作用しているので、コンタクトブロック203を操作ブロック202から分離した場合には、このばね力により、可動接点240を固定接点232から分離させることができる。
【0285】
従って、第15実施形態によれば、コンタクトブロック203を操作ブロック202に装着したときにON状態となり、非常停止ボタン220を押し込んだときにOFF状態(第2のOFF状態)となるため、ON状態からOFF状態(第2のOFF状態)への移行が安定して行われ、これによりスイッチ動作を安定させることができ、工作機械等の機器の動作を確実に非常停止させることが可能になる。
【0286】
また、コンタクトブロック203を操作ブロック202から分離したときにコンタクトブロック203内の各接点232、240を確実に離反させてスイッチをOFF状態(第1のOFF状態)に移行することができることから、これらを分離した状態においても、工作機械等の機器を停止状態に保持することができる。
【0287】
(第16実施形態)
次に、本発明の押ボタンスイッチを非常停止スイッチとして用いた第16実施形態を図61ないし図65を用いて説明する。
【0288】
図61は第16実施形態における非常停止スイッチの切断正面図、図62は非常停止スイッチの動作説明用の切断正面図、図63は本実施形態の作用効果の説明図、図64及び図65は非常停止スイッチ内の固定端子の異なる状態の拡大図である。図61図ないし図63は前記第15実施形態の図57ないし図59それぞれに対応している。なお、各図中、前記第15実施形態と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0289】
この第16実施形態においては、固定端子の構造のみが前記第15実施形態と異なっているので、ここでは、固定端子の部分についてのみ説明し、その他の部分についての詳細な説明は省略する。
【0290】
図61ないし図65中、コンタクトブロック203の底部側に配置された固定端子250は、底部203aに固定された固定金具252と、固定金具252に回動自在に支持された可動金具253とから主として構成されている。
【0291】
固定金具252の一端には、図64に示すように、上方に延びる立板部252aが設けられており、立板部252aの下端に可動金具253の一端部253aが係合している。この構成により、可動金具253は、立板部252aの下端を支点として上下方向回動自在になっている(図65参照)。
【0292】
立板部252aには、可動金具253の上方への回動を規制するための規制板部252bが設けられている。なお、図61ないし図63では、図示の便宜上、この規制板部252bを省略したものが示されている。
【0293】
また、立板部252a及び可動金具253間にはばね254が配設されている。ばね254の一端は、立板部252aに係止され、他端は可動金具253の略中央部に係止されている。このばね254のばね力により、可動金具253は常時上方に回動する方向に付勢されている。可動金具253の先端には、第1の接点に相当する固定接点251が設けられている。
【0294】
このように構成される非常停止スイッチ201においては、コンタクトブロック203を操作ブロック202に装着した状態では、前記第15実施形態の場合と同様に、操作プレート224の先端224aがコンタクトブロック203内の当接部233に当接しており、接点ホルダ236の下端236bがコンタクトブロック203の底部203aに当接している(図61参照)。
【0295】
この状態から、非常停止ボタン220が強く押されて、非常停止ボタン220の下端部220aが操作軸223のフランジ部223aに当接し、操作軸223の傾斜面223bからロック部材225の傾斜面225aに作用する押圧力がある一定限度を超えた場合には、操作軸223の傾斜面223bとロック部材225の傾斜面225aとの係合が外れて、ロック部材225が操作軸223から離れる方向に移動する。
【0296】
その結果、図62に示すように、操作軸223及び操作プレート224が下方に移動し、操作プレート224の先端224aに当接する当接部233が同様に下方に移動する。すると、当接部233の下部233aが固定端子250の可動金具253を下方に回動させ(図65参照)、これにより、固定端子250の固定接点251が可動端子239の可動接点240から離反する。このようにして、各接点240、251が離反されてスイッチがON状態からOFF状態(第2のOFF状態)に移行する。
【0297】
次に、コンタクトブロック203が操作ブロック202から分離した場合には、図63に示すように、ばね238の反発力により、接点ホルダ236が上方に移動して、接点ホルダ236の下端236bがコンタクトブロック203の底部203aから離れる。このとき、接点ホルダ236とともに可動端子239も上方に移動するため、可動端子239の可動接点240が固定端子250の固定接点251から離れ、各接点240、251が離反されてスイッチがOFF状態(第1のOFF状態)に移行する。
【0298】
