説明

押出式真空乾燥機

【課題】オカラ等は75〜80%の水分を含み、これを5%の目標値にするための方法は現在幾つかの方法が用いられているが、満足するものはない、そこで省エネ、迅速、確実等7項目を上げこれを満足する方法を有する乾燥機を考案すること。
【解決手段】連続式すなわちスクリュ−一軸または二軸押出方式でシリンダ−とスクリュ−との間のオカラ等を加温し、容積を減少してつつ同時に除々に圧縮により水分を抜き、更に中間ブレカ−プレ−ト部直前で強力に圧縮して水を抜き、真空室に入れる、真空にすることによって水分の沸点を下げ、水を蒸発させて目標値に近づける構造で、確実、迅速等7項目を満足する一軸または二軸押出式真空乾燥機を考案した。被乾燥物としてオカラで説明する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
オカラを主にこれに順ずる物質等(小豆、ササギ、その他豆類の皮、果物の芯、西瓜の皮等)で嵩比重が小さく、空隙部分が多く、水分の多い物質を、先ず圧縮脱水し、次に真空を用いて沸点を下げ、水分自らの蒸発により水分を減少させて連続的に乾燥させる構造の乾燥機分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
大豆年間400〜500万ton輸入され、豆腐でオカラとなるのは年間100万tonと言われているが多くは飼料、肥料となり、その他多くが燃料となる、いずれにしても、そのままでは75〜80%の水分を含み、飼料、肥料においては水分が腐敗を促進し、燃焼においては水分の熱容量は多きいため熱効率を下げる結果となっている、従ってこの水分を極端に減少させてオカラ等とそれに順ずる品物の有効利用を計りたいと考えるものである。
一般に乾燥機と言えばホッパ−ドライヤ−、または箱型乾燥機を、脱水機と言えば、遠心力脱水方式、またはフィルタ−プレス、連続フィルタ−等が実使用されているが、前者は空気を利用するもので、空気は熱容量が小さく、効率が悪いし、通常の箱型乾燥機では連続性がなく、作業の効率性が悪い、またドア−開閉による熱効率の低下も避けがたい、後者は被圧縮物の弾性によって空隙が小さくなっても、外力が外れると再び出来た空隙が水分を吸いとり元に戻って水分率を向上させ、低%のものにすることが出来ない欠点がある。(その他のも方法があるが省略)
以上の理由により、考案した本押出機により圧縮脱水と真空による水の沸点低下の蒸発によって連続自動操作によって低水分%に脱水乾燥を行うものである。
【0003】
これに対する条件として
1)省エネで簡単な構造であること。
2)乾燥を確実且つ迅速に行うこと。
3)連続工程であること。
4)被圧縮物を圧縮してもの弾性反発により水分が元に戻らないようにする。
5)臭気発散、被乾燥物のこぼれのないこと。
6)機械の分解修理の簡単なこと。
7)砂等の混入にも耐摩耗性のあること。
上記条件を全て満足する、乾燥機は現在存在しない。
〔従来の乾燥機の構造と機能〕
【0004】
現在まで上市されてきた、脱水機、乾燥機は多々あるが、上記7件を満足するものはなかった。
以上記載のドライヤ−、脱水機の問題点を記載すると、次のようになる。
(1)ホッパ−ドライヤ−は空気の熱容量が低く、熱膨張係数が大きいのと比熱が小さいことにより大量の空気を送る必要があり、大きな電気料ロスを起こす。
(2)このタイプで真空乾燥機を設置したものがある、真空ポンプとして水封タイプのものを用いなければ、オカラ等は水分が多いので水分がポンプに入り、ポンプの性能が落ち5%の乾燥率は到底達成不可のである。
(3)箱形乾燥機では、ドア−の開閉による熱損失、作業が非連続で作業効率的に問題がある。
(4)遠心脱水機は回転数を上げなければ効果が出ないし、電気量的に省エネとはいえない。
(5)フィルタ−プレス方式は被脱水物の弾性反発による水分の戻りが存在する、また一般にバッチ式で作業性が悪く、またフィルタ−詰まりを取り去る作業が必要となる。
(6)連続フィルタ−プレス法は上下2枚のエンドレスフィルタ−を上下の定位置ロ−ルで押さえながら回転する方式で水分を搾り出す方法であるが、(4)項と同様に弾性反発吸水問題があり水分7%程度が限度である。
〔特許文献事項〕
【0005】
【特許文献1】〔特開平8−230016〕 未請求 出願日 平成7年2月24日 発明名称 熱可塑性樹脂混練用押出機
押出機シリンダ−内周面に主スクリュ−フライトと反対方向のねじ溝を形成して混練向上と高吐出を計る。