このように、可動端子239には、固定端子250から離反する方向に付勢するばね238のばね力が接点ホルダ236を介して常時作用しているので、コンタクトブロック203を操作ブロック202から分離した場合には、このばね力により、可動接点240を固定接点251から分離させることができる。これにより、コンタクトブロック203内の各接点240、251を確実に離反させてスイッチをOFF状態(第1のOFF状態)に移行することができる。
【0299】
従って、第16実施形態によれば、前記第15実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0300】
また、前記第15実施形態では、固定端子231が帯鋼を略U字状に折り曲げることにより構成されており、帯鋼の材質、板厚等のばらつきによっては固定端子231の折曲げ部分231aにおける屈曲度のばらつきが大きくなり、固定端子231の品質及び性能を所望の範囲内におさめるのが容易ではない。これに対して、第16実施形態では、固定端子250全体のばね性がコイルばね254により左右されるため、固定端子250の品質及び性能を所望の範囲内におさめるのが比較的容易である。
【0301】
(第17実施形態)
次に、本発明の押ボタンスイッチを、操作装置である産業用マニピュレーティングロボットにおける教示ペンダントのイネーブルスイッチに適用した第17実施形態について、図66ないし図69を用いて説明する。
【0302】
図66は第17実施形態における教示ペンダントの正面図、図67はこの教示ペンダントを背面側から見た時の斜視図、図68及び図69は一部の背面図及び平面図である。なお、各図中、前記第1実施形態と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0303】
操作装置である産業用マニピュレーティングロボットにおける教示ペンダントはロボットの制御装置に接続される携帯用ユニットであり、例えば図66に示すように構成される。
【0304】
教示ペンダント300は、図66に示すように、ペンダント本体301の両端部が把持部302として両手で把持されるようになっており、ペンダント本体301の中央部には、液晶ディスプレイ(以下、LCDと称する)303が配設され、操作者はこのLCD303の表示画面を見ながら、ペンダント本体301のLCD303の両側に複数個ずつ配列された操作キー304やその他の操作キー305を両手の親指などで適宜操作することで、ロボットに対してプログラムを教示したり、或いはロボットを作動させることが可能になる。
【0305】
このとき、単に操作キー304、305を操作すればロボットに対する教示等が可能になるのではなく、図67に示すように、ペンダント本体301のいずれか一方の把持部302の裏面側に配設されたイネーブルスイッチの操作部307を操作し、イネーブルスイッチをON状態にした上で操作キー304、305を操作しなければ、ロボットに対するプログラムの教示や、ロボットの作動を行うことができないようになっている。
【0306】
この操作部307には、図68に示すように、イネーブルスイッチとして前記第1実施形態における押ボタンスイッチ1が2個並んで配設され、押ボタン2が外部に露出されている。両押ボタンスイッチ1は電気的には直列に接続されており、このように2個の押ボタンスイッチ1を直列に設けることで、一方の押ボタンスイッチ1が接点溶着を起こした場合であっても、他方の押ボタンスイッチ1によりイネーブル状態であるON状態及び非常時における第2のOFF状態を実現し、ロボット制御の信頼性を確保することが可能になる。
【0307】
そして、図68、図69に示すように、操作部307には両押ボタンスイッチ1の押ボタン2を同時に押し込むために、両押ボタン2に当接するコ字状の当接部材310がその両端を回動自在に操作部307に取り付けられており、この当接部材310を可撓性を有するカバー311で被覆し、把持部302を把持したときに、カバー311を介して当接部材310を握ることで、当接部材310が回動して両押ボタン2が確実に押し込まれる。
【0308】
このとき、カバー311をゴム等により形成すれば、操作部307の防水を行うことができる。
【0309】
従って、第17実施形態によれば、当接部材310により、両押ボタンスイッチ1の押ボタン2を同時に押し込むことが可能なり、簡易な構成でしかも簡単な操作により両押ボタンスイッチ1の同時操作が可能になる。
【0310】
なお、押ボタンスイッチ1は3個以上設けられていてもよく、カバー311は特に設けなくてもよい。
【0311】
また、当接部材の構成は上記したものに限らず、ペンダント本体301に回動自在に取り付けられて各押ボタン2に同時に当接し得るものであればよい。
【0312】
さらに、イネーブルスイッチとして用いる押ボタンスイッチは前記第2ないし第14実施形態における押ボタンスイッチであってもよいのは勿論である。
【0313】
(第18実施形態)
次に、本発明の押ボタンスイッチを、操作装置である産業用マニピュレーティングロボットにおける教示ペンダントのイネーブルスイッチに適用した第18実施形態について、図70ないし図73を用いて説明する。
【0314】
図70及び図71は第18実施形態における教示ペンダントを背面側から見た時の異なる状態における斜視図、図72は右半分の一部を切断した状態の平面図、図73は一部の斜視図である。なお、各図中、前記第17実施形態と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0315】
本実施形態では、図72に示すように、ペンダント本体301の一方の把持部302の裏面における操作部307に2個の押ボタンスイッチ1を埋設し、図71に示すように、各押ボタンスイッチ1の押ボタン2をそれぞれ押し込むための軸状のアクチュエータ軸315を各押ボタンスイッチ1に対応して操作部307に出没自在に配設し、図70に示すように、各アクチュエータ軸315を同時に操作するための樹脂等から成る操作レバー317を回動自在に操作部307に設ける。
【0316】
このとき、操作レバー317は例えば図73に示すような断面L字状を成し、両側端部が支軸によって回動自在に操作部307におけるペンダント本体301部分に支持されるようになっている。このような操作レバー317を設けることで、把持部302を把持したときに、操作レバー317が図72中のA矢印方向に回動して各押ボタン2が確実に押し込まれる。
【0317】
従って、第18実施形態によれば、前記第17実施形態と同等の効果を得ることができる。
【0318】
なお、操作レバー317の構成は上記したものに限らず、ペンダント本体301に回動自在に取り付けられて各押ボタン2を同時に押し込める構成のものであればよい。
【0319】
またこの場合も、イネーブルスイッチとして用いる押ボタンスイッチ1は2個以上であってもよく、前記第2ないし第14実施形態における押ボタンスイッチをイネーブルスイッチとして用いてもよい。
【0320】
(第19実施形態)
次に、本発明の押ボタンスイッチを、操作装置である産業用マニピュレーティングロボットにおける教示ペンダントのイネーブルスイッチに適用した第19実施形態について、図74ないし図76を用いて説明する。
【0321】
図74は第19実施形態における教示ペンダントの一部の斜視図、図75は他の一部の概略構成を表す斜視図、図76は動作説明図である。なお、各図中、前記第18実施形態と同一符号は同一または相当部分を示している。
【0322】
本実施形態では、前記第18実施形態における操作レバー317を操作して回動させたときに、押ボタンスイッチ1の操作感を発生する操作感発生機構を設けている。
【0323】
具体的には、操作レバー317の後壁の中央部分に切れ込みを形成することで、図74に示すような弾性を有するばね部320を形成し、このばね部320の先端には、後方への突起321を一体的に形成する。一方、ペンダント本体301側には、図75に示すように、突起321が当接するカム状突起323を形成し、操作レバー317の回動時に、操作レバー317側の突起321がカム状突起323に当接して周面を摺接し、突起321がカム状突起323の周面を摺接し終えることで、操作者に対して押ボタンスイッチ1を操作したという感触を与えることができるようにしている。そのために、操作レバー317の回動により、突起321がカム状突起323の周面をほぼ摺接し終えたときに、押ボタンスイッチ1がON状態になるように、操作レバー317の回動量とアクチュエータ軸315及び押ボタン2の押込量を調整しておく。
【0324】
次に、動作について図76を用いて簡単に説明すると、操作レバー317が回動されない状態つまり押ボタンスイッチ1が第1のOFF状態にあるときには、図76(a)に示すように、ばね部320の突起321はカム状突起323に当接しない。この状態から、把持部302が把持されて操作レバー317が回動されると、これに伴ってばね部320がカム状突起323に接近し、図76(b)に示すように、突起321がカム状突起323の一側の周面に当接する。
【0325】
そして、ばね部320の突起321がカム状突起323の一側の周面を摺接し、図76(c)に示すように、突起321がカム状突起323の一側の周面を摺接し終えると、押ボタン2の押込量が増加して押ボタンスイッチ1がON状態に移行するとともに、突起321のカム状突起323との当接状態が解除されることによる操作感が操作者に与えられる。このときには、押ボタンスイッチ1のONによってペンダント300はイネーブル状態となる。
【0326】
その後、さらに操作レバー317が回動されると、図76(d)に示すように、ばね部320の突起321はカム状突起323から遠ざかり、押ボタン2の押込量も多くなって阻止ボタンスイッチ1は第2のOFF状態となる。このような状態は、何らかの異常事態が生じた場合であって、操作者が異常事態に反応して把持部302を強く把持し、操作レバー317の回動量が非常に多くなったことに起因するものである。
【0327】
このような異常事態が回避されて、把持部302の把持力が軽減されると、押ボタンスイッチ1の復帰ばねによる押ボタン2の復帰に伴って操作レバー317が元の状態に復帰しようとし、図76(e)に示すように、操作レバー317の復帰に連れてばね部320の突起321がカム状突起323の他側の周面を摺接し、やがて図76(f)に示すように、ばね部320の突起321はカム状突起323から離れ、初期の状態に戻る。
【0328】
従って、第19実施形態によれば、ばね部320、突起321及びカム状突起323から成る操作感発生機構を設けたため、イネーブルスイッチとしての押ボタンスイッチ1がON状態となったときに、教示ペンダント300の操作者に対して押ボタンスイッチ1を操作したという感触を与えることが可能になる。