このようなシリンダ−の内面溝構造は内容物はスクリュ−が回転するから前進するのではなくシリンダ−とスクリュ−の摩擦力の差によって前進する訳であるから、シリンダ−内面は粗い方が良く、その意味では内面に凹凸又は直線溝や螺旋溝はあった方がよい、シリンダ−内面の溝については、ベ−カ−パ−キンス社(独)の輸入機パン粉押出機には古くから使用されているし、また日本でもS47年頃コンクリ−トの瓦製造機として使用していた押出機に使用されていた前例がある。
この押出機は樹脂押出成形に使用されると判断されるが、原料変え、色変えに時間を用し完全除去にはシリンダ−分解等の手間がかかり時間のロスである。
従って本事項は公知公用の事項であり、未請求となったものと判断します。
【0006】
【特許文献2】〔特許第3659685〕 出願日 平成7年4月3日 登録日 平成17年3月25日 発明名称 熱可塑性樹脂混練押出機
シリンダ−の内周面に螺旋溝の形成で樹脂混練に寄与すると〔請求項1〕の中に記載されているが、これは、明らかに平成7年2月24日の特開平8−230016で公知であり、さらに同じく〔特許文献1〕に記載のベ−カ−パ−キンス社(独)の輸入機パン粉押出機、また日本でもS47年頃コンクリ−トの瓦製造機として使用の前例がある。
この事により、これ以外の項目で本件が公告になったものと判断できるが、本発明乾燥機のシリンダ−内面リブ事項には抵触しないと判断します。
【0007】
【特許文献3】特許第3652736 出願日 平成7年6月19日 登録日 平成17年3月4日 発明名称 可塑化混練装置
シリンダ−内週に溝ではなく、フィンの機械加工と比較すれば、遥かに機械加工工数の増大につながり、高価なものとる、本発明の押出式真空乾燥機は溝であってフィンではないので本発明には全く抵触しない。
【0008】
【特許文献4】〔特許第2958248〕 出願日 平成6年11月17日 登録日 平成11年7月23日 発明名称 混練押出機
1.〔請求項1〕の中に上記の混練押出機内面に複数の直線溝の設置は上記説明のとおり公知公用であり本押出式真空乾燥機に抵触しない。
2.〔請求項1〕の中の流路調整手段の板状部材5は可動で樹脂流量調整となっているが、本押出式真空乾燥機は固定式で真空室保持のために設置されているもので、本件とは目的も異なるし設置状況も異なっている。
【発明の概要】
〔概要説明〕
【0009】
〔図1〕に示すとおりであるが、概略説明すると次のようになる。(例としてオカラで説明する)
1.ホッパ−1より投入されたオカラはスクリュ−2a、2b、それと一体のフライト2cとシリンダ−の溝5(螺旋の事もある)よって左方に前進し、同時にシリンダ−外側の電熱ヒ−タ11にて必要温度に加熱される、また〔図1〕に示すように、容積の減少により除々に圧縮され、更にフライトピッチの狭くなった3a部分で強く圧縮される、その際出てくる水分は底部水流出溝10aを流れて外部えの排出孔10bより排出される。
2.3aで圧縮されたオカラは固定のスクリュ−ブレカ−プレ−ト6a(以下ブレカ−プレ−トと言う)の孔6bを通過して(この孔により3a部分の圧縮は効果的になる)を通り適当な真空度の真空室に入り、適温になっているので水分の沸点に容易に達して蒸発、真空タンクに繋がる孔7bより真空タンクに導かれる。
3.真空室はスクリュ−3aのオカラの圧縮、6bの孔の通過、通常のベント押出機では設置されていないスクリュ−フライト3b、適切なオカラの再圧縮、オカラ通路13a、13b、更に適切なパッキン(場合によっては2重にする)により厳重にシ−ルされている。
4.以上の各部署を通過しオカラは乾燥され左端13bより吐出される。
〔目的達成のための各項目工程〕
【0010】
乾燥機としては上記に説明のごとくに7項目、先ず必要事項であるが、これらを完全マスタ−したものは存在しない。
そこで種々研究の結果、加温したオカラをブレカ−プレ−トを有する連続式真空押出乾燥方式を採用、各工程を再度記載すると、 ホッパ−投入→適温に加温しながら徐々に圧縮→強く圧縮→水分は分離外部排出→ブレ−カ−プレ−ト孔を通過→真空室に入る→水分の沸点に容易に達し蒸発→真空タンクに水分を集める、その量が規定以上の達すれば自動排出→空気は真空プンプより排気。 真空ポンプは水封式のものを用いる、以上の構造で規定水分%以下に乾燥する構造。
上記は一軸を主に記載したが二軸乾燥機においてもスクリュ−本数は異なるが、同一構造、同一機能である、従って二軸〔図2〕においては主要用部分のみを記載した。