【0329】
また、カム状突起323から発生する操作感と、イネーブルスイッチがオン状態から第2のOFF状態へ移行する際の操作感とを異ならせておけば、ON状態への操作感であるか第2のOFF状態への操作感であるのかを区別することができ、このような操作感の違いから誤操作を防止することが可能になる。
【0330】
なお、操作レバー317側にカム状突起を、ペンダント本体301側にばね部及び突起を設けてもよいのは勿論である。
【0331】
また、操作感発生機構は、上記した構成のものに限定されるものでないのはいうまでもない。
【0332】
さらに、第19実施形態における押ボタンスイッチとして、前記第2ないし第14実施形態における押ボタンスイッチを用いてもよい。
【0333】
ところで、前記第17ないし第19実施形態では、操作装置を産業用マニピュレーティングロボットにおける教示ペンダントとして説明しているが、第1のOFF状態、ON状態、第2のOFF状態の3つの状態を取り得る押ボタンスイッチ1を適用すべき操作装置はこのような教示ペンダントに限られるものではなく、その他の操作装置であってもよいのは勿論である。
【0334】
また、前記第15及び第16実施形態における非常停止スイッチを、前記第17ないし第19実施形態における教示ペンダント300に設けてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0335】
【図1】第1実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図である。
【図2】図1のII−II線における切断平面図である。
【図3】第1実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図4】第1実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図5】第1実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図6】第1実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図7】第1実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図8】第1実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図9】第1実施形態における押ボタンの操作荷重と操作ストロークとの関係を示す概略図である。
【図10】第2実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図である。
【図11】図10のXI−XIにおける切断平面図である。
【図12】第2実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図13】第2実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図14】第2実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図15】第2実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図16】第2実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図17】第2実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図18】第2実施形態における押ボタンスイッチ内の固定端子のある状態の拡大図である。
【図19】第2実施形態における押ボタンスイッチ内の固定端子の異なる状態の拡大図である。
【図20】第3実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図である。
【図21】第3実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図22】第3実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図23】第3実施形態における押ボタンスイッチの一部の斜視図である。
【図24】第3実施形態における押ボタンスイッチの一部の平面図である。
【図25】第4実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図である。
【図26】第4実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図27】第4実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図28】第4実施形態における押ボタンスイッチの一部の斜視図である。
【図29】第4実施形態における押ボタンスイッチの他の一部の変形例の斜視図である。
【図30】第4実施形態における押ボタンスイッチの他の一部の変形例の断面図である。
【図31】第5実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図である。