〔真空室採用の根拠〕
【0011】
1)塩化ビニ−ルパイプ成形において真空室の設置のもの、ないものとの物性差は家庭用溜め被尿タンク成形の際パイプを膨らますが、真空室を通過したパイプでは亀裂破損は1個もなく、真空室のないものでは多くのものに大なり小なり亀裂が発生した事。
2)真空ンク内の液を確認したところ水分は勿論のこと、樹脂の低留分モノマ−、ダイマ−といったものまで検出された事より真空室の威力を確認した。
3)通常のオカラの圧縮乾燥では7〜10%水分率が普通であるが、真空室利用で5%程度にまで簡単に出来る事を確認した。
このような事は私が実際確認した事項であり、本には書かれていない事項で現場で経験した人とでないと理解できないであろう。
【課題を解決するための手段】
【0012】
その7項目の課題その7項目の課題と解決手段を説明すると次のようになる。
1)省エネであること‐‐‐この事項ついいてはホッパ−ドライヤ−のように熱容量の低い、しかも送風に当たり30〜50%程度の送風ロスが起こるものは使用しない。
2)簡単な構造であること‐‐‐多く使われている押出機に特殊考案事項を付加したものとする。
(1)一般のベント押出機では押出量の多寡によってベントアップ現象(真空孔から内容物が溢れる現象)が起こるが、S54年頃小生が考案したものでは発生しない。
(2)ブレカ−プレ−トを挿入する場合、押出量の多寡によって、ベントアプ現象が起こらず、しかも現在使用中の押出機の2倍以上の押出量を旧式押出機の改造で容易に押出量を吐出させるようにしたし、押出変動によるベントアップの問題点を排除できる。(ウインザ−押出機の改良)
3)連続工程であること‐‐‐押出方式であれば当然連続処理が出来るし、押出機のスクリュ−の回転数とブレカ−プレ−ト挿入で処理量の適用範囲を広くすることが出来る。
4)被圧縮物の弾性反発で水分が元に戻らないようにする。‐‐‐圧縮だけでは弾性反発が必ず起る、しかし圧縮したものを、次の真空室で開放し、蒸発によって水分低%の品物をすることが出来る。
5)臭気発散、被乾燥物こぼれのないこと。‐‐‐全閉式のため問題はない。
6)分解修理の簡単なこと。‐‐‐分解修理は押出機であるので当然簡単である。
7)砂等の混入にも耐摩耗性のあること。‐‐‐砂等の混入の場合でも、スクリュ−フライト、シリンダ−内面は窒化、HIP(heat isolate press)、その他の方法で表面処理を行うことで耐摩耗性を向上させる。(この方法は多く用いられている)。
〔発明の効果と特徴〕
【0013】
本発明はオカラ乾燥を主に考えたものであるが、その効果は次のようである。
1)オカラの中には未だ皮が付着したものもあり、これをスクリュ−中間の溝4a、ブレカ−プレ−ト6aの溝4bとの摺り合わせによって完全に破砕することが出来た。
2)真空室7aの真空保持はスクリュ−フライト3aの圧縮、上記4a、4bの摺り合わせの破砕によってブレカ−プレ−ト6aの孔6bが完全充満した、また出口通路13a、最終出口孔13bの形状の自由度を上げるための通常のベント機にはない圧縮フライト3bの形成、さらにパッキン6cによって完全に真空保持された。
3)ブレカ−プレ−ト6aの働きで送り量変化を故意的に起こしてもベントアップする事はなかった。
4)スクリュ−圧縮フライト3aによる水分排出は底部排水溝10a、外部排水孔10bより排出され更に水侵入防止パッキンも正常に働いた。
以上の事項によって本機は他の方式に比較して非常に有用であると言える。
〔一軸押出方式と二軸押出す方式の差〕
【0014】
1.一軸押出機はシリンダ−の内面摩擦力に関係するのでフライトは二軸に比較して浅く、適当な本数の溝を形成させることにより、前進を確実なものにする。
また押出量は先端の圧力によって変動する。
2.二軸ではそれに引き換え噛み込みがよく、確動押出しで押出量は一軸とは大いに異なり、同一物質の押出しでは3〜5倍の押出量が可能でる。従ってスクリュ−長さは短くてよいし、前進のためのシリンダ−溝は不要である。
最大の欠点は軸間隔距離が小さいのでスラストベアリングが大きく出来ない事であるが、残飯等の反流動物、水飴等の高粘度のものでは大きな問題にはならない。
【産業上の利用可能性】
【0015】