【図32】第6実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図である。
【図33】第6実施形態における押ボタンスイッチの一部の斜視図である。
【図34】第6実施形態における動作説明用の斜視図である。
【図35】第6実施形態における動作説明用の斜視図である。
【図36】第6実施形態における動作説明用の斜視図である。
【図37】第7実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図である。
【図38】第7実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図39】第7実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図40】第7実施形態における押ボタンスイッチの一部の分解斜視図である。
【図41】第7実施形態における押ボタンスイッチの一部の変形例の分解斜視図である。
【図42】第8実施形態における押ボタンスイッチの切断側面図である。
【図43】第8実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断側面図である。
【図44】第8実施形態における押ボタンスイッチの動作説明用の切断側面図である。
【図45】第9実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図である。
【図46】第9実施形態における押ボタンスイッチの一部の斜視図である。
【図47】第9実施形態における押ボタンスイッチの一部の拡大断面図である。
【図48】第10実施形態における押ボタンスイッチの一部のある状態の切断側面図である。
【図49】第10実施形態における押ボタンスイッチの一部の異なる状態の切断側面図である。
【図50】第11実施形態における押ボタンスイッチの概略構成を示す切断側面図である。
【図51】第11実施形態における押ボタンスイッチの切断背面図である。
【図52】第12実施形態における押ボタンスイッチの切断背面図である。
【図53】第13実施形態における押ボタンスイッチの切断側面図である。
【図54】第13実施形態における押ボタンスイッチの一部の概略説明図である。
【図55】第14実施形態における押ボタンスイッチの切断正面図である。
【図56】第14実施形態における押ボタンスイッチの切断平面図である。
【図57】第15実施形態における非常停止スイッチの切断正面図である。
【図58】図57のY−Y線における切断正面図である。
【図59】第15実施形態における非常停止スイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図60】第15実施形態の作用効果の説明図である。
【図61】第16実施形態における非常停止スイッチの切断正面図である。
【図62】第16実施形態における非常停止スイッチの動作説明用の切断正面図である。
【図63】第16実施形態における非常停止スイッチの作用効果の説明図である。
【図64】第16実施形態における非常停止スイッチ内の固定端子のある状態の拡大図である。
【図65】第16実施形態における非常停止スイッチ内の固定端子の異なる状態の拡大図である。
【図66】第17実施形態における教示ペンダントの正面図である。
【図67】第17実施形態における教示ペンダントを背面側から見た時の斜視図である。
【図68】第17実施形態における教示ペンダントの一部の背面図である。
【図69】第17実施形態における教示ペンダントの一部の平面図である。
【図70】第18実施形態における教示ペンダントを背面側から見た時のある状態における斜視図である。
【図71】第18実施形態における教示ペンダントを背面側から見た時の異なる状態における斜視図である。
【図72】第18実施形態における教示ペンダントの右半分の一部を切断した状態の平面図である。
【図73】第18実施形態における一部の斜視図である。
【図74】第19実施形態における教示ペンダントの一部の斜視図である。
【図75】第19実施形態における教示ペンダントの他の一部の斜視図である。
【図76】第19実施形態における教示ペンダント動作説明図である。
【図77】従来の押ボタンスイッチの機略構成図である。
【図78】従来の押ボタンスイッチの動作説明図である。
【図79】従来の押ボタンスイッチの動作説明図である。
【図80】従来の押ボタンスイッチを備えたペンダントの斜視図である。
【符号の説明】
【0336】
41、127……第1の接点
51、126……第2の接点
102、122……押ボタン
103、123……ケース
104、124……固定端子(第1部材)
105、125……可動端子(第2部材)
106……板ばね
106a……折曲部
107……作動部材(強制開離手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
押ボタンの押込量が増加するにつれて、ON、OFFの状態が変化する押ボタンスイッチにおいて、
前記押ボタンを上下動自在に支持するケースと、
前記ケース内に設けられた第1の接点と、
前記ケース内の前記第1の接点と対向する位置に配置された第2の接点と、
接触状態の前記第1及び第2の接点を離反させる強制開離手段と
を備え、
前記第1、第2の接点が離反した初期の第1のOFF状態から前記押ボタンを押し込むことにより、前記第1、第2の接点が接触したON状態となり、前記押ボタンをさらに押し込むことにより、再び前記第1、第2の接点が離反した第2のOFF状態に移行し、
前記強制開離手段は、前記第2のOFF状態のときに強制的に前記第2の接点を前記第1の接点から離反させるものであることを特徴とする押ボタンスイッチ。
【請求項2】
根元部分が前記ケース内の底部に固定され、前記押ボタン方向に付勢力が働く先端部に前記第1の接点が取り付けられた導電性の第1部材と、
根元部分が前記ケース内の底部に固定され、前記押ボタンと前記第1の接点との間に位置して前記押ボタン方向に付勢力が働く先端部に前記第2の接点が前記第1の接点に対向して取り付けられた導電性の第2部材と、
一端側が前記押ボタンに取り付けられ他端側が前記第2部材の前記先端部に近接して配設された板ばねと、
前記板ばねの前記他端側の先端部分が折曲されて形成され前記第2部材の前記先端部に係合する折曲部と、
前記押ボタンの下面に取り付けられ、先端が前記第1部材の前記先端部に当接自在の前記強制開離手段としての作動部材とを備え、
前記押ボタンの押し込みにより、前記折曲部が前記第2部材の前記先端部に係合した状態で押し下げられて前記第1のOFF状態から前記ON状態に移行し、その後の前記押ボタンの押し込みにより、前記折曲部が前記第2部材の前記先端部を摺接して前記第2部材との係合を解除するとともに、前記作動部材が前記第1部材の付勢力に抗して前記第1部材の前記先端部を押圧し、前記ON状態から前記第2のOFF状態に移行するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の押ボタンスイッチ。
【請求項3】
前記押ボタンが中空であり、
断面コ字状を成し互いに広がる方向に付勢されたばね性を有する両先端部が前記押ボタンに形成された中空に対して出没自在に前記中空内に設けられた導電性の可動部材を備え、
前記第2の接点が、前記可動部材の少なくとも一方の前記先端部に設けられ、
前記可動部材がその両先端部を前記中空外に突出した状態で前記押ボタンの押し込みに連動して前記第1のOFF状態から前記ON状態に移行し、その後の前記押ボタンの押し込みにより前記可動部材の前記両先端部が前記中空内に没入するとともに、前記押ボタンの一部が前記強制開離手段として前記第1の接点と第2の接点との間に介挿し、前記ON状態から前記第2のOFF状態に移行するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の押ボタンスイッチ。
【請求項4】
前記押ボタンの外周面に形成された突部と、前記ケースの内周面に形成された突部とから成り、前記第1のOFF状態から前記ON状態に移行する際に前記押ボタンの前記突部が前記ケースの前記突部に摺接してクリック感を発生するクリック感発生機構を備えていることを特徴とする請求項2または3に記載の押ボタンスイッチ。
【請求項5】
前記第1の接点及び前記第2の接点相互の離反に連動して離反または接触する一対の補助接点を前記ケース内に備えていることを特徴とする請求項2ないし4のいずれかに記載の押ボタンスイッチ。
【請求項6】
前記押ボタンの押し込みにより、前記第1のOFF状態時に互いに接触し、前記第2のOFF状態時に離反する第3及び第4の接点を前記ケース内に設けたことを特徴とする請求項2ないし5のいずれかに記載の押ボタンスイッチ。
【請求項7】
前記押ボタンに形成されたハート型のカム溝と、
前記カム溝に対向する前記ケースの内側面に回動自在に取り付けられ、前記押ボタンの押し込みによって先端が前記カム溝内を相対的に一方向に移動するピンとを有し、
前記第2のOFF状態のときに前記押ボタンを押込状態に保持し、解除操作によって前記押込状態の保持を解除するロック/リセット機構を備えていることを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の押ボタンスイッチ。
【請求項8】
前記押ボタンに形成されたロック用当接部と、
前記第2のOFF状態のときに前記ロック用当接部に当接して前記押ボタンを押込状態に保持する作動部材と、
解除操作によって前記作動部材を移動させ、前記ロック用当接部と前記作動部材との当接を解除して前記押込状態の保持を解除する操作バーとを有するロック/リセット機構を備えていることを特徴とする請求項2ないし6のいずれかに記載の押ボタンスイッチ。
【請求項9】
請求項2ないし8のいずれかに記載の押ボタンスイッチを備えている操作装置において、
手で把持される装置本体の把持部に前記押ボタンスイッチが複数配列して設けられ、
前記各押ボタンスイッチの前記各押ボタンに当接する当接部材が前記装置本体に回動自在に取り付けられ、
前記当接部材を押圧することで前記当接部材により前記各押ボタンが同時に押し込まれて前記各押ボタンスイッチが同時に前記ON状態となることを特徴とする押ボタンスイッチを用いた操作装置。
【請求項10】
前記操作装置が、産業用マニピュレーティングロボットにおける教示ペンダントであることを特徴とする請求項9に記載の押ボタンスイッチを用いた操作装置。
【請求項11】