上記説明のように本発明機は小生がS54年樹脂ベント押出機を欠点である押出量によるベントアップをブレカ−プレ−ト6aで改良し、その他摺り合わせ溝の設置、13a、13bの形状に自由度を与えるべくスクリュ−フライト3bを設置したことにより、乾燥機として使用できるようにしたものである、また主とするオカラの乾燥機として改良したものであるから産業上の利用の可能性は充分あるし、一部変えれば樹脂押出機としても充分利用可能な押出機である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】は本発明の押出式真空乾燥機の上下方向断面図を示す。(含断面A矢視、B矢視)
【図2】二軸押出乾燥機の横方向断面図を示す。従って真空タンクに繋がる孔27aが仮想線となり、一軸の排水溝10a、排水孔10bは隠れて見えないが設置されている。孔摺る合わせ部の形状は、二軸ではC矢視ではフライト24a、ブレカ−プレ−ト26aの通過孔26bの間に形成される。
【符号の説明】
【0017】
〔図1〕
1:押出式真空乾燥機のホッパ−
2a:一軸スクリュ−
2b:オカラを一軸スクリュ−で加熱しながら移送し、除々の圧縮する
2c:一軸スクリュ−フライト
3a:一軸スクリュ−フライトの強い圧縮部
3b:オカラ出口の一軸スクリュ−フライト圧縮部
3c:一軸スクリュ−中間円板の切り込み
4a:一軸スクリュ−中間の切り込みつき円板溝(A矢視参照)
4b:一軸中間のスクリュ−ブレカ−プレ−ト4aと摺り合わす溝
5a:シリンダ−内面の溝(オカラを前進させるための溝、直線型、スパイラル型等)プレ−ト6a右側
5b:シリンダ−内面の溝(オカラを前進させるための溝、直線型、スパイラル型等)プレ−ト6a左側
6a:ブレカ−プレ−ト(上下2つ割りとする)
6b:ブレカ−プレ−トのオカラ通過孔
6c:ブレカ−プレ−ト6aの真空保持用パッキン(6個)
7a:真空室(シリンダ−と一軸谷径との隙間)
7b:真空タンクに繋がる孔
7c:真空タンクに繋がる管
7d:真空タンク(基準以上に溜まれば自動排出装置付き)
7e:真空ポンプ
7f:真空ポンプの排気管
8a:前後シリンダ−締結ボルト
8b:前後シリンダ−締結ナット
9 :水侵入防止パッキン
10a:底部水流出溝
10b:外部えの水排出孔
11:バンドヒ−タ−
12:スラストベアリング
13a:オカラの排出通路
13b:オカラの排出口
14:モ−タ−
15a:本体の架台
15b:シリンダ−先端の支え
21:押出式真空乾燥機のホッパ−
22a:二軸スクリュ−
22b:オカラ等を二軸スクリュ−で加熱しながら移送し、除々の圧縮する
23a:3a:二軸スクリュ−フライトの強い圧縮部
23b:オカラ出口の二軸スクリュ−フライト圧縮部
24a:二軸スクリュ−中開の先端フライトの溝(C矢視参照)
24b:二軸中間のブレカ−プレ−ト24aと摺り合わす溝
26a:ブレカ−プレ−ト(上下2つ割りとする)
26b:ブレカ−プレ−トのオカラ等の通過孔
27a:真空室(シリンダ−と主軸谷径との隙間)
27b:真空タンクに繋がる孔(横方向断面図のため仮想線)
27d:真空タンク(基準以上に溜まれば自動排出装置付き)
27e:真空ポンプ
27f:真空ポンプの排気管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一軸又は二軸の押出式真空乾燥機で〔図1、2〕に示すごとき中間の位置に上下2つ割りスクリュ−ブレカ−プレ−ト一軸では〔図1〕6a、二軸では〔図2〕26aをそれぞれ設置し、そのプレ−トに被乾燥物(主としてオカラ等)の通過孔〔図1〕6b、〔図2〕26bと首記乾燥物の皮等を破砕するため摺り潰す溝〔図1〕4b、〔図2〕24bとで臼型を形成する相手方として、一軸のスクリュ−中間切り欠き円板溝4c、二軸中間のスクリュ−フライト先端に溝24cを形成させる構造。
【請求項2】
1軸又は2軸のベント機において、最終出口形状に自由度を持たせるため、また真空室7aでの真空度を保つため、スクリュ−先端に近い部分に圧縮フライト〔図1〕3b、〔図2〕23bをそれぞれ設置したスクリュ−の構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−133212(P2011−133212A)
【公開日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−299517(P2009−299517)
【出願日】平成21年12月24日(2009.12.24)
【出願人】(502321386)
【Fターム(参考)】