請求項2または3に記載の押ボタンスイッチを備えている教示ペンダントにおいて、
手で把持されるペンダント本体の把持部に前記押ボタンスイッチが設けられ、
前記押ボタンスイッチの前記押ボタンに当接する操作レバーが前記ペンダント本体に回動自在に設けられ、
前記操作レバーを把持することで前記押ボタンが押し込まれ、前記押ボタンスイッチが前記ON状態となって教示可能な状態に設定されることを特徴とする押ボタンスイッチを用いた教示ペンダント。
【請求項12】
請求項2ないし4のいずれかに記載の押ボタンスイッチを備えている教示ペンダントにおいて、
手で把持されるペンダント本体の把持部に前記押ボタンスイッチが設けられ、
前記押ボタンスイッチの前記押ボタンを操作するためのアクチュエータ軸がその先端を突出して設けられ、
前記アクチュエータ軸に当接する操作レバーが前記ペンダント本体に回転自在に設けられ、
前記操作レバーを把持することで前記アクチュエータ軸及び前記押ボタンが押し込まれ、前記押ボタンスイッチが前記ON状態となって教示可能な状態に設定され、
前記操作レバーを把持したときに前記押ボタンスイッチの操作感を発生する操作感発生機構が設けられていることを特徴とする押ボタンスイッチを用いた教示ペンダント。
【請求項13】
前記操作感発生機構が、前記操作レバー側に形成されたばね性を有するばね部と、前記ペンダント本体に設けられたカム状の突起とにより構成され、
前記操作レバーを把持したときに前記ばね部の先端が前記突起の周面を摺接することで前記操作感を発生することを特徴とする請求項12に記載の押ボタンスイッチを用いた教示ペンダント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【図59】
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【図60】
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【図61】
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【図62】
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【図63】
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【図64】
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【図65】
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【図66】
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【図67】
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【図68】
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【図69】
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【図70】
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【図71】
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【図72】
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【図73】
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【図74】
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【図75】
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【図76】
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【図77】
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【図78】
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【図79】
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【図80】
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【公開番号】特開2008−124040(P2008−124040A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−10650(P2008−10650)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【分割の表示】特願平10−546825の分割
【原出願日】平成10年4月27日(1998.4.27)
【出願人】(000000309)IDEC株式会社 (188)
【Fターム(参考)